JPWO2011021581A1 - 標的生体高分子の選択的標識剤 - Google Patents

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Abstract

酸化還元反応性がない金属イオンを介して生体高分子と錯体を形成し、該生体高分子と会合するときにだけ選択的に発光することができ、洗浄を行わなくても非特異的な背景蛍光が生じない、蛍光色素化合物を、既存のさまざまな蛍光特性を有する蛍光色素に普遍的に適用できる原理に基づいて開発すること。本発明は生体高分子の選択的蛍光標識剤を提供する。本発明の標識剤は、シグナル発信原子団Pと原子団Xとを含む第1化合物と、シグナル吸収原子団Qと原子団Yとを含む第2化合物とからなり、前記原子団Xは前記原子団Yの特異的結合パートナーであって、前記原子団Xと前記原子団Yとが非共有結合によって連結して第1化合物と第2化合物とが会合するとき、前記原子団Qは前記原子団Pが発するシグナルを吸収する。本発明は、第1化合物がHisZiFiTで、第2化合物がBHQ2−His6又はDABCYL−His6か、あるいは、第1化合物がTMR−triNTAで、第2化合物がDABCYL−His6かを含むタンパク質の選択的標識剤を提供する。

Description

本発明は、標的生体高分子の選択的標識剤に関し、より具体的には、単一アミノ酸繰り返し配列を含む標的融合タンパク質と結合するときにのみ選択的に発光する蛍光標識剤に関する。
生きた細胞内で所望のタンパク質を標識する技術の開発は、さまざまなタンパク質の機能を網羅的に解明するうえで重要な課題である。これまでは所望のタンパク質を緑色蛍光タンパク質のような蛍光発光タンパク質との融合タンパク質として発現させて標識タンパク質を得ていた(非特許文献1)。しかし、緑色蛍光タンパク質は220個以上のアミノ酸を含むため、融合タンパク質の高次構造やダイナミクスに影響を与えるので、前記所望のタンパク質の機能を反映しない場合がある。
そこで、任意のアミノ酸2個をはさんでシステイン2個が繰り返す特定のタグ配列を所望のタンパク質と融合させたタンパク質を発現させ、これを特定の蛍光有機ヒ素化合物と接触させて標識する方法が開発された(非特許文献2、3)。しかしこの方法は、システイン残基が完全に還元された状態でのみ有効なので、細胞質又は核に局在するタンパク質にしか適さない。また、ヒ素の毒性を軽減するために悪臭の1,2−ジチオールが必要である。
つぎに、ヒスチジンのヘキサマーペプチド配列を所望のタンパク質と融合させたタンパク質を発現させ、これをNiイオン存在下でニトリロ三酢酸と接触させて標識する方法が開発された(非特許文献4)。
さらに、ヒスチジンのヘキサマーペプチドの融合タンパク質とZn2+イオン存在下で錯体を形成する配位子と蛍光色素とが連結した蛍光色素化合物(化学式:2’,7’−ビス(ピリジル−2−スルホンアミド)−4’,5’−ジメチルフルオレセイン、以下、「HisZiFiT」という。)も開発された(非特許文献5、特許文献1)。
しかし、これらの標識方法の蛍光色素化合物は標的タンパク質との錯体形成の有無に関わらず蛍光を発するため、非特異的な背景蛍光によって標的タンパク質の蛍光観察が妨げられる。特に、細胞内で発現している標的タンパク質を標識する場合には、前記蛍光色素化合物を細胞内に注入するため、洗浄による除去が困難であり、非特異的な背景蛍光という課題を解決する必要性が高い。
そこで、ヒスチジンのヘキサマーペプチドの融合タンパク質と会合した状態で選択的に発光する蛍光色素化合物が開発された(特許文献2)。前記蛍光色素化合物は、遊離状態では配位子と蛍光色素の発色団とが金属イオンと錯体を形成して蛍光を発することはできない。しかし、前記蛍光色素化合物がヒスチジンのヘキサマーペプチドの融合タンパク質と会合した状態では、前記発色団が前記金属イオンの影響を脱するので、蛍光を発することができる。
しかし、特許文献2に説明される蛍光色素化合物が錯体を形成する金属イオンのうちCoイオン及びCuイオンは酸化還元反応性があるので、生体高分子の機能に影響を与える可能性がある。したがって、これらのイオンを必要とする生体高分子の標識技術は好ましいものとはいえない。また、特許文献2に説明される蛍光色素化合物は、発色原子団自体が金属イオンとの錯体形成に関与しているため、利用可能な蛍光色素が限定される。
さらに、生体内及びベシクル内の標的物質を標識する場合には、蛍光色素化合物を十分に洗浄することができないために、前記生体内及びベシクル内に非特異的な背景蛍光が生じる場合があった。
米国特許第6933384号公報 特開2007−231124号公報
Giepmans,B.N.ら、Science、312:217−224(2006) Griffin、B.A.ら、Science、281:269−272(1998) Adams,S.R.ら、J.Am.Chem.Soc.、124:6063−6076(2002) Kapanidis、A.N.ら、J.Am.Chem.Soc.、123:12123−12125(2001) Hauser,C.T.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、104:3693−3697(2007)
そこで、酸化還元反応性がない金属イオンを介して生体高分子と錯体を形成し、該生体高分子と会合するときにだけ選択的に発光することができ、洗浄を行わなくても非特異的な背景蛍光が生じない、蛍光色素化合物を、既存のさまざまな蛍光特性を有する蛍光色素に普遍的に適用できる原理に基づいて開発する必要がある。
本発明は標的生体高分子の選択的蛍光標識剤を提供する。本発明の標識剤は、シグナル発信原子団Pと原子団Xとを含む第1化合物と、シグナル吸収原子団Qと原子団Yとを含む第2化合物とからなり、前記原子団Xは前記原子団Yの特異的結合パートナーであって、前記原子団Xと前記原子団Yとが非共有結合によって連結して第1化合物と第2化合物とが会合するとき、前記原子団Qは前記原子団Pが発するシグナルを吸収し、前記標的生体高分子は前記原子団Xと前記原子団Yとの連結を競合阻害し、前記標的生体高分子が前記原子団Xを介して第1化合物と連結するとき、前記原子団Qは前記原子団Pが発するシグナルを吸収できない。
本発明の標識剤において、前記原子団X及び前記原子団Yは、それぞれ、金属配位性オリゴペプチドと金属イオンを介して錯体を形成しうるレセプター原子団と、前記金属配位性オリゴペプチドとであるか、レクチンと、該レクチンに特異的に結合する糖鎖とであるか、アビジンと、ビオチンとであるか、タンパク質又はその断片と、該タンパク質又はその断片と特異的に結合するタンパク質又はその断片とであるか、1本鎖オリゴヌクレオチドと、該オリゴヌクレオチドと相補的な1本鎖オリゴヌクレオチドとであるか、抗体又はその抗原結合断片と、該抗体が特異的に結合する抗原決定基とのうちの一方と他方とであるか、あるいは、1本鎖又は2本鎖オリゴヌクレオチドと、該オリゴヌクレオチドと特異的に結合するタンパク質又はその断片とのうちの一方と他方とであるかの場合がある。
本発明の標識剤において、前記原子団Yは、R1又はR2であって、
1は、
−CONH−(Aaa1h−(Aaa2i−(Aaa3j−(Aaa4k−COOHで、
2は、
NH2−(Aaa5l−(Aaa6m−(Aaa7n−(Aaa8o−CONH−で、
Aaa1、Aaa3、Aaa5及びAaa7は、それぞれ独立に、L−ヒスチジン及びL−アスパラギン酸以外の天然アミノ酸18種類のうちのいずれかのアミノ酸残基であり、Aaa2、Aaa4、Aaa6及びAaa8は、それぞれ独立に、L−ヒスチジン又はL−アスパラギン酸のアミノ酸残基であり、h、j、l及びnは、それぞれ独立に、0、1又は2であり、i、k、m及びoは、それぞれ独立に、2ないし20のうちのいずれかの整数の場合がある。
本発明の標識剤において、前記シグナル発信原子団P及び前記シグナル吸収原子団Qは、それぞれ、蛍光色素と、該蛍光色素に特異的な消光剤とであるか、MRI造影剤として検出可能な核種の元素を含む原子団と、該元素に対するMRI消光剤とであるかの場合がある。
本発明の標識剤において、
(1)前記シグナル発信原子団Pは、ピレン、7−メトキシクマリン、Cascade Blue、Alexa Fluor(登録商標) 350、7アミニオクマリン−X、Pacific Blue、ジメチルアミノクマリン、BODIPY 493/503、BODIPY−FI−X、DTAF、6−FAM、Dansyl−X、Oregon Green 500、Alexa Fluor(登録商標) 488、dT−FAM、Oregon Green 488、Rhodol Green、Oregon Green 514、Rhodamine Green−X、NBD−X、TET、Alexa Fluor(登録商標) 430、2’,4’,5’,7’−テトラブロモスルホンフルオレセイン、BODIPY−FI Br2、6−JOE、BODIPY 530/550、Alexa Fluor(登録商標) 532及びHEXからなるグループから選択され、前記シグナル吸収原子団Qは、BHQ1又はDABCYLであるか、
(2)前記シグナル発信原子団Pは、Carboxyrhodamine 6G、Alexa Fluor(登録商標) 555、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、Cy3、BODPY TAMRA−X、PyMPO、Alexa Fluor(登録商標) 546、TAMRA−X/dT−TAMRA、Rhodamine Red−X、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、Alexa Fluor(登録商標) 568、Texas−Red−X、Cy3,5、Carboxy−X−Rhodamine (ROX)、BODIPY−TR−X、Alexa Fluor(登録商標) 594、ニトリロ三酢酸、HisZiFiT及びTMR−triNTAからなるグループから選択され、前記シグナル吸収原子団Qは、BHQ2又はDABCYLであるか、
(3)前記シグナル発信原子団Pは、Alexa Fluor(登録商標) 633、Alexa Fluor(登録商標) 647、Cy5、カルボキシナフトフルオレセイン、Alexa Fluor(登録商標) 660、Cy5.5、Alexa Fluor(登録商標) 680及びAlexa Fluor(登録商標) 700からなるグループから選択され、前記シグナル吸収原子団Qは、BHQ3又はDABCYLであるか、あるいは、
(4)前記シグナル発信原子団Pは19F核種を含む原子団で、前記シグナル吸収原子団QはGd3+錯体を含む原子団であるかの場合がある。
本発明の標識剤は、第1化合物と第2化合物との複合体を含むか、該複合体からなる場合がある。
本発明の標識剤は、第1化合物と第2化合物とに特異的に錯体を形成する金属イオンを含む場合がある。
本発明の標識剤において、第1化合物は、HisZiFiTで、第2化合物はBHQ2−His6又はDABCYL−His6か、あるいは、第1化合物はTMR−triNTAで、第2化合物がDABCYL−His6かの場合がある。
本発明の標識剤に含まれる金属イオンは、第1化合物がHisZiFiTで、第2化合物がBHQ2−His6又はDABCYL−His6のとき、Zn2+の場合があり、第1化合物がTMR−triNTAで、第2化合物がDABCYL−His6のとき、Ni2+の場合がある。
本発明は生体高分子の標識方法を提供する。本発明の標識方法は、本発明のいずれかの標識剤と、該標識剤の前記原子団Xと前記原子団Yとの連結を競合阻害する原子団を含む生体高分子とを用意するステップと、前記標識剤を前記生体高分子に接触させるステップとを含む。
本発明の生体高分子の標識方法は、前記標識剤を前記生体高分子に接触させるステップの後で、前記生体高分子と会合しなかった前記標識剤を除去しないで、前記標識剤が会合した前記生体高分子が発信するシグナルを検出するステップを含む場合がある。
本発明の生体高分子の標識方法は、前記標識剤の第1化合物及び第2化合物と、前記原子団Xと前記原子団Yとの連結を競合阻害する原子団を含む生体高分子とを用意するステップを含み、さらに、第1化合物及び第2化合物を同時に前記生体高分子に接触させるステップか、あるいは、第1化合物又は第2化合物のうちいずれか一方を先に前記生体高分子に接触させた後、他方を前記生体高分子に接触させるステップかを含む場合がある。
本発明の生体高分子の標識方法は、第1化合物及び第2化合物を同時に前記生体高分子に接触させるステップか、あるいは、第1化合物又は第2化合物のうちいずれか一方を先に前記生体高分子に接触させた後、他方を前記生体高分子に接触させるステップかの後で、前記生体高分子と会合しなかった第1化合物を除去しないで、第1化合物が会合した前記生体高分子が発信するシグナルを検出するステップを含む場合がある。
本発明はタンパク質の標識方法を提供する。本発明のタンパク質の標識方法は、第1化合物と、第2化合物と、ヒスチジン残基が4ないし10個連続するアミノ酸配列を含むアミノ酸配列からなる融合タンパク質とを用意するステップと、金属2価イオンM2+存在下で、第1化合物と、第2化合物とを会合させるステップと、前記第1化合物と第2化合物との複合体を精製するステップと、前記複合体を前記融合タンパク質に接触させるステップとを含み、第1化合物は、HisZiFiTで、第2化合物はBHQ2−His6又はDABCYL−His6か、あるいは、第1化合物はTMR−triNTAで、第2化合物がDABCYL−His6かである。
本発明のタンパク質の標識方法は、前記複合体を前記融合タンパク質に接触させるステップの後で、前記融合タンパク質と会合しなかった前記複合体を除去しないで、前記複合体が会合した前記融合タンパク質が発信するシグナルを検出するステップを含む場合がある。
本発明のタンパク質の標識方法において、前記融合タンパク質を用意することは、前記融合タンパク質を発現する遺伝子コンストラクトを細胞に導入することを含む場合がある。
本発明のタンパク質の標識方法において、前記複合体を前記融合タンパク質に接触させるステップは、前記複合体を前記細胞内に注入することを含む場合がある。
本発明のタンパク質の標識方法において、第1化合物はHisZiFiTであり、第2化合物はBHQ2−His6又はDABCYL−His6であり、金属2価イオンM2+はZn2+の場合がある。
本発明のタンパク質の標識方法において、第1化合物はTMR−triNTAであり、第2化合物はDABCYL−His6であり、金属2価イオンM2+はNi2+の場合がある。
本発明において、「ある原子団が、蛍光色素、ビオチンその他の化合物か、レクチン、抗体その他のタンパク質又はその断片か、オリゴヌクレオチドかである。」という説明は、当該原子団は、前記化合物、前記タンパク質又はその断片及び前記オリゴヌクレオチドの分子を構成するいずれかの原子との共有結合が可能な誘導体基であって、前記化合物か、前記タンパク質又はその断片か、前記オリゴヌクレオチドかの機能を実質的に阻害しないものである、という意味である。同様に、本発明において、「ある原子団が、蛍光色素、ビオチンその他の化合物か、レクチン、抗体その他のタンパク質又はその断片か、オリゴヌクレオチドかを含む。」という説明は、当該原子団は、前記化合物、前記タンパク質又はその断片及び前記オリゴヌクレオチドの分子を構成するいずれかの原子との共有結合が可能な誘導体基であって、前記化合物か、前記タンパク質又はその断片か、前記オリゴヌクレオチドかの機能を実質的に阻害しないものを含む、という意味である。
本発明において、標的生体高分子が前記原子団Xと前記原子団Yとの連結を競合阻害するのは、該標的生体高分子が、前記原子団Yか、前記原子団Yと同一ではない原子団Zかを含み、該原子団Zが前記原子団Xと連結して、前記原子団Yと原子団Xとの連結を競合阻害するためである。より具体的には、前記原子団Zは、前記原子団Yと同じ構造か、前記原子団Yを含む構造か、以下に列挙される構造を有するかの場合がある。すなわち、前記原子団X及び前記原子団Yが、それぞれ、金属配位性オリゴペプチドと金属イオンを介して錯体を形成しうるレセプター原子団と、前記金属配位性オリゴペプチドとのとき、前記原子団Zは、前記原子団Yのオリゴペプチドのアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列からなり、前記原子団Xと前記原子団Yとの錯体形成に関与するのと同じ金属イオンを介して前記原子団Xと錯体形成する金属配位性オリゴペプチドを含む場合がある。前記原子団X及び前記原子団Yが、それぞれ、レクチンと、該レクチンに特異的に結合する糖鎖とのとき、前記原子団Zは、前記原子団Yの誘導体又は類縁体の構造を含む原子団であって、前記原子団X及び原子団Yとの結合の解離定数と同じ解離定数か、より低い解離定数かで前記原子団Xのレクチンと結合する原子団を含む場合がある。前記原子団X及び前記原子団Yが、それぞれ、アビジンと、ビオチンとのとき、前記原子団Zは、ビオチンと同程度か又はより強くアビジンと結合するビオチンの誘導体又は類縁体の構造を含む場合がある。前記原子団X及び前記原子団Yが、それぞれ、タンパク質又はその断片と、該タンパク質又はその断片と特異的に結合するタンパク質又はその断片とのとき、前記原子団Zは、原子団Yのタンパク質又はその断片のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を有し、原子団Yのタンパク質又はその断片と同程度か又はより強く原子団Xのタンパク質又はその断片と結合するタンパク質又はその断片の場合がある。前記原子団X及び前記原子団Yが、それぞれ、1本鎖オリゴヌクレオチドと、該オリゴヌクレオチドと相補的な1本鎖オリゴヌクレオチドとのとき、前記原子団Zは、原子団Yの1本鎖オリゴヌクレオチドヌクレオチド酸配列に1個又は数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列を有し、原子団Yの1本鎖オリゴヌクレオチドと同程度か又はより強く原子団Xの1本鎖オリゴヌクレオチドと結合する1本鎖オリゴヌクレオチドの場合がある。前記原子団X及び前記原子団Yが、それぞれ、抗体又はその抗原結合断片と、該抗体が特異的に結合する抗原決定基とのうちの一方と他方とのとき、前記原子団Zは、前記抗体又はその抗原結合断片のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を有するか、前記抗原決定基の原子団の誘導体又は類縁体の原子団を含むかであって、原子団Yと同程度か又はより強く結合する原子団の場合がある。前記原子団X及び前記原子団Yが、それぞれ、1本鎖又は2本鎖オリゴヌクレオチドと、該オリゴヌクレオチドと特異的に結合するタンパク質又はその断片とのうちの一方と他方とのとき、前記原子団Zは、前記1本鎖又は2本鎖オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列に1個又は数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列を有するか、前記タンパク質又はその断片のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を有するかであって、原子団Yと同程度か又はより強く結合する原子団の場合がある。
本発明の融合タンパク質のアミノ酸配列は、該融合タンパク質の機能を実質的に阻害しないことを条件として、ヒスチジン残基が4ないし10個連続するアミノ酸配列をアミノ末端からカルボキシル末端までのいずれの位置に含んでもかまわない。前記ヒスチジン残基が4ないし10個連続するアミノ酸配列は、前記融合タンパク質の立体構造において、本発明の標識剤がアクセスする際に立体的障害が生じない位置に配置されることが好ましく、アミノ末端又はカルボキシル末端に配置されることが好ましい。
本発明の融合タンパク質を用意する際には、固相法その他の周知の人工合成法によって化学的に合成されてもよいし、組換えDNA技術によって、無細胞的に、あるいは、宿主細胞内で産生されてもよい。本発明の融合タンパク質を用意する際には、単離精製されてもよいが、単離精製は必ずしも必要ではない。本発明の融合タンパク質を用意することは、該融合タンパク質をエンコードするDNAが導入された生物に由来し、前記融合タンパク質を発現する細胞、組織、器官又は個体を用意することの場合がある。
本発明の技術的範囲は、添付する特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。本発明の趣旨を逸脱しないことを条件として、本発明の変更、例えば、本発明の構成要件の追加、削除及び置換を行うことができる。
Zn2+イオンを添加したHisZiFiTの吸光及び発光スペクトル図。 BHQ2−His6を添加する前後のHisZiFiTの発光スペクトル図。 DABCYL−His6を添加する前後のHisZiFiTの発光スペクトル図。 His6を添加する前後のBHQ2−His6添加で消光されたHisZiFiTの発光スペクトル図。 His6を添加する前後のDABCYL−His6添加で消光されたHisZiFiTの発光スペクトル図。 DABCYL−His6を添加する前後のTMR−triNTAの発光スペクトル図。 His6を添加する前後のDABCYL−His6添加で消光されたTMR−triNTAの発光スペクトル図。 HisZiFiT又はTMR−triNTAと消光剤との複合体に添加されたHis6の濃度と、蛍光強度との関係を示すグラフ。 抗His抗体で染色された細胞の蛍光顕微鏡写真。 TMR−triNTAで染色された細胞の蛍光顕微鏡写真。 HisZiFiTで染色された細胞の蛍光顕微鏡写真。 TMR−triNTA単体で染色された細胞の洗浄前の蛍光顕微鏡写真。 TMR−triNTA単体で染色された細胞の洗浄後の蛍光顕微鏡写真。 TMR−triNTA消光剤複合体で染色された細胞の洗浄前の蛍光顕微鏡写真。 TMR−triNTA消光剤複合体で染色された細胞の洗浄後の蛍光顕微鏡写真。 蛍光染色された細胞の表面及び内部における洗浄前後の蛍光強度のグラフ。 TMR−triNTAで染色された細胞にDABCYL−Hisが添加された時点(0s)の蛍光背景の蛍光顕微鏡写真。 TMR−triNTAで染色された細胞にDABCYL−Hisが添加されてから1×10秒経過後の蛍光背景の蛍光顕微鏡写真。 TMR−triNTAで染色された細胞にDABCYL−Hisが添加されてから4×10秒経過後の蛍光背景の蛍光顕微鏡写真。 TMR−triNTAで染色された細胞にDABCYL−Hisが添加されてから7×10秒経過後の蛍光背景の蛍光顕微鏡写真。
以下に説明する本発明の実施例は、例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。本明細書で言及されるすべての特許文献及び非特許文献はそれらの全体が引用によって本明細書に取り込まれる。
消光剤BHQ2−His6の合成
常法に従いペプチドシンセサイザーを用いて、ヒスチジンのヘキサマーペプチドのアミノ末端に消光原子団BHQ2基(化学名:4’−(4−ニトロ−フェニルジアゾ)−2’−メトキシ−5’−メトキシ−アゾベンゼン−4”−(N−エチル)−N−エチル−2−シアノエチル−(N,N−ジイソプロピル)−)のカルボン酸スクシンイミジルエステル(BHQ−2000S、バイオリサーチテクノロジージャパン)を反応させて、BHQ−2がアミノ末端に連結したヒスチジンヘキサマーペプチド(以下、「BHQ2−His6」という。)が合成された。BHQ2−His6の化学式は以下のとおりである。
Figure 2011021581
消光剤DABCYL−His6の合成
常法に従いペプチドシンセサイザーを用いて、ヒスチジンのヘキサマーペプチドのアミノ末端に消光原子団DABCYL基(化学名:4−([4−(ジメチルアミノ)フェニル]アゾ)安息香酸スクシンイミジルエステル(09278、シグマアルドリッジ)を反応させて、DABCYLがアミノ末端に連結したヒスチジンヘキサマーペプチド(以下、「DABCYL−His6」という。)が合成された。DABCYL−His6の化学式は以下のとおりである。
Figure 2011021581
反応産物の解析
各反応産物はHPLC(Shimadzu Prominence、株式会社島津製作所)を用いて精製された。溶離条件は、A液として0.01M TFA(トリフルオロ酢酸)の水溶液、B液として0.01M TFAのアセトニトリル溶液を用いて、流速は毎分1.0mLとした。BHQ2−His6の時、B液の濃度勾配は5分間で0−20%、15分間で20−50%、5分間で50−80%であった。DABCYL−His6の時、B液の濃度勾配は2分間で0−10%、10分間で10−40%、2分間で40−70%であった。精製標品の分子量を質量分析装置を用いて測定し、BHQ2−His6又はDABCYL−His6が得られたことを確認した。
発光剤HisZiFiTの合成
生体内でヒスチジンのオリゴペプチドと亜鉛イオン特異的な錯体を形成するHisZiFiTは、Hauser、C.T.及びTsien、R.Y.(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、104:3693−3697(2007))の補足情報(Supporting Information、http://www.pnas.org/content/104/10/3693/suppl/DC1)に従って合成された。HisZiFiTの化学式は以下のとおりである。
Figure 2011021581
HisZiFiT中間体1は以下の化学式で表される。
Figure 2011021581
HisZiFiT中間体1の合成
12−メチルレゾルシン(5.18g、0.0420モル)、フタル酸無水物(3.35g、0.0210モル)及び塩化亜鉛(3.20g、0.0240モル)が、乳鉢で手早く混合され、230℃で1.5時間加熱された。冷却後、飽和炭酸ナトリウム水溶液に溶解され、塩酸で中和(pH試験紙を用いて確認)され、析出物が濾別され、乾燥された(粗収量5.56g)。粗生成物のうち、670mgが氷浴下で硫酸151mL及び硝酸3.35mLを加えて約2時間攪拌され、室温に昇温後、さらに14時間攪拌された。反応溶液が氷に滴下され、析出物が濾別された後、メタノールで洗浄された。フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製された標品453mgが得られた。
前記精製標品のNMR測定値は以下の通りであった。
1H NMR(CDCl3):δ2.51(6H,s)、7.19−7.22(1H,m)、7.51(2H,s)、7.74−7.82(2H,m)、8.12−8.15(1H,m)、11.10(2H,s)
NMRの結果から前記精製標品がHisZiFiT中間体1であることが確認された。収率は54%であった。
HisZiFiT中間体2は以下の化学式で表される。
Figure 2011021581
HisZiFiT中間体2の合成
HisZiFiT中間体1(100mg、0.222モル)が1,2−ジクロロエタン−エタノール混合溶媒(5:2)52mLに溶解され、パラジウム−炭素370mgが加えられ、水素雰囲気下で、2時間攪拌され、セライト濾過によりパラジウム−炭素が除去された後、濃縮された標品が77mg得られた。
前記濃縮標品のNMR測定値は以下の通りであった。
1H NMR(CDCl3):δ2.38(6H,s)、6.19(2H,s)、7.25(1H,d,J=7.2Hz)、7.61(1H,dd,J1=7.0Hz,J2=7.2Hz)、7.70(1H,dd,J1=7.0,J2=8.0Hz)、8.18(1H,d,J=8.0Hz)
NMRの結果から前記精製標品がHisZiFiT中間体2であることが確認された。収率は89%であった。
HisZiFiTの合成
中間体2(90mg、0.23モル)がピリジン5mLに溶解され、氷浴下で、2−ピリジンスルホニルクロライド(137mg、0.92モル)を加えて約2時間攪拌された後、一夜放置された。反応液が1M塩酸に滴下され、析出物が濾別され、フラッシュカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/酢酸=9/1/0.05、v/v/v)により精製された標品20mgが得られた。
前記精製標品のNMR測定値は以下の通りであった。
1H NMR(CD3OD):δ2.23(6H,s)、6.34(2H,br−s)、6.94−7.00(1H,m)、7.42−7.48(2H,m)、7.57(2H,d,J=8.0Hz)、7.69−7.73(2H,m)、7.79−7.85(2H,m)、8.12−8.22(1H,m)、8.40(1H,d,J=4.4Hz)。
1H−NMR(500MHz,DMSO):δ=8.96(2t,2H,ArH)、8.32−8.30(m,4H,ArH)、8.11(d,1H,ArH)、7.97−7.95(m,2H,ArH),7.88(dt,1H,ArH)、7.81(dt,1H,ArH)、7.43(d,1H,ArH)、6.14(s,2H,ArH)5.06(s,3H,NH)、2.40(s,6H,Me)。
NMRの結果から前記精製標品がHisZiFiTであることが確認された。収率は13%、純度は95%であった。
BHQ2−His6によるHisZiFiTの消光
9mMのHisZiFiTを含むDMSO溶液と、2mMのZnCl2水溶液とが用意されて、20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)中でHisZiFiTを10μMに希釈した蛍光色素液2mLが調製された。前記蛍光色素液に、2mM ZnCl2が20μL(HisZiFiTに対して当量比2倍)加えられた後、蛍光分光光度計(RF−5000、島津製作所)を用いて、蛍光特性が測定された。その後、Zn2+イオンが添加された前記蛍光色素液に、2mMのBHQ2−His6が含まれるDMSO溶液が2μLずつ計10μL(HisZiFiTに対して当量比1倍)添加されてから、再度蛍光特性が測定された。
結果
Zn2+イオンを添加した前記蛍光色素液の吸光及び発光スペクトルを図1に示す。図1の破線は前記蛍光色素液の発光スペクトルで、図1の実線は前記蛍光色素液の吸光スペクトルである。図1に示すとおり、Zn2+イオンを添加した前記蛍光色素液の吸光スペクトルのピークは526nmで、発光スペクトルのピークは553nmであった。そこで、励起波長500nmでの発光スペクトルの変化が観察された。Zn2+イオンが添加された前記蛍光色素液にBHQ2−His6が添加される前後の発光スペクトルを図2に示す。図2の破線はBHQ2−His6が添加される前の前記蛍光色素液の発光スペクトルで、図2の実線はBHQ2−Hisが添加された後の前記蛍光色素液の発光スペクトルである。図2に示すとおり、BHQ2−His6が添加されると、発光ピーク波長である553nmでの発光強度が680分の1に減少するという著しい消光現象が観測された(励起:スリット幅3nm、発光:スリット幅3nm)。
DABCYL−His6によるHisZiFiTの消光
5mMのHisZiFiTを含むDMSO溶液と、10mMのZnCl2水溶液とが用意され、20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)中でHisZiFiTが5μMに希釈された蛍光色素液2mLが調製された。前記蛍光色素液に、10mM ZnCl2が2μL(HisZiFiTに対して当量比2倍)加えられた後、蛍光分光光度計(RF−5300PC、島津製作所)を用いて、蛍光特性が測定された。その後、Zn2+イオンが添加された前記蛍光色素液に、5mMのDABCYL−His6が含まれるDMSO溶液が2μL(HisZiFiTに対して当量比1倍)添加されてから、再度蛍光特性が測定された(励起波長470nm、励起:スリット幅3nm、発光:スリット幅3nm)。
結果
Zn2+イオンが添加された前記蛍光色素液にDABCYL−His6が添加される前後の発光スペクトルを図3に示す。図3の実線はDABCYL−His6が添加される前の前記蛍光色素液の発光スペクトルで、図3の破線はDABCYL−His6が添加された後の前記蛍光色素液の発光スペクトルである。図3に示すとおり、DABCYL−His6が添加されると、発光ピーク波長である553nmでの発光強度が1%に低下するという著しい消光現象が観測された。
BHQ2−His6で消光されたHisZiFiTのHis6による蛍光回復
消光剤が結合していない遊離のヒスチジンのヘキサマーペプチド(以下、「His6」という。)が50mM含まれる水溶液4μL(HisZiFiTに対して当量比10倍)が、Zn2+イオン及びBHQ2−His6が混合した後の前記蛍光色素液に添加されて、励起波長500nmの発光スペクトルが測定された。
結果
前記蛍光色素液にHis6が添加される前後の発光スペクトルを図4に示す。図4の実線はHis6が添加される前の前記蛍光色素液の発光スペクトルで、図4の破線はHis6が添加された後の前記蛍光色素液の発光スペクトルである。図4に示すとおり、His6を添加すると、BHQ2−His6添加で低下した発光ピーク波長(553nm)の発光強度が5.4倍に増大するという蛍光回復が観測された(励起:スリット幅5nm、発光:スリット幅5nm)。
DABCYL−His6で消光されたHisZiFiTのHis6による蛍光回復
His6が5mM含まれる水溶液2μL(HisZiFiTに対して当量比1倍)が、Zn2+イオン及びDABCYL−His6が混合された後の前記蛍光色素液に添加され、励起波長470nmの発光スペクトルが測定された。
結果
前記蛍光色素液にHis6が添加される前後の発光スペクトルが図5に示される。図5の実線はHis6が添加される前の前記蛍光色素液の発光スペクトルで、図5の破線はHis6が添加された後の前記蛍光色素液の発光スペクトルである。図5に示すとおり、DABCYL−His6添加で低下した発光ピーク波長(553nm)の発光強度は、His6添加後もほとんど回復がみられなかった(励起:スリット幅5nm、発光:スリット幅5nm)。
発光剤TMR−triNTAの合成
生体内でヒスチジンのオリゴペプチドと錯体を形成するTMR−triNTAは、Huang, Z.ら(Bioconjugate Chem.、17:1592−1600(2006))が報告した方法に従って合成された。
簡潔には、NH2−tri−NTA(t−Bu)3(21.0mg、15μmol)及び5(6)−カルボキシテトラメチルローダミンN−スクシンイミジルエステル(4.6mg、7μmol)がジクロロメタン水溶液(1mL)に溶解され、さらにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、10μL)が添加された。反応溶液は室温で一晩攪拌された後、濃縮され、TMR−TriNTA(t−Bu)3中間体を得るためにシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(溶出液、クロロホルム/メタノール=40:1、v/v)によって精製された。精製された中間体はTFA(2mL)に溶解され、一晩中攪拌された。精製標品5.0mgが濃縮、真空乾燥後に得られた。
結果
前記精製標品のNMR測定値及びESI−MS測定値は以下の通りであった。
1H NMR(400MHz,D2O/DMSO):δ=8.61,8.30,8.15,8.10,7.66,7.42(m,3H),7.04(d,2H),6.92−6.83(m,6H),3.66−3.13(m,28H),1.87−0.76(m,36H)。
ESI−MS:m/z=467.92[M−3H+3-
NMR及びESI−MSの結果から前記精製標品がTMR−TriNTAであることが確認された。収率は40%、純度は95%であった。TMR−triNTAの化学式は以下のとおりである。
Figure 2011021581
DABCYL−His6によるTMR−triNTAの消光
5mMのTMR−triNTAが含まれるDMSO溶液と、10mMのNiCl2水溶液とが用意され、20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)中でTMR−triNTAが0.3mM、NiCl2が3mM(TMR−triNTAに対して当量比10倍)に希釈された蛍光色素液0.5mLが調製された。前記蛍光色素液はイオン交換クロマトグラフィーHiTrap Q HP(17−1153−01,GEヘルスケア)を用いて精製され、0.16mMのTMR−triNTA−3Niが含まれる溶液(20mM Tris−HCl緩衝液)が調製された。20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)中でTMR−triNTAが5μMに希釈された蛍光色素液2mLが調製され、蛍光分光光度計(RF−5300PC、島津製作所)を用いて、蛍光特性が測定された。その後、前記蛍光色素液に、5mMのDABCYL−His6が含まれるDMSO溶液が2μL(TMR−triNTAに対して当量比1倍)添加されてから、再度蛍光特性が測定された(励起波長500nm、励起:スリット幅5nm、発光:スリット幅5nm)。
結果
前記蛍光色素液にDABCYL−His6が添加される前後の発光スペクトルを図6に示す。図6の実線はDABCYL−His6が添加される前の前記蛍光色素液の発光スペクトルで、図6の破線はDABCYL−His6が添加された後の前記蛍光色素液の発光スペクトルである。図6に示すとおり、DABCYL−His6が添加されると、発光ピーク波長である576nmでの発光強度が8%に低下するという著しい消光現象が観測された。
His6によるTMR−triNTAの蛍光回復
His6が5mM含まれる水溶液2μL(TMR−triNTAに対して当量比1倍)が、DABCYL−His6が混合された後の前記蛍光色素液に添加され、励起波長500nmの発光スペクトルが測定された(励起:スリット幅5nm、発光:スリット幅5nm)。
結果
前記蛍光色素液にHis6が添加される前後の発光スペクトルを図7に示す。図7の実線はHis6が添加される前の前記蛍光色素液の発光スペクトルで、図7の破線はHis6が添加された後の前記蛍光色素液の発光スペクトルである。図7に示すとおり、His6が添加されると、DABCYL−His6添加で低下した発光ピーク波長(576nm)の発光強度が5.4倍に増大するという蛍光回復が観測された。以上の結果から、TMR−triNTA−3Niは、会合及び解離することによって、DABCYL−His6及び/又はHis6と可逆的に反応できることが示された。
HisZiFiT又はTMR−triNTAと消光剤との複合体と、His6との競合による蛍光回復特性の比較
5mMのHisZiFiTを含むDMSO溶液と、10mMのZnCl2水溶液とが用意され、20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)中でHisZiFiTが5μM、ZnCl2が10μMに希釈された蛍光色素液0.4mLが調製された。さらに、5mMのTMR−triNTAが含まれるDMSO溶液と、10mMのNiCl2水溶液とが用意され、20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)中でTMR−triNTAが0.3mM、NiCl2が3mM(TMR−triNTAに対して当量比10倍)に希釈された蛍光色素液0.5mLが調製された。前記蛍光色素液はイオン交換クロマトグラフィーHiTrap Q HP(17−1153−01,GEヘルスケア)を用いて精製され、0.16mMのTMR−triNTA−3Niが含まれる溶液(20mM Tris−HCl緩衝液)が調製された。20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)中でTMR−triNTAが5μMに希釈された蛍光色素液0.4mLが調製された。
前記錯体溶液のそれぞれに、1mMのDabcyl−His6が2μL添加され、それぞれの蛍光強度が測定された。さらに、HisZiFiTを含むサンプルに対して、His6が1mM含まれる水溶液を1μLずつ計4μL,2μLずつ計6μL、5mM含まれる水溶液を2μL(等量比0.5〜10倍)添加された。TMR−triNTAに対しては、His6が0.5mM含まれる水溶液を1μLずつ計4μL,1mM含まれる水溶液を2μLずつ計6μL、5mM含まれる水溶液を2.4μL(等量比0.25〜10倍)添加された。これらの溶液サンプルについて、HisZiFiTは、励起波長500nm及び発光波長553nm、TMR−triNTAは励起波長500nm及び発光波長576nmの蛍光強度が測定された。結果は、His6を含まない溶液サンプルの蛍光強度を1とする蛍光強度の相対値を縦軸に、His6の濃度を横軸に表すグラフにプロットされた。
結果
HisZiFiT又はTMR−triNTAと消光剤との複合体に添加されたHis6の濃度と、蛍光強度との関係を示すグラフを図8に示す。図8の黒い菱形(◆)のプロットは、Dabcyl−His6との複合体形成によって消光されたTMR−triNTA−3Ni錯体の蛍光が、His6の競合により回復したことを示す。図8の黒い三角形(▲)のプロットは、Dabcyl−His6との複合体形成によって消光されたHisZiFiT−2Zn錯体の蛍光が、His6の競合によっては回復しなかったことを示す。以上の結果から、錯体との複合体形成によって、HisZiFiTのほうがTMR−triNTAより強力に消光されるものの、標識すべきヒスチジンのヘキサマーペプチドの存在下では、TMR−triNTAが顕著に蛍光回復を起こすのに対して、HisZiFiTではほとんど蛍光回復がみられないことが明らかになった。
HisZiFiT及びTMR−triNTAの単体を用いるHis−tag融合タンパク質の検出
HisZiFiT及びTMR−triNTAの単体が生細胞で標的分子を選択的に検出可能かどうかが評価された。
細胞培養
COS7細胞は7x104個となるように35mm径の培養ディッシュに播種され、37°C、5% CO2及び飽和水蒸気雰囲気下で、10% 牛胎児血清、100μg/mL ペニシリン及び100μg/mL ストレプトマイシンが添加されたダルベッコ変法イーグル培地(D−MEM)を用いて培養された。
遺伝子導入
His6−EGF−TDコンストラクトは、His6及びEGFドメインとPDGF膜貫通ドメインとが融合したタンパク質(以下、「Hisタグ融合タンパク質」という。)が哺乳類細胞で発現されるように、His6及びEGFドメインをエンコードするDNA断片がpDisplay(商標、インビトロジェン)ベクターにクローン化されて作製された。前記コンストラクト 0.5μgは、エフェクテン試薬(キアゲン)を用いてCOS7細胞にトランスフェクションされた。
蛍光染色
His6−EGF−TDコンストラクトをトランスフェクションされたCOS7細胞は、1ないし2日間培養された後、ハンクス平衡緩衝塩溶液(以下、「HBSS」という。)で2回洗浄され、1μM HisZiFiT(10μM ZnCl2)、1μM TMR−triNTA(3μM NiCl2)又は5μg/mL 抗His6抗体(11922416001、ロシュ)を用いて室温で染色された。HisZiFiT及びTMR−triNTAは、200mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)中で希釈された。前記抗His6抗体は10% 牛胎児血清を含むD−MEM中で希釈され、陽性対照として用いられた。前記抗体が一次抗体として添加された後、前記細胞はHBSSで2回洗浄され、二次抗体として6.67μg/mL Alexa Fluor−633抗体(A21050、モレキュラープローブ)が添加された。その後、前記細胞はHBSSで2回洗浄され、共焦点顕微鏡(FV1000、オリンパス)で観察された。
結果
抗His6抗体、TMR−triNTA及びHisZiFiTで蛍光染色された、Hisタグ融合タンパク質を一過性に発現するCOS7細胞の蛍光顕微鏡写真を、それぞれ図9A、9B及び9Cに示す。His6を有するタンパク質が遺伝子導入された細胞で発現され、該細胞表面に局在することが免疫染色によって示された。また、細胞表面の蛍光発光強度は、HisZiFiT及びTMR−triNTAの添加後1分間以内にプラトーに達した。細胞染色におけるTMR−triNTAの蛍光強度は、HisZiFiTの蛍光強度と比較してより強いことが示された。以上の結果から、HisZiFiT及びTMR−triNTAは、生体内で標的分子を選択的に検出できることが示された。
DABCYL−His6及びTMR−triNTAの複合体によるHisタグ融合タンパク質の検出
DABCYL−His6及びTMR−triNTAの複合体(以下、「TMR−triNTA消光剤複合体」という。)が生体内で標的分子を選択的に検出可能かどうかが評価された。
細胞培養及び遺伝子導入
細胞培養及び遺伝子導入は、実施例11で説明された方法に従って行われた。
蛍光染色
トランスフェクションされた細胞はHBSSで2回洗浄され、1μM TMR−triNTA−3Ni単体又はTMR−triNTA−3Ni消光剤複合体(TMR−triNTA−3Ni(終濃度1μM)およびDABCYL−His6(終濃度1μM)の混合液)を用いて室温で染色された。前記TMR−triNTA−3Ni単体及びTMR−triNTA−3Ni消光剤複合体は、200mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)中で調製された。前記共焦点顕微鏡が観察に用いられた。
結果
TMR−triNTA−3Ni単体で蛍光染色された細胞の洗浄前及び洗浄後の蛍光顕微鏡写真をそれぞれ、図10A及び10Bに示す。また、TMR−triNTA−3Ni消光剤複合体で蛍光染色された細胞の洗浄前及び洗浄後の蛍光顕微鏡写真をそれぞれ、図10C及び10Dに示す。TMR−triNTA−3Ni消光剤複合体は、背景蛍光を生じることなく、細胞表面を特異的に発光させた。蛍光染色された前記細胞の表面及び内部における洗浄前後の蛍光強度(任意の単位)のグラフを図11に示す。各実験条件の誤差棒は同一条件で6ないし9回繰り返した実験結果の測定値の標準偏差を示す。またアステリスク(*)は、対応のない両側t検定でp値が1%未満であることを示す。洗浄前において、TMR−triNTA−3Ni単体の蛍光強度は、細胞表面では3500、細胞内部では400であり、TMR−triNTA−3Ni消光剤複合体の蛍光強度は、細胞表面では3300、細胞内部では200であった。洗浄後において、TMR−triNTA−3Ni単体の蛍光強度は、細胞表面では3600、細胞内部では500であり、TMR−triNTA消光剤複合体の蛍光強度は、細胞表面では3500、細胞内部では200であった。以上の結果から、TMR−triNTA−3Ni消光剤複合体から分離したTMR−triNTA−3Niの蛍光強度はTMR−triNTA−3Ni単体の蛍光強度と同程度であり、前記TMR−triNTA−3Ni消光剤複合体は、TMR−triNTA−3Ni単体と比較して、細胞洗浄の有無にかかわらず、細胞内部の背景蛍光を統計的に有意に低下させることが示された。
したがって、本発明の別の選択的標識剤も同様に洗浄工程なしに簡便に生体内で標的分子を選択的に検出でき、疾患解析、創薬等のための蛍光検出のスループットも向上されることが示唆された。また、さまざまな蛍光剤が本発明の選択的標識剤に使用できるため、複数の標的分子を選択的に多重検出できることが示唆された。なお、生体透過性の高い近赤外線を放出する発光剤が用いられる場合には、個体レベルのモニタリングがリアルタイムに実施できることが示唆された。
DABCYL−His6によるTMR−triNTAの背景蛍光の低減
DABCYL−His6単体がTMR−triNTA単体の背景蛍光を低減するかどうかが評価された。
細胞培養、遺伝子導入及び蛍光染色は、原則として実施例11で説明された方法に従って行われた。なお、前記蛍光染色では、細胞は1μM TMR−triNTA−3Niで染色された後、1μM DABCYL−His6を用いてインキュベーションされた。
結果
DABCYL−His6が、TMR−triNTA−3Niで染色された細胞に添加されてから、0秒、1×102秒、4×102秒及び7×102秒後の蛍光背景の経時変化の写真を、それぞれ、図12A、12B、12C及び12Dに示す。DABCYL−His6はTMR−triNTAの蛍光、特に、蛍光背景を経時的に低減させることが示された。以上の結果から、TMR−triNTAは、試験管内だけでなく、生体内でも会合及び解離することによって、DABCYL−His6及び/又はHis6と可逆的に反応できることが示された。
DABCYL−His6及びTMR−triNTAの組み合わせと同様に、BHQ2−His6又はDABCYL−His6と、HisZiFiTとの組み合わせはHis6と可逆的に反応できるため、該組み合わせも生体内で非特異的な背景蛍光を生じることなく、標的分子を選択的に検出できることが示唆された。また、この特徴を利用した検出システムは、選択的標的剤が、標的分子を含む試料に浸透できない場合であっても、発光剤及び消光剤それぞれを同時に又は差次的に注入することによって前記標的分子を選択的に生体内で検出できることが示唆された。

Claims (16)

  1. シグナル発信原子団Pと原子団Xとを含む第1化合物と、シグナル吸収原子団Qと原子団Yとを含む第2化合物とからなる標的生体高分子の選択的蛍光標識剤であって、前記原子団Xは前記原子団Yの特異的結合パートナーであって、前記原子団Xと前記原子団Yとが非共有結合によって連結して第1化合物と第2化合物とが会合するとき、前記原子団Qは前記原子団Pが発するシグナルを吸収し、前記標的生体高分子は前記原子団Xと前記原子団Yとの連結を競合阻害し、前記標的生体高分子が前記原子団Xを介して第1化合物と連結するとき、前記原子団Qは前記原子団Pが発するシグナルを吸収できないことを特徴とする、標的生体高分子の選択的標識剤。
  2. 前記原子団X及び前記原子団Yは、それぞれ、
    金属配位性オリゴペプチドと金属イオンを介して錯体を形成しうるレセプター原子団と、前記金属配位性オリゴペプチドとであるか、
    レクチンと、該レクチンに特異的に結合する糖鎖とであるか、
    アビジンと、ビオチンとであるか、
    タンパク質又はその断片と、該タンパク質又はその断片と特異的に結合するタンパク質又はその断片とであるか、
    1本鎖オリゴヌクレオチドと、該オリゴヌクレオチドと相補的な1本鎖オリゴヌクレオチドとであるか、
    抗体又はその抗原結合断片と、該抗体が特異的に結合する抗原決定基とのうちの一方と他方とであるか、あるいは、
    1本鎖又は2本鎖オリゴヌクレオチドと、該オリゴヌクレオチドと特異的に結合するタンパク質又はその断片とのうちの一方と他方とであるかであることを特徴とする、請求項1に記載の標識剤。
  3. 前記原子団Yは、R1又はR2であって、
    1は、
    −CONH−(Aaa1h−(Aaa2i−(Aaa3j−(Aaa4k−COOHで、
    2は、
    NH2−(Aaa5l−(Aaa6m−(Aaa7n−(Aaa8o−CONH−で、
    Aaa1、Aaa3、Aaa5及びAaa7は、それぞれ独立に、L−ヒスチジン及びL−アスパラギン酸以外の天然アミノ酸18種類のうちのいずれかのアミノ酸残基であり、
    Aaa2、Aaa4、Aaa6及びAaa8は、それぞれ独立に、L−ヒスチジン又はL−アスパラギン酸のアミノ酸残基であり、
    h、j、l及びnは、それぞれ独立に、0、1又は2であり、i、k、m及びoは、それぞれ独立に、2ないし20のうちのいずれかの整数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の標識剤。
  4. 前記シグナル発信原子団P及び前記シグナル吸収原子団Qは、それぞれ、
    蛍光色素と、該蛍光色素に特異的な消光剤とであるか、
    MRI造影剤として検出可能な核種の元素を含む原子団と、該元素に対するMRI消光剤とであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の標識剤。
  5. (1)前記シグナル発信原子団Pは、ピレン、7−メトキシクマリン、Cascade Blue、Alexa Fluor(登録商標) 350、7アミニオクマリン−X、Pacific Blue、ジメチルアミノクマリン、BODIPY 493/503、BODIPY−FI−X、DTAF、6−FAM、Dansyl−X、Oregon Green 500、Alexa Fluor(登録商標) 488、dT−FAM、Oregon Green 488、Rhodol Green、Oregon Green 514、Rhodamine Green−X、NBD−X、TET、Alexa Fluor(登録商標) 430、2’,4’,5’,7’−テトラブロモスルホンフルオレセイン、BODIPY−FI Br2、6−JOE、BODIPY 530/550、Alexa Fluor(登録商標) 532及びHEXからなるグループから選択され、前記シグナル吸収原子団Qは、BHQ1又はDABCYLであるか、
    (2)前記シグナル発信原子団Pは、Carboxyrhodamine 6G、Alexa Fluor(登録商標) 555、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、Cy3、BODPY TAMRA−X、PyMPO、Alexa Fluor(登録商標) 546、TAMRA−X/dT−TAMRA、Rhodamine Red−X、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、Alexa Fluor(登録商標) 568、Texas−Red−X、Cy3,5、Carboxy−X−Rhodamine (ROX)、BODIPY−TR−X、Alexa Fluor(登録商標) 594、HisZiFiT及びTMR−triNTAからなるグループから選択され、前記シグナル吸収原子団Qは、BHQ2又はDABCYLであるか、
    (3)前記シグナル発信原子団Pは、Alexa Fluor(登録商標) 633、Alexa Fluor(登録商標) 647、Cy5、カルボキシナフトフルオレセイン、Alexa Fluor(登録商標) 660、Cy5.5、Alexa Fluor(登録商標) 680及びAlexa Fluor(登録商標) 700からなるグループから選択され、前記シグナル吸収原子団Qは、BHQ3又はDABCYLであるか、
    (4)前記シグナル発信原子団Pは19F核種を含む原子団で、前記シグナル吸収原子団QはGd3+錯体を含む原子団であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の標識剤。
  6. 第1化合物と第2化合物との複合体を含むことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の標識剤。
  7. 第1化合物は、HisZiFiTで、第2化合物はBHQ2−His6又はDABCYL−His6か、あるいは、第1化合物はTMR−triNTAで、第2化合物がDABCYL−His6かであることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の標識剤。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の標識剤と、該標識剤の前記原子団Xと前記原子団Yとの連結を競合阻害する原子団を含む生体高分子とを用意するステップと、
    前記標識剤を前記生体高分子に接触させるステップとを含むことを特徴とする、生体高分子の標識方法。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の標識剤の第1化合物及び第2化合物と、前記原子団Xと前記原子団Yとの連結を競合阻害する原子団を含む生体高分子とを用意するステップを含み、
    さらに、第1化合物及び第2化合物を同時に前記生体高分子に接触させるステップか、あるいは、第1化合物又は第2化合物のうちいずれか一方を先に前記生体高分子に接触させた後、他方を前記生体高分子に接触させるステップかを含むことを特徴とする、生体高分子の標識方法。
  10. 第1化合物及び第2化合物を同時に前記生体高分子に接触させるステップか、あるいは、第1化合物又は第2化合物のうちいずれか一方を先に前記生体高分子に接触させた後、他方を前記生体高分子に接触させるステップかの後で、前記生体高分子と会合しなかった第1化合物を除去しないで、第1化合物が会合した前記生体高分子が発信するシグナルを検出するステップを含むことを特徴とする、請求項9に記載の標識方法。
  11. 請求項7に記載の標識剤と、ヒスチジン残基が4ないし10個連続するアミノ酸配列を含むアミノ酸配列からなる融合タンパク質とを用意するステップと、
    金属2価イオンM2+存在下で、前記標識剤の第1化合物と、第2化合物とを会合させるステップと、
    前記第1化合物と第2化合物との複合体を精製するステップと、前記複合体を前記融合タンパク質に接触させるステップとを含むことを特徴とする、タンパク質の標識方法。
  12. 前記複合体を前記融合タンパク質に接触させるステップの後で、前記融合タンパク質と会合しなかった前記複合体を除去しないで、前記複合体が会合した前記融合タンパク質が発信するシグナルを検出するステップを含むことを特徴とする、請求項11に記載の標識方法。
  13. 前記融合タンパク質を用意することは、前記融合タンパク質を発現する遺伝子コンストラクトを細胞に導入することを含むことを特徴とする、請求項11又は12に記載の標識方法。
  14. 前記複合体を前記融合タンパク質に接触させるステップは、前記複合体を前記細胞内に注入することを含むことを特徴とする、請求項13に記載の標識方法。
  15. 第1合物はHisZiFiTであり、第2化合物はBHQ2−His6又はDABCYL−His6であり、金属2価イオンM2+はZn2+であることを特徴とする、請求項11ないし14のいずれか1つに記載の標識方法。
  16. 第1化合物はTMR−triNTAであり、第2化合物はDABCYL−His6であり、金属2価イオンM2+はNi2+であることを特徴とする、請求項11ないし14のいずれか1つに記載の標識方法。
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