JPWO2011040464A1 - 水素発生用電極及び電解方法 - Google Patents

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Abstract

水素発生を伴う電解工程、主としてイオン交換膜法食塩電解に使用される陰極に関して、電解電流密度が大きい場合にも電解電圧上昇を抑制し、エネルギーコストの低減を図る。これを実現するために、導電性金属上にセリウム金属、セリウム酸化物またはセリウム水酸化物の少なくとも一種と白金金属とを含有する電極活性物質を被覆してなる水素発生用電極において、電極活性物質の組成を金属換算で白金のモル分率が15〜30モル%、セリウムが70〜85モル%という極端なセリウムリッチとする。

Description

本発明は水素発生を伴う電解工程、主としてイオン交換膜法食塩電解に使用される陰極、すなわち水素発生用電極、及びこの電極を用いた水素発生を伴う電解方法に関する。
イオン交換膜食塩電解プロセスにおいては、エネルギー消費の削減が最も大きな課題である。イオン交換膜食塩電解法における槽電圧を詳細に解析すると、理論的に必要な電圧以外に、イオン交換膜の膜抵抗による電圧、陽極と陰極の過電圧、電解槽の陽極と陰極間距離による電圧が加わる。これらの電圧の中でも、電極の過電圧については、陽極に関して言えば、不溶性電極への白金族酸化物のコーティングによって、通常の操業条件下では50mV程度にまで削減され、これ以上の改善・改良は望めないレベルにまで到達している。
一方、陰極に関して言えば、従来使用されていた軟鋼やステンレス、ニッケルの電極の場合、通常の操業条件下では、300〜400mVの過電圧を生じていた。そこで、これらの電極表面を活性化し、過電圧を低減することが検討され、これまでに多くの技術が開発されている。酸化ニッケルをプラズマ溶射することにより、電極表面が酸化物でありながら高活性な陰極を製造している例や、ラネーニッケル系のメッキや、ニッケルとスズの複合メッキ、活性炭と酸化物の複合メッキを電極表面に施している例などがあり、いずれも苛性ソーダ中での水素発生用陰極として利用が図られている。しかし、電解電圧を削減するためには、陰極過電圧の更なる低下が必要であり、このために次のような様々な陰極が提案されている。
例えば、導電性金属の上に電極活性物質として、白金族の酸化物と酸化ニッケルからなる不均質混合物を形成し、貴金属の酸化物とニッケル金属を複合メッキして低過電圧と耐久性を高めた陰極がある。別の陰極としては、塩化ルテニウムと塩化パラジウムと酸化ルテニウムとを導電性基材上に塗布し大気中で塗布焼成後、ニッケルを無電解メッキすることで、被覆強度を向上させる、又は金属基材上に酸化ルテニウムを主体とする電極活性物質層を形成し、さらにその表面に多孔質で低活性な保護層を形成して、電極の耐久性を向上させたものがある。更に別の陰極としては、金属基材上に熱分解法により形成した酸化ルテニウムとニッケルと水素吸蔵能力をもつ希土類金属とからなる被覆層を形成して、電解槽停止時の逆電流に対して陰極を水素吸蔵電位に保持することで電解酸化を防止するものがある(特開平11−158678号公報)。
陰極の過電圧に対する電極活性物質面からの対策として、白金族金属は水素発生過電圧が低く、電極活性物質としては本質的に望ましいものではあるが、電解液中の不純物により活性を失う、いわゆる被毒が生じやすい。この被毒対策として、特許文献1では、酸化ルテニウムを分散したニッケルの電着層を形成し、その表面を酸化チタンからなる導電性酸化物で覆うことにより、水銀による被毒耐性を向上させている。また、陰極室の電解液中に僅かに含まれる鉄成分により活性を失う被毒が問題となっているが、この対策として、特許文献2では白金とセリウムの複合酸化物を電極活性物質層として採用して鉄に対する被毒耐性を高めている。更に、特許文献3ではニッケル基体保護の酸化被膜を有する白金族金属、その酸化物または水酸化物−ランタン系金属の酸化物または水酸化物よりなる高活性、高被毒耐性陰極が提案されている。
このように、電解エネルギーコストを下げるために従来より陽極、陰極の触媒活性を改善して過電圧を低減することや、電極間距離を短縮することにより槽電圧を下げることがなされてきた。しかし近年、生産性を上げるために電解電流密度を大きくするようになってきており、高電流密度操業では多量に発生するガスが電極表面に残留するために電極の有効面積が狭くなり、液抵抗が増大することによる電解電圧の上昇が問題となってきている。このため、電解電流密度が大きい場合にも電解電圧上昇を抑制することが、新たな技術課題として浮上してきた。
特開平11−229170号公報 特公平6−33492号公報 特開2000−239882号公報
本発明の目的は、電解電流密度が大きい場合にも電解電圧上昇を抑制することができる水素発生用電極、及びその電極を用いたエネルギーコストの低い電解方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らは電極基材の表面に電極活性物質として白金族金属を使用することによる陰極過電圧の低減は不可欠と考え、電極活性物質として白金族金属を含む種々の混合物を使用した水素発生用電極の特性を、多方面から多角的に調査した。その結果、電極基材表面にセリウム系物質と白金系物質の混合物からなる電極活性物質を被覆した水素発生用電極の電解電流と水素発生過電圧との関係、特にその関係に及ぼす前記混合物の組成に関して、本発明者らは非常に興味ある事実を見出した。その詳細は以下のとおりである。
電極基材表面にセリウム系物質と白金系物質の混合物からなる電極活性物質を被覆した水素発生用電極自体は特許文献2に記載されている。そして、特許文献2に記載された水素発生用電極での電極活性物質中のセリウム系物質と白金系物質との比率は、水素発生過電圧低下の観点から、金属換算モル比率で白金リッチ、すなわち白金量がセリウム量より相当に多いものとなっている。ところが、この白金リッチの考え方は、通常の電解操業で採用される数kA/m2 までの低電解電流領域、具体的には5kA/m2 までの低電解電流領域の場合には想定した事実と符合するが、電解電流値が数kA/m2 を超える高電解電流領域、具体的には5kA/m2 を超える高電解電流領域においては、想定した事実と反することが、本発明者らによる調査解析から判明した。
詳しく説明すると、電極活性物質におけるセリウム量と白金量の比率に関係なく、電解電流密度が多くなると、水素発生過電圧が増大する傾向は変わらない。しかし、電解電流密度の増大に伴う水素発生過電圧の上昇度、すなわち水素発生過電圧の電解電流密度による依存性は、セリウム量が増え白金量が減るほど低くなる。このため、電解電流が通常の電解操業で採用される数kA/m2 までの低電解電流領域の場合は、セリウム系物質と白金系物質の混合物中の白金量が多い白金リッチの電極活性物質を有する電極の方が、セリウム量が多いセリウムリッチの電極活性物質を有する電極よりも水素発生過電圧は低いが、電解電流が数kA/m2 を超える高電解電流領域においては、セリウム系物質と白金系物質の混合物中の白金量が多い白金リッチの電極活性物質を有する電極よりも、セリウム量が多いセリウムリッチの電極活性物質を有する電極の方が水素発生過電圧は低くなるのである。
また、低電解電流領域では白金量が多いほど(セリウム量が少ないほど)、水素発生過電圧が低下する傾向があるのに対し、高電解電流領域ではセリウム量が多いほど(白金量が少ないほど)、水素発生過電圧が低下する傾向が見られることも判明した。
更に、セリウムリッチの電極活性物質を有する電極が、白金リッチの電極活性物質を有する電極を水素発生過電圧の面で凌ぐターニングポイントは、電解電流値で表して6kA/m2 以上であり、より確実には8kA/m2 以上であることも合わせて判明した。
本発明の水素発生用電極は、かかる知見を基礎として完成されたものであり、導電性金属上にセリウム金属、セリウム酸化物またはセリウム水酸化物の少なくとも一種と白金金属とを含有するセリウム−白金混合物系の電極活性物質を被覆してなる水素発生用電極において、前記電極活性物質の組成を、金属換算で白金のモル分率が15〜30モル%、セリウムのモル分率が70〜85モル%のセリウムリッチとしたものであり、陰極電流密度が6kA/m2 から14kA/m2 までの条件、好ましくは8kA/m2 から14kA/m2 までの条件で使用することにより、従来の白金リッチのセリウム−白金混合物系の電極活性物質を有する水素発生用電極を使用する場合と比べて水素発生過電圧を小さく抑制し、電解エネルギーコストを下げることができる。
また、本発明の電解方法は、上記水素発生用電極を陰極に用い、アルカリ水溶液中で陰極電流密度が6kA/m2 から14kA/m2 までの条件、好ましくは8kA/m2 から14kA/m2 までの条件で水素発生を伴う電解を行うものであり、従来の白金リッチのセリウム−白金混合物系の電極活性物質を有する水素発生用電極を使用する場合と比べて水素発生過電圧を小さく抑制し、電解エネルギーコストを下げることができる。
本発明の水素発生用電極及び電解方法において、導電性金属上に被覆される電極活性物質中の白金とセリウムの割合を、金属換算で白金のモル分率が15〜30モル%、セリウムのモル分率が70〜85モル%となるようにしたのは次の理由による。
白金のモル分率が30モル%より大きくセリウムのモル分率が70モル%より小さいと、電極活性は高くなるが、高電流密度電解では陰極での水素発生過電圧が高くなる傾向が見られる。セリウムのモル分率に比して白金モル分率が極端に高くなると、陰極過電圧を論じる以前に鉄被毒に対する耐性低下が問題になる。反対に、白金のモル分率が15モル%より小さくセリウム分率が85モル%より大きいと、電極活性が非常に低くなり、電解電流密度に関係なく陰極過電圧の上昇を抑制する効果が低下する。特に望ましい白金のモル分率は20〜25モル%であり、特に望ましいセリウムのモル分率は75〜80モル%である。
本発明の水素発生用電極を使用する電解操業での電解電流は、陰極電流密度で6kA/m から14kA/m2 までの範囲が好ましく、8kA/m2 から14kA/m2 までの範囲が特に好ましいが、それは、この高電流密度域において、セリウムリッチの電極活性物質を有する電極が、従来の白金リッチの電極活性物質を有する電極を水素発生過電圧の面で凌ぐからである。ただし、セリウムリッチの電極活性物質を有する電極が水素発生過電圧の面で優位といっても、陰極電流密度が大きくなるほど水素発生過電圧が高くなる傾向は変わらないので、14kA/m2 を超えるような極端に高い電流密度領域では、水素発生過電圧の上昇が問題になる。
白金−セリウム混合物系の電極活性物質を有する水素発生用電極において、電極活性物質中のセリウム量を多くすることにより高電流密度領域で水素発生過電圧の上昇が抑制される理由については、次のように推察される。
すなわち、高電流密度の電解操業では、電極からの水素発生量が非常に多くなり、発生水素ガスが電極表面に滞留することが過電圧上昇の大きな要因となってくると考えられるところ、白金金属に比較して酸化セリウムはアルカリ水溶液に濡れ易く、セリウムの割合が大きい場合には電解液の濡れ性が大きくなり、発生水素ガスの電極表面からの逸散が速くなるからではないかと推察される。また、アルカリ水溶液中では酸化セリウムが一部水酸化物に変わっているために、電極自体の親水性が改善されていることも影響しているかもしれない。
本発明の水素発生用電極は、導電性金属上にセリウム−白金混合物系の電極活性物質を有し、その電極活性物質の組成を金属換算で白金のモル分率が15〜30モル%、セリウムのモル分率が70〜85モル%という極端なセリウムリッチとしたので、陰極としてアルカリ水溶液中で水素発生を行わせた場合、高電流密度において陰極過電圧の上昇を小さく抑制することができ、電解エネルギーコストを下げることができる。また、その高効率な高電流密度操業により、生産性を向上させることができる。更に、電極活性物質中の白金量を制限しセリウム量を多くしているので、電解溶液中の鉄に対する被毒耐性にも優れる。
また、本発明の電解方法は、そのセリウムリッチの電極活性物質を有する水素発生用電極を陰極とし、アルカリ水溶液中で高電流密度にて水素発生を行わせることにより、陰極過電圧の上昇を小さく抑制することができ、電解エネルギーコストを下げることができる。また、その高効率な高電流密度操業により、生産性を向上させることができる。更に、電極活性物質中の白金量を制限しセリウム量を多くしているので、電解溶液中の鉄に対する被毒耐性に優れ、この点からも電解エネルギーコストを下げることができる。
水素発生電極における電極活性物質中の白金−セリウム比が、水素発生過電圧の電解電流密度による依存性に及ぼす影響度を示すグラフである。
以下に本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、電極の基体となる導電性金属の上にセリウム−白金混合物系でセリウムリッチの電極活性物質が被覆された水素発生用電極が製造される。
電極の基体となる導電性金属は従来鉄、ステンレス鋼、ニッケルが用いられているが、ニッケルがより好ましい。電極基体金属の形状はエキスパンド金属、パンチング金属、すだれ状、棒状、板状または網状金属が好適であり、金属基体の表面を酸化処理してもよい。エキスパンド金属、パンチング金属の板状が特に好ましい。エキスパンド金属板はLWが4〜40mm、厚さ0.5〜6mmが望ましい。パンチング金属は開口部が45、60、90度千鳥配列であって良く、開口部面積の全面積に対する割合は5〜85%、開口部の孔径は1.5〜25mm、特に2〜10mmが好ましい。
イオン交換膜と陰極が密着している所謂ゼロギャップ電極の場合には上記エキスパンド金属やパンチング金属より開口部面積の非常に小さいマイクロメッシュや細い導電性金属針金を網状にしたウーブンメッシュを使用する。エキスパンド金属タイプのマイクロメッシュではLWが1〜4mm、厚さ0.1〜0.5mmが好ましい。ウーブンメッシュでは直径0.05から0.5mmの針金が用いられるが直径0.1から0.25mmがより好ましい。
イオン交換膜法食塩電解の陰極に多用されるエキスパンド金属板性電極やパンチング金属板製電極、ウーブンメッシュ電極では、両面に電極活性物質を被覆しているが、電流密度としては、陽極に対向している陰極の見かけの(穴の部分を含む)片側の全面の面積当たりの電流量で表示することが一般的に行われていることから、本発明の説明にもこの表示方法を採用する。
電極活性物質の被覆方法としては、従来から用いられている熱分解法、粉末焼結法等を適用できるが、熱分解法が好ましい。すなわち、電極活性物質を構成する金属塩の溶液を塗布し、乾燥し空気中で350℃から550℃の温度で加熱処理する。塗布、乾燥、加熱操作を数回から数十回行い必要量の電極活性層を形成する。白金金属塩としては塩化白金酸、ジニトロジアミン白金が用いられ、セリウム金属塩としては炭酸セリウム、蓚酸セリウム、硫酸セリウム、硝酸セリウムが用いられるが、特に硝酸セリウムは硝酸水溶液として好適に使用できる。白金金属とは白金含有化合物を空気中で350℃から550℃の温度で加熱処理することにより得られるものを含んでいる。
電極活性物質中の白金とセリウムの割合は、金属換算で白金のモル分率が15〜30モル%であり、セリウムのモル分率が70〜85モル%であり、更に好ましくは白金のモル分率が20〜25モル%であり、セリウムのモル分率が75〜80モル%である。
通常イオン交換膜法食塩電解工業では電解電流密度が3kA/m2 から5kA/m2 で操業されているが、電流密度が低い場合には電極活性物質中の白金の割合が大きい方が、水素発生過電圧は小さい。ところが電解電流密度が6kA/m2 から14kA/m2 、より確実には8kA/m2 から14kA/m2 と大きくなると、逆に、過電圧が急に上昇する現象がみられる。一方、酸化セリウムの割合が大きい場合には、電流密度が低い場合には水素発生過電圧が高くなるが、電流密度が大きくなっても過電圧の上昇は小さい。その結果、高電流密度領域ではセリウムリッチの電極活性物質を有する電極の方が、白金リッチの電極活性物質を有する電極よりも水素発生過電圧の面で優位となる。
その理由に関しては、前述したように、電解電流密度が大きくなると、水素発生用電極での水素ガス発生量が激増し、電極表面における発生水素ガスの逸散性が水素発生過電圧に大きく影響するようになる。白金金属に比較して酸化セリウムはアルカリ水溶液に濡れ易く、セリウムの割合が大きい場合には電解液の濡れ性が大きくなり、発生水素ガスの電極表面からの逸散が速くなることが、高電流密度領域で過電圧の上昇が抑制される理由と推察される。
次に実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。
〔実施例1−1〕(電極1作製)
電極基体として、ニッケル金属製のエキスパンド金属板(LW:8.0、SW:3.6、ST:1.2mm)を用いた。エキスパンド金属板の寸法は20mm×20mm×1.2mm厚である。このエキスパンド金属板に直径1.5mm、長さ80mmのニッケル製丸棒を溶接して通電のための給電リードとした。
基体のエキスパンド金属面に対し、100番のアランダムを用い、0.3MPaの圧力でブラスト処理を施した。そのエキスパンド金属板をアセトン中で超音波洗浄により脱脂した後、10wt%塩酸水溶液を用いて30℃で1時間エッチングした。エッチングのエキスパンド金属板を一昼夜流水中で洗浄した。
電極活性物質用の塗布液として白金:セリウムのモル比が25:75となるように塩化白金酸6水和物と硝酸セリウム6水和物を溶解して6wt%硝酸を含む水溶液を調製した。塗布液中の白金金属量は7.5g/Lである。この塗布液をエキスパンド金属の両面に塗布し、100℃で10分間乾燥したのち、更に450℃に保持した電気炉中で20分間焼成した。この電極活性物質の被覆操作(塗布、乾燥、加熱)を10回繰り返し、「電極1」を作製した。
〔実施例1−2〕(過電圧測定)
実施例1で作製した「電極1」の20mm×20mmエキスパンド部表裏両面だけを残し、他の部分をシールしたものを陰極として用いた。30mm×30mm×1mm厚のニッケル板を陽極とし、32wt%水酸化ナトリウム水溶液を電解液として、陰極と陽極の距離2cm、温度80℃の条件で電解試験を行った。PFA樹脂(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー)製チューブで被覆した白金線の一部を露出させ、陰極にくくりつけて参照電極とした。白金線の露出部分は陰極と接触しないよう注意した。陰極の水素発生過電圧測定は定電流法で行い、カレントインタラプター法で電流遮断時の電圧降下から液抵抗による誤差を補正した。
電解電流密度と水素発生過電圧との関係、すなわち水素発生過電圧の電解電流密度による依存性を表1及び図1に示した。電流密度は印加した電流を20mm×20mm (400mm2 )で割った値を使用した。
〔実施例2〕(電極2作製と過電圧測定)
電極基体として実施例1と同様のニッケル金属製のエキスパンド金属と給電リードを用いて、実施例1と同様の表面処理を行った。
電極活性物質用の塗布液として白金:セリウムのモル比が20:80となるようにジニトロジアンミン酸白金と硝酸セリウム6水和物を溶解して6wt%硝酸を含む水溶液を調製した。塗布液中の白金金属量は7.5g/Lである。調製された塗布液をエキスパンド金属の両面に塗布し、100℃で10分間乾燥したのち、更に470℃に保持した電気炉中で20分間焼成した。この電極活性物質の被覆操作(塗布、乾燥、加熱)を10回繰り返し、「電極2」を作製した。実施例1−2と同様にして「電極2」における水素発生過電圧の電解電流密度による依存性を測定し、表1及び図1に示した。
〔比較例〕(電極3作製と過電圧測定)
電極基体として実施例1と同様のニッケル金属製のエキスパンド金属と給電リードを用いて、実施例1と同様の表面処理を行った。
電極活性物質用の塗布液として白金:セリウムのモル比が50:50となるように塩化白金酸6水和物と硝酸セリウム6水和物を溶解して6wt%硝酸を含む水溶液を調製した。塗布液中の白金金属量は7.5g/Lである。調製された塗布液をエキスパンド金属の両面に塗布し、100℃で10分間乾燥したのち、更に450℃に保持した電気炉中で20分間焼成した。この電極活性物質の被覆操作(塗布、乾燥、加熱)を10回繰り返し、「電極3」を作製した。実施例1−2と同様にして「電極3」における水素発生過電圧の電解電流密度による依存性を測定し、表1及び図1に示した。
Figure 2011040464
図1から明らかなように、本願の比較例である「電極3」は、電解電流密度が小さい範囲では過電圧が低いが、電解電流密度が大きくなると過電圧が非常に高くなる。一方、本発明例である「電極1」及び「電極2」は、過電圧の電解電流密度による依存性が低く、過電圧は安定している。その結果、電解電流密度が小さい範囲では「電極3」より過電圧が低いが、電解電流密度が5kA/m2 で3者の過電圧はほぼ同じになり、高電解電流密度域、特に電解電流密度が6kA/m2 から14KA/m2 、より確実には8kA/m2 から14KA/m2 という電流密度が大きい電解条件下においては「電極3」よりも過電圧が低くなり、水素発生用電極として好ましいものとなる。
「電極1」と「電極2」とを比較した場合は、白金量が少なくセリウム量が多い「電極2」の方が、高電解電流密度域での水素発生過電圧がより低い。
また、本願の比較例である「電極3」は、電極活性物質中の白金量とセリウム量が等しく、従来例である例えば特許文献2に記載の白金リッチ(白金量がセリウム量の2倍前後)の電極活性物質を有する電極よりも電極活性物質中の白金量が少なく、セリウム量が多い。電極活性物質が白金リッチ(白金量がセリウム量の2倍前後)の従来電極の場合は、電解電流密度が小さい領域では過電圧が「電極3」より更に低いが、電解電流密度が大きい領域では過電圧が「電極3」より更に高くなる。
ただし、電極活性物質中の白金量を極端に多くした水素発生用電極においては、セリウム量の不足により、水素発生過電圧を問題にする以前に電解液中の鉄に対する被毒耐性の低下が問題となる。この点、本発明の水素発生用電極は、「電極1」及び「電極2」に見られるとおり、電極活性物質中のセリウム量が白金量の約3〜4倍という極端なセリウムリッチであるので、電解液中の鉄に対する被毒耐性が非常に高いことは言うまでもない。
本発明の水素発生用電極は、水素発生を伴う電解工程、主としてイオン交換膜法食塩電解に使用して、エネルギーコストの低い高電解電流密度操業を可能とする。

Claims (10)

  1. 導電性金属上にセリウム金属、セリウム酸化物またはセリウム水酸化物の少なくとも一種と白金金属とを含有するセリウム−白金混合物系の電極活性物質を被覆してなる水素発生用電極において、前記電極活性物質の組成が金属換算で白金のモル分率15〜30モル%、セリウムのモル分率70〜85モル%のセリウムリッチであることを特徴とする水素発生用電極。
  2. 陰極電流密度が6kA/m2 から14kA/m2 で使用される請求項1に記載の水素発生用電極。
  3. 陰極電流密度が8kA/m2 から14kA/m2 で使用される請求項2に記載の水素発生用電極。
  4. 導電性金属がニッケルである請求項1から3のいずれかに記載の水素発生用電極。
  5. 導電性金属がニッケル製のマイクロメッシュである請求項4に記載の水素発生用電極。
  6. 導電性金属上に白金金属塩とセリウム金属塩の混合溶液を塗布し、350℃から550℃に加熱することにより被覆された電極活性物質を有する請求項1から5のいずれかに記載の水素発生用電極。
  7. 電極基体が表面を酸化処理された電極基体である請求項1から6のいずれかに記載の水素発生用電極。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の水素発生用電極を用い、陰極電流密度が6kA/m2 から14kA/m2 の条件で水素発生を伴う電解を行うことを特徴とする電解方法。
  9. 請求項8に記載の電解方法において、陰極電流密度が8kA/m2 から14kA/m2 である電解方法。
  10. 請求項8または9に記載の電解方法において、水素発生を伴う電解がイオン交換膜法食塩電解である電解方法。
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