JPWO2011062050A1 - 圧電体薄膜の製造方法、圧電体薄膜及び圧電体素子 - Google Patents

圧電体薄膜の製造方法、圧電体薄膜及び圧電体素子 Download PDF

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Abstract

所望の結晶構造で、且つ、元素の良好な構成を有する圧電体薄膜を提供することを目的とし、複数の元素による所定の結晶構造を有する圧電体の薄膜を基板の上に形成する圧電体薄膜の製造方法において、前記基板の上に、第1の基板温度で前記圧電体の初期層を形成する第1工程と、前記初期層に連続して、第2の基板温度で前記圧電体の後期層を形成する第2工程と、を含み、前記第1の基板温度は、前記第1の基板温度で前記初期層を形成した場合の初期層の結晶構造が、前記第2の基板温度で前記初期層を形成した場合の初期層の結晶構造よりも、前記所定の結晶構造に近くなるように形成される温度であり、前記第2の基板温度は、該後期層の圧電体を形成する複数の元素の組成比が、前記初期層の組成比より、化学量論的組成比に近くなるように形成される温度である。

Description

本発明は、圧電体薄膜の製造方法、圧電体薄膜及び圧電体素子に関する。
従来から、PZTなどの圧電体は、駆動素子やセンサなどの機械電気変換素子として用いられている。また近年、装置の小型化、高密度化、低コスト化などの要求に応えて、Si基板を用いたMEMS素子(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械素子)が増加している。
圧電体をMEMS素子に応用するには、圧電体の薄膜化が望ましく、薄膜化により、成膜、フォトリソグラフィーなど半導体プロセス技術を用いた高精度な加工を適用することができ、MEMS素子の小型化、高密度化が実現できる。また、圧電体の薄膜化は、大面積のウェハに一括加工することによる圧電素子の多数個の製造を容易に可能とするものであるため、コスト低減、機械電気変換効率の向上、駆動素子の特性やセンサの感度の向上に寄与するなどの利点が生じる。
PZTなどの圧電体をSiなどの基板上に成膜するには、CVD法など化学的な方法、スパッタ法やイオンプレーティング法など物理的な方法、ゾルゲル法など液相での成長法がある。
PZTなどの圧電体は、一般的にABO型の酸化物で結晶がペロブスカイト型構造を持つときに良好な圧電効果を発現する。この結晶構造は成膜時の温度により制御でき、PZTをスパッタ法等で成膜する場合の基板温度(成膜温度)と生成相(結晶構造)との関係を図5に示す(非特許文献1、p.145 図3)。
図5において、aは非晶質、Fluはフルオライト相、Pyはパイロクロア相、Perはペロブスカイト相を表している。また、製造方法は、上段から順にスパッタ法(Sputter)、PLD法(Pulsed Laser Deposition)、CSD法(Chemical Solution Deposition)及びMOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)である。図5のスパッタ法の場合を例にすると、基板温度が600℃前後において、成膜の結晶構造がペロブスカイト型構造となるが、その温度域以外の低温側及び高温側の何れにおいても、ペロブスカイト型とは異なる結晶構造や非晶質の部分が発生し圧電特性が低下する。
PZTの構成元素であるPbの蒸気圧は、他の元素であるTiやZrと比較して高い(1Pa時の昇華温度はPbが705℃、Tiが1709℃、Zrが2366℃)。PZTの基板温度と鉛組成比との関係を図6に示す(非特許文献1、p.146 図4)。図6において、横軸は基板温度(℃)、縦軸はPZT成膜の基板温度が550℃における鉛組成比を1として規格化した値である。図6が示すように、基板温度が高くなるに従い鉛組成比が減少する。
図5で示すペロブスカイト構造が得られる温度域は、構成元素である鉛の昇華する温度が非常に近く、この温度域においては、図6で示すように鉛組成比は減少する。このため、良好なペロブスカイト構造を得るために好ましい基板温度でPZTを成膜すると鉛の欠損が生じ、結晶性の低下を招き、圧電特性が低下する。一方、鉛の過剰は、薄膜に酸化鉛が残存し、絶縁性が低下する。
特許文献1には、高周波マグネトロンスパッタ法を用いて強誘電体薄膜(PbLa1−xTi1−x/4(0≦x≦0.25))を形成する際、基板温度を600℃とし、鉛の不足を防止するため、ターゲットを作成する際に過剰のPbO粉末を混合することが開示されている。
特開平6−260018号公報
中村僖良監修、「圧電材料の高性能化と先端応用技術」、サイエンス&テクノロジー株式会社、2007年11月29日
しかしながら、特許文献1においては、ターゲットに含まれる鉛の組成比を高めにすることで、基板に堆積する鉛の量を比較的多くすることができるものの、基板温度が高いため、一度基板に堆積した鉛の一部が蒸発してしまう。このため、形成された強誘電体薄膜の鉛組成比が変動して所望の結晶構造を安定して得ることが困難であるが、これらに関して、特許文献1には記載されていない。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、所望の結晶構造で、且つ、元素の良好な構成を有する圧電体薄膜の製造方法、圧電体薄膜及び圧電体素子を提供することである。
上記の課題は、以下の構成により解決される。
1.複数の元素による所定の結晶構造を有する圧電体の薄膜を基板の上に形成する圧電体薄膜の製造方法において、
前記基板の上に、第1の基板温度で前記圧電体の初期層を形成する第1工程と、
前記初期層に連続して、第2の基板温度で前記圧電体の後期層を形成する第2工程と、を含み、
前記第1の基板温度は、前記第1の基板温度で前記初期層を形成した場合の初期層の結晶構造が、前記第2の基板温度で前記初期層を形成した場合の初期層の結晶構造よりも、前記所定の結晶構造に近くなるように形成される温度であり、
前記第2の基板温度は、該後期層の圧電体を形成する複数の元素の組成比が、前記初期層の組成比より、化学量論的組成比に近くなるように形成される温度であることを特徴とする圧電体薄膜の製造方法。
2.前記所定の結晶構造は、ペロブスカイト型結晶構造であることを特徴とする前記1に記載の圧電体薄膜の製造方法。
3.前記圧電体は、鉛を含む酸化物であり、
前記第1の基板温度は、前記第2の基板温度より高いことを特徴とする前記1に記載の圧電体薄膜の製造方法。
4.前記後期層の厚みは、前記初期層の厚みより厚いことを特徴とする前記1に記載の圧電体薄膜の製造方法。
5.前記初期層及び前記後期層の前記圧電体は、スパッタリング法を用いて形成されることを特徴とする前記1に記載の圧電体薄膜の製造方法。
6.複数の元素による所定の結晶構造を有する圧電体の薄膜が基板の上に形成されている圧電体薄膜において、
前記圧電体薄膜は、初期層と後期層とを有し、
前記後期層の圧電体を形成する複数の元素の組成比は、前記初期層の組成比より化学量論的組成比に近いことを特徴とする圧電体薄膜。
7.前記所定の結晶構造は、ペロブスカイト型結晶構造であることを特徴とする前記6に記載の圧電体薄膜。
8.前記圧電体は、鉛を含む酸化物であることを特徴とする前記6に記載の圧電体薄膜。
9.前記後期層の厚みは、前記初期層の厚みより厚いことを特徴とする前記6に記載の圧電体薄膜。
10.基板と、
前記基板上に形成された、複数の元素による所定の結晶構造を有する圧電体薄膜とを有し、
前記圧電体薄膜は、初期層と後期層とを有し、
前記後期層の圧電体を形成する複数の元素の組成比は、前記初期層の組成比より化学量論的組成比に近いことを特徴とする圧電体素子。
本発明によれば、所望の結晶構造で、且つ、元素の良好な構成を有する圧電体薄膜の製造方法、圧電体薄膜及び圧電体素子を提供することができる。
本発明の圧電体薄膜を有する圧電体素子の例を示す図である。 圧電体薄膜をスパッタリング法で成膜する製造装置の例を示す図である。 基板上に圧電体薄膜を形成する工程を示すフロー図である。 本発明の圧電体薄膜をダイヤフラムに応用した圧電体素子の例を示す図である。 PZT薄膜を成膜する場合、製造方法と、それぞれの製造方法における基板温度と生成相との関係を示す図である。 PZT薄膜の基板温度と鉛組成比との関係を示す図である。
本発明を実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。
図1は、本発明に係る圧電体素子100の例を示す。図1において、圧電体素子100は、Si基板110の上に、順に、熱酸化膜(SiO)120、下部電極130、圧電体薄膜140及び上部電極150が形成されている。圧電体薄膜140は、下部電極130上に形成されている初期層140a、初期層140a上に連続して形成されている後期層140bを有している。
上記構成の圧電体素子100に関して、圧電体素子100の製造方法と共に以下に説明する。圧電体薄膜140は、高周波マグネトロンスパッタリング法によりSi基板110の上に成膜され、本実施の形態では、圧電体薄膜140は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)とする。
図2は、圧電体薄膜140等を上記のスパッタリング法で成膜する圧電体薄膜の製造装置200(以下、製造装置200)を模式的に示す。図2に示す製造装置200において、真空チャンバー1の中に、PZTの原料を有するターゲット2及び成膜されるSi基板110が配置されている。
ターゲット2は電極を兼ねたターゲット皿3により保持され、Si基板110は電極を兼ねた基板ホルダー10により保持されている。ターゲット皿3の縁はカバー4で覆われ、ターゲット皿3はマグネット5上に配置され、マグネット5とその下にある高周波電極6は、絶縁体7によって真空チャンバー1から絶縁されている。高周波電極6は、高周波電源8に接続されている。
基板ホルダー10は、内部にSi基板110を加熱するための基板加熱ヒーター11を備え、Si基板110上に均一に成膜できるように回転する軸9に接続されている。軸9は、シール付きベアリング16を通して真空チャンバー1の外部に設けてある回転駆動部であるモータ15に接続されている。
真空チャンバー1には、スパッタガスを導入するノズル14及び図示しない排気装置に接続されている排気口Aが設けられている。ノズル14から導入されるスパッタガスは、バルブ12を介して供給口Bから供給されるArガスとバルブ13を介して供給口Cから供給されるOガスの混合ガスである。
図3は、図2に示す製造装置200を用いて圧電体薄膜をSi基板上に形成する工程を示すフローチャートである。
所定の組成比に調合したPZT材料の粉末を混合、焼成、粉砕し、ターゲット皿3に充填して加圧することによりターゲット2を作製する。ターゲット皿3を、マグネット5上に設置し、その上にカバー4を設置する。ターゲット2のPZT材料の組成比は、成膜後の薄膜が良好な圧電特性を示す結晶構造をなし得る所望の組成比(化学量論的組成比)と同等で良く、従来知られているような、成膜の際に認められる鉛不足を補うような特別な組成比にする必要はない。
Si基板110は、<100>に配向したSi単結晶板を用い、その表面には熱酸化膜120が形成されており、更に片面に、予め下部電極130として、<100>に優先配向した白金(Pt)がスパッタリング法により、所定の厚さだけ形成してある。
Si基板110の厚みは、所望の圧電体素子の構成により異なるが、一般的に300〜500μm程度である。熱酸化膜120は保護及び絶縁が目的で形成されており、Si基板を1500℃程度で加熱することにより形成され、その厚みは一般的に0.1μm程度である。下部電極130の厚みは一般的に0.1μm程度である。
次に、熱酸化膜120及び下部電極130を備えたSi基板110を、下部電極130を下向きにして基板ホルダー10に保持させ、真空チャンバー1内を排気し、基板加熱ヒーター11によってSi基板110を600℃から650℃、好ましくは600℃前後にまで加熱し、維持する。維持されている上記の第1の基板温度T1は、成膜時の基板温度であって、図5から分かるように、PZT薄膜を形成する際、薄膜が良好な圧電特性を発現するペロブスカイト型構造を有する結晶を容易に形成することができる温度である。
また、後述する第2の基板温度T2との比較において、第1の基板温度T1は、第1の基板温度T1で初期層を形成した場合の初期層の結晶構造が、第2の基板温度T2で初期層を形成した場合の初期層の結晶構造よりも、ペロブスカイト型構造に近くなるように形成される温度である。
Si基板110を上記の温度に維持した状態で、バルブ12及び13を開け、スパッタガスであるArガスとOガスを所定の割合に混合した混合ガスをノズル14より真空チャンバー1内に導入しながら、真空チャンバー1内の真空度を所定値に維持する。真空度を所定値に維持した状態で、ターゲット2に、高周波電源8より高周波電力を投入し、プラズマを発生させ、Si基板110上に初期層140aを成膜する(第1工程)。
初期層140aの厚みは、0.01μmから初期層140aを含めた圧電体薄膜140の厚みの10%以下、好ましくは0.01μmになるまで成膜を行い、初期層140aの成膜後一旦電力を切り、スパッタリングを停止する。
初期層140aの厚みを0.01μm以上とすることにより、初期層140aは結晶構造を形成することができる。形成される結晶構造は、<100>に優先配向した白金を下地とし、成膜する際に設定されている基板温度から、ほぼ完全なペロブスカイト型構造とすることができる。
初期層140aは、良好なペロブスカイト型構造を有する一方で、成膜時の基板温度が高いため、構成元素である鉛の蒸気圧からその一部に欠損が生じ、この欠損により分極の状態が変化するため、十分な圧電特性を有していない。初期層140aの厚みをSi基板110上に形成する圧電体薄膜140の厚みの10%以内に抑えることにより、初期層140a上に引き続いて形成する後期層140bが有する圧電特性を大きく妨げることが無く、実用的な範囲で十分な圧電特性を示すことができる。また、初期層140aは、上記の通り十分に薄いことと共に、変位し難いSi基板110に近いため、圧電特性が十分でないことの影響は軽微である。
次に、基板加熱ヒーター11を制御して、Si基板110の温度を540℃から570℃、好ましくは550℃に設定し維持させる。図6から分かるように、この維持されている上記の第2の基板温度T2で形成される後期層140bは、先の初期層140aを形成した第1の基板温度T1と比較して鉛の組成比が改善され、より良好な圧電特性を示す結晶構造をなし得る所望の組成比(化学量論的組成比)に近いものとなることができる。
Si基板110を上記の温度に維持した状態で、ターゲット2に、高周波電源8より高周波電力を再度投入し、初期層140aの上に連続して後期層140bを所望の膜厚になるまで成膜を行う(第2工程)。後期層140bの厚みは、仕様により必要とされる変位、力等により適宜定めればよく、例えばアクチュエータとする場合は一般的に1μmから10μm程度である。
後期層140bは、その基板温度を初期層140aの場合より低くしているため、初期層140aと比較して構成元素である鉛の欠損が生じ難い。一方、その基板温度が低いため、後期層140bが、ペロブスカイト型構造を形成するとは考え難いが、実際には、ほぼ完全なペロブスカイト型構造を形成する。これは、初期層140aがほぼ完全なペロブスカイト構造を有しているため、初期層140aを下地として、この上に連続して形成される後期層140bは、組成が同様であることにも助けられ、下地の格子定数に一致するように倣って、ほぼ完全にペロブスカイト構造となるものと推定される。
このため、後期層140bは、初期層140aと同等のほぼ完全なペロブスカイト型構造を有すると伴に、その構成元素においては、初期層140aと比較して鉛の欠損が抑えられ、より所望の組成比(化学量論的組成比)に近い、元素の良好な構成を有するものとなっている。
従って、後期層140bは、良好な圧電特性を有し、その厚みを適宜定めることにより、仕様により必要とされる変位、力等に十分に対応出来るものである。また、後期層140bは、変位し難いSi基板110から離れた位置に存在するため、センサ、アクチュエータとしての必要な特性を得る上で有利である。
最後に、後期層140b上にPt又はAl等で上部電極150を設けることにより圧電体素子100が完成する。
図4に本実施の形態で説明した圧電体薄膜をダイヤフラムに応用した圧電体素子300の例を示す。Si基板210の一部が円形に除去され窪み210aが形成され、上部に薄い板状の部材が残され、この部材がダイヤフラム210bを成している。
ダイヤフラム210bの窪み210a側と反対側の面上に、窪み210aの形状に対応した円形状の初期層140a、後期層140bを形成する。後期層140b上に上部電極150としてPt膜がスパッタ法などで成膜されている。
上部電極150と下部電極130と間に所定の電圧を加えると、圧電体薄膜140が左右方向に伸縮し、バイメタルの効果によりダイヤフラム210bを上下に湾曲させることができる。圧電体素子300は、例えば窪み210aに気体や液体を充填できるようにすると、ポンプなどのアクチュエータとして応用できる。
また、圧電体素子300は、音波や超音波によりダイヤフラム210bが振動させられると、上記と反対の効果により上部電極150と下部電極130と間に電圧を発生し、この電圧の周波数や大きさを検出されるようにすることによって音波センサとして応用できる。
これまで説明した圧電体薄膜の材料は、PZTに限定されることはなく、PZTにNb(ニオブ)、La(ランタン)、Mn(マンガン)などを添加したものでも良い。また、PZTの代わりに、PNT(ニオブ酸チタン酸鉛)、PMN−PT(マグネシウムニオブ酸チタン酸鉛)、PZNT(亜鉛ニオブ酸チタン酸鉛)など、鉛を含む材料でも良い。
上記に挙げた材料により形成される圧電体薄膜は、PZTを例に説明したペロブスカイト構造を取り、鉛の欠損が押さえられることには変わりはなく、何れもPZTに劣らず良好な圧電特性を示す。また、一般的に基板温度と圧電体を構成する元素の組成比との関係において、温度が高くなると、本実施の形態の例に挙げた鉛に限らず構成元素の一部が欠損することが考えられ、本発明は鉛を有しない圧電体薄膜においても適用できる。
また、製造装置200は、スパッタ法を行うものとして説明したが、PLD法、CSD法及びMOCVD法を行うものとすることができる。
図1に示す圧電体素子100を、図2に示す製造装置200を用い、図3に示すフローチャートに従って製造した。
<100>に配向したSi単結晶板(厚み350μm)をSi基板110とし、このSi基板110に熱酸化膜120(厚み0.1μm)及び下部電極130(Pt、厚み0.1μm)を準備した。また、ターゲット2として、組成がPb(Zr0.52Ti0.48)OとするPZT材料からなるものを準備した。
準備した上記のSi基板110及びターゲット2を図2で示した製造装置200内に配置した。
真空チャンバー1内を真空にした後、Si基板110を加熱し、第1の基板温度T1が600℃となるように設定した。Si基板110の温度が600℃に達した後、この温度を維持した状態で、ArとOの混合ガスを真空チャンバー1内に導入し、厚み0.01μmの初期層140aを形成した。
次に、Si基板110の温度を変更し、第2の基板温度T2が550℃となるように設定した。Si基板110の温度が550℃に達した後、この温度を維持した状態で、ArとOの混合ガスを真空チャンバー1内に導入し、厚み2μmの後期層140bを形成した。
製造した圧電体薄膜140は、X線回折装置による結晶構造解析の結果、後期層140bがほぼ完全なペロブスカイト構造であることが確認できた。また、蛍光X線組成分析装置による測定の結果、後期層140bの組成はターゲット2の組成比とほぼ同一であって、鉛の欠損がほとんど無いことが確認できた。
この後、上部電極150として、Pt膜(厚み0.1μm)を設け、圧電体素子100とした。
圧電体素子100の圧電定数、比誘電率を測定した結果、それぞれ圧電定数d31=−150pm/V、比誘電率が700であって、圧電素子として十分に機能することが確認できた。
100 圧電体素子
110 Si基板
120 熱酸化膜
130 下部電極
140 圧電体薄膜
140a 初期層
140b 後期層
150 上部電極

Claims (10)

  1. 複数の元素による所定の結晶構造を有する圧電体の薄膜を基板の上に形成する圧電体薄膜の製造方法において、
    前記基板の上に、第1の基板温度で前記圧電体の初期層を形成する第1工程と、
    前記初期層に連続して、第2の基板温度で前記圧電体の後期層を形成する第2工程と、を含み、
    前記第1の基板温度は、前記第1の基板温度で前記初期層を形成した場合の初期層の結晶構造が、前記第2の基板温度で前記初期層を形成した場合の初期層の結晶構造よりも、前記所定の結晶構造に近くなるように形成される温度であり、
    前記第2の基板温度は、該後期層の圧電体を形成する複数の元素の組成比が、前記初期層の組成比より、化学量論的組成比に近くなるように形成される温度であることを特徴とする圧電体薄膜の製造方法。
  2. 前記所定の結晶構造は、ペロブスカイト型結晶構造であることを特徴とする請求項1に記載の圧電体薄膜の製造方法。
  3. 前記圧電体は、鉛を含む酸化物であり、
    前記第1の基板温度は、前記第2の基板温度より高いことを特徴とする請求項1に記載の圧電体薄膜の製造方法。
  4. 前記後期層の厚みは、前記初期層の厚みより厚いことを特徴とする請求項1に記載の圧電体薄膜の製造方法。
  5. 前記初期層及び前記後期層の前記圧電体は、スパッタリング法を用いて形成されることを特徴とする請求項1に記載の圧電体薄膜の製造方法。
  6. 複数の元素による所定の結晶構造を有する圧電体の薄膜が基板の上に形成されている圧電体薄膜において、
    前記圧電体薄膜は、初期層と後期層とを有し、
    前記後期層の圧電体を形成する複数の元素の組成比は、前記初期層の組成比より化学量論的組成比に近いことを特徴とする圧電体薄膜。
  7. 前記所定の結晶構造は、ペロブスカイト型結晶構造であることを特徴とする請求項6に記載の圧電体薄膜。
  8. 前記圧電体は、鉛を含む酸化物であることを特徴とする請求項6に記載の圧電体薄膜。
  9. 前記後期層の厚みは、前記初期層の厚みより厚いことを特徴とする請求項6に記載の圧電体薄膜。
  10. 基板と、
    前記基板上に形成された、複数の元素による所定の結晶構造を有する圧電体薄膜とを有し、
    前記圧電体薄膜は、初期層と後期層とを有し、
    前記後期層の圧電体を形成する複数の元素の組成比は、前記初期層の組成比より化学量論的組成比に近いことを特徴とする圧電体素子。
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