JP2009001715A - シンクロナイザーリング用摩擦材 - Google Patents

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Takayuki Sanko
貴之 三個
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剛史 山下
Makoto Suda
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Abstract

【課題】耐スティック性を維持しながら高摩擦性能に優れたシンクロナイザーリング用摩擦材を提供する。
【解決手段】摩擦材全体に対して、50〜70質量%の平均粒径0.1〜0.5mmのか焼石油コークス、10〜30質量%の無機繊維、0.1〜10質量%の平均粒径1〜50μmの球状無機粒子、および10〜25質量%のフェノール樹脂を含有し、か焼石油コークス、無機繊維、球状無機粒子およびフェノール樹脂の合計量が摩擦材全体に対して100質量%または100質量%未満であるシンクロナイザーリング用摩擦材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シンクロナイザーリング用摩擦材に関し、特に摩擦性能、耐久性、および耐スティック性(相対回転数が限りなくゼロに近い領域において円錐摺動面を有する相手歯車への貼り付き性の抑制度合)において改良されたシンクロナイザーリング用摩擦材に関する。
シンクロナイザーリングは自動車の同期噛合い式歯車減速機(以下、ミッションと称す)において従来から用いられている。
このシンクロナイザーリングは、例えば自動車の変速機などの歯車切替え時に2つの歯車が円滑に噛合いするように、摺動により歯車同士を同期回転させるための円環状の摩擦摺動部品である。
このシンクロナイザーリングの形成材料には、一般に黄銅(Cu−Zn系合金)が用いられており、前記歯車の円錐摺動面と接触する内周面には、摩擦力付与のためのリング状条溝や潤滑油を逃がすための縦溝が必要に応じて形成されている。
また、該内周面上にさらに摩擦特性を向上させるために、熱硬化性樹脂をバインダー剤とする摩擦材を該内周面上に固着させ、その摩擦材層中に炭素系材料、金属系材料、無機系材料等を配合させることは既に知られている(特許文献1参照)。
この特許文献1には、主として灰分含量の低い高純度な炭素系材料(石油コークスやピッチコークス)を摩擦材層中に必要分多量配合させ、高摩擦性能、高耐久性を得る手段が記載されている。
国際公開WO2004/109138号パンフレット
近年、エンジンやミッションの高性能化が進む一方、低燃費化のために軽量化も併せて要求されるようになり、構成部品の小型化が進んでいる。これに伴い、確実な作動性はもとより、小型化されても良好なシフトフィーリングが求められることから、高い動摩擦係数を有するシンクロナイザーリングが要求されている。しかも、近年のエンジンの高性能化に伴って、クラッチを確実に踏み込まずにシフトレバーを動かすクラッチ・シフトレバーのミス操作や、シフトアップやシフトダウン時のシフトを入れ間違えるシフトミス操作によって、該シンクロナイザーリングには従来以上に高い摩擦熱が生じ、大きな熱負荷が生じるため、より高い耐摩耗性や耐焼付性が要求されている。
しかしながら、黄銅製シンクロナイザーリングでは、この摩擦力の増大を図るため、例えば該シンクロナイザーリングの押付力を機械的に高めたり、該内周面の形状変更にて面圧を高めたりすると、該シンクロナイザーリングには相手歯車の摺動面との接触時に比較的大きな熱負荷が生じ、摩擦熱の作用によって同期性能が著しく低下するおそれがある。
この技術課題に対し、該黄銅製シンクロナイザーリングの摩擦面を二重、三重に複数面設けるマルチコーンタイプのシンクロナイザーリングにて、該摩擦熱を吸収できる容量を増やし、且つシンクロ性能を向上させる方法がある。しかし、この方法では該シンクロナイザーリングの部品点数の増加を招き、該シンクロナイザーリングの高価格化やミッションの大型化による車両重量増加にも繋がる。
一方、上記した特許公報掲載の熱硬化性樹脂をバインダー剤とする摩擦材を該内周面上に固着させ、その摩擦材層中に炭素系材料、金属系材料、無機系材料等を配合させる手段は、いずれも動摩擦係数、耐摩耗性、耐焼付性につき従来公知の黄銅製シンクロナイザーリングより改善されている。しかし、高い動摩擦係数を狙った材料成分の組み合わせはその高い摺動抵抗から、耐スティック性が悪化し、初期段階での使用時に相手歯車へ噛合いする際の衝撃が大きくなり、シフトフィーリングの悪化を招く。
したがって、本発明は、耐スティック性を改善することにより,高い摩擦性能を可能とする優れた摩擦材をシンクロナイザーリング用摩擦材として提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、摩擦材全体に対して、50〜70質量%の平均粒径0.1〜0.5mmのか焼石油コークス、10〜30質量%の無機繊維、0.1〜10質量%の平均粒径1〜50μmの球状無機粒子、および10〜25質量%のフェノール樹脂を含有し、か焼石油コークス、無機繊維、球状無機粒子およびフェノール樹脂の合計量が摩擦材全体に対して100質量%または100質量%未満であるシンクロナイザーリング用摩擦材によって上記課題が一挙に解決されることを知見した。また、無機粒子がシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、炭化シリコン、炭化アルミニウム、炭化チタンおよび炭化ホウ素から選ばれる一種または二種以上の混合物であること、特に好ましくは無機粒子が球状シリカであること、該球状無機粒子が平均粒径10〜30μmであること、該球状無機粒子の含量が摩擦材全体に対して0.1〜4質量%であること、フェノール樹脂がアラルキル変性フェノール樹脂であることの1以上の条件を満たすことによって、より好ましいシンクロナイザーリング用摩擦材が得られることも知見した。本発明者らは、上記新知見を得た後、さらに種々検討を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 摩擦材全体に対して、50〜70質量%の平均粒径0.1〜0.5mmのか焼石油コークス、10〜30質量%の無機繊維、0.1〜10質量%の平均粒径1〜50μmの球状無機粒子、および10〜25質量%のフェノール樹脂を含有し、か焼石油コークス、無機繊維、球状無機粒子およびフェノール樹脂の合計量が摩擦材全体に対して100質量%または100質量%未満であることを特徴とするシンクロナイザーリング用摩擦材、
(2) 球状無機粒子がシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、炭化シリコン、炭化アルミニウム、炭化チタンおよび炭化ホウ素から選ばれる一種または二種以上の混合物であることを特徴とする(1)記載のシンクロナイザーリング用摩擦材、
(3) 球状無機粒子の平均粒径が10〜30μmであることを特徴とする(1)記載のシンクロナイザーリング用摩擦材、
(4) 球状無機粒子の含量が摩擦材全体に対して0.1〜4質量%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のシンクロナイザーリング用摩擦材、
(5) か焼石油コークスが灰分含量0.01〜1質量%のものであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のシンクロナイザーリング用摩擦材、
(6) 無機繊維がウィスカー形状のウォラストナイトであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のシンクロナイザーリング用摩擦材、
(7) ウィスカー形状のウォラストナイトの平均繊維長が1〜15μmであることを特徴とする(6)記載のシンクロナイザーリング用摩擦材、
(8) フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のシンクロナイザーリング用摩擦材、および
(9) フェノール樹脂がアラルキル変性フェノール樹脂であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のシンクロナイザーリング用摩擦材
に関する。
本発明のシンクロナイザーリング用摩擦材は、摩擦性能および耐久性に優れていると共に、耐スティック性においても優れているという特長を有する。
本発明に係るか焼石油コークスは、コーキングプロセスにより得られる石油コークスをベースとしている。すなわち重質油を熱処理して軟質の炭化水素(ガス、ガソリン、ガスオイルなど)に転換するプロセスの副製品として得られる石油コークスを高温処理すれば、か焼石油コークス(calcined petroleum coke)が得られる。我が国では、興亜石油株式会社から入手可能である。か焼石油コークスは不純物の少ない純度の高い石油コークスであり、高い動摩擦係数を得るため、灰分含量としては0.01〜1質量%が好ましい。尚、本発明における灰分含量の測定は、JIS M 8511:2005にしたがって行われる。
摩擦材全体に対するか焼石油コークスの使用割合は50〜70質量%である。50質量%未満では十分な動摩擦係数を得ることはできず、70質量%を超えると耐スティック性が悪化する。
か焼石油コークスのサイズは平均粒径で0.1〜0.5mmである。0.1mm未満では十分な動摩擦係数を得ることはできず、0.5mmを超えると摩擦材の強度不足を招くおそれがある。尚、平均粒径とは篩い分け法にて粒度分布を測定し、その累積値の中央値をいう。
本発明に係る無機繊維は、バインダー剤を補強するために配合するものであり、このような無機繊維としては、ガラス繊維やウォラストナイトなどが挙げられる。
摩擦材全体に対する無機繊維の使用割合は10〜30質量%である。10質量%未満では摩擦材の強度不足をもたらし、30質量%を超えると摩擦材の柔軟性が無くなり歯車の摺動面に傷を付け易くなる。
無機繊維のサイズは平均繊維長で1〜15μmであることが好ましい。平均繊維長が1μm未満では補強効果が小さくなり、15μmを超えるとその他配合材との混合時に分散不良を招く恐れがある。また、この際の平均繊維径は1μm以内が好ましい。尚、平均繊維長とはレーザー回折散乱式にて粒度分布を測定し、その累積値の中央値をいう。
本発明に係る球状無機粒子は、耐スティック性を改善するために配合するものであり、相手歯車の摺動面に対し適度にラッピング作用を与え、なじみ性を向上させる。このような球状無機粒子の無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、炭化シリコン、炭化アルミニウム、炭化チタンおよび炭化ホウ素から選ばれる一種または二種以上の混合物が挙げられるが、球状無機粒子としては、高い動摩擦係数を維持する機能も付与するためには球状シリカがより好ましい。尚、本発明における球状無機粒子は、真球のものだけではなく、楕円状ややや歪な球形状のものを含んでいても良い。
摩擦材全体に対する球状無機粒子の使用割合は0.1〜10質量%である。0.1質量%未満では耐スティック性の改善効果が無く、10質量%を超えると摩擦材の柔軟性が無くなり歯車の摺動面に傷を付け易くなり、また動摩擦係数の低下を招く。
球状無機粒子のサイズは平均粒径で1〜50μmである。1μm未満では耐スティック性の改善効果が無く、50μmを超えると歯車の摺動面に傷を付け易くなり、また動摩擦係数の低下を招く。尚、平均粒径とは、レーザー回折散乱式にて粒度分布を測定し、その累積値の中央値をいう。
本発明に係るフェノール樹脂は、他の配合成分を繋ぐものであり、バインダー剤としての役割を果たす。このようなフェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、アラルキル変性フェノール樹脂、エポキシ変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、カシュー変性フェノール樹脂、クレゾール変性フェノール樹脂、および炭化水素樹脂変性フェノール樹脂などが挙げられ、これらは単独または混合で用いてもよい。
摩擦材全体に対するフェノール樹脂の使用割合は10〜25質量%である。10質量%未満ではバインダー力不足を招くおそれがあるため歩留まりが悪くなり、25質量%を超えるとフェノール樹脂自体の脆さにより強度不足が発生し易くなり、また動摩擦係数の低下をもたらす。
本発明のシンクロナイザーリング用摩擦材は、所望により上記した成分以外に例えば増量剤、希釈剤、滑剤、担体などの他の成分を含有していても良い。本発明のシンクロナイザーリング用摩擦材においては、か焼石油コークス、無機繊維、球状無機粒子およびフェノール樹脂の合計量が摩擦材全体に対して100質量%または100質量%未満であるが、その下限値は71質量%である。
本発明の摩擦材は上記原料物質を混合し、焼成(加熱・加圧成形)して製造される。本発明の摩擦材は公知方法(例えば、再公表特許(A1)WO2004/109138に記載された方法)又はそれに準じる方法に従って製造されてよい。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、シリカなどの球状無機粒子、か焼石油コークス、ウォラストナイトなどの無機繊維、ノボラック型フェノール樹脂などのフェノール樹脂を混合し、成形用金型内に予め接着剤塗布したシンクロナイザーリングの内周面にこの混合物を接触させて焼成し、所望の形状に機械加工することによって本発明のシンクロナイザーリング用摩擦材が製造される(上記再公表特許実施例参照)。
図1は本発明に係るシンクロナイザーリング用摩擦材をリング状構造体の内周面に摩擦材層として有するシンクロナイザーリング本体の軸方向断面図である。図2〜4は本発明に係るシンクロナイザーリング用摩擦材を具備するシンクロナイザーリングにて摩擦特性をテストした結果を示す線図である。
先ず、図1を参照して、本発明に係るシンクロナイザーリング用摩擦材を使用するシンクロナイザーリングの一例を説明する。シンクロナイザーリング10は、例えばリング状構造体11の内周面に該摩擦材からなる摩擦材層12を有している。さらに機械加工にて円周溝14および縦溝15を形成させるのが好ましい。
次に、本発明に係るシンクロナイザーリング用摩擦材を用いたシンクロナイザーリング10による各テスト結果を説明する。
(耐スティック性)
表1および図2は、耐スティック性(相対回転数が限りなくゼロに近い領域において円錐摺動面を有する相手歯車への貼り付き性の抑制度合)を評価したシンクロ単体ラッピングテストの結果を示すものである。本シンクロ単体ラッピングテストとは、シンクロ単体試験機を使用し、常温(25〜30℃)のミッションオイル(油種;ホンダMTF−II)を油量30ml/分の潤滑環境下中で、慣性重量を0.2N・mに設定し、差回転数500rpmで回転するテーパー状の相手部材(名称;ギヤコーン,材質;SCM420,熱処理;浸炭焼入れ・焼戻し,テーパー面;研削加工)に対し、シンクロナイザーリング10を油圧制御にて400Nの押付力で1000回繰り返して押し付けた際のスティックトルクの推移を測定するテストである。スティックトルクとは、差回転数を吸収して同期した後、再び設定した差回転数までテーパー状の相手部材を立ち上げようとした瞬間にシンクロナイザーリング10がテーパー状の相手部材に対し貼り付いていた力を解除するトルクを意味する。本シンクロ単体ラッピングテストにおける耐スティック性の評価は、2〜40回迄の最大スティックトルクの平均値とスティックトルク解消する迄の回数で行った。スティックトルク解消する迄の回数は、20回毎に最大スティックトルクを平均化し、その平均スティックトルクが2N・m以下になった時点をスティックトルクが解消されたと判断し、それまでの回数とした。耐スティック性は2〜40回迄の最大スティックトルクの平均値が低く、且つこのスティックトルク解消する迄の回数が少ないほど耐スティック性が優れている。尚、差回転数とはシンクロナイザーリングとギヤコーンの相対回転数を意味する(以下同じ)。
また、このテストに使用したサンプルA〜Cのリング状構造体11の母材材質は全て同じ黄銅製であり、同形状・同サイズである。摩擦材層12の摩擦面形状は図1に示すとおりであり全て同一である。また、比較用として一般公知の黄銅製シンクロナイザーリングの結果も示しておく。尚、摩擦材層12の摩擦面形状は図1に示すとおりであり全て同一である。また、比較用として一般公知の黄銅製シンクロナイザーリングの結果も示しておく。従来公知の黄銅製シンクロナイザーリングは比較的耐スティック性に優れる製品と言われている。
表中のフェノール樹脂は、ヘキサメチレンテトラミンで架橋したものを使用した(以下同じ)。
表1および図2に示すように球状無機粒子を配合しないサンプルCのシンクロナイザーリングに対して、本発明に係るサンプルAおよびサンプルBは耐スティック性において改善されていることが分かった。特にサンプルAにおいては一般公知の黄銅製シンクロナイザーリングより優れた耐スティック性を有していることが分かった。
(摩擦性能)
次に、表2および図3は、摩擦性能を評価したシンクロ単体性能テストの結果を示すものである。
本シンクロ単体性能テストとは、シンクロ単体試験機を使用し、油温80℃のミッションオイル(油種;ホンダMTF−II)を油量80ml/分の潤滑環境下中で、慣性重量を0.2N・mに設定し、差回転数2000rpmで回転するテーパー状の相手部材(名称;ギヤコーン,材質;SCM420,熱処理;浸炭焼入れ・焼戻し,テーパー面;研削加工)に対し、シンクロナイザーリング10を油圧制御にて500Nの押付力で200回繰り返し押し付けた際の1回の平均動摩擦係数の推移を測定するテストである。平均動摩擦係数とは、差回転数を吸収して同期している間の動摩擦係数を平均化した値である。また、このテストに使用したサンプルA〜Cの素性は上記表1と同様である。
表2および図3に示すように球状無機粒子を配合しないサンプルCのシンクロナイザーリングに対して、本発明に係るサンプルAおよびサンプルBの摩擦性能は同等以上であることが分かった。また、一般公知の黄銅製シンクロナイザーリングより本発明品は明らかに優れた摩擦性能を有していることが分かった。
(耐久性)
次に、表3および図4は、耐久性を評価したシンクロ単体耐久テストの結果を示すものである。本シンクロ単体耐久テストとは、シンクロ単体試験機を使用し、油温80℃のミッションオイル(油種;ホンダMTF−II)を油量80ml/分の潤滑環境下中で、慣性重量を0.3N・mに設定し、差回転数2500rpmで回転するテーパー状の相手部材(名称;ギヤコーン,材質;SCM420,熱処理;浸炭焼入れ・焼戻し,テーパー面;研削加工)に対し、シンクロナイザーリング10を油圧制御にて900Nの押付力で10000回繰り返し押し付けた際の1回の平均動摩擦係数の推移を測定するテストである。平均動摩擦係数とは、差回転数を吸収して同期している間の動摩擦係数を平均化した値である。また、表3に記す摩耗量とはシンクロナイザーリングをテーパー状の相手部材にセットし、耐久テスト前後で軸方向に摩耗した分の長さを示す。尚、初期のセット高さは1mmに設定している。また、このテストに使用したサンプルA〜Cの素性は上記表1と同様である。
表3および図4に示すように球状シリカを配合しないサンプルCのシンクロナイザーリングに対して、本発明に係るサンプルAおよびサンプルBの耐久性は同等以上であることが分かった。また、本耐久テスト条件下では、一般公知の黄銅製シンクロナイザーリングは3000回目で機能喪失していることから明らかなように長期間の使用に耐えることが出来ない。これに対して本発明品は明らかに耐久性に優れていることが分かった。
以上の試験結果より、本発明品は摩擦性能および耐久性に優れていると共に、耐スティック性においても優れていることが分かった。
本発明に係る摩擦材は、摩擦性能、耐久性、および耐スティック製に優れたシンクロナイザーリング用摩擦材として有用である。
本発明に係るシンクロナイザーリング用摩擦材をリング状構造体の内周面に摩擦材層として有するシンクロナイザーリング本体の軸方向断面図である。 本発明に係るシンクロナイザーリング用摩擦材を具備するシンクロナイザーリングにてシンクロ単体ラッピングテスト時の平均スティックトルク推移を示すグラフである。 本発明に係るシンクロナイザーリング用摩擦材を具備するシンクロナイザーリングにてシンクロ単体性能テスト時の平均動摩擦係数推移を示すグラフである。 本発明に係るシンクロナイザーリング用摩擦材を具備するシンクロナイザーリングにてシンクロ単体耐久テスト時の平均動摩擦係数推移を示すグラフである。
符号の説明
10・・・シンクロナイザーリング
11・・・リング状構造体
12・・・摩擦材層
13・・・摩擦材層
14・・・リング状条溝
15・・・縦溝

Claims (9)

  1. 摩擦材全体に対して、50〜70質量%の平均粒径0.1〜0.5mmのか焼石油コークス、10〜30質量%の無機繊維、0.1〜10質量%の平均粒径1〜50μmの球状無機粒子、および10〜25質量%のフェノール樹脂を含有し、か焼石油コークス、無機繊維、球状無機粒子およびフェノール樹脂の合計量が摩擦材全体に対して100質量%または100質量%未満であることを特徴とするシンクロナイザーリング用摩擦材。
  2. 球状無機粒子がシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、炭化シリコン、炭化アルミニウム、炭化チタンおよび炭化ホウ素から選ばれる一種または二種以上の混合物であることを特徴とする請求項1記載のシンクロナイザーリング用摩擦材。
  3. 球状無機粒子の平均粒径が10〜30μmであることを特徴とする請求項1記載のシンクロナイザーリング用摩擦材。
  4. 球状無機粒子の含量が摩擦材全体に対して0.1〜4質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシンクロナイザーリング用摩擦材。
  5. か焼石油コークスが灰分含量0.01〜1質量%のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシンクロナイザーリング用摩擦材。
  6. 無機繊維がウィスカー形状のウォラストナイトであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシンクロナイザーリング用摩擦材。
  7. ウィスカー形状のウォラストナイトの平均繊維長が1〜15μmであることを特徴とする請求項6記載のシンクロナイザーリング用摩擦材。
  8. フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシンクロナイザーリング用摩擦材。
  9. フェノール樹脂がアラルキル変性フェノール樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシンクロナイザーリング用摩擦材。
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