JPWO2011061826A1 - 両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセット - Google Patents

両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセット Download PDF

Info

Publication number
JPWO2011061826A1
JPWO2011061826A1 JP2010515149A JP2010515149A JPWO2011061826A1 JP WO2011061826 A1 JPWO2011061826 A1 JP WO2011061826A1 JP 2010515149 A JP2010515149 A JP 2010515149A JP 2010515149 A JP2010515149 A JP 2010515149A JP WO2011061826 A1 JPWO2011061826 A1 JP WO2011061826A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tool
friction stir
rotary
stir welding
joint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010515149A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4838388B2 (ja
Inventor
慎一 加賀
慎一 加賀
満 小野瀬
満 小野瀬
憲明 富永
憲明 富永
斎藤 武彦
武彦 斎藤
泰嗣 芳村
泰嗣 芳村
平野 聡
平野  聡
勝煥 朴
勝煥 朴
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Primetals Technologies Holdings Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Hitachi Metals Machinery Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Hitachi Metals Machinery Inc filed Critical Mitsubishi Hitachi Metals Machinery Inc
Application granted granted Critical
Publication of JP4838388B2 publication Critical patent/JP4838388B2/ja
Publication of JPWO2011061826A1 publication Critical patent/JPWO2011061826A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K20/00Non-electric welding by applying impact or other pressure, with or without the application of heat, e.g. cladding or plating
    • B23K20/12Non-electric welding by applying impact or other pressure, with or without the application of heat, e.g. cladding or plating the heat being generated by friction; Friction welding
    • B23K20/122Non-electric welding by applying impact or other pressure, with or without the application of heat, e.g. cladding or plating the heat being generated by friction; Friction welding using a non-consumable tool, e.g. friction stir welding
    • B23K20/1245Non-electric welding by applying impact or other pressure, with or without the application of heat, e.g. cladding or plating the heat being generated by friction; Friction welding using a non-consumable tool, e.g. friction stir welding characterised by the apparatus
    • B23K20/1255Tools therefor, e.g. characterised by the shape of the probe
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K20/00Non-electric welding by applying impact or other pressure, with or without the application of heat, e.g. cladding or plating
    • B23K20/12Non-electric welding by applying impact or other pressure, with or without the application of heat, e.g. cladding or plating the heat being generated by friction; Friction welding
    • B23K20/122Non-electric welding by applying impact or other pressure, with or without the application of heat, e.g. cladding or plating the heat being generated by friction; Friction welding using a non-consumable tool, e.g. friction stir welding
    • B23K20/1245Non-electric welding by applying impact or other pressure, with or without the application of heat, e.g. cladding or plating the heat being generated by friction; Friction welding using a non-consumable tool, e.g. friction stir welding characterised by the apparatus
    • B23K20/126Workpiece support, i.e. backing or clamping

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Abstract

経済性に優れ、接合強度の高い両面摩擦攪拌接合を行うため、第1及び第2の回転ツール3,4はそれぞれショルダ部3c,4cを先端部分に形成したツール本体3a,4aを有し、第1の回転ツール3は更にツール本体の先端部分から突出するよう形成された突起部3dを有し、第2の回転ツール4は更にツール本体の先端部分に形成され、2枚の金属板1,2の接合時に突起部3dの先端部を収納する凹み部4dを有し、第1および第2の回転ツールを金属板の接合部Jの表面側と裏面側に相対向するように配置し、互いに近づく方向に移動させ、第1の回転ツールの突起部の先端部を第2の回転ツールの凹み部内に挿入し、第1および第2の回転ツールのショルダ部のショルダ面3b,4bを接合部の表面側と裏面側に押圧し、その状態で、第1および第2の回転ツールを接合部に沿って移動させ、接合部の板厚方向全域を第1および第2の回転ツールで摩擦攪拌する。

Description

本発明は、金属材料の接合部を両面から摩擦攪拌し接合するための両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセットに関する。
回転ツールを回転させながら、回転ツールのツール本体に設けられたショルダ部の表面を接合部材の表面と接触させ、ショルダ部の表面と接合部材の表面との摩擦熱を利用して摩擦攪拌し、接合部材を融点以下の固相状態で、材料を攪拌し接合する摩擦攪拌接合技術が知られている。この接合技術は、アルミ合金を主体として、様々な産業分野で実用化されている。
従来の摩擦攪拌接合技術は、大きく、片面摩擦攪拌接合と両面摩擦攪拌接合に分けられる。
片面摩擦攪拌接合は最も一般的な手法であり、例えば特許文献1(日本特許第2712838号公報)の図12に示されている。これは、ツール本体の先端部にそれより小径のプローブを設け、ツール本体の先端部におけるプローブの取り付け部の周辺をショルダ部として構成した回転ツールを用い、この回転ツールを2枚の金属板の接合部(例えば突き合わせ部)の片面側から挿入し、回転ツールを回転させることによって生じる摩擦熱を利用して摩擦攪拌し、接合するものである。
両面摩擦攪拌接合の手法には、2通りが存在する。
両面摩擦攪拌接合の第1の手法は、2枚の金属板の接合部(例えば突き合わせ部)の表面側と裏面側を、一般的にボビンツールと呼ばれている1本の回転ツールで、接合部を摩擦攪拌し、接合するものであり、例えば特許文献1(日本特許第2712838号公報)の図2aに示されている。
両面摩擦攪拌接合の第2の手法は、2本の回転ツールを金属板の接合部(例えば突き合わせ部)の表面側と裏面側にプローブ先端間に実質的に隙間を与えない状態で相対向するように配置し、接合部の両側から摩擦攪拌し、接合するものであり、例えば特許文献1(日本特許第2712838号公報)の図14aに示されている。
特許2712838号
特許文献1に記載の片面摩擦攪拌接合および両面摩擦攪拌接合には、以下の問題がある。
第1は、経済性とツール寿命の問題である。
特許文献1に記載の片面摩擦攪拌接合に供される回転ツールのプローブ長さは、金属板の厚みと同じ長さとなる。
また、両面摩擦攪拌接合に供されるボビンツールにおけるプローブ長さも、片面摩擦攪拌接合と同様に、金属板の厚みと同じ長さとなる。また、表裏面に相対向して配置した2本の回転ツールのプローブ挿入量は、金属板厚みの半分となる。
したがって、金属板の厚みが異なれば、それに応じてプローブ長さも変えなければならないため、金属板の厚みに合わせて、異なるプローブ長さを有する回転ツールを多数準備する必要があり、経済性に劣る問題がある。
また、ボビンツールでは反駆動側のショルダの摩擦攪拌仕事はプローブを介して動力を伝達する。したがって、プローブより大きい直径のショルダを駆動するためには、プローブの断面係数を片面摩擦攪拌接合装置のツールのそれと比較し、少なくとも2倍以上とせざるを得ない。これにより、プローブの直径が大きくなることで、ショルダ径も大きくする必要があり、摩擦攪拌範囲も拡大し、消費エネルギが増加し、且つ装置が大型化するため、経済性に劣る問題がある。
また、摩擦攪拌接合は、比較的融点の低い材料であるアルミニウム等の非鉄合金の分野では、実用化されている。一般に、摩擦攪拌接合では、材料温度を融点の80%程度まで摩擦攪拌熱で上昇させる必要がある。1000℃を超える高融点材料の接合では、単位接合長さ当たりの摩擦攪拌による投入エネルギが高くなり、更には変形抵抗値も高くなることから、回転ツールには高い耐熱強度と破壊靭性が求められ、高価な多結晶ダイヤモンド等の材料を使用せざるを得なかった。
更に、これらツール材料を用いても、熱衝撃、ツールの摩耗およびプローブに作用する曲げ応力等により、ツール寿命が短く、1000℃を超える高融点材料への摩擦攪拌接合の普及を妨げる要因となっている。
第2は、接合不良の問題である。
特許文献1の図2aに記載のボビンツールでは、表裏面のショルダとプローブを一体としているため、表裏面のショルダ面間の距離はツールの構造上、固定される。
また、特許文献1の図14aに記載の両面摩擦攪拌接合では、表裏面に相対向するように配置した2本の回転ツールのプローブ先端間に実質的に隙間を与えない状態で摩擦攪拌接合しているため、表裏面のショルダ面間の距離は、金属板の厚みに応じた接合設定位置で固定される。
このようなショルダ面間の距離を固定した状態での両面摩擦攪拌接合では、金属板の厚みの微小変動が発生した場合、ショルダ面と金属板表面との接触面における面圧が変動する。この面圧の変動により、摩擦熱量が変動し、接合部の品質が低下する問題があった。
更に、特許文献1の図2aに記載のボビンツールでは、表裏面に相対向して配置した回転ツールのショルダの垂直軸芯が同一となるため、回転ツールの軸芯を傾斜させることが出来ず、攪拌に必要な所望の面圧を与えることが難しかった。攪拌に必要な所望の面圧を与えられない場合には、接合部の流動性が低下し、接合欠陥が起こる問題があった。
第3は、摩擦力による金属板の破断の問題である。
両面摩擦攪拌接合では、表裏面のショルダ面に挟まれた金属板部分に摩擦力によりせん断力が発生し、このせん断力が材料の許容せん断力を超えると金属板は破断する。
摩擦攪拌接合を行なう材料(金属板)の許容せん断力は、板厚に応じて変化し、板厚が薄くなれば、低下する。
本発明者らが行なった実験によると、金属板の板厚が3mm以下となる場合、特に金属板の破断が発生しやすくなることを確認した。
本発明の第1の目的は、両面摩擦攪拌接合において、経済性に優れ、かつ接合部の強度を向上させることが出来る両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセットを提供することである。
本発明の第2の目的は、両面摩擦攪拌接合において、更に、回転ツールの寿命を向上することが出来る両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセットを提供することである。
本発明の第3の目的は、両面摩擦攪拌接合において、更に、接合不良と金属板の破断が少なく、高い信頼性を有する接合が出来る両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセットを提供することである。
上述した課題を解決する第1の発明は、2枚の金属板の接合部の表面側と裏面側に、第1および第2の回転ツールを相対向するように配置し、この第1および第2の回転ツールにより前記接合部を摩擦攪拌し、前記2枚の金属板を摩擦攪拌接合する両面摩擦攪拌接合方法において、前記第1および第2の回転ツールの一方の回転ツールを、ショルダ部を先端部分に形成したツール本体と、このツール本体の先端部分から突出するよう形成された少なくとも1つの突起部とを有する構成とし、前記第1および第2の回転ツールの他方の回転ツールを、ショルダ部を先端部分に形成したツール本体と、このツール本体の先端部分に形成され、前記2枚の金属板の接合時に前記突起部の先端部を収納する少なくとも1つの凹み部とを有する構成とし、前記第1および第2の回転ツールを前記2枚の金属板の接合部の表面側と裏面側に相対向するように配置し、前記第1および第2の回転ツールを回転させ、前記第1および第2の回転ツールを互いに近づく方向に移動して、前記第1の回転ツールの突起部の先端部を前記第2の回転ツールの凹み部内に挿入するとともに、前記第1および第2の回転ツールの前記ショルダ部のショルダ面を前記接合部の表面側と裏面側に押圧し、前記第1の回転ツールの突起部の先端部を前記第2の回転ツールの凹み部内に挿入し、前記第1および第2の回転ツールの前記ショルダ部のショルダ面を前記接合部の表面側と裏面側に押圧した状態で、前記第1および第2の回転ツールを前記接合部に沿って移動させ、前記接合部の板厚方向全域を前記第1および第2の回転ツールで摩擦攪拌することを特徴とするものである。
また、上述した課題を解決する第2の発明は、上記接合方法において、前記第1および第2の回転ツールの材質を焼結炭化タングステンの超硬合金またはタングステン合金とし、前記第1および第2の回転ツールによって接合される2枚の金属板は、融点が1000℃以上の材料からなることを特徴とするものである。
また、上述した課題を解決する第3の発明は、上記接合方法において、前記相対向するように配置した前記第1および第2の回転ツールの先端部分が前記接合部に対する前記第1および第2の回転ツールの移動方向に向かって先行するように、前記第1および第2の回転ツールのそれぞれの軸芯を傾けることを特徴とするものである。
また、上述した課題を解決する第4の発明は、上記接合方法において、前記相対向するように配置した前記第1および第2の回転ツールの回転方向を前記2枚の金属板の接合部の表面側と裏面側で逆方向としたことを特徴とするものである。
また、上述した課題を解決する第5の発明は、上記接合方法において、前記第1および第2の回転ツールのうちの少なくとも一方の回転ツールは、摩擦攪拌接合開始前に予定挿入深さまで金属板の厚み方向に対し位置制御にて移動し、該回転ツールの挿入深さを保持した状態で、前記2枚の金属板の接合部端面から該回転ツールを接合進行方向に位置制御にて送って摩擦攪拌接合を開始し、摩擦攪拌接合開始後は、該回転ツールの負荷が所定の値となるように、該回転ツールの挿入位置を制御する負荷一定制御に切り替え、摩擦攪拌接合が終了する接合終端部到達前に、その時点の該回転ツールの挿入位置を保持する位置制御に切り替え、接合部終端部を通過させることを特徴とするものである。
また、上述した課題を解決する第6の発明は、2枚の金属板の接合部の表面側と裏面側に、第1および第2の回転ツールを相対向するように配置し、この第1および第2の回転ツールにより前記接合部を摩擦攪拌し、前記2枚の金属板を摩擦攪拌接合する両面摩擦攪拌接合装置において、前記第1および第2の回転ツールを前記2枚の金属板の接合部の表面側と裏面側に相対向するように装着し、前記第1および第2の回転ツールを回転駆動するツール回転駆動装置と、前記ツール回転駆動装置に装着した前記第1および第2の回転ツールを互いに近づく方向に移動して、前記第1および第2の回転ツールを前記金属板の接合部の表面側と裏面側に押圧するツール押圧装置と、前記ツール回転駆動装置に装着した前記第1および第2の回転ツールを前記接合部に沿って移動させる移動装置とを有し、前記第1の回転ツールは、ショルダ部を先端部分に形成したツール本体と、このツール本体の先端部分から突出するよう形成された少なくとも1つの突起部とを有し、前記第2の回転ツールは、ショルダ部を先端部分に形成したツール本体と、このツール本体の先端部分に形成され、前記2枚の金属板の接合時に前記突起部の先端部を収納する少なくとも1つの凹み部とを有し、前記ツール押圧装置は、前記ツール回転駆動装置に装着した前記第1および第2の回転ツールを互いに近づく方向に移動するとき、前記第1の回転ツールの突起部の先端部を前記第2の回転ツールの凹み部内に挿入するとともに、前記第1および第2の回転ツールの前記ショルダ部のショルダ面を前記接合部の表面側と裏面側に押圧し、前記移動装置は、前記第1の回転ツールの突起部の先端部を前記第2の回転ツールの凹み部内に挿入し、前記第1および第2の回転ツールの前記ショルダ部のショルダ面を前記接合部の表面側と裏面側に押圧した状態で、前記第1および第2の回転ツールを前記接合部に沿って移動させ、前記接合部の板厚方向全域を前記第1および第2の回転ツールで摩擦攪拌することを特徴とするものである。
また、上述した課題を解決する第7の発明は、上記接合装置において、前記ツール回転駆動装置に装着した前記第1および第2の回転ツールの先端部分が前記接合部に対する前記第1および第2の回転ツールの移動方向に向かって先行するように、前記第1および第2の回転ツールのそれぞれの軸芯を傾けて支持する傾斜支持装置を更に有することを特徴とするものである。
また、上述した課題を解決する第8の発明は、上記接合装置において、前記ツール回転駆動装置は、前記第1および第2の回転ツールを前記接合部の表面側と裏面側で逆方向に回転させることを特徴とするものである。
また、上述した課題を解決する第9の発明は、上記接合装置において、前記ツール回転駆動装置に装着した前記第1および第2の回転ツールのうちの少なくとも一方の回転ツールは、摩擦攪拌接合開始前に予定挿入深さまで金属板の厚み方向に対し位置制御にて移動し、該回転ツールの挿入深さを保持した状態で、前記2枚の金属板の接合部端面から該回転ツールを接合進行方向に位置制御にて送って摩擦攪拌接合を開始し、摩擦攪拌接合開始後は、該回転ツールの負荷が所定の値となるように、該回転ツールの挿入位置を制御する負荷一定制御に切り替え、摩擦攪拌接合が終了する接合終端部到達前に、その時点の該回転ツールの挿入位置を保持する位置制御に切り替え、接合部終端部を通過させるよう前記ツール押圧装置および移動装置を制御する制御装置を更に有することを特徴とするものである。
また、上述した課題を解決する第10の発明は、2枚の金属板の接合部をその表裏面の両側から摩擦攪拌して、前記2枚の金属板を摩擦攪拌接合する両面摩擦攪拌接合用ツールセットにおいて、前記2枚の金属板の接合部の表面側と裏面側に相対向するように配置され、前記接合部を摩擦攪拌する第1および第2の回転ツールを有し、前記第1の回転ツールは、ショルダ部を先端部分に形成したツール本体と、このツール本体の先端部分から突出するよう形成された少なくとも1つの突起部とを有し、前記第2の回転ツールは、ショルダ部を先端部分に形成したツール本体と、このツール本体の先端部分に形成され、前記2枚の金属板の接合時に前記突起部の先端部を収納する少なくとも1つの凹み部とを有し、前記第1の回転ツールの突起部の先端部を前記第2の回転ツールの凹み部内に挿入し、前記第1および第2の回転ツールの前記ショルダ部のショルダ面を前記接合部の表面側と裏面側に押圧した状態で、前記第1および第2の回転ツールを前記接合部に沿って移動させ、前記接合部の板厚方向全域を摩擦攪拌することを特徴とするものである。
また、上述した課題を解決する第11の発明は、上記ツールセットにおいて、前記第2の回転ツールのショルダ面の直径は前記第1の回転ツールのショルダ面の直径と同じであることを特徴とするものである。
さらに、上記課題を解決する第12の発明は、上記ツールセットにおいて、前記第2の回転ツールは、前記ツール本体の先端部分から突出するよう形成された少なくとも1つの少なくとも1つのリング状の突起部を有し、前記凹み部は前記リング状の突起部の内側に形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、以下のような効果を得ることが出来る。
第1、第6および第10の発明において、接合部の表裏面に対して相対向するように配置した第1および第2の回転ツールは別体であるため、第2の回転ツールの凹み部内の第1の回転ツールの突起部の挿入量(第1および第2の回転ツール間の距離)が0とならない範囲で、その挿入量を自由に調整することが出来る。これにより金属板の厚みが異なっても、金属板の厚みに合わせて、第2の回転ツールの凹み部内に第1の回転ツールの突起部を挿入して、突起部の長さの範囲内の厚みの金属板を両面から接合部の全範囲を摩擦攪拌接合することが出来る。これにより金属板の厚みに合わせて異なるプローブ長さを有する回転ツールに交換する必要がないため、異なるプローブ長さを有する回転ツールを多数準備する必要がなくなり、ランニングコストを抑え、経済性を向上することが出来る。
また、第1および第2の回転ツールは別体でそれぞれ独立して駆動している。したがって、ボビンツールの場合とは異なり、裏面側回転ツールのショルダ部の摩擦攪拌仕事はプローブを介して動力を伝達する必要がないため、ボビンツールの場合のように片面摩擦攪拌接合装置のツールと比較し、プローブ(突起部)の直径を片面摩擦攪拌接合装置のツールの少なくとも2倍以上としなくてよい。これによりプローブの直径が大きくなることによるショルダ径の大径化が防止出来るため、装置が大型化することなく、この点でも経済性を向上することが出来る。
また、第1および第2の回転ツールは、金属板の接合部の板厚方向全域を摩擦攪拌するため、接合部の強度を向上させることが出来る。
更に、第1および第2の回転ツールは接合部の表裏面の両側から摩擦攪拌接合するため、片面摩擦攪拌接合で生じていた裏当て板への熱損失が防止できる。そのため、接合部の軟化領域が増加し、回転ツール1本にかかる熱負荷を1/2以下にすることが出来る。加えて、第1および第2の回転ツールは別体であって、両者間の距離(金属板厚み方向へのツール先端間の距離)を調整可能であるため、第5および第9の発明のように、少なくとも一方の回転ツールの接合部への押し付けに負荷制御を採用することが出来る。このように負荷制御を採用することで、金属板の厚みの微小変動によるショルダ面3b,4bと金属板接合部表面との接触面における面圧が変動することを回避し、熱負荷の変動を低減することが出来る。これにより回転ツールの材質に高価な多結晶ダイヤモンド等の材料を用いる必要がなくなり、第2の発明のように、回転ツールの材質を焼結炭化タングステンの超硬合金、タングステン合金などとすることが出来る。その結果、融点が1000℃以上の金属板の摩擦攪拌において、ツール寿命が長い、経済的な回転ツールを提供出来る。
更に、負荷制御を作用することが出来るため、金属板の厚み(接合部の厚み)の微小変動に応じ、第1の回転ツールの突起部の第2の回転ツールの凹み部への挿入量を調整することで、上下のショルダ面間の距離を固定せずに、両面から摩擦攪拌接合することが出来る。これにより金属板の厚みの微小変動によるショルダ面と金属板接合部表面との接触面における面圧が変動することを回避し、摩擦熱量の変動を抑え、接合部Jの品質低下(接合不良)を防止し、高い信頼性を有する接合が出来る。
また、第1および第2の回転ツールは別体であるため、第3および第7の発明のように、第1および第2の回転ツールの先端部分が接合進行方向に向かって先行するように、それぞれの回転ツール軸芯を傾けることが出来る。これにより金属板1,2への押圧力を高めることが出来るため、摩擦攪拌接合による接合部の流動性を向上させ、接合不良を抑制し、高い信頼性を有する接合が出来る。
更に、第1および第2の回転ツールは別体であるため、第4および第8の発明のように、第1および第2の回転ツールの回転方向を接合部の表面側と裏面側で逆方向とすることが出来る。これにより接合部の表面側からの攪拌によるせん断力と裏面側からの攪拌によるせん断力を接合部の内部で打ち消すことが出来、材料の破断を防止し、高い信頼性を有する接合が出来る。この効果は、第11の発明のように、第1及び第2の回転ツールのショルダ面の直径を同じにした場合に、特に高くなる。
更に、第2の回転ツールの凹み部には、摩擦攪拌により材料が軟化流動し、隙間が埋まる。これにより、第2の回転ツールの凹み部に挿入された第1の回転ツールの突起部が、隙間に軟化充填された材料を介し、凹み部内で内圧を受ける結果、制振力を作用することで、第1および第2の回転ツールの半径方向の制振性能が向上する。その結果、びびり振動が抑制され、均一な摩擦攪拌が可能となり、この点でも接合不良を抑制し、高い信頼性を有する接合が出来る。
また、第12の発明のように第2の回転ツールにも、ツール本体の先端部分から突出するよう少なくとも1つのリング状の突起部を形成し、その内側に第1の回転ツールの突起部を挿入する凹み部を形成することにより、摩擦攪拌時、接合部には第1の回転ツールの突起部だけでなく第2の回転ツールのリング状の突起部も接合部の板厚方向に突入し、2つの突起部で摩擦攪拌が行われる。これにより第1の回転ツールの突起部の長さを短縮することができるため、摩擦攪拌接合時に当該突起部に作用する回転曲げモーメントが少なくなり、金属板の板厚が厚くなった場合においても、突起部を折損することなく、摩擦攪拌接合することができ、回転ツールの寿命を向上することが出来る。
本発明の一実施の形態に係わる両面摩擦攪拌接合用ツールセットのツール先端部分の拡大断面図であって、接合時におけるツールセットの使用状態を示す図である。 本発明の一実施の形態に係わる両面摩擦攪拌接合用ツールセットのツール先端部分の拡大断面図であって、各部の寸法関係を示す図である。 第1および第2の回転ツールによる接合距離(接合開始後の時間)と回転ツールの主軸回転モータ負荷の変化を示すタイムチャートである。 接合部の表裏面に対し、第1および第2の回転ツールの配置位置を逆にした場合の接合時におけるツールセットの使用状態を示す図である。 本発明の他の実施の形態に係わる両面摩擦攪拌接合用ツールセットのツール先端部分の拡大断面図であって、接合時におけるツールセットの使用状態を示す図である。 本発明の更に他の実施の形態に係わる両面摩擦攪拌接合用ツールセットのツール先端部分の拡大断面図であって、接合時におけるツールセットの使用状態を示す図である。 本発明の更に他の実施の形態に係わる両面摩擦攪拌接合用ツールセットのツール先端部分の拡大断面図であって、接合時におけるツールセットの使用状態を示す図である。 本発明の更に他の実施の形態に係わる両面摩擦攪拌接合用ツールセットのツール先端部分の拡大断面図であって、接合時におけるツールセットの使用状態を示す図である。 本発明の一実施の形態に係わる両面摩擦攪拌接合装置の一部を欠損して示す全体斜視図である。 図9に示した両面摩擦攪拌接合装置の要部の概略正面図である。 図9に示した両面摩擦攪拌接合装置の上側半分を制御系とともに示す図である。 本発明の他の実施の形態に係わる金属板の両面摩擦攪拌接合装置であって、上下の回転ツールの軸芯の同調を機械的に行う方式を示す図である。 本発明の接合方法を2枚の金属板の突き合わせ溶接に適用した場合の接合時の状態を示し、合わせて上下の回転ツールと入出側把持装置との位置関係(入出側把持装置間距離)を示す図である。 本発明の接合方法を2枚の金属板の重ね合わせ溶接に適用した場合の接合時の状態を示し、合わせて把持方式を示す図である。 本発明の接合方法を2枚の金属板の重ね合わせ溶接に適用した場合の他の接合時の状態と把持方式を示す図である。 上下の回転ツールを回転させながら摩擦攪拌接合する場合の接合方向(図1の断面と直角方向)に沿った断面図である。 上下回転ツールの回転方向を同方向とし、回転ツールのショルダ径を同一にし、かつ回転ツールの軸芯を回転ツールの進行方向に対して同じ角度で傾けて摩擦攪拌接合している状態を示す斜視図である。 上下回転ツールの回転方向を同方向とし、回転ツールのショルダ径を同一にし、かつ回転ツールの軸芯を回転ツールの進行方向に対して同じ角度で傾けて摩擦攪拌接合している状態を示す断面図である。 上下回転ツールの回転方向を逆方向とし、回転ツールショルダ径を同一にし、かつ回転ツールの軸芯を回転ツールの進行方向に対して同じ角度で傾けて摩擦攪拌接合している状態を示す斜視図である。 上下回転ツールの回転方向を逆方向とし、回転ツールショルダ径を同一にし、かつ回転ツールの軸芯を回転ツールの進行方向に対して同じ角度で傾けて摩擦攪拌接合している状態を示す断面図である。 上下回転ツールの傾き角度を0度に設定して(ツールを傾けずに)上下回転ツールを接合部端面から挿入する際の説明図である。 上下回転ツールを適度に傾けて上下回転ツールを接合部端面から挿入する際の様子を示す図である。 回転ツールの軸心を傾けてプランジングレスで両面摩擦攪拌接合を行う運転方法を示す図である。 制御装置が行う処理手順を示す制御フローである。 制御装置が行う処理手順の他の例を示す制御フローである。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1および図2は本発明の一実施の形態に係わる両面摩擦攪拌接合用ツールセットのツール先端部分の拡大断面図であり、図1は接合時におけるツールセットの使用状態を示し,図2は各部の寸法関係を示している。接合の形態は、一例として、突き合わせ溶接である。なお、本明細書において、接合部とは2枚の金属板の接合されるべき部分を意味し、突き合わせ溶接では突き合わせ部に該当し、重ね合わせ溶接では重ね合わせ部に該当する。
図1および図2において、本実施の形態に係わる両面摩擦攪拌接合用ツールセットは、2枚の金属板1,2の接合部(突き合わせ部)Jの表面側と裏面側に相対向するように配置され、接合部Jを摩擦攪拌する第1および第2の回転ツール3,4を有している。第1の回転ツール3は、接合部Jを押圧するショルダ面3bを有するショルダ部3cを先端部分に形成したツール本体3aと、このツール本体3aの先端部分にショルダ面3bから突出するよう形成されたピン状の突起部(プローブ)3dとを有している。第2の回転ツール4は、接合部Jを押圧するショルダ面4bを有するショルダ部4cを先端部分に形成したツール本体4aと、このツール本体4aのショルダ面4bに形成され、2枚の金属板1,2の接合時に突起部3dの先端部を収納する凹み部4dとを有している。
第1の回転ツール3の突起部(プローブ)3dは円筒形の外周形状を有し、第2の回転ツール4の凹み部4dも円筒形の内周形状を有している。突起部(プローブ)3dの先端が凹み部4d内に挿入された状態では、両者の間に円筒形状をしたリング状の隙間が形成される。
本明細書において、「ツールセット」とは上記のような2つの回転ツール3,4の総称である。本実施の形態の接合方法はそのようなツールセットを用いて行うものであり、その概要は次のようである。
まず、第1および第2の回転ツール3,4を2枚の金属板1,2の接合部Jの表面側と裏面側に相対向するように配置する。次いで、第1および第2の回転ツール3,4を回転させながら互いに近づく方向に移動して、第1の回転ツール3の突起部3dの先端部を第2の回転ツール4の凹み部4d内に挿入するとともに、第1および第2の回転ツール3,4のショルダ面3b,4bを接合部Jの表面側と裏面側に押圧する。次いで、その状態(第1の回転ツール3の突起部3dの先端部を第2の回転ツール4の凹み部4d内に挿入し、第1および第2の回転ツール3,4のショルダ面3b,4bを前記接合部の表面側と裏面側に押圧した状態)で、第1および第2の回転ツール3,4を回転させながら接合部Jに沿って移動させる。この移動の間の摩擦攪拌時、突起部3dは接合部Jの板厚方向全域に突入した状態にある。これにより接合部Jの板厚方向全域が摩擦攪拌され、2枚の金属板1,2は接合部Jの板厚方向全域で接合される。
本実施の形態の接合方法において、接合部Jの表裏面に対して相対向するように配置した第1および第2の回転ツール3,4は別体であるため、第2の回転ツール4の凹み部4d内の第1の回転ツール3の突起部3dの挿入量(第1および第2の回転ツール間の距離)が0とならない範囲で、その挿入量を自由に調整することが出来る。これにより金属板1,2の厚みが異なっても、金属板1,2の厚みに合わせて、第2の回転ツール4の凹み部4d内に第1の回転ツール3の突起部3dを挿入して、突起部3dの長さの範囲内の厚みの金属板を両面から接合部Jの全範囲を摩擦攪拌接合することが出来る。これにより金属板の厚みに合わせて異なるプローブ長さを有する回転ツールに交換する必要がないため、異なるプローブ長さを有する回転ツールを多数準備する必要がなくなり、ランニングコストを抑え、経済性を向上することが出来る。
また、第1および第2の回転ツール3,4は別体でそれぞれ独立して駆動している。したがって、ボビンツールの場合とは異なり、裏面側回転ツールのショルダ部4cの摩擦攪拌仕事はプローブを介して動力を伝達する必要がないため、ボビンツールの場合のように片面摩擦攪拌接合装置のツールと比較し、プローブ(突起部)3dの直径を片面摩擦攪拌接合装置のツールの少なくとも2倍以上としなくてよい。これによりプローブの直径が大きくなることによるショルダ径の大径化が防止出来るため、装置が大型化することなく、この点でも経済性を向上することが出来る。
また、本実施の形態の接合方法によれば、第1および第2の回転ツール3,4は突き合わせた金属板1,2の接合部Jの板厚方向全域を摩擦攪拌するため、接合部Jの強度を向上させることが出来る。
更に、第1および第2の回転ツール3,4は別体であって、両者間の距離を調整可能であるため、少なくとも一方の回転ツールの接合部への押し付けに負荷制御を採用することが出来る(後述)。このように負荷制御を採用することが出来るため、金属板の厚み(接合部の厚み)の微小変動に応じ、第1の回転ツール3の突起部3dの第2の回転ツール4の凹み部4dへの挿入量を調整することで、上下のショルダ面3b,4b間の距離を固定せずに、両面から摩擦攪拌接合することが出来る。これにより金属板の厚みの微小変動によるショルダ面3b,4bと金属板接合部表面との接触面における面圧が変動することを回避し、摩擦熱量の変動を抑え、接合部Jの品質低下(接合不良)を防止し、高い信頼性を有する接合が出来る。
第1および第2の回転ツール3,4の材質について言及する。
片面の摩擦攪拌接合は、比較的融点の低い材料であるアルミニウムなどの非鉄合金の分野では、実用化されている。一般に、摩擦攪拌接合では、材料温度を融点の80%程度まで摩擦攪拌熱で上昇させる必要がある。その結果、1000℃を超える高融点材料の接合では、単位長さ当たりの摩擦攪拌による投入エネルギーが高くなり、更には変形抵抗値も高くなることから、回転ツールには高い耐熱強度と破壊靭性が求められ、高価な多結晶ダイヤモンド等の材料を使用せざるを得なかった。
更に、これらツール材料を用いても、熱衝撃、ツールの摩耗およびプローブまたは突起に作用する曲げモーメント等により、ツール寿命が短く、1000℃を超える高融点材料への摩擦攪拌接合の普及を妨げる要因となっている。
本実施の形態では、接合部の表裏面の両側から摩擦攪拌接合することにより、片面摩擦攪拌接合で生じていた裏当て板への熱損失が防止できる。そのため、接合部の軟化領域が増加し、回転ツール1本にかかる熱負荷を1/2以下にすることが出来る。加えて、上記のように少なくとも一方の回転ツールの接合部への押し付けに負荷制御を採用することで(後述)、金属板の厚みの微小変動によるショルダ面3b,4bと金属板接合部表面との接触面における面圧が変動することを回避し、熱負荷の変動を低減することが出来る。これにより回転ツールの材質に高価な多結晶ダイヤモンド等の材料を用いる必要がなくなり、回転ツールの材質を焼結炭化タングステンの超硬合金、タングステン合金などとすることが出来る。その結果、融点が1000℃以上の金属板の摩擦攪拌において、ツール寿命の長い、経済的な回転ツールを提供出来る。
また、本実施の形態の接合方法によれば、第1および第2の回転ツール3,4は別体であるため、第1および第2の回転ツール3,4の先端部分が接合進行方向に向かって先行するように、それぞれの回転ツール軸芯を傾けることが出来る(後述)。これにより金属板1,2への押圧力を高めることが出来るため、摩擦攪拌接合による接合部の流動性を向上させ、接合不良を抑制し、高い信頼性を有する接合が出来る。
更に、第1および第2の回転ツール3,4は別体であるため、第1および第2の回転ツール3,4の回転方向を接合部Jの表面側と裏面側で逆方向とすること出来る(後述)。これにより接合部Jの表面側からの攪拌によるせん断力と裏面側からの攪拌によるせん断力を接合部Jの内部で打ち消すことが出来、材料の破断を防止し、高い信頼性を有する接合が出来る。この効果は、第1及び第2の回転ツール3,4のショルダ面3b,4bの直径を同じにした場合に、特に高くなる。
図3は、第1および第2の回転ツール3,4による接合距離(接合開始後の時間)と回転ツールの主軸の回転モータ負荷の変化を示すタイムチャートである。
プローブまたは突起部を有していない回転ツールを、接合方向に進行させるときに、回転ツールのショルダ面と金属板の接触面に偏芯荷重が作用すると、びびり振動が発生し、摩擦攪拌が不均一になり、接合不良を起こす問題がある。
本発明者等が行なった実験によれば、第1の回転ツール3の突起部(プローブ)3dの第2の回転ツール4の凹み部4dへの挿入量が0mmを超えることで、図3のタイムチャートに示すように、接合開始直後の数秒においては、びびり振動したが、その後、びびり振動は抑制出来ることを確認した。これは、材料が軟化し、凹み部4dに材料が充填されることで、挿入された第1の回転ツール3の突起部3dが、軟化充填された材料を介し、第2の回転ツール4の凹み部4d内で内圧を受けた結果、制振力を作用することによるものである。その結果、びびり振動が抑制され、均一な摩擦攪拌が可能となり、この点でも接合不良を抑制し、高い信頼性を有する接合が出来る。
また、接合開始前に、凹み部4dに隙間に相当する量の材料を充填しておけば、本振動は回避することが可能である。
図4は、接合部Jの表裏面に対し、第1および第2の回転ツールの配置位置を逆にした場合の接合時におけるツールセットの使用状態を示す図である。図1では、接合部Jの表面側に、ツール本体3aの先端部分に突起部(プローブ)3dを有する第1の回転ツール3を配置し、接合部Jの裏面側に、ツール本体4aの先端部分に凹み部4dを有する第2の回転ツール4を配置したが、図4に示すように、接合部Jの表裏面に対して、第1の回転ツール3と第2の回転ツール4の配置位置を逆にしても摩擦攪拌接合の効果は変わらない。
第1の回転ツール3の各部の寸法関係および第1の回転ツール3と第2の回転ツール4の寸法関係について図2と表1を用いて説明する。

Figure 2011061826
表1 金属板の板厚とショルダ径及び突起部形状(直径及び長さ)
ツール本体3aの先端部分に突起部3d(プローブ)を有する第1の回転ツール3のショルダ部3c(ショルダ面3b)の直径D1および突起部3dの直径d1、突起部3dの長さL1は、摩擦攪拌接合する金属板1,2の厚み、変形抵抗および接合条件により変わる。
<第1の回転ツール3の寸法関係(ショルダ径D1)>
まず、第1の回転ツール3のショルダ部3c(ショルダ面3b)の直径D1について言及する。ショルダ直径D1の主たる決定要因は、単位時間当たりに接合部に投入する熱量である。摩擦攪拌接合では、摩擦発熱量不足または摩擦発熱量過多で接合不良を起こす。したがって、所望の摩擦発熱量を生成するショルダ直径D1を選定する必要がある。
本発明者等が行なった最大板厚10mmまでの実験によれば、表1に示すような設定条件とすることで、良好な接合部が得られた。すなわち、金属板の板厚が0mmを超え1mm以下ではショルダ直径D1は、3mmを超え8mm以下、板厚が1mmを超え3mm以下ではショルダ直径D1は、5mmを超え12mm以下、板厚が3mmを超え6mm以下ではショルダ直径D1は、8mmを超え15mm以下、板厚6mmを超え10mm以下ではショルダ直径D1は12mmを超え20mm以下であれば、摩擦発熱量不足または摩擦発熱量過多が無い状態で摩擦攪拌接合ができる。これにより、接合不良を起こさない良好な接合部が得られる。
(突起部直径d1)
次に、ツール本体3aの先端部分に突起部3d(プローブ)を有する第1の回転ツール3のショルダ部3c(ショルダ面3b)の突起部3dの直径d1について言及する。
突起部直径d1の下限値の主たる決定要因は、摩擦攪拌接合時に突起部3dに作用するモーメントである。突起部3dの直径d1が小さいと断面係数が確保できず、突起部3dの折損が生じることがある。したがって、突起部3dの折損を生じることがない断面係数とする必要がある。
また、突起部直径d1の上限値の主たる決定要因は、摩擦攪拌接合時の摩擦発熱量である。摩擦発熱量は、ショルダ面3bと金属板表面の接触面積で決まる。ショルダ直径D1と突起部直径d1の設定条件によって、金属板表面に接触する第1の回転ツール3のショルダ面3bの面積が変わる。まず、ショルダ直径D1に対し突起部直径d1は小さいことが前提である。更に、ショルダ直径D1に対する突起部直径d1の比率が大きい場合には、金属板表面の接触面積が少なくなり、摩擦発熱量が不足する場合がある。したがって、摩擦発熱量不足による接合不良を起こさない突起部直径d1とする必要がある。
本発明者等が行なった最大板厚10mmまでの実験によれば、表1に示すような設定条件が得られた。すなわち、金属板の板厚が0mmを超え1mm以下では突起部3dの直径d1は、1mmを超え4mm以下で、板厚が1mmを超え3mm以下では突起部3dの直径d1は、1mmを超え6mm以下で、板厚が3mmを超え6mm以下では突起部3dの直径d1は、2mmを超え8mm以下で、板厚6mmを超え10mm以下では突起部3dの直径d1は、4mmを超え10mm以下であれば、摩擦攪拌接合時に突起部3dに作用するモーメントにより、突起部3dの折損を生じることがないことを確認した。
更に、突起部直径d1の上限値は、金属板の板厚、変形抵抗などの条件で設定したショルダ径D1において、上記範囲内で適宜選定することで、摩擦発熱量の不足が無い状態で摩擦攪拌接合ができることを確認した。これにより、接合不良を起こさない良好な接合部を得られる。
(突起部長さL1)
次にツール本体3aの先端部分に突起部3d(プローブ)を有する第1の回転ツール3のショルダ部3c(ショルダ面3b)の突起部3dの長さL1について言及する。
突起部長さL1の決定要因は、金属板の板厚である。突起部3dの長さL1が金属板の板厚よりも短い場合には、一般的にキッシングボンドと呼ばれている未接合部が発生する。したがって、突起部3dの長さL1は、未接合部が無く、全開先状態で接合できる長さとする必要がある。
本発明者等が行なった最大板厚10mmまでの実験によれば、表1に示すような設定条件が得られた。すなわち、金属板の板厚が0mmを超え1mm以下では突起部3dの長さL1は、板厚を超え2mm以下で、板厚が1mmを超え3mm以下では突起部3dの長さL1は、板厚を超え4mm以下で、板厚が3mmを超え6mm以下では突起部3dの長さL1は、板厚を超え7mm以下で、板厚が6mmを超え10mm以下では突起部3dの長さL1は、板厚を超え11mm以下であれば、一般的にキッシングボンドと呼ばれている未接合部が無く、全開先状態で接合できることを確認した。
<第2の回転ツール4の寸法関係の説明>
また、ツール本体4aの先端部分に凹み部4dを有する第2の回転ツール4のショルダ部4c(ショルダ面4b)の直径D2および凹み部4dの直径d2、凹み部4dの深さL2は、第1の回転ツール3のショルダ直径D1、突起部直径d1、突起部長さL1に応じて決定される。本発明者等が行なった実験によれば、第2の回転ツール4のショルダ直径D2は、第1の回転ツール3のショルダ直径D1と同じ値にすることが好ましい。また、凹み部直径d2は、突起部直径d1より大径となり、d1+2mm以下が好ましい。また、凹み部深さL2は、突起部長さL1より長くなり、L1+1mm以下で良好な接合部が得られた。
(凹み部の直径d2=d1+2mm、長さL2=L1+1mmの説明)
また、本発明の接合方法では、後述するように、第1および第2の回転ツール3,4の先端部分が接合進行方法(図1の紙面直角方向)に向かって先行するように、第1および第2の回転ツール3,4の軸芯を傾けた状態で摩擦攪拌接合することが好ましい。
その場合、凹み部直径d2および凹み部長さL2は、摩擦攪拌接合する金属板の板厚、第1の回転ツール3の突起部3dの直径d1および長さL1、突起部3dの凹み部4dへの挿入量、第1および第2の回転ツール3,4の軸芯の傾き角度による幾何学的関係で決まる。
凹み部直径d2および凹み部長さL2は、突起部3dが凹み部4d内で干渉せずに挿入し、傾けることが出来る凹み部直径d2および凹み部長さの最小値で決定される。
凹み部直径d2および長さL2を大きくすれば、突起部3dが凹み部4d内で干渉せず挿入し、傾けることが可能であるが、大きくしすぎることで凹み部4dへ流動する材料が多くなり、接合不良を発生させる要因となる。
本発明者等が行なった最大10mmまでの実験によれば、凹み部4dの直径d2は、d1+2mm以下、凹み部4dの長さL2は、L1+1mm以下であれば、突起部3dが凹み部4d内で干渉することがなく、接合不良を起こさない良好な接合部が得られることを確認した。
図示はしないが、摩擦攪拌接合する金属板の材質などにより、第1および第2の回転ツール3,4のショルダ面3b,4bに螺旋溝の加工を施し、突起部3bにネジ加工、凹み部4dにメネジ加工などを施してもよく、これにより摩擦攪拌接合における攪拌効率を向上させることが出来る。
また、図1、図2において、プローブまたは突起直径d1および凹み部直径d2は、各長さL1、L2内で同径とし図示したが、テーパ状に加工しても、摩擦攪拌接合の効果は変わらない。
図5〜図8は、本発明の実施の形態に係わる両面摩擦攪拌接合用ツールセットの別形状の概略の断面図を示す。
図5は第1の変形例を示す。この変形例では、第1の回転ツール3Aは、図1に示した第1の回転ツール3とほぼ同様の構成を有し、ツール本体3aの先端部分にショルダ面3bから突出するようピン状の突起部(プローブ)3dが形成されている。ただし、突起部3dの長さL1は図1に示した第1の回転ツール3よりも短い。第2の回転ツール4Aは、ツール本体4aのショルダ面4bから突出するよう形成され、外周面が円錐形状をし内周面が円筒形状をしたリング状の突起部4eを有し、凹み部4dはそのリング状の突起部4eの内側に形成されている。
摩擦攪拌時、接合部Jには突起部3dだけでなく突起部4eも接合部Jの板厚方向に突入し、突起部3dと突起部4eの両方で接合部Jの板厚方向全域を摩擦攪拌する。
図5のような変形を施すことで、第1の回転ツール3Aのツール本体3aの先端部分にショルダ面3bから突出するように形成したピン状の突起部(プローブ)3dの長さL1を短縮することができ、摩擦攪拌接合時に突起部3dに作用する回転曲げモーメントを少なくなることで、金属板1、2の板厚が厚くなった場合においても、突起部3dを折損することなく、摩擦攪拌接合することができる。
図6は第2の変形例を示す。この変形例では、第2の回転ツール4Bは、図5に示した第2の回転ツール4Aとほぼ同様の構成を有している。第1の回転ツール3Bは、上述した第1の回転ツール3,3Aの構成に加え、ツール本体3aの先端部分にショルダ面3bから突出するよう形成されたリング状の第2の突起部3eを有している。この第2の突起部3eは突起部3dとほぼ同じ長さを有し、かつ外周面が円筒形状をし、内周面が円錐形状をしている。また、突起部3eは突起部3dを取り囲んでおり、両者の間に、第2の回転ツール3Bの突起部4eの先端部を収納する環状の凹み部3fを形成している。
摩擦攪拌時、接合部Jには突起部3dだけでなく突起部4eと突起部3eも接合部Jの板厚方向に突入し、突起部3d,3eの2つの突起部と突起部4eとで接合部Jの板厚方向全域を摩擦攪拌する。
図7は第3の変形例を示す。この変形例では、第1の回転ツール3Cは、図6に示した第2の突起部3eに代え、突起部3dより短くかつ内外周面とも円筒形状をしたリング状の第2の突起部3gを有している。第2の回転ツール4Cは、図5および図6に示した突起部4eに代え、内外周面とも円筒形状をしたリング状の突起部4fを有し、突起部4fのリング状の先端面に、凹み部4dの深さより浅く、第2の突起部3gの先端部を収納する環状の第2の凹み部4gが形成されている。
摩擦攪拌時、接合部Jには突起部3dが板厚方向全域に突入するとともに、第2の突起部3gおよび突起部4f接合部Jの板厚方向に突入し、これらの突起部3d,3g,4fで接合部Jの板厚方向全域を二重に摩擦攪拌する。
図8は第4の変形例を示す。この変形例では、第1の回転ツール3Dは、図7に示した第1の回転ツール3Cとほぼ同様の構成を有している。ただし、リング状の第2の突起部3gは突起部3dとほぼ同じ長さを有している。
第2の回転ツール4Dは、図5に示した第2の回転ツール4Aと同様、ツール本体4aのショルダ面4bから突出するよう形成されたリング状の突起部4hを有し、凹み部4dはその突起部4hのリング形状の内側に形成されている。また、凹み部4dは、第1の回転ツール4Dの突起部3dだけでなく第2の突起部3gの先端部も収納するよう、図5の凹み部4dより大きな直径を有している。
摩擦攪拌時、接合部Jには突起部3dだけでなく第2の突起部3gおよび突起部4hも接合部Jの板厚方向に突入し、これら突起部3d,3g,4hで接合部Jの板厚方向全域を摩擦攪拌する。
上記図6〜図8の変形例においても、図5の変形例と同様に突起部(プローブ)3dの長さL1を短縮することができ、金属板1、2の板厚が厚くなった場合においても、突起部3dを折損することなく、摩擦攪拌接合することができる。
次に、本発明の接合方法を実施する両面摩擦攪拌接合装置の実施の形態を説明する。
図9は、本発明の一実施の形態に係わる両面摩擦攪拌接合装置の一部を欠損して示す全体斜視図であり、図10は、その両面摩擦攪拌接合装置の要部の概略正面図であり、図11はその摩擦攪拌装置部分の上側半分を制御系とともに示す図である。
図9〜11において、本実施の形態に係わる金属板の両面摩擦攪拌接合装置は、2枚の金属板1,2の表裏面をそれぞれ把持する入側把持装置5および出側把持装置6と、第1および第2の回転ツール3,4を2枚の金属板1,2の接合部Jの表面側と裏面側に相対向するように装着し、第1および第2の回転ツール3,4を回転駆動する上下のツール回転駆動装置7,8と、上下のツール回転駆動装置7,8に装着した第1および第2の回転ツール3,4を互いに近づく方向に移動して、第1および第2の回転ツール3,4を金属板1,2の接合部Jの表面側と裏面側に押圧する上下のツール押圧装置45,46と、上下のツール回転駆動装置7,8に装着した第1および第2の回転ツール3,4を接合部Jに沿って移動させる上下の移動装置47,48とを有している。
前述したように、第1の回転ツール3は、ツール本体3aの先端部分にショルダ面3bから突出するようにの突起部(プローブ)3dが形成され、第2の回転ツール4は、ツール本体4aのショルダ面4bに突起部3dの先端部を収納する凹み部4dが形成されている。本実施の形態では、第1の回転ツール3は上ツール回転駆動装置7に装着され、第2の回転ツール4は下ツール回転駆動装置8に装着されているため、以下の説明では、第1の回転ツール3を上回転ツールと呼び、第2の回転ツール4をした回転ツールという。
上下のツール押圧装置45,46は、上下のツール回転駆動装置7,8に装着した上下の回転ツール3,4を互いに近づく方向に移動するとき、上回転ツール3の突起部3dの先端部を下回転ツール4の凹み部4d内に挿入するとともに、上下の回転ツール3,4のショルダ部3c,4cのショルダ面3b,4bを接合部Jの表面側と裏面側に押圧するよう制御される。
上下の移動装置47,48は、上下のツール回転駆動装置7,8によって上下の回転ツール3,4を回転駆動し、上下のツール押圧装置45,46によって上回転ツール3の突起部3dの先端部を下回転ツール4の凹み部4d内に挿入し、上下の回転ツール3,4のショルダ部3c,4cのショルダ面3b,4bを接合部Jの表面側と裏面側に押圧した状態で、上下の回転ツール3,4を接合部Jに沿って移動させ、接合部Jの板厚方向全域を回転ツール3,4で摩擦攪拌接合するよう制御される。
入側把持装置5および出側把持装置6は、それぞれ、上下の把持板5a,5bおよび6a,6bを有し、上下把持板5a,5bおよび6a,6bは、図示しない駆動装置を備えた開閉機構により開閉可能である。
上下のツール回転駆動装置7,8は、それぞれ、上下の回転ツール3,4を保持する上下の筒体49,50を有し、筒体49,50は少なくとも部分的に上本体ケース51および下本体ケース52内に収納されている。筒体49,50内には回転ツール3,4をそれぞれ回転駆動する上回転用モータ53aおよび下回転用モータ53bが内蔵されている。
上ツール押圧装置45は、図11に示すように、上本体ケース51内に設けられた押圧用モータ61aと、この押圧用モータ61aにより回転駆動されるスクリュー62aと、このスクリュー62aの回転によりスクリュー62aの軸方向に直線移動するサポートフレーム63aとを有し、上ツール回転駆動装置7の筒体49はサポートフレーム63aと一体にスクリュー62aの軸方向に直線移動するようにサポートフレーム63aに取り付けられている。
図示しないが、下ツール押圧装置46も同様に構成されている。以下の説明では、下ツール押圧装置46の上ツール押圧装置45と同等の要素を示す参照符号には、添え字aに代えて添え字bを付している。
上移動装置47は、上ハウジング9に固定された左右の上レール11,11と、上本体ケース51を軸64a,64aを介して支持する左右の走行フレーム65a,65aと、左右の走行フレーム65a,65aに設けられ、上レール11,11上を走行する左右、前後の車輪66a,66aと、左右の走行フレーム65a,65aに取り付けられ、前後の車輪の少なくとも一方を駆動する走行用モータ67a,67aとを有しており、上ツール回転駆動装置7および上ツール押圧装置45は上レール11,11上を、金属板1,2の接合部Jに沿って金属板1、2の進行方向に直交する方向に走行する。
下移動装置48も同様に構成され、下ツール回転駆動装置8および下ツール押圧装置46は下ハウジング10に固定された下レール12,12上を、金属板1,2の接合部Jに沿って金属板1,2の進行方向に直交する方向に走行する。以下の説明では、下移動装置48の上移動装置47と同等の要素を示す参照符号には、添え字aに代えて添え字bを付している。
図9〜11に示す構成では、上下のツール回転駆動装置7,8が上下レール11,11および12,12上を走行するときの上下の回転ツール3,4の軸芯の同調は、制御装置83(後述)が上移動装置47の走行用モータ67a,67aと下移動装置48の走行モータ67b,67bを同期制御する電気制御方式によって行うものとなる。
図12は、上下の回転ツール3,4の軸芯の同調を機械的に行う方式を示す図である。上下のツール回転駆動装置7,8はC型に一体に連結された上下のハウジング9A,10Aに固定され、このC型の上下ハウジング9A,10Aに対して、車輪71、スクリュー72、走行用モータ73からなる走行装置74が設けられている。車輪71は下ハウジング10Aに設けられ、スクリュー72は下ハウジング10Aに係合し、走行用モータ73はスクリュー72を回転駆動する。制御装置75の指令により走行用モータ73を駆動すると、スクリュー72が回転し、上下ハウジング9A,10Aは上下の回転ツール3,4の軸芯が同調した状態で金属板1,2の進行方向に直交する方向に走行する。
図11に戻り、本実施の形態に係わる接合装置は、上下のツール回転駆動装置7,8に装着した上下の回転ツール3,4の先端部分が、回転ツール3,4の進行方向に向かって先行するように、ツール軸芯15を傾けて支持する上傾斜支持装置76aおよび下傾斜支持装置76bを更に有している。上下の傾斜支持装置76a,76bは角度調整式であり、左右の走行フレーム65a,65a,65b,65bの一方に設けられ、走行フレーム65a,65bが支持する軸64a,64bを回転駆動する角度調整用モータ77a,77bを有している。傾斜支持装置76a,76bは、上下の回転ツール3,4の軸芯15を傾けて固定的に支持する固定方式であってもよい。
本実施の形態に係わる接合装置に備えられる制御系については後述する。
<接合方法>
次に、上述した接合装置を用いて行う本発明の一実施の形態に係わる金属板の両面摩擦攪拌接合方法(以下適宜、単に接合方法という)を図13〜図25を用いて説明する。
図13は、本発明の接合方法を2枚の金属板の突き合わせ溶接に適用した場合の接合時の状態を示し、合わせて上下の回転ツール3,4と入出側把持装置5,6との位置関係(入出側把持装置間距離)を示す図である。
図13に示すように、両面摩擦攪拌接合で金属板1,2の突き合わせ接合を行う場合は、上下2本の回転ツール3,4を2枚の金属板1,2の接合部J(突き合わせ部)にその表面側および裏面側から挿入し、上下の回転ツール3,4を回転させることによって生じる摩擦熱を利用して摩擦撹拌し、2枚の金属板1,2を接合する。
本実施の形態に係わる接合方法では、まず、上下の回転ツール3,4を挟んで、その両側に配置された入側把持装置5および出側把持装置6によって2枚の金属板1,2の表裏面をそれぞれ把持する。次いで、ツール押圧装置45,46を駆動して、2枚の金属板1,2の接合部Jである突き合わせ部の表面側と裏面側にそれぞれ相対向するように配置した上下の回転ツール3,4を互いに近づくように移動して、上回転ツール3の突起部(プローブ)3dを下回転ツール4の凹み部4dに挿入させて、接合部Jの板厚方向の全面を未接合部の無い状態で摩擦攪拌接合する。
また、ツール回転駆動装置7,8を駆動して、相対向するように配置した上下の回転ツール3,4を逆方向に回転させ、回転ツール3,4のショルダ面3b,4bを2枚の金属板1,2の接合部Jである突き合わせ部の表面側と裏面側に押圧して摩擦攪拌する。このとき上下の回転ツール3,4が金属板1,2の突き合わせ部J(接合部)をその表面側と裏面側から押圧する押圧力を、表面側と裏面側で同一とする。
そして、この状態(上回転ツール3の突起部3dを下回転ツール4の凹み部4dに挿入させかつ上下の回転ツール3,4のショルダ面3b,4bを突き合わせ部Jの表面側と裏面側に押圧した状態)で、移動装置47,48を駆動して、突き合わせ部Jに沿って上下の回転ツール3,4を回転させながら、金属板1,2の進行方向に直交する方向に移動させて摩擦攪拌接合する。
また、本実施の形態に係わる接合方法では、傾斜支持装置76a,76bによって上下の回転ツール3,4の先端部分を、回転ツール3,4の進行方向に向かって先行する方向に傾け、この状態で、回転ツール3,4を回転させながら、金属板1,2の進行方向に直交する方向に移動させて摩擦攪拌接合する(図16、図17、図19、図22、図23参照)。
図14および図15は、本発明の接合方法を2枚の金属板の重ね合わせ接合に適用した場合の接合時の状態を示す図であり、図14と図15とでは、本発明の接合方法を重ね合わせ接合に適用する場合の把持方式の違いを示している。
本発明者等は、突き合わせの両面摩擦攪拌接合と同様に重ね合わせた金属板1,2の両面摩擦攪拌接合においても、図14および図15に示すように、上下の回転ツール3,4の少なくとも一方の回転ツールの先端部分は、ショルダ面3bから突出する突起部3dを形成し、相対向する他方の回転ツールの先端部分のショルダ面4bには、突起部3dの先端部を収納する凹み部4dを形成し、一方の回転ツールの突起部3dの少なくとも先端部を他方の回転ツールの凹み部4d内に挿入した状態で、回転ツール3,4を接合部Jに沿って移動させ、金属板1,2の摩擦攪拌接合を行なった。
重ね合わせ溶接に本発明を適用する場合、入出側把持装置5,6による金属板1,2の把持は、重ね合わせた金属板1,2を把持する場合と、金属板1,2をそれぞれ単独で把持する場合とがある。
図14は前者の例であり、2枚の金属板の重ね合わせ部を長めに取り、入出側把持装置5,6は接合部としての重ね合わせ部の両側の金属板1,2を2枚一緒に把持する。図15は後者の例であり、入出側把持装置5,6は接合部としての重ね合わせ部の両側の金属板1,2を1枚ずつ把持する。
図14の例では、接合時に重ね合わせ部の密着度を高めることが難しい。また、入出側把持装置5,6が位置する高さが同じにならないので、高さ調整機構が必要になる。この意味で、図14の例の方が好ましいと考えられる。
以上のように図9〜図12に示した接合装置を用いて本発明の接合方法を実施することにより、ツールセットの実施の形態で説明したように、回転ツール寿命を向上し、経済性に優れ、かつ接合不良と金属板の破断を抑制し、高い信頼性を有する接合を行うことが出来る。
以下に、本実施の形態に係わる接合方法および装置の更なる特徴の詳細を説明する。
まず、上下の回転ツール3,4の軸芯の傾斜について言及する。
図16は、回転ツール3,4を回転させながら摩擦攪拌接合している場合の接合方向(図1の断面と直角方向)に沿った断面図である。
本実施の形態では、上下の回転ツール3,4の先端部分を、回転ツール3,4の進行方向に対してそれぞれの先行する方向にツール軸芯15を傾けた状態で、回転ツール3,4を回転させながら摩擦攪拌接合する。
下回転ツール4の凹み部4dの直径d2は、上回転ツール3の突起部4の直径d1、長さL1および傾斜角θ1から、上下回転ツール3,4が干渉しない大きさに設定する。
このように回転ツール3,4の軸芯15を傾けることによって、回転ツール3,4のショルダ面3b,4bと材料間の面圧を高め、摩擦攪拌接合による接合部の流動性を向上させ接合欠陥を抑制することが出来る。
更に、下回転ツール4の凹み部4dには、摩擦攪拌により材料が軟化流動し、隙間が埋まる。これにより、下回転ツール4の凹み部4dに挿入された上回転ツール3のプローブまたは突起部4が、隙間に軟化充填された材料を介し、他方のツールの凹み部4d内で内圧を受けた結果、制振力を作用することで、上下回転ツール3,4の半径方向の制振性能が向上する。その結果、びびり振動が抑制され、均一な摩擦攪拌が可能となり、この点でも接合不良を抑制し、接合部の強度を向上させることが出来る。
ここで、ツール軸芯15を傾ける角度が大きすぎる場合には、進行方向後ろ側のショルダ面の金属板1,2への挿入量が増加する。その結果、金属板1,2へ挿入されたショルダ部3c,4cの体積分の接合部の材料がビード外部へ放出され、接合部の厚みの局部的な減少が発生し、接合部の強度が低下する。特に接合する金属板1,2の板厚が2mm以下と薄い場合には、接合部の厚みの減少する割合が大きく、接合部から板破断する問題がある。
したがって、金属板1,2の板厚が2mm以下の場合には、傾き角θ1またはθ2を0°を超え3°以下とすることで、接合部厚みの局部的な減少による接合部の強度低下を抑制し、接合部からの板破断を抑制することが出来る。更に、接合部の厚みの局部的な減少を抑制するためには、好適には傾き角θ1またはθ2を0°を超え2°以下、更に好適には0°を超え1°以下とする。
次に、上下の回転ツール3,4の回転方向について言及する。
図17および図18は、上下回転ツール3,4の回転方向を同方向とし、回転ツール3,4のショルダ部3d,4d(ショルダ面3b,4b)の直径(ショルダ径)を同一にし、かつ回転ツール3,4の軸芯15を回転ツール3,4の進行方向に対して同じ角度で傾けて摩擦攪拌接合している状態を示す図であり、図17は斜視図、図18は断面図である。
図17および図18に示すように、上下回転ツール3,4の回転方向が同方向である場合は、表裏面のショルダ部3c,4c間に挟まれる金属板の軟化領域部分に、上せん断力27aと下せん断力27bのせん断力が同方向に働く。したがって、金属板1,2の厚みが薄い場合には、許容せん断力を超えるせん断力が作用し、材料が破断する場合がある。
図19および図20は、上下回転ツール3,4の回転方向を逆方向とし、回転ツール3,4のショルダ部3c,4c(ショルダ面3b,4b)の直径(ショルダ径)を同一にし、かつ回転ツール3,4の軸芯15を回転ツール3,4の進行方向に対して同じ角度で傾けて摩擦攪拌接合している状態を示す図であり、図19は斜視図、図20は断面図である。
本実施の形態では、図19および図20に示すように、上下の回転ツール3,4の回転方向を表面側と裏面側で逆方向とする。これにより表面側からの攪拌によるせん断力27aと裏面側からの攪拌によるせん断力27bを接合部の内部で打ち消すことが出来、材料の破断を防止することが出来る。また、把持装置5,6の把持力を低減することが出来、把持装置5,6を簡素化出来る。
また、上下回転ツール3,4の回転速度を同じ速度にするように、回転駆動する上回転用モータ53aおよび下回転用モータ53bに制御装置83から指令を与え、制御することで、表裏面からの接合部への入熱量、摩擦力によるせん断力を同一に出来る。
これにより、板厚方向において残留応力が均一となり、表裏面で耐引張・耐曲げ強度差が発生せず、強度信頼性が低下することを防止することが出来る。
次に、入出側把持装置5,6間の距離と回転ツールの直径との関係について、図13〜図15を用いて説明する。
金属板1,2の材料剛性が低い場合、すなわち金属板の板厚t1,t2が上下回転ツール3,4のショルダ部3c,4cの直径より小さく、薄い場合、または高温変形抵抗σ1,σ2が低い場合には、入側把持装置5と出側把持装置6間の距離Lcを回転ツール3,4のツール本体直径D1或いはD2の1.5倍以上5倍以下とし、図13に示すように、上下回転ツール3,4の近傍を把持することが好ましい。すなわち、下記の式を満足するように上下の回転ツール3,4に対して入出側把持装置5,6を配置することが好ましい。
Lc=D3(D4)x(1.5〜5)
Lc=Lc1+Lc2
Lc:入出側把持装置間距離
Lc1:回転ツール軸芯と入側把持装置間距離
Lc2:回転ツール軸芯と出側把持装置間距離
D3:上回転ツールのツール本体直径
D4:下回転ツールのツール本体直径
本発明において、上記のように把持装置間距離とツール径との関係を定めるのは,次の理由による。
金属板1,2の材料剛性が低い場合、すなわち金属板の板厚t1,t2が薄い場合、または高温変形抵抗σ1,σ2が低い場合には、金属板1,2を入出側把持装置5,6で把持して摩擦攪拌接合を行うと、摩擦攪拌接合時に発生する摩擦熱による熱膨張・熱変形およびプローブまたは突起通過時の排斥力とショルダ部3c,4cの回転による材料へのせん断力により金属板1,2が座屈を起こす可能性がある。本発明者等は、その点について検討を重ねた結果、下記の知見を得た。
金属板(鋼板)の板厚3mm以上の場合では、ツール直径D(=D3=D4)=25mmに対し、把持装置間距離Lcが125mm以下であれば、座屈を起こさずに接合可能であった。この場合の把持装置間距離Lcはツール直径Dの5倍以下である。
また、金属板の板厚が3mm以下の場合には、ツール直径D(=D3=D4)の5倍では、座屈を起こし、接合が出来ない場合があった。
したがって、金属板の板厚が3mm以下の場合には、板厚や材料の高温変形抵抗値により、適宜、5倍以下の範囲内で設定すれば、座屈を起こさず接合出来ることを確認した。
以上より、入出側把持装置5,6間の距離Lcをツール直径Dの5倍以下とすることにより、摩擦攪拌接合時に発生する摩擦熱による熱膨張・熱変形およびプローブまたは突起通過時の排斥力とショルダ部3c,4cの回転による材料へのせん断力による座屈を起こさずに、金属板1,2を接合することが出来る。
また、板厚が3mm以下となる場合は、入出側把持装置5,6間の距離Lcをツール本体直径Dの1.5倍以上3倍以下とすることがより好ましく、ツール本体直径Dの1.5倍以上2倍以下とすることが更に好ましい。
一方、回転ツール3,4による摩擦攪拌時は、接合部の負荷変動や可動部のクリアランス等により回転ツール3,4が微振動を起こすことは不可避であり、入出側把持装置5,6を回転ツール3,4に余り近づけすぎると、両者が干渉する(当たる)おそれがある。入出側把持装置5,6間の距離Lcをツール直径Dの1.5倍以上とすることにより、回転ツール3,4が微振動を起こしても、回転ツール3,4と入出側把持装置5,6との干渉を防止し、装置寿命を向上することが出来る。
以上のように入出側把持装置5,6間の距離Lcを回転ツール直径の1.5倍以上5倍以下とし、金属板1,2の表裏面を把持装置5,6でショルダ近傍を把持することで、金属板1,2が薄く材料剛性が低い場合でも、摩擦攪拌接合時に発生する摩擦熱による熱膨張・熱変形およびプローブまたは突起通過時の排斥力とショルダ部の回転による材料へのせん断力による金属板の座屈を抑制し、かつ金属板1,2の突合せ精度を良好に保ち、安定した接合を行なうことが出来る。
次に、プランジングレスについて言及する。
従来の片面摩擦攪拌接合では、摩擦攪拌開始前に、回転ツールのショルダ面が金属板1,2の表面に接触した状態で、回転ツールを回転させることにより、回転ツールのショルダ面と金属板1,2の表面の摩擦発熱で、金属板材料の温度が材料が軟化する融点の約80%程度の温度に上昇するまで挿入位置を保持するプランジングと呼ばれる作業が必要となる。金属板1,2が軟化した後に、摩擦攪拌深さ位置を固定させた状態あるいは摩擦攪拌装置のツール回転用モータ負荷を一定値に制御しながら回転ツールを接合方向へ移動させ、摩擦攪拌接合を行う。このプランジング作業は時間を要し、その分、接合のタクトタイムが長くなり、生産効率を高める上で制約となっていた。
本発明者等は、両面摩擦攪拌接合を行う場合は、接合部の両面で摩擦熱を生成させるため、片面摩擦攪拌接合で生じていたような裏当て金への熱拡散が無くなり、温度上昇が短時間で達成されることに着目し、摩擦攪拌接合開始前のプランジング工程を省略することが可能ではないかと考え、金属板1,2の端面からプランジングをせずに直ちに摩擦攪拌接合を開始した。その結果、上下回転ツール3,4により金属板1,2が円滑に塑性流動することを確認した。
更に好適には、上下回転ツール3,4のプローブまたは突起部4と凹み部4d間の隙間を事前に摩擦攪拌するなどし、接合する金属と同じ材質の材料で埋めておけば、前述の通り、初期の偏芯荷重による振動は抑制することが出来る。
したがって、本発明の接合方法によれば、プランジング工程を省略したプランジングレスの摩擦攪拌接合を実現することが出来、これにより接合のタクトタイムを短縮し、生産効率を高めることが出来る。
次に、プランジングレスと上下の回転ツール3,4の軸芯の傾斜について言及する。
図21は、上下回転ツール3,4の傾き角度を0度に設定して(ツールを傾けずに)上下回転ツール3,4を接合部端面から挿入する際の説明図である。プランジングレスで摩擦攪拌を開始するために、上下回転ツール3,4を接合部端面24から挿入する際のツール挿入位置は、接合部Jと回転ツール3,4の相対位置で決定される。図21に示すように回転ツール3,4の挿入位置が微小にずれ、過挿入となった場合には、回転ツール3,4側面で接合部端面24を押付け、金属板1,2を座屈させる等のトラブルの発生並びに摩擦攪拌不良を起こす可能性がある。
図22は、上下回転ツール3,4を適度に傾けて上下回転ツール3,4を接合部端面24から挿入する際の様子を示す図である。接合部端面24からの円滑なツール挿入を果たすためには、図22に示す通り、上下回転ツール3,4先端部のプローブ13a,13bが進行方向に対し先行する方向にツール軸心14を傾けた状態で攪拌する。このときの傾き角θ1およびθ2は、好適には0°を超え10°以下、更に好適には0°を超え6°以下、更に好適には0°を超え3°以下とする。
これにより回転ツール3,4は、そのショルダ面から接合部端面24に係合するため、ツール側面で接合部端面24を押付けることがなくなり、金属板座屈等のトラブルや摩擦攪拌不良を起こすことなく、プランジングレスでスムーズに摩擦攪拌接合を開始することが出来る。そして、その後の接合過程において、上下回転ツール3,4の軸芯が傾いていることにより、前述したように、回転ツール3,4のショルダと材料間の面圧を高め、摩擦攪拌接合の際に発生するバリや接合欠陥を抑制することが出来る。
次に、プランジングレスで両面摩擦攪拌接合を行う運転方法について説明する。
まず、その運転方法に係わる制御系について説明する。
図10および図11に示すように、本実施の形態に係わる接合装置は、上本体ケース51の下面に取り付けられた上位置計測器81aおよび上ツール回転駆動装置7の筒体49とサポートフレーム63aとの間に取り付けられた上荷重計測器82aと、下本体ケース52の上面に取り付けられた下位置計測器(ロードセル)81bおよび下ツール回転駆動装置8の筒体54と図示しない下ツール回転駆動装置8用のサポートフレーム63bとの間に取り付けられた下荷重計測器(ロードセル)82bと、制御装置83とを有している。制御装置83は、上下位置計測器81a,81bおよび上下荷重計測器82a,82bの計測値を入力し、所定の演算処理を行い、上下ツール回転駆動装置7,8の回転用モータ53a,53b、上下ツール押圧装置45,46の押圧用モータ61a,61b、上下移動装置47,48の走行用モータ67a,67bに指令信号を送り、上下ツール回転駆動装置7,8、上下ツール押圧装置45,46、上下移動装置47,48の動作を制御する。図示の例では、上下位置計測器81a,81bは非接触式であるが、接触式であっても構わない。また、傾斜支持装置76a,76bが角度調整式である場合、制御装置83は事前に設定したデータに基づいて傾斜支持装置76a,76bの角度調整用モータ77a,77bに指令信号を送り、上下の回転ツール3,4の軸芯15を傾けて所定の角度で支持する。
図23は、回転ツール3,4の軸心15を傾けてプランジングレスで両面摩擦攪拌接合を行う運転方法を示す図である。図24は、図11に示した制御装置83が行う処理手順を示す制御フローである。
図23および図24に示す通り、摩擦攪拌接合開始前は、上下ツール回転駆動装置7,8は待機位置20a,20bにある。この待機位置20a,20bにおいて、上下回転ツール3,4は軸芯15を傾けた状態にある。また、上下本体ケース51,52に取り付けられた上下位置計測器81a,81b(図10および図11参照)を用いて接合部Jと上下ツール回転駆動装置7,8間の距離を測定し、回転ツール3,4の予定挿入深さを演算する(ステップS1)。次に、上下押圧用モータ61a,61bを駆動して上下回転ツール3,4を予定挿入深さまで位置制御にて移動させる(ステップS2)。このとき、位置計測器81a,81bの計測値に基づいて、上下の回転ツール3,4のショルダ面3b,4bを所定範囲(例えば板厚t)に設定する。そして、このようにツール挿入位置を位置制御にて保持した状態で、上下走行モータ67a,67bを駆動して上下ツール回転駆動装置7,8を接合方向へ移動させ(ステップS2)、接合部端面24の摩擦攪拌開始位置21a,21bから摩擦攪拌接合を開始する。このとき、前述したように、位置制御のまま接合部端面24から回転ツール3,4のショルダ面3b,4bを接合部端面24に当てながら回転ツール3,4を金属板1,2に挿入することによって、プランジングレスで摩擦攪拌接合を開始する(図23等参照)。
摩擦攪拌接合開始後、上回転ツール3の上回転用モータ53aの制御電流に基づいて上回転用モータ53aの負荷が所定の値となるようにツール挿入位置を制御する負荷一定制御とし(ステップS3)、摩擦攪拌接合が終了する摩擦攪拌終了位置22a,22b到達前に、その時点のツール挿入位置を保持する位置一定制御に切替え(ステップS3→S4)、摩擦攪拌終了位置22a,22bを通過させるように制御する。下回転ツール4については、摩擦攪拌接合開始後も位置制御が維持され、位置制御のまま摩擦攪拌終了位置22a,22bを通過させる(ステップS3→S4)。
このように摩擦攪拌接合開始後に、下回転ツール4は位置制御を維持し、上回転ツール3を負荷一定制御に切り替えることで、接合部Jの厚みが変動した場合でも安定して摩擦攪拌することが出来る。
また、上下回転ツール3,4への負荷が一定となるため、回転ツール3,4の損耗や折損を抑制することが出来、回転ツール3,4の寿命を延ばすことが出来る。
上記の各ステップの制御は制御装置83が上下位置計測器81a,81bの計測値を入力し、この計測値と上下回転用モータ53a,53bの制御電流に基づいて上下回転用モータ53a,53b、上下押圧用モータ61a,61b、上下走行モータ67a,67b等の各種アクチュエータに作動指令を与えることにより行う。
なお、上記運転方法では、上回転ツール3の負荷一定制御を回転用モータ53aの制御電流を用いて行ったが、その代わりに荷重計測器82a,82bの計測値を用いて行ってもよい。また、上下回転ツール3,4の位置制御を上下位置計測器81a,81bの計測値を用いて行ったが、その代わりに上下押圧用モータ61a,61bの回転量を検出するエンコーダ等の回転センサを用いて行ってもよい。
図25は、制御装置83が行う処理手順の他の例を示す制御フローである。この例では、図23の摩擦攪拌開始位置21a,21bから摩擦攪拌終了位置22a,22bまでの範囲において、上回転ツール4のみを負荷一定制御とするのではなく、上下回転ツール3,4ともに負荷一定制御とするものである(ステップS3A)。図23では、その例が、摩擦攪拌開始位置21a,21bと摩擦攪拌終了位置22a,22bの範囲において、補足的にかっこ書きで記載されている。
上下回転ツール3,4の制御方法において、下回転ツール4を摩擦攪拌接合後も位置一定制御とした場合、金属板の下面が基準面となる。この場合、金属板の変形などにより基準面が一定でない場合、材料が薄く(或いは材料の剛性が低く)、材料の変形抵抗が低い場合には、上回転ツール3のみの負荷一定制御による上回転ツール3からの金属板に対する押圧力で、上下の摩擦攪拌範囲を概ね一致させることが可能である。しかし、材料が厚く(或いは材料の剛性が高く)、材料の変形抵抗が高い場合には、上回転ツール3のみの負荷一定制御による金属板に対する押圧力では、金属板の表裏面の摩擦攪拌接合範囲を一致させることが困難な場合があることが確認された。
金属板の表裏面の摩擦攪拌接合範囲が異なる場合は、板厚方向において残留応力のアンバランスが発生し、表裏面で耐引張・耐曲げ強度差が発生し、強度信頼性を低下させる一因となる可能性がある。
また、回転ツールの一方を位置制御とした場合には、表裏面における押圧力のアンバランスにより、金属板を把持している把持装置5,6に押圧力による力が発生し、金属板の保持力に加えて、この表裏面の押圧力のアンバランスにより発生した把持装置5,6に掛かる力を保持する必要があるため、把持装置5,6が大型化する可能性がある。
そこで、金属板が厚い場合或いは金属板の剛性が高い場合には、図23のかっこ書きおよび図25の制御フローのステップS3Aに記載するように、摩擦攪拌接合開始後に、下回転ツール4も回転モータ負荷一定制御として、上下回転ツール3,4とも、負荷一定制御とする。これにより金属板の表面側からの入熱量および入熱範囲と裏面側からの入熱量および入熱範囲が同じとなり、表裏面の残量応力を均一にすることが出来、金属板の反りを防止出来る。
なお、逆に、金属板が十分に薄い場合或いは金属板の剛性が十分に低い場合には、摩擦攪拌中も含め、上下回転ツール3,4を常に位置制御としてもよい。
1,2 金属板
3 第1の回転ツール(上回転ツール)
3a ツール本体
3b ショルダ部
3c ショルダ面
3d 突起部(プローブ)
4 第2の回転ツール(下回転ツール)
4a ツール本体
4b ショルダ部
4c ショルダ面
4d 凹み部
5 入側上把持装置
5a,5b 上下把持板
6 出側下把持装置
6a,6b 上下把持板
7 上ツール回転駆動装置
8 下ツール回転駆動装置
9 上ハウジング
10 下ハウジング
11 上レール
12 下レール
15 ツール軸芯
20a 上回転ツール待機位置
20b 下回転ツール待機位置
21a 上摩擦攪拌接合開始位置
21b 下摩擦攪拌接合開始位置
22a 上摩擦攪拌接合終了位置
22b 下摩擦攪拌接合終了位置
24 摩擦攪拌開始金属板端面
27a 上せん断力
27b 下せん断力、
45 上ツール押圧装置
46 下ツール押圧装置
47 上移動装置
48 下移動装置
49 上筒体
50 下筒体
51 上本体ケース
52 下本体ケース
53a 上回転用モータ
53b 下回転用モータ
61a,61b 押圧用モータ
62a,62b スクリュー
63a,63b サポートフレーム
64a,64b 軸
65a,65b 走行フレーム
66a,66b 車輪
67a,67b 走行モータ
71 車輪
72 スクリュー
73 走行用モータ
74 走行装置
75 制御装置
76a 上傾斜支持装置
76b 下傾斜支持装置
77a,77b 角度調整用モータ
81a 上位置計測器
81b 下位置計測器
82a 上荷重計測器
82b 下荷重計測器
83 制御装置
J 接合部
θ1,θ2 傾き角

Claims (12)

  1. 2枚の金属板(1,2)の接合部(J)の表面側と裏面側に、第1および第2の回転ツール(3,4)を相対向するように配置し、この第1および第2の回転ツールにより前記接合部を摩擦攪拌し、前記2枚の金属板を摩擦攪拌接合する両面摩擦攪拌接合方法において、
    前記第1および第2の回転ツール(3,4)の一方の回転ツール(3)を、ショルダ部(3c)を先端部分に形成したツール本体(3a)と、このツール本体の先端部分から突出するよう形成された少なくとも1つの突起部(3d)とを有する構成とし、
    前記第1および第2の回転ツールの他方の回転ツール(4)を、ショルダ部(4c)を先端部分に形成したツール本体(4a)と、このツール本体の先端部分に形成され、前記2枚の金属板(1,2)の接合時に前記突起部(3d)の先端部を収納する少なくとも1つの凹み部(4d)とを有する構成とし、
    前記第1および第2の回転ツールを前記2枚の金属板の接合部(J)の表面側と裏面側に相対向するように配置し、前記第1および第2の回転ツールを回転させ、前記第1および第2の回転ツールを互いに近づく方向に移動して、前記第1の回転ツールの突起部(3d)の先端部を前記第2の回転ツールの凹み部(4d)内に挿入するとともに、前記第1および第2の回転ツールの前記ショルダ部のショルダ面(3b,4b)を前記接合部の表面側と裏面側に押圧し、
    前記第1の回転ツールの突起部の先端部(3d)を前記第2の回転ツールの凹み部(4d)内に挿入し、前記第1および第2の回転ツールの前記ショルダ部のショルダ面(3b,4b)を前記接合部の表面側と裏面側に押圧した状態で、前記第1および第2の回転ツールを前記接合部に沿って移動させ、前記接合部の板厚方向全域を前記第1および第2の回転ツールで摩擦攪拌することを特徴とする両面摩擦攪拌接合方法。
  2. 請求項1に記載の両面摩擦攪拌接合方法において、前記第1および第2の回転ツール(3,4)の材質を焼結炭化タングステンの超硬合金またはタングステン合金とし、前記第1および第2の回転ツールによって接合される2枚の金属板(1,2)は、融点が1000℃以上の材料からなることを特徴とする両面摩擦攪拌接合方法。
  3. 請求項1または2に記載の両面摩擦攪拌接合方法において、前記相対向するように配置した前記第1および第2の回転ツール(3,4)の先端部分が前記接合部(J)に対する前記第1および第2の回転ツールの移動方向に向かって先行するように、前記第1および第2の回転ツールのそれぞれの軸芯(15)を傾けることを特徴とする両面摩擦攪拌接合方法。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の両面摩擦攪拌接合方法において、前記相対向するように配置した前記第1および第2の回転ツール(3,4)の回転方向を前記2枚の金属板(1,2)の接合部(J)の表面側と裏面側で逆方向としたことを特徴とする両面摩擦攪拌接合方法。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の両面摩擦攪拌接合方法において、
    前記第1および第2の回転ツール(3,4)のうちの少なくとも一方の回転ツール(3)は、摩擦攪拌接合開始前に予定挿入深さまで金属板(1,2)の厚み方向に対し位置制御にて移動し、該回転ツール(3)の挿入深さを保持した状態で、前記2枚の金属板の接合部端面(24)から該回転ツールを接合進行方向に位置制御にて送って摩擦攪拌接合を開始し、摩擦攪拌接合開始後は、該回転ツール(3)の負荷が所定の値となるように、該回転ツールの挿入位置を制御する負荷一定制御に切り替え、摩擦攪拌接合が終了する接合終端部到達前に、その時点の該回転ツール(3)の挿入位置を保持する位置制御に切り替え、接合部終端部を通過させることを特徴とする両面摩擦攪拌接合方法。
  6. 2枚の金属板(1,2)の接合部(J)の表面側と裏面側に、第1および第2の回転ツール(3,4)を相対向するように配置し、この第1および第2の回転ツールにより前記接合部を摩擦攪拌し、前記2枚の金属板を摩擦攪拌接合する両面摩擦攪拌接合装置において、
    前記第1および第2の回転ツール(3,4)を前記2枚の金属板(1,2)の接合部(J)の表面側と裏面側に相対向するように装着し、前記第1および第2の回転ツールを回転駆動するツール回転駆動装置(7,8)と、
    前記ツール回転駆動装置に装着した前記第1および第2の回転ツールを互いに近づく方向に移動して、前記第1および第2の回転ツールを前記金属板の接合部の表面側と裏面側に押圧するツール押圧装置(45,46)と、
    前記ツール回転駆動装置に装着した前記第1および第2の回転ツールを前記接合部に沿って移動させる移動装置(47,48)とを有し、
    前記第1の回転ツール(3)は、ショルダ部(3c)を先端部分に形成したツール本体(3a)と、このツール本体の先端部分から突出するよう形成された少なくとも1つの突起部(3d)とを有し、
    前記第2の回転ツール(4)は、ショルダ部(4c)を先端部分に形成したツール本体(4a)と、このツール本体の先端部分に形成され、前記2枚の金属板の接合時に前記突起部(3d)の先端部を収納する少なくとも1つの凹み部(4d)とを有し、
    前記ツール押圧装置(45.46)は、前記ツール回転駆動装置(7,8)に装着した前記第1および第2の回転ツールを互いに近づく方向に移動するとき、前記第1の回転ツールの突起部(3d)の先端部を前記第2の回転ツールの凹み部(4d)内に挿入するとともに、前記第1および第2の回転ツールの前記ショルダ部のショルダ面(3b,4b)を前記接合部の表面側と裏面側に押圧し、
    前記移動装置(47,48)は、前記第1の回転ツールの突起部(3d)の先端部を前記第2の回転ツールの凹み部(4d)内に挿入し、前記第1および第2の回転ツールの前記ショルダ部のショルダ面(3b,4b)を前記接合部の表面側と裏面側に押圧した状態で、前記第1および第2の回転ツールを前記接合部に沿って移動させ、前記接合部の板厚方向全域を前記第1および第2の回転ツールで摩擦攪拌することを特徴とする両面摩擦攪拌接合装置。
  7. 請求項6に記載の両面摩擦攪拌接合装置において、
    前記ツール回転駆動装置(7,8)に装着した前記第1および第2の回転ツール(3,4)の先端部分が前記接合部(J)に対する前記第1および第2の回転ツールの移動方向に向かって先行するように、前記第1および第2の回転ツールのそれぞれの軸芯(15)を傾けて支持する傾斜支持装置(76a,76b)を更に有することを特徴とする両面摩擦攪拌接合装置。
  8. 請求項6または7に記載の両面摩擦攪拌接合装置において、
    前記ツール回転駆動装置(7,8)は、前記第1および第2の回転ツール(3,4)を前記接合部(J)の表面側と裏面側で逆方向に回転させることを特徴とする両面摩擦攪拌接合装置。
  9. 請求項6乃至8の何れか1項に記載の両面摩擦攪拌接合装置において、
    前記ツール回転駆動装置(7,8)に装着した前記第1および第2の回転ツール(3,4)のうちの少なくとも一方の回転ツール(3)は、摩擦攪拌接合開始前に予定挿入深さまで金属板(1,2)の厚み方向に対し位置制御にて移動し、該回転ツール(3)の挿入深さを保持した状態で、前記2枚の金属板の接合部端面(24)から該回転ツールを接合進行方向に位置制御にて送って摩擦攪拌接合を開始し、摩擦攪拌接合開始後は、該回転ツール(3)の負荷が所定の値となるように、該回転ツールの挿入位置を制御する負荷一定制御に切り替え、摩擦攪拌接合が終了する接合終端部到達前に、その時点の該回転ツール(3)の挿入位置を保持する位置制御に切り替え、接合部終端部を通過させるよう前記ツール押圧装置(45,46)および移動装置(47,48)を制御する制御装置(83)を更に有することを特徴とする両面摩擦攪拌接合装置。
  10. 2枚の金属板(1,2)の接合部(J)をその表裏面の両側から摩擦攪拌して、前記2枚の金属板を摩擦攪拌接合する両面摩擦攪拌接合用ツールセットにおいて、
    前記2枚の金属板(1,2)の接合部(J)の表面側と裏面側に相対向するように配置され、前記接合部を摩擦攪拌する第1および第2の回転ツール(3,4)を有し、
    前記第1の回転ツール(3)は、ショルダ部(3c)を先端部分に形成したツール本体(3a)と、このツール本体の先端部分から突出するよう形成された少なくとも1つの突起部(3d)とを有し、
    前記第2の回転ツール(4)は、ショルダ部(4c)を先端部分に形成したツール本体(4a)と、このツール本体の先端部分に形成され、前記2枚の金属板の接合時に前記突起部(3d)の先端部を収納する少なくとも1つの凹み部(4d)とを有し、
    前記第1の回転ツールの突起部(3d)の先端部を前記第2の回転ツールの凹み部(4d)内に挿入し、前記第1および第2の回転ツールの前記ショルダ部のショルダ面(3b,4b)を前記接合部の表面側と裏面側に押圧した状態で、前記第1および第2の回転ツールを前記接合部に沿って移動させ、前記接合部の板厚方向全域を摩擦攪拌することを特徴とする両面摩擦攪拌接合用ツールセット。
  11. 請求項10に記載の両面摩擦攪拌接合用ツールセットにおいて、前記第2の回転ツール(4)のショルダ面(4b)の直径は前記第1の回転ツール(3)のショルダ面(3b)の直径と同じであることを特徴とする両面摩擦攪拌接合用ツールセット。
  12. 請求項10又は11に記載の両面摩擦攪拌接合用ツールセットにおいて、
    前記第2の回転ツール(4)は、前記ツール本体(4a)の先端部分から突出するよう形成された少なくとも1つの少なくとも1つのリング状の突起部(4e,4f,4h)を有し、前記凹み部(4d)は前記リング状の突起部の内側に形成されていることを特徴とする両面摩擦攪拌接合用ツールセット。
JP2010515149A 2009-11-18 2009-11-18 両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセット Active JP4838388B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2009/069583 WO2011061826A1 (ja) 2009-11-18 2009-11-18 両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP4838388B2 JP4838388B2 (ja) 2011-12-14
JPWO2011061826A1 true JPWO2011061826A1 (ja) 2013-04-04

Family

ID=44059327

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010515149A Active JP4838388B2 (ja) 2009-11-18 2009-11-18 両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセット

Country Status (6)

Country Link
EP (1) EP2502698B1 (ja)
JP (1) JP4838388B2 (ja)
CN (1) CN102131612B (ja)
BR (1) BR112012012017B1 (ja)
IN (1) IN2012DN03229A (ja)
WO (1) WO2011061826A1 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013119154A1 (en) * 2012-02-09 2013-08-15 Esab Ab Backing arrangement for use in friction stir welding
CN102601516A (zh) * 2012-03-29 2012-07-25 哈尔滨工业大学 双面对称搅拌摩擦焊接方法
JP2014024101A (ja) * 2012-07-27 2014-02-06 Sumitomo Electric Ind Ltd 回転ツールおよび接合方法
JP6155155B2 (ja) * 2013-09-27 2017-06-28 三菱重工業株式会社 摩擦撹拌工具、摩擦撹拌接合装置及び摩擦撹拌接合方法
JP6284444B2 (ja) * 2014-06-25 2018-02-28 三菱重工業株式会社 摩擦撹拌接合方法及び摩擦撹拌接合装置
JP6655868B2 (ja) * 2014-08-28 2020-03-04 三菱重工エンジニアリング株式会社 摩擦撹拌接合用のエンドタブ、及び接合材の製造方法
JP6403515B2 (ja) * 2014-09-24 2018-10-10 三菱重工業株式会社 接合部処理方法及びドーム部材
JP6276739B2 (ja) * 2015-10-21 2018-02-07 川崎重工業株式会社 摩擦撹拌点接合装置及び摩擦撹拌点接合方法
CN111050973B (zh) * 2017-09-13 2021-11-30 杰富意钢铁株式会社 金属板的双面摩擦搅拌接合方法及双面摩擦搅拌接合装置
KR102395331B1 (ko) 2018-03-20 2022-05-06 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 양면 마찰 교반 접합용 회전 툴, 양면 마찰 교반 접합 장치, 및 양면 마찰 교반 접합 방법
DE102018130521A1 (de) * 2018-11-30 2020-06-04 Volkswagen Aktiengesellschaft Vorrichtung und Verfahren zur Herstellung eines Bauteilverbunds und Kraftfahrzeug
DE102019135240A1 (de) * 2019-12-19 2021-06-24 Ejot Gmbh & Co. Kg Verbindungselement und Werkzeug zum Befestigen eines Verbindungselements auf einem Bauteil durch Reibschweißen
DE102020108356A1 (de) 2020-03-26 2021-09-30 Universität Stuttgart, Körperschaft Des Öffentlichen Rechts Gegenhalter, Vorrichtung und Verfahren zum Rührreibschweißen
CN111805074B (zh) * 2020-07-16 2022-07-01 柳州市智甲金属科技有限公司 搅拌摩擦焊装置及其标定方法
KR20240035618A (ko) 2021-09-13 2024-03-15 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 전기 강대의 접합 조인트 및 마찰 교반 접합 방법, 그리고, 전기 강대의 제조 방법

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB9125978D0 (en) 1991-12-06 1992-02-05 Welding Inst Hot shear butt welding
JP3589863B2 (ja) * 1997-07-23 2004-11-17 株式会社日立製作所 構造体および摩擦攪拌接合方法
JPH1148968A (ja) * 1997-08-06 1999-02-23 Hitachi Ltd 鉄道車両用構体の製作方法及び製作装置
JPH11267859A (ja) * 1998-03-17 1999-10-05 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 接合用加工材とその接合方法及び接合された加工パネル
JPH11320127A (ja) * 1998-05-07 1999-11-24 Showa Alum Corp 摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置
US6045028A (en) * 1998-07-17 2000-04-04 Mcdonnell Douglas Corporation Integral corrosion protection of friction-welded joints
JP3261433B2 (ja) * 1999-05-25 2002-03-04 川崎重工業株式会社 接合装置及び接合方法
JP3400409B2 (ja) * 2000-04-28 2003-04-28 マツダ株式会社 接合方法及び接合装置
JP2003211326A (ja) * 2002-01-16 2003-07-29 Hitachi Ltd 金属部品の製造方法および金属部品
JP3948323B2 (ja) * 2002-03-29 2007-07-25 日本軽金属株式会社 アルミニウム又はアルミニウム合金板材の接合方法
JP3726786B2 (ja) * 2002-07-31 2005-12-14 マツダ株式会社 接合方法及び接合ツール
US7367487B2 (en) * 2003-08-22 2008-05-06 Honda Motor Co., Ltd. Method for friction stir welding, jig therefor, member with friction stir-welded portion, and tool for friction stir welding
JP4292039B2 (ja) * 2003-08-25 2009-07-08 日本車輌製造株式会社 パネル接合構造
JP2005324251A (ja) * 2004-04-16 2005-11-24 Showa Denko Kk 摩擦攪拌接合方法、筒状部材の摩擦攪拌接合方法および中空体の製造方法
JP4856943B2 (ja) * 2004-12-14 2012-01-18 昭和電工株式会社 重ね継手の形成方法、圧延用板の接合方法、板材へのリブ材接合方法および中空体の製造方法
JP5102470B2 (ja) * 2006-08-02 2012-12-19 京浜ラムテック株式会社 被接合材の接合方法及び被接合材の接合構造
JP2009241771A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Hitachi Ltd 軸箱支持装置用軸ばね座及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2011061826A1 (ja) 2011-05-26
JP4838388B2 (ja) 2011-12-14
CN102131612B (zh) 2014-02-26
BR112012012017A2 (pt) 2016-05-10
CN102131612A (zh) 2011-07-20
EP2502698A1 (en) 2012-09-26
EP2502698A4 (en) 2016-07-13
BR112012012017B1 (pt) 2017-06-27
EP2502698B1 (en) 2020-08-12
IN2012DN03229A (ja) 2015-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4838388B2 (ja) 両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセット
JP5096640B1 (ja) 摩擦攪拌接合方法および装置
JP4838385B2 (ja) 両面摩擦攪拌接合方法、接合装置、冷間圧延設備の金属板接合方法及び冷間圧延設備
JP5521241B2 (ja) 摩擦攪拌接合システムおよび摩擦攪拌接合方法
KR101862972B1 (ko) 마찰 교반 접합 방법 및 마찰 교반 접합 장치
EP1814686B1 (en) Counter-rotating spindle for friction stir welding
JP4838389B1 (ja) 突合せ部に隙間のある金属板の両面摩擦攪拌接合方法
JP4500884B2 (ja) 金属板の接合方法及び接合装置
KR101668628B1 (ko) 압연롤의 제조 방법 및 압연롤, 및 압연롤의 제조 장치
JP4332157B2 (ja) 摩擦攪拌接合装置
US11027363B2 (en) Ironing plate for friction stir welding apparatus and friction stir welding apparatus including the same, and friction stir welding method
EP1688206B1 (en) Friction stir welding method with prior welding of a buildup bead by using a buildup member
WO2003106098A1 (en) Method and apparatus for friction stir welding
WO2012039060A1 (ja) マッシュシーム溶接方法および装置
JP2009202212A (ja) 異材接合方法及び装置
WO2015068428A1 (ja) 摩擦撹拌接合方法
JP2007268558A (ja) 摩擦攪拌接合装置および摩擦攪拌接合方法
JP5358140B2 (ja) 摩擦撹拌接合装置及び摩擦撹拌接合方法
JP2007222899A (ja) 異種金属部材の摩擦攪拌接合方法
JP5920826B2 (ja) 摩擦攪拌加工用裏当て部材、摩擦攪拌加工方法及び摩擦攪拌加工装置
JP6059649B2 (ja) 両面摩擦撹拌接合方法及び両面摩擦撹拌接合装置
JPH11156560A (ja) 摩擦撹拌接合装置
KR20200005089A (ko) 마찰교반 접합 장치
WO2001028731A1 (en) Modified friction stir welding method and apparatus
JP2014061542A (ja) 金属材の接合方法及び金属材の接合装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110927

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110929

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141007

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4838388

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350