JPWO2011125910A1 - カルシウム剤およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

高濃度でも溶液の形態で安定なカルシウム剤を提供する。このようなカルシウム剤として、例えば、水、カルシウム、式Iの化合物、および式IIの化合物を構成要素として含むカルシウム水溶液剤であって、前記カルシウムは大部分が非イオン性カルシウムとして存在し、且つ式Iの化合物および/または式IIの化合物の基本骨格を維持した状態でこれらと結合した複合体を構成し、前記複合体の少なくとも一部分がコロイド粒子を形成している、pHが弱酸性以上の透明なカルシウム水溶液剤が提供される。【化1】ここで、A1、A2、A3、A4、A5およびA6は、それぞれ独立してO−またはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。

Description

本発明はカルシウム剤およびその製造方法に関する。
日本人におけるカルシウムの摂取量の不足は、日本国土が酸性土を基礎にしている関係上、欧米諸国に比べ、土壌に含まれるカルシウム量が低く、それにより農作物や水などから摂取されるカルシウム量が少ないことに起因する。また、乳製品の摂取量が欧米諸国に比べて少ないことにもその原因がある。
厚生労働省が生活習慣病対策として発表した「日本人の食事摂取基準(2010年度版)」においても、日本人が意識して摂取量を増やしていくべき栄養素にカルシウムが含まれる。2008年の国民健康・栄養調査では、日本人におけるカルシウム摂取量の平均は511mgであり、この結果は大人一人一日当たりの推奨量の約600mg〜約700mgを下回る。カルシウムは、生体それ自身およびその機能を維持するために重要な役割を担っており、骨および歯の形成に関与するばかりではなく、血液、神経および筋肉などを含む生体内の多くの器官、組織および細胞における生理的機能およびその恒常性の維持には不可欠の元素である。
一方、予防医学的目的や生活の質の向上を目指すためにサプリメントや栄養成分強化食品などが盛んに利用されている。しかしながら、カルシウムは、食品からの吸収が低い物質である。更に、カルシウムの独特な苦味は、栄養補助剤としてカルシウム溶液を経口により継続的に摂取することの妨げとなっている。
そのような状況において、多くのカルシウムに関する開発がなされ、多くの出願や報告が存在する。
特開昭56−97248(特許文献1)は、水難溶性のクエン酸カルシウムがリンゴ酸カルシウムの共存下において溶解率を増大する特性を利用した水溶性のリンゴ酸カルシウム・クエン酸カルシウム複合体を開示する。特表平5−507692(特許文献2)および特表2002−525091(特許文献3)は、何れも水溶性が改善されたリンゴ酸クエン酸カルシウムを開示する。しかしながら、これらの文献に開示された溶液は長時間の安定性に欠けるカルシウム溶液である。
特開平7−89852(特許文献4)は高温焼成の酸化カルシウムを有機酸または有機酸含有液体に溶解し、乾燥することにより水溶性のカルシウム粉末を得る技術を開示する。これに開示される水溶性のカルシウム粉末は水に溶解した場合に酸性である。
特開2003−235466(特許文献5)は、有機酸とリン酸カルシウム塩が混合されてなる水溶性混合飼料組成物を開示する。得られる溶液は酸性であり、且つ飼料用組成物を開示するものである。
特開平9−289877(特許文献6)は、加水した場合に沈殿することなく長時間安定して分散懸濁することができるカルシウム補強剤としてヒドロキシアパタイトの800nm以下の微粒子をクエン酸またはクエン酸塩含有液またはタンパク質若しくはペプチドで表面処理する技術を開示する。特開平6−329557(特許文献7)は、ヒドロキシアパタイト微粒子をアルブミンおよび/または多価有機酸で表面処理することにより分散液を安定化する技術を開示する。これらの技術により開示されるヒドロキシアパタイト分散液は安定して分散された液ではあるが、酸性下において主に実施され、また、不透明である上、凝集が生じ易い。
Adv.Mater. 1998.10.No.1 49−53(非特許文献1)は、クエン酸、リン酸ナトリウムおよび塩化カルシウムの混合物またはリン酸/EDTA/カルシウムの混合液をマイクロ波照射または100℃の加熱によりナノサイズのヒドロキシアパタイト結晶を得る技術を開示する。J.Coll.int.Sci.318(2008).210−216(非特許文献2)は、クエン酸とpHがヒドロキシアパタイトの結晶サイズに影響を及ぼすことを開示する。US6,248,376(特許文献8)は、リン酸イオン源、クエン酸イオン源、カルシウムイオン源および水酸化金属並びに水を含むカルシウムに富んだ組成物を水酸化カルシウム、リン酸、クエン酸および水酸化カリウムの混合物を水中で約100℃に加熱して得る方法を開示する。これらの技術は何れもヒドロキシアパタイト結晶を得るための方法である。
特表2004−534709(特許文献9)は、アミノ酸を安定剤として含むヒドロキシアパタイトの安定な水性コロイド分散液を開示する。特表2005−500231(特許文献10)は、二官能価安定剤を含むヒドロキシアパタイトの安定な水性コロイド分散液を開示する。J.Mater.Chem.,2004,14,2277−2281(非特許文献3)は、アミノ酸を安定剤として含むヒドロキシアパタイトの水性コロイドを開示する。何れの文献もヒドロキシアパタイトの水性コロイド分散液を製造するために両イオン性の安定剤を必要とする。
特開平9−175994(特許文献11)は、カルシウム源をクエン酸および/またはリンゴ酸および乳酸で溶解することにより高溶解量のカルシウム液を得る技術を開示する。
また、易吸収性が改善された組成物を提供するために、特開平9−12811(特許文献12)は、カルシウム塩を乳酸およびリン酸で溶解する技術を開示する。
このような多くの報告は存在するが、高濃度で苦味が少なく安定なカルシウム透明溶液を得る技術は、確立されておらず、未だに更なる優れた技術の開発が望まれている。
特開昭56−97248号公報 特表平5−507692号公報 特表2002−525091号公報 特開平7−89852号公報 特開2003−235466号公報 特開平9−289877号公報 特開平6−329557号公報 米国特許第6,248,376号明細書 特表2004−534709号公報 特表2005−500231号公報 特開平9−175994号公報 特開平9−12811号公報
Adv.Mater. 1998.10.No.1 49−53 J.Coll.int.Sci.318(2008).210−216 J.Mater.Chem.,2004,14,2277−2281
本発明の目的は、高濃度でも溶液の形態で安定なカルシウム剤、特に、苦味が少なく、且つ弱酸性以上の広いpH領域において高濃度でも溶液の形態で安定なカルシウム剤を提供することにある。
鋭意研究の結果、本発明者らは、上記の課題を解決するための本発明を完成するに至った。
本発明の一態様は、水、カルシウム、式Iの化合物、および式IIの化合物を構成要素として含むカルシウム水溶液剤であって、前記カルシウムは大部分が非イオン性カルシウムとして存在し、且つ式Iの化合物および/または式IIの化合物の基本骨格を維持した状態でこれらと結合した複合体を構成し、前記複合体の少なくとも一部分がコロイド粒子を形成している、pHが弱酸性以上の透明なカルシウム水溶液剤である;
ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
本発明の更なる態様は、前記カルシウム剤を乾燥することにより得られる固体化カルシウム剤である。
本発明の更なる態様は、水中でイオン化されたカルシウム源を式Iの化合物源および式IIの化合物源と混合し、得られた液体を、最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で、不透明液体から透明液体に移行することを特徴とするカルシウム水溶液剤の製造方法である。
本発明の更なる態様は、カルシウム水溶液におけるカルシウム由来の沈殿物生成を防止する方法であって、水中でイオン化されたカルシウムを式Iの化合物および式IIの化合物と混合し、得られた液体を、最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で、不透明液体から透明液体に移行することを特徴とするカルシウム由来の沈殿生成防止方法である。
本発明により、高濃度でも溶液の形態で安定なカルシウム剤が提供される。
本発明の例1の結果を示す図。 本発明の例4の結果を示す図。 本発明の例4の結果を示す図。 本発明の例4の結果を示す図。 本発明の例4の結果を示す図。 本発明の例14の結果を示す図。 本発明の例21の結果を示す図。 本発明の例21の結果を示す図。 本発明の例21の結果を示す図。 本発明の例21の結果を示す図。 本発明の例21の結果を示す図。 本発明の例21の結果を示す図。 本発明の例21の結果を示す図。 カルシウム剤の緩衝能およびカルシウムイオン放出能の評価結果を示す図。 カルシウム剤の緩衝能およびカルシウムイオン放出能の評価結果を示す図。 カルシウム剤の緩衝能およびカルシウムイオン放出能の評価結果を示す図。 カルシウム剤の緩衝能およびカルシウムイオン放出能の評価結果を示す図。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示す写真。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示すグラフ。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示す写真。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示すグラフ。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示す写真。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示すグラフ。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示す写真。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示すグラフ。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示す写真。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示すグラフ。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示す写真。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示すグラフ。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示す写真。 カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示すグラフ。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
1.カルシウム剤
本発明のカルシウム剤は、水溶液の形態であってもよく、当該水溶液を乾燥することにより得られる固体形態であってもよい。水溶液の形態にある場合、当該カルシウム剤を特にカルシウム水溶液剤と称する。また、固体形態にある場合、当該カルシウム剤を特に固体化カルシウム剤と称する。
2.カルシウム水溶液剤
本発明のカルシウム水溶液剤は、水、カルシウム、式Iの化合物、および式IIの化合物を構成要素として含むカルシウム水溶液剤であって、前記カルシウムは大部分が非イオン性カルシウムとして存在し、且つ式Iの化合物および/または式IIの化合物の基本骨格を維持した状態でこれらと結合した複合体を構成し、前記複合体の少なくとも一部分がコロイド粒子を形成している、pHが弱酸性以上の透明なカルシウム水溶液剤である;
ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。ここで「カチオン」は、水素イオン、金属イオンおよびアンモニウムイオンなどの陽イオンであればよい。また、カルシウム水溶液剤において、Xは、遊離した状態および/または遊離していない状態で存在してよい。
カルシウム水溶液剤に含まれるカルシウムは、その大部分が非イオン性カルシウムの形態で存在する。非イオン性カルシウムとは、水溶液中に存在する全カルシウムのうち、カルシウムイオン電極で検出されないものをいう。
カルシウム水溶液剤に含まれる非イオン性カルシウムに関して使用する場合、「大部分」とは、全カルシウムに対する非イオン性カルシウムの割合が約98%以上、好ましくは約99%以上、更に好ましくは約99.9%以上であることをいい、例えば、全カルシウムが100mMである場合、検出されるイオン性カルシウムは約2mM以下、好ましくは約1mM以下、更に好ましくは約0.1mM以下である。
非イオン性カルシウムとして存在するカルシウムは、式Iの化合物および/または式IIの化合物と結合して複合体を構成する。複合体に含まれる式Iの化合物および/または式IIの化合物は、これらの化合物としての基本骨格が維持された状態でカルシウムと結合している。
カルシウム水溶液剤は、更に構成要素としてフッ素を含んでもよい。フッ素が含まれる場合には、カルシウム水溶液剤に含まれるフッ素の少なくとも一部が前記複合体と結合している。
ここで「複合体」というとき、特に記載のない限り、カルシウム、式Iの化合物および/または式IIの化合物により構成されるものを指し、その下位概念であるカルシウム、式Iの化合物および/または式IIの化合物により構成され、且つフッ素と結合して存在するものをも指す。
複合体は、少なくともその一部分または全部がコロイドを形成している。このコロイドの確認は、一般的に公知な手段であるチンダル現象の観察により行うことができる。
なお、カルシウム水溶液剤は、更に構成要素としてマグネシウムを含んでもよい。
「式Iの化合物」の語は、クエン酸骨格を有する化合物を総称する語である。従って、式Iの化合物には「クエン酸」、「クエン酸塩」および「クエン酸イオン」が含まれる。
「式IIの化合物」の語は、リン酸骨格を有する化合物を総称する語である。従って、式IIの化合物には「リン酸」、「リン酸塩」および「リン酸イオン」が含まれる。
カルシウム水溶液剤中の式Iの化合物の濃度は、カルシウム100mMに対して、例えば、約25mM以上であればよい。
カルシウム水溶液剤中の式IIの化合物の濃度は、カルシウム100mMに対して、例えば、約12.5mM以上、好ましくは約25〜約100mM、更に好ましくは約50mMであればよい。
カルシウム水溶液剤の透明度は、例えば、目視および/または吸光値で測定された結果から判定することが可能である。目視で判定をする場合、溶液中に沈殿物がないこと、およびある特定の模様、例えば、直線または波線などの図形、文字がカルシウム水溶液剤を通して見える度合いから判定すればよい。吸光値で測定する場合、例えば、595nmの波長の照射光で得られる吸光値は、カルシウム濃度が100mMの場合であれば、その溶液を96ウェルプレートの1ウェルに100μL入れマイクロプレートリーダーで測定した場合に約0.3以下である。この値は、カルシウム濃度および測定容器に依存して変化する。
カルシウム水溶液剤のpH値は弱酸性以上である。ここにおける弱酸性以上とは、約4〜約13のpH値をいう。
なお、カルシウム水溶液剤中のコロイド粒子のゼータ電位は、典型的にはプラスである。
カルシウム水溶液剤中のコロイド粒子の平均粒子径は、例えば100nm以下であり、典型的には50nm以下である。また、この平均粒子径は、例えば1nm以上であり、典型的には5nm以上である。なお、ここで「平均粒子径」は、動的光散乱法により測定された値を意味している。
3.製造方法
カルシウム水溶液剤の製造は、例えば、水中でイオン化されたカルシウム源を式Iの化合物源および式IIの化合物源と混合し、得られた液体を、最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で、不透明液体から透明液体に移行することを特徴とする方法により行ってよい。
当該製造方法は、水中でカルシウム源をイオン化し、イオン化されたカルシウムを式Iの化合物源および式IIの化合物源と混合し、得られた液体を、最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で、不透明液体から透明液体に移行することを特徴とする方法であってもよく、水中でカルシウム源をイオン化し、イオン化されたカルシウムを式Iの化合物源および式IIの化合物源と混合し、得られた液体を、最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で、不透明液体から透明液体に移行することからなる方法であっても、前記工程を含むまたは具備する方法であってもよい。
カルシウム源は、それ自身公知の何れのカルシウム塩であってもよい。そのような例は、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、ビス(リン酸二水素)カルシウム、リン酸水素カルシウム、二リン酸カルシウム、リン酸三カルシウムおよびクエン酸カルシウムを含む。カルシウム源として、1種類のカルシウム塩を使用してもよく、2種類以上のカルシウム塩を使用してもよい。なお、特に本発明のカルシウム剤を食品用途に用いる場合には、カルシウム源として、酸化カルシウムを主成分として含んだ焼成カルシウムを用いてもよい。
水は、それ自身公知の何れかの水、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、精製水、超純水および注射用滅菌水などの水から用途に応じて選択すればよい。
式Iの化合物源の例は、クエン酸、クエン酸一カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸鉄およびクエン酸三ナトリウムを含む。例えば、これらの中から1種類または2種類以上の組み合わせを式Iの化合物源として使用してよい。
前記式IIの化合物源の例は、リン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸水素カルシウムおよび二リン酸カルシウムを含む。これらの中から1種類または2種類以上の組み合わせを式IIの化合物源として使用してよい。
水中でのカルシウム源のイオン化は、何れかの水に対してカルシウム源を溶解する方法によってなされてもよい。溶解するに当たり、カルシウム源として使用するカルシウム塩の種類によっては水に対する溶解性の低いものもある。そのような場合には、使用する水のpH値を下げて酸性にすることによりカルシウム源をイオン化すればよい。また、易水溶性のカルシウム源を使用する場合には、弱酸性、中性または塩基性の水中でイオン化してもよい。
カルシウム源をイオン化する際にpH値を調整するために使用される酸は、当該分野において一般的にpHの調整に使用されるそれ自身公知の何れの酸であってよい。また、カルシウム塩の種類によっては、式Iの化合物源として使用するクエン酸および/または式IIの化合物源として使用するリン酸を用いてカルシウム源のイオン化が行われてもよい。
イオン化されたカルシウム源と式Iの化合物および式IIの化合物との反応は、イオン化されたカルシウム源と式Iの化合物源と式IIの化合物源とを水中で共存させ、それらを接触させることにより行うことが可能である。この接触において、式Iの化合物源および式IIの化合物源は溶解していることが望ましい。
イオン化されたカルシウムと式Iの化合物源および式IIの化合物源とを接触させるには、イオン化されたカルシウムを含む水溶液に対して式Iの化合物源および式IIの化合物源を添加することにより行われてよく、カルシウム源に対して水溶液中に含まれる式Iの化合物源および式IIの化合物源を添加してもよく、カルシウム源に対して水溶液中に含まれる式Iの化合物源または式IIの化合物源の一方を添加した後に、残りの一方を添加してもよい。式Iの化合物源と式IIの化合物源の添加は同時であっても、何れか一方を添加した後に他方を添加してもよい。カルシウム源と式Iの化合物源および/または式IIの化合物源との最初の接触は、カルシウム源のイオン化と同時であってもよく、カルシウム源がイオン化された後であってもよい。最初の接触により形成された混合物に対して、更なる追加のカルシウム源、式Iの化合物源および/または式IIの化合物源が添加されてもよい。
添加される式Iの化合物源および式IIの化合物源は、予め水に溶解された後にイオン化されたカルシウムを含む水溶液に添加されてもよく、当該水溶液に添加された後に溶解されてもよい。好ましくは予め水に溶解された後にイオン化されたカルシウムを含む水溶液に添加される。式Iの化合物源および式IIの化合物源を予め水に溶解する場合には、式Iの化合物源と式IIの化合物源が別々の水溶液として調製されてもよく、式Iの化合物源と式IIの化合物源とを含む水溶液として調製されてもよいが、好ましくは別々の水溶液として調製される。この調製は、式Iの化合物源を上述の何れかの水に溶解し、また、式IIの化合物源を上述の何れかの水に溶解することにより行われてよい。
カルシウム水溶液剤が更にフッ素若しくはマグネシウムを構成要素として含む場合、フッ素源若しくはマグネシウム源をカルシウム源、並びに式Iの化合物源および/または式IIの化合物源の接触と同時、またはそれらに先駆けて若しくはそれらに続いてカルシウム源と接触させてよい。好ましくはフッ素源若しくはマグネシウム源を予め水に溶解し、水溶液を得た後に、これを同様に予め水に溶解して調製された式Iの化合物源の水溶液、式IIの化合物源の水溶液およびカルシウム源の水溶液と同時に混合、または順次混合される。しかしながら、これに限定されるものではなく、式Iの化合物源および式IIの化合物源と同様に上述した何れかの様式でカルシウム源とフッ素源若しくはマグネシウム源との接触が達成されてもよい。
フッ素源は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウムおよびフッ化マグネシウムなどのフッ化物であればよい。
マグネシウム源としては、例えば、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ビス(リン酸二水素)マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、二リン酸マグネシウム、リン酸三マグネシウムおよびクエン酸マグネシウムが挙げられる。
式Iの化合物源の水溶液および/または式IIの化合物源の水溶液および/または任意のフッ素源若しくはマグネシウム源の水溶液にカルシウム源を添加してもよいが、その場合においても、当該水溶液に添加されたカルシウム源は、反応時にはイオン化された状態で存在する必要がある。
イオン化されたカルシウム源と式Iの化合物源および式IIの化合物源との反応は、水中で共存し接触することにより開始される。反応液は、反応中に攪拌されてもよく、静置されてもよい。反応開始前もしくは反応中に最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件とすることで、不透明液体から透明液体への移行が進行する。
得られた液体の不透明液体から透明液体への移行は、室温において静置することによっても達成される。
不透明液体から透明液体への移行は、最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で行われる。従って、この条件は、最終的に得られる液体のpHが弱酸性以上になるようにpHが調整されることによって満たされてもよい。例えば、イオン化されたカルシウム源、式Iの化合物源および式IIの化合物源、並びに任意のフッ素源および/又はマグネシウム源が接触するのに先駆けて、最終的に得られる液体のpHが弱酸性以上になるように、これらの少なくとも1つを含む水溶液のpHを調整してもよい。pHの調整はpH調整のためにそれ自身公知の酸および/または塩基を使用してよい。pHの調整は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、塩酸、硫酸および硝酸などのそれ自身公知の何れの調整液を使用して行ってよい。
pHの調整は、最終的に適切なpH値、即ち、弱酸性以上のpHが得られるように、予め決定しておいた量の塩基性溶液および/または酸性溶液を不透明液体の段階で添加されてもよい。例えば、最終的に得られるカルシウム水溶液剤のpH値が、約4以上、約4〜約13、約5〜約13、約8〜約13、約10〜約13、約12〜約13となるように調整されればよい。
上述したように本発明のカルシウム水溶液剤は、弱酸性以上のpH値を有する。当該反応液のpHについては、最終的に得られるカルシウム水溶液剤が弱酸性以上のpH値になるように反応中および/または不透明液体から透明液体への移行中において、変動が伴われてもよい。
また、不透明液体から透明液体への移行は、例えば、約4℃〜約90℃に約3時間〜1週間、好ましくは約12時間〜約1週間に亘り静置することにより行なうことが可能である。また、移行時間の長さは温度に依存して変わるであろう。この移行期は熟成とも称する。
不透明液体から透明液体への移行は、非コロイド液体からコロイド液体への移行と解されてもよい。
このような工程により得られたカルシウム水溶液剤は、長期間、例えば、半永久的に、或いは少なくとも6カ月、1カ月、3週間、2週間、1週間または5日若しくは3日以上に亘ってカルシウムイオンまたはカルシウム塩に由来する沈殿物を生成することなく、透明性が維持される。
カルシウム水溶液剤の保存は、約−80℃〜約90℃であれば可能であり、保存温度に関係なく透明性は維持される。ここにおいて「安定な」とは、沈殿物および白濁を含まずに、溶液の透明性が維持されている状態をいう。透明性の判定は、上述の目視および/または吸光値の測定結果から導くことが可能である。判定対象となる溶液を通して特定の模様が目視により判定可能であり、白濁および沈殿物が観察されない場合を「透明である」と判定する。また、吸光値の場合は、例えば、96ウェルのマイクロプレート1ウェルに100μLの溶液を595nmで測定した場合に0.3以下であり、且つ合わせて目視により沈殿物がないことが確認された場合、「透明である」と判定すればよい。目視と吸光値による判定は、そのうちの一方だけが行われてもよく、合わせて使用されてもよい。
本発明に従うカルシウム水溶液剤は、上記の方法により得ることが可能である。最終産物として得られるカルシウム水溶液剤は、その製造過程において使用されたカルシウム源、式Iの化合物源および式IIの化合物源に由来する成分を全てその構成成分として維持するものである。
4.固体化カルシウム剤
上述で記載したカルシウム水溶液剤、例えば、上述の方法により製造されたカルシウム水溶液剤を凍結乾燥、熱風乾燥、風乾またはスプレードライなどの手段による乾燥によって固体化することが可能である。固体化された固体化カルシウム剤は、長期に亘り安定であり、且つ、水又は食塩水および砂糖水等の水溶液に溶解することによって、本発明に従うカルシウム水溶液剤を再度構成することが可能である。
例えば、凍結乾燥によるカルシウム水溶液剤の乾燥は、それ自体公知の凍結乾燥法により行えばよい。例えば、0℃〜−80℃で凍結し、それ自身公知の凍結乾燥機により乾燥すればよい。
5.用途
本発明に従うカルシウム剤、即ち、カルシウム水溶液剤および固体化カルシウム剤は、長時間に亘り優れた安定性を示す。即ち、水溶液の形態にある場合において、長時間に亘り、カルシウムイオンまたは塩に由来する沈殿物が生じることがない。また、カルシウム特有の苦味が極めて少ないので経口での摂取に有用である。更に、経口で摂取された場合でも、良好な吸収性が期待できる。
カルシウム剤は、単独で、または他の活性成分および/または副成分などと組み合わされて、対象にカルシウムを付与するためのカルシウム製剤などの医薬品、医薬部外品、サプリメント、カルシウム強化食品に対して添加されるための食品添加物として使用されてもよい。
他の活性成分は、医学的に活性な薬物であってもよく、栄養学的に活性な成分であってもよく、その他の目的とする有効性を発揮することが可能な成分であってよい。
副成分は、それ自身公知の任意の添加剤であってよい。添加剤の例は、賦形剤、甘味料、香味料、防腐剤および/または保存剤などであってよい。
また、カルシウム水溶液剤または固体化カルシウム剤は、他の種々の溶液と混合しても沈殿が生じ難い。従って、他の溶液と混合して、水剤形態の医薬品または医薬部外品、化粧品、サプリメント、飲料などを製造することも可能である。
また、カルシウム剤を、他の任意の固体と混ぜることにより、医薬品、医薬部外品、化粧品、サプリメント、飲料および食品を得ることも可能である。その場合に使用されるカルシウム剤は、カルシウム水溶液剤であっても、固体化カルシウム剤であってもよい。上述したように本発明に従うカルシウム水溶液剤は透明である。一般的に、透明なカルシウム溶液は吸収性がよいと考えられている。従って、本発明に従うカルシウム剤を含む医薬品、医薬部外品および食品は、吸収性に優れた形態でカルシウムを含むと考えられる。
更に、カルシウム水溶液は、農業、漁業、畜産業および園芸などの分野において、対象にカルシウムを効率よく付与するために使用されてもよい。
6.カルシウム水溶液における沈殿物生成を防止する方法
本発明に従うと、上述したカルシウム水溶液剤の製造方法は、カルシウム水溶液における沈殿物生成を防止する方法として提供されてもよい。その場合、カルシウム水溶液におけるカルシウム由来の沈殿物生成を防止する為に、水中でイオン化されたカルシウムを式Iの化合物および式IIの化合物と混合し、得られた液体を、最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で、不透明液体から透明液体に移行することを特徴とする方法であってよい。この方法は、水中でカルシウム源をイオン化し、イオン化されたカルシウムと式Iの化合物および式IIの化合物を混合し、得られた液体を最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で、不透明液体から透明液体に移行することからなる方法であっても、前記工程を含む方法であってもよい。
それぞれの工程についての詳細は上述の製造方法についての記載と同様に行えばよい。
7.例
例1.塩化カルシウムを用いたカルシウム水溶液剤の製造
2Mクエン酸溶液(最終的に調製する被検液のカルシウム濃度が400mM以上の場合は4M)、2Mリン酸溶液(最終的に調製する被検液のカルシウム濃度が400mM以上の場合は4M)、5M塩化カルシウム溶液および5M水酸化ナトリウム溶液(最終的に調製する被検液のカルシウム濃度が400mM以上の場合は10M)を蒸留水を用いて調製した。次に、所定の濃度となるようにクエン酸溶液、リン酸溶液、水酸化ナトリウム溶液、蒸留水を混合して、混合液を得た。この混合液に所定の濃度となるように塩化カルシウム溶液を添加して混合した。その後、37℃で1週間静置して、被検液を得た。
例えば、クエン酸200mM、リン酸50mM、カルシウム100mM、塩化物200mM、ナトリウム550mMのカルシウム水溶液剤の場合、2Mクエン酸溶液1000μL、2Mリン酸溶液250μL、5M水酸化ナトリウム溶液1100μL、蒸留水7250μLを試験管内で混合した。15mL容のスナップバイアルに5M塩化カルシウム溶液200μL添加し、前記混合液4800μLを添加して混合した。その後、37℃で1週間静置して、被検液を得た。
得られた溶液について、pH(堀場製作所pH/ION METER F-53、電極9610−10D)、カルシウムイオン濃度(堀場製作所pH/ION METER F-53、複合イオン電極6583−10C、チップ電極 #7683)、および吸光値(96ウェルプレートの1ウェルに100μL、O.D.595nm、BioTek Instrumentsプレートリーダー、EL312e)を測定した。また、暗中にて、ガラス容器中の被検液に側面からレーザー光を照射することによりチンダル現象を観察した。
得られた溶液に関する各成分の濃度、分析値を表に記載するとともに、透明度についての情報も表中の各マスの背景の明度により示した。
代表的な表の読み方を表1に示す。
表中のアルファベットは、それぞれC:クエン酸、P:リン酸、Ca:カルシウム、Cl:塩素を表し、また、数値は各成分の添加量を最終的な被検液濃度(mM)に換算した値を表す。例えば「C400P200Ca100Cl200」の記載は、クエン酸400mM、リン酸200mM、カルシウム100mM、塩素200mMの溶液を示す。
被検液の透明度は、4段階で評価し、透明度の高い方から順に、「A」、「B」、「C」、および「D」とした。これらのうち、透明度の評価が「A」、「B」又は「C」であるものが、本発明のカルシウム水溶液剤に該当する。
各被検液についての情報は、例えば、表1において「NaOH濃度(mM)」の列に配置される1マスとその直下の1マス、即ち、「C400P100Ca100Cl1200」の列に配置される1マスとにより示される。この場合、上側のマスに含まれる数値は被検液に対する水酸化ナトリウムの添加量を最終的な被検液濃度(mM)に換算した値で示す。このマスの直下、即ち、下側のマスに含まれる数値は、左が最終的な被検液のpH値、右が最終的な被検液の遊離カルシウムイオン濃度(μM)を示す。
更に、例6において記載する表11−1では、フッ化ナトリウムについての情報も示した。「NaF濃度(mM)」の列に配置される各マスには、被検液に対するフッ化ナトリウムの添加量を最終的な被検液濃度(mM)に換算した値で示した。例えば「C100P100Ca200NaOH100」などの記載で示される各被検液の列に含まれるマスには、左側に最終的な被検液のpH値を、中央に最終的な被検液の遊離カルシウムイオン濃度(μM)を記載し、更に右側に最終的な被検液の遊離フッ化物イオン濃度(μM)を示した。
例18において記載する各表では、更に、マグネシウムについての情報も示した。具体的には、「Ca:Mg:Cl濃度(mM)」の行に、左から順に、カルシウム濃度(添加量;mM)、マグネシウム濃度(添加量;mM)、および塩化物濃度(添加量;mM)を示した。
また、表2−2などには、各条件を有する被検液についての吸光値を示した。
なお、ここで表について言及する場合、表番号に枝番号があり、その枝番号を省略して記載するときには、記載された表番号に包含される全ての枝番号に対応する表をシリーズとして総称して指し示すことを意図する。例えば、「表2−1」と記載した場合、「表2−1−1」、「表2−1−2」、「表2−1−3」、「表2−1−4」、「表2−1−5」および「表2−1−6」を総称して指し示す。
上述の例1の結果を表2に示す。表2は、カルシウム濃度を100mMに固定し、クエン酸を0〜400mM、リン酸を0〜200mMで変化させた場合の結果である。
クエン酸濃度が25mM〜400mMの範囲で本発明のカルシウム水溶液剤が得られた。リン酸濃度は12.5〜200mMの範囲で本発明のカルシウム水溶液剤が得られ、リン酸濃度が50mMで最も可溶化範囲は広かった。本発明のカルシウム水溶液剤が得られるpH範囲は5.67〜12.88であった。つまり、本発明のカルシウム水溶液剤が得られるのは、クエン酸濃度が25mM〜400mM、かつ、リン酸濃度は12.5〜200mMにあり、かつ、pH範囲は5.67〜12.88の条件にある場合であった。
カルシウム濃度を200mMに固定し、クエン酸を0〜400mM、リン酸を50〜200mMで変化させた場合の結果を表3に示す。
リン酸200mMにおいてはクエン酸200〜400mMで、リン酸100mMにおいてはクエン酸50〜400mMで本発明のカルシウム水溶液剤が得られた。本発明のカルシウム水溶液剤が得られるpH範囲は5.83〜12.69であった。
カルシウム濃度を400mMに固定し、クエン酸を100〜800mM、リン酸を100〜400mMで変化させた場合の結果を表4に示す。
リン酸100mM、400mMにおいてはクエン酸800mMで、リン酸200mMにおいてはクエン酸100〜800mMで本発明のカルシウム水溶液剤が得られた。本発明のカルシウム水溶液剤が得られるpH範囲は7.22〜13.37であった。
カルシウム濃度を600mMに固定し、クエン酸を150〜1200mM、リン酸を300mMで変化させた場合の結果を表5に示す。
リン酸300mMにおいてクエン酸300〜1200mMで本発明のカルシウム水溶液剤が得られた。本発明のカルシウム水溶液剤が得られるpH範囲は12.06〜13.46であった。
更に、クエン酸:リン酸:カルシウム比を1:1:2に固定し、低濃度から高濃度における透明液の製造を行った。その結果を表6に示す。
クエン酸:リン酸:カルシウム比が1:1:2ではカルシウム濃度が20〜800mMの範囲で本発明のカルシウム水溶液剤を製造することができた。
上記した、表2から表6の結果より、カルシウムが高濃度であるほど本発明のカルシウム水溶液剤となる組成範囲は狭く、低濃度であるほど広くなる傾向があった。
また、カルシウムとリン酸の添加量の比は約2:1で本発明のカルシウム水溶液剤となる組成範囲が広くなる傾向があった。
よって、100mM以下の低濃度では、本実施例で示した条件より広い範囲で本発明のカルシウム水溶液剤を得ることができると考えられる。また、クエン酸の組成比やpHの条件を調整することで、800mM以上の高濃度でも本発明のカルシウム水溶液剤を得ることができると考えられる。
図1は、本発明の例1の結果を示す図である。図1は、カルシウム水溶液剤の組成およびNaOH濃度と、カルシウム水溶液剤の透明性との関係を示している。カルシウム水溶液剤に沈殿が無く、且つ、溶液を通してその背面に配置した波線が視認できる場合には、その水溶液剤は、充分に透明であると判断できる。
例2.水酸化カルシウムを用いたカルシウム水溶液剤の製造
2Mクエン酸溶液、2Mリン酸溶液、5M水酸化ナトリウム溶液を蒸留水を用いて調製した。次に、所定の濃度となるように水酸化カルシウムを蒸留水に懸濁して懸濁液を得た。所定の濃度となるようにクエン酸溶液、リン酸溶液を前記水酸化カルシウム懸濁液に混合して混合液を得た。この混合液に、所定の濃度となるように水酸化ナトリウム溶液を添加して混合した。これを37℃で1週間静置して、被検液を得た。得られた溶液について、pH(堀場製作所pH/ION METER F-53、電極9610−10D)、カルシウムイオン濃度(堀場製作所pH/ION METER F−53、複合イオン電極6583−10C、チップ電極 #7683)、および吸光値(96ウェルプレートの1ウェルに100μL、O.D.595nm、BioTek Instrumentsプレートリーダー、EL312e)を測定した。
結果を表7に示す。
クエン酸、リン酸によってカルシウム塩を溶かすという方法を採用することにより、水酸化カルシウムでも塩化カルシウム(表3を参照されたい)とほぼ同様に本発明のカルシウム水溶液剤を製造することができた。水酸化カルシウムを使用する場合、塩化物を添加しない為、クエン酸、リン酸、カルシウムおよびpHをアルカリ側にするための調整剤という最少の構成で本発明のカルシウム水溶液剤を製造することができた。
例3.pH調整剤として水酸化カリウムを用いたカルシウム水溶液剤の製造
例2の方法でpH調整剤として使用した水酸化ナトリウム溶液を水酸化カリウム溶液に替えた場合の結果を表8に示す。
使用するpH調整剤を水酸化ナトリウム(表7を参照されたい)から水酸化カリウムとしてもほぼ同様に本発明のカルシウム水溶液剤を製造することができた。栄養学的にカルシウム吸収という面では、ナトリウムよりカリウムで製造することが望ましいと考えられる。
例4.保存試験
例1においてカルシウム濃度100mMの試験区で得られたカルシウム水溶液剤の27検体を37℃に静置し、保存中の透明度、pHおよびカルシウムイオン濃度の経時的変化をみた結果を表9に示す。
リン酸濃度が12.5mMの水溶液剤は1週間後、リン酸濃度が25mMのカルシウム水溶液剤は1ヶ月後に大部分の検体で沈殿が生じたが、リン酸濃度50mM、100mMでは3ヶ月経過しても大部分が初期の透明度を保っていた。保存性の面では50mM以上が優れていることが示された。4ヶ月、5ヶ月後、6ヵ月後、および1年後のデータと3ヶ月経過後のデータにほとんど変化はなく、透明な被検液も、白濁した被検液も安定な状態に入ったものと考えられた。
図2乃至図5は、例4の結果を示す図である。図2乃至図5は、カルシウム水溶液剤の透明性の経時変化を示している。カルシウム水溶液剤に沈殿が無く、且つ、溶液を通してその背面に配置した波線が視認できる場合には、その水溶液剤は、充分に透明であると判断できる。
例5.熟成温度
例1.の方法において熟成温度を4℃、37℃、60℃としてカルシウム水溶液剤を製造した場合の結果を表10に示す。
どの熟成温度でも、本発明のカルシウム水溶液剤を得ることができた。37℃と60℃ではほぼ同範囲でカルシウム水溶液剤を得ることができた。一方、4℃では、37℃と60℃に比べカルシウム水溶液剤を得ることができる範囲が狭かった。
例6.更なるカルシウム水溶液剤
上記の例において得られたカルシウム水溶液剤に含まれる成分を更に修飾することが可能である。
2Mクエン酸溶液、2Mリン酸溶液、5M水酸化ナトリウム溶液および500mMフッ化ナトリウムを蒸留水を用いて調製した。次に、所定の濃度となるように水酸化カルシウムを蒸留水に懸濁して懸濁液を得た。所定の濃度となるようにクエン酸溶液、リン酸溶液およびフッ化ナトリウム溶液を前記懸濁液に混合して混合液を得た。次に、所定の濃度となるように水酸化ナトリウム溶液を前記の混合液に添加して混合した。これを37℃で1週間静置して被検液を得た。
得られた水溶液剤について、pH(堀場製作所pH/ION METER F-53、電極9610−10D)、カルシウムイオン濃度(堀場製作所pH/ION METER、複合イオン電極6583−10C、チップ電極 #7683)、フッ化物イオン濃度(堀場製作所pH/ION METER、複合イオン電極6583−10C、チップ電極#7661)、および吸光値(96ウェルプレートの1ウェルに100μL、O.D.595nm、BioTek Instrumentsプレートリーダー、EL312e)を測定した。この修飾カルシウム水溶液剤は、前述のカルシウム水溶液剤と同様に目視および吸光値により得られた結果を基に透明度を判定した。
その結果を表11に示す。
フッ化ナトリウムを添加しない場合、クエン酸100mM、リン酸100mM、カルシウム200mM、水酸化ナトリウム150mMの条件では本発明に従うカルシウム水溶液剤を調製することはできなかったが、フッ化ナトリウムを20mM以上で添加して熟成を行うことによりカルシウム水溶液剤を製造することができるようになった。
フッ化ナトリウムを添加して熟成を行った溶液中のフッ化物イオン濃度は全フッ化物の10%以下であることから、溶液中のフッ化物は、非イオン性カルシウムとともに式Iの化合物および/または式IIの化合物と結合した複合体を構成していると考えられた。一方、塩化ナトリウムの添加ではこのような現象は認められなかった。
例えば、本例において得られたカルシウム水溶液剤は、上述したフッ化物を含まない他のカルシウム水溶液剤と同様に使用することが可能である。
例7.凍結乾燥
上記の例において得られたカルシウム水溶液剤を凍結乾燥により固体化カルシウム剤とすることができる。例1の方法でカルシウムが200mMのカルシウム水溶液剤を製造し、−80℃で一晩凍結後、凍結乾燥機(EYELA FREEZE DRYER FD−5N)を用いて凍結乾燥を行った。乾燥した粉末に乾燥前と同じ濃度となるよう蒸留水を加えた。さらに得られた水溶液剤について、pH(堀場製作所pH/ION METER F-53、電極9610−10D)、カルシウムイオン濃度(堀場製作所pH/ion meter F−53、複合イオン電極6583−10C、チップ電極 #7683)、および吸光値(96ウェルプレートの1ウェルに100μL、O.D.595nm、BioTek Instrumentsプレートリーダー、EL312e)を測定した。
結果を表12に示す。
凍結乾燥前は、クエン酸50mM〜400mM全ての濃度範囲において透明なカルシウム水溶液剤を製造することができた。
各水溶液剤を凍結乾燥後、蒸留水に再溶解したところ、クエン酸200mMと400mMは凍結乾燥前とほぼ同じ試験区でカルシウム水溶液剤を得ることができた。しかし、クエン酸100mMでは水酸化ナトリウム600mMの試験区のみカルシウム水溶液剤を得ることができた。クエン酸50mMではカルシウム水溶液剤を得ることができなかった。
例8.凍結
上記の例において得られたカルシウム水溶液剤を凍結して保存することもできる。例1の方法でカルシウムが200mMのカルシウム水溶液剤を製造し、−80℃で一晩凍結後、解凍した。解凍して得られた被検液について、pH(堀場製作所pH/ION METER F-53、電極9610−10D)、カルシウムイオン濃度(堀場製作所pH/ion meter F−53、複合イオン電極6583−10C、チップ電極 #7683)、および吸光値(96ウェルプレートの1ウェルに100μL、O.D.595nm、BioTek Instrumentsプレートリーダー、EL312e)を測定した。
結果を表13に示す。
凍結前と凍結後では透明度に違いが認められなかったため、凍結はカルシウム水溶液剤の安定性に影響を与えないと考えられた。
比較例
クエン酸に変えてアコニット酸、リンゴ酸、酒石酸、グリシン、アラニンおよびリシンを使用したこと以外は例1と同様の方法を用いて各種濃度でリン酸および塩化カルシウムとを混合し熟成させたが、一部高濃度の酒石酸において透明溶液が得られたものの、他の大部分の場合においては本発明のカルシウム水溶液剤は得られなかった。
例9.試験溶液の調製および配合順についての検討
以下の例については、試験溶液はすべて100mMクエン酸、100mMリン酸、200mMカルシウムとし、ナトリウムの濃度は、水酸化カルシウム使用時は225mM、水酸化カルシウムと塩酸使用時は610mM、塩化カルシウム使用時は610mMとなるように調製した。
吸光値の測定は、日本分光(株)製分光光度計(Ubest-30)、ガラス製セルを用いて595nmにて行った。
pHの測定は、東亜電波工業(株)製pHメーター(HM-5S)を、カルシウムイオン濃度は、堀場製作所(株)製pH/イオンメータ(F-53)を使用して測定した。
(1)試験溶液の調製{水酸化カルシウム使用時100mMクエン酸、100mMリン酸、200mM水酸化カルシウム、225mM水酸化ナトリウム}および{塩化カルシウム使用時100mMクエン酸、100mMリン酸、200mM塩化カルシウム、610mM水酸化ナトリウム}
水酸化カルシウム使用時の試験溶液は次のように調製した。つまり、50mL容メスフラスコに水酸化カルシウム 0.741gをとり、超純水30mLを加えて懸濁後、1Mクエン酸溶液5mLを添加して水酸化カルシウムを溶解させた。その後1Mリン酸溶液5mLを添加し、5M水酸化ナトリウム溶液を225mL添加(この時点で白濁)して超純水で50mLに定容した。この溶液を50mL容メジウムビンに移し、試験溶液{水酸化カルシウム}とした。
試験溶液{水酸化カルシウム}を37℃にて静置し、1週間熟成することにより、pH7.5、吸光値(595nm)が0.06、カルシウムイオン濃度が1mM未満の透明液を得た。
塩化カルシウム使用時の試験溶液は次のように調製した。つまり、50mL容メスフラスコに超純水10mL をとり、1Mクエン酸溶液5mL、1Mリン酸溶液5mLを混合後、5M水酸化ナトリウム溶液6.1mLを添加し、1M塩化カルシウム10mLを直接50mLメスフラスコに加え(この時点で白濁)、超純水で50mLに定容した。この溶液を50mL容メジウムビンに移し、試験溶液(塩化カルシウム)とした。試験溶液(塩化カルシウム)を37℃にて静置し、6日間熟成することにより、pH7.5、吸光値(595nm)が0.07、カルシウムイオン濃度が1mM未満の透明液を得た。
(2)添加順の違いによる試験(カルシウム源は塩化カルシウム)
透明液を調製する際の各成分の添加順について検討した。各試験溶液は2本ずつ調製した。試験溶液の調製は以下のように行った。
つまり、10mL容バイアルビンに超純水4mL をとり、1Mクエン酸溶液1mL、1Mリン酸溶液1mLを混合後、5M水酸化ナトリウム溶液1.22mLを添加し、超純水を0.78mL加えた。このときのpHは12.9であった。その後、1M塩化カルシウム2mLを添加した(この時点で白濁)。この溶液を試験溶液コントロールとした。この試験溶液のpHは12.0であった。
クエン酸を最後に添加する試験溶液は次のように調製した。つまり、10mL容バイアルビンに超純水4mL をとり、1Mリン酸溶液1mL、5M水酸化ナトリウム溶液1.22mLを添加し、超純水を0.78mL加えた。このときのpHは13.9であった。その後、1M塩化カルシウム2mLを添加し(この時点で白濁)、すぐに1Mクエン酸溶液1mLを添加した。この溶液を試験溶液とした。この試験溶液のpHは11.1であった。
リン酸を最後に添加する試験溶液は次のように調製した。つまり、10mL容バイアルビンに超純水4mL をとり、1Mクエン酸溶液1mL、5M水酸化ナトリウム溶液1.22mLを添加し、超純水を0.78mL加えた。このときのpHは14.0であった。その後、1M塩化カルシウム2mLを加えた後、すぐに1Mリン酸溶液1mLを添加した(この時点で白濁)。この溶液を試験溶液とした。この試験溶液のpHは10.5であった。
各試験溶液(全て白濁溶液)を37℃にて静置し、3日間熟成させたときのpHおよび吸光値(595nm)、カルシウムイオン濃度を測定した(値は平均値)。
結果を表14に示した。
本試験結果より、カルシウム源として塩化カルシウムを使用した場合、クエン酸、リン酸、カルシウムの添加順に関係なく、透明液の得られることがわかった。
例10.透明液調製における種々の検討
試験溶液はすべて100mMクエン酸、100mMリン酸、200mMカルシウムを含むように調製した。
(1)静置と攪拌の違い{カルシウム源は水酸化カルシウム}
各サンプルは2本ずつ調製した。本試験では、例9で示した順番で調製した試験溶液{水酸化カルシウム}と同じ組成の100mLの試験溶液を、37℃にて静置あるいは攪拌して熟成し、得られる透明液に違いが見られるか否か検討した。
つまり、100mL容メスフラスコに水酸化カルシウム 1.482gをとり、超純水70mLを加えて懸濁後、1Mクエン酸溶液10mLを添加して水酸化カルシウムを溶解させた。その後1Mリン酸溶液10mLを添加し、10分間放置後、5M水酸化ナトリウム溶液を4.5mL添加(この時点で白濁)して超純水で100mLに定容した。この溶液を100mL容メジウムビンに移し、試験溶液とした。
試験溶液(全て白濁溶液)を37℃にて静置あるいは攪拌して熟成したときのpHおよび吸光値(595nm)、カルシウムイオン濃度を測定した(値は平均値)。
結果を表15に示した。
試験溶液は、静置、攪拌それぞれについて透明液が得られた。また、得られた透明液のpHおよび吸光値(595nm)、カルシウムイオン濃度にも大きな違いは見られなかった。
(2)異なるリン酸塩を用いた透明液の調製{カルシウム源は水酸化カルシウム}
100mL容メスフラスコに水酸化カルシウム1.482gをとり、超純水60〜70mLを加えて懸濁後、1Mクエン酸溶液10mLを加えて超音波で短時間処理し、それぞれが最終的なナトリウム濃度225mMとなるように水酸化ナトリウム溶液を添加し、リン酸塩溶液を加えた後(この時点で白濁)、超純水で100mLに定容した。この溶液をメジウムビンに移して37℃にて熟成させた。試験に用いたリン酸塩とリン酸塩溶液添加量、5M水酸化ナトリウム溶液添加量は表16に示した通り。
なお、リン酸三ナトリウムについては、以下の方法により試験溶液を調製した。つまり、100mL容メスフラスコに水酸化カルシウム1.48gをとり、2M塩酸溶液を15mL添加して溶解した。超純水30mLを加えて懸濁し、1Mクエン酸溶液10mLを添加した。15分後に250mMリン酸三ナトリウム溶液40mLを添加し、5M水酸化ナトリウム溶液を4.2mL添加し、すぐに超純水で100mLに定容した。この溶液をメジウムビンに移して37℃にて熟成させた。
各試験溶液(全て白濁溶液)を37℃にて熟成させたときのpHおよび吸光値(595nm)、カルシウムイオン濃度の測定結果を表17に示した。
各種リン酸塩を用いたすべての試験溶液で透明液が得られた。
(3)クエン酸塩、リン酸塩を用いた透明液の調製(カルシウム源は塩化カルシウム)
カルシウム源を塩化カルシウムとし、式Iの化合物源としてクエン酸およびクエン酸三ナトリウム、式IIの化合物源としてリン酸およびリン酸水素二ナトリウムを用いたときの透明液について検討した。
つまり、カルシウム源を塩化カルシウムとし、クエン酸とリン酸、クエン酸とリン酸水素二ナトリウム、クエン酸三ナトリウムとリン酸水素二ナトリウムを用いた三種類の試験溶液を以下のように調製し、37℃で熟成して透明液の比較を行った。
各サンプルは2本ずつ調製した。クエン酸とリン酸を用いた溶液は、50mL容メジウムビンに超純水15mLを入れ、1Mクエン酸溶液5mL、1Mリン酸溶液5mLを添加した。5分間放置後、5M水酸化ナトリウム溶液を6.1mL添加し、5分後に超純水8.9mLを添加した後、1M塩化カルシウム10mLを加えて(この時点で白濁)試験溶液とした。
クエン酸とリン酸水素二ナトリウムを用いた溶液は、50mL容メジウムビンに超純水12mLを入れ、1Mクエン酸溶液5mL、0.5Mリン酸水素二ナトリウム溶液10mLを添加した。5分間放置後、5M水酸化ナトリウム溶液を4.1mL添加し、5分後に超純水8.9mLを添加した後、1M塩化カルシウム10mLを加えて(この時点で白濁)試験溶液とした。
クエン酸三ナトリウムとリン酸水素二ナトリウムを用いた溶液は、50mL容メジウムビンに超純水15mLを入れ、1Mクエン酸三ナトリウム溶液5mL、0.5Mリン酸水素二ナトリウム溶液10mLを添加した。5分間放置後、5M水酸化ナトリウム溶液を1.1mL添加し、5分後に超純水8.9mLを添加した後、1M塩化カルシウム10mLを加えて(この時点で白濁)試験溶液とした。
試験溶液(全て白濁溶液)を37℃にて静置して2日間熟成したときのpHおよび吸光値(595nm)、カルシウムイオン濃度を測定した(値は平均値)。その結果を、下記表18に示す。
式Iの化合物源、式IIの化合物源の組み合わせに関係なく、すべての試験溶液で透明液が得られた。
(4)クエン酸カルシウムを用いた透明液の調製
試験溶液の調製において、カルシウム源、式Iの化合物源として、水に対する溶解性の低いクエン酸カルシウムを使用する方法について検討した。つまり、10mL容バイアルビンにクエン酸カルシウム285mgをとり、超純水6mLを加えて懸濁し、1Mリン酸溶液1mLを添加した。30分後に5M水酸化ナトリウム溶液を0.75mL添加し、すぐに1M塩化カルシウム溶液0.5mLを添加した。2M塩酸0.325mL添加後、すぐに超純水を1.425mL添加して試験溶液とした。この試験溶液では、クエン酸カルシウム沈殿は殆どが溶解することなく沈殿状態のままであった。試験溶液は、バイアルビンに蓋をし、37℃にて1週間熟成させた。初発のpHは10.7であった。
37℃で1週間熟成した試験溶液は、pH7.4で吸光値(595nm)が2.000以上の白濁液であった。
さらに、以下のように、クエン酸カルシウムを酸溶解して用いる方法について検討した。つまり、10mL容バイアルビンにクエン酸カルシウム285mgをとり、2M塩酸溶液を1mL添加して溶解した。超純水5mLを加えて懸濁し、1Mリン酸溶液1mLを添加した。30分後に5M水酸化ナトリウム溶液を1.22mL添加し、すぐに1M塩化カルシウム溶液0.5mLを添加し、すぐに超純水を0.78mL添加して試験溶液とした。試験溶液は、バイアルビンに蓋をし、37℃にて1週間熟成させた。熟成した試験溶液は、pH9.7で吸光値(595nm)が0.295、カルシウムイオン濃度が1mM未満の透明液であった。
以上の結果より、難溶性のカルシウム塩を用いる場合、カルシウム塩が一旦溶解する工程を経ない(イオン化していない)条件下では透明溶液が得られないこと、難溶解性のカルシウム塩であっても、酸によって一旦溶解することにより透明溶液が得られることがわかった。
(5)種々のリン酸カルシウムを用いた透明液の調製
試験溶液の調製において、カルシウム源、式IIの化合物源として種々のリン酸カルシウムを使用する方法について検討した。リン酸濃度が100mMとなるようにリン酸カルシウムを秤量し、カルシウム濃度200mMへのカルシウム不足分は、塩化カルシウム添加により補った。各サンプルは2本ずつ調製した。
比較として用いたリン酸使用の試験溶液は次のように調製した。つまり、10mL容バイアルビンに超純水4mLおよび1Mクエン酸溶液1mL、1Mリン酸溶液1mLを添加した。15分後、1M塩化カルシウム2mLを添加し、15分後に5M水酸化ナトリウム溶液を1.22mL添加(この時点で白濁)し、すぐに超純水を0.78mL添加し、試験溶液とした。
一方、種々のリン酸カルシウムを用いた試験溶液は以下の様に調製した。なおリン酸カルシウムとして、ビス(リン酸二水素)カルシウム・一水和物{Ca(HPO・HO}およびリン酸水素カルシウム・二水和物(CaHPO・2HO)を用いた。
ビス(リン酸二水素)カルシウム・一水和物{Ca(HPO・HO}を用いた試験溶液は、10mL容バイアルビンにビス(リン酸二水素)カルシウム・一水和物126mgをとり、超純水6mLを加えて懸濁し、1Mクエン酸溶液1mLを添加した。15分後に1M塩化カルシウム溶液1.5mLを添加した。15分間放置後、5M水酸化ナトリウム溶液を1.02mL添加し、すぐに超純水を0.98mL添加して試験溶液とした。リン酸水素カルシウム・二水和物(CaHPO・2HO)を用いた試験溶液は、10mL容バイアルビンにリン酸水素カルシウム・二水和物172mgをとり、2N塩酸溶液1mLを添加して溶解した。超純水5mLを加えて懸濁し、1Mクエン酸溶液1mLを添加した。15分後に1M塩化カルシウム溶液1mLを添加した。さらに15分間放置後、5M水酸化ナトリウム溶液を1.22mL添加し、すぐに超純水を0.78mL添加して試験溶液とした。
各試験溶液(全て白濁溶液)を37℃にて静置して一週間熟成したときのpHおよび吸光値(595nm)、カルシウムイオン濃度を測定した(値は平均値)。その結果を、下記表19に示した。
カルシウム源、式IIの化合物源としてリン酸カルシウムを用いた場合でも、透明液の得られることが示された。
(6)熟成温度と時間に関する検討
各温度にて、一定時間処理を行った後の透明度について検討した。
試験溶液は、以下の通りとした。なお、37℃〜90℃はリン酸二ナトリウムとクエン酸三ナトリウムを使用した試験溶液で、沸騰およびオートクレーブはリン酸とクエン酸を使用した試験溶液にて行った。
つまり、リン酸二ナトリウムとクエン酸三ナトリウムを使用した試験溶液では、50mL容メジウムビンに超純水15mLをとり、1Mクエン酸三ナトリウム溶液5mL、0.5Mリン酸一水素二ナトリウム溶液10mLを添加した。5分後、5M水酸化ナトリウム溶液1.1mLを添加し、超純水8.9mLを添加した後、すぐに1M塩化カルシウム溶液10mLを加えて(この時点で白濁)、試験溶液とした。この試験溶液を各温度に一定時間保管して熟成させた。
また、リン酸とクエン酸を使用した試験溶液では、50mL容メジウムビンに超純水10mL をとり、1Mクエン酸溶液5mL、1Mリン酸溶液5mLを混合後、5M水酸化ナトリウム溶液6.1mLを添加し、超純水13.9mLを添加した後、すぐに1M塩化カルシウム溶液 10mLを加えて(この時点で白濁)、試験溶液とした。
さらに、各温度にて熟成後の試験溶液は、37℃にてさらに熟成を行い、その後の透明度変化の確認を行った。各温度に一定時間保管して熟成させた。
各熟成後の試験溶液についてpHと吸光値を測定した。また、37℃熟成後の試験溶液については、カルシウムイオン濃度を測定した。結果は以下の通り。
高温下で熟成することにより、透明化への時間の短縮が図れることがわかった。一方で、沸騰、オートクレーブといった一定の温度条件以上の高温下での熟成では、透明化の反応が進まず、目的とした透明液は得られなかった。
例11.添加剤の影響
例10の(3)で示したクエン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、塩化カルシウムと同じ配合にて調製した透明液に、重量で10%(w/w)となるようにグルコースあるいはグリシンを、2%(w/w)となるように塩化ナトリウムをそれぞれ添加した試験溶液を調製し、室温および37℃保存後の試験溶液の透明度の変化について検討した。
つまり、50mL容メジウムビンに超純水15mLをとり、1Mクエン酸三ナトリウム溶液5mL、0.5Mリン酸一水素二ナトリウム溶液10mLを添加した。5分後、5M水酸化ナトリウム溶液1.1mLを添加し、超純水8.9mLを添加した後、すぐに1M塩化カルシウム溶液 10mLを加えて(この時点で白濁)、試験溶液とした。この試験溶液を37℃にて1週間熟成させ、透明液を得た。この透明液は、pH7.8で吸光値(595nm)が0.069、カルシウムイオン濃度が1mM未満であった。
添加剤を添加した各サンプルは2本ずつ調製した。グルコースおよびグリシンを添加したサンプルは、10mL容バイアルビンにグルコースあるいはグリシンをそれぞれ500mgとり、そこに上記した透明液を4.5gずつ添加して調製した。また、塩化ナトリウムを添加したサンプルは、10mL容バイアルビンに塩化ナトリウムをそれぞれ100mgとり、そこに上記した透明液を4.9gずつ添加して調製した。
この試験溶液を室温で6日間静置した時およびその後37℃にて9日間静置した時の溶液を分析した。
結果を表21に示した。
糖としてグルコースを10%(w/w)、アミノ酸としてグリシンを10%(w/w)、塩類として塩化ナトリウムを2%(w/w)本発明の透明液に添加した場合においても、沈殿等を生成することなく、透明度を維持することがわかった。
例12.透明液の乾燥粉末の調製(固体化カルシウム剤の調製)
例9の(1)で得られた塩化カルシウム使用の透明液5mLをガラス製50mL容器に採取し、それぞれの方法、温度で乾燥した後、5mLの超純水に再溶解した。乾燥方法は、(A)真空凍結乾燥(東京理化器械(株)製 FREEZE DRYER FD−5N)、乾燥機(サンヨー(株)製COVECTION OVEN)による(B)50℃、(C)60℃での熱風乾燥とした。
再溶解後の溶液のpHおよび吸光値(595nm)を測定した。その結果を、下記表22に示す。
FD(フリーズドライ)処理で得られた乾燥粉末は、再溶解によりほぼもとの溶液に戻ることが分かった。また、50℃や60℃での熱風乾燥で得られた乾燥粉末の再溶解液も、もとの透明液の透明度には至らないものの、沈殿のない透明液に再溶解できることがわかった。
例13.高濃度カルシウム水溶液の凍結乾燥による固体化カルシウム剤
カルシウム源として酸化カルシウムを用いて、C400P400Ca800K900のカルシウム水溶液剤を以下の条件で2本調製した。酸化カルシウム2.24gを35mLの蒸留水に懸濁させた。クエン酸3.84gおよび85%リン酸1.36mLを蒸留水4.65mLに溶解後、上記酸化カルシウム懸濁液に添加して撹拌した。ここに5M水酸化カリウム水溶液を9mL加え、45℃にて撹拌した。
2本中1本はそのまま96時間後まで経過を観察し(以下Aとする)、他方は24時間後に凍結乾燥し、120時間後に凍結乾燥前と同濃度となるように蒸留水に溶解した(以下Bとする)。そして、以下の条件において、pH(堀場製作所pH/ION METER F-53、電極9610−10D)、カルシウムイオン濃度(堀場製作所pH/ion meter F−53、複合イオン電極6583−10C、チップ電極 #7683)、および吸光値(日本分光(株)製分光光度計(Ubest-30)、ガラス製セルを用いて595nmにて行った)を測定した。その結果を、下記表23に示す。
24時間後の測定では、AとBとで濁度にやや差があるものの、2本とも透明なカルシウム水溶液剤が得られた。Aは、24時間経過後も継続して45℃で撹拌すると、96時間後には沈殿が生成していた。一方、24時間後に凍結乾燥したBでは、120時間後に蒸留水に再懸濁した場合でも、透明なカルシウム水溶液剤の状態となった。
以上より、中性付近でもカルシウム濃度が800mMとなるような高濃度のカルシウム水溶液剤が調製可能であることが明らかとなった。また、時間の経過と共に沈殿が生成し透明ではなくなるカルシウム水溶液剤でも、透明な状態で凍結乾燥などにより固体化カルシウム剤とすることで、再懸濁により容易に透明なカルシウム水溶液剤を得られることが明らかとなった。
例14.ラットに対する固体化カルシウム剤の経口投与試験
低Ca飼料飼育ラットの骨量減少に対する本発明の固体化カルシウム剤の改善効果について、5週齢のCrl:CD(SD)系の雄を用いて試験を行った。4週齢のラットにAIN−93Mを投与して1週間馴化後、各種飼料を3週間投与した。基本飼料はAIN−93Mのカルシウム含量を0.2%(通常飼料は0.5%)と改変したものを使用した。
試験群は、基本飼料を投与した群を低カルシウム飼料群とし、基本飼料にCa含量が0.5%となるように、炭酸カルシウム、熟成後(37℃2日間)C100P100Ca200K225溶液の凍結乾燥粉末、熟成後(37℃1日間)C200P100Ca200K550溶液の凍結乾燥粉末、熟成前C100P100Ca200K225溶液の凍結乾燥粉末、および乳酸カルシウムを添加した飼料を投与した群の計6群(1群8匹)とした。
期間中、体重の増加率、摂餌量、1日あたりの摂餌量については、各群間に有意な差は認められなかった。また、低カルシウム飼料群以外の群で、1日あたりのカルシウム摂取量にも有意な差は認められなかった。
3週間後に摘出した脛骨の乾燥重量を測定した。その結果を図6に示す。なお、図6において、「A」は「熟成後」であることを意味し、「B」は「熟成前」であることを意味している。
本試験では、低カルシウム飼料群と比較すると、炭酸カルシウムや乳酸カルシウム同様、本発明に係るカルシウム剤を用いた場合にも、骨重量は有意に上昇しており、苦味が少なく透明なカルシウム溶液となるように加工しても、他の素材と遜色ない吸収性が確認できた。
例15.スプレードライの影響
本発明のカルシウム水溶液剤は、スプレードライ(噴霧乾燥)により固体化カルシウム剤とすることができる。
噴霧乾燥機(EYELA SD−1)を用いて、入口温度:135℃、出口温度:85〜95℃、BLOWER:0.55m/min、Air Pump:0.8kg/cm、乾燥速度1L/hの条件で、C100P100Ca200K225、C100P100Ca200Cl400Na600、C100P100Ca200K225Na10F10、C200P100Ca200K550のカルシウム水溶液剤の噴霧乾燥を行った。その結果、全ての溶液で、白色の粉末とすることができた。理論上の収率は86〜88%だった。
次いで、乾燥した粉末に、乾燥前と同じ濃度となるよう蒸留水を加えた。さらに、得られた水溶液剤について、pH(堀場製作所pH/ION METER F−53、電極9610−10D)、カルシウムイオン濃度(堀場製作所pH/ion meter F−53、複合イオン電極6583−10C、チップ電極 #7683)、および吸光値(日本分光(株)製分光光度計(Ubest−30)、ガラス製セルを用いて595nmにて行った)を測定した。その結果を、下記表24に示す。
乾燥した粉末は、原液と同じ濃度で容易に水に溶解可能であり、原液と再溶解後のpH、カルシウムイオン濃度、吸光値に大きな違いは認められなかった。
例16.オートクレーブ(AC)の影響
本発明のカルシウム水溶液剤は、オートクレーブにより加熱殺菌することができる。
例1の方法でカルシウム濃度が200mMのカルシウム水溶液剤を製造し、オートクレーブを用いて121℃、15分の条件で加熱殺菌した。オートクレーブ後の被検液について、pH(堀場製作所pH/ION METER F-53、電極9610−10D)、カルシウムイオン濃度(堀場製作所pH/ion meter F−53、複合イオン電極6583−10C、チップ電極 #7683)、および吸光値(96ウェルプレートの1ウェルに100μL、O.D.595nm、BioTek Instrumentsプレートリーダー、EL312e)を測定した。その結果を、下記表25および表26に示す。
オートクレーブ前とオートクレーブ後では、透明度に大きな違いが認められなかった。それゆえ、オートクレーブは、カルシウム水溶液剤の安定性に殆んど影響を与えないことが示唆された。
例17.溶解速度確認試験
固体化カルシウム剤の水への溶解性を確認する試験を行った。
攪拌機(スリーワンモーターBL300)撹拌羽根(プロペラR)を用いて、100mLのビーカー中の50mLのDWを300rpmで撹拌した。カルシウムとして50mMとなるように乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム、C100P100Ca200K225溶液の凍結乾燥粉末をビーカーに加え、透明になるまでの時間を測定した。その結果を、下記表27に示す。
表27に示す結果から、本発明の固体化カルシウム剤は、溶解性が高いと言われている他のカルシウム素材と比較しても、更に水に溶解しやすいことが確認された。
例18.マグネシウム添加試験
マグネシウムはカルシウムと同様に骨の健康を維持するために重要なミネラルであり、カルシウムとマグネシウムを2:1で摂取することが望ましいと言われている。
そこで、カルシウムに加えて、マグネシウムも使用して本発明のカルシウム水溶液剤を調製する試験を行った。
クエン酸50mM、リン酸50mM、カルシウム100mMの組成を固定して、マグネシウム25〜200mMをカルシウムと同時に添加する試験を行った。本試験では、カルシウム源として塩化カルシウム、マグネシウム源として塩化マグネシウム、pH調整液として水酸化ナトリウムを用いた。その結果を、下記表28に示す。
本条件では、マグネシウム添加量、pHに拘らず透明なコロイド溶液にはならなかった。
一方、クエン酸200mM、リン酸50mM、カルシウム100mMの組成を固定して、マグネシウム25〜200mMをカルシウムと同時に添加する試験を行った。その結果を、下記表29に示す。
本条件では、Mg添加量0〜50mM、pH7.24〜11.78の範囲で透明なコロイド溶液を得ることができた。この結果から、クエン酸を50mMから200mMに増やすことで可溶化範囲が広くなることがわかった。
次に、クエン酸50mM、リン酸50mMは固定して、カルシウムとマグネシウムの総量が100mMとなるようにカルシウムをマグネシウムと置換して試験を行った。その結果を、下記表30に示す。
本条件では、NaOH275mM、Ca67mM、Mg33mMの場合にのみ透明なコロイド溶液となることが分かった。
一方、クエン酸200mM、リン酸50mMは固定して、カルシウムとマグネシウムの総量が100mMとなるようにカルシウムをマグネシウムと置換して試験を行った。その結果を、下記表31に示す。
本条件では、NaOH700mM:Ca67mM:Mg33mMの場合にのみ透明なコロイド溶液となることが分かった(NaOH700mM:Ca33mM:Mg67mM、NaOH650mM:Ca0mM:Mg100mM、NaOH700mM:Ca0mM:Mg100mMではチンダル現象を確認できず、非コロイド溶液であると考えられる)。クエン酸を50mMから200mMと増やしてもほとんど違いは認められなかった。
さらに、カルシウム源として水酸化カルシウム、マグネシウム源として水酸化マグネシウム、pH調整液として水酸化カリウム溶液を用いてカルシウム剤の調製を行った。リン酸を100mM、カルシウムを200mMに固定し、クエン酸を100mM、150mM、200mMとして、25mM、50mM、100mM、150mM、200mMのマグネシウムをカルシウムと同時に添加する試験を行った。
その結果、本条件では、クエン酸100mMでは、マグネシウム添加の透明液は得られなかったが、クエン酸150mM、200mMで、Mg添加量25mMおよび50mMの透明なコロイド溶液を得ることができ、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、水酸化ナトリウムを使用した場合と同様に、クエン酸を増やすことで透明化の範囲が広がることがわかった。
例19.酸化カルシウムを用いたカルシウム水溶液剤の製造
カルシウム源として酸化カルシウムを用いてカルシウム水溶液剤を調製した。酸化カルシウム1.12gを75.2mLの蒸留水に懸濁させ、クエン酸およびリン酸をそれぞれ500mM含有する水溶液20mLを加えて撹拌した。ここに5M水酸化カリウム水溶液を4.5mL加え、45℃に置いて一晩撹拌した。翌日、透明なコロイド溶液を得ることができた。この溶液はクエン酸100mM、リン酸100mM、カルシウム200mM、カリウム225mMを含む。この溶液をオートクレーブ処理した後のpHは6.74、カルシウムイオン濃度は68.8μmol/Lであった。
また、酸化カルシウムに代えて、酸化カルシウムが主成分である貝殻焼成カルシウムを用い、その他の組成は上記と同様とし、溶液の全体量が50mLになるようにしてカルシウム水溶液剤を調製したところ、透明なコロイド溶液を得ることができた。この溶液は、オートクレーブ処理した後、pH6.73、カルシウムイオン濃度70.2μmol/Lであった。
例20.平均粒子径の測定
本発明のカルシウム水溶液剤にはチンダル現象が確認されることから、コロイド溶液になっていることが示唆される。
そこで、カルシウム水溶液剤を10000倍希釈し、測定用プラスチックセル中で25℃において、動的光散乱光度計(DLS:Particle Sizing Systems Co. NICOMP 380ZLS)を用いて粒径を測定した。その結果、C100P100Ca200K225のカルシウム水溶液剤には5.6nm、C100P100Ca200K350には32nm、C100P100Ca200K400には29nm、C200P100Ca200K550には25.6nm、C100P100Ca200K225Na10F10には12.8nmの平均粒子径を持つコロイド粒子が含まれることが明らかとなった。
よって、カルシウム水溶液剤には、100nm以下のコロイド粒子が構成成分として含まれていると考えられる。
一方、カルシウム水溶液剤を凍結乾燥により固体化カルシウム剤とし、再溶解した溶液についてDLS測定したところ、C100P100Ca200K225のカルシウム水溶液剤には26.8nm、C100P100Ca200K350には40.3nm、C100P100Ca200K400には26.4nm、C200P100Ca200K550には25.5nm、C100P100Ca200K225Na10F10には10.8nmの平均粒子径を持つコロイド粒子が含まれることが明らかとなった。
C100P100Ca200K225の組成で20nm程違いが認められるもののほぼ原液の平均粒子径と一致することから、カルシウム水溶液剤を凍結乾燥により固体化カルシウム剤とした場合も、コロイド粒子は、原液の状態を維持していることが示唆された。
例21.X線結晶解析
上述のコロイド粒子を同定する目的で、カルシウム水溶液剤を凍結乾燥した固体化カルシウム剤について、X線回折(XRD)測定・解析を行った。測定は、PHILIPS X’Pert Proを用いて、固定セル上にすり切りに配置した粉末に対して行った。なお、線源としては、CuKαを用いた。XRD測定の結果を、図7A乃至Dおよび図8A乃至Cに示す。
C100P100Ca200K225、C200P100Ca200K550、C100P100Ca200K225Na10F10では、Hydroxyapatiteとの一致率が高いことが明らかとなった。
なお、同じC100P100Ca200K225組成でも、熟成せずに白濁したままの状態で凍結乾燥したサンプルでは、結晶性が低く、一致する化合物の候補は存在しなかった。よって、熟成中に、非晶性のリン酸カルシウムがHydroxyapatiteのコロイド粒子へと移行していることが示唆された。
熟成しても透明なカルシウム水溶液剤とはならない、C100P100Ca200K50のカルシウム水溶液剤ではBrushiteとの一致率が高かった。C100P100Ca200K100ではBrushite、Ca(HPO・2HO、Ca(PO・10HO、Hydroxyapatiteが候補として認められた。C100P100Ca200K150ではBrushite、Ca(HPO・2HO、Ca(PO・10HO、Hydroxyapatiteが候補としてあげられるが、C100P100Ca200K100と比較すると,Hydroxyapatiteとの一致率が高いことが明らかとなった。
以上の結果より、非晶性のリン酸カルシウムが熟成により結晶性のあるリン酸カルシウム化合物へと移行すること、pHが高くなることによりHydroxyapatiteが生成しやすくなること、ある一定以上のpHになることで、分散安定性に優れたHydroxyapatiteのコロイド粒子となることが示唆された。
例22.カルシウム剤の苦味の官能評価
カルシウム剤のなかで苦味が少ないとされている乳酸カルシウムおよびグルコン酸カルシウムと本発明のカルシウム剤の苦味とを比較評価した。
カルシウム剤を溶解するための溶液として、0.5%食塩水および5%ショ糖溶液を準備した。乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウムおよび下記表32に記載の本発明のカルシウム剤(1)乃至(7)を、100mLあたり150mgのカルシウムを含有する濃度で、上記の食塩水およびショ糖溶液のそれぞれに溶解させた。
食塩水およびショ糖溶液自体の苦味をそれぞれ1、苦味が強いとされている塩化カルシウムを各カルシウム剤溶液と同じカルシウム濃度になるように食塩水およびショ糖溶液に溶解した液の苦味をそれぞれ5として、味覚評価の訓練を受けた5人の評価者により各カルシウム剤の苦味を評価した。その結果を、下記表33に示す。
上表に示すとおり、本発明のカルシウム剤は、乳酸カルシウムおよびグルコン酸カルシウムと比較して、苦みが少ないものであった。特に、食塩を含有する溶液中では、乳酸カルシウムおよびグルコン酸カルシウムの場合に苦味を強く感じるのに対して、本発明のカルシウム剤は、食塩溶液中でも苦味は極めて弱く、多岐にわたる食品への使用が可能と考えられる。
例23.歯科用途
本発明のカルシウム剤は、安全性と安定性に優れていること、および、口中の酸に対して以下の2つのメリットが期待できることから、オーラルケア商品に配合できる可能性がある。
一方のメリットとしては、虫歯はプラーク内で産生された酸によるアパタイトの溶解現象であるため、本発明のカルシウム剤に酸に対する緩衝作用があれば、プラーク内に本発明のカルシウム剤が滞留することで、この酸を中和して歯の脱灰を抑制する効果が望める。
他方のメリットとしては、酸により本発明のカルシウム剤が分解した場合、本発明のカルシウム剤から溶出するカルシウムイオンおよびリン酸イオンとが歯の脱灰を抑制し、また、pHが中性付近に戻った場合、そのカルシウムイオンおよびリン酸イオンにより再石灰化が促進される可能性がある。
なお、歯科用途の試験に関し、特に断りがない場合、C100P100Ca200K225をCPCaと略称し、C100P100Ca200K225Na10F10をCPCaFと略称する。また、C100P100Ca200K225の凍結乾燥粉末をCPCa(FD)と略称し、C100P100Ca200K225Na10F10の凍結乾燥粉末をCPCaF(FD)と略称する。
(1)本発明のカルシウム剤の緩衝能およびカルシウムイオン放出能についての検討
本発明のカルシウム剤の酸緩衝能とカルシウムイオンの放出能についての評価を行った。
(方法)
蒸留水、pH7.0に調整した3mMのリン酸ナトリウム溶液(唾液中のリン酸濃度)、pH7.0に調整した、1.09mM(CPCa(FD)およびCPCaF(FD)の0.05%溶液中のクエン酸濃度に相当する濃度)または2.18mM(CPCa(FD)およびCPCaF(FD)の0.1%溶液中のクエン酸濃度に相当する濃度)のクエン酸ナトリウム溶液、および、pH7.0に調整した3mMのリン酸ナトリウムと1.09mMまたは2.18mMのクエン酸ナトリウムとの混合溶液を準備した。
この各溶液に、0.05%または0.1%のCPCa(FD)またはCPCaF(FD)を溶解させた試験液(100mL)を調製し、0.1規定の塩酸を0.1mLづつ、攪拌しながら加えて、安定となったpHを記録した。
(結果と考察)
以上の結果を、図9A乃至図9Dに示す。図9A乃至図9Dにおいて、黒塗りのデータはpHを表しており、白抜きのデータはカルシウムイオン濃度を表している。
図9A中、(A)は蒸留水、(B)は0.05%のCPCa(FD)、(C)は3mMのリン酸、(D)は3mMのリン酸と0.05%のCPCa(FD)との混合物、(E)は1.09mMのクエン酸、(F)は3mMのリン酸と1.09mMのクエン酸との混合物を表している。
図9B中、(A)は蒸留水、(B)は0.1%のCPCa(FD)、(C)は3mMのリン酸、(D)は3mMのリン酸と0.1%のCPCa(FD)との混合物、(E)は1.09mMのクエン酸、(F)は3mMのリン酸と1.09mMのクエン酸との混合物を表している。
図9C中、(A)は蒸留水、(B)は0.05%のCPCaF(FD)、(C)は3mMのリン酸、(D)は3mMのリン酸と0.05%のCPCaF(FD)との混合物、(E)は1.09mMのクエン酸、(F)は3mMのリン酸と1.09mMのクエン酸との混合物を表している。
図9D中、(A)は蒸留水、(B)は0.1%のCPCaF(FD)、(C)は3mMのリン酸、(D)は3mMのリン酸と0.1%のCPCaF(FD)との混合物、(E)は1.09mMのクエン酸、(F)は3mMのリン酸と1.09mMのクエン酸との混合物を表している。
これらの結果から、CPCa(FD)の溶液およびCPCaF(FD)の溶液は、共に、同濃度クエン酸ナトリウム溶液よりも酸に対する緩衝能が強く、酸性になるに従いカルシウムイオンを放出する特性があることが分かった。よって、本発明のカルシウム剤は、酸を中和して歯の脱灰を抑制する効果、および、再石灰化を促進する効果を有する可能性が示唆された。
(2)本発明のカルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価
本発明のカルシウム剤の脱灰抑制効果を検討した。
(方法)
歯サンプル(牛歯象牙質のブロックを樹脂に包埋したもの)を、各濃度(0,0.02,0.05,0.1%)の固体化カルシウム剤(CPCa(FD)およびCPCaF(FD))を含む脱灰液(CaCl:1.5mM、KHPO:0.9mM、酢酸:50mM、NaN:0.02%、pH:4.5)10mLに浸漬し、37℃にて1週間脱灰した。
脱灰処置後、歯サンプルから約240μmの厚さで切片を切り出し、TMR(X線透過法であるtransversal microradiography)画像を取得し、これを画像解析した。
(結果)
その結果を、下記表34、並びに、図10A乃至図16Aおよび図10B乃至図16Bに示す。
図10A乃至図16Aは、カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示す写真であり、図10B乃至図16Bは、カルシウム剤の象牙質脱灰抑制効果の評価結果を示すグラフである。なお、図10B乃至図16Bにおいて、「A」は脱灰表面を表し、「B」は脱灰最前線を表す。
表34から分かるように、CPCaでは0.05%で平均脱灰抑制率が44.7%、CPCaFでは0.25%で平均脱灰抑制率が60.3%と、充分な脱灰抑制効果を示した。
(3)本発明のカルシウム剤の人工プラーク滞留試験
本発明のカルシウム水溶液剤中のカルシウムおよびリン酸がどの程度人工プラークに滞留するか確認するため、検討を行った。
(方法)
S.mutansを、TSB〔Bact(登録商標):Tryptic Soy Broth〕で一晩前培養した。前培養したS.mutansの培養液100μLを、2.5mLの1%スクロース添加TSBに接種し、試験管を約30°に傾けた状態で一晩培養した。一晩培養後に培養液を除去し、生理的食塩水3mLで3回洗浄して、試験管内壁に付着した人工プラークを得た。カルシウム水溶液剤は、固体化カルシウム剤(CPCaおよびCPCaF)を0.25%〜10%となるように溶解して調製した。人工プラークの付着した試験管にカルシウム水溶液剤を3mL添加した。10分室温にて反応させた。生理的食塩水3mLで3回洗浄した。1N HCl 3mLでカルシウムおよびリン酸を3回抽出した。人工プラークの重量を測定した。カルシウム抽出液を10mLにメスアップ後、ICPによりカルシウムおよびリン濃度を測定し、人工プラークに滞留したカルシウム濃度およびリン濃度を算出した。
(結果と考察)
カルシウム水溶液剤(CPCa)を10分間反応させた場合の結果を、下記表35に示す。
カルシウム水溶液剤(CPCa)中のCaとPのモル比は2:1なので、重量比は2.6:1となる。上記結果では、人工プラークに滞留したCaとPの比率は、理論上のCPCaの比率をほぼ維持している。
ここで、CPCa中のCa含量は17.5%であり、CPCa中の他の成分も全て同じ比率で滞留していると仮定すると、CPCa10%溶液を反応させた場合、滞留濃度はCPCa換算で0.4%となる。また、CPCa5%溶液では0.24%、CPCa1%溶液では0.034%、CPCa0.5%溶液では0.0171%、CPCa0.25%溶液では0.0057%となる。
象牙質を用いた脱灰抑制効果および酸に対する緩衝作用は、共に、CPCa濃度が0.05%で効果を示していることから、1%〜5%程度のCPCa溶液と10分程度接触することにより、プラーク中に有効量のCPCaが滞留し、脱灰抑制効果が得られる可能性がある。
続いて、カルシウム水溶液剤(CPCaF)を10分間反応させた場合の結果を、下記表36に示す。
カルシウム水溶液剤(CPCaF)中のCaとPのモル比は2:1なので、重量比は2.6:1となる。上記結果では、人工プラークに滞留するCaとPの比率は、理論上のCPCaFの比率をほぼ維持している。
ここで、CPCaF中のCa含量は17.5%であり、CPCaF中の他の成分も全て同じ比率で滞留していると仮定すると、CPCaF−10%溶液を反応させた場合、滞留濃度はCPCaF換算で0.52%となる。また、CPCaF−5%溶液では0.25%、CPCaF−1%溶液では0.074%、CPCaF−0.5%溶液では0.034%、CPCaF−0.25%溶液では0.017%となる。
象牙質を用いた脱灰抑制効果は0.025%で、酸に対する緩衝作用はCPCaF濃度0.05%で効果を示していることから、0.5%〜1%程度のカルシウム水溶液剤(CPCaF)と10分程度接触することにより、プラーク中に有効量のCPCaFが滞留し、脱灰抑制効果が得られる可能性がある。
例24.ゼータ電位の測定
カルシウム水溶液剤中のコロイド粒子のゼータ電位の測定を、動電音響(electrokinetic sonic amplitude;ESA)法により行った。具体的には、ゼータ電位測定器(装置名:ESA−8000)を用いて、サンプルの原液を測定用セルに入れて、25℃条件下で測定した。その結果を、下記表37に示す。
表37に示す結果から分かるように、カルシウム水溶液剤中のコロイド粒子は、ゼータ電位がプラスであった。
更なる利益および変形は、当業者には容易である。それゆえ、本発明は、そのより広い側面において、ここに記載された特定の記載や代表的な態様に限定されるべきではない。従って、添付の請求の範囲およびその等価物によって規定される本発明の包括的概念の真意又は範囲から逸脱しない範囲内で、様々な変形が可能である。
本発明に従うカルシウム剤は、例えば、医療、食品、農業、畜産業、漁業および園芸などの分野において、カルシウムを対象に対して付与するのに有用である。

Claims (21)

  1. 水、カルシウム、式Iの化合物、および式IIの化合物を構成要素として含むカルシウム水溶液剤であって、前記カルシウムは大部分が非イオン性カルシウムとして存在し、且つ式Iの化合物および/または式IIの化合物の基本骨格を維持した状態でこれらと結合した複合体を構成し、前記複合体の少なくとも一部分がコロイド粒子を形成している、pHが弱酸性以上の透明なカルシウム水溶液剤;
    ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
  2. 請求項1に記載のカルシウム水溶液剤を乾燥することにより得られる固体化カルシウム剤。
  3. 水を再添加することにより請求項1に記載のカルシウム水溶液剤となることを特徴とする請求項2の固体化カルシウム剤。
  4. 水、カルシウム、式Iの化合物、式IIの化合物およびフッ素を構成要素として含むカルシウム水溶液剤であって、前記カルシウムは、大部分が非イオン性カルシウムとして存在し、且つ式Iの化合物および/または式IIの化合物の基本骨格を維持した状態でこれらと結合した複合体を構成し、前記フッ素の少なくとも一部が前記複合体に結合し、前記複合体の少なくとも一部分がコロイド粒子を形成している、pHが弱酸性以上の透明なカルシウム水溶液剤;
    ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
  5. 請求項4のカルシウム水溶液剤を乾燥することにより得られる固体化カルシウム剤。
  6. 水を再添加することにより請求項4のカルシウム水溶液剤となることを特徴とする請求項5の固体化カルシウム剤。
  7. 水中でイオン化されたカルシウム源を式Iの化合物源および式IIの化合物源と混合し、得られた液体を、最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で、不透明液体から透明液体に移行することを特徴とするカルシウム水溶液剤の製造方法;
    ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
  8. (1)水中でカルシウム源をイオン化すること、
    (2)(1)でイオン化されたカルシウムを式Iの化合物源および式IIの化合物源と混合すること、
    (3)(2)で得られた溶液を、不透明液体から透明液体に移行させること、
    (4)前記(1)から(3)の何れかの工程において、最終的に得られる溶液が弱酸性以上となるようにpHを調整すること、
    を具備するカルシウム水溶液剤の製造方法;
    ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
  9. 水中でイオン化されたカルシウム源を式Iの化合物源、式IIの化合物源およびフッ素源と混合し、得られた液体を、最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で、不透明液体から透明液体に移行することを特徴とするカルシウム水溶液剤の製造方法。
    ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
  10. (1)水中でカルシウム源をイオン化すること、
    (2)(1)でイオン化されたカルシウムを式Iの化合物源、式IIの化合物源およびフッ素源と混合すること、
    (3)(2)で得られた溶液を、不透明液体から透明液体に移行させること、
    (4)前記(1)から(3)の何れかの工程において、最終的に得られる溶液が弱酸性以上となるようにpHを調整すること、
    を具備するカルシウム水溶液剤の製造方法。
    ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
  11. 請求項7から10の何れか1項に記載の製造方法により得られたカルシウム水溶液剤を更に乾燥することを具備する固体化カルシウム剤の製造方法。
  12. 水中でイオン化されたカルシウム源を式Iの化合物源および式IIの化合物源と混合し、得られた液体を、最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で、不透明液体から透明液体に移行することを特徴とする方法により製造される、水、カルシウム、式Iの化合物、および式IIの化合物を構成要素として含むカルシウム水溶液剤であって、前記カルシウムは大部分が非イオン性カルシウムとして存在し、且つ式Iの化合物および/または式IIの化合物の基本骨格を維持した状態でこれらと結合した複合体を構成し、前記複合体の少なくとも一部分がコロイド粒子を形成している、pHが弱酸性以上の透明なカルシウム水溶液剤;
    ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
  13. (1)水中でカルシウム源をイオン化すること、
    (2)(1)でイオン化されたカルシウムを式Iの化合物源および式IIの化合物源と混合すること、
    (3)(2)で得られた溶液を、不透明液体から透明液体に移行させること、
    (4)前記(1)から(3)の何れかの工程において、最終的に得られる溶液が弱酸性以上となるようにpHを調整すること、
    を具備する方法により製造される、水、カルシウム、式Iの化合物、および式IIの化合物を構成要素として含むカルシウム水溶液剤であって、前記カルシウムは大部分が非イオン性カルシウムとして存在し、且つ式Iの化合物および/または式IIの化合物の基本骨格を維持した状態でこれらと結合した複合体を構成し、前記複合体の少なくとも一部分がコロイド粒子を形成している、pHが弱酸性以上の透明なカルシウム水溶液剤;
    ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
  14. 水中でイオン化されたカルシウム源を式Iの化合物源、式IIの化合物源およびフッ素源と混合し、得られた液体を、最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で、不透明液体から透明液体に移行することを特徴とする方法により製造される、水、カルシウム、式Iの化合物、式IIの化合物およびフッ素を構成要素として含むカルシウム水溶液剤であって、前記カルシウムは、大部分が非イオン性カルシウムとして存在し、且つ式Iの化合物および/または式IIの化合物の基本骨格を維持した状態でこれらと結合した複合体を構成し、前記フッ素の少なくとも一部が前記複合体に結合し、前記複合体の少なくとも一部分がコロイド粒子を形成している、pHが弱酸性以上の透明なカルシウム水溶液剤;
    ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
  15. (1)水中でカルシウム源をイオン化すること、
    (2)(1)でイオン化されたカルシウムを式Iの化合物源、式IIの化合物源およびフッ素源と混合すること、
    (3)(2)で得られた溶液を、不透明液体から透明液体に移行させること、
    (4)前記(1)から(3)の何れかの工程において、最終的に得られる溶液が弱酸性以上となるようにpHを調整すること、
    を具備する方法により製造される、水、カルシウム、式Iの化合物、式IIの化合物およびフッ素を構成要素として含むカルシウム水溶液剤であって、前記カルシウムは、大部分が非イオン性カルシウムとして存在し、且つ式Iの化合物および/または式IIの化合物の基本骨格を維持した状態でこれらと結合した複合体を構成し、前記フッ素の少なくとも一部が前記複合体に結合し、前記複合体の少なくとも一部分がコロイド粒子を形成している、pHが弱酸性以上の透明なカルシウム水溶液剤;
    ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
  16. 前記カルシウム水溶液剤が、前記反応時に存在する全構成成分を維持して含むことを特徴とする請求項12または14のカルシウム水溶液剤。
  17. 前記(1)および(2)において存在する全構成成分を維持して含むことを特徴とする請求項13または15のカルシウム水溶液剤。
  18. 請求項11の方法により製造される固体化カルシウム剤。
  19. 水を再添加することにより請求項1または4のカルシウム水溶液剤となることを特徴とする請求項18の固体化カルシウム剤。
  20. カルシウム水溶液におけるカルシウム由来の沈殿物生成を防止する方法であって、水中でイオン化されたカルシウムを式Iの化合物および式IIの化合物と混合し、得られた液体を、最終的に得られる溶液のpHが弱酸性以上になる条件下で、不透明液体から透明液体に移行することを特徴とするカルシウム由来の沈殿生成防止方法;
    ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
  21. カルシウム水溶液におけるカルシウム由来の沈殿物生成を防止する方法であって、
    (1)水中でカルシウムをイオン化すること、
    (2)(1)でイオン化されたカルシウムを式Iの化合物および式IIの化合物と混合すること、
    (3)(2)で得られた溶液を、不透明液体から透明液体に移行させること、
    (4)前記(1)から(3)の何れかの工程において、最終的に得られる溶液が弱酸性以上となるようにpHを調整すること、
    を具備するカルシウム由来の沈殿生成防止方法;
    ここで、A、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立してOまたはOXであり、Xは1価若しくは多価のカチオンを表し、OXが複数存在する場合、Xは互いに同じまたは異なる。
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