JPWO2010137103A1 - 感光性染毛料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の感光性染毛料は、光の照射時間が短くとも白髪が黒く染まり、洗髪により容易に落ちなくするために、水分を有する基質材料に銀塩が混合された感光性染毛料であって、前記基質材料に感光性染毛料全量に対して0.3〜9%のアルカノールアミン類と、該全量に対して0.3〜2.0%の前記銀塩が、硫酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酸化銀等の何れか選択された一つのものを含むことを特徴とする。

Description

本発明は、容易に染毛ができる感光性染毛料及びその製造方法に関し、詳細には短時間の光の照射であっても染毛ができる感光性染毛料及びその製造方法に関する。
最近、実用化された硫酸銀とクエン酸を含む感光性の染毛料は、日光に当てれば2日程度で徐々に染まるもので、通常のヘアケア製品と同様に、手軽に塗っておくだけで毛髪が染毛され、刺激やアレルギーもないことから利用する顧客が徐々に拡大する傾向にある。この感光性の染毛料は、本発明者の開発により完成したもので、先行技術文献として特許第3881688号公報の染毛料が知られている。
上記特許発明の染毛料は、この染毛料に、紫外線の照射などにより還元されて金属銀を析出する銀塩が、クエン酸により酸性とされた水溶性の状態で含まれているようにしたので、染毛料を頭髪に塗布するだけで染毛が可能となり、また、クエン酸を用いて酸性領域としているので、暗反応により酸化するなどのことが抑制され、硫酸銀が安定して溶解した状態を得ることができるものである。
上記染毛料が日光により白髪を染める原理は、ヘアクリーム等に0.5%〜1.0%含有される銀イオンが光によって金属銀の微粒子に還元され、それが毛髪に均一に付着するために白髪が黒く染まって見えることにある。この原理を利用した白髪染めの染毛料は、銀微粒子が毛髪表面をコーティングするかの様に覆っているので、毛髪を紫外線や薬剤から守る作用を有し、また、一旦染まると洗髪しても容易には落ちない特徴を有するものである。
一方、近年、美白肌の流行によりメラニンの沈着によるシミやそばかすの原因を避けるために、日傘又は外出を減らす等で紫外線を避けて皮膚を守ろうとする女性、又は、外出の機会の少ない女性が増加しているために、上記染毛料は日光に当てれば短い期間で徐々に染まり白髪が黒く染まるものが、染まるまでの期間が3〜4日と延びており、染まりにくいとの問題が指摘されている。また、毛髪が多くて長い女性の場合は光の当たりにくい毛根部分は染まりにくいという指摘もされている。そして、上記染毛料が一旦染まると洗髪しても容易には落ちないものであるが、白髪が黒く染まりにくいと指摘するユーザーは、洗髪により容易に落ちることも指摘している。
他の先行技術文献として、銀のエタノールアミン類加成物とこれを還元して銀を遊離する還元剤よりなる染毛剤が提案されている(特許文献2を参照)。該特許文献2の実施例1には、硝酸銀を蒸留水に溶解しこれにモノエタノールアミン水溶液を加え、ついでメチルセルローズを溶解させて粘稠液となし、さらに銀塩の安定剤としてモノエタノールアミンを加えてモノエタノールアミン加成物水溶液を作成し、この液を毛に塗布後、日光等に曝すと時間の経過とともに黒く染色することが記載され、他の実施例2〜4の染毛剤には、第2液として還元剤を用いているが、還元剤を用いて染毛する場合にはモノエタノールアミン濃度の具体的な範囲は必要がない。本発明者等は、銀塩濃度に対してアルカノールアミン濃度が高いと完全な形のアルカノールアミン銀錯塩が形成され安定化するために光によって還元されなくなることを見出した。そこで、特許文献2の実施例2〜4の染毛剤は、完全な形のアルカノールアミン銀錯塩が形成されているために、光によって還元されなくなっていると推測される。
特許第3881688号公報 特開昭48−18438公報
近年の女性の美白肌のニーズ及び外出の機会の少ない女性に対して、上記感光性染毛料は、白髪が黒く染まるまでの期間が3〜4日と長い、そして、毛髪が多くて長い女性の場合は、光が当たりにくいために毛根部分が染まりにくい、という問題、即ち、光の照射時間が短い場合に白髪が黒く染まるまでの時間が延びるという問題、更に、洗髪により容易に落ちるという問題が指摘されている。
また、特許文献2には、実施例1の染毛剤であるモノエタノールアミン加成物水溶液を毛に塗布後、日光等に曝すと時間の経過とともに黒く染色することが記載されてはいるが、日光等で黒く染色するためには完全な形のアルカノールアミン銀錯塩を形成しないために、硫酸銀濃度に対する適切なモノエタノールアミン濃度の範囲が存在するが、その濃度の具体的な範囲が記載されていない。
それ故に、本発明の課題は、完全な形のアルカノールアミン銀錯塩を形成しないアルカノールアミン濃度を有する、光の照射時間が短くとも白髪が黒く染まり、洗髪により容易に落ちない感光性染毛料を提供することである。
本発明者等は、この課題の解決に向けて鋭意研究に努めた結果、水分を有する基質材料に0.3〜9%のアルカノールアミン類と0.3〜2.0%の銀塩を加えることで、完全な形のアルカノールアミン銀錯塩が形成されることなく光の照射時間が短くとも、染色・染着性が著しく向上することを見出して本発明を完成したものである。
上述した問題を解決するために、請求項1に係る発明の感光性染毛料は、水分を有する基質材料に銀塩が混合された感光性染毛料であって、前記基質材料に感光性染毛料全量に対して0.3〜2.0%の前記銀塩が、硫酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酸化銀等の何れか選択された少なくとも一つのものと、該全量に対して0.3〜9%のアルカノールアミン類を含むことを特徴とする。
同様に、請求項2に係る発明の感光性染毛料は、前記基質材料が水溶性成分に油性分が乳化された乳液状であることを特徴とする。
請求項3に係る発明の感光性染毛料は、前記基質材料が所定の分散・溶解媒体中に高分子材料が分散・溶解したゲルであることを特徴とする。
請求項4に係る発明の感光性染毛料は、前記基質材料が水溶液であることを特徴とする。
請求項5に係る発明の感光性染毛料は、前記感光性染毛料が安定化剤として、前記全量に対して硫酸銅0.1〜1.4%を含有することを特徴とする。
請求項6に係る発明の感光性染毛料の製造方法は、水分を有する基質材料にアルカノールアミンと銀塩を含む感光性染毛料の製造方法であって、前記感光性染毛料全量に対して0.2%〜20%のアルカノールアミンが溶解している水溶液に、該全量に対して0.2%〜2.0%の銀塩を加えることを特徴とする。
本発明の感光性染毛料は、従来から使用されている感光性染毛料と比較して、光の照射時間が短くとも白髪が黒く染まり、発色後に洗髪しても落ちない染色・染着性に優れている。染料、パラフェニレンジアミン誘導体、酸化剤等を含む酸化染毛剤と異なり、アレルギーやかぶれを起こさない安全性の高い白髪染め染毛料である。また、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ローション、ゲル、ムース状として使用することができ、すぐに洗い流す必要がないので手軽に黒く染毛できる利点がある。そして、本発明の感光性染毛料に安定化剤として硫酸銅を添加することで商品安定性が向上する。
実施例1と比較例1の白髪の染色・染着性を比較した図である。 実施例2と比較例2の光の照射時間ごとの白髪の染色・染着性を比較した図である。 実施例1と比較例1の白髪を、日陰に60分間放置して染色・染着性を比較した図である。 9種類のサンプルと硫酸銀濃度ごとの白髪の染色・染着性を比較した図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に示す「%」は感光性染毛料全量に対する割合を示している。
本発明の実施形態の感光性染毛料は、水分を有する基質材料にアルカノールアミン類と銀塩を含むもので、該アルカノールアミン類は銀塩と錯塩を形成した状態で存在する。つまり、前記感光性染毛料は、通常銀イオンとして存在しているものをアルカノールアミン類との銀錯塩として使用するもので、銀塩はアルカノールアミン類と反応してアルカノールアミン銀錯塩を形成する。そのアルカノールアミン銀錯塩が完全な形の銀錯塩を形成しないために、前記基質材料に感光性染毛料全量に対してアルカノールアミン類が0.3〜9%含まれ、前記銀塩が、硫酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酸化銀等の何れか選択された少なくとも一つのものが0.3〜2.0%含まれている。
前記基質材料は、水を含む水溶液であればよく、水溶性成分に油性分が乳化された乳液状でもよく、また、所定の分散媒体中に高分子材料が分散したゲルであってもよい。
銀塩とアルカノールアミン類との配合量は銀塩1に対して、アルカノールアミン類1〜4.5の重量比率が好ましい。銀塩は0.3〜2%まで使用されるので、アルカノールアミン類は0.3〜9%の範囲になる。また、硫酸銀は水には0.8%しか溶けないが、アルカノールアミン類の存在下では5%以上も溶解する。
なお、例えば、硫酸銀1.0%に対してモノエタノールアミンを4.8%以上配合すると日光に晒しても全く染毛されないことを見出している。
以下、実施例を説明する。
(実施例1)
100kg用真空乳化釜にポリオキシエチレン(15モル)セチルエーテル1kg、セタノール5kg、流動パラフィン10kg、ステアリン酸1.0kg、シリコンオイル1.0kg、グリチルレチン酸ステアリル0.1kgを入れ80℃で溶解する(油相)。別の釜にモノエタノールアミン0.5kg、水70.0kgを入れ同じく80℃に加熱する(水相)。油相を激しく撹拌しながら、これに水相を少しずつ加え乳化させる。充分乳化したら撹拌を緩やかにし、45℃迄冷却する。別のケトルに水10.15kgを計り取り、硫酸銀0.5kg、モノエタノールアミン0.75kgを加え室温で透明な水溶液を造る(A相)。45℃に冷却した乳化物中にA相を少しずつ滴下しながらゆっくりと撹拌を続け室温まで冷却し、白色のクリーム98.8kgを得た。全ての操作は光に当てぬよう注意して行った。
(実施例2)
100kg用真空乳化釜にポリオキシエチレン(15モル)セチルエーテル1kg、セタノール4kg、シリコンオイル10kg、ステアリン酸1.0kg、スクワラン1.0kgを入れ80℃で溶解する(油相)。別の釜にモノエタノールアミン0.5kg、水70.0kgを入れ同じく80℃に加熱する(水相)。油相を激しく撹拌しながら水相を少しずつ加え乳化させる。乳化完了後緩やかに撹拌し、45℃迄冷却する。別のケトルに水9.8kgを取り、硫酸銀0.7kg、モノエタノールアミン1.5kg、硫酸銅5水和物0.5kgを入れてよく撹拌し、室温で透明な水溶液とする(A相)。A相を45℃に迄冷却した乳化物の中にゆっくりと滴下し撹拌を続けて室温迄冷却し青色の乳化物99kgを得た。
(光照射テスト1)
実施例1で製造した感光性染毛料のクリーム(0.5%硫酸銀)と、従来品として比較例1の硫酸銀(0.8%)のみの感光性染毛料のクリーム(モノエタノールアミンを含まず)を、1gの白髪人毛束を2つの束に分け、それぞれに0.5gずつ塗り、直射日光に30分間晒し、洗剤で洗い白髪の染色・染着性を視覚による官能検査で比較した。なお、ここで用いる「染色・染着性」の用語は、クリーム等を塗った白髪が光の照射により黒く染まった後に洗剤で洗っても黒く染まっている状態を意味している。
図1は実施例1と比較例1の白髪の染色・染着性を比較した図である。
右側の実施例1は、クリームが0.5%の硫酸銀しか含有していないが、0.8%硫酸銀を含有している左側の比較例1と比べて、30分間の直射日光による照射時間であっても染色・染着性に優れていることが分かった(図1参照)。
(光照射テスト2)
実施例2で製造した感光性染毛料のクリーム(0.7%硫酸銀)と、比較例2の硫酸銀(0.7%)のみの感光性染毛料のクリーム(モノエタノールアミンを含まず)を、1gの白髪人毛束を2つの束に分け、それぞれに0.5gずつ塗り、直射日光に5分、10分、20分、30分、120分間晒し、洗剤で洗い白髪の染色・染着性を視覚による官能検査で比較した。
図2は実施例2と比較例2の光の照射時間ごとの白髪の染色・染着性を比較した図である。
右側の実施例2は、比較例2と同じ硫酸銀濃度ではあるが、モノエタノールアミンを含有するクリームのほうが、5分、10分、20分、30分、120分間の直射日光による照射時間に対して、何れの照射時間であっても染色・染着性に優れていることがこの図より明らかである。
(光照射テスト3)
実施例1で製造した感光性染毛料のクリーム(0.5%硫酸銀)と、従来品として比較例1の硫酸銀(0.8%)のみの感光性染毛料のクリーム(モノエタノールアミンを含まず)を、1gの白髪人毛束を2つの束に分け、それぞれに0.5gずつ塗り、窓から1m離れた日陰に60分間放置し、洗剤で洗い白髪の染色・染着性を視覚による官能検査で比較した。
図3は実施例1と比較例1の白髪を、日陰に60分間放置して染色・染着性を比較した図である。
右側の実施例1は、左側の比較例1と比べて、弱い光であっても染色・染着性に優れていることが分かった(図3参照)。
(光照射テスト4)
硫酸銀水溶液の濃度と染色・染着性の関係を調べるテストを行った。
硫酸銀1(重量)に対して1.7(重量)のモノエタノールアミンを加え、それぞれ0.1、0.3、0.5、0.7、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0%の9種類の硫酸銀水溶液のサンプルを作った。この溶液0.5gを1gの白髪人毛に塗布し、青色発光ダイオード・ランプを用いて10分間照射し、よく洗浄して染色・染着性を視覚による官能検査で調べた。サンプル番号と硫酸銀濃度(%)の関係は表1に示す通りである。
[表1]

比較例3として、モノエタノールアミンの代わりにクエン酸0.1を含む硫酸銀0.8%溶液を1gの白髪人毛に塗布し、青色発光ダイオード・ランプを用いて10分間照射し、よく洗浄して染色・染着性を視覚による官能検査で調べた。
図4は9種類のサンプルと硫酸銀濃度ごとの白髪の染色・染着性を比較した図である。サンプル番号10は比較例3を示している。
図4のサンプル番号1〜6は、硫酸銀濃度が濃くなるに従い染色・染着性が向上して優れていくことを示している。0.1%では染色・染着性が良好ではないが、0.2%以上であると濃度が濃くなるに従いより良好になり2.0%までその傾向が続くが、2.0%以上になると染色・染着性の向上が平衡状態であること、そして、サンプル番号10の比較例3は、サンプル番号2の染色・染着性より若干劣ることを示している。このことから、青色発光ダイオード・ランプ(波長は450nm)を用いた10分間照射である短時間の光照射は、硫酸銀濃度が0.2%以上であれば比較例3より染色・染着性が優れており、該濃度が濃くなるに従いその染色・染着性は2.0%まで改善することを示している。
以上の光照射テスト1〜4の結果から、従来の染毛料と比較して、光の照射時間が短くとも白髪が黒く染まり、発色後に洗髪しても落ちない染色・染着性に優れていることが判った。
本発明は、容易に染毛ができる感光性染毛料及びその製造方法に関し、詳細には短時間の光の照射であっても染毛ができる感光性染毛料及びその製造方法に関する。
最近、実用化された硫酸銀とクエン酸を含む感光性の染毛料は、日光に当てれば2日程度で徐々に染まるもので、通常のヘアケア製品と同様に、手軽に塗っておくだけで毛髪が染毛され、刺激やアレルギーもないことから利用する顧客が徐々に拡大する傾向にある。この感光性の染毛料は、本発明者の開発により完成したもので、先行技術文献として特許第3881688号公報の染毛料が知られている。
上記特許発明の染毛料は、この染毛料に、紫外線の照射などにより還元されて金属銀を析出する銀塩が、クエン酸により酸性とされた水溶性の状態で含まれているようにしたので、染毛料を頭髪に塗布するだけで染毛が可能となり、また、クエン酸を用いて酸性領域としているので、暗反応により酸化するなどのことが抑制され、硫酸銀が安定して溶解した状態を得ることができるものである。
上記染毛料が日光により白髪を染める原理は、ヘアクリーム等に0.5%〜1.0%含有される銀イオンが光によって金属銀の微粒子に還元され、それが毛髪に均一に付着するために白髪が黒く染まって見えることにある。この原理を利用した白髪染めの染毛料は、銀微粒子が毛髪表面をコーティングするかの様に覆っているので、毛髪を紫外線や薬剤から守る作用を有し、また、一旦染まると洗髪しても容易には落ちない特徴を有するものである。
一方、近年、美白肌の流行によりメラニンの沈着によるシミやそばかすの原因を避けるために、日傘又は外出を減らす等で紫外線を避けて皮膚を守ろうとする女性、又は、外出の機会の少ない女性が増加しているために、上記染毛料は日光に当てれば短い期間で徐々に染まり白髪が黒く染まるものが、染まるまでの期間が3〜4日と延びており、染まりにくいとの問題が指摘されている。また、毛髪が多くて長い女性の場合は光の当たりにくい毛根部分は染まりにくいという指摘もされている。そして、上記染毛料が一旦染まると洗髪しても容易には落ちないものであるが、白髪が黒く染まりにくいと指摘するユーザーは、洗髪により容易に落ちることも指摘している。
他の先行技術文献として、銀のエタノールアミン類加成物とこれを還元して銀を遊離する還元剤よりなる染毛剤が提案されている(特許文献2を参照)。該特許文献2の実施例1には、硝酸銀を蒸留水に溶解しこれにモノエタノールアミン水溶液を加え、ついでメチルセルローズを溶解させて粘稠液となし、さらに銀塩の安定剤としてモノエタノールアミンを加えてモノエタノールアミン加成物水溶液を作成し、この液を毛に塗布後、日光等に曝すと時間の経過とともに黒く染色することが記載され、他の実施例2〜4の染毛剤には、第2液として還元剤を用いているが、還元剤を用いて染毛する場合にはモノエタノールアミン濃度の具体的な範囲は必要がない。本発明者等は、銀塩濃度に対してアルカノールアミン濃度が高いと完全な形のアルカノールアミン銀錯塩が形成され安定化するために光によって還元されなくなることを見出した。そこで、特許文献2の実施例2〜4の染毛剤は、完全な形のアルカノールアミン銀錯塩が形成されているために、光によって還元されなくなっていると推測される。
特許第3881688号公報 特開昭48−18438公報
近年の女性の美白肌のニーズ及び外出の機会の少ない女性に対して、上記感光性染毛料は、白髪が黒く染まるまでの期間が3〜4日と長い、そして、毛髪が多くて長い女性の場合は、光が当たりにくいために毛根部分が染まりにくい、という問題、即ち、光の照射時間が短い場合に白髪が黒く染まるまでの時間が延びるという問題、更に、洗髪により容易に落ちるという問題が指摘されている。
また、特許文献2には、実施例1の染毛剤であるモノエタノールアミン加成物水溶液を毛に塗布後、日光等に曝すと時間の経過とともに黒く染色することが記載されてはいるが、日光等で黒く染色するためには完全な形のアルカノールアミン銀錯塩を形成しないために、硫酸銀濃度に対する適切なモノエタノールアミン濃度の範囲が存在するが、その濃度の具体的な範囲が記載されていない。
それ故に、本発明の課題は、完全な形のアルカノールアミン銀錯塩を形成しないアルカノールアミン濃度を有する、光の照射時間が短くとも白髪が黒く染まり、洗髪により容易に落ちない感光性染毛料を提供することである。
本発明者等は、この課題の解決に向けて鋭意研究に努めた結果、水分を有する基質材料に0.3〜9%のアルカノールアミン類と0.3〜2.0%の銀塩を加えることで、完全な形のアルカノールアミン銀錯塩が形成されることなく光の照射時間が短くとも、染色・染着性が著しく向上することを見出して本発明を完成したものである。
上述した問題を解決するために、請求項1に係る発明の感光性染毛料は、水分を有する基質材料に硫酸銀塩及びアルカノールアミン類が混合された感光性染毛料であって、前記硫酸銀塩とアルカノールアミン類の配合量の重量比率が、硫酸銀塩1に対して、アルカノールアミン類1〜4.5であり、前記基質材料に感光性染毛料全量に対して0.3〜2.0%の硫酸銀塩と、0.3〜9%のアルカノールアミン類を含むことで、完全な形のアルカノールアミン銀錯塩が形成されることなく、光により還元されることを特徴とする。
同様に、請求項2に係る発明の感光性染毛料は、前記基質材料が水溶性成分に油性分が乳化された乳液状であることを特徴とする。
請求項3に係る発明の感光性染毛料は、前記基質材料が所定の分散・溶解媒体中に高分子材料が分散・溶解したゲルであることを特徴とする。
請求項4に係る発明の感光性染毛料は、前記基質材料が水溶液であることを特徴とする。
請求項5に係る発明の感光性染毛料は、前記感光性染毛料が安定化剤として、前記全量に対して硫酸銅0.1〜1.4%を含有することを特徴とする。
請求項6に係る発明の感光性染毛料の製造方法は、水分を有する基質材料にアルカノールアミンと硫酸銀塩を含む感光性染毛料の製造方法であって、前記硫酸銀塩とアルカノールアミン類の配合量の重量比率が、硫酸銀塩1に対して、アルカノールアミン類1〜4.5であり、前記感光性染毛料全量に対して0.3〜9%のアルカノールアミンが溶解している水溶液に、該全量に対して0.3%〜2.0%の硫酸銀塩を加えることで、完全な形のアルカノールアミン銀錯塩が形成されることなく、光により還元されることを特徴とする。
本発明の感光性染毛料は、従来から使用されている感光性染毛料と比較して、光の照射時間が短くとも白髪が黒く染まり、発色後に洗髪しても落ちない染色・染着性に優れている。染料、パラフェニレンジアミン誘導体、酸化剤等を含む酸化染毛剤と異なり、アレルギーやかぶれを起こさない安全性の高い白髪染め染毛料である。また、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ローション、ゲル、ムース状として使用することができ、すぐに洗い流す必要がないので手軽に黒く染毛できる利点がある。そして、本発明の感光性染毛料に安定化剤として硫酸銅を添加することで商品安定性が向上する。
実施例1と比較例1の白髪の染色・染着性を比較した図である。 実施例2と比較例2の光の照射時間ごとの白髪の染色・染着性を比較した図である。 実施例1と比較例1の白髪を、日陰に60分間放置して染色・染着性を比較した図である。 9種類のサンプルと硫酸銀濃度ごとの白髪の染色・染着性を比較した図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に示す「%」は感光性染毛料全量に対する割合を示している。
本発明の実施形態の感光性染毛料は、水分を有する基質材料にアルカノールアミン類と硫酸銀塩を含むもので、該アルカノールアミン類は硫酸銀塩と錯塩を形成した状態で存在する。つまり、前記感光性染毛料は、通常銀イオンとして存在しているものをアルカノールアミン類との銀錯塩として使用するもので、硫酸銀塩はアルカノールアミン類と反応してアルカノールアミン銀錯塩を形成する。そのアルカノールアミン銀錯塩が完全な形の銀錯塩を形成しないために、前記基質材料に感光性染毛料全量に対してアルカノールアミン類が0.3〜9%含まれ、前記硫酸銀塩が0.3〜2.0%含まれている。
前記基質材料は、水を含む水溶液であればよく、水溶性成分に油性分が乳化された乳液状でもよく、また、所定の分散媒体中に高分子材料が分散したゲルであってもよい。
銀塩とアルカノールアミン類との配合量は銀塩1に対して、アルカノールアミン類1〜4.5の重量比率が好ましい。銀塩は0.3〜2%まで使用されるので、アルカノールアミン類は0.3〜9%の範囲になる。また、硫酸銀は水には0.8%しか溶けないが、アルカノールアミン類の存在下では5%以上も溶解する。
なお、例えば、硫酸銀 1.0%に対してモノエタノールアミンを4.8%以上配合すると日光に晒しても全く染毛されないことを見出している。
以下、実施例を説明する。
(実施例1)
100kg用真空乳化釜にポリオキシエチレン(15モル)セチルエーテル1kg、セタノール5kg、流動パラフィン10kg、ステアリン酸1.0kg、シリコンオイル1.0kg、グリチルレチン酸ステアリル0.1kgを入れ80℃で溶解する(油相)。別の釜にモノエタノールアミン0.5kg、水70.0kgを入れ同じく80℃に加熱する(水相)。油相を激しく撹拌しながら、これに水相を少しずつ加え乳化させる。充分乳化したら撹拌を緩やかにし、45℃迄冷却する。別のケトルに水10.15kgを計り取り、硫酸銀0.5kg、モノエタノールアミン0.75kgを加え室温で透明な水溶液を造る(A相)。45℃に冷却した乳化物中にA相を少しずつ滴下しながらゆっくりと撹拌を続け室温まで冷却し、白色のクリーム98.8kgを得た。全ての操作は光に当てぬよう注意して行った。
(実施例2)
100kg用真空乳化釜にポリオキシエチレン(15モル)セチルエーテル1kg、セタノール4kg、シリコンオイル10kg、ステアリン酸1.0kg、スクワラン 1.0kgを入れ80℃で溶解する(油相)。別の釜にモノエタノールアミン0.5kg、水70.0kgを入れ同じく80℃に加熱する(水相)。油相を激しく撹拌しながら水相を少しずつ加え乳化させる。乳化完了後緩やかに撹拌し、45℃迄冷却する。別のケトルに水9.8kgを取り、硫酸銀0.7kg、モノエタノールアミン1.5kg、硫酸銅5水和物0.5kgを入れてよく撹拌し、室温で透明な水溶液とする(A相)。A相を45℃に迄冷却した乳化物の中にゆっくりと滴下し撹拌を続けて室温迄冷却し青色の乳化物99kgを得た。
(光照射テスト1)
実施例1で製造した感光性染毛料のクリーム(0.5%硫酸銀)と、従来品として比較例1の硫酸銀(0.8%)のみの感光性染毛料のクリーム(モノエタノールアミンを含まず)を、1gの白髪人毛束を2つの束に分け、それぞれに0.5gずつ塗り、直射日光に30分間晒し、洗剤で洗い白髪の染色・染着性を視覚による官能検査で比較した。なお、ここで用いる「染色・染着性」の用語は、クリーム等を塗った白髪が光の照射により黒く染まった後に洗剤で洗っても黒く染まっている状態を意味している。
図1は実施例1と比較例1の白髪の染色・染着性を比較した図である。
右側の実施例1は、クリームが0.5%の硫酸銀しか含有していないが、0.8%硫酸銀を含有している左側の比較例1と比べて、30分間の直射日光による照射時間であっても染色・染着性に優れていることが分かった(図1参照)。
(光照射テスト2)
実施例2で製造した感光性染毛料のクリーム(0.7%硫酸銀)と、比較例2の硫酸銀(0.7%)のみの感光性染毛料のクリーム(モノエタノールアミンを含まず)を、1gの白髪人毛束を2つの束に分け、それぞれに0.5gずつ塗り、直射日光に5分、10分、20分、30分、120分間晒し、洗剤で洗い白髪の染色・染着性を視覚による官能検査で比較した。
図2は実施例2と比較例2の光の照射時間ごとの白髪の染色・染着性を比較した図である。
右側の実施例2は、比較例2と同じ硫酸銀濃度ではあるが、モノエタノールアミンを含有するクリームのほうが、5分、10分、20分、30分、120分間の直射日光による照射時間に対して、何れの照射時間であっても染色・染着性に優れていることがこの図より明らかである。
(光照射テスト3)
実施例1で製造した感光性染毛料のクリーム(0.5%硫酸銀)と、従来品として比較例1の硫酸銀(0.8%)のみの感光性染毛料のクリーム(モノエタノールアミンを含まず)を、1gの白髪人毛束を2つの束に分け、それぞれに0.5gずつ塗り、窓から1m離れた日陰に60分間放置し、洗剤で洗い白髪の染色・染着性を視覚による官能検査で比較した。
図3は実施例1と比較例1の白髪を、日陰に60分間放置して染色・染着性を比較した図である。
右側の実施例1は、左側の比較例1と比べて、弱い光であっても染色・染着性に優れていることが分かった(図3参照)。
(光照射テスト4)
硫酸銀水溶液の濃度と染色・染着性の関係を調べるテストを行った。
硫酸銀1(重量)に対して1.7(重量)のモノエタノールアミンを加え、それぞれ0.1、0.3、0.5、0.7、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0%の9種類の硫酸銀水溶液のサンプルを作った。この溶液0.5gを1gの白髪人毛に塗布し、青色発光ダイオード・ランプを用いて10分間照射し、よく洗浄して染色・染着性を視覚による官能検査で調べた。サンプル番号と硫酸銀濃度(%)の関係は表1に示す通りである。
[表1]
比較例3として、モノエタノールアミンの代わりにクエン酸0.1を含む硫酸銀0.8%溶液を1gの白髪人毛に塗布し、青色発光ダイオード・ランプを用いて10分間照射し、よく洗浄して染色・染着性を視覚による官能検査で調べた。
図4は9種類のサンプルと硫酸銀濃度ごとの白髪の染色・染着性を比較した図である。サンプル番号10は比較例3を示している。
図4のサンプル番号1〜6は、硫酸銀濃度が濃くなるに従い染色・染着性が向上して優れていくことを示している。0.1%では染色・染着性が良好ではないが、0.2%以上であると濃度が濃くなるに従いより良好になり2.0%までその傾向が続くが、2.0%以上になると染色・染着性の向上が平衡状態であること、そして、サンプル番号10の比較例3は、サンプル番号2の染色・染着性より若干劣ることを示している。このことから、青色発光ダイオード・ランプ(波長は450nm)を用いた10分間照射である短時間の光照射は、硫酸銀濃度が0.2%以上であれば比較例3より染色・染着性が優れており、該濃度が濃くなるに従いその染色・染着性は2.0%まで改善することを示している。
以上の光照射テスト1〜4の結果から、従来の染毛料と比較して、光の照射時間が短くとも白髪が黒く染まり、発色後に洗髪しても落ちない染色・染着性に優れていることが判った。
本発明者等は、この課題の解決に向けて鋭意研究に努めた結果、硫酸銀塩1に対して、アルカノールアミン類1〜4.5であり、水分を有する基質材料に、感光性染毛料全量に対して0.3〜2.0%の前記硫酸銀塩と、0.3〜9.0%のアルカノールアミン類とで形成された不完全な形のアルカノールアミン銀錯塩を含むことで、光の照射時間が短くとも、染色・染着性が著しく向上することを見出して本発明を完成したものである。
上述した問題を解決するために、請求項1に係る発明の感光性染毛料は、水分を有する基質材料に硫酸銀塩及びアルカノールアミン類が混合された感光性染毛料であって、前記硫酸銀塩とアルカノールアミン類の配合量の重量比率が、硫酸銀塩1に対して、アルカノールアミン類1〜4.5であり、前記基質材料に、感光性染毛料全量に対して0.3〜2.0%の前記硫酸銀塩と、0.3〜9.0%のアルカノールアミン類とで形成された不完全な形のアルカノールアミン銀錯塩を含むことを特徴とする。
同様に、請求項2に係る発明の感光性染毛料は、前記基質材料が水溶性成分に油成分が乳化された乳液状であることを特徴とする。
請求項3に係る発明の感光性染毛料は、前記基質材料が所定の溶解媒体中に高分子材料が溶解したゲルであることを特徴とする。
請求項4に係る発明の感光性染毛料は、前記基質材料が水溶液であることを特徴とする。
請求項5に係る発明の感光性染毛料は、前記感光性染毛料が安定化剤として、前記全量に対して硫酸銅0.1〜1.4%を含有することを特徴とする。
請求項6に係る発明の感光性染毛料の製造方法は、水分を有する基質材料にアルカノールアミンと硫酸銀塩を含む感光性染毛料の製造方法であって、前記硫酸銀塩とアルカノールアミン類の配合量の重量比率が、硫酸銀塩1に対して、アルカノールアミン類1〜4.5であり、前記感光性染毛料全量に対して0.2%〜2.0%のアルカノールアミンが溶解している水溶液に、該全量に対して0.3〜9.0%の銀塩を加えること不完全な形のアルカノールアミン銀錯塩を形成することを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に示す「%」は感光性染毛料全量に対する割合を示している。
本発明の実施形態の感光性染毛料は、水分を有する基質材料にアルカノールアミン類と銀塩を含むもので、該アルカノールアミン類は銀塩と錯塩を形成した状態で存在する。つまり、前記感光性染毛料は、通常銀イオンとして存在しているものをアルカノールアミン類との銀錯塩として使用するもので、銀塩はアルカノールアミン類と反応してアルカノールアミン銀錯塩を形成する。そのアルカノールアミン銀錯塩が完全な形の銀錯塩を形成しないために、前記基質材料に感光性染毛料全量に対してアルカノールアミン類が0.3〜9.0%含まれ、前記銀塩が、硫酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酸化銀等の何れか選択された少なくとも一つのものが0.3〜2.0%含まれている。
前記基質材料は、水を含む水溶液であればよく、水溶性成分に油成分が乳化された乳液状でもよく、また、所定の溶解媒体中に高分子材料が溶解したゲルであってもよい。
銀塩とアルカノールアミン類との配合量は銀塩1に対して、アルカノールアミン類1〜4.5の重量比率が好ましい。銀塩は0.3〜2%まで使用されるので、アルカノールアミン類は0.3〜9%の範囲になる。また、硫酸銀は水には0.8%しか溶けないが、アルカノールアミン類の存在下では5%以上も溶解する。
なお、例えば、硫酸銀1.0%に対してモノエタノールアミンを4.8%以上配合すると日光に晒しても全く染毛されないことを見出している。
以下、実施例を説明する。
本発明者等は、この課題の解決に向けて鋭意研究に努めた結果、水分を有する基質材料に0.3〜9重量%のアルカノールアミン類と0.3〜2.0重量%の銀塩を加えることで、完全な形のアルカノールアミン銀錯塩が形成されることがなく、その結果、光の照射時間が短くとも、染色・染着性が著しく向上することを見出して本発明を完成したものである。
上述した問題を解決するために、請求項1に係る感光性染毛料は、水分を有する基質材料に硫酸銀塩及びアルカノールアミン類が混合された、銀イオンが光によって金属銀の微粒子に還元される感光性染毛料であって、前記硫酸銀塩とアルカノールアミン類の配合量の重量比率が、硫酸銀塩1に対して、アルカノールアミン類1〜4.5であり、前記基質材料に、前記感光性染毛料全量に対して0.3〜2.0重量%の前記硫酸銀塩と、0.3〜9.0重量%のアルカノールアミン類とで形成された、銀イオンとアルカノールアミン銀錯塩を含み、該銀イオンが光により還元されることを特徴とする。
同様に、請求項2に係る感光性染毛料は、前記基質材料が水溶性成分に油性分が乳化された乳液状であることを特徴とする。
請求項3に係る感光性染毛料は、前記基質材料が所定の分散・溶解媒体中に高分子材料が分散・溶解したゲルであることを特徴とする。
請求項4に係る感光性染毛料は、前記基質材料が水溶液であることを特徴とする。
請求項5に係る感光性染毛料は、前記感光性染毛料が安定化剤として、前記全量に対して硫酸銅0.1〜1.4重量%を含有することを特徴とする。
請求項6に係る感光性染毛料の製造方法は、水分を有する基質材料に硫酸銀塩及びアルカノールアミン類を含む、銀イオンが光によって金属銀の微粒子に還元される感光性染毛料の製造方法であって、前記硫酸銀塩とアルカノールアミン類の配合量の重量比率が、硫酸銀塩1に対して、アルカノールアミン類1〜4.5であり、前記感光性染毛料全量に対して0.3〜9.0重量%のアルカノールアミンが溶解している水溶液に、該全量に対して0.3〜2.0重量%の硫酸銀塩を加えることで、銀イオンとアルカノールアミン銀錯塩を形成することを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に示す「%」は感光性染毛料全量に対する割合を示している。
前記感光性染毛料は、通常銀イオンとして存在しているものをアルカノールアミン類との銀錯塩として使用するもので、銀塩はアルカノールアミン類と反応してアルカノールアミン銀錯塩と銀イオンを形成する。そのアルカノールアミン銀錯塩が完全な形の銀錯塩を形成しない、即ち、アルカノールアミン銀錯塩と銀イオンを形成するために、前記基質材料に感光性染毛料全量に対してアルカノールアミン類が0.3〜9%含まれ、前記硫酸銀塩が0.3〜2.0%含まれている。

Claims (6)

  1. 水分を有する基質材料に銀塩及びアルカノールアミン類が混合された感光性染毛料であって、
    前記基質材料に感光性染毛料全量に対して0.3〜2.0%の前記銀塩が、硫酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酸化銀等の何れか選択された少なくとも一つのものと、該全量に対して0.3〜9%のアルカノールアミン類を含むことを特徴とする感光性染毛料。
  2. 前記基質材料が水溶性成分に油性分が乳化された乳液状であることを特徴とする請求項1に記載の感光性染毛料。
  3. 前記基質材料が所定の分散・溶解媒体中に高分子材料が分散・溶解したゲルであることを特徴とする請求項1に記載の感光性染毛料。
  4. 前記基質材料が水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の感光性染毛料。
  5. 前記感光性染毛料が安定化剤として、前記全量に対して硫酸銅0.1〜1.4%を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性染毛料。
  6. 水分を有する基質材料に銀塩及びアルカノールアミン類を含む感光性染毛料の製造方法であって、
    前記感光性染毛料全量に対して0.3〜9%のアルカノールアミンが溶解している水溶液に、該全量に対して0.3%〜2.0%の銀塩を加えることを特徴とする感光性染毛料の製造方法。
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