JPWO2010092996A1 - ダイヤモンド材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

大型の反応容器を使用して多品種、多量の一括処理をおこない低コストでダイヤモンド材料を製造するとともに、任意の形状のダイヤモンドを製造する。必要に応じて生成助剤を種々の形状、形態で付加した炭素材料を、水素が残留する状態で熱間静水圧加圧処理することによりダイヤモンド材料を析出、生成、成長させる。炭素材料自体を反応容器、水素および炭化水素の原料ソースとし、汎用的な熱間静水圧加圧装置を使用して0.2GPa程度の低圧でダイヤモンドを製造する。

Description

本発明は,電着砥石,研磨用スラリーなどの研磨・加工関連部材,高温半導体,高耐圧半導体,高周波半導体,パワー半導体,パネルディスプレイなどの電子放出デバイス,発光素子,レーザ素子,光検出素子,歪検出素子,圧力検出素子,温度検出素子,磁場検出素子,ヒートシンク,センサ用電極,電池用電極,各種デバイスなどに好適に使用できるダイヤモンド材料の製造方法に関する。
炭素は4000℃,15GPa以上では液体であるが,圧力を保持した状態で3000℃程度に冷却すると液体の状態から固体のダイヤモンドに変化する。従って,溶融状態の炭素からダイヤモンドを製造するためには極めて高温かつ高圧な条件が必要であった。天然のダイモンドは炭酸塩溶融体などがマントル中で移動,濃縮され触媒の存在下で還元されたと推測されている。
(高温高圧法)
19世紀後半にフランスのMoissanは,溶融させた鉄と炭素を急冷しその圧力でダイヤモンドを合成することを試みた。また同じ時期にスコットランドではHanneyが高温高圧法によりダイヤモンドを合成したと発表したが,いずれもその真偽については議論がある。
1955年に米国のGE社がベルト型アンビル炉を用いて,炭素と鉄を溶融させることにより人工ダイヤモンドを合成したと発表し,その後ASEA社,デビアス合同鉱山が引き続いてダイヤモンド合成に成功したと発表した。これらの方法ではいずれも1200〜2400℃の温度域で,5〜10GPaの超高圧処理が実施されていた。
1962年には東芝が,ゲルマニウム,ニッケルを触媒として使用して800℃の温度,6GPaの圧力で工業用ダイヤモンド粒の合成に成功した。現在でもこのような触媒を使用して,同様の条件にて工業用ダイヤモンドが製造されている。
(衝撃法)
爆薬の爆発圧力でダイヤモンドを合成する方法も実施されている。この方法では爆薬を使用して4000〜5000m/秒の爆風を発生させて,金属管を2000m/秒前後の速度で炭素と鉄や銅の金属粉を混合した材料を詰めた金属管に衝突させる。これにより材料内に衝撃波が発生し,炭素の一部がダイヤモンドに転換する。この製造方法においても瞬間的には10GPa以上の圧力,3000℃前後の温度がかかると言われおり,研磨用などの微粒のダイヤモンドパウダーの製造に適用されている。水中爆発,氷,窒素,二酸化炭素などの不活性雰囲気中で大規模な爆発をおこして製造する方法も実施されている。
(気相成長法)
1952年に米国のEversoleはダイヤモンドの種結晶を用いて気相成長によりダイヤモンドを析出させ,1976年にはソビエトのSpitsynとDerjaginらがダイヤモンド以外の基板へのダイアモンドの析出を確認した。この発見以降,化学輸送反応法,熱フィラメント法,燃焼炎法,マイクロ波プラズマ法,高周波プラズマ法などの方法が考案され,工具などへのダイヤモンドのコーティングに実用され,ダイヤモンド薄膜によるデバイス開発がおこなわれている。
(熱励起法)
気相成長法の一つで熱フィラメント法と燃焼炎法がある。燃焼炎法ではアセチレン,酸素の燃焼炎の還元炎内で3000℃程度に熱励起させた炭化水素を冷却させた基板上に析出させる。
熱フィラメント法では基板上部の熱フィラメントにより2000℃程度にメタン,水素を熱励起させて,温度の低い基板上にダイヤモンドを析出させる。ダイヤモンド工具のコーティングなどに使用されている。
(ハロゲン促進法)
炭化水素とフッ素,アルコールとフッ素などを900℃程度に加熱された反応管に通して,200℃程度低い温度に保持した基板上にダイヤモンドを析出させる。熱励起法に比較して低温での製造が可能であるがダイヤモンドの生成速度は極めて遅い。
(プラズマ励起法)
マイクロ波,高周波,直流電圧などによりプラズマを発生させて励起させる方法である。反応ガスとしてはメタン,水素を使用するのが一般的であり,300〜1000℃の基板温度でダイヤモンドが薄膜状に堆積する。圧力は0.1〜200Torr程度の範囲であり,基板としてはシリコン,タンタル,タングステン,モリブデン,金,銅,アルミニウム,黒鉛,シリカガラス,サファイヤ,炭化タングステン,炭化チタン,炭化ケイ素,酸化マグネシウムなどが使用されている。
J.C. Angus: Proc. 1st. Inter. Symp. Diamondo and Diamondlike films, vol1. 89-12, p1, Los Angels, CA, 1989 B. V. Derjaguin, B.V. Spitsyn et al., Dokl. Akad. Nauk SSSR, 231, 333(1976)
電着砥石,研磨用スラリーなどの研磨・加工関連部材,高温半導体,高耐圧半導体,高周波半導体,パワー半導体,パネルディスプレイなどの電子放出デバイス,発光素子,レーザ素子,光検出素子,歪検出素子,圧力検出素子,温度検出素子,磁場検出素子,ヒートシンク,センサ用電極,電池用電極などの各種デバイス,装飾品などに使用される人工ダイヤモンドの従来の製造方法は生産性が低く,高コストである課題があった。
粒状,塊状,粉状のダイヤモンドを合成するには高温高圧法,衝撃法があるが,いずれも数GPaの高圧状態を作る必要があり,製造設備は高圧に耐えうる強固な材質で構成する必要があるため実際の反応スペースは小さく,結果として極めて低い生産性での製造を強いられていた。その成長速度は主として溶融金属中の温度勾配の大きさで決まるため,成長速度が限度を越えるとインクルージョンが入りやすくなり,成長速度の上限は時間あたり0.01カラット,およそ2mg程度であった。
ダイヤモンド薄膜は熱伝導率,絶縁耐圧, 耐熱性,耐腐食性,強い放射線耐性,人体に似たX線吸収特性,生体物質に対する親和性,化学物質に対する不活性,優れた電気特性, 高い移動度,絶縁破壊電界,小さい誘電率など優れた特性を有し,理想的ヒートシンク,放射線,X線モニター,バイオセンサ,化学電極,パワーデバイス,高周波デバイスなどへの応用が期待されているが,時間あたり数ミクロンから数十ミクロン程度と成長速度が遅く,大形状のものを安定に製造することが困難であった。生成速度もさることながら薄膜の製造に使用するプラズマCVD装置,熱フィラメント系装置は真空,雰囲気調整などの反応チャンバーが必要であるが,薄膜が生成するのは基板表面のみであり,複数の基板を積層させて製造することは困難であった。このために優れた特性を有するものの,工業的にダイヤモンド薄膜を実用することには制限があった。
また製造させるダイヤモンドの形態,すなわち薄膜状,塊状などの形状,100面,111面などの結晶方位,多結晶,単結晶,ホモエピタキシャル,ヘテロエピタキシャルなどの結晶形態により個別に製造装置や条件を設計,製作する必要があり,一つの反応容器を使用して一度に多数,多種類の結晶形態のものの製造をおこなうことは困難であった。
加えて,ダイヤモンドは極めて高い硬度を有し機械加工が難しいこと,粒子を高温に保持して単体で焼結させることができなかったことなどから球状,棒状,針状,シート状,柱状,,異形状などの形状のものを得ることも,また困難であるという,更なる問題もあった。
本発明は,水素が残留する炭素材料を熱間静水圧加圧することにより,炭素材料より発生する水素,炭化水素を熱励起し,炭素材料自体を炭素原料としながら,炭素材料の内部や表面にダイヤモンド材料を析出,生成,成長させることを特徴とするものである。本発明では,従来の気相成長法のように原料ガスを供給する必要は無く,基材である炭素材料より生成した水素,炭化水素により気相成長がおこなわれる。すなわち水素発生,基材である炭素材料の水素によるエッチング,炭化水素発生,ダイヤモンド析出,水素発生が繰り返し連続的に生じていくために,本発明は,基材の炭素材料そのものを原料としてダイヤモンドの析出,生成,成長が効率的に高速な成長速度でおこなわれるという,特徴的利点を有する。
本発明はまた,成長の核となる生成助剤としてダイヤモンドなどを含有させ,引き続く熱間静水圧加圧処理によりダイヤモンドを加速的に成長させることを更に特徴とするものも提供する。具体的には,水素を残留する炭素材料が熱間静水圧加圧処理中に核となる生成助剤の周囲で前記のダイヤモンド析出,生成,成長を加速的におこなうものである。生成助剤としてはダイヤモンド,タングステン,モリブデン,タンタル,銅,金,白金,シリコン,ニッケル,コバルト,イリジウム,ガラス状カーボン,黒鉛,酸化珪素,サファイヤなどの酸化物,炭化珪素,炭化タングステン,炭化チタンなどの炭化物,窒化硼素,窒化アルミなどの窒化物,炭酸マグネシウムなどの炭酸塩無機材料,硫酸カルシウムなどの硫酸塩無機材料などが好適に使用できる。
本発明では,炭素材料の熱間静水圧加圧処理前の残留水素量を適切に設定するために,炭素材料を予備的に焼成する温度が適切な条件に設定される。予備焼成温度が高温であった場合には残留する水素量が不足するために,引き続く熱間静水圧加圧処理においてダイヤモンドを析出,生成するための水素,および炭化水素発生が安定的に生じない。
本発明は,ダイヤモンドなどの上記生成助剤を含有する炭素材料を反応容器としても機能させることをも特徴とする。安定的にダイヤモンドを成長させるためには,ダイヤモンドが生成する反応点に適切な水素,炭化水素濃度,励起状態を作り出す必要があり,また成長するダイヤモンドを包囲しつつ安定的に維持,支持する必要がある。このようなダイヤモンド析出,生成プロセスを安定的におこなうために,炭素材料及び又は前駆体となる有機高分子材料と生成助剤との混合物を所定の形状に成形することを特徴とする。更には,所望の大きさ,形状のダイヤモンドを製造する場合には,内部や表面に適切な生成助剤を保持させた状態で板状,球状,円柱,立柱などの所定の形状に炭素材料及び又は前駆体となる有機高分子材料を成型する。
反応容器として機能させる炭素材料は,焼成後に水素が残留した炭素になる高分子有機材料の他に,高周波プラズマCVDなどで水素を含有させたDLC膜,アモルファスカーボン膜なども使用することができる。
薄膜状のダイヤモンドを製造する場合には,基板状の生成助剤や,生成助剤を設置した基板と炭素材料を積層させた状態で,必要があれば全表面を炭素材料で被覆した状態で熱間静水圧加圧することを特徴とする。この場合もアルゴン,窒素などのガス圧による熱間静水圧加圧をおこなうために,等方的なガス雰囲気により基板材料,炭素材料周囲に水素,炭化水素の濃度勾配が保たれ,ダイヤモンド薄膜の生成,成長が促進される。
本発明は,炭素材料の内部や表面に,円柱状,円錐状,立柱状,立錐状,板状,球状薄膜状などの所望する所定の形状の空間をあらかじめ設置して,熱間静水圧加圧処理により,設置した空間にダイヤモンドを析出,生成,成長させてダイヤモンド材料を成形することを特徴とするものも提供する。
本発明によれば汎用的な熱間静水圧加圧処理装置を使用して,0.2GPa程度の低圧でも粒状,粉状,塊状のダイヤモンドを,高い生産性で製造することができる。使用する炭素材料が原料であり,かつ反応容器となるために,多数個処理や,多種類の形状,大きさ,結晶形態のダイヤモンド生成を,混載して一度の熱間静水圧加圧処理にて実施することができる。
本発明では例えば内径800mm,高さ3500mmなどの大型の反応容器で製造できるために,必要最小限の設備投資により,多数多種類の製品の短期間,低コストでの製造が可能になる。
更に本発明によれば,基板を多数枚積層した状態でダイヤモンド薄膜を形成することが可能になるために,極めて高い生産性での製造が可能になる。このため,すぐれた特性を持ちながら工業的に実用化が困難であったダイヤモンド薄膜,および理想的ヒートシンク,放射線,X線モニター,バイオセンサ,化学電極,パワーデバイス,高周波デバイスなどへの実用化が促進される。
加えて本発明によれば,あらかじめ炭素材料に円柱状,円錐状,立柱状,立錐状,板状,球状,薄膜状などのの空間を設置した場合,そのことにより,円柱状,円錐状,立柱状,立錐状,板状,球状,薄膜状などのダイヤモンド材料の成形が可能になる。
図1は実施例12(実施例1の試料)の電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 図2は実施例12(実施例2の試料)の電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 図3は実施例12(実施例4の試料)の電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 図4は実施例12(実施例4の試料)のX線分光スペクトルを示し,ダイヤモンドの表面にあるSP3結合に終端した官能基中の酸素の存在を示すものである。 図5は実施例12(実施例5の試料)の電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 図6は実施例12(実施例6の試料)の電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 図7は実施例12(実施例7の試料)の電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 図8は実施例12(実施例8の試料)の電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 図9は実施例12(実施例9の試料)の電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 図10は実施例12(実施例10の試料)の電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 図11は実施例12(実施例11の試料)の電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 図12は実施例13の電子顕微鏡像を示す。 図13は図12で示したデンドライト状のダイヤモンドの電子顕微鏡像を,拡大したものである。
焼成後に炭化する熱硬化性樹脂,熱可塑性樹脂などの有機高分子材料と,必要に応じて生成助剤を混合し,薄板,厚板,円板,球,立柱,円柱,円錐,角錐などの所定の形状に成形する。有機高分子材料は焼成後に炭素が残渣となるものであればいずれも使用することが可能であるが,フェノール系樹脂,フラン系樹脂,メラミン系樹脂,キシレン系樹脂,アニリン系樹脂,石油系ピッチ,石炭系ピッチ,PAN系樹脂,エポキシ樹脂,ポリエチレン,ポリスチレン,ポリプロピレンなどが好適に使用できる。成形方法は金型を使用した圧縮加圧成型,射出成型をはじめ,注型,印刷,スプレー,圧延など製造するダイヤモンド材料により適切な方法を選択する。
所定の形状に加工したダイヤモンドを含む有機系高分子材料の成形体を窒素などの不活性ガス中で所定の昇温速度にて,所定の最高到達温度にて炭化焼成する。炭化焼成時の最高到達温度は,炭化焼成後の材料中に残留する水素含有量により決定する。フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の場合は,800℃から1500℃の温度領域にて炭素骨格中のCnHm官能基から水素,炭化水素を発生し,材料収縮を生じながら炭化,黒鉛化が生じていく。引き続く熱間静水圧加圧処理にてダイヤモンドの析出,成長を生じるためには,適度な水素,炭化水素が発生する必要があるために,使用する原料により残留水素量を尺度として炭化焼成温度を決定する。
炭化焼成後の材料を黒鉛坩堝などの保持容器に挿入し,アルゴン,窒素などの不活性ガス中でガス圧による等方的な熱間静水圧加圧処理をおこなう。0.2GPa程度の比較的低圧な圧力でも,例えば800℃以上,好ましくは1000℃以上の温度域から水素が発生し,1800℃〜2000℃程度まで加熱していくと炭素材料から発生した水素の熱励起が活発になり,ダイヤモンド材料の表面でダイヤモンドの析出,成長反応が促進される。炭素材料からの水素発生,炭化水素発生,ダイヤモンド析出は繰り返し生じるために,周囲の炭素材料を消耗しながらダイヤモンドが成長していく。
熱間静水圧加圧の処理温度は,炭素材料から水素を発生する温度域であれば良いが,発生した水素が十分に熱励起される必要があるために,例えば800℃以上,望ましくは1000℃以上,生産性の面からは1800℃以上,更には2000℃以上が特に好適であり,2100℃以上が更に好適である。また,処理温度の上限値としては特に制限はないが,熱間静水圧加圧装置を用いる場合には,通常,装置の性能から自ずと上限値が定まる。かかる上限値は当業者には自明のものであり,通常は約2500℃,特に高性能の装値の場合には約3000℃である。好ましい処理温度の範囲は,上記から適切に選択することができ,例えば,約1800℃〜約2500℃が挙げられる。
熱間静水圧加圧処理を行う際の処理圧力としては,約0.05GPa以上,より好ましくは約0.1GPa以上,さら好ましくは約0.19GPa以上を挙げることができる。該処理圧力の上限値に関しては特に制限はないが,熱間静水圧加圧装置を用いる場合には,通常,装置の性能から自ずと上限値が定まる。かかる上限値は当業者には自明のものであり,通常は約0.2GPa,特に高性能の装置の場合には約0.3GPaである。好ましい処理圧力の範囲は,上記から適切に選択することができる。
熱間静水圧加圧処理時の処理圧力,昇圧速度,同時昇温昇圧パターン,昇圧先行処理パターン,昇温先行パターンなどの処理パターンは製造するダイヤモンドの形状,結晶状態などにより適切に選択する。通常,反応効率の観点からは,昇圧先行パターンが好ましい。該パターンの例としては,処理温度が炭化焼成(予備焼成)時の最高到達温度に至る前に,処理圧力を十分に高めることが挙げられる。該十分に高める処理圧力の値としては,例えば,実施例に掲げた処理条件の場合には,約0.15GPaが挙げられる。
本発明において,炭素材料に含まれる水素の量は,炭素材料の約0.01wt%〜約6wt%の範囲にあるのが好ましく,より好ましくは約0.05wt%〜約6wt%の範囲,更により好ましくは0.2wt%〜6wt%の範囲である。
生成助剤には,ダイヤモンド,タングステン,モリブデン,タンタル,ニオブ,ガリウム,銅,金,白金,シリコン,ニッケル,コバルト,イリジウム,ガラス状カーボン,黒鉛,酸化珪素,サファイヤなどの酸化物,炭化珪素,炭化タングステン,炭化チタンなどの炭化物,窒化硼素,窒化アルミなどの窒化物,炭酸マグネシウムなどの炭酸塩無機材料,硫酸カルシウムなどの硫酸塩無機材料などが好適に使用できる。
熱間静水圧加圧処理前の炭素材料及び又は生成助剤の構成方法には種々のものを選択することができる。
有機高分子材料を使用せずに水素を含有させた炭素材料を使用することも可能である。
炭化水素ガスを使用した熱CVD,プラズマCVD,炭素系ターゲット材料を使用したスパッタリング,反応性スパッタリング,イオンアシストスパッタリング,イオンアシストCVD,イオンプレーティングなどの各種の方法を使用して,水素が含まれる炭素材料を生成助剤近傍で構成させることにより同様の製造を好適に実施することができる。
ユニチカ社製フェノールフォルムアルデヒド樹脂(UA)粉末を170℃の温度でホットプレスし外径50mm,厚さ5mmの形状に成型した。成形後の樹脂基板を人造黒鉛の棚板に挟み,窒素気流中で時間あたり2℃の焼成速度で450℃の最高到達温度で炭化焼成した。炭化焼成後の材料の残留水素量を不活性ガス融解熱伝導度法(堀場社製EMGA621)で測定したところ,6wt%の水素が残留していた。
ユニチカ社製フェノールフォルムアルデヒド樹脂(UA)粉末を170℃の温度でホットプレスし外径50mm,厚さ5mmの形状に成型した。成形後の樹脂基板を人造黒鉛の棚板に挟み,窒素気流中で時間あたり2℃の焼成速度で1000℃の最高到達温度で炭化焼成した。炭化焼成後の材料の残留水素量を不活性ガス融解熱伝導度法(堀場社製EMGA621)で測定したところ,0.2wt%の水素が残留していた。
ユニチカ社製フェノールフォルムアルデヒド樹脂(UA)粉末を170℃の温度でホットプレスし外径50mm,厚さ5mmの形状に成型した。成形後の樹脂基板を人造黒鉛の棚板に挟み,窒素気流中で時間あたり2℃の焼成速度で1000℃まで,時間あたり5℃の焼成速度で1800℃の最高到達温度で炭化焼成した。炭化焼成後の材料の残留水素量を不活性ガス融解熱伝導度法(堀場社製EMGA621)で測定したところ,0.005wt%の水素が残留していた。
ユニチカ社製フェノールフォルムアルデヒド樹脂(UA)粉末99wt%,粒径3ミクロンのダイヤモンドパウダー1wt%を混合し170℃の温度でホットプレスし外径50mm,厚さ5mmの形状に成型した。成形後の樹脂基板を人造黒鉛の棚板に挟み,窒素気流中で時間あたり2℃の焼成速度で1000℃の最高到達温度で炭化焼成した。
ユニチカ社製フェノールフォルムアルデヒド樹脂(UA)粉末99wt%,粒径3ミクロンのダイヤモンドパウダー1wt%を混合し170℃の温度でホットプレスし外径50mm,厚さ5mmの形状に成型した。成形後の樹脂基板を人造黒鉛の棚板に挟み,窒素気流中で時間あたり5℃の焼成速度で1000℃の最高到達温度で炭化焼成した。炭化焼成時の昇温速度を速めたために炭化焼成後の試料には多数の空孔が導入された。
ユニチカ社製フェノールフォルムアルデヒド樹脂(UA)粉末99wt%と,窒化アルミニウム,炭化ケイ素,シリコン,炭酸マグネシウムの混合物1wt%とが混合されたものを170℃の温度でホットプレスし外径50mm,厚さ5mmの形状に成型した。成形後の樹脂基板を人造黒鉛の棚板に挟み,窒素気流中で時間あたり3℃の焼成速度で1000℃の最高到達温度で炭化焼成した。
ユニチカ社製フェノールフォルムアルデヒド樹脂(UA)粉末99wt%と,ニオブ,ガリウムの混合物1wt%とが混合されたものを170℃の温度でホットプレスし外径50mm,厚さ5mmの形状に成型した。
成形後の樹脂基板を人造黒鉛の棚板に挟み,窒素気流中で時間あたり3℃の焼成速度で1000℃の最高到達温度で炭化焼成した。
ユニチカ社製フェノールフォルムアルデヒド樹脂(UA)粉末99wt%と,モリブデン,炭酸マグネシウム,
アルミニウムの混合物1wt%とが混合されたものを170℃の温度でホットプレスし外径50mm,厚さ5mmの形状に成型した。
成形後の樹脂基板を人造黒鉛の棚板に挟み,窒素気流中で時間あたり3℃の焼成速度で1000℃の最高到達温度で炭化焼成した。
ユニチカ社製フェノールフォルムアルデヒド樹脂(UA)粉末99wt%と,銅,硫酸カルシウムの混合物1wt%とが混合されたものを170℃の温度でホットプレスし外径50mm,厚さ5mmの形状に成型した。成形後の樹脂基板を人造黒鉛の棚板に挟み,窒素気流中で時間あたり3℃の焼成速度で1000℃の最高到達温度で炭化焼成した。
外径50mm,板厚0.3mmの単結晶炭化珪素のウエハ表面に,プラズマイオン注入成膜装置を使用して膜厚5ミクロンのカーボン薄膜を形成し,炭化珪素とカーボン膜の積層体を構成した。カーボン薄膜中の残留水素量は3wt%になるように成膜条件を調整した。
実施例2で作成した試料の両面をラッピング,ポリッシングすることにより表面粗さRa5オングストロームの鏡面に仕上げた。この試料と単結晶炭化珪素ウエハの外径を40mmに揃えて,それぞれの平坦度を調整した後に,それぞれの表面を密着させて保持した。
実施例1から11の試料を黒鉛製の坩堝に装填して,熱間静水圧加圧装置の反応容器にセットし,アルゴンガスを使用して2300℃の処理温度,0.19GPaの圧力で1時間保持し,熱間静水圧加圧処理をおこなった。処理後のダイヤモンドの発生状況を表1にまとめて示した。

ユニチカ社製フェノールフォルムアルデヒド樹脂(UA)粉末99wt%,粒径30ミクロンのダイヤモンドパウダー1wt%を混合し170℃の温度でホットプレスし外径50mm,厚さ5mmの形状に成型した。成形後の樹脂基板を人造黒鉛の棚板に挟み,窒素気流中で時間あたり2℃の焼成速度で800℃の最高到達温度で炭化焼成した。
上記で得られた試料を黒鉛製の坩堝に装填して,熱間静水圧加圧装置の反応容器にセットし,アルゴンガスを使用して2300℃の処理温度,0.19GPaの圧力で1時間保持し,熱間静水圧加圧処理をおこなった。該処理後デンドライト状のダイヤモンドが生成した(図12及び図13)。
汎用的な熱間静水圧加圧装置を使用して0.2GPa程度の低圧でもダイヤモンド材料を製造できるため,すぐれた特性をもつダイヤモンド材料の実用的な用途が拡がる。

Claims (14)

  1. 所定の形に成形された,水素を含む炭素材料を準備し,これを加圧されたガス雰囲気下,該ガスの圧力により熱間静水圧加圧処理し,該炭素材料の内部及び/又は表面にダイヤモンドを生成させることを特徴とする,ダイヤモンドの製造方法。
  2. 該水素を含む炭素材料が,残留水素を含むように有機高分子材料を焼成したものであるか,又はダイヤモンドライクカーボン(DLC),若しくはアモルファスカーボンである,請求項1の製造方法。
  3. 該炭素材料に含まれる水素の量が,該炭素材料の0.01wt%〜6wt%である,請求項1又は2の製造方法。
  4. 該炭素材料に含まれる水素の量が,該炭素材料の0.05wt%〜6wt%である,請求項1又は2の製造方法。
  5. 該炭素材料に含まれる水素の量が,該炭素材料の0.2wt%〜6wt%である,請求項1又は2の製造方法。
  6. 熱間静水圧加圧処理を,温度800℃〜3000℃の条件下に実施するものである,請求項1ないし5の何れかの製造方法。
  7. 熱間静水圧加圧処理を,温度1800℃〜2500℃の条件下に実施するものである,請求項1ないし5の何れかの製造方法。
  8. 熱間静水圧加圧処理を,該ガスの圧力0.01GPa〜0.3GPaの条件下に実施するものである,請求項1ないし7の何れかの製造方法。
  9. 該炭素材料が成長助剤を含んでなるものである,請求項1ないし8の何れかの製造方法。
  10. 該炭素材料が,成長助剤よりなる層の表面に形成されているもの又はこれに密着させてあるものである,請求項1ないし8の何れかの製造方法。
  11. 該成長助剤がダイヤモンド,タングステン,モリブデン,タンタル,ニオブ,ガリウム,銅,金,白金,シリコン,ニッケル,コバルト,イリジウム,ガラス状カーボン,黒鉛,酸化珪素,サファイヤなどの酸化物,炭化珪素,炭化タングステン,炭化チタン,窒化硼素,窒化アルミ,炭酸マグネシウム,硫酸カルシウムからなる群から選ばれる1又は2種以上のものである,請求項9又は10の製造方法。
  12. 該成長助剤がダイヤモンドである,請求項9又は10製造方法
  13. 該成長助剤よりなる層が,膜状の単結晶炭化珪素である,請求項10の製造方法。
  14. 該炭素材料が,その内部又は表面に所定の形状の空間を有するものであり,熱間静水圧加圧処理により,該空間にダイヤモンドを生成させることを特徴とする,請求項1ないし13の何れかの製造方法。
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