JPWO2010106620A1 - ファスナーストリンガー - Google Patents

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Abstract

開裂横引力以上の横引力が加わった際にはスライダー(50)を操作することなくファスナーストリンガーを開裂させる。左右一対のファスナーテープの対向側縁に沿ってそれぞれ複数の第1及び第2務歯(12,13)を取着したファスナーストリンガーにおいて、第1及び第2務歯(12,13)の噛合頭部(70)に前方頭部(70F)と後方頭部(70R)とを形成するとともに、この前方頭部(70F)と後方頭部(70R)との間に退避用欠落部(71)を形成した。これにより、左右一対のファスナーストリンガーに開裂横引力以上の横引力が加わった場合には、前方頭部(70F)及び後方頭部(70R)同士が互いに接近する方向(OP方向)に倒れ込む動作を行う。すると、左右一対の務歯列同士の噛合が緩み、スライダー(50)を摺動させることなく、噛合状態にあった第1及び第2務歯(12,13)列を分離状態にすることができる。

Description

本発明は、所定の耐横引力を有するとともに、開裂横引力以上の横引力が加わった際にはスライダーを操作することなく開裂するファスナーストリンガーに関する。
近年では、自動車のシートバック側部やドア上方のルーフ室内部等に、自動車が衝突した際に乗員の頭部を保護するサイドエアバッグが搭載されている。このサイドエアバッグ装置は、自動車が衝突して大きな衝撃を受けた後に膨張用ガスを発生させるインフレータと、インフレータからガスが供給されて膨張展開するエアバッグとを有している。サイドエアバッグ装置が作動する前のエアバッグ収納状態では、エアバッグが所定の手順で折り畳まれて自動車用シートのシートバック側部等に収納されており、サイドエアバッグ装置自体はシートカバー等で覆われている。
通常、自動車用シートの表面には、シートのクッション材を覆うためのファブリックや革などのシートカバーが被せられており、サイドエアバッグ装置が装着されているシートバック側部のシートカバーには、エアバッグを膨出させるための膨出用開口が形成されている。従来、この膨出用開口は、所定の力で引っ張ると切断する脆弱な縫合糸によって縫合されていた。
このサイドエアバッグ装置は、自動車が衝突して大きな衝撃を受けたときにその衝撃を感知し、インフレータから高圧ガスを発生させてエアバッグ内に導入し、エアバッグを瞬時に膨張させる。エアバッグ膨出の際には、膨出用開口を縫合している縫合糸に過大な引っ張りの力が加わるので、この力により縫合糸が切断して、閉鎖されていた膨出用開口が開口して、そこからエアバッグが膨出する。このエアバッグは、乗員の側方に展開して乗員の頭部、胸部、腰部などを緩衝支持する。これにより、衝突時に人体に加わる衝撃力を大幅に緩和して、乗員の安全を確保することができる。
ところが、エアバッグの膨出用開口部を縫合糸により閉鎖する構造を採用すると、シートにエアバッグ装置を装着してからシートカバーを被せなければならず、製造工程が限定されてしまうという不具合を生じていた。最近の自動車用シートは、ヒーターや座面調整用のアクチュエータ等多彩な補機類が装着されているものが多く、製造工程における自由度が望まれている。また従来は、納車後にエアバッグ装置の点検が必要になった場合には、シートカバーを取り外さないとエアバッグ装置の点検を行うことができないなど、作業工程が煩雑になっていた。
更に、縫合糸の破断強度は、その縫合状態によっても大きく変化する上に、自動車室内の温度上昇や経年劣化によっても大きく変化するという不具合を生じていた。縫合糸が切断しにくい場合には、緊急時にエアバッグが膨出しなくなるという重大な不具合が発生する。縫合糸の強度が低い場合には、乗員がシートに着座した際にシートカバーに働く引っ張りの力によって縫合糸が破断してしまい、膨出用開口部が開裂してシートクッションなどが露出してしまうというみっともない事態が発生する。
また、エアバッグ膨張展開時には、縫合糸を一本一本順次破断させてゆくことになるので、エアバッグの展開速度が低下するという不具合を生じていた。このように、種々の不具合を有する縫合糸を用いて膨出用開口部を閉鎖する構造に代えて、スライドファスナーを用いた膨出用開口部の閉鎖構造が注目されている。スライドファスナーは、シートカバーに縫着した後であってもスライダーを前後に摺動させることにより膨出用開口部の開閉が自在である。したがって、組立工程の自由度が増して複雑な構造のシートの組立を容易に行うことができるからである。また、エアバッグ装置の点検を行う際においても、スライドファスナーを開閉することによって容易に配線や取り付け部分の点検を行うことができる。
また、務歯同士が噛合しているスライドファスナーの一部において務歯同士の噛合を外し、この状態で横引力を印加し続けると、スライダーを動かすことなく弱い力で順次務歯列の噛合を外してゆくことができる。したがって、一本一本の縫合糸を順次破断させてゆく状況とは異なり、開裂速度を速くすることができるので、エアバッグの膨張展開を素早く行って乗員を効果的に保護することができる。特に乗員の頭部と自動車のサイドガラスとの間隔は狭いので、衝突後短時間にサイドエアバッグを膨張展開させる必要がある。
例えば、特許文献1(特開2006−15158号公報)には、エアバッグの膨出用開口に用いるために、開裂容易な構造を有する緊急開口手段付スライドファスナーが開示されている。
特許文献1に記載されている緊急開口手段付スライドファスナーに用いられている務歯は、ファスナーテープ側縁部の務歯取付部を跨ぐように固着する二つの脚部と、二つの脚部を繋ぐ胴体部と、左右一対の務歯同士を横引き方向に噛合させるため外端部に形成した噛合頭部と、当該噛合頭部と前記胴体部とを接続する括れた首部とを有している。また、前記噛合頭部の頂部には、噛合軸線に平行な溝が形成されている。更にこの溝に嵌合させるための肩部が、務歯の表裏方向の中央部において、胴体部と首部から張り出す形で形成されている。
前記噛合頭部は、噛合された務歯列が横引き方向に開裂するのを防止するために、対向して配された他方のファスナーテープに固着されている二つの隣接する務歯の首部の間に嵌入させて使用する。務歯の首部と胴体部とから張り出す形で形成されている肩部は、対向する噛合頭部に設けられた溝部と嵌合するので、左右のファスナーストリンガー同士が剪断方向にずれて噛合が外れることを防止している。
更に、特許文献1に記載されているスライドファスナーでは、この務歯の肩部に対して嵌合する噛合頭部の裏面側を切除することにより、表裏非対称な鼻部形状とした務歯をスライドファスナーの中央部に2個配置してある。この部分は、スライドファスナーの裏面側からの突上力に対して開裂しやすい部分となり、エアバッグ膨出時におけるスライドファスナーにおける開裂起点となる。
特開2006−15158号公報
上記のように、特許文献1に記載されている緊急開口手段付スライドファスナーでは、エアバッグの膨張などにより裏側から力が加わった際に、噛合している務歯同士を外れやすくするために、スライドファスナーの中央部に開裂起点を形成してある。エアバッグ膨張時には、最初に表裏非対称な噛合頭部を有する開裂起点において噛合が外れ、以降エアバッグの膨出に伴って、スライドファスナーの端部に向けて順次噛合が外れるように構成されている。
このように、エアバッグの膨出用開口の閉鎖用として種々の利点を備えたスライドファスナーではあるが、特許文献1に記載されている務歯の形状では、何らかの要因により過大な横引力が印加された際に、務歯の首部、又は脚部における薄肉部分において破断が発生し、務歯の噛合頭部がファスナーテープから離間する可能性がある。
また、特許文献1に記載されているスライドファスナーは、表から務歯が直接見えるスライドファスナーであるために、自動車のシートカバーにおける膨出用開口部の閉鎖用として用いる場合には、スライドファスナーの表側に、別途フラップなどの覆いを付ける必要があった。スライドファスナーの表面に覆いを取り付けると、その場所にスライドファスナーが存在していることが一目瞭然であり、外観から生地の接合部が見えるという不具合を生ずる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、スライダーを摺動させることなく左右の務歯列同士を分離状態にする際の開裂横引力を、用途に応じて適宜設定可能にするとともに、開裂横引力以上の横引力を加えて左右のファスナーストリンガー同士を開裂させた場合であっても、その加えた横引力によって務歯が破断するという不具合を減少させることが可能なファスナーストリンガーを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係るファスナーストリンガーは、左右一対のファスナーテープの対向側縁に沿ってそれぞれ複数の第1及び第2務歯が取着された第1及び第2ファスナーストリンガーにおいて、前記第1及び第2務歯は、前記ファスナーテープに固着する固着脚部と、前記固着脚部から相手方の第2又は第1務歯に向けて延出する噛合首部と、当該噛合首部から更に延出するとともにファスナーテープ長さ方向前方に膨出する前方頭部と、後方に膨出する後方頭部と、前記前方頭部と前記後方頭部との間に形成した前記前方頭部と後方頭部とが互いに近接する方向に移動可能とするための退避用欠落部と、を有してなることを特徴とする。なお、ここでいう「前記固着脚部から相手方の第2又は第1務歯に向けて」とは、後述するL又はR方向を指す。
また、前記第1及び第2ファスナーストリンガーの前記ファスナーテープ面のうちの一面をファスナーストリンガーの表面とし、他の面を裏面とした場合に、前記退避用欠落部を、前記ファスナーストリンガーの表裏方向に貫通する溝として形成し、前記前方頭部及び後方頭部を、それぞれ独立した頭部として形成することもできる。
また、前記前方頭部と後方頭部とを直接接続する架橋部を形成することもできる。
本発明に係るファスナーストリンガーによれば、噛合頭部の中央部に退避用欠落部を形成し、その退避用欠落部を挟んだ両側に、前方頭部及び後方頭部を形成した。これにより、噛合状態にある左右の務歯列同士を引き離す方向に向けて開裂横引力以上の横引力を加えると、前方頭部及び後方頭部同士が接近する方向に倒れ込んで、退避用欠落部が狭まる。すると、前方頭部と後方頭部との外側の差し渡し寸法(噛合頭部の前後方向の幅)が減少して、左右一対の務歯列同士の噛合が緩み、噛合状態にあった務歯列同士を分離状態にすることができる。
また、前方頭部と後方頭部とが起端する噛合首部の形状、退避用欠落部の深さと、素材の物性等を適宜調節することで、前方頭部及び後方頭部の剛性を所定の範囲に設定することができる。これにより、左右の務歯列同士を強制的に分離状態にする際の開裂横引力を強く設定したり、逆に弱く設定したりすることが容易となり、幅広い用途に応じて開裂横引力を適宜設定することが可能となる。
また、開裂横引力をある程度強く設定する必要がある場合において、スライダーを用いずに開裂横引力以上の横引力を加えてファスナーストリンガーを開裂させた場合に、加えた横引力によって務歯が破断するという不具合を減少させることができる。更に、務歯の破断を減少させることで、務歯の破片が飛散する不具合を減少させることができる。
ファスナーストリンガーを自動車用シートのエアバッグの膨出用開口部に用いる場合や、膨張用ガスにより膨らむライフジャケットの膨出用開口部等に用いる場合のように、開裂横引力の値を幅広い温度環境下(例えば、−30°〜+80°の間。)で満たさなくてはならない場合がある。このような場合においても、本発明に係るファスナーストリンガーを用いることによって、要求される仕様を満たすことが容易となる。
また、噛合頭部の先端に、前方頭部と後方頭部とを直接接続する架橋部を形成することによって、務歯先端に形成されている退避用欠落部が、対向する側の務歯の前方頭部又は後方頭部に引っ掛かったり、スライダー内部の案内柱の鋭頭部に引っ掛かったりすることにより、スライダーの滑らかな摺動が妨げられる不具合を減少させることができる。
図1は、本発明に係るファスナーストリンガーを自動車用シートのシートバック側部に適用した使用例を示す図である。 図2は、本発明に係るファスナーストリンガーを用いたスライドファスナーを表面側から観察した斜視図であり、一部においてスライドファスナーの噛合軸線に対して直角な断面をとって示した図である。 図3は、図2に示したスライドファスナーにおける第1務歯列の拡大斜視図である。 図4は、スライダーを引き上げて、第1務歯列と第2務歯列とを噛合させた状態を示す務歯列単体の正面断面図である。 図5は、左右一対の務歯列同士を噛合させた状態を示す務歯列単体の平面図であり、同図の下部に示した左右一対の務歯については表裏方向における中央部にて切断した断面を表している。 図6は、左右一対の歯列同士を噛合させた状態において、開裂横引力以上の横引力を加えた際の噛合状態を示す務歯列単体の平面図である。 図7は、左右一対の務歯列が分離状態となった状況を表す務歯の平面図である。 図8は、一方の務歯列のみに退避用欠落部を形成した他の実施形態を説明する務歯列単体の平面図である。 図9は、一部の務歯に退避用欠落部を形成した他の実施形態を説明する務歯列単体の平面図である。 図10は、U字状に折り曲げた隠しスライドファスナー用のファスナーストリンガーの一側縁に、本発明に係る務歯を取着した状態を示す斜視図である。 図11は、表裏方向に対称な務歯の噛合頭部に前方頭部と後方頭部とを形成し、前方頭部と後方頭部との間に表裏方向に貫通する溝形の退避用欠落部を形成した他の実施形態を示す斜視図である。 図12は、U字状に折り曲げた隠しスライドファスナー用のファスナーストリンガーの一側縁に第1務歯を取着した状態を示す斜視図である。 図13は、図12に示す第1務歯をL−R方向の切断面で切断した正面断面図である。 図14は、図12及び図13に示した左右一対の務歯列にスライダーを挿通させて、務歯列同士の噛合又は分離を行っている状態を示す背面図である。 図15は、コイル状のモノフィラメントに本発明を適用した他の実施形態を示す背面図である。
符号の説明
10 スライドファスナー
12、112、412 第1務歯
212、312、512 務歯
12D 表係止部
12H 表裏噛合溝
12R 裏係止部
12S 表裏噛合突起
13、113、413 第2務歯
14 芯紐
15 縫工糸
16、416 第1ファスナーストリンガー
216、316、516 ファスナーストリンガー
17、417 第2ファスナーストリンガー
50 スライダー
50D 案内柱
50E 張出部
50F フランジ
52 上翼片
59 引手
70 噛合頭部
70F 前方頭部
70R 後方頭部
71 退避用欠落部
72 固着脚部
73 架橋部
74、75 縫工部
76 連結糸
77 嵌挿部
78 噛合首部
79 鰓部
91 自動車用シート
92 サイドエアバッグ装置
93 シートクッション
93a シートカバー
94 シートバック
94a シートカバー
以下、本発明に係るファスナーストリンガーの代表的な実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明に係るファスナーストリンガーを備えるスライドファスナーを自動車用シートのシートバック側部に適用した使用例を示す図である。例えば、本発明に係るファスナーストリンガーは、サイドエアバッグ装置92が内部に装着された自動車用シート91のシートカバー開口部に使用することができる。図1に示した自動車用シート91は、座部を形成するシートクッション93と、背もたれ部を形成するシートバック94とを有している。これらのシートクッション93やシートバック94の内部には、自動車用シート91の全体形状を形成するシートフレームや、乗員が自動車用シート91に着座した際の荷重を平均して受圧するシートスプリング、発泡性合成樹脂を所定形状に成形したクッション部材等を有している。同クッション部材の表面は、ファブリックや革などのシートカバー93a、94aにて被覆してある。
シートバック94の側部には、自動車が衝突して大きな衝撃を受けたときに乗員の側方側に展開させることにより、乗員の頭部側方に加わる衝撃を大幅に緩和するサイドエアバッグ装置92が内蔵されている。このサイドエアバッグ装置92の膨出用開口は、スライドファスナー10にて閉鎖されている。なお、自動車用シート91の内部には、サイドエアバッグ装置92の他、座面調節用のアクチュエータやその作動機構、座面において暖房を行うヒーター、その他補機類が装着されているものもある。
このシートカバー94aは、サイドエアバッグ装置92その他の補機類を組付けた後に背もたれ部に被せ、スライダー50(後段にて説明する図2参照。)を摺動させることにより、スライドファスナー10を用いて閉鎖している。なお、スライドファスナー10として裏面側に務歯列を配置した隠しスライドファスナーを用いることによって、シートバック94側部の見栄えを良くすることができる。また、隠しスライドファスナーを用いない場合には、スライドファスナー10の表面にフラップ等を配置して、務歯列を外部から隠すようにすることもできる。
自動車用シート91に乗員が着座すると、シートバック94の背もたれ中央部が乗員の荷重により凹むので、シートバック94側部を覆っているスライドファスナー10には横引き力が加わる。スライドファスナー10は、この通常使用時に加わる横引力に対して十分耐える能力が必要である。その一方、自動車が衝突した際には、スライドファスナー10を瞬時に開裂させて、エアバッグを膨出させなければならない。したがって、スライドファスナー10は、好ましくは10N/cm程度の通常加わる横引力には十分耐え、エアバッグの膨張により150〜350N/cmの横引力が加わった場合には、20/1000秒以内に開裂してエアバッグを膨出させる必要がある。
そこで、本発明に係るファスナーストリンガーを用いたスライドファスナー10では、所定の耐横引力を有するとともに、開裂横引力以上の横引力が加わった際にはスライダーを操作することなく開裂するように、スライドファスナー10における務歯の噛合頭部の形状を工夫している。本発明に係るファスナーストリンガーを用いたスライドファスナー10の外観について、図2を用いて説明する。
図2は、本発明に係るファスナーストリンガーを用いたスライドファスナー10を表面側から観察した外観斜視図であり、務歯の形状を説明するために、スライドファスナー10のファスナーテープ長さ方向に延びる噛合軸線(FS−RS方向の軸線)に対して直角な断面(L−R方向で切断した断面)を取って示してある。図3は、図2に示したスライドファスナー10における第1務歯12(第2務歯13)列のみを拡大して説明する斜視図である。
図2に示すように、スライドファスナー10は、第1ファスナーストリンガー16及び第2ファスナーストリンガー17と、第1ファスナーストリンガー16及び第2ファスナーストリンガー17を構成するファスナーテープと、当該ファスナーテープの対向する務歯取付部に沿って配した第1務歯12列及び第2務歯13列と、第1務歯12列及び第2務歯13列を挿通させながら前後(FS−RS方向)に動かすことにより第1務歯12列及び第2務歯13列同士を噛合させたり離したりするスライダー50とを備えている。
なお、スライドファスナー10の座標系に関し、スライダー50を摺動させた際に、第1務歯12及び第2務歯13同士が噛合状態となる摺動方向をスライドファスナー10の前方(図2に示すFS方向。)と定義する。また、スライダー50を摺動させた際に、噛合状態にあった第1務歯12及び第2務歯13同士が分離することとなる摺動方向を、スライドファスナー10の後方(図2に示すRS方向。)と定義する。また、第1及び第2ファスナーストリンガー16、17のファスナーテープ面のうちの一面をスライドファスナー10の表面(図2に示す実施形態では上面側、後段にて説明する図4ではOS方向。)とし、他の面を裏面(図2に示す実施形態では下面側、後段にて説明する図4ではUS方向。)と定義する。また、図2に示す右側をR方向、左側をL方向と定義する。なお、スライダー50は、必ずしも常時ファスナーストリンガーに接続してある必要はなく、例えば第1務歯12列及び第2務歯13列を噛合状態としたあとに、スライダー50を取り除いたものを自動車用シート91に使用してもよい。
図2に示すスライドファスナー10の務歯取付部は、裏側に向けてU字状に反転した形状をしている。この、U字状に反転した第1ファスナーストリンガー16及び第2ファスナーストリンガー17の務歯取付部には、第1務歯12列及び第2務歯13列が縫工糸15により縫着されている。なお、図2に示すスライドファスナー10はコンシール性を備えた隠しスライドファスナーであるが、本発明は隠しスライドファスナーに用いるファスナーストリンガーのみに限定するものではなく、後段にて説明する図11に示す形式のスライドファスナーにも適用することができる。また、図2に示すスライドファスナー10の第1務歯12列及び第2務歯13列は、合成樹脂を射出成形により成形した務歯列であるが、本発明は射出成形により成形した務歯に限定するものではなく、ジグザグ状やコイル状のモノフィラメントによる務歯列(後段にて説明する図15参照。)に適用することも可能である。
図2に示すように、第1務歯12及び第2務歯13は、左右一対の務歯同士を噛合させるための噛合頭部70(図3参照)と、当該噛合頭部70の基部を形成する噛合首部78(図3参照)と、この噛合首部78から二股に分かれて噛合首部78の反対側に向けて延出する一対の固着脚部72とを有している。
第1務歯12及び第2務歯13における噛合首部78から相手方の第2務歯13又は第1務歯12に向けて延出する噛合頭部70は、スライドファスナー10の前方(FS方向)に向けて膨出する前方頭部70Fと、後方(RS方向)に膨出する後方頭部70Rとを有している。
図3に示すように、前方頭部70Fの固着脚部72側であって一対の固着脚部72と前方頭部70Fの裏側とで囲まれる部分には、噛合時において相手方の第2務歯13(又は第1務歯12)の噛合頭部70を銜え込む空間となる嵌挿部77を形成してある。図3では、第1務歯12(又は第2務歯13)の影に隠れて見えないが、一対の固着脚部72と後方頭部70Rの裏側とで囲まれる部分には、噛合時において相手方の第2務歯13(又は第1務歯12)の噛合頭部70を銜え込む空間となる嵌挿部77を形成してある。また図3に示すように、噛合首部78の前後側の側壁部であって、嵌挿部77の表裏側のそれぞれには、噛合時において相手方の第2務歯13(又は第1務歯12)の噛合頭部70が、スライドファスナー10の表裏側に外れることを防止する鰓部79が突出する形で形成してある。
前方頭部70Fと後方頭部70Rとの間には、スライドファスナー10の左右方向(L−R方向)に横引力を加えた際に、前方頭部70F及び後方頭部70Rがそれぞれ互いに接近する方向(図3に示す実施形態では、OP方向。)に倒れ込むことを許容する退避用欠落部71を形成してある。図2及び図3に示す実施形態では、退避用欠落部71は、スライドファスナー10の表裏方向に対して貫通する形の溝としてある。退避用欠落部71は、前方頭部70FのFS方向先端(ファスナーテープの長さ方向先端)と、後方頭部70RのRS方向先端(ファスナーテープの長さ方向先端)との中間(好ましくは中央)に位置し、かつ、固着脚部72へ向けて、延出した溝状の欠落部71であって、固着脚部72側の端部とは反対側の端部が開放されている。したがって、前方頭部70Fと後方頭部70Rとは、噛合首部78よりも更に相手側の噛合頭部70に向けて膨出し、スライドファスナー10の前後方向(FS−RS方向)に独立した頭部として形成されている。
図2に示すように、前方頭部70F及び後方頭部70Rから延出する一対の固着脚部72のうち、第1ファスナーストリンガー16又は第2ファスナーストリンガー17側の固着脚部72の内周側の中央部には、第1務歯12列及び第2務歯13列を第1ファスナーストリンガー16又は第2ファスナーストリンガー17に対して縫着するための縫工糸15が跨ぐこととなる縫工部74(凹条溝)を形成してある。
更に、固着脚部72の端部と前方頭部70F及び後方頭部70Rとの間の外周側の部分にも、縫工糸15が跨ぐ縫工部75(凹条溝)を形成してある。なお、この縫工部74及び縫工部75は、固着脚部72に予め形成した凹条溝に限定されるものではない。例えば、合成樹脂製のモノフィラメントによる連続した務歯のように、縫工糸15によって縫着した後に、縫着により脚部が撓んで形成される縫工部も含まれる。
一対の固着脚部72の端部には、第1務歯12列及び第2務歯13列を形成するにあたって第1務歯12及び第2務歯13の間隔を均一に設定して連結する連結糸76を挿通してある。連結糸76は、第1務歯12列及び第2務歯13列を成形する際に、インサート成形法により一体成形したものである。
次に、左右一対の第1務歯12列及び第2務歯13列を噛合させた状態について説明する。図4は、スライダー50を前方(FS方向)に引き上げて、第1務歯12列と第2務歯13列とを噛合させた状態を表す正面断面図である。図5は、第1務歯12列と第2務歯13列とを噛合させた状態を示す務歯列単体の平面図であり、同図の下部に示した一対の第1務歯12及び第2務歯13については、表裏方向の中央部にて切断した断面を表している。なお、図3にて説明した部位と同一の部位については同一の符号を付して、その説明を省略する。また、スライドファスナー10の座標軸に関し、実際に製品にスライドファスナー10を縫着した状態において、製品の表側となる面の方向を図4に示すOS方向と定義し、裏側となる方向を図4に示すUS方向と定義する。
図4に示すように、第1務歯12列と第2務歯13列とを噛合させた噛合状態においては、噛合頭部70が相手方の務歯の噛合頭部70と鰓部79とで囲まれる嵌挿部77に嵌挿された状態となっている。このように、第1務歯12列の噛合頭部70と第2務歯13列の噛合頭部70とが互いに噛合することにより、第1ファスナーストリンガー16及び第2ファスナーストリンガー17を左右方向(図4に示す実施形態では、L−R方向。)に引っ張った際の横引力に耐えることができる。
また、第1務歯12列の鰓部79と第2務歯13列の鰓部79とが互いに突き合わさる形で噛合することにより、第1ファスナーストリンガー16及び第2ファスナーストリンガー17を左右方向(図4に示す実施形態では、L−R方向。)から押圧する力に耐えることができる。また、第1務歯12列(又は第2務歯13列)の噛合頭部70を、第2務歯13列(又は第1務歯12列)の鰓部79に挟む形で噛合させることにより、第1ファスナーストリンガー16及び第2ファスナーストリンガー17を表裏方向(図4に示す実施形態では、OS−US方向。)に向けて、互いにずらした際の剪断の力に耐えることができる。
なお、図2〜図4に示すスライドファスナー10では、第1ファスナーストリンガー16及び第2ファスナーストリンガー17を左右方向に引っ張ると、裏面側にオフセットした位置に縫着されている第1務歯12列及び第2務歯13列には、それぞれ回転する力が加わる。
図2〜図4に示されるスライドファスナー10を、図1に示したように、自動車用シート91のシートカバー94aの開口部の閉鎖用に用いると、シートの内部に配されているクッション部材の弾性や、自動車用シート91に乗員が着座したことにより加わる横引力に対して十分耐えることができる。また、第1務歯12列及び第2務歯13列を回転させる力が加わった場合であっても、噛合が簡単に外れてしまう不具合を減少させることができる。
なお、図5に示すように、第1務歯12列と第2務歯13列とを噛合させた状態では、第1務歯12(又は第2務歯13)の噛合頭部70が、第2務歯13(又は第1務歯12)の嵌挿部77に入り込んだ状態となっている。
次に、第1務歯12列及び第2務歯13列を噛合させた状態において過大な横引力を印加する場合について説明する。噛合状態にある第1務歯12列及び第2務歯13列に横引力を加えると、第1務歯12列の噛合頭部70と第2務歯13列の噛合頭部70とがそれぞれ左右方向に引っ張られる。このとき、図5に示すように、噛合頭部70の先端中央部には退避用欠落部71が形成されているために、前方頭部70Fと後方頭部70Rとは互いに接近する方向(OP方向)に倒れ込む。すると、噛合頭部70における前後方向の差し渡し寸法(FS−RS方向の幅。)が減少するので、第1務歯12及び第2務歯13を互いに離間させる方向に引き抜いてゆくことが可能となる。ここで、噛合頭部70の前方頭部70Fと後方頭部70Rとが起端する噛合首部78の形状、退避用欠落部71の深さ、素材の物性等を適宜調節することで、前方頭部70F及び後方頭部70Rの剛性を所定の範囲に設定することができる。
次に、開裂横引力以上の横引力が加わった場合において、噛合首部78が変形する様子を図6に示す。図6は、第1務歯12列と第2務歯13列とを噛合させた状態において、左右方向(L−R方向)に開裂横引力以上の横引力を加えた際の噛合状態を示す務歯列単体の平面図である。また、第1務歯12列と第2務歯13列とが開裂して分離した状態を図7に示す。図7は、第1務歯12列と第2務歯13列とが分離状態となった状況を表す務歯列の平面図である。なお、図5にて説明した部位と同一の部位については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6に示すように、開裂横引力以上の横引力(例えば、130N/cm以上の横引力。)が加わった場合には、前方頭部70Fと後方頭部70Rとが互いに接近する方向(OP方向)に倒れ込み、退避用欠落部71の隙間が狭くなる。すると、退避用欠落部71の隙間が狭くなったぶんだけ噛合頭部70の差し渡し寸法が減少するので、第1務歯12及び第2務歯13を互いに離間する方向に引き抜いてゆくことが可能となる。
更に、横引力を増加させてゆくと、図7に示すように、第1務歯12列及び第2務歯13列の噛合が完全に外れて離間した状態となる。なお、図7に示す状態では、第1務歯12列及び第2務歯13列同士が分離したことにより、前方頭部70Fと後方頭部70Rとが元の位置まで弾性復帰して、退避用欠落部71の隙間も元の隙間まで開いた状態を示してある。なお、本発明は噛合頭部70を弾性変形させる実施形態に限定するものではなく、塑性変形させることもできる。このように、前方頭部70Fと後方頭部70Rとを倒れ込ませるための退避用欠落部71を形成しておくことによって、務歯に想定以上の応力が加わることによる破断を防止することができる。
次に、前方頭部70Fと後方頭部70Rとの間に退避用欠落部71を形成した他の実施形態について説明する。図8は、片方の第1務歯12列のみに退避用欠落部71を形成した実施形態を説明する務歯列単体の平面図である。図9は、一部の務歯に退避用欠落部71を形成した他の実施形態を説明する務歯列単体の平面図である。なお、図5にて説明した部位と同一の部位については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8に示すように、一方の第1務歯12列の噛合頭部70みに退避用欠落部71を形成し、他方の第2務歯113列には退避用欠落部71が形成されていない通常の務歯列を用いても、所定の開裂横引力以上の横引力が加わった場合に開裂させることができる。この場合には、第2務歯113列の噛合頭部は変形しないので、第1務歯12列の噛合頭部70に形成した退避用欠落部71の幅を広く設定しておくとよい。
また、図9に示すように、退避用欠落部71が形成されていない通常の第1務歯112列及び第2務歯113列をスライドファスナーの前後に配置し、スライドファスナーの中央部の一部に、退避用欠落部71を形成した第1務歯12列及び第2務歯13列を配する構成を用いることもできる。この場合には、第1務歯12列及び第2務歯13列を配した部分(以降、開裂起点と呼ぶ。)に所定の開裂横引力以上の横引力が加わると、その部分で噛合が外れる。
一般にスライドファスナーでは、この開裂起点において噛合が外れると、以降スライダーを操作することなくスライドファスナーの両端部に向けて、第1務歯112列及び第2務歯113列の噛合が順次外れてゆく。この、順次噛合を外してゆくのに必要な横引力は、開裂横引力よりもはるかに低い横引力である。
次に、前方頭部70Fと後方頭部70Rとの間に退避用欠落部71を形成した務歯の他の実施形態について、図10〜図13を用いて説明する。図10は、U字状に折り曲げた隠しスライドファスナー用のファスナーストリンガー216の一側縁に務歯212をインサート成形により取着した状態を示す斜視図である。なお、図5にて説明した部位と同様の機能を有する部位については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図10に示すように、務歯212は、固着脚部72にて折り曲げたファスナーストリンガー216の一側縁に取着されている。務歯212の噛合頭部70は、噛合首部78から膨出する前方頭部70Fと後方頭部70Rから形成されており、前方頭部70Fと後方頭部70Rとの間には、表裏方向に貫通する退避用欠落部71が形成されている。
噛合首部78及び噛合頭部70の表面側に形成されている平坦部は、裏係止部12Rであり、噛合首部78の固着脚部72側に形成されている嵌挿部77の上方には、下方に向けた平坦部が形成されている。この、下方に向けた平坦部は、対向する側の務歯の噛合頭部70が嵌挿部77に嵌挿された際に、その噛合頭部70の上面に形成されている裏係止部12Rと噛合する表係止部12Dである。この、裏係止部12Rと表係止部12Dとが係合することにより、表裏方向に対する噛合を行うことが可能となる。
図10に示す構成の務歯212列同士を噛合させた場合においても、噛合状態にあるファスナーストリンガー216に開裂横引力以上の横引力を加えることで、前方頭部70Fと後方頭部70Rとを互いに接近する方向に倒れ込ませることができる。これにより、退避用欠落部71の隙間が狭くなって、スライダーを用いずに務歯212同士の噛合を外すことができる。
次に、図11を用いて、ファスナーストリンガー316の一側縁に務歯312をインサート成形により取着した実施形態について説明する。図11は、表裏方向に対称な務歯312の噛合頭部70に、噛合首部78から膨出する前方頭部70Fと後方頭部70Rとを形成し、前方頭部70Fと後方頭部70Rとの間に表裏方向に貫通する溝形の退避用欠落部71を形成した実施形態を示す斜視図である。
噛合頭部70の先端中央には、ファスナーストリンガー316のファスナーテープと平行な表裏噛合溝12Hが形成されている。また、嵌挿部77の中央部には、対向する側の務歯の表裏噛合溝12Hと係合する表裏噛合突起12Sを形成してある。この、表裏噛合溝12H及び表裏噛合突起12Sは、対向する側の務歯の表裏噛合突起12S及び表裏噛合溝12Hとそれぞれ係合して、表裏方向の噛合を行う部分である。
図11に示す構成の務歯312列同士を噛合させた場合においても、噛合状態にあるファスナーストリンガー316に開裂横引力以上の横引力を加えることで、前方頭部70Fと後方頭部70Rとを互いに接近する方向に倒れ込ませることができる。これにより、退避用欠落部71の隙間が狭くなって、スライダーを用いずに務歯312同士の噛合を外すことができる。
次に、前方頭部70Fと後方頭部70Rとの間に架橋部73を形成した実施形態について、図12〜図14を用いて説明する。図12は、U字状に折り曲げた隠しスライドファスナー用の第1ファスナーストリンガー416の一側縁に第1務歯412をインサート成形により取着した状態を示す斜視図である。図12に示す第1務歯412は、図10に示した務歯212と略同様の形状をしており、図12では第1務歯412をスライドファスナーの裏面側から観察した斜視図である。また、図13は、図12に示す第1務歯412をL−R方向の切断面で切断した第1務歯412の正面断面図である。図14は、図12及び図13に示した第1務歯412列及び第2務歯413列にスライダー50を挿通させて、第1務歯412列及び第2務歯413列同士の噛合又は分離を行っている状態を示す背面図である。なお、図10にて説明した部位と同様の機能を有する部分については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図12及び図13に示すように第1務歯412は、U字型に折り曲げた第1ファスナーストリンガー416の一側縁に取着されている。第1務歯412の噛合頭部70は、噛合首部78から膨出する前方頭部70Fと後方頭部70Rから形成されており、前方頭部70Fと後方頭部70Rとの間には退避用欠落部71が形成されている。また、図12及び図13に示すように、第1務歯412の噛合頭部70の先端の表面には、前方頭部70Fと後方頭部70Rとの間を滑らかにつなぐ架橋部73を形成してある。なお、第1ファスナーストリンガー416及び第2ファスナーストリンガー417(図14参照)は、同一の形態のものを用いることができる。
噛合頭部70の中央部に退避用欠落部71が形成されていると、スライダー50(図14参照)を摺動させて左右の第1務歯412列及び第2務歯413列同士を噛合させてゆく際に、噛合頭部70の中央部に形成されている退避用欠落部71に、対向する側の務歯の前方頭部70F又は後方頭部70Rが入り込んでしまう可能性がある。このように、退避用欠落部71と前方頭部70F又は後方頭部70Rとが干渉すると、スライダー50を摺動させる際に引っ掛かりが生じ、滑らかな摺動が阻害される可能性がある。特に、退避用欠落部71の開口幅が広く、前方頭部70F又は後方頭部70Rが小さめな場合であって、退避用欠落部71がスライドファスナーの表裏方向に貫通する溝として形成されている場合には、スライダー50の摺動時に引っ掛かる不具合が発生し易い。
このように、凹形状の退避用欠落部71と、凸形状の前方頭部70F又は後方頭部70Rとが干渉する可能性がある場合には、噛合頭部70先端の表面の曲率を大きく設定することで、その干渉を低減することができる。更に、図12及び図13に示すように、噛合頭部70の表面の少なくとも一部に、前方頭部70Fと後方頭部70Rとの間を滑らかにつなぐ架橋部73を形成することで、退避用欠落部71と前方頭部70F又は後方頭部70Rとの干渉を減少させることができる。
次に、図14を用いて第1務歯412列及び第2務歯413列にスライダー50を挿通させた状態について説明する。図14は、第1ファスナーストリンガー416及び第2ファスナーストリンガー417にスライダー50を挿通させた状態で、スライドファスナーの裏面側から観察した背面図であり、スライダー50を下翼板の直上部で切断した状態を示す断面図である。
先ず、図14を用いてスライダー50の構成について概略説明する。図14に示すようにスライダー50は、スライダー50の底部を形成する下翼片(図示せず)の前方側(FS側)から案内柱50Dが立設している。この案内柱50Dの図14に示す紙面の奥側には、案内柱50Dから張り出す張出部50Eが形成されている。この張出部50Eの更に奥側には、引手59(図2参照)が傾倒自在に遊嵌されている。
スライダー50の下翼片(図示せず)の左右側縁からは、それぞれフランジ50Fを立設させてある。それぞれのフランジ50Fの上端部には、下翼片と略平行で中央部の張出部50Eに向けて延出させた上翼片を形成してある。下翼片の上面と、案内柱50Dの左右両側面と、上翼片の下面とで囲まれたY字型の空間部分は、左右の第1ファスナーストリンガー416及び第2ファスナーストリンガー417の一側縁に取着した第1務歯12列及び第2務歯13列を挿通する務歯案内通路である。
図14に示す案内柱50DのRS方向の端縁は、噛合状態にある左右の第1務歯412列及び第2務歯413列を分離させるための部分である。第1務歯12列及び第2務歯13列を務歯案内通路内に挿通した状態で、スライダー50をRS方向に摺動させると、噛合状態にある第1務歯12列及び第2務歯13列がスライダー50の後口から導入され、左右方向に分離させることができる。分離した第1務歯12列及び第2務歯13列は、スライダー50の双方の肩口から排出される。ここで、後口はスライダー50の後方端部(RS方向端部)で、肩口は案内柱50D側の端部の両側に開口する部分である。
また、スライダー50を図14に示す下方向(FS方向)に摺動させると、分離状態にある第1務歯412と第2務歯413とが肩口から導入され、フランジ50Fに沿って案内されて合流し、噛合状態となって図14に示す上側のスライダー50の後口から排出される。
図12〜図14に示すように、第1務歯412、第2務歯413の噛合頭部70先端に架橋部73を形成することによって、噛合時における退避用欠落部71と前方頭部70F又は後方頭部70Rとの干渉を減少させて、スライダー50の摺動を滑らかにすることができる。また、スライドファスナーの分離時には、退避用欠落部71がスライダー50の案内柱50Dの端部と干渉する不具合を減少させて、スライダー50の摺動を滑らかにすることができる。
また、図12〜図14に示す実施形態においても、第1務歯412列及び第2務歯413列同士を噛合させた状態において、第1ファスナーストリンガー416及び第2ファスナーストリンガー417に開裂横引力以上の横引力を加えることで、前方頭部70Fと後方頭部70Rとが互いに接近する方向に倒れ込み、退避用欠落部71の隙間が狭くなって、スライダー50を用いずに第1務歯412列及び第2務歯413列同士の噛合を外すことができる。
次に、前方頭部70Fと後方頭部70Rとの間に退避用欠落部71を形成した務歯の他の実施形態について図15を用いて説明する。図15は、コイル状のモノフィラメントによる務歯512の噛合頭部70の先端に、退避用欠落部71を形成した実施形態を示す背面図である。
図15に示すように、ファスナーストリンガー516の一側縁には、コイル状のモノフィラメントによる務歯512列が縫着されている。務歯512の先端には、噛合頭部70が形成されている。噛合頭部70の表裏側の両端からは、図15に示すL方向に向けて、2つの脚部が二股に分かれて延出している(なお、図15は背面図であるので、2つの脚部は重なって見える。したがって図15では、裏面側の脚部のみが見えている)。このコイル状の務歯512をファスナーストリンガー516に縫着する際には、コイル状の務歯512の連通する中央部に芯紐14を挿通し、脚部に縫工糸15を跨がせて芯紐14ごと縫着する。
務歯512の噛合頭部70は、噛合首部78から膨出する前方頭部70Fと後方頭部70Rから形成されており、前方頭部70Fと後方頭部70Rとの間にはスライドファスナーの表裏方向に貫通する退避用欠落部71を形成してある。この前方頭部70F、後方頭部70R、及び退避用欠落部71は、合成樹脂製のモノフィラメントによる務歯512を成形した後に、ヒーターや超音波を用いた溶融加工等により形成することができる。
このように、コイル状の務歯512の噛合頭部に、前方頭部70F、後方頭部70R、及び退避用欠落部71を形成することによって、務歯512同士を噛合させた場合においても、噛合状態にあるファスナーストリンガー516に開裂横引力以上の横引力を加えた際に、前方頭部70Fと後方頭部70Rとを互いに接近する方向に撓ませることができる。すると、退避用欠落部71の隙間が狭くなって、スライダーを用いずに務歯512同士の噛合を外すことができる。
本発明に係るファスナーストリンガーは、エアバッグの膨出用開口部に用いることができる他、膨張用ガスにより膨らむライフジャケットの膨出用開口部、その他の用途に用いることができる。

Claims (4)

  1. 左右一対のファスナーテープの対向側縁に沿ってそれぞれ複数の第1及び第2務歯(12,13)が取着された第1及び第2ファスナーストリンガー(16,17)において、
    前記第1及び第2務歯(12,13)は、前記ファスナーテープに固着する固着脚部(72)と、前記固着脚部(72)から相手方の第2又は第1務歯(13,12)に向けて延出する噛合首部(78)と、当該噛合首部(78)から更に延出するとともにファスナーテープ長さ方向前方に膨出する前方頭部(70F)と、後方に膨出する後方頭部(70R)と、前記前方頭部(70F)と前記後方頭部(70R)との間に形成した前記前方頭部(70F)と後方頭部(70R)とが互いに近接する方向に移動可能とするための退避用欠落部(71)とを有してなることを特徴とするファスナーストリンガー。
  2. 請求の範囲1に記載のファスナーストリンガーにおいて、
    前記第1及び第2ファスナーストリンガー(16,17)の前記ファスナーテープ面のうちの一面をファスナーストリンガーの表面とし、他の面を裏面とした場合に、
    前記退避用欠落部(71)を、前記ファスナーストリンガーの表裏方向に貫通する溝として形成し、前記前方頭部(70F)及び後方頭部(70R)を、それぞれ独立した頭部として形成したことを特徴とするファスナーストリンガー。
  3. 請求の範囲1に記載のファスナーストリンガーにおいて、
    前記前方頭部(70F)と後方頭部(70R)とを直接接続する架橋部(73)を形成してなることを特徴とするファスナーストリンガー。
  4. 請求の範囲1に記載のファスナーストリンガーにおいて、
    前記退避用欠落部(71)は、前記前方頭部(70F)のファスナーテープの長さ方向先端と、前記後方頭部(70R)のファスナーテープ長さ方向先端との中央に位置し、かつ、前記固着脚部(72)へ向けて、延出した溝状の欠落部であって、前記固着脚部(72)側の端部とは反対側の端部が開放されていることを特徴とするファスナーストリンガー。
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