JPWO2010084792A1 - シガレット - Google Patents

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陽司 上野
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伸也 吉田
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Abstract

シガレットは、タバコ充填材を含むタバコロッドを備える。タバコ充填材は、タバコ除骨葉刻を含み、かつ乳酸金属塩、酒石酸金属塩、コハク酸金属塩、3−ヒドロキシ酪酸金属塩、酢酸金属塩およびギ酸金属塩からなる群から選択されるカルボン酸金属塩をタバコ除骨葉刻の重量の0.5〜6.0重量%の量で含む。

Description

本発明は、喫煙したときに発生する主流煙中のベンゾ[a]ピレンの量が低減されたシガレットに関する。
シガレットの喫煙時に発生する主流煙中のベンゾ[a]ピレンは除去するか、減少させることが望まれる物質である。
これまでにシガレット主流煙中のベンゾ[a]ピレンの量を低減させる技術は数多く報告されているが、その中でも、タバコ刻へ添加剤を添加することによる低減技術は簡便かつ実用的な技術の1つである。例えば、国際公開WO2004/110185、米国特許第4248251号および米国特許4055191号は、主要な添加物質としてパラジウム金属またはパラジウム塩をタバコ刻に添加し、シガレット主流煙中のベンゾピレン等の多環芳香族炭化水素類(PAHsまたはPCAHs)の量を低減させることを開示する。
しかしながら、パラジウムは、白金や金と同様、高価な貴金属であるため、コストの点で不利である。また、パラジウムは埋蔵量の少ない貴金属の1つとしても知られている一方、その高い触媒的機能ゆえ、自動車、半導体産業等において多くの需要があるため、調達の点でも不利である。
他方、カルボン酸金属塩は、従来、シガレット主流煙中の一酸化炭素の量を低減させることを意図して用いられている。例えば、米国特許第4489739号は、一酸化炭素の発生量を減少させるために、カルボン酸のアルカリ金属塩を6.5〜20%の量で含有するタバコ組成物を開示する。日本国特開2006−187260号公報は、タバコ主流煙中の一酸化炭素の量を減少させるために、有機アルカリ金属塩および無機アルカリ金属塩を特定の量でタバコ刻に配合することを開示する。
しかしながら、カルボン酸アルカリ金属塩を用いてのシガレット主流煙中のベンゾ[a]ピレンの量を低減させる技術は、先行技術において見いだされていない。
本発明の目的は、喫煙したときに発生する主流煙中のベンゾ[a]ピレンの量が低減されたシガレットを提供することである。
本発明者らは、シガレット主流煙中のベンゾ[a]ピレンの量を低減させるために有効な物質について鋭意検討した結果、乳酸、酒石酸、コハク酸、3−ヒドロキシ酪酸、酢酸およびギ酸の各金属塩がシガレット主流煙中のベンゾ[a]ピレンの量を選択的に低減させることを見いだした。
本発明によれば、タバコ充填材を含むタバコロッドを備えるシガレットであって、前記タバコ充填材は、タバコ除骨葉刻を含み、かつ乳酸金属塩、酒石酸金属塩、コハク酸金属塩、3−ヒドロキシ酪酸金属塩、酢酸金属塩およびギ酸金属塩からなる群から選択されるカルボン酸金属塩を前記タバコ除骨葉刻の重量の0.5〜6.0重量%の量で含むシガレットが提供される。
本発明に用いられるカルボン酸金属塩は、シガレット主流煙中のベンゾ[a]ピレンを選択的に低減させることができる。また、本発明に用いられるカルボン酸金属塩は、概して、パラジウムよりも安価であるため、ベンゾ[a]ピレンが低減した主流煙を発生するシガレットをより安価に提供することができる。
図1は、本発明の1つの態様に係るシガレットを概略的に示す拡大斜視図。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明のシガレットは、タバコ充填材を含むタバコロッドを備える。タバコ充填材は、タバコ除骨葉刻を含み、かつシガレット主流煙中のベンゾ[a]ピレンの量を低減させるために、カルボン酸金属塩を含む。一般に、シガレットに用いられるタバコ充填材には、タバコ除骨葉刻(タバコ葉肉刻)、タバコ中骨刻、再生タバコ刻またはそれらの混合物が含まれる。タバコ除骨葉刻は、膨化されていても、いなくてもよい。本発明においては、タバコ充填材は、ベンゾ[a]ピレンの発生量の比較的多いタバコ除骨葉刻の重量に対し特定のパーセンテージでカルボン酸金属塩を含む。なお、膨化タバコ除骨葉刻は、乾燥され収縮したタバコ葉肉刻の組織を二酸化炭素等の膨化剤により膨張させたタバコ刻である。
本発明で用いられるカルボン酸金属塩は、乳酸金属塩、酒石酸金属塩、コハク酸金属塩、3−ヒドロキシ酪酸金属塩、酢酸金属塩およびギ酸金属塩からなる群から選択される。カルボン酸金属塩は、アルカリ金属塩であることが好ましく、カリウム塩またはナトリウム塩であることが特に好ましい。
本発明に用いられるカルボン酸金属塩は、タバコ除骨葉刻の重量の0.5〜6.0重量%の量でタバコ充填材に含められる。カルボン酸金属塩の量が0.5重量%未満であると、ベンゾ[a]ピレンを有意に低減させることができない傾向がある。カルボン酸金属塩は6.0重量%までの量で十分にその効果を発揮する。しかし、カルボン酸金属塩は、タバコ除骨刻の6重量%を超える量で添加しても、6.0重量%添加の場合に比べてベンゾピレン低減効果が有意に上昇するものでなく、かえってシガレットの香喫味が低下する傾向があり好ましくない。カルボン酸金属塩は、タバコ除骨葉刻の重量の2〜6.0重量%の量で添加することがより好ましい。
上に記述したように、本発明に用いられるタバコ充填材には、膨化および/または非膨化タバコ除骨葉刻(タバコ葉肉刻)が含まれ、さらにタバコ中骨刻、再生タバコ刻またはそれらのいずれかの混合物が含まれていてもよい。すなわち、タバコ充填材は、非膨化タバコ除骨葉刻を含むかそれからなり得るか、膨化タバコ除骨刻を含むかそれからなり得るか、非膨化タバコ除骨葉刻と膨化タバコ除骨葉刻との混合物を含むかそれからなり得るか、非膨化タバコ除骨葉刻とタバコ中骨刻および/または再生タバコ刻との混合物を含むかそれからなり得るか、膨化タバコ除骨刻とタバコ中骨刻および/または再生タバコ刻との混合物を含むかそれからなり得るか、または非膨化タバコ除骨葉刻と膨化タバコ除骨葉刻とタバコ中骨刻および/または再生タバコ刻との混合物を含むかそれからなり得る。タバコ充填材が、タバコ除骨葉刻に加えて、タバコ除骨葉刻以外のタバコ材(例えば、中骨刻、再生タバコ刻またはそれらの混合物)を含む場合、タバコ除骨葉刻は、通常、タバコ充填材の重量の70%以上を占めることができる。使用するタバコの品種には、黄色種、バーレー種等が含まれる。
タバコ充填材が、タバコ除骨葉刻とそれ以外の他のタバコ材(例えば、タバコ中骨刻および/または再生タバコ刻)との混合物である場合、タバコ除骨葉刻にカルボン酸金属塩を予め添加し、これを他のタバコ材と混合することができる。例えば、タバコ充填材が黄色種および/またはバーレー種の非膨化タバコ除骨葉刻、膨化タバコ除骨葉刻およびタバコ中骨刻から構成されるブレンドタバコである場合、非膨化除骨葉刻と膨化除骨葉刻の合計重量の0.5〜6.0重量%、好ましくは2〜6重量%の量で上記カルボン酸金属塩を、非膨化除骨葉刻と膨化除骨葉刻の混合物に予め添加し、得られた混合物にタバコ中骨刻および/または再生タバコ刻を配合することが好ましい。これにより、ベンゾ[a]ピレンの低減効果が一層向上する。この場合、タバコ中骨刻にカルボン酸金属塩を予め添加する必要はない。さらに、本発明においては、タバコ除骨葉刻、タバコ細粉、バインダ、エアロゾル生成物質等を溶媒中で混合してスラリーとし、これを抄造、圧延して形成されたタバコシートの刻もタバコ充填材として用いることができる。この場合、使用したタバコ除骨葉刻の重量の0.5〜6.0重量%、好ましくは2〜6重量%の量でカルボン酸金属塩をタバコシート刻に添加する。
タバコ充填材には香料が添加されていてもよく、例えばメンソールを添加することができる。
カルボン酸金属塩は、いずれかの好適な手法により、タバコ充填材に含めることができる。例えば、カルボン酸金属塩の水溶液をタバコ除骨葉刻に噴霧することができる。カルボン酸金属塩を添加したタバコ除骨葉刻を含むタバコ充填材は、これを調湿した後、シガレットの作製に供される。本発明のシガレットは、タバコ充填材として上記カルボン酸金属塩を含むタバコ充填材を用いる以外は、通常のシガレットの製造方法により作製することができる。
本発明のカルボン酸金属塩を含むタバコ充填材は、シガレット巻紙によりロッド状(通常、円柱状)に巻装される。シガレット巻紙としては、通常のシガレットに使用されている亜麻パルプ等のパルプをベースとするいずれかのシガレット巻紙を用いることができる。シガレット巻紙は、炭酸カルシウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物のような一般に使用されているフィラーを2g/m2以上の割合で含有することができる。フィラーは、2〜8g/m2の割合でシガレット巻紙に含有され得る。また、シガレット巻紙は、通常、22g/m2以上の坪量を有する。この坪量は、通常80g/m2以下である。巻紙の固有通気度は、通常、10〜60コレスタ単位である。
また、シガレット巻紙には、クエン酸またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩)等の燃焼調節剤を添加することもできる。通常、燃焼調節剤は、これを用いる場合、シガレット巻紙中に2重量%以下の割合で用いられる。
本発明は、通常のシガレットと同様の構造および外観を有し得る。
図1は、本発明の1つの態様によるシガレットを拡大して概略的に示す斜視図である。なお、図1において、シガレットは、一定の比例で拡大されていない。
図1に示されるシガレット10は、本発明のカルボン酸金属塩を含むタバコ充填材を含むタバコロッド(図1では、円柱状ロッド)121と、これを巻装するシガレット巻紙122を含むシガレットロッド12を備える。シガレットロッド12は、通常、17mm〜26mmの円周長、および49mm〜90mmの長さを有する。シガレットロッド12の基端(すなわち、吸煙方向下流端)12aには、チップペーパー14により通常のタバコフィルター16を取り付けることができる。チップペーパー14には、外部空気を取り込んで、シガレットの主流煙を希釈するために、シガレットの周方向にベンチレーション孔(図示せず)を穿設することができる。
本発明のシガレットは、主流煙中のベンゾ[a]ピレンを選択的に低減させることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1〜5
これら実施例では、カルボン酸金属塩として、表1に示すカルボン酸アルカリ金属塩を用い、タバコ充填材として、黄色種タバコ除骨葉刻を用いた。
表1に示すカルボン酸アルカリ金属塩2.5gを20mLの超純水に溶解させ、その溶液を黄色種タバコ除骨葉刻50gに噴霧した。かくして、タバコ除骨葉刻の重量の5%の量でカルボン酸アルカリ金属塩がタバコ除骨葉刻に添加された。カルボン酸アルカリ金属塩を添加したタバコ除骨葉刻を22℃の室温、60%の相対湿度の調和室で48時間以上調湿した。調湿後のタバコ除骨葉刻と通常のシガレット巻紙を用いて、手作業でシガレットロッドを作製した。シガレットロッド1本あたりに使用した、カルボン酸アルカリ金属塩を添加したタバコ刻の量は735mgであり、シガレットロッドの長さは57mmであり、シガレットロッドの円周長は、25mmであった。これらシガレットロッドそれぞれの一端に、フィルタ材としてセルロースアセテートトウを有するタバコフィルタ(長さ27mm)を、ベンチレーション孔を穿設したチップペーパーにより取り付け、シガレットを得た。
比較例1
カルボン酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例1〜5で用いたものと同じ黄色種タバコ除骨葉刻700mgを用いて同様にシガレットを作製した。
実施例6〜10
これら実施例では、カルボン酸金属塩として表2に示すカルボン酸アルカリ金属塩を用いた。
表2に示すカルボン酸アルカリ金属塩2.5gを20mLの超純水に溶解させ、その溶液を黄色種タバコ除骨葉刻50gに噴霧した。かくして、タバコ除骨葉刻の重量の5%の量でカルボン酸金属がタバコ刻に添加された。カルボン酸アルカリ金属塩を添加したタバコ刻を実施例1〜5と同様に調湿した。この調湿後の刻を用いた以外は実施例1〜5と同様にしてシガレットを作製した。
比較例2
カルボン酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例6〜10で用いたものと同じ黄色種タバコ除骨葉刻700mgを用いて同様にシガレットを作製した。
<シガレットのパフ回数の測定、およびシガレット主流煙中のタール、ニコチンおよびベンゾ[a]ピレンの分析>
A.シガレット主流煙中の粒状物質の捕集およびパフ回数の測定
実施例1〜10および比較例1〜2で作製したシガレットのフィルタからセルロースアセテートトウを取り除き、チップペーパーのベンチレーション孔を粘着テープで塞いで、以下の操作に供した。
ケンブリッジフィルタ(その重量を予め測定した)を装着した粒状物質捕集器を備えた10本掛けリニア型喫煙器(Cerulean社製SM410)によりシガレットを喫煙させ、ケンブリッジフィルタに粒状物質を捕集した。シガレットは、一回のパフ当たり、パフ時間は2秒で、パフ容量は35mLであり、パフ間隔は60秒であった。シガレットは、シガレット先端から49mmの長さだけ燃焼させ、シガレットのパフ回数を測定し、それらの平均値を算出した。結果を表1および表2に示す。
B.タールおよびニコチンの分析
上記粒状物質を捕集したケンブリッジフィルタの重量を測定し、その重量から、予め測定しておいたケンブリッジフィルタの重量を差し引いて、粒状物質の総重量を算出した。
粒状物質を捕集したケンブリッジフィルタに10mLのイソプロパノール(分析用内部標準としてキノリン、エタノールを含む)を加えて粒状物質を抽出した。その抽出液について、GC−FID/TCD(Agilent社製6890N)を用いて、水およびニコチンの量を内部標準法により定量した。得られた水およびニコチンの重量を粒状物質の総重量から差し引いて、タール量を算出した。
C.ベンゾ[a]ピレンの分析
ベンゾ[a]ピレンは、実施例1〜10および比較例1〜2に関しては、以下記載するガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)法により分析し、以下記載する実施例11〜16および比較例3〜4に関しては、以下記載する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて分析した。
C−1:GC−MS法
上記タールおよびニコチンの分析におけるのと同様にして粒状物質のイソプロパノール抽出液を得た。その抽出液の6mLに内部標準溶液(ベンゾ[a]ピレン重水素置換体のメタノール溶液)および14mLの超純水を加えて、試験溶液を調製した。この試験溶液をCHカラム(Varian社製MEGA BE−CH,1GM 6ML)にロードした。カラムを乾燥後、5mLのシクロヘキサンで溶出した。その溶出液をSiカラム(Sep−Pak Vac 3cc(500mg)Silica Cartridge,Waters社製)にロードし、ジクロロメタン/シクロヘキサン(1/4)混合溶媒5mLで溶出した。溶出液を濃縮し、GC−MS(Agilent社製6890N)を用いて内部標準法により定量した。
C−2:HPLC法
上記粒状物質を捕集したケンブリッジフィルタに、粒状物質の濃度が約1mg/mLとなるように、シクロヘキサンを加え、30分間振盪抽出した。その抽出液を0.45μmのメンブレンフィルタでろ過した後、ろ液の8mLを、固相抽出カートリッジ(Waters社製Sep−Pak NH2 plus)を接続したガラスシリンジを用いて採取し、カートリッジを通して回収した。用いたカートリッジを7mLのヘキサンで洗浄し、その洗液を上記回収したろ液と併せた。この併せた液を乾固させた後、1mLのアセトニトリルに再溶解させて、HPLC−FLD(series 1000,HEWLETT PACKARD社製)を用いて絶対検量法によるベンゾ[a]ピレンの定量分析に供した。
これらの分析結果を表1および2に示す。
Figure 2010084792
Figure 2010084792
表1から明らかな通り、実施例1〜5のシガレットは、1本当たりのベンゾ[a]ピレンの量が、比較例1のシガレットに対し、15%〜27%低減した。また、表2に示すとおり、実施例6〜10のシガレットは、比較例2のシガレットに比べ、パフ回数が増加するにも拘わらず、ベンゾ[a]ピレンの量は12〜23%低減した。表1、2のいずれの結果においても、タールおよびニコチンの量はほとんど変化していない。よって、これらの結果は、本発明に用いられるカルボン酸金属塩が、シガレット主流煙中のベンゾ[a]ピレンの量を選択的に低減させることを示している。
実施例11〜16
これら実施例では、乳酸カリウムの添加量(タバコ除骨葉刻の重量に対する重量パーセンテージ;以下、単に「添加量」という)について検討した。
タバコ充填材として、黄色種とバーレー種の非膨化除骨葉刻、膨化除骨葉タバコ刻および中骨から構成されるブレンドタバコAおよびBを用意した。ブレンドタバコAおよびBでは、タバコ刻の種類と配合割合が異なる。これらブレンドタバコを調製するに際し、非膨化刻と膨化刻との混合物10kgを混合器で撹拌しながら、乳酸カリウム水溶液をスプレーノズルにより噴霧した。噴霧終了後、混合物を大型ドライヤーで乾燥し、中骨を配合してブレンドタバコを調製した。タバコ除骨葉刻(非膨化除骨葉刻+膨化除骨葉タバコ刻)に対する乳酸カリウムの添加量を表3に示す。
以上のようにして調製したタバコブレンドAまたはBを表3に示す量(シガレット1本あたりの量)で用い、シガレット巻紙として通常の巻紙を用い、フィルタとしてセルロースアセテートフィルタを用い、チップペーパーとして通常のチップペーパーを用いて、シガレット製造機により、フィルタ付きシガレットロッドを作製した。各シガレットロッドの長さは57mmであり、シガレットロッドの円周長は、25mmであり、フィルタの長さは27mmであった。
比較例3および4
乳酸カリウムを添加しないブレンドタバコA、Bをそれぞれ表3に示す量で用いて、実施例11〜16と同様にシガレットを作製した。
Figure 2010084792
実施例11〜16および比較例3〜4で作製したシガレットについて、
上記と同様にして、シガレットのパフ回数、シガレット主流煙中のタールおよびニコチンの量を測定し、またHPLC法によりベンゾ[a]ピレン量を測定した。結果を表4および表5に示す。
Figure 2010084792
Figure 2010084792
表4および5からわかるように、全ての実施例でベンゾ[a]ピレンの量が低減したことが確認された。しかしながら、ブレンドタバコの種類によって、乳酸カリウムの添加量が低い場合のベンゾ[a]ピレン低減効果に差異が見られた。ブレンドタバコAを用いて検討した実施例11〜13においては、乳酸カリウムの添加量が0.5%でも、17%のベンゾ[a]ピレン量の低減率が得られた。一方、ブレンドタバコBを用いて検討した実施例14〜16においては、乳酸カリウムの添加量が1.1%と低い場合には、ベンゾ[a]ピレン量の低減率は低いものであった。この結果は、使用される原料およびその配合割合によって、乳酸カリウムの効果が異なる可能性を示唆している。
以上の結果から、ベンゾ[a]ピレンの低減効果を発揮する乳酸カリウムの添加量として、0.5〜6%程度が必要であると考えられる。しかしながら、ブレンドタバコの原料やその配合割合により添加による低減効果が異なることが想定されるため、添加量は2〜6%であることがより好ましい。

Claims (11)

  1. タバコ充填材を含むタバコロッドを備えるシガレットであって、前記タバコ充填材は、タバコ除骨葉刻を含み、かつ乳酸金属塩、酒石酸金属塩、コハク酸金属塩、3−ヒドロキシ酪酸金属塩、酢酸金属塩およびギ酸金属塩からなる群から選択されるカルボン酸金属塩を前記タバコ除骨葉刻の重量の0.5〜6.0重量%の量で含むシガレット。
  2. 前記タバコロッドが、シガレット巻紙により巻装されている請求項1に記載のシガレット。
  3. 前記カルボン酸金属塩が、アルカリ金属塩である請求項2に記載のシガレット。
  4. 前記アルカリ金属塩が、ナトリウム塩またはカリウム塩である請求項3に記載のシガレット。
  5. 前記タバコ充填材が、前記カルボン酸金属塩を、前記タバコ除骨葉刻の重量の2〜6重量%の量で含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のシガレット。
  6. 前記タバコ除骨葉刻が、非膨化タバコ除骨葉刻と膨化タバコ除骨葉刻の混合物を含む請求項2に記載のシガレット。
  7. 前記タバコ充填材が、非膨化タバコ除骨葉刻と、膨化タバコ除骨葉刻と、タバコ中骨刻および/または再生タバコ刻とのブレンドを含む請求項6に記載のシガレット。
  8. 前記カルボン酸金属塩が、前記非膨化タバコ除骨葉刻および前記膨化タバコ除骨葉刻に添加されている請求項7に記載のシガレット。
  9. 前記カルボン酸金属塩が、前記非膨化タバコ除骨葉刻と膨化タバコ除骨葉刻の合計重量の2〜6重量%の量で前記非膨化タバコ除骨葉刻および前記膨化タバコ除骨葉刻に添加されている請求項8に記載のシガレット。
  10. 前記カルボン酸金属塩が、アルカリ金属塩である請求項6〜9のいずれか1項に記載のシガレット。
  11. 前記アルカリ金属塩が、ナトリウム塩またはカリウム塩である請求項10に記載のシガレット。
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