JPWO2011118071A1 - 画像処理方法および装置,ならびに画像処理プログラムおよびこのプログラムを記録した媒体 - Google Patents

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Abstract

注目画素P(i,j)ごとにパープルフリンジ(PF)が発生しているかどうかが判定される(ステップ41)。PF発生が判定されたPF発生画素P(i,j)のRGB比と,そのPF発生画素(i,j)の近傍範囲において上記PF発生画素P(i,j)からN画素離れたPF収束画素P(m,n)のRGB比がそれぞれ算出される(ステップ42,43)。PF発生画素(i,j)のRGB比を上記PF収束画素P(m,n)のRGB比に近づける補正係数Rev(i,j)が算出される(ステップ44)。算出された補正係数Rev(i,j)が用いられて上記PF発生画素P(i,j)が色補正される。パープルフリンジが発生している画像部分の色を異ならせることによって,パープルフリンジを目立たなくする。

Description

この発明は画像処理方法および装置,ならびに画像処理プログラムおよびこのプログラムを記録した媒体に関する。
ディジタル・スチル・カメラ等による撮像によって得られた画像中に色にじみ(パープルフリンジ)が視認されることがある。高輝度の被写体(たとえば,光源)が撮像されることで輝度差の大きな輪郭(エッジ)が撮像画像中に存在する場合に,画像輪郭の周辺にパープルフリンジは生じやすい。
特開2009−268033号公報では,青(B)信号のにじみ量(信号量の傾き)を緑(G)信号と同じにすることによってにじみを低減している。しかしながら,たとえば,白い光源の周囲に緑色の背景が存在する画像の場合,青(B)の傾きは緑(G)の傾きよりも急峻であり,この場合に,青(B)信号のにじみ量(信号量の傾き)を緑(G)信号と同じにするとグレー色が生じる可能性がある。また,にじみ量が変えられた画像部分付近において色のつながりが不自然になる。
国際公開WO2005/101854には,パープルフリンジ発生領域の彩度を落とすことによってパープルフリンジを目立たなくすることが記載されている。パープルフリンジ発生領域の色はそのまま紫色で残ることになる。また,部分的に彩度が低められた場合も,パープルフリンジ発生領域付近において色のつながりが不自然になる。
この発明は,パープルフリンジが発生している画像部分の色を異ならせることによって,パープルフリンジを目立たなくすることを目的とする。
この発明はまた,色つながりが自然な色補正の実現を目的とする。
第1の発明による画像処理方法は,与えられる画像データの入力を受付け,受付けられた画像データについて,画素ごとにパープルフリンジが発生しているかどうかを判定し,パープルフリンジの発生が判定されたパープルフリンジ発生画素のRGB比と,上記パープルフリンジ発生画素の近傍範囲において上記パープルフリンジ発生画素から所定画素数分離れた位置のパープルフリンジ収束画素のRGB比をそれぞれ算出し,上記パープルフリンジ発生画素のRGB比を上記パープルフリンジ収束画素のRGB比に近づけるパープルフリンジ補正係数を算出し,上記算出したパープルフリンジ補正係数を用いて上記パープルフリンジ発生画素を色補正するものである。パープルフリンジ収束画素はパープルフリンジが発生していないと判定される画素でもよい。いずれにしても,パープルフリンジが発生していると判定された画素(パープルフリンジ発生画素)の近傍範囲においてパープルフリンジ発生画素から所定画素数分離れた位置の画素が,パープルフリンジ収束画素とされる。
第1の発明による画像処理装置は,与えられる画像データの入力を受付ける画像入力装置,上記画像入力装置によって受け付けられた画像データについて,画素ごとにパープルフリンジが発生しているかどうかを判定するパープルフリンジ判定回路,上記パープルフリンジ判定回路によってパープルフリンジの発生が判定されたパープルフリンジ発生画素のRGB比と,上記パープルフリンジ発生画素の近傍範囲において上記パープルフリンジ発生画素から所定画素数分離れた位置のパープルフリンジ収束画素のRGB比をそれぞれ算出するRGB比算出回路,上記パープルフリンジ発生画素のRGB比を上記パープルフリンジ収束画素のRGB比に近づけるパープルフリンジ補正係数を算出するパープルフリンジ補正係数算出回路,および上記パープルフリンジ補正係数算出回路によって算出されたパープルフリンジ補正係数を用いて上記パープルフリンジ発生画素を色補正するパープルフリンジ低減装置を備えるものである。
第1の発明は,コンピュータ・システムを上記画像処理装置として動作(機能)させるためのプログラムおよびこのプログラムを記録した記録媒体も提供する。汎用のコンピュータ・システムによってこのプログラムが実行されると,汎用のコンピュータ・システムが上記画像処理装置として機能する。記録媒体は,磁気記録媒体,光ディスク,光磁気ディスク,半導体メモリを含む。
第1の発明によると,パープルフリンジ発生画素のRGB比をパープルフリンジ収束画素のRGB比に近づける色補正が行われるので,パープルフリンジ発生画素の色を,紫色として認識されないまたは紫色として認識されにくい色に色補正することができる。
上記パープルフリンジ発生画素の近傍範囲において上記パープルフリンジ発生画素から所定画素数分離れた位置は,与えられる画像データによって表される画像中に存在するパープルフリンジ発生画素を含む領域の大きさ,パープルフリンジの発生の原因となる画像データの撮像に用いられたディジタル・カメラに用いられているレンズの種類,レンズの色コマ収差,撮像素子の画素数等に応じて定められる。いずれにしても,パープルフリンジ収束画素は上記パープルフリンジ発生画素の近傍範囲に存在する画素であるから,パープルフリンジ発生画素のRGB比がパープルフリンジ収束画素のRGB比に近づけられることでパープルフリンジ発生画素の色が変化しても,変化後の色は上記パープルフリンジ発生画素の近傍範囲の色に調和した色になる。色つながりが不自然な色補正を防止することができる。近傍範囲はあらかじめ定められる範囲であってもよいし,ユーザによる設定によって定められる範囲であってもよい。
一実施態様では,上記パープルフリンジ補正係数は,上記パープルフリンジ発生画素の青成分信号および赤信号成分の少なくともいずれか一方に対する補正係数である。パープルフリンジは,青成分信号が,緑信号成分に対して大きい信号レベル(信号量)を持つことによって発生する。青成分信号に対する色補正を行うことによってパープルフリンジを効果的に抑制することができる。もちろん,赤信号成分を色補正することによってもパープルフリンジを抑制することはできる。
好ましくは,所定レベル以上の輝度差(輝度勾配)を有する画像輪郭(エッジ)の周辺画素のうち,少なくとも青成分信号レベルが緑成分信号レベルよりも所定閾値以上大きい画素をパープルフリンジ発生画素と判定する。パープルフリンジは輝度差の大きな画像輪郭において生じやすく,また青成分信号レベルが緑成分信号レベルに比べて大きいことを特徴とするからである。所定レベル以上の輝度差を有する画像輪郭の周辺画素のうち,少なくとも青成分信号レベルが緑成分信号レベルよりも所定閾値以上大きい画素をパープルフリンジ発生画素と判定することで,比較的確実に色補正対象のパープルフリンジ発生画素を見つけることができる。
他の実施態様では,上記パープルフリンジ収束画素として,上記パープルフリンジ発生画素の近傍の画像輪郭の輝度差が最も大きい方向であって輝度が減少する方向に位置する画素を用いる。青成分信号または赤成分信号の信号量が多いことを特徴とするパープルフリンジ収束画素の青成分信号または赤成分信号の信号量を少なくする色補正を行うことができる。
好ましくは,パープルフリンジ補正係数が,上記パープルフリンジ発生画素の青成分信号および赤成分信号の少なくともいずれか一方の信号量を増やすものである場合に,パープルフリンジ発生画素の色補正効果が弱められるように,上記パープルフリンジ補正係数が調節される。パープルフリンジ発生画素の誤検出等によって,パープルフリンジ補正係数として上記パープルフリンジ発生画素の青成分信号および赤成分信号の少なくともいずれか一方の信号量を増やすものが得られた場合に,色補正効果を弱めることによって色補正による悪影響を少なくすることができる。
第2の発明による画像処理方法は,与えられる画像データの入力を受付け,受付けられた画像データについて,注目画素ごとに,水平方向,垂直方向および斜め方向のうち少なくとも1方向について,上記注目画素を中心にして対称位置にある画素の輝度をそれぞれ算出し,算出した輝度の差を算出し,算出された輝度差のうちの最大のものを選択し,最大輝度差が小さいほど小さい重みを算出し,上記注目画素のRGB比と,その注目画素の近傍範囲において上記注目画素から所定画素数分離れた離間画素のRGB比をそれぞれ算出し,上記注目画素のRGB比を上記離間画素のRGB比に近づける補正係数を算出し,算出し補正係数を上記重みによって重付けした重付け補正係数を用いて,上記注目画素を色補正する。
第2の発明による画像処理装置は,与えられる画像データの入力を受付ける画像入力装置,上記画像入力装置によって受け付けられた画像データについて,注目画素ごとに,水平方向,垂直方向および斜め方向のうち少なくとも1方向について,上記注目画素を中心にして対称位置にある画素の輝度をそれぞれ算出する輝度算出回路,上記輝度算出回路によって算出された輝度の差を算出する輝度差算出回路,上記輝度差算出回路によって算出された輝度差のうちの最大のものを選択する最大輝度差選択装置,上記最大輝度差選択装置によって選択された最大輝度差が小さいほど,小さい重みを算出する重み算出回路,上記注目画素のRGB比と,その注目画素の近傍範囲において上記注目画素から所定画素数分離れた離間画素のRGB比をそれぞれ算出するRGB比算出回路,上記注目画素のRGB比を上記離間画素のRGB比に近づける補正係数を算出する補正係数算出回路,および上記補正係数算出回路によって算出された補正係数を上記重み算出回路によって算出された重みによって重付けした重付け補正係数を用いて,上記注目画素を色補正する色補正回路を備える。
第2の発明は,コンピュータ・システムを上記画像処理装置として動作(機能)させるためのプログラムおよびこのプログラムを記録した記録媒体も提供する。
パープルフリンジは輝度差の大きな画像輪郭周辺において発生する。上記注目画素を中心にして対称位置にある画素間の最大輝度差が大きければ,その注目画素はパープルフリンジが発生している可能性が高い画素と言える。逆に,上記注目画素を中心にして対称位置にある画素間の最大輝度差が小さければ,その注目画素はパープルフリンジが発生していない画素と言える。第2の発明によると,上記注目画素を中心にして対称位置にある画素間の最大輝度差が小さいほど小さい重みが算出され,算出された重みが補正係数に重付けされる。重付けによって,パープルフリンジが発生している可能性が高い画素に補正係数による色補正の効果を生じさせ,パープルフリンジが発生している可能性が低い画素には補正係数による色補正の効果を生じさせないまたは弱めるようにすることができる。
好ましくは,上記最大輝度差が所定値よりも小さい場合に算出される重みは上記重付け補正係数による色補正の効果を無くすものである。最大輝度差がパープルフリンジ発生の可能性がない程度に低い値である場合に,その注目画素にはパープルフリンジが発生していないと判断するものである。誤補正を減らすことができる。
第3の発明による画像処理方法は,与えられる画像データの入力を受付け,受け付けられた画像データについて,注目画素ごとに,上記注目画素の色味が紫色かどうかを判断し,上記注目画素の色味が紫色から遠いほど小さい重みを算出し,上記注目画素のRGB比と,上記注目画素の近傍範囲において上記注目画素から所定画素数分離れた離間画素のRGB比をそれぞれ算出し,上記注目画素のRGB比を上記離間画素のRGB比に近づける補正係数を算出し,算出した補正係数を上記重みによって重付けした重付け補正係数を用いて,上記注目画素を色補正するものである。
第3の発明による画像処理装置は,与えられる画像データの入力を受付ける画像入力装置,上記画像入力装置によって受け付けられた画像データについて,注目画素ごとに,上記注目画素の色味が紫色かどうかを判断する色味判断回路,上記注目画素の色味が紫色から遠いほど小さい重みを算出する重み算出回路,上記注目画素のRGB比と,上記注目画素の近傍範囲において上記注目画素から所定画素数分離れた離間画素のRGB比をそれぞれ算出するRGB比算出回路,上記注目画素のRGB比を上記離間画素のRGB比に近づける補正係数を算出する補正係数算出回路,上記補正係数算出回路によって算出された補正係数を上記重み算出回路によって算出された重みによって重付けした重付け補正係数を用いて,上記注目画素を色補正する色補正回路を備える。
第3の発明は,コンピュータ・システムを上記画像処理装置として動作(機能)させるためのプログラムおよびこのプログラムを記録した記録媒体も提供する。
パープルフリンジはその特性として紫色の色味を持っている。上記注目画素の色味が紫色またはそれに近い色味を持てば,その注目画素はパープルフリンジが発生している可能性が高い画素と言える。逆に,上記注目画素の色味が紫色でない色味を持てばその注目画素はパープルフリンジが発生していない画素と言える。第3の発明によると,上記注目画素が紫色から遠い色であるほど小さい重みが算出され,算出された重みが補正係数に重付けされる。重付けによって,パープルフリンジが発生している可能性が高い画素に補正係数による色補正の効果を生じさせ,パープルフリンジが発生している可能性が低い画素には補正係数による色補正の効果を生じさせないようにすることができる。紫色から遠い色であるか近い色であるかは,たとえば色差データ(CrデータおよびCbデータ)を用いて判断される。
好ましくは,上記注目画素の色味が紫色と認識されない色味である場合に算出される重みは,上記重付け補正係数による色補正の効果を無くすものである。誤補正を減らすことができる。
第1図はパープルフリンジが発生している画像例を示す。
第2図は画素位置ごとのRGB信号量のグラフである。
第3図は画素位置ごとのRGB信号量のグラフである。
第4図は画素位置ごとのRGB信号量のグラフである。
第5図は第1実施例のディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
第6図は第1実施例のパープルフリンジ補正ユニットの動作手順を示すフローチャートである。
第7図は注目画素とパープルフリンジ収束画素との位置関係の一例を示す。
第8図は色補正前のRGB信号量のグラフを示す。
第9図はパープルフリンジ補正ユニットによる色補正後のRGB信号量のグラフを示す。
第10図は第2実施例のディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
第11図は第2実施例のパープルフリンジ補正ユニットの動作手順を示すフローチャートである。
第12図は輝度を算出すべき画素の選択の様子を示す。
第13図は輝度を算出すべき画素の選択の様子を示す。
第14図は輝度を算出すべき画素の選択の様子を示す。
第15図はメンバシップ関数を示す。
第16図は第3実施例のディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
第17図は第3実施例のパープルフリンジ補正ユニットの動作手順を示すフローチャートである。
第18図はメンバシップ関数を示す。
第19図はメンバシップ関数を示す。
第20図は第4実施例のディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
第21図は第4実施例のパープルフリンジ補正ユニットの動作手順を示すフローチャートである。
第22図はメンバシップ関数を示す。
第1図はパープルフリンジが発生している画像80を示している。第2図,第3図および第4図は,第1図に示す画像80に示す3つのライン位置L〜Lのそれぞれに対応する,画素位置ごとのRGB各成分の信号量(強度)を示すグラフである。
パープルフリンジとは高輝度の被写体(たとえば,光源)を撮像したときに,画像輪郭の周辺が紫色に滲む現象である。画像中の輝度差の大きい輪郭部分においてパープルフリンジは生じやすい。輪郭部分における輝度差が大きいほどパープルフリンジは視認されやすくなる。
第1図に示す画像80において白色の高輝度部HAと黒色の低輝度部LAが接している。高輝度部HAと低輝度部LAの境界が画像輪郭(エッジ)Eである。画像輪郭Eの周辺にパープルフリンジが生じている。画像80においてパープルフリンジが発生している領域(範囲)がパープルフリンジ発生領域PFとして示されている。
画像80において高輝度部HAはその上側に向かうにつれて輝度が小さくなっている。低輝度部LAの輝度は一定である。すなわち,画像80における下端部付近における高輝度部HAと低輝度部LAの輝度差は非常に大きく,上端部付近では高輝度部HAと低輝度部LAの輝度差はそれよりも小さい。
第2図〜第4図を参照して,パープルフリンジは,RGB成分で見ると,青(B)成分,または青(B)成分および赤(R)成分の信号量が,緑(G)成分の信号量よりも大きな信号量を持つことで紫色を表すものになる。第2図〜第4図において両端矢印D〜Dは,画像輪郭Eの近傍の画素位置における,青(B)成分の信号量と緑(G)成分の信号量との差を示している。高輝度部HAと低輝度部LAの輝度差が大きいほど,画像輪郭Eの近傍の画素位置における青(B)成分の信号量と緑(G)成分の信号量との差は大きい(D<D<D)。この信号量差に比例してパープルフリンジ発生領域PFも大きくなり,目立つものになっている(第1図)。
この発明の実施例では,上述のパープルフリンジを低減する画像処理装置を実装したディジタル・スチル・カメラを説明する。ディジタル・カメラは,パープルフリンジ発生領域PFを有する画像に対してパープルフリンジを低減する画像処理を行う。
第5図は第1実施例のディジタル・スチル・カメラの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
ディジタル・スチル・カメラの全体的な動作はCPU1によって統括される。
CPU1は,データバスを介して,撮像ユニット10,ディジタル信号処理装置7,外部メモリ・インターフェース(外部メモリI/F)5,メモリ・インターフェース(メモリI/F)8,および圧縮伸張処理回路2に接続されている。
撮像ユニット10はCCD12を備え,CCD12の前方に撮像レンズ,絞り,赤外線カット・フィルタ,光学的ロウパス・フィルタ(OLPF)等を含む光学ユニット11が設けられている。
ディジタル・スチル・カメラには,フラッシュ撮像のためのフラッシュ3,およびフラッシュ3に電源を供給する充電回路4を備えている。CPU1によってフラッシュ3に対する発光指示および充電回路4に対する充電指示が行われる。
ディジタル・スチル・カメラの電源がオンされ,撮影モードが設定されると,被写体像を表す光線束が光学ユニット11に入射する。光線束は光学ユニット11を介してCCD12の受光面上に入射する。CCD12には多数のフォトダイオード(光電変換素子)がその受光面に二次元的に配置され,かつ受光面上には所定の配列構造(ベイヤー配列,Gストライプ配列など)を持って配列された赤(R),緑(G),青(B)のカラーフィルタが設けられている。光学ユニット11によって結像された被写体像がCCD12によって電子的に撮像される。CCD12はCPU1からの指令に応じてタイミング信号等を出力する撮像素子駆動回路16によって駆動される。
CCD12から出力された被写体像を表すアナログ信号は,アナログ信号処理装置13に入力する。
アナログ信号処理装置13には,相関二重サンプリング回路,信号増幅器などが含まれている。CCD12から出力された被写体像を表すアナログ信号はアナログ信号処理装置13に入力し,相関二重サンプリング,信号増幅などが行われる。アナログ信号処理装置13から出力されたアナログ映像信号(アナログのRGB信号)はアナログ/ディジタル変換回路(ADC)14に入力し,所定の信号処理の後,ディジタル画像データ(デジタルRGBデータ)に変換される。また,必要に応じてRGBデータは輝度データ(Yデータ)と色差データ(Cr,Cbデータ)とからなる画像データ(YUVデータ)に変換される。
ディジタル画像データはメモリI/F8の制御のもとでRAM9Aに一時的に記録される。メモリI/F8にはROM9Bも接続されている。ROM9Bには,CPU1が実行する制御プログラム,制御に必要な各種データ,撮影者設定情報等,デジタル・スチル・カメラの動作に関する各種設定情報等が記憶されている。
ディジタル画像データはRAM9Aから読出されてディジタル信号処理装置7に入力する。ディジタル信号処理装置7では白バランス調整,ガンマ補正,同時化処理(単板CCDのカラーフィルタ配列に伴う色信号の空間的ズレを補間して色信号を同時式に変換する処理)などの所定のディジタル信号処理が行われる。ディジタル信号処理が行われたデータによって表される被写体像は,表示装置(図示略)の表示画面上に表示される。
シャッタ・レリーズ・ボタン(図示略)の第一段階の押下があると,モータ駆動回路15によって光学ユニット11のレンズが駆動されて焦点合わせが行われる。RAM9Aから読出される画像データに基づいてディジタル信号処理装置7において輝度データが得られる。輝度データの積算値を表すデータがCPU1に与えられて露出量が算出される。算出された露出量となるように光学ユニット11の絞りの開口がモータ駆動回路15によって制御され,撮像素子駆動回路16によってCCD12のシャッタ速度が制御される。
シャッタ・レリーズ・ボタンの第二段階の押下があると,アナログ/ディジタル変換回路14から出力された画像データはRAM9Aに記憶される。RAM9Aから読み出された画像データに対し,上述のように所定のディジタル信号処理がデジタル信号処理装置7において行われる。ディジタル信号処理装置7から出力された画像データは圧縮伸張処理回路2においてデータ圧縮される。圧縮された画像データが外部メモリI/F5の制御によってメモリカード6に記録される。
再生モードが設定されると,メモリカード6に記録されている圧縮画像データが読み取られる。読取られた圧縮画像データは圧縮伸張処理回路2において伸張された後,表示装置に与えられて再生画像が表示される。
ディジタル信号処理装置7にパープルフリンジ補正ユニット(PF補正ユニット)20が接続されている。PF補正ユニット20はパープルフリンジ判定回路(PF判定回路)21,RGB比算出回路22,パープルフリンジ補正係数算出回路(PF補正係数算出回路)23およびパープルフリンジ補正処理回路(PF補正処理回路)24を含む。PF補正ユニット20において,上述したパープルフリンジを低減する画像処理が行われる。パープル補正ユニット20によるパープルフリンジを低減する画像処理は,ディジタル・スチル・カメラの操作部(図示略)を用いた設定によってオン/オフしてもよいし,撮像によって得られた画像データおよびメモリカード6から読出された画像データのすべてを処理対象としても,ユーザによって選択された画像データを処理対象としてもよい。
第6図は第1実施例のPF補正ユニット20の動作手順を示すフローチャートである。第6図を参照して,PF補正ユニット20に含まれるPF判定回路21,RGB比算出回路22,PF補正係数算出回路23およびPF補正処理回路24を説明する。
ディジタル信号処理装置7を介してPF補正ユニット20に与えられた画像データは,PF判定回路21に入力する。
PF判定回路21は,与えられた画像データによって表される被写体像中にパープルフリンジが発生しているかどうかを判定する。パープルフリンジが発生しているかどうかの判断は被写体像を構成する画素のそれぞれに対して行われる(ステップ41)。
パープルフリンジが発生しているかどうかの判定は,一例では,処理対象画素(以下,注目画素P(i,j)という)について,青(B)成分の信号量(強度)が緑(G)成分の信号量よりも所定閾値以上大きいかどうかによって判定される。青(B)成分の信号量が緑(G)成分の信号量よりも所定の第1閾値以上大きく,かつ赤(B)成分の信号量が緑(G)成分の信号量よりも所定の第2閾値以上大きい画素をパープルフリンジが発生している画素と判定してもよい。上述したように,パープルフリンジを表す画像(画素)は,青(B)成分の信号量と緑(G)成分の信号量との差が大きいこと,赤(R)成分の信号量と緑(G)成分の信号量との間に差があることをその特性として有するからである。
また,パープルフリンジは輝度差の大きい画像輪郭(エッジ)周辺に現れやすいので,所定レベル以上の輝度差(輝度勾配)を有する画像輪郭をあらかじめ検出(抽出)して,その画像輪郭の周辺の画素を処理対象にしてパープルフリンジが発生しているかどうかを判定してもよい。
注目画素P(i,j)にパープルフリンジは発生していないと判定されると(ステップ41でNO),被写体像を構成する全ての画素についての処理が完了したかどうかが判断される(ステップ46)。全画素について処理が完了していない場合,水平方向または垂直方向に1画素分ずれた位置の画素が新たな注目画素P(i,j)とされ,新たな注目画素P(i,j)に対してパープルフリンジが発生しているかどうかが判定される(ステップ46でNO,ステップ41)。
注目画素P(i,j)にパープルフリンジが発生していると判定されると(ステップ41でYES),RGB比算出回路22が,その注目画素(i,j)(以下,パープルフリンジ発生画素P(i,j)という)からN(N:整数)画素だけ離れた位置にあるパープルフリンジが発生していない画素P(m,n)(以下,パープルフリンジ収束画素P(m,n)という)が選択され,そのRGB比が算出される(ステップ42)。後述するように,パープルフリンジ発生画素P(i,j)は,そのRGB比がパープルフリンジ収束画素P(m,n)のRGB比に近づくように色補正される。
第7図は,被写体像G上におけるパープルフリンジ発生画素P(i,j)とパープルフリンジ収束画素P(m,n)の位置関係の一例を示している。第7図では,パープルフリンジ発生画素P(i,j)から垂直(上)方向にN画素分離れた画素が,パープルフリンジ収束画素P(m,n)として選択されている様子を示す。
上述のN画素の「N」を具体的にいくつするかは,たとえば,処理対象の画像データの撮像に用いられたディジタル・スチル・カメラにおいて使用されているレンズの特性,CCDの画素数等に応じて定められる。パープルフリンジの発生のしやすさ,パープルフリンジが発生したときの広がり等はレンズの色コマ収差,CCDの画素数等に依存するからである。たとえばNの値としては8(8画素)が用いられる。
また,上述したように,パープルフリンジは所定レベル以上の輝度差を有する画像輪郭の周辺に生じやすい。さらに,パープルフリンジ発生画素P(i,j)は青(B)成分の信号量が緑(G)成分の信号量とからかけ離れて大きくなっていることをその特性の一つとしているので,パープルフリンジを低減するには青(B)成分の信号量を低くする必要がある。したがって,パープルフリンジ発生画素P(i,j)に対するN画素離れたパープルフリンジ収束画素P(m,n)の方向としては,パープルフリンジ発生画素P(i,j)の近傍の画像輪郭において輝度差の最も大きな方向に沿う方向(画像輪郭に垂直な方向)であって,輝度が減少する方向(低輝度部側)が採用される。
上述のようにして,パープルフリンジ発生画素P(i,j)からN画素離れた位置にある画素がパープルフリンジ収束画素P(m,n)として選択され,そのRGB比が算出される。パープルフリンジ収束画素P(m,n)のRGB比は,たとえば,以下の2つの値である。
B/G(m,n) ・・・式1
R/G(m,n) ・・・式2
式1はパープルフリンジ収束画素P(m,n)の青(B)成分の信号量を,緑(G)成分の信号量によって除算することを表している。式2はパープルフリンジ収束画素P(m,n)の赤(R)成分の信号量を,緑(G)成分の信号量によって除算することを表している。
同様にして,パープルフリンジ発生画素P(i,j)のRGB比も,次式によって算出される。
B/G(i,j) ・・・式3
R/G(i,j) ・・・式4
パープルフリンジ収束画素P(m,n)およびパープルフリンジ発生画素P(i,j)のRGB比が算出されると,PF補正係数算出回路23が,パープルフリンジ発生画素P(i,j)のRGB比を,パープルフリンジ収束画素P(m,n)のRGB比に近づける補正係数Rev(i,j)を算出する。補正係数Rev(i,j)は青(B)成分に対する補正係数と赤(G)成分に対する補正係数を含む。青(B)成分の補正係数RevB(i,j)は次式によって算出される。
補正係数RevB(i,j)=(B/G(m,n))/(B/G(i,j))
・・・式5
上述したように,パープルフリンジ発生画素P(i,j)の青(B)成分の信号量は緑(G)成分の信号量よりも大きい。また,パープルフリンジ収束画素P(m,n)としては低輝度側の画素が採用されている。したがって,B/G(m,n)の値よりもB/G(i,j)の値の方が大きくなるので,上記式5によって算出される青(B)成分の補正係数RevB(i,j)は,一般に1よりも小さい値になる。
同様にして,赤(R)成分の補正係数RevR(i,j)は,次式によって算出される。
補正係数RevR(i,j)=(R/G(m,n))/(R/G(i,j))
・・・式6
算出された補正係数Rev(i,j)(青成分用および赤成分用)が用いられて,PF補正処理回路24によってパープルフリンジ発生画素P(i,j)が色補正される。色補正後のパープルフリンジ発生画素P(i,j)の青(B)成分は,次式によって表される。
色補正後のパープルフリンジ発生画素P(i,j)の青(B)成分
=B(i,j)×RevB(i,j) ・・・式7
同様に,パープルフリンジ発生画素P(i,j)の赤(R)成分は,次式によって色補正される。
色補正後のパープルフリンジ発生画素P(i,j)の赤(R)成分
=R(i,j)×RevR(i,j) ・・・式8
パープルフリンジ発生画素P(i,j)のRGB比がパープルフリンジ収束画素P(m,n)のRGB比に近づくように色補正されるので,パープルフリンジ発生画素P(i,j)はパープルフリンジの無いまたはパープルフリンジが低減されたものになる。
第8図および第9図は,上述したPF補正ユニット20による色補正効果を示すもので,第8図がPF補正ユニット20による色補正処理前のグラフ(RGBの信号量)を,第9図がPF補正ユニット20による色補正処理後のグラフをそれぞれ示している。第9図を参照して,パープルフリンジが発生している画素中の青(B)成分信号の信号量が低められるように色補正されている。赤(R)成分信号もその信号量が低められるように色補正されている。高輝度部から低輝度部までの色のつながりが自然な色補正が達成されている。
上述した第1実施例では,青(B)成分信号および赤(R)成分信号の両方を色補正しているが,パープルフリンジは青(B)成分信号が支配的であるので,青(B)成分信号のみについて色補正を行うようにしてもよい。もちろん,赤(R)成分信号のみについて色補正を行うようにしてもよい。青(B)成分信号および赤(R)成分信号の色補正は同様に行われるので,以下の実施例では,基本的に青(B)成分信号の色補正について説明する。
また上述した第1実施例では,パープルフリンジ補正処理(低減処理)がPF補正ユニット20によって実行されているが,PF補正ユニット20の処理と同様の処理をCPU1またはディジタル信号処理装置7に実行させることでパープルフリンジ補正処理を実行してもよい。この場合には,CPU1またはディジタル信号処理装置7に上述のパープルフリンジ補正処理を実行させるプログラムが,ROM9Bに記憶される。CD−ROM等の記録媒体に上記プログラムを記録しておき,これをインストールしてもよい。さらに,汎用のコンピュータ・システムに上述のパープルフリンジ補正処理を実行させることもできる。PF補正ユニット20の処理と同様の処理をコンピュータ・システムに実行させるプログラムがコンピュータ・システムにインストールされると,そのコンピュータ・システムがパープルフリンジ補正処理を実行する画像処理装置として機能する。このことは,後述する他の実施例でも同様である。
第10図は第2実施例のディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。第11図は第2実施例のディジタル・スチル・カメラのPF補正ユニット20Aの処理手順を示すフローチャートである。第10図に示すブロック図において,第5図に示す第1実施例のディジタル・スチル・カメラのブロック図中のブロックと同じブロックは同一符号を付し重複説明を避ける。第11図に示すフローチャートにおいて第6図に示すフローチャート中の処理と同一処理には同一符号を付し,重複説明を避ける。
第2実施例のディジタル・スチル・カメラに含まれるPF補正ユニット20Aは,画素輝度算出回路25,輝度差算出回路26およびパープルフリンジ補正重みWeightY算出回路(PF補正重みWeightY算出回路)27が加えられている点,およびPF判定回路21が無い点が,第1実施例のディジタル・スチル・カメラのPF補正ユニット20と異なる。
注目画素P(i,j)から水平方向,垂直方向および2つの斜め方向(右斜め方向および左斜め方向)にM画素離れた8つの周辺画素のそれぞれの輝度値Yが画素輝度算出回路25によって算出され(ステップ51),パープルフリンジ発生画素P(i,j)を中心にして対称位置にある2つの周辺画素の輝度差が輝度差算出回路26によって算出される(ステップ52)。
第12図,第13図および第14図を参照して輝度差算出処理(ステップ51,52)を説明する。ここでは,M=4である場合を例に説明する。
注目画素P(i,j)が第12図に示す位置にある場合,注目画素P(i,j)から水平方向に4画素離れた周辺画素は,第13図に示すように画素P(i−4,j)と画素P(i+4,j)である。水平方向について注目画素P(i,j)を中心にして対称位置にある画素P(i−4,j)と画素P(i+4,j)の輝度差が算出される。
第14図に示すように,垂直方向,左斜め方向および右斜め方向に4画素離れた他の周辺画素についても,注目画素P(i,j)を中心にして対称位置にある画素同士の輝度差が算出される。すなわち,垂直方向の画素P(i,j+4)と画素P(i,j−4)の輝度差,左斜め方向の画素P(i−4,j+4)と画素P(i+4,j−4)の輝度差,および右斜め方向の画素P(i+4,j+4)と画素P(i−4,j−4)の輝度差がそれぞれ算出される。注目画素P(i,j)について,4つの輝度差が算出されることになる。
第11図に戻って,PF補正重みWeightY算出回路27によって,算出された4つの輝度差のうち最も大きい輝度差ΔY(i,j)が選択され(ステップ53),その最大輝度差ΔY(i,j)に応じた重みWeightY(i,j)が算出(決定)される。算出された重みWeightY(i,j)はPF補正処理回路24に与えられる。
第15図は,上述の重みWeightY(i,j)の算出(決定)に用いられるメンバシップ関数M1を示すグラフである。
重みWeightY(i,j)の算出(決定)に用いられるメンバシップ関数M1は,輝度差ΔY(i,j)に応じて異なる重みWeightY(i,j)を決定する関数である。重みWeightY(i,j)は0から1までの範囲の値によって算出される。
輝度差ΔY(i,j)が0から第1の所定輝度値Y1まで範囲の値の場合,重みWeightY(i,j)=0である。第1の所定輝度値Y1から第2の所定輝度値Y2までの範囲の値であればメンバシップ関数M1によって輝度値ΔY(i,j)が大きいほど大きな値の重みWeightY(i,j)が決定される。算出される輝度差ΔY(i,j)が第2の所定輝度値Y2以上であれば,最大の重みWeightY(i,j)=1が算出される。
上述のように,算出された重みWeightY(i,j)はPF補正処理回路24に与えられる。第1実施例において説明したように,PF補正係数算出回路23において算出された青(B)成分についての補正係数RevB(i,j)もPF補正処理回路24に与えられる。PF補正処理回路24において,次式によって,青(B)成分の補正係数RevB(i,j)が重付けされる。
重付け補正係数RevB(i,j)=RevB(i,j)×Weight Y(i,j)
・・・式9
重付け補正係数Rev(i,j)に応じて注目画素P(i,j)の青(B)成分(ないし赤(R)成分)がPF補正回路24によって色補正される(ステップ55,式7参照)。
注目画素P(i,j)の周辺画素の輝度差ΔY(i,j)が小さい場合,すなわち,第15図を参照して,輝度差ΔY(i,j)が0から第1の所定輝度値Y1までの範囲の値であれば,重みWeightY(i,j)は0になるので重付け補正係数RevB(i,j)は0になる。この場合,注目画素P(i,j)の青(B)成分について色補正は行われない。すなわち,その注目画素P(i,j)はパープルフリンジは発生していないと判断され,パープルフリンジを低減する色補正が行われないことを意味する。
第15図を参照して,注目画素P(i,j)の周辺画素の輝度差ΔY(i,j)が第2の所定輝度値Y2以上であれば,重みWeightY(i,j)は1となる。重付け補正係数RevB(i,j)として補正係数RevB(i,j)がそのまま用いられる(式9)。
注目画素P(i,j)の周辺画素の輝度差ΔY(i,j)が第1の所定輝度値Y1から第2の所定輝度値Y2までの範囲の値であれば,重みWeightY(i,j)は0よりも大きく,かつ1よりも小さい値になる。最大輝度差ΔY(i,j)が小さくなればなるほど,重付け補正係数RevB(i,j)は小さな値となるので色補正の効果が弱められることになる。
パープルフリンジは画像輪郭における輝度差が大きいほどが強く表れる。第2実施例では,上述のように,注目画素(i,j)と周辺画素Pとの間の最大の輝度差ΔY(i,j)を用いて各画素がパープルフリンジ低減処理を行うべき画素(パープルフリンジ発生画素P(i,j))かどうかが判定される。パープルフリンジが発生しているかどうかの判定の精度は高い。また,メンバーシップ関数M1を用いた重付けによって,すなわち,パープルフリンジ発生画素P(i,j)である確度に応じて補正係数RevB(i,j)を用いた色補正の効果が弱められるので,誤補正も低減される。
メンバシップ関数M1(第15図)は,PF補正重みWeightY算出回路27にルックアップテーブルの形で記憶させておいてもよいし,ROM9Bに記憶させておいてもよい。
第16図は,第3実施例のディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。第17図は第3実施例のディジタル・スチル・カメラのPF補正ユニット20Bの処理手順を示すフローチャートである。第16図に示すブロック図において,第10図に示す第2実施例のディジタル・スチル・カメラのブロック図中のブロックと同じブロックには同一符号を付し重複説明を避ける。第17図に示すフローチャートにおいて第11図に示すフローチャート中の処理と同一処理には同一符号を付し,重複説明を避ける。
第3実施例のディジタル・スチル・カメラに含まれるPF補正ユニット20Bは,画素輝度算出回路25,輝度差算出回路26およびPF補正重みWeight Y算出回路27に代えて,色味算出回路28およびパープルフリンジ重みWeightC算出回路(PF重みWeightC算出回路)29が設けられている点が,第2実施例のディジタル・スチル・カメラのPF補正ユニット20Aと異なる。
色味算出回路28によって注目画素P(i,j)の色差データ(CrデータおよびCbデータ)が算出される(ステップ61)。その後,PF重みWeightC算出回路29によって,Crデータについてのメンバシップ関数M2およびCbデータについてのメンバシップ関数M3が用いられて,注目画素P(i,j)に対する色味についての重みWeight CrおよびWeight Cbがそれぞれ算出される(ステップ62)。
第18図はCrデータについてのメンバシップ関数M2を,第19図はCbデータについてのメンバシップ関数M3をそれぞれ示している。
第18図を参照してCrデータが−128から第1色差値Cr1までの範囲の値であれば,Crデータに関する重み(Weight Cr(i,j))として0が算出される。Crデータが第2色差値Cr2以上の場合であればCrデータに関する重みWeight Cr(i,j)として1が決定される。Crデータが第1色差値Cr1から第2色差値Cr2までの範囲内の値であれば,Crデータが小さいほど,小さい値の重みWeight Cr(i,j)が0〜1の範囲でメンバシップ関数M2に基づいて算出される。
第19図を参照して,Cbデータについても同様である。Cbデータが−128から第1色差値Cb1までの範囲の値であれば,Cbデータに関する重み(Weight Cb(i,j))として0が算出される。Cbデータが第2色差値Cb2以上の場合,Cbデータの重みWeight Cr(i,j)は1になる。Cbデータが第1色差値Cb1から第2色差値Cb2までの範囲内の値であれば,Cbデータが小さいほど小さい重みWeight Cb(i,j)が0〜1の範囲でメンバシップ関数M3に基づいて決定される。
注目画素P(i,j)についてCrデータの重みWeight Cr(i,j)およびCbデータの重みWeight Cb(i,j)が決定されると,次式によって2つの重みが統合されてPF補正重みWeightCが算出される。
PF補正重みWeightC(i,j)=Weight Cr(i,j)×Weight Cb(i,j)
・・・式10
算出されたPF補正重みWeight C(i,j)が,第2実施例と同様,補正係数Rev(i,j)の重付けに用いられる。PF補正処理回路24において,次式によって,青(B)成分の補正係数RevB(i,j)が重付けされる。
重付け補正係数RevB(i,j)=RevB(i,j)×Weight C(i,j)
・・・式11
重付け補正係数RevB(i,j)に応じて注目画素P(i,j)の青(B)成分(ないし赤(R)成分)がPF補正回路24によって色補正される(ステップ63,式7参照)。
色差データに関するメンバーシップ関数M2,M3は,紫色の色味に近いかどうかの観点から定められる。上述したように,パープルフリンジは紫色によって現れる。注目画素P(i,j)の色味が紫色またはこれに近い色である場合(紫色を表す色差データCr,Cbを持つ場合)に,メンバーシップ関数M2,M3によって1または1に近い値が算出され,この場合にはPF補正係数算出回路23によって算出された補正係数Rev(i,j)がそのまま用いられる(式11)。他方,注目画素P(i,j)の色味が紫色と異なる色味であればあるほど,重付けによって色補正の適用効果が弱められる。色補正における誤補正が低減される。
もっとも,輝度差の大きな画素輪郭の近傍でない位置にある紫色画素が色補正されるのを防止するために,輝度差の大きな画像輪郭の近傍画素のみを注目画素P(i,j)としてもよい。
第20図は,第4実施例のディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。第21図は第4実施例のディジタル・スチル・カメラのPF補正ユニット20Cの処理手順を示すフローチャートである。第20図に示すブロック図において,第5図に示す第1実施例のディジタル・スチル・カメラのブロック図中のブロックと同じブロックには同一符号を付し重複説明を避ける。第21図に示すフローチャートにおいて,第6図に示すフローチャート中の処理と同一処理には同一符号を付し,重複説明を避ける。
パープルフリンジ補正ユニット20Cは,第1実施例で説明したPF判定回路21,RGB比算出回路22,PF補正係数算出回路23およびPF補正処理回路24に加えて,パープルフリンジ補正方向判定回路(PF補正方向判定回路)30およびパープルフリンジ重みWeight D算出回路(PF重みWeight D算出回路)31を備えている。
上述のように,パープルフリンジ発生画素P(i,j)は,青(B)成分および赤(R)成分の信号量が緑(G)成分の信号量よりも大きくなっている画素であり,したがってパープルフリンジの低減処理では,青(B)成分および赤(R)成分の信号量を低くする色補正が行われる。第4実施例では,パープルフリンジ発生画素P(i,j)の誤検出等によって,補正係数RevB(i,j)および補正係数RevR(i,j)として1以上の値が算出された場合,すなわち,青(B)成分および赤(R)成分の信号量をさらに大きくする補正係数RevB(i,j),補正係数RevR(i,j)が算出された場合,補正係数による補正効果を無くす,または補正効果を弱める処理が行われる。
第22図は補正係数Rev(i,j)に応じた重みWeightD(i,j)の算出(決定)に用いられるメンバシップ関数M4を示すグラフである。
青成分については,PF補正方向判定回路30によって,PF補正係数算出回路23によって算出された補正係数RevB(i,j)が青(B)成分の信号量をさらに大きくするものであるかどうか(補正の方向がプラス方向であるかどうか)に応じて,大きくするものであるであれば重みWeightD(i,j)として「0」が算出(決定)され,大きくするものでなければ重みWeightD(i,j)として「1」が算出される(ステップ71,第22図)。すなわち,補正係数RevB(i,j)として,1を超える補正係数RevR(i,j)がPF補正係数算出回路23によって算出された場合,重みWeight Dとして色補正の効果を無くす値(=0)が算出される。
重みWeight D(i,j)が「1」であれば補正係数RevB(i,j)がそのまま用いられて色補正され,重みWeight D(i,j)が「0」であれば色補正が行われないのは,上述した実施例2および3と同様である。赤(R)成分についても同様の処理が行われる。
PF補正係数算出回路23において誤動作等が生じ,青(B)成分および赤(R)成分の信号量をさらに大きくする補正係数が得られたときに,PF補正を行わないようにすることができ,誤補正が未然に防止される。

Claims (19)

  1. 与えられる画像データの入力を受付け,
    受付けられた画像データについて,画素ごとにパープルフリンジが発生しているかどうかを判定し,
    パープルフリンジの発生が判定されたパープルフリンジ発生画素のRGB比と,そのパープルフリンジ発生画素の近傍範囲において上記パープルフリンジ発生画素から所定画素数分離れたパープルフリンジ収束画素のRGB比をそれぞれ算出し,
    上記パープルフリンジ発生画素のRGB比を上記パープルフリンジ収束画素のRGB比に近づけるパープルフリンジ補正係数を算出し,
    算出されたパープルフリンジ補正係数を用いて上記パープルフリンジ発生画素を色補正する,
    画像処理方法。
  2. 上記パープルフリンジ補正係数は,上記パープルフリンジ発生画素の青成分信号および赤成分信号の少なくともいずれか一方に対する補正係数である,
    請求の範囲第1項に記載の画像処理方法。
  3. 所定レベル以上の輝度差を有する画像輪郭の周辺画素のうち,少なくとも青成分信号レベルが緑成分信号レベルよりも所定閾値以上大きい画素をパープルフリンジ発生画素と判定する,
    請求の範囲第1項に記載の画像処理方法。
  4. 上記パープルフリンジ収束画素として,上記パープルフリンジ発生画素の近傍の画像輪郭の輝度差が最も大きい方向であって輝度が減少する方向に位置する画素を用いる,
    請求の範囲第1項に記載の画像処理方法。
  5. 上記パープルフリンジ補正係数が,上記パープルフリンジ発生画素の青成分信号および赤成分信号の少なくともいずれか一方の信号量を増やすものである場合に,パープルフリンジ発生画素の色補正効果が弱められるように上記パープルフリンジ補正係数を調節する,
    請求の範囲第1項に記載の画像処理方法。
  6. 与えられる画像データの入力を受付け,
    受け付けられた画像データについて,注目画素ごとに,水平方向,垂直方向および斜め方向のうち少なくとも1方向について,上記注目画素を中心にして対称位置にある画素の輝度をそれぞれ算出し,
    算出された輝度の差を算出し,
    算出された輝度差のうちの最大のものを選択し,
    選択された最大輝度差が小さいほど小さい重みを算出し,
    上記注目画素のRGB比と,その注目画素の近傍範囲において上記注目画素から所定画素数分離れた離間画素のRGB比をそれぞれ算出し,
    上記注目画素のRGB比を上記離間画素のRGB比に近づける補正係数を算出し,
    算出された補正係数を上記算出された重みによって重付けした重付け補正係数を用いて,上記注目画素を色補正する,
    画像処理方法。
  7. 上記離間画素として,上記注目画素の近傍の画像輪郭の輝度差が最も大きい方向であって輝度が減少する方向に位置する画素を用いる,
    請求の範囲第6項に記載の画像処理方法。
  8. 上記最大輝度差が所定値よりも小さい場合に算出される重みは,上記重付け補正係数による色補正の効果を無くすものである,
    請求の範囲第6項に記載の画像処理方法。
  9. 与えられる画像データの入力を受付け,
    受け付けられた画像データについて,注目画素ごとに,上記注目画素の色味が紫色かどうかを判断し,
    上記注目画素の色味が紫色から遠いほど小さい重みを算出し,
    上記注目画素のRGB比と,上記注目画素の近傍範囲において上記注目画素から所定画素数分離れた離間画素のRGB比をそれぞれ算出し,
    上記注目画素のRGB比を上記離間画素のRGB比に近づける補正係数を算出し,
    算出された補正係数を上記算出された重みによって重付けした重付け補正係数を用いて,上記注目画素を色補正する,
    画像処理方法。
  10. 上記離間画素として,上記注目画素の近傍の画像輪郭の輝度差が最も大きい方向であって輝度が減少する方向に位置する画素を用いる,
    請求の範囲第9項に記載の画像処理方法。
  11. 上記注目画素の色味が紫色と認識されない色味である場合に算出される重みは,上記重付け補正係数による色補正の効果を無くすものである,
    請求の範囲第9項に記載の画像処理方法。
  12. 算出された補正係数が,上記注目画素の青成分信号および赤成分信号の少なくともいずれか一方の信号量を増やすものである場合に,色補正効果が弱められるように上記補正係数を調節する,
    請求の範囲第6項および第9項に記載の画像処理方法。
  13. 与えられる画像データの入力を受付ける画像データ入力装置,
    上記画像データ入力装置によって受付けられた画像データについて,画素ごとにパープルフリンジが発生しているかどうかを判定するパープルフリンジ判定回路,
    上記パープルフリンジ判定回路によってパープルフリンジの発生が判定されたパープルフリンジ発生画素のRGB比と,そのパープルフリンジ発生画素の近傍範囲において上記パープルフリンジ発生画素から所定画素数分離れたパープルフリンジ収束画素のRGB比をそれぞれ算出するRGB比算出回路,
    上記パープルフリンジ発生画素のRGB比を上記パープルフリンジ収束画素のRGB比に近づけるパープルフリンジ補正係数を算出するパープルフリンジ補正係数算出回路,および
    上記パープルフリンジ補正係数算出回路によって算出されたパープルフリンジ補正係数を用いて上記パープルフリンジ発生画素を色補正するパープルフリンジ低減装置を備える,
    画像処理装置。
  14. 与えられる画像データの入力を受付ける画像データ入力装置,
    上記画像データ入力装置によって受け付けられた画像データについて,注目画素ごとに,水平方向,垂直方向および斜め方向のうち少なくとも1方向について,上記注目画素を中心にして対称位置にある画素の輝度をそれぞれ算出する輝度算出回路,
    上記輝度算出回路によって算出された輝度の差を算出する輝度差算出回路,
    上記輝度差算出回路によって算出された輝度差のうちの最大のものを選択する最大輝度差選択装置,
    上記最大輝度差選択装置によって選択された最大輝度差が小さいほど,小さい重みを算出する重み算出装置,
    上記注目画素のRGB比と,その注目画素の近傍範囲において上記注目画素から所定画素数分離れた離間画素のRGB比をそれぞれ算出するRGB比算出回路,
    上記注目画素のRGB比を上記離間画素のRGB比に近づける補正係数を算出する補正係数算出回路,および
    上記補正係数算出回路によって算出された補正係数を上記重み算出装置によって算出された重みによって重付けした重付け補正係数を用いて,上記注目画素を色補正する色補正回路を備える,
    画像処理装置。
  15. 与えられる画像データの入力を受付ける画像データ入力装置,
    上記画像入力装置によって受け付けられた画像データについて,注目画素ごとに,上記注目画素の色味が紫色かどうかを判断する色味判断回路,
    上記注目画素の色味が紫色から遠いほど小さい重みを算出する重み算出回路,
    上記注目画素のRGB比と,上記注目画素の近傍範囲において上記注目画素から所定画素数分離れた離間画素のRGB比をそれぞれ算出するRGB比算出回路,
    上記注目画素のRGB比を上記離間画素のRGB比に近づける補正係数を算出する補正係数算出回路,および
    上記補正係数算出回路によって算出された補正係数を上記重み算出回路によって算出された重みによって重付けした重付け補正係数を用いて,上記注目画素を色補正する色補正回路を備える,
    画像処理装置。
  16. コンピュータ・システムを画像処理装置として動作させるためのプログラムであって,
    与えられる画像データの入力を受付けさせ,
    受付けられた画像データについて,画素ごとにパープルフリンジが発生しているかどうかを判定させ,
    パープルフリンジの発生が判定されたパープルフリンジ発生画素のRGB比と,そのパープルフリンジ発生画素の近傍範囲において上記パープルフリンジ発生画素から所定画素数分離れたパープルフリンジ収束画素のRGB比をそれぞれ算出させ,
    上記パープルフリンジ発生画素のRGB比を上記パープルフリンジ収束画素のRGB比に近づけるパープルフリンジ補正係数を算出させ,
    算出されたパープルフリンジ補正係数を用いて上記パープルフリンジ発生画素を色補正させるように,上記コンピュータ・システムを制御する,
    プログラム。
  17. コンピュータ・システムを画像処理装置として動作させるためのプログラムであって,
    与えられる画像データの入力を受付けさせ,
    受け付けられた画像データについて,注目画素ごとに,水平方向,垂直方向および斜め方向のうち少なくとも1方向について,上記注目画素を中心にして対称位置にある画素の輝度をそれぞれ算出させ,
    算出された輝度の差を算出させ,
    算出された輝度差のうちの最大のものを選択させ,
    選択された最大輝度差が小さいほど,小さい重みを算出させ,
    上記注目画素のRGB比と,その注目画素の近傍範囲において上記注目画素から所定画素数分離れた離間画素のRGB比をそれぞれ算出させ,
    上記注目画素のRGB比を上記離間画素のRGB比に近づける補正係数を算出させ,
    算出された補正係数を上記算出された重みによって重付けした重付け補正係数を用いて,上記注目画素を色補正させるように,上記コンピュータ・システムを制御する,
    プログラム。
  18. コンピュータ・システムを画像処理装置として動作させるためのプログラムであって,
    与えられる画像データの入力を受付けさせ,
    受け付けられた画像データについて,注目画素ごとに,上記注目画素の色味が紫色かどうかを判断させ,
    上記注目画素の色味が紫色から遠いほど小さい重みを算出させ,
    上記注目画素のRGB比と,上記注目画素の近傍範囲において上記注目画素から所定画素数分離れた離間画素のRGB比をそれぞれ算出させ,
    上記注目画素のRGB比を上記離間画素のRGB比に近づける補正係数を算出させ,
    算出された補正係数を上記算出された重みによって重付けした重付け補正係数を用いて,上記注目画素を色補正させるように,上記コンピュータ・システムを制御する,
    プログラム。
  19. 請求の範囲第16項から第18項のいずれか一項に記載のプログラムを記録した,コンピュータ読取り可能な記録媒体。
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