JPWO2010070907A1 - 高分子アクチュエータとこれを用いたバルブ並びに軸封構造 - Google Patents

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Abstract

高分子アクチュエータを各種の駆動源に利用でき、特に、高分子アクチュエータの変形量をバルブや軸封装置にも用いることができるようにする。電気刺激を介して変形する駆動体と、この駆動体の上下面側に対向配置して正負の電気刺激を駆動体に平面的に印加する電極とを有する高分子アクチュエータである。この電極は、異なる印加領域を有し、この印加領域により駆動体内に生じる応力分布を正負の一方に偏在させて、対向する印加領域が無い側に駆動体を屈曲変形させる電場分布を有している。

Description

本発明は、高分子材料を用いた高分子アクチュエータに関し、特に、この高分子アクチュエータを用いて流路の開閉や流量制御に好適なバルブ並びに軸封構造に関する。
従来より、例えば、容器内の流路の制御として流体を常時封止する場合には、シール部材を用いた軸封装置が通常利用されている。この軸封装置におけるシール部材は、空気・水・油・ガスなどの多種多様な流体を封止するために、例えば、断面略円形状の環状Oリングやパッキンリングが用いられる。これらのシール部材は、その主要な機能が流体を封止するものであるため、高い封止性能が要求されている。
そのため、シール部材は、通常、軸封装置における一方側の部材に、軸又は穴の半径方向に同一平面内に形成された軸方向に断面略矩形状の溝に装着され、他方側の部材との接触圧力によってシールするときに、溝部形状によって圧縮されるつぶし代を有するようになっている。軸封装置の組立て後には、例えば、Oリングは、このつぶし代によって圧縮されて反発力を生じ、この反発力によって接触面圧による封止性を発揮して軸封するようになっている。
また、シール部材は、通常、各種の合成ゴムを材料として形成されているが、この材料は、異常な変形を起こさない範囲内で適度の圧縮応力を発揮させるため、特に、所定の低圧縮永久歪や、更には、耐候性・耐摩耗性・耐熱、耐寒性・耐油性・耐薬品性などの特性を満たしている必要がある。また、シール部材は、例えば、自動車・建設機械・航空機・OA機器・産業機器などの多岐にわたる分野の軸封装置に利用されるため、各分野(用途)に応じて材料を選択してつぶし代が適切になるようにし、軸封部が移動する運動、又は、軸封部が移動しない固定用の何れの状態で使用する場合でも、軸封機能の確保を前提として耐久性・挿入性・圧縮割れの防止なども図る必要がある。
このように、通常の軸封装置は、シール部材により封止機能を高めることを第1の目的としているため、通常はシール部材や流体の封止領域が所定の位置に定められている。そのため、封止装置を内蔵した装置は、内部構造が複雑化している。
今、仮に、封止領域を非封止領域に切り換え操作して封止領域を移動させるようにし、この軸封装置を各種の駆動源に利用しようとした場合には、封止領域のシール部材やハウジングなどの装着部位に別の動作機構を設ける必要がある。この動作機構としては、例えば、ネジ送り機構やピストン・シリンダ機構、回転機構などがあり、これらの機構を動作させるためには、人力、電気、空気、油圧、スプリング等の何らかの動力手段を用いる必要もある。
一方において、封止領域を開閉状態に切り換えるようにするために、高分子アクチュエータを用いたバルブがある(例えば、特許文献1参照。)。同文献1のバルブは、いわゆる、人口筋肉を弁体として用いており、この弁体自体を変形させることにより複雑な動力手段を用いることなく流路を切り換える高分子アクチュエータを有している。人工筋肉は、フィルム型の電歪伸縮ポリマーからなっており、電圧のオンオフによって変形して直接又はシール材を介して弁座に接離させ、流路を開閉するようになっている。そして、同文献のバルブは、ゴム状の薄い高分子膜(エラストマー)を伸縮可能な電極で挟み、この電極間に電圧を加えることにより高分子膜を面方向に伸長(周方向に拡径)させるようにしたEPAM(Electroactive Polymer Artificial Muscle)構造になっている。この場合、この人工筋肉では、歪み量或は変形量を大きくするために、高分子膜の印加領域全面に電極を配設させて電荷注入量を増加させている。
特許第3501216号公報
しかしながら、軸封装置により流路の開閉や流量制御を実施しようとする場合には、上述のように封止領域を非封止領域に切り換えるための動作機構や動力手段が必要になり、この場合、装置の構造が複雑化して全体が大型化したり重量が増加したりするという問題があった。
また、封止状態と非封止状態を切り換える際には、動作機構を構成する部品相互の接触や摺動を伴うことになるため、この接触や摺動により動作機構を構成する部品が磨耗したり、摺動する部材が磨耗することがあった。しかも、シール部材自体も、封止領域の相手封止部材と接触・加圧状態のまま移動するため、摺動に伴う磨耗が生じていた。Oリングによる封止部分は、全周に亘って磨耗が発生すると接触部分の圧力低下や外傷により流体漏れを起こし易く、この場合、摺動面が粗い、潤滑が不十分などの外的要因により、磨耗がより加速することがあった。また、Oリングの摺動面に局部的な磨耗が生じた場合にも流体漏れが起こりやすくなり、Oリングの摺動面に傷があると磨耗がより加速することもあった。特に、動作機構の運動速度が速かったり、運動が偏心状態で行われたり、摺動する面の面粗さが粗かったり、潤滑が不十分の場合には、Oリングがねじれることもあった。これらのために、Oリングを用いた軸封構造は、そのシール性を十分に確保することもできず、流路の開閉や流量制御を行なう上で適した構造ではないため、各種の駆動源として利用することは難しい。
一方、特許文献1は、弁体自体をEPAMからなる高分子アクチュエータとすることで複雑な動力機構を排除はしているが、弁体自体がEPAMであるため、流体封止時には、流体圧力をEPAM全体の受圧面積で受けることになり、EPAMには大きな耐圧強度が必要となるとともに、大きな封止力も必要になっていた。また、本体内に、別のシール機構を必要としたり、着座するための弁座部分を設けなければならず、弁体自体にEPAMを適用するのは、EPAMの耐強度、変形に伴う応力特性をそのまま利用していないものであるから合理的ではない。
しかも、このバルブは、高分子膜の印加領域全面に電極を配した構造としているため、例えば、この高分子膜をバルブの弁体又は弁体のアクチュエータ等の可動部として用いる際には、一定の印加エネルギーのもとでは変形量が限られる。このため、所望の流量調整能力や弁閉時の封止能力などを考慮したときには、比較的小口径のバルブにしか採用できず、実用的ではなかった。このように、このバルブについても、各種の駆動源として使用することには適していない。
本発明は、上記の実情に鑑みて鋭意研究の結果、開発に至ったものであり、その目的とするところは、高分子アクチュエータを各種の駆動源に利用でき、特に、高分子アクチュエータの変形量をバルブや軸封装置にも十分に用いることができるようにすることにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、電気的外部刺激を介して変形する駆動体と、この駆動体の上下面側に対向配置して正負の電気的外部刺激を駆動体に平面的に印加する電極とを有し、この電極は、異なる印加領域を有し、この印加領域により駆動体内に生じる応力分布を正負の一方に偏在させて、対向する印加領域が無い側に駆動体を屈曲変形させる電場分布を有する高分子アクチュエータである。
請求項2に係る発明は、電気的外部刺激を介して変形する駆動体と、この駆動体の上下面側に対向して固定して正負の電気的外部刺激を駆動体に平面的に印加する固定電極とを有し、この固定電極は、異なる印加領域を有し、この印加領域により駆動体内に生じる応力分布を正負の一方に偏在させて、対向する印加領域が無い側に駆動体を屈曲変形させる電場分布を有する高分子アクチュエータである。
請求項3に係る発明は、固定電極のうち、広い印加領域側となる固定電極と駆動体との間の相対又は非相対位置に、駆動体が屈曲変形する過程でこの駆動体と一体に変形してこの駆動体に電気的外部刺激を印加する可撓性の蒸着電極を蒸着した高分子アクチュエータである。
請求項4に係る発明は、上下面側の電極のうち、広い印加領域側の電極を、駆動体が屈曲変形する過程でこの駆動体と一体に変形してこの駆動体に電気的外部刺激を印加する可撓性の蒸着電極とし、この蒸着電極を駆動体内に埋設した高分子アクチュエータである。
請求項5に係る発明は、駆動体は、電気的外部刺激を停止したときに旧位に復帰し、一方、電気的外部刺激を加えたときに当該部位以外の部位が屈曲変形する電気刺激性高分子材料である高分子アクチュエータである。
請求項6に係る発明は、固定電極の一方側の電極を、前記駆動体の外端径方向に向けて当該駆動体から拡大離散していく傾斜面とした高分子アクチュエータである。
請求項7に係る発明は、複数の流路を有するボデー内に、高分子アクチュエータを弁体として配設し、この弁体で流路を開閉又は流量調整するようにした高分子アクチュエータを用いたバルブである。
請求項8に係る発明は、本体内部に軸封部を設け、この軸封部に高分子アクチュエータを適用してこの高分子アクチュエータの変形により流体の漏れ現象を生じさせた高分子アクチュエータを用いた軸封構造である。
請求項1に係る発明によると、印加時又は印加停止時におけるEPAM、すなわち、電気刺激性高分子材料の変形量を増加させて流量の流量制御を行なうことができる高分子アクチュエータを提供できる。この場合、駆動体の移動に伴う磨耗がないため、高いシール性能を維持しつつ簡単な内部構造により開閉状態を切り換えて流体を流すことができる。また、駆動体の変形量を外部電気信号等で調整し、接触面圧力を調整して流量を制御することで小流量から大流量までの流れ量を高精度に制御してあらゆる用途に利用できる。更には、動作機構を設けることなく駆動体の変形が可能であることにより、内部の劣化を防いで長期に亘って優れた性能を維持できる。これにより、本発明の高分子アクチュエータは、各種の駆動源、又は、エアアクチュエータや電磁弁等のバルブにも利用することができ、更には、流路閉止状態における微少漏れ量も制御できることにより様々な技術分野にも応用可能である。
請求項2に係る発明によると、請求項1の効果に加えて固定電極の暴露を防ぐことができ、電圧印加時における短絡を防いで故障の発生等を抑えている。
請求項3に係る発明によると、固定電極からの電圧印加を補助することが可能になり、駆動体が固定電極から離れたときにもこの駆動体への電圧印加を維持できる。これにより、駆動体の変形量を大きくすることが可能になる。
請求項4に係る発明によると、蒸着電極と固定電極とにより駆動体を挟むことにより、一方側の固定電極を省略することが可能になる。このため、構造を簡略化させて製作も容易となる。
請求項5に係る発明によると、電気的外部刺激を加えたときに当該部位以外の部位が変形することでこの部分に電極を設ける必要がなく、変形部分が自由端部となることで変計量を大きくできる高分子アクチュエータである。このため、流量を大きく形成でき、かつ、精度の高い流量調節を実施できる。
請求項6に係る発明によると、固定電極の外端の先端部位によって、駆動体の変形を妨げることなく、当該傾斜面に沿って駆動体が無理なく曲がり、平坦な電極に比して大きな変位を得ることができる。
請求項7に係る発明によると、駆動部を簡単な構造に構成して設けてコンパクト化を図りながら形成でき、複数の流路を切り換え可能な従来に無い構造の切換弁として利用できる高分子アクチュエータを用いたバルブを提供できる。しかも、実施する態様に応じて流路を増減させながら形成でき、多方弁の態様に設けた場合でも各流路の開閉状態及び流量を高精度に制御できるため、各種の技術分野にも応用することが可能になる。
請求項8に係る発明によると、コンパクト性を発揮しながら形成でき、流体の漏れ量を高精度に制御できる軸封構造を提供できる。しかも、軸封状態における微少漏れ量も制御できるため、様々な技術分野にも応用できる。
本発明の高分子アクチュエータを示す模式図である。(a)は、高分子アクチュエータへの電場の分布を示す模式図である。(b)は、高分子アクチュエータへの応力の発生状態を示す模式図である。(c)は、高分子アクチュエータが変形した状態を示す模式図である。 電気刺激性高分子材料の特性を示した説明図である。 本発明の高分子アクチュエータをバルブに用いた例を示す概略断面図である。 図3のバルブに電気的外部刺激を加えた状態を示す概略断面図である。 図3の高分子アクチュエータに蒸着電極を設けたバルブの例を示す概略断面図である。 図5のバルブに電気的外部刺激を加えた状態を示す概略断面図である。 本発明の高分子アクチュエータを3方切換弁に用いた例を示す概略断面図である。 図7の3方切換弁に電気的外部刺激を加えた状態を示す概略断面図である。 図7の高分子アクチュエータに蒸着電極を設けた3方切換弁の例を示す概略断面図である。 図9の3方切換弁に電気的外部刺激を加えた状態を示す概略断面図である。 本発明の高分子アクチュエータを安全弁に利用した例を示す概略図である。 本発明の高分子アクチュエータをピストン・シリンダ機構に利用した例を示す概略図である。 変位測定装置を示した概略図である。 変位測定装置による測定条件と変位量の測定結果とを示したグラフである。(a)は、電圧の印加条件を示したグラフである。(b)は、電圧印加時における電流の状態を示したグラフである。(c)は、被測定体の変位量を示したグラフである。 被測定体の屈曲変位部分を示した模式図である。(a)は、被測定体の変位部分を表した模式図である。(b)は、(a)におけるA部拡大図である。 高分子アクチュエータへの電界ベクトル分布を示す模式図である。 図16の要部を示す拡大模式図である。 図16における応力ベクトル分布を示す模式図である。 図18の要部を示す拡大模式図である。 軸封体への電界ベクトル分布を示す模式図である。 図20の要部を示す拡大模式図である。 図20における応力ベクトル分布を示す模式図である。 図22の要部を示す拡大模式図である。 高分子材料への電界ベクトルの発生状態を示す模式図である。(a)は、印加領域が等しい場合における電界ベクトルの発生状態を示す模式図である。(b)は、印加領域が異なる場合における電界ベクトルの発生状態を示す模式図である。 高分子材料への応力ベクトルの発生状態を示す模式図である。(a)は、印加領域が等しい場合における応力ベクトルの発生状態を示す模式図である。(b)は、印加領域が異なる場合における応力ベクトルの発生状態を示す模式図である。 高分子材料の屈曲状態を示す模式図である。(a)は、軸封体の屈曲状態を示す概略模式図である。(b)は、駆動体の屈曲状態を示す概略模式図である。 高分子材料の他例を示す模式図である。 図27の高分子材料への電界ベクトルの発生状態を示す模式図である。 図27の高分子材料の応力ベクトルの発生状態を示す模式図である。 軸封体の変形状態を示す模式図である。(a)は、印加領域が等しい場合の軸封体の変形状態を示す模式図である。(b)は、印加領域が異なる場合の軸封体の変形状態を示す模式図である。(c)は、軸封体の屈曲状態を示す模式図である。 本発明における高分子アクチュエータをバルブに用いた他例を示す開状態の概略断面図である。 図31におけるバルブの閉状態を示す概略断面図である。
以下に、本発明における高分子アクチュエータの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1においては、本発明の高分子アクチュエータの一実施形態を示している。同図において、高分子アクチュエータ本体(以下、アクチュエータ本体)10は、駆動体11と、電極12、13と、蒸着電極14とを有している。
駆動体11は、電気刺激を介して変形可能な材料から成っており、本実施形態においては、電気的外部刺激を停止したときに旧位に復帰し、一方、電気的外部刺激を加えたときに当該部位以外の部位が屈曲変形する電気刺激性高分子材料からなっている。ここで、本発明における変形とは、駆動体11の体積変化の増減に拘ることなく形状を変えることと定義する。すなわち、本発明の「変形」は、駆動体11が体積変化を伴いながら膨縮したり、体積変化を伴わずに形状を変化する場合の双方を含んでいる。
本発明における、電気刺激を加えたときに当該部位以外の部位が変形する電気刺激性高分子材料の特性を図2に示す。
図1の駆動体11を構成する電気刺激性高分子材料の一例としては、例えば、ポリエーテル系ウレタンがある。同材料は、主剤と硬化剤とを混合して成り、主剤は、少なくとも、スチレン、ニトリル化合物、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、フタル酸エステルを含んでいる。また、硬化剤は、少なくとも、フタル酸、ジフェニルメタンジイソシアネート、フタル酸エステルを含んでいる。各成分を含んだ具体的な電気刺激性高分子材料としては、例えば、株式会社エクシールコーポレーション社製 人肌(登録商標)のゲルシートがある。また、この電気刺激性高分子材料は、ポリエーテル系ウレタン以外にも、例えば、薄膜のシリコンであってもよく、この場合にも上記と同様の機能や特性を発揮できる。更に、同様の機能や特性を発揮できる材料であれば、上記以外の材料を用いてもよい。
この実施形態においては、電気刺激性高分子材料としてポリウレタン・エラストマーを使用している。
一方、電極12、13は、駆動体11の上下面側にこの駆動体11を局部的に挟むように対向配置され、更に、この位置から外部まで電気的に繋がっている。この構造により、電極12、13は、正負の電気刺激を駆動体に平面的に印加できるようになっている。また、電極には、広い印加領域を有する側、すなわち、駆動体11側に長く形成された電極12と、狭い印加領域を有する側、すなわち、駆動体11側に短く形成された電極13とがあり、このように互いに異なる印加領域を有している。更に、これらの電極12、13は、それぞれこの電極を固定するための固定部15、16にそれぞれ固定された固定電極となっている。
これらの電極12、13は、異なる印加領域により、印加時において駆動体11内に生じる応力分布を正負の一方に偏在させて対向する印加領域が無い側、すなわち、短く形成された側の電極13の方向に駆動体11を屈曲変形させる電場分布を有している。また、駆動体11が屈曲変形するときにも、外部から隠蔽した位置に配設されている。
蒸着電極14は、可撓性を有しており、広い印加領域側、すなわち、電極12と駆動体11との間の電極12と相対又は非相対位置において駆動体11に蒸着され、この駆動体11と一体に設けられている。蒸着電極14は、駆動体11が屈曲変形する過程で駆動体11と一体に変形しながらこの駆動体11に電気的外部刺激を印加するようになっている。
本実施形態においては、図1に示したように、電極12、13を固定電極とした場合に、この固定電極12、13のうち、広い印加領域側の固定電極12に蒸着電極14を蒸着した場合を示しているが、広い印加領域側の電極として蒸着電極14のみを設けて固定電極12を省略するようにしてもよい。この場合、図示しないが、蒸着電極14を駆動体11の内部に埋設するようにして外部から隠蔽すれば、アクチュエータ本体10を通過する流体が液体であるときにこの液体が蒸着電極14に接触して電圧が短絡することを防ぐことが可能になる。蒸着電極14を駆動体11内部に隠蔽する際には、例えば、蒸着電極を薄状に形成した駆動体の上に置き、この駆動体を巻き込むように折り返して所定の厚さに設けることで蒸着電極を固定電極内に埋め込むことが可能になる。
次いで、上述したアクチュエータ本体10の基本技術とその動作について、先ず、本件出願人が既に提案しているPCT出願(PCT/JP2008/61259)における軸封装置について以下に説明する。
この軸封装置は、図30に示すように、内部に軸封体1と固定電極部2、3とが設けられている。
軸封体1は、電気的外部刺激を介して膨張する高分子材料製から成っており、例えば、ポリウレタン・エラストマーから成っている。また、固定電極部2、3は、均等な長さに形成されて軸封体1の上下部側に配設されている。そして、固定電極部2、3に電場を加えると、軸封体1が変形し、この変形によって図示しない流路に漏れ流体が流れるようになっている。
これを具体的に説明すると、図30において、固定電極部2、3に電場を加えると、この電場により発生する応力によって、軸封体1には、固定電極部2、3の相対部位、又は、固定電極部2よりも突出している軸封体1の部分において、図30(a)に示すように、(1)誘電性ポリオール又は双極子モーメントを有するポリオールが電場により配向することにより、高分子鎖の構造が変化し、電界ベクトルが分布する応力が生じる。このとき、図30(b)に示すように、(2)固定電極部2、3及びその周辺部の電場によるクーロン効果により軸封体1の厚み方向の幅が減少し、それにより、この軸封体1は、厚み方向と90°方向の長手平面方向に拡張する。また、図30(c)に示すように、(3)電荷の注入と偏在化とにより、両極側において非対称な体積変化が誘起されるために応力が発生する。
これにより。軸封体1には上記した(1)〜(3)までの3つの働きが作用してこの軸封体1が変形する。その際、軸封体1に発生する応力は、相対する固定電極部2、3間の電界分布により発生し、固定電極部2、3の間、及び固定電極部の外周周辺部の軸封体1内において高電位側から低電位側に向かうベクトルが構成される。
このベクトルの大きさは固定電極部2、3の外周部位で最大となり、この固定電極部2、3と非接触部位となる半径方向(平面方向)では外周側に向けて徐々に減衰する分布となる。これらの応力は、軸封体1を高電位側から低電位側へ屈曲する方向に作用し、このとき、低電位側の固定電極部3の外周周辺部が屈曲変形の支点として作用して軸封体1が屈曲する。
続いて、図1において、電極12、13を有する本発明のアクチュエータ本体10の動作を説明する。
この場合、駆動体11となる電気刺激性高分子材料(例えば、ポリウレタン・エラストマー)は、長さの異なる電極12、13によって挟まれるか、更に、長い側の電極12に蒸着電極14を設け、この蒸着電極14と短い側の電極13とにより挟まれた状態になっている。駆動体11は、電極12、13に挟まれた部分と、電極12、13に接することなく外側に延長された部分とがある。
両電極12、13に電場を加えると、駆動体11には以下の理由により応力が発生するが、その応力値は、前記した印加領域が等しい図30における電極2、3の場合の軸封体1において発生する応力値よりも大きく、このときの変形量は、その応力が作用する面のモーメント長が大きいために前記の場合よりもより大きくなる。
電極12、13に電場を加えた際には、前記の印加領域が等しい固定電極部2、3に挟まれた軸封体1の場合と同様に、駆動体11には、図1(a)に示すように、(4)誘電性ポリオール又は双極子モーメントを有するポリオールが電場により配向することにより、高分子鎖の構造が変化し、電界ベクトルが分布する応力が生じる。このとき、図1(b)に示すように、(5)電極12、13及びその周辺部の電場によるクーロン効果により駆動体1の厚み方向の幅が減少し、それにより、この駆動体11は、厚み方向と90°方向の長手平面方向に拡張する。また、図1(c)に示すように、(6)電荷の注入と偏在化とにより、両極側において非対称な体積変化が誘起されるために応力が発生する。
駆動体11は、(4)〜(6)までの応力によって変形するが、駆動体11の電極12側、電極13側において蒸着電極14側、及び、電極13の無い非電極周辺部において、電場は両電極14、13の外周部位を最大値として駆動体11の外側半径方向(平面方向)に減衰分布する。更に、駆動体11における蒸着電極14の外周部位と蒸着電極14と電極13との重ならない部分から、電極13の接触する外周部方向に向けて電場が集中分布的に作用するため、駆動体11を変形する応力が効果的に作用する。また、電極13の外周部位において、屈曲方向に作用する屈曲応力ベクトルVが生じ、これらの応力により、駆動体11は、電極13の端部側で支えられた部分を支点Cとして、モーメント長Mの作用により屈曲力が増大し、大幅に屈曲変形することが可能となる。
本発明のアクチュエータ本体10は、印加領域が等しい電極を有する軸封体1を改良し、異なる印加領域を有する電極12、13を有し、この印加領域により駆動体11内に生じる応力分布を正負の一方に偏在させて、対向する印加領域が無い側、すなわち電極13側に駆動体11を屈曲変形させる電場分布を設けた構成としているので、駆動体11の変形量を図30の軸封体1に比較して飛躍的に大きくすることが可能になった。このため、本発明の高分子アクチュエータは、駆動源や、バルブ等に適した流路を有する管路に適用することが可能となった。
ここで、本発明の高分子アクチュエータを利用する際の好適な例として、この高分子アクチュエータをバルブに搭載した、高分子アクチュエータを用いたバルブの実施形態を説明する。
図3においては、アクチュエータ本体10を用いてバルブ本体20を構成した状態を示している。このバルブ本体20は、アクチュエータ本体10と、ボデー21と、電源回路22とを有している。
アクチュエータ本体10は、駆動体11と電極12、13とからなる駆動部23と、円柱ホルダ24と、筒状ホルダ25とを有している。
駆動体11は、適宜の厚さにより中空円筒状に形成される。この駆動体11の上下面側には異なる極性の電極12、13が対向配置され、この電極12、13は、それぞれ円柱ホルダ24と筒状ホルダ25との間に配設された状態で駆動体11の上下面側からボデーの外部まで延設されて電源回路22と繋がっている。
円柱ホルダ24は、円柱部26と、この円柱部26よりも拡径した拡径鍔部27とを有している。一方、筒状ホルダ25は、円柱ホルダ24の円柱部26よりもやや径の大きい内挿部28を有し、この内挿部28に円柱部26を挿入可能になっている。また、筒状ホルダ25の上部側には、拡径状の嵌合係止部29が形成されている。上記の電極12は、筒状ホルダ25の内挿部28表面側のパターニング部30を介して筒状ホルダ25の底面側に設けられ、一方、電極13は、円柱ホルダ24の円柱部26表面側のパターニング部31を介して拡径鍔部27の上面側に設けられている。このように、電極12と電極13とは、ともに固定電極として固定されている。
この場合、電極12は径方向に長く形成され、一方、電極13はこの電極12よりも径方向に短く形成されている。これにより、電極12と電極13とは異なる印加領域を有し、すなわち、電極12は広い印加領域を有し、電極13は狭い印加領域を有している。
アクチュエータ本体10は、このように予め電極12、13が設けられた円柱ホルダ24と筒状ホルダ25との間に駆動体11を配設した状態で、円柱部26を内挿部28内に挿入することで一体に構成される。このとき、駆動体11は、底面側が拡径鍔部27の上面側、上面側が筒状ホルダ25の底面側に挟まれてこれらのホルダ24、25の間に位置決め固定される。この構成により、駆動体11の上下面側から電極12と電極13とにより電場を加えることが可能になっている。
ボデー21は、略円筒状に形成され、内周側に装着部32と、複数の流れ流路33、34と、弁座35とが形成されている。装着部32は、アクチュエータ本体10を弁体として配設可能にボデー21の上部側に形成され、この装着部32の入口側よりやや奥まった位置には筒状ホルダ25の嵌合係止部29が係止可能な係止突部36が形成されている。また、装着部32の下方側には、駆動体11の先端面11aが当接する位置に座面37が設けられている。2つの流れ流路33、34は、座面37よりも下方側のボデー21の下部側に外部と連通して形成され、本実施形態においては、互いに直交する方向に穿孔して形成されている。弁座35は、流れ流路33と流れ流路34との間に、流れ流路34側から突設して環状に形成されている。なお、図示しないが、流れ流路33、34には、継手やパイプ等の適宜の管路が接続される。
アクチュエータ本体10は、装着部32に装入され、嵌合係止部29が係止突部36に嵌合した状態でボデー21と一体化され、この一体化により流れ流路33、34の間に駆動部23が配設される。
電源回路22は、電源38とスイッチ39とを有し、電極12、13と繋がっている。この電源回路22は、スイッチ39のオンオフにより電極12、13に電場を加えて駆動体11に電気的外部刺激を加えたり、又は、停止するようになっている。
なお、この実施形態におけるバルブ本体20の駆動体11は、電気的外部刺激を停止したときに、旧位に変形しながら復帰してバルブ開状態となり、一方、電気的外部刺激を加えたときに当該部位以外の部位が変形してバルブ閉状態となる性質を有しているが、これ以外にも、図示しないが、電気的外部刺激を加えたときに、当該部位以外の部位が変形してバルブ閉状態となり、一方、電気的外部刺激を停止したときに旧位に変形しながら復帰してバルブ開状態となる構成となるようにしてもよい。これは、後述する高分子アクチュエータを用いた軸封構造についても同様である。
次いで、上記のバルブ本体20の動作を説明する。
図3の状態においては、スイッチ39がオフの状態であり、電源38から駆動体11に対して電場が加わっていない状態になっている。この場合、駆動体11は、旧位に変形しながら復帰してその先端面11aが座面37に密着シールしている。これにより、流れ流路33と流れ流路34とが連通して弁開状態になっている。
いま、図4に示すように、スイッチ39をオンの状態に切り換えると、電源回路38から電極12、13を介して駆動体11の上下面側に異なる極性の電場が加わる。この印加時には、電極12が電極13よりも広い印加領域を有していることによって、駆動体11は、先端面11a側が座面37から離間して下方側に屈曲変形し、弁座35に当接シールする。このため、この駆動体11により流れ流路33と流れ流路34との間が塞がれて弁閉状態になる。
更に、このときの印加量(電圧の大きさや電圧の印加時間(過渡応答))を制御することにより、駆動体11の変形量や変形応答時間を調節して座面37に対する押圧力(当接シール力)を高めたり、漏れ流路33、34の連通状態から電圧を徐々に上げて駆動体11の変形を調節して大レベルの流量から駆動体11が大きく変形する微少レベルの流量までの流量制御を行なうことも可能になっている。
この状態から再度スイッチ39をオフの状態に切り換えると、電圧の印加が停止して駆動体11が図3の状態に復帰して再び弁開状態となる。
このように、バルブ本体20は、アクチュエータ本体10が弁体として配設され、この弁体で流路33、34を開閉、又は、流量調整するようになっている。
図5においては、本発明のアクチュエータを用いたバルブに対して蒸着電極14を設けた例を示している。なお、以降の実施形態において、上記実施形態と同一部分は同一符号によって表し、その説明を省略する。
このバルブ本体40において、蒸着電極14は、駆動体11の電極12側に埋め込まれて隠蔽された状態で配設され、かつ、この電極12と電気的に接続した状態になっている。また、蒸着電極14は、駆動体11の半径方向に長く形成されており、この蒸着電極14側には図3のバルブ本体20の電極よりも広い印加領域が形成されている。
このバルブ本体40において、図6に示すように、スイッチ39をオンの状態に切り換えて電場を加えると、電圧が電極12を介して蒸着電極14まで伝わる。このとき、蒸着電極14がより広い印加領域を有していることにより、この蒸着電極14によって駆動体11を大きく屈曲変形させることができる。しかも、駆動体11が筒状ホルダ25の底面側から離れようとする際にも蒸着電極14により駆動体11への電圧印加が維持される。このため、このバルブ本体20は、駆動体11をより大きく屈曲変形させることができ、これにより流れ流路33、34の弁開時における流路径を大きくした大口径バルブを形成することができる。
図7においては、アクチュエータ本体10により3方切換弁41を構成した例を示している。
同図の3方切換弁41において、ボデー42には3つの流れ流路43、44、45が形成されている。この3つの流れ流路43、44、45のうち、2つの流れ流路43、44は、座面37よりも下方側のボデー42の下部側に互いに直交する方向に外部と連通して形成され、また、流れ流路45は、装着部32から外部に連通して形成されている。
図7において、このバルブ本体において、スイッチ39がオフの状態であり、駆動体11の座面37への密着シール時には、流れ流路43と流れ流路44とが連通し、流れ流路45は駆動体11により塞がれた状態になっている。これにより、流れ流路43と流れ流路44との間に流体が流れるようになる。
一方、図8において、スイッチ39をオンの状態に切り換えた場合には、駆動体11が屈曲変形して座面37から離間して弁座35に当接シールする。このため、流れ流路44が塞がれた状態になり、流れ流路43と流れ流路45とが連通した状態になる。よって、流れ流路43と流れ流路45との間に流体が流れるようになる。このように、この3方切換弁41は、電場を加えるか又は停止の状態に切り換えることにより、3つの流れ流路43、44、45を切り換える構造を有している。
図9及び図10は、図7の3方切換弁に蒸着電極14を設けた例を示している。この例における3方切換弁46は、図5のバルブ本体40の場合と同様に、蒸着電極14の広い印加領域によって駆動体11を大きく屈曲変形させることが可能になっている。このため、図10において、駆動体11の屈曲変形時における流路が大きく確保され、大口径の3方切換弁46を提供できるようになっている。
次に、本発明の高分子アクチュエータを安全弁に応用した例を述べる。図11における安全弁50には本発明の高分子アクチュエータが搭載されており、この安全弁50は、アクチュエータ本体51と、ハウジング52と、配管53と、圧力センサ54と、スイッチ回路55とを有している。
アクチュエータ本体51は、ハウジング52内に内装され、電場を加えたり、又は電場の停止により周方向に変形可能な適宜の形状になっている。このアクチュエータ本体51は、例えば、前述したアクチュエータ本体10と同じ構造であり、駆動体11と電極12、13とからなる駆動部23が内装されている。ハウジング52は、配管53に対して内部の流路56が連通した状態で取付けられ、配管53内には圧力センサ54が取付けられている。圧力センサ54は、配管53内部の圧力の変動を電圧として発信することでこの配管53内の圧力変化を検出するようになっている。スイッチ回路55は、圧力センサ54とアクチュエータ本体51との間に設けられ、圧力センサ54の圧力の変動に応じてアクチュエータ本体51への電場を停止できるようになっている。また、このスイッチ回路55には、配管53内への初期の圧力封入時において、アクチュエータ本体51が所定の圧力値に到達する迄の間において、アクチュエータ本体51封止用の基準電圧値が暫定的に印加されている。
この安全弁50において、配管53内の圧力値を圧力センサ54により検出した際に圧力値が所定の値以上になった場合には、スイッチ回路55により電圧の印加が停止される。続いて、電圧が印加停止されることにより、アクチュエータ本体51が通常時の状態から収縮側に変形して、図示しない駆動体の先端側がハウジング52内周面から離間してこのアクチュエータ本体51とハウジング52との間に図示しない隙間が生じる。この隙間により流路56が連通し、圧力ブリーフが行なわれることで配管53内の圧力が下がる。
更に、この圧力ブリーフ後に圧力が規定値以下に復帰した際には、スイッチ回路55よりこのときの圧力センサ54の電圧がアクチュエータ本体51に印加される。これにより、アクチュエータ本体51が膨張側に変形し、駆動体の先端側がハウジング52内周面に密着して流路56が閉止状態になり、圧力漏れが封止される。
一方、図12においては、本発明の高分子アクチュエータをピストン・シリンダ駆動機構(以下、駆動機構という)に利用した例を示している。この駆動機構60は、4つのアクチュエータ本体61、62、63、64と、ハウジング65と、シリンダ部66とを有している。
図において、アクチュエータ本体61、62、63、64はアクチュエータ本体10と同じ構造であり、それぞれハウジング65内に収納されて周方向に変形可能になっている。ハウジング65には、流路67、68、69、70、71が設けられている。流路67は、外部からの圧縮エアを駆動機構60内に供給可能に配設され、また、流路68、69は、駆動機構60内の圧縮エアを外部に排出可能に配設されている。また、流路70、71は、シリンダ部66に繋がっており、このシリンダ部66には、駆動機構60からの圧縮エアが供給・排気されるようになっている。
各アクチュエータ本体61、62、63、64は、流路68と流路71、流路71と流路67、流路67と流路70、流路70と流路69の間にそれぞれ配設され、このアクチュエータ本体61、62、63、64に電圧が印加されたときにはそれぞれが膨縮・変形して各流路の間を軸封できるようになっている。
図12(a)において、アクチュエータ本体61、63への電圧の印加を停止することによりこれらを縮径側に変形させ、一方、アクチュエータ本体62、64に電圧を印加することによりこれらを拡径側に変形させるように制御すれば、流路67と流路70、流路71と流路68との間がそれぞれ連通すると共に、流路69と流路70、流路71と流路67との間がそれぞれ塞がった状態になる。
この状態で、流路67側から圧縮エアが供給されると、この圧縮エアは、流路70を介してシリンダ部66内に送り込まれ、このシリンダ部66内に設けたピストン66aが左方に移動する。このピストン66aの移動により、シリンダ部66内の圧縮エアが流路71を介して流路68より排出される。
一方、図12(b)において、アクチュエータ本体61、63に電圧を印加することによりこれらを拡径側に変形させ、また、アクチュエータ本体62、64への電圧の印加を停止することによりこれらを縮径側に変形させるように制御すれば、流路67と流路71、流路70と流路69との間がそれぞれ連通すると共に、流路71と流路68、流路67と流路70との間がそれぞれ塞がれる。
この状態で、流路67側から圧縮エアが供給されると、この圧縮エアは、流路71を介してシリンダ部66内に送り込まれ、図においてピストン66aが右方に移動する。このピストン66aの移動により、シリンダ部66内の圧縮エアが流路70を介して流路69より排出される。
このように、駆動機構60において、各アクチュエータ本体61、62、63、64への電圧の印加を制御することにより流路を切換え、流路67から圧縮エアを供給することでピストン66aを往復動させることができる。
以上のように、本発明の高分子アクチュエータを用いて、各種のバルブ本体や、安全弁50、駆動機構60を設ける場合をそれぞれ示したが、これらはあくまでも例にすぎず、本発明の高分子アクチュエータは、その構成を逸脱しない限り設計変更が可能であり、各種の装置や機構等に応用することができる。
例えば、高分子アクチュエータを薬液に耐えうる材質や内部構造に設けることで、薬液の封止、又は、薬液の流量状態を制御しながら供給することができる装置を提供できる。このことから、例えば、高分子アクチュエータを液晶製造や半導体精密プラント等の一部の装置に適用することができる。この場合には、装置のインレット・アウトレット側に接続する管の材質を自由に選択して適用流体を変えることも可能である。
この場合、何れのバルブの態様においても、アクチュエータ本体の変形量を大きくできるために、大流量の制御を行なうことができる。また、構造的には、電極が流体中に暴露することが無く、この電極の無い部分を屈曲させることができるため、電荷の外部への漏れが無く安全に使用することができるという特徴を有している。
更に、本発明の高分子アクチュエータを用いて軸封構造を形成することもできる。この場合、図示しないが、内側に流路を有するボデー本体の内部に軸封部を設け、この軸封部にアクチュエータ本体10を適用するようにし、このアクチュエータ本体10の変形により流体の漏れ現象を生じさせればよい。この構成により、流路を軸封して流体を封止したり、この封止状態から微少レベルの漏れ流量に制御することが可能になる。更に、軸封状態を維持した状態で漏れを発生させる、いわゆる、微少漏れを制御することも可能になる。
図31と図32は、図3と図4に示した概略断面図の例と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
図31は、本発明における高分子アクチュエータをバルブに用いた他例を示し、バルブが開状態である場合の概略断面図であり、図32は、同上の閉状態である場合の概略断面図である。
図31、図32において、固定電極12A、13Aのうち、固定電極13Aには、駆動体11の外端径方向に向けて当該駆動体11から拡大離散していく傾斜面13aを設けている。
したがって、長さの異なる対向する固定電極12A、13Aであって、一方の電極に傾斜面13aを有する電極13Aにすることによって、電極13Aの先端部位により、駆動体11の変形を妨げることなく、駆動体11は当該傾斜面13aに沿って無理なく曲がり、平坦な電極に比して大きな変位を得ることができる。
そして、電圧を印加することにより、駆動体11が傾斜面13aを有する電極13A側に変形するので、バルブは図32に示すように確実に閉状態となる。その後、電圧を停止させると、駆動体11は旧位に変形しながら復帰して、バルブは図31に示すように、開状態となる。
以下に、本発明における高分子アクチュエータの実施例を説明する。この実施例では、電気的外部刺激を加えたときに当該部位以外の部位が変形する電気刺激性高分子材料の変形態様が高分子アクチュエータに利用可能であるかを確認するため、所定の電圧を印加し、その変位量を測定した。この測定は、図13に示した変位測定装置75によりおこなった。
変位測定装置75は、電気刺激性高分子材料である被測定体(人肌(登録商標)のゲルシート 品番H0−1)76を固定するためのスタンド77と、このスタンド77を移動することが可能な移動用ステージ78とを有している。また、高圧電源(松定プレシジョン株式会社製、型式HJPQ−30P1)79を有しており、この高圧電源79は、被測定体76を挟持する図示しない固定電極に繋がっており、被測定体76に電場を加えることが可能になっている。また、レーザ変位計(株式会社キーエンス製、型式LJ−G080)80を有しており、このレーザ変位計80は、被測定体76に対してレーザLを照射し、被測定体76の屈曲変位量を測定可能になっている。
この変位測定装置75により測定する際には、先ず、測定前に被測定体76を変位測定装置75の図示しない固定電極で挟み、スタンド77に固定する。また、移動用ステージ78により、被測定体76とレーザ変位計80との距離を調節する。
この状態で、高圧電源79を操作し、図14(a)に示すように、被測定体76に対して0Vから7kVまで20秒ごとに1kVずつ印加電圧を階段状に上げていき、そのときの被測定体76の変位量をレーザ変位計80で測定した。図14(b)は、電圧印加時における電流の状態を示している。
図15においては、電圧を印加したときの被測定体76の動作を示している。図15(a)に示すように、被測定体76は、電圧の印加によりマイナス極側に根元から屈曲変形する。その際、図15(b)おいて、電圧印加なし(0V印加)のときの被測定体76の端面76aから、電圧印加時における角部76bまでの距離を屈曲変位量δとした。この変位量δの推移を図14(c)のグラフに示した。
図14より、印加電圧が4kV以上になったときに被測定体76の変位が確認された。更に、印加電圧が7kVに達すると、変位量δがおよそ1.15mmとなり、このときの変位量が最大となった。また、7kVの電圧を印加した状態から印加電圧なし(0V印加)の状態まで印加電圧を下げると、被測定体76は、初期(電圧を印加する前)の形状まで戻ることが確認された。
以上の測定結果により、上記の条件下において、被測定体76である電気刺激性高分子材料は、最大変形量が1.15mmと大きいため、本発明の高分子アクチュエータに用いる高分子材料として好適であると判断できる。
この場合、被測定体76は、電圧印加時にマイナス電極側に屈曲しているが、極性を反転した場合、屈曲方向が反対(プラス電極側)となることが確認された。これにより、実際の使用に際しては、その条件等により所望の屈曲方向に屈曲させることができる。
また、上記の場合、被測定体76が電圧印加時に屈曲変形し、変位量δによる隙間を形成することで、この電気刺激性高分子材料を利用して、通常時に閉じた状態にある、いわゆる、NC(ノーマリークローズ)タイプのシール装置を構成できる。更に、この電気刺激性高分子材料を初期状態において屈曲した形状に成形し、一方、電圧を印加したときには平面形状に変形するように予め設けることにより、通常に開いた状態にある、いわゆる、NO(ノーマリーオープン)タイプのシール装置を構成することも可能である。
本発明の高分子アクチュエータに電圧を印加したときの電界ベクトルの分布をシミュレーションにより解析した。このシミュレーションは、比較のために図30に示した軸封部構造である、印加領域の等しい固定電極部に挟まれた高分子材料(軸封体)1についても行い、この高分子材料1と、印加領域の異なる電極に挟まれた本発明の電気刺激性高分子材料(駆動体)11についてそれぞれ実施した。このシミュレーションは、電極に電場を加えたときに各電気刺激性高分子材料の内部に発生する電界ベクトルの分布を解析することによって行った。
このときの条件としては、印加電極の等しい電極部2、3に挟まれた高分子材料1については、電極部2、3の寸法を外径φ5mm、厚さ1mm、高分子材料1の寸法を外径φ10mm、厚さ2mmとし、電極部2に+1V、電極部3に−1Vを印加した。このときの高分子材料1の比誘電率を、ε=3とした。
一方、印加電極の異なる電極12、13については、印加領域の広い側の電極12の寸法を、外径φ5mm、厚さ1mmとし、印加領域の狭い側の電極13の寸法を、外径φ3mm、厚さ1mmとし、また、電気刺激性高分子材料11の寸法を外径φ10mm、厚さ2mmとし、電極12に+1V、電極13に−1Vを印加した。このときの電気刺激性高分子材料1の比誘電率を、ε=3とした。
このシミュレーションの結果、印加領域が等しい電極部2、3を有する高分子材料1では、図20に示した電界ベクトル分布において、最大電界強度は4012V/mで、このときの最大電界ベクトル発生箇所は、図21に示すように、相対する各電極部2、3の外周部位となった。また、図24(a)の発生電界ベクトル図に示すように、電極部2、3で挟まれた領域からこの電極部2、3とは非接触部分の高分子材料1を屈曲する方向にベクトル分布が確認された。
また、図20、図21の電界ベクトル分布よりマックスエル応力を求めた図22、23に示した応力ベクトル分布の模式図において、最大応力が9.5×10−11N、最大応力発生箇所は相対する各電極部2、3の外周部位となった。このとき、図25(a)の発生応力ベクトル図に示すように、電極部2、3との非接触部分を最大発生応力として、高分子材料1を低電位側の電極部3の外周部を支点として低電位側に屈曲する方向に応力分布が発生することが確認された。
一方、印加領域が異なる電極12、13である電気刺激性高分子材料11では、図16に示した電界ベクトル分布において、最大電界強度は5090V/mで、このときの最大電界ベクトル発生箇所は、図17に示すように、電極13の外周部位となった。また、図24(b)の発生電界ベクトル図に示すように、電極12、13で挟まれた領域からこの電極12、13とは非接触部分の電気刺激性高分子材料11を屈曲する方向にベクトル分布が確認された。
また、図16、図17の電界ベクトル分布よりマックスエル応力を求めた図18、図19に示した応力ベクトル分布の模式図において、最大応力が1.3×10−10N、最大応力発生箇所は電極13の外周部位となった。このとき、図25(b)の発生応力ベクトル図に示すように、電極13との非接触部分を最大発生応力として電気刺激性高分子材料11をこの低電位側電極13の外周部を支点として低電位側に屈曲する方向に応力分布が発生することが確認された。
以上のシミュレーション結果により、本発明における駆動体11は、最大電界強度の値と最大応力の値とがともに軸封体1の値よりも大きくなることが確認された。このことから、実際の変形時には、この最大電界強度と最大応力とにより、軸封体1は、図26(a)に示した屈曲状態になり、駆動体11は、図26(b)に示した屈曲状態になる。このように、本発明における駆動体11は、軸封体1よりも大きく屈曲し、その変位量がより大きくなった。
更に、実施例2とは異なる構造の高分子アクチュエータを構成し、この高分子アクチュエータに電圧を印加し、そのときの電界ベクトルの分布を実施例2の場合と同様にシミュレーションにより解析した。この例では、図27に示すように、電気刺激性高分子材料(駆動体)81は、その外周面が略半球面形状である中空リング状になっている。また、この駆動体81の上下側に上面側電極82と下面側電極83とが配設されている。駆動体81における上面側電極82との接触部分は、上面側の平面部位であり、一方、下面側電極83との接触部分は、下面側の平面部位と内周側の曲面部位とになっている。
駆動体81に対して電極82、83から電気的外部刺激を加えると、図28に示すような電界ベクトル分布が発生する。このときの発生応力ベクトル図を求めると図29に示す状態になる。図29の矢印に示すように、電界の印加時には、高分子材料81に対して、径方向に縮径方向に応力が発生し、かつ、軸方向に伸びる方向に応力を発生するため、高分子材料81は、図28、図29に示すように、流体を封止して漏れを防ぐ方向に効果的に変形する。この変形により、この駆動体81を装着した高分子アクチュエータをバルブ等の駆動源に適用した場合、駆動体81の外周面側が流路の壁面に接触することで弁閉時のシール力を高めたり、大レベルの流量から微少レベルの流量制御を行なうことが可能になる。また、駆動体81を装着した高分子アクチュエータを軸封装置に適用した場合、駆動体81の外周面側が軸封部分に接触して流量の漏れ量を高精度に制御したり、軸封状態における微少漏れ量を制御できる。
また、この構成により、電極82、83が高分子アクチュエータを構成する部位に内蔵されるため、電極82、83が流体側に暴露することが防がれる。
10 アクチュエータ本体
11 駆動体(電気刺激性高分子材料)
11a 先端面
12、13 電極
14 蒸着電極
21 ボデー
23 駆動部
33、34 流れ流路
35 弁座
37 座面
電極12、13に電場を加えた際には、前記の印加領域が等しい固定電極部2、3に挟まれた軸封体1の場合と同様に、駆動体11には、図1(a)に示すように、(4)誘電性ポリオール又は双極子モーメントを有するポリオールが電場により配向することにより、高分子鎖の構造が変化し、電界ベクトルが分布する応力が生じる。このとき、図1(b)に示すように、(5)電極12、13及びその周辺部の電場によるクーロン効果により駆動体11の厚み方向の幅が減少し、それにより、この駆動体11は、厚み方向と90°方向の長手平面方向に拡張する。また、図1(c)に示すように、(6)電荷の注入と偏在化とにより、両極側において非対称な体積変化が誘起されるために応力が発生する。
このバルブ本体40において、図6に示すように、スイッチ39をオンの状態に切り換えて電場を加えると、電圧が電極12を介して蒸着電極14まで伝わる。このとき、蒸着電極14がより広い印加領域を有していることにより、この蒸着電極14によって駆動体11を大きく屈曲変形させることができる。しかも、駆動体11が筒状ホルダ25の底面側から離れようとする際にも蒸着電極14により駆動体11への電圧印加が維持される。このため、このバルブ本体40は、駆動体11をより大きく屈曲変形させることができ、これにより流れ流路33、34の弁開時における流路径を大きくした大口径バルブを形成することができる。
この安全弁50において、配管53内の圧力値を圧力センサ54により検出した際に圧力値が所定の値以上になった場合には、スイッチ回路55により電圧の印加が停止される。続いて、電圧が印加停止されることにより、アクチュエータ本体51が通常時の状態から収縮側に変形して、図示しない駆動体の先端側がハウジング52内周面から離間してこのアクチュエータ本体51とハウジング52との間に図示しない隙間が生じる。この隙間により流路56が連通し、圧力リリーフが行なわれることで配管53内の圧力が下がる。
更に、この圧力リリーフ後に圧力が規定値以下に復帰した際には、スイッチ回路55よりこのときの圧力センサ54の電圧がアクチュエータ本体51に印加される。これにより、アクチュエータ本体51が膨張側に変形し、駆動体の先端側がハウジング52内周面に密着して流路56が閉止状態になり、圧力漏れが封止される。
一方において、封止領域を開閉状態に切り換えるようにするために、高分子アクチュエータを用いたバルブがある(例えば、特許文献1参照。)。同文献1のバルブは、いわゆる、人工筋肉を弁体として用いており、この弁体自体を変形させることにより複雑な動力手段を用いることなく流路を切り換える高分子アクチュエータを有している。人工筋肉は、フィルム型の電歪伸縮ポリマーからなっており、電圧のオンオフによって変形して直接又はシール材を介して弁座に接離させ、流路を開閉するようになっている。そして、同文献のバルブは、ゴム状の薄い高分子膜(エラストマー)を伸縮可能な電極で挟み、この電極間に電圧を加えることにより高分子膜を面方向に伸長(周方向に拡径)させるようにしたEPAM(Electroactive Polymer Artificial Muscle)構造になっている。この場合、この人工筋肉では、歪み量或は変形量を大きくするために、高分子膜の印加領域全面に電極を配設させて電荷注入量を増加させている。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、電気的外部刺激を介して変形する駆動体と、この駆動体の上下面側に対向配置して正負の電気的外部刺激を前記駆動体に平面的に印加する電極とを有し、この電極は、異なる印加領域を有し、この印加領域により前記駆動体内に生じる応力分布を正負の一方に偏在させて、対向する印加領域が無い側に前記駆動体を屈曲変形させる電場分布を有すると共に、一方側の電極には、前記駆動体の外端径方向に向けて当該駆動体から拡大離散していく傾斜面を設けた高分子アクチュエータである。
請求項に係る発明は、電極のうち、広い印加領域側となる電極と駆動体との間の相対又は非相対位置に、駆動体が屈曲変形する過程でこの駆動体と一体に変形してこの駆動体に電気的外部刺激を印加する可撓性の蒸着電極を蒸着した高分子アクチュエータである。
請求項に係る発明は、上下面側の電極のうち、広い印加領域側の電極を、駆動体が屈曲変形する過程でこの駆動体と一体に変形してこの駆動体に電気的外部刺激を印加する可撓性の蒸着電極とし、この蒸着電極を駆動体内に埋設した高分子アクチュエータである。
請求項に係る発明は、駆動体は、電気的外部刺激を停止したときに旧位に復帰し、一方、電気的外部刺激を加えたときに当該部位以外の部位が屈曲変形する電気刺激性高分子材料である高分子アクチュエータである。
請求項に係る発明は、複数の流路を有するボデー内に、高分子アクチュエータを弁体として配設し、この弁体で流路を開閉又は流量調整するようにした高分子アクチュエータを用いたバルブである。
請求項に係る発明は、本体内部に軸封部を設け、この軸封部に高分子アクチュエータを適用してこの高分子アクチュエータの変形により流体の漏れ現象を生じさせた高分子アクチュエータを用いた軸封構造である。
請求項1に係る発明によると、印加時又は印加停止時におけるEPAM、すなわち、電気刺激性高分子材料の変形量を増加させて流量の流量制御を行なうことができる高分子アクチュエータを提供できる。この場合、駆動体の移動に伴う磨耗がないため、高いシール性能を維持しつつ簡単な内部構造により開閉状態を切り換えて流体を流すことができる。また、駆動体の変形量を外部電気信号等で調整し、接触面圧力を調整して流量を制御することで小流量から大流量までの流れ量を高精度に制御してあらゆる用途に利用できる。更には、動作機構を設けることなく駆動体の変形が可能であることにより、内部の劣化を防いで長期に亘って優れた性能を維持できる。しかも、電極の外端の先端部位によって、駆動体の変形を妨げることなく、当該傾斜面に沿って駆動体が無理なく曲がり、平坦な電極に比して大きな変位を得ることができる。これにより、本発明の高分子アクチュエータは、各種の駆動源、又は、エアアクチュエータや電磁弁等のバルブにも利用することができ、更には、流路閉止状態における微少漏れ量も制御できることにより様々な技術分野にも応用可能である。
請求項に係る発明によると、固定電極からの電圧印加を補助することが可能になり、駆動体が固定電極から離れたときにもこの駆動体への電圧印加を維持できる。これにより、駆動体の変形量を大きくすることが可能になる。
請求項に係る発明によると、蒸着電極と固定電極とにより駆動体を挟むことにより、一方側の固定電極を省略することが可能になる。このため、構造を簡略化させて製作も容易となる。
請求項に係る発明によると、電気的外部刺激を加えたときに当該部位以外の部位が変形することでこの部分に電極を設ける必要がなく、変形部分が自由端部となることで変量を大きくできる高分子アクチュエータである。このため、流量を大きく形成でき、かつ、精度の高い流量調節を実施できる。
請求項に係る発明によると、駆動部を簡単な構造に構成して設けてコンパクト化を図りながら形成でき、複数の流路を切り換え可能な従来に無い構造の切換弁として利用できる高分子アクチュエータを用いたバルブを提供できる。しかも、実施する態様に応じて流路を増減させながら形成でき、多方弁の態様に設けた場合でも各流路の開閉状態及び流量を高精度に制御できるため、各種の技術分野にも応用することが可能になる。
請求項に係る発明によると、コンパクト性を発揮しながら形成でき、流体の漏れ量を高精度に制御できる軸封構造を提供できる。しかも、軸封状態における微少漏れ量も制御できるため、様々な技術分野にも応用できる。
なお、この実施形態におけるバルブ本体20の駆動体11は、電気的外部刺激を停止したときに、旧位に変形しながら復帰してバルブ開状態となり、一方、電気的外部刺激を加えたときに当該部位以外の部位が変形してバルブ閉状態となる性質を有しているが、これ以外にも、図示しないが、電気的外部刺激を加えたときに、当該部位以外の部位が変形してバルブ状態となり、一方、電気的外部刺激を停止したときに旧位に変形しながら復帰してバルブ状態となる構成となるようにしてもよい。これは、後述する高分子アクチュエータを用いた軸封構造についても同様である。
更に、このときの印加量(電圧の大きさや電圧の印加時間(過渡応答))を制御することにより、駆動体11の変形量や変形応答時間を調節して座面37に対する押圧力(当接シール力)を高めたり、流れ流路33、34の連通状態から電圧を徐々に上げて駆動体11の変形を調節して大レベルの流量から駆動体11が大きく変形する微少レベルの流量までの流量制御を行なうことも可能になっている。
この状態から再度スイッチ39をオフの状態に切り換えると、電圧の印加が停止して駆動体11が図3の状態に復帰して再び弁開状態となる。
このように、バルブ本体20は、アクチュエータ本体10が弁体として配設され、この弁体で流路33、34を開閉、又は、流量調整するようになっている。

Claims (8)

  1. 電気的外部刺激を介して変形する駆動体と、この駆動体の上下面側に対向配置して正負の電気的外部刺激を前記駆動体に平面的に印加する電極とを有し、この電極は、異なる印加領域を有し、この印加領域により前記駆動体内に生じる応力分布を正負の一方に偏在させて、対向する印加領域が無い側に前記駆動体を屈曲変形させる電場分布を有することを特徴とする高分子アクチュエータ。
  2. 電気的外部刺激を介して変形する駆動体と、この駆動体の上下面側に対向して固定して正負の電気的外部刺激を前記駆動体に平面的に印加する固定電極とを有し、この固定電極は、異なる印加領域を有し、この印加領域により前記駆動体内に生じる応力分布を正負の一方に偏在させて、対向する印加領域が無い側に前記駆動体を屈曲変形させる電場分布を有することを特徴とする高分子アクチュエータ。
  3. 前記固定電極のうち、広い印加領域側となる固定電極と前記駆動体との間の相対又は非相対位置に、前記駆動体が屈曲変形する過程でこの駆動体と一体に変形してこの駆動体に電気的外部刺激を印加する可撓性の蒸着電極を蒸着した請求項2に記載の高分子アクチュエータ。
  4. 前記上下面側の電極のうち、広い印加領域側の電極を、前記駆動体が屈曲変形する過程でこの駆動体と一体に変形してこの駆動体に電気的外部刺激を印加する可撓性の蒸着電極とし、この蒸着電極を前記駆動体内に埋設した請求項1に記載の高分子アクチュエータ。
  5. 前記駆動体は、電気的外部刺激を停止したときに旧位に復帰し、一方、電気的外部刺激を加えたときに当該部位以外の部位が屈曲変形する電気刺激性高分子材料である請求項1乃至4の何れか1項に記載の高分子アクチュエータ。
  6. 前記固定電極の一方側の電極には、前記駆動体の外端径方向に向けて当該駆動体から拡大離散していく傾斜面を設けた請求項1乃至5の何れか1項に記載の高分子アクチュエータ。
  7. 複数の流路を有するボデー内に、前記高分子アクチュエータを弁体として配設し、この弁体で前記流路を開閉又は流量調整するようにした請求項1乃至6の何れか1項に記載の高分子アクチュエータを用いたバルブ。
  8. 本体内部に軸封部を設け、この軸封部に前記高分子アクチュエータを適用してこの高分子アクチュエータの変形により流体の漏れ現象を生じさせた請求項1乃至6の何れか1項に記載の高分子アクチュエータを用いた軸封構造。
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