JPWO2010140412A1 - 摺動摩擦材 - Google Patents

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Abstract

小型軽量化を実現するために、高い動摩擦係数を狙った摩擦材が開発されてきている。しかし、動摩擦係数を上げると、特に使用初期段階における初期なじみ期間で、摺動相手材との貼付きを招き、動作時のフィーリングの悪化を招くことがある。そのため、高動摩擦係数の摩擦材は、その使用を制限されることがあった。摺動相手材との貼付きは初期なじみ期間を経た後は起こりにくくなるため、初期なじみ期間中に貼付きを起こりにくくする形状を開発した。摩擦材3と摺動相手材7との摺動面5のうち、初期なじみ期間においては、初期摺動面5’または初期摺動面5’およびその周辺のみで接触し、摺動相手材との接触面積が時間の経過と共に全面接触、すなわち摺動面5全面での接触に至るまで増加するようにする。上記構成により、優れた摩擦性能、耐摩耗性と、耐貼付き性を兼ね備えた摩擦材を提供することができる。

Description

本発明は、摺動摩擦材における、耐摩耗性および、摩擦性能を損ねることなく耐貼付き性を改良した摺動摩擦材に関する。
特に、シンクロナイザーリング用摩擦材の、耐スティック性(相対回転数が限りなくゼロに近い領域において、円錐摺動面を有する相手歯車への貼付き性の抑制度合)において改良されたシンクロナイザーリング用摩擦材に関する。
摺動摩擦材は、摺動相手材と摺動接触し、摩擦力により摺動相手材との相対速度を吸収するもので、車両用のブレーキパッド、クラッチディスク、シンクロナイザーリングなどに用いられる。
近年、エンジンやミッションの高性能化が進む一方、低燃費化のために軽量化も併せて要求されるようになり、構成部品の小型化が進んでいる。これに伴い、確実な作動性はもとより、小型化されても良好な動作特性が求められていることから、摺動摩擦材においては高い動摩擦係数を有するものが要求されている。
摺動摩擦材の摩擦特性を向上させるために、様々な摩擦材成分の組合せが考案されており、高い動摩擦係数を有する摺動摩擦材が開発されてきた。例えば、熱硬化性樹脂をバインダー剤とし、その摩擦材層中に炭素系材料、金属系材料、無機系材料等を配合させることはすでに知られている(特許文献1、2参照)。これらの特許文献には、シンクロナイザーリング用の摩擦材として、主として灰分含量の低い高純度な炭素系材料(石油コークスやピッチコークス)を摩擦材層中に必要量配合させ、高摩擦性、高耐久性を得る手段が記載されている。
国際公開WO2004/109138号パンフレット 特開平09−221553号公報
上記の特許公報をはじめ、高い動摩擦係数を狙った材料成分の組み合わせが多く報告されている。しかし、高い動摩擦係数を狙った材料成分の組み合わせはその高い摺動抵抗から、特に使用初期段階における初期なじみ期間の間、摺動相手材との貼付きを招き、動作時のフィーリングの悪化を招くという問題点があった。そのため、高動摩擦係数の摩擦材は、その使用を制限されることがあった。
したがって、本発明は優れた摩擦性能、耐摩耗性と共に、優れた耐貼付き性を兼ね備えた摺動摩擦材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、摺動相手材との摺動面において、使用開始時には、全摺動面積のうちの一部でのみで摺動相手材と接触し、初期なじみ期間においては摺動相手材との接触面積が、時間の経過と共に全面接触に至るまで増加するような形状にすることにより、摩擦性能や耐摩耗性を損ねることなく、初期なじみ期間の耐貼付き性が向上することを知見した。本発明者らは、この知見に基づきさらに種々検討を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は
[1]摺動相手材との摺動面のうち、使用開始時に摺動相手材の摺動面と一部分のみで接触し、初期なじみ期間に摺動相手材との接触面積が時間の経過と共に全面接触に至るまで増加することを特徴とする摺動摩擦材、
[2]初期なじみ期間前の前記摺動相手材の摺動面に対する前記摺動摩擦材の摺動面の相対的な角度が1〜40分であることを特徴とする請求項1に記載の摺動摩擦材、
[3]初期なじみ期間前の前記摺動相手材と最初に接触する前記摺動摩擦材の摺動面の高さが、前記摺動摩擦材の全摺動面のうち最も低い摺動面よりも0.01mm以上高いことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の摺動摩擦材、
[4]前記摺動摩擦材表面に溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の摺動摩擦材、
[5]前記摺動摩擦材が成分として、摺動摩擦材成分全体に対してフェノール樹脂5〜40wt%を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の摺動摩擦材、
[6]前記摺動摩擦材が成分として、さらに摺動摩擦材成分全体に対して炭素材30〜80wt%、無機繊維または無機粒子5〜40wt%、および所望により金属繊維または金属粒子5〜40wt%を含み、これらの合計量が摺動摩擦材成分全体に対して100wt%または100wt%未満であることを特徴とする請求項5に記載の摺動摩擦材、
[7]前記摺動摩擦材がシンクロナイザーリング用摩擦材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の摺動摩擦材、
[8]前記摺動摩擦材の摺動相手材の摺動面と初めに接触する部位を含むランドの軸方向幅が0.1〜1.0mm、より好ましくは0.1〜0.7mmであることを特徴とする請求項7に記載の摺動摩擦材、
[9]摺動相手材との摺動面のうち、使用開始時に摺動相手材の摺動面と一部分のみで接触し、摺動相手材との接触面積が時間の経過と共に全面接触に至るまで増加するシンクロナイザーリング用摺動摩擦材において、初期なじみ期間前の前記摺動相手材の摺動面に対する前記摺動摩擦材の摺動面の相対的な角度が1〜20分であり、前記摺動摩擦材表面に周方向の溝が形成されており、前記摺動摩擦材の摺動相手材の摺動面と初めに接触する部位を含むランドの軸方向幅が0.1〜0.7mmであり、前記摺動摩擦材が成分として、摺動摩擦材成分全体に対してフェノール樹脂5〜40wt%を含み、さらに摺動摩擦材成分全体に対して炭素材30〜80wt%、無機繊維または無機粒子5〜40wt%、および所望により金属繊維または金属粒子5〜40wt%を含み、これらの合計量が摺動摩擦材成分全体に対して100wt%または100wt%未満であることを特徴とするシンクロナイザーリング用摺動摩擦材、及び
[10]前記摺動摩擦材の摺動相手材の摺動面と初めに接触する部位を含むランドの軸方向幅が、前記摺動摩擦材の摺動相手材の摺動面と初めに接触する部位を含むランド以外のランドの軸方向幅より狭いことを特徴とする請求項9に記載の摺動摩擦材
に関する。
本発明の摺動摩擦材は、摩擦性能および耐摩耗性に優れていると共に、耐貼付き性にも優れているという特徴を有する。
シンクロナイザーリングの軸方向断面図 シンクロナイザーリングと相手歯車円錐部の接触の様子 摩擦材と摺動相手材との間に相対テーパ角がある場合の接触の様子 摺動相手材とはじめに接触する接触部の高さがその他の接触部の高さよりも高い場合の接触の様子 摺動相手材とはじめに接触する接触部の高さが軸方向に連続的に変化する場合の接触の様子 摺動相手材と初めに接触する接触部が複数存在する場合の接触の様子 小端ランド幅と初期スティックトルクの関係 相対テーパ角θと初期スティックトルクの関係 小端ランド幅と平均動摩擦係数の関係 相対テーパ角θと平均動摩擦係数の関係 小端ランド幅と摩耗量の関係 相対テーパ角θと摩耗量の関係
以下、シンクロナイザーリングを例にとり、発明の実施形態を説明する。
図1に本発明のシンクロナイザーリングを示す。シンクロナイザーリング1は、黄銅などを材質とした基材2と、その内周面に設けられた摩擦材3とからなる。さらに、摩擦材3には油の流れを円滑にするために周方向に油溝4、さらに、軸方向に縦溝6が形成されていることが好ましい。
図2にシンクロナイザーリングの摩擦材3と摺動相手材7との接触の様子を示す。シンクロナイザーリングと摺動相手材は互いに異なる周速で回転軸8を中心に同軸回転しており、変速の際には摺動相手材7がシンクロナイザーリングに挿入されると共に摩擦材3に押し付けられ、互いの周速が等しくなるまで摺動接触する。
本発明の摺動摩擦材は、使用開始時では、摩擦材3と摺動相手材7との摺動面全面のうち一部でのみ接触することを特徴としている。その後、摺動相手材との接触面積が時間の経過と共に全面接触に至るまでの期間を初期なじみ期間という。
使用開始時は摺動面全面のうち一部のみでしか接触していないため、初期なじみ期間中に耐貼付き性が向上し、時間の経過と共に全面接触すなわち、複数の摺動面5の全面で接触するに至るまで、接触面積が増加するため、摩擦性能、耐摩耗性の低下を抑えることができる。
ここでいう全面接触とは設計上機能的と認められる摺動面全てで接触する状態をいう。例えば図2では端部の面取り部などは摺動相手材と接触していないが、摺動摩擦面として機能する面は全て摺動相手材と接触しており、全面接触の状態である。一方、使用開始時において、摺動面全面のうち一部でしか接触していない状態とは、機能上必要と認められる摺動面の全てではなく、一部でのみ接触している状態である。例えば図4では機能上必要な摺動面は摺動面5の全てである。しかし、使用開始時においては摺動面5のうちの初期摺動面5’または初期摺動面5’およびその周辺でしか接触せず、摺動面全面のうち一部でしか接触していない状態である。ここで、初期摺動面5’の周辺とは、この初期摺動面5’に隣接する摺動面や、さらにそれと隣接する摺動面等をいう。なお、上記における一部とは通常全摺動面の約1〜20%の範囲である。また、全面接触に至るまでの期間は、好ましくは、使用開始時から、任意の摺動負荷条件にて任意に10回繰り返し負荷した区間での動摩擦係数の最大値に対する最小値が98%以上となるまでの期間である。
初期なじみ期間前において、摩擦材3と摺動相手材7との接触を部分的に制限する方法は様々に考えられるが、例えば下記に示すようなものがある。
図3は摩擦材3と摺動相手材7との間に相対テーパ角θを設けた物である。即ち、摩擦材3の摺動面5と摺動相手材7の外周面は、それぞれ回転軸8を中心とする円錐面状に形成されているが、両円錐面の回転軸8に対するテーパ角が、上記の相対テーパ角θだけ相違させてある。本例によると、初期なじみ期間前においては、まず複数の摺動面5のうち一部の初期摺動面5’または初期摺動面5’およびその周辺のみで接触する。初期なじみ期間の末期には、摩擦材の摩耗により、次第に図2に示すように複数の摺動面5の全面で接触するようになる。
前記相対テーパ角θは少なくても1分以上あれば初期なじみ期間の耐貼り付き性を向上させるが、一方40分を超えると耐摩耗性が低下する。なお、図3ではθは大端面側に開く角度を示しているが、逆に小端面側に開く角度であってもかまわない。
図4は摺動相手材との摺動面のうち、各動作時において初めに接触する部位を含む初期摺動面5’の高さが、その他の摺動面5よりも相対的に高くなっているものである。ここで、摺動面5や初期摺動面5’の高さとは、対面する摺動相手材7の外周面に対する高さである。例えば、摩擦材3の基面3’が摺動相手材7の外周面と平行に形成されている場合、この基面3’からの高さをいう。この図4のように初期摺動面5’のみを他の摺動面よりも相対的に高くすると、初期なじみ期間においては初期摺動面5’のみが摺動相手材7と接触する。上記の相対テーパ角を設けるのと同様に、初期なじみ期間において、摩擦材3と摺動相手材7との接触を部分的に制限することが出来る。初期摺動面5’と全摺動面のうち最も低い摺動面5との高さの差ΔHは少なくても0.01mm以上あれば、初期なじみ期間の耐貼付き性を向上させる。
また、図5や図6に示すようにはじめに接触する接触部の高さが軸方向に連続的に変化する物でもよい。この場合は、初期なじみ期間においては初期摺動面5’または初期摺動面5’およびその周辺のみが摺動相手材7と接触する。尚、使用開始時において、各動作時において接触を部分的に制限する方法は、上記の例示に限らない。
上記の構成により、使用開始時において摩擦材3と摺動相手材7の接触を部分的に制限することができ、この部分的な接触面積が狭いほど耐貼付きは向上するが、一方耐摩耗性は低下する。特に、摩擦材3と摺動相手材7とが初めに接触する部位を含むランドの軸方向接触幅は0.1mmを下回ると耐摩耗性が低下し、1.0mmを超えると初期なじみ期間の耐貼り付き性が低下する。耐貼付き性向上のためのより好ましい値は0.7mm以下である。ここでいうランドとは油溝の形成により相対的に生じる凸部、または全摺動面のなかで部分的に凸状に盛り上がっている部位のことである。なお、このランドのうち、上記の初期摺動面5’のランドの軸方向幅は、他の摺動面5のランドの軸方向幅よりも狭くしてあると好ましい。
摩擦材3の成分は公知の技術より、それぞれ下記に示す特性を持つことが知られている。
フェノール樹脂は摩擦材の各成分のバインダーとしての役目をし、摩擦材の剛性を高める。フェノール樹脂が5wt%未満になると、摩擦材の剛性が低下する。40wt%を超えると、摩擦材の動摩擦係数を大きくすることができない。
炭素材は耐熱性に優れており、摩擦材の耐熱性を向上させる。炭素材が30wt%未満になると摩擦材の耐熱性が低下し、80wt%を超えると摩擦材の剛性が低下する。
無機繊維と無機粒子はバインダーとしてのフェノール樹脂を補強する。無機繊維または無機粒子が5wt%未満になると、無機繊維または無機粒子はフェノール樹脂を補強できない。40wt%を超えると摩擦材の柔軟性が損なわれ、摩擦材層は相手部材を摺り減らす。
金属繊維と金属粒子は制動摩擦熱によって摩擦材の動摩擦係数が小さくなることを防止する。金属繊維または金属粒子が5wt%未満になると、摩擦材の動摩擦係数が小さくなる。40wt%を超えると、シンクロナイザーリングが、相手部材に凝着する恐れがある。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
図1に示すように、シンクロナイザーリング1は、黄銅などを材質とした基材2と、その内周面に設けられた摩擦材3とからなる。基材2は前記材質のリング状素材を熱間鍛造により荒成形し、さらに機械加工により所望の形状に成形する。摩擦材はフェノール樹脂15wt%、炭素材としてカルサインコークス65wt%、無機繊維としてウオラスナイト20wt%を混合し、予め接着剤塗布した基材2の内周面にこの混合物を接触させて焼成する。
焼成の方法は、予めブラスト等で下地処理したリング状構造体の内周面を、アルコール等で洗浄後、フェノール系樹脂やエポキシ系樹脂に代表される熱硬化性タイプの接着剤を塗布する。次に、恒温槽等に該リング状構造体を投入し、70〜120℃の雰囲気下で10〜30分間保持させ、該接着剤を乾燥する。次に、該リング状構造体を成形用金型の下型内に組み込み、その後、該リング状構造体の内周面と中子の外周面にて形成されるキャビティ内に摩擦材を投入・充填させ、さらに一般公知の油圧プレス機等で上型のパンチにて該摩擦材を圧縮させ、常温から50℃以内の金型温度内で仮成形を行う。次に、予め180〜300℃に設定された一般公知の直圧成型機の熱盤上に該成形用金型を設置し、5〜30分間焼成(加熱・加圧成形)して、リング状構造体と摩擦材層を一体化成形する。
さらに、焼成された摩擦材に図3の断面図に示すように機械加工を施す。摺動面の軸に対するテーパ角は7°+θとする。ここでθは摩擦材3と、摺動相手材である相手歯車円錐部7との間の相対テーパ角である。さらに周方向に油溝を複数成形し、図1に示すような縦溝6も成形する。
次に本実施例に係るシンクロナイザーリング用摺動摩擦材の各テスト結果を説明する。
(耐スティック性)
耐スティック性(相対回転角が限りなくゼロに近い領域において円錐摺動面を有する相手歯車への貼付き性の抑制度合)の評価は、慣性吸収式の試験モードによるシンクロ単体ラッピングテストにより行った。
シンクロ単体ラッピングテストとは、シンクロ単体試験機を使用し、常温(30℃)のミッションオイル(油種;ホンダMTF‐III)を油量30ml/minの潤滑環境下の中で、慣性重量を0.001kgf・m・secに設定し、差回転数500rpmで回転するテーパ状の相手部材(名称;ギヤコーン、材質;SCM420、熱処理;浸炭焼入れ・焼戻し、テーパ面;研削加工)に対し、シンクロナイザーリング1を油圧制御にて500Nの押付力で繰り返して押し付けた際のスティックトルクの推移を測定するテストである。スティックトルクとは、差回転数を吸収して同期した後、再び設定した差回転数までテーパ状の相手部材を立ち上げようとした瞬間にシンクロナイザーリング1がテーパ状の相手部材に対し貼付いていた力を解除するトルクを意味する。本シンクロ単体ラッピングテストにおける耐スティック性の評価は、50回までのスティックトルクの最大値で示される「初期スティックトルク」で行った。
図7、8にそれぞれ一番小端面側に存在するランドの軸方向幅(小端ランド幅)と初期スティックトルクの関係、相対テーパ角θと初期スティックトルクの関係を示す。ここで、ランドとは油溝の形成により相対的に生じる凸部のことであり、本実施例において小端ランド幅は、摺動相手材とはじめに接触する接触部を含むランドの軸方向接触幅となる。図7に示すように小端ランド幅が狭くなるにつれて、初期スティックトルクは減少している。特に1mm以下で初期スティックトルク減少量は大きく、さらに0.7mm以下ではその効果はより顕著となる。また、図8に示すように相対テーパ角θが大きくなるにつれて初期スティックトルクは減少し、特に1分以上でその効果は大きい。
(摩擦性能)
摩擦性能の評価は、慣性吸収式の試験モードによるシンクロ単体性能テストで行った。本シンクロ単体性能テストとは、シンクロ単体試験機を使用し、油温80℃のミッションオイル(油種;ホンダMTF‐III)を油量80ml/minの潤滑環境下中で、慣性重量を0.002kgf・m・secに設定し、差回転数1500rpmで回転するテーパ状の相手部材(名称;ギヤコーン、材質;SCM420、熱処理;浸炭焼入れ・焼戻し、テーパ面;研削加工)に対し、シンクロナイザーリング1を油圧制御にて500Nの押付力で200回繰り返し押し付けた際の、200回目の平均動摩擦係数を測定するテストである。平均動摩擦係数の評価は、差回転数を吸収して同期している間の動摩擦係数を平均化した値で行った。
図9、10にそれぞれ小端ランド幅と平均動摩擦係数の関係、相対テーパ角θと平均動摩擦係数の関係を示す。図9に示すように、小端ランド幅が変化しても平均動摩擦係数はほとんど変化しない。また、相対テーパ角θを大きくすると、平均動摩擦係数はやや減少するが大幅な減少は認められない。
(耐摩耗性)
耐摩耗性の評価は、慣性吸収式の試験モードによるシンクロ単体耐久テストで行った。本シンクロ単体耐久テストとは、シンクロ単体試験機を使用し、油温80℃のミッションオイル(油種;ホンダMTF‐III)を油量80ml/minの潤滑環境下中で、慣性重量を0.003kgf・m・secに設定し、差回転数2500rpmで回転するテーパ状の相手部材(名称;ギヤコーン、材質;SCM420、熱処理;浸炭焼入れ・焼戻し、テーパ面;研削加工)に対し、シンクロナイザーリング1を油圧制御にて500Nの押付力で10000回繰り返し押し付けた際の、摩耗量を測定するテストである。摩耗量の評価は、テスト終了後のギヤセット状態での落ち込み量で行った。
図11、12にそれぞれ小端ランド幅と摩耗量の関係、相対テーパ角θと摩耗量の関係を示す。図11に示すように小端ランド幅が狭くなると、摩耗量は大きくなっており、特に0.1mmを下回ると摩耗量は急激に増加する。また図12に示すように相対テーパ角θが大きくなると、摩耗量は増大し、特に40分を超えると摩耗量は急激に増加する。
本発明に係る摺動摩擦材は、摩擦性能、耐摩耗性、および耐貼付き性に優れた摺動摩擦材として有用である。
1・・・シンクロナイザーリング
2・・・基材
3・・・摩擦材
3’・・摩擦材の基面
4・・・周方向油溝
5・・・摺動面
5’・・初期摺動面
6・・・縦溝
7・・・相手歯車の円錐部
8・・・回転軸
θ・・・摩擦材と相手歯車円錐部の相対テーパ角
ΔH・・・摺動相手材とはじめに接触する接触部の高さとその他の接触部の高さとの差

Claims (10)

  1. 摺動相手材との摺動面のうち、使用開始時に摺動相手材の摺動面と一部分のみで接触し、初期なじみ期間に摺動相手材との接触面積が時間の経過と共に全面接触に至るまで増加することを特徴とする摺動摩擦材。
  2. 初期なじみ期間前の前記摺動相手材の摺動面に対する前記摺動摩擦材の摺動面の相対的な角度が1〜40分であることを特徴とする請求項1に記載の摺動摩擦材。
  3. 初期なじみ期間前の前記摺動相手材と最初に接触する前記摺動摩擦材の摺動面の高さが、前記摺動摩擦材の全摺動面のうち最も低い摺動面よりも0.01mm以上高いことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の摺動摩擦材。
  4. 前記摺動摩擦材表面に溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の摺動摩擦材。
  5. 前記摺動摩擦材が成分として、摺動摩擦材成分全体に対してフェノール樹脂5〜40wt%を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の摺動摩擦材。
  6. 前記摺動摩擦材が成分として、さらに摺動摩擦材成分全体に対して炭素材30〜80wt%、無機繊維または無機粒子5〜40wt%、および所望により金属繊維または金属粒子5〜40wt%を含み、これらの合計量が摺動摩擦材成分全体に対して100wt%または100wt%未満であることを特徴とする請求項5に記載の摺動摩擦材。
  7. 前記摺動摩擦材がシンクロナイザーリング用摩擦材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の摺動摩擦材。
  8. 前記摺動摩擦材の摺動相手材の摺動面と初めに接触する部位を含むランドの軸方向幅が0.1〜1.0mm、より好ましくは0.1〜0.7mmであることを特徴とする請求項7に記載の摺動摩擦材。
  9. 摺動相手材との摺動面のうち、使用開始時に摺動相手材の摺動面と一部分のみで接触し、摺動相手材との接触面積が時間の経過と共に全面接触に至るまで増加するシンクロナイザーリング用摺動摩擦材において、初期なじみ期間前の前記摺動相手材の摺動面に対する前記摺動摩擦材の摺動面の相対的な角度が1〜20分であり、前記摺動摩擦材表面に周方向の溝が形成されており、前記摺動摩擦材の摺動相手材の摺動面と初めに接触する部位を含むランドの軸方向幅が0.1〜0.7mmであり、前記摺動摩擦材が成分として、摺動摩擦材成分全体に対してフェノール樹脂5〜40wt%を含み、さらに摺動摩擦材成分全体に対して炭素材30〜80wt%、無機繊維または無機粒子5〜40wt%、および所望により金属繊維または金属粒子5〜40wt%を含み、これらの合計量が摺動摩擦材成分全体に対して100wt%または100wt%未満であることを特徴とするシンクロナイザーリング用摺動摩擦材。
  10. 前記摺動摩擦材の摺動相手材の摺動面と初めに接触する部位を含むランドの軸方向幅が、前記摺動摩擦材の摺動相手材の摺動面と初めに接触する部位を含むランド以外のランドの軸方向幅より狭いことを特徴とする請求項9に記載の摺動摩擦材。
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