JPWO2011059085A1 - 脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、腎不全を伴わない(すなわち、腎機能が正常である)脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤を提供することである。前記課題は、球形活性炭を有効成分とする脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤であって、前記動脈硬化症の患者の糸球体ろ過率が60mL/min/1.73m2以上であり、且つアルブミン/Cr比が、30mg/gCr未満であることを特徴とする前記予防又は治療剤によって解決することができる。

Description

本発明は、脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤に関する。本発明によれば、単球における活性酸素種発現の抑制、及び単球における接着分子発現の抑制を行うことができる。
動脈硬化症は、動脈硬化によって引き起こされる様々な病態である。動脈硬化症は、脂質異常症、肥満、糖尿病、高血圧、喫煙、インシュリン抵抗性、高ホモシステイン血症、運動不足、慢性腎不全、又はストレスなどの危険因子により生じると考えられて、いくつかの危険因子が重複して動脈硬化を発症させることもあるが、それぞれの危険因子が単独で動脈硬化を発症させることもある。動脈硬化が発症すると、最終的には動脈の血流が遮断されて、酸素や栄養が重要組織に到達できなくなる結果、脳梗塞や心筋梗塞などの原因となる。
動脈硬化症の危険因子の1つである脂質異常症の状態が長く続くと、血管の内皮細胞にLDLコレステロールが過剰に蓄積し、このLDLコレステロールが酸化し、酸化LDLコレステロールとなることにより、内皮細胞が傷害される。この内皮細胞の傷害に対して、血液中の単球が関与して動脈硬化症を起こすことが、動脈硬化発症の機序の1つとして知られている(非特許文献1及び2)。すなわち、傷害を生じた内皮細胞には、血液中の単球が付着しやすくなっており、この単球の内皮細胞への付着は、単球における接着分子の発現の増加によって、更に亢進する。そして、内皮細胞に付着した単球は、細胞の間から内膜に潜り込み、マクロファージとなる。マクロファージは、有害な酸化した脂肪物質を取り込み、泡沫細胞となり、時間の経過とともに粥状物質(アテロームプラーク)を形成し、最終的に動脈硬化症の一種であるアテローム動脈硬化症を発症する。
前記の脂質異常症が発生する原因の1つとして、アポリポ蛋白E(以下、ApoEと称することがある)の異常が考えられている。ApoEは、細胞外に分泌され、脂質と複合体を形成するリポ蛋白であり、細胞表面のApoE受容体であるLDL受容体、VLDL受容体、又はLRP受容体に結合し、細胞外の脂質を細胞内へ運び込む際のリガンドとして機能している。一方で、ApoEは細胞からコレステロール及びリン脂質を運び出す機能を有しており、従って、これら双方の機能から、ApoEは、生体内において脂質代謝を制御しているものと考えられている。例えば、ApoEをノックアウトしたApoE脂質異常症モデルマウスは、LDLコレステロールの異常を示し、高率に動脈硬化症を発症することが知られている。
脂質異常症由来の動脈硬化症の治療方法としては、食事療法及び運動などの非薬物療法が基本であるが、非薬物療法により効果が得られない場合は、スタチン系高脂血症治療薬、又はフィブラート系高脂血症治療薬を用いる。しかしながら、スタチン系高脂血症治療薬は、横紋筋融解症の副作用がおこることが知られており、更にスタチン系高脂血症治療薬及びフィブラート系高脂血症治療薬を併用した場合に、横紋筋融解症による死亡例も報告されている。従って、安全性の高い脂質異常症由来の動脈硬化症の治療薬の開発が望まれている。
国際公開第2006/123618号公報
「ネイチャー・メディシン(NATURE MEDICINE)」(英国)2002年、第8巻、p.1249−1256 「ネイチャー・レビューズ(NATURE REVIEWS)」(英国)2008年、第8巻、p.802−815 「キドニー・ブラッド・プレッシャー・リサーチ(Kidney Blood Pressure Reseach)」(スイス)2004年、第27巻、p.121−126 「ハイパーテンション(Hypertension)」(米国)2004年、第43巻、p.163−168
前記のように、動脈硬化症は、脂質異常症、肥満、糖尿病、高血圧、喫煙、インシュリン抵抗性、高ホモシステイン血症、運動不足、慢性腎不全、又はストレスなどの危険因子が単独で、又はそれらの組み合わせによって発症すると考えられる。具体的には、それぞれの危険因子において、血管内皮を障害する物質が存在すると考えられており、例えば、高血圧の場合はアンジオテンシンIIが、脂質異常症の場合は酸化LDLコレステロールが、肥満の場合はTNF−αが、そして糖尿病の場合はフリーラジカルが、血管内皮傷害を引き起こす物質であると考えられている。
前記の危険因子の中で、慢性腎不全における血管内皮を障害する物質は、明確にはわかっていないが、慢性腎不全の患者において、アンジオテンシン変換酵素の阻害薬の投与のみが、動脈壁硬化の増加と関連する大動脈脈波速度(脈波伝播速度;PWV)を改善することが報告されている(非特許文献4)。このデータは、慢性腎不全の患者においては、アンジオテンシン変換酵素を阻害することにより、アンジオテンシンIIが産生されなくなり、動脈硬化が治療されることを意味し、従ってアンジオテンシンIIが慢性腎不全の患者における血管内皮の傷害を起こす主要な物質であると考えられる。また、慢性腎不全の患者においては、動脈壁の硬化は、血糖値、血漿コレステロール値、肥満、喫煙習慣などの危険因子とは関連がないことが報告されており(非特許文献4)、これらのことからも、慢性腎不全の患者における血管内皮の傷害を起こす主要な物質は、アンジオテンシンIIであると考えられる。
慢性腎不全由来の動脈硬化に関しては、腎不全のモデルラットにおいて、酸化ストレスのマーカーであるアクロレイン、及び8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)が、球形活性炭の投与により、尿中において減少することが報告されており、このことから腎不全由来の動脈硬化において球形活性炭の投与が有効であることが示されている(特許文献1)。また、慢性腎不全患者において球形活性炭の投与により、血管の内膜中膜複合体肥厚度(IMT)及び脈波伝播速度(PWV)が改善されることが示されている(非特許文献3)。前記慢性腎不全患者の血液中のLDLコレステロール値は、球形活性炭の投与前において174±32mg/dLであり、慢性腎不全と共に軽度の脂質異常症を併発している。従って、前記慢性腎不全患者においては、アンジオテンシンII及び酸化LDLコレステロールにより血管内皮が傷害されていると考えられる。
しかしながら、これらの脂質異常症を伴う慢性腎不全患者において、IMT及びPWVが改善された後の血液中のLDLコレステロール値はほとんど減少しておらず、球形活性炭の投与により、脂質異常症は改善されていなかった。一方、球形活性炭の投与により、腎機能低下は抑制されており、従って、球形活性炭の投与によるIMT及びPWVの改善は、脂質異常症を改善することによるものではなく、球形活性炭による腎機能低下の抑制による効果であると考えられた。
本発明の目的は、腎不全を伴わない(すなわち、腎機能が正常である)脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤を提供することである。
本発明者は、脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、球形活性炭の経口投与により、腎機能が正常である脂質異常症由来の動脈硬化症に対して優れた改善効果が現れることを見出した。球形活性炭製剤は、従来、腎臓疾患などに対する経口解毒剤として使われており、副作用や毒性が実質的にないことも知られているが、腎機能が正常である脂質異常症由来の動脈硬化症を改善する作用を有するとの知見は、従来は全く無い。更に、非特許文献3に示されたように、脂質異常症を伴う慢性腎不全患者において、球形活性炭の投与により、脂質異常症が改善されなかったにもかかわらず、腎機能が正常である脂質異常症由来の動脈硬化症において、球形活性炭の投与が、動脈硬化症に有効であることは、驚くべきことである。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は球形活性炭を有効成分とする脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤であって、前記動脈硬化症の患者の糸球体ろ過率が60mL/min/1.73m以上であり、且つアルブミン/Cr比が、30mg/gCr未満であることを特徴とする前記予防又は治療剤に関する。
本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤の好ましい態様においては、経口投与用である。
また、本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤の別の好ましい態様においては、球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである。
更に、本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤の別の好ましい態様においては、球形活性炭の比表面積が500〜2000m/gである。
本発明は、球形活性炭を有効成分とする、脂質異常症患者の単球における活性酸素種発現の抑制剤に関する。
また、本発明は、球形活性炭を有効成分とする、脂質異常症患者の単球における接着分子発現の抑制剤に関し、特には、前記接着分子がCD11bである。
また、本発明は、球形活性炭を脂質異常症由来の動脈硬化症の治療又は予防が必要な対象に、有効量で投与することを含む、脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療方法であって、前記動脈硬化症の対象の糸球体ろ過率が60mL/min/1.73m以上であり、且つアルブミン/Cr比が、30mg/gCr未満であることを特徴とする前記予防又は治療方法に関する。
本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療方法の好ましい態様においては、前記投与が経口投与である。
また、本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療方法の別の好ましい態様においては、球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである。
更に、本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療方法の別の好ましい態様においては、球形活性炭の比表面積が500〜2000m/gである。
本発明は、球形活性炭を脂質異常症患者に有効量で投与することを含む、脂質異常症患者の単球における活性酸素種発現の抑制方法に関する。
また、本発明は、球形活性炭を脂質異常症患者に有効量で投与することを含む、脂質異常症患者の単球における接着分子発現の抑制方法に関し、特には、前記接着分子がCD11bである。
また、本発明は、脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療用球形活性炭であって、前記動脈硬化症の対象の糸球体ろ過率が60mL/min/1.73m以上であり、且つアルブミン/Cr比が、30mg/gCr未満であることを特徴とする前記球形活性炭に関する。
本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療用球形活性炭の好ましい態様においては、経口投与用である。
また、本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療用球形活性炭の別の好ましい態様においては、球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである。
更に、本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療用球形活性炭の別の好ましい態様においては、球形活性炭の比表面積が500〜2000m/gである。
本発明は、脂質異常症患者の単球における活性酸素種発現の抑制用の球形活性炭に関する。
また、本発明は、脂質異常症患者の単球における接着分子発現の抑制用の球形活性炭に関し、特には、前記接着分子がCD11bである。
また、本発明は、脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤の製造のための、球形活性炭の使用であって、前記動脈硬化症の患者の糸球体ろ過率が60mL/min/1.73m以上であり、且つアルブミン/Cr比が、30mg/gCr未満であることを特徴とする前記使用に関する。
本発明の球形活性炭の使用の好ましい態様においては、前記予防又は治療剤が経口投与用である。
また、本発明の球形活性炭の使用の別の好ましい態様においては、球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである。
更に、本発明の球形活性炭の使用の別の好ましい態様においては、球形活性炭の比表面積が500〜2000m/gである。
本発明は、脂質異常症患者の単球における活性酸素種発現の抑制剤の製造のための、球形活性炭の使用に関する。
また、本発明は、脂質異常症患者の単球における接着分子発現の抑制剤の製造のための、球形活性炭の使用に関し、特には、前記接着分子がCD11bである。
本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤によれば、単球における活性酸素種発現を抑制すること、及び単球における接着分子発現を抑制することにより、動脈硬化を治療又は予防することができる。
活性炭投与による、apoE欠損脂質異常マウスにおける単球の活性酸素種生成量の抑制を示す図である。 活性炭投与による、apoE欠損脂質異常マウスにおける単球のCD11bの発現量の抑制を示す図である。
本発明の予防又は治療剤の対象となる疾患は、腎機能が正常である脂質異常症由来の動脈硬化症である。脂質異常症は、例えばヒトにおいて血液中のLDLコレステロールが140mg/dL以上、HDLコレステロールが40mg/dL以下、又はトリグセライドが150mg/dL以上の状態を基準としており、それぞれ高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、又は高トリグセライド血症と称されることもある。
動脈硬化には、アテローム性粥状動脈硬化、細動脈硬化、又は中膜硬化などの種類があるが、脂質異常症由来の動脈硬化はアテローム性動脈硬化であることが多い。
本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤は、例えば単球の活性酸素種発現を抑制することができる。活性酸素種としては、スーパーオキシドアニオンラジカル(O )、ヒドロキシルラジカル(HO)過酸化水素(HOOH)、一重項酸素()を挙げることができるが、本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤は、これらの活性酸素種の単球における活性化を抑制することができる。
また、本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤は、単球における接着分子の発現を抑制することができる。接着分子としては、CD11b、CD18、CD54、又はCD62Lを挙げることができるが、本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤は、これらの接着分子の発現を抑制することができる。
本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤は、単球の活性酸素種発現、及び/又は単球における接着分子の発現を抑制することによって、脂質異常症由来の動脈硬化症を予防又は治療することができる。
本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤の投与される対象は、腎機能が正常である脂質異常症由来の動脈硬化症を発症した動物、又は発症する可能性のある動物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ラット、及びマウスを挙げることができる。例えば、後述の実施例で示すように、apoE欠損脂質異常マウスにおいては、生体内において脂質代謝を制御しているものと考えられているApoEが欠損しているために、トータルコレステロール値が350mg/dL以上の状態となっており、典型的な脂質異常症を示している。本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤は、これらのマウスにおいて、単球の活性酸素種発現、及び単球における接着分子の発現を抑制することが可能であり、それによって、動脈硬化症を予防又は治療することができる。なお、前記apoE欠損脂質異常マウスの血清クレアチニン値及び血液尿素窒素値は、正常マウスと同等であり、腎機能は正常である。すなわち、腎不全を伴わない脂質異常症を発症し、それにより動脈硬化症を起こすマウスである。
動脈硬化症の危険因子には、脂質異常症以外に、肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧、喫煙、インシュリン抵抗性、高ホモシステイン血症、運動不足、慢性腎不全、又はストレスを挙げることができる。
例えば、慢性腎不全(慢性腎臓病)は、(a)尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が確認された場合、臨床的には蛋白尿(微量アルブミン)の場合、又は(b)糸球体ろ過率(GFR)が、60mL/min/1.73m未満である場合、の片方又は両方が3カ月以上持続することにより、慢性腎臓病であると診断される。日常診療においては、微量アルブミンの検査は、随時尿における定量試験で、同時に尿中Crを測定してアルブミン・蛋白/Cr比を求めて評価する(1gのCr当たりの量)。アルブミン/Cr比が、30〜299mg/gCrであれば微量アルブミン尿と診断される。また、日本人のGFRは「eGFR(mL/分/1.73m)=194×Cr−1.094×Age−0.287(女性は×0.739)」の推算式で算出することができる。
従って、アルブミン/Cr比が、30mg/gCr未満であり、且つGFR(糸球体ろ過率)が、60mL/min/1.73m以上であれば、慢性腎不全(慢性腎臓病)ではなく、本明細書において「腎機能が正常である」とは、「糸球体ろ過率が60mL/min/1.73m以上であり、且つアルブミン/Cr比が、30mg/gCr未満であること」を意味する。
更に、一般的には、慢性腎不全においては、血清クレアチニンが1.3mg/dL以上、血液尿素窒素が20mg/dL以上の場合、慢性腎不全であると判断される。すなわち、血清クレアチニンが1.3mg/dL未満、血液尿素窒素が20mg/dL未満の場合は、一般的に慢性腎不全ではないと考えられ、慢性腎不全由来の動脈硬化症は発症しない。
《作用》
本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤において、動脈硬化症を治療する機構は、詳細には解明されていないが、以下のように考えることができる。しかしながら、本発明は、以下の説明によって限定されるものではない。
脂質異常症においては、LDLコレステロールが上昇し、血管内皮が障害される。そしてこの内皮細胞の傷害に対して、血液中の単球が関与して動脈硬化症を誘導する。一方、単球においては、活性酸素種の発現が増加し、それに伴い、接着分子の発現も増加する。本発明の予防又は治療剤は、血液中のLDLコレステロールを減少させることには大きな影響を与えないが、単球における活性酸素種の発現、及び接着分子の発現を抑えることによって、動脈硬化症の発症を抑えると考えられる。球状活性炭は、腸内において、有害物質を吸着すると考えられているが、本発明の予防又は治療剤は、単球における活性酸素種の発現の増加及び接着分子の発現の増加を引き起こす有害物質を除去しているものと考えられる。脂質異常症における動脈硬化症の最も重大な危険因子であるLDLコレステロールを減少させることなく、脂質異常症由来の動脈硬化症に有効である薬剤が存在することは、本発明の属する技術分野における技術常識を勘案すると驚くべきことである。
本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤の有効成分である、球形活性炭としては、医療用に使用することが可能な球形活性炭である限り、特に限定されるものではないが、経口投与用球形活性炭、すなわち、医療用に内服使用することが可能な球形活性炭が好ましい。前記球形活性炭の粒径は、0.01〜2mmであることが好ましく、0.05〜2mmであることがより好ましく、0.05〜1mmであることが更に好ましい。
前記球形活性炭としては、例えば、特開平11−292770号公報又は特開2002−308785号公報(特許第3522708号公報)に記載の球形活性炭を用いることができる。以下、特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭について説明し、続いて、特開2002−308785号公報(特許第3522708号公報)に記載の球形活性炭について説明する。
特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭は、好ましくは直径0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mmの球形活性炭である。また、好ましくは比表面積が500〜2000m/g、より好ましくは700〜1500m/gの球形活性炭である。また、好ましくは細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が0.01〜1mL/g、より好ましくは0.05〜0.8mL/gの球形活性炭である。なお、上記の比表面積は、自動吸着量測定装置を用いたメタノール吸着法により測定した値である。空隙量は、水銀圧入ポロシメータにより測定した値である。前記の球形活性炭は、粉末活性炭に比べ、服用時に飛散せず、しかも、連続使用しても便秘を惹起しない点で有利である。
球形活性炭の形状は、重要な因子の1つであり、実質的に球状であることが重要である。球形活性炭の中では、後述の石油系ピッチ由来の球形活性炭が真球に近いため特に好ましい。
特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭の製造には、任意の活性炭原料、例えば、オガ屑、石炭、ヤシ殻、石油系若しくは石炭系の各種ピッチ類又は有機合成高分子を用いることができる。球形活性炭は、例えば、原料を炭化した後に活性化する方法によって製造することができる。活性化の方法としては、水蒸気賦活、薬品賦活、空気賦活又は炭酸ガス賦活などの種々の方法を用いることができるが、医療に許容される純度を維持することが必要である。
特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭としては、炭素質粉末からの造粒活性炭、有機高分子焼成の球形活性炭及び石油系炭化水素(石油系ピッチ)由来の球形活性炭などがある。
炭素質粉末からの造粒活性炭は、例えば、タール、ピッチ等のバインダーで炭素質粉末原料を小粒球形に造粒した後、不活性雰囲気中で600〜1000℃の温度に加熱焼成して炭化し、次いで、賦活することにより得ることができる。賦活方法としては、水蒸気賦活、薬品賦活、空気賦活又は炭酸ガス賦活などの種々の方法を用いることができる。水蒸気賦活は、例えば、水蒸気雰囲気中、800〜1100℃の温度で行われる。
有機高分子焼成の球形活性炭は、例えば、特公昭61−1366号公報に開示されており、次のようにして製造することが可能である。縮合型又は重付加型の熱硬化性プレポリマーに、硬化剤、硬化触媒、乳化剤などを混合し、攪拌下で水中に乳化させ、室温又は加温下に攪拌を続けながら反応させる。反応系は、まず懸濁状態になり、更に攪拌することにより熱硬化性樹脂球状物が出現する。これを回収し、不活性雰囲気中で500℃以上の温度に加熱して炭化し、前記の方法により賦活して有機高分子焼成の球形活性炭を得ることができる。
石油系ピッチ由来の球形活性炭は、直径が好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mm、比表面積が好ましくは500〜2000m/g、より好ましくは700〜1500m/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が好ましくは0.01〜1mL/gである。この石油系ピッチ由来の球形活性炭は、例えば、以下の2種の方法で製造することができる。
第1の方法は、例えば、特公昭51−76号公報(米国特許第3917806号明細書)及び特開昭54−89010号公報(米国特許第4761284号明細書)に記載されているように、まず、溶融状態で小粒球形状としたピッチ類を酸素により不融化した後、不活性雰囲気中で600〜1000℃の温度に加熱焼成して炭化し、次いで、水蒸気雰囲気中で850〜1000℃の温度で賦活する方法である。第2の方法は、例えば、特公昭59−10930号公報(米国特許第4420433号明細書)に記載されているように、まず、溶融状態で紐状としたピッチ類を破砕した後、熱水中に投入して球状化し、次いで、酸素により不融化した後、上記の第1の方法と同様の条件で炭化、賦活する方法である。
本発明において有効成分の球形活性炭としては、(1)アンモニア処理などを施した球形活性炭、(2)酸化及び/又は還元処理を施した球形活性炭なども使用することができる。これらの処理を施すことのできる球形活性炭は、前記の石油系ピッチ由来の球形活性炭、炭素質粉末の造粒活性炭、有機高分子焼成の球形活性炭の何れであってもよい。
前記のアンモニア処理とは、例えば、球形活性炭を、1〜1000ppmのアンモニアを含有するアンモニア水溶液で、アンモニア水溶液と球形活性炭の容量比を2〜10として、10〜50℃の温度で、0.5〜5時間処理することからなる。前述の石油系ピッチ由来の球形活性炭にアンモニア処理を施した活性炭としては、特開昭56−5313号公報(米国特許第4761284号明細書)に記載の球形活性炭を挙げることができる。例えば、アンモニア処理が施された球形活性炭としては直径が0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、比表面積が500〜2000m/g、好ましくは700〜1500m/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が0.01〜1mL/g、pHが6〜8の球形活性炭を例示することができる。
前記の酸化処理とは、酸素を含む酸化雰囲気で高温熱処理を行うことを意味し、酸素源としては、純粋な酸素、酸化窒素又は空気などを用いることができる。また、還元処理とは、炭素に対して不活性な雰囲気で高温熱処理を行うことを意味し、炭素に対して不活性な雰囲気は、窒素、アルゴン若しくはヘリウム又はそれらの混合ガスを用いて形成することができる。
前記の酸化処理は、好ましくは酸素含有量0.5〜25容量%、より好ましくは酸素含有量3〜10容量%の雰囲気中、好ましくは300〜700℃、より好ましくは400〜600℃の温度で行われる。前記の還元処理は、好ましくは700〜1100℃、より好ましくは800〜1000℃の温度で不活性雰囲気中で行われる。
前述の石油系ピッチ由来の球形活性炭に酸化及び/又は還元処理を施した例としては、特公昭62−11611号公報(米国特許第4681764号明細書)に記載の球形活性炭を挙げることができる。
酸化及び/又は還元処理が施された球形活性炭としては、直径が0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、比表面積が500〜2000m/g、好ましくは700〜1500m/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が0.01〜1mL/gである球形活性炭が好ましい。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、直径が0.01〜1mmであり、BET法により求められる比表面積が700m/g以上であり、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満であり、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜0.70meq/gである球形活性炭である。特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、特定範囲の細孔容積を有する。すなわち、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満である。また、本発明においては、全塩基性基が0.20〜1.00meq/gである球形活性炭(特願2002−293906号又は特願2002−293907号参照)も使用することができる。
一方、前記特開平11−292770号公報に記載の球形活性炭は、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙容積(すなわち、細孔直径20〜15000nmの細孔容積)が0.1〜1mL/gである。特開2002−308785号公報の記載によれば、細孔直径20〜15000nmの細孔容積を0.04mL/g以上で0.10mL/g未満に調整すると、毒性物質であるβ−アミノイソ酪酸に対する高い吸着特性を維持しつつ、有益物質であるα−アミラーゼに対する吸着特性が有意に低下する。球形活性炭の細孔直径20〜15000nmの細孔容積が大きくなればなるほど消化酵素等の有益物質の吸着が起こりやすくなるため、有益物質の吸着を少なくする観点からは、前記細孔容積は小さいほど好ましい。しかしながら、一方で、細孔容積が小さすぎると毒性物質の吸着量も低下する。従って、経口投与用吸着剤においては、毒性物質の吸着量(T)の有益物質の吸着量(U)に対する比(T/U)、すなわち、選択吸着率が重要である。例えば、球形活性炭の選択吸着率を、DL−β−アミノイソ酪酸(毒性物質)の吸着量(Tb)のα−アミラーゼ(有益物質)の吸着量(Ua)に対する比(Tb/Ua)として評価することができる。すなわち、選択吸着率は、例えば、以下の式:
A=Tb/Ua
(ここで、Aは選択吸着率であり、TbはDL−β−アミノイソ酪酸の吸着量であり、Uaはα−アミラーゼの吸着量である)
によって評価することができる。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、細孔直径20〜15000nmの細孔容積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満の範囲内で優れた選択吸着率を示し、前記細孔容積が0.05mL/g以上で0.10mL/g未満の範囲内で一層優れた選択吸着率を示す。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、直径が0.01〜1mmである。直径は、好ましくは0.02〜0.8mmである。なお、本明細書で「直径がDl〜Duである」という表現は、JIS K 1474に準じて作成した粒度累積線図(平均粒子径の測定方法に関連して後で説明する)において、ふるいの目開きDl〜Duの範囲に対応するふるい通過百分率(%)が90%以上であることを意味する。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、BET法により求められる比表面積(以下「SSA」と省略することがある)が700m/g以上である。SSAが700m/gより小さい球形活性炭では、毒性物質の吸着性能が低くなるので好ましくない。SSAは、好ましくは800m/g以上である。SSAの上限は特に限定されるものではないが、嵩密度及び強度の観点から、SSAは、2500m/g以下であることが好ましい。
更に、特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭では、官能基の構成において、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜0.70meq/gである。官能基の構成において、全酸性基が0.30〜1.20meq/gであり、全塩基性基が0.20〜0.70meq/gの条件を満足しない球形活性炭では、上述した有毒物質の吸着能が低くなるので好ましくない。官能基の構成において、全酸性基は0.30〜1.00meq/gであることが好ましく、全塩基性基は0.30〜0.60meq/gであることが好ましい。その官能基の構成は、全酸性基が0.30〜1.20meq/g、全塩基性基が0.20〜0.70meq/g、フェノール性水酸基が0.20〜0.70meq/g、及びカルボキシ基が0.15meq/g以下の範囲にあり、且つ全酸性基(a)と全塩基性基(b)との比(a/b)が0.40〜2.5であり、全塩基性基(b)とフェノール性水酸基(c)とカルボキシ基(d)との関係〔(b+c)−d〕が0.60以上であることが好ましい。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
最初に、石油ピッチ又は石炭ピッチ等のピッチに対し、添加剤として、沸点200℃以上の2環式又は3環式の芳香族化合物又はその混合物を加えて加熱混合した後、成形してピッチ成形体を得る。なお、前記の球形活性炭は経口投与用であるので、その原料も、安全上充分な純度を有し、且つ品質的に安定であることが必要である。
次に、70〜180℃の熱水中で、前記のピッチ成形体を撹拌下に分散造粒して微小球体化する。更に、ピッチに対して低溶解度を有し、かつ前記添加剤に対して高溶解度を有する溶剤で、ピッチ成形体から添加剤を抽出除去し、得られた多孔性ピッチを、酸化剤を用いて酸化すると、熱に対して不融性の多孔性ピッチが得られる。こうして得られた不融性多孔性ピッチを、更に炭素と反応性を有する気流(例えば、スチーム又は炭酸ガス)中で、800〜1000℃の温度で処理すると、多孔性炭素質物質を得ることができる。
こうして得られた多孔性炭素質物質を、続いて、酸素含有量0.1〜50vol%(好ましくは1〜30vol%、特に好ましくは3〜20vol%)の雰囲気下、300〜800℃(好ましくは320〜600℃)の温度で酸化処理し、更に800〜1200℃(好ましくは800〜1000℃)の温度下、非酸化性ガス雰囲気下で加熱反応による還元処理をすることにより、特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭を得ることができる。
前記の製造方法において、特定量の酸素を含有する雰囲気としては、純粋な酸素、酸化窒素又は空気等を酸素源として用いることができる。また、炭素に対して不活性な雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウム等を単独で用いるか、あるいはそれらの混合物を用いることができる。
前記の原料ピッチに対して、芳香族化合物を添加する目的は、原料ピッチの軟化点を降下させることにより流動性を向上させて微小球体化を容易にすること及び成形後のピッチ成形体からその添加剤を抽出除去させることにより成形体を多孔質とし、その後の工程の酸化による炭素質材料の構造制御並びに焼成を容易にすることにある。このような添加剤としては、例えば、ナフタレン、メチルナフタレン、フェニルナフタレン、ベンジルナフタレン、メチルアントラセン、フェナンスレン、又はビフェニル等を単独で、又はそれらの2種以上の混合物を用いることができる。ピッチに対する添加量は、ピッチ100重量部に対し芳香族化合物10〜50重量部の範囲が好ましい。
ピッチと添加剤との混合は、均一な混合を達成するために、加熱して溶融状態で行うのが好ましい。ピッチと添加剤との混合物は、得られる多孔性球状炭素質の粒径(直径)を制御するため、粒径約0.01〜1mmの粒子に成形することが好ましい。成形は溶融状態で行ってもよく、また混合物を冷却後に粉砕する等の方法によってもよい。
ピッチと添加剤との混合物から添加剤を抽出除去するための溶剤としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、又はヘプタン等の脂肪族炭化水素、ナフサ、又はケロシン等の脂肪族炭化水素を主成分とする混合物、あるいはメタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール等の脂肪族アルコール類等が好適である。
このような溶剤でピッチと添加剤との混合物成形体から添加剤を抽出することによって、成形体の形状を維持したまま、添加剤を成形体から除去することができる。この際に、成形体中に添加剤の抜け穴が形成され、均一な多孔性を有するピッチ成形体が得られるものと推定される。
なお、添加剤の抜け穴サイズ(すなわち、細孔容積)の制御は、常法、例えば、添加剤の量、ピッチ成形体の微小球体化工程における添加剤の析出温度(冷却温度)を制御することによって実施することができる。また、添加剤の抽出により生成した細孔容積は不融化条件によっても影響を受ける。例えば、不融化処理が強ければ熱処理による熱収縮が小さくなり、添加剤の抽出により得られた細孔が維持されやすい傾向にある。
こうして得られた多孔性ピッチ成形体を、次いで不融化処理、すなわち酸化剤を用いて、好ましくは常温から300℃までの温度で酸化処理することにより、熱に対して不融性の多孔性不融性ピッチ成形体を得ることができる。ここで用いる酸化剤としては、例えば、酸素ガス(O)、あるいは酸素ガス(O)を空気や窒素等で希釈した混合ガスを挙げることができる。
特開2002−308785号公報に記載の球形活性炭が有する各物性値、すなわち、平均粒子径、比表面積、細孔容積、全酸性基、及び全塩基性基は、以下の方法によって測定する。
(1)平均粒子径
球形活性炭についてJIS K 1474に準じて粒度累積線図を作成する。平均粒子径は、粒度累積線図において、横軸の50%の点の垂直線と粒度累積線との交点から、横軸に水平線を引いて交点の示すふるいの目開き(mm)を求めて、平均粒子径とする。
(2)比表面積
連続流通式のガス吸着法による比表面積測定器(例えば、MICROMERITICS社製「Flow Sorb II 2300」)を用いて、球形活性炭試料のガス吸着量を測定し、BETの式により比表面積を計算することができる。具体的には、試料である球形活性炭を試料管に充填し、その試料管に窒素30vol%を含有するヘリウムガスを流しながら以下の操作を行い、球形活性炭試料への窒素吸着量を求める。すなわち、試料管を−196℃に冷却し、球形活性炭試料に窒素を吸着させる。次に、試料管を室温に戻す。このとき球形活性炭試料から脱離してくる窒素量を熱伝導度型検出器で測定し、吸着ガス量(v)とする。
BETの式から誘導された近似式:
=1/(v・(1−x))
を用いて液体窒素温度における、窒素吸着による1点法(相対圧力x=0.3)によりvを求め、次式:
比表面積=4.35×v(m/g)
により試料の比表面積を計算する。前記の各計算式で、vは試料表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量(cm/g)であり、vは実測される吸着量(cm/g)であり、xは相対圧力である。
(3)水銀圧入法による細孔容積
水銀ポロシメータ(例えば、MICROMERITICS社製「AUTOPORE 9200」)を用いて細孔容積を測定することができる。試料である球形活性炭を試料容器に入れ、2.67Pa以下の圧力で30分間脱気する。次いで、水銀を試料容器内に導入し、徐々に加圧して水銀を球形活性炭試料の細孔へ圧入する(最高圧力=414MPa)。このときの圧力と水銀の圧入量との関係から以下の各計算式を用いて球形活性炭試料の細孔容積分布を測定する。
具体的には、細孔直径15μmに相当する圧力(0.07MPa)から最高圧力(414MPa:細孔直径3nm相当)までに球形活性炭試料に圧入された水銀の体積を測定する。細孔直径の算出は、直径(D)の円筒形の細孔に水銀を圧力(P)で圧入する場合、水銀の表面張力を「γ」とし、水銀と細孔壁との接触角を「θ」とすると、表面張力と細孔断面に働く圧力の釣り合いから、次式:
−πDγcosθ=π(D/2)・P
が成り立つ。従って
D=(−4γcosθ)/P
となる。
本明細書においては、水銀の表面張力を484dyne/cmとし、水銀と炭素との接触角を130度とし、圧力PをMPaとし、そして細孔直径Dをμmで表示し、下記式:
D=1.27/P
により圧力Pと細孔直径Dの関係を求める。本発明における細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積とは、水銀圧入圧0.07MPaから63.5MPaまでに圧入された水銀の体積に相当する。
(4)全酸性基
0.05規定のNaOH溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球形活性炭試料1gを添加し、48時間振とうした後、球形活性炭試料をろ別し、中和滴定により求められるNaOHの消費量である。
(5)全塩基性基
0.05規定のHCl溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球形活性炭試料1gを添加し、24時間振とうした後、球形活性炭試料をろ別し、中和滴定により求められるHClの消費量である。
なお、本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤の有効成分である球形活性炭としては、更に、特開2005−314415号公報に記載の平均粒子径が小さい球形活性炭、すなわち、平均粒子径が50〜200μmであり、BET法により求められる比表面積が700m/g以上である球形活性炭、あるいは特開2005−314416号公報に記載の平均粒子径が小さい表面改質球形活性炭、すなわち、平均粒子径が50〜200μmであり、BET法により求められる比表面積が700m/g以上であり、全酸性基が0.30meq/g〜1.20meq/gであり、そして全塩基性基が0.20meq/g〜0.9meq/gである表面改質球形活性炭を用いることもできる。
更に、本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤の有効成分である球形活性炭としては、WO2004/39381号公報に記載の球形活性炭あるいはその表面改質球形活性炭、すなわち、熱硬化性樹脂を炭素源として製造され、直径が0.01〜1mmであり、そしてラングミュアの吸着式により求められる比表面積が1000m/g以上である球形活性炭、あるいはその表面改質球形活性炭を用いることができる。
更に、本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤の有効成分である球形活性炭としては、WO2004/39380号公報に記載の球形活性炭あるいはその表面改質球形活性炭、すなわち、直径が0.01〜1mmであり、ラングミュアの吸着式により求められる比表面積が1000m/g以上であり、そして式(1):
R=(I15−I35)/(I24−I35) (1)
〔式中、I15は、X線回折法による回折角(2θ)が15°における回折強度であり、I35は、X線回折法による回折角(2θ)が35°における回折強度であり、I24は、X線回折法による回折角(2θ)が24°における回折強度である〕
で求められる回折強度比(R値)が1.4以上である球形活性炭あるいはその表面改質球形活性炭を用いることができる。
本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤における有効成分である、球形活性炭(好ましくは粒径0.01〜2mmの球形活性炭)は、それ単独で、あるいは、所望により薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、脂質異常症由来の動脈硬化症の治療又は予防が必要な対象[動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒト)]に、有効量で投与することができる。本発明の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤は、好ましくは経口的に投与される。その投与量は、例えば、対象(哺乳動物、特にはヒト)、年齢、個人差、及び/又は病状などに依存する。例えば、ヒトの場合の1日当たりの投与量は、通常、球形活性炭量として0.2〜20gであるが、症状により、投与量を適宜増減してもよい。また、投与は1回又は数回に分けて行ってもよい。球形活性炭は、そのまま投与してもよいし、活性炭製剤として投与してもよい。球形活性炭をそのまま投与する場合、球形活性炭を飲料水などに懸濁したスラリーとして投与することもできる。
活性炭製剤における剤形としては、例えば、顆粒、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、スティック剤、分包包装体、又は懸濁剤などの任意の剤形を採用することができる。カプセル剤の場合、通常のゼラチンカプセルの他、必要に応じ、腸溶性のカプセルを用いることもできる。顆粒、錠剤、又は糖衣錠として用いる場合は、体内で元の微小粒子に解錠されることが必要である。活性炭製剤中の球形活性炭の含有量は、通常1〜100%である。本発明において、好ましい活性炭製剤は、カプセル剤、スティック剤、又は分包包装体である。これらの製剤の場合、球形活性炭は、そのまま容器に封入される。
球形活性炭を脂質異常症由来の動脈硬化症の治療又は予防が必要な対象に、有効量で投与することによって、脂質異常症由来の動脈硬化症を治療又は予防することができる。
また、球形活性炭を脂質異常症患者に有効量で投与することによって、脂質異常症患者の単球における活性酸素種発現を抑制することができる。
更に、球形活性炭を脂質異常症患者に有効量で投与することによって、脂質異常症患者の単球における接着分子発現を抑制することができる。
前記球形活性炭は、動脈硬化症の予防又は治療用に用いることができる。
また、球形活性炭は脂脂質異常症患者の単球における活性酸素種発現の抑制用として、用いることができる。
更に、球形活性炭は脂質異常症患者の単球における接着分子発現の抑制用として用いることができる。
前記球形活性炭は、前記脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤の製造のために使用することができる。
また、球形活性炭は脂質異常症患者の単球における活性酸素種発現の抑制剤の製造のために使用することができる。
更に、球形活性炭は脂質異常症患者の単球における接着分子発現の抑制剤の製造のために使用することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《製造例1:多孔性球状炭素質物質の製造》
特許第3522708号(特開2002−308785号公報)の実施例1に記載の方法と同様にして多孔性球状炭素質物質を得た。具体的な操作は、以下の通りである。
石油系ピッチ(軟化点=210℃;キノリン不溶分=1重量%以下;H/C原子比=0.63)68kgと、ナフタレン32kgとを、攪拌翼のついた内容積300Lの耐圧容器に仕込み、180℃で溶融混合を行った後、80〜90℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を直径と長さの比が約1〜2になるように破砕した。
0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、攪拌分散により球状化した後、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより冷却し、20℃で3時間冷却し、ピッチの固化及びナフタレン結晶の析出を行い、球状ピッチ成形体スラリーを得た。
大部分の水をろ過により除いた後、球状ピッチ成形体の約6倍重量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、235℃まで昇温した後、235℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状酸化ピッチを得た。
続いて、多孔性球状酸化ピッチを、流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中で900℃で170分間賦活処理して多孔性球形活性炭を得、更にこれを流動床にて、酸素濃度18.5vol%の窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で470℃で3時間15分間、酸化処理し、次に流動床にて窒素ガス雰囲気下で900℃で17分間還元処理を行い、多孔性球状炭素質物質を得た。こうして得られた多孔性球状炭素質物質を、以下の薬理試験例において、球形活性炭として使用した。
得られた炭素質材料の主な特性は以下の通りである。
比表面積=1300m/g(BET法);
細孔容積=0.08mL/g
(水銀圧入法により求めた細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積);
平均粒子径=350μm;
全酸性基=0.67meq/g;及び
全塩基性基=0.54meq/g。
《製造例2:多孔性球状炭素質物質の製造》
特開2005−314416号公報の実施例1に記載の方法と同様にして多孔性球状炭素質物質(表面改質球形活性炭)を得た。具体的な操作は、以下の通りである。
脱イオン交換水220g、及びメチルセルロース58gを1Lのセパラブルフラスコに入れ、これにスチレン105g、純度57%ジビニルベンゼン(57%のジビニルベンゼンと43%のエチルビニルベンゼン)184g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.68g、及びポロゲンとして1−ブタノール63gを適宜加えたのち、窒素ガスで系内を置換し、この二相系を200rpmで攪拌し、55℃に加熱してからそのまま20時間保持した。得られた樹脂を濾過し、ロータリーエバポレーターで乾燥させたのち、減圧乾燥機にて1−ブタノールを樹脂から蒸留により除去してから、90℃において12時間減圧乾燥させ、平均粒子径180μmの球状の多孔性合成樹脂を得た。多孔性合成樹脂の比表面積は約90m/gであった。
得られた球状の多孔性合成樹脂100gを目皿付き反応管に仕込み、縦型管状炉にて不融化処理を行った。不融化条件は、3L/minで乾燥空気を反応管下部より上部に向かって流し、5℃/hで260℃まで昇温したのち、260℃で4時間保持することにより球状の多孔性酸化樹脂を得た。球状の多孔性酸化樹脂を窒素雰囲気中600℃で1時間熱処理したのち、流動床を用い、64.5vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中、820℃で10時間賦活処理を行い、球形活性炭を得た。得られた球形活性炭を、更に流動床にて、酸素濃度18.5vol%の窒素と酸素の混合ガス雰囲気下470℃で3時間15分間酸化処理し、次に流動床にて窒素ガス雰囲気下900℃で17分間還元処理を行い、表面改質球形活性炭を得た。
得られた表面改質球形活性炭の主な特性は以下の通りである。
比表面積=1763m/g(BET法);
細孔容積=0.05mL/g
(水銀圧入法により求めた細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積);
平均粒子径=111μm(Dv50);
全酸性基=0.59meq/g;及び
全塩基性基=0.61meq/g。
《薬理試験例1》
(1)実験方法
10週齢の雄のapoE欠損脂質異常マウス6匹をランダムに、球形活性炭投与群(以下、投与群:3匹)と対照群(以下、非投与群:3匹)とに分けた。また、正常対照群として、C57BL/6jマウス(3匹)を準備した。投与群には、通常餌に5%球形活性炭を混合した餌を与え、非投与群及び正常対照群には、通常餌を与えた。各群とも自由給餌環境下で4週間飼育された。
(2)単球の活性酸素種生成量及びCD11bの発現量の測定
4週間飼育後、すべての群について、エーテル麻酔下において、全採血を行った。得られた血液を、Lysing Solution IOTEST 3を用いて溶血させ、白血球を得た。得られた白血球を、Alexa Fluor488標識抗CD11抗体(Serotec社製)および、活性酸素種を検出するプローブであるジハイドロエチジウム(dyhydroethidium:Moleculer probes社製)を用いて、常法に従って染色した。染色後に、FACS calibur(Becton Dikinson社製)を用いて、それぞれの群における、単球分画におけるCD11bの発現量、及び活性酸素種の生成量を測定した。
(3)結果
活性酸素種生成量の測定の結果を図1に、CD11bの発現量の測定の結果を図2に示す。 CD11bは、C57BL/6jマウスで435±30.5 Mean Fluorescence Intensity(MFI)、投与群で600±107.3MFI、非投与群で336±38.0 MFIであり、対照群と投与群で統計学的に有意差が見られた(p<0.05)。また、活性酸素種は、C57BL/6jマウスで80±7.0 MFI、投与群で114±7.4 MFI、非投与群で64±7.1 MFIであり、やはり対照群と投与群で統計学的に有意差が見られた(p<0.001)。球形活性炭の投与によって、脂質異常マウスにおいて、CD11bの発現、及び活性酸素種が有意に抑制された。
また、投与群、非投与群、及び正常対照群の4週間飼育後の、トータルコレステロール、及びHDLコレステロールを表1に、血清クレアチニン値、及び尿素窒素値を表2に示す。
Figure 2011059085
脂質異常マウスにおいては、球状活性炭の投与は血液中のトータルコレステロール、及びHDLコレステロールの量に、影響は与えなかった。
Figure 2011059085
血清クレアチニン値、及び血清尿素窒素値ともに、通常のそれぞれのマウスの正常値の範囲であり、また各群間に統計学的な有意差はなかった。
《製剤調製例1:カプセル剤の調製》
前記製造例1で得た球形活性炭200mgをゼラチンカプセルに封入してカプセル剤を調製した。
《製剤調製例2:スティック剤の調製》
前記製造例1で得た球形活性炭2gを積層フィルム製スティックに充填した後、ヒートシールしてスティック剤とした。
本発明の予防又は治療剤は、脂質異常症由来の動脈硬化症の改善に有効であり、動脈硬化症の症状を軽減させ、動脈硬化発症を予防し、脳梗塞や心筋梗塞を防止することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

Claims (28)

  1. 球形活性炭を有効成分とする脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤であって、前記動脈硬化症の患者の糸球体ろ過率が60mL/min/1.73m以上であり、且つアルブミン/Cr比が、30mg/gCr未満であることを特徴とする前記予防又は治療剤。
  2. 経口投与用である、請求項1に記載の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤。
  3. 球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである、請求項1又は2に記載の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤。
  4. 球形活性炭の比表面積が500〜2000m/gである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤。
  5. 球形活性炭を有効成分とする、脂質異常症患者の単球における活性酸素種発現の抑制剤。
  6. 球形活性炭を有効成分とする、脂質異常症患者の単球における接着分子発現の抑制剤。
  7. 前記接着分子がCD11bである、請求項6に記載の脂質異常症患者の単球における接着分子発現の抑制剤。
  8. 球形活性炭を脂質異常症由来の動脈硬化症の治療又は予防が必要な対象に、有効量で投与することを含む、脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療方法であって、前記動脈硬化症の対象の糸球体ろ過率が60mL/min/1.73m以上であり、且つアルブミン/Cr比が、30mg/gCr未満であることを特徴とする前記予防又は治療方法。
  9. 前記投与が経口投与である、請求項8に記載の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療方法。
  10. 球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである、請求項8又は9に記載の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療方法。
  11. 球形活性炭の比表面積が500〜2000m/gである、請求項8〜10のいずれか一項に記載の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療方法。
  12. 球形活性炭を脂質異常症患者に有効量で投与することを含む、脂質異常症患者の単球における活性酸素種発現の抑制方法。
  13. 球形活性炭を脂質異常症患者に有効量で投与することを含む、脂質異常症患者の単球における接着分子発現の抑制方法。
  14. 前記接着分子がCD11bである、請求項13に記載の脂質異常症患者の単球における接着分子発現の抑制方法。
  15. 脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療用球形活性炭であって、前記動脈硬化症の対象の糸球体ろ過率が60mL/min/1.73m以上であり、且つアルブミン/Cr比が、30mg/gCr未満であることを特徴とする前記球形活性炭。
  16. 経口投与用である、請求項15に記載の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療用球形活性炭。
  17. 球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである、請求項15又は16に記載の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療用の球形活性炭。
  18. 球形活性炭の比表面積が500〜2000m/gである、請求項15〜17のいずれか一項に記載の脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療用の球形活性炭。
  19. 脂質異常症患者の単球における活性酸素種発現の抑制用の球形活性炭。
  20. 脂質異常症患者の単球における接着分子発現の抑制用の球形活性炭。
  21. 前記接着分子がCD11bである、請求項20に記載の接着分子発現の抑制用の球形活性炭。
  22. 脂質異常症由来の動脈硬化症の予防又は治療剤の製造のための、球形活性炭の使用であって、前記動脈硬化症の患者の糸球体ろ過率が60mL/min/1.73m以上であり、且つアルブミン/Cr比が、30mg/gCr未満であることを特徴とする前記使用。
  23. 前記予防又は治療剤が経口投与用である、請求項22に記載の球形活性炭の使用。
  24. 球形活性炭の粒径が0.01〜2mmである、請求項22又は23に記載の球形活性炭の使用。
  25. 球形活性炭の比表面積が500〜2000m/gである、請求項22〜24のいずれか一項に記載の球形活性炭の使用。
  26. 脂質異常症患者の単球における活性酸素種発現の抑制剤の製造のための、球形活性炭の使用。
  27. 脂質異常症患者の単球における接着分子発現の抑制剤の製造のための、球形活性炭の使用。
  28. 前記接着分子がCD11bである、請求項27に記載の球形活性炭の使用。
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