JPWO2010140420A1 - 表示素子 - Google Patents
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Abstract
Description
<本発明のチオエーテル化合物>
本発明のチオエーテル化合物は、ED方式の表示素子において金属塩(特に銀塩)の溶解析出を促進するために用いられる「金属塩溶剤」と同一範疇の化合物である。特に銀塩溶剤としてメルカプトアゾール等、複素環チオール化合物は良く用いられており、これら公知の銀塩溶剤と比較して、構造的特徴は、アルキル鎖内に金属イオンと相互作用するとされている硫黄原子を組み込んだ点、同様に金属イオンと相互作用するとされているカルボニル基を少なくとも一つを有しかつ解離性プロトンを排除した点にある。
本発明の表示素子においては、一対の対向する電極のうち表示部に近い電極(表示側電極)である電極1にはITO電極等の透明電極が設けられ、他方の表示部から遠い電極2には導電性電極が設けられている。電極1と電極2との間に、本発明に係る有機溶媒、金属塩化合物と一般式(1)で表される化合物等を含有した電解質層を有し、少なくとも一対の対向する電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、白表示と黒表示を可逆的に切り替えることができる。
本発明で用いることのできる基板としては、透明基板であることが好ましく、このような透明基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板などが好ましく用いられる。本発明に用いられる透明な基板とは、可視光に対する透過率が少なくとも50%以上の基板をいう。
(表示側透明電極)
少なくとも一対の対向する電極のうち、表示側に位置する電極(表示側電極)としては、透明電極であることが好ましい。
透明電極の一つの態様として、上記透明電極上にナノ多孔質化構造を有するナノ多孔質電極を設けることができる。このナノ多孔質電極は、表示素子を形成した際に実質的に透明で、エレクトロクロミック色素等の電気活性物質を担持することができる。
少なくとも一対の対向する電極のうち、表示側と電解液を挟んで反対側に位置する電極(以下、対向電極と称す。)としては、透明電極であることが好ましい。
本発明においては、対向電極として多孔質カーボン電極を用いることもできる。吸着担持可能な多孔質炭素電極としては、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体や、ホウ素、窒素、りん等を炭素にドープして焼成した炭素化合物、等が挙げられる。炭素粒子の形状としては、メソフェーズ小球体、繊維状黒鉛が挙げられる。メソフェーズ小球体はコールタールピッチなどを350〜500℃で焼成することで得られ、これら小球体をさらに分級して高温焼成で黒鉛化すると良好な多孔質炭素電極が得られる。また、ピッチ系、PAN系、および気相成長繊維から、繊維状黒鉛を得ることができる。
本発明に係る少なくとも一対の対向する電極のうち、少なくとも一方の電極に、補助電極を付帯させることができる。
透明電極、金属補助電極を形成するには、公知の方法を用いることができる。例えば、基板上にスパッタリング法等でマスク蒸着する方法や、全面形成した後に、フォトリソグラフィ法でパターニングする方法等が挙げられる。
本発明の表示素子においては、複合電極の透明電極および金属補助電極の少なくとも1方が、帯電した液体を吐出する内部直径が30μm以下のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記ノズル内に溶液を供給する供給手段と、前記ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを備えた液体吐出装置を用いて形成されることが好ましい態様の1つである。さらにノズル内の溶液がノズル先端部から凸状に盛り上がった状態を形成する凸状メニスカス形成手段を設けた吐出装置を用いて形成されることが好ましい。
本発明の表示素子においては、電気絶縁層を設けることができる。
<電解質層組成物>
本発明に係る電解質層は、金属塩化合物、および本発明のチオエーテル化合物を含有することを特徴とするが、本発明のチオエーテル化合物以外の電解質層組成物について、以下において、詳細に説明する。
本発明に係る電解質層組成物において用いることができる有機溶媒としては、沸点が120〜300℃の範囲にあることが好ましく、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリクレジルホスフェート、2エチルヘキシルホスフェート、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート等を挙げることができる。
本発明の表示素子に適用しうる金属塩化合物とは、対向電極上の少なくとも1方の電極上で、該対向電極の駆動操作で、溶解・析出を行うことができる金属種を含む塩であることが好ましい。好ましい金属種は、銀、ビスマス、銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛等であり、好ましくは銀及びビスマスであり、特に好ましいのは銀である。
本発明に用いることの出来る銀塩化合物としては、銀または、銀を化学構造中に含む化合物、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
本発明の表示素子においては、電解質層に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン分子のハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、電解質層に含まれる金属イオンのモル濃度を[Metal](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
0≦[X]/[Metal]≦0.01
本発明でいうハロゲン原子とは、ヨウ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のことをいう。[X]/[Metal]が0.01よりも大きい場合は、金属の酸化還元反応時に、X−→X2が生じ、X2は析出した金属と容易にクロス酸化して析出した金属を溶解させ、メモリー性を低下させる要因の1つになるので、ハロゲン原子のモル濃度は金属銀のモル濃度に対してできるだけ低い方が好ましい。
本発明に係る電解質層組成物において用いることができる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類が使用できる。
更には、下記の塩類等が挙げられる。
本発明の表示素子においては、金属塩(特に銀塩)の溶解析出を促進する目的で、酸化還元されうる補助化合物(以下、プロモーターとも記す。)を添加しても良い。プロモーターは酸化還元反応の結果として、可視領域(400〜700nm)の光学濃度が変化しないものでも良いし、変化するもの、即ちエレクトロクロミック化合物で有っても良く、電極上に固定化されていても良く、電解質層中に添加されていても良い。
1)TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)等に代表されるN−オキシル誘導体、N−ヒドロキシフタルイミド誘導体、ヒドロキサム酸誘導体等、N−O結合を有する化合物
2)ガルビノキシル等、0−位に嵩高い置換基を導入したアリロキシ遊離基を有する化合物
3)フェロセン等、メタロセン誘導体
4)ベンジル(ジフェニルエタンジオン)誘導体
5)テトラゾリウム塩/ホルマザン誘導体
6)フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、アクリジン等のアジン系化合物
7)ビオロゲン等ピリジニウム化合物。
本発明においては、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から、白色散乱物を含有することが好ましく、多孔質白色散乱層を形成させて存在させてもよい。
本発明表示素子に用いることのできる電解質は、溶媒やイオン性液体から成る溶液状の電解質以外にも、実質的に溶媒を含まない固体電解質や高分子化合物を含有した高粘度な電解質やゲル状の電解質(以下、ゲル電解質)を挙げることができる。
本発明の表示素子においては、電解質層に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェイカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
〔表示側電極の作製〕
〔電極1の作製〕
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、膜厚300nmITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)膜をスパッタリング法に従って形成し、透明電極(電極1)を得た。
(電極2の作製)
上記電極1と同様に作製した電極上に、下記二酸化チタン分散物を乾燥後の平均膜厚が20μmになるようにスクリーン印刷し、その後50℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、85℃の雰囲気中で1時間乾燥させて多孔質白色散乱層を形成した電極2を作製した。
水/エタノール混合溶液に、クラレポバールPVA235(クラレ(株)製、ポリビニルアルコール樹脂)を固形分濃度で2質量%になるように添加し、加熱溶解させた後、石原産業(株)製の二酸化チタンCR−90を20質量%となるように超音波分散機で分散させて、二酸化チタン分散物を得た。
(電解質層組成物1の調製)
γ−ブチロラクトン2.5gに、支持電解質として下記リチウムトリフルオロメタンスルホン酸イミド0.025g、金属塩化合物としてトリフルオロメタンスルホン酸銀0.1g、本発明のチオエーテル例示化合物A−1を0.53g溶解して電解質層組成物1とした。
酸化還元補助化合物としてフェロセンを0.004g加える以外は、電解質層組成物1と同様にして、電解質組成物2を調整した。
電解質層組成物2における、本発明のチオエーテル例示化合物A−1を、それぞれ下記表1に示す化合物の種類と量に変更する以外は、電解質層組成物2と同様にして、電解質層組成物3〜15を調製した。
(表示素子1の作製)
電極2の周辺部を、平均粒径40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした後に、電極2と電極1とを、それぞれストライプ状の電極が直交するように貼り合わせ、さらに加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解質層組成物1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子1を作製した。
上記表示素子1の作製において、電解質組成物1を、電解質組成物2〜13に変更した以外は同様にして、表示素子2〜13を作製した。
<表示素子の評価>
以下のようにして表示素子の評価を行った。なお、評価は23℃55%RHの雰囲気下で行った。
駆動安定性は、反射率安定性で代表評価し、反射率安定性はコントラスト保持率により以下の通り評価した。
コントラスト:CR1=(+1.5V印加後の反射率)/(−1.5V印加後の反射率)
同様の駆動条件で合計1000回駆動させ後に同様な方法でCR1000を求め、CR1とCR1000を下記式に従って比較し、コントラスト保持率を5段階評価した。
◎◎:コントラスト保持率が80%以上
◎ :コントラスト保持率が65%以上、80%未満
○ :コントラスト保持率が65%未満
△ :コントラスト変化は確認できるが、コントラスト保持率が65%未満
× :コントラストの変化が目視で観測できない。
上記繰り返し駆動させたときの反射率の安定性の評価に用いた表示素子を分解して、表示電極を取り出し、分光光度計を用いてITOの380nmでの透過率(T100)を測定し、駆動前のITOの透過率(T1)を用いて下記式に従って電極腐食率を算出した。結果を表2に示す。
〔書き換え速度の評価〕
定電圧電源の両端子に作製した表示素子の両電極を接続し、電流値の上限を1平方cm辺り10mAに制御して、表示側の電極に−1.5Vの定電圧を1秒間印加してグレー表示させたときの波長550nmにおける反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定し、得られた値をRBK1とした。ここでは、RBK1の値が小さいほど書き換え速度が速いことになる。
Claims (7)
- 一対の対向する電極間に電解質層を有し、かつ電圧を印加することにより画像を表示する表示素子において、該電解質層は、チオエーテル鎖および少なくとも一つのカルボニル基を有する化合物であってかつ化合物全体として解離性プロトンを有していない化合物を含有することを特徴とする表示素子。
- 前記チオエーテル鎖が化合物全体の30〜99質量%を占めることを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
- 前記化合物が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
式中、Xは硫黄原子もしくは酸素原子を表し、化合物中の少なくとも1つのXは硫黄原子である。n、mは1以上10以下、aは1以上50以下の整数を表す。
R1、R2、R3、R4、R5、R6は解離性プロトンを有していない置換基を表し、そのうちひとつはカルボニル基を含む。またそれぞれ同じであっても異なっていても良く、それぞれで連結して環状構造を形成していてもよい。
[]内は繰り返し単位を表し、繰り返されている場合、Xが表す原子はそれぞれ異なっていても良い。その場合、同様にR1およびR2もそれぞれ異なっていても良く、mの表す整数も異なっていても良い。
- 上記化合物においてR5、R6がカルボニル基を有していることを特徴とする請求項3に記載の表示素子。
- n、mが2もしくは3であることを特徴とする請求項3または4に記載の表示素子。
- aが2もしくは3であることを特徴とする請求項3〜5いずれか一項に記載の表示素子。
- 前記電解質層が、酸化還元されうる補助化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6いずれか一項に記載の表示素子。
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