JPWO2010071144A1 - ガラス - Google Patents
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Abstract
本発明のガラスは、WO3と、La2O3、SrO及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含み、モル%で示す組成が、25%≦WO3≦85%を満たし、且つ、(i)15%≦La2O3≦25%、(ii)15%≦SrO≦25%、(iii)15%≦BaO≦25%、の3つの条件のうち少なくとも何れか1つの条件を満たす。例えば、本発明のガラスが条件(i)を満たす場合、さらにTiO2及びSiO2からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。この場合、本発明のガラスは、モル%で示す組成が、25%≦WO3≦85%、15%≦La2O3≦25%、0%≦TiO2≦55%、0%≦SiO2≦10%を満たすガラスとしてもよい。本発明によれば、例えば、屈折率ndとアッベ数νdの値が、1.90≦nd≦2.30、25≦νd≦45を満たすガラスを提供できる。
Description
本発明は、ガラス、特に光学材料として好適に用いられるガラスに関する。
カメラ、顕微鏡、望遠鏡及び内視鏡等に用いられる光学系は、光学特性(主に屈折率と、その波長分散を表すアッベ数)の異なる材料で形成されたレンズを組み合わせて、収差を補正している。屈折率とアッベ数との組み合わせの幅が広いほど光学設計の自由度が増すので有利であり、特に高屈折率材料、低分散材料(アッベ数の大きい材料)は有用である。代表的なレンズ材料である光学ガラスについても、歴史的に、より高屈折率、より低分散の方向に新しい組成が開発され、それは現在も続いている。
図5は、ある光学ガラスメーカー(住田光学ガラス)から市販されている約100種類の光学ガラスについて、屈折率とアッベ数とを図示したものである。点がプロットされている領域が、光学ガラスとして実現可能な範囲である。なお、この領域は、他の光学ガラスメーカーの製品の場合でもほとんど一致している。
光学ガラスの光学特性の領域を広げるにあたって、最も大きな障害となるのはガラスの結晶化である。光学ガラスは、ルツボで熔融した原料を冷却、固化させることによって作られるが、結晶ができやすいガラス組成の場合は冷却中に結晶が析出するため、透明で均一なガラス塊とすることができない。このような現象は、「結晶化」あるいは「失透」と呼ばれる。図5に示す領域外のガラスが実用化できていない最大の理由は、結晶化である。
結晶化は、ガラス中に生じた微小な結晶を起点として、これが成長することによって起こることもあるが、ガラスが固体(例えばルツボ材料としての粘土や白金)と接触していると、その界面を核生成点として結晶化が非常に起こりやすいことが知られている。
ガラスの結晶化が進行するのは、熔融状態と固体状態との中間の温度域である。熔融状態では原子がある程度自由に動けるので結晶は析出せず、また、固体状態では原子が動かないので結晶は成長しない。したがって、急冷により結晶化の起こる温度領域を短時間で通過してしまえば、結晶化を防ぐことができるといえる。急冷の具体的な方法としては、熔融状態の原料を、「金属ローラーの間に挟む」、「水中に投入する」、といった方法が用いられている。しかしながら、このような急冷法によって得られるガラスは、微細な粉状あるいはフレーク状といった形態となるので、例えばレンズのような光学素子として用いることが難しい、という問題点があった。レンズの材料とするためには、ある程度の大きさ(少なくとも最小径(最小部分の長さ)が0.5mm以上、好ましくは1mm以上の大きさ)を有する、均質なガラス体を用意する必要がある。
結晶化しやすい組成でありながら、ある程度の大きさのガラスを製造する方法として、原料を上向きのガスノズルにより空中に浮遊させ、その状態でレーザを照射してガラス化する、無容器凝固法によるガラス製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、ガラスをルツボ等の容器と接触しないまま熔融及び凝固させることができるため、界面を核生成点とする結晶化を防ぐことができる。その結果、非常に結晶化しやすい強誘電体であるチタン酸バリウムを組成とする重量20mgのガラス球が得られている。
また、特許文献2には、上記無容器凝固法により作製されたガラスの組成が多数列挙されている。例えば、無容器凝固法を用いて作製されたLa2O3−TiO2−ZrO2系組成を有するガラス(ZrO2を含まない場合もある)の例が、複数例示されている。
La2O3−TiO2−ZrO2系組成(以下、便宜上、ZrO2が含まれない場合も含めて3成分系と記載する。)に含まれる成分はいずれも高屈折率成分である。そのため、この3成分系ガラスの屈折率は2.2以上となり、一般の光学ガラスよりも非常に高いものとなる。したがって、この3成分系ガラスは、レンズ等の光学材料として非常に有用である。
しかしながら、上記特許文献に具体的な実施例として記載されている3成分系のガラス組成は、すべて非常に多量のTiO2を含んでいる。具体的には、TiO2のモル比率は最も少ない例(特許文献2の実施例サンプル9−1)でも57%であり、他の例ではすべて80%を超えている。このことから、TiO2をガラス形成の基幹としていることは明らかである。TiO2は屈折率を非常に高くする成分であるが、その反面、波長による分散を大きくする働きも大きい。したがって、TiO2を多く含むガラスとして従来提案されているガラス組成では、アッベ数25未満の高分散材料となってしまう。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、一般の光学ガラスや従来のTiO2を基幹とする酸化物ガラスでは実現できなかった、高屈折率及び低分散の光学材料となり得るガラスを提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、WO3と、La2O3、SrO及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含み、モル%で示す組成が、25%≦WO3≦85%を満たし、且つ、
(i)15%≦La2O3≦25%、
(ii)15%≦SrO≦25%、及び、
(iii)15%≦BaO≦25%、
の3つの条件のうち少なくとも何れか1つの条件を満たすガラスを提供する。
(i)15%≦La2O3≦25%、
(ii)15%≦SrO≦25%、及び、
(iii)15%≦BaO≦25%、
の3つの条件のうち少なくとも何れか1つの条件を満たすガラスを提供する。
本発明のガラスは、一般の光学ガラスやTiO2を基幹とする従来の組成の酸化物ガラスでは実現することが困難であった、高屈折率且つ低分散を実現できる。このため、本発明のガラスを光学ガラスとして用いることにより、光学ガラスの光学特性の領域を従来よりも広げることができる。また、本発明のガラスは、一般の光学ガラスの組成と比較して結晶化しやすい組成を有するものの、急冷法や無容器凝固法といった製造方法を用いることにより、低コストでガラス化することが可能となる。
本発明のガラスは、WO3と、La2O3、SrO及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含んでいる。本発明のガラスの組成は、モル%で示して、25%≦WO3≦85%を満たし、且つ、
(i)15%≦La2O3≦25%、
(ii)15%≦SrO≦25%、及び、
(iii)15%≦BaO≦25%、
の3つの条件のうち少なくとも何れか1つの条件を満たす。なお、本発明のガラスは、上記成分以外の他の酸化物成分を含んでいてもよい。その場合は、上記成分以外の酸化物成分を添加して、本発明のガラスについて、光学特性、ガラス化しやすさ及び化学的耐久性等を改良してもよい。また、本発明のガラスは、実質的に上記成分からなる(WO3と、La2O3、SrO及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種とからなる)ものであってもよく、その場合も上記組成範囲を満たす。なお、「実質的に上記成分からなる」とは、不純物として不可避に混入する成分を除き、上記成分以外の他の成分が含まれないということを意味する。なお、不純物として混入する成分は、例えば5mol%以下、好ましくは2mol%以下である。
(i)15%≦La2O3≦25%、
(ii)15%≦SrO≦25%、及び、
(iii)15%≦BaO≦25%、
の3つの条件のうち少なくとも何れか1つの条件を満たす。なお、本発明のガラスは、上記成分以外の他の酸化物成分を含んでいてもよい。その場合は、上記成分以外の酸化物成分を添加して、本発明のガラスについて、光学特性、ガラス化しやすさ及び化学的耐久性等を改良してもよい。また、本発明のガラスは、実質的に上記成分からなる(WO3と、La2O3、SrO及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種とからなる)ものであってもよく、その場合も上記組成範囲を満たす。なお、「実質的に上記成分からなる」とは、不純物として不可避に混入する成分を除き、上記成分以外の他の成分が含まれないということを意味する。なお、不純物として混入する成分は、例えば5mol%以下、好ましくは2mol%以下である。
本発明のガラスは、WO3を必須成分とする。WO3を他の酸化物と組み合わせると、その融点を大幅に下げることが可能となる。したがって、WO3を、例えばLa2O3のような高屈折率で低分散を実現できる成分と組み合わせることによって、原料を容易に溶かしてガラス化することが可能となる。さらに、本発明のガラスの組成によれば、高屈折率且つ低分散を実現できるので、光学ガラスの光学特性の領域をより広げることが可能となる。
例えば、本発明のガラスは、好ましい光学特性として、屈折率ndが1.90≦nd≦2.30で、アッベ数νdが25≦νd≦45を満たすガラスとできる。この好ましい光学特性の領域は、図1及び図5に図示されている。この好ましい光学特性の領域は、一般の光学ガラスうち屈折率が1.90を超える光学ガラスが有するアッベ数の領域よりも、図1及び図5中で左側(低分散側)にあり、一般の光学ガラスでは不可能であった光学設計を実現できる。また、屈折率ndの下限1.90は、通常の光学ガラスと比較しても最高クラスであり、光学設計上非常に有用である。また、より好ましい屈折率ndの下限値は2.00である。
本発明のガラスの第1の組成例として、WO3とSrOとの混合物を必須成分とするものが挙げられる。SrOはガラスの融点を下げる成分なので、ガラス化がしやすくなるという利点がある。そのため、例えば後述の実施例1に示すように、WO3が80mol%、SrOが20mol%の組成にすると、急冷法によってある程度の大きさのガラスとすることができる。このことから、ガラス化しやすい好適な組成範囲は、モル%で示して、実施例1の組成1−1の近傍の、
75%≦WO3≦85%
15%≦SrO≦25%
である。
75%≦WO3≦85%
15%≦SrO≦25%
である。
本発明のガラスの第2の組成例として、WO3とLa2O3との混合物を必須成分とするものが挙げられる。後述の実施例2及び3が、この第2の組成例に相当する。La2O3は高屈折率で低分散の成分なので、第2の組成例によれば、より効果的に高屈折率且つ低分散のガラスを得ることができる。また、この第2の組成例について、ある程度のTiO2を加えて屈折率をより高くしたり、SiO2を加えたりしてもよい。SiO2はガラス化を容易とする効果があり、急冷法によってある程度の大きさのガラスとすることが容易となる。この第2の組成例では、後述する実施例2と実施例3の結果から、モル%で示して、
25%≦WO3≦85%
15%≦La2O3≦25%
0%≦TiO2≦55%
0%≦SiO2≦10%
がガラス化しやすい好適な組成範囲である。
25%≦WO3≦85%
15%≦La2O3≦25%
0%≦TiO2≦55%
0%≦SiO2≦10%
がガラス化しやすい好適な組成範囲である。
また、WO3、La2O3、TiO2のすべてを含む組成系については、実施例3の結果より、モル%で示して、
25%≦WO3≦55%
15%≦La2O3≦25%
25%≦TiO2≦55%
0%≦SiO2≦10%
が、ガラス化しやすい好適な組成範囲である。
25%≦WO3≦55%
15%≦La2O3≦25%
25%≦TiO2≦55%
0%≦SiO2≦10%
が、ガラス化しやすい好適な組成範囲である。
本発明のガラスの第3の組成例として、WO3とBaOとの混合物を必須成分とするものが挙げられる。後述の実施例4が、この第3の組成例に相当する。BaOは、La2O3ほどではないが、高屈折率で低分散の成分なので、第3の組成例によれば、より効果的に高屈折率且つ低分散のガラスを得ることができる。また、BaOはガラス化を容易にする効果もある。第3の組成例の場合、例えば実施例4に示すように、WO3が80mol%、BaOが20mol%の組成にすると、急冷法によってある程度の大きさのガラスとすることが容易となる。このことから、ガラス化しやすい好適な範囲は、モル%で示して、実施例4の組成4−1の近傍の、
75%≦WO3≦85%
15%≦BaO≦25%
である。
75%≦WO3≦85%
15%≦BaO≦25%
である。
本発明のガラスは、第1〜第3の組成例で示した上記各成分のみから構成されていてもよいし、他の成分を含んでいてもよい。例えば、B2O3、Na2O、MgO、P2O5、K2O、ZrO2、ZnO、Nb3O5、MoO3、AgO、SnO2、Ta2O5、Nd2O5、PbO等を10mol%以下の範囲で添加して、本発明のガラスについて、光学特性、ガラス化しやすさ、化学的耐久性等を改良してもよい。
本発明のガラスは、例えば最小部分の長さが0.5mm以上の比較的大きなサイズとすることも可能であるため、レンズ等の光学素子の材料として適用可能である。
次に、本発明のガラスの製造方法、特に冷却方法について説明する。
本発明のガラスの組成は、一般の光学ガラスよりも分散が小さくなる反面、一般の光学ガラスよりも結晶化しやすいので、通常のルツボによる熔融及び冷却(凝固)ではガラス化が困難な場合がある。その場合でも、例えば、後述する実施例に示すように、熔融状態の原料を「金属板上に落とす」、「沸騰水中に投下する」といった急冷法、あるいは無容器凝固法を利用することにより、ある程度の大きさを有する透明で均質なガラスを得ることもできる。
「沸騰水中に投下する」方法では、熔融体を沸騰水に投入することにより、熔融体近傍の水が直ちに気化し、気化熱による熔融体の冷却と、水蒸気による熔融体の水からの断熱が同時に行われる。したがって、迅速な冷却による熔融体のガラス化と、過度な冷却によるクラック発生の抑制との両方を実現できる。熔融体を水中に投入した直後は、水蒸気による断熱作用により短時間は高温が保たれるので粘性が低い状態である。このとき水蒸気発生により熔融体の一部は分断され、表面張力により球状となる。その後、水蒸気により熔融体は冷却され、結晶化温度域を速やかに通過してガラス化する。このようにして、熔融体から球状ガラスが得られる。なお、この方法では、沸騰水の代わりに、沸点ないし沸点付近の温度に保持した他の液体を使うことも、もちろん可能である。
以下、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は、本発明の要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例において、各成分の含有量は全てモル%で示される。
(実施例1)
実施例1では、第1の組成例(表1に示す組成1−1)について、急冷法によるガラス化を試みた。すなわち、得られるガラスの組成がSrO:20%、WO3:80%となるように酸化ストロンチウム及び酸化タングステンの粉末(試薬特級品)を混合し、25gのバッチを得た。このバッチをアルミナルツボに入れ、電気炉にて1300℃で30分間熔融した。別途、純水をステンレス製容器に約1リットル入れ、ガスバーナーにて沸騰させておいた。電気炉よりアルミナルツボを取り出し、熔融したガラスをステンレス容器中の沸騰している純水中に順次流し込んだ。流し込み終了後、ガスバーナーを止め、純水中のガラス体を回収した。これを乾燥させて、直径約0.7〜1.9mmの透明でクラックのない複数個の球状ガラスを合計3.5g得た。
実施例1では、第1の組成例(表1に示す組成1−1)について、急冷法によるガラス化を試みた。すなわち、得られるガラスの組成がSrO:20%、WO3:80%となるように酸化ストロンチウム及び酸化タングステンの粉末(試薬特級品)を混合し、25gのバッチを得た。このバッチをアルミナルツボに入れ、電気炉にて1300℃で30分間熔融した。別途、純水をステンレス製容器に約1リットル入れ、ガスバーナーにて沸騰させておいた。電気炉よりアルミナルツボを取り出し、熔融したガラスをステンレス容器中の沸騰している純水中に順次流し込んだ。流し込み終了後、ガスバーナーを止め、純水中のガラス体を回収した。これを乾燥させて、直径約0.7〜1.9mmの透明でクラックのない複数個の球状ガラスを合計3.5g得た。
得られた球状ガラスについて、屈折率nd及びアッベ数νdを下記の方法により測定した。なお、屈折率及びアッベ数の測定は、得られた球状ガラスの中から任意に1個を選択し、その球状ガラスについて行った。その結果を、表1と図1に示す。図1より、組成1−1は、分散の小さい(換言するとアッベ数の大きい)、好ましい光学特性の範囲に入っていることがわかる。
<屈折率の測定方法>
屈折率は、球状ガラスの焦点位置を測定し、そこから算出した。図2に示すように、顕微鏡1のステージ2上に、片面にパターン3aが形成されたガラス板3を設置し、その上に測定対象の球状ガラス4を置く。ガラス板3のパターン3aが形成された面に、照明光8を狭帯域干渉フィルター9によりほぼ単色とした光5を下から照射する。波長はF線(486nm)、d線(588nm、C線(656nm)に相当する3種類とした。球状ガラス4のレンズ作用により、球状ガラス4の上側表面の近くにパターンの実像6ができるので、その位置(上側表面から実像6までの距離z’(図3参照))を、顕微鏡1とリニアーゲージ7とを用いて測定した。パターン3aとしては、40本/mmのラインアンドスペース格子のものを使用した。また、パターン3aと球状ガラス4との光学的間隔(−z(zはマイナスの数値をとる))は、上記3波長について顕微鏡1によるピント位置の差を測定することによって別途求めた。球状ガラス4の直径(2r)、球状ガラス4の上側表面から実像6までの距離(z’)、パターン3aと球状ガラス4との光学的間隔(−z)の値から、球状ガラス4の屈折率nを以下の式(1)によって波長ごとに計算して、nC,nd,nFの値を求めた。なお、この式(1)は、近軸光線の結像関係式から導き出したものである。
(rz’−rz−2zz’)n=2r2+2rz’−2rz−2zz’ ・・・(1)
屈折率は、球状ガラスの焦点位置を測定し、そこから算出した。図2に示すように、顕微鏡1のステージ2上に、片面にパターン3aが形成されたガラス板3を設置し、その上に測定対象の球状ガラス4を置く。ガラス板3のパターン3aが形成された面に、照明光8を狭帯域干渉フィルター9によりほぼ単色とした光5を下から照射する。波長はF線(486nm)、d線(588nm、C線(656nm)に相当する3種類とした。球状ガラス4のレンズ作用により、球状ガラス4の上側表面の近くにパターンの実像6ができるので、その位置(上側表面から実像6までの距離z’(図3参照))を、顕微鏡1とリニアーゲージ7とを用いて測定した。パターン3aとしては、40本/mmのラインアンドスペース格子のものを使用した。また、パターン3aと球状ガラス4との光学的間隔(−z(zはマイナスの数値をとる))は、上記3波長について顕微鏡1によるピント位置の差を測定することによって別途求めた。球状ガラス4の直径(2r)、球状ガラス4の上側表面から実像6までの距離(z’)、パターン3aと球状ガラス4との光学的間隔(−z)の値から、球状ガラス4の屈折率nを以下の式(1)によって波長ごとに計算して、nC,nd,nFの値を求めた。なお、この式(1)は、近軸光線の結像関係式から導き出したものである。
(rz’−rz−2zz’)n=2r2+2rz’−2rz−2zz’ ・・・(1)
<アッベ数の測定方法>
アッベ数νdは、以下の式(2)によって計算した。
νd=(nd−1)/(nF−nC) ・・・(2)
アッベ数νdは、以下の式(2)によって計算した。
νd=(nd−1)/(nF−nC) ・・・(2)
(実施例2)
実施例2では、WO3及びLa2O3を必須成分として含む第2の組成例(表1に示す組成2−1)について、急冷法によるガラス化を試みた。すなわち、得られるガラスの組成がLa2O3:20%、WO3:80%となるように酸化ランタン及び酸化タングステンの粉末(試薬特級品)を混合し、25gのバッチを得た。このバッチをアルミナルツボに入れ、電気炉にて1300℃で30分間熔融した。別途、純水をステンレス製容器に約1リットル入れ、ガスバーナーにて沸騰させておいた。電気炉よりアルミナルツボを取り出し、熔融したガラスをステンレス容器中の沸騰している純水中に順次流し込んだ。流し込み終了後、ガスバーナーを止め、純水中のガラス体を回収した。これを乾燥させて、直径約0.2〜1.7mmの透明でクラックのない複数個の球状ガラスを合計0.25g得た。
実施例2では、WO3及びLa2O3を必須成分として含む第2の組成例(表1に示す組成2−1)について、急冷法によるガラス化を試みた。すなわち、得られるガラスの組成がLa2O3:20%、WO3:80%となるように酸化ランタン及び酸化タングステンの粉末(試薬特級品)を混合し、25gのバッチを得た。このバッチをアルミナルツボに入れ、電気炉にて1300℃で30分間熔融した。別途、純水をステンレス製容器に約1リットル入れ、ガスバーナーにて沸騰させておいた。電気炉よりアルミナルツボを取り出し、熔融したガラスをステンレス容器中の沸騰している純水中に順次流し込んだ。流し込み終了後、ガスバーナーを止め、純水中のガラス体を回収した。これを乾燥させて、直径約0.2〜1.7mmの透明でクラックのない複数個の球状ガラスを合計0.25g得た。
得られた球状ガラスについて、屈折率nd及びアッベ数νdを実施例1と同様の方法により測定した。その結果を、表1と図1に示す。図1より、組成2−1は、分散の小さい、好ましい光学特性の範囲に入っていることがわかる。
(実施例3)
実施例3では、第2の組成例のうち、WO3及びLa2O3を必須成分とし、さらに他の成分としてTiO2及び/又はSiO2を含む組成(表1に示す組成3−1〜3−4)について、無容器凝固法による熔融を行った。
実施例3では、第2の組成例のうち、WO3及びLa2O3を必須成分とし、さらに他の成分としてTiO2及び/又はSiO2を含む組成(表1に示す組成3−1〜3−4)について、無容器凝固法による熔融を行った。
まず、本実施例で用いた無容器凝固法について説明する。図4は、無容器凝固法によってガラス原料を熔融するために本実施例で用いた装置の全体を示す模式図である。この装置は、ガラス原料(熔融物)を浮遊させるために気体を流出させる噴出ノズル41を備えている。噴出ノズル41は支柱42に固定されており、気体を供給するためのチューブ43と接続されている。チューブ43は、流量を調整するためのレギュレータ44及び流量計45を介して、高圧ガスボンベ(図示せず)に接続されている。この装置は、さらに、ガラス原料にレーザ光を照射するためのレーザ発振器46を備えている。レーザ発振器46は、噴出ノズル41が固定されている支柱42の横枝47に固定されている。レーザ発振器46から出射したレーザ光48は、横枝47に固定されたミラー49によって進行方向が変えられて、凸レンズ50によって浮遊体51(ガラス原料)に焦点を結ぶ。また、横枝47において、レーザ発振器46固定側と反対側には、浮遊体51の状態を観察するためのCCDカメラ52が設置されている。
以下、図4に示す装置による本実施例のガラス製造の手順を説明する。最初に、別途原料ペレットを作製した。原料ペレットは、ガラスの材料(金属酸化物等)の粉体(試薬特級品)を、得られるガラスの組成が表1に示す組成3−1〜3−4となるように、それぞれ所定のモル比率で調合してガラス原料としたものである。調合したガラス原料を乳鉢ですりつぶし、エタノールを加えて充分に混合してからセラミックス製ルツボに入れて、電気炉中で1000℃、12時間の焼成(第1回)を行なった。焼成後のガラス原料を再び乳鉢ですりつぶし、エタノールを加えて粘度を調整してから、プレス加工用ダイスを用いて、約1.6×108Paの圧力をかけて直径2mm、厚さ約1mmの円盤状に成型した。円盤状に成型したものを、電気炉中にて1100℃、12時間の焼成(第2回)を行ない、充分冷めたものを原料ペレットとした。
このように作製したペレットを、図4の噴出ノズル41に置き、レギュレータ44と流量計45とにより気体の流量を適量として浮遊させてから、レーザ発振器46を起動してペレットにレーザ光を照射して、ペレットを加熱した。ペレットは数秒で熔融し、自らの表面張力により球状となった状態でノズル41内に浮遊した。均一な熔融体となったところでレーザ光照射を止めると、熔融体は急冷されて球状ガラスとなった。球状ガラスの温度は数秒で室温まで低下したので、ピンセットで噴出ノズル41から取り出すことができた。
レーザ発振器46には、米国 Universal Laser Systems Inc.社の製造した炭酸ガスレーザー装置「ULC−100−OEM」型を用いた。発振波長は10.6μm、最大出力は公称100Wであった。
本実施例では、原料ペレットを図4の装置の噴出ノズル41内に置き、乾燥空気を0.3〜0.6L/分の流量で流して、原料ペレットを浮遊させた。この状態でレーザ光を照射して原料ペレットを熔融した後、レーザ光照射を止めることによって冷却した。その結果、直径約1.2mmの無色透明な球状ガラスが得られ、失透や脈理は認められなかった。
得られた球状ガラスについて、屈折率nd及びアッベ数νdを実施例1と同様の方法により測定した。その結果を、表1と図1に示す。図1より、組成3−1〜3−4は、分散の小さい、好ましい光学特性の範囲に入っていることがわかる。
(実施例4)
実施例4では、WO3及びBaOを必須成分とする第3の組成例(表1に示す組成4−1)について、実施例3と同様の無容器凝固法を用いてガラス化を試みた。これによって、直径約1.2mmの無色透明な球状ガラスが得られ、失透や脈理は認められなかった。得られた球状ガラスについて、屈折率nd及びアッベ数νdを実施例1と同様の方法により測定した。その結果を、表1と図1に示す。図1より、組成4−1は、分散の小さい、好ましい光学特性の範囲に入っていることがわかる。なお、組成4−1では、実施例1と同様の急冷法によっても、透明な球状ガラスを作製できた。
実施例4では、WO3及びBaOを必須成分とする第3の組成例(表1に示す組成4−1)について、実施例3と同様の無容器凝固法を用いてガラス化を試みた。これによって、直径約1.2mmの無色透明な球状ガラスが得られ、失透や脈理は認められなかった。得られた球状ガラスについて、屈折率nd及びアッベ数νdを実施例1と同様の方法により測定した。その結果を、表1と図1に示す。図1より、組成4−1は、分散の小さい、好ましい光学特性の範囲に入っていることがわかる。なお、組成4−1では、実施例1と同様の急冷法によっても、透明な球状ガラスを作製できた。
本発明によって得られるガラスは、光学特性に優れており、さらにある程度大きなサイズであっても実現可能である。したがって、レンズ等の光学素子等に好適に利用できる。
Claims (6)
- WO3と、La2O3、SrO及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含み、モル%で示す組成が、25%≦WO3≦85%を満たし、且つ、
(i)15%≦La2O3≦25%
(ii)15%≦SrO≦25%
(iii)15%≦BaO≦25%
の3つの条件のうち少なくとも何れか1つの条件を満たす、ガラス。 - 屈折率ndとアッベ数νdの値が、
1.90≦nd≦2.30
25≦νd≦45
を満たす、請求項1に記載のガラス。 - 最小部分の長さが0.5mm以上である、請求項1に記載のガラス。
- La2O3、SrO及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種としてLa2O3を含み、さらにTiO2及びSiO2からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでおり、モル%で示す組成が、
25%≦WO3≦85%
15%≦La2O3≦25%
0%≦TiO2≦55%
0%≦SiO2≦10%
を満たす、請求項1に記載のガラス。 - La2O3、SrO及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種としてSrOを含み、モル%で示す組成が、
75%≦WO3≦85%
15%≦SrO≦25%
を満たす、請求項1に記載のガラス。 - La2O3、SrO及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種としてBaOを含み、モル%で示す組成が、
75%≦WO3≦85%
15%≦BaO≦25%
を満たす、請求項1に記載のガラス。
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---|---|---|---|
JP2008320264 | 2008-12-16 | ||
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---|---|---|---|
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