JPWO2010055764A1 - シリンダチューブおよびこれを備えた油圧シリンダ、シリンダチューブの製造方法 - Google Patents

シリンダチューブおよびこれを備えた油圧シリンダ、シリンダチューブの製造方法 Download PDF

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Abstract

油圧シリンダ(10)のシリンダチューブ(11)は、チューブの外周面に形成されたポート孔(11a,11b)に対して、断面視においてポート孔(11a,11b)から周方向において左右に離間した位置に、断面剛性を変化させる剛性変化部としての溶接ビード(22a,22b)を設けている。

Description

本発明は、建設機械等に用いられる油圧シリンダを構成するシリンダチューブおよびこれを備えた油圧シリンダ、シリンダチューブの製造方法に関する。
建設機械等に使用される油圧シリンダは、一般的に、シリンダチューブとボトム部材とを組み合わせて構成されている。そして、シリンダチューブの外周面には、分岐接続体として継手金具を接続するためのポート孔が設けられている。
例えば、特許文献1には、シリンダチューブとボトム部材とを一体化した油圧シリンダにおいて、シリンダチューブとボトム部材との接合部分の表層部に溶接肉盛部を形成し、溶接肉盛部が凝固した際に生じる絞縮力を溶接部に隣接する部分に加えるシリンダチューブの強化方法について開示されている。これにより、製造コストを増大させることなく、シリンダチューブとボトム部材との溶接部分の疲労強度を向上させることができる。
また、特許文献2には、シリンダチューブのポート孔付近の強度アップを目的として、分岐接続体の接続部分において、ポート孔の内周壁面部に設けた扁平部の幅等をフィレットの最大幅等よりも大きくした接続構造について開示されている。
さらに、特許文献3には、ポート孔としての開口部の形状を、半円形を組み合わせて構成することで、孔周辺への応力集中を回避してシリンダチューブの耐圧寿命を延長している。
特開2000−009107号公報(平成12年1月11日公開) 特開2004−278346号公報(平成16年10月7日公開) 特開2004−067061号公報(平成16年3月4日公開)
しかしながら、上記従来のシリンダチューブでは、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示されたシリンダチューブでは、補強が必要な部分、例えば、シリンダチューブとボトム部材との接合部分やシリンダチューブに形成されたポート孔付近等を直接補強する構成を採用している。
具体的には、接合部分の周辺に溶接肉盛部等を設けたり、ポート孔付近に直接的に補強部分を設けたり、ポート孔として半円形状を組み合わせた形状にしたりする等の対策が採られている。
しかし、これらの構成では、内圧が発生した際のシリンダチューブの変形まで考慮した補強構造になっていないため、変形の程度や形状によってはシリンダチューブのポート孔の内周側における疲労強度を十分に確保できないおそれがある。
ここで、シリンダチューブのポート孔の内周側部分が特に疲労強度に特に大きく影響する理由は、以下の通りである。
すなわち、ポート孔の内外周側の部分を比較すると、ポート孔の外周側の部分についてはグラインダ等で面取り加工する等して応力が集中する部位を除去することができる一方で、内周側の部分については、工具の干渉等によって応力集中部位を除去することが困難である。このため、疲労強度試験を実施した場合には、ポート孔の内周側のエッジを起点とした疲労破壊が生じやすくなってしまう。
本発明の課題は、ポート孔付近を直接補強等することなく、シリンダチューブにおけるポート孔における内周側の疲労強度を向上させることが可能なシリンダチューブおよびこれを備えた油圧シリンダ、シリンダチューブの製造方法を提供することにある。
第1の発明に係るシリンダチューブは、油圧シリンダのシリンダチューブであって、略円筒状の外周壁部と、ポート孔と、剛性変化部と、を備えている。ポート孔は、外周壁部の一部に内部空間に貫通するように形成されている。剛性変化部は、断面視においてポート孔に対して周方向に離間した位置に配置され、断面剛性がポート孔付近よりも大きい。
ここでは、内部まで貫通するポート孔を外周壁部に有する油圧シリンダを構成するシリンダチューブにおいて、断面視においてポート孔から周方向に離間した位置に剛性がポート孔付近より大きい剛性変化部を設けている。
ここで、剛性変化部は、シリンダチューブに内圧が掛かった際にポート孔の内周面側の部分に曲げ応力に起因する圧縮応力を生じさせて内圧による引張応力を緩和させることを目的とし、扁平した断面形状になるように変形させるために設けられている。また、剛性変化部としては、鋼管の肉厚を大きくして剛性を増大させた部分や、逆にポート孔付近の肉厚を小さくして相対的に剛性を増大させた部分等が含まれる。あるいは、剛性変化部は、部分的にヤング率の異なる材料を用いて形成されることで、外周壁部における他の部分と肉厚が均等であってもよい。この場合、例えば、母材に対してヤング率の高い材料を溶接ワイヤとして用いて剛性変化部を形成してもよい。さらに、剛性変化部は、ポート孔に対して、例えば、周方向において左右等間隔に形成されていればよい。また、剛性変化部は、シリンダチューブの外周壁面の長手方向において連続的に形成されていてもよいし、断続的に形成されていてもよい。
これにより、油圧シリンダ内において内圧が発生した際に、シリンダチューブを断面視において所望の扁平形状に変形させることができる。このとき、ポート孔の内周面側の領域には、扁平することにより発生する圧縮応力が作用して、内圧によって発生する引張応力を低減しうる状態となっている。よって、直接的にポート孔付近を補強したり、孔の形状を工夫したりすることなく、内圧発生時に所望の扁平形状への変形を促すことで、ポート孔の内周側において、疲労強度を低下させる要因となる引張応力を緩和することができる。この結果、ポート孔の内周側における亀裂等の発生を防止し、シリンダチューブの疲労強度を向上させることができる。
第2の発明に係るシリンダチューブは、第1の発明に係るシリンダチューブであって、剛性変化部は、外周壁部において外径側に厚みを増大させ、鋼管の長手方向に沿って形成された肉厚部である。
ここでは、外周壁部の一部の肉厚を増すように成形して、肉厚部分を剛性変化部として用いている。
ここで、剛性変化部としての肉厚部は、鋼管の成形時に予め厚く成形してもよいし、均一な肉厚の鋼管を成形した後で肉盛りして肉厚部を形成してもよい。
これにより、シリンダチューブ内に内圧が発生した際に、ポート孔付近における引張応力が緩和されるように所望の扁平形状に変形させることができる。よって、ポート孔付近から亀裂が生じる等の問題の発生を回避することができる。
第3の発明に係るシリンダチューブは、第1の発明に係るシリンダチューブであって、剛性変化部は、外周壁部の外周面に鋼管の長手方向に沿って形成された溶接ビードを含む。
ここでは、シリンダチューブの素材部および溶接時に形成される溶接ビードを、剛性変化部として用いている。
ここで、上記溶接ビードの部分は、例えば、半円状の部材同士を互いに溶接接合する際に形成されるビード部分であってもよいし、断面が円形のシリンダチューブの一部に肉盛りした溶接部分であってもよい。
これにより、溶接工程において形成された溶接ビードをそのまま残すだけで、容易に剛性変化部を設けることができる。なお、内圧発生時に所望の扁平形状に変形させるために、溶接部分はポート孔に対して所望の位置に設定されていればよい。
第4の発明に係るシリンダチューブは、第1から第3の発明のいずれか1つに係るシリンダチューブであって、剛性変化部は、ポート孔に対して、断面視において左右約90度の位置にそれぞれ配置されている。
ここでは、剛性変化部を、ポート孔の位置を基準として周方向に左右約90度ずつの位置にそれぞれ配置している。
これにより、剛性変化部が形成された部分の剛性が高くなるため、ポート孔付近の内周面側の部分には圧縮応力が生じて、亀裂等を発生させる引張応力を緩和することができる。この結果、内圧発生時にシリンダチューブを所望の扁平形状に変形させて、より効果的にポート孔付近における応力を緩和して亀裂等の発生を回避することができる。
第5の発明に係るシリンダチューブは、第1から第4の発明のいずれか1つに係るシリンダチューブであって、剛性変化部は、断面視において滑らかな曲線状に形成されている。
ここでは、剛性変化部の形状として、滑らかな曲線状の形状を採用している。
これにより、内圧発生時におけるシリンダチューブの扁平形状をコントロールしてポート孔付近における亀裂の発生を防止するとともに、剛性変化部を形成した部分においても応力が集中して亀裂等が生じることを回避することができる。
第6の発明に係るシリンダチューブは、第1から第5の発明のいずれか1つに係るシリンダチューブであって、外周壁部は、断面が略半円状の部材を互いに溶接接合して形成される。
ここでは、2つの略半円状の部材を組み合わせて溶接接合することで、シリンダチューブを構成する。
これにより、断面が略半円状の部材同士を溶接した際に形成される溶接ビードをそのまま残すことで、上述した剛性変化部を通常の工程の中で簡単に設けることができる。よって、剛性変化部を形成するための工程を別途追加することなく、設けることができるため、製造工程を簡素化して製造コストを低減することができる。
第7の発明に係るシリンダチューブは、第6の発明に係るシリンダチューブであって、剛性変化部は、断面が略半円状の部材の接合部分に屈曲した状態で形成された段曲げ部である。
ここでは、互いに溶接接合される断面が略半円状の部材の接合部分に、屈曲させた段曲げ部を設けている。
ここで、段曲げ部としては、互いに溶接接合される鋼管の長手方向に沿って、断面が略半円状の部材を合わせた際に平面部分同士が面合わせされるように形成された屈曲部分等が含まれる。
これにより、断面が略半円状の部材を組み合わせて構成されるシリンダチューブにおいて、剛性変化部を容易に設けることができるとともに、例えば、段曲げ部において溶接時における開先部分を設けて、より強固に溶接接合を行うことができる。
第8の発明に係るシリンダチューブは、第1または第2の発明に係るシリンダチューブであって、外周壁部は、引き抜き成形された鋼管によって形成される。
ここでは、シリンダチューブの外周壁部を、引き抜きによって成形された鋼管によって形成している。
これにより、鋼管の外周壁面における所定の位置に、溶接ワイヤ等を肉盛りして溶接ビード(剛性変化部)を形成することで、疲労強度に優れたシリンダチューブを得ることができる。
第9の発明に係るシリンダチューブは、第8の発明に係るシリンダチューブであって、剛性変化部は、鋼管の長手方向において断続的に形成されている。
ここでは、溶接ビード等の剛性変化部を、鋼管の長手方向に沿って断続的に設けている。
これにより、鋼管の長手方向に沿って連続的に形成されていなくても、例えば、ポート孔に対応する位置に剛性変化部が設けられているだけで、上述した疲労強度に優れたシリンダチューブを得ることができる。
第10の発明に係るシリンダチューブは、第8または第9の発明に係るシリンダチューブであって、剛性変化部は、ポート孔に対して、断面視において左右約90度の位置にそれぞれ配置されている。
ここでは、剛性変化部を、ポート孔の位置を基準として周方向に左右約90度ずつの位置にそれぞれ配置している。
これにより、剛性変化部が形成された部分の剛性が高くなるため、内圧が発生した際にポート孔付近の内周面側の部分には圧縮応力が生じて、亀裂等を発生させる引張応力を緩和することができる。この結果、内圧発生時にシリンダチューブを所望の扁平形状に変形させて、より効果的にポート孔付近における応力を緩和して亀裂等の発生を回避することができる。
第11の発明に係るシリンダチューブは、第8または第9の発明に係るシリンダチューブであって、剛性変化部は、断面視において滑らかな曲線状に形成されている。
ここでは、剛性変化部の形状として、滑らかな曲線状の形状を採用している。
これにより、内圧発生時におけるシリンダチューブの扁平形状をコントロールしてポート孔付近における亀裂の発生を防止するとともに、剛性変化部を形成した部分においても応力が集中して亀裂等が生じることを回避することができる。
第12および第13の発明に係る油圧シリンダは、第1から第11の発明のいずれか1つに係るシリンダチューブと、シリンダチューブの一端に溶接によって固定されるボトム部材と、を備えている。
これにより、上述したように、シリンダチューブの疲労強度が向上した油圧シリンダを提供することができる。
第14の発明に係るシリンダチューブの製造方法は、ポート孔を有する油圧シリンダのシリンダチューブの製造方法であって、以下のステップを備えている。第1のステップは、平面状の板材を断面が略半円状の部材に成形する。第2のステップは、略半円状の部材を2つ合わせてパイプ状の部材になるように配置する。第3のステップは、パイプ状に配置された断面が略半円状の部材同士を溶接接合する。第4のステップは、略半円状の部材における溶接接合された部分から周方向に離間した位置にポート孔を形成する。
なお、上記ポート孔を形成するステップについては、他のステップの間に実施されてもよく、その順番は問わない。
ここでは、油圧シリンダのシリンダチューブを成形することを目的として、まず平面状の板材を曲げて断面が略半円状の部材を成形する。次に、断面が略半円状の部材を組み合わせてパイプ状にし、互いに溶接接合する。そして、パイプ状の部材における溶接接合された部分から周方向に離間した位置にポート孔を形成する。
これにより、断面が略半円状の部材を溶接接合した際に溶接部分には溶接ビードが形成される。この溶接ビードをそのまま残し、剛性変化部として用いることで、内圧が発生した際に所望の扁平形状への変形を促すことができる。この結果、製造物としてのシリンダチューブのポート孔付近における応力を緩和して、疲労強度を向上させることができる。
第15の発明に係るシリンダチューブの製造方法は、ポート孔を有する油圧シリンダのシリンダチューブの製造方法であって、以下のステップを備えている。第1のステップは、鋼管を引き抜き成形する。第2のステップは、鋼管における所定の位置に剛性変化部を形成する。第3のステップは、鋼管の外周面における剛性変化部から周方向に離間した位置にポート孔を形成する。
なお、上記ポート孔を形成するステップについては、他のステップの間に実施されてもよく、順番は問わない。
ここでは、油圧シリンダのシリンダチューブを成形することを目的として、まず引き抜きによって鋼管を成形する。次に、鋼管の外周面における所定の位置に、溶接ビード等の剛性変化部を設け、この剛性変化部から周方向に離間した位置にポート孔を形成する。
これにより、鋼管の外周面に溶接ビード等を設けて剛性変化部とすることで、内圧が発生した際に、シリンダチューブを所望の扁平形状への変形を促すことができる。この結果、製造物としてのシリンダチューブのポート孔付近における応力を緩和して、疲労強度を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るシリンダチューブを含む油圧シリンダの構成を示す断面図。 図1の油圧シリンダに含まれるシリンダチューブの構成を示す斜視図。 (a)は、半円部材同士を合わせて開先部分を形成した状態を示すシリンダチューブの断面図。(b)は、(a)の状態から開先部分を溶接して溶接ビードを形成した状態を示すシリンダチューブの断面図。 (a)は、従来の真円状のシリンダチューブに内圧をかけた際の変形を示す断面図。(b)は、図2のシリンダチューブに内圧をかけた際の扁平状態を示す断面図。 (a)〜(e)は、シリンダチューブの製造工程を示す斜視図。 (a)〜(c)は、プレス加工機を用いて鋼板から半円部材を成形する工程を示す説明図。 (a),(b)は、図6の半円部材を成形する際のより詳細な工程を示す説明図。 図5等に示すシリンダチューブの製造工程の流れを示すフローチャート。 (a)〜(c)は、シリンダチューブにおけるポート孔付近の圧力分布を示す説明図。 (a),(b)は、本発明の他の実施形態に係るシリンダチューブの構成を示す斜視図。 (a)〜(c)は、発明のさらに他の実施形態に係るシリンダチューブの製造工程を示す斜視図。 図11(c)に示すシリンダチューブの製造工程の流れを示すフローチャート。 (a),(b)は、本発明のさらに他の実施形態に係るシリンダチューブの構成を示す斜視図。
(実施形態1)
本発明の一実施形態に係るシリンダチューブ11を含む油圧シリンダ10について、図1〜図8を用いて説明すれば以下の通りである。
[油圧シリンダ10の構成]
本実施形態に係る油圧シリンダ10は、図1に示すように、シリンダチューブ11、シリンダボトム(ボトム部材)12、分岐配管13a,13b、シリンダロッド14、ピストン15およびシリンダヘッド16を備えている。
シリンダチューブ11は、円筒状の鋼管であって、内部まで貫通するポート孔11a,11bを外周面(外周壁部)に有している。また、シリンダチューブ11は、両端の開口部分をシリンダボトム12およびシリンダロッド14等によって塞がれている。なお、このシリンダチューブ11の詳細な構成および製造方法については、後段にて詳述する。
シリンダボトム12は、シリンダチューブ11の一端に対して溶接によって一体化されている。
分岐配管13a,13bは、シリンダチューブ11と同じ鋼材によって形成されており、ポート孔11a,11bに対してそれぞれ接続されている。
シリンダロッド14は、シリンダチューブ11に収容される側の一端に、ピストン15を有している。
ピストン15は、シリンダヘッド16を貫通するシリンダロッド14の一端に固着されており、シリンダチューブ11の内部に往復摺動可能な状態で収容されている。
[シリンダチューブ11の構成]
シリンダチューブ11は、図2に示すように、外周面における長手方向に沿って、上述した分岐配管13a,13bが取り付けられるポート孔11a,11bを有している。そして、シリンダチューブ11は、略半円状の半円部材(外周壁部)21a,21bを組み合わせて略円筒形状に構成されている。
なお、シリンダチューブ11としては、長さ600mm、外径80mm、厚み6.0mmの鋼管を、鋼板を用いて成形している。
半円部材21a,21bは、図3(a)に示すように、断面が略半円形状とされた状態で両端部同士を合わせるようにして溶接接合される。半円部材21a,21bは、鋼板(JIS G3106 SM570)21aa,21baをプレス加工することによって断面が略半円状に成形される(図5(a)および図5(b)参照)。図3(a)に示すように、半円部材21a,21b同士を合わせると、接合部分Xに開先部(開先角度5度)が形成される。溶接時には、この開先部に沿ってプラズマ溶接を行うことで、図3(b)に示すように、接合部分に沿って溶接ビード(剛性変化部、肉厚部)22a,22bが形成される。
溶接ビード22a,22bは、開先が形成される接合部分Xに沿って、半円部材21a,21bの鋼管の厚みよりも厚くなるように肉盛りされている。また、溶接ビード22a,22bが形成された部分は、シリンダチューブ11の断面視において、断面剛性が部分的に向上している。溶接ビード22a,22bは、断面視において、ポート孔11a,11bに対して離間した位置であって、ポート孔11a,11bから周方向にほぼ90度の位置にそれぞれ配置される。
次に、このシリンダチューブ11に内圧を付与した場合のシリンダチューブの変形について、従来のシリンダチューブ91との比較を用いて説明すれば、以下の通りである。
すなわち、図4(a)に示すように、従来のシリンダチューブ91はほぼ真円形状であって、そこに26MPaの内圧を付与する(図中矢印参照)と、点線の形状91xが実線の形状まで均一に膨張する。このため、ポート孔91a,91bが形成された内周側の領域には、発生する引張応力によって亀裂等が発生するおそれがある。
これに対して、本実施形態のシリンダチューブ11は、図4(b)に示すように、ほぼ真円に近い点線の形状11xから、内圧を付加した場合には、実線として示す扁平形状に変形する。このとき、シリンダチューブ11は、断面視において断面剛性が大きい溶接ビード22a,22bの部分が変形しにくい。このため、シリンダチューブ11全体としては、溶接ビード22a,22bに対して周方向に約90度の位置に形成されたポート孔11a,11bの部分が大きく屈曲した扁平形状となる。
ここで、シリンダチューブ11(図9(a)参照)のポート孔11a,11b付近における断面応力分布を図9(b)および図9(c)に模式的に示す。図9(b)の応力分布は、剛性変化部がなく、周方向に均等な肉厚を有する場合である。内圧がシリンダチューブ11に作用した場合、全域にわたって周方向に引張応力が発生する。図9(c)の応力分布は、本実施形態の溶接ビード(剛性変化部)22a,22bを設けた場合である。この2つの溶接ビード(剛性変化部)22a,22bを有する場合、内圧がかかるとシリンダチューブ11が均一に膨らもうとすることによって生じる引張り応力と、扁平形状に変形することによって生じる曲げ応力とが重ね合わされた断面応力分布となる。図9(c)については、便宜的に、断面応力分布を各状態に分解して説明する。
(1)は、円周状に均一に変形したときに作用する引張応力である。(2)は扁平形状に変形したときに作用する曲げ応力である。具体的には、シリンダチューブ11の外周側は引張応力となり、内側に向かって引張応力が小さくなり、圧縮応力場に逆転して、内周においては、圧縮応力状態となる。(3)は、(1)と(2)の応力状態を重ね合わせた状態であり、これが、本実施形態において、内圧が作用した時のシリンダチューブ11の断面応力状態となる。つまり、図9(b)のシリンダチューブの応力状態に対して扁平形状に変形した時に作用する曲げ応力が寄与することにより、シリンダチューブ11における内周側の引張応力は低減される。換言すれば、ポート孔11a,11bの内周側の部分は、曲げ応力に起因する圧縮応力が生じて引張応力緩和部位となる。
なお、図9(c)では、シリンダチューブ11におけるポート孔11a,11bの外周部分における引張応力が増大している。しかし、上段にて説明したように、シリンダチューブ11の外周部分については、グラインダ等で面取り加工する等して応力が集中する部位を除去することができる。このため、疲労強度の抑制には、図9(c)に示すように、ポート孔11a,11bの内周部分における引張応力を低減することが特に重要である。
この結果、シリンダチューブ11におけるポート孔11a,11bの内周側の部分において生じる引張応力を緩和して、亀裂等の発生を効果的に防止することができる。
<シリンダチューブ11の製造方法>
ここで、上述したシリンダチューブ11の製造方法について、図5(a)〜図7(b)および図8のフローチャートを用いて説明すれば以下の通りである。
ステップS1では、図5(a)および図6(a)に示すように、JIS G3106 SM570を材料とする鋼板21aa,21baを2枚用意する。
ステップS2では、図5(b)および図6(b)に示すように、プレス加工機50の上型51aと下型51bとの間に鋼板21aa,21baをセットして、プレス加工によって断面が略半円形状の半円部材21a,21bを成形する。
なお、このとき成形される半円部材21a,21bは、プレス加工機50内における曲面部分の曲率ρ1が、金型解放後にはスプリングバックによって曲率ρ2に減少する。このようなスプリングバックによる曲率の減少を最小限に抑えるために、図7(a)に示すプレス加工時には、図7(b)に示すように、鋼板(ワーク)21aa,21baの端部を押圧する。これにより、金型解放時における半円部材21a,21bのスプリングバックを効果的に防止することができる。
ステップS3では、図5(c)に示すように、半円部材21a,21bを上下から合わせて1つの鋼管になるように、半円部材21a,21bをセットする。このとき、接合部分Xには、開先部が形成される。
ステップS4では、図5(d)に示すように、半円部材21a,21bを合わせた状態で、上述した接合部分Xの開先部に沿って、プラズマ溶接を実施して肉盛りしながら溶接ビード22a,22bを形成する。
ここで、半円部材21a,21b同士を溶接接合してシリンダチューブ11を形成する際の溶接条件としては以下の通りである。
電流値 :200A
溶接速度 :20cm/min
ワイヤ :φ1.2mm
ワイヤ送り量 :1.5m/min
パイロットガス:Arに7%H2ガスを混合(流量:2.0l/min)
シールドガス :Ar:10l/min
スタンドオフ(ワークとトーチの電極との距離):3.5mm
最後に、ステップS5では、半円部材21a側における溶接ビード22a,22bからそれぞれ周方向約90度の位置に、ポート孔11a,11bを形成する。これにより、鋼管外周面においてポート孔11a,11bから離間した左右均等な位置に、剛性変化部としての溶接ビード22a,22bを設けることができる。
[シリンダチューブ11の特徴]
(1)
本実施形態のシリンダチューブ11では、図3(b)に示すように、外周面に形成されたポート孔11a,11bに対して、断面視においてポート孔11a,11bから離間した位置に、断面剛性を変化させる剛性変化部としての溶接ビード22a,22bを設けている。
これにより、シリンダチューブ11内に内圧が発生した際には、断面を扁平形状に積極的に変形させることができる。これにより、ポート孔11a,11bの内周部分では、引張応力を低減することができる。よって、内圧がかかった際に最も亀裂等が生じやすいポート孔11a,11b付近を直接的に補強等することなく、剛性変化部を設けて内圧発生時における扁平形状の変形を制御することで、ポート孔11a,11bの内周部分を間接的に補強することができる。この結果、効果的にシリンダチューブ11の疲労強度を向上させることができる。
(2)
本実施形態のシリンダチューブ11は、図2等に示すように、半円部材21a,21bを互いに溶接接合して形成されている。
これにより、ポート孔11a,11bに対して周方向にほぼ90度の位置に溶接ビード22a,22bを設けてそのまま残すことで、断面視における剛性を変化させることができる。この結果、ポート孔11a,11bの内周部において生じる応力分布が引張応力を小さくする状態でシリンダチューブ11を形成することができる。
(3)
本実施形態のシリンダチューブ11では、図3(b)に示すように、溶接ビード22a,22bを設けることで、鋼管の肉厚よりも外径側に厚みが増大した肉厚部を剛性変化部として用いている。
これにより、シリンダチューブ11内に内圧が生じた場合でも、ポート孔11a,11b付近の応力が緩和されるように、断面を扁平形状に変形させることができる。この結果、ポート孔11a,11bの内周側に大きな引張応力が発生して亀裂等が生じることを防止して、シリンダチューブ11の疲労強度を向上させることができる。
(4)
本実施形態のシリンダチューブ11では、図3(b)等に示すように、溶接作業によって形成された溶接ビード22a,22bをそのまま残すことで、剛性変化部として用いている。
これにより、剛性変化部を設けるために別工程を追加することなく、製造工程を効率化することができる。
(5)
本実施形態のシリンダチューブ11では、図3(b)に示すように、剛性変化部としての溶接ビード22a,22bが、シリンダチューブ11の外周面に対して滑らかな曲線を介して接合されている。
これにより、例えば、内圧が生じた場合や外力が加えられた場合等において、溶接ビード22a,22bとシリンダチューブ11の外周面との間に応力が集中して亀裂等が生じることを回避することができる。
(6)
本実施形態のシリンダチューブ11では、図3(b)等に示すように、剛性変化部としての溶接ビード22a,22bが、断面視において、ポート孔11a,11bに対してほぼ90度の角度でそれぞれ配置されている。
これにより、ポート孔11a,11bの内周部に圧縮応力を生じさせるように、内圧が発生した際の断面形状を扁平化させることができる。この結果、ポート孔11a,11b付近における亀裂の発生を防止して、シリンダチューブ11の疲労強度を向上させることができる。
(7)
本実施形態の油圧シリンダ10は、図1に示すように、上述したシリンダチューブ11と、シリンダボトム12と、を備えている。
これにより、上述したシリンダチューブ11の疲労強度を向上させた油圧シリンダ10を得ることができる。
(8)
本実施形態のシリンダチューブ11の製造方法は、図8に示すように、平面状の鋼板21aa,21baを半円部材21a,21bにプレス成形するステップと、半円部材21a,21bを合わせて円筒状のパイプ部材とするステップと、パイプ状の状態で半円部材21a,21b同士を溶接接合するステップと、半円部材21aの外周面における所定の位置にポート孔11a,11bを形成するステップと、を備えている。
これにより、半円部材21a,21bを合わせて溶接した際に形成される溶接ビード22a,22bをそのまま残すだけで、断面剛性を一部変化させる剛性変化部として用いることができる。この結果、内圧が発生した状態で、ポート孔11a,11bの内周部において引張応力を低減する扁平形状に変化させることで、疲労強度が向上したシリンダチューブ11を得ることができる。
(実施形態2)
本発明の他の実施形態に係るシリンダチューブ311について、図11(a)〜図11(c)および図12を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、本実施形態のシリンダチューブ311では、引き抜きによって成形された鋼管(外周壁部)321を用いて、鋼管321の外周面に溶接ビード322a,322bを肉盛りして剛性変化部を設けた点で、半円部材21a,21bを組み合わせて鋼管321を成形した上記実施形態1と異なっているが、その他の点については上記実施形態1と同様である。
[シリンダチューブ311の構成]
シリンダチューブ311は、図11(c)に示すように、鋼管321における所定の位置にポート孔311a,311bを備えている。そして、鋼管321の外周面におけるポート孔311a,311bに対して約90度の位置に、溶接ビード322a,322bが設けられている。
<シリンダチューブ311の製造方法>
次に、シリンダチューブ311の製造方法について、説明すれば以下の通りである。
ステップS11では、図11(a)に示すように、引き抜き成形された鋼管321を用意する。
次に、ステップS12では、図11(b)に示すように、鋼管321の外周面に肉盛りして溶接ビード322a,322bを形成する。ここで、溶接ビード322a,322bを形成する位置としては、後の工程(ステップS13)において形成されるポート孔311a,311bに対して外周面に沿って左右にそれぞれ約90度の位置であることが好ましい。
最後に、ステップS13では、図11(c)に示すように、鋼管321の外周面における溶接ビード322a,322bから約90度の位置に、ポート孔311a,311bを形成する。
これにより、上記実施形態1のシリンダチューブ11と同様に、シリンダチューブ311内に内圧が発生した際には、断面を扁平形状に積極的に変形させることができる。このとき、ポート孔311a,311bの内周部分では、曲げに起因する圧縮応力が生じて引張応力を低減することができる。よって、ポート孔311a,311b付近を直接的に補強等することなく、剛性変化部を設けて内圧発生時における扁平形状の変形を制御することで、効果的にシリンダチューブ311の疲労強度を向上させることができる。
つまり、上記実施形態1のように半円部材21a,21bを互いに溶接接合する際に形成される溶接ビード22a,22bをそのまま用いるのではなく、引き抜き等で成形された鋼管321の外周面における所定の位置に、溶接ワイヤを溶融させて肉盛り部分(溶接ビード322a,322b)を形成することで、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態のシリンダチューブ11の製造方法は、図12に示すように、鋼管321を引き抜き成形するステップ(ステップS11)と、鋼管321の外周面に肉盛り部を形成するステップ(ステップS12)と、鋼管321の外周面における所定の位置にポート孔311a,311bを形成するステップ(ステップS13)と、を備えている。
これにより、鋼管321の外周面に肉盛りされた溶接ビード322a,322bを、断面剛性を一部変化させる剛性変化部として用いることができる。この結果、内圧が発生した状態で、ポート孔311a,311bの内周部において引張応力を低減する扁平形状に積極的に変化させることで、疲労強度が向上したシリンダチューブ311を得ることができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、シリンダチューブ11の断面を扁平形状に変形させるために設けられる剛性変化部として、溶接接合時に形成される溶接ビード22a,22bをそのまま用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図9(a)に示すように、半円部材(外周壁部)121a,121bの一端側に段曲げ部121aa,121baを設けたシリンダチューブ111であってもよい。この場合には、段曲げ部121aa,121baと他端側とを合わせて溶接接合することで、段曲げ部121aa,121baを含む溶接部分を剛性変化部として用いることができる。
また、図9(b)に示すように、半円部材(外周壁部)221a,221bの両端に段曲げ部221aa,221baを設けたシリンダチューブ211であってもよい。この場合には、段曲げ部221aa,221ba同士を合わせて接合部分に開先部を形成して溶接接合することで、段曲げ部221aa,221baを含む溶接部分を剛性変化部として用いることができる。
(B)
上記実施形態では、内圧発生時にポート孔11a,11bの内周部の引張応力が低減されるような扁平形状に変形させる弾性変化部として、断面剛性が他の部分よりも大きい溶接ビード22a,22bを用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、鋼管の成形時において、ポート孔付近の肉厚を、他の部分に対して薄肉化して、ポート孔の内周部の引張応力が低減されるような構成であってもよい。つまり、ポート孔から離間した部分の肉厚を増すのではなく、ポート孔付近の肉厚を薄くして、他の部分よりも断面剛性が低い状態とする。
この場合でも、上記実施形態と同様に、内圧発生時にポート孔の内周部の引張応力が低減されるような扁平形状に変形させて、亀裂の発生を防止することで、疲労強度を向上させたシリンダチューブを得ることができる。
(C)
上記実施形態では、シリンダチューブ11を、2つの半円部材21a,21bを組み合わせて構成した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、鋼管成形時に、断面視においてポート孔から離間した位置に厚みが大きい剛性変化部を形成してもよい。
この場合でも、内圧発生時における扁平形状への変形をコントロールして、疲労強度が向上したシリンダチューブを得ることができる。
(D)
上記実施形態では、シリンダチューブ11を構成する半円部材21a,21bを、鋼板21aa,21baのプレス加工によって成形する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、半円部材を金型成形によって成形してもよい。
ただし、製造コスト等を考慮すれば、平板のプレス加工を採用することが好ましい。
(E)
上記実施形態では、断面視において、ポート孔11a,11bに対して左右均等に配置された2つの溶接ビード22a,22bを剛性変化部として用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、剛性変化部として、断面視において1箇所だけ設け、内圧発生時に所望の扁平形状になるように変形させてもよい。あるいは、3箇所以上剛性変化部を設けて、所望の扁平形状に変形させてもよい。
(F)
上記実施形態では、半円部材21a,21bを組み合わせて、シリンダチューブ11を構成した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、3つ以上の部材を組み合わせてシリンダチューブを形成してもよい。
あるいは、上記実施形態2のように、引き抜き等で成形された鋼管321を用いて、本発明に係るシリンダチューブ311を構成してもよい。
(G)
上記実施形態では、鋼管の長手方向に沿って剛性変化部としての溶接ビード22a,22bおよび溶接ビード322a,322b等が形成されたシリンダチューブ11,111,211,311を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図13(a)および図13(b)に示すように、引き抜き等で成形された鋼管(外周壁部)421,521の長手方向において断続的に形成された溶接ビード422a,422b,522a,522b等を用いて剛性変化部としてもよい。
この場合には、鋼管421,521の長手方向において断続的に形成される溶接ビード422a,422b,522a,522bの位置としては、ポート孔411a,411b,511a,511bに対してそれぞれ周方向左右に約90度の位置に少なくとも形成されていることが好ましい。
これにより、内圧発生時におけるシリンダチューブ411,511の形状を積極的に扁平形状へ変形させて、ポート孔411a,411b,511a,511bの内周部分における引張応力を低減させることができる。この結果、疲労強度を向上させたシリンダチューブ411,511を得ることができる。
本発明のシリンダチューブは、直接的にポート孔付近を補強したり、穴の形状を工夫したりすることなく、内圧発生時に所望の扁平形状への変形を促すことで、ポート孔付近における応力を緩和して亀裂等の発生を低減し、シリンダチューブの疲労強度を向上させることができるという効果を奏することから、各種装置に搭載される油圧シリンダに対して広く適用可能である。
10 油圧シリンダ
11,11x シリンダチューブ
11a,11b ポート孔
12 シリンダボトム(ボトム部材)
13a,13b 分岐配管
14 シリンダロッド
15 ピストン
16 シリンダヘッド
21a,21b 半円部材(外周壁部、略半円状の部材)
21aa,21ba 鋼板
22a,22b 溶接ビード(剛性変化部、肉厚部)
50 プレス加工機
51a 上型
51b 下型
111 シリンダチューブ
121a,121b 半円部材(外周壁部、略半円状の部材)
121aa,121ba 段曲げ部(剛性変化部、肉厚部)
211 シリンダチューブ
221a,221b 半円部材(略半円状の部材)
221aa,221ba 段曲げ部(剛性変化部、肉厚部)
311 シリンダチューブ
311a,311b ポート孔
321 鋼管(外周壁部)
322a,322b 溶接ビード(剛性変化部、肉厚部)
411 シリンダチューブ
411a,411b ポート孔
421 鋼管(外周壁部)
422a,422b 溶接ビード(剛性変化部、肉厚部)
511 シリンダチューブ
511a,511b ポート孔
521 鋼管(外周壁部)
522a,522b 溶接ビード(剛性変化部、肉厚部)
X 接合部分

Claims (15)

  1. 油圧シリンダのシリンダチューブであって、
    略円筒状の外周壁部と、
    前記外周壁部の一部に内部空間に貫通するように形成されたポート孔と、
    断面視において前記ポート孔に対して周方向に離間した位置に配置され、断面剛性が前記ポート孔付近よりも大きい剛性変化部と、
    を備えているシリンダチューブ。
  2. 前記剛性変化部は、前記外周壁部において外径側に厚みを増大させ、前記鋼管の長手方向に沿って形成された肉厚部である、
    請求項1に記載のシリンダチューブ。
  3. 前記剛性変化部は、前記外周壁部の外周面に前記鋼管の長手方向に沿って形成された溶接ビードを含む、
    請求項1に記載のシリンダチューブ。
  4. 前記剛性変化部は、前記ポート孔に対して、断面視において周方向に左右約90度の位置にそれぞれ配置されている、
    請求項1または2に記載のシリンダチューブ。
  5. 前記剛性変化部は、断面視において滑らかな曲線状に形成されている、
    請求項1または2に記載のシリンダチューブ。
  6. 前記外周壁部は、断面が略半円状の部材を互いに溶接接合して形成される、
    請求項1または2に記載のシリンダチューブ。
  7. 前記剛性変化部は、前記断面が略半円状の部材の接合部分に屈曲した状態で形成された段曲げ部である、
    請求項6に記載のシリンダチューブ。
  8. 前記外周壁部は、引き抜き成形された鋼管によって形成される、
    請求項1または2に記載のシリンダチューブ。
  9. 前記剛性変化部は、前記鋼管の長手方向において断続的に形成されている、
    請求項8に記載のシリンダチューブ。
  10. 前記剛性変化部は、前記ポート孔に対して、断面視において周方向に左右約90度の位置にそれぞれ配置されている、
    請求項8に記載のシリンダチューブ。
  11. 前記剛性変化部は、断面視において滑らかな曲線状に形成されている、
    請求項8に記載のシリンダチューブ。
  12. 請求項1または2に記載のシリンダチューブと、
    前記シリンダチューブの一端に溶接によって固定されるボトム部材と、
    を備えている油圧シリンダ。
  13. 請求項8に記載のシリンダチューブと、
    前記シリンダチューブの一端に溶接によって固定されるボトム部材と、
    を備えている油圧シリンダ。
  14. ポート孔を有する油圧シリンダのシリンダチューブの製造方法であって、
    平面状の板材を断面が略半円状の部材に成形するステップと、
    前記断面が略半円状の部材を2つ合わせてパイプ状の部材になるように配置するステップと、
    前記パイプ状に配置された前記断面が略半円状の部材同士を溶接接合するステップと、
    前記略半円状の部材における溶接接合された部分から周方向に離間した位置にポート孔を形成するステップと、
    を備えているシリンダチューブの製造方法。
  15. ポート孔を有する油圧シリンダのシリンダチューブの製造方法であって、
    鋼管を引き抜き成形するステップと、
    前記鋼管における所定の位置に剛性変化部を形成するステップと、
    前記鋼管の外周面における前記剛性変化部から周方向に離間した位置にポート孔を形成するステップと、
    を備えているシリンダチューブの製造方法。
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