JPWO2010098136A1 - レンズ用鋳型の製造方法および眼鏡レンズの製造方法 - Google Patents

レンズ用鋳型の製造方法および眼鏡レンズの製造方法 Download PDF

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Abstract

連続式加熱炉を使用し、被成形ガラス素材の上面を累進面または累進要素を含む面を形成するための成形面形状に成形する、レンズ用鋳型の製造方法。前記連続式加熱炉を成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御し、成形型として成形面上で曲率分布を有する成形型を使用し、前記連続式加熱炉内への導入前に成形型成形面と被成形ガラス素材下面との離間距離を2箇所以上で特定する。前記昇温領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想線によって二分される搬送方向側の部分に特定した離間距離が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2009年2月27日出願の日本特願2009−46706号および2009年3月25日出願の日本特願2009−72986号の優先権を主張し、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される。
本発明は熱垂下成形法によるレンズ用鋳型の製造方法、および製造されたレンズ用鋳型を用いる眼鏡レンズの製造方法に関する。
眼鏡レンズ用ガラスモールドの成形方法としては、機械的研削研磨法や、機械的研削法や放電加工等の電気的加工法により作成した耐熱性母型を用い、これにガラスブランクスを接触加熱軟化させて母型の面形状を転写する方法等、得ようとする面形状ごとに研削プログラムを用いたり、対応する面形状を有する母型を成形する方法が採用されている。
近年、軸対称の非球面レンズ設計を組み入れることにより、薄肉軽量化を図った多焦点眼鏡レンズの需要が増大している。このような複雑な形状のレンズを得るためのモールドの成形法として、熱垂下成形法が提案されている(例えば特開平6−130333号公報および特開平4−275930号公報参照、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される)。
熱垂下成形法は、ガラス素材を型の上に載せ、その軟化点以上の温度に加熱しガラス素材を軟化させて型と密着させることにより、型形状をガラス素材の上面に転写させて所望の面形状を有する成形品を得る成形法である。ガラス素材の加熱は、バッチ式加熱炉または連続式加熱炉において行うことができるが、生産性の点から連続式加熱炉が広く用いられている。
連続式加熱炉によれば、加熱対象物を炉内に搬送するにあたり、搬送方向において所定の温度分布を持つように炉内を温度制御することにより、昇温過程、高温保持過程、降温過程等の一連の処理を炉内で連続的に行うことができる。しかし、連続式加熱炉は、上記の通り搬送方向において温度分布を有するため加熱対象物の面内各部において変形量が不均一となりやすい。例えば入口から出口に向かって高温となるような温度分布を有する連続式加熱炉内においてガラス素材を熱垂下成形法で成形する場合、ガラス素材は前方ほど早く高温となり変形量が大きくなる。このようにガラス素材の位置によって変形量が異なると、ガラス素材下面の位置によって成形型成形面と密着するタイミングが大きく異なることにより、眼鏡矯正に不要なアスティグマが発生したり、設計値からの誤差が非対称となり眼鏡の装用感が低下することがある。
これに対し、特開昭63−306390号公報、その全記載は、ここに特に開示として援用される、には、セラミック製品を連続式加熱炉内で焼成、メタライズ、ろう付け接合等をする際、加熱対象物を炉内で回転させることにより加熱の均一性を高めることが提案されている。しかし、熱垂下成形法によるガラス素材の成形では、軟化途中のガラス素材を大きく回転させると成形精度が低下するおそれがある。また、累進屈折力レンズのような中心対称性のない自由曲面形状の成形品を熱垂下成形法によって成形する際には、単なる回転による熱分布の均一化では、非対称性に起因する予期せぬ非点収差が発生することがある。
発明の開示
そこで本発明の目的は、連続式加熱炉を使用した熱垂下成形法によって、優れた装用感を有する眼鏡レンズを成形可能な眼鏡レンズ用鋳型を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
多焦点眼鏡レンズの中でも、屈折力が上部から下部へ向かって連続的に変化する累進面を有する累進屈折力レンズは、遠近両用レンズとして広く使用されている。累進屈折力レンズの累進面では、近用部では曲率が大きく(カーブが深く)、遠用部では曲率が小さい(カーブが浅い)。従って、累進面を形成するためのモールドの成形面も、近用部成形部では曲率が大きく、遠用部成形部では曲率が小さくなる。更には、熱垂下成形法により上記モールド成形面を成形するための成形型の成形面においても、モールド成形面の近用部成形部に対応する部分では曲率が大きく、遠用部成形部に対応する部分では曲率が小さくなる。したがって、このような成形面上に被成形ガラス素材を配置すると、成形型成形面と被成形ガラス素材下面との離間距離は面内で異なることとなる。
そこで本発明者らは、この形状的特徴および連続式加熱炉における加熱の不均一性を利用し、連続式加熱炉内の成形型搬送方向に向かって温度が上昇する領域において、成形型成形面とガラス素材下面との離間距離が大きな部分が前方となるように成形型を搬送することにより、加熱軟化による変形を制御し、モールド成形面を容易に形成できることを新たに見出した。これは、大きく変形させるべき部分を高温側へ配置することにより、炉内の温度分布を利用し変形量を制御できるからである。
本発明の第一の態様は、以上の知見に基づき完成された。
本発明の第一の態様は、被成形ガラス素材を成形面上に配置した成形型を連続式加熱炉内へ導入し、該炉内を搬送しながら加熱処理を施すことにより、上記被成形ガラス素材の上面を、累進面または累進要素を含む面を形成するための成形面形状に成形する、レンズ用鋳型の製造方法であって、
前記連続式加熱炉を、成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御すること、
前記成形型として、成形面上で曲率分布を有する成形型を使用すること、ならびに、
前記連続式加熱炉内への導入前に、成形型成形面と被成形ガラス素材下面との離間距離を2箇所以上で特定し、
前記昇温領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想線によって二分される搬送方向側の部分に特定した離間距離が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送すること、
を含む、前記製造方法に関する。
前記昇温領域における搬送は、成形面の幾何中心から前記離間距離が最大となる部分へ向かう方向が搬送方向と略等しくなるように行うことができる。
前記連続式加熱炉を、成形型導入口側から、前記昇温領域、定温保持領域、および冷却領域がこの順に配置されるように温度制御することができる。
上記昇温領域において、成形型を回転揺動させることができる。前記レンズ用鋳型が累進屈折力レンズ用鋳型である場合、前記回転揺動における揺動角度および振幅は、前記累進屈折力レンズの加入屈折力および/またはインセット量に基づき決定することができる。また、前記回転揺動における揺動角度は搬送方向を基準として±5〜45°の範囲とすることができ、振幅は0.01〜1Hzの範囲とすることができる。
前記定温保持領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想線によって二分される搬送方向側と反対側の部分に前記離間距離が最大となる部分が含まれるように成形型を回転させることができる。
前記定温保持領域において搬送される成形型上に配置された被成形ガラス素材の温度は、該ガラスのガラス転移温度以上の温度であることができる。
また、上記の通り累進屈折力レンズ用モールドを熱垂下成形法により成形するための成形型の成形面では、モールド成形面の近用部成形部に対応する部分では曲率が大きく、遠用部成形部に対応する部分では曲率が小さくなる。一方、連続式加熱炉では、炉内の温度を制御したとしても、必ずしも炉内雰囲気の温度分布と成形型上の温度分布は一致するとは限らない。例えば、入口から出口に向かって高温となるような温度分布を有する連続式加熱炉内では、炉内が隔壁で区切られている場合等には、隔壁付近では温度分布が乱れるため、成形型上の高温側が成形型搬送方向と一致しないことがある。
そこで本発明者らは、この形状的特徴および連続式加熱炉における加熱の不均一性に着目し、連続式加熱炉内の成形型成形面上の温度分布をモニターし、高温部分に近用部成形部相当側が配置されるように成形型(成形面上にガラス素材が配置されている)を搬送することにより、加熱軟化による変形を制御し、モールド成形面を容易に形成できることを新たに見出した。これは、熱垂下成形法により累進面を形成する場合、近用部成形側の変形量は大きく、遠用部成形側の変形量は小さいため、大きく変形させるべき近用部成形部相当側を高温側へ配置することにより、炉内の温度分布を利用し変形量を制御できるからである。
本発明の第二の態様は、以上の知見に基づき完成された。
本発明の第二の態様は、被成形ガラス素材を成形面上に配置した成形型を連続式加熱炉内へ導入し、該炉内を搬送しながら加熱処理を施すことにより、上記被成形ガラス素材の上面を、累進要素または累進面を含む面を形成するための成形面形状に成形する、レンズ用鋳型の製造方法であって、
前記成形型として、成形面上で曲率分布を有する成形型を使用すること、および、
前記連続式加熱炉内に成形型位置制御領域を設け、該成形型位置制御領域において、前記成形面上の複数の測定点の温度を直接または間接に測定し、測定結果に基づき決定された高温部に、成形面上で曲率が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送すること、
を含み、かつ、
前記複数の測定点中の最高温点と幾何中心を通過する仮想線Aを特定し、次いで該仮想線Aと直交し、かつ幾何中心を通過する仮想線Bによって二分される前記最高温点を含む部分を前記高温部として決定する、前記製造方法に関する。
前記製造方法は、前記仮想線A上の幾何中心から最高温点に向かう方向が成形面の幾何中心から周縁部へ向かって平均曲率が最大となる方向と略等しくなるように成形型を搬送することを含むことができる。
前記成形面上で曲率が最大となる部分は、前記レンズの近用部測定基準点に相当する位置にあることができる。
前記成形型位置制御領域は、被成形ガラス素材の上面温度がガラス転移温度Tg−100℃以上となる領域を含むことができる。
前記連続式加熱炉を、成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御することができ、該昇温領域は前記成形型位置制御領域を含むことができる。
前記昇温領域において、成形型搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想線Cによって二分される搬送方向側の部分にのみ、前記測定点を設けることができる。
前記複数の測定点は、等角度間隔に設定することができる。
前記成形面に接触する位置または成形面近傍に温度測定器を1つ配置し、前記成形型位置制御領域内で成形型を回転させ上記温度測定器により各測定点の温度を順次測定することができる。
複数の測定点に対してそれぞれ該測定点の温度を測定する温度測定器を配置することもできる。
本発明の更なる態様は、前記製造方法によりレンズ用鋳型を製造すること、および、製造したレンズ用鋳型またはその一部を鋳型として注型重合により眼鏡レンズを製造すること、を含む眼鏡レンズの製造方法に関する。ここで製造される眼鏡レンズは、累進屈折力レンズであることができる。
本発明によれば、優れた装用感を有する累進屈折力レンズを成形可能な累進屈折力レンズ用鋳型を高い生産性をもって製造することができる。これにより優れた装用感を有する眼鏡レンズを提供することが可能となる。
熱垂下成形法の説明図を示す。 法線方向に実質的に等厚なガラスの一例(断面図)を示す。 被成形ガラス素材と成形型との配置例を示す。 昇温領域における成形型の搬送方向の説明図である。 成形型成形面上の遠用部測定基準点に相当する位置および近用部測定基準点に相当する位置の配置例を示す。 累進屈折力レンズ用鋳型を製造するためのガラス素材の下面と成形型成形面との接触の説明図である。 連続式加熱炉内の温度分布の確認に使用したセンサーのレイアウトを示す。 連続式加熱炉内の温度分布の確認時の電気炉内レイアウトを示す。 連続式加熱炉内の温度分布の確認結果(測温(中心部)偏差結果)を示す。 連続式加熱炉内の温度分布の確認結果(進行方向と進行方向に直交する方向の温度分布)を示す。 実施例1において成形されたガラス素材の上面形状の設計値からの形状誤差を示す。 比較例1において成形されたガラス素材の上面形状の設計値からの形状誤差を示す。 成形面上の高温部決定方法の説明図である。 成形型成形面上の平均曲率最大方向決定方法の説明図である。 成形型成形面上の平均曲率最大方向決定方法の説明図である。 成形型成形面上の平均曲率最大方向決定方法の説明図である。 成形型成形面上の平均曲率最大方向決定方法の説明図である。 成形型成形面上の平均曲率最大方向決定方法の説明図である。 成形型成形面上の平均曲率最大方向決定方法の説明図である。 成形型成形面上の平均曲率最大方向決定方法の説明図である。
本発明は、被成形ガラス素材(以下、単に「ガラス素材」ともいう)を成形面上に配置した成形型を連続式加熱炉内へ導入し、該炉内を搬送しながら加熱処理を施すことにより、上記被成形ガラス素材の上面を、累進面または累進要素を含む面を形成するための成形面形状に成形する累進屈折力レンズ用鋳型の製造方法に関する。
本発明の第一の態様の製造方法は、前記連続式加熱炉を、成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御すること、前記成形型として、成形面上で曲率分布を有する成形型を使用すること、ならびに、前記連続式加熱炉内への導入前に、成形型成形面と被成形ガラス素材下面との離間距離を2箇所以上で特定し、前記昇温領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想線によって二分される搬送方向側の部分に特定した離間距離が最大となる部分(以下、「離間距離最大部分」ともいう)が含まれるように成形型を搬送すること、を含む。
本発明の第二の態様の製造方法は、前記成形型として、成形面上で曲率分布を有する成形型を使用すること、および、前記連続式加熱炉内に成形型位置制御領域を設け、該成形型位置制御領域において、前記成形面上の複数の測定点の温度を直接または間接に測定し、測定結果に基づき決定された高温部に、成形面上で曲率が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送すること、を含む。そして、前記複数の測定点中の最高温点と幾何中心を通過する仮想線Aを特定し、次いで該仮想線Aと直交し、かつ幾何中心を通過する仮想線Bによって二分される前記最高温点を含む部分を前記高温部として決定する。
本発明により製造される鋳型は、累進要素または累進面を含む面を形成するための成形面形状を有するものであり、好ましくは累進屈折力レンズ用鋳型である。累進屈折力レンズとは、遠用部および近用部を有し、かつ遠用部から近用部にかけて屈折力が累進的に変化する累進面を有するレンズである。累進屈折力レンズには、凸面に累進面を配置した凸面(外面)累進屈折力レンズ、凹面に累進面を配置した凹面(内面)累進屈折力レンズがある。凸面累進屈折力レンズは、凸面に累進面を有し、凸面の光学面表面形状により累進屈折力を形成している。凹面屈折力レンズも凹凸の違いを除けば同様である。本発明により製造される鋳型により成形可能な累進屈折力レンズは、上記いずれの態様であってもよい。
本発明では、レンズ用鋳型を熱垂下法により製造する。
図1に、熱垂下成形法の説明図を示す。
通常、熱垂下成形法では、被成形ガラス素材を、ガラス素材下面中央部と成形型成形面が離間した状態となるように成形型上に配置した状態(図1(a))で加熱処理を施す。これにより、被成形ガラス素材の下面は自重により変形し成形型成形面と密着し(図1(b))、成形型成形面形状がガラス素材上面に転写され、その結果、ガラス素材上面を所望形状に成形することができる。製造された鋳型は、注型重合法によりプラスチックレンズを製造するための成形型の上型または下型として使用することができる。より詳しくは、熱垂下成形法により成形されたガラス素材上面が成形型内部に配置されるように、上型および下型をガスケット等により組み合わせて成形型を組み立て、この成形型のキャビティへプラスチックレンズ原料液を注入し重合反応を行うことにより、累進面等の所望の面形状を有するレンズを得ることができる。
累進面では、近用部において曲率が最大(曲率半径が最小)となり、遠用部において曲率が最小(曲率半径が最大)となる。従って、上記鋳型の成形面(注型重合時に成形型のキャビティ内部に配置される面)においても、近用部成形部において曲率が最大となり、遠用部成形部において曲率が最小となる。そして、上記鋳型を製造するための熱垂下成形法用成形型の成形面においても、近用部成形部相当部(ガラス素材上面を近用部成形部に成形するための部分)において曲率が最大となり、近用部成形部相当部(ガラス素材上面を遠用部成形部に成形するための部分)において曲率が最小となる。即ち、上記成形型は、成形面上で曲率分布を有するものであり、成形面上の少なくとも一部において、任意の2点で異なる曲率を有する。累進要素を含む面を形成するための成形型成形面も面内で曲率に違いがあるため、同様に面内に曲率分布を有する。
このように面内で曲率が異なる成形型成形面を被成形ガラス素材を配置すると、被成形ガラス素材下面と成形型成形面との離間距離は位置によって異なることになる。例えば、近用部成形部相当部と該部と対向する成形型下面との離間距離は大きくなり、遠用部成形部相当部該部と対向する成形型下面との離間距離は小さくなる。
そこで本発明の第一の態様では、被成形ガラス素材を配置した成形型を連続式加熱炉内へ導入する前に、成形型成形面と被成形ガラス素材下面との離間距離を2箇所以上で特定するとともに、連続式加熱炉を、成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御し、上記昇温領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想線によって二分される搬送方向側の部分に、特定した離間距離が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送する。前述の特開昭63−306390号公報に記載の方法では、連続式加熱炉内の温度分布による加熱の不均一性への対策として、加熱状態が均一となるように加熱対象物を回転させていたのに対し、本発明の第一の態様では連続式加熱炉内の加熱の不均一性を利用し、同一加熱対象物における加熱変形量を意図的に変えることにより、連続式加熱炉を使用しレンズ用鋳型を生産性よく量産することができる。
また、前述のように面内で曲率が異なる成形型成形面を被成形ガラス素材の下面と密着させるためには、近用部成形部相当部と密着させるべき部分は大きく変形させ、遠用部成形部相当部と密着させるべき部分の変形は小さくすべきである。
そこで本発明の第二の態様では、連続式加熱炉内の所定領域(成形型位置制御領域)において、成形型の高温部に、成形面と密着させるために大きく変形させる必要がある部分が含まれるように成形型を搬送する。以下、この点について説明する。
連続式電気炉の内部には必然的に温度勾配が発生している。換言すれば、温度分布を均一にした連続式電気炉はない。従って結果的に被加工物上の温度分布も不均一にならざるを得ない。一方で眼鏡レンズの形状は中心対称、軸対称性を有するものもあるが、累進屈折力レンズのような累進面を含むレンズは単純な対称性を有することのない自由曲面形状である。中心対称性を有する形状の場合は、特開昭63−306390号公報に記載の技術に基づき、幾何中心を中心とした回転により温度不均一を是正することが容易であると考えられる。ところが軸対称性や対対称性を持たない形状では単純な回転では対応が困難である。従って熱分布を均一にして加工精度を向上することは従来困難であった。
これに対し本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、形状が中心対称性をもたない場合、熱分布は均一である必要はなく、むしろ形状が大きく変形しなければならない部分には大きな熱量を加えて加工性を向上させることが、加工精度の向上に有効であることを見出した。すなわち本発明の第二の態様は、下記に説明する方法により加工形状(成形型の形状)に応じた熱量分布を制御することで加工の精度向上を実現することができる。更に、これまで律速となっていた近用部成形側の変形時間を短くすることが可能となるため、変形(加工)時間合計を小さくすることができ、加工時間を短縮することもできる。
以下に、本発明の第一の態様、第二の態様、および両態様に共通する事項について更に詳細に説明する。以下において特記しない限り、記載した事項は両態様に共通するものとする。また、両態様は任意に組み合わせることも可能である。
[被成形ガラス素材]
本発明において連続式加熱炉内を通過させることにより上面を成形するガラス素材は、成形型成形面と密着させるべき下面の形状が球面、平面または中心対称性を有する非球面であるガラス素材が好適である。これは、例えば球面形状のガラス素材下面は、面内で曲率が一定であるため、面内で曲率が異なる成形型成形面と密着させる際、面内での変形量の違いが特に顕在化するからである。ガラス素材下面が平面および中心対称性を有する非球面の場合も同様である。このような場合であっても、先に説明したように本発明によれば、連続式加熱炉内においてガラス素材の加熱変形量を制御することができる。更に、被ガラス成形素材としては、前記形状の下面を有するとともに上面に乱視成分(トーリック)を含むガラス素材も好適である。
被成形ガラス素材の下面形状については上述の通りである。一方、被成形ガラス素材の上面形状は特に限定されるものではなく、球面、平面、非球面等の各種形状であることができる。好ましくは、上記被成形ガラス素材は、上面および下面が球面形状である。上下面とも曲率が一定であるガラス素材は加工が容易であるため、上記形状のガラス素材を使用することは生産性向上に有効である。上記ガラス素材は、好ましくは凹凸面が球面形状であり、かつ法線方向に等厚または実質的に等厚なガラス素材を使用する。ここで、「法線方向に実質的に等厚」とは、ガラス素材上の少なくとも幾何中心において測定した法線方向厚さの変化率が1.0%以下、好ましくは0.8%以下であることをいう。そのようなガラス素材の概略断面図を図2に示す。
図2中、ガラス素材206は凹凸面を有するメニスカス形状であり、外形は円形である。さらにガラス素材凹面202および凸面201の表面形状は共に球面形状である。
ガラス素材両面の法線方向とは、ガラス素材表面上の任意の位置でガラス素材表面となす角度が垂直である方向を示す。従って法線方向は面上の各位置によって変化する。例えば図2の方向204はガラス素材凹面上の点208における法線方向を表し、法線方向204が凹凸面となす交点がそれぞれ208および209となるため、208と209との間隔が、法線方向の厚みとなる。一方、他のガラス凹面上の位置として例えば210や212があり、その法線方向はそれぞれ方向203と方向205である。法線方向203上では210と211の間隔が、法線方向205では212と213の間隔が、法線方向の厚みとなる。法線方向に等厚なガラス素材では、このように上下面の法線方向間隔が同一の値となる。つまり、法線方向に等厚なガラス素材では、上下面が同一の中心(図2中の207)を共有する球面の一部となる。
上記のような略円形形状のガラス素材は、幾何中心に中心対称性を有する形状をしている。一方、成形型成形面は、成形品(鋳型)に対応する形状を有するため、近用部成形部相当部ではカーブが大きく、これに比べて遠用部成形部相当部ではカーブが小さいという非対称形状を有する。そこで本発明では、連続式加熱炉内の加熱の不均一性を利用し、後述するように、熱軟化加工において温度の高い方向にガラス素材形状変化量の大きな位置を配置することにより、面内で曲率の異なる複雑な面形状の累進面を容易に成形することができる。なお、WO2007/058353A1、その全記載は、ここに特に開示として援用される、に記載されているようにガラス素材が粘弾性体に近似できるとすると、熱垂下成形法による加熱軟化前後で法線方向におけるガラス厚さは、実質的に変化しないため、法線方向に等厚なガラス素材を使用することは、加熱軟化時の形状制御が容易であるという利点もある。
上記のようにガラス素材を粘弾性体に近似するためには、ガラス素材の法線方向厚みに対してガラス素材の外径が十分に大きいこと、およびガラスの鉛直方向変形量に対してガラス素材外径が十分に大きいことが好ましい。具体的には、本発明において使用されるガラス素材は、法線方向厚みが2〜10mmであることが好ましく、5〜7mmであることがより好ましい。一方、前記ガラス素材の外径は、60〜90mmであることが好ましく、65〜86mmであることがより好ましい。なお、ガラス素材の外径とは、ガラス素材の下面周縁端部の任意の1点と、周縁端部上の対向する点との距離をいうものとする。
ガラス素材としては、特に限定されないが、クラウン系、フリント系、バリウム系、リン酸塩系、フッ素含有系、フツリン酸系等のガラスが適している。ガラス素材の構成成分として、第一には、例えばSiO、B、Alを含み、ガラス材料組成はモル百分率でSiOが45〜85%、Alが4〜32%、NaO+LiOが8〜30%(但しLiOはNaO+LiOの70%以下)、ZnOおよび/またはFの合計量が2〜13%(但しF<8%)、LiO+NaO/Alが2/3〜4/1、SiO+Al+NaO+LiO+ZnO+F>90%なるガラスが適している。
また第2には、例えばガラス材料組成はモル百分率でSiOが50〜76%、 Alが4.8〜14.9%、NaO+LiOが13.8〜27.3%(但しLiOはNaO+LiOの70%以下)、ZnOおよび/またはFの合計量が3〜11%(但しF<8%)、LiO+NaO/Alが2/3〜4/1、SiO+Al+LiO+NaO+LiO+ZnO+F>90%なるガラスは好適である。
さらに第3には例えば、SiO(63.6%)、Al(12.8%)、NaO(10.5%)、B(1.5%)、ZnO(6.3%)、LiO(4.8%)、As(0.3%)、Sb(0.2%)よりなるガラス組成はさらに好適である。そして10%を越えない範囲で他の金属酸化物、例えばMgO、PbO、CdO、B、TiO、ZrOや着色金属酸化物等をガラスの安定化、溶融の容易、着色等のために加えることができる。
またガラス素材の他の特徴として、例えば熱的性質は、歪点450〜480℃、除冷点480〜621℃、軟化点610〜770℃、ガラス転移温度(Tg)が450〜620℃、屈伏点(Ts)が535〜575℃、比重は2.47〜3.65(g/cm)、屈折率は、Nd1.52300〜1.8061、熱拡散比率は0.3〜0.4cm*min、ポアソン比0.17〜0.26、光弾性定数2.82×10E−12、ヤング率6420〜9000kgf/mm、線膨張係数8〜10×10E−6/℃が適している。中でも、歪点460℃、除冷点490℃、軟化点650℃、ガラス転移温度(Tg)が485℃、屈伏点(Ts)が535℃、比重は2.47(g/cm)、屈折率は、Nd1.52300、熱拡散比率は0.3576cm*min、ポアソン比0.214、光弾性定数2.82×10E−12、ヤング率8340kgf/mm、線膨張係数8.5×10E−6/℃のガラス素材が特に好適である。
[第一の態様における離間距離および離間距離最大部分の特定]
本発明の第一の態様では、被成形ガラス素材を配置した成形型を連続式加熱炉内に導入する前に、成形型成形面と被成形ガラス素材下面との離間距離を2箇所以上で特定する。2箇所以上で離間距離を特定することにより、離間距離が大きく加熱軟化により大きく変形させるべき部分(離間距離最大部分)を特定することができる。離間距離の特定は、少なくとも2箇所で行い、好ましくは2〜8箇所、より好ましくは4〜360箇所で行うことができる。例えば図3に示すように被成形ガラス素材と成形型のノッチ部分を合わせて被成形ガラス素材を配置し、ノッチ方向を基準の0°方向とし、0°方向に直交する方向を90°方向として、0°、90°、180°、270°の各方向において、合計4箇所で離間距離の測定を行うことができる。
離間距離および離間距離最大部分の特定方法としては、例えば以下の方法を用いることができる。なお上記「離間距離」とは、好ましくは、成形型成形面上の1点と該点と対向する被成形ガラス素材下面上の1点との鉛直方向の距離をいうものとする。また、離間距離の特定は、必ずしも正確な数値を得る必要はなく、任意の2箇所以上において相対的な離間距離の大小を特定できればよい。
(1)目視による特定方法
被成形ガラス素材を配置した状態で成形型を横方向から目視により観察することにより、離間距離および離間距離最大部分を特定することができる。
(2)型取りを行う方法
まず成型面上に型を取ることができる粘土、石膏等の型取り用材料を配置する(S1)。次いで、成形型の上方から被成形ガラス素材を押し付け、余分な型取り用材料を押出す(S2)。その後、成形型上から被成形ガラス素材を除去することにより、離間距離に対応する厚さを有する型(以下、「隙間量型」ともいう)を得ることができる。得られた隙間量型を成形型上から取り外し、適当な数(例えば2〜360個)の試験片(以下、「分割片」という)に等分する(S3)。次いで、各分割片の重さを量る(S4)。最も重い分割片は、厚さが最も厚い、即ち離間距離が最も大きい部分に挟まれていたことになるため、この最も重い分割片が成型上に位置していた部分を、離間距離最大部分として特定する(S5)。
なお分割片は、隙間量型を分割する境界部分に、成形面上で遠用部測定基準点に相当する位置や近用部測定基準点に相当する位置と接していた部分が分断されずに含まれるように作製することが好ましい。即ち、成形面上で遠用部測定基準点に相当する位置と接していた部分、近用部測定基準点に相当する位置と接していた部分が、それぞれ同一分割片に含まれることが好ましい。ただし、分割数が360個など大きくなる場合はその限りでない。また、型取りに使用する被成形ガラス素材および成形型は、実生産に使用するものであってもよく、実生産に使用するものと同一面形状に加工された試験用のガラス素材および成形型であってもよい。
(3)計算による離間距離の算出および離間距離最大部分の特定
離間距離の特定は、計算により行うこともできる。例えば成形面幾何中心を原点とする直交座標系(x,y,z)において被成形ガラス素材と成形面との離間距離をDnk(x,y)とすると、離間距離Dnkは、下記式(1)により算出することができる。
nk=(被成形ガラス素材と成形面との幾何中心における離間距離)+SQRT((被成形ガラス素材の曲率半径)2−(x2+y2))−成型面の高さデータ関数Zmold(x,y)…(1)
式(1)中、SQRTは平方根を表す演算子である。式(1)中の曲率半径は、被成形ガラス素材下面上の座標(x,y)の位置における曲率半径とすることができる。また、成形面の高さデータ関数Zmold(x,y)は、被成形ガラス素材下面上の座標(x,y)の位置と対向する位置における成形面の高さを変数として含む関数である。上記高さは、例えばタリサーフ(接触式2次元形状測定装置)を用いて測定することができる。なお、離間距離Dnkにおいて、nは幾何中心からの距離に応じた径方向中心からの計算点番号、kは周方向の方向を示す計算点番号であり、共に自然数である(S1)。
各位置における離間距離を算出した後、特定の径方向の離間距離Dnkを被成形ガラス素材の径方向中心から外周(r)まで積分(∫Dnkdr)することにより、径方向(k)毎の断面積を算出することができる(S2)。算出される断面積が最大となる方向には成形面上で離間距離が最大となる部分が含まれている。これにより、離間距離最大部分が含まれている方向を特定することができる(S3)。
[第一の態様における昇温領域での成形型の搬送方向]
本発明の第一の態様では、連続式加熱炉内の成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度部分を有する昇温領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想線によって二分される搬送方向側の部分に、特定した離間距離が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送する。図4に、昇温領域における成形型の搬送方向の説明図を示す。図4中、斜線部が成形面上における搬送方向側の部分に相当するため、当該部分に離間距離最大部分が含まれるように、昇温領域において成形型を搬送する。なお図4では仮想線を直線として示したが、第一の態様における仮想線は直線に近似した際に搬送方向と直交する直線となる線であればよく必ずしも直線に限らないものとする。第二の態様における仮想線も同様に、完全な直線に限られるものではなく直線に近似できるものであればよい。連続式加熱炉内へ成形型を導入する際、前記搬送方向側の部分に離間距離最大部分が含まれるように成形型を配置してもよく、連続式加熱炉内で成形型が昇温領域に導入される際、搬送方向側の部分に離間距離最大部分が含まれるように成形型を回転させてもよい。このようにガラス素材を、大きく変形させるべき部分が炉内の高温側に位置するように搬送することにより、成形面とガラス素材下面と密着のタイミングのばらつきを低減し、変形を制御することが可能となる。ガラス素材下面と成形面とが密着するタイミングが面内各部において大きく異なると、眼鏡矯正に不要なアスティグマが発生したり、設計値からの誤差が非対称となり眼鏡の装用感が低下することがあるのに対し、本発明によれば優れた装用感を有する眼鏡レンズを成形可能な鋳型を得ることができる。
なお、眼鏡レンズの屈折率を測定する基準点として、JIS T7315、JIS T7313またはJIS T7330に屈折力測定基準点が規定されている。屈折力測定基準点は、眼鏡レンズの物体側または眼球側の面上の例えば直径8.0〜8.5mm程度の円で囲まれる部分である。本発明により製造される鋳型によって成形可能な累進屈折力レンズには、遠用部測定基準点と近用部測定基準点という2つの屈折力測定基準点が存在する。累進屈折力レンズの遠用部測定基準点と近用部測定基準点の間に位置する中間領域は累進帯と呼ばれ、屈折力が累進的に変化している。さらに近用部測定基準点は主子午線から左右いずれかの位置の眼球の輻輳に相当する位置に配置されており、眼球の左右区分に応じて主子午線の左右いずれに配置されるかが決定される。熱垂下成形法によりガラス素材が成形され鋳型となった場合、該鋳型では、ガラス素材上面(成形面と密着した面とは反対の面)であった面が眼鏡レンズに転写される。成形型成形面の「屈折力測定基準点に相当する位置」とは、製造される鋳型表面において眼鏡レンズの屈折力測定基準点に転写される部分となるガラス素材上面の部分に、好ましくは法線方向において対向するガラス素材下面に密着する部分をいうものとする。成形型成形面上の「遠用部測定基準点に相当する位置」および「近用部測定基準点に相当する位置」の配置例を図5に示す。例えば、図5に示す態様において、近用部測定基準点に相当する位置が離間距離最大部分に含まれ得る。この場合には、近用部測定基準点に相当する位置が、昇温領域において搬送方向側の部分に含まれるように成形型が搬送されることとなる。
昇温領域における成形型の搬送は、成形面の幾何中心から離間距離最大部分へ向かう方向が搬送方向と略等しくなるように行うことが好ましい。成形面の幾何中心から離間距離最大部分へ向かう方向が、成形面上でカーブがきつい方向となるため、昇温領域においてこの方向を搬送方向と略一致させることが装用感が良好な眼鏡レンズを成形可能な鋳型を得るために好ましい。なお、上記「略等しい」、「略一致」とは、±5°以下程度異なる場合を含むものとする。例えば、図5に示す態様では、成形面の幾何中心から近用部測定基準点に相当する位置に向かう方向(図5中の白抜き矢印方向)を搬送方向と略一致させるように昇温領域において成形型を搬送することが好ましい。
[第一の態様における連続式加熱炉の温度制御]
次に、第一の態様における連続式加熱炉の温度制御について説明する。
連続式加熱炉とは、入口と出口を有しており、コンベアー等の搬送装置によって設定された温度分布の炉内に被加工物を一定時間で通過させて熱処理を行う装置である。連続式加熱炉では、発熱と放熱を考慮した複数のヒーターと炉内空気循環の制御機構によって、炉内部の温度分布を制御することができる。通常、ヒーターは炉内搬送経路の上部および下部に設置されるが、少なくとも一部に両側面に熱源を配置した領域を設けることも可能である。
連続式加熱炉の各センサーとヒーターの温度制御には、PID制御を用いることができる。なお、PID制御は、プログラムされた所望の温度と実際の温度との偏差を検出し、所望の温度との偏差が0になるように戻す(フィードバック)ための制御方法である。そしてPID制御とは、偏差から出力を計算するときに、「比例(Proportional)」、「積分(Integral)」、「微分(Differential)」的に求める方法である。PID制御の一般式を次に示す。
上記式中、eは偏差、Kはゲイン(添字Pのゲインを比例ゲイン、添字Iのゲインを積分ゲイン、添字Dのゲインを微分ゲイン)、Δtはサンプル時間(サンプリング時間、制御周期)、添字nは現在の時刻を示す。
PID制御を用いることにより、投入された処理物形状および数量による熱量分布の変化に対する炉内温度の温度制御精度を高くすることができる。また電気炉内における搬送は、無摺動方式(例えばウォ―キングビーム)を採用することができる。
前記連続式加熱炉は、所望の温度制御が可能なものであればよいが、好ましくは連続投入型電気炉である。例えば、搬送方式が無摺動方式、温度制御がPID制御、温度測定器は“プラチナ製 K熱電対 30ポイント“、最高使用温度は800℃、常用使用温度は590〜650℃、内部雰囲気はドライエアー(オイルダストフリー)、雰囲気制御は入り口エアーカーテン、炉内パージ、出口エアーカーテン、温度制御精度は±3℃、冷却方法は空冷である連続投入型電気炉を使用することができる。後述する吸引のための吸引部は、例えば炉内3ポジションに設けることができる。
連続式加熱炉では、炉内の熱源からの輻射および炉内部からの二次輻射から発せられる輻射熱によって、ガラス素材を所望の温度に加熱することができる。第一の態様では、連続式加熱炉を成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御する。この昇温領域において成形型上のガラス素材を変形可能な温度、好ましくはガラス素材を構成するガラスのガラス転移温度以上の温度まで加熱することができる。昇温領域は、連続式加熱炉の入口から始まる所定領域とすることができる。
連続式加熱炉内は、入口(成形型導入口)側から昇温領域、定温保持領域、および冷却領域が含まれるように温度制御することが好ましい。このように温度制御された炉内を通過するガラス素材は、昇温領域において変形可能な温度まで加熱され、定温保持領域で上面の成形が進行し、その後冷却領域で冷却されて炉外へ排出される。各領域の長さや各領域における搬送速度等は、炉の搬送経路全長および加熱プログラムに応じて適宜設定すればよい。
前記定温保持領域では、成形されるガラス素材を構成するガラスのガラス転移温度以上の温度にガラス素材の温度が保持されることが好ましい。定温保持領域におけるガラス素材の温度は、ガラス転移温度を越えて、ガラス軟化点未満までの温度であることが成形性の点で好ましい。なお、ガラス素材温度は、必ずしも定温保持領域内で常に一定に維持する必要はなく、同領域内でガラス素材温度が1〜15℃程度変化してもよい。一方、前記冷却領域では、定温保持領域で成形されたガラス素材を徐冷して室温まで温度を下げることが好ましい。なお、以下に記載する加熱または冷却温度は、ガラス素材上面の温度をいうものとする。ガラス素材上面の温度は、例えば接触型または非接触型の温度計によって測定することができる。
本発明では、成形に先立ち、成形型成形面上に、ガラス素材を配置する。ガラス素材は、ガラス素材下面周縁部の少なくとも一部において成形面と接触し、かつガラス素材下面中心部が成形型と離間するように成形型上に配置することができる。本発明で使用される成形型は、上記の通り面内で曲率が異なる成形面を有する。このような成形面にガラス素材を安定に配置するためには、ガラス素材を、下面周縁部の少なくとも3点が成形面と接触するように配置することが好ましい。より好ましくは、少なくとも、ガラス素材下面周縁部の、累進屈折力レンズの遠用屈折力測定基準点に相当する位置側の2点および近用屈折力測定基準点側の1点が成形面と接触するように、成形型上にガラス素材を配置する。ガラス素材が成形され成形品(鋳型またはその一部)となった場合、該鋳型では、ガラス素材上面(成形面と密着した面とは反対の面)であった面が眼鏡レンズに転写される。前記のガラス素材下面の「屈折力測定基準点に相当する位置」とは、得られる鋳型表面において眼鏡レンズの屈折力測定基準点に転写される部分となるガラス素材上面の部分に対向する、ガラス素材下面の部分をいう。なお、前記3点を支持点としてガラス素材を成形面上に安定に配置するためには、ガラス素材下面を、最終的に得ようとする累進屈折力レンズの遠用屈折力測定基準点における平均曲率と略同一の平均曲率を有する球面形状に形成することが好ましい。
図6は、累進屈折力レンズ用鋳型を製造するためのガラス素材の下面と成形型成形面との接触の説明図である。図6中、支持点A、B、Cはガラス素材下面の成形面との接触点である。図6中、2つのアライメント基準位置を通るレンズの水平線(水平基準線または主経線ともいう)に相当する線より上部の支持点A、Bが、遠用屈折力測定基準点に相当する位置側の2点であり、子午線より下部の支持点Cが、近用屈折力測定基準点に相当する位置側の1点である。図6に示すように、遠用屈折力測定基準点に相当する位置側の2点は、ガラス素材下面における累進屈折力レンズの遠用屈折力測定基準点を通る主子午線に相当する線に対して対称に位置することが好ましい。また、近用屈折力測定基準点に相当する位置側の支持点は、図6に示すように、主子午線に相当する線に対して近用屈折力測定基準点と反対の位置に配置されることが好ましい。なお、ガラス素材下面の「遠用屈折力測定基準点を通る主子午線に相当する線」とは、鋳型表面において眼鏡レンズの前記主子午線が位置する部分に転写される部分となるガラス素材上面の部分に対向する、ガラス素材下面の部分をいう。
上記では、少なくとも3点が接触点(支持点)となる態様について説明したが、4点以上で接触(支持)することももちろん可能である。
更に本発明では、ガラス素材を配置した成形型上に、閉塞部材を配置し、ガラス素材を配置した成形型の成形面側開放部を閉塞することもできる。これにより、連続式加熱炉内を通過中にガラス素材上面が空気中の塵や炉内のゴミ等の異物によって汚染されることを防ぐことができる。本発明において使用可能な閉塞部材の詳細は、例えばWO2007/058353A1に記載されている。
第一の態様における、昇温領域での成形型の搬送方向は前述の通りであるが、昇温領域での搬送中、成形型の左右方向の位置は一定に維持してもよく、所定の角度および振幅で回転揺動させてもよい。搬送方向中央部を基準としてその左右で温度分布が完全に一致しない場合もあることを考慮すると、左右方向での加熱の均一性を高めるために回転揺動させることが好ましいこともある。累進屈折力レンズでは、遠用部と近用部との間に存在する中間領域(累進帯)の曲率は加入屈折力および/またはインセット量によって規定される。一般に加入屈折力および/またはインセット量が大きいほど曲率が大きくなる。本発明では、累進屈折力レンズ用鋳型を製造する際には、昇温領域において、累進屈折力レンズの加入屈折力および/またはインセット量に基づき決定した角度および振幅で成形型を回転揺動させることが好ましく、加入屈折力またはインセット量が大きいほど、揺動角度および振幅を大きくすることがより好ましい。ただし、軟化途中のガラスを過度に動かすことは成形精度の点で好ましくないため、回転揺動時の揺動角度は、搬送方向を基準(0°)として、±5〜45°の範囲で設定することが好ましく、振幅は0.01〜1Hzの範囲で設定することが好ましい。例えば、加入屈折力3Dでは揺動角度±45°、加入屈折力2Dでは±25°、加入屈折力1Dでは±5°とすることができる。
昇温領域では大きく変形させるべき部分が高温側に位置するように成形型を搬送するが、昇温領域、定温保持領域、冷却領域、がこの順に位置するように温度制御した連続式加熱炉内はV字型の温度勾配をとるため、ある部分を過ぎると搬送方向に向かって後方側が高温となる。そこで、第一の態様では昇温領域を過ぎても大きく変形させるべき部分が高温側に位置するように、所定位置において成形型を回転させることが好ましい。通常、炉内最高温度領域は定温保持領域内にあるため、定温保持領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想線によって二分される搬送方向側と反対側の部分に離間距離最大部分が含まれるように成形型を回転することが好ましい。例えば定温領域内の比較的初期領域において、好ましくはガラス素材温度がガラス転移温度以上となった後に成形型を180°反転させることができる。大きく変形させるべき部分を高温側に位置させるために、冷却領域でも上記反転後の方向を維持して成形型を搬送することが好ましい。
本発明において使用される連続式加熱炉は、前述の回転揺動および上記回転を可能にするために、左右180°回転ないしは360°回転可能な回転機構を有することが好ましい。例えば、成形型が載置されているベース(支持台)に、成形型の幾何中心に位置するように回転軸を設けることができる。上記回転軸を、炉外の駆動モーターと連結することにより駆動力を伝達および制御することができる。ステッピングモーターとシーケンサーにより上記制御を行うことにより、回転速度、角度、回転方向等自在に制御することが可能である。なお回転機構は、炉内の任意の位置に配置することができる。
連続式加熱炉内でのガラス素材の成形速度を高め生産性を向上するために、成形面から成形面と反対の面へ貫通する貫通孔を有する成形型を使用し、成形時に貫通孔を通して吸引を行うこともできる。貫通孔を有する成形型については、WO2007/058353A1に詳細に記載されている。吸引による変形促進効果を顕著に得ることができる温度域は、通常定温保持領域であるため、本発明では、上記吸引を定温保持領域において行うことが好ましい。
[第二の態様における成形型位置制御領域での成形型の搬送]
本発明の第二の態様では、連続式加熱炉内に成形型位置制御領域を設ける。以下、成形型位置制御領域における操作について説明する。
成形型位置制御領域は、連続式加熱炉内の任意の位置に設けることができるが、被成形ガラス素材の軟化変形が大きく進行する領域に設けることが効果的である。この観点から、被成形ガラス素材上面の温度が、該ガラスのガラス転移温度Tg−100℃以上となる領域が成形型位置制御領域に含まれることが好ましく、(Tg−50℃)以上となる領域が成形型位置制御領域に含まれることが更に好ましい。更に、連続式加熱炉内で被成形ガラス素材の上面温度が最高温度となる位置が成形型位置制御領域に含まれることがよりいっそう好ましい。これは、上記最高温度となる位置においてガラスの軟化が最も進行するため、この位置を含む領域において成形型上の温度勾配に基づき成形型の位置を制御することにより、本発明の効果を最も効果的に得ることができるからである。
前記成形型位置制御領域では、1箇所以上、好ましくは2箇所以上において成形型成形面上の複数の測定点の温度を測定する。これにより成形面上の温度勾配に関する情報を得ることができる。そして複数の測定点中、最も高温であった最高温点側(高温部)に成形面上で曲率が最大となる部分が含まれるように、必要に応じて成形型の位置変更を行ったうえで成形型を搬送する。これにより、最も変形させるべき部分を高温側に配置することができ、被成形ガラス素材下面と成形型成形面とが密着するタイミングのばらつきを低減し、変形を制御することが可能となる。ガラス素材下面と成形面とが密着するタイミングが面内各部において大きく異なると、眼鏡矯正に不要なアスティグマが発生したり、設計値からの誤差が非対称となり眼鏡の装用感が低下することがあるのに対し、本発明によれば上記のように密着するタイミングのばらつきを低減することが可能であるため、優れた装用感を有する眼鏡レンズを成形可能な鋳型を得ることができる。
上記高温部の決定は、以下のように行われる。
まず、成形面に接触する位置または成形面の近傍に、温度測定器を配置した状態で成形型を炉内へ搬送する。前記温度測定器は、好ましくは熱電対であり、具体的にはプラチナ製K熱電対30ポイント等を用いることができる。
温度測定器の配置の態様としては、
(A)前記成形面に接触する位置または成形面近傍に温度測定器を1つ配置し、前記成形型位置制御領域内で成形型を回転させ上記温度測定器により各測定点の温度を順次測定する態様、
(B)前記成形面に接触する位置または成形面近傍に温度測定器を2つ以上配置する態様。
上記いずれの態様においても、温度測定器は、被成形ガラス素材に干渉しない程度にガラス素材に近い位置に配置することが好ましい。具体的には、温度測定器の配置位置は成形型の周縁が好ましく、周縁端部がより好ましいが、成形面の幾何中心以外の成形型内部に貫通孔を開け、貫通孔内に温度測定器を配置することも好適である。このように温度測定器を配置することにより、測定点の温度を直接または間接に測定することができる。
上記態様(A)では温度測定器は1つであるため、複数(2以上)の測定点の温度測定を行うために、成形型を回転させる。回転は、幾何中心を軸として行うことができる。例えば、各測定点に温度測定器が接触するように、または各測定点近傍に温度測定器が配置されるように成形型を回転させながら、各測定点の温度を順次測定することができる。
上記態様(B)では、2つ以上の温度測定器を使用する。各測定点に対してそれぞれ該測定点の温度を測定する測定器を配置することができる。この場合、温度測定のために成形型を回転させることは必須ではない。ただし態様(B)では、測定点ごとに温度測定器を配置せず、態様(A)と同様、各測定点の温度測定のために成形型を回転させることもできる。
温度測定を行う測定点は、面内の温度勾配の情報を得るために少なくとも2点設定する。温度測定器の設置の容易性および成形への影響の低減の観点からは、測定点は成形面の周縁端部に設けることが好ましい。面内の温度勾配の情報を精度よく得る観点からは、成形面全周にわたり測定点を設定することが好ましく、成形面全周にわたり等角度間隔で測定点を設定することがより好ましい。例えば、1°ピッチで360点の温度を測定することができる。または、成形面上の高温部に最も大きく変形させるべき部分を配置するためには、後述する昇温領域において、搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想線(仮想線C)によって二分される搬送方向側の部分にのみ、測定点を設けることも可能である。これは、上記昇温領域では通常、上記部分に高温部が含まれると考えられるからである。また、上記昇温領域では、温度の高い領域となる確率の高い炉内搬送方向のウィンドウアングル45〜180°程度の領域(搬送方向を0°として±22.5°〜±90°程度の領域)に集中的に温度測定点を設けることもできる。一方、後述の冷却領域では、搬送方向の反対方向に高温部が存在する確率が高い。この場合には搬送方向の反対方向に集中的に温度測定点を設けることが好ましい。
上記測定により、各測定点中で最も高温であった点(最高温点)が決定される。次いで、最高温点を含む部分を高温部として決定する方法を、図13に基づき説明する。
まず最高温点と幾何中心を通過する仮想線(仮想線A)を特定する。次いで、この仮想線Aと直交し、かつ幾何中心Bを通過する仮想線(仮想線B)を特定する。図13に示すように、この仮想線Bにより成形面上が二分される。この二分された2つの部分の中で、最高温点を含む部分(図3中の斜線部)は、他方の部分と比べて高温に加熱される部分であるため、この部分を高温部として決定する。
次いで、上記方法により決定された高温部に、成形面上で曲率が最大となる部分、即ち成形型成形面と密着させるために最も大きく変形させるべき部分、が含まれるように成形型を搬送する。成形面上で曲率が最大となる部分が、既に高温部に含まれていた場合には、そのまま成形型の搬送を続ければよいが、含まれていなかった場合には、曲率が最大となる部分が高温部に含まれるように、成形型を回転させる。この場合の回転は幾何中心を軸として行うことが好ましい。
連続式加熱炉内は、通常、複数のゾーンに分けて各ゾーン毎に温度制御が行われる。前記成形型位置制御領域は、少なくとも後述の昇温領域に設けることが好ましいが、各ゾーン毎に設けることも可能である。また、前記温度測定は少なくとも連続式加熱炉内の1箇所で行えばよいが、2箇所以上で行うことももちろん可能である。各ゾーンがシャッター等の隔壁で区切られている場合には、ゾーン毎に温度分布が大きく変わることが予想され、また隔壁付近は温度分布が不均一となる傾向があるため、隔壁前後で温度測定を行い必要に応じて成形型を回転させ位置変更を行うことが好ましい。
上記曲率が最大となる部分とは、成形型成形面上の近用部成形部相当部分である。より詳しくは、成形型成形面における近用部測定基準点に相当する位置であり得る。なお、眼鏡レンズの屈折率を測定する基準点の詳細は、前述の通りである。
前述のように、本発明では成形型位置制御領域において、成形面上で曲率が最大となる部分が前記高温部に含まれるように成形型を搬送する。成形型の搬送方向は、仮想線Aと一致させる必要はないが、仮想線A上の幾何中心から最高温点に向かう方向(以下、「高温方向」ともいう)が、成形面の幾何中心から周縁部へ向かって平均曲率が最大となる方向(以下、「平均曲率最大方向」ともいう)と略等しくなるように成形型を搬送することが好ましい。成形型成形面の幾何中心から周縁部に向かって平均曲率が最大となる方向とは、例えば図5に示す態様では成形面上に白抜き矢印で示した方向、即ち幾何中心から近用部測定基準点に相当する位置に向かう方向である。この方向が、成形面上で最もカーブがきつい方向となるため、昇温領域においてこの方向を高温方向と略一致させることが、装用感が良好な眼鏡レンズを成形可能な鋳型を得るために好ましい。なお、上記「略等しい」、「略一致」とは、±5°以下程度異なる場合を含むものとする。
前記平均曲率最大方向の決定方法としては、第1には成形型成形面の3次元形状測定から最大曲率となる方向を算出して特定する方法(方法1)、第2には、眼鏡レンズの処方値から、乱視軸、近用部測定基準点および遠用部測定基準点に基づき特定する方法(方法2)を挙げることができる。方法2では、成形型成形面設計値に基づき、乱視軸を基準として、近用部測定基準点に相当する位置が仮想線A上の高温部側に配置されるように搬送方向を決定すればよい。
以下に、方法1について説明する。
方法1では、成形型成形面の幾何中心を通る直線上の3点以上の座標より、この方向のレンズ断面の近似的な曲率半径の算出を行う。この算出方法で全方向の曲率半径の算出を行い、その結果から最小曲率半径とその方向を特定する。近似曲率半径算出には、3点より連立方程式を解いて求めるか、または3点以上の座標より最小二乗法から近似的な曲率半径の算出を行う。
成形型成形面の表面形状は、成形面の高さを縦横に分割された格子状行列の各格子上に高さの数値によって表すことができる。形状種類は累進面形状も含めた自由曲面である。この自由曲面については、任意の位置の座標値を求めるために、下記式1に示すB−スプライン関数を用いて表現することができる。
式1中、mはスプライン関数の階数(m−1:次数)、hおよびkはスプライン関数の節点数−2m、cijは係数、Nmi(x)、Nmj(y)はm階のB−スプラインである。スプライン関数に係る詳細は文献「シリーズ 新しい応用の数学20、スプライン関数とその応用」、著者 市田浩三、吉本富士市、発行 教育出版、その全記載は、ここに特に開示として援用される、を参照することができる。
次に曲率半径算出について説明する。まず連立方程式による算出方法の具体例を述べる。
図14に示すように成形型成形面の幾何中心を通り端と端を結んだ直線上の3点AOBの座標値を使用してその断面における近似曲率半径を、円の式の連立方程式から算出する。計算に使用する3点をA(X1,Y1)、O(X2,Y2)、B(X3,Y3)とすると図5に示すように、ZX断面の座標値は、A(X1,Z1)、O(X2,Z2)、B(X3,Z3)となる。この3点AOBを通る円の式を求めるには、以下の連立方程式を解く。ただし、この3点がZX断面において直線上にないことが必要条件となる。a、bをそれぞれ円の中心のX、Z座標値、rは円の半径とすると、連立方程式は下記式2となる。
最小曲率半径とその方向を決定するには、図15に示すように角度θピッチでU1,U2,・・・,Un方向の断面について近似曲率半径を求める。角度θは、例えば0.1〜1°とすることができる。
一方、図16に示すように、角度αの方向の計算に使用する3点をC(X1,Y1)、O(X2,Y2)、D(X3,Y3)とすると、図17に示すようにZW断面の座標値は、C(W1,Z1)、O(W2,Z2)、B(W3,Z3)となる。この3点CODを通る円の式を求めるには下記式3の連立方程式を解けばよい。ただし、この3点がZW断面において直線上にないことを条件とする。
上記式2、3において、a、bはそれぞれ円の中心のW、Z座標値、rは円の半径、W1、W2、W3の座標値は、全ての方向において同値とする。従ってZ1、Z2、Z3は、B−スプライン関数より式4のようになる。
一例として、上記方法において累進面において、各軸10度ピッチの計18方向における曲率半径の算出例を表1に示す。表1中、P1,P2,P3は軸上の座標値、軸方向は“計算対象断面がX軸方向となす角(deg)”を表す。表1より60度方向が平均曲率最大方向(最小曲率半径方向)となることが特定できる。
次に3点以上の座標値による算出方法の一例を説明する。 図18に示すように、成形型成形面の幾何中心を通り端と端を結んだ直線上の3点以上の座標値を使用してその断面における近似曲率半径を円の式に最小二乗法で近似して算出する。図18中のA〜I点のように3点以上のn個の点で計算に使用する座標点を(X1,Y1),(X2,Y2),・・・,(Xn,Yn)とすると、図17に示すようにZX断面の座標値は(X1,Z1),(X2,Z2),・・・,(Xn,Zn)となる。このn個の座標値に最も近い円の式を求めるには最小二乗法を使用して下記式5の連立方程式を解く。ただし、この全ての点がZX断面において直線上にないことを条件とする。式5中、a、bはそれぞれ円の中心のX、Z座標値、rは円の半径とする。
式5のSが最小になるときが最も近似した円の式となる。従って、Sを最小にするa、b、rを求めるにはSをa、b、rで微分し0と置き、下記式6に示すようにこれらを連立させて解く。
最小曲率半径とその方向を決定するには、図15に示すように角度θピッチでU1,U2,・・・,Un方向の断面について近似曲率半径を求める。角度θは、例えば1°とすることができる。
一方、図19に示すように角度αの方向の計算に使用するn個の座標点を(X1,Y1)、(X2,Y2),・・・,(Xn,Yn)とすると、図20に示すようにZW断面の座標値は、(W1,Z1)、(W2,Z2),・・・,(Wn,Zn)となる。このn個の座標値に最も近い円の方程式を求めるには最小二乗法を使用して以下の連立方程式を解く。ただし、この全ての点がZW断面において直線上にないことを条件とする。a、bをそれぞれ円の中心のW、Z座標値、rを円の半径とすると下記式7となる。
このSが最小になるときが最も近似した円の式となる。従って、Sを最小にするa、b、rを求めるにはSをa、b、rで微分し0と置き、下記連立方程式(式8)によりa、b、rを求める。
ここでW1、W2、W3の座標値は、全ての方向において同値とする。B−スプライン関数(下記式9)より、各Z値(Z1、Z2、Z3は、)が求まる。
上記方法により3点での算出と同様にして4点以上での平均曲率最大方向を特定することができる。または、例えば成形型成形面の幾何中心と端とを結んだ間の直線となる線分上に、3個以上の座標値、例えば4個の座標値を配置し、その断面における近似曲率半径を算出して最大曲率半径を特定してもよい。
[第二の態様における連続式加熱炉の温度制御]
第二の態様において使用可能な連続式加熱炉および炉内での成形型の搬送の詳細は、第一の態様について述べた通りである。第一の態様と同様、第二の態様においても、連続式加熱炉を成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御することが好ましい。この昇温領域において成形型上のガラス素材を変形可能な温度、好ましくは被成形ガラス素材の上面温度が該ガラス素材を構成するガラスのガラス転移温度Tg−100℃以上、より好ましくは(Tg−50℃)以上、更に好ましくはガラス転移温度以上の温度になるように、被成形ガラス素材を加熱することができる。昇温領域は、連続式加熱炉の入口から始まる所定領域とすることができる。そして第二の態様では、少なくとも昇温領域に前記成形型位置制御領域を設けることが好ましい。本領域が成形型の軟化変形が最も進行する領域だからである。
連続式加熱炉内は、第二の態様においても、第一の態様と同様、入口(成形型導入口)側から昇温領域、定温保持領域、および冷却領域が含まれるように温度制御することが好ましい。
第二の態様では、成形型位置制御領域において、成形型の搬送方向を前述のように設定する。成形型位置制御領域は、少なくとも昇温領域に設けることが好ましいが、前記定温保持領域、および冷却領域に設けることがより好ましい。即ち、前述した温度測定→高温部特定→成形型回転の工程、を炉内の任意の複数箇所において行うことにより、適宜成形型の方向を変更して炉内で成形型を搬送することが好ましい。より詳しくは、本発明の第二の態様の製造方法は、下記ステップS1〜S5にて行うことが好ましい。
成形型の近用部測定基準点に相当する位置を特定(S1);
成形型成形面上の温度測定(S2);
成形面上の高温部および高温方向の特定(S3)
成型型を回転させて、成形型の幾何中心から近用部測定基準点に相当する位置に向かう方向(平均曲率最大方向)を高温方向と一致させる(S4)
成形型が次の温度測定位置に到達したらS2−S4を繰り返す(S5)。
次に、本発明の製造方法の具体的態様について説明する。
連続式加熱炉内の温度制御は、所定時間を1サイクルとして行われる。
以下に、17時間を1サイクルとする温度制御の一例を説明する。但し、本発明は以下に示す態様に限定されるものではない。
炉内の温度制御は、7つの工程で行うことができる。第一の工程は(A)予備昇温工程、第二の工程は(B)急速加熱昇温工程、第三の工程は(C)低速加熱昇温工程、第四の工程は(D)定温保持工程、第五の工程は(E)低速冷却工程、第六の工程は(F)急速冷却工程、第七の工程は(G)自然冷却工程である。
第一の工程である(A)予備昇温工程においては、室温付近の一定温度で90分間固定する。ガラス材料各部の温度分布を均一にし、加熱軟化加工の温度制御によるガラス材の熱分布が容易に再現できるようにするためである。固定する温度は室温程度(約20〜30℃)の何れかの温度にて行う。
第二の工程は(B)急速加熱昇温工程であり、室温(例えば25℃)からガラス転移温度(以降Tgともいう)−50℃(以降T1ともいう)まで、例えば4℃/minの速度で約90分加熱する。そして第三の工程である(C)低速加熱昇温工程は、温度T1からガラス軟化点より約−50℃(以降T2ともいう)まで、例えば2℃/minで120分間加熱する。第四の工程である(D)定温保持工程は、温度T2で約60分温度一定にする。
温度T2で加熱されたガラス材料は定温保持工程で30分加熱する。更に温度T2で30分加熱を行うが、前述のように貫通孔を有する成形型を使用する場合には、後半の30分において、成形型の貫通孔からの吸引処理も併せて行うことができる。吸引処理は、電気炉外部に設置された吸引ポンプを作動させて行うことができる。吸引ポンプが吸引を行うと陰圧が発生し、陰圧は成形型の貫通孔を通して成形型に載置されたガラス材料を吸引する。電気炉の温度T2で加熱が開始されてから30分後から所定の耐熱性母型の吸引口により、例えば80〜150mmHg(≒1.0×10〜1.6×10Pa)の圧力で吸引する。
吸引が完了すると、ガラス材料の成形型への熱軟化変形が完了する。熱軟化変形完了後、冷却を行う。冷却工程である第五の工程(E)低速冷却工程は、Tgの−100℃(以降T3ともいう)まで、例えば1℃/minの速度で約300分間冷却し、軟化による形状変化を定着させる。またこの低速冷却工程は、ガラスの歪みを除くアニールの要素も含んでいる。
次いで、第六の工程である(F)急速冷却工程において、速度約1.5℃/minで約200℃程度まで冷却する。軟化加工を終了したガラスと成形型は、自らの熱収縮や温度変化に対する相互の熱膨張係数の違いにより破損するおそれがある。従って破損しない程度に温度の変化率を小さくすることが好ましい。
さらに、温度が200℃以下になると、第七の工程である(G)自然冷却工程を行う。(G)自然冷却工程において、200℃以下になると以降は自然冷却により室温まで冷却する。

軟化加工が完了すると、ガラス材料下面と型成形面が互いに雌雄の関係になる。一方ガラス材料上面は、ガラス材下面の形状変形に応じて変形し、所望の光学面が形成される。以上の工程によりガラス光学面を形成した後、ガラス材料を成形型から除去し、成形品を得ることができる。こうして得られた成形品は、累進屈折力レンズ用鋳型等のレンズ用鋳型、好ましくは眼鏡レンズ用鋳型として用いることができる。または周縁部など一部を除去してレンズ用鋳型として使用することができる。
更に本発明は、前記方法によりレンズ用鋳型を製造すること、および、製造したレンズ用鋳型またはその一部を鋳型として注型重合により眼鏡レンズを製造すること、を含む眼鏡レンズの製造方法に関する。先に説明した本発明のレンズ用鋳型の製造方法によれば、大きく変形させるべき部分を高温側へ配置することにより連続式加熱炉の加熱の不均一性を利用しガラス変形量を制御することができ、これにより設計値からの誤差が少なく、また誤差量の対称性が保たれたレンズ用鋳型を製造することができる。そしてかかるレンズ用鋳型を用いることにより、優れた装用感を有する眼鏡レンズ、具体的には累進屈折力レンズ、を得ることが可能となる。なお、上記注型重合は、公知の方法で行うことができる。
以下に、本発明を実施例に基づき説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
1.連続式加熱炉内の温度分布の確認
連続式加熱炉内でのガラス素材の温度分布の評価を下記条件にて行った。
内部に横方向に2列、縦方向に54タクトを有し、横方向の2列には耐熱ステンレスの上に各3個のセラミックス型とプリフォーム(ガラス素材)を載せることができる電気炉を使用した。それぞれについて、各プリフォーム表面上に最大4方向と中心の温度分布測定を行った。搬送系に問題のないと思われる最大数のセンサー19本を用いて測定を行った。図7に、横方向のセンサーレイアウトを示す。測温位置は中心と外周側のプリフォーム周辺部は外周より10mm内側とし、最小番号を電気炉出口側として配置した。尚、図7中、図示しない番号16のセンサーは、室温測定用センサーである。
上記のようにセンサーを配置した電気炉に、通常量産投入時を挿入し、センサー位置の前後にはダミーのセラミックス型を配置した後、炉内を前述の具体的態様に示した温度分布に制御し電気炉を稼動させた。図8に、電気炉内レイアウトを示す。
図9に、番号11、12、13、14のセンサーによって測定された測温(中心部)偏差結果を示す。図9に示すように、横方向各6個のプリフォーム中心温度は600℃以上の範囲で±5℃に抑えられ、ガラス転移温度Tg(485℃)から最高温度までの昇温の範囲で約±15℃の差が認められた。例えば電気炉の進行方向を軸としてTgより最高温度までは進行方向側が15℃高く、最高温度付近では進行方向側が平均5℃低い状況が確認された。
横方向のプリフォーム6個全ての温度測定を行い、電気炉内のプリフォーム上での進行方向と進行方向に直交する方向の温度分布を測定した結果を図10に示す。図10に示すように、プリフォーム上の進行方向前後での温度差は加熱昇温工程で最も大きく、加熱昇温工程の最終段階となるTg以上の最高温度にて温度差は縮小した。さらに定温保持工程(図9および図10中、「定温保持過程」と記載)の初期で温度差は0となり、一転進行方向側の温度が低くなった。以降低速冷却工程(図9および図10中、「低速徐冷過程」と記載)から急速冷却工程(図9および図10中、「急速降温過程」と記載)においては前記温度差の状態が維持されていた。一方、図9に示すように進行方向に直行する番号12、14のセンサーによると、本来連続式電気炉内で温度が高い方向と推測される方向(昇温工程では進行方向、冷却工程では進行方向の反対方向)よりも、進行方向に直行する方向が温度が高くなっている部分がある(例えば700秒以降)。この結果から、炉内の温度制御と成形面上の温度分布は必ずしも一致しないことがわかる。これに対し本発明の第二の態様によれば、成形面上の温度測定および位置制御により、高温側がいずれの方向にあったとしても成形型の曲率最大部を高温側に配置することを保証することができる。
2.第一の態様にかかる実施例・比較例
[実施例1]
両面球面で法線方向に等厚な2種類のガラスプリフォーム(ガラス素材1、2)を遠用部と近用部を有する累進屈折力レンズに対応する成形面を有する成形型の成形面上に配置した。成形型を横方向から目視により観察し、最も離間距離が大きいと判定された部分を離間距離最大部分として特定した。
次いで、プリフォームを配置した成形型を、成形型の幾何中心から離間距離最大部分に向かう方向が搬送方向と一致するように電気炉内へ導入し炉内で搬送した。電気炉内の温度制御は前述の具体的態様と同様にした。定温保持工程中、プリフォームの温度がTgを超えた時点で成形型からの吸引および成形型の180°反転を行った。炉外へ排出されたガラス素材の上面形状の設計値からの形状誤差(測定値−設計値)をタリサーフによって測定した。結果を図11に示す。
[比較例1]
電気炉導入時の成形型の向きを180°変えた点以外は実施例1と同様の2種類のガラスプリフォームの加熱成形を行った。実施例1と同様に炉外へ排出されたガラス素材の上面形状の設計値からの形状誤差を測定した。結果を図12に示す。
図11に示すように、実施例1では誤差量は0.03D以下であり誤差の絶対量を小さくすることができた。更に実施例では誤差分布の対称性も維持されていた。レンズ製造における誤差量の対称性が保たれることにより、眼鏡矯正に不要なアスティグマの発生を抑制することができる。同時に誤差量の非対称性に起因する眼鏡レンズ装用状態における違和感を低減することができる。
これに対し、図12に示すように比較例1では誤差に対称性がみられず、誤差量も大きかった。
3.第二の態様にかかる実施例・比較例
[実施例2]
両面に累進要素を含む両面累進屈折力レンズを得るために、両面球面で法線方向に等厚のガラスプリフォーム(ガラス素材3)を、上記累進屈折力レンズに対応する成形面を有する成形型の成形面上に配置した。
凹凸面いずれかの片面に累進面を含む累進屈折力レンズを得るために、両面球面で法線方向に等厚のガラスプリフォーム(ガラス素材4)を、上記累進屈折力レンズに対応する成形面を有する成形型の成形面上に配置した。
各成形型について、ガラス素材を配置する前に、成形面の幾何中心から周縁部に向かって平均曲率が最大となる方向(平均曲率最大方向)を、前述の方法により特定した。なお、上記2種類のレンズを得るための成形型の成形面は、いずれも幾何中心から近用部測定基準点に相当する位置に向かう方向と、平均曲率最大方向が一致した。
各成形型には、成形面上の温度を測定するために熱電対(プラチナ製 K熱電対 30ポイント)を1つ配置した。上記成形型を電気炉内に搬送して加熱処理行った。電気炉内の温度制御は、前述の具体的態様と同様にした。(A)予備昇温工程、(B)急速昇温工程、(C)低温加熱昇温工程、(D)低温保持工程、(E)低温冷却工程、(F)急速冷却工程、(G)自然冷却工程、の各工程は隔壁により遮断した。(B)以降の各工程において、隔壁により区切られた各ゾーン毎に、成形型を1°ピッチで回転させることにより熱電対と接触させ温度測定を行い、合計360点の温度を測定し、高温部および高温方向を特定した。特定された高温方向が平均曲率最大方向と一致していない場合には、一致するように成形型を回転させた上で成形型の搬送を継続した(この結果、成形面上の曲率最大部が高温部に含まれる状態で成形型の搬送が行われた)。次のゾーン内の温度測定箇所まで搬送方向は一定に維持した。
その後、炉外へ排出されたガラス素材の上面形状の設計値からの形状誤差(設計値−設計値)をタリサーフによって測定したところ、実施例1と同様、誤差量は0.03D以下であり誤差量の絶対値を小さくすることができた。更に実施例1と同様に誤差分布の対称性も維持されていた。レンズ製造における誤差量の対称性が保たれることにより、眼鏡矯正に不要なアスティグマの発生を抑制することができる。同時に誤差量の非対称性に起因する眼鏡レンズ装用状態における違和感を低減することができる。
実施例2は、成形面において、幾何中心から近用部測定基準点に相当する位置に向かう方向と平均曲率最大方向が一致する成形型を使用する態様である。
以下に、別の態様の実施例を示す。
[実施例3]
近用屈折力要素を凹凸両面に配分した、両面に累進要素を含む両面累進屈折力レンズを得るために、両面球面で法線方向に等厚のガラスプリフォーム(ガラス素材5)を、上記累進屈折力レンズに対応する成形面を有する成形型の成形面上に配置した。
累進要素を有する単焦点レンズを得るために、両面球面で法線方向に等厚なガラスプリフォーム(ガラス素材6)を、上記単焦点レンズに対応する成形面を有する成形型の成形面上に配置した。
各成形型について、ガラス素材を配置する前に、成形面の幾何中心から周縁部に向かって平均曲率が最大となる方向(平均曲率最大方向)を、前述の方法により特定した。実施例3で使用した成形型の成形面上では、平均曲率最大方向と、幾何中心から近用部測定基準点に相当する位置(成形面上で曲率が最大となる部分)に向かう方向は一致しなかった。
炉内において、成形面上の近用部測定基準点に相当する位置が高温部に含まれ、かつ特定された高温方向が平均曲率最大方向と一致するように、適宜成形型を回転させた上で成形型の搬送を継続した点以外、実施例2と同様の処理を行った。ガラス素材5、6のいずれにおいても、実施例1、2と同様に誤差量は0.03D以下であり、かつ誤差分布の対称性も維持されていることを確認した。
[比較例2]
電気炉内において成形型の向きを変更しない点以外は実施例2と同様の方法で、2種類のガラスプリフォームの加熱成形を行った。実施例2と同様に炉外へ排出されたガラス素材の上面形状の設計値からの形状誤差を測定したところ、比較例1と同様、誤差に対称性は見られず、誤差量も大きかった。
4.累進屈折力レンズ製造の実施例・比較例
[実施例4]
実施例1〜3で得られた鋳型として使用し、注型重合により両面累進屈折力レンズを得た。得られたレンズのレンズ外径は75φ、表面平均ベースカーブは4Dであった。得られたレンズをレンズメーターのレンズ当てに当て、光学中心または屈折力測定基準点でのアスティグマを測定したところ、いずれも0.01Dであった。本実施例で使用したレンズメーターは透過式であるが、反射式の表面屈折力装置や形状測定装置の測定結果から表面屈折力を解析することによってアスティグマを算出することもできる。
[比較例3]
比較例2、3で得られた鋳型を使用した点以外、実施例4と同様の方法で注型重合により両面累進屈折力レンズを得た。得られたレンズのアスティグマを上記方法で測定したところ、0.06Dであった。
製品レンズとしては、アスティグマの判定規格は通常±0.045D以内とされている。
比較例3で得られたレンズのアスティグマは上記規格外であったのに対し、実施例4では、上記規格内の累進屈折力レンズを得ることができた。この結果から、本発明によれば眼鏡レンズの矯正に不要なアスティグマの発生を抑制することにより、装用感に優れる眼鏡レンズを提供できることが示された。
本発明によれば累進屈折力レンズ用鋳型を生産性よく容易に製造することができる。更に本発明によれば、優れた装用感を有する眼鏡レンズを製造することができる。

Claims (15)

  1. 被成形ガラス素材を成形面上に配置した成形型を連続式加熱炉内へ導入し、該炉内を搬送しながら加熱処理を施すことにより、上記被成形ガラス素材の上面を、累進面または累進要素を含む面を形成するための成形面形状に成形する、レンズ用鋳型の製造方法であって、
    前記連続式加熱炉を、成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御すること、
    前記成形型として、成形面上で曲率分布を有する成形型を使用すること、ならびに、
    前記連続式加熱炉内への導入前に、成形型成形面と被成形ガラス素材下面との離間距離を2箇所以上で特定し、
    前記昇温領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想線によって二分される搬送方向側の部分に特定した離間距離が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送すること、
    を含む、前記製造方法。
  2. 前記昇温領域における搬送は、成形面の幾何中心から前記離間距離が最大となる部分へ向かう方向が搬送方向と略等しくなるように行われる請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記連続式加熱炉を、成形型導入口側から、前記昇温領域、定温保持領域、および冷却領域がこの順に配置されるように温度制御する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 上記昇温領域において、成形型を回転揺動することを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記レンズ用鋳型は、累進屈折力レンズ用鋳型であり、
    前記回転揺動における揺動角度および振幅は、前記累進屈折力レンズの加入屈折力および/またはインセット量に基づき決定される請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記回転揺動における揺動角度は搬送方向を基準として±5〜45°の範囲であり、かつ振幅は0.01〜1Hzの範囲である請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 前記定温保持領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想線によって二分される搬送方向側と反対側の部分に前記離間距離が最大となる部分が含まれるように成形型を回転することを含む請求項3〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記定温保持領域において搬送される成形型上に配置された被成形ガラス素材の温度は、該ガラスのガラス転移温度以上の温度である請求項3〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 被成形ガラス素材を成形面上に配置した成形型を連続式加熱炉内へ導入し、該炉内を搬送しながら加熱処理を施すことにより、上記被成形ガラス素材の上面を、累進要素または累進面を含む面を形成するための成形面形状に成形する、レンズ用鋳型の製造方法であって、
    前記成形型として、成形面上で曲率分布を有する成形型を使用すること、および、
    前記連続式加熱炉内に成形型位置制御領域を設け、該成形型位置制御領域において、前記成形面上の複数の測定点の温度を直接または間接に測定し、測定結果に基づき決定された高温部に、成形面上で曲率が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送すること、
    を含み、かつ、
    前記複数の測定点中の最高温点と幾何中心を通過する仮想線Aを特定し、次いで該仮想線Aと直交し、かつ幾何中心を通過する仮想線Bによって二分される前記最高温点を含む部分を前記高温部として決定する、前記製造方法。
  10. 前記仮想線A上の幾何中心から最高温点に向かう方向が成形面の幾何中心から周縁部へ向かって平均曲率が最大となる方向と略等しくなるように成形型を搬送することを含む、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記成形面上で曲率が最大となる部分は、前記レンズの近用部測定基準点に相当する位置にある請求項9または10に記載の製造方法。
  12. 前記成形型位置制御領域は、被成形ガラス素材の上面温度がガラス転移温度Tg−100℃以上となる領域を含む請求項9〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記連続式加熱炉を、成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御し、該昇温領域は前記成形型位置制御領域を含む請求項9〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法によりレンズ用鋳型を製造すること、および、製造したレンズ用鋳型またはその一部を鋳型として注型重合により眼鏡レンズを製造すること、を含む眼鏡レンズの製造方法。
  15. 前記眼鏡レンズは累進屈折力レンズである、請求項14に記載の眼鏡レンズの製造方法。
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