JPWO2010104028A1 - 電気分解を利用した芳香族ハロゲン化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

陰イオン交換膜で区画した電解槽において、陰極室に水を供給し、陽極室に芳香族化合物、極性有機溶媒および場合により遷移金属触媒を供給して、ハロゲン化剤の存在下に電気分解を行うことにより、該芳香族化合物の芳香環上へハロゲンを導入する。

Description

本発明は、芳香族ハロゲン化合物の製造方法、より詳しくは、遷移金属触媒とハロゲン化剤とを用いた電気分解により、芳香族化合物から芳香族ハロゲン化合物を製造する方法に関する。
芳香族ハロゲン化合物の製造方法として、電子豊富な芳香族化合物に対して高反応性の酸化的ハロゲン化剤、例えばN−クロロスクシンイミドまたはN−ブロモスクシンイミドを用いて、芳香環のクロロ化ならびにブロモ化等を行う方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、ここで用いられるN−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド等のハロゲン化剤は高価な上、過剰量を使用することが不可欠であり、さらに反応後に生成物を分離するためにはこれらのハロゲン化剤を不活性化して、ハロゲン化剤由来の副生成物を除去する必要があることから、その過程で多くの有機溶媒を使用しなければならない。
また、パラジウム触媒存在下で上記のようなハロゲン化剤を用いたハロゲン化反応も開発されている(例えば、非特許文献2〜4参照)。しかし、この場合でも化学量論量のハロゲン化剤を使用する必要があり、反応の後処理および反応性の制御が困難であるという問題が存在する。
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本発明の目的は、上記従来技術における問題を解決する、芳香族ハロゲン化合物の新規な製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、陰イオン交換膜で区画した電解槽において、陰極室に水を供給し、陽極室に芳香族化合物、極性有機溶媒および場合により遷移金属触媒を供給して、ハロゲン化剤の存在下に電気分解を行うことにより、該芳香族化合物の芳香環上へハロゲンが導入され、芳香族ハロゲン化合物が生成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
この反応の機構は必ずしも明らかではないが、芳香族化合物の炭素−水素結合が切断され、その位置でハロゲン化剤から電気分解により発生したハロゲニウムイオンが反応して、芳香環上へハロゲンが導入されるものと考えられる。
すなわち本発明は、
1.陰イオン交換膜で区画した電解槽において、陰極室に水を供給し、陽極室に芳香族化合物および極性有機溶媒を供給して、ハロゲン化剤の存在下に電気分解を行うことにより、該芳香族化合物の芳香環上へハロゲンを導入することを特徴とする、芳香族ハロゲン化合物の製造方法。
2.ハロゲン化剤がハロゲン化水素であり、これを陰極室に供給する、上記1.記載の製造方法。
3.ハロゲン化剤が塩化水素または臭化水素である、上記2.記載の製造方法。
4.ハロゲン化剤がハロゲン化アルカリ金属塩と硫酸または硝酸から選ばれる強酸との組み合わせであり、ハロゲン化アルカリ金属塩を陽極室に供給し、強酸を陰極室に供給する、上記1.記載の製造方法。
5.ハロゲン化剤がヨウ化カリウムと硫酸との組み合わせである、4.記載の製造方法。
6.電気分解を陽極室に供給した遷移金属触媒の存在下に行う、1.〜5.記載の製造方法。
7.遷移金属触媒がパラジウム触媒である、6.記載の製造方法。
8.芳香族化合物が、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、ビフェニレン、およびフェナントレンから選択される芳香族炭化水素化合物またはベンゾキノリンおよびフェナントリジンから選択される芳香族複素環式化合物である、上記1.〜7.のいずれか記載の製造方法。
9.芳香族化合物が、芳香族炭化水素化合物と芳香族複素環式化合物が単結合で結合した化合物である、上記1.〜7.のいずれか記載の製造方法。
10.芳香族化合物が、2−フェニルピリジン類、2−(1−ナフチル)ピリジン類、2−フェニルピリミジン類、2−(1−ナフチル)ピリミジン類、1−フェニルイソキノリン類および2−フェニルキノリン類から選択される、上記9.記載の製造方法。
に関する。
本発明の方法によれば、芳香環上へ位置選択的にハロゲンを導入することができる。また、ハロゲン化剤として安価で取り扱いが容易な塩化水素、臭化水素等のハロゲン化水素、ハロゲン化アルカリ金属塩、硫酸または硝酸等の強酸を用いることができる。
また、本発明の方法によれば、ハロゲン化剤のハロゲンイオンが電気化学的手法により系中でハロゲニウムイオンに変化して反応が進行するため、従来方法とは異なり、反応後における高反応性のハロゲン化剤(N−スクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド等)の除去が不要となる。
その結果、水と有機溶媒(ジエチルエーテルや酢酸エチル等)を用いて反応溶液を分液操作するだけで生成物を分離することができ、簡単な分離操作で高純度の生成物を高収率で得ることができる。
ハロゲン化剤としてハロゲン化水素を用いた、本発明の芳香族ハロゲン化合物の製造方法を説明する概略図である。 ハロゲン化剤としてハロゲン化アルカリ金属塩および強酸を用いた、本発明の芳香族ハロゲン化合物の製造方法を説明する概略図である。 定電流値(20mA)条件下での陽極と参照電極間の電圧と電流値の経時変化を示すグラフである。 定電流値(10mA)条件下での陽極と参照電極間の電圧と電流値の経時変化を示すグラフである。
本発明において原料として用いられる「芳香族化合物」とは、単環または多環の芳香族炭化水素化合物または芳香族複素環式化合物をいう。本発明における原料となる上記芳香族化合物としては、ハロゲン化が起こりうる部位、すなわち、炭素−水素結合を少なくとも1つ芳香環上に有するものであれば、特に限定されない。
上記芳香族炭化水素化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン、ビフェニル、インデン、インダン、ナフタレン、ビフェニレン、アセナフチレン、フェナントレン、アントラセン、ピレン等が挙げられ、好ましくはベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、ビフェニレン、およびフェナントレンである。
上記芳香族複素環式化合物は、上記芳香族炭化水素化合物の環系を構成する原子の中に炭素原子以外の原子(例えば酸素、硫黄、窒素等)が1個またはそれ以上含まれる化合物であり、例えば、フラン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、イソオキサゾール、チオフェン、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、イソインドール、インドール、キノリン、ベンゾキノリン、ナフチリジン、キナゾリン、プリン、アクリジン、フェナントリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン等が挙げられ、好ましくは、ピリジン、ピリミジン、ベンゾキノリンおよびフェナントリジンである。
また、上記芳香族炭化水素化合物と上記芳香族複素環式化合物が単結合で結合した化合物も好ましい化合物であり、例えば、2−フェニルピリジン類、2−(1−ナフチル)ピリジン類、2−フェニルピリミジン類、2−(1−ナフチル)ピリミジン類、1−フェニルイソキノリン類および2−フェニルキノリン類が挙げられる。
これらの芳香族化合物は本発明の反応を阻害しない範囲で置換基を有することができ、このような置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ホルミル基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、アセチル基、アセトキシ基、チオアルコキシ基等が挙げられる。
本発明において、特に好ましく用いられる芳香族化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる:
Figure 2010104028






(ここで、Rは水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはアルコキシカルボニル基である)。
本発明に用いられる「ハロゲン化剤」としては、特に限定されるものではないが、ハロゲン化水素、ハロゲン化リン、ホスホン酸トリフェニルホスフィン、ハロゲン化アルキル、スルホニルハロゲニド、ハロゲン化チオニル、酸ハロゲン化物、ハロゲン化ホウ素およびハロゲン化ケイ素などの亜金属ハロゲン化合物、ならびにハロゲン化アルカリ金属塩、ハロゲン化チタンおよびハロゲン化スズなどの金属ハロゲン化合物等を使用することができ、またハロゲン化アルカリ金属塩と硫酸または硝酸から選ばれる強酸との組み合わせで使用することができる。
ハロゲン化剤は、通常、陰極室に供給されるが、ハロゲン化剤としてハロゲン化アルカリ金属塩と硫酸または硝酸から選ばれる強酸との組み合わせを使用する場合、ハロゲン化アルカリ金属塩を陽極室に供給し、そして強酸を陰極室に供給する。
本発明において、好ましくはハロゲン化水素、例えば塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素を使用することができ、特に好ましくは塩化水素または臭化水素を使用することができる。またさらに、本発明において、強酸と共に好ましくはハロゲン化アルカリ金属塩、例えばカリウムのハロゲン化物を組み合わせて使用することができ、特に好ましくはヨウ化カリウムを使用することができる。
ハロゲン化剤の使用量は、通常、芳香族化合物1molに対して、2〜200mol、好ましくは4〜100molであり、0.5〜5mol/L、好ましくは1〜3mol/Lの濃度で溶解した溶液で使用される。また強酸を使用する場合には、強酸の濃度は、0.05〜2mol/L、好ましくは0.1〜0.5mol/Lであり、そしてハロゲン化剤の使用量は、芳香族化合物1molに対して、1〜10mol、好ましくは2〜4molであり、0.01〜1mol/L、好ましくは0.02〜0.1mol/Lの濃度で溶解した溶液で使用される。
本発明に用いられる「遷移金属触媒」は、特に限定されるものではないが、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、銅、銀、金等、およびこれらの塩や錯体などの化合物を使用することができる。好ましい遷移金属触媒は、パラジウム触媒であり、金属、塩および錯体が使用できるが、特に好ましくは、入手が容易な塩化パラジウム、臭化パラジウム、酢酸パラジウム等である。遷移金属触媒の使用量は、通常、0.2〜100mol%、好ましくは2〜20mol%で使用するのが望ましい。またここで反応性の向上のため、アルカリ金属炭酸塩、例えばK2CO3を添加してもよい。
ただし、条件によっては反応に遷移金属触媒は不要である。トルエンなどの電子豊富な芳香族化合物は、無触媒条件下でもハロゲン化される。
本発明に用いられる「極性有機溶媒」は、基質である芳香族化合物が溶解する極性有機溶媒であれば特に制限されず、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、N,N,N´,N´−テトラメチルウレア(TMU)等、またはこれらの混合物を使用することができる。芳香族化合物は、通常、極性有機溶媒に0.01〜1mol/L、好ましくは0.02〜0.5mol/Lの濃度で溶解されて使用される。
本発明の方法は、陰イオン交換膜で区画した陽陰極分離型電解槽において行うことを特徴とする。
陰イオン交換膜としては、特に限定されず、強塩基性型または弱塩基性型の市販のものを適宜使用することができる。強塩基性型がより好ましく、具体的には、セレミオンAHA(旭硝子社製)、ネオセプタAHA(アストム社製)等が挙げられる。
電極材料としては、耐酸性のものであれば特に限定されるものではなく、従来公知の材料を広く使用でき、例えば白金、ガラスカーボン、炭素、ステンレス、ニッケル、その他の加工電極等を、適宜、使用することができる。
本発明の電気分解において、電流密度は、通常、0.1〜100mA/cm2の範囲内から適宜選択されるが、好ましくは1〜50mA/cm2、特に好ましくは10〜20mA/cm2である。また、通電する電気量は、芳香族化合物1モルにつき、通常、1〜40F、好ましくは1.5〜25Fである。
反応時間は、通電する電流、電流密度等から適宜選択され、通常、24時間以内である。反応温度は、通常、40〜100℃であり、好ましくは70〜100℃である。
また本発明の方法は、バッチ式および連続式のいずれでも実施することができる。
本発明の方法では、反応終了後、反応溶液を水と有機溶媒(例えば、ジエチルエーテル、酢酸エチル等)を用いた分液操作を行うだけで、純粋な生成物を得ることができる。
本発明の方法によれば、ハロゲンは、芳香族化合物の芳香環上に位置選択的に導入される。例えば、ピリジン環の2−位にフェニル基が置換した化合物の場合、以下のとおり、芳香環上の置換基の影響を受けることなく、ピリジン窒素の位置からみてγの位置に、位置選択的にハロゲンが導入される。

Figure 2010104028
また、触媒、電流値、反応時間等の反応条件を調節することにより、ハロゲンの置換位置および収率の制御が可能である。
図1は、本発明の芳香族ハロゲン化合物の製造方法を示す概略図である。電解槽1は、陽極室2と陰極室3とこれらを区画する陰イオン交換膜4とからなる。陽極室2と陰極室3には白金電極5が挿入され、また陽極室2には撹拌子6が入れられている。ハロゲン化剤(ハロゲン化水素:HX)を溶解した水溶液を陰極室3に、基質となる芳香族化合物、極性有機溶媒および場合により遷移金属触媒を陽極室2に供給する。撹拌子6により陽極室を撹拌しながら電気分解を行う。陽極室2でハロゲニウムイオンが発生し、炭素−水素結合が切断された芳香環上へハロゲンが導入される。
そして図2もまた、本発明の芳香族ハロゲン化合物の製造方法を示す概略図である。電解槽1は、陽極室2と陰極室3とこれらを区画する陰イオン交換膜4とからなる。陽極室2と陰極室3には白金電極5が挿入され、また陽極室2には撹拌子6が入れられている。強酸を溶解した水溶液を陰極室3に、基質となる芳香族化合物、極性有機溶媒、ハロゲン化剤(ハロゲン化アルカリ金属塩:MeX)および場合により遷移金属触媒を陽極室2に供給する。撹拌子6により陽極室を撹拌しながら電気分解を行う。陽極室2でハロゲニウムイオンが発生し、炭素−水素結合が切断された芳香環上へハロゲンが導入される。
以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。
実施例1
Figure 2010104028
陰イオン交換膜(アストム社、ネオセプタAHA)を純水、メタノール、アセトンで洗浄し、スペースホルダーのサイズに合わせて切り出した。続いて、切り出したイオン交換膜を用いて、陽陰極分離型電解槽を組み立てた。陽極室にはベンゾ[h]キノリン(44.8mg、0.25mmol)、PdCl2(4.4mg、0.025mmol)、DMF(10ml)を、陰極室には2M HCl水溶液(10ml)を加えた。その後、電解槽を90℃に加熱した油浴につけて、白金電極を用いて20mAで通電しながら2.5時間撹拌した。反応はGCMSで追跡し、2時間後に全ての原料が消費されたことを確認した。
反応終了後、反応系を室温まで冷却した。陽極室に飽和K2CO3水溶液を注いで中和した後、これをAcOEtおよび水で分液ロートへ洗い込んだ。有機層と水層を分け、水層をAcOEtで2回抽出した。全ての有機層を集め、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水Na2SO4で乾燥後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。
粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(内径10mm、シリカゲル10g、ヘキサン:AcOEt=9:1、0.5vol.%Et3N)で精製し、10−クロロベンゾ[h]キノリンを得た(52.4mg、98%収率、白色固体)。
得られた10−クロロベンゾ[h]キノリンの1H−NMRスペクトルは以下の通りである。1H NMR (270.05 MHz) (CDCl3) : δ 7.31-7.50 (m, 5H, 4), 7.53 (d, J = 8.7 Hz, 1H, 3), 7.78-7.90 (m, 3H, 2), 8.81 (d, J = 4.3 Hz, 1H, 1)。
実施例2〜16
下記表1に示すとおり反応温度および反応時間を変更した以外は、実施例1と同様の反応を行った(実施例14のみ10mAで通電)。目的化合物の収率を表1に示す。
Figure 2010104028
Figure 2010104028
Figure 2010104028
実施例17〜19
遷移金属触媒として10mol% PdBr2(実施例19のみ15mol% PdBr2)を用い、ハロゲン化剤として2M HBr水溶液を用いて、下記表2に示すとおり反応温度および反応時間を変更した以外は、実施例1と同様の反応を行った(実施例18のみ10mAで通電)。目的化合物の収率を表2に示す。
Figure 2010104028
実施例20〜23
以下の反応を行った。下記に示した条件以外は、実施例1と同様である。
Figure 2010104028








下記表3に結果を示す。
実施例24
以下の反応を行った。下記に示した条件以外は、実施例1と同様である。
Figure 2010104028







下記表3に結果を示す。
Figure 2010104028

無触媒による反応
実施例25
無触媒で以下の反応を行った。下記に示される条件以外は、実施例1と同様である。
Figure 2010104028




選択性の制御
実施例26〜28
以下の反応を行った。下記に示した条件以外は、実施例1と同様である。実施例26のみ、遷移金属触媒(PdCl2)を使用しなかった。
下記表4に結果を示す。
Figure 2010104028






Figure 2010104028
電流値による選択性の制御
実施例29および30
以下の反応を行った。下記に示した条件以外は、実施例1と同様である。
下記表5に結果を示す。
Figure 2010104028





Figure 2010104028
ここで、定電流値20mAおよび10mA(それぞれ実施例29および30)条件下での陽極と参照電極間の電圧と電流値の経時変化を測定した。得られた結果を図3および図4に示す。電流値の異なる反応において、陽極と参照電極の間にかかる電圧に大差が無かったことから、反応の選択性は、通電時の電流値で制御できると考えられる。
本発明の方法は、農薬や医薬ならびに有機電子材料や有機光学材料などのファインケミカル分野の原料化合物として有用な芳香族ハロゲン化合物を効率的・選択的にしかも環境への負荷が低い反応条件で製造できるので、これらの分野の製品の工業的な生産に極めて有用である。
1・・・電解槽、2・・・陽極室、3・・・陰極室、4・・・陰イオン交換膜、5・・・白金電極、6・・・撹拌子、7・・・陽極、8・・・陰極

Claims (10)

  1. 陰イオン交換膜で区画した電解槽において、陰極室に水を供給し、陽極室に芳香族化合物および極性有機溶媒を供給して、ハロゲン化剤の存在下に電気分解を行うことにより、該芳香族化合物の芳香環上へハロゲンを導入することを特徴とする、芳香族ハロゲン化合物の製造方法。
  2. ハロゲン化剤がハロゲン化水素であり、これを陰極室に供給する、請求項1記載の製造方法。
  3. ハロゲン化剤が塩化水素または臭化水素である、請求項2記載の製造方法。
  4. ハロゲン化剤がハロゲン化アルカリ金属塩と硫酸または硝酸から選ばれる強酸との組み合わせであり、ハロゲン化アルカリ金属塩を陽極室に供給し、強酸を陰極室に供給する、請求項1記載の製造方法。
  5. ハロゲン化剤がヨウ化カリウムと硫酸との組み合わせである、請求項4記載の製造方法。
  6. 電気分解を陽極室に供給した遷移金属触媒の存在下に行う、請求項1〜5記載の製造方法。
  7. 遷移金属触媒がパラジウム触媒である、請求項6記載の製造方法。
  8. 芳香族化合物が、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、ビフェニレン、およびフェナントレンから選択される芳香族炭化水素化合物またはベンゾキノリンおよびフェナントリジンから選択される芳香族複素環式化合物である、請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法。
  9. 芳香族化合物が、芳香族炭化水素化合物と芳香族複素環式化合物が単結合で結合した化合物である、請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法。
  10. 芳香族化合物が、2−フェニルピリジン類、2−(1−ナフチル)ピリジン類、2−フェニルピリミジン類、2−(1−ナフチル)ピリミジン類、1−フェニルイソキノリン類および2−フェニルキノリン類から選択される、請求項9記載の製造方法。
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