JPWO2010140417A1 - 波長変換用ガラス部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

製造時における蛍光体の劣化が少なく、耐久性に優れた波長変換用ガラス部材の製造方法を提供することを目的とする。蛍光体が供給されたガラス素材の上に溶融ガラス滴を滴下して蛍光体を2つのガラス素材で挟み込み、滴下された溶融ガラス滴が固化する前に、蛍光体を挟んだ2つのガラス素材を加圧成形して蛍光体と2つのガラス素材とを一体化する。

Description

本発明は波長変換用ガラス部材の製造方法に関し、特に、光源からの光の少なくとも一部の波長を変換するための蛍光体を有する波長変換用ガラス部材の製造方法に関する。
白色発光素子の1種である白色発光ダイオード(以下、白色LEDともいう)は、低消費電力、小型軽量、発熱が少ない、水銀フリー、光量の調節が容易などといった優れた特徴を備えていることから、白熱電球、蛍光ランプ、高圧放電ランプなどを代替可能な次世代省エネルギー型照明光源として期待されている。
LEDを用いて白色光を発光させる方法として、(1)3色以上のLEDチップを組み合わせて白色光を得る方法(特許文献1参照)や、(2)青色LEDチップ又は近紫外LEDチップと、蛍光体とを組み合わせて白色光を得る方法(特許文献2、3参照)が知られている。このうち、(1)の方法は各色LEDチップの発光強度のバランスを取るのが困難であることから、(2)のようにLEDチップと蛍光体とを組み合わせて白色光を得る方法が注目されている。
特許文献2、3には、LEDチップからの光の波長を変換するための蛍光体を、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の樹脂材料に分散させて固定する構成が記載されている。しかしながら、このような樹脂材料は、LEDチップからの光や、LEDチップ及び蛍光体の発熱などによって劣化が進行し易く、長期使用に耐えうるだけの耐久性を得ることができないという問題があった。特に、車のヘッドライト用LEDのように単位面積当たりの明るさを要求される場合には、蛍光体を分散させた樹脂材料の劣化が顕著であり問題となっていた。
そのため、樹脂材料に代えて、より耐久性に優れるガラスを用いて蛍光体を固定する方法の開発が望まれている。しかし、溶融ガラス中に蛍光体を混練する方法では、蛍光体が長時間にわたって高温の溶融ガラス中におかれることになるため、高温による分解や溶融ガラスの成分との反応が進行して蛍光体が著しく劣化してしまう。このような課題に対して、蛍光体の劣化を抑制するため、所定成分のガラス粉末と蛍光体粉末とを混合して焼結させることによりガラス中に蛍光体を分散させる方法(特許文献4参照)や、第1のガラスの表面に薄膜状に形成された蛍光体を第2のガラスで挟み込んで熱融着させて一体化する方法(特許文献5参照)が提案されている。
特開2003−45206号公報 特開平10−242513号公報 特開2002−314142号公報 特開2003−258308号公報 特開2005−11953号公報
しかしながら、特許文献4に記載の方法では、使用できるガラスの種類が限定される上、工程が非常に複雑になるという問題がある。また、焼結の際に蛍光体が少なからず劣化してしまうという問題もある。
また、特許文献5に記載の方法では、蛍光体を挟み込んだ2つのガラスを加熱プレスして熱融着させる際、蛍光体が長時間にわたって熱の影響を受けるため、蛍光体の劣化が避けられないという問題がある。
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、製造時における蛍光体の劣化が少なく、耐久性に優れた波長変換用ガラス部材及びその製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.光源からの光の少なくとも一部の波長を変換するための蛍光体を有する波長変換用ガラス部材の製造方法であって、
表面に前記蛍光体が供給されたガラス素材の上に溶融ガラス滴を滴下して前記蛍光体を2つのガラス素材で挟み込む工程と、
滴下された前記溶融ガラス滴が固化する前に、前記蛍光体を挟んだ前記2つのガラス素材を加圧成形し、前記蛍光体と前記2つのガラス素材とを一体化する工程と、を有することを特徴とする波長変換用ガラス部材の製造方法。
2.第1の溶融ガラス滴を滴下する工程と、
滴下された前記第1の溶融ガラス滴の上に前記蛍光体を供給する工程と、
前記蛍光体を供給された前記第1の溶融ガラス滴の上に第2の溶融ガラス滴を滴下する工程と、
前記第1の溶融ガラス滴と前記第2の溶融ガラス滴とを加圧成形する工程と、を有することを特徴とする前記1に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
3.前記第2の溶融ガラス滴を滴下する工程に続いて、
滴下された前記第2の溶融ガラス滴の上に第2の蛍光体を供給する工程と、
前記第2の蛍光体を供給された前記第2の溶融ガラス滴の上に第3の溶融ガラス滴を滴下する工程と、を有し、
前記加圧成形する工程は、前記第1〜第3の溶融ガラス滴をまとめて加圧成形する工程であることを特徴とする前記2に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
4.第1の溶融ガラス滴を滴下する工程と、
滴下された前記第1の溶融ガラス滴を加圧成形して第1のガラス成形体を得る第1の加圧成形工程と、
前記第1のガラス成形体の上に前記蛍光体を供給する工程と、
前記蛍光体を供給された前記第1のガラス成形体の上に第2の溶融ガラス滴を滴下する工程と、
前記第1のガラス成形体と前記第2の溶融ガラス滴とを加圧成形して第2のガラス成形体を得る第2の加圧成形工程と、を有することを特徴とする前記1に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
5.前記蛍光体の供給は、前記蛍光体を分散させた液体を前記ガラス成形体の上に滴下することにより行うことを特徴とする前記2から4の何れか1項に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
6.前記蛍光体の供給は、前記蛍光体を分散させたシートを前記ガラス成形体の上に載置することにより行うことを特徴とする前記2から4の何れか1項に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
7.前記第2の加圧成形工程に続いて、
前記第2のガラス成形体の上に第2の蛍光体を供給する工程と、
前記第2の蛍光体を供給された前記第2のガラス成形体の上に第3の溶融ガラス滴を滴下する工程と、
前記第2のガラス成形体と前記第3の溶融ガラス滴とを加圧成形して第3のガラス成形体を得る第3の加圧成形工程と、を有することを特徴とする前記4に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
8.前記蛍光体は、発光する光の波長が異なる複数種の蛍光体からなることを特徴とする前記1から7の何れか1項に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
本発明の方法によれば、表面に蛍光体が供給されたガラス素材の上に溶融ガラス滴を滴下して蛍光体を2つのガラス素材で挟み込み、滴下された溶融ガラス滴が固化する前に、蛍光体を挟んだ2つのガラス素材を加圧成形して蛍光体と2つのガラス素材とを一体化するため、蛍光体が高温のガラスと接触する時間を非常に短くすることができ、製造時における蛍光体の劣化を十分に抑制することができる。
波長変換用ガラス部材を備えた白色LEDを模式的に示す断面図である。 波長変換用ガラス部材の製造方法の第1の実施形態を示すフローチャートである。 第1の実施形態の各工程を模式的に示す図(前半)である。 第1の実施形態の各工程を模式的に示す図(後半)である。 波長変換用ガラス部材の製造方法の第2の実施形態を示すフローチャートである。 第2の実施形態の各工程を模式的に示す図(前半)である。 第2の実施形態の各工程を模式的に示す図(後半)である。 第2の実施形態における蛍光体を供給する工程の別例を示す図である。 第2の実施形態における蛍光体を供給する工程の別例を示す図である。 第2の実施形態における蛍光体を供給する工程の別例を示す図である。 波長変換用ガラス部材を備えた白色LEDの別の例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図1〜図11を参照しつつ詳細に説明するが、本発明は該実施の形態に限られるものでは無い。
〈波長変換用ガラス部材〉
図1は白色LED10を模式的に示す断面図である。図1(a)は蛍光体を含む蛍光体層132が単層の場合、図1(b)は蛍光体層132が2層の場合をそれぞれ示している。白色LED10は、基板14の上に配置されたLEDチップ12と、波長変換用ガラス部材13とを備えている。
LEDチップ12は青色LEDチップでもよいし、紫外又は近紫外LEDチップでもよい。波長変換用ガラス部材13はLEDチップ12を囲むように配置され、LEDチップ12からの光の少なくとも一部の波長を変換するための蛍光体を含む蛍光体層132と、蛍光体層132を挟むガラス層131とを有している。このように、ガラス層131の間に蛍光体層132が設けられているため、蛍光体層132はガラス層131に強固に固定されると共に、蛍光体層132に含まれる蛍光体が外部環境の影響を直接受けることが無いため耐久性に優れている。このような構成の波長変換用ガラス部材13は、後述のように、加圧成形によって蛍光体とガラス素材とを一体化する方法によって容易に製造することができる。
ここでは、波長変換用ガラス部材13が半球形状の場合を例に挙げて図示しているが、これに限定されるものでは無い。例えば、両面とも平面の平板形状でもよいし、いわゆる砲弾形状でもよい。また、波長変換用ガラス部材13の表面は凸面でもよいし、凹面や平面でもよい。凸面や凹面の場合は、球面でもよいし、非球面成分を有する形状でもよい。
蛍光体層132は、図1(a)のように単層でもよいし、図1(b)のように複数の層を設け、複数の蛍光体層132の間にもガラス層131を有する構成としてもよい。単層の場合は製造工程が単純で容易に製造できるという利点がある。また、複数の層を有する構成の場合は、それぞれの蛍光体層132の厚みを薄くできるため、蛍光体をより強固に固定でき耐久性が向上するという利点がある。
蛍光体は白色LEDの用途や種類に応じて、適宜選択して用いればよい。LEDチップ12として青色LEDチップを用いる場合は、例えば、青色光を黄色光に波長変換する(青色光で励起され黄色光を発光する)黄色蛍光体を用いて、青色LED+黄色蛍光体という構成にすることで白色光を得ることができる。2種類以上の蛍光体を用いて、例えば、青色LED+黄色蛍光体+赤色蛍光体という構成や、青色LED+緑色蛍光体+赤色蛍光体という構成にすることもできる。また、LEDチップ12として紫外又は近紫外LEDチップを用いる場合は、青色蛍光体+黄色蛍光体という構成や、青色蛍光体+緑色蛍光体+赤色蛍光体という構成にすることで白色光を得ることができる。
好適な蛍光体として、YAG系蛍光体、シリケート系蛍光体、ナイトライド系蛍光体、オキシナイトライド系蛍光体、サルファイド系蛍光体、チオガレート系蛍光体、アルミネート系蛍光体などが挙げられる。
また、供給する蛍光体は1種類でもよいし、発光する波長の異なる複数種の蛍光体を使用してもよい。複数種の蛍光体を適宜選択して使用することで、照明用として好まれる演色性の高い白色光を得ることができる。
複数種の蛍光体を用いる場合、図1(a)のように1つの蛍光体層132に複数種の蛍光体を混合して含有する構成でもよいし、図1(b)のように複数の蛍光体層132を設け、それぞれの蛍光体層132毎に含有する蛍光体の種類を変えて発光する光の波長が異なる構成としてもよい。一般に、複数種の蛍光体を同時に使用する場合、第1の蛍光体からの発光が別の第2の蛍光体を励起する、いわゆる多段励起による損失が問題となりやすい。しかし、図1(b)のように複数の蛍光体層132を設け、それぞれの蛍光体層132毎に発光する光の波長が異なる構成とすることで、このような多段励起による損失を減少させることができる。多段励起による損失をより効果的に減少させる観点からは、光源となるLEDチップからの光が先に到達する側に発光波長が長い方の蛍光体層132を配置し、後から到達する側に発光波長が短い方の蛍光体層132を配置することがより好ましい。
〈波長変換用ガラス部材の製造方法〉
次に、波長変換用ガラス部材13の製造方法について説明する。波長変換用ガラス部材13の製造方法は、表面に蛍光体が供給されたガラス素材の上に溶融ガラス滴を滴下して蛍光体を2つのガラス素材で挟み込む工程と、滴下された溶融ガラス滴が固化する前に、蛍光体を挟んだ2つのガラス素材を加圧成形し、蛍光体と2つのガラス素材とを一体化する工程とを有している。以下、蛍光体を供給しておくガラス素材として溶融ガラス滴を用いる場合を例に挙げて説明するが、蛍光体を供給しておくガラス素材は溶融ガラス滴に限定されるものでは無く、所定の体積の溶融ガラスを固化したものを用いることもできる。また、固化したガラスを、球や平板など所望の形状に加工したものを用いることも好ましい。本実施形態の製造方法では、滴下された溶融ガラス滴が冷却されて固化する前に加圧成形すればよいため、成形型を溶融ガラス滴と同じ温度まで加熱する必要は無い。そのため、成形型を比較的低い温度に保ったまま、多数の波長変換用ガラス部材を繰り返し製造することができ、非常に効率よく製造できるという利点がある。
先ず、図2〜図4及び図11を参照しながら第1の実施形態について説明し、次に、図5〜図10を参照しながら第2の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図2は波長変換用ガラス部材13の製造方法の第1の実施形態を示すフローチャートであり、図3及び図4は第1の実施形態の各工程を模式的に示す図である。以下、図2に示すフローチャートに従い各工程について順を追って説明する。
先ず、溶融ガラス滴31を加圧成形するための成形型である下型21及び上型22をそれぞれ所定の温度に加熱する(工程S110)(図3(a)参照)。下型21及び上型22は、図示しない加熱手段によって所定温度に加熱できるように構成されている。加熱手段としては、公知の加熱手段を適宜選択して用いることができる。例えば、被加熱部材の内部に埋め込んで使用するカートリッジヒータや、被加熱部材の外側に接触させて使用するシート状のヒータ、赤外線加熱装置、高周波誘導加熱装置等を用いることができる。
所定の温度とは、ガラスや蛍光体の種類等に応じて適宜選択すればよい。一般的に、下型21や上型22の温度が低すぎると高い形状精度を得ることが困難になってくる。逆に、必要以上に温度を高くしすぎると、下型21及び上型22の寿命が短くなり易い。これらの観点から、下型21及び上型22の温度は、使用するガラスのガラス転移温度をTgとしたとき、(Tg−150℃)から(Tg+100℃)の範囲が好ましく、(Tg−100℃)から(Tg+100℃)の範囲がより好ましい。下型21の温度と上型22の温度は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
下型21及び上型22の加熱温度は工程が進む毎に変化させてもよいが、工程S160でガラス成形体(波長変換用ガラス部材)を回収するまでの間、制御温度を一定に保っておくことで、高い製造効率を確保することができる。また、下型21及び上型22の制御温度を一定に保ったまま、複数のガラス成形体を繰り返し製造することもできる。従って、1つのガラス成形体を製造する毎に下型21及び上型22の昇温と冷却を繰り返す必要は無く、極めて短時間で効率よく光学素子を製造することができる。ここで、下型21及び上型22の制御温度を一定に保つというのは、下型21及び上型22を加熱するための温度制御における目標設定温度を一定に保つという意味であり、各工程実施中において、溶融ガラス滴31との接触等による温度変動を防止しなければならないという意味では無い。
下型21の成形面211、及び、上型22の成形面221は、予め製造する波長変換用ガラス部材の形状に対応した所定の形状に精密加工しておく。それにより、高い形状精度を有する波長変換用ガラス部材を容易に製造することができる。また、波長変換用ガラス部材の表面は、溶融ガラス滴31が成形面211、221と接触して急冷されることにより形成されるため、成形面211、221よりも平滑な面を得ることができる。十分に平滑な表面を得るという観点からは、成形面211、221の算術平均粗さRaを0.2μm以下とすることが好ましい。なお、算術平均粗さRaはJIS B 0601:2001において定義される粗さパラメータである。
下型21及び上型22の材質は、耐熱合金(ステンレス等)、炭化タングステンを主成分とする超硬材料、各種セラミックス(炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム等)、カーボンを含む複合材料など、ガラス成形体を製造するための成形型として公知の材質の中から適宜選択して用いることができる。下型21及び上型22を同一の材質で構成してもよいし、異なる材質で構成してもよい。
また、下型21や上型22の表面には、ガラスとの離型性を向上させるために被覆層を設けておくことも好ましい。例えば、種々の金属(クロム、アルミニウム、チタン、白金等)、窒化物(窒化クロム、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化硼素等)、酸化物(酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化チタン等)等を用いることができる。被覆層の成膜方法に制限は無く、公知の成膜方法の中から適宜選択して用いればよい。例えば、真空蒸着、スパッタ、CVD等が挙げられる。
次に、下型21を滴下位置に移動して、下型21に第1の溶融ガラス滴31を滴下する(工程S120)(図3(b)、(c)参照)。
下型21は図示しない駆動手段により、滴下ノズル23の下方で溶融ガラス滴31を受けるための位置(滴下位置)と、上型22と対向して溶融ガラス滴31を加圧成形するための位置(加圧位置)との間で移動可能に構成されている。滴下位置への移動は、溶融ガラス滴31を滴下する前であれば、下型21や上型22の加熱(工程S110)の前であっても後であってもよい。
溶融ガラス滴31の滴下は、溶融ガラスを収容する溶融槽(不図示)に接続されたパイプ状の滴下ノズル23を所定温度に加熱することによって行う。滴下ノズル23をヒータ24で所定温度に加熱すると、溶融ガラスは自重によって滴下ノズル23の先端部に供給され、表面張力によって液滴状に溜まる。滴下ノズル23の先端部に溜まった溶融ガラスが一定の重量になると、重力によって滴下ノズル23から自然に分離し、溶融ガラス滴31となって下方に落下する。
滴下ノズル23から滴下する溶融ガラス滴31の重量は、滴下ノズル23の先端部の外径などによって調整可能であり、ガラスの種類等によるが、0.1g〜2g程度の溶融ガラス滴31を滴下させることができる。重力によって滴下ノズル23から分離させる方法の他、溶融ガラスを加圧して押し出す方法や、気流や振動等の外力を加えて分離させる方法でもよい。また、滴下ノズル23から滴下した溶融ガラス滴31を、一旦、貫通細孔を設けた部材に衝突させ、衝突した溶融ガラス滴31の一部を、貫通細孔を通過させることによって、微小化された溶融ガラス滴を下型21に滴下してもよい。このような方法を用いることによって、例えば0.01gといった微小な溶融ガラス滴を得ることができるため、滴下ノズル23から滴下する溶融ガラス滴31をそのまま下型21で受ける場合よりも、微小なガラス成形体の製造が可能となる。
使用できるガラスの種類に特に制限は無く、公知のガラスを用途に応じて選択して用いることができる。例えば、ホウケイ酸塩ガラス、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ランタン系ガラス等の光学ガラスが挙げられる。
次に、第1の溶融ガラス滴31の上に蛍光体33を供給する(工程S130)(図3(d)参照)。
蛍光体33の供給方法に特に制限は無い。蛍光体33を粉体の状態で供給してもよいが、飛散を防止し、供給量を安定させる観点からは、蛍光体33を液体やゲル状のバインダに分散させた状態で供給することが好ましい。この際、製造する波長変換用ガラス部材に不要なバインダが残留しないように、バインダは低温で気化又は熱分解するものが好ましい。例えば、エタノール、アセトンなどの有機溶媒や、合成樹脂等が好適である。合成樹脂は、ポリスチレンやポリプロピレンなど、熱分解によって残さが残りにくいものが好ましい。
次に、蛍光体33を供給された第1の溶融ガラス滴31の上に第2の溶融ガラス滴31を滴下する(工程S140)(図4(a)、(b)参照)。
溶融ガラス滴31の滴下は、上述の工程S120と同様の方法で行えばよい。第2の溶融ガラス滴31の質量や温度は、第1の溶融ガラス滴31と同じでもよいし、異なるものでもよい。例えば、第2の溶融ガラス滴を滴下する際、第1の溶融ガラス滴31は下型21の上で冷却が進み温度が低下しているため、第1の溶融ガラス滴31と第2の溶融ガラス滴31が一体化する際の温度差が小さくなるように、第2の溶融ガラス滴の温度を低く設定することも好ましい。更に、第2の溶融ガラス滴は、第1の溶融ガラス滴と異なる種類のガラスを用いてもよい。例えば、屈折率や分散の異なるガラスを用いることで、波長変換用ガラス部材に、接合レンズのような光学特性を付加させることができる。
次に、下型21を加圧位置に移動して、第1の溶融ガラス滴31と第2の溶融ガラス滴31とを加圧成形する(工程S150)(図4(c)参照)。
2つの溶融ガラス滴31は下型21や上型22と接触することによって冷却され、固化してガラス成形体32となる。加圧を開始してからガラスが固化するまでの時間は、ガラスの種類やサイズ等によるが、通常は数秒〜数十秒の範囲である。溶融ガラス滴31を加圧するために加える荷重は一定であってもよいし、時間的に変化させてもよい。荷重の大きさは、製造するガラス成形体32のサイズ等に応じて適宜設定すればよい。通常は、数百〜数千Nの範囲で設定すればよい。また、上型22を上下移動させる駆動手段に特に制限は無く、エアシリンダ、油圧シリンダ、サーボモータ等の公知の駆動手段を適宜選択して用いることができる。
図4(c)では、上型22のみを加圧方向に移動して溶融ガラス滴31の加圧成形を行っているが、このような構成に限定されるものでは無く、上型22は固定しておいて下型21のみを加圧方向に移動して加圧成形を行ってもよいし、下型21と上型22の両方を移動して加圧成形を行ってもよい。
このように、本実施形態の方法によれば、表面に蛍光体が供給されたガラス素材の上に溶融ガラス滴を滴下して蛍光体を2つのガラス素材で挟み込み、滴下された溶融ガラス滴が固化する前に、蛍光体を挟んだ2つのガラス素材を加圧成形して蛍光体と2つのガラス素材とを一体化するため、蛍光体が高温のガラスと接触する時間を非常に短くすることができ、蛍光体の劣化を十分に抑制することができると共に、蛍光体をガラスに強固に固定することができる。
最後に、加圧を解除して蛍光体33と一体化したガラス成形体32を回収する(工程S160)(図4(d)参照)。ガラス成形体32の回収は、例えば、真空吸着を利用した離型装置25を用いて行えばよい。ガラス成形体32を回収した後、引き続いて波長変換用ガラス部材の製造を行う場合は、下型21を再び滴下位置に移動し、工程S120以降の工程を繰り返せばよい。
また、加圧成形する工程(工程S150)の前に、蛍光体33の供給と溶融ガラス滴31の滴下とを複数回繰り返すことで、図1(b)に示したようにガラス層131で区切られた複数の蛍光体層132を有する構成の波長変換用ガラス部材13を得ることもできる。例えば、第2の溶融ガラス滴31を滴下する工程(工程S140)に続いて、滴下された第2の溶融ガラス滴31の上に第2の蛍光体33を供給し、第2の蛍光体33を供給された第2の溶融ガラス滴31の上に第3の溶融ガラス滴31を滴下して、第1〜第3の溶融ガラス滴31をまとめて加圧成形する(工程S150)ことで、ガラス層131で区切られた2つの蛍光体層132を有する波長変換用ガラス部材を製造することができる。
本実施形態の製造方法により製造されたガラス成形体32は、そのまま白色LED用の波長変換用ガラス部材13として用いることができる。また、ガラス成形体32に、外径加工やアニール処理などの後処理を行ってから、波長変換用ガラス部材13として用いることもできる。
(第2の実施形態)
図5は波長変換用ガラス部材13の製造方法の第2の実施形態を示すフローチャートであり、図6及び図7は第2の実施形態の各工程を模式的に示す図である。また、図8〜図10は、第2の実施形態における蛍光体を供給する工程の別例を、それぞれ示す図である。以下、図5に示すフローチャートに従い各工程について順を追って説明する。なお、上述の第1の実施形態と共通する部分については適宜説明を省略する。
先ず、下型21及び上型22をそれぞれ所定の温度に加熱し(工程S210)、下型21に第1の溶融ガラス滴31を滴下する(工程S220)(図6(a)、(b)参照)。下型21及び上型22の加熱温度や材質、溶融ガラス滴31を滴下する方法などについては、上述の第1の実施形態の場合と同様である。
次に、第1の溶融ガラス滴31を加圧成形して第1のガラス成形体32を形成し(工程S230)(図6(c)参照)、第1のガラス成形体32の上に蛍光体33を供給する(工程S240)(図6(d)参照)。
第1の実施形態の場合と同様、蛍光体33の供給方法に特に制限は無い。本実施形態の場合、例えば下記(i)〜(V)の方法を用いることも好ましい。
方法(i)(図8参照)
第1のガラス成形体32の上に蛍光体33を分散させた液体のバインダを滴下する(a)。そして、上型22により蛍光体33を加圧して所定の厚みになるよう押し広げ(b)、上型22を待避させる(c)。この方法によれば、公知のディスペンサ等を用いて所定量のバインダを滴下することで、ガラス成形体32の上に所定量の蛍光体33を容易に供給できる。上型22は、工程S230や工程S260で用いる上型22と同じでもよいし、異なるものでもよい。
方法(ii)(図9参照)
蛍光体33を分散させたシートをガラス成形体32の上に載置し(a)、上型22により蛍光体33を加圧してシートを押し広げ(b)、上型22を待避させる(c)。この方法も、所定量の蛍光体33を分散させたシート状のバインダを予め用意しておくことで、ガラス成形体32の上に所定量の蛍光体33を容易に供給できるため好ましい方法である。シート状のバインダには上述の合成樹脂等を用いればよい。
方法(iii)(図10参照)
加圧成形(工程S230)で用いる上型22の成形面221に多数の突起を設けておき、ガラス成形体32の上面に、多数の凹部34をマトリックス状に配列させて形成しておく(a)。そして、ガラス成形体32の上面に蛍光体33を供給し、凹部34以外の領域についた余分な蛍光体33をかき取ることにより、多数の凹部34に所定量の蛍光体33が供給される(b)。次の工程S250でガラス成形体32の上に第2の溶融ガラス滴31を滴下することで、所定量の蛍光体33をガラス成形体32と溶融ガラス滴31とで挟み込むことができる(c)。この方法によれば、ガラス成形体32の上面の広い範囲にわたって、容易に均一な量の蛍光体33を供給することができる。また、バインダを用いずに、粉末の状態の蛍光体33を供給することもできるため、バインダの成分が残存することによる汚染が問題となるような用途にも好適に使用することができる。
方法(iv)
また、蛍光体33を分散させた組成物を塗布して加熱することにより、第1のガラス成形体32の上に蛍光体33を含むガラス体を形成することも好ましい。組成物の塗布は、スピンコートやディップコートなど公知の手法を用いればよい。また、第1のガラス成形体32の形状に応じ、バーコーターを用いて塗布することも好ましい。塗布した組成物の加熱には、ドライオーブン等を用いればよい。加熱後に形成されるガラス体の膜厚は、10μm〜80μmが好ましい。塗布する組成物は、加水分解等の反応によりゲル化した後、ゲルを加熱することによりガラス体が形成されるもの(ゾルゲル溶液)であってもよいし、溶媒成分を揮発させることにより、ゲル化することなく直接ガラス体が形成されるものであってもよい。
前者(ゾルゲル溶液)としては、ガラス体の成分となる金属の有機化合物を含む溶液を用いることができる。透光性のガラス体を形成することができれば金属の種類に制限はないが、形成されるガラス体の安定性や製造の容易性の観点から、Siを含んでいることが好ましい。また、複数種の金属を含んでいてもよい。好ましい有機金属化合物としては、例えば、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレートなどが挙げられる。中でも金属アルコキシドは、加水分解と重合反応によりゲル化し易いため好ましく、特にポリシロキサンや、テトラエトキシシランなど、有機シロキサン化合物を含む組成物が好適である。これらの化合物を用いることで、低温の加熱によってシリカガラスからなる安定な透光性のガラス体を形成することができる。複数種の有機金属化合物を組み合わせて使用してもよい。
塗布する組成物には、上記有機金属化合物の他、加水分解用の水、溶媒、触媒等を適宜含有させることが好ましい。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類が挙げられる。触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸、アンモニア等が挙げられる。
有機金属化合物としてポリシロキサンを用いる場合、市販のポリシロキサン分散液(CIKナノテック社製COAT−AT)を用いてもよい。組成物中に含まれるポリシロキサンの固形分(SiO)と蛍光体との質量比は、ポリシロキサンの固形分100質量部に対して、蛍光体100〜900質量部が好ましい。塗布後の加熱温度は150℃〜250℃が好ましく、蛍光体の劣化をより抑制する観点からは150℃〜200℃とすることがより好ましい。
有機金属化合物としてテトラエトキシシランを用いる場合、エチルアルコール及び純水との混合液を用いることが好ましい。混合比は、テトラエトキシシラン100質量部に対して、エチルアルコール110〜180質量部、純水15〜120質量部とすることが好ましく、テトラエトキシシラン100質量部に対して、エチルアルコール138質量部、純水52質量部とすることがより好ましい。また、組成物中に含まれるテトラエトキシシランの固形分(SiO)と蛍光体との質量比は、テトラエトキシシランの固形分100質量部に対して、蛍光体1〜50質量部が好ましい。塗布後の加熱温度は150℃〜250℃が好ましく、蛍光体の劣化をより抑制する観点からは150℃〜200℃とすることがより好ましい。
一方、後者(溶媒成分を揮発させることにより、ゲル化することなく直接ガラス体が形成されるもの)としては、例えば、無機ポリマーと有機溶剤とを含む組成物が挙げられる。無機ポリマーとしては、下記の化学式1で表されるパーハイドロポリシラザン(Perhydropolysilazane)を用いることが好ましい。
−(SiHNH)− (化学式1)
パーハイドロポリシラザンを用いる場合、低温の加熱によってシリカガラスからなる安定な透光性のガラス体を形成することができると共に、形成されたガラスに有機成分が残存しにくいため耐久性に優れているという利点がある。パーハイドロポリシラザンと反応しない有機溶剤として例えば、キシレン、ジブチルエーテル、ターペンなどを溶媒として用いることができる。また、前記有機溶剤に加えて、触媒等を添加してもよく、石油系混合溶剤で希釈してもよい。パーハイドロポリシラザンと有機溶剤とを含む市販の塗布液(例えば、AZエレクトロニックマテリアルズ社製アクアミカ(登録商標))を用いることも好ましい。組成物中に含まれるパーハイドロポリシラザンの固形分と蛍光体との質量比は、パーハイドロポリシラザンの固形分100質量部に対して、蛍光体100〜900質量部が好ましい。塗布後の加熱温度は150℃〜250℃が好ましく、蛍光体の劣化をより抑制する観点からは150℃〜200℃とすることがより好ましい。
また、パーハイドロポリシラザンを用いる場合には、組成物にナノ粒子を含有することが好ましい。ナノ粒子を含有することによって組成物の粘性が高くなるため、蛍光体を組成物に分散させる際の蛍光体の沈殿速度が低下し、組成物中に蛍光体を均一に分散させることが容易になる。例えば、シリカなどの各種酸化物のナノ粒子や、フッ化マグネシウムのナノ粒子などが好適である。パーハイドロポリシラザンより形成されるガラス体との安定性の観点からは、シリカのナノ粒子を含有することが好ましい。ナノ粒子は50%粒子径(メジアン径)が1nm〜500nmであることが好ましい。ナノ粒子の形状は、特に限定されるものではないが、好適には球状の微粒子が用いられる。また、粒径の分布に関しても特に制限されるものではないが、蛍光体を均一に分散させる観点からは、広範な分布を有するものよりも、比較的狭い分布を持つものが好適に用いられる。なお、ナノ粒子の形状及び粒径分布は、SEM、TEMを用いて確認することができる。ナノ粒子の含有量は蛍光体を含む組成物全体に対して0.1質量%〜25質量%であることが好ましい。また、ナノ粒子の蛍光体を更に均一に分散させるため、蛍光体を混合した組成物に超音波を印加して分散させることも好ましい。
方法(v)
また、蛍光体33を有するガラス板を第1のガラス成形体32の上に載置することで、蛍光体33を供給してもよい。この方法によれば、所定量の蛍光体33を確実かつ容易に供給することができる。蛍光体33を有するガラス板としては、(A)内部に蛍光体33を分散させた混錬ガラスや、(B)少なくとも一方の表面に蛍光体33が塗布されたガラス板などを好適に用いることができる。
(B)の方法の場合、上述の方法(iV)と同様の方法によって、ガラス板の表面に蛍光体33を塗布すればよい。
(A)の方法の場合、内部に蛍光体33を分散させた混錬ガラスは、ガラス粉末と蛍光体粉末とを混合した混合材料を加圧成形することにより作製することが好ましい。それにより、ガラスの溶融プロセス中に蛍光体を混合する方法に比べて、熱による蛍光体の劣化、失活を抑制することができる。加圧成形の後、更に所定温度で焼成することにより緻密化させることも好ましい。
混合材料中には樹脂バインダを添加してもよいが、その場合、加圧成形後に樹脂バインダを除去する工程が必要となる。そのため、樹脂バインダを用いずに、ガラス粉末と蛍光体粉末とを混合して加圧成形することが好ましい。
混合するガラス粉末の大きさは、最大粒子径が160μm以上、且つ、メジアン径d50が5μm以上であることが好ましい。それにより、樹脂バインダを用いなくても、蛍光体が均一に分散された混錬ガラスを得ることができる。加圧成形時に、最大粒子径が160μm以上である方が気泡が抜けやすい。最大粒子径が160μm未満では気泡が抜けにくくなる。また、メジアン径d50が5μm未満であると、型に紛体を投入する際、粉塵の舞い上がりが多くなり、取り扱いが困難となる。更に、作業環境を害する恐れも生じる。また、最大粒子径の上限は、良好な散乱光が得られる範囲であればよく、LEDチップや蛍光体の組み合わせに応じて適宜決めることができる。
ここで、メジアン径d50とは、粒子体の一つの集団の全体積を100%として累積曲線を求めた時、累積曲線が50%となる点の粒子径(累積平均径)であり、最大粒子径は累積曲線が100%となる点の粒子径である。これらのパラメータは、粒度分布を評価するパラメータの一つとして、一般的に利用されている。なお、メジアン径d50、最大粒子径は、一般的なレーザー回折・散乱式粒径測定装置を用いて測定可能であり、具体的には、HELOS(JEOL社製)、Microtrac HRA(日機装社製)、SALDシリーズ(島津製作所社製)などが挙げられる。特に好ましくは、SALDシリーズ(島津製作所社製)である。
上記したように、ガラス粉末の粒子径を所定の大きさとすることで、蛍光体33が均一に分散された混錬ガラスを得ることが可能となる。それにより、ガラスを白乳化させる気泡の発生を抑制することができ、LEDチップ12からの一次光と蛍光体33が発する二次光とを良好に混色して一様な混色光(第三光)で発光可能な混錬ガラスを製造することができる。
また、ガラス粉末は、加圧成形の際の加熱環境下において結晶の析出がないか、もしくは、わずかに析出しても大量に析出しないものが好ましい。そのために、結晶析出温度が加熱温度よりも高いガラスが好ましい。例えば、加熱温度をガラス屈伏点より150℃〜200℃高い温度とする場合は、結晶の析出温度がガラス屈伏点よりも200℃以上のものが好ましい。具体的には、P−BaO系ガラス、P−ZnO系ガラス、P−Nb系、P−B系ガラス、SiO−系ガラス、B−ZnO−La系ガラス、SiO−B−ZnO系ガラスなどを好適に用いることができる。
また、混錬ガラス中の蛍光体33の含有量は体積比で、0.02〜12%が好ましく、0.05〜5%が更に好ましい。蛍光体33の含有量が0.02%未満では、蛍光される光が少なくなりすぎ、12%を超えると蛍光体33自身が光を遮蔽してしまう。このように、蛍光体33の含有量が、0.02〜12%であれば、変換される光の量が低すぎず、また、透光を阻害しない程度の量とすることができ、所望の混色光を発光可能な混錬ガラスを製造することができる。また、蛍光体33の含有量が0.05〜5%であれば、変換される光と透光とのバランスが更に良好になり、更に良好な混色光を発光可能な混錬ガラスを製造することができる。
次に、蛍光体33を供給された第1のガラス成形体32の上に第2の溶融ガラス滴31を滴下する(工程S250)(図7(a)、(b)参照)。
溶融ガラス滴31の滴下は、上述の第1の実施形態の場合と同様の方法で行えばよい。第2の溶融ガラス滴31の質量や温度は、第1の溶融ガラス滴31と同じでもよいし、異なるものでもよい。また、第2の溶融ガラス滴は、第1の溶融ガラス滴と異なる種類のガラスを用いてもよい。
次に、蛍光体33を挟んだ第1のガラス成形体32と第2の溶融ガラス滴31とを加圧成形して第2のガラス成形体32を形成する(工程S260)(図7(c)参照)。
本工程における加圧成形は、工程S230で用いる下型21及び上型22と同じ成形型をそのまま用いて加圧してもよいし、別の成形型を用いて加圧してもよい。蛍光体層132やガラス層131の厚みをより均一にするという観点からは、製造する波長変換用ガラス部材13の上面が曲率を有する凸面又は凹面を有している場合には、本工程で加圧成形するための上型22は、工程S230で用いる上型22とは曲率が異なるものを用いることが好ましい。例えば、製造する波長変換用ガラス部材13の上面が凹の球面である場合、本工程で加圧成形するための上型22は、蛍光体層132及び第2の溶融ガラス滴31によって形成されるガラス層131の厚みに相当する量だけ曲率の大きい(曲率半径の小さい)凸の球面とすればよい。
また、第1のガラス成形体32の全面に蛍光体33を供給するのではなく、第1のガラス成形体32の周辺部等に蛍光体33の無い領域を残しておき、2つのガラス素材(第1のガラス成形体32及び第2の溶融ガラス滴31)が直に接触して一体化する構成とすることも好ましい。図11は、このような構成の波長変換用ガラス部材13を備えた白色LED10を模式的に示す断面図である。図11(a)は蛍光体を含む蛍光体層132が単層の場合、図11(b)は蛍光体層132が2層の場合をそれぞれ示している。このように、2つのガラス素材が直に接触して一体化する構成とすることで、本実施形態のように蛍光体33を供給する第1のガラス成形体32の温度が比較的低い場合であっても、蛍光体層132とガラス層131とを確実に一体化させることができる。
更に、蛍光体33の供給(工程S240)、溶融ガラス滴31の滴下(工程S250)及び加圧成形(工程S260)を複数回繰り返すことで、図1(b)に示したようにガラス層131で区切られた複数の蛍光体層132を有する構成の波長変換用ガラス部材13を得ることもできる。例えば、加圧成形して第2のガラス成形体32を形成する工程(工程S260)に続いて、第2のガラス成形体32の上に第2の蛍光体33を供給し、第2の蛍光体33を供給された第2のガラス成形体32の上に第3の溶融ガラス滴31を滴下して、蛍光体33を挟んだ第2のガラス成形体と第3の溶融ガラス滴31とを加圧成形することで、ガラス層131で区切られた2つの蛍光体層132を有する波長変換用ガラス部材を製造することができる。
最後に、加圧を解除して蛍光体33と一体化したガラス成形体32を回収する(工程S270)(図7(d)参照)。ガラス成形体32の回収は、例えば、真空吸着を利用した離型装置25を用いて行えばよい。ガラス成形体32を回収した後、引き続いて波長変換用ガラス部材13の製造を行う場合は、下型21を再び滴下位置に移動し、工程S220以降の工程を繰り返せばよい。
このように、本実施形態の方法によれば、蛍光体33を挟んだガラス成形体32と溶融ガラス滴31とを加圧成形し、ガラス層131と蛍光体層132とを一体化するため、蛍光体33が高温のガラスと接触する時間を非常に短くすることができ、蛍光体33の劣化を十分に抑制することができると共に、蛍光体33をガラスに強固に固定することができる。また、本実施形態の方法により製造された波長変換用ガラス部材は、ガラス層131の間に蛍光体層132が設けられているため、蛍光体層132はガラス層131に強固に固定されると共に、蛍光体層132に含まれる蛍光体が外部環境の影響を直接受けることが無いため耐久性に優れている。
10 白色LED
12 LEDチップ
13 波長変換用ガラス部材
131 ガラス層
132 蛍光体層
14 基板
21 下型
211 成形面
22 上型
221 成形面
23 滴下ノズル
31 溶融ガラス滴
32 ガラス成形体
33 蛍光体

Claims (8)

  1. 光源からの光の少なくとも一部の波長を変換するための蛍光体を有する波長変換用ガラス部材の製造方法であって、
    表面に前記蛍光体が供給されたガラス素材の上に溶融ガラス滴を滴下して前記蛍光体を2つのガラス素材で挟み込む工程と、
    滴下された前記溶融ガラス滴が固化する前に、前記蛍光体を挟んだ前記2つのガラス素材を加圧成形し、前記蛍光体と前記2つのガラス素材とを一体化する工程と、を有することを特徴とする波長変換用ガラス部材の製造方法。
  2. 第1の溶融ガラス滴を滴下する工程と、
    滴下された前記第1の溶融ガラス滴の上に前記蛍光体を供給する工程と、
    前記蛍光体を供給された前記第1の溶融ガラス滴の上に第2の溶融ガラス滴を滴下する工程と、
    前記第1の溶融ガラス滴と前記第2の溶融ガラス滴とを加圧成形する工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
  3. 前記第2の溶融ガラス滴を滴下する工程に続いて、
    滴下された前記第2の溶融ガラス滴の上に第2の蛍光体を供給する工程と、
    前記第2の蛍光体を供給された前記第2の溶融ガラス滴の上に第3の溶融ガラス滴を滴下する工程と、を有し、
    前記加圧成形する工程は、前記第1〜第3の溶融ガラス滴をまとめて加圧成形する工程であることを特徴とする請求項2に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
  4. 第1の溶融ガラス滴を滴下する工程と、
    滴下された前記第1の溶融ガラス滴を加圧成形して第1のガラス成形体を得る第1の加圧成形工程と、
    前記第1のガラス成形体の上に前記蛍光体を供給する工程と、
    前記蛍光体を供給された前記第1のガラス成形体の上に第2の溶融ガラス滴を滴下する工程と、
    前記第1のガラス成形体と前記第2の溶融ガラス滴とを加圧成形して第2のガラス成形体を得る第2の加圧成形工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
  5. 前記蛍光体の供給は、前記蛍光体を分散させた液体を前記ガラス成形体の上に滴下することにより行うことを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
  6. 前記蛍光体の供給は、前記蛍光体を分散させたシートを前記ガラス成形体の上に載置することにより行うことを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
  7. 前記第2の加圧成形工程に続いて、
    前記第2のガラス成形体の上に第2の蛍光体を供給する工程と、
    前記第2の蛍光体を供給された前記第2のガラス成形体の上に第3の溶融ガラス滴を滴下する工程と、
    前記第2のガラス成形体と前記第3の溶融ガラス滴とを加圧成形して第3のガラス成形体を得る第3の加圧成形工程と、を有することを特徴とする請求項4に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
  8. 前記蛍光体は、発光する光の波長が異なる複数種の蛍光体からなることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の波長変換用ガラス部材の製造方法。
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