JPWO2010029697A1 - 撮像装置 - Google Patents

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Abstract

カメラ本体(3)は、筐体(3a)と、撮像センサ(11)と、ボディーマウント(4)と、を備えている。ボディーマウント(4)は、筐体(3a)に固定されており、アダプタ(120)が装着可能な部分である。ボディーマウント(4)は、撮像センサ(11)の受光面(11a)からフランジバック(Xa)だけ離れた位置に配置されている。交換レンズユニット(202)のレンズバック(Xb)がフランジバック(Xa)よりも長い。フランジバック(Xa)がレンズバック(Xb)からアダプタ長さ(Xs)を差し引いた長さよりも短い。

Description

技術分野は、交換レンズ式の撮像装置に用いられるカメラ本体に関する。
近年、デジタルカメラなどの撮像装置が急速に普及している。デジタルカメラとして、デジタル一眼レフカメラが知られている。このデジタル一眼レフカメラでは、光学ファインダを用いて被写体を観察する場合、光学系に入射した光(すなわち被写体像)が光路上に配置されたクイックリターンミラーにより反射され、ファインダ光学系に導かれる。この結果、ペンタプリズム等を介して被写体像が正立像に変換され、光学ファインダに導かれる。これにより、撮影者は光学系により形成された被写体像を光学ファインダから観察することができる。
一方、光学系を撮影用として使用する場合は、クイックリターンミラーが撮影用光路から待避する。この結果、ファインダ用光路が撮影用光路に切り換えられ、撮影が終了するとクイックリターンミラーは定位置に瞬時に戻る。この方式は、一眼レフ方式であれば、従来の銀塩カメラでも、デジタルカメラでも同様である。
しかし、光学ファインダを用いての撮影は、デジタルカメラの撮影に不慣れな初心者にとっては、非常に使いにくい。
そこで、撮影時に液晶モニタにより被写体を観察できるモニタ撮影モード(いわゆる、ライブビュー撮影モード)を有する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2001−125173号公報
従来のデジタル一眼レフカメラは、クイックリターンミラーを有しているため、交換レンズユニットが装着されるカメラ本体のフランジバックが長くなる。フランジバックが長くなると、光学系が搭載された交換レンズユニットのサイズも大きくなるため、従来のデジタル一眼レフカメラは小型化が困難である。
そこで、クイックリターンミラーを使用しないデジタルカメラが検討されている。このデジタルカメラでは、クイックリターンミラーのためのスペースを設ける必要がないため、カメラ本体のフランジバックを短くすることができ、この結果、カメラ本体の小型化が可能となる。
しかし、カメラ本体のフランジバックが短くなると、クイックリターンミラーを有するフランジバックの長い従来のカメラ本体に対応した交換レンズユニットとの互換性が確保できなくなる。つまり、フランジバックを短くしたカメラ本体で、過去に購入した交換レンズユニットの活用を図ることができない場合がある。
そこで、交換レンズユニットとカメラ本体との互換性を確保するために、アダプタを用いることが考えられる。
しかし、例えば、カメラ本体で採用されているオートフォーカス方式がコントラスト検出方式である場合、AF評価値の極大値を検出するためにフォーカスレンズを光軸方向に余分に移動させる必要がある。過去の交換レンズユニットは、コントラスト検出方式への対応を想定しておらず、フォーカスレンズの可動範囲に余裕範囲が設けられていないことが多い。したがって、フォーカスレンズの動作をコントラスト検出方式にて制御したとしても、装着される交換レンズユニットによっては、フォーカスレンズが機械的に移動できない領域ができてしまい、この結果、オートフォーカスを行えないおそれがある。
このように、カメラ本体の小型化を図ると、過去に購入した交換レンズユニットを活用できなくなるおそれがある。
ここに開示された技術であれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができるカメラ本体および撮像装置を提供することができる。
さらに、ここに開示された技術であれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットおよびカメラ本体の互換性を確保できるアダプタを提供することができる。
ここに開示されたカメラ本体は、交換レンズユニットがアダプタを介して装着可能である。このカメラ本体は、筐体と、撮像素子と、マウント部と、を備えている。撮像素子は、筐体に収容されており、被写体の画像信号を取得する。マウント部は、筐体に固定されており、アダプタが装着可能な部分である。マウント部は、撮像素子の受光面からフランジバックだけ離れた位置に配置されている。交換レンズユニットのレンズバックはフランジバックよりも長い。フランジバックは、レンズバックからアダプタの光軸方向の長さであるアダプタ長さを差し引いた長さよりも短い。
このカメラ本体では、フランジバックが交換レンズユニットのレンズバックよりも短いため、この交換レンズユニットと同じ規格に準拠しているカメラ本体に比べて、小型化を図ることができる。
さらに、フランジバックがレンズバックからアダプタ長さを差し引いた長さよりも短い。言い換えると、アダプタ長さが、レンズバックからフランジバックを差し引いた基準長さよりも短い。このため、交換レンズユニットがアダプタを介してカメラ本体に装着された場合に、交換レンズユニットをカメラ本体に対して、より近くに配置することができる。これにより、例えば、交換レンズユニットのフォーカスレンズの可動範囲に、コントラスト検出方式のための余裕範囲を確保することができる。つまり、余裕範囲を有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
以上より、このカメラ本体およびこのカメラ本体を備えた撮像装置では、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
ここに開示されたアダプタは、レンズバックを有する交換レンズユニットとフランジバックを有するカメラ本体とを接続可能である。このアダプタは、第1マウント部と、第2マウント部と、を備えている。第1マウント部はカメラ本体に装着可能である。第2マウント部は、交換レンズユニットに装着可能であり、第1マウント部からアダプタ長さだけ離れた位置に配置されている。フランジバックはレンズバックよりも短い。アダプタ長さは、レンズバックからフランジバックを差し引いた基準長さよりも短い。
このアダプタでは、アダプタ長さがレンズバックからフランジバックを差し引いた基準長さよりも短い。このため、交換レンズユニットがアダプタを介してカメラ本体に装着された場合に、交換レンズユニットの位置がカメラ本体に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、例えば、交換レンズユニットのフォーカスレンズユニットの可動範囲に、コントラスト検出方式のための余裕範囲を確保することができる。つまり、余裕範囲を有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
以上より、このアダプタでは、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができる。
また、ここに開示された別のカメラ本体は、外部ユニットを装着可能である。このカメラ本体は、外部ユニットを装着するためのボディーマウントと、ボディーマウントに装着される外部ユニットに応じて外部ユニットに含まれるフォーカスレンズの位置情報を補正する補正部と、を備えている。
このカメラ本体では、外部ユニットがボディーマウントに装着されると、外部ユニットに応じてフォーカスレンズの位置情報が補正部により補正される。したがって、カメラ本体と異なる規格の外部ユニットが装着されても、フォーカスレンズの位置情報をカメラ本体に対応させることができ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができる。
デジタルカメラの概略構成図 カメラ本体の構成を示すブロック図 デジタルカメラの概略斜視図 (A)カメラ本体の上面図、(B)カメラ本体の背面図 交換レンズユニットの断面図(広角端) 交換レンズユニットの断面図(広角端) 交換レンズユニットの断面図(望遠端) 交換レンズユニットの断面図(望遠端) 第2レンズ群ユニットおよびフォーカスレンズユニットの分解斜視図 第2レンズ群ユニットおよびフォーカスレンズユニットの分解斜視図 フォーカスレンズユニットの部分斜視図 (A)光学系の構成図(広角端)、(B)光学系の構成図(望遠端) ズームリングの回転角度と各部材の撮像センサからの距離との関係を示すグラフ ズームレンズ系を実現するためのトラッキングテーブル (A)、(B)デジタルカメラの概略図 デジタルカメラの概略図 (A)〜(D)コントラストAFでのフォーカスレンズユニットの動作 デジタルカメラの概略図 デジタルカメラの概略構成図 位置情報の補正処理の説明図 トラッキングテーブルの補正処理の説明図 可動範囲の補正処理の説明図 可動範囲の補正処理の説明図 可動範囲の補正処理の説明図 可動範囲の補正処理の説明図 補正判定処理のフローチャート 補正判定処理のフローチャート
[第1実施形態]
<デジタルカメラの概要>
図1〜図13を用いて、デジタルカメラ1について説明する。図1はデジタルカメラ1の概略構成図である。図1に示すように、デジタルカメラ1(撮像装置の一例)は、交換レンズ式のデジタルカメラであり、主に、カメラ本体3と、カメラ本体3に取り外し可能に装着された交換レンズユニット2と、を備えている。交換レンズユニット2は、レンズマウント95を介して、カメラ本体3の前面に設けられたボディーマウント4に装着されている。カメラ本体3および交換レンズユニット2は、同じ規格に準拠している。
ここで、規格とは、カメラ本体において交換レンズユニットを装着して使用可能とするための取り決めである。規格においては、まず、ボディーマウントがレンズマウントに装着可能なように、これらの形状が取り決められている。さらに、規格では、ボディーマウントの基準面から撮像面(受光面とも言う)までの距離、すなわち、フランジバックが取り決められている。
交換レンズユニットは、レンズマウントをボディーマウントに装着した状態で撮像面上に後側焦点が位置するように設計される。レンズマウントをボディーマウントに装着したときの基準面から後側焦点までの光軸方向の距離をレンズバックとも言う。互換性のあるカメラ本体および交換レンズユニットでは、レンズバックはフランジバックと同じ長さである。したがって、レンズバックは、交換レンズユニット特有の値であって、交換レンズユニットが有するレンズマウントが装着可能なボディーマウントを有するカメラ本体のフランジバック、と言い換えることもできる。なお、規格において、さらに、カメラ本体と交換レンズユニットとで交換される信号等について取り決めていることもある。
図2はカメラ本体3の構成を示すブロック図である。図3はデジタルカメラ1の概略斜視図である。図4(A)はカメラ本体3の上面図であり、図4(B)はカメラ本体3の背面図である。図5〜図8は交換レンズユニット2の概略断面図である。図5および図6が広角端の状態を示しており、図7および図8が望遠端の状態を示している。図6は図5とは異なる平面における断面図である。図8は図7とは異なる平面における断面図である。図9および図10は第2レンズ群ユニット77およびフォーカスレンズユニット75の分解斜視図である。図12(A)および図12(B)は光学系Lの構成図である。図12(A)が広角端の状態を示しており、図12(B)が望遠端の状態を示している。図13は、ズームリング84の回転位置と、各部材の撮像センサ11からの距離と、の関係を示している。
なお、本実施形態では、デジタルカメラ1に対して3次元直交座標系を設定する。光学系L(後述)の光軸AZはZ軸方向(光軸方向の一例)と一致している。X軸方向はデジタルカメラ1での縦撮り姿勢における水平方向と一致している。Y軸方向はデジタルカメラ1での横撮り姿勢における鉛直方向と一致している。また、以下の説明において、「前」とは、デジタルカメラ1の被写体側(Z軸方向正側)を、「後」とは、デジタルカメラ1の被写体側と反対側(ユーザー側、Z軸方向負側)を意味する。
<交換レンズユニット>
図1〜図12(B)を用いて交換レンズユニット2の概略構成を説明する。図1に示すように、交換レンズユニット2は、光学系Lと、光学系Lを支持するレンズ支持機構71と、フォーカス調節ユニット72と、絞り調節ユニット73と、振れ補正ユニット74と、レンズマイコン40と、を有している。
(1)光学系
光学系Lは、被写体の光学像を形成するためのズームレンズ系であり、主に4つのレンズ群から構成されている。具体的には図12(A)および図12(B)に示すように、光学系Lは、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、を有している。
第1レンズ群G1は、第1レンズL1と、第1レンズL1の撮像センサ11側に配置あされた第2レンズL2と、を有している。第1レンズL1は被写体側を向く凸面を有する負メニスカスレンズである。第2レンズL2は、被写体側を向く凸面を有する正メニスカスレンズであり、接着層を介して第1レンズL1に接合されている。
第2レンズ群G2は、第3レンズL3と、第3レンズL3の撮像センサ11側に配置された第4レンズL4と、第4レンズL4の撮像センサ11側に配置された第5レンズL5と、を有している。第3レンズL3は被写体側に向く凸面を有する負メニスカスレンズである。第4レンズL4は両凹レンズである。第5レンズL5は両凸レンズである。
第3レンズ群G3は第6レンズL6(フォーカスレンズの一例)から構成されている。第6レンズL6は、撮像センサ11側を向く凸面を有する負メニスカスレンズであり、第5レンズL5と第7レンズL7とのZ軸方向間(第2レンズ群G2と第4レンズ群G4とのZ軸方向間)に配置されている。
第4レンズ群G4は、第7レンズL7と、第8レンズL8と、第9レンズL9と、第10レンズL10と、第11レンズL11と、第12レンズL12と、を有している。第7レンズL7は、振れ補正のための正メニスカスレンズであり、撮像センサ11側を向く凸面を有している。第8レンズL8は両凸レンズである。第9レンズL9は、両凹レンズであり、接着層を介して第8レンズL8に接合されている。第10レンズL10は両凸レンズである。第10レンズL10の被写体側の面は、非球面である。第11レンズL11は、被写体側を向く凸面を有する負メニスカスレンズであり、接着層を介して第10レンズL10に接合されている。第12レンズL12は両凸レンズである。
図12(A)、図12(B)および図13に示すように、広角端から望遠端へのズーミング時には、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4は、それぞれ被写体側へと光軸AZに沿ってZ軸方向へ移動する。より詳細には、広角端から望遠端へのズーミング時には、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が増加し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が減少する。絞りユニット62(後述)は第4レンズ群G4と共に被写体側に移動する。
また、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシング時には、第3レンズ群G3が光軸AZに沿って被写体側へと移動する。
さらに、デジタルカメラ1の動きに起因する光学像の振れを抑制するために、第7レンズL7が光軸AZと直交する2方向に移動する。
(2)レンズ支持機構
レンズ支持機構71は、光学系Lを移動可能に支持するための機構であり、レンズマウント95と、固定枠50と、カム筒51と、第1ホルダー52と、第1レンズ群支持枠53と、第2レンズ群支持枠54と、第2ホルダー55と、第3レンズ群支持枠56と、第4レンズ群支持枠61と、ズームリングユニット83と、フォーカスリングユニット88と、を有している。
レンズマウント95は、カメラ本体3のボディーに装着される部分であり、レンズ側接点91を有している。固定枠50は、カム筒51を回転可能に支持する部材であり、レンズマウント95に固定されている。固定枠50は、Z軸方向正側の端部に突起50aと、外周に設けられた3つの凹部50bと、光軸AZ回りに等ピッチで配置された3本の貫通直進溝50cと、を有している。カム筒51は、内周に設けられた3つの凸部51aと、3本の第1カム溝51dと、3本の第2カム溝51bと、3本の第3カム溝51cと、を有している。カム筒51の凸部51aが固定枠50の凹部50bに挿入されているため、Z軸方向の相対移動が規制された状態で、固定枠50に対して回転可能なようにカム筒51が固定枠50により支持されている。
第1レンズ群支持枠53は、第1ホルダー52に固定されており、第1レンズ群G1を支持している。第1ホルダー52は、内周側に形成されZ軸方向に延びる縦溝52aと、光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つのカムピン81と、を有している。縦溝52aには固定枠50の突起50aが挿入されている。カムピン81はカム筒51の第1カム溝51dに挿入されている。これらの構成により、第1ホルダー52は固定枠50に対して回転することなくZ軸方向に移動可能である。固定枠50に対する第1ホルダー52の移動量は第1カム溝51dの形状により決まる。第1ホルダー52の先端には、偏光フィルタや保護フィルタのような光学フィルタおよびコンバージョンレンズを取り付けるための雌ねじ部52cが形成されている。
第2レンズ群支持枠54は、第2ホルダー55に固定されており、第2レンズ群G2を支持している。第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55により、第2レンズ群ユニット77が構成されている。第2ホルダー55は、光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つの凸部55bと、凸部55bに固定された3つのカムピン82と、を有している。カムピン82はカム筒51の第2カム溝51bに挿入されている。凸部55bは固定枠50の貫通直進溝50cに挿入されている。これらの構成により、第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55は、固定枠50に対して回転することなくZ軸方向に移動可能である。固定枠50に対する第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55の移動量は、第2カム溝51bの形状により決まる。
第3レンズ群支持枠56は、第3レンズ群G3(より詳細にはフォーカスレンズとして機能する第6レンズL6)を支持する部材であり、軸受け部56aと、廻り止め部56bと、ラック支持部56cと、突起56dと、を有している。第6レンズL6および第3レンズ群支持枠56によりフォーカスレンズユニット75が構成されている。第2ホルダー55は、Z軸方向に延びる2本のガイドポール63a、63bの前側端部を支持している。ガイドポール支持板65は、ガイドポール63aの後側端部を支持するための部材であり、第2ホルダー55の撮像センサ11側に固定されている。軸受け部56aにはガイドポール63aが挿入されており、廻り止め部56bにはガイドポール63bが挿入されている。ガイドポール63aおよび63bにより、光軸AZ周りの回転が規制された状態で、第3レンズ群支持枠56はZ軸方向に移動可能に支持されている。
ラック支持部56cは、軸受け部56aからZ軸方向負側に延びる部分であり、ラック66を軸方向に一体で移動可能にかつ回転可能に支持している。ラック66は、複数の歯66cを有するラック本体66aと、Z軸方向に延びる軸部66bと、を有している。複数の歯66cはフォーカスモータ64のリードスクリュ64aと噛み合っている。軸部66bはラック支持部56cに支持されているため、ラック66はラック支持部56cに対して中心軸R回りに回転可能となっている。
さらに、図9および図11に示すように、ラック支持部56cにはねじりコイルバネ68が取り付けられている。ねじりコイルバネ68は、弾性力を発生する巻き回り部68aと、第1端部68bと、第2端部68cと、を有している。巻き回り部68aはラック66の軸部66bに挿入されている。巻き回り部68aが捩られた状態で、第1端部68bがラック支持部56cに引っかけられており、第2端部68cがラック66に引っかけられている。つまり、ねじりコイルバネ68は、ラック66に対してA方向へ回転力を付与しており、リードスクリュ64aに対してラック66を常に押し付けている。これにより、ラック66とリードスクリュ64aとの間のバックラッシュを低減することができ、フォーカスレンズユニット75の位置精度を高めることができる。また、ラック66がリードスクリュ64aに常に押し付けられているため、リードスクリュ64aからラック66に駆動力を効率よく伝達することが可能となる。
さらに、ねじりコイルバネ68の巻き回り部68aは、ラック支持部56cとラック66との間でZ軸方向(中心軸Rに平行な方向)に圧縮されている。ねじりコイルバネ68はラック66に対して押付力Fを付与しており、ねじりコイルバネ68によりラック66はラック支持部56cに押し付けられている。これにより、ラック66がラック支持部56cに対してZ軸方向に移動するのを抑制でき、フォーカスレンズユニット75の位置精度をさらに高めることができる。
第2ホルダー55にはフォーカスモータ64が固定されている。フォーカスモータ64は例えばステッピングモータである。フォーカスモータ64は、Z軸方向に延びた回転軸としてのリードスクリュ64aを有している。このリードスクリュ64aにラック66が噛み合っている。
突起56dは、フォーカスレンズユニット75の原点を検出するための部分であり、フォトセンサ67(後述)の検出領域を通過可能な位置に設けられている。本実施形態では、フォーカスレンズ群である第3レンズ群G3が1枚の第6レンズL6により形成されているため、第3レンズ群G3の重量を例えば1g以下とすることができ、フォーカスモータ64での駆動速度を高めることができる。
第4レンズ群支持枠61は、第1支持枠57と、第2支持枠58と、第3支持枠59と、第4支持枠60と、を有している。第4レンズ群G4および第4レンズ群支持枠61により、第4レンズ群ユニット78が構成されている。
第1支持枠57は第7レンズL7を支持している。第2支持枠58は、第8レンズL8および第9レンズL9を支持しており、さらに第1支持枠57を光軸AZに直交する2方向に移動可能に支持している。第2支持枠58は光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つのカムピン80を有している。
第3支持枠59は、第10レンズL10および第11レンズL11を支持しており、例えばネジにより第2支持枠58に固定されている。第4支持枠60は、第12レンズL12を支持しており、例えばネジにより第3支持枠59に固定されている。これらの構成により、第1支持枠57、第2支持枠58、第3支持枠59および第4支持枠60は、光軸AZに沿って一体で移動する。
また、第1支持枠57は、例えば第2支持枠58により光軸AZに直交する2方向に移動可能なように支持されている。この構成により、第1支持枠57は、第2支持枠58、第3支持枠59および第4支持枠60に対してZ軸方向には一体で移動しつつ光軸AZに直交する方向に移動可能である。
ズームリングユニット83は、リングベース86と、ズームリング84と、ズームリング84の回転位置を検出するリニアポジションセンサ87と、を有している。ズームリング84の回転位置とは、ズームリング84の回転方向の位置を意味しており、ある基準位置からのズームリング84の回転角度ということもできる。
ズームリング84は、円筒形状を有しており、固定枠50に固定されたリングベース86により、Z軸方向への移動が規制された状態で光軸AZ周りに回転可能に支持されている。ズームリング84はZ軸方向負側の端部に貫通穴84aを有している。貫通穴84aには、カム筒51に固定されたズーム駆動ピン85が挿入されている。これにより、カム筒51はズームリング84と光軸AZ周りに一体回転する。
リニアポジションセンサ87は、ユーザーによるズームリング84の回転位置および回転方向を検出し、検出結果をレンズマイコン40に送信する。具体的には、リニアポジションセンサ87は、リングベース86に固定されており、半径方向外側に突出する摺動子87aを有している。この摺動子87aは、ズームリング84に形成されたカム溝84bに挿入されている。固定枠50に対してズームリング84が回転すると、カム溝84bに沿って摺動子87aはZ軸方向に移動する。リニアポジションセンサ87は、可変抵抗器を有しており、摺動子87aがこの可変抵抗器内にある磁気抵抗体上をスライドすることにより、両端に所定の電圧を付与した端子間において、摺動子87aのZ軸方向の位置に比例した出力(出力電圧)をリニアに得ることができる。リニアポジションセンサ87の出力を回転位置情報に変換することで、ズームリング84の回転位置を検出することが可能となる。ズームリング84の外周面には、光学系Lの焦点距離が表示されている。
なお、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4がレンズ支持機構71を介して機械的に連結されているため、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の絶対位置(例えば、撮像センサ11の受光面11aを基準とした位置)はズームリング84の回転位置と一定の関係を有している。したがって、ズームリング84の回転位置を検出することにより、例えばレンズマウント95に対する第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の絶対位置を把握することができる。なお、ズームリング84は、例えば可動式のレバーのような他の構造を有していてもよい。
フォーカスリングユニット88は、フォーカスリング89と、フォーカスリング89の回転角度を検出するフォーカスリング角度検出部90と、を有している。フォーカスリング89は、円筒形状を有しており、リングベース86により、Z軸方向の移動が規制された状態で光軸AZ周りに回転可能に支持されている。フォーカスリング89の回転角度および回転方向は、フォーカスリング角度検出部90により検出可能である。例えば、このフォーカスリング角度検出部90は、2つのフォトセンサ(図示せず)を有している。フォーカスリング89は、回転方向に等間隔で配置され半径方向内側に突出する複数の突起89aを有している。各フォトセンサは、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を有しており、発光部および受光部の間を複数の突起89aが通過することで、フォーカスリング89の回転角度および回転方向を検出することができる。なお、フォーカスリング89は、例えば可動式のレバーのような他の構造を有していてもよい。
(3)フォーカス調節ユニット
フォーカス調節ユニット72は、フォーカスモータ64と、フォーカス駆動制御部41と、フォトセンサ67と、を有している。フォーカスモータ64は、第2ホルダー55に固定されており、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75をZ軸方向に駆動する。第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の駆動は、フォーカスモータ64のみにより行われる。言い換えると、フォーカスモータ64がフォーカスレンズユニット75を駆動していない状態(例えば、フォーカスモータ64に電力が供給されていない状態)では、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75を移動させることはできない。この場合、フォーカスレンズユニット75は第2ホルダー55と一体でZ軸方向に移動する。
フォーカスモータ64のリードスクリュ64aは、フォーカス駆動制御部41から入力された駆動信号に基づいて回転する。フォーカスモータ64で発生した回転運動は、リードスクリュ64aおよびラック66によりフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の直進運動に変換される。これにより、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75がZ軸方向に移動可能となる。
このデジタルカメラ1では、被写体距離を実質的に一定に保ちつつ焦点距離を変更できるズームレンズ系を実現するために、レンズマイコン40に予め記憶されているトラッキングテーブルに基づいてフォーカス調節ユニット72によりフォーカスレンズユニット75が駆動される。ここでは、このようなトラッキング方式を電子トラッキングと呼ぶ。
トラッキングテーブルとは、焦点距離が変化しても焦点が合う被写体距離が実質的に一定に保たれるフォーカスレンズユニット75の位置(より詳細には、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の位置)を示す情報である。被写体距離が実質的に一定とは、被写体距離の変化量が所定の被写界深度内に収まることを意味している。電子トラッキングについては後述する。
また、第2ホルダー55には、フォーカスレンズユニット75の原点位置を検出するフォトセンサ67が搭載されている。このフォトセンサ67は発光部(図示せず)と受光部(図示せず)とを有している。発光部と受光部との間を第3レンズ群支持枠56の突起56dが通過すると、フォトセンサ67は突起56dの有無を検出できる。つまり、フォトセンサ67により、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の原点位置を検出することが可能となる。言い換えれば、フォトセンサ67は、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3の原点位置を検出する原点検出器である。レンズマイコン40は、第3レンズ群G3を原点位置に駆動し、フォトセンサ67からの信号によりフォーカスレンズユニット75(第3レンズ群G3)が原点位置にあることを認識する。
フォトセンサ67により検出できる原点位置は第2レンズ群ユニット77に対して移動することがない絶対位置である。このため、フォーカスレンズユニット75の位置を第2レンズ群ユニット77に対して原点位置にリセットする際には、フォトセンサ67により原点検出用の突起56dが検出される位置までフォーカスレンズユニット75を駆動する。例えば、デジタルカメラ1の電源スイッチ25をオフにすると、フォーカスレンズユニット75の現在位置に関わらず、第3レンズ群支持枠56の突起56dがフォトセンサ67に検出される位置までフォーカスレンズユニット75がフォーカスモータ64により駆動される。フォーカスレンズユニット75の駆動完了後、デジタルカメラ1の電源がオフになる。逆に、デジタルカメラ1の電源スイッチ25をオンにすると、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット75がトラッキングテーブルに基づいて求められた所定の位置まで駆動される。なお、原点検出器は、フォトセンサに限られず、例えば、マグネットおよび磁気センサを組み合わせることで実現されてもよい。
(4)絞り調節ユニット
絞り調節ユニット73は、第2支持枠58に固定された絞りユニット62と、絞りユニット62を駆動する絞り駆動モータ(図示せず)と、絞り駆動モータを制御する絞り駆動制御部42と、を有している。絞り駆動モータは、例えばステッピングモータである。絞り駆動モータは、絞り駆動制御部42から入力される駆動信号に基づいて駆動される。絞り駆動モータで発生した駆動力により、絞り羽根62aが開方向および閉方向に駆動される。絞り羽根62aを駆動することで光学系Lの絞り値を変更することができる。
(5)振れ補正ユニット
振れ補正ユニット74は、交換レンズユニット2およびカメラ本体3の動きに起因する光学像の振れを抑制するためのユニットであり、電磁アクチュエータ46と、位置検出センサ47と、振れ補正用マイコン48と、を有している。
電磁アクチュエータ46は第1支持枠57を光軸AZに直交する方向に駆動する。具体的には、電磁アクチュエータ46は、例えばマグネット(図示せず)とコイル(図示せず)とを有している。例えば、コイルは第1支持枠57に設けられており、マグネットは第2支持枠58に固定されている。
位置検出センサ47は、第2支持枠58に対する第1支持枠57の位置を検出するためのセンサであり、例えばホール素子である。交換レンズユニット2には、ジャイロセンサなどの動き検出センサ(図示せず)が搭載されている。振れ補正用マイコン48は、位置検出センサ47の検出結果および動き検出センサの検出結果に基づいて、電磁アクチュエータ46を制御する。これにより、デジタルカメラ1の動きに起因する被写体像の振れを抑制することができる。
なお、被写体像の振れを抑制する方法として、撮像センサ11から出力される画像データに基づいて画像に表れる振れを補正する電子式振れ補正を適用してもよい。また、光学像の振れを抑制する方法として、撮像センサ11を光軸AZと直交する2方向に駆動するセンサシフト方式を適用してもよい。
(6)レンズマイコン
レンズマイコン40は、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)およびメモリ40aを有しており、ROMに格納されているプログラムがCPUに読み込まれることで、様々な機能を実現し得る。例えば、レンズマイコン40は、フォトセンサ67の検出信号によりフォーカスレンズユニット75が原点位置にあることを認識することができる。
メモリ40aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。メモリ40aには、例えば交換レンズユニット2に関する情報(レンズ情報)やズームレンズ系を実現するためのトラッキングテーブル(後述)が格納されている。レンズマイコン40は、このトラッキングテーブルに基づいてフォーカスモータ64を制御し、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット75がZ軸方向に駆動される。以下、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズユニット75の位置を焦点距離の変化に追従させる動作を、電子トラッキングという。
レンズマイコン40は、フォーカスモータ64のパルス数をカウントするためのカウンタ40bを有している。カウンタ40bは、フォーカスレンズユニット75をZ軸方向正側に駆動した場合、カウントを「+1」とし、フォーカスレンズユニット75をZ軸方向負側に駆動した場合、カウントを「−1」とする。このように、カウンタ40bでフォーカスモータ64の駆動パルス数をカウントすることで、レンズマイコン40は、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3の相対位置(第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の位置)を把握することができる。
例えば、フォーカスモータ64のリードスクリュ64aの1回転当たり、ラック66が0.6mmだけZ軸方向に駆動される。マグネット(図示せず)が10極であるフォーカスモータ64を1−2相励磁にて駆動する場合、1パルス当たり、0.6/20/2=0.015mm(15μm)だけラック66がZ軸方向に駆動される。マイクロステップ駆動時には、さらに細かい単位でラック66を駆動できる。ステッピングモータを用いることで、細かい単位でフォーカスレンズユニット75を駆動することができ、例えば反転駆動時のバックラッシュを小さくすることができる。つまり、フォーカスモータ64としてステッピングモータを選定することで、高精度なフォーカス調節を実現できる。また、駆動パルス数をカウントすることで、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の現在位置を把握でき、さらにフォーカスレンズユニット75の駆動量を算出することができる。
<カメラ本体>
図1〜図4(B)を用いてカメラ本体3の概略構成について説明する。図1〜図4(B)に示すように、カメラ本体3は、筐体3aと、ボディーマウント4(マウント部の一例)と、操作ユニット39と、画像取得部35と、画像表示部36と、ファインダ部38と、ボディーマイコン10(位置情報取得部の一例、補正部の一例)と、バッテリー22と、を有している。
(1)筐体
筐体3aは、カメラ本体3の外装部を構成している。図4(A)および図4(B)に示すように、筐体3aの前面には、ボディーマウント4が設けられており、筐体3aの背面および上面には、操作ユニット39が設けられている。具体的には、筐体3aの背面には、表示部20と、電源スイッチ25と、モード切り換えダイヤル26と、十字操作キー27と、メニュー設定ボタン28と、設定ボタン29と、撮影モード切り換えボタン34と、動画撮影操作ボタン24が設けられている。筐体3aの上面には、シャッターボタン30が設けられている。
(2)ボディーマウント
ボディーマウント4は、交換レンズユニット2のレンズマウント95が装着される部分であり、レンズ側接点91と電気的に接続可能なボディー側接点(図示せず)を有している。ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して、カメラ本体3は交換レンズユニット2とデータの送受信が可能である。例えば、ボディーマイコン10(後述)は、ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して露光同期信号などの制御信号をレンズマイコン40に送信する。
(3)操作ユニット
図4(A)および図4(B)に示すように、操作ユニット39は、ユーザーが操作情報を入力するための各種操作部材を有している。例えば、電源スイッチ25は、デジタルカメラ1あるいはカメラ本体3の電源の入切を行うためのスイッチである。電源スイッチ25により電源がオン状態になると、カメラ本体3および交換レンズユニット2の各部に電源が供給される。
モード切り換えダイヤル26は、静止画撮影モード、動画撮影モードおよび再生モード等の動作モードを切り換えるためのダイヤルであり、ユーザーはモード切り換えダイヤル26を回転させて動作モードを切り換えることができる。モード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されると、動作モードを静止画撮影モードへ切り換えることができ、モード切り換えダイヤル26により動画撮影モードが選択されると、動作モードを動画撮影モードへ切り換えることができる。動画撮影モードでは、基本的に動画撮影が可能となる。さらに、モード切り換えダイヤル26により再生モードが選択されると、動作モードを再生モードへ切り換えることができ、表示部20に撮影画像を表示させることができる。
十字操作キー27は、ユーザーが上下左右の方向を選択できるボタンである。十字操作キー27を用いて、例えば表示部20に表示された各種メニュー画面から所望のメニューを選択することができる。
メニュー設定ボタン28はデジタルカメラ1の各種動作を設定するためのボタンである。設定ボタン29は各種メニューの実行を確定するためのボタンである。
動画撮影操作ボタン24は、動画撮影の開始および停止を指示するためのボタンである。モード切り換えダイヤル26において選択された動作モードが静止画撮影モードまたは再生モードであっても、この動画撮影操作ボタン24を押すことにより、モード切り換えダイヤル26での設定内容に関係なく、強制的に動作モードが動画撮影モードに移行し、動画撮影が開始される。さらに、動画撮影中に、この動画撮影操作ボタン24が押されると、動画撮影が終了し、モード切り換えダイヤル26において選択された動作モード、すなわち動画撮影開始前の動作モードへと移行する。例えば、動画撮影操作ボタン24が押される際にモード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されている場合は、動画撮影操作ボタン24が再度押された後に動作モードが自動的に静止画撮影モードへと移行する。
シャッターボタン30は、撮影の際にユーザーによって操作される。シャッターボタン30が操作されると、タイミング信号がボディーマイコン10に出力される。シャッターボタン30は、半押し操作と全押し操作が可能な2段式のスイッチである。ユーザーが半押し操作すると測光処理および測距処理を開始する。シャッターボタン30を半押しの状態でユーザーがシャッターボタン30を全押し操作すると、タイミング信号が出力され、画像取得部35で画像データが取得される。
さらに、図2に示すように、カメラ本体3の前面には、交換レンズユニット2をカメラ本体3から取り外すためのレンズ取り外しボタン99が設けられている。レンズ取り外しボタン99は、例えばユーザーに押されるとオン状態になる接点(図示せず)を有しており、ボディーマイコン10と電気的に接続されている。レンズ取り外しボタン99が押されると、内蔵されている接点がオンになり、ボディーマイコン10はレンズ取り外しボタン99が押されたことを認識することができる。
(4)画像取得部
画像取得部35は主に、光電変換を行うCCD(Charge Coupled Device)などの撮像センサ11(撮像素子の一例)と、撮像センサ11の露光状態を調節するシャッターユニット33と、ボディーマイコン10からの制御信号に基づいてシャッターユニット33の駆動を制御するシャッター制御部31と、撮像センサ11の動作を制御する撮像センサ駆動制御部12と、を有している。
撮像センサ11は、光学系Lにより形成される光学的な像を電気的な信号に変換する、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサである。撮像センサ11は、撮像センサ駆動制御部12により発生されるタイミング信号により駆動制御される。なお、撮像センサ11はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサでもよい。
シャッター制御部31は、タイミング信号を受信したボディーマイコン10から出力される制御信号にしたがって、シャッター駆動アクチュエータ32を駆動し、シャッターユニット33を動作させる。
なお、本実施形態では、オートフォーカス方式として、撮像センサ11で生成された画像データを利用するコントラスト検出方式が採用されている。コントラスト検出方式を用いることにより、高精度なフォーカス調節を実現することができる。
(5)ボディーマイコン
ボディーマイコン10は、カメラ本体3の中枢を司る制御装置であり、操作ユニット39に入力された操作情報に応じて、デジタルカメラ1の各部を制御する。具体的には、ボディーマイコン10にはCPU、ROM、RAMが搭載されており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、ボディーマイコン10は様々な機能を実現することができる。例えば、ボディーマイコン10は、交換レンズユニット2がカメラ本体3に装着されたことを検知する機能、あるいは交換レンズユニット2から焦点距離情報などのデジタルカメラ1を制御する上で必要な情報を取得する機能を有している。また、ボディーマイコン10は、交換レンズユニット2からフォーカスレンズユニット75の位置情報を取得する機能(位置情報取得部の機能)、あるいは、交換レンズユニット2の規格がカメラ本体3の規格と整合しているか否かを判定する機能(補正判定部の機能)、さらには交換レンズユニット2から補正係数K(後述)を取得する機能を有している。
ボディーマイコン10は、電源スイッチ25、シャッターボタン30、モード切り換えダイヤル26、十字操作キー27、メニュー設定ボタン28および設定ボタン29の信号を、それぞれ受信可能である。また、ボディーマイコン10内のメモリ10aには、カメラ本体3に関する各種情報が格納されている。メモリ10aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。
また、ボディーマイコン10は、垂直同期信号を定期的に生成し、垂直同期信号の生成と並行して、垂直同期信号に基づいて露光同期信号を生成する。ボディーマイコン10が垂直同期信号を基準とした露光開始タイミングおよび露光終了タイミングを予め把握しているために、ボディーマイコン10は露光同期信号を生成できる。ボディーマイコン10は、垂直同期信号をタイミング発生器(図示省略)に出力し、露光同期信号をボディーマウント4およびレンズマウント95を介してレンズマイコン40に一定の周期で出力する。レンズマイコン40は、露光同期信号に同期して、フォーカスレンズユニット75の位置情報を取得する。
撮像センサ駆動制御部12は、垂直同期信号に基づいて、撮像センサ11の読み出し信号と電子シャッター駆動信号とを一定の周期で生成する。撮像センサ駆動制御部12は、読み出し信号および電子シャッター駆動信号に基づいて、撮像センサ11を駆動する。すなわち、撮像センサ11は、読み出し信号に応じて、撮像センサ11内に多数存在する光電変換素子(図示せず)で生成された画素データを垂直転送部(図示せず)に読み出す。
また、ボディーマイコン10は、レンズマイコン40を介してフォーカス調節ユニット72(後述)を制御する。
撮像センサ11から出力された画像信号は、アナログ信号処理部13から、A/D変換部14、デジタル信号処理部15、バッファメモリ16および画像圧縮部17へと、順次送られて処理される。アナログ信号処理部13は、撮像センサ11から出力される画像信号にガンマ処理等のアナログ信号処理を施す。A/D変換部14は、アナログ信号処理部13から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部15は、A/D変換部14によりデジタル信号に変換された画像信号に対してノイズ除去や輪郭強調等のデジタル信号処理を施す。バッファメモリ16は、RAM(Random Access Memory)であり、画像信号を一旦記憶する。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像圧縮部17から画像記録部18へと、順次送られて処理される。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像記録制御部19の命令により読み出されて、画像圧縮部17に送信される。画像圧縮部17に送信された画像信号のデータは、画像記録制御部19の命令に従って画像信号に圧縮処理される。画像信号は、この圧縮処理により、元のデータより小さなデータサイズになる。画像信号の圧縮方法として、例えば1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式が用いられる。その後、圧縮された画像信号は、画像記録制御部19により画像記録部18に記録される。ここで、動画を記録する場合、複数の画像信号をそれぞれ1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG方式を用いることもでき、また、複数のフレームの画像信号をまとめて圧縮するH.264/AVC方式を用いることもできる。
画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号と記録すべき所定の情報とを関連付けて静止画ファイルまたは動画ファイルを作成する。そして、画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、静止画ファイルまたは動画ファイルを記録する。画像記録部18は、例えば内部メモリおよび/または着脱可能なリムーバブルメモリである。なお、画像信号とともに記録すべき所定の情報には、画像を撮影した際の日時と、焦点距離情報と、シャッタースピード情報と、絞り値情報と、撮影モード情報とが含まれる。静止画ファイルは、例えばExif(登録商標)形式やExif(登録商標)形式に類する形式である。また、動画ファイルは、例えばH.264/AVC形式やH.264/AVC形式に類する形式である。
(6)画像表示部
画像表示部36は、表示部20と、画像表示制御部21と、を有している。表示部20は例えば液晶モニタである。表示部20は、画像表示制御部21からの命令に基づいて、画像記録部18あるいはバッファメモリ16に記録された画像信号を可視画像として表示する。表示部20での表示形態としては、画像信号のみを可視画像として表示する表示形態や、画像信号と撮影時の情報とを可視画像として表示する表示形態が考えられる。
(7)ファインダ部
ファインダ部38は、撮像センサ11により取得された画像を表示する液晶ファインダ8と、筐体3aの背面に設けられたファインダ接眼窓9と、を有している。ユーザーは、ファインダ接眼窓9を覗くことで液晶ファインダ8に表示された画像を視認することができる。
(8)バッテリー
バッテリー22は、カメラ本体3の各部に電力を供給し、さらにレンズマウント95を介して交換レンズユニット2に電力を供給する。本実施形態ではバッテリー22は充電池である。なお、バッテリー22は、乾電池でもよいし、電源コードにより外部から電力供給が行われる外部電源であってもよい。
<トラッキングテーブル>
デジタルカメラ1では、被写体距離を実質的に一定に保ちつつ焦点距離が変更できるようにするために、フォーカス調節ユニット72により電子トラッキングが行われる。具体的には図14に示すように、電子トラッキングを行うために、トラッキングテーブル100がメモリ40aに格納されている。このトラッキングテーブル100は、ズームリング84の回転位置とフォーカスレンズユニット75の第2レンズ群ユニット77に対するZ軸方向の位置との関係を示している。例えば、被写体距離が0.3m、1.0mおよび無限遠(∞)に対応する3つのトラッキングテーブル100がメモリ40aに格納されている。
トラッキングテーブル100は、ズームリング84の回転位置およびフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置がいくつかに分割された離散的な情報である。一般的には、分割数は、ズームリング84を回転させても被写体距離が所定の被写界深度内に納まるように決定されている。
ズームリング84の回転位置(回転方向の位置)はリニアポジションセンサ87により検出することができる。この検出結果およびトラッキングテーブル100に基づいて、レンズマイコン40は、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置を決定することができる。
第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の原点位置Dはフォトセンサ67により検出され、図14では一点鎖線で示されている。本実施形態では、原点位置Dは、無限遠のトラッキングテーブル100におけるフォーカスレンズユニット75の移動範囲(位置E1および位置E2の間)の中央付近に位置している。このように、原点位置Dを中央付近に配置することにより、デジタルカメラ1の電源オン時に、いずれの位置にも比較的素早くフォーカスレンズユニット75を移動させることができる。
なお、無限遠のトラッキングテーブル100を基準に原点位置Dを決定しているのは、ユーザーがデジタルカメラ1の電源を入れて被写体を撮影する際に、無限遠の位置にある被写体を撮影する確率が高いためである。
また、トラッキングテーブル100は、いくつかに分割された離散的な情報ではなく多項式で表されてもよい。ズームリング84の回転位置の代わりに、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2または第4レンズ群G4のZ軸方向の位置情報を用いてもよい。第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置とは、第2レンズ群ユニット77に対する第3レンズ群G3のZ軸方向の位置、あるいは、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3のZ軸方向の位置と言い換えることもできる。
<異なる規格のデジタルカメラ>
ここで、前述のデジタルカメラ1とは異なる規格のフランジバックを有するデジタルカメラ201について説明する。図15(A)はデジタルカメラ1の概略図であり、図15(B)はデジタルカメラ201の概略図である。
図15(A)に示すように、デジタルカメラ1は、交換レンズユニット2と、フランジバックXaを有するカメラ本体3と、を有している。デジタルカメラ1は、クイックリターンミラーを用いない第1の規格に準拠している。具体的には、ボディーマウント4およびレンズマウント95の形状は、第1の規格に準拠している。また、カメラ本体3のフランジバックXaは、第1の規格に準拠しており、光学系LはフランジバックXaに合わせて設計されている。
一方、図15(B)に示すように、デジタルカメラ201は、交換レンズユニット202と、フランジバックXbを有するカメラ本体203と、を有している。交換レンズユニット202は、クイックリターンミラーを用いた第2の規格に準拠している。
ここで、フランジバックXaは、ボディーマウント4のマウント面4a(基準面)から撮像センサ11の受光面11aまでのZ軸方向の距離であり、設計上、交換レンズユニット2のレンズバックと一致する。交換レンズユニット2のレンズバックXaは、レンズマウント95のマウント面95aから後側焦点までの距離である。ボディーマウント4とレンズマウント95とは第1の規格により互いに装着可能な形状となっている。ボディーマウント4がレンズマウント95に装着された状態で、ボディーマウント4のマウント面4aとレンズマウント95のマウント面95aとは互いに当接する。
フランジバックXbは、ボディーマウント204のマウント面204aから撮像センサ211の受光面211aまでのZ軸方向の距離であり、設計上、交換レンズユニット202のレンズバックと一致する。交換レンズユニット202のレンズバックXbは、レンズマウント295のマウント面295aから後側焦点までの距離である。ボディーマウント204とレンズマウント295とは第2の規格により互いに装着可能な形状となっている。ボディーマウント204がレンズマウント295に装着された状態で、ボディーマウント204のマウント面204aとレンズマウント295のマウント面295aとは互いに当接する。
交換レンズ式のデジタルカメラの特徴は、カメラ本体に別の交換レンズユニットを装着して使用できることにある。例えば、交換レンズユニット202をカメラ本体3に装着して使用することが考えられる。
しかし、デジタルカメラ201はクイックリターンミラーを用いた第2の規格に準拠しているため、カメラ本体203のフランジバックXb(交換レンズユニット202のレンズバックXb)はカメラ本体3のフランジバックXaよりも長い。交換レンズユニット202のレンズバックXbがカメラ本体3のフランジバックXaよりも長いため、交換レンズユニット202のレンズバックXbがカメラ本体3のフランジバックXaと整合しない。このため、交換レンズユニット202をカメラ本体3の交換レンズユニットとしてそのまま使用することができない。
そこで、交換レンズユニット202をカメラ本体3に装着する際には、バック長さ調節用のアダプタ110を用いることが考えられる。具体的には図16に示すように、アダプタ110を介して交換レンズユニット202がカメラ本体3に装着される。この場合、アダプタ長さXs0は、カメラ本体3のフランジバックXaと交換レンズユニット202のレンズバックXb(つまり、カメラ本体203のフランジバックXb)との差に設定されている。より具体的には、アダプタ長さXs0(基準長さ)は以下の式(1)により表すことができる。
(数1)
Xs0=Xb−Xa ・・・(1)
このアダプタ110を用いることで、交換レンズユニット202をカメラ本体3の交換レンズユニットとして使用するためのフランジバックの調整ができる。
しかし、カメラ本体3では、オートフォーカス方式としてコントラスト検出方式(以下、コントラストAFともいう)が採用されているが、アダプタ110を用いてフランジバックの調整を行ったとしても、それだけでは交換レンズユニット202はコントラストAFの動作に対応できない。ここで、コントラスト検出方式によるオートフォーカス(AF)について説明する。
コントラスト検出方式によりオートフォーカスを行う際、撮像センサ11により取得された画像データに基づいて、オートフォーカス動作用の評価値(以下、AF評価値という)がボディーマイコン10により算出される。算出されたAF評価値は、露光同期信号と同期して取得されたフォーカスレンズユニット75の位置と関連付けた状態でDRAM(図示せず)に保存される。ボディーマイコン10は、DRAMに保存されたAF評価値に基づいて、AF評価値が極大値となるフォーカスレンズユニット75の位置を合焦点として抽出する。合焦点を抽出する際のフォーカスレンズユニット75の駆動方式としては、一般的には山登り方式が知られている。
例えば図17(A)〜図17(D)に示すように、山登り方式では、AF評価値が増大する方向へフォーカスレンズユニット75を移動させ、フォーカスレンズユニット75の位置ごとのAF評価値を求める。この動作を、AF評価値の極大値が検出されるまで、すなわち、AF評価値が増大して一旦ピークに達してから減少し始めるまで続ける。具体的には、図17(B)に示すフォーカスレンズユニット75の位置でAF評価値が極大値となる場合、フォーカスレンズユニット75が図17(C)に示す位置まで一旦駆動され、図17(D)に示すようにAF評価値が極大値となる位置までフォーカスレンズユニット75を移動させる。このように、コントラスト検出方式にてAFを行う場合、フォーカスレンズユニット75を余分に移動させる必要があるため、フォーカスレンズユニット75が合焦状態で停止する範囲(以下、合焦範囲とも言う)の両端には、余裕範囲Hを設ける必要がある。例えば、合焦範囲の一端は、物点距離を無限遠として合焦する状態でのフォーカスレンズユニット75の停止位置であり、この位置で極大値を検出するためには、この位置を超え、余裕範囲Hにフォーカスレンズユニット75を移動させる必要がある。
しかし、従来の交換レンズユニットはコントラストAFへの対応を想定していない場合が多く、前述の交換レンズユニット202のように、この余裕範囲Hが設けられていない交換レンズユニットが多く存在する。例えば、図16に示すように、無限遠に焦点が合う状態で、すでにフォーカスレンズユニット275が機械的に決まる可動範囲の端に到達している場合が考えられる。この場合、図17(C)および図17(D)のようなフォーカスレンズユニット275の動作を行うことができないため、コントラストAFを行うことができない。コントラストAFに対応していない交換レンズユニットをコントラストAFに対応させることができれば、過去に購入した交換レンズユニットをカメラ本体3でも活用することができる。
そこで、図18に示すように、コントラストAFに対応していない交換レンズユニット202をコントラストAFに対応させるために、アダプタ110の代わりに、アダプタ長さが基準長さXs0よりも短く設定されたアダプタ120を用いることが考えられる。具体的には、アダプタ長さを以下の式(2)により表されるアダプタ長さXsに設定する。式(2)は、例えばボディーマイコン10に予め格納されている。
(数2)
Xs=Xb−Xa−Xc=Xs0−Xc ・・・(2)
この場合、図18に示すように、アダプタ長さが基準長さXs0である場合に比べて、交換レンズユニット202がカメラ本体3に距離Xcだけ近づくため、機械的に決まるフォーカスレンズユニット75の可動範囲に対して、焦点調節時にフォーカスレンズユニット75が移動する合焦範囲が、Z軸方向正側(被写体側)にシフトする。この結果、例えば最も撮像センサ11に近い合焦位置(無限遠端)で考えた場合、フォーカスレンズユニット275とガイドポール支持板265との間に距離Xcに相当する隙間(より詳細には、後述の補正量Yc)が確保される。このため、余裕範囲Hが確保できるように距離Xcを設定することで、前述のコントラストAFの際に、フォーカスレンズユニット75の合焦範囲の無限遠端に余裕範囲Hを確保することができる。これにより、図18に示すように、カメラ本体3および交換レンズユニット202を組み合わせたとしても、コントラストAFにより無限遠に合焦させることが可能となる。
このように、アダプタ120の長さを式(2)のように短くすることで、余裕範囲Hが確保されていない交換レンズユニット202を活用することができる場合がある。被写体距離を無限遠にして撮影される頻度は高いため、コントラストAFによって無限遠に合焦できることは非常に有用である。
なお、距離Xcは、上記の式(2)に基づいて、例えばボディーマイコン10により算出される。距離Xcの算出に際して、ボディーマイコン10は、レンズバックXbをレンズマイコン240(後述)から取得し、アダプタ長さXsをアダプタマイコン123(後述)から取得する。
<アダプタを有するデジタルカメラの構成>
ここで、図19を用いて、アダプタ120を用いたデジタルカメラ301について説明する。図19は、デジタルカメラ301の概略構成図である。なお、前述の構成と実質的に同じ機能を有する構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図19に示すように、デジタルカメラ301は、カメラ本体3と、交換レンズユニット202と、アダプタ120と、を備えている。
(1)カメラ本体
カメラ本体3のボディーマイコン10は、補正判定部10bをさらに有している。補正判定部10bは、カメラ本体3のフランジバックXa、装着された交換レンズユニットのレンズバックおよびアダプタ長さに基づいて、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定する。具体的には、補正判定部10bは、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合しているか否かを判定することができる。ここで、レンズ動作情報とは、交換レンズユニットの動作に関する情報であり、より詳細には、フォーカスレンズの動作に関する情報である。レンズ動作情報としては、例えば、フォーカスレンズの位置に関する情報、フォーカスレンズの可動範囲に関する情報が考えられる。
補正判定部10bは、さらに、カメラ本体3のフランジバックXa、装着される交換レンズユニットのレンズバックおよびアダプタ長さから、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定するための判定値Vを算出する。判定値Vについては後述する。
また、ボディーマイコン10のメモリ10aには、カメラ本体3に関する情報(本体情報)が格納されている。例えば、本体情報には、カメラID、フランジバックXaが格納されている。メモリ10aに格納されたフランジバックXaを用いて、補正判定部10bは補正要否の判定や判定値Vの算出を行う。
(2)アダプタ
アダプタ120は、第1マウント121(第1マウント部の一例)と、第2マウント122(第2マウント部の一例)と、アダプタマイコン123(記憶部の一例)と、を有している。第1マウント121はカメラ本体3のボディーマウント4に装着される部分である。第1マウント121とカメラ本体3のボディーマウント4とはともに第1の規格に準拠している。第2マウント122は交換レンズユニット202のレンズマウント295に装着される部分である。第2マウント122と交換レンズユニット202のレンズマウント295とは第2の規格に準拠している。アダプタマイコン123は第1マウント121およびボディーマウント4を介してボディーマイコン10と電気的に接続されている。
アダプタマイコン123は、アダプタ120に関する情報(アダプタ情報)を記憶している。アダプタ情報には、例えば、アダプタIDやアダプタ長さXs(アダプタ長さに関する情報の一例)が含まれている。アダプタ長さXsは、アダプタ120のZ軸方向の長さであり、より詳細には図18に示すように、第1マウント121の第1マウント面121a(第1の規格の基準面)から第2マウント122の第2マウント面122a(第2の規格の基準面)までの光軸AZに沿った方向の長さである。
(3)交換レンズユニット
交換レンズユニット202は、前述の交換レンズユニット2の規格とは異なる第2の規格に準拠しており、交換レンズユニット2とは異なる長さのレンズバックXbを有している。ここでは、交換レンズユニット202の基本構成は、前述の交換レンズユニット2の基本構成とほぼ同じとするが、フォーカスレンズユニット275の可動範囲に余裕範囲Hが確保されていない点が異なる。つまり、交換レンズユニット202は、コントラストAFに対応していない。
図19に示すように、交換レンズユニット202は、第2レンズ群ユニット277(第2レンズ群ユニット77に対応)と、フォーカスレンズユニット275(フォーカスレンズユニット75に対応)と、レンズマウント295(レンズマウント95に対応)と、レンズマイコン240(レンズマイコン40に対応)と、を有している。フォーカスレンズユニット275は、フォーカスレンズ群として機能する第3レンズ群G3と、第3レンズ群G3を支持する第3レンズ群支持枠256と、を有している。フォーカスレンズユニット275は、フォーカスモータ64により第2レンズ群ユニット277に対してZ軸方向に駆動される。フォーカスレンズユニット275を案内するガイドポール63aは、第2レンズ群ユニット277のガイドポール支持板265に支持されている。ガイドポール支持板265はフォーカスレンズユニット275のZ軸方向負側(撮像センサ11側)に配置されている。フォーカスレンズユニット275のZ軸方向負側の可動範囲は、ガイドポール支持板265により決まっている。
レンズマウント295は第2マウント122に装着される部分である。交換レンズユニット202がカメラ本体3とは異なる規格に準拠しているため、レンズマウント295はボディーマウント4に装着できないおそれがあるが、アダプタ120を用いることで交換レンズユニット202とカメラ本体3とを接続することができる。レンズマウント295、第2マウント122、第1マウント121およびボディーマウント4を介して、レンズマイコン240はボディーマイコン10と電気的に接続されている。
レンズマイコン240のメモリ240aには、交換レンズユニット202に関するレンズ情報が格納されている。レンズ情報には、レンズID、レンズバックXb、対応しているAF方式などの情報が含まれている。また、レンズ情報には、フォーカスレンズユニット275の移動量に対する後側焦点位置の移動量の比である補正係数Kが含まれている。補正係数Kを式で表すと、以下の式(3)のようになる。
(数3)
K=X/Y ・・・(3)
K:補正係数
X:後側焦点位置の移動量(撮像センサ11基準)
Y:フォーカスレンズユニット275の移動量(第2レンズ群ユニット277基準)
例えば、補正係数Kを用いることで、後側焦点位置の移動量Xからフォーカスレンズユニット275の移動量Yを算出することができる。つまり、撮像センサ11に対して交換レンズユニットの後側焦点位置を移動させたい場合に、フォーカスレンズユニット275を撮像センサ11に対してどれくらい移動させればよいかを補正係数Kから求めることができる。なお、本実施形態ではK=1とする。
<フォーカスレンズユニットの位置情報の補正>
前述のように、アダプタ120の長さを式(2)のように短くすることで、余裕範囲Hが確保されていない交換レンズユニットを活用することができる。
しかし、アダプタ120の長さを基準長さXs0よりも短くすることで、交換レンズユニット202の後側焦点位置がZ軸方向負側にずれてしまう。後側焦点位置のずれを補正するためには、フォーカスレンズユニット275をZ軸方向正側に移動させる必要がある。そのため、交換レンズユニット202内でのフォーカスレンズユニット275の位置と被写体距離との関係を、前述の補正係数Kを用いて補正する必要がある。
そこで、図20に示すように、交換レンズユニット202では、被写体距離が0.3m、1m、2mおよび無限遠(∞)における第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置を、それぞれ補正量Ycだけ被写体側にずらすように、フォーカスレンズユニット275の位置情報に対して電気的に補正が行われる。この補正処理は、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正位置情報に変換する処理と言うこともできる。補正量Ycは、後側焦点位置をZ軸方向正側に距離Xcだけ移動させるために必要なフォーカスレンズユニット275の移動量であり、レンズマイコン240によって以下の式(4)で算出される。補正量Ycの算出に際して、例えば、レンズマイコン240は距離Xcをボディーマイコン10から取得する。算出された補正量Ycは、例えばメモリ240aに記憶される。なお、補正量Ycの算出はボディーマイコン10により行われてもよい。
(数4)
Yc=Xc/K ・・・(4)
例えば、マニュアルフォーカス撮影モードの場合、フォーカスリング89の操作角度に応じてフォーカスレンズユニット275が駆動される。具体的には、レンズマイコン240は、フォーカスリング角度検出部90により検出されたフォーカスリング89の回転角度から、フォーカスレンズユニット275の目標位置を算出する。この目標位置は、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の目標位置を意味している。レンズマイコン240は、フォーカスレンズユニット275の目標位置に応じた制御信号をフォーカス駆動制御部41に送信し、フォーカス駆動制御部41は、この制御信号に応じた駆動信号をフォーカスモータ64に送信する。このとき、フォーカスレンズユニット275の目標位置が補正量YcだけZ軸方向正側(被写体側)にずれるように、フォーカスレンズユニット75の目標位置に対してレンズマイコン240の補正部240cが補正処理を行う。補正処理の詳細については後述する。これにより、アダプタ長さXsが基準長さXs0よりも短い場合であっても、フォーカスレンズユニット75が光学的に正しい位置に配置されるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正することができる。
また、電子トラッキングの場合には、トラッキングテーブル100に基づいてレンズマイコン240がズームリング84の回転位置および第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置から被写体距離を求める際に、フォーカスレンズユニット275の現在位置が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正される。
また、トラッキングテーブル100に基づいてレンズマイコン240がズームリング84の回転位置からフォーカスレンズユニット275の目標位置を算出する際に、図14に示すトラッキングテーブル100から求めたフォーカスレンズユニット275の目標位置が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正される。この補正処理をトラッキングテーブルで表すと、図21に示すように、トラッキングテーブル100が被写体側(図21の上側)にシフトしてトラッキングテーブル200のようになる。
このように、交換レンズユニット202が電子トラッキング機能を有している場合、電子トラッキングの精度が低下するのを防止できる。また、マニュアルフォーカス撮影モードにおいて、フォーカスリング89の指示値と実際のフォーカス状態とがずれるのを防止できる。
また、フォーカスレンズユニット275の位置情報から被写体距離を算出する際、焦点距離に対応するフォーカスレンズユニット275の位置が補正量YcだけZ軸方向正側(被写体側)にずれるように、補正部240cによりフォーカスレンズユニット275の位置情報が補正される。この場合、例えば、フォーカスレンズユニット275の位置情報と補正したトラッキングテーブル200とに基づいて被写体距離を算出する。
<フォーカスレンズユニットの可動範囲の補正>
(1)コントラストAFに対応していない交換レンズユニットの場合
さらに、アダプタ120を用いると、フォーカスレンズユニット275の移動範囲を制限する必要がある場合がある。ここでは、交換レンズユニットがコントラストAFに対応していない場合について説明する。
マニュアルフォーカス撮影モードの場合、ユーザーがフォーカスリング89を操作すると、フォーカスリング89の回転角度に応じた距離だけフォーカスレンズユニット275がフォーカスモータ64により駆動される。このとき、移動範囲を制限していなければ、フォーカスレンズユニット275が光学設計により定められた範囲以外の範囲を移動するおそれがある。
例えば、コントラストAFに対応していない交換レンズユニットの場合、図22に示すように、移動範囲M1はリミット位置SL11およびSL12により決定される。このリミット位置SL11およびSL12は、フォーカスレンズユニット275の移動が電気的に制限される位置である。具体的には、交換レンズユニット202と同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で交換レンズユニット202を使用した場合、リミット位置SL12は、無限遠に合焦するときのフォーカスレンズユニット275の位置であり、リミット位置SL12は、最至近に合焦するときのフォーカスレンズユニット275の位置である。すなわち、このリミット位置SL11およびSL12は、交換レンズユニット202と同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で使用した場合のフォーカスレンズユニット275の合焦範囲の両端位置である。このように、従来の交換レンズユニットでは、電気的なリミット位置が焦点調節時に使用される合焦範囲の両端位置である場合が多い。
さらに、移動範囲M1の外側には、フォーカスレンズユニット275の移動が機械的に制限されるリミット位置ML1およびML2が存在する。例えば、交換レンズユニット202では、フォーカスレンズユニット275がガイドポール支持板265と当接する位置がリミット位置ML1に相当する。フォーカスレンズユニット275がリミット位置ML1およびML2を決定している部材に接触して不具合を起こさないように、電気的なリミット位置SL11およびSL12はリミット位置ML1およびML2の内側に配置されている。
このような移動範囲M1を有する交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合、距離Xcだけ各リミット位置が撮像センサ11に対してカメラ本体3側(図22の右側)にずれる。この結果、無限遠側においては、リミット位置SL11が無限遠で焦点が合う位置(∞)の外側(撮像センサ11側)に配置されることになり、光学設計により定められた範囲以外の範囲M19をフォーカスレンズユニット275が移動可能となる。したがって、電気的なリミット位置SL11でフォーカスレンズユニット275が停止するまでフォーカスリング89を動かせば無限遠に合焦するものとユーザーが誤解し、フォーカスレンズユニット275がこの範囲M19に配置された状態で撮影が行われる可能性がある。範囲19は光学設計で想定されていない範囲であるため、この範囲M19を用いると光学特性が低下する可能性がある。
そこで、図22および図23に示すように、マニュアルフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cが移動範囲M1を移動範囲M11に補正する。具体的には、図23の「MF」に示すように、補正部240cがリミット位置SL11をリミット位置SL13に補正する。交換レンズユニット202内におけるリミット位置SL13をリミット位置SL11よりもYcだけZ軸方向正側にずらす。この場合、図22に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL12を補正しない。
このようにフォーカスレンズユニット275の移動範囲(リミット位置)を補正することで、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、ユーザーがフォーカスリング89を大きく操作しても、フォーカスレンズユニット275は電気的なリミット位置SL13で停止され、フォーカスレンズユニット275の移動範囲が光学設計により定められた範囲(ここでは、移動範囲M1)に収まる。
また、オートフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cがリミット位置SL11を新たにリミット位置SL23に設定する。具体的には、図23の「AF1」および「AF2」に示すように、レンズマイコン240の補正部240cによりリミット位置SL11が新たにリミット位置SL23に設定される。このようにして、フォーカスレンズの無限遠位置からリミット位置SL23までの範囲が余裕範囲Hとして確保される。なお、リミット位置SL11をそのままリミット位置SL23として使用してもよい。
例えば無限遠で合焦させる場合は、「AF1」で示すように、フォーカスレンズユニット75がZ軸方向負側(図23の右側)に駆動され、合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。この結果、AF評価値の極大値を検出することができる。その後、AF評価値が極大値となる位置までフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図23の左側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。
また、リードスクリュ64aとラック66とのバックラッシュが大きい場合に、「AF2」で示すように、フォーカスレンズユニット275の反転動作を2回繰り返す。具体的には、フォーカスレンズユニット275が合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。その後、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図23の左側)に駆動され、再度フォーカスレンズユニット275が合焦位置を通過する。その後、フォーカスレンズユニット275がZ軸方向負側に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。これにより、「AF1」で示す動作に比べて、バックラッシュの影響を低減でき、フォーカスレンズユニット275をより正確に合焦位置で停止させることができる。
なお、補正部240cが当初からレンズマイコン240に備えられてない場合は、例えばファームアップにより、このような機能をレンズマイコン240に追加することができる。また、ファームアップ可能な交換レンズユニットが装着された場合には、カメラ本体3の表示部20にファームアップを促す画像やメッセージを表示するようにしてもよい。
このように、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1に対してレンズマイコン240により補正処理が施されるため、光学設計で定められていない範囲以外の範囲M19にフォーカスレンズユニット275が停止し撮影が行われることがない。また、コントラストAF用の余裕範囲Hを有していない場合でも、無限遠側に補正量Ycに相当する余裕範囲H1を確保することができ、交換レンズユニットをコントラストAFに対応させることができる。
(2)コントラストAFに対応している交換レンズユニットの場合
第2の規格に準拠した交換レンズユニットがコントラストAFに対応している場合も、移動範囲の補正が補正部240cにより行われる。
具体的には図24および図25に示すように、この場合の移動範囲M2は、リミット位置SL21およびSL22により決まっている。このリミット位置SL21およびSL22は、フォーカスレンズユニット275の移動が電気的に制限される位置である。この移動範囲M2の外側には、フォーカスレンズユニット275の移動が機械的に制限されるリミット位置ML1およびML2が存在する。
さらに、コントラストAFに対応するために、移動範囲M2の両端には余裕範囲Hが設けられている。余裕範囲Hはリミット位置SL11およびSL12により決まっている。リミット位置SL11およびSL12は、移動範囲M2の内側に位置している。リミット位置SL11は無限遠に対応する位置に配置されており、リミット位置SL12は至近(0.3m)に対応する位置に配置されている。このリミット位置SL11およびSL12は、交換レンズユニットと同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で使用した場合のフォーカスレンズユニット275の合焦範囲の両端位置である。また、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、フォーカスリング89の操作によってフォーカスレンズユニット275が移動可能な範囲はリミット位置SL11およびSL12で電気的に制限される。
このような移動範囲M2を有する交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合、距離Xcだけ各リミット位置がカメラ本体3側(図24の右側)にずれる。一方、前述の補正処理により、無限遠で焦点が合う位置(∞)は交換レンズユニット内においてZ軸方向正側(図24の左側)に補正量Ycだけずれる。この結果、無限遠側においては、リミット位置SL11が無限遠で焦点が合う位置(∞)の外側(撮像センサ11側)に配置されることになり、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、光学設計により定められた範囲以外の範囲M29をフォーカスレンズユニット275が移動可能となる。したがって、電気的なリミット位置SL11でフォーカスレンズユニット275が停止するまでフォーカスリング89を動かせば無限遠に合焦するものとユーザーが誤解し、フォーカスレンズユニット275がこの範囲M29に配置された状態で撮影が行われる可能性がある。範囲29は光学設計で想定されていない範囲であるため、この範囲M29を用いると光学特性が低下する可能性がある。
そこで、図24および図25に示すように、マニュアルフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cが移動範囲M2を移動範囲M21に補正する。具体的には、図25の「MF」に示すように、補正部240cがリミット位置SL11を補正量YcだけZ軸方向正側にずらしたリミット位置SL13に補正する。この場合、図24に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL12を補正しない。
このようにフォーカスレンズユニット275の移動範囲(リミット位置)を補正することで、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、ユーザーがフォーカスリング89を大きく操作しても、フォーカスレンズユニット275は電気的なリミット位置SL13で停止される。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲を光学設計により定められた範囲に収めることができる。
また、リミット位置SL21が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cがリミット位置SL21を補正する。具体的には、図25の「AF1」および「AF2」に示すように、レンズマイコン240の補正部240cによりリミット位置SL21がリミット位置SL23に補正される。この場合、図24に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL22を補正しない。このようにして、焦点を合わせることができる合焦範囲の外側に補正量Ycに相当する余裕範囲H2が確保される。
例えば無限遠で合焦させる場合は、「AF1」で示すように、フォーカスレンズユニット75がZ軸方向負側(図24の右側)に駆動され、合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。この結果、AF評価値の極大値を検出することができる。その後、AF評価値が極大値となる位置までフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図24の左側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。
また、リードスクリュ64aとラック66とのバックラッシュが大きい場合に、「AF2」で示すように、フォーカスレンズユニット275の反転動作を2回繰り返す。具体的には、フォーカスレンズユニット75が合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。その後、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図25の左側)に駆動され、再度フォーカスレンズユニット75が合焦位置を通過する。その後、フォーカスレンズユニット275がZ軸方向負側(図25の右側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。これにより、「AF1」で示す動作に比べて、バックラッシュの影響を低減でき、フォーカスレンズユニット275をより正確に合焦位置で停止させることができる。
なお、補正部240cが当初からレンズマイコン240に備えられてない場合は、例えばファームアップにより、このような機能をレンズマイコン240に追加してもよい。
このように、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M2に対してレンズマイコン240により補正処理が施されるため、光学設計で定められた範囲以外の範囲M29をフォーカスレンズユニット275が移動することがない。また、コントラストAF用の余裕範囲H2を適切な距離に保つことができ、コントラストAFの速度の低減を防止できる。
<デジタルカメラの動作>
デジタルカメラ301の動作について説明する。
(1)撮影モード
このデジタルカメラ301は、2つの撮影モードを有している。具体的には、デジタルカメラ301は、ユーザーがファインダ接眼窓9で被写体を観察するファインダ撮影モードと、ユーザーが表示部20で被写体を観察するモニタ撮影モードと、を有している。
ファインダ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21が液晶ファインダ8を駆動する。この結果、液晶ファインダ8には、撮像センサ11により取得された被写体の画像(いわゆるスルー画像)が表示される。
モニタ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21により表示部20が駆動され、表示部20に被写体の実時間画像が表示される。この2つの撮影モードの切り換えは、撮影モード切り換えボタン34にて行うことができる。
(2)レンズ装着時の補正動作
カメラ本体3は、装着されるアダプタおよび交換レンズユニットに応じて、レンズ動作情報に対して補正を行う必要があるか否か判定する。そこで、交換レンズユニットが装着された際に、補正要否判定および補正処理が行われる。
具体的には図26に示すように、交換レンズユニットが装着されているか否かがボディーマイコン10により確認される(S1)。具体的には、交換レンズユニットを検知するための接点がボディーマウント4に設けられており、この接点を利用してボディーマイコン10は交換レンズユニットの装着の有無を検知する。交換レンズユニットが装着されていない場合、交換レンズユニットの装着の監視が継続される。ここでは、交換レンズユニット202が装着されたと仮定する。
一方、交換レンズユニットの装着が検知された場合、アダプタが装着されているか否かがボディーマイコン10により確認される(S2)。アダプタ120を検出するための接点がボディーマウント4に設けられており、この接点を利用してボディーマイコン10はアダプタ120の装着の有無を検知することができる。ここでは、アダプタ120が装着されたと仮定する。アダプタが装着されていない場合、ボディーマイコン10により交換レンズユニット202のレンズマイコン240からレンズ情報が取得される(S3)。このレンズ情報は、例えば、レンズID、レンズバックXb、対応しているAF方式などの情報を含んでいる。
ステップS3の後、図27に示すように、このレンズ情報に基づいて、ボディーマイコン10により交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応しているか否かが判定される(S13)。装着された交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応している場合、補正判定処理は終了する。一方、交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応していない場合、その旨を示す警告が表示部20に表示され(S14)、フォーカス撮影モードの操作が制限される(S15)。具体的には、フォーカス撮影モード切り換えボタン(図示せず)で選択されたモードに関わらず、ボディーマイコン10によりフォーカス撮影モードがマニュアルフォーカスモードに固定される。その後、補正判定処理が終了する。
アダプタ120がカメラ本体3に装着されており、かつ、交換レンズユニット202がアダプタ120に装着されている場合、ボディーマイコン10によりアダプタ120のアダプタマイコン123からアダプタ情報が取得される(S4)。このアダプタ情報は、例えば、アダプタID、アダプタ長さXsなどの情報を含んでいる。次に、ステップS3と同様に、ボディーマイコン10により交換レンズユニット202のレンズマイコン240からレンズ情報が取得される(S5)。このレンズ情報には、レンズバックXb、交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応していない旨を示す情報が含まれている。
レンズ情報の取得後、ボディーマイコン10の補正判定部10bにより以下の式(5)に示す判定値Vが算出される(S6)。
(数5)
V=Xb−Xa−Xs=Xs0−Xs ・・・(5)
判定値Vの算出後、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かが補正判定部10bにより判定される(S7)。具体的には、算出された判定値Vに基づいて、装着されたアダプタのアダプタ長さが基準長さXs0よりも短いか否かが判定される。例えば、判定値V=0である場合、アダプタ長さXsが基準長さXs0と等しいため、レンズ動作情報に対して補正処理は行われない。
一方、判定値V>0の場合は、アダプタ120のアダプタ長さXsが基準長さXs0よりも短いため、アダプタの長さが基準長さXs0と等しい場合に比べて、交換レンズユニット202がカメラ本体3の近くに配置される。この場合、前述のようにフォーカスレンズユニット275の位置情報に対して補正処理が行われる。具体的には図20に示すように、ボディーマイコン10の補正指令部10dからレンズマイコン240の補正部240cへ位置補正指令が判定値Vとともに送信される。この位置補正指令および判定値Vに基づいて、動作時におけるフォーカスレンズユニット275の目標位置が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240により位置情報に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、目標位置がZ軸方向正側(被写体側)にずれるように位置情報が補正される。判定値V<0である場合、目標位置がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるように位置情報が補正される。本実施形態では、交換レンズユニット202が装着されているため、判定値V>0となり、図20に示すような位置情報の補正が補正部240cにより行われる。
位置情報の補正後、マニュアルフォーカス撮影モードにおけるフォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理が行われる(S10)。具体的には、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へリミット補正指令が判定値Vとともに送信される。このリミット補正指令および判定値Vにより、リミット位置SL11が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240によりリミット位置SL11に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、リミット位置SL11がZ軸方向正側(被写体側)にずれるようにリミット位置SL11が補正される。判定値V<0である場合、リミット位置SL11がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるようにリミット位置Sl11が補正される。本実施形態では、図22または図24に示すように、リミット位置SL11がリミット位置SL13に補正される。また、図22または図24に示すように、補正前のリミット位置SL11に新たにリミット位置SL23が設定される。
移動範囲の補正後、図27に示すように、レンズ情報に基づいてボディーマイコン10により交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応しているか否かが判定される(S11)。交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応している場合、例えば図24に示すように、オートフォーカス撮影モードにおけるフォーカスレンズユニット275の移動範囲M2に対して補正処理が行われる(S12)。例えば、交換レンズユニット202がファームアップによりコントラスト検出方式に対応可能になった場合、交換レンズユニット202においても移動範囲M2が補正される。具体的には、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へリミット補正指令が判定値Vとともに送信される。このリミット補正指令および判定値Vにより、リミット位置SL21が補正される。より詳細には、リミット位置SL21が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240によりリミット位置SL21に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、リミット位置SL21がZ軸方向正側(被写体側)にずれるようにリミット位置SL21が補正される。判定値V<0である場合、リミット位置SL21がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるようにリミット位置SL21が補正される。本実施形態では、図24に示すように、補正部240cによりリミット位置SL21がリミット位置SL23に補正される。補正後、補正判定処理が終了する。
一方、交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応していない場合、前述のように表示部20に警告が表示され(S14)、フォーカス撮影モードの操作が制限される(S15)。その後、補正判定処理が終了する。
このように、このカメラ本体3では、レンズ情報およびアダプタ情報に基づいて、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かが判定され、必要に応じて、レンズ動作情報に対して補正処理が行われる。これにより、このカメラ本体3では、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
なお、交換レンズユニット202がアダプタ120から取り外された場合には、補正されたレンズ動作情報は補正前の状態に戻る。このとき、補正後のレンズ動作情報がレンズマイコン240の揮発性メモリに一時的に格納されるか、あるいは、リアルタイムでレンズ動作情報が補正されることが考えられる。
(3)ズーム動作
次に、ユーザーがズーム操作を行う際の交換レンズユニット2の動作を説明する。
ユーザーによりズームリング84が回転操作されると、ズームリング84とともにカム筒51が回転する。カム筒51が光軸AZ周りに回転すると、第1ホルダー52は、カム筒51の第1カム溝51dに案内され、Z軸方向に直進する。また、第2ホルダー55および第4レンズ群支持枠61も、カム筒51の第2カム溝51bおよび第3カム溝51cに案内され、Z軸方向に直進する。よって、ズームリング84を回転操作することにより、交換レンズユニット2の状態を、図5および図6に示す広角端の状態から図7および図8に示す望遠端の状態まで変化させることができる。これにより、ズームリング84の回転位置を調節することで、所望のズーム位置にて被写体を撮影することが可能となる。
このとき、ズームリング84の回転操作により第2ホルダー55はZ軸方向に機械的に駆動されるが、フォーカスレンズユニット275のみは、被写体距離が実質的に一定に保たれるように、メモリ240aに予め記憶されたトラッキングテーブル100に基づき、フォーカス調節ユニット72により電気的に駆動制御される。例えば、トラッキングテーブル100に基づいてフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275を駆動することで、広角端から望遠端に移動した場合や望遠端から広角端に移動した場合も、無限遠にて合焦した状態を維持する。ここでは、基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、前述のように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正されている。このため、フォーカスレンズユニット275の駆動は補正後の位置情報に基づいて行われる。実質的には、図21に示すトラッキングテーブル200に基づいて、電子トラッキングが行われる。
例えば、ズームリング84が回転操作されると、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4が光軸AZに沿ってZ軸方向に移動する。これにより、被写体像の倍率が変化する。このとき、第3レンズ群G3も第3レンズ群支持枠56を介して第2ホルダー55に支持された状態で光軸AZに沿ってZ軸方向に移動する。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4の相対的な位置関係が変化すると、撮像センサ11上に結像する被写体像のフォーカス状態も変化する。つまり、撮像センサ11上に焦点を結んでいる被写体距離が変化する。
そこで、このデジタルカメラ301では、ズームリング84の回転位置に応じてフォーカスモータ64を駆動することで、焦点距離が変化しても被写体距離を実質的に一定に保つことができる。具体的には、フォーカスモータ64のみを用いて、第3レンズ群G3を含むフォーカスレンズユニット275を第2レンズ群ユニット277に対して移動させる。レンズマイコン240は、リニアポジションセンサ87の検出信号に基づいて現在のズームリング84の回転位置を取得する。それと同時に、レンズマイコン240は、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置を、カウンタ40bでのカウント値から算出する。これら2つの情報(現在のズームリング84の回転位置、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置)から、図14に示す複数のトラッキングテーブル100を利用して、レンズマイコン240は、現在の被写体距離を求める。このとき、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置が、補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正される。被写体距離を求める際は、補正後のフォーカスレンズユニット275の位置情報が用いられる。レンズマイコン240は、求められた被写体距離に対応するトラッキングテーブル100を選択する。ここでは、無限遠に対応するトラッキングテーブル100が選択されたとする。
次に、レンズマイコン240は、ズームリング84の回転位置を再度取得し、ズームリング84の回転位置の変化量からズームリング84の回転速度、すなわち焦点距離の変化速度を求める。
続いて、レンズマイコン240は、ズームリング84の現在の回転角度とズームリング84の回転速度とから、所定時間経過後のズームリング84の回転位置を予測し、選択されたトラッキングテーブル100に基づいて、予測したズームリング84の回転位置に対応するフォーカスレンズユニット275のZ軸方向の位置を目標位置として求める。求められた目標位置は、補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正される。所定時間経過後にフォーカスレンズユニット275がこの補正された目標位置に位置するように、レンズマイコン240はフォーカス駆動制御部41を介してフォーカスモータ64を駆動する。これにより、アダプタ120のアダプタ長さが基準長さXs0よりも短い場合であっても、フォーカスレンズユニット275が他のレンズ群の移動に追従するように駆動され、被写体距離が一定に保たれる。
このように電子トラッキング動作においては、レンズマイコン240は、変倍動作に伴う焦点距離の変化を予測して、予測された焦点距離に対応するフォーカスレンズユニット275の目標位置をトラッキングテーブル100から取得する。このとき、基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、この目標位置が補正部240cにより補正される。光学系Lの変倍動作と並行して、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275が補正後の目標位置へ駆動される。この動作を所定の時間間隔で実行するため、ズームリング84が回転操作されて光学系Lの焦点距離が変化しても、フォーカスレンズユニット275がトラッキングテーブル100に基づいて焦点距離に応じたZ軸方向位置に移動し、焦点距離の変化にフォーカスレンズユニット275の駆動を追従させることができる。これにより、焦点距離が変化に関わらず被写体距離を実質的に一定に保つことができる。なお、これらの制御は、レンズマイコン240ではなく、ボディーマイコン10が行ってもよい。
同様に、例えば焦点が合う被写体距離が1mなどの近距離である場合、被写体距離が1mであるトラッキングテーブル100が選択され、広角端から望遠端に移動した場合あるいは望遠端から広角端に移動した場合も、フォーカスモータ64の駆動により、近距離にて合焦した状態を維持することができ、スムーズな変倍動作を行うことが可能となる。
とりわけ、フォーカスレンズユニット275およびフォーカスモータ64が第2レンズ群ユニット277と一体でZ軸方向に移動するようになっているため、ユーザーによりズームリング84が素早く操作された場合でも、フォーカスレンズユニット275を第2レンズ群ユニット277と一体で移動させることができる。したがって、変倍動作の前後で被写体距離を実質的に一定に保ちたい場合に、フォーカスモータ64は、撮像センサ11に対して第3レンズ群G3が移動すべき距離から撮像センサ11に対して第2レンズ群G2がカム機構により移動する距離を差し引いた距離だけ、第3レンズ群G3を移動させればよい。これにより、ユーザーによるズームリング84の高速操作への対応が容易となる。
また、本実施形態においては、広角端から望遠端まで変倍動作が行われると、被写体距離が無限遠の状態では、フォーカスレンズユニット275(より詳細には、フォーカスレンズ群である第3レンズ群G3)を撮像センサ11に対して3mm程度、Z軸方向に移動させる必要がある。フォーカスモータ64を800ppsで駆動する場合、先述したようにフォーカスモータ64の1回転あたりのフォーカスレンズユニット275の移動量が0.6mmであるため、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズユニット275をZ軸方向に3mmだけ移動させるために0.25秒かかる。広角端から望遠端までフォーカスレンズユニット275を約0.25秒で移動させることが可能であるため、ユーザーがズームリング84を広角端から望遠端まで0.5秒で回したとしても、焦点距離の変化にフォーカスレンズユニット275の駆動を追従させることができる。これにより、例えばライブビューモード時にユーザーが表示部20で被写体を確認しながら素早い変倍動作を行っても、表示部20に映し出される被写体像のピンぼけが発生しにくくなり、使い勝手がよくなる。
(4)フォーカス動作
次に、デジタルカメラ301のフォーカス動作について説明する。デジタルカメラ301は、オートフォーカス撮影モードおよびマニュアルフォーカス撮影モードの2つのフォーカスモードを有している。デジタルカメラ301の操作を行うユーザーは、カメラ本体3に設けられたフォーカス撮影モード設定ボタン(図示せず)により、フォーカスモードを選択することができる。
オートフォーカス撮影モード時においては、コントラスト検出方式を用いたオートフォーカス動作が行われる。コントラスト検出方式のオートフォーカス動作を行う際には、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240に対して、コントラストAF用データを要求する。コントラストAF用データは、コントラスト検出方式のオートフォーカス動作の際に必要なデータであり、例えば、フォーカス駆動速度、フォーカスシフト量、像倍率、対応しているAF方式などが含まれる。これらの情報は、前述のレンズ情報として、メモリ240aに格納されている。
ボディーマイコン10は、シャッターボタン30が半押しされるかどうかを監視する。シャッターボタン30が半押しされた場合、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240に対して、オートフォーカス開始命令を発信する。オートフォーカス開始命令は、コントラスト検出方式によるオートフォーカス動作を開始する旨を示している。この命令を受けて、レンズマイコン240は、フォーカス用のアクチュエータであるフォーカスモータ64を駆動制御する。より詳細には、レンズマイコン240はフォーカス駆動制御部41へ制御信号を送信する。この制御信号に基づいて、フォーカス駆動制御部41によりフォーカスモータ64が駆動され、フォーカスレンズユニット275が微動する。
ボディーマイコン10は、受信した画像データに基づいて、オートフォーカス動作用の評価値(以下、AF評価値という)を算出する。具体的には、ボディーマイコン10は、デジタル信号処理部15へ命令を送信する。デジタル信号処理部15は、受信した命令に基づいて所定のタイミングで画像信号をボディーマイコン10へ送信する。ボディーマイコン10は、撮像センサ11で生成された画像データから輝度信号を求め、輝度信号の画面内における高周波成分を積算して、AF評価値を求める。算出されたAF評価値は、露光同期信号と関連付けた状態でDRAM(図示せず)に保存される。ボディーマイコン10がレンズマイコン240から取得したレンズ位置情報も露光同期信号と関連付けられているため、ボディーマイコン10は、AF評価値をレンズ位置情報と関連付けて保存することができる。基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、レンズマイコン240からボディーマイコン10が取得したレンズ位置情報は、例えば補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正されている。このようなフォーカスレンズユニット275の位置情報に対する補正処理は、ボディーマイコン10により行われてもよい。
次に、ボディーマイコン10は、DRAMに保存されたAF評価値に基づいて、AF評価値が極大値となるフォーカスレンズユニット275の位置を合焦点として抽出する。合焦点を抽出する際のフォーカスレンズユニット275の駆動方式としては、一般的には山登り方式が知られている。山登り方式では、AF評価値が増大する方向へフォーカスレンズユニット275を移動させ、フォーカスレンズユニット275の位置ごとのAF評価値を求める。この動作を、AF評価値の極大値が検出されるまで、すなわち、AF評価値が増大して一旦ピークに達してから減少し始めるまで続ける。
ボディーマイコン10は、抽出した合焦点に対応する位置までフォーカスレンズユニット275が駆動されるように、レンズマイコン240を介して制御信号をフォーカス駆動制御部41へ送信する。フォーカス駆動制御部41は、例えばボディーマイコン10(または、レンズマイコン240)からの制御信号に基づいて、フォーカスモータ64を駆動するための駆動パルスを生成する。この駆動信号に応じた駆動量だけフォーカスモータ64が駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦点に対応する位置までZ軸方向に移動する。
以上のようにして、デジタルカメラ301のオートフォーカス撮影モードによるフォーカシングが行われる。以上の動作は、ユーザーのシャッターボタン30の半押し操作後、瞬時に実行される。
なお、コントラスト検出方式によるフォーカシングは、撮像センサ11で実時間の画像データを生成できるモニタ撮影モード(いわゆる、ライブビューモード)で動作し得る。なぜなら、ライブビューモードでは、定常的に、撮像センサ11で画像データを生成しており、その画像データを用いたコントラスト検出方式のオートフォーカス動作をするのが容易だからである。
ライブビューモードでは、被写体の実時間画像が表示部20に表示されるので、ユーザーは、表示部20を見ながら静止画あるいは動画を撮るための構図を決めることができる。また、表示部20を用いてライブビューモードの他に、ユーザーが選択できる撮影モードとしては、交換レンズユニット2からの被写体像を液晶ファインダ8(ファインダ部38)に導く第2のライブビューモード(ファインダ撮影モード)もある。
次に、マニュアルフォーカス撮影モードについて説明する。
ユーザーによりフォーカスリング89が回転操作されると、フォーカスリング角度検出部90は、フォーカスリング89の回転角度を検出し、その回転角度に応じた信号を出力する。フォーカス駆動制御部41は、レンズマイコン240を介してフォーカスリング角度検出部90から回転角度信号を受信可能であり、この回転角度信号に基づいてフォーカスモータ64の駆動信号を生成する。このとき、例えば補正部240cによりフォーカスレンズユニット275の目標位置が補正される。具体的には、補正部240cにより補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように目標位置が補正される。補正後の目標位置に対応する駆動信号がフォーカス駆動制御部41により生成される。この駆動信号に応じてフォーカスモータ64のリードスクリュ64aが回転する。フォーカスモータ64のリードスクリュ64aが回転すると、リードスクリュ64aと噛み合うラック66を介してフォーカスレンズユニット275がZ軸方向に移動する。図5および図6に示す広角端の状態では、被写体距離は無限遠であるが、被写体距離が近くなるにしたがって、フォーカスレンズユニット275は、Z軸方向正側へ移動する。同様に、図7および図8に示す望遠端の状態では、被写体距離は無限遠であるが、被写体距離が短くなるにしたがって、フォーカスレンズユニット275は、Z軸方向正側に移動する。広角端の場合に比べ、この場合のフォーカスレンズユニット275の移動量は多くなる。
以上のようにして、ユーザーは、表示部20において被写体を確認しながらフォーカスリング89を回転してフォーカシングを行うことができる。マニュアルフォーカス撮影モードにおいて、ユーザーがシャッターボタン30を全押しすると、その状態のまま撮影が行われる。
(5)静止画撮影
ユーザーによりシャッターボタン30が全押しされると、撮像センサ11の測光出力に基づいて計算された絞り値に光学系Lの絞り値が設定されるように、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へ命令が送信される。そして、レンズマイコン240により絞り駆動制御部42が制御され、指示された絞り値まで絞りユニット62を絞り込む。絞り値の指示と同時に、撮像センサ駆動制御部12から撮像センサ11へ駆動命令が送信され、シャッターユニット33の駆動命令が送信される。撮像センサ11の測光出力に基づいて計算されたシャッタースピードの時間だけ、シャッターユニット33により撮像センサ11が露光される。
ボディーマイコン10は、撮影処理を実行し、撮影が終了すると、画像記録制御部19に制御信号を送信する。画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号を内部メモリおよび/またはリムーバブルメモリに記録する。画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号とともに撮影モードの情報(オートフォーカス撮影モードかマニュアルフォーカス撮影モードか)を、内部メモリおよび/またはリムーバブルメモリに記録する。
さらに、露光完了後、撮像センサ駆動制御部12は、撮像センサ11から画像データを読み出し、所定の画像処理後、ボディーマイコン10を介して画像表示制御部21へ画像データが出力される。これにより、表示部20へ撮影画像が表示される。
また、露光終了後、ボディーマイコン10により、シャッターユニット33が初期位置にリセットされる。また、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へ絞りユニット62を開放位置にリセットするよう絞り駆動制御部42に命令が下され、レンズマイコン240から各ユニットへリセット命令が下される。リセット完了後、レンズマイコン240は、ボディーマイコン10にリセット完了を伝える。ボディーマイコン10は、レンズマイコン240からリセット完了情報を受信した後であって、かつ、露光後の一連の処理が完了した後に、シャッターボタン30が押されていないことを確認し、撮影シーケンスを終了する。
(6)動画撮影
デジタルカメラ301は、動画を撮影する機能も有している。動画撮影モードでは、一定の周期で撮像センサ11により画像データが生成され、生成される画像データを利用してコントラスト検出方式によるオートフォーカスが継続的に行われる。動画撮影モードにおいて、シャッターボタン30が押される、あるいは動画撮影操作ボタン24が押されると、画像記録部18に動画が記録され、シャッターボタン30、あるいは動画撮影操作ボタン24が再度押されると、画像記録部18での動画の記録が停止する。
<カメラ本体の特徴>
以上に説明したカメラ本体3の特徴は以下の通りである。
(1)
このカメラ本体3では、フランジバックXaが交換レンズユニット202のレンズバックXbよりも短いため、交換レンズユニット202と同じ規格に準拠しているカメラ本体に比べて、小型化を図ることができる。
さらに、フランジバックXaがレンズバックXbからアダプタ長さXsを差し引いた長さよりも短い。言い換えると、アダプタ長さXsが、レンズバックXbからフランジバックXaを差し引いた基準長さXs0よりも短い。このため、交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合に、交換レンズユニット202の位置がカメラ本体3に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1のカメラ本体3側(本実施形態では、無限遠側)に余裕範囲Hを確保することができる。つまり、余裕範囲Hを有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
以上より、このカメラ本体3では、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
(2)
このカメラ本体3では、ボディーマイコン10の補正判定部10bにより、フランジバックXa、レンズバックXbおよびアダプタ長さXsに基づいて、フォーカスレンズの動作に関するレンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定できる。このため、例えば、他の規格に準拠した交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合でも、互換性を確保することができる。
ここで、レンズ動作情報としては、前述のように、例えば、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275のZ軸方向(光軸AZ方向)の位置情報、撮像センサ11に対するフォーカスレンズユニット75の位置情報、および、フォーカスレンズユニット275のZ軸方向の可動範囲(より詳細には、リミット位置)が考えられる。
(3)
このカメラ本体3では、フランジバックXa、レンズバックXbおよびアダプタ長さXsから補正判定部10bが判定値Vを算出するため、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定しやすくなる。
(4)
このカメラ本体3では、補正判定部10bの判定結果に基づいて、ボディーマイコン10の補正指令部10dがレンズマイコン240の補正部240cに位置補正指令を送信する。この位置補正指令に基づいて補正部240cがフォーカスレンズユニット275の位置情報に対して補正処理を行うため、撮像センサ11に対するフォーカスレンズユニット275の光軸方向の位置が光学設計上の位置からずれないように、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正することができる。これにより、このカメラ本体3では、規格が異なる交換レンズユニットを活用することが可能となり、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
また、位置補正指令とともに判定値Vがボディーマイコン10からレンズマイコン240に送信されるため、レンズマイコン240が補正量を容易に認識することができる。
(5)
また、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理を行うように、補正判定部10bの判定結果に基づいて、補正指令部10dがレンズマイコン240の補正部240cにリミット補正指令を送信する。このリミット補正指令に基づいて、補正部240cはフォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理を行う。これにより、フォーカスレンズユニット275が光学設計により定められた範囲以外の範囲(M19あるいはM29)を移動することがない。また、コントラストAF用の余裕範囲H1あるいはH2を適切な距離に保つことができ、コントラストAFの速度の低減を防止できる。
また、リミット補正指令とともに判定値Vがボディーマイコン10からレンズマイコン240に送信されるため、レンズマイコン240が補正量を容易に認識することができる。
<アダプタの特徴>
アダプタ120の特徴は以下の通りである。
(1)
このアダプタ120では、アダプタ長さXsがレンズバックXbからフランジバックXaを差し引いた基準長さXs0よりも短い。このため、交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合に、交換レンズユニット202の位置がカメラ本体3に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1のカメラ本体3側(本実施形態では、無限遠側)に余裕範囲Hを確保することができる。つまり、余裕範囲Hを有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
以上より、このアダプタ120では、カメラ本体の小型化を図りつつ、カメラ本体と交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
(2)
このアダプタ120では、アダプタ長さXsがアダプタマイコン123に予め記憶されているため、レンズ動作情報に対する補正処理の要否を判定する際にアダプタ長さXsを利用することができ、補正処理の要否を正確に判定することができる。
また、アダプタ長さXsがアダプタマイコン123に予め記憶されているため、判定値Vを容易に算出することができ、補正量を容易に把握することができる。
[他の実施形態]
本発明の実施形態は、前述の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正および変更が可能である。また、前述の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
(1)
前述の実施形態では、デジタルカメラは静止画および動画の撮影が可能であるが、静止画撮影のみ、あるいは、動画撮影のみ可能であってもよい。
(2)
前述のデジタルカメラ1はクイックリターンミラーを有していないが、従来の一眼レフカメラのようにクイックリターンミラーが搭載されていてもよい。
また、カメラ本体3はコントラスト検出方式にのみ対応しているが、コントラスト検出方式に加えて位相差検出方式に対応していてもよい。
(3)
光学系Lの構成は前述の実施形態に限定されない。例えば、第3レンズ群G3が複数のレンズから構成されていてもよいし、第2レンズ群G2が単一のレンズから構成されていてもよい。
(4)
前述の実施形態では、シャッターユニット33を動作させることにより撮像センサ11への露光時間を制御しているが、電子シャッターにより撮像センサ11の露光時間を制御してもよい。
(5)
前述の実施形態では、レンズマイコン40により電子トラッキングが行われるが、ボディーマイコン10からレンズマイコン40に命令が送信され、その命令に基づいて電子トラッキングの制御が行われてもよい。
(6)
前述の第3〜第5実施形態は、別々の実施形態として記載されているが、各実施形態の構成を組み合わせてもよい。
(7)
前述の実施形態では、Xs=Xs0−Xcであるが、以下の式(6)を満たしていれば、カメラ本体3と同様の効果を得ることができる。
(数6)
Xs≦Xb−Xa−Xc=Xs0−Xc ・・・(6)
(8)
交換レンズユニット202はコントラスト検出方式に対応していないが、コントラスト検出方式に対応している交換レンズユニットであってもカメラ本体3に装着することができる。
(9)
前述の実施形態では、レンズマイコン240の補正部240cがレンズ動作情報を補正しているが、カメラ本体3のボディーマイコン10がレンズ動作情報を補正してもよい。
例えば、前述の実施形態では、式(4)に基づいてレンズマイコン240により補正量Ycが算出されているが、ボディーマイコン10が補正量Ycを算出する機能を有していてもよい。この場合、ボディーマイコン10は、各交換レンズユニットの補正係数Kを予め格納しているか、あるいは、装着されたレンズマイコン240から補正係数Kを取得する。ボディーマイコン10は距離Xcおよび補正係数Kを用いて式(4)に基づいて補正量Ycを算出する。
さらに、ボディーマイコン10は、装着される交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合していない場合に、その交換レンズユニットの規格に応じて、補正量Ycを用いてフォーカスレンズユニット275の位置情報を補正するように構成されていてもよい。補正処理が実行される場合としては、例えば、フォーカスレンズユニット275の位置情報をレンズマイコン240と送受信する場合が考えられる。
具体的には、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240からフォーカスレンズユニット275の位置情報を受信すると、例えば、位置情報が示すフォーカスレンズユニット275の位置がZ軸方向正側に補正量Ycだけシフトするように、受信した位置情報を補正する。この補正処理は、受信した位置情報を、ボディーマイコン10で用いられる補正位置情報に変換する処理とも言える。
また、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240にフォーカスレンズユニット275の位置情報を送信する際に、例えば、位置情報が示すフォーカスレンズユニット275の位置がZ軸方向負側に補正量Ycだけシフトするように、送信する位置情報を補正する。この補正処理は、ボディーマイコン10で用いられる補正位置情報を、レンズマイコン240で用いられる元の位置情報に変換する処理とも言える。
ここで説明したボディーマイコン10では、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合する場合と、交換レンズユニットの規格がカメラ本体の規格と整合しない場合と、で同じ被写体距離に対応するフォーカスレンズの位置情報を異ならせていることになる。例えば、上記のような補正処理を行うことで、カメラ本体3で用いられる無限遠に対応するフォーカスレンズの位置情報が、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合する場合と、交換レンズユニットの規格がカメラ本体の規格と整合しない場合と、で異なっている。言い換えると、フォーカスレンズの位置情報を交換レンズユニットの規格に応じて異ならせる機能をカメラ本体3が有していれば、上記の補正部をカメラ本体3が備えていることになる。
なお、ボディーマイコン10が上記の補正機能を当初から有していない場合であっても、ファームアップによりボディーマイコン10に補正機能が追加されることも考えられる。
(10)
前述の実施形態では、アダプタマイコン123には、アダプタ長さに関する情報としてアダプタ長さXsが記憶されているが、アダプタ長さXsに加えてレンズバックに関する情報が記憶されていてもよい。レンズバックに関する情報には、例えば、アダプタ120に装着可能な交換レンズユニットのレンズID(交換レンズユニットに関する情報の一例)およびレンズバックが含まれている。この場合、レンズIDおよびレンズバックは関連付けられてアダプタマイコン123に記憶されている。複数のレンズバックがレンズIDとともにアダプタマイコン123に記憶されていてもよい。
例えば、交換レンズユニット202の場合であれば、交換レンズユニット202のレンズIDおよびレンズバックXbがアダプタマイコン123に記憶されている。交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着されると、アダプタマイコン123に記憶されているレンズIDおよびレンズバックXbがカメラ本体3のボディーマイコン10に送信される。
ボディーマイコン10は、アダプタ120から取り込んだレンズIDおよびレンズバックの中から、交換レンズユニット202のレンズIDに対応するデータを選択する。選択されたデータは、選択されたデータは前述の補正要否の判断処理や補正処理に用いられる。このように、アダプタ120にアダプタマイコン123にアダプタ長さに関する情報を予め格納しておくことで、交換レンズユニット202のレンズマイコン240がレンズバックに関する情報を記憶していなくても、前述の補正要否の判断処理や補正処理を行うことができる。
また、アダプタマイコン123に判定値Vが記憶されていてもよい。判定値Vは、前述のように、交換レンズユニット202のレンズバックXb、カメラ本体3のフランジバックXaおよびアダプタ長さXsから式(5)を用いて算出することができる。この判定値Vに対応する交換レンズユニットのレンズIDおよびカメラ本体のカメラIDが判定値Vと関連付けられてアダプタマイコン123に記憶されている。交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着されると、アダプタマイコン123に記憶されている判定値V、レンズIDおよびカメラIDがカメラ本体3のボディーマイコン10に送信される。
ボディーマイコン10は、アダプタ120から取り込んだ判定値V、レンズIDおよびカメラIDの中から、交換レンズユニット202のレンズIDおよびカメラ本体3のカメラIDに対応するデータを選択する。選択されたデータは前述の補正要否の判断処理や補正処理に用いられる。このように、判定値Vをアダプタ120のアダプタマイコン123に予め格納しておくことで、交換レンズユニット202のレンズマイコン240がレンズバックに関する情報を記憶していなくても、前述の補正要否の判断処理や補正処理を行うことができる。
以上に説明した技術によれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保できるカメラ本体および撮像装置を提供することができる。また、以上に説明した技術によれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができるアダプタを提供することができる。したがって、以上に説明した技術は、互換性の確保が望まれる交換レンズ式デジタルカメラのような撮像装置に好適である。
1 デジタルカメラ(撮像装置の一例)
2 交換レンズユニット
3 カメラ本体
3a 筐体
4 ボディーマウント(マウント部の一例)
10 ボディーマイコン(位置情報取得部の一例、補正部の一例)
10b 補正判定部
11 撮像センサ(撮像素子の一例)
40 レンズマイコン
100 トラッキングテーブル
120 アダプタ
121 第1マウント
122 第2マウント
123 アダプタマイコン(記憶部の一例)
240 レンズマイコン
240c 補正部
L 光学系
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ(フォーカスレンズの一例)
L7 第7レンズ
Xa フランジバック
Xb レンズバック、フランジバック
H 余裕範囲
Xs アダプタ長さ
Xs0 基準長さ
V 判定値
【書類名】 明細書
【発明の名称】 カメラ本体、アダプタおよび撮像装置
【技術分野】
【0001】
技術分野は、交換レンズ式の撮像装置に用いられるカメラ本体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラなどの撮像装置が急速に普及している。デジタルカメラとして、デジタル一眼レフカメラが知られている。このデジタル一眼レフカメラでは、光学ファインダを用いて被写体を観察する場合、光学系に入射した光(すなわち被写体像)が光路上に配置されたクイックリターンミラーにより反射され、ファインダ光学系に導かれる。この結果、ペンタプリズム等を介して被写体像が正立像に変換され、光学ファインダに導かれる。これにより、撮影者は光学系により形成された被写体像を光学ファインダから観察することができる。
一方、光学系を撮影用として使用する場合は、クイックリターンミラーが撮影用光路から待避する。この結果、ファインダ用光路が撮影用光路に切り換えられ、撮影が終了するとクイックリターンミラーは定位置に瞬時に戻る。この方式は、一眼レフ方式であれば、従来の銀塩カメラでも、デジタルカメラでも同様である。
【0003】
しかし、光学ファインダを用いての撮影は、デジタルカメラの撮影に不慣れな初心者にとっては、非常に使いにくい。
そこで、撮影時に液晶モニタにより被写体を観察できるモニタ撮影モード(いわゆる、ライブビュー撮影モード)を有する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−125173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のデジタル一眼レフカメラは、クイックリターンミラーを有しているため、交換レンズユニットが装着されるカメラ本体のフランジバックが長くなる。フランジバックが長くなると、光学系が搭載された交換レンズユニットのサイズも大きくなるため、従来のデジタル一眼レフカメラは小型化が困難である。
そこで、クイックリターンミラーを使用しないデジタルカメラが検討されている。このデジタルカメラでは、クイックリターンミラーのためのスペースを設ける必要がないため、カメラ本体のフランジバックを短くすることができ、この結果、カメラ本体の小型化が可能となる。
しかし、カメラ本体のフランジバックが短くなると、クイックリターンミラーを有するフランジバックの長い従来のカメラ本体に対応した交換レンズユニットとの互換性が確保できなくなる。つまり、フランジバックを短くしたカメラ本体で、過去に購入した交換レンズユニットの活用を図ることができない場合がある。
【0006】
そこで、交換レンズユニットとカメラ本体との互換性を確保するために、アダプタを用いることが考えられる。
しかし、例えば、カメラ本体で採用されているオートフォーカス方式がコントラスト検出方式である場合、AF評価値の極大値を検出するためにフォーカスレンズを光軸方向に余分に移動させる必要がある。過去の交換レンズユニットは、コントラスト検出方式への対応を想定しておらず、フォーカスレンズの可動範囲に余裕範囲が設けられていないことが多い。したがって、フォーカスレンズの動作をコントラスト検出方式にて制御したとしても、装着される交換レンズユニットによっては、フォーカスレンズが機械的に移動できない領域ができてしまい、この結果、オートフォーカスを行えないおそれがある。
このように、カメラ本体の小型化を図ると、過去に購入した交換レンズユニットを活用できなくなるおそれがある。
【0007】
ここに開示された技術であれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができるカメラ本体および撮像装置を提供することができる。
さらに、ここに開示された技術であれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットおよびカメラ本体の互換性を確保できるアダプタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示されたカメラ本体は、交換レンズユニットがアダプタを介して装着可能である。このカメラ本体は、筐体と、撮像素子と、マウント部と、を備えている。撮像素子は、筐体に収容されており、被写体の画像信号を取得する。マウント部は、筐体に固定されており、アダプタが装着可能な部分である。マウント部は、撮像素子の受光面からフランジバックだけ離れた位置に配置されている。交換レンズユニットのレンズバックはフランジバックよりも長い。フランジバックは、レンズバックからアダプタの光軸方向の長さであるアダプタ長さを差し引いた長さよりも短い。
このカメラ本体では、フランジバックが交換レンズユニットのレンズバックよりも短いため、この交換レンズユニットと同じ規格に準拠しているカメラ本体に比べて、小型化を図ることができる。
【0009】
さらに、フランジバックがレンズバックからアダプタ長さを差し引いた長さよりも短い。言い換えると、アダプタ長さが、レンズバックからフランジバックを差し引いた基準長さよりも短い。このため、交換レンズユニットがアダプタを介してカメラ本体に装着された場合に、交換レンズユニットをカメラ本体に対して、より近くに配置することができる。これにより、例えば、交換レンズユニットのフォーカスレンズの可動範囲に、コントラスト検出方式のための余裕範囲を確保することができる。つまり、余裕範囲を有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
以上より、このカメラ本体およびこのカメラ本体を備えた撮像装置では、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
ここに開示されたアダプタは、レンズバックを有する交換レンズユニットとフランジバックを有するカメラ本体とを接続可能である。このアダプタは、第1マウント部と、第2マウント部と、を備えている。第1マウント部はカメラ本体に装着可能である。第2マウント部は、交換レンズユニットに装着可能であり、第1マウント部からアダプタ長さだけ離れた位置に配置されている。フランジバックはレンズバックよりも短い。アダプタ長さは、レンズバックからフランジバックを差し引いた基準長さよりも短い。
【0010】
このアダプタでは、アダプタ長さがレンズバックからフランジバックを差し引いた基準長さよりも短い。このため、交換レンズユニットがアダプタを介してカメラ本体に装着された場合に、交換レンズユニットの位置がカメラ本体に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、例えば、交換レンズユニットのフォーカスレンズユニットの可動範囲に、コントラスト検出方式のための余裕範囲を確保することができる。つまり、余裕範囲を有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
以上より、このアダプタでは、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができる。
また、ここに開示された別のカメラ本体は、外部ユニットを装着可能である。このカメラ本体は、外部ユニットを装着するためのボディーマウントと、ボディーマウントに装着される外部ユニットに応じて外部ユニットに含まれるフォーカスレンズの位置情報を補正する補正部と、を備えている。
【0011】
このカメラ本体では、外部ユニットがボディーマウントに装着されると、外部ユニットに応じてフォーカスレンズの位置情報が補正部により補正される。したがって、カメラ本体と異なる規格の外部ユニットが装着されても、フォーカスレンズの位置情報をカメラ本体に対応させることができ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上に説明した技術によれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保できるカメラ本体および撮像装置を提供することができる。また、以上に説明した技術によれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができるアダプタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】デジタルカメラの概略構成図
【図2】カメラ本体の構成を示すブロック図
【図3】デジタルカメラの概略斜視図
【図4】(A)カメラ本体の上面図、(B)カメラ本体の背面図
【図5】交換レンズユニットの断面図(広角端)
【図6】交換レンズユニットの断面図(広角端)
【図7】交換レンズユニットの断面図(望遠端)
【図8】交換レンズユニットの断面図(望遠端)
【図9】第2レンズ群ユニットおよびフォーカスレンズユニットの分解斜視図
【図10】第2レンズ群ユニットおよびフォーカスレンズユニットの分解斜視図
【図11】フォーカスレンズユニットの部分斜視図
【図12】(A)光学系の構成図(広角端)、(B)光学系の構成図(望遠端)
【図13】ズームリングの回転角度と各部材の撮像センサからの距離との関係を示すグラフ
【図14】ズームレンズ系を実現するためのトラッキングテーブル
【図15】(A)、(B)デジタルカメラの概略図
【図16】デジタルカメラの概略図
【図17】(A)〜(D)コントラストAFでのフォーカスレンズユニットの動作
【図18】デジタルカメラの概略図
【図19】デジタルカメラの概略構成図
【図20】位置情報の補正処理の説明図
【図21】トラッキングテーブルの補正処理の説明図
【図22】可動範囲の補正処理の説明図
【図23】可動範囲の補正処理の説明図
【図24】可動範囲の補正処理の説明図
【図25】可動範囲の補正処理の説明図
【図26】補正判定処理のフローチャート
【図27】補正判定処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
<デジタルカメラの概要>
図1〜図13を用いて、デジタルカメラ1について説明する。図1はデジタルカメラ1の概略構成図である。図1に示すように、デジタルカメラ1(撮像装置の一例)は、交換レンズ式のデジタルカメラであり、主に、カメラ本体3と、カメラ本体3に取り外し可能に装着された交換レンズユニット2と、を備えている。交換レンズユニット2は、レンズマウント95を介して、カメラ本体3の前面に設けられたボディーマウント4に装着されている。カメラ本体3および交換レンズユニット2は、同じ規格に準拠している。
ここで、規格とは、カメラ本体において交換レンズユニットを装着して使用可能とするための取り決めである。規格においては、まず、ボディーマウントがレンズマウントに装着可能なように、これらの形状が取り決められている。さらに、規格では、ボディーマウントの基準面から撮像面(受光面とも言う)までの距離、すなわち、フランジバックが取り決められている。
【0015】
交換レンズユニットは、レンズマウントをボディーマウントに装着した状態で撮像面上に後側焦点が位置するように設計される。レンズマウントをボディーマウントに装着したときの基準面から後側焦点までの光軸方向の距離をレンズバックとも言う。互換性のあるカメラ本体および交換レンズユニットでは、レンズバックはフランジバックと同じ長さである。したがって、レンズバックは、交換レンズユニット特有の値であって、交換レンズユニットが有するレンズマウントが装着可能なボディーマウントを有するカメラ本体のフランジバック、と言い換えることもできる。なお、規格において、さらに、カメラ本体と交換レンズユニットとで交換される信号等について取り決めていることもある。
図2はカメラ本体3の構成を示すブロック図である。図3はデジタルカメラ1の概略斜視図である。図4(A)はカメラ本体3の上面図であり、図4(B)はカメラ本体3の背面図である。図5〜図8は交換レンズユニット2の概略断面図である。図5および図6が広角端の状態を示しており、図7および図8が望遠端の状態を示している。図6は図5とは異なる平面における断面図である。図8は図7とは異なる平面における断面図である。図9および図10は第2レンズ群ユニット77およびフォーカスレンズユニット75の分解斜視図である。図12(A)および図12(B)は光学系Lの構成図である。図12(A)が広角端の状態を示しており、図12(B)が望遠端の状態を示している。図13は、ズームリング84の回転位置と、各部材の撮像センサ11からの距離と、の関係を示している。
【0016】
なお、本実施形態では、デジタルカメラ1に対して3次元直交座標系を設定する。光学系L(後述)の光軸AZはZ軸方向(光軸方向の一例)と一致している。X軸方向はデジタルカメラ1での縦撮り姿勢における水平方向と一致している。Y軸方向はデジタルカメラ1での横撮り姿勢における鉛直方向と一致している。また、以下の説明において、「前」とは、デジタルカメラ1の被写体側(Z軸方向正側)を、「後」とは、デジタルカメラ1の被写体側と反対側(ユーザー側、Z軸方向負側)を意味する。
<交換レンズユニット>
図1〜図12(B)を用いて交換レンズユニット2の概略構成を説明する。図1に示すように、交換レンズユニット2は、光学系Lと、光学系Lを支持するレンズ支持機構71と、フォーカス調節ユニット72と、絞り調節ユニット73と、振れ補正ユニット74と、レンズマイコン40と、を有している。
【0017】
(1)光学系
光学系Lは、被写体の光学像を形成するためのズームレンズ系であり、主に4つのレンズ群から構成されている。具体的には図12(A)および図12(B)に示すように、光学系Lは、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、を有している。
第1レンズ群G1は、第1レンズL1と、第1レンズL1の撮像センサ11側に配置あされた第2レンズL2と、を有している。第1レンズL1は被写体側を向く凸面を有する負メニスカスレンズである。第2レンズL2は、被写体側を向く凸面を有する正メニスカスレンズであり、接着層を介して第1レンズL1に接合されている。
【0018】
第2レンズ群G2は、第3レンズL3と、第3レンズL3の撮像センサ11側に配置された第4レンズL4と、第4レンズL4の撮像センサ11側に配置された第5レンズL5と、を有している。第3レンズL3は被写体側に向く凸面を有する負メニスカスレンズである。第4レンズL4は両凹レンズである。第5レンズL5は両凸レンズである。
第3レンズ群G3は第6レンズL6(フォーカスレンズの一例)から構成されている。第6レンズL6は、撮像センサ11側を向く凸面を有する負メニスカスレンズであり、第5レンズL5と第7レンズL7とのZ軸方向間(第2レンズ群G2と第4レンズ群G4とのZ軸方向間)に配置されている。
第4レンズ群G4は、第7レンズL7と、第8レンズL8と、第9レンズL9と、第10レンズL10と、第11レンズL11と、第12レンズL12と、を有している。第7レンズL7は、振れ補正のための正メニスカスレンズであり、撮像センサ11側を向く凸面を有している。第8レンズL8は両凸レンズである。第9レンズL9は、両凹レンズであり、接着層を介して第8レンズL8に接合されている。第10レンズL10は両凸レンズである。第10レンズL10の被写体側の面は、非球面である。第11レンズL11は、被写体側を向く凸面を有する負メニスカスレンズであり、接着層を介して第10レンズL10に接合されている。第12レンズL12は両凸レンズである。
【0019】
図12(A)、図12(B)および図13に示すように、広角端から望遠端へのズーミング時には、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4は、それぞれ被写体側へと光軸AZに沿ってZ軸方向へ移動する。より詳細には、広角端から望遠端へのズーミング時には、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が増加し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が減少する。絞りユニット62(後述)は第4レンズ群G4と共に被写体側に移動する。
また、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシング時には、第3レンズ群G3が光軸AZに沿って被写体側へと移動する。
さらに、デジタルカメラ1の動きに起因する光学像の振れを抑制するために、第7レンズL7が光軸AZと直交する2方向に移動する。
【0020】
(2)レンズ支持機構
レンズ支持機構71は、光学系Lを移動可能に支持するための機構であり、レンズマウント95と、固定枠50と、カム筒51と、第1ホルダー52と、第1レンズ群支持枠53と、第2レンズ群支持枠54と、第2ホルダー55と、第3レンズ群支持枠56と、第4レンズ群支持枠61と、ズームリングユニット83と、フォーカスリングユニット88と、を有している。
レンズマウント95は、カメラ本体3のボディーに装着される部分であり、レンズ側接点91を有している。固定枠50は、カム筒51を回転可能に支持する部材であり、レンズマウント95に固定されている。固定枠50は、Z軸方向正側の端部に突起50aと、外周に設けられた3つの凹部50bと、光軸AZ回りに等ピッチで配置された3本の貫通直進溝50cと、を有している。カム筒51は、内周に設けられた3つの凸部51aと、3本の第1カム溝51dと、3本の第2カム溝51bと、3本の第3カム溝51cと、を有している。カム筒51の凸部51aが固定枠50の凹部50bに挿入されているため、Z軸方向の相対移動が規制された状態で、固定枠50に対して回転可能なようにカム筒51が固定枠50により支持されている。
【0021】
第1レンズ群支持枠53は、第1ホルダー52に固定されており、第1レンズ群G1を支持している。第1ホルダー52は、内周側に形成されZ軸方向に延びる縦溝52aと、光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つのカムピン81と、を有している。縦溝52aには固定枠50の突起50aが挿入されている。カムピン81はカム筒51の第1カム溝51dに挿入されている。これらの構成により、第1ホルダー52は固定枠50に対して回転することなくZ軸方向に移動可能である。固定枠50に対する第1ホルダー52の移動量は第1カム溝51dの形状により決まる。第1ホルダー52の先端には、偏光フィルタや保護フィルタのような光学フィルタおよびコンバージョンレンズを取り付けるための雌ねじ部52cが形成されている。
第2レンズ群支持枠54は、第2ホルダー55に固定されており、第2レンズ群G2を支持している。第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55により、第2レンズ群ユニット77が構成されている。第2ホルダー55は、光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つの凸部55bと、凸部55bに固定された3つのカムピン82と、を有している。カムピン82はカム筒51の第2カム溝51bに挿入されている。凸部55bは固定枠50の貫通直進溝50cに挿入されている。これらの構成により、第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55は、固定枠50に対して回転することなくZ軸方向に移動可能である。固定枠50に対する第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55の移動量は、第2カム溝51bの形状により決まる。
【0022】
第3レンズ群支持枠56は、第3レンズ群G3(より詳細にはフォーカスレンズとして機能する第6レンズL6)を支持する部材であり、軸受け部56aと、廻り止め部56bと、ラック支持部56cと、突起56dと、を有している。第6レンズL6および第3レンズ群支持枠56によりフォーカスレンズユニット75が構成されている。第2ホルダー55は、Z軸方向に延びる2本のガイドポール63a、63bの前側端部を支持している。ガイドポール支持板65は、ガイドポール63aの後側端部を支持するための部材であり、第2ホルダー55の撮像センサ11側に固定されている。軸受け部56aにはガイドポール63aが挿入されており、廻り止め部56bにはガイドポール63bが挿入されている。ガイドポール63aおよび63bにより、光軸AZ周りの回転が規制された状態で、第3レンズ群支持枠56はZ軸方向に移動可能に支持されている。
ラック支持部56cは、軸受け部56aからZ軸方向負側に延びる部分であり、ラック66を軸方向に一体で移動可能にかつ回転可能に支持している。ラック66は、複数の歯66cを有するラック本体66aと、Z軸方向に延びる軸部66bと、を有している。複数の歯66cはフォーカスモータ64のリードスクリュ64aと噛み合っている。軸部66bはラック支持部56cに支持されているため、ラック66はラック支持部56cに対して中心軸R回りに回転可能となっている。
【0023】
さらに、図9および図11に示すように、ラック支持部56cにはねじりコイルバネ68が取り付けられている。ねじりコイルバネ68は、弾性力を発生する巻き回り部68aと、第1端部68bと、第2端部68cと、を有している。巻き回り部68aはラック66の軸部66bに挿入されている。巻き回り部68aが捩られた状態で、第1端部68bがラック支持部56cに引っかけられており、第2端部68cがラック66に引っかけられている。つまり、ねじりコイルバネ68は、ラック66に対してA方向へ回転力を付与しており、リードスクリュ64aに対してラック66を常に押し付けている。これにより、ラック66とリードスクリュ64aとの間のバックラッシュを低減することができ、フォーカスレンズユニット75の位置精度を高めることができる。また、ラック66がリードスクリュ64aに常に押し付けられているため、リードスクリュ64aからラック66に駆動力を効率よく伝達することが可能となる。
【0024】
さらに、ねじりコイルバネ68の巻き回り部68aは、ラック支持部56cとラック66との間でZ軸方向(中心軸Rに平行な方向)に圧縮されている。ねじりコイルバネ68はラック66に対して押付力Fを付与しており、ねじりコイルバネ68によりラック66はラック支持部56cに押し付けられている。これにより、ラック66がラック支持部56cに対してZ軸方向に移動するのを抑制でき、フォーカスレンズユニット75の位置精度をさらに高めることができる。
第2ホルダー55にはフォーカスモータ64が固定されている。フォーカスモータ64は例えばステッピングモータである。フォーカスモータ64は、Z軸方向に延びた回転軸としてのリードスクリュ64aを有している。このリードスクリュ64aにラック66が噛み合っている。
【0025】
突起56dは、フォーカスレンズユニット75の原点を検出するための部分であり、フォトセンサ67(後述)の検出領域を通過可能な位置に設けられている。本実施形態では、フォーカスレンズ群である第3レンズ群G3が1枚の第6レンズL6により形成されているため、第3レンズ群G3の重量を例えば1g以下とすることができ、フォーカスモータ64での駆動速度を高めることができる。
第4レンズ群支持枠61は、第1支持枠57と、第2支持枠58と、第3支持枠59と、第4支持枠60と、を有している。第4レンズ群G4および第4レンズ群支持枠61により、第4レンズ群ユニット78が構成されている。
第1支持枠57は第7レンズL7を支持している。第2支持枠58は、第8レンズL8および第9レンズL9を支持しており、さらに第1支持枠57を光軸AZに直交する2方向に移動可能に支持している。第2支持枠58は光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つのカムピン80を有している。
【0026】
第3支持枠59は、第10レンズL10および第11レンズL11を支持しており、例えばネジにより第2支持枠58に固定されている。第4支持枠60は、第12レンズL12を支持しており、例えばネジにより第3支持枠59に固定されている。これらの構成により、第1支持枠57、第2支持枠58、第3支持枠59および第4支持枠60は、光軸AZに沿って一体で移動する。
また、第1支持枠57は、例えば第2支持枠58により光軸AZに直交する2方向に移動可能なように支持されている。この構成により、第1支持枠57は、第2支持枠58、第3支持枠59および第4支持枠60に対してZ軸方向には一体で移動しつつ光軸AZに直交する方向に移動可能である。
ズームリングユニット83は、リングベース86と、ズームリング84と、ズームリング84の回転位置を検出するリニアポジションセンサ87と、を有している。ズームリング84の回転位置とは、ズームリング84の回転方向の位置を意味しており、ある基準位置からのズームリング84の回転角度ということもできる。
【0027】
ズームリング84は、円筒形状を有しており、固定枠50に固定されたリングベース86により、Z軸方向への移動が規制された状態で光軸AZ周りに回転可能に支持されている。ズームリング84はZ軸方向負側の端部に貫通穴84aを有している。貫通穴84aには、カム筒51に固定されたズーム駆動ピン85が挿入されている。これにより、カム筒51はズームリング84と光軸AZ周りに一体回転する。
リニアポジションセンサ87は、ユーザーによるズームリング84の回転位置および回転方向を検出し、検出結果をレンズマイコン40に送信する。具体的には、リニアポジションセンサ87は、リングベース86に固定されており、半径方向外側に突出する摺動子87aを有している。この摺動子87aは、ズームリング84に形成されたカム溝84bに挿入されている。固定枠50に対してズームリング84が回転すると、カム溝84bに沿って摺動子87aはZ軸方向に移動する。リニアポジションセンサ87は、可変抵抗器を有しており、摺動子87aがこの可変抵抗器内にある磁気抵抗体上をスライドすることにより、両端に所定の電圧を付与した端子間において、摺動子87aのZ軸方向の位置に比例した出力(出力電圧)をリニアに得ることができる。リニアポジションセンサ87の出力を回転位置情報に変換することで、ズームリング84の回転位置を検出することが可能となる。ズームリング84の外周面には、光学系Lの焦点距離が表示されている。
【0028】
なお、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4がレンズ支持機構71を介して機械的に連結されているため、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の絶対位置(例えば、撮像センサ11の受光面11aを基準とした位置)はズームリング84の回転位置と一定の関係を有している。したがって、ズームリング84の回転位置を検出することにより、例えばレンズマウント95に対する第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の絶対位置を把握することができる。なお、ズームリング84は、例えば可動式のレバーのような他の構造を有していてもよい。
フォーカスリングユニット88は、フォーカスリング89と、フォーカスリング89の回転角度を検出するフォーカスリング角度検出部90と、を有している。フォーカスリング89は、円筒形状を有しており、リングベース86により、Z軸方向の移動が規制された状態で光軸AZ周りに回転可能に支持されている。フォーカスリング89の回転角度および回転方向は、フォーカスリング角度検出部90により検出可能である。例えば、このフォーカスリング角度検出部90は、2つのフォトセンサ(図示せず)を有している。フォーカスリング89は、回転方向に等間隔で配置され半径方向内側に突出する複数の突起89aを有している。各フォトセンサは、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を有しており、発光部および受光部の間を複数の突起89aが通過することで、フォーカスリング89の回転角度および回転方向を検出することができる。なお、フォーカスリング89は、例えば可動式のレバーのような他の構造を有していてもよい。
【0029】
(3)フォーカス調節ユニット
フォーカス調節ユニット72は、フォーカスモータ64と、フォーカス駆動制御部41と、フォトセンサ67と、を有している。フォーカスモータ64は、第2ホルダー55に固定されており、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75をZ軸方向に駆動する。第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の駆動は、フォーカスモータ64のみにより行われる。言い換えると、フォーカスモータ64がフォーカスレンズユニット75を駆動していない状態(例えば、フォーカスモータ64に電力が供給されていない状態)では、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75を移動させることはできない。この場合、フォーカスレンズユニット75は第2ホルダー55と一体でZ軸方向に移動する。
【0030】
フォーカスモータ64のリードスクリュ64aは、フォーカス駆動制御部41から入力された駆動信号に基づいて回転する。フォーカスモータ64で発生した回転運動は、リードスクリュ64aおよびラック66によりフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の直進運動に変換される。これにより、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75がZ軸方向に移動可能となる。
このデジタルカメラ1では、被写体距離を実質的に一定に保ちつつ焦点距離を変更できるズームレンズ系を実現するために、レンズマイコン40に予め記憶されているトラッキングテーブルに基づいてフォーカス調節ユニット72によりフォーカスレンズユニット75が駆動される。ここでは、このようなトラッキング方式を電子トラッキングと呼ぶ。
トラッキングテーブルとは、焦点距離が変化しても焦点が合う被写体距離が実質的に一定に保たれるフォーカスレンズユニット75の位置(より詳細には、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の位置)を示す情報である。被写体距離が実質的に一定とは、被写体距離の変化量が所定の被写界深度内に収まることを意味している。電子トラッキングについては後述する。
【0031】
また、第2ホルダー55には、フォーカスレンズユニット75の原点位置を検出するフォトセンサ67が搭載されている。このフォトセンサ67は発光部(図示せず)と受光部(図示せず)とを有している。発光部と受光部との間を第3レンズ群支持枠56の突起56dが通過すると、フォトセンサ67は突起56dの有無を検出できる。つまり、フォトセンサ67により、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の原点位置を検出することが可能となる。言い換えれば、フォトセンサ67は、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3の原点位置を検出する原点検出器である。レンズマイコン40は、第3レンズ群G3を原点位置に駆動し、フォトセンサ67からの信号によりフォーカスレンズユニット75(第3レンズ群G3)が原点位置にあることを認識する。
フォトセンサ67により検出できる原点位置は第2レンズ群ユニット77に対して移動することがない絶対位置である。このため、フォーカスレンズユニット75の位置を第2レンズ群ユニット77に対して原点位置にリセットする際には、フォトセンサ67により原点検出用の突起56dが検出される位置までフォーカスレンズユニット75を駆動する。例えば、デジタルカメラ1の電源スイッチ25をオフにすると、フォーカスレンズユニット75の現在位置に関わらず、第3レンズ群支持枠56の突起56dがフォトセンサ67に検出される位置までフォーカスレンズユニット75がフォーカスモータ64により駆動される。フォーカスレンズユニット75の駆動完了後、デジタルカメラ1の電源がオフになる。逆に、デジタルカメラ1の電源スイッチ25をオンにすると、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット75がトラッキングテーブルに基づいて求められた所定の位置まで駆動される。なお、原点検出器は、フォトセンサに限られず、例えば、マグネットおよび磁気センサを組み合わせることで実現されてもよい。
【0032】
(4)絞り調節ユニット
絞り調節ユニット73は、第2支持枠58に固定された絞りユニット62と、絞りユニット62を駆動する絞り駆動モータ(図示せず)と、絞り駆動モータを制御する絞り駆動制御部42と、を有している。絞り駆動モータは、例えばステッピングモータである。絞り駆動モータは、絞り駆動制御部42から入力される駆動信号に基づいて駆動される。絞り駆動モータで発生した駆動力により、絞り羽根62aが開方向および閉方向に駆動される。絞り羽根62aを駆動することで光学系Lの絞り値を変更することができる。
(5)振れ補正ユニット
振れ補正ユニット74は、交換レンズユニット2およびカメラ本体3の動きに起因する光学像の振れを抑制するためのユニットであり、電磁アクチュエータ46と、位置検出センサ47と、振れ補正用マイコン48と、を有している。
【0033】
電磁アクチュエータ46は第1支持枠57を光軸AZに直交する方向に駆動する。具体的には、電磁アクチュエータ46は、例えばマグネット(図示せず)とコイル(図示せず)とを有している。例えば、コイルは第1支持枠57に設けられており、マグネットは第2支持枠58に固定されている。
位置検出センサ47は、第2支持枠58に対する第1支持枠57の位置を検出するためのセンサであり、例えばホール素子である。交換レンズユニット2には、ジャイロセンサなどの動き検出センサ(図示せず)が搭載されている。振れ補正用マイコン48は、位置検出センサ47の検出結果および動き検出センサの検出結果に基づいて、電磁アクチュエータ46を制御する。これにより、デジタルカメラ1の動きに起因する被写体像の振れを抑制することができる。
【0034】
なお、被写体像の振れを抑制する方法として、撮像センサ11から出力される画像データに基づいて画像に表れる振れを補正する電子式振れ補正を適用してもよい。また、光学像の振れを抑制する方法として、撮像センサ11を光軸AZと直交する2方向に駆動するセンサシフト方式を適用してもよい。
(6)レンズマイコン
レンズマイコン40は、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)およびメモリ40aを有しており、ROMに格納されているプログラムがCPUに読み込まれることで、様々な機能を実現し得る。例えば、レンズマイコン40は、フォトセンサ67の検出信号によりフォーカスレンズユニット75が原点位置にあることを認識することができる。
メモリ40aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。メモリ40aには、例えば交換レンズユニット2に関する情報(レンズ情報)やズームレンズ系を実現するためのトラッキングテーブル(後述)が格納されている。レンズマイコン40は、このトラッキングテーブルに基づいてフォーカスモータ64を制御し、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット75がZ軸方向に駆動される。以下、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズユニット75の位置を焦点距離の変化に追従させる動作を、電子トラッキングという。
【0035】
レンズマイコン40は、フォーカスモータ64のパルス数をカウントするためのカウンタ40bを有している。カウンタ40bは、フォーカスレンズユニット75をZ軸方向正側に駆動した場合、カウントを「+1」とし、フォーカスレンズユニット75をZ軸方向負側に駆動した場合、カウントを「−1」とする。このように、カウンタ40bでフォーカスモータ64の駆動パルス数をカウントすることで、レンズマイコン40は、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3の相対位置(第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の位置)を把握することができる。
例えば、フォーカスモータ64のリードスクリュ64aの1回転当たり、ラック66が0.6mmだけZ軸方向に駆動される。マグネット(図示せず)が10極であるフォーカスモータ64を1−2相励磁にて駆動する場合、1パルス当たり、0.6/20/2=0.015mm(15μm)だけラック66がZ軸方向に駆動される。マイクロステップ駆動時には、さらに細かい単位でラック66を駆動できる。ステッピングモータを用いることで、細かい単位でフォーカスレンズユニット75を駆動することができ、例えば反転駆動時のバックラッシュを小さくすることができる。つまり、フォーカスモータ64としてステッピングモータを選定することで、高精度なフォーカス調節を実現できる。また、駆動パルス数をカウントすることで、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の現在位置を把握でき、さらにフォーカスレンズユニット75の駆動量を算出することができる。
【0036】
<カメラ本体>
図1〜図4(B)を用いてカメラ本体3の概略構成について説明する。図1〜図4(B)に示すように、カメラ本体3は、筐体3aと、ボディーマウント4(マウント部の一例)と、操作ユニット39と、画像取得部35と、画像表示部36と、ファインダ部38と、ボディーマイコン10(位置情報取得部の一例、補正部の一例)と、バッテリー22と、を有している。
(1)筐体
筐体3aは、カメラ本体3の外装部を構成している。図4(A)および図4(B)に示すように、筐体3aの前面には、ボディーマウント4が設けられており、筐体3aの背面および上面には、操作ユニット39が設けられている。具体的には、筐体3aの背面には、表示部20と、電源スイッチ25と、モード切り換えダイヤル26と、十字操作キー27と、メニュー設定ボタン28と、設定ボタン29と、撮影モード切り換えボタン34と、動画撮影操作ボタン24が設けられている。筐体3aの上面には、シャッターボタン30が設けられている。
【0037】
(2)ボディーマウント
ボディーマウント4は、交換レンズユニット2のレンズマウント95が装着される部分であり、レンズ側接点91と電気的に接続可能なボディー側接点(図示せず)を有している。ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して、カメラ本体3は交換レンズユニット2とデータの送受信が可能である。例えば、ボディーマイコン10(後述)は、ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して露光同期信号などの制御信号をレンズマイコン40に送信する。
(3)操作ユニット
図4(A)および図4(B)に示すように、操作ユニット39は、ユーザーが操作情報を入力するための各種操作部材を有している。例えば、電源スイッチ25は、デジタルカメラ1あるいはカメラ本体3の電源の入切を行うためのスイッチである。電源スイッチ25により電源がオン状態になると、カメラ本体3および交換レンズユニット2の各部に電源が供給される。
【0038】
モード切り換えダイヤル26は、静止画撮影モード、動画撮影モードおよび再生モード等の動作モードを切り換えるためのダイヤルであり、ユーザーはモード切り換えダイヤル26を回転させて動作モードを切り換えることができる。モード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されると、動作モードを静止画撮影モードへ切り換えることができ、モード切り換えダイヤル26により動画撮影モードが選択されると、動作モードを動画撮影モードへ切り換えることができる。動画撮影モードでは、基本的に動画撮影が可能となる。さらに、モード切り換えダイヤル26により再生モードが選択されると、動作モードを再生モードへ切り換えることができ、表示部20に撮影画像を表示させることができる。
十字操作キー27は、ユーザーが上下左右の方向を選択できるボタンである。十字操作キー27を用いて、例えば表示部20に表示された各種メニュー画面から所望のメニューを選択することができる。
【0039】
メニュー設定ボタン28はデジタルカメラ1の各種動作を設定するためのボタンである。設定ボタン29は各種メニューの実行を確定するためのボタンである。
動画撮影操作ボタン24は、動画撮影の開始および停止を指示するためのボタンである。モード切り換えダイヤル26において選択された動作モードが静止画撮影モードまたは再生モードであっても、この動画撮影操作ボタン24を押すことにより、モード切り換えダイヤル26での設定内容に関係なく、強制的に動作モードが動画撮影モードに移行し、動画撮影が開始される。さらに、動画撮影中に、この動画撮影操作ボタン24が押されると、動画撮影が終了し、モード切り換えダイヤル26において選択された動作モード、すなわち動画撮影開始前の動作モードへと移行する。例えば、動画撮影操作ボタン24が押される際にモード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されている場合は、動画撮影操作ボタン24が再度押された後に動作モードが自動的に静止画撮影モードへと移行する。
【0040】
シャッターボタン30は、撮影の際にユーザーによって操作される。シャッターボタン30が操作されると、タイミング信号がボディーマイコン10に出力される。シャッターボタン30は、半押し操作と全押し操作が可能な2段式のスイッチである。ユーザーが半押し操作すると測光処理および測距処理を開始する。シャッターボタン30を半押しの状態でユーザーがシャッターボタン30を全押し操作すると、タイミング信号が出力され、画像取得部35で画像データが取得される。
さらに、図2に示すように、カメラ本体3の前面には、交換レンズユニット2をカメラ本体3から取り外すためのレンズ取り外しボタン99が設けられている。レンズ取り外しボタン99は、例えばユーザーに押されるとオン状態になる接点(図示せず)を有しており、ボディーマイコン10と電気的に接続されている。レンズ取り外しボタン99が押されると、内蔵されている接点がオンになり、ボディーマイコン10はレンズ取り外しボタン99が押されたことを認識することができる。
【0041】
(4)画像取得部
画像取得部35は主に、光電変換を行うCCD(Charge Coupled Device)などの撮像センサ11(撮像素子の一例)と、撮像センサ11の露光状態を調節するシャッターユニット33と、ボディーマイコン10からの制御信号に基づいてシャッターユニット33の駆動を制御するシャッター制御部31と、撮像センサ11の動作を制御する撮像センサ駆動制御部12と、を有している。
撮像センサ11は、光学系Lにより形成される光学的な像を電気的な信号に変換する、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサである。撮像センサ11は、撮像センサ駆動制御部12により発生されるタイミング信号により駆動制御される。なお、撮像センサ11はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサでもよい。
【0042】
シャッター制御部31は、タイミング信号を受信したボディーマイコン10から出力される制御信号にしたがって、シャッター駆動アクチュエータ32を駆動し、シャッターユニット33を動作させる。
なお、本実施形態では、オートフォーカス方式として、撮像センサ11で生成された画像データを利用するコントラスト検出方式が採用されている。コントラスト検出方式を用いることにより、高精度なフォーカス調節を実現することができる。
(5)ボディーマイコン
ボディーマイコン10は、カメラ本体3の中枢を司る制御装置であり、操作ユニット39に入力された操作情報に応じて、デジタルカメラ1の各部を制御する。具体的には、ボディーマイコン10にはCPU、ROM、RAMが搭載されており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、ボディーマイコン10は様々な機能を実現することができる。例えば、ボディーマイコン10は、交換レンズユニット2がカメラ本体3に装着されたことを検知する機能、あるいは交換レンズユニット2から焦点距離情報などのデジタルカメラ1を制御する上で必要な情報を取得する機能を有している。また、ボディーマイコン10は、交換レンズユニット2からフォーカスレンズユニット75の位置情報を取得する機能(位置情報取得部の機能)、あるいは、交換レンズユニット2の規格がカメラ本体3の規格と整合しているか否かを判定する機能(補正判定部の機能)、さらには交換レンズユニット2から補正係数K(後述)を取得する機能を有している。
【0043】
ボディーマイコン10は、電源スイッチ25、シャッターボタン30、モード切り換えダイヤル26、十字操作キー27、メニュー設定ボタン28および設定ボタン29の信号を、それぞれ受信可能である。また、ボディーマイコン10内のメモリ10aには、カメラ本体3に関する各種情報が格納されている。メモリ10aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。
また、ボディーマイコン10は、垂直同期信号を定期的に生成し、垂直同期信号の生成と並行して、垂直同期信号に基づいて露光同期信号を生成する。ボディーマイコン10が垂直同期信号を基準とした露光開始タイミングおよび露光終了タイミングを予め把握しているために、ボディーマイコン10は露光同期信号を生成できる。ボディーマイコン10は、垂直同期信号をタイミング発生器(図示省略)に出力し、露光同期信号をボディーマウント4およびレンズマウント95を介してレンズマイコン40に一定の周期で出力する。レンズマイコン40は、露光同期信号に同期して、フォーカスレンズユニット75の位置情報を取得する。
【0044】
撮像センサ駆動制御部12は、垂直同期信号に基づいて、撮像センサ11の読み出し信号と電子シャッター駆動信号とを一定の周期で生成する。撮像センサ駆動制御部12は、読み出し信号および電子シャッター駆動信号に基づいて、撮像センサ11を駆動する。すなわち、撮像センサ11は、読み出し信号に応じて、撮像センサ11内に多数存在する光電変換素子(図示せず)で生成された画素データを垂直転送部(図示せず)に読み出す。
また、ボディーマイコン10は、レンズマイコン40を介してフォーカス調節ユニット72(後述)を制御する。
撮像センサ11から出力された画像信号は、アナログ信号処理部13から、A/D変換部14、デジタル信号処理部15、バッファメモリ16および画像圧縮部17へと、順次送られて処理される。アナログ信号処理部13は、撮像センサ11から出力される画像信号にガンマ処理等のアナログ信号処理を施す。A/D変換部14は、アナログ信号処理部13から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部15は、A/D変換部14によりデジタル信号に変換された画像信号に対してノイズ除去や輪郭強調等のデジタル信号処理を施す。バッファメモリ16は、RAM(Random Access Memory)であり、画像信号を一旦記憶する。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像圧縮部17から画像記録部18へと、順次送られて処理される。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像記録制御部19の命令により読み出されて、画像圧縮部17に送信される。画像圧縮部17に送信された画像信号のデータは、画像記録制御部19の命令に従って画像信号に圧縮処理される。画像信号は、この圧縮処理により、元のデータより小さなデータサイズになる。画像信号の圧縮方法として、例えば1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式が用いられる。その後、圧縮された画像信号は、画像記録制御部19により画像記録部18に記録される。ここで、動画を記録する場合、複数の画像信号をそれぞれ1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG方式を用いることもでき、また、複数のフレームの画像信号をまとめて圧縮するH.264/AVC方式を用いることもできる。
【0045】
画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号と記録すべき所定の情報とを関連付けて静止画ファイルまたは動画ファイルを作成する。そして、画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、静止画ファイルまたは動画ファイルを記録する。画像記録部18は、例えば内部メモリおよび/または着脱可能なリムーバブルメモリである。なお、画像信号とともに記録すべき所定の情報には、画像を撮影した際の日時と、焦点距離情報と、シャッタースピード情報と、絞り値情報と、撮影モード情報とが含まれる。静止画ファイルは、例えばExif(登録商標)形式やExif(登録商標)形式に類する形式である。また、動画ファイルは、例えばH.264/AVC形式やH.264/AVC形式に類する形式である。
(6)画像表示部
画像表示部36は、表示部20と、画像表示制御部21と、を有している。表示部20は例えば液晶モニタである。表示部20は、画像表示制御部21からの命令に基づいて、画像記録部18あるいはバッファメモリ16に記録された画像信号を可視画像として表示する。表示部20での表示形態としては、画像信号のみを可視画像として表示する表示形態や、画像信号と撮影時の情報とを可視画像として表示する表示形態が考えられる。
【0046】
(7)ファインダ部
ファインダ部38は、撮像センサ11により取得された画像を表示する液晶ファインダ8と、筐体3aの背面に設けられたファインダ接眼窓9と、を有している。ユーザーは、ファインダ接眼窓9を覗くことで液晶ファインダ8に表示された画像を視認することができる。
(8)バッテリー
バッテリー22は、カメラ本体3の各部に電力を供給し、さらにレンズマウント95を介して交換レンズユニット2に電力を供給する。本実施形態ではバッテリー22は充電池である。なお、バッテリー22は、乾電池でもよいし、電源コードにより外部から電力供給が行われる外部電源であってもよい。
【0047】
<トラッキングテーブル>
デジタルカメラ1では、被写体距離を実質的に一定に保ちつつ焦点距離が変更できるようにするために、フォーカス調節ユニット72により電子トラッキングが行われる。具体的には図14に示すように、電子トラッキングを行うために、トラッキングテーブル100がメモリ40aに格納されている。このトラッキングテーブル100は、ズームリング84の回転位置とフォーカスレンズユニット75の第2レンズ群ユニット77に対するZ軸方向の位置との関係を示している。例えば、被写体距離が0.3m、1.0mおよび無限遠(∞)に対応する3つのトラッキングテーブル100がメモリ40aに格納されている。
トラッキングテーブル100は、ズームリング84の回転位置およびフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置がいくつかに分割された離散的な情報である。一般的には、分割数は、ズームリング84を回転させても被写体距離が所定の被写界深度内に納まるように決定されている。
【0048】
ズームリング84の回転位置(回転方向の位置)はリニアポジションセンサ87により検出することができる。この検出結果およびトラッキングテーブル100に基づいて、レンズマイコン40は、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置を決定することができる。
第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の原点位置Dはフォトセンサ67により検出され、図14では一点鎖線で示されている。本実施形態では、原点位置Dは、無限遠のトラッキングテーブル100におけるフォーカスレンズユニット75の移動範囲(位置E1および位置E2の間)の中央付近に位置している。このように、原点位置Dを中央付近に配置することにより、デジタルカメラ1の電源オン時に、いずれの位置にも比較的素早くフォーカスレンズユニット75を移動させることができる。
【0049】
なお、無限遠のトラッキングテーブル100を基準に原点位置Dを決定しているのは、ユーザーがデジタルカメラ1の電源を入れて被写体を撮影する際に、無限遠の位置にある被写体を撮影する確率が高いためである。
また、トラッキングテーブル100は、いくつかに分割された離散的な情報ではなく多項式で表されてもよい。ズームリング84の回転位置の代わりに、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2または第4レンズ群G4のZ軸方向の位置情報を用いてもよい。第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置とは、第2レンズ群ユニット77に対する第3レンズ群G3のZ軸方向の位置、あるいは、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3のZ軸方向の位置と言い換えることもできる。
<異なる規格のデジタルカメラ>
ここで、前述のデジタルカメラ1とは異なる規格のフランジバックを有するデジタルカメラ201について説明する。図15(A)はデジタルカメラ1の概略図であり、図15(B)はデジタルカメラ201の概略図である。
【0050】
図15(A)に示すように、デジタルカメラ1は、交換レンズユニット2と、フランジバックXaを有するカメラ本体3と、を有している。デジタルカメラ1は、クイックリターンミラーを用いない第1の規格に準拠している。具体的には、ボディーマウント4およびレンズマウント95の形状は、第1の規格に準拠している。また、カメラ本体3のフランジバックXaは、第1の規格に準拠しており、光学系LはフランジバックXaに合わせて設計されている。
一方、図15(B)に示すように、デジタルカメラ201は、交換レンズユニット202と、フランジバックXbを有するカメラ本体203と、を有している。交換レンズユニット202は、クイックリターンミラーを用いた第2の規格に準拠している。
ここで、フランジバックXaは、ボディーマウント4のマウント面4a(基準面)から撮像センサ11の受光面11aまでのZ軸方向の距離であり、設計上、交換レンズユニット2のレンズバックと一致する。交換レンズユニット2のレンズバックXaは、レンズマウント95のマウント面95aから後側焦点までの距離である。ボディーマウント4とレンズマウント95とは第1の規格により互いに装着可能な形状となっている。ボディーマウント4がレンズマウント95に装着された状態で、ボディーマウント4のマウント面4aとレンズマウント95のマウント面95aとは互いに当接する。
【0051】
フランジバックXbは、ボディーマウント204のマウント面204aから撮像センサ211の受光面211aまでのZ軸方向の距離であり、設計上、交換レンズユニット202のレンズバックと一致する。交換レンズユニット202のレンズバックXbは、レンズマウント295のマウント面295aから後側焦点までの距離である。ボディーマウント204とレンズマウント295とは第2の規格により互いに装着可能な形状となっている。ボディーマウント204がレンズマウント295に装着された状態で、ボディーマウント204のマウント面204aとレンズマウント295のマウント面295aとは互いに当接する。
交換レンズ式のデジタルカメラの特徴は、カメラ本体に別の交換レンズユニットを装着して使用できることにある。例えば、交換レンズユニット202をカメラ本体3に装着して使用することが考えられる。
【0052】
しかし、デジタルカメラ201はクイックリターンミラーを用いた第2の規格に準拠しているため、カメラ本体203のフランジバックXb(交換レンズユニット202のレンズバックXb)はカメラ本体3のフランジバックXaよりも長い。交換レンズユニット202のレンズバックXbがカメラ本体3のフランジバックXaよりも長いため、交換レンズユニット202のレンズバックXbがカメラ本体3のフランジバックXaと整合しない。このため、交換レンズユニット202をカメラ本体3の交換レンズユニットとしてそのまま使用することができない。
そこで、交換レンズユニット202をカメラ本体3に装着する際には、バック長さ調節用のアダプタ110を用いることが考えられる。具体的には図16に示すように、アダプタ110を介して交換レンズユニット202がカメラ本体3に装着される。この場合、アダプタ長さXs0は、カメラ本体3のフランジバックXaと交換レンズユニット202のレンズバックXb(つまり、カメラ本体203のフランジバックXb)との差に設定されている。より具体的には、アダプタ長さXs0(基準長さ)は以下の式(1)により表すことができる。
【0053】
【数1】
Xs0=Xb−Xa ・・・(1)
このアダプタ110を用いることで、交換レンズユニット202をカメラ本体3の交換レンズユニットとして使用するためのフランジバックの調整ができる。
しかし、カメラ本体3では、オートフォーカス方式としてコントラスト検出方式(以下、コントラストAFともいう)が採用されているが、アダプタ110を用いてフランジバックの調整を行ったとしても、それだけでは交換レンズユニット202はコントラストAFの動作に対応できない。ここで、コントラスト検出方式によるオートフォーカス(AF)について説明する。
【0054】
コントラスト検出方式によりオートフォーカスを行う際、撮像センサ11により取得された画像データに基づいて、オートフォーカス動作用の評価値(以下、AF評価値という)がボディーマイコン10により算出される。算出されたAF評価値は、露光同期信号と同期して取得されたフォーカスレンズユニット75の位置と関連付けた状態でDRAM(図示せず)に保存される。ボディーマイコン10は、DRAMに保存されたAF評価値に基づいて、AF評価値が極大値となるフォーカスレンズユニット75の位置を合焦点として抽出する。合焦点を抽出する際のフォーカスレンズユニット75の駆動方式としては、一般的には山登り方式が知られている。
例えば図17(A)〜図17(D)に示すように、山登り方式では、AF評価値が増大する方向へフォーカスレンズユニット75を移動させ、フォーカスレンズユニット75の位置ごとのAF評価値を求める。この動作を、AF評価値の極大値が検出されるまで、すなわち、AF評価値が増大して一旦ピークに達してから減少し始めるまで続ける。具体的には、図17(B)に示すフォーカスレンズユニット75の位置でAF評価値が極大値となる場合、フォーカスレンズユニット75が図17(C)に示す位置まで一旦駆動され、図17(D)に示すようにAF評価値が極大値となる位置までフォーカスレンズユニット75を移動させる。このように、コントラスト検出方式にてAFを行う場合、フォーカスレンズユニット75を余分に移動させる必要があるため、フォーカスレンズユニット75が合焦状態で停止する範囲(以下、合焦範囲とも言う)の両端には、余裕範囲Hを設ける必要がある。例えば、合焦範囲の一端は、物点距離を無限遠として合焦する状態でのフォーカスレンズユニット75の停止位置であり、この位置で極大値を検出するためには、この位置を超え、余裕範囲Hにフォーカスレンズユニット75を移動させる必要がある。
【0055】
しかし、従来の交換レンズユニットはコントラストAFへの対応を想定していない場合が多く、前述の交換レンズユニット202のように、この余裕範囲Hが設けられていない交換レンズユニットが多く存在する。例えば、図16に示すように、無限遠に焦点が合う状態で、すでにフォーカスレンズユニット275が機械的に決まる可動範囲の端に到達している場合が考えられる。この場合、図17(C)および図17(D)のようなフォーカスレンズユニット275の動作を行うことができないため、コントラストAFを行うことができない。コントラストAFに対応していない交換レンズユニットをコントラストAFに対応させることができれば、過去に購入した交換レンズユニットをカメラ本体3でも活用することができる。
そこで、図18に示すように、コントラストAFに対応していない交換レンズユニット202をコントラストAFに対応させるために、アダプタ110の代わりに、アダプタ長さが基準長さXs0よりも短く設定されたアダプタ120を用いることが考えられる。具体的には、アダプタ長さを以下の式(2)により表されるアダプタ長さXsに設定する。式(2)は、例えばボディーマイコン10に予め格納されている。
【0056】
【数2】
Xs=Xb−Xa−Xc=Xs0−Xc ・・・(2)
この場合、図18に示すように、アダプタ長さが基準長さXs0である場合に比べて、交換レンズユニット202がカメラ本体3に距離Xcだけ近づくため、機械的に決まるフォーカスレンズユニット75の可動範囲に対して、焦点調節時にフォーカスレンズユニット75が移動する合焦範囲が、Z軸方向正側(被写体側)にシフトする。この結果、例えば最も撮像センサ11に近い合焦位置(無限遠端)で考えた場合、フォーカスレンズユニット275とガイドポール支持板265との間に距離Xcに相当する隙間(より詳細には、後述の補正量Yc)が確保される。このため、余裕範囲Hが確保できるように距離Xcを設定することで、前述のコントラストAFの際に、フォーカスレンズユニット75の合焦範囲の無限遠端に余裕範囲Hを確保することができる。これにより、図18に示すように、カメラ本体3および交換レンズユニット202を組み合わせたとしても、コントラストAFにより無限遠に合焦させることが可能となる。
【0057】
このように、アダプタ120の長さを式(2)のように短くすることで、余裕範囲Hが確保されていない交換レンズユニット202を活用することができる場合がある。被写体距離を無限遠にして撮影される頻度は高いため、コントラストAFによって無限遠に合焦できることは非常に有用である。
なお、距離Xcは、上記の式(2)に基づいて、例えばボディーマイコン10により算出される。距離Xcの算出に際して、ボディーマイコン10は、レンズバックXbをレンズマイコン240(後述)から取得し、アダプタ長さXsをアダプタマイコン123(後述)から取得する。
<アダプタを有するデジタルカメラの構成>
ここで、図19を用いて、アダプタ120を用いたデジタルカメラ301について説明する。図19は、デジタルカメラ301の概略構成図である。なお、前述の構成と実質的に同じ機能を有する構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0058】
図19に示すように、デジタルカメラ301は、カメラ本体3と、交換レンズユニット202と、アダプタ120と、を備えている。
(1)カメラ本体
カメラ本体3のボディーマイコン10は、補正判定部10bをさらに有している。補正判定部10bは、カメラ本体3のフランジバックXa、装着された交換レンズユニットのレンズバックおよびアダプタ長さに基づいて、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定する。具体的には、補正判定部10bは、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合しているか否かを判定することができる。ここで、レンズ動作情報とは、交換レンズユニットの動作に関する情報であり、より詳細には、フォーカスレンズの動作に関する情報である。レンズ動作情報としては、例えば、フォーカスレンズの位置に関する情報、フォーカスレンズの可動範囲に関する情報が考えられる。
【0059】
補正判定部10bは、さらに、カメラ本体3のフランジバックXa、装着される交換レンズユニットのレンズバックおよびアダプタ長さから、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定するための判定値Vを算出する。判定値Vについては後述する。
また、ボディーマイコン10のメモリ10aには、カメラ本体3に関する情報(本体情報)が格納されている。例えば、本体情報には、カメラID、フランジバックXaが格納されている。メモリ10aに格納されたフランジバックXaを用いて、補正判定部10bは補正要否の判定や判定値Vの算出を行う。
(2)アダプタ
アダプタ120は、第1マウント121(第1マウント部の一例)と、第2マウント122(第2マウント部の一例)と、アダプタマイコン123(記憶部の一例)と、を有している。第1マウント121はカメラ本体3のボディーマウント4に装着される部分である。第1マウント121とカメラ本体3のボディーマウント4とはともに第1の規格に準拠している。第2マウント122は交換レンズユニット202のレンズマウント295に装着される部分である。第2マウント122と交換レンズユニット202のレンズマウント295とは第2の規格に準拠している。アダプタマイコン123は第1マウント121およびボディーマウント4を介してボディーマイコン10と電気的に接続されている。
【0060】
アダプタマイコン123は、アダプタ120に関する情報(アダプタ情報)を記憶している。アダプタ情報には、例えば、アダプタIDやアダプタ長さXs(アダプタ長さに関する情報の一例)が含まれている。アダプタ長さXsは、アダプタ120のZ軸方向の長さであり、より詳細には図18に示すように、第1マウント121の第1マウント面121a(第1の規格の基準面)から第2マウント122の第2マウント面122a(第2の規格の基準面)までの光軸AZに沿った方向の長さである。
(3)交換レンズユニット
交換レンズユニット202は、前述の交換レンズユニット2の規格とは異なる第2の規格に準拠しており、交換レンズユニット2とは異なる長さのレンズバックXbを有している。ここでは、交換レンズユニット202の基本構成は、前述の交換レンズユニット2の基本構成とほぼ同じとするが、フォーカスレンズユニット275の可動範囲に余裕範囲Hが確保されていない点が異なる。つまり、交換レンズユニット202は、コントラストAFに対応していない。
【0061】
図19に示すように、交換レンズユニット202は、第2レンズ群ユニット277(第2レンズ群ユニット77に対応)と、フォーカスレンズユニット275(フォーカスレンズユニット75に対応)と、レンズマウント295(レンズマウント95に対応)と、レンズマイコン240(レンズマイコン40に対応)と、を有している。フォーカスレンズユニット275は、フォーカスレンズ群として機能する第3レンズ群G3と、第3レンズ群G3を支持する第3レンズ群支持枠256と、を有している。フォーカスレンズユニット275は、フォーカスモータ64により第2レンズ群ユニット277に対してZ軸方向に駆動される。フォーカスレンズユニット275を案内するガイドポール63aは、第2レンズ群ユニット277のガイドポール支持板265に支持されている。ガイドポール支持板265はフォーカスレンズユニット275のZ軸方向負側(撮像センサ11側)に配置されている。フォーカスレンズユニット275のZ軸方向負側の可動範囲は、ガイドポール支持板265により決まっている。
【0062】
レンズマウント295は第2マウント122に装着される部分である。交換レンズユニット202がカメラ本体3とは異なる規格に準拠しているため、レンズマウント295はボディーマウント4に装着できないおそれがあるが、アダプタ120を用いることで交換レンズユニット202とカメラ本体3とを接続することができる。レンズマウント295、第2マウント122、第1マウント121およびボディーマウント4を介して、レンズマイコン240はボディーマイコン10と電気的に接続されている。
レンズマイコン240のメモリ240aには、交換レンズユニット202に関するレンズ情報が格納されている。レンズ情報には、レンズID、レンズバックXb、対応しているAF方式などの情報が含まれている。また、レンズ情報には、フォーカスレンズユニット275の移動量に対する後側焦点位置の移動量の比である補正係数Kが含まれている。補正係数Kを式で表すと、以下の式(3)のようになる。
【0063】
【数3】
K=X/Y ・・・(3)
K:補正係数
X:後側焦点位置の移動量(撮像センサ11基準)
Y:フォーカスレンズユニット275の移動量(第2レンズ群ユニット277基準)
例えば、補正係数Kを用いることで、後側焦点位置の移動量Xからフォーカスレンズユニット275の移動量Yを算出することができる。つまり、撮像センサ11に対して交換レンズユニットの後側焦点位置を移動させたい場合に、フォーカスレンズユニット275を撮像センサ11に対してどれくらい移動させればよいかを補正係数Kから求めることができる。なお、本実施形態ではK=1とする。
【0064】
<フォーカスレンズユニットの位置情報の補正>
前述のように、アダプタ120の長さを式(2)のように短くすることで、余裕範囲Hが確保されていない交換レンズユニットを活用することができる。
しかし、アダプタ120の長さを基準長さXs0よりも短くすることで、交換レンズユニット202の後側焦点位置がZ軸方向負側にずれてしまう。後側焦点位置のずれを補正するためには、フォーカスレンズユニット275をZ軸方向正側に移動させる必要がある。そのため、交換レンズユニット202内でのフォーカスレンズユニット275の位置と被写体距離との関係を、前述の補正係数Kを用いて補正する必要がある。
そこで、図20に示すように、交換レンズユニット202では、被写体距離が0.3m、1m、2mおよび無限遠(∞)における第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置を、それぞれ補正量Ycだけ被写体側にずらすように、フォーカスレンズユニット275の位置情報に対して電気的に補正が行われる。この補正処理は、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正位置情報に変換する処理と言うこともできる。補正量Ycは、後側焦点位置をZ軸方向正側に距離Xcだけ移動させるために必要なフォーカスレンズユニット275の移動量であり、レンズマイコン240によって以下の式(4)で算出される。補正量Ycの算出に際して、例えば、レンズマイコン240は距離Xcをボディーマイコン10から取得する。算出された補正量Ycは、例えばメモリ240aに記憶される。なお、補正量Ycの算出はボディーマイコン10により行われてもよい。
【0065】
【数4】
Yc=Xc/K ・・・(4)
例えば、マニュアルフォーカス撮影モードの場合、フォーカスリング89の操作角度に応じてフォーカスレンズユニット275が駆動される。具体的には、レンズマイコン240は、フォーカスリング角度検出部90により検出されたフォーカスリング89の回転角度から、フォーカスレンズユニット275の目標位置を算出する。この目標位置は、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の目標位置を意味している。レンズマイコン240は、フォーカスレンズユニット275の目標位置に応じた制御信号をフォーカス駆動制御部41に送信し、フォーカス駆動制御部41は、この制御信号に応じた駆動信号をフォーカスモータ64に送信する。このとき、フォーカスレンズユニット275の目標位置が補正量YcだけZ軸方向正側(被写体側)にずれるように、フォーカスレンズユニット75の目標位置に対してレンズマイコン240の補正部240cが補正処理を行う。補正処理の詳細については後述する。これにより、アダプタ長さXsが基準長さXs0よりも短い場合であっても、フォーカスレンズユニット75が光学的に正しい位置に配置されるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正することができる。
【0066】
また、電子トラッキングの場合には、トラッキングテーブル100に基づいてレンズマイコン240がズームリング84の回転位置および第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置から被写体距離を求める際に、フォーカスレンズユニット275の現在位置が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正される。
また、トラッキングテーブル100に基づいてレンズマイコン240がズームリング84の回転位置からフォーカスレンズユニット275の目標位置を算出する際に、図14に示すトラッキングテーブル100から求めたフォーカスレンズユニット275の目標位置が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正される。この補正処理をトラッキングテーブルで表すと、図21に示すように、トラッキングテーブル100が被写体側(図21の上側)にシフトしてトラッキングテーブル200のようになる。
【0067】
このように、交換レンズユニット202が電子トラッキング機能を有している場合、電子トラッキングの精度が低下するのを防止できる。また、マニュアルフォーカス撮影モードにおいて、フォーカスリング89の指示値と実際のフォーカス状態とがずれるのを防止できる。
また、フォーカスレンズユニット275の位置情報から被写体距離を算出する際、焦点距離に対応するフォーカスレンズユニット275の位置が補正量YcだけZ軸方向正側(被写体側)にずれるように、補正部240cによりフォーカスレンズユニット275の位置情報が補正される。この場合、例えば、フォーカスレンズユニット275の位置情報と補正したトラッキングテーブル200とに基づいて被写体距離を算出する。
<フォーカスレンズユニットの可動範囲の補正>
(1)コントラストAFに対応していない交換レンズユニットの場合
さらに、アダプタ120を用いると、フォーカスレンズユニット275の移動範囲を制限する必要がある場合がある。ここでは、交換レンズユニットがコントラストAFに対応していない場合について説明する。
【0068】
マニュアルフォーカス撮影モードの場合、ユーザーがフォーカスリング89を操作すると、フォーカスリング89の回転角度に応じた距離だけフォーカスレンズユニット275がフォーカスモータ64により駆動される。このとき、移動範囲を制限していなければ、フォーカスレンズユニット275が光学設計により定められた範囲以外の範囲を移動するおそれがある。
例えば、コントラストAFに対応していない交換レンズユニットの場合、図22に示すように、移動範囲M1はリミット位置SL11およびSL12により決定される。このリミット位置SL11およびSL12は、フォーカスレンズユニット275の移動が電気的に制限される位置である。具体的には、交換レンズユニット202と同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で交換レンズユニット202を使用した場合、リミット位置SL12は、無限遠に合焦するときのフォーカスレンズユニット275の位置であり、リミット位置SL12は、最至近に合焦するときのフォーカスレンズユニット275の位置である。すなわち、このリミット位置SL11およびSL12は、交換レンズユニット202と同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で使用した場合のフォーカスレンズユニット275の合焦範囲の両端位置である。このように、従来の交換レンズユニットでは、電気的なリミット位置が焦点調節時に使用される合焦範囲の両端位置である場合が多い。
【0069】
さらに、移動範囲M1の外側には、フォーカスレンズユニット275の移動が機械的に制限されるリミット位置ML1およびML2が存在する。例えば、交換レンズユニット202では、フォーカスレンズユニット275がガイドポール支持板265と当接する位置がリミット位置ML1に相当する。フォーカスレンズユニット275がリミット位置ML1およびML2を決定している部材に接触して不具合を起こさないように、電気的なリミット位置SL11およびSL12はリミット位置ML1およびML2の内側に配置されている。
このような移動範囲M1を有する交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合、距離Xcだけ各リミット位置が撮像センサ11に対してカメラ本体3側(図22の右側)にずれる。この結果、無限遠側においては、リミット位置SL11が無限遠で焦点が合う位置(∞)の外側(撮像センサ11側)に配置されることになり、光学設計により定められた範囲以外の範囲M19をフォーカスレンズユニット275が移動可能となる。したがって、電気的なリミット位置SL11でフォーカスレンズユニット275が停止するまでフォーカスリング89を動かせば無限遠に合焦するものとユーザーが誤解し、フォーカスレンズユニット275がこの範囲M19に配置された状態で撮影が行われる可能性がある。範囲19は光学設計で想定されていない範囲であるため、この範囲M19を用いると光学特性が低下する可能性がある。
【0070】
そこで、図22および図23に示すように、マニュアルフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cが移動範囲M1を移動範囲M11に補正する。具体的には、図23の「MF」に示すように、補正部240cがリミット位置SL11をリミット位置SL13に補正する。交換レンズユニット202内におけるリミット位置SL13をリミット位置SL11よりもYcだけZ軸方向正側にずらす。この場合、図22に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL12を補正しない。
このようにフォーカスレンズユニット275の移動範囲(リミット位置)を補正することで、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、ユーザーがフォーカスリング89を大きく操作しても、フォーカスレンズユニット275は電気的なリミット位置SL13で停止され、フォーカスレンズユニット275の移動範囲が光学設計により定められた範囲(ここでは、移動範囲M1)に収まる。
【0071】
また、オートフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cがリミット位置SL11を新たにリミット位置SL23に設定する。具体的には、図23の「AF1」および「AF2」に示すように、レンズマイコン240の補正部240cによりリミット位置SL11が新たにリミット位置SL23に設定される。このようにして、フォーカスレンズの無限遠位置からリミット位置SL23までの範囲が余裕範囲Hとして確保される。なお、リミット位置SL11をそのままリミット位置SL23として使用してもよい。
例えば無限遠で合焦させる場合は、「AF1」で示すように、フォーカスレンズユニット75がZ軸方向負側(図23の右側)に駆動され、合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。この結果、AF評価値の極大値を検出することができる。その後、AF評価値が極大値となる位置までフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図23の左側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。
【0072】
また、リードスクリュ64aとラック66とのバックラッシュが大きい場合に、「AF2」で示すように、フォーカスレンズユニット275の反転動作を2回繰り返す。具体的には、フォーカスレンズユニット275が合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。その後、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図23の左側)に駆動され、再度フォーカスレンズユニット275が合焦位置を通過する。その後、フォーカスレンズユニット275がZ軸方向負側に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。これにより、「AF1」で示す動作に比べて、バックラッシュの影響を低減でき、フォーカスレンズユニット275をより正確に合焦位置で停止させることができる。
なお、補正部240cが当初からレンズマイコン240に備えられてない場合は、例えばファームアップにより、このような機能をレンズマイコン240に追加することができる。また、ファームアップ可能な交換レンズユニットが装着された場合には、カメラ本体3の表示部20にファームアップを促す画像やメッセージを表示するようにしてもよい。
【0073】
このように、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1に対してレンズマイコン240により補正処理が施されるため、光学設計で定められていない範囲以外の範囲M19にフォーカスレンズユニット275が停止し撮影が行われることがない。また、コントラストAF用の余裕範囲Hを有していない場合でも、無限遠側に補正量Ycに相当する余裕範囲H1を確保することができ、交換レンズユニットをコントラストAFに対応させることができる。
(2)コントラストAFに対応している交換レンズユニットの場合
第2の規格に準拠した交換レンズユニットがコントラストAFに対応している場合も、移動範囲の補正が補正部240cにより行われる。
具体的には図24および図25に示すように、この場合の移動範囲M2は、リミット位置SL21およびSL22により決まっている。このリミット位置SL21およびSL22は、フォーカスレンズユニット275の移動が電気的に制限される位置である。この移動範囲M2の外側には、フォーカスレンズユニット275の移動が機械的に制限されるリミット位置ML1およびML2が存在する。
【0074】
さらに、コントラストAFに対応するために、移動範囲M2の両端には余裕範囲Hが設けられている。余裕範囲Hはリミット位置SL11およびSL12により決まっている。リミット位置SL11およびSL12は、移動範囲M2の内側に位置している。リミット位置SL11は無限遠に対応する位置に配置されており、リミット位置SL12は至近(0.3m)に対応する位置に配置されている。このリミット位置SL11およびSL12は、交換レンズユニットと同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で使用した場合のフォーカスレンズユニット275の合焦範囲の両端位置である。また、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、フォーカスリング89の操作によってフォーカスレンズユニット275が移動可能な範囲はリミット位置SL11およびSL12で電気的に制限される。
【0075】
このような移動範囲M2を有する交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合、距離Xcだけ各リミット位置がカメラ本体3側(図24の右側)にずれる。一方、前述の補正処理により、無限遠で焦点が合う位置(∞)は交換レンズユニット内においてZ軸方向正側(図24の左側)に補正量Ycだけずれる。この結果、無限遠側においては、リミット位置SL11が無限遠で焦点が合う位置(∞)の外側(撮像センサ11側)に配置されることになり、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、光学設計により定められた範囲以外の範囲M29をフォーカスレンズユニット275が移動可能となる。したがって、電気的なリミット位置SL11でフォーカスレンズユニット275が停止するまでフォーカスリング89を動かせば無限遠に合焦するものとユーザーが誤解し、フォーカスレンズユニット275がこの範囲M29に配置された状態で撮影が行われる可能性がある。範囲29は光学設計で想定されていない範囲であるため、この範囲M29を用いると光学特性が低下する可能性がある。
【0076】
そこで、図24および図25に示すように、マニュアルフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cが移動範囲M2を移動範囲M21に補正する。具体的には、図25の「MF」に示すように、補正部240cがリミット位置SL11を補正量YcだけZ軸方向正側にずらしたリミット位置SL13に補正する。この場合、図24に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL12を補正しない。
このようにフォーカスレンズユニット275の移動範囲(リミット位置)を補正することで、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、ユーザーがフォーカスリング89を大きく操作しても、フォーカスレンズユニット275は電気的なリミット位置SL13で停止される。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲を光学設計により定められた範囲に収めることができる。
【0077】
また、リミット位置SL21が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cがリミット位置SL21を補正する。具体的には、図25の「AF1」および「AF2」に示すように、レンズマイコン240の補正部240cによりリミット位置SL21がリミット位置SL23に補正される。この場合、図24に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL22を補正しない。このようにして、焦点を合わせることができる合焦範囲の外側に補正量Ycに相当する余裕範囲H2が確保される。
例えば無限遠で合焦させる場合は、「AF1」で示すように、フォーカスレンズユニット75がZ軸方向負側(図24の右側)に駆動され、合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。この結果、AF評価値の極大値を検出することができる。その後、AF評価値が極大値となる位置までフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図24の左側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。
【0078】
また、リードスクリュ64aとラック66とのバックラッシュが大きい場合に、「AF2」で示すように、フォーカスレンズユニット275の反転動作を2回繰り返す。具体的には、フォーカスレンズユニット75が合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。その後、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図25の左側)に駆動され、再度フォーカスレンズユニット75が合焦位置を通過する。その後、フォーカスレンズユニット275がZ軸方向負側(図25の右側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。これにより、「AF1」で示す動作に比べて、バックラッシュの影響を低減でき、フォーカスレンズユニット275をより正確に合焦位置で停止させることができる。
なお、補正部240cが当初からレンズマイコン240に備えられてない場合は、例えばファームアップにより、このような機能をレンズマイコン240に追加してもよい。
【0079】
このように、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M2に対してレンズマイコン240により補正処理が施されるため、光学設計で定められた範囲以外の範囲M29をフォーカスレンズユニット275が移動することがない。また、コントラストAF用の余裕範囲H2を適切な距離に保つことができ、コントラストAFの速度の低減を防止できる。
<デジタルカメラの動作>
デジタルカメラ301の動作について説明する。
(1)撮影モード
このデジタルカメラ301は、2つの撮影モードを有している。具体的には、デジタルカメラ301は、ユーザーがファインダ接眼窓9で被写体を観察するファインダ撮影モードと、ユーザーが表示部20で被写体を観察するモニタ撮影モードと、を有している。
【0080】
ファインダ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21が液晶ファインダ8を駆動する。この結果、液晶ファインダ8には、撮像センサ11により取得された被写体の画像(いわゆるスルー画像)が表示される。
モニタ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21により表示部20が駆動され、表示部20に被写体の実時間画像が表示される。この2つの撮影モードの切り換えは、撮影モード切り換えボタン34にて行うことができる。
(2)レンズ装着時の補正動作
カメラ本体3は、装着されるアダプタおよび交換レンズユニットに応じて、レンズ動作情報に対して補正を行う必要があるか否か判定する。そこで、交換レンズユニットが装着された際に、補正要否判定および補正処理が行われる。
【0081】
具体的には図26に示すように、交換レンズユニットが装着されているか否かがボディーマイコン10により確認される(S1)。具体的には、交換レンズユニットを検知するための接点がボディーマウント4に設けられており、この接点を利用してボディーマイコン10は交換レンズユニットの装着の有無を検知する。交換レンズユニットが装着されていない場合、交換レンズユニットの装着の監視が継続される。ここでは、交換レンズユニット202が装着されたと仮定する。
一方、交換レンズユニットの装着が検知された場合、アダプタが装着されているか否かがボディーマイコン10により確認される(S2)。アダプタ120を検出するための接点がボディーマウント4に設けられており、この接点を利用してボディーマイコン10はアダプタ120の装着の有無を検知することができる。ここでは、アダプタ120が装着されたと仮定する。アダプタが装着されていない場合、ボディーマイコン10により交換レンズユニット202のレンズマイコン240からレンズ情報が取得される(S3)。このレンズ情報は、例えば、レンズID、レンズバックXb、対応しているAF方式などの情報を含んでいる。
【0082】
ステップS3の後、図27に示すように、このレンズ情報に基づいて、ボディーマイコン10により交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応しているか否かが判定される(S13)。装着された交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応している場合、補正判定処理は終了する。一方、交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応していない場合、その旨を示す警告が表示部20に表示され(S14)、フォーカス撮影モードの操作が制限される(S15)。具体的には、フォーカス撮影モード切り換えボタン(図示せず)で選択されたモードに関わらず、ボディーマイコン10によりフォーカス撮影モードがマニュアルフォーカスモードに固定される。その後、補正判定処理が終了する。
アダプタ120がカメラ本体3に装着されており、かつ、交換レンズユニット202がアダプタ120に装着されている場合、ボディーマイコン10によりアダプタ120のアダプタマイコン123からアダプタ情報が取得される(S4)。このアダプタ情報は、例えば、アダプタID、アダプタ長さXsなどの情報を含んでいる。次に、ステップS3と同様に、ボディーマイコン10により交換レンズユニット202のレンズマイコン240からレンズ情報が取得される(S5)。このレンズ情報には、レンズバックXb、交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応していない旨を示す情報が含まれている。
【0083】
レンズ情報の取得後、ボディーマイコン10の補正判定部10bにより以下の式(5)に示す判定値Vが算出される(S6)。
【0084】
【数5】
V=Xb−Xa−Xs=Xs0−Xs ・・・(5)
判定値Vの算出後、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かが補正判定部10bにより判定される(S7)。具体的には、算出された判定値Vに基づいて、装着されたアダプタのアダプタ長さが基準長さXs0よりも短いか否かが判定される。例えば、判定値V=0である場合、アダプタ長さXsが基準長さXs0と等しいため、レンズ動作情報に対して補正処理は行われない。
一方、判定値V>0の場合は、アダプタ120のアダプタ長さXsが基準長さXs0よりも短いため、アダプタの長さが基準長さXs0と等しい場合に比べて、交換レンズユニット202がカメラ本体3の近くに配置される。この場合、前述のようにフォーカスレンズユニット275の位置情報に対して補正処理が行われる。具体的には図20に示すように、ボディーマイコン10の補正指令部10dからレンズマイコン240の補正部240cへ位置補正指令が判定値Vとともに送信される。この位置補正指令および判定値Vに基づいて、動作時におけるフォーカスレンズユニット275の目標位置が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240により位置情報に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、目標位置がZ軸方向正側(被写体側)にずれるように位置情報が補正される。判定値V<0である場合、目標位置がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるように位置情報が補正される。本実施形態では、交換レンズユニット202が装着されているため、判定値V>0となり、図20に示すような位置情報の補正が補正部240cにより行われる。
【0085】
位置情報の補正後、マニュアルフォーカス撮影モードにおけるフォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理が行われる(S10)。具体的には、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へリミット補正指令が判定値Vとともに送信される。このリミット補正指令および判定値Vにより、リミット位置SL11が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240によりリミット位置SL11に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、リミット位置SL11がZ軸方向正側(被写体側)にずれるようにリミット位置SL11が補正される。判定値V<0である場合、リミット位置SL11がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるようにリミット位置Sl11が補正される。本実施形態では、図22または図24に示すように、リミット位置SL11がリミット位置SL13に補正される。また、図22または図24に示すように、補正前のリミット位置SL11に新たにリミット位置SL23が設定される。
【0086】
移動範囲の補正後、図27に示すように、レンズ情報に基づいてボディーマイコン10により交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応しているか否かが判定される(S11)。交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応している場合、例えば図24に示すように、オートフォーカス撮影モードにおけるフォーカスレンズユニット275の移動範囲M2に対して補正処理が行われる(S12)。例えば、交換レンズユニット202がファームアップによりコントラスト検出方式に対応可能になった場合、交換レンズユニット202においても移動範囲M2が補正される。具体的には、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へリミット補正指令が判定値Vとともに送信される。このリミット補正指令および判定値Vにより、リミット位置SL21が補正される。より詳細には、リミット位置SL21が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240によりリミット位置SL21に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、リミット位置SL21がZ軸方向正側(被写体側)にずれるようにリミット位置SL21が補正される。判定値V<0である場合、リミット位置SL21がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるようにリミット位置SL21が補正される。本実施形態では、図24に示すように、補正部240cによりリミット位置SL21がリミット位置SL23に補正される。補正後、補正判定処理が終了する。
【0087】
一方、交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応していない場合、前述のように表示部20に警告が表示され(S14)、フォーカス撮影モードの操作が制限される(S15)。その後、補正判定処理が終了する。
このように、このカメラ本体3では、レンズ情報およびアダプタ情報に基づいて、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かが判定され、必要に応じて、レンズ動作情報に対して補正処理が行われる。これにより、このカメラ本体3では、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
なお、交換レンズユニット202がアダプタ120から取り外された場合には、補正されたレンズ動作情報は補正前の状態に戻る。このとき、補正後のレンズ動作情報がレンズマイコン240の揮発性メモリに一時的に格納されるか、あるいは、リアルタイムでレンズ動作情報が補正されることが考えられる。
【0088】
(3)ズーム動作
次に、ユーザーがズーム操作を行う際の交換レンズユニット2の動作を説明する。
ユーザーによりズームリング84が回転操作されると、ズームリング84とともにカム筒51が回転する。カム筒51が光軸AZ周りに回転すると、第1ホルダー52は、カム筒51の第1カム溝51dに案内され、Z軸方向に直進する。また、第2ホルダー55および第4レンズ群支持枠61も、カム筒51の第2カム溝51bおよび第3カム溝51cに案内され、Z軸方向に直進する。よって、ズームリング84を回転操作することにより、交換レンズユニット2の状態を、図5および図6に示す広角端の状態から図7および図8に示す望遠端の状態まで変化させることができる。これにより、ズームリング84の回転位置を調節することで、所望のズーム位置にて被写体を撮影することが可能となる。
【0089】
このとき、ズームリング84の回転操作により第2ホルダー55はZ軸方向に機械的に駆動されるが、フォーカスレンズユニット275のみは、被写体距離が実質的に一定に保たれるように、メモリ240aに予め記憶されたトラッキングテーブル100に基づき、フォーカス調節ユニット72により電気的に駆動制御される。例えば、トラッキングテーブル100に基づいてフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275を駆動することで、広角端から望遠端に移動した場合や望遠端から広角端に移動した場合も、無限遠にて合焦した状態を維持する。ここでは、基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、前述のように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正されている。このため、フォーカスレンズユニット275の駆動は補正後の位置情報に基づいて行われる。実質的には、図21に示すトラッキングテーブル200に基づいて、電子トラッキングが行われる。
【0090】
例えば、ズームリング84が回転操作されると、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4が光軸AZに沿ってZ軸方向に移動する。これにより、被写体像の倍率が変化する。このとき、第3レンズ群G3も第3レンズ群支持枠56を介して第2ホルダー55に支持された状態で光軸AZに沿ってZ軸方向に移動する。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4の相対的な位置関係が変化すると、撮像センサ11上に結像する被写体像のフォーカス状態も変化する。つまり、撮像センサ11上に焦点を結んでいる被写体距離が変化する。
そこで、このデジタルカメラ301では、ズームリング84の回転位置に応じてフォーカスモータ64を駆動することで、焦点距離が変化しても被写体距離を実質的に一定に保つことができる。具体的には、フォーカスモータ64のみを用いて、第3レンズ群G3を含むフォーカスレンズユニット275を第2レンズ群ユニット277に対して移動させる。レンズマイコン240は、リニアポジションセンサ87の検出信号に基づいて現在のズームリング84の回転位置を取得する。それと同時に、レンズマイコン240は、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置を、カウンタ40bでのカウント値から算出する。これら2つの情報(現在のズームリング84の回転位置、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置)から、図14に示す複数のトラッキングテーブル100を利用して、レンズマイコン240は、現在の被写体距離を求める。このとき、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置が、補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正される。被写体距離を求める際は、補正後のフォーカスレンズユニット275の位置情報が用いられる。レンズマイコン240は、求められた被写体距離に対応するトラッキングテーブル100を選択する。ここでは、無限遠に対応するトラッキングテーブル100が選択されたとする。
【0091】
次に、レンズマイコン240は、ズームリング84の回転位置を再度取得し、ズームリング84の回転位置の変化量からズームリング84の回転速度、すなわち焦点距離の変化速度を求める。
続いて、レンズマイコン240は、ズームリング84の現在の回転角度とズームリング84の回転速度とから、所定時間経過後のズームリング84の回転位置を予測し、選択されたトラッキングテーブル100に基づいて、予測したズームリング84の回転位置に対応するフォーカスレンズユニット275のZ軸方向の位置を目標位置として求める。求められた目標位置は、補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正される。所定時間経過後にフォーカスレンズユニット275がこの補正された目標位置に位置するように、レンズマイコン240はフォーカス駆動制御部41を介してフォーカスモータ64を駆動する。これにより、アダプタ120のアダプタ長さが基準長さXs0よりも短い場合であっても、フォーカスレンズユニット275が他のレンズ群の移動に追従するように駆動され、被写体距離が一定に保たれる。
【0092】
このように電子トラッキング動作においては、レンズマイコン240は、変倍動作に伴う焦点距離の変化を予測して、予測された焦点距離に対応するフォーカスレンズユニット275の目標位置をトラッキングテーブル100から取得する。このとき、基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、この目標位置が補正部240cにより補正される。光学系Lの変倍動作と並行して、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275が補正後の目標位置へ駆動される。この動作を所定の時間間隔で実行するため、ズームリング84が回転操作されて光学系Lの焦点距離が変化しても、フォーカスレンズユニット275がトラッキングテーブル100に基づいて焦点距離に応じたZ軸方向位置に移動し、焦点距離の変化にフォーカスレンズユニット275の駆動を追従させることができる。これにより、焦点距離が変化に関わらず被写体距離を実質的に一定に保つことができる。なお、これらの制御は、レンズマイコン240ではなく、ボディーマイコン10が行ってもよい。
【0093】
同様に、例えば焦点が合う被写体距離が1mなどの近距離である場合、被写体距離が1mであるトラッキングテーブル100が選択され、広角端から望遠端に移動した場合あるいは望遠端から広角端に移動した場合も、フォーカスモータ64の駆動により、近距離にて合焦した状態を維持することができ、スムーズな変倍動作を行うことが可能となる。
とりわけ、フォーカスレンズユニット275およびフォーカスモータ64が第2レンズ群ユニット277と一体でZ軸方向に移動するようになっているため、ユーザーによりズームリング84が素早く操作された場合でも、フォーカスレンズユニット275を第2レンズ群ユニット277と一体で移動させることができる。したがって、変倍動作の前後で被写体距離を実質的に一定に保ちたい場合に、フォーカスモータ64は、撮像センサ11に対して第3レンズ群G3が移動すべき距離から撮像センサ11に対して第2レンズ群G2がカム機構により移動する距離を差し引いた距離だけ、第3レンズ群G3を移動させればよい。これにより、ユーザーによるズームリング84の高速操作への対応が容易となる。
【0094】
また、本実施形態においては、広角端から望遠端まで変倍動作が行われると、被写体距離が無限遠の状態では、フォーカスレンズユニット275(より詳細には、フォーカスレンズ群である第3レンズ群G3)を撮像センサ11に対して3mm程度、Z軸方向に移動させる必要がある。フォーカスモータ64を800ppsで駆動する場合、先述したようにフォーカスモータ64の1回転あたりのフォーカスレンズユニット275の移動量が0.6mmであるため、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズユニット275をZ軸方向に3mmだけ移動させるために0.25秒かかる。広角端から望遠端までフォーカスレンズユニット275を約0.25秒で移動させることが可能であるため、ユーザーがズームリング84を広角端から望遠端まで0.5秒で回したとしても、焦点距離の変化にフォーカスレンズユニット275の駆動を追従させることができる。これにより、例えばライブビューモード時にユーザーが表示部20で被写体を確認しながら素早い変倍動作を行っても、表示部20に映し出される被写体像のピンぼけが発生しにくくなり、使い勝手がよくなる。
【0095】
(4)フォーカス動作
次に、デジタルカメラ301のフォーカス動作について説明する。デジタルカメラ301は、オートフォーカス撮影モードおよびマニュアルフォーカス撮影モードの2つのフォーカスモードを有している。デジタルカメラ301の操作を行うユーザーは、カメラ本体3に設けられたフォーカス撮影モード設定ボタン(図示せず)により、フォーカスモードを選択することができる。
オートフォーカス撮影モード時においては、コントラスト検出方式を用いたオートフォーカス動作が行われる。コントラスト検出方式のオートフォーカス動作を行う際には、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240に対して、コントラストAF用データを要求する。コントラストAF用データは、コントラスト検出方式のオートフォーカス動作の際に必要なデータであり、例えば、フォーカス駆動速度、フォーカスシフト量、像倍率、対応しているAF方式などが含まれる。これらの情報は、前述のレンズ情報として、メモリ240aに格納されている。
【0096】
ボディーマイコン10は、シャッターボタン30が半押しされるかどうかを監視する。シャッターボタン30が半押しされた場合、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240に対して、オートフォーカス開始命令を発信する。オートフォーカス開始命令は、コントラスト検出方式によるオートフォーカス動作を開始する旨を示している。この命令を受けて、レンズマイコン240は、フォーカス用のアクチュエータであるフォーカスモータ64を駆動制御する。より詳細には、レンズマイコン240はフォーカス駆動制御部41へ制御信号を送信する。この制御信号に基づいて、フォーカス駆動制御部41によりフォーカスモータ64が駆動され、フォーカスレンズユニット275が微動する。
ボディーマイコン10は、受信した画像データに基づいて、オートフォーカス動作用の評価値(以下、AF評価値という)を算出する。具体的には、ボディーマイコン10は、デジタル信号処理部15へ命令を送信する。デジタル信号処理部15は、受信した命令に基づいて所定のタイミングで画像信号をボディーマイコン10へ送信する。ボディーマイコン10は、撮像センサ11で生成された画像データから輝度信号を求め、輝度信号の画面内における高周波成分を積算して、AF評価値を求める。算出されたAF評価値は、露光同期信号と関連付けた状態でDRAM(図示せず)に保存される。ボディーマイコン10がレンズマイコン240から取得したレンズ位置情報も露光同期信号と関連付けられているため、ボディーマイコン10は、AF評価値をレンズ位置情報と関連付けて保存することができる。基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、レンズマイコン240からボディーマイコン10が取得したレンズ位置情報は、例えば補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正されている。このようなフォーカスレンズユニット275の位置情報に対する補正処理は、ボディーマイコン10により行われてもよい。
【0097】
次に、ボディーマイコン10は、DRAMに保存されたAF評価値に基づいて、AF評価値が極大値となるフォーカスレンズユニット275の位置を合焦点として抽出する。合焦点を抽出する際のフォーカスレンズユニット275の駆動方式としては、一般的には山登り方式が知られている。山登り方式では、AF評価値が増大する方向へフォーカスレンズユニット275を移動させ、フォーカスレンズユニット275の位置ごとのAF評価値を求める。この動作を、AF評価値の極大値が検出されるまで、すなわち、AF評価値が増大して一旦ピークに達してから減少し始めるまで続ける。
ボディーマイコン10は、抽出した合焦点に対応する位置までフォーカスレンズユニット275が駆動されるように、レンズマイコン240を介して制御信号をフォーカス駆動制御部41へ送信する。フォーカス駆動制御部41は、例えばボディーマイコン10(または、レンズマイコン240)からの制御信号に基づいて、フォーカスモータ64を駆動するための駆動パルスを生成する。この駆動信号に応じた駆動量だけフォーカスモータ64が駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦点に対応する位置までZ軸方向に移動する。
【0098】
以上のようにして、デジタルカメラ301のオートフォーカス撮影モードによるフォーカシングが行われる。以上の動作は、ユーザーのシャッターボタン30の半押し操作後、瞬時に実行される。
なお、コントラスト検出方式によるフォーカシングは、撮像センサ11で実時間の画像データを生成できるモニタ撮影モード(いわゆる、ライブビューモード)で動作し得る。なぜなら、ライブビューモードでは、定常的に、撮像センサ11で画像データを生成しており、その画像データを用いたコントラスト検出方式のオートフォーカス動作をするのが容易だからである。
ライブビューモードでは、被写体の実時間画像が表示部20に表示されるので、ユーザーは、表示部20を見ながら静止画あるいは動画を撮るための構図を決めることができる。また、表示部20を用いてライブビューモードの他に、ユーザーが選択できる撮影モードとしては、交換レンズユニット2からの被写体像を液晶ファインダ8(ファインダ部38)に導く第2のライブビューモード(ファインダ撮影モード)もある。
【0099】
次に、マニュアルフォーカス撮影モードについて説明する。
ユーザーによりフォーカスリング89が回転操作されると、フォーカスリング角度検出部90は、フォーカスリング89の回転角度を検出し、その回転角度に応じた信号を出力する。フォーカス駆動制御部41は、レンズマイコン240を介してフォーカスリング角度検出部90から回転角度信号を受信可能であり、この回転角度信号に基づいてフォーカスモータ64の駆動信号を生成する。このとき、例えば補正部240cによりフォーカスレンズユニット275の目標位置が補正される。具体的には、補正部240cにより補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように目標位置が補正される。補正後の目標位置に対応する駆動信号がフォーカス駆動制御部41により生成される。この駆動信号に応じてフォーカスモータ64のリードスクリュ64aが回転する。フォーカスモータ64のリードスクリュ64aが回転すると、リードスクリュ64aと噛み合うラック66を介してフォーカスレンズユニット275がZ軸方向に移動する。図5および図6に示す広角端の状態では、被写体距離は無限遠であるが、被写体距離が近くなるにしたがって、フォーカスレンズユニット275は、Z軸方向正側へ移動する。同様に、図7および図8に示す望遠端の状態では、被写体距離は無限遠であるが、被写体距離が短くなるにしたがって、フォーカスレンズユニット275は、Z軸方向正側に移動する。広角端の場合に比べ、この場合のフォーカスレンズユニット275の移動量は多くなる。
【0100】
以上のようにして、ユーザーは、表示部20において被写体を確認しながらフォーカスリング89を回転してフォーカシングを行うことができる。マニュアルフォーカス撮影モードにおいて、ユーザーがシャッターボタン30を全押しすると、その状態のまま撮影が行われる。
(5)静止画撮影
ユーザーによりシャッターボタン30が全押しされると、撮像センサ11の測光出力に基づいて計算された絞り値に光学系Lの絞り値が設定されるように、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へ命令が送信される。そして、レンズマイコン240により絞り駆動制御部42が制御され、指示された絞り値まで絞りユニット62を絞り込む。絞り値の指示と同時に、撮像センサ駆動制御部12から撮像センサ11へ駆動命令が送信され、シャッターユニット33の駆動命令が送信される。撮像センサ11の測光出力に基づいて計算されたシャッタースピードの時間だけ、シャッターユニット33により撮像センサ11が露光される。
【0101】
ボディーマイコン10は、撮影処理を実行し、撮影が終了すると、画像記録制御部19に制御信号を送信する。画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号を内部メモリおよび/またはリムーバブルメモリに記録する。画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号とともに撮影モードの情報(オートフォーカス撮影モードかマニュアルフォーカス撮影モードか)を、内部メモリおよび/またはリムーバブルメモリに記録する。
さらに、露光完了後、撮像センサ駆動制御部12は、撮像センサ11から画像データを読み出し、所定の画像処理後、ボディーマイコン10を介して画像表示制御部21へ画像データが出力される。これにより、表示部20へ撮影画像が表示される。
また、露光終了後、ボディーマイコン10により、シャッターユニット33が初期位置にリセットされる。また、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へ絞りユニット62を開放位置にリセットするよう絞り駆動制御部42に命令が下され、レンズマイコン240から各ユニットへリセット命令が下される。リセット完了後、レンズマイコン240は、ボディーマイコン10にリセット完了を伝える。ボディーマイコン10は、レンズマイコン240からリセット完了情報を受信した後であって、かつ、露光後の一連の処理が完了した後に、シャッターボタン30が押されていないことを確認し、撮影シーケンスを終了する。
【0102】
(6)動画撮影
デジタルカメラ301は、動画を撮影する機能も有している。動画撮影モードでは、一定の周期で撮像センサ11により画像データが生成され、生成される画像データを利用してコントラスト検出方式によるオートフォーカスが継続的に行われる。動画撮影モードにおいて、シャッターボタン30が押される、あるいは動画撮影操作ボタン24が押されると、画像記録部18に動画が記録され、シャッターボタン30、あるいは動画撮影操作ボタン24が再度押されると、画像記録部18での動画の記録が停止する。
<カメラ本体の特徴>
以上に説明したカメラ本体3の特徴は以下の通りである。
(1)
このカメラ本体3では、フランジバックXaが交換レンズユニット202のレンズバックXbよりも短いため、交換レンズユニット202と同じ規格に準拠しているカメラ本体に比べて、小型化を図ることができる。
【0103】
さらに、フランジバックXaがレンズバックXbからアダプタ長さXsを差し引いた長さよりも短い。言い換えると、アダプタ長さXsが、レンズバックXbからフランジバックXaを差し引いた基準長さXs0よりも短い。このため、交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合に、交換レンズユニット202の位置がカメラ本体3に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1のカメラ本体3側(本実施形態では、無限遠側)に余裕範囲Hを確保することができる。つまり、余裕範囲Hを有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
以上より、このカメラ本体3では、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
【0104】
(2)
このカメラ本体3では、ボディーマイコン10の補正判定部10bにより、フランジバックXa、レンズバックXbおよびアダプタ長さXsに基づいて、フォーカスレンズの動作に関するレンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定できる。このため、例えば、他の規格に準拠した交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合でも、互換性を確保することができる。
ここで、レンズ動作情報としては、前述のように、例えば、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275のZ軸方向(光軸AZ方向)の位置情報、撮像センサ11に対するフォーカスレンズユニット75の位置情報、および、フォーカスレンズユニット275のZ軸方向の可動範囲(より詳細には、リミット位置)が考えられる。
【0105】
(3)
このカメラ本体3では、フランジバックXa、レンズバックXbおよびアダプタ長さXsから補正判定部10bが判定値Vを算出するため、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定しやすくなる。
(4)
このカメラ本体3では、補正判定部10bの判定結果に基づいて、ボディーマイコン10の補正指令部10dがレンズマイコン240の補正部240cに位置補正指令を送信する。この位置補正指令に基づいて補正部240cがフォーカスレンズユニット275の位置情報に対して補正処理を行うため、撮像センサ11に対するフォーカスレンズユニット275の光軸方向の位置が光学設計上の位置からずれないように、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正することができる。これにより、このカメラ本体3では、規格が異なる交換レンズユニットを活用することが可能となり、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
【0106】
また、位置補正指令とともに判定値Vがボディーマイコン10からレンズマイコン240に送信されるため、レンズマイコン240が補正量を容易に認識することができる。
(5)
また、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理を行うように、補正判定部10bの判定結果に基づいて、補正指令部10dがレンズマイコン240の補正部240cにリミット補正指令を送信する。このリミット補正指令に基づいて、補正部240cはフォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理を行う。これにより、フォーカスレンズユニット275が光学設計により定められた範囲以外の範囲(M19あるいはM29)を移動することがない。また、コントラストAF用の余裕範囲H1あるいはH2を適切な距離に保つことができ、コントラストAFの速度の低減を防止できる。
【0107】
また、リミット補正指令とともに判定値Vがボディーマイコン10からレンズマイコン240に送信されるため、レンズマイコン240が補正量を容易に認識することができる。
<アダプタの特徴>
アダプタ120の特徴は以下の通りである。
(1)
このアダプタ120では、アダプタ長さXsがレンズバックXbからフランジバックXaを差し引いた基準長さXs0よりも短い。このため、交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合に、交換レンズユニット202の位置がカメラ本体3に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1のカメラ本体3側(本実施形態では、無限遠側)に余裕範囲Hを確保することができる。つまり、余裕範囲Hを有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
【0108】
以上より、このアダプタ120では、カメラ本体の小型化を図りつつ、カメラ本体と交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
(2)
このアダプタ120では、アダプタ長さXsがアダプタマイコン123に予め記憶されているため、レンズ動作情報に対する補正処理の要否を判定する際にアダプタ長さXsを利用することができ、補正処理の要否を正確に判定することができる。
また、アダプタ長さXsがアダプタマイコン123に予め記憶されているため、判定値Vを容易に算出することができ、補正量を容易に把握することができる。
[他の実施形態]
本発明の実施形態は、前述の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正および変更が可能である。また、前述の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0109】
(1)
前述の実施形態では、デジタルカメラは静止画および動画の撮影が可能であるが、静止画撮影のみ、あるいは、動画撮影のみ可能であってもよい。
(2)
前述のデジタルカメラ1はクイックリターンミラーを有していないが、従来の一眼レフカメラのようにクイックリターンミラーが搭載されていてもよい。
また、カメラ本体3はコントラスト検出方式にのみ対応しているが、コントラスト検出方式に加えて位相差検出方式に対応していてもよい。
(3)
光学系Lの構成は前述の実施形態に限定されない。例えば、第3レンズ群G3が複数のレンズから構成されていてもよいし、第2レンズ群G2が単一のレンズから構成されていてもよい。
【0110】
(4)
前述の実施形態では、シャッターユニット33を動作させることにより撮像センサ11への露光時間を制御しているが、電子シャッターにより撮像センサ11の露光時間を制御してもよい。
(5)
前述の実施形態では、レンズマイコン40により電子トラッキングが行われるが、ボディーマイコン10からレンズマイコン40に命令が送信され、その命令に基づいて電子トラッキングの制御が行われてもよい。
(6)
前述の第3〜第5実施形態は、別々の実施形態として記載されているが、各実施形態の構成を組み合わせてもよい。
【0111】
(7)
前述の実施形態では、Xs=Xs0−Xcであるが、以下の式(6)を満たしていれば、カメラ本体3と同様の効果を得ることができる。
【0112】
【数6】
Xs≦Xb−Xa−Xc=Xs0−Xc ・・・(6)
(8)
交換レンズユニット202はコントラスト検出方式に対応していないが、コントラスト検出方式に対応している交換レンズユニットであってもカメラ本体3に装着することができる。
(9)
前述の実施形態では、レンズマイコン240の補正部240cがレンズ動作情報を補正しているが、カメラ本体3のボディーマイコン10がレンズ動作情報を補正してもよい。
【0113】
例えば、前述の実施形態では、式(4)に基づいてレンズマイコン240により補正量Ycが算出されているが、ボディーマイコン10が補正量Ycを算出する機能を有していてもよい。この場合、ボディーマイコン10は、各交換レンズユニットの補正係数Kを予め格納しているか、あるいは、装着されたレンズマイコン240から補正係数Kを取得する。ボディーマイコン10は距離Xcおよび補正係数Kを用いて式(4)に基づいて補正量Ycを算出する。
さらに、ボディーマイコン10は、装着される交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合していない場合に、その交換レンズユニットの規格に応じて、補正量Ycを用いてフォーカスレンズユニット275の位置情報を補正するように構成されていてもよい。補正処理が実行される場合としては、例えば、フォーカスレンズユニット275の位置情報をレンズマイコン240と送受信する場合が考えられる。
【0114】
具体的には、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240からフォーカスレンズユニット275の位置情報を受信すると、例えば、位置情報が示すフォーカスレンズユニット275の位置がZ軸方向正側に補正量Ycだけシフトするように、受信した位置情報を補正する。この補正処理は、受信した位置情報を、ボディーマイコン10で用いられる補正位置情報に変換する処理とも言える。
また、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240にフォーカスレンズユニット275の位置情報を送信する際に、例えば、位置情報が示すフォーカスレンズユニット275の位置がZ軸方向負側に補正量Ycだけシフトするように、送信する位置情報を補正する。この補正処理は、ボディーマイコン10で用いられる補正位置情報を、レンズマイコン240で用いられる元の位置情報に変換する処理とも言える。
【0115】
ここで説明したボディーマイコン10では、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合する場合と、交換レンズユニットの規格がカメラ本体の規格と整合しない場合と、で同じ被写体距離に対応するフォーカスレンズの位置情報を異ならせていることになる。例えば、上記のような補正処理を行うことで、カメラ本体3で用いられる無限遠に対応するフォーカスレンズの位置情報が、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合する場合と、交換レンズユニットの規格がカメラ本体の規格と整合しない場合と、で異なっている。言い換えると、フォーカスレンズの位置情報を交換レンズユニットの規格に応じて異ならせる機能をカメラ本体3が有していれば、上記の補正部をカメラ本体3が備えていることになる。
なお、ボディーマイコン10が上記の補正機能を当初から有していない場合であっても、ファームアップによりボディーマイコン10に補正機能が追加されることも考えられる。
【0116】
(10)
前述の実施形態では、アダプタマイコン123には、アダプタ長さに関する情報としてアダプタ長さXsが記憶されているが、アダプタ長さXsに加えてレンズバックに関する情報が記憶されていてもよい。レンズバックに関する情報には、例えば、アダプタ120に装着可能な交換レンズユニットのレンズID(交換レンズユニットに関する情報の一例)およびレンズバックが含まれている。この場合、レンズIDおよびレンズバックは関連付けられてアダプタマイコン123に記憶されている。複数のレンズバックがレンズIDとともにアダプタマイコン123に記憶されていてもよい。
例えば、交換レンズユニット202の場合であれば、交換レンズユニット202のレンズIDおよびレンズバックXbがアダプタマイコン123に記憶されている。交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着されると、アダプタマイコン123に記憶されているレンズIDおよびレンズバックXbがカメラ本体3のボディーマイコン10に送信される。
【0117】
ボディーマイコン10は、アダプタ120から取り込んだレンズIDおよびレンズバックの中から、交換レンズユニット202のレンズIDに対応するデータを選択する。選択されたデータは、選択されたデータは前述の補正要否の判断処理や補正処理に用いられる。このように、アダプタ120にアダプタマイコン123にアダプタ長さに関する情報を予め格納しておくことで、交換レンズユニット202のレンズマイコン240がレンズバックに関する情報を記憶していなくても、前述の補正要否の判断処理や補正処理を行うことができる。
また、アダプタマイコン123に判定値Vが記憶されていてもよい。判定値Vは、前述のように、交換レンズユニット202のレンズバックXb、カメラ本体3のフランジバックXaおよびアダプタ長さXsから式(5)を用いて算出することができる。この判定値Vに対応する交換レンズユニットのレンズIDおよびカメラ本体のカメラIDが判定値Vと関連付けられてアダプタマイコン123に記憶されている。交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着されると、アダプタマイコン123に記憶されている判定値V、レンズIDおよびカメラIDがカメラ本体3のボディーマイコン10に送信される。
【0118】
ボディーマイコン10は、アダプタ120から取り込んだ判定値V、レンズIDおよびカメラIDの中から、交換レンズユニット202のレンズIDおよびカメラ本体3のカメラIDに対応するデータを選択する。選択されたデータは前述の補正要否の判断処理や補正処理に用いられる。このように、判定値Vをアダプタ120のアダプタマイコン123に予め格納しておくことで、交換レンズユニット202のレンズマイコン240がレンズバックに関する情報を記憶していなくても、前述の補正要否の判断処理や補正処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上に説明した技術によれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保できるカメラ本体および撮像装置を提供することができる。また、以上に説明した技術によれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができるアダプタを提供することができる。したがって、以上に説明した技術は、互換性の確保が望まれる交換レンズ式デジタルカメラのような撮像装置に好適である。
【符号の説明】
【0120】
1 デジタルカメラ(撮像装置の一例)
2 交換レンズユニット
3 カメラ本体
3a 筐体
4 ボディーマウント(マウント部の一例)
10 ボディーマイコン(位置情報取得部の一例、補正部の一例)
10b 補正判定部
11 撮像センサ(撮像素子の一例)
40 レンズマイコン
100 トラッキングテーブル
120 アダプタ
121 第1マウント
122 第2マウント
123 アダプタマイコン(記憶部の一例)
240 レンズマイコン
240c 補正部
L 光学系
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ(フォーカスレンズの一例)
L7 第7レンズ
Xa フランジバック
Xb レンズバック、フランジバック
H 余裕範囲
Xs アダプタ長さ
Xs0 基準長さ
V 判定値
【書類名】 明細書
【発明の名称】 カメラ本体、アダプタおよび撮像装置
【技術分野】
【0001】
技術分野は、交換レンズ式の撮像装置に用いられるカメラ本体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラなどの撮像装置が急速に普及している。デジタルカメラとして、デジタル一眼レフカメラが知られている。このデジタル一眼レフカメラでは、光学ファインダを用いて被写体を観察する場合、光学系に入射した光(すなわち被写体像)が光路上に配置されたクイックリターンミラーにより反射され、ファインダ光学系に導かれる。この結果、ペンタプリズム等を介して被写体像が正立像に変換され、光学ファインダに導かれる。これにより、撮影者は光学系により形成された被写体像を光学ファインダから観察することができる。
【0003】
一方、光学系を撮影用として使用する場合は、クイックリターンミラーが撮影用光路から待避する。この結果、ファインダ用光路が撮影用光路に切り換えられ、撮影が終了するとクイックリターンミラーは定位置に瞬時に戻る。この方式は、一眼レフ方式であれば、従来の銀塩カメラでも、デジタルカメラでも同様である。
【0004】
しかし、光学ファインダを用いての撮影は、デジタルカメラの撮影に不慣れな初心者にとっては、非常に使いにくい。
【0005】
そこで、撮影時に液晶モニタにより被写体を観察できるモニタ撮影モード(いわゆる、ライブビュー撮影モード)を有する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−125173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のデジタル一眼レフカメラは、クイックリターンミラーを有しているため、交換レンズユニットが装着されるカメラ本体のフランジバックが長くなる。フランジバックが長くなると、光学系が搭載された交換レンズユニットのサイズも大きくなるため、従来のデジタル一眼レフカメラは小型化が困難である。
【0008】
そこで、クイックリターンミラーを使用しないデジタルカメラが検討されている。このデジタルカメラでは、クイックリターンミラーのためのスペースを設ける必要がないため、カメラ本体のフランジバックを短くすることができ、この結果、カメラ本体の小型化が可能となる。
【0009】
しかし、カメラ本体のフランジバックが短くなると、クイックリターンミラーを有するフランジバックの長い従来のカメラ本体に対応した交換レンズユニットとの互換性が確保できなくなる。つまり、フランジバックを短くしたカメラ本体で、過去に購入した交換レンズユニットの活用を図ることができない場合がある。
【0010】
そこで、交換レンズユニットとカメラ本体との互換性を確保するために、アダプタを用いることが考えられる。
【0011】
しかし、例えば、カメラ本体で採用されているオートフォーカス方式がコントラスト検出方式である場合、AF評価値の極大値を検出するためにフォーカスレンズを光軸方向に余分に移動させる必要がある。過去の交換レンズユニットは、コントラスト検出方式への対応を想定しておらず、フォーカスレンズの可動範囲に余裕範囲が設けられていないことが多い。したがって、フォーカスレンズの動作をコントラスト検出方式にて制御したとしても、装着される交換レンズユニットによっては、フォーカスレンズが機械的に移動できない領域ができてしまい、この結果、オートフォーカスを行えないおそれがある。
【0012】
このように、カメラ本体の小型化を図ると、過去に購入した交換レンズユニットを活用できなくなるおそれがある。
【0013】
ここに開示された技術であれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができるカメラ本体および撮像装置を提供することができる。
【0014】
さらに、ここに開示された技術であれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットおよびカメラ本体の互換性を確保できるアダプタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
ここに開示されたカメラ本体は、交換レンズユニットがアダプタを介して装着可能である。このカメラ本体は、筐体と、撮像素子と、マウント部と、を備えている。撮像素子は、筐体に収容されており、被写体の画像信号を取得する。マウント部は、筐体に固定されており、アダプタが装着可能な部分である。マウント部は、撮像素子の受光面からフランジバックだけ離れた位置に配置されている。交換レンズユニットがコントラスト検出方式のオートフォーカスに対応していない場合に、交換レンズユニットのレンズバックはフランジバックよりも長い。交換レンズユニットがコントラスト検出方式のオートフォーカスに対応していない場合に、フランジバックは、レンズバックからアダプタの光軸方向の長さであるアダプタ長さを差し引いた長さよりも短い。
【0016】
このカメラ本体では、フランジバックが交換レンズユニットのレンズバックよりも短いため、この交換レンズユニットと同じ規格に準拠しているカメラ本体に比べて、小型化を図ることができる。
【0017】
さらに、フランジバックがレンズバックからアダプタ長さを差し引いた長さよりも短い。言い換えると、アダプタ長さが、レンズバックからフランジバックを差し引いた基準長さよりも短い。このため、交換レンズユニットがアダプタを介してカメラ本体に装着された場合に、交換レンズユニットをカメラ本体に対して、より近くに配置することができる。これにより、例えば、交換レンズユニットのフォーカスレンズの可動範囲に、コントラスト検出方式のための余裕範囲を確保することができる。つまり、余裕範囲を有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
【0018】
以上より、このカメラ本体およびこのカメラ本体を備えた撮像装置では、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
【0019】
ここに開示されたアダプタは、レンズバックを有する交換レンズユニットとフランジバックを有するカメラ本体とを接続可能である。このアダプタは、第1マウント部と、第2マウント部と、を備えている。第1マウント部はカメラ本体に装着可能である。第2マウント部は、交換レンズユニットに装着可能であり、第1マウント部からアダプタ長さだけ離れた位置に配置されている。交換レンズユニットがコントラスト検出方式のオートフォーカスに対応していない場合であってカメラ本体のフランジバックが交換レンズユニットのレンズバックよりも短い場合に、アダプタ長さは、レンズバックからフランジバックを差し引いた基準長さよりも短い。
【0020】
このアダプタでは、アダプタ長さがレンズバックからフランジバックを差し引いた基準長さよりも短い。このため、交換レンズユニットがアダプタを介してカメラ本体に装着された場合に、交換レンズユニットの位置がカメラ本体に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、例えば、交換レンズユニットのフォーカスレンズユニットの可動範囲に、コントラスト検出方式のための余裕範囲を確保することができる。つまり、余裕範囲を有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
【0021】
以上より、このアダプタでは、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができる。
【0022】
また、ここに開示された別のカメラ本体は、外部ユニットを装着可能である。このカメラ本体は、外部ユニットを装着するためのボディーマウントと、ボディーマウントに装着される外部ユニットに応じて外部ユニットに含まれるフォーカスレンズの位置情報を補正する補正部と、を備えている。
【0023】
このカメラ本体では、外部ユニットがボディーマウントに装着されると、外部ユニットに応じてフォーカスレンズの位置情報が補正部により補正される。したがって、カメラ本体と異なる規格の外部ユニットが装着されても、フォーカスレンズの位置情報をカメラ本体に対応させることができ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上に説明した技術によれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保できるカメラ本体および撮像装置を提供することができる。また、以上に説明した技術によれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができるアダプタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】デジタルカメラの概略構成図
【図2】カメラ本体の構成を示すブロック図
【図3】デジタルカメラの概略斜視図
【図4】(A)カメラ本体の上面図、(B)カメラ本体の背面図
【図5】交換レンズユニットの断面図(広角端)
【図6】交換レンズユニットの断面図(広角端)
【図7】交換レンズユニットの断面図(望遠端)
【図8】交換レンズユニットの断面図(望遠端)
【図9】第2レンズ群ユニットおよびフォーカスレンズユニットの分解斜視図
【図10】第2レンズ群ユニットおよびフォーカスレンズユニットの分解斜視図
【図11】フォーカスレンズユニットの部分斜視図
【図12】(A)光学系の構成図(広角端)、(B)光学系の構成図(望遠端)
【図13】ズームリングの回転角度と各部材の撮像センサからの距離との関係を示すグラフ
【図14】ズームレンズ系を実現するためのトラッキングテーブル
【図15】(A)、(B)デジタルカメラの概略図
【図16】デジタルカメラの概略図
【図17】(A)〜(D)コントラストAFでのフォーカスレンズユニットの動作
【図18】デジタルカメラの概略図
【図19】デジタルカメラの概略構成図
【図20】位置情報の補正処理の説明図
【図21】トラッキングテーブルの補正処理の説明図
【図22】可動範囲の補正処理の説明図
【図23】可動範囲の補正処理の説明図
【図24】可動範囲の補正処理の説明図
【図25】可動範囲の補正処理の説明図
【図26】補正判定処理のフローチャート
【図27】補正判定処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
<デジタルカメラの概要>
図1〜図13を用いて、デジタルカメラ1について説明する。図1はデジタルカメラ1の概略構成図である。図1に示すように、デジタルカメラ1(撮像装置の一例)は、交換レンズ式のデジタルカメラであり、主に、カメラ本体3と、カメラ本体3に取り外し可能に装着された交換レンズユニット2と、を備えている。交換レンズユニット2は、レンズマウント95を介して、カメラ本体3の前面に設けられたボディーマウント4に装着されている。カメラ本体3および交換レンズユニット2は、同じ規格に準拠している。
【0027】
ここで、規格とは、カメラ本体において交換レンズユニットを装着して使用可能とするための取り決めである。規格においては、まず、ボディーマウントがレンズマウントに装着可能なように、これらの形状が取り決められている。さらに、規格では、ボディーマウントの基準面から撮像面(受光面とも言う)までの距離、すなわち、フランジバックが取り決められている。
【0028】
交換レンズユニットは、レンズマウントをボディーマウントに装着した状態で撮像面上に後側焦点が位置するように設計される。レンズマウントをボディーマウントに装着したときの基準面から後側焦点までの光軸方向の距離をレンズバックとも言う。互換性のあるカメラ本体および交換レンズユニットでは、レンズバックはフランジバックと同じ長さである。したがって、レンズバックは、交換レンズユニット特有の値であって、交換レンズユニットが有するレンズマウントが装着可能なボディーマウントを有するカメラ本体のフランジバック、と言い換えることもできる。なお、規格において、さらに、カメラ本体と交換レンズユニットとで交換される信号等について取り決めていることもある。
【0029】
図2はカメラ本体3の構成を示すブロック図である。図3はデジタルカメラ1の概略斜視図である。図4(A)はカメラ本体3の上面図であり、図4(B)はカメラ本体3の背面図である。図5〜図8は交換レンズユニット2の概略断面図である。図5および図6が広角端の状態を示しており、図7および図8が望遠端の状態を示している。図6は図5とは異なる平面における断面図である。図8は図7とは異なる平面における断面図である。図9および図10は第2レンズ群ユニット77およびフォーカスレンズユニット75の分解斜視図である。図12(A)および図12(B)は光学系Lの構成図である。図12(A)が広角端の状態を示しており、図12(B)が望遠端の状態を示している。図13は、ズームリング84の回転位置と、各部材の撮像センサ11からの距離と、の関係を示している。
【0030】
なお、本実施形態では、デジタルカメラ1に対して3次元直交座標系を設定する。光学系L(後述)の光軸AZはZ軸方向(光軸方向の一例)と一致している。X軸方向はデジタルカメラ1での縦撮り姿勢における水平方向と一致している。Y軸方向はデジタルカメラ1での横撮り姿勢における鉛直方向と一致している。また、以下の説明において、「前」とは、デジタルカメラ1の被写体側(Z軸方向正側)を、「後」とは、デジタルカメラ1の被写体側と反対側(ユーザー側、Z軸方向負側)を意味する。
【0031】
<交換レンズユニット>
図1〜図12(B)を用いて交換レンズユニット2の概略構成を説明する。図1に示すように、交換レンズユニット2は、光学系Lと、光学系Lを支持するレンズ支持機構71と、フォーカス調節ユニット72と、絞り調節ユニット73と、振れ補正ユニット74と、レンズマイコン40と、を有している。
【0032】
(1)光学系
光学系Lは、被写体の光学像を形成するためのズームレンズ系であり、主に4つのレンズ群から構成されている。具体的には図12(A)および図12(B)に示すように、光学系Lは、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、を有している。
【0033】
第1レンズ群G1は、第1レンズL1と、第1レンズL1の撮像センサ11側に配置あされた第2レンズL2と、を有している。第1レンズL1は被写体側を向く凸面を有する負メニスカスレンズである。第2レンズL2は、被写体側を向く凸面を有する正メニスカスレンズであり、接着層を介して第1レンズL1に接合されている。
【0034】
第2レンズ群G2は、第3レンズL3と、第3レンズL3の撮像センサ11側に配置された第4レンズL4と、第4レンズL4の撮像センサ11側に配置された第5レンズL5と、を有している。第3レンズL3は被写体側に向く凸面を有する負メニスカスレンズである。第4レンズL4は両凹レンズである。第5レンズL5は両凸レンズである。
【0035】
第3レンズ群G3は第6レンズL6(フォーカスレンズの一例)から構成されている。第6レンズL6は、撮像センサ11側を向く凸面を有する負メニスカスレンズであり、第5レンズL5と第7レンズL7とのZ軸方向間(第2レンズ群G2と第4レンズ群G4とのZ軸方向間)に配置されている。
【0036】
第4レンズ群G4は、第7レンズL7と、第8レンズL8と、第9レンズL9と、第10レンズL10と、第11レンズL11と、第12レンズL12と、を有している。第7レンズL7は、振れ補正のための正メニスカスレンズであり、撮像センサ11側を向く凸面を有している。第8レンズL8は両凸レンズである。第9レンズL9は、両凹レンズであり、接着層を介して第8レンズL8に接合されている。第10レンズL10は両凸レンズである。第10レンズL10の被写体側の面は、非球面である。第11レンズL11は、被写体側を向く凸面を有する負メニスカスレンズであり、接着層を介して第10レンズL10に接合されている。第12レンズL12は両凸レンズである。
【0037】
図12(A)、図12(B)および図13に示すように、広角端から望遠端へのズーミング時には、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4は、それぞれ被写体側へと光軸AZに沿ってZ軸方向へ移動する。より詳細には、広角端から望遠端へのズーミング時には、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が増加し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が減少する。絞りユニット62(後述)は第4レンズ群G4と共に被写体側に移動する。
【0038】
また、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシング時には、第3レンズ群G3が光軸AZに沿って被写体側へと移動する。
【0039】
さらに、デジタルカメラ1の動きに起因する光学像の振れを抑制するために、第7レンズL7が光軸AZと直交する2方向に移動する。
【0040】
(2)レンズ支持機構
レンズ支持機構71は、光学系Lを移動可能に支持するための機構であり、レンズマウント95と、固定枠50と、カム筒51と、第1ホルダー52と、第1レンズ群支持枠53と、第2レンズ群支持枠54と、第2ホルダー55と、第3レンズ群支持枠56と、第4レンズ群支持枠61と、ズームリングユニット83と、フォーカスリングユニット88と、を有している。
【0041】
レンズマウント95は、カメラ本体3のボディーに装着される部分であり、レンズ側接点91を有している。固定枠50は、カム筒51を回転可能に支持する部材であり、レンズマウント95に固定されている。固定枠50は、Z軸方向正側の端部に突起50aと、外周に設けられた3つの凹部50bと、光軸AZ回りに等ピッチで配置された3本の貫通直進溝50cと、を有している。カム筒51は、内周に設けられた3つの凸部51aと、3本の第1カム溝51dと、3本の第2カム溝51bと、3本の第3カム溝51cと、を有している。カム筒51の凸部51aが固定枠50の凹部50bに挿入されているため、Z軸方向の相対移動が規制された状態で、固定枠50に対して回転可能なようにカム筒51が固定枠50により支持されている。
【0042】
第1レンズ群支持枠53は、第1ホルダー52に固定されており、第1レンズ群G1を支持している。第1ホルダー52は、内周側に形成されZ軸方向に延びる縦溝52aと、光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つのカムピン81と、を有している。縦溝52aには固定枠50の突起50aが挿入されている。カムピン81はカム筒51の第1カム溝51dに挿入されている。これらの構成により、第1ホルダー52は固定枠50に対して回転することなくZ軸方向に移動可能である。固定枠50に対する第1ホルダー52の移動量は第1カム溝51dの形状により決まる。第1ホルダー52の先端には、偏光フィルタや保護フィルタのような光学フィルタおよびコンバージョンレンズを取り付けるための雌ねじ部52cが形成されている。
【0043】
第2レンズ群支持枠54は、第2ホルダー55に固定されており、第2レンズ群G2を支持している。第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55により、第2レンズ群ユニット77が構成されている。第2ホルダー55は、光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つの凸部55bと、凸部55bに固定された3つのカムピン82と、を有している。カムピン82はカム筒51の第2カム溝51bに挿入されている。凸部55bは固定枠50の貫通直進溝50cに挿入されている。これらの構成により、第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55は、固定枠50に対して回転することなくZ軸方向に移動可能である。固定枠50に対する第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55の移動量は、第2カム溝51bの形状により決まる。
【0044】
第3レンズ群支持枠56は、第3レンズ群G3(より詳細にはフォーカスレンズとして機能する第6レンズL6)を支持する部材であり、軸受け部56aと、廻り止め部56bと、ラック支持部56cと、突起56dと、を有している。第6レンズL6および第3レンズ群支持枠56によりフォーカスレンズユニット75が構成されている。第2ホルダー55は、Z軸方向に延びる2本のガイドポール63a、63bの前側端部を支持している。ガイドポール支持板65は、ガイドポール63aの後側端部を支持するための部材であり、第2ホルダー55の撮像センサ11側に固定されている。軸受け部56aにはガイドポール63aが挿入されており、廻り止め部56bにはガイドポール63bが挿入されている。ガイドポール63aおよび63bにより、光軸AZ周りの回転が規制された状態で、第3レンズ群支持枠56はZ軸方向に移動可能に支持されている。
ラック支持部56cは、軸受け部56aからZ軸方向負側に延びる部分であり、ラック66を軸方向に一体で移動可能にかつ回転可能に支持している。ラック66は、複数の歯66cを有するラック本体66aと、Z軸方向に延びる軸部66bと、を有している。複数の歯66cはフォーカスモータ64のリードスクリュ64aと噛み合っている。軸部66bはラック支持部56cに支持されているため、ラック66はラック支持部56cに対して中心軸R回りに回転可能となっている。
【0045】
さらに、図9および図11に示すように、ラック支持部56cにはねじりコイルバネ68が取り付けられている。ねじりコイルバネ68は、弾性力を発生する巻き回り部68aと、第1端部68bと、第2端部68cと、を有している。巻き回り部68aはラック66の軸部66bに挿入されている。巻き回り部68aが捩られた状態で、第1端部68bがラック支持部56cに引っかけられており、第2端部68cがラック66に引っかけられている。つまり、ねじりコイルバネ68は、ラック66に対してA方向へ回転力を付与しており、リードスクリュ64aに対してラック66を常に押し付けている。これにより、ラック66とリードスクリュ64aとの間のバックラッシュを低減することができ、フォーカスレンズユニット75の位置精度を高めることができる。また、ラック66がリードスクリュ64aに常に押し付けられているため、リードスクリュ64aからラック66に駆動力を効率よく伝達することが可能となる。
【0046】
さらに、ねじりコイルバネ68の巻き回り部68aは、ラック支持部56cとラック66との間でZ軸方向(中心軸Rに平行な方向)に圧縮されている。ねじりコイルバネ68はラック66に対して押付力Fを付与しており、ねじりコイルバネ68によりラック66はラック支持部56cに押し付けられている。これにより、ラック66がラック支持部56cに対してZ軸方向に移動するのを抑制でき、フォーカスレンズユニット75の位置精度をさらに高めることができる。
【0047】
第2ホルダー55にはフォーカスモータ64が固定されている。フォーカスモータ64は例えばステッピングモータである。フォーカスモータ64は、Z軸方向に延びた回転軸としてのリードスクリュ64aを有している。このリードスクリュ64aにラック66が噛み合っている。
【0048】
突起56dは、フォーカスレンズユニット75の原点を検出するための部分であり、フォトセンサ67(後述)の検出領域を通過可能な位置に設けられている。本実施形態では、フォーカスレンズ群である第3レンズ群G3が1枚の第6レンズL6により形成されているため、第3レンズ群G3の重量を例えば1g以下とすることができ、フォーカスモータ64での駆動速度を高めることができる。
【0049】
第4レンズ群支持枠61は、第1支持枠57と、第2支持枠58と、第3支持枠59と、第4支持枠60と、を有している。第4レンズ群G4および第4レンズ群支持枠61により、第4レンズ群ユニット78が構成されている。
【0050】
第1支持枠57は第7レンズL7を支持している。第2支持枠58は、第8レンズL8および第9レンズL9を支持しており、さらに第1支持枠57を光軸AZに直交する2方向に移動可能に支持している。第2支持枠58は光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つのカムピン80を有している。
【0051】
第3支持枠59は、第10レンズL10および第11レンズL11を支持しており、例えばネジにより第2支持枠58に固定されている。第4支持枠60は、第12レンズL12を支持しており、例えばネジにより第3支持枠59に固定されている。これらの構成により、第1支持枠57、第2支持枠58、第3支持枠59および第4支持枠60は、光軸AZに沿って一体で移動する。
【0052】
また、第1支持枠57は、例えば第2支持枠58により光軸AZに直交する2方向に移動可能なように支持されている。この構成により、第1支持枠57は、第2支持枠58、第3支持枠59および第4支持枠60に対してZ軸方向には一体で移動しつつ光軸AZに直交する方向に移動可能である。
【0053】
ズームリングユニット83は、リングベース86と、ズームリング84と、ズームリング84の回転位置を検出するリニアポジションセンサ87と、を有している。ズームリング84の回転位置とは、ズームリング84の回転方向の位置を意味しており、ある基準位置からのズームリング84の回転角度ということもできる。
【0054】
ズームリング84は、円筒形状を有しており、固定枠50に固定されたリングベース86により、Z軸方向への移動が規制された状態で光軸AZ周りに回転可能に支持されている。ズームリング84はZ軸方向負側の端部に貫通穴84aを有している。貫通穴84aには、カム筒51に固定されたズーム駆動ピン85が挿入されている。これにより、カム筒51はズームリング84と光軸AZ周りに一体回転する。
【0055】
リニアポジションセンサ87は、ユーザーによるズームリング84の回転位置および回転方向を検出し、検出結果をレンズマイコン40に送信する。具体的には、リニアポジションセンサ87は、リングベース86に固定されており、半径方向外側に突出する摺動子87aを有している。この摺動子87aは、ズームリング84に形成されたカム溝84bに挿入されている。固定枠50に対してズームリング84が回転すると、カム溝84bに沿って摺動子87aはZ軸方向に移動する。リニアポジションセンサ87は、可変抵抗器を有しており、摺動子87aがこの可変抵抗器内にある磁気抵抗体上をスライドすることにより、両端に所定の電圧を付与した端子間において、摺動子87aのZ軸方向の位置に比例した出力(出力電圧)をリニアに得ることができる。リニアポジションセンサ87の出力を回転位置情報に変換することで、ズームリング84の回転位置を検出することが可能となる。ズームリング84の外周面には、光学系Lの焦点距離が表示されている。
【0056】
なお、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4がレンズ支持機構71を介して機械的に連結されているため、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の絶対位置(例えば、撮像センサ11の受光面11aを基準とした位置)はズームリング84の回転位置と一定の関係を有している。したがって、ズームリング84の回転位置を検出することにより、例えばレンズマウント95に対する第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の絶対位置を把握することができる。なお、ズームリング84は、例えば可動式のレバーのような他の構造を有していてもよい。
【0057】
フォーカスリングユニット88は、フォーカスリング89と、フォーカスリング89の回転角度を検出するフォーカスリング角度検出部90と、を有している。フォーカスリング89は、円筒形状を有しており、リングベース86により、Z軸方向の移動が規制された状態で光軸AZ周りに回転可能に支持されている。フォーカスリング89の回転角度および回転方向は、フォーカスリング角度検出部90により検出可能である。例えば、このフォーカスリング角度検出部90は、2つのフォトセンサ(図示せず)を有している。フォーカスリング89は、回転方向に等間隔で配置され半径方向内側に突出する複数の突起89aを有している。各フォトセンサは、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を有しており、発光部および受光部の間を複数の突起89aが通過することで、フォーカスリング89の回転角度および回転方向を検出することができる。なお、フォーカスリング89は、例えば可動式のレバーのような他の構造を有していてもよい。
【0058】
(3)フォーカス調節ユニット
フォーカス調節ユニット72は、フォーカスモータ64と、フォーカス駆動制御部41と、フォトセンサ67と、を有している。フォーカスモータ64は、第2ホルダー55に固定されており、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75をZ軸方向に駆動する。第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の駆動は、フォーカスモータ64のみにより行われる。言い換えると、フォーカスモータ64がフォーカスレンズユニット75を駆動していない状態(例えば、フォーカスモータ64に電力が供給されていない状態)では、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75を移動させることはできない。この場合、フォーカスレンズユニット75は第2ホルダー55と一体でZ軸方向に移動する。
【0059】
フォーカスモータ64のリードスクリュ64aは、フォーカス駆動制御部41から入力された駆動信号に基づいて回転する。フォーカスモータ64で発生した回転運動は、リードスクリュ64aおよびラック66によりフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の直進運動に変換される。これにより、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75がZ軸方向に移動可能となる。
【0060】
このデジタルカメラ1では、被写体距離を実質的に一定に保ちつつ焦点距離を変更できるズームレンズ系を実現するために、レンズマイコン40に予め記憶されているトラッキングテーブルに基づいてフォーカス調節ユニット72によりフォーカスレンズユニット75が駆動される。ここでは、このようなトラッキング方式を電子トラッキングと呼ぶ。
【0061】
トラッキングテーブルとは、焦点距離が変化しても焦点が合う被写体距離が実質的に一定に保たれるフォーカスレンズユニット75の位置(より詳細には、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の位置)を示す情報である。被写体距離が実質的に一定とは、被写体距離の変化量が所定の被写界深度内に収まることを意味している。電子トラッキングについては後述する。
【0062】
また、第2ホルダー55には、フォーカスレンズユニット75の原点位置を検出するフォトセンサ67が搭載されている。このフォトセンサ67は発光部(図示せず)と受光部(図示せず)とを有している。発光部と受光部との間を第3レンズ群支持枠56の突起56dが通過すると、フォトセンサ67は突起56dの有無を検出できる。つまり、フォトセンサ67により、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の原点位置を検出することが可能となる。言い換えれば、フォトセンサ67は、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3の原点位置を検出する原点検出器である。レンズマイコン40は、第3レンズ群G3を原点位置に駆動し、フォトセンサ67からの信号によりフォーカスレンズユニット75(第3レンズ群G3)が原点位置にあることを認識する。
【0063】
フォトセンサ67により検出できる原点位置は第2レンズ群ユニット77に対して移動することがない絶対位置である。このため、フォーカスレンズユニット75の位置を第2レンズ群ユニット77に対して原点位置にリセットする際には、フォトセンサ67により原点検出用の突起56dが検出される位置までフォーカスレンズユニット75を駆動する。例えば、デジタルカメラ1の電源スイッチ25をオフにすると、フォーカスレンズユニット75の現在位置に関わらず、第3レンズ群支持枠56の突起56dがフォトセンサ67に検出される位置までフォーカスレンズユニット75がフォーカスモータ64により駆動される。フォーカスレンズユニット75の駆動完了後、デジタルカメラ1の電源がオフになる。逆に、デジタルカメラ1の電源スイッチ25をオンにすると、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット75がトラッキングテーブルに基づいて求められた所定の位置まで駆動される。なお、原点検出器は、フォトセンサに限られず、例えば、マグネットおよび磁気センサを組み合わせることで実現されてもよい。
【0064】
(4)絞り調節ユニット
絞り調節ユニット73は、第2支持枠58に固定された絞りユニット62と、絞りユニット62を駆動する絞り駆動モータ(図示せず)と、絞り駆動モータを制御する絞り駆動制御部42と、を有している。絞り駆動モータは、例えばステッピングモータである。絞り駆動モータは、絞り駆動制御部42から入力される駆動信号に基づいて駆動される。絞り駆動モータで発生した駆動力により、絞り羽根62aが開方向および閉方向に駆動される。絞り羽根62aを駆動することで光学系Lの絞り値を変更することができる。
【0065】
(5)振れ補正ユニット
振れ補正ユニット74は、交換レンズユニット2およびカメラ本体3の動きに起因する光学像の振れを抑制するためのユニットであり、電磁アクチュエータ46と、位置検出センサ47と、振れ補正用マイコン48と、を有している。
【0066】
電磁アクチュエータ46は第1支持枠57を光軸AZに直交する方向に駆動する。具体的には、電磁アクチュエータ46は、例えばマグネット(図示せず)とコイル(図示せず)とを有している。例えば、コイルは第1支持枠57に設けられており、マグネットは第2支持枠58に固定されている。
【0067】
位置検出センサ47は、第2支持枠58に対する第1支持枠57の位置を検出するためのセンサであり、例えばホール素子である。交換レンズユニット2には、ジャイロセンサなどの動き検出センサ(図示せず)が搭載されている。振れ補正用マイコン48は、位置検出センサ47の検出結果および動き検出センサの検出結果に基づいて、電磁アクチュエータ46を制御する。これにより、デジタルカメラ1の動きに起因する被写体像の振れを抑制することができる。
【0068】
なお、被写体像の振れを抑制する方法として、撮像センサ11から出力される画像データに基づいて画像に表れる振れを補正する電子式振れ補正を適用してもよい。また、光学像の振れを抑制する方法として、撮像センサ11を光軸AZと直交する2方向に駆動するセンサシフト方式を適用してもよい。
【0069】
(6)レンズマイコン
レンズマイコン40は、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)およびメモリ40aを有しており、ROMに格納されているプログラムがCPUに読み込まれることで、様々な機能を実現し得る。例えば、レンズマイコン40は、フォトセンサ67の検出信号によりフォーカスレンズユニット75が原点位置にあることを認識することができる。
【0070】
メモリ40aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。メモリ40aには、例えば交換レンズユニット2に関する情報(レンズ情報)やズームレンズ系を実現するためのトラッキングテーブル(後述)が格納されている。レンズマイコン40は、このトラッキングテーブルに基づいてフォーカスモータ64を制御し、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット75がZ軸方向に駆動される。以下、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズユニット75の位置を焦点距離の変化に追従させる動作を、電子トラッキングという。
【0071】
レンズマイコン40は、フォーカスモータ64のパルス数をカウントするためのカウンタ40bを有している。カウンタ40bは、フォーカスレンズユニット75をZ軸方向正側に駆動した場合、カウントを「+1」とし、フォーカスレンズユニット75をZ軸方向負側に駆動した場合、カウントを「−1」とする。このように、カウンタ40bでフォーカスモータ64の駆動パルス数をカウントすることで、レンズマイコン40は、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3の相対位置(第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の位置)を把握することができる。
【0072】
例えば、フォーカスモータ64のリードスクリュ64aの1回転当たり、ラック66が0.6mmだけZ軸方向に駆動される。マグネット(図示せず)が10極であるフォーカスモータ64を1−2相励磁にて駆動する場合、1パルス当たり、0.6/20/2=0.015mm(15μm)だけラック66がZ軸方向に駆動される。マイクロステップ駆動時には、さらに細かい単位でラック66を駆動できる。ステッピングモータを用いることで、細かい単位でフォーカスレンズユニット75を駆動することができ、例えば反転駆動時のバックラッシュを小さくすることができる。つまり、フォーカスモータ64としてステッピングモータを選定することで、高精度なフォーカス調節を実現できる。また、駆動パルス数をカウントすることで、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の現在位置を把握でき、さらにフォーカスレンズユニット75の駆動量を算出することができる。
【0073】
<カメラ本体>
図1〜図4(B)を用いてカメラ本体3の概略構成について説明する。図1〜図4(B)に示すように、カメラ本体3は、筐体3aと、ボディーマウント4(マウント部の一例)と、操作ユニット39と、画像取得部35と、画像表示部36と、ファインダ部38と、ボディーマイコン10(位置情報取得部の一例、補正部の一例)と、バッテリー22と、を有している。
【0074】
(1)筐体
筐体3aは、カメラ本体3の外装部を構成している。図4(A)および図4(B)に示すように、筐体3aの前面には、ボディーマウント4が設けられており、筐体3aの背面および上面には、操作ユニット39が設けられている。具体的には、筐体3aの背面には、表示部20と、電源スイッチ25と、モード切り換えダイヤル26と、十字操作キー27と、メニュー設定ボタン28と、設定ボタン29と、撮影モード切り換えボタン34と、動画撮影操作ボタン24が設けられている。筐体3aの上面には、シャッターボタン30が設けられている。
【0075】
(2)ボディーマウント
ボディーマウント4は、交換レンズユニット2のレンズマウント95が装着される部分であり、レンズ側接点91と電気的に接続可能なボディー側接点(図示せず)を有している。ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して、カメラ本体3は交換レンズユニット2とデータの送受信が可能である。例えば、ボディーマイコン10(後述)は、ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して露光同期信号などの制御信号をレンズマイコン40に送信する。
【0076】
(3)操作ユニット
図4(A)および図4(B)に示すように、操作ユニット39は、ユーザーが操作情報を入力するための各種操作部材を有している。例えば、電源スイッチ25は、デジタルカメラ1あるいはカメラ本体3の電源の入切を行うためのスイッチである。電源スイッチ25により電源がオン状態になると、カメラ本体3および交換レンズユニット2の各部に電源が供給される。
【0077】
モード切り換えダイヤル26は、静止画撮影モード、動画撮影モードおよび再生モード等の動作モードを切り換えるためのダイヤルであり、ユーザーはモード切り換えダイヤル26を回転させて動作モードを切り換えることができる。モード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されると、動作モードを静止画撮影モードへ切り換えることができ、モード切り換えダイヤル26により動画撮影モードが選択されると、動作モードを動画撮影モードへ切り換えることができる。動画撮影モードでは、基本的に動画撮影が可能となる。さらに、モード切り換えダイヤル26により再生モードが選択されると、動作モードを再生モードへ切り換えることができ、表示部20に撮影画像を表示させることができる。
【0078】
十字操作キー27は、ユーザーが上下左右の方向を選択できるボタンである。十字操作キー27を用いて、例えば表示部20に表示された各種メニュー画面から所望のメニューを選択することができる。
【0079】
メニュー設定ボタン28はデジタルカメラ1の各種動作を設定するためのボタンである。設定ボタン29は各種メニューの実行を確定するためのボタンである。
【0080】
動画撮影操作ボタン24は、動画撮影の開始および停止を指示するためのボタンである。モード切り換えダイヤル26において選択された動作モードが静止画撮影モードまたは再生モードであっても、この動画撮影操作ボタン24を押すことにより、モード切り換えダイヤル26での設定内容に関係なく、強制的に動作モードが動画撮影モードに移行し、動画撮影が開始される。さらに、動画撮影中に、この動画撮影操作ボタン24が押されると、動画撮影が終了し、モード切り換えダイヤル26において選択された動作モード、すなわち動画撮影開始前の動作モードへと移行する。例えば、動画撮影操作ボタン24が押される際にモード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されている場合は、動画撮影操作ボタン24が再度押された後に動作モードが自動的に静止画撮影モードへと移行する。
【0081】
シャッターボタン30は、撮影の際にユーザーによって操作される。シャッターボタン30が操作されると、タイミング信号がボディーマイコン10に出力される。シャッターボタン30は、半押し操作と全押し操作が可能な2段式のスイッチである。ユーザーが半押し操作すると測光処理および測距処理を開始する。シャッターボタン30を半押しの状態でユーザーがシャッターボタン30を全押し操作すると、タイミング信号が出力され、画像取得部35で画像データが取得される。
【0082】
さらに、図2に示すように、カメラ本体3の前面には、交換レンズユニット2をカメラ本体3から取り外すためのレンズ取り外しボタン99が設けられている。レンズ取り外しボタン99は、例えばユーザーに押されるとオン状態になる接点(図示せず)を有しており、ボディーマイコン10と電気的に接続されている。レンズ取り外しボタン99が押されると、内蔵されている接点がオンになり、ボディーマイコン10はレンズ取り外しボタン99が押されたことを認識することができる。
【0083】
(4)画像取得部
画像取得部35は主に、光電変換を行うCCD(Charge Coupled Device)などの撮像センサ11(撮像素子の一例)と、撮像センサ11の露光状態を調節するシャッターユニット33と、ボディーマイコン10からの制御信号に基づいてシャッターユニット33の駆動を制御するシャッター制御部31と、撮像センサ11の動作を制御する撮像センサ駆動制御部12と、を有している。
【0084】
撮像センサ11は、光学系Lにより形成される光学的な像を電気的な信号に変換する、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサである。撮像センサ11は、撮像センサ駆動制御部12により発生されるタイミング信号により駆動制御される。なお、撮像センサ11はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサでもよい。
【0085】
シャッター制御部31は、タイミング信号を受信したボディーマイコン10から出力される制御信号にしたがって、シャッター駆動アクチュエータ32を駆動し、シャッターユニット33を動作させる。
【0086】
なお、本実施形態では、オートフォーカス方式として、撮像センサ11で生成された画像データを利用するコントラスト検出方式が採用されている。コントラスト検出方式を用いることにより、高精度なフォーカス調節を実現することができる。
【0087】
(5)ボディーマイコン
ボディーマイコン10は、カメラ本体3の中枢を司る制御装置であり、操作ユニット39に入力された操作情報に応じて、デジタルカメラ1の各部を制御する。具体的には、ボディーマイコン10にはCPU、ROM、RAMが搭載されており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、ボディーマイコン10は様々な機能を実現することができる。例えば、ボディーマイコン10は、交換レンズユニット2がカメラ本体3に装着されたことを検知する機能、あるいは交換レンズユニット2から焦点距離情報などのデジタルカメラ1を制御する上で必要な情報を取得する機能を有している。また、ボディーマイコン10は、交換レンズユニット2からフォーカスレンズユニット75の位置情報を取得する機能(位置情報取得部の機能)、あるいは、交換レンズユニット2の規格がカメラ本体3の規格と整合しているか否かを判定する機能(補正判定部の機能)、さらには交換レンズユニット2から補正係数K(後述)を取得する機能を有している。
【0088】
ボディーマイコン10は、電源スイッチ25、シャッターボタン30、モード切り換えダイヤル26、十字操作キー27、メニュー設定ボタン28および設定ボタン29の信号を、それぞれ受信可能である。また、ボディーマイコン10内のメモリ10aには、カメラ本体3に関する各種情報が格納されている。メモリ10aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。
【0089】
また、ボディーマイコン10は、垂直同期信号を定期的に生成し、垂直同期信号の生成と並行して、垂直同期信号に基づいて露光同期信号を生成する。ボディーマイコン10が垂直同期信号を基準とした露光開始タイミングおよび露光終了タイミングを予め把握しているために、ボディーマイコン10は露光同期信号を生成できる。ボディーマイコン10は、垂直同期信号をタイミング発生器(図示省略)に出力し、露光同期信号をボディーマウント4およびレンズマウント95を介してレンズマイコン40に一定の周期で出力する。レンズマイコン40は、露光同期信号に同期して、フォーカスレンズユニット75の位置情報を取得する。
【0090】
撮像センサ駆動制御部12は、垂直同期信号に基づいて、撮像センサ11の読み出し信号と電子シャッター駆動信号とを一定の周期で生成する。撮像センサ駆動制御部12は、読み出し信号および電子シャッター駆動信号に基づいて、撮像センサ11を駆動する。すなわち、撮像センサ11は、読み出し信号に応じて、撮像センサ11内に多数存在する光電変換素子(図示せず)で生成された画素データを垂直転送部(図示せず)に読み出す。
【0091】
また、ボディーマイコン10は、レンズマイコン40を介してフォーカス調節ユニット72(後述)を制御する。
【0092】
撮像センサ11から出力された画像信号は、アナログ信号処理部13から、A/D変換部14、デジタル信号処理部15、バッファメモリ16および画像圧縮部17へと、順次送られて処理される。アナログ信号処理部13は、撮像センサ11から出力される画像信号にガンマ処理等のアナログ信号処理を施す。A/D変換部14は、アナログ信号処理部13から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部15は、A/D変換部14によりデジタル信号に変換された画像信号に対してノイズ除去や輪郭強調等のデジタル信号処理を施す。バッファメモリ16は、RAM(Random Access Memory)であり、画像信号を一旦記憶する。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像圧縮部17から画像記録部18へと、順次送られて処理される。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像記録制御部19の命令により読み出されて、画像圧縮部17に送信される。画像圧縮部17に送信された画像信号のデータは、画像記録制御部19の命令に従って画像信号に圧縮処理される。画像信号は、この圧縮処理により、元のデータより小さなデータサイズになる。画像信号の圧縮方法として、例えば1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式が用いられる。その後、圧縮された画像信号は、画像記録制御部19により画像記録部18に記録される。ここで、動画を記録する場合、複数の画像信号をそれぞれ1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG方式を用いることもでき、また、複数のフレームの画像信号をまとめて圧縮するH.264/AVC方式を用いることもできる。
【0093】
画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号と記録すべき所定の情報とを関連付けて静止画ファイルまたは動画ファイルを作成する。そして、画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、静止画ファイルまたは動画ファイルを記録する。画像記録部18は、例えば内部メモリおよび/または着脱可能なリムーバブルメモリである。なお、画像信号とともに記録すべき所定の情報には、画像を撮影した際の日時と、焦点距離情報と、シャッタースピード情報と、絞り値情報と、撮影モード情報とが含まれる。静止画ファイルは、例えばExif(登録商標)形式やExif(登録商標)形式に類する形式である。また、動画ファイルは、例えばH.264/AVC形式やH.264/AVC形式に類する形式である。
【0094】
(6)画像表示部
画像表示部36は、表示部20と、画像表示制御部21と、を有している。表示部20は例えば液晶モニタである。表示部20は、画像表示制御部21からの命令に基づいて、画像記録部18あるいはバッファメモリ16に記録された画像信号を可視画像として表示する。表示部20での表示形態としては、画像信号のみを可視画像として表示する表示形態や、画像信号と撮影時の情報とを可視画像として表示する表示形態が考えられる。
【0095】
(7)ファインダ部
ファインダ部38は、撮像センサ11により取得された画像を表示する液晶ファインダ8と、筐体3aの背面に設けられたファインダ接眼窓9と、を有している。ユーザーは、ファインダ接眼窓9を覗くことで液晶ファインダ8に表示された画像を視認することができる。
【0096】
(8)バッテリー
バッテリー22は、カメラ本体3の各部に電力を供給し、さらにレンズマウント95を介して交換レンズユニット2に電力を供給する。本実施形態ではバッテリー22は充電池である。なお、バッテリー22は、乾電池でもよいし、電源コードにより外部から電力供給が行われる外部電源であってもよい。
【0097】
<トラッキングテーブル>
デジタルカメラ1では、被写体距離を実質的に一定に保ちつつ焦点距離が変更できるようにするために、フォーカス調節ユニット72により電子トラッキングが行われる。具体的には図14に示すように、電子トラッキングを行うために、トラッキングテーブル100がメモリ40aに格納されている。このトラッキングテーブル100は、ズームリング84の回転位置とフォーカスレンズユニット75の第2レンズ群ユニット77に対するZ軸方向の位置との関係を示している。例えば、被写体距離が0.3m、1.0mおよび無限遠(∞)に対応する3つのトラッキングテーブル100がメモリ40aに格納されている。
【0098】
トラッキングテーブル100は、ズームリング84の回転位置およびフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置がいくつかに分割された離散的な情報である。一般的には、分割数は、ズームリング84を回転させても被写体距離が所定の被写界深度内に納まるように決定されている。
【0099】
ズームリング84の回転位置(回転方向の位置)はリニアポジションセンサ87により検出することができる。この検出結果およびトラッキングテーブル100に基づいて、レンズマイコン40は、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置を決定することができる。
【0100】
第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の原点位置Dはフォトセンサ67により検出され、図14では一点鎖線で示されている。本実施形態では、原点位置Dは、無限遠のトラッキングテーブル100におけるフォーカスレンズユニット75の移動範囲(位置E1および位置E2の間)の中央付近に位置している。このように、原点位置Dを中央付近に配置することにより、デジタルカメラ1の電源オン時に、いずれの位置にも比較的素早くフォーカスレンズユニット75を移動させることができる。
【0101】
なお、無限遠のトラッキングテーブル100を基準に原点位置Dを決定しているのは、ユーザーがデジタルカメラ1の電源を入れて被写体を撮影する際に、無限遠の位置にある被写体を撮影する確率が高いためである。
【0102】
また、トラッキングテーブル100は、いくつかに分割された離散的な情報ではなく多項式で表されてもよい。ズームリング84の回転位置の代わりに、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2または第4レンズ群G4のZ軸方向の位置情報を用いてもよい。第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置とは、第2レンズ群ユニット77に対する第3レンズ群G3のZ軸方向の位置、あるいは、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3のZ軸方向の位置と言い換えることもできる。
【0103】
<異なる規格のデジタルカメラ>
ここで、前述のデジタルカメラ1とは異なる規格のフランジバックを有するデジタルカメラ201について説明する。図15(A)はデジタルカメラ1の概略図であり、図15(B)はデジタルカメラ201の概略図である。
【0104】
図15(A)に示すように、デジタルカメラ1は、交換レンズユニット2と、フランジバックXaを有するカメラ本体3と、を有している。デジタルカメラ1は、クイックリターンミラーを用いない第1の規格に準拠している。具体的には、ボディーマウント4およびレンズマウント95の形状は、第1の規格に準拠している。また、カメラ本体3のフランジバックXaは、第1の規格に準拠しており、光学系LはフランジバックXaに合わせて設計されている。
【0105】
一方、図15(B)に示すように、デジタルカメラ201は、交換レンズユニット202と、フランジバックXbを有するカメラ本体203と、を有している。交換レンズユニット202は、クイックリターンミラーを用いた第2の規格に準拠している。
【0106】
ここで、フランジバックXaは、ボディーマウント4のマウント面4a(基準面)から撮像センサ11の受光面11aまでのZ軸方向の距離であり、設計上、交換レンズユニット2のレンズバックと一致する。交換レンズユニット2のレンズバックXaは、レンズマウント95のマウント面95aから後側焦点までの距離である。ボディーマウント4とレンズマウント95とは第1の規格により互いに装着可能な形状となっている。ボディーマウント4がレンズマウント95に装着された状態で、ボディーマウント4のマウント面4aとレンズマウント95のマウント面95aとは互いに当接する。
【0107】
フランジバックXbは、ボディーマウント204のマウント面204aから撮像センサ211の受光面211aまでのZ軸方向の距離であり、設計上、交換レンズユニット202のレンズバックと一致する。交換レンズユニット202のレンズバックXbは、レンズマウント295のマウント面295aから後側焦点までの距離である。ボディーマウント204とレンズマウント295とは第2の規格により互いに装着可能な形状となっている。ボディーマウント204がレンズマウント295に装着された状態で、ボディーマウント204のマウント面204aとレンズマウント295のマウント面295aとは互いに当接する。
【0108】
交換レンズ式のデジタルカメラの特徴は、カメラ本体に別の交換レンズユニットを装着して使用できることにある。例えば、交換レンズユニット202をカメラ本体3に装着して使用することが考えられる。
【0109】
しかし、デジタルカメラ201はクイックリターンミラーを用いた第2の規格に準拠しているため、カメラ本体203のフランジバックXb(交換レンズユニット202のレンズバックXb)はカメラ本体3のフランジバックXaよりも長い。交換レンズユニット202のレンズバックXbがカメラ本体3のフランジバックXaよりも長いため、交換レンズユニット202のレンズバックXbがカメラ本体3のフランジバックXaと整合しない。このため、交換レンズユニット202をカメラ本体3の交換レンズユニットとしてそのまま使用することができない。
【0110】
そこで、交換レンズユニット202をカメラ本体3に装着する際には、バック長さ調節用のアダプタ110を用いることが考えられる。具体的には図16に示すように、アダプタ110を介して交換レンズユニット202がカメラ本体3に装着される。この場合、アダプタ長さXs0は、カメラ本体3のフランジバックXaと交換レンズユニット202のレンズバックXb(つまり、カメラ本体203のフランジバックXb)との差に設定されている。より具体的には、アダプタ長さXs0(基準長さ)は以下の式(1)により表すことができる。
【0111】
【数1】
Xs0=Xb−Xa ・・・(1)
このアダプタ110を用いることで、交換レンズユニット202をカメラ本体3の交換レンズユニットとして使用するためのフランジバックの調整ができる。
【0112】
しかし、カメラ本体3では、オートフォーカス方式としてコントラスト検出方式(以下、コントラストAFともいう)が採用されているが、アダプタ110を用いてフランジバックの調整を行ったとしても、それだけでは交換レンズユニット202はコントラストAFの動作に対応できない。ここで、コントラスト検出方式によるオートフォーカス(AF)について説明する。
【0113】
コントラスト検出方式によりオートフォーカスを行う際、撮像センサ11により取得された画像データに基づいて、オートフォーカス動作用の評価値(以下、AF評価値という)がボディーマイコン10により算出される。算出されたAF評価値は、露光同期信号と同期して取得されたフォーカスレンズユニット75の位置と関連付けた状態でDRAM(図示せず)に保存される。ボディーマイコン10は、DRAMに保存されたAF評価値に基づいて、AF評価値が極大値となるフォーカスレンズユニット75の位置を合焦点として抽出する。合焦点を抽出する際のフォーカスレンズユニット75の駆動方式としては、一般的には山登り方式が知られている。
【0114】
例えば図17(A)〜図17(D)に示すように、山登り方式では、AF評価値が増大する方向へフォーカスレンズユニット75を移動させ、フォーカスレンズユニット75の位置ごとのAF評価値を求める。この動作を、AF評価値の極大値が検出されるまで、すなわち、AF評価値が増大して一旦ピークに達してから減少し始めるまで続ける。具体的には、図17(B)に示すフォーカスレンズユニット75の位置でAF評価値が極大値となる場合、フォーカスレンズユニット75が図17(C)に示す位置まで一旦駆動され、図17(D)に示すようにAF評価値が極大値となる位置までフォーカスレンズユニット75を移動させる。このように、コントラスト検出方式にてAFを行う場合、フォーカスレンズユニット75を余分に移動させる必要があるため、フォーカスレンズユニット75が合焦状態で停止する範囲(以下、合焦範囲とも言う)の両端には、余裕範囲Hを設ける必要がある。例えば、合焦範囲の一端は、物点距離を無限遠として合焦する状態でのフォーカスレンズユニット75の停止位置であり、この位置で極大値を検出するためには、この位置を超え、余裕範囲Hにフォーカスレンズユニット75を移動させる必要がある。
【0115】
しかし、従来の交換レンズユニットはコントラストAFへの対応を想定していない場合が多く、前述の交換レンズユニット202のように、この余裕範囲Hが設けられていない交換レンズユニットが多く存在する。例えば、図16に示すように、無限遠に焦点が合う状態で、すでにフォーカスレンズユニット275が機械的に決まる可動範囲の端に到達している場合が考えられる。この場合、図17(C)および図17(D)のようなフォーカスレンズユニット275の動作を行うことができないため、コントラストAFを行うことができない。コントラストAFに対応していない交換レンズユニットをコントラストAFに対応させることができれば、過去に購入した交換レンズユニットをカメラ本体3でも活用することができる。
【0116】
そこで、図18に示すように、コントラストAFに対応していない交換レンズユニット202をコントラストAFに対応させるために、アダプタ110の代わりに、アダプタ長さが基準長さXs0よりも短く設定されたアダプタ120を用いることが考えられる。具体的には、アダプタ長さを以下の式(2)により表されるアダプタ長さXsに設定する。式(2)は、例えばボディーマイコン10に予め格納されている。
【0117】
【数2】
Xs=Xb−Xa−Xc=Xs0−Xc ・・・(2)
この場合、図18に示すように、アダプタ長さが基準長さXs0である場合に比べて、交換レンズユニット202がカメラ本体3に距離Xcだけ近づくため、機械的に決まるフォーカスレンズユニット75の可動範囲に対して、焦点調節時にフォーカスレンズユニット75が移動する合焦範囲が、Z軸方向正側(被写体側)にシフトする。この結果、例えば最も撮像センサ11に近い合焦位置(無限遠端)で考えた場合、フォーカスレンズユニット275とガイドポール支持板265との間に距離Xcに相当する隙間(より詳細には、後述の補正量Yc)が確保される。このため、余裕範囲Hが確保できるように距離Xcを設定することで、前述のコントラストAFの際に、フォーカスレンズユニット75の合焦範囲の無限遠端に余裕範囲Hを確保することができる。これにより、図18に示すように、カメラ本体3および交換レンズユニット202を組み合わせたとしても、コントラストAFにより無限遠に合焦させることが可能となる。
【0118】
このように、アダプタ120の長さを式(2)のように短くすることで、余裕範囲Hが確保されていない交換レンズユニット202を活用することができる場合がある。被写体距離を無限遠にして撮影される頻度は高いため、コントラストAFによって無限遠に合焦できることは非常に有用である。
【0119】
なお、距離Xcは、上記の式(2)に基づいて、例えばボディーマイコン10により算出される。距離Xcの算出に際して、ボディーマイコン10は、レンズバックXbをレンズマイコン240(後述)から取得し、アダプタ長さXsをアダプタマイコン123(後述)から取得する。
【0120】
<アダプタを有するデジタルカメラの構成>
ここで、図19を用いて、アダプタ120を用いたデジタルカメラ301について説明する。図19は、デジタルカメラ301の概略構成図である。なお、前述の構成と実質的に同じ機能を有する構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0121】
図19に示すように、デジタルカメラ301は、カメラ本体3と、交換レンズユニット202と、アダプタ120と、を備えている。
【0122】
(1)カメラ本体
カメラ本体3のボディーマイコン10は、補正判定部10bをさらに有している。補正判定部10bは、カメラ本体3のフランジバックXa、装着された交換レンズユニットのレンズバックおよびアダプタ長さに基づいて、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定する。具体的には、補正判定部10bは、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合しているか否かを判定することができる。ここで、レンズ動作情報とは、交換レンズユニットの動作に関する情報であり、より詳細には、フォーカスレンズの動作に関する情報である。レンズ動作情報としては、例えば、フォーカスレンズの位置に関する情報、フォーカスレンズの可動範囲に関する情報が考えられる。
【0123】
補正判定部10bは、さらに、カメラ本体3のフランジバックXa、装着される交換レンズユニットのレンズバックおよびアダプタ長さから、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定するための判定値Vを算出する。判定値Vについては後述する。
【0124】
また、ボディーマイコン10のメモリ10aには、カメラ本体3に関する情報(本体情報)が格納されている。例えば、本体情報には、カメラID、フランジバックXaが格納されている。メモリ10aに格納されたフランジバックXaを用いて、補正判定部10bは補正要否の判定や判定値Vの算出を行う。
【0125】
(2)アダプタ
アダプタ120は、第1マウント121(第1マウント部の一例)と、第2マウント122(第2マウント部の一例)と、アダプタマイコン123(記憶部の一例)と、を有している。第1マウント121はカメラ本体3のボディーマウント4に装着される部分である。第1マウント121とカメラ本体3のボディーマウント4とはともに第1の規格に準拠している。第2マウント122は交換レンズユニット202のレンズマウント295に装着される部分である。第2マウント122と交換レンズユニット202のレンズマウント295とは第2の規格に準拠している。アダプタマイコン123は第1マウント121およびボディーマウント4を介してボディーマイコン10と電気的に接続されている。
【0126】
アダプタマイコン123は、アダプタ120に関する情報(アダプタ情報)を記憶している。アダプタ情報には、例えば、アダプタIDやアダプタ長さXs(アダプタ長さに関する情報の一例)が含まれている。アダプタ長さXsは、アダプタ120のZ軸方向の長さであり、より詳細には図18に示すように、第1マウント121の第1マウント面121a(第1の規格の基準面)から第2マウント122の第2マウント面122a(第2の規格の基準面)までの光軸AZに沿った方向の長さである。
【0127】
(3)交換レンズユニット
交換レンズユニット202は、前述の交換レンズユニット2の規格とは異なる第2の規格に準拠しており、交換レンズユニット2とは異なる長さのレンズバックXbを有している。ここでは、交換レンズユニット202の基本構成は、前述の交換レンズユニット2の基本構成とほぼ同じとするが、フォーカスレンズユニット275の可動範囲に余裕範囲Hが確保されていない点が異なる。つまり、交換レンズユニット202は、コントラストAFに対応していない。
【0128】
図19に示すように、交換レンズユニット202は、第2レンズ群ユニット277(第2レンズ群ユニット77に対応)と、フォーカスレンズユニット275(フォーカスレンズユニット75に対応)と、レンズマウント295(レンズマウント95に対応)と、レンズマイコン240(レンズマイコン40に対応)と、を有している。フォーカスレンズユニット275は、フォーカスレンズ群として機能する第3レンズ群G3と、第3レンズ群G3を支持する第3レンズ群支持枠256と、を有している。フォーカスレンズユニット275は、フォーカスモータ64により第2レンズ群ユニット277に対してZ軸方向に駆動される。フォーカスレンズユニット275を案内するガイドポール63aは、第2レンズ群ユニット277のガイドポール支持板265に支持されている。ガイドポール支持板265はフォーカスレンズユニット275のZ軸方向負側(撮像センサ11側)に配置されている。フォーカスレンズユニット275のZ軸方向負側の可動範囲は、ガイドポール支持板265により決まっている。
【0129】
レンズマウント295は第2マウント122に装着される部分である。交換レンズユニット202がカメラ本体3とは異なる規格に準拠しているため、レンズマウント295はボディーマウント4に装着できないおそれがあるが、アダプタ120を用いることで交換レンズユニット202とカメラ本体3とを接続することができる。レンズマウント295、第2マウント122、第1マウント121およびボディーマウント4を介して、レンズマイコン240はボディーマイコン10と電気的に接続されている。
【0130】
レンズマイコン240のメモリ240aには、交換レンズユニット202に関するレンズ情報が格納されている。レンズ情報には、レンズID、レンズバックXb、対応しているAF方式などの情報が含まれている。また、レンズ情報には、フォーカスレンズユニット275の移動量に対する後側焦点位置の移動量の比である補正係数Kが含まれている。補正係数Kを式で表すと、以下の式(3)のようになる。
【0131】
【数3】
K=X/Y ・・・(3)
K:補正係数
X:後側焦点位置の移動量(撮像センサ11基準)
Y:フォーカスレンズユニット275の移動量(第2レンズ群ユニット277基準)
例えば、補正係数Kを用いることで、後側焦点位置の移動量Xからフォーカスレンズユニット275の移動量Yを算出することができる。つまり、撮像センサ11に対して交換レンズユニットの後側焦点位置を移動させたい場合に、フォーカスレンズユニット275を撮像センサ11に対してどれくらい移動させればよいかを補正係数Kから求めることができる。なお、本実施形態ではK=1とする。
【0132】
<フォーカスレンズユニットの位置情報の補正>
前述のように、アダプタ120の長さを式(2)のように短くすることで、余裕範囲Hが確保されていない交換レンズユニットを活用することができる。
【0133】
しかし、アダプタ120の長さを基準長さXs0よりも短くすることで、交換レンズユニット202の後側焦点位置がZ軸方向負側にずれてしまう。後側焦点位置のずれを補正するためには、フォーカスレンズユニット275をZ軸方向正側に移動させる必要がある。そのため、交換レンズユニット202内でのフォーカスレンズユニット275の位置と被写体距離との関係を、前述の補正係数Kを用いて補正する必要がある。
【0134】
そこで、図20に示すように、交換レンズユニット202では、被写体距離が0.3m、1m、2mおよび無限遠(∞)における第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置を、それぞれ補正量Ycだけ被写体側にずらすように、フォーカスレンズユニット275の位置情報に対して電気的に補正が行われる。この補正処理は、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正位置情報に変換する処理と言うこともできる。補正量Ycは、後側焦点位置をZ軸方向正側に距離Xcだけ移動させるために必要なフォーカスレンズユニット275の移動量であり、レンズマイコン240によって以下の式(4)で算出される。補正量Ycの算出に際して、例えば、レンズマイコン240は距離Xcをボディーマイコン10から取得する。算出された補正量Ycは、例えばメモリ240aに記憶される。なお、補正量Ycの算出はボディーマイコン10により行われてもよい。
【0135】
【数4】
Yc=Xc/K ・・・(4)
例えば、マニュアルフォーカス撮影モードの場合、フォーカスリング89の操作角度に応じてフォーカスレンズユニット275が駆動される。具体的には、レンズマイコン240は、フォーカスリング角度検出部90により検出されたフォーカスリング89の回転角度から、フォーカスレンズユニット275の目標位置を算出する。この目標位置は、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の目標位置を意味している。レンズマイコン240は、フォーカスレンズユニット275の目標位置に応じた制御信号をフォーカス駆動制御部41に送信し、フォーカス駆動制御部41は、この制御信号に応じた駆動信号をフォーカスモータ64に送信する。このとき、フォーカスレンズユニット275の目標位置が補正量YcだけZ軸方向正側(被写体側)にずれるように、フォーカスレンズユニット75の目標位置に対してレンズマイコン240の補正部240cが補正処理を行う。補正処理の詳細については後述する。これにより、アダプタ長さXsが基準長さXs0よりも短い場合であっても、フォーカスレンズユニット75が光学的に正しい位置に配置されるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正することができる。
【0136】
また、電子トラッキングの場合には、トラッキングテーブル100に基づいてレンズマイコン240がズームリング84の回転位置および第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置から被写体距離を求める際に、フォーカスレンズユニット275の現在位置が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正される。
【0137】
また、トラッキングテーブル100に基づいてレンズマイコン240がズームリング84の回転位置からフォーカスレンズユニット275の目標位置を算出する際に、図14に示すトラッキングテーブル100から求めたフォーカスレンズユニット275の目標位置が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正される。この補正処理をトラッキングテーブルで表すと、図21に示すように、トラッキングテーブル100が被写体側(図21の上側)にシフトしてトラッキングテーブル200のようになる。
【0138】
このように、交換レンズユニット202が電子トラッキング機能を有している場合、電子トラッキングの精度が低下するのを防止できる。また、マニュアルフォーカス撮影モードにおいて、フォーカスリング89の指示値と実際のフォーカス状態とがずれるのを防止できる。
【0139】
また、フォーカスレンズユニット275の位置情報から被写体距離を算出する際、焦点距離に対応するフォーカスレンズユニット275の位置が補正量YcだけZ軸方向正側(被写体側)にずれるように、補正部240cによりフォーカスレンズユニット275の位置情報が補正される。この場合、例えば、フォーカスレンズユニット275の位置情報と補正したトラッキングテーブル200とに基づいて被写体距離を算出する。
【0140】
<フォーカスレンズユニットの可動範囲の補正>
(1)コントラストAFに対応していない交換レンズユニットの場合
さらに、アダプタ120を用いると、フォーカスレンズユニット275の移動範囲を制限する必要がある場合がある。ここでは、交換レンズユニットがコントラストAFに対応していない場合について説明する。
【0141】
マニュアルフォーカス撮影モードの場合、ユーザーがフォーカスリング89を操作すると、フォーカスリング89の回転角度に応じた距離だけフォーカスレンズユニット275がフォーカスモータ64により駆動される。このとき、移動範囲を制限していなければ、フォーカスレンズユニット275が光学設計により定められた範囲以外の範囲を移動するおそれがある。
【0142】
例えば、コントラストAFに対応していない交換レンズユニットの場合、図22に示すように、移動範囲M1はリミット位置SL11およびSL12により決定される。このリミット位置SL11およびSL12は、フォーカスレンズユニット275の移動が電気的に制限される位置である。具体的には、交換レンズユニット202と同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で交換レンズユニット202を使用した場合、リミット位置SL12は、無限遠に合焦するときのフォーカスレンズユニット275の位置であり、リミット位置SL12は、最至近に合焦するときのフォーカスレンズユニット275の位置である。すなわち、このリミット位置SL11およびSL12は、交換レンズユニット202と同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で使用した場合のフォーカスレンズユニット275の合焦範囲の両端位置である。このように、従来の交換レンズユニットでは、電気的なリミット位置が焦点調節時に使用される合焦範囲の両端位置である場合が多い。
【0143】
さらに、移動範囲M1の外側には、フォーカスレンズユニット275の移動が機械的に制限されるリミット位置ML1およびML2が存在する。例えば、交換レンズユニット202では、フォーカスレンズユニット275がガイドポール支持板265と当接する位置がリミット位置ML1に相当する。フォーカスレンズユニット275がリミット位置ML1およびML2を決定している部材に接触して不具合を起こさないように、電気的なリミット位置SL11およびSL12はリミット位置ML1およびML2の内側に配置されている。
【0144】
このような移動範囲M1を有する交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合、距離Xcだけ各リミット位置が撮像センサ11に対してカメラ本体3側(図22の右側)にずれる。この結果、無限遠側においては、リミット位置SL11が無限遠で焦点が合う位置(∞)の外側(撮像センサ11側)に配置されることになり、光学設計により定められた範囲以外の範囲M19をフォーカスレンズユニット275が移動可能となる。したがって、電気的なリミット位置SL11でフォーカスレンズユニット275が停止するまでフォーカスリング89を動かせば無限遠に合焦するものとユーザーが誤解し、フォーカスレンズユニット275がこの範囲M19に配置された状態で撮影が行われる可能性がある。範囲19は光学設計で想定されていない範囲であるため、この範囲M19を用いると光学特性が低下する可能性がある。
【0145】
そこで、図22および図23に示すように、マニュアルフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cが移動範囲M1を移動範囲M11に補正する。具体的には、図23の「MF」に示すように、補正部240cがリミット位置SL11をリミット位置SL13に補正する。交換レンズユニット202内におけるリミット位置SL13をリミット位置SL11よりもYcだけZ軸方向正側にずらす。この場合、図22に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL12を補正しない。
【0146】
このようにフォーカスレンズユニット275の移動範囲(リミット位置)を補正することで、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、ユーザーがフォーカスリング89を大きく操作しても、フォーカスレンズユニット275は電気的なリミット位置SL13で停止され、フォーカスレンズユニット275の移動範囲が光学設計により定められた範囲(ここでは、移動範囲M1)に収まる。
【0147】
また、オートフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cがリミット位置SL11を新たにリミット位置SL23に設定する。具体的には、図23の「AF1」および「AF2」に示すように、レンズマイコン240の補正部240cによりリミット位置SL11が新たにリミット位置SL23に設定される。このようにして、フォーカスレンズの無限遠位置からリミット位置SL23までの範囲が余裕範囲Hとして確保される。なお、リミット位置SL11をそのままリミット位置SL23として使用してもよい。
【0148】
例えば無限遠で合焦させる場合は、「AF1」で示すように、フォーカスレンズユニット75がZ軸方向負側(図23の右側)に駆動され、合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。この結果、AF評価値の極大値を検出することができる。その後、AF評価値が極大値となる位置までフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図23の左側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。
【0149】
また、リードスクリュ64aとラック66とのバックラッシュが大きい場合に、「AF2」で示すように、フォーカスレンズユニット275の反転動作を2回繰り返す。具体的には、フォーカスレンズユニット275が合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。その後、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図23の左側)に駆動され、再度フォーカスレンズユニット275が合焦位置を通過する。その後、フォーカスレンズユニット275がZ軸方向負側に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。これにより、「AF1」で示す動作に比べて、バックラッシュの影響を低減でき、フォーカスレンズユニット275をより正確に合焦位置で停止させることができる。
【0150】
なお、補正部240cが当初からレンズマイコン240に備えられてない場合は、例えばファームアップにより、このような機能をレンズマイコン240に追加することができる。また、ファームアップ可能な交換レンズユニットが装着された場合には、カメラ本体3の表示部20にファームアップを促す画像やメッセージを表示するようにしてもよい。
【0151】
このように、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1に対してレンズマイコン240により補正処理が施されるため、光学設計で定められていない範囲以外の範囲M19にフォーカスレンズユニット275が停止し撮影が行われることがない。また、コントラストAF用の余裕範囲Hを有していない場合でも、無限遠側に補正量Ycに相当する余裕範囲H1を確保することができ、交換レンズユニットをコントラストAFに対応させることができる。
【0152】
(2)コントラストAFに対応している交換レンズユニットの場合
第2の規格に準拠した交換レンズユニットがコントラストAFに対応している場合も、移動範囲の補正が補正部240cにより行われる。
【0153】
具体的には図24および図25に示すように、この場合の移動範囲M2は、リミット位置SL21およびSL22により決まっている。このリミット位置SL21およびSL22は、フォーカスレンズユニット275の移動が電気的に制限される位置である。この移動範囲M2の外側には、フォーカスレンズユニット275の移動が機械的に制限されるリミット位置ML1およびML2が存在する。
【0154】
さらに、コントラストAFに対応するために、移動範囲M2の両端には余裕範囲Hが設けられている。余裕範囲Hはリミット位置SL11およびSL12により決まっている。リミット位置SL11およびSL12は、移動範囲M2の内側に位置している。リミット位置SL11は無限遠に対応する位置に配置されており、リミット位置SL12は至近(0.3m)に対応する位置に配置されている。このリミット位置SL11およびSL12は、交換レンズユニットと同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で使用した場合のフォーカスレンズユニット275の合焦範囲の両端位置である。また、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、フォーカスリング89の操作によってフォーカスレンズユニット275が移動可能な範囲はリミット位置SL11およびSL12で電気的に制限される。
【0155】
このような移動範囲M2を有する交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合、距離Xcだけ各リミット位置がカメラ本体3側(図24の右側)にずれる。一方、前述の補正処理により、無限遠で焦点が合う位置(∞)は交換レンズユニット内においてZ軸方向正側(図24の左側)に補正量Ycだけずれる。この結果、無限遠側においては、リミット位置SL11が無限遠で焦点が合う位置(∞)の外側(撮像センサ11側)に配置されることになり、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、光学設計により定められた範囲以外の範囲M29をフォーカスレンズユニット275が移動可能となる。したがって、電気的なリミット位置SL11でフォーカスレンズユニット275が停止するまでフォーカスリング89を動かせば無限遠に合焦するものとユーザーが誤解し、フォーカスレンズユニット275がこの範囲M29に配置された状態で撮影が行われる可能性がある。範囲29は光学設計で想定されていない範囲であるため、この範囲M29を用いると光学特性が低下する可能性がある。
【0156】
そこで、図24および図25に示すように、マニュアルフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cが移動範囲M2を移動範囲M21に補正する。具体的には、図25の「MF」に示すように、補正部240cがリミット位置SL11を補正量YcだけZ軸方向正側にずらしたリミット位置SL13に補正する。この場合、図24に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL12を補正しない。
【0157】
このようにフォーカスレンズユニット275の移動範囲(リミット位置)を補正することで、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、ユーザーがフォーカスリング89を大きく操作しても、フォーカスレンズユニット275は電気的なリミット位置SL13で停止される。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲を光学設計により定められた範囲に収めることができる。
【0158】
また、リミット位置SL21が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cがリミット位置SL21を補正する。具体的には、図25の「AF1」および「AF2」に示すように、レンズマイコン240の補正部240cによりリミット位置SL21がリミット位置SL23に補正される。この場合、図24に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL22を補正しない。このようにして、焦点を合わせることができる合焦範囲の外側に補正量Ycに相当する余裕範囲H2が確保される。
【0159】
例えば無限遠で合焦させる場合は、「AF1」で示すように、フォーカスレンズユニット75がZ軸方向負側(図24の右側)に駆動され、合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。この結果、AF評価値の極大値を検出することができる。その後、AF評価値が極大値となる位置までフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図24の左側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。
【0160】
また、リードスクリュ64aとラック66とのバックラッシュが大きい場合に、「AF2」で示すように、フォーカスレンズユニット275の反転動作を2回繰り返す。具体的には、フォーカスレンズユニット75が合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。その後、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図25の左側)に駆動され、再度フォーカスレンズユニット75が合焦位置を通過する。その後、フォーカスレンズユニット275がZ軸方向負側(図25の右側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。これにより、「AF1」で示す動作に比べて、バックラッシュの影響を低減でき、フォーカスレンズユニット275をより正確に合焦位置で停止させることができる。
【0161】
なお、補正部240cが当初からレンズマイコン240に備えられてない場合は、例えばファームアップにより、このような機能をレンズマイコン240に追加してもよい。
【0162】
このように、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M2に対してレンズマイコン240により補正処理が施されるため、光学設計で定められた範囲以外の範囲M29をフォーカスレンズユニット275が移動することがない。また、コントラストAF用の余裕範囲H2を適切な距離に保つことができ、コントラストAFの速度の低減を防止できる。
【0163】
<デジタルカメラの動作>
デジタルカメラ301の動作について説明する。
【0164】
(1)撮影モード
このデジタルカメラ301は、2つの撮影モードを有している。具体的には、デジタルカメラ301は、ユーザーがファインダ接眼窓9で被写体を観察するファインダ撮影モードと、ユーザーが表示部20で被写体を観察するモニタ撮影モードと、を有している。
【0165】
ファインダ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21が液晶ファインダ8を駆動する。この結果、液晶ファインダ8には、撮像センサ11により取得された被写体の画像(いわゆるスルー画像)が表示される。
【0166】
モニタ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21により表示部20が駆動され、表示部20に被写体の実時間画像が表示される。この2つの撮影モードの切り換えは、撮影モード切り換えボタン34にて行うことができる。
【0167】
(2)レンズ装着時の補正動作
カメラ本体3は、装着されるアダプタおよび交換レンズユニットに応じて、レンズ動作情報に対して補正を行う必要があるか否か判定する。そこで、交換レンズユニットが装着された際に、補正要否判定および補正処理が行われる。
【0168】
具体的には図26に示すように、交換レンズユニットが装着されているか否かがボディーマイコン10により確認される(S1)。具体的には、交換レンズユニットを検知するための接点がボディーマウント4に設けられており、この接点を利用してボディーマイコン10は交換レンズユニットの装着の有無を検知する。交換レンズユニットが装着されていない場合、交換レンズユニットの装着の監視が継続される。ここでは、交換レンズユニット202が装着されたと仮定する。
【0169】
一方、交換レンズユニットの装着が検知された場合、アダプタが装着されているか否かがボディーマイコン10により確認される(S2)。アダプタ120を検出するための接点がボディーマウント4に設けられており、この接点を利用してボディーマイコン10はアダプタ120の装着の有無を検知することができる。ここでは、アダプタ120が装着されたと仮定する。アダプタが装着されていない場合、ボディーマイコン10により交換レンズユニット202のレンズマイコン240からレンズ情報が取得される(S3)。このレンズ情報は、例えば、レンズID、レンズバックXb、対応しているAF方式などの情報を含んでいる。
【0170】
ステップS3の後、図27に示すように、このレンズ情報に基づいて、ボディーマイコン10により交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応しているか否かが判定される(S13)。装着された交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応している場合、補正判定処理は終了する。一方、交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応していない場合、その旨を示す警告が表示部20に表示され(S14)、フォーカス撮影モードの操作が制限される(S15)。具体的には、フォーカス撮影モード切り換えボタン(図示せず)で選択されたモードに関わらず、ボディーマイコン10によりフォーカス撮影モードがマニュアルフォーカスモードに固定される。その後、補正判定処理が終了する。
【0171】
アダプタ120がカメラ本体3に装着されており、かつ、交換レンズユニット202がアダプタ120に装着されている場合、ボディーマイコン10によりアダプタ120のアダプタマイコン123からアダプタ情報が取得される(S4)。このアダプタ情報は、例えば、アダプタID、アダプタ長さXsなどの情報を含んでいる。次に、ステップS3と同様に、ボディーマイコン10により交換レンズユニット202のレンズマイコン240からレンズ情報が取得される(S5)。このレンズ情報には、レンズバックXb、交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応していない旨を示す情報が含まれている。
【0172】
レンズ情報の取得後、ボディーマイコン10の補正判定部10bにより以下の式(5)に示す判定値Vが算出される(S6)。
【0173】
【数5】
V=Xb−Xa−Xs=Xs0−Xs ・・・(5)
判定値Vの算出後、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かが補正判定部10bにより判定される(S7)。具体的には、算出された判定値Vに基づいて、装着されたアダプタのアダプタ長さが基準長さXs0よりも短いか否かが判定される。例えば、判定値V=0である場合、アダプタ長さXsが基準長さXs0と等しいため、レンズ動作情報に対して補正処理は行われない。
【0174】
一方、判定値V>0の場合は、アダプタ120のアダプタ長さXsが基準長さXs0よりも短いため、アダプタの長さが基準長さXs0と等しい場合に比べて、交換レンズユニット202がカメラ本体3の近くに配置される。この場合、前述のようにフォーカスレンズユニット275の位置情報に対して補正処理が行われる。具体的には図20に示すように、ボディーマイコン10の補正指令部10dからレンズマイコン240の補正部240cへ位置補正指令が判定値Vとともに送信される。この位置補正指令および判定値Vに基づいて、動作時におけるフォーカスレンズユニット275の目標位置が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240により位置情報に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、目標位置がZ軸方向正側(被写体側)にずれるように位置情報が補正される。判定値V<0である場合、目標位置がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるように位置情報が補正される。本実施形態では、交換レンズユニット202が装着されているため、判定値V>0となり、図20に示すような位置情報の補正が補正部240cにより行われる。
【0175】
位置情報の補正後、マニュアルフォーカス撮影モードにおけるフォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理が行われる(S10)。具体的には、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へリミット補正指令が判定値Vとともに送信される。このリミット補正指令および判定値Vにより、リミット位置SL11が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240によりリミット位置SL11に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、リミット位置SL11がZ軸方向正側(被写体側)にずれるようにリミット位置SL11が補正される。判定値V<0である場合、リミット位置SL11がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるようにリミット位置Sl11が補正される。本実施形態では、図22または図24に示すように、リミット位置SL11がリミット位置SL13に補正される。また、図22または図24に示すように、補正前のリミット位置SL11に新たにリミット位置SL23が設定される。
【0176】
移動範囲の補正後、図27に示すように、レンズ情報に基づいてボディーマイコン10により交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応しているか否かが判定される(S11)。交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応している場合、例えば図24に示すように、オートフォーカス撮影モードにおけるフォーカスレンズユニット275の移動範囲M2に対して補正処理が行われる(S12)。例えば、交換レンズユニット202がファームアップによりコントラスト検出方式に対応可能になった場合、交換レンズユニット202においても移動範囲M2が補正される。具体的には、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へリミット補正指令が判定値Vとともに送信される。このリミット補正指令および判定値Vにより、リミット位置SL21が補正される。より詳細には、リミット位置SL21が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240によりリミット位置SL21に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、リミット位置SL21がZ軸方向正側(被写体側)にずれるようにリミット位置SL21が補正される。判定値V<0である場合、リミット位置SL21がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるようにリミット位置SL21が補正される。本実施形態では、図24に示すように、補正部240cによりリミット位置SL21がリミット位置SL23に補正される。補正後、補正判定処理が終了する。
【0177】
一方、交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応していない場合、前述のように表示部20に警告が表示され(S14)、フォーカス撮影モードの操作が制限される(S15)。その後、補正判定処理が終了する。
【0178】
このように、このカメラ本体3では、レンズ情報およびアダプタ情報に基づいて、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かが判定され、必要に応じて、レンズ動作情報に対して補正処理が行われる。これにより、このカメラ本体3では、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
【0179】
なお、交換レンズユニット202がアダプタ120から取り外された場合には、補正されたレンズ動作情報は補正前の状態に戻る。このとき、補正後のレンズ動作情報がレンズマイコン240の揮発性メモリに一時的に格納されるか、あるいは、リアルタイムでレンズ動作情報が補正されることが考えられる。
【0180】
(3)ズーム動作
次に、ユーザーがズーム操作を行う際の交換レンズユニット2の動作を説明する。
【0181】
ユーザーによりズームリング84が回転操作されると、ズームリング84とともにカム筒51が回転する。カム筒51が光軸AZ周りに回転すると、第1ホルダー52は、カム筒51の第1カム溝51dに案内され、Z軸方向に直進する。また、第2ホルダー55および第4レンズ群支持枠61も、カム筒51の第2カム溝51bおよび第3カム溝51cに案内され、Z軸方向に直進する。よって、ズームリング84を回転操作することにより、交換レンズユニット2の状態を、図5および図6に示す広角端の状態から図7および図8に示す望遠端の状態まで変化させることができる。これにより、ズームリング84の回転位置を調節することで、所望のズーム位置にて被写体を撮影することが可能となる。
【0182】
このとき、ズームリング84の回転操作により第2ホルダー55はZ軸方向に機械的に駆動されるが、フォーカスレンズユニット275のみは、被写体距離が実質的に一定に保たれるように、メモリ240aに予め記憶されたトラッキングテーブル100に基づき、フォーカス調節ユニット72により電気的に駆動制御される。例えば、トラッキングテーブル100に基づいてフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275を駆動することで、広角端から望遠端に移動した場合や望遠端から広角端に移動した場合も、無限遠にて合焦した状態を維持する。ここでは、基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、前述のように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正されている。このため、フォーカスレンズユニット275の駆動は補正後の位置情報に基づいて行われる。実質的には、図21に示すトラッキングテーブル200に基づいて、電子トラッキングが行われる。
【0183】
例えば、ズームリング84が回転操作されると、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4が光軸AZに沿ってZ軸方向に移動する。これにより、被写体像の倍率が変化する。このとき、第3レンズ群G3も第3レンズ群支持枠56を介して第2ホルダー55に支持された状態で光軸AZに沿ってZ軸方向に移動する。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4の相対的な位置関係が変化すると、撮像センサ11上に結像する被写体像のフォーカス状態も変化する。つまり、撮像センサ11上に焦点を結んでいる被写体距離が変化する。
【0184】
そこで、このデジタルカメラ301では、ズームリング84の回転位置に応じてフォーカスモータ64を駆動することで、焦点距離が変化しても被写体距離を実質的に一定に保つことができる。具体的には、フォーカスモータ64のみを用いて、第3レンズ群G3を含むフォーカスレンズユニット275を第2レンズ群ユニット277に対して移動させる。レンズマイコン240は、リニアポジションセンサ87の検出信号に基づいて現在のズームリング84の回転位置を取得する。それと同時に、レンズマイコン240は、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置を、カウンタ40bでのカウント値から算出する。これら2つの情報(現在のズームリング84の回転位置、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置)から、図14に示す複数のトラッキングテーブル100を利用して、レンズマイコン240は、現在の被写体距離を求める。このとき、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置が、補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正される。被写体距離を求める際は、補正後のフォーカスレンズユニット275の位置情報が用いられる。レンズマイコン240は、求められた被写体距離に対応するトラッキングテーブル100を選択する。ここでは、無限遠に対応するトラッキングテーブル100が選択されたとする。
【0185】
次に、レンズマイコン240は、ズームリング84の回転位置を再度取得し、ズームリング84の回転位置の変化量からズームリング84の回転速度、すなわち焦点距離の変化速度を求める。
【0186】
続いて、レンズマイコン240は、ズームリング84の現在の回転角度とズームリング84の回転速度とから、所定時間経過後のズームリング84の回転位置を予測し、選択されたトラッキングテーブル100に基づいて、予測したズームリング84の回転位置に対応するフォーカスレンズユニット275のZ軸方向の位置を目標位置として求める。求められた目標位置は、補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正される。所定時間経過後にフォーカスレンズユニット275がこの補正された目標位置に位置するように、レンズマイコン240はフォーカス駆動制御部41を介してフォーカスモータ64を駆動する。これにより、アダプタ120のアダプタ長さが基準長さXs0よりも短い場合であっても、フォーカスレンズユニット275が他のレンズ群の移動に追従するように駆動され、被写体距離が一定に保たれる。
【0187】
このように電子トラッキング動作においては、レンズマイコン240は、変倍動作に伴う焦点距離の変化を予測して、予測された焦点距離に対応するフォーカスレンズユニット275の目標位置をトラッキングテーブル100から取得する。このとき、基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、この目標位置が補正部240cにより補正される。光学系Lの変倍動作と並行して、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275が補正後の目標位置へ駆動される。この動作を所定の時間間隔で実行するため、ズームリング84が回転操作されて光学系Lの焦点距離が変化しても、フォーカスレンズユニット275がトラッキングテーブル100に基づいて焦点距離に応じたZ軸方向位置に移動し、焦点距離の変化にフォーカスレンズユニット275の駆動を追従させることができる。これにより、焦点距離が変化に関わらず被写体距離を実質的に一定に保つことができる。なお、これらの制御は、レンズマイコン240ではなく、ボディーマイコン10が行ってもよい。
【0188】
同様に、例えば焦点が合う被写体距離が1mなどの近距離である場合、被写体距離が1mであるトラッキングテーブル100が選択され、広角端から望遠端に移動した場合あるいは望遠端から広角端に移動した場合も、フォーカスモータ64の駆動により、近距離にて合焦した状態を維持することができ、スムーズな変倍動作を行うことが可能となる。
【0189】
とりわけ、フォーカスレンズユニット275およびフォーカスモータ64が第2レンズ群ユニット277と一体でZ軸方向に移動するようになっているため、ユーザーによりズームリング84が素早く操作された場合でも、フォーカスレンズユニット275を第2レンズ群ユニット277と一体で移動させることができる。したがって、変倍動作の前後で被写体距離を実質的に一定に保ちたい場合に、フォーカスモータ64は、撮像センサ11に対して第3レンズ群G3が移動すべき距離から撮像センサ11に対して第2レンズ群G2がカム機構により移動する距離を差し引いた距離だけ、第3レンズ群G3を移動させればよい。これにより、ユーザーによるズームリング84の高速操作への対応が容易となる。
【0190】
また、本実施形態においては、広角端から望遠端まで変倍動作が行われると、被写体距離が無限遠の状態では、フォーカスレンズユニット275(より詳細には、フォーカスレンズ群である第3レンズ群G3)を撮像センサ11に対して3mm程度、Z軸方向に移動させる必要がある。フォーカスモータ64を800ppsで駆動する場合、先述したようにフォーカスモータ64の1回転あたりのフォーカスレンズユニット275の移動量が0.6mmであるため、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズユニット275をZ軸方向に3mmだけ移動させるために0.25秒かかる。広角端から望遠端までフォーカスレンズユニット275を約0.25秒で移動させることが可能であるため、ユーザーがズームリング84を広角端から望遠端まで0.5秒で回したとしても、焦点距離の変化にフォーカスレンズユニット275の駆動を追従させることができる。これにより、例えばライブビューモード時にユーザーが表示部20で被写体を確認しながら素早い変倍動作を行っても、表示部20に映し出される被写体像のピンぼけが発生しにくくなり、使い勝手がよくなる。
【0191】
(4)フォーカス動作
次に、デジタルカメラ301のフォーカス動作について説明する。デジタルカメラ301は、オートフォーカス撮影モードおよびマニュアルフォーカス撮影モードの2つのフォーカスモードを有している。デジタルカメラ301の操作を行うユーザーは、カメラ本体3に設けられたフォーカス撮影モード設定ボタン(図示せず)により、フォーカスモードを選択することができる。
【0192】
オートフォーカス撮影モード時においては、コントラスト検出方式を用いたオートフォーカス動作が行われる。コントラスト検出方式のオートフォーカス動作を行う際には、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240に対して、コントラストAF用データを要求する。コントラストAF用データは、コントラスト検出方式のオートフォーカス動作の際に必要なデータであり、例えば、フォーカス駆動速度、フォーカスシフト量、像倍率、対応しているAF方式などが含まれる。これらの情報は、前述のレンズ情報として、メモリ240aに格納されている。
【0193】
ボディーマイコン10は、シャッターボタン30が半押しされるかどうかを監視する。シャッターボタン30が半押しされた場合、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240に対して、オートフォーカス開始命令を発信する。オートフォーカス開始命令は、コントラスト検出方式によるオートフォーカス動作を開始する旨を示している。この命令を受けて、レンズマイコン240は、フォーカス用のアクチュエータであるフォーカスモータ64を駆動制御する。より詳細には、レンズマイコン240はフォーカス駆動制御部41へ制御信号を送信する。この制御信号に基づいて、フォーカス駆動制御部41によりフォーカスモータ64が駆動され、フォーカスレンズユニット275が微動する。
【0194】
ボディーマイコン10は、受信した画像データに基づいて、オートフォーカス動作用の評価値(以下、AF評価値という)を算出する。具体的には、ボディーマイコン10は、デジタル信号処理部15へ命令を送信する。デジタル信号処理部15は、受信した命令に基づいて所定のタイミングで画像信号をボディーマイコン10へ送信する。ボディーマイコン10は、撮像センサ11で生成された画像データから輝度信号を求め、輝度信号の画面内における高周波成分を積算して、AF評価値を求める。算出されたAF評価値は、露光同期信号と関連付けた状態でDRAM(図示せず)に保存される。ボディーマイコン10がレンズマイコン240から取得したレンズ位置情報も露光同期信号と関連付けられているため、ボディーマイコン10は、AF評価値をレンズ位置情報と関連付けて保存することができる。基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、レンズマイコン240からボディーマイコン10が取得したレンズ位置情報は、例えば補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正されている。このようなフォーカスレンズユニット275の位置情報に対する補正処理は、ボディーマイコン10により行われてもよい。
【0195】
次に、ボディーマイコン10は、DRAMに保存されたAF評価値に基づいて、AF評価値が極大値となるフォーカスレンズユニット275の位置を合焦点として抽出する。合焦点を抽出する際のフォーカスレンズユニット275の駆動方式としては、一般的には山登り方式が知られている。山登り方式では、AF評価値が増大する方向へフォーカスレンズユニット275を移動させ、フォーカスレンズユニット275の位置ごとのAF評価値を求める。この動作を、AF評価値の極大値が検出されるまで、すなわち、AF評価値が増大して一旦ピークに達してから減少し始めるまで続ける。
【0196】
ボディーマイコン10は、抽出した合焦点に対応する位置までフォーカスレンズユニット275が駆動されるように、レンズマイコン240を介して制御信号をフォーカス駆動制御部41へ送信する。フォーカス駆動制御部41は、例えばボディーマイコン10(または、レンズマイコン240)からの制御信号に基づいて、フォーカスモータ64を駆動するための駆動パルスを生成する。この駆動信号に応じた駆動量だけフォーカスモータ64が駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦点に対応する位置までZ軸方向に移動する。
【0197】
以上のようにして、デジタルカメラ301のオートフォーカス撮影モードによるフォーカシングが行われる。以上の動作は、ユーザーのシャッターボタン30の半押し操作後、瞬時に実行される。
【0198】
なお、コントラスト検出方式によるフォーカシングは、撮像センサ11で実時間の画像データを生成できるモニタ撮影モード(いわゆる、ライブビューモード)で動作し得る。なぜなら、ライブビューモードでは、定常的に、撮像センサ11で画像データを生成しており、その画像データを用いたコントラスト検出方式のオートフォーカス動作をするのが容易だからである。
【0199】
ライブビューモードでは、被写体の実時間画像が表示部20に表示されるので、ユーザーは、表示部20を見ながら静止画あるいは動画を撮るための構図を決めることができる。また、表示部20を用いてライブビューモードの他に、ユーザーが選択できる撮影モードとしては、交換レンズユニット2からの被写体像を液晶ファインダ8(ファインダ部38)に導く第2のライブビューモード(ファインダ撮影モード)もある。
【0200】
次に、マニュアルフォーカス撮影モードについて説明する。
【0201】
ユーザーによりフォーカスリング89が回転操作されると、フォーカスリング角度検出部90は、フォーカスリング89の回転角度を検出し、その回転角度に応じた信号を出力する。フォーカス駆動制御部41は、レンズマイコン240を介してフォーカスリング角度検出部90から回転角度信号を受信可能であり、この回転角度信号に基づいてフォーカスモータ64の駆動信号を生成する。このとき、例えば補正部240cによりフォーカスレンズユニット275の目標位置が補正される。具体的には、補正部240cにより補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように目標位置が補正される。補正後の目標位置に対応する駆動信号がフォーカス駆動制御部41により生成される。この駆動信号に応じてフォーカスモータ64のリードスクリュ64aが回転する。フォーカスモータ64のリードスクリュ64aが回転すると、リードスクリュ64aと噛み合うラック66を介してフォーカスレンズユニット275がZ軸方向に移動する。図5および図6に示す広角端の状態では、被写体距離は無限遠であるが、被写体距離が近くなるにしたがって、フォーカスレンズユニット275は、Z軸方向正側へ移動する。同様に、図7および図8に示す望遠端の状態では、被写体距離は無限遠であるが、被写体距離が短くなるにしたがって、フォーカスレンズユニット275は、Z軸方向正側に移動する。広角端の場合に比べ、この場合のフォーカスレンズユニット275の移動量は多くなる。
【0202】
以上のようにして、ユーザーは、表示部20において被写体を確認しながらフォーカスリング89を回転してフォーカシングを行うことができる。マニュアルフォーカス撮影モードにおいて、ユーザーがシャッターボタン30を全押しすると、その状態のまま撮影が行われる。
【0203】
(5)静止画撮影
ユーザーによりシャッターボタン30が全押しされると、撮像センサ11の測光出力に基づいて計算された絞り値に光学系Lの絞り値が設定されるように、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へ命令が送信される。そして、レンズマイコン240により絞り駆動制御部42が制御され、指示された絞り値まで絞りユニット62を絞り込む。絞り値の指示と同時に、撮像センサ駆動制御部12から撮像センサ11へ駆動命令が送信され、シャッターユニット33の駆動命令が送信される。撮像センサ11の測光出力に基づいて計算されたシャッタースピードの時間だけ、シャッターユニット33により撮像センサ11が露光される。
【0204】
ボディーマイコン10は、撮影処理を実行し、撮影が終了すると、画像記録制御部19に制御信号を送信する。画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号を内部メモリおよび/またはリムーバブルメモリに記録する。画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号とともに撮影モードの情報(オートフォーカス撮影モードかマニュアルフォーカス撮影モードか)を、内部メモリおよび/またはリムーバブルメモリに記録する。
【0205】
さらに、露光完了後、撮像センサ駆動制御部12は、撮像センサ11から画像データを読み出し、所定の画像処理後、ボディーマイコン10を介して画像表示制御部21へ画像データが出力される。これにより、表示部20へ撮影画像が表示される。
【0206】
また、露光終了後、ボディーマイコン10により、シャッターユニット33が初期位置にリセットされる。また、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へ絞りユニット62を開放位置にリセットするよう絞り駆動制御部42に命令が下され、レンズマイコン240から各ユニットへリセット命令が下される。リセット完了後、レンズマイコン240は、ボディーマイコン10にリセット完了を伝える。ボディーマイコン10は、レンズマイコン240からリセット完了情報を受信した後であって、かつ、露光後の一連の処理が完了した後に、シャッターボタン30が押されていないことを確認し、撮影シーケンスを終了する。
【0207】
(6)動画撮影
デジタルカメラ301は、動画を撮影する機能も有している。動画撮影モードでは、一定の周期で撮像センサ11により画像データが生成され、生成される画像データを利用してコントラスト検出方式によるオートフォーカスが継続的に行われる。動画撮影モードにおいて、シャッターボタン30が押される、あるいは動画撮影操作ボタン24が押されると、画像記録部18に動画が記録され、シャッターボタン30、あるいは動画撮影操作ボタン24が再度押されると、画像記録部18での動画の記録が停止する。
【0208】
<カメラ本体の特徴>
以上に説明したカメラ本体3の特徴は以下の通りである。
【0209】
(1)
このカメラ本体3では、フランジバックXaが交換レンズユニット202のレンズバックXbよりも短いため、交換レンズユニット202と同じ規格に準拠しているカメラ本体に比べて、小型化を図ることができる。
【0210】
さらに、フランジバックXaがレンズバックXbからアダプタ長さXsを差し引いた長さよりも短い。言い換えると、アダプタ長さXsが、レンズバックXbからフランジバックXaを差し引いた基準長さXs0よりも短い。このため、交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合に、交換レンズユニット202の位置がカメラ本体3に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1のカメラ本体3側(本実施形態では、無限遠側)に余裕範囲Hを確保することができる。つまり、余裕範囲Hを有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
【0211】
以上より、このカメラ本体3では、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
【0212】
(2)
このカメラ本体3では、ボディーマイコン10の補正判定部10bにより、フランジバックXa、レンズバックXbおよびアダプタ長さXsに基づいて、フォーカスレンズの動作に関するレンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定できる。このため、例えば、他の規格に準拠した交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合でも、互換性を確保することができる。
【0213】
ここで、レンズ動作情報としては、前述のように、例えば、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275のZ軸方向(光軸AZ方向)の位置情報、撮像センサ11に対するフォーカスレンズユニット75の位置情報、および、フォーカスレンズユニット275のZ軸方向の可動範囲(より詳細には、リミット位置)が考えられる。
【0214】
(3)
このカメラ本体3では、フランジバックXa、レンズバックXbおよびアダプタ長さXsから補正判定部10bが判定値Vを算出するため、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定しやすくなる。
【0215】
(4)
このカメラ本体3では、補正判定部10bの判定結果に基づいて、ボディーマイコン10の補正指令部10dがレンズマイコン240の補正部240cに位置補正指令を送信する。この位置補正指令に基づいて補正部240cがフォーカスレンズユニット275の位置情報に対して補正処理を行うため、撮像センサ11に対するフォーカスレンズユニット275の光軸方向の位置が光学設計上の位置からずれないように、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正することができる。これにより、このカメラ本体3では、規格が異なる交換レンズユニットを活用することが可能となり、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
【0216】
また、位置補正指令とともに判定値Vがボディーマイコン10からレンズマイコン240に送信されるため、レンズマイコン240が補正量を容易に認識することができる。
【0217】
(5)
また、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理を行うように、補正判定部10bの判定結果に基づいて、補正指令部10dがレンズマイコン240の補正部240cにリミット補正指令を送信する。このリミット補正指令に基づいて、補正部240cはフォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理を行う。これにより、フォーカスレンズユニット275が光学設計により定められた範囲以外の範囲(M19あるいはM29)を移動することがない。また、コントラストAF用の余裕範囲H1あるいはH2を適切な距離に保つことができ、コントラストAFの速度の低減を防止できる。
【0218】
また、リミット補正指令とともに判定値Vがボディーマイコン10からレンズマイコン240に送信されるため、レンズマイコン240が補正量を容易に認識することができる。
【0219】
<アダプタの特徴>
アダプタ120の特徴は以下の通りである。
【0220】
(1)
このアダプタ120では、アダプタ長さXsがレンズバックXbからフランジバックXaを差し引いた基準長さXs0よりも短い。このため、交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合に、交換レンズユニット202の位置がカメラ本体3に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1のカメラ本体3側(本実施形態では、無限遠側)に余裕範囲Hを確保することができる。つまり、余裕範囲Hを有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
【0221】
以上より、このアダプタ120では、カメラ本体の小型化を図りつつ、カメラ本体と交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
【0222】
(2)
このアダプタ120では、アダプタ長さXsがアダプタマイコン123に予め記憶されているため、レンズ動作情報に対する補正処理の要否を判定する際にアダプタ長さXsを利用することができ、補正処理の要否を正確に判定することができる。
【0223】
また、アダプタ長さXsがアダプタマイコン123に予め記憶されているため、判定値Vを容易に算出することができ、補正量を容易に把握することができる。
【0224】
[他の実施形態]
本発明の実施形態は、前述の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正および変更が可能である。また、前述の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0225】
(1)
前述の実施形態では、デジタルカメラは静止画および動画の撮影が可能であるが、静止画撮影のみ、あるいは、動画撮影のみ可能であってもよい。
【0226】
(2)
前述のデジタルカメラ1はクイックリターンミラーを有していないが、従来の一眼レフカメラのようにクイックリターンミラーが搭載されていてもよい。
【0227】
また、カメラ本体3はコントラスト検出方式にのみ対応しているが、コントラスト検出方式に加えて位相差検出方式に対応していてもよい。
【0228】
(3)
光学系Lの構成は前述の実施形態に限定されない。例えば、第3レンズ群G3が複数のレンズから構成されていてもよいし、第2レンズ群G2が単一のレンズから構成されていてもよい。
【0229】
(4)
前述の実施形態では、シャッターユニット33を動作させることにより撮像センサ11への露光時間を制御しているが、電子シャッターにより撮像センサ11の露光時間を制御してもよい。
【0230】
(5)
前述の実施形態では、レンズマイコン40により電子トラッキングが行われるが、ボディーマイコン10からレンズマイコン40に命令が送信され、その命令に基づいて電子トラッキングの制御が行われてもよい。
【0231】
(6)
前述の第3〜第5実施形態は、別々の実施形態として記載されているが、各実施形態の構成を組み合わせてもよい。
【0232】
(7)
前述の実施形態では、Xs=Xs0−Xcであるが、以下の式(6)を満たしていれば、カメラ本体3と同様の効果を得ることができる。
【0233】
【数6】
Xs≦Xb−Xa−Xc=Xs0−Xc ・・・(6)
(8)
交換レンズユニット202はコントラスト検出方式に対応していないが、コントラスト検出方式に対応している交換レンズユニットであってもカメラ本体3に装着することができる。
【0234】
(9)
前述の実施形態では、レンズマイコン240の補正部240cがレンズ動作情報を補正しているが、カメラ本体3のボディーマイコン10がレンズ動作情報を補正してもよい。
【0235】
例えば、前述の実施形態では、式(4)に基づいてレンズマイコン240により補正量Ycが算出されているが、ボディーマイコン10が補正量Ycを算出する機能を有していてもよい。この場合、ボディーマイコン10は、各交換レンズユニットの補正係数Kを予め格納しているか、あるいは、装着されたレンズマイコン240から補正係数Kを取得する。ボディーマイコン10は距離Xcおよび補正係数Kを用いて式(4)に基づいて補正量Ycを算出する。
【0236】
さらに、ボディーマイコン10は、装着される交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合していない場合に、その交換レンズユニットの規格に応じて、補正量Ycを用いてフォーカスレンズユニット275の位置情報を補正するように構成されていてもよい。補正処理が実行される場合としては、例えば、フォーカスレンズユニット275の位置情報をレンズマイコン240と送受信する場合が考えられる。
【0237】
具体的には、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240からフォーカスレンズユニット275の位置情報を受信すると、例えば、位置情報が示すフォーカスレンズユニット275の位置がZ軸方向正側に補正量Ycだけシフトするように、受信した位置情報を補正する。この補正処理は、受信した位置情報を、ボディーマイコン10で用いられる補正位置情報に変換する処理とも言える。
【0238】
また、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240にフォーカスレンズユニット275の位置情報を送信する際に、例えば、位置情報が示すフォーカスレンズユニット275の位置がZ軸方向負側に補正量Ycだけシフトするように、送信する位置情報を補正する。この補正処理は、ボディーマイコン10で用いられる補正位置情報を、レンズマイコン240で用いられる元の位置情報に変換する処理とも言える。
【0239】
ここで説明したボディーマイコン10では、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合する場合と、交換レンズユニットの規格がカメラ本体の規格と整合しない場合と、で同じ被写体距離に対応するフォーカスレンズの位置情報を異ならせていることになる。例えば、上記のような補正処理を行うことで、カメラ本体3で用いられる無限遠に対応するフォーカスレンズの位置情報が、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合する場合と、交換レンズユニットの規格がカメラ本体の規格と整合しない場合と、で異なっている。言い換えると、フォーカスレンズの位置情報を交換レンズユニットの規格に応じて異ならせる機能をカメラ本体3が有していれば、上記の補正部をカメラ本体3が備えていることになる。
【0240】
なお、ボディーマイコン10が上記の補正機能を当初から有していない場合であっても、ファームアップによりボディーマイコン10に補正機能が追加されることも考えられる。
【0241】
(10)
前述の実施形態では、アダプタマイコン123には、アダプタ長さに関する情報としてアダプタ長さXsが記憶されているが、アダプタ長さXsに加えてレンズバックに関する情報が記憶されていてもよい。レンズバックに関する情報には、例えば、アダプタ120に装着可能な交換レンズユニットのレンズID(交換レンズユニットに関する情報の一例)およびレンズバックが含まれている。この場合、レンズIDおよびレンズバックは関連付けられてアダプタマイコン123に記憶されている。複数のレンズバックがレンズIDとともにアダプタマイコン123に記憶されていてもよい。
【0242】
例えば、交換レンズユニット202の場合であれば、交換レンズユニット202のレンズIDおよびレンズバックXbがアダプタマイコン123に記憶されている。交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着されると、アダプタマイコン123に記憶されているレンズIDおよびレンズバックXbがカメラ本体3のボディーマイコン10に送信される。
【0243】
ボディーマイコン10は、アダプタ120から取り込んだレンズIDおよびレンズバックの中から、交換レンズユニット202のレンズIDに対応するデータを選択する。選択されたデータは、選択されたデータは前述の補正要否の判断処理や補正処理に用いられる。このように、アダプタ120にアダプタマイコン123にアダプタ長さに関する情報を予め格納しておくことで、交換レンズユニット202のレンズマイコン240がレンズバックに関する情報を記憶していなくても、前述の補正要否の判断処理や補正処理を行うことができる。
【0244】
また、アダプタマイコン123に判定値Vが記憶されていてもよい。判定値Vは、前述のように、交換レンズユニット202のレンズバックXb、カメラ本体3のフランジバックXaおよびアダプタ長さXsから式(5)を用いて算出することができる。この判定値Vに対応する交換レンズユニットのレンズIDおよびカメラ本体のカメラIDが判定値Vと関連付けられてアダプタマイコン123に記憶されている。交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着されると、アダプタマイコン123に記憶されている判定値V、レンズIDおよびカメラIDがカメラ本体3のボディーマイコン10に送信される。
【0245】
ボディーマイコン10は、アダプタ120から取り込んだ判定値V、レンズIDおよびカメラIDの中から、交換レンズユニット202のレンズIDおよびカメラ本体3のカメラIDに対応するデータを選択する。選択されたデータは前述の補正要否の判断処理や補正処理に用いられる。このように、判定値Vをアダプタ120のアダプタマイコン123に予め格納しておくことで、交換レンズユニット202のレンズマイコン240がレンズバックに関する情報を記憶していなくても、前述の補正要否の判断処理や補正処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0246】
以上に説明した技術によれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保できるカメラ本体および撮像装置を提供することができる。また、以上に説明した技術によれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができるアダプタを提供することができる。したがって、以上に説明した技術は、互換性の確保が望まれる交換レンズ式デジタルカメラのような撮像装置に好適である。
【符号の説明】
【0247】
1 デジタルカメラ(撮像装置の一例)
2 交換レンズユニット
3 カメラ本体
3a 筐体
4 ボディーマウント(マウント部の一例)
10 ボディーマイコン(位置情報取得部の一例、補正部の一例)
10b 補正判定部
11 撮像センサ(撮像素子の一例)
40 レンズマイコン
100 トラッキングテーブル
120 アダプタ
121 第1マウント
122 第2マウント
123 アダプタマイコン(記憶部の一例)
240 レンズマイコン
240c 補正部
L 光学系
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ(フォーカスレンズの一例)
L7 第7レンズ
Xa フランジバック
Xb レンズバック、フランジバック
H 余裕範囲
Xs アダプタ長さ
Xs0 基準長さ
V 判定値
【書類名】 明細書
【発明の名称】 アダプタおよび撮像装置
【技術分野】
【0001】
技術分野は、交換レンズ式の撮像装置に関する
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラなどの撮像装置が急速に普及している。デジタルカメラとして、デジタル一眼レフカメラが知られている。このデジタル一眼レフカメラでは、光学ファインダを用いて被写体を観察する場合、光学系に入射した光(すなわち被写体像)が光路上に配置されたクイックリターンミラーにより反射され、ファインダ光学系に導かれる。この結果、ペンタプリズム等を介して被写体像が正立像に変換され、光学ファインダに導かれる。これにより、撮影者は光学系により形成された被写体像を光学ファインダから観察することができる。
一方、光学系を撮影用として使用する場合は、クイックリターンミラーが撮影用光路から待避する。この結果、ファインダ用光路が撮影用光路に切り換えられ、撮影が終了するとクイックリターンミラーは定位置に瞬時に戻る。この方式は、一眼レフ方式であれば、従来の銀塩カメラでも、デジタルカメラでも同様である。
【0003】
しかし、光学ファインダを用いての撮影は、デジタルカメラの撮影に不慣れな初心者にとっては、非常に使いにくい。
そこで、撮影時に液晶モニタにより被写体を観察できるモニタ撮影モード(いわゆる、ライブビュー撮影モード)を有する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−125173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のデジタル一眼レフカメラは、クイックリターンミラーを有しているため、交換レンズユニットが装着されるカメラ本体のフランジバックが長くなる。フランジバックが長くなると、光学系が搭載された交換レンズユニットのサイズも大きくなるため、従来のデジタル一眼レフカメラは小型化が困難である。
そこで、クイックリターンミラーを使用しないデジタルカメラが検討されている。このデジタルカメラでは、クイックリターンミラーのためのスペースを設ける必要がないため、カメラ本体のフランジバックを短くすることができ、この結果、カメラ本体の小型化が可能となる。
しかし、カメラ本体のフランジバックが短くなると、クイックリターンミラーを有するフランジバックの長い従来のカメラ本体に対応した交換レンズユニットとの互換性が確保できなくなる。つまり、フランジバックを短くしたカメラ本体で、過去に購入した交換レンズユニットの活用を図ることができない場合がある。
【0006】
そこで、交換レンズユニットとカメラ本体との互換性を確保するために、アダプタを用いることが考えられる。
しかし、例えば、カメラ本体で採用されているオートフォーカス方式がコントラスト検出方式である場合、AF評価値の極大値を検出するためにフォーカスレンズを光軸方向に余分に移動させる必要がある。過去の交換レンズユニットは、コントラスト検出方式への対応を想定しておらず、フォーカスレンズの可動範囲に余裕範囲が設けられていないことが多い。したがって、フォーカスレンズの動作をコントラスト検出方式にて制御したとしても、装着される交換レンズユニットによっては、フォーカスレンズが機械的に移動できない領域ができてしまい、この結果、オートフォーカスを行えないおそれがある。
このように、カメラ本体の小型化を図ると、過去に購入した交換レンズユニットを活用できなくなるおそれがある。
【0007】
ここに開示された技術であれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができるカメラ本体および撮像装置を提供することができる。
さらに、ここに開示された技術であれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットおよびカメラ本体の互換性を確保できるアダプタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示された撮像装置は、コントラスト検出方式のオートフォーカスに対応していない交換レンズユニットと、交換レンズユニットに装着可能なアダプタと、カメラ本体と、を備えている。カメラ本体は、筐体と、筐体に収容され被写体の画像信号を取得するための撮像素子と、筐体に固定されアダプタが装着可能な部分であって撮像素子の受光面からフランジバックだけ離れた位置に配置されたボディーマウントと、を有している。ボディーマウントと撮像素子との間には、クイックリターンミラーが配置されていない。フランジバックは、交換レンズユニットのレンズバックよりも短く、かつ、レンズバックからアダプタの光軸方向の長さであるアダプタ長さを差し引いた長さよりも短い。
この撮像装置では、フランジバックが交換レンズユニットのレンズバックよりも短いため、この交換レンズユニットと同じ規格に準拠しているカメラ本体に比べて、小型化を図ることができる。
【0009】
ここに開示されたアダプタは、レンズバックを有する交換レンズユニットとフランジバックを有するカメラ本体とを接続可能である。このアダプタは、第1マウント部と、第2マウント部と、を備えている。第1マウント部はカメラ本体に装着可能である。第2マウント部は、交換レンズユニットに装着可能であり、第1マウント部からアダプタ長さだけ離れた位置に配置されている。アダプタ長さは、コントラスト検出方式のオートフォーカスに対応していない交換レンズユニットのレンズバックから、レンズバックよりも短いカメラ本体のフランジバックを差し引いた基準長さよりも短い。
このアダプタでは、アダプタ長さがレンズバックからフランジバックを差し引いた基準長さよりも短い。このため、交換レンズユニットがアダプタを介してカメラ本体に装着された場合に、交換レンズユニットの位置がカメラ本体に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、例えば、交換レンズユニットのフォーカスレンズユニットの可動範囲に、コントラスト検出方式のための余裕範囲を確保することができる。つまり、余裕範囲を有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
【0010】
以上より、このアダプタでは、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができる。
また、ここに開示された別のカメラ本体は、外部ユニットを装着可能である。このカメラ本体は、外部ユニットを装着するためのボディーマウントと、ボディーマウントに装着される外部ユニットに応じて外部ユニットに含まれるフォーカスレンズの位置情報を補正する補正部と、を備えている。
このカメラ本体では、外部ユニットがボディーマウントに装着されると、外部ユニットに応じてフォーカスレンズの位置情報が補正部により補正される。したがって、カメラ本体と異なる規格の外部ユニットが装着されても、フォーカスレンズの位置情報をカメラ本体に対応させることができ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上に説明した技術によれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保できる撮像装置を提供することができる。また、以上に説明した技術によれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができるアダプタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】デジタルカメラの概略構成図
【図2】カメラ本体の構成を示すブロック図
【図3】デジタルカメラの概略斜視図
【図4】(A)カメラ本体の上面図、(B)カメラ本体の背面図
【図5】交換レンズユニットの断面図(広角端)
【図6】交換レンズユニットの断面図(広角端)
【図7】交換レンズユニットの断面図(望遠端)
【図8】交換レンズユニットの断面図(望遠端)
【図9】第2レンズ群ユニットおよびフォーカスレンズユニットの分解斜視図
【図10】第2レンズ群ユニットおよびフォーカスレンズユニットの分解斜視図
【図11】フォーカスレンズユニットの部分斜視図
【図12】(A)光学系の構成図(広角端)、(B)光学系の構成図(望遠端)
【図13】ズームリングの回転角度と各部材の撮像センサからの距離との関係を示すグラフ
【図14】ズームレンズ系を実現するためのトラッキングテーブル
【図15】(A)、(B)デジタルカメラの概略図
【図16】デジタルカメラの概略図
【図17】(A)〜(D)コントラストAFでのフォーカスレンズユニットの動作
【図18】デジタルカメラの概略図
【図19】デジタルカメラの概略構成図
【図20】位置情報の補正処理の説明図
【図21】トラッキングテーブルの補正処理の説明図
【図22】可動範囲の補正処理の説明図
【図23】可動範囲の補正処理の説明図
【図24】可動範囲の補正処理の説明図
【図25】可動範囲の補正処理の説明図
【図26】補正判定処理のフローチャート
【図27】補正判定処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
<デジタルカメラの概要>
図1〜図13を用いて、デジタルカメラ1について説明する。図1はデジタルカメラ1の概略構成図である。図1に示すように、デジタルカメラ1(撮像装置の一例)は、交換レンズ式のデジタルカメラであり、主に、カメラ本体3と、カメラ本体3に取り外し可能に装着された交換レンズユニット2と、を備えている。交換レンズユニット2は、レンズマウント95を介して、カメラ本体3の前面に設けられたボディーマウント4に装着されている。カメラ本体3および交換レンズユニット2は、同じ規格に準拠している。
ここで、規格とは、カメラ本体において交換レンズユニットを装着して使用可能とするための取り決めである。規格においては、まず、ボディーマウントがレンズマウントに装着可能なように、これらの形状が取り決められている。さらに、規格では、ボディーマウントの基準面から撮像面(受光面とも言う)までの距離、すなわち、フランジバックが取り決められている。
【0014】
交換レンズユニットは、レンズマウントをボディーマウントに装着した状態で撮像面上に後側焦点が位置するように設計される。レンズマウントをボディーマウントに装着したときの基準面から後側焦点までの光軸方向の距離をレンズバックとも言う。互換性のあるカメラ本体および交換レンズユニットでは、レンズバックはフランジバックと同じ長さである。したがって、レンズバックは、交換レンズユニット特有の値であって、交換レンズユニットが有するレンズマウントが装着可能なボディーマウントを有するカメラ本体のフランジバック、と言い換えることもできる。なお、規格において、さらに、カメラ本体と交換レンズユニットとで交換される信号等について取り決めていることもある。
図2はカメラ本体3の構成を示すブロック図である。図3はデジタルカメラ1の概略斜視図である。図4(A)はカメラ本体3の上面図であり、図4(B)はカメラ本体3の背面図である。図5〜図8は交換レンズユニット2の概略断面図である。図5および図6が広角端の状態を示しており、図7および図8が望遠端の状態を示している。図6は図5とは異なる平面における断面図である。図8は図7とは異なる平面における断面図である。図9および図10は第2レンズ群ユニット77およびフォーカスレンズユニット75の分解斜視図である。図12(A)および図12(B)は光学系Lの構成図である。図12(A)が広角端の状態を示しており、図12(B)が望遠端の状態を示している。図13は、ズームリング84の回転位置と、各部材の撮像センサ11からの距離と、の関係を示している。
【0015】
なお、本実施形態では、デジタルカメラ1に対して3次元直交座標系を設定する。光学系L(後述)の光軸AZはZ軸方向(光軸方向の一例)と一致している。X軸方向はデジタルカメラ1での縦撮り姿勢における水平方向と一致している。Y軸方向はデジタルカメラ1での横撮り姿勢における鉛直方向と一致している。また、以下の説明において、「前」とは、デジタルカメラ1の被写体側(Z軸方向正側)を、「後」とは、デジタルカメラ1の被写体側と反対側(ユーザー側、Z軸方向負側)を意味する。
<交換レンズユニット>
図1〜図12(B)を用いて交換レンズユニット2の概略構成を説明する。図1に示すように、交換レンズユニット2は、光学系Lと、光学系Lを支持するレンズ支持機構71と、フォーカス調節ユニット72と、絞り調節ユニット73と、振れ補正ユニット74と、レンズマイコン40と、を有している。
【0016】
(1)光学系
光学系Lは、被写体の光学像を形成するためのズームレンズ系であり、主に4つのレンズ群から構成されている。具体的には図12(A)および図12(B)に示すように、光学系Lは、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、を有している。
第1レンズ群G1は、第1レンズL1と、第1レンズL1の撮像センサ11側に配置あされた第2レンズL2と、を有している。第1レンズL1は被写体側を向く凸面を有する負メニスカスレンズである。第2レンズL2は、被写体側を向く凸面を有する正メニスカスレンズであり、接着層を介して第1レンズL1に接合されている。
【0017】
第2レンズ群G2は、第3レンズL3と、第3レンズL3の撮像センサ11側に配置された第4レンズL4と、第4レンズL4の撮像センサ11側に配置された第5レンズL5と、を有している。第3レンズL3は被写体側に向く凸面を有する負メニスカスレンズである。第4レンズL4は両凹レンズである。第5レンズL5は両凸レンズである。
第3レンズ群G3は第6レンズL6(フォーカスレンズの一例)から構成されている。第6レンズL6は、撮像センサ11側を向く凸面を有する負メニスカスレンズであり、第5レンズL5と第7レンズL7とのZ軸方向間(第2レンズ群G2と第4レンズ群G4とのZ軸方向間)に配置されている。
第4レンズ群G4は、第7レンズL7と、第8レンズL8と、第9レンズL9と、第10レンズL10と、第11レンズL11と、第12レンズL12と、を有している。第7レンズL7は、振れ補正のための正メニスカスレンズであり、撮像センサ11側を向く凸面を有している。第8レンズL8は両凸レンズである。第9レンズL9は、両凹レンズであり、接着層を介して第8レンズL8に接合されている。第10レンズL10は両凸レンズである。第10レンズL10の被写体側の面は、非球面である。第11レンズL11は、被写体側を向く凸面を有する負メニスカスレンズであり、接着層を介して第10レンズL10に接合されている。第12レンズL12は両凸レンズである。
【0018】
図12(A)、図12(B)および図13に示すように、広角端から望遠端へのズーミング時には、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4は、それぞれ被写体側へと光軸AZに沿ってZ軸方向へ移動する。より詳細には、広角端から望遠端へのズーミング時には、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が増加し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が減少する。絞りユニット62(後述)は第4レンズ群G4と共に被写体側に移動する。
また、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシング時には、第3レンズ群G3が光軸AZに沿って被写体側へと移動する。
さらに、デジタルカメラ1の動きに起因する光学像の振れを抑制するために、第7レンズL7が光軸AZと直交する2方向に移動する。
【0019】
(2)レンズ支持機構
レンズ支持機構71は、光学系Lを移動可能に支持するための機構であり、レンズマウント95と、固定枠50と、カム筒51と、第1ホルダー52と、第1レンズ群支持枠53と、第2レンズ群支持枠54と、第2ホルダー55と、第3レンズ群支持枠56と、第4レンズ群支持枠61と、ズームリングユニット83と、フォーカスリングユニット88と、を有している。
レンズマウント95は、カメラ本体3のボディーに装着される部分であり、レンズ側接点91を有している。固定枠50は、カム筒51を回転可能に支持する部材であり、レンズマウント95に固定されている。固定枠50は、Z軸方向正側の端部に突起50aと、外周に設けられた3つの凹部50bと、光軸AZ回りに等ピッチで配置された3本の貫通直進溝50cと、を有している。カム筒51は、内周に設けられた3つの凸部51aと、3本の第1カム溝51dと、3本の第2カム溝51bと、3本の第3カム溝51cと、を有している。カム筒51の凸部51aが固定枠50の凹部50bに挿入されているため、Z軸方向の相対移動が規制された状態で、固定枠50に対して回転可能なようにカム筒51が固定枠50により支持されている。
【0020】
第1レンズ群支持枠53は、第1ホルダー52に固定されており、第1レンズ群G1を支持している。第1ホルダー52は、内周側に形成されZ軸方向に延びる縦溝52aと、光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つのカムピン81と、を有している。縦溝52aには固定枠50の突起50aが挿入されている。カムピン81はカム筒51の第1カム溝51dに挿入されている。これらの構成により、第1ホルダー52は固定枠50に対して回転することなくZ軸方向に移動可能である。固定枠50に対する第1ホルダー52の移動量は第1カム溝51dの形状により決まる。第1ホルダー52の先端には、偏光フィルタや保護フィルタのような光学フィルタおよびコンバージョンレンズを取り付けるための雌ねじ部52cが形成されている。
第2レンズ群支持枠54は、第2ホルダー55に固定されており、第2レンズ群G2を支持している。第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55により、第2レンズ群ユニット77が構成されている。第2ホルダー55は、光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つの凸部55bと、凸部55bに固定された3つのカムピン82と、を有している。カムピン82はカム筒51の第2カム溝51bに挿入されている。凸部55bは固定枠50の貫通直進溝50cに挿入されている。これらの構成により、第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55は、固定枠50に対して回転することなくZ軸方向に移動可能である。固定枠50に対する第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55の移動量は、第2カム溝51bの形状により決まる。
【0021】
第3レンズ群支持枠56は、第3レンズ群G3(より詳細にはフォーカスレンズとして機能する第6レンズL6)を支持する部材であり、軸受け部56aと、廻り止め部56bと、ラック支持部56cと、突起56dと、を有している。第6レンズL6および第3レンズ群支持枠56によりフォーカスレンズユニット75が構成されている。第2ホルダー55は、Z軸方向に延びる2本のガイドポール63a、63bの前側端部を支持している。ガイドポール支持板65は、ガイドポール63aの後側端部を支持するための部材であり、第2ホルダー55の撮像センサ11側に固定されている。軸受け部56aにはガイドポール63aが挿入されており、廻り止め部56bにはガイドポール63bが挿入されている。ガイドポール63aおよび63bにより、光軸AZ周りの回転が規制された状態で、第3レンズ群支持枠56はZ軸方向に移動可能に支持されている。
ラック支持部56cは、軸受け部56aからZ軸方向負側に延びる部分であり、ラック66を軸方向に一体で移動可能にかつ回転可能に支持している。ラック66は、複数の歯66cを有するラック本体66aと、Z軸方向に延びる軸部66bと、を有している。複数の歯66cはフォーカスモータ64のリードスクリュ64aと噛み合っている。軸部66bはラック支持部56cに支持されているため、ラック66はラック支持部56cに対して中心軸R回りに回転可能となっている。
【0022】
さらに、図9および図11に示すように、ラック支持部56cにはねじりコイルバネ68が取り付けられている。ねじりコイルバネ68は、弾性力を発生する巻き回り部68aと、第1端部68bと、第2端部68cと、を有している。巻き回り部68aはラック66の軸部66bに挿入されている。巻き回り部68aが捩られた状態で、第1端部68bがラック支持部56cに引っかけられており、第2端部68cがラック66に引っかけられている。つまり、ねじりコイルバネ68は、ラック66に対してA方向へ回転力を付与しており、リードスクリュ64aに対してラック66を常に押し付けている。これにより、ラック66とリードスクリュ64aとの間のバックラッシュを低減することができ、フォーカスレンズユニット75の位置精度を高めることができる。また、ラック66がリードスクリュ64aに常に押し付けられているため、リードスクリュ64aからラック66に駆動力を効率よく伝達することが可能となる。
【0023】
さらに、ねじりコイルバネ68の巻き回り部68aは、ラック支持部56cとラック66との間でZ軸方向(中心軸Rに平行な方向)に圧縮されている。ねじりコイルバネ68はラック66に対して押付力Fを付与しており、ねじりコイルバネ68によりラック66はラック支持部56cに押し付けられている。これにより、ラック66がラック支持部56cに対してZ軸方向に移動するのを抑制でき、フォーカスレンズユニット75の位置精度をさらに高めることができる。
第2ホルダー55にはフォーカスモータ64が固定されている。フォーカスモータ64は例えばステッピングモータである。フォーカスモータ64は、Z軸方向に延びた回転軸としてのリードスクリュ64aを有している。このリードスクリュ64aにラック66が噛み合っている。
【0024】
突起56dは、フォーカスレンズユニット75の原点を検出するための部分であり、フォトセンサ67(後述)の検出領域を通過可能な位置に設けられている。本実施形態では、フォーカスレンズ群である第3レンズ群G3が1枚の第6レンズL6により形成されているため、第3レンズ群G3の重量を例えば1g以下とすることができ、フォーカスモータ64での駆動速度を高めることができる。
第4レンズ群支持枠61は、第1支持枠57と、第2支持枠58と、第3支持枠59と、第4支持枠60と、を有している。第4レンズ群G4および第4レンズ群支持枠61により、第4レンズ群ユニット78が構成されている。
第1支持枠57は第7レンズL7を支持している。第2支持枠58は、第8レンズL8および第9レンズL9を支持しており、さらに第1支持枠57を光軸AZに直交する2方向に移動可能に支持している。第2支持枠58は光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つのカムピン80を有している。
【0025】
第3支持枠59は、第10レンズL10および第11レンズL11を支持しており、例えばネジにより第2支持枠58に固定されている。第4支持枠60は、第12レンズL12を支持しており、例えばネジにより第3支持枠59に固定されている。これらの構成により、第1支持枠57、第2支持枠58、第3支持枠59および第4支持枠60は、光軸AZに沿って一体で移動する。
また、第1支持枠57は、例えば第2支持枠58により光軸AZに直交する2方向に移動可能なように支持されている。この構成により、第1支持枠57は、第2支持枠58、第3支持枠59および第4支持枠60に対してZ軸方向には一体で移動しつつ光軸AZに直交する方向に移動可能である。
ズームリングユニット83は、リングベース86と、ズームリング84と、ズームリング84の回転位置を検出するリニアポジションセンサ87と、を有している。ズームリング84の回転位置とは、ズームリング84の回転方向の位置を意味しており、ある基準位置からのズームリング84の回転角度ということもできる。
【0026】
ズームリング84は、円筒形状を有しており、固定枠50に固定されたリングベース86により、Z軸方向への移動が規制された状態で光軸AZ周りに回転可能に支持されている。ズームリング84はZ軸方向負側の端部に貫通穴84aを有している。貫通穴84aには、カム筒51に固定されたズーム駆動ピン85が挿入されている。これにより、カム筒51はズームリング84と光軸AZ周りに一体回転する。
リニアポジションセンサ87は、ユーザーによるズームリング84の回転位置および回転方向を検出し、検出結果をレンズマイコン40に送信する。具体的には、リニアポジションセンサ87は、リングベース86に固定されており、半径方向外側に突出する摺動子87aを有している。この摺動子87aは、ズームリング84に形成されたカム溝84bに挿入されている。固定枠50に対してズームリング84が回転すると、カム溝84bに沿って摺動子87aはZ軸方向に移動する。リニアポジションセンサ87は、可変抵抗器を有しており、摺動子87aがこの可変抵抗器内にある磁気抵抗体上をスライドすることにより、両端に所定の電圧を付与した端子間において、摺動子87aのZ軸方向の位置に比例した出力(出力電圧)をリニアに得ることができる。リニアポジションセンサ87の出力を回転位置情報に変換することで、ズームリング84の回転位置を検出することが可能となる。ズームリング84の外周面には、光学系Lの焦点距離が表示されている。
【0027】
なお、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4がレンズ支持機構71を介して機械的に連結されているため、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の絶対位置(例えば、撮像センサ11の受光面11aを基準とした位置)はズームリング84の回転位置と一定の関係を有している。したがって、ズームリング84の回転位置を検出することにより、例えばレンズマウント95に対する第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の絶対位置を把握することができる。なお、ズームリング84は、例えば可動式のレバーのような他の構造を有していてもよい。
フォーカスリングユニット88は、フォーカスリング89と、フォーカスリング89の回転角度を検出するフォーカスリング角度検出部90と、を有している。フォーカスリング89は、円筒形状を有しており、リングベース86により、Z軸方向の移動が規制された状態で光軸AZ周りに回転可能に支持されている。フォーカスリング89の回転角度および回転方向は、フォーカスリング角度検出部90により検出可能である。例えば、このフォーカスリング角度検出部90は、2つのフォトセンサ(図示せず)を有している。フォーカスリング89は、回転方向に等間隔で配置され半径方向内側に突出する複数の突起89aを有している。各フォトセンサは、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を有しており、発光部および受光部の間を複数の突起89aが通過することで、フォーカスリング89の回転角度および回転方向を検出することができる。なお、フォーカスリング89は、例えば可動式のレバーのような他の構造を有していてもよい。
【0028】
(3)フォーカス調節ユニット
フォーカス調節ユニット72は、フォーカスモータ64と、フォーカス駆動制御部41と、フォトセンサ67と、を有している。フォーカスモータ64は、第2ホルダー55に固定されており、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75をZ軸方向に駆動する。第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の駆動は、フォーカスモータ64のみにより行われる。言い換えると、フォーカスモータ64がフォーカスレンズユニット75を駆動していない状態(例えば、フォーカスモータ64に電力が供給されていない状態)では、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75を移動させることはできない。この場合、フォーカスレンズユニット75は第2ホルダー55と一体でZ軸方向に移動する。
【0029】
フォーカスモータ64のリードスクリュ64aは、フォーカス駆動制御部41から入力された駆動信号に基づいて回転する。フォーカスモータ64で発生した回転運動は、リードスクリュ64aおよびラック66によりフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の直進運動に変換される。これにより、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75がZ軸方向に移動可能となる。
このデジタルカメラ1では、被写体距離を実質的に一定に保ちつつ焦点距離を変更できるズームレンズ系を実現するために、レンズマイコン40に予め記憶されているトラッキングテーブルに基づいてフォーカス調節ユニット72によりフォーカスレンズユニット75が駆動される。ここでは、このようなトラッキング方式を電子トラッキングと呼ぶ。
トラッキングテーブルとは、焦点距離が変化しても焦点が合う被写体距離が実質的に一定に保たれるフォーカスレンズユニット75の位置(より詳細には、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の位置)を示す情報である。被写体距離が実質的に一定とは、被写体距離の変化量が所定の被写界深度内に収まることを意味している。電子トラッキングについては後述する。
【0030】
また、第2ホルダー55には、フォーカスレンズユニット75の原点位置を検出するフォトセンサ67が搭載されている。このフォトセンサ67は発光部(図示せず)と受光部(図示せず)とを有している。発光部と受光部との間を第3レンズ群支持枠56の突起56dが通過すると、フォトセンサ67は突起56dの有無を検出できる。つまり、フォトセンサ67により、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の原点位置を検出することが可能となる。言い換えれば、フォトセンサ67は、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3の原点位置を検出する原点検出器である。レンズマイコン40は、第3レンズ群G3を原点位置に駆動し、フォトセンサ67からの信号によりフォーカスレンズユニット75(第3レンズ群G3)が原点位置にあることを認識する。
フォトセンサ67により検出できる原点位置は第2レンズ群ユニット77に対して移動することがない絶対位置である。このため、フォーカスレンズユニット75の位置を第2レンズ群ユニット77に対して原点位置にリセットする際には、フォトセンサ67により原点検出用の突起56dが検出される位置までフォーカスレンズユニット75を駆動する。例えば、デジタルカメラ1の電源スイッチ25をオフにすると、フォーカスレンズユニット75の現在位置に関わらず、第3レンズ群支持枠56の突起56dがフォトセンサ67に検出される位置までフォーカスレンズユニット75がフォーカスモータ64により駆動される。フォーカスレンズユニット75の駆動完了後、デジタルカメラ1の電源がオフになる。逆に、デジタルカメラ1の電源スイッチ25をオンにすると、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット75がトラッキングテーブルに基づいて求められた所定の位置まで駆動される。なお、原点検出器は、フォトセンサに限られず、例えば、マグネットおよび磁気センサを組み合わせることで実現されてもよい。
【0031】
(4)絞り調節ユニット
絞り調節ユニット73は、第2支持枠58に固定された絞りユニット62と、絞りユニット62を駆動する絞り駆動モータ(図示せず)と、絞り駆動モータを制御する絞り駆動制御部42と、を有している。絞り駆動モータは、例えばステッピングモータである。絞り駆動モータは、絞り駆動制御部42から入力される駆動信号に基づいて駆動される。絞り駆動モータで発生した駆動力により、絞り羽根62aが開方向および閉方向に駆動される。絞り羽根62aを駆動することで光学系Lの絞り値を変更することができる。
(5)振れ補正ユニット
振れ補正ユニット74は、交換レンズユニット2およびカメラ本体3の動きに起因する光学像の振れを抑制するためのユニットであり、電磁アクチュエータ46と、位置検出センサ47と、振れ補正用マイコン48と、を有している。
【0032】
電磁アクチュエータ46は第1支持枠57を光軸AZに直交する方向に駆動する。具体的には、電磁アクチュエータ46は、例えばマグネット(図示せず)とコイル(図示せず)とを有している。例えば、コイルは第1支持枠57に設けられており、マグネットは第2支持枠58に固定されている。
位置検出センサ47は、第2支持枠58に対する第1支持枠57の位置を検出するためのセンサであり、例えばホール素子である。交換レンズユニット2には、ジャイロセンサなどの動き検出センサ(図示せず)が搭載されている。振れ補正用マイコン48は、位置検出センサ47の検出結果および動き検出センサの検出結果に基づいて、電磁アクチュエータ46を制御する。これにより、デジタルカメラ1の動きに起因する被写体像の振れを抑制することができる。
【0033】
なお、被写体像の振れを抑制する方法として、撮像センサ11から出力される画像データに基づいて画像に表れる振れを補正する電子式振れ補正を適用してもよい。また、光学像の振れを抑制する方法として、撮像センサ11を光軸AZと直交する2方向に駆動するセンサシフト方式を適用してもよい。
(6)レンズマイコン
レンズマイコン40は、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)およびメモリ40aを有しており、ROMに格納されているプログラムがCPUに読み込まれることで、様々な機能を実現し得る。例えば、レンズマイコン40は、フォトセンサ67の検出信号によりフォーカスレンズユニット75が原点位置にあることを認識することができる。
メモリ40aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。メモリ40aには、例えば交換レンズユニット2に関する情報(レンズ情報)やズームレンズ系を実現するためのトラッキングテーブル(後述)が格納されている。レンズマイコン40は、このトラッキングテーブルに基づいてフォーカスモータ64を制御し、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット75がZ軸方向に駆動される。以下、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズユニット75の位置を焦点距離の変化に追従させる動作を、電子トラッキングという。
【0034】
レンズマイコン40は、フォーカスモータ64のパルス数をカウントするためのカウンタ40bを有している。カウンタ40bは、フォーカスレンズユニット75をZ軸方向正側に駆動した場合、カウントを「+1」とし、フォーカスレンズユニット75をZ軸方向負側に駆動した場合、カウントを「−1」とする。このように、カウンタ40bでフォーカスモータ64の駆動パルス数をカウントすることで、レンズマイコン40は、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3の相対位置(第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の位置)を把握することができる。
例えば、フォーカスモータ64のリードスクリュ64aの1回転当たり、ラック66が0.6mmだけZ軸方向に駆動される。マグネット(図示せず)が10極であるフォーカスモータ64を1−2相励磁にて駆動する場合、1パルス当たり、0.6/20/2=0.015mm(15μm)だけラック66がZ軸方向に駆動される。マイクロステップ駆動時には、さらに細かい単位でラック66を駆動できる。ステッピングモータを用いることで、細かい単位でフォーカスレンズユニット75を駆動することができ、例えば反転駆動時のバックラッシュを小さくすることができる。つまり、フォーカスモータ64としてステッピングモータを選定することで、高精度なフォーカス調節を実現できる。また、駆動パルス数をカウントすることで、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の現在位置を把握でき、さらにフォーカスレンズユニット75の駆動量を算出することができる。
【0035】
<カメラ本体>
図1〜図4(B)を用いてカメラ本体3の概略構成について説明する。図1〜図4(B)に示すように、カメラ本体3は、筐体3aと、ボディーマウント4(マウント部の一例)と、操作ユニット39と、画像取得部35と、画像表示部36と、ファインダ部38と、ボディーマイコン10(位置情報取得部の一例、補正部の一例)と、バッテリー22と、を有している。
(1)筐体
筐体3aは、カメラ本体3の外装部を構成している。図4(A)および図4(B)に示すように、筐体3aの前面には、ボディーマウント4が設けられており、筐体3aの背面および上面には、操作ユニット39が設けられている。具体的には、筐体3aの背面には、表示部20と、電源スイッチ25と、モード切り換えダイヤル26と、十字操作キー27と、メニュー設定ボタン28と、設定ボタン29と、撮影モード切り換えボタン34と、動画撮影操作ボタン24が設けられている。筐体3aの上面には、シャッターボタン30が設けられている。
【0036】
(2)ボディーマウント
ボディーマウント4は、交換レンズユニット2のレンズマウント95が装着される部分であり、レンズ側接点91と電気的に接続可能なボディー側接点(図示せず)を有している。ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して、カメラ本体3は交換レンズユニット2とデータの送受信が可能である。例えば、ボディーマイコン10(後述)は、ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して露光同期信号などの制御信号をレンズマイコン40に送信する。
(3)操作ユニット
図4(A)および図4(B)に示すように、操作ユニット39は、ユーザーが操作情報を入力するための各種操作部材を有している。例えば、電源スイッチ25は、デジタルカメラ1あるいはカメラ本体3の電源の入切を行うためのスイッチである。電源スイッチ25により電源がオン状態になると、カメラ本体3および交換レンズユニット2の各部に電源が供給される。
【0037】
モード切り換えダイヤル26は、静止画撮影モード、動画撮影モードおよび再生モード等の動作モードを切り換えるためのダイヤルであり、ユーザーはモード切り換えダイヤル26を回転させて動作モードを切り換えることができる。モード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されると、動作モードを静止画撮影モードへ切り換えることができ、モード切り換えダイヤル26により動画撮影モードが選択されると、動作モードを動画撮影モードへ切り換えることができる。動画撮影モードでは、基本的に動画撮影が可能となる。さらに、モード切り換えダイヤル26により再生モードが選択されると、動作モードを再生モードへ切り換えることができ、表示部20に撮影画像を表示させることができる。
十字操作キー27は、ユーザーが上下左右の方向を選択できるボタンである。十字操作キー27を用いて、例えば表示部20に表示された各種メニュー画面から所望のメニューを選択することができる。
【0038】
メニュー設定ボタン28はデジタルカメラ1の各種動作を設定するためのボタンである。設定ボタン29は各種メニューの実行を確定するためのボタンである。
動画撮影操作ボタン24は、動画撮影の開始および停止を指示するためのボタンである。モード切り換えダイヤル26において選択された動作モードが静止画撮影モードまたは再生モードであっても、この動画撮影操作ボタン24を押すことにより、モード切り換えダイヤル26での設定内容に関係なく、強制的に動作モードが動画撮影モードに移行し、動画撮影が開始される。さらに、動画撮影中に、この動画撮影操作ボタン24が押されると、動画撮影が終了し、モード切り換えダイヤル26において選択された動作モード、すなわち動画撮影開始前の動作モードへと移行する。例えば、動画撮影操作ボタン24が押される際にモード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されている場合は、動画撮影操作ボタン24が再度押された後に動作モードが自動的に静止画撮影モードへと移行する。
【0039】
シャッターボタン30は、撮影の際にユーザーによって操作される。シャッターボタン30が操作されると、タイミング信号がボディーマイコン10に出力される。シャッターボタン30は、半押し操作と全押し操作が可能な2段式のスイッチである。ユーザーが半押し操作すると測光処理および測距処理を開始する。シャッターボタン30を半押しの状態でユーザーがシャッターボタン30を全押し操作すると、タイミング信号が出力され、画像取得部35で画像データが取得される。
さらに、図2に示すように、カメラ本体3の前面には、交換レンズユニット2をカメラ本体3から取り外すためのレンズ取り外しボタン99が設けられている。レンズ取り外しボタン99は、例えばユーザーに押されるとオン状態になる接点(図示せず)を有しており、ボディーマイコン10と電気的に接続されている。レンズ取り外しボタン99が押されると、内蔵されている接点がオンになり、ボディーマイコン10はレンズ取り外しボタン99が押されたことを認識することができる。
【0040】
(4)画像取得部
画像取得部35は主に、光電変換を行うCCD(Charge Coupled Device)などの撮像センサ11(撮像素子の一例)と、撮像センサ11の露光状態を調節するシャッターユニット33と、ボディーマイコン10からの制御信号に基づいてシャッターユニット33の駆動を制御するシャッター制御部31と、撮像センサ11の動作を制御する撮像センサ駆動制御部12と、を有している。
撮像センサ11は、光学系Lにより形成される光学的な像を電気的な信号に変換する、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサである。撮像センサ11は、撮像センサ駆動制御部12により発生されるタイミング信号により駆動制御される。なお、撮像センサ11はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサでもよい。
【0041】
シャッター制御部31は、タイミング信号を受信したボディーマイコン10から出力される制御信号にしたがって、シャッター駆動アクチュエータ32を駆動し、シャッターユニット33を動作させる。
なお、本実施形態では、オートフォーカス方式として、撮像センサ11で生成された画像データを利用するコントラスト検出方式が採用されている。コントラスト検出方式を用いることにより、高精度なフォーカス調節を実現することができる。
(5)ボディーマイコン
ボディーマイコン10は、カメラ本体3の中枢を司る制御装置であり、操作ユニット39に入力された操作情報に応じて、デジタルカメラ1の各部を制御する。具体的には、ボディーマイコン10にはCPU、ROM、RAMが搭載されており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、ボディーマイコン10は様々な機能を実現することができる。例えば、ボディーマイコン10は、交換レンズユニット2がカメラ本体3に装着されたことを検知する機能、あるいは交換レンズユニット2から焦点距離情報などのデジタルカメラ1を制御する上で必要な情報を取得する機能を有している。また、ボディーマイコン10は、交換レンズユニット2からフォーカスレンズユニット75の位置情報を取得する機能(位置情報取得部の機能)、あるいは、交換レンズユニット2の規格がカメラ本体3の規格と整合しているか否かを判定する機能(補正判定部の機能)、さらには交換レンズユニット2から補正係数K(後述)を取得する機能を有している。
【0042】
ボディーマイコン10は、電源スイッチ25、シャッターボタン30、モード切り換えダイヤル26、十字操作キー27、メニュー設定ボタン28および設定ボタン29の信号を、それぞれ受信可能である。また、ボディーマイコン10内のメモリ10aには、カメラ本体3に関する各種情報が格納されている。メモリ10aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。
また、ボディーマイコン10は、垂直同期信号を定期的に生成し、垂直同期信号の生成と並行して、垂直同期信号に基づいて露光同期信号を生成する。ボディーマイコン10が垂直同期信号を基準とした露光開始タイミングおよび露光終了タイミングを予め把握しているために、ボディーマイコン10は露光同期信号を生成できる。ボディーマイコン10は、垂直同期信号をタイミング発生器(図示省略)に出力し、露光同期信号をボディーマウント4およびレンズマウント95を介してレンズマイコン40に一定の周期で出力する。レンズマイコン40は、露光同期信号に同期して、フォーカスレンズユニット75の位置情報を取得する。
【0043】
撮像センサ駆動制御部12は、垂直同期信号に基づいて、撮像センサ11の読み出し信号と電子シャッター駆動信号とを一定の周期で生成する。撮像センサ駆動制御部12は、読み出し信号および電子シャッター駆動信号に基づいて、撮像センサ11を駆動する。すなわち、撮像センサ11は、読み出し信号に応じて、撮像センサ11内に多数存在する光電変換素子(図示せず)で生成された画素データを垂直転送部(図示せず)に読み出す。
また、ボディーマイコン10は、レンズマイコン40を介してフォーカス調節ユニット72(後述)を制御する。
撮像センサ11から出力された画像信号は、アナログ信号処理部13から、A/D変換部14、デジタル信号処理部15、バッファメモリ16および画像圧縮部17へと、順次送られて処理される。アナログ信号処理部13は、撮像センサ11から出力される画像信号にガンマ処理等のアナログ信号処理を施す。A/D変換部14は、アナログ信号処理部13から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部15は、A/D変換部14によりデジタル信号に変換された画像信号に対してノイズ除去や輪郭強調等のデジタル信号処理を施す。バッファメモリ16は、RAM(Random Access Memory)であり、画像信号を一旦記憶する。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像圧縮部17から画像記録部18へと、順次送られて処理される。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像記録制御部19の命令により読み出されて、画像圧縮部17に送信される。画像圧縮部17に送信された画像信号のデータは、画像記録制御部19の命令に従って画像信号に圧縮処理される。画像信号は、この圧縮処理により、元のデータより小さなデータサイズになる。画像信号の圧縮方法として、例えば1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式が用いられる。その後、圧縮された画像信号は、画像記録制御部19により画像記録部18に記録される。ここで、動画を記録する場合、複数の画像信号をそれぞれ1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG方式を用いることもでき、また、複数のフレームの画像信号をまとめて圧縮するH.264/AVC方式を用いることもできる。
【0044】
画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号と記録すべき所定の情報とを関連付けて静止画ファイルまたは動画ファイルを作成する。そして、画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、静止画ファイルまたは動画ファイルを記録する。画像記録部18は、例えば内部メモリおよび/または着脱可能なリムーバブルメモリである。なお、画像信号とともに記録すべき所定の情報には、画像を撮影した際の日時と、焦点距離情報と、シャッタースピード情報と、絞り値情報と、撮影モード情報とが含まれる。静止画ファイルは、例えばExif(登録商標)形式やExif(登録商標)形式に類する形式である。また、動画ファイルは、例えばH.264/AVC形式やH.264/AVC形式に類する形式である。
(6)画像表示部
画像表示部36は、表示部20と、画像表示制御部21と、を有している。表示部20は例えば液晶モニタである。表示部20は、画像表示制御部21からの命令に基づいて、画像記録部18あるいはバッファメモリ16に記録された画像信号を可視画像として表示する。表示部20での表示形態としては、画像信号のみを可視画像として表示する表示形態や、画像信号と撮影時の情報とを可視画像として表示する表示形態が考えられる。
【0045】
(7)ファインダ部
ファインダ部38は、撮像センサ11により取得された画像を表示する液晶ファインダ8と、筐体3aの背面に設けられたファインダ接眼窓9と、を有している。ユーザーは、ファインダ接眼窓9を覗くことで液晶ファインダ8に表示された画像を視認することができる。
(8)バッテリー
バッテリー22は、カメラ本体3の各部に電力を供給し、さらにレンズマウント95を介して交換レンズユニット2に電力を供給する。本実施形態ではバッテリー22は充電池である。なお、バッテリー22は、乾電池でもよいし、電源コードにより外部から電力供給が行われる外部電源であってもよい。
【0046】
<トラッキングテーブル>
デジタルカメラ1では、被写体距離を実質的に一定に保ちつつ焦点距離が変更できるようにするために、フォーカス調節ユニット72により電子トラッキングが行われる。具体的には図14に示すように、電子トラッキングを行うために、トラッキングテーブル100がメモリ40aに格納されている。このトラッキングテーブル100は、ズームリング84の回転位置とフォーカスレンズユニット75の第2レンズ群ユニット77に対するZ軸方向の位置との関係を示している。例えば、被写体距離が0.3m、1.0mおよび無限遠(∞)に対応する3つのトラッキングテーブル100がメモリ40aに格納されている。
トラッキングテーブル100は、ズームリング84の回転位置およびフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置がいくつかに分割された離散的な情報である。一般的には、分割数は、ズームリング84を回転させても被写体距離が所定の被写界深度内に納まるように決定されている。
【0047】
ズームリング84の回転位置(回転方向の位置)はリニアポジションセンサ87により検出することができる。この検出結果およびトラッキングテーブル100に基づいて、レンズマイコン40は、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置を決定することができる。
第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の原点位置Dはフォトセンサ67により検出され、図14では一点鎖線で示されている。本実施形態では、原点位置Dは、無限遠のトラッキングテーブル100におけるフォーカスレンズユニット75の移動範囲(位置E1および位置E2の間)の中央付近に位置している。このように、原点位置Dを中央付近に配置することにより、デジタルカメラ1の電源オン時に、いずれの位置にも比較的素早くフォーカスレンズユニット75を移動させることができる。
【0048】
なお、無限遠のトラッキングテーブル100を基準に原点位置Dを決定しているのは、ユーザーがデジタルカメラ1の電源を入れて被写体を撮影する際に、無限遠の位置にある被写体を撮影する確率が高いためである。
また、トラッキングテーブル100は、いくつかに分割された離散的な情報ではなく多項式で表されてもよい。ズームリング84の回転位置の代わりに、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2または第4レンズ群G4のZ軸方向の位置情報を用いてもよい。第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置とは、第2レンズ群ユニット77に対する第3レンズ群G3のZ軸方向の位置、あるいは、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3のZ軸方向の位置と言い換えることもできる。
<異なる規格のデジタルカメラ>
ここで、前述のデジタルカメラ1とは異なる規格のフランジバックを有するデジタルカメラ201について説明する。図15(A)はデジタルカメラ1の概略図であり、図15(B)はデジタルカメラ201の概略図である。
【0049】
図15(A)に示すように、デジタルカメラ1は、交換レンズユニット2と、フランジバックXaを有するカメラ本体3と、を有している。デジタルカメラ1は、クイックリターンミラーを用いない第1の規格に準拠している。具体的には、ボディーマウント4およびレンズマウント95の形状は、第1の規格に準拠している。また、カメラ本体3のフランジバックXaは、第1の規格に準拠しており、光学系LはフランジバックXaに合わせて設計されている。
一方、図15(B)に示すように、デジタルカメラ201は、交換レンズユニット202と、フランジバックXbを有するカメラ本体203と、を有している。交換レンズユニット202は、クイックリターンミラーを用いた第2の規格に準拠している。
ここで、フランジバックXaは、ボディーマウント4のマウント面4a(基準面)から撮像センサ11の受光面11aまでのZ軸方向の距離であり、設計上、交換レンズユニット2のレンズバックと一致する。交換レンズユニット2のレンズバックXaは、レンズマウント95のマウント面95aから後側焦点までの距離である。ボディーマウント4とレンズマウント95とは第1の規格により互いに装着可能な形状となっている。ボディーマウント4がレンズマウント95に装着された状態で、ボディーマウント4のマウント面4aとレンズマウント95のマウント面95aとは互いに当接する。
【0050】
フランジバックXbは、ボディーマウント204のマウント面204aから撮像センサ211の受光面211aまでのZ軸方向の距離であり、設計上、交換レンズユニット202のレンズバックと一致する。交換レンズユニット202のレンズバックXbは、レンズマウント295のマウント面295aから後側焦点までの距離である。ボディーマウント204とレンズマウント295とは第2の規格により互いに装着可能な形状となっている。ボディーマウント204がレンズマウント295に装着された状態で、ボディーマウント204のマウント面204aとレンズマウント295のマウント面295aとは互いに当接する。
交換レンズ式のデジタルカメラの特徴は、カメラ本体に別の交換レンズユニットを装着して使用できることにある。例えば、交換レンズユニット202をカメラ本体3に装着して使用することが考えられる。
【0051】
しかし、デジタルカメラ201はクイックリターンミラーを用いた第2の規格に準拠しているため、カメラ本体203のフランジバックXb(交換レンズユニット202のレンズバックXb)はカメラ本体3のフランジバックXaよりも長い。交換レンズユニット202のレンズバックXbがカメラ本体3のフランジバックXaよりも長いため、交換レンズユニット202のレンズバックXbがカメラ本体3のフランジバックXaと整合しない。このため、交換レンズユニット202をカメラ本体3の交換レンズユニットとしてそのまま使用することができない。
そこで、交換レンズユニット202をカメラ本体3に装着する際には、バック長さ調節用のアダプタ110を用いることが考えられる。具体的には図16に示すように、アダプタ110を介して交換レンズユニット202がカメラ本体3に装着される。この場合、アダプタ長さXs0は、カメラ本体3のフランジバックXaと交換レンズユニット202のレンズバックXb(つまり、カメラ本体203のフランジバックXb)との差に設定されている。より具体的には、アダプタ長さXs0(基準長さ)は以下の式(1)により表すことができる。
【0052】
【数1】
Xs0=Xb−Xa ・・・(1)
このアダプタ110を用いることで、交換レンズユニット202をカメラ本体3の交換レンズユニットとして使用するためのフランジバックの調整ができる。
しかし、カメラ本体3では、オートフォーカス方式としてコントラスト検出方式(以下、コントラストAFともいう)が採用されているが、アダプタ110を用いてフランジバックの調整を行ったとしても、それだけでは交換レンズユニット202はコントラストAFの動作に対応できない。ここで、コントラスト検出方式によるオートフォーカス(AF)について説明する。
【0053】
コントラスト検出方式によりオートフォーカスを行う際、撮像センサ11により取得された画像データに基づいて、オートフォーカス動作用の評価値(以下、AF評価値という)がボディーマイコン10により算出される。算出されたAF評価値は、露光同期信号と同期して取得されたフォーカスレンズユニット75の位置と関連付けた状態でDRAM(図示せず)に保存される。ボディーマイコン10は、DRAMに保存されたAF評価値に基づいて、AF評価値が極大値となるフォーカスレンズユニット75の位置を合焦点として抽出する。合焦点を抽出する際のフォーカスレンズユニット75の駆動方式としては、一般的には山登り方式が知られている。
例えば図17(A)〜図17(D)に示すように、山登り方式では、AF評価値が増大する方向へフォーカスレンズユニット75を移動させ、フォーカスレンズユニット75の位置ごとのAF評価値を求める。この動作を、AF評価値の極大値が検出されるまで、すなわち、AF評価値が増大して一旦ピークに達してから減少し始めるまで続ける。具体的には、図17(B)に示すフォーカスレンズユニット75の位置でAF評価値が極大値となる場合、フォーカスレンズユニット75が図17(C)に示す位置まで一旦駆動され、図17(D)に示すようにAF評価値が極大値となる位置までフォーカスレンズユニット75を移動させる。このように、コントラスト検出方式にてAFを行う場合、フォーカスレンズユニット75を余分に移動させる必要があるため、フォーカスレンズユニット75が合焦状態で停止する範囲(以下、合焦範囲とも言う)の両端には、余裕範囲Hを設ける必要がある。例えば、合焦範囲の一端は、物点距離を無限遠として合焦する状態でのフォーカスレンズユニット75の停止位置であり、この位置で極大値を検出するためには、この位置を超え、余裕範囲Hにフォーカスレンズユニット75を移動させる必要がある。
【0054】
しかし、従来の交換レンズユニットはコントラストAFへの対応を想定していない場合が多く、前述の交換レンズユニット202のように、この余裕範囲Hが設けられていない交換レンズユニットが多く存在する。例えば、図16に示すように、無限遠に焦点が合う状態で、すでにフォーカスレンズユニット275が機械的に決まる可動範囲の端に到達している場合が考えられる。この場合、図17(C)および図17(D)のようなフォーカスレンズユニット275の動作を行うことができないため、コントラストAFを行うことができない。コントラストAFに対応していない交換レンズユニットをコントラストAFに対応させることができれば、過去に購入した交換レンズユニットをカメラ本体3でも活用することができる。
そこで、図18に示すように、コントラストAFに対応していない交換レンズユニット202をコントラストAFに対応させるために、アダプタ110の代わりに、アダプタ長さが基準長さXs0よりも短く設定されたアダプタ120を用いることが考えられる。具体的には、アダプタ長さを以下の式(2)により表されるアダプタ長さXsに設定する。式(2)は、例えばボディーマイコン10に予め格納されている。
【0055】
【数2】
Xs=Xb−Xa−Xc=Xs0−Xc ・・・(2)
この場合、図18に示すように、アダプタ長さが基準長さXs0である場合に比べて、交換レンズユニット202がカメラ本体3に距離Xcだけ近づくため、機械的に決まるフォーカスレンズユニット75の可動範囲に対して、焦点調節時にフォーカスレンズユニット75が移動する合焦範囲が、Z軸方向正側(被写体側)にシフトする。この結果、例えば最も撮像センサ11に近い合焦位置(無限遠端)で考えた場合、フォーカスレンズユニット275とガイドポール支持板265との間に距離Xcに相当する隙間(より詳細には、後述の補正量Yc)が確保される。このため、余裕範囲Hが確保できるように距離Xcを設定することで、前述のコントラストAFの際に、フォーカスレンズユニット75の合焦範囲の無限遠端に余裕範囲Hを確保することができる。これにより、図18に示すように、カメラ本体3および交換レンズユニット202を組み合わせたとしても、コントラストAFにより無限遠に合焦させることが可能となる。
【0056】
このように、アダプタ120の長さを式(2)のように短くすることで、余裕範囲Hが確保されていない交換レンズユニット202を活用することができる場合がある。被写体距離を無限遠にして撮影される頻度は高いため、コントラストAFによって無限遠に合焦できることは非常に有用である。
なお、距離Xcは、上記の式(2)に基づいて、例えばボディーマイコン10により算出される。距離Xcの算出に際して、ボディーマイコン10は、レンズバックXbをレンズマイコン240(後述)から取得し、アダプタ長さXsをアダプタマイコン123(後述)から取得する。
<アダプタを有するデジタルカメラの構成>
ここで、図19を用いて、アダプタ120を用いたデジタルカメラ301について説明する。図19は、デジタルカメラ301の概略構成図である。なお、前述の構成と実質的に同じ機能を有する構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0057】
図19に示すように、デジタルカメラ301は、カメラ本体3と、交換レンズユニット202と、アダプタ120と、を備えている。
(1)カメラ本体
カメラ本体3のボディーマイコン10は、補正判定部10bをさらに有している。補正判定部10bは、カメラ本体3のフランジバックXa、装着された交換レンズユニットのレンズバックおよびアダプタ長さに基づいて、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定する。具体的には、補正判定部10bは、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合しているか否かを判定することができる。ここで、レンズ動作情報とは、交換レンズユニットの動作に関する情報であり、より詳細には、フォーカスレンズの動作に関する情報である。レンズ動作情報としては、例えば、フォーカスレンズの位置に関する情報、フォーカスレンズの可動範囲に関する情報が考えられる。
【0058】
補正判定部10bは、さらに、カメラ本体3のフランジバックXa、装着される交換レンズユニットのレンズバックおよびアダプタ長さから、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定するための判定値Vを算出する。判定値Vについては後述する。
また、ボディーマイコン10のメモリ10aには、カメラ本体3に関する情報(本体情報)が格納されている。例えば、本体情報には、カメラID、フランジバックXaが格納されている。メモリ10aに格納されたフランジバックXaを用いて、補正判定部10bは補正要否の判定や判定値Vの算出を行う。
(2)アダプタ
アダプタ120は、第1マウント121(第1マウント部の一例)と、第2マウント122(第2マウント部の一例)と、アダプタマイコン123(記憶部の一例)と、を有している。第1マウント121はカメラ本体3のボディーマウント4に装着される部分である。第1マウント121とカメラ本体3のボディーマウント4とはともに第1の規格に準拠している。第2マウント122は交換レンズユニット202のレンズマウント295に装着される部分である。第2マウント122と交換レンズユニット202のレンズマウント295とは第2の規格に準拠している。アダプタマイコン123は第1マウント121およびボディーマウント4を介してボディーマイコン10と電気的に接続されている。
【0059】
アダプタマイコン123は、アダプタ120に関する情報(アダプタ情報)を記憶している。アダプタ情報には、例えば、アダプタIDやアダプタ長さXs(アダプタ長さに関する情報の一例)が含まれている。アダプタ長さXsは、アダプタ120のZ軸方向の長さであり、より詳細には図18に示すように、第1マウント121の第1マウント面121a(第1の規格の基準面)から第2マウント122の第2マウント面122a(第2の規格の基準面)までの光軸AZに沿った方向の長さである。
(3)交換レンズユニット
交換レンズユニット202は、前述の交換レンズユニット2の規格とは異なる第2の規格に準拠しており、交換レンズユニット2とは異なる長さのレンズバックXbを有している。ここでは、交換レンズユニット202の基本構成は、前述の交換レンズユニット2の基本構成とほぼ同じとするが、フォーカスレンズユニット275の可動範囲に余裕範囲Hが確保されていない点が異なる。つまり、交換レンズユニット202は、コントラストAFに対応していない。
【0060】
図19に示すように、交換レンズユニット202は、第2レンズ群ユニット277(第2レンズ群ユニット77に対応)と、フォーカスレンズユニット275(フォーカスレンズユニット75に対応)と、レンズマウント295(レンズマウント95に対応)と、レンズマイコン240(レンズマイコン40に対応)と、を有している。フォーカスレンズユニット275は、フォーカスレンズ群として機能する第3レンズ群G3と、第3レンズ群G3を支持する第3レンズ群支持枠256と、を有している。フォーカスレンズユニット275は、フォーカスモータ64により第2レンズ群ユニット277に対してZ軸方向に駆動される。フォーカスレンズユニット275を案内するガイドポール63aは、第2レンズ群ユニット277のガイドポール支持板265に支持されている。ガイドポール支持板265はフォーカスレンズユニット275のZ軸方向負側(撮像センサ11側)に配置されている。フォーカスレンズユニット275のZ軸方向負側の可動範囲は、ガイドポール支持板265により決まっている。
【0061】
レンズマウント295は第2マウント122に装着される部分である。交換レンズユニット202がカメラ本体3とは異なる規格に準拠しているため、レンズマウント295はボディーマウント4に装着できないおそれがあるが、アダプタ120を用いることで交換レンズユニット202とカメラ本体3とを接続することができる。レンズマウント295、第2マウント122、第1マウント121およびボディーマウント4を介して、レンズマイコン240はボディーマイコン10と電気的に接続されている。
レンズマイコン240のメモリ240aには、交換レンズユニット202に関するレンズ情報が格納されている。レンズ情報には、レンズID、レンズバックXb、対応しているAF方式などの情報が含まれている。また、レンズ情報には、フォーカスレンズユニット275の移動量に対する後側焦点位置の移動量の比である補正係数Kが含まれている。補正係数Kを式で表すと、以下の式(3)のようになる。
【0062】
【数3】
K=X/Y ・・・(3)
K:補正係数
X:後側焦点位置の移動量(撮像センサ11基準)
Y:フォーカスレンズユニット275の移動量(第2レンズ群ユニット277基準)
例えば、補正係数Kを用いることで、後側焦点位置の移動量Xからフォーカスレンズユニット275の移動量Yを算出することができる。つまり、撮像センサ11に対して交換レンズユニットの後側焦点位置を移動させたい場合に、フォーカスレンズユニット275を撮像センサ11に対してどれくらい移動させればよいかを補正係数Kから求めることができる。なお、本実施形態ではK=1とする。
【0063】
<フォーカスレンズユニットの位置情報の補正>
前述のように、アダプタ120の長さを式(2)のように短くすることで、余裕範囲Hが確保されていない交換レンズユニットを活用することができる。
しかし、アダプタ120の長さを基準長さXs0よりも短くすることで、交換レンズユニット202の後側焦点位置がZ軸方向負側にずれてしまう。後側焦点位置のずれを補正するためには、フォーカスレンズユニット275をZ軸方向正側に移動させる必要がある。そのため、交換レンズユニット202内でのフォーカスレンズユニット275の位置と被写体距離との関係を、前述の補正係数Kを用いて補正する必要がある。
そこで、図20に示すように、交換レンズユニット202では、被写体距離が0.3m、1m、2mおよび無限遠(∞)における第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置を、それぞれ補正量Ycだけ被写体側にずらすように、フォーカスレンズユニット275の位置情報に対して電気的に補正が行われる。この補正処理は、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正位置情報に変換する処理と言うこともできる。補正量Ycは、後側焦点位置をZ軸方向正側に距離Xcだけ移動させるために必要なフォーカスレンズユニット275の移動量であり、レンズマイコン240によって以下の式(4)で算出される。補正量Ycの算出に際して、例えば、レンズマイコン240は距離Xcをボディーマイコン10から取得する。算出された補正量Ycは、例えばメモリ240aに記憶される。なお、補正量Ycの算出はボディーマイコン10により行われてもよい。
【0064】
【数4】
Yc=Xc/K ・・・(4)
例えば、マニュアルフォーカス撮影モードの場合、フォーカスリング89の操作角度に応じてフォーカスレンズユニット275が駆動される。具体的には、レンズマイコン240は、フォーカスリング角度検出部90により検出されたフォーカスリング89の回転角度から、フォーカスレンズユニット275の目標位置を算出する。この目標位置は、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の目標位置を意味している。レンズマイコン240は、フォーカスレンズユニット275の目標位置に応じた制御信号をフォーカス駆動制御部41に送信し、フォーカス駆動制御部41は、この制御信号に応じた駆動信号をフォーカスモータ64に送信する。このとき、フォーカスレンズユニット275の目標位置が補正量YcだけZ軸方向正側(被写体側)にずれるように、フォーカスレンズユニット75の目標位置に対してレンズマイコン240の補正部240cが補正処理を行う。補正処理の詳細については後述する。これにより、アダプタ長さXsが基準長さXs0よりも短い場合であっても、フォーカスレンズユニット75が光学的に正しい位置に配置されるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正することができる。
【0065】
また、電子トラッキングの場合には、トラッキングテーブル100に基づいてレンズマイコン240がズームリング84の回転位置および第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置から被写体距離を求める際に、フォーカスレンズユニット275の現在位置が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正される。
また、トラッキングテーブル100に基づいてレンズマイコン240がズームリング84の回転位置からフォーカスレンズユニット275の目標位置を算出する際に、図14に示すトラッキングテーブル100から求めたフォーカスレンズユニット275の目標位置が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正される。この補正処理をトラッキングテーブルで表すと、図21に示すように、トラッキングテーブル100が被写体側(図21の上側)にシフトしてトラッキングテーブル200のようになる。
【0066】
このように、交換レンズユニット202が電子トラッキング機能を有している場合、電子トラッキングの精度が低下するのを防止できる。また、マニュアルフォーカス撮影モードにおいて、フォーカスリング89の指示値と実際のフォーカス状態とがずれるのを防止できる。
また、フォーカスレンズユニット275の位置情報から被写体距離を算出する際、焦点距離に対応するフォーカスレンズユニット275の位置が補正量YcだけZ軸方向正側(被写体側)にずれるように、補正部240cによりフォーカスレンズユニット275の位置情報が補正される。この場合、例えば、フォーカスレンズユニット275の位置情報と補正したトラッキングテーブル200とに基づいて被写体距離を算出する。
<フォーカスレンズユニットの可動範囲の補正>
(1)コントラストAFに対応していない交換レンズユニットの場合
さらに、アダプタ120を用いると、フォーカスレンズユニット275の移動範囲を制限する必要がある場合がある。ここでは、交換レンズユニットがコントラストAFに対応していない場合について説明する。
【0067】
マニュアルフォーカス撮影モードの場合、ユーザーがフォーカスリング89を操作すると、フォーカスリング89の回転角度に応じた距離だけフォーカスレンズユニット275がフォーカスモータ64により駆動される。このとき、移動範囲を制限していなければ、フォーカスレンズユニット275が光学設計により定められた範囲以外の範囲を移動するおそれがある。
例えば、コントラストAFに対応していない交換レンズユニットの場合、図22に示すように、移動範囲M1はリミット位置SL11およびSL12により決定される。このリミット位置SL11およびSL12は、フォーカスレンズユニット275の移動が電気的に制限される位置である。具体的には、交換レンズユニット202と同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で交換レンズユニット202を使用した場合、リミット位置SL12は、無限遠に合焦するときのフォーカスレンズユニット275の位置であり、リミット位置SL12は、最至近に合焦するときのフォーカスレンズユニット275の位置である。すなわち、このリミット位置SL11およびSL12は、交換レンズユニット202と同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で使用した場合のフォーカスレンズユニット275の合焦範囲の両端位置である。このように、従来の交換レンズユニットでは、電気的なリミット位置が焦点調節時に使用される合焦範囲の両端位置である場合が多い。
【0068】
さらに、移動範囲M1の外側には、フォーカスレンズユニット275の移動が機械的に制限されるリミット位置ML1およびML2が存在する。例えば、交換レンズユニット202では、フォーカスレンズユニット275がガイドポール支持板265と当接する位置がリミット位置ML1に相当する。フォーカスレンズユニット275がリミット位置ML1およびML2を決定している部材に接触して不具合を起こさないように、電気的なリミット位置SL11およびSL12はリミット位置ML1およびML2の内側に配置されている。
このような移動範囲M1を有する交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合、距離Xcだけ各リミット位置が撮像センサ11に対してカメラ本体3側(図22の右側)にずれる。この結果、無限遠側においては、リミット位置SL11が無限遠で焦点が合う位置(∞)の外側(撮像センサ11側)に配置されることになり、光学設計により定められた範囲以外の範囲M19をフォーカスレンズユニット275が移動可能となる。したがって、電気的なリミット位置SL11でフォーカスレンズユニット275が停止するまでフォーカスリング89を動かせば無限遠に合焦するものとユーザーが誤解し、フォーカスレンズユニット275がこの範囲M19に配置された状態で撮影が行われる可能性がある。範囲19は光学設計で想定されていない範囲であるため、この範囲M19を用いると光学特性が低下する可能性がある。
【0069】
そこで、図22および図23に示すように、マニュアルフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cが移動範囲M1を移動範囲M11に補正する。具体的には、図23の「MF」に示すように、補正部240cがリミット位置SL11をリミット位置SL13に補正する。交換レンズユニット202内におけるリミット位置SL13をリミット位置SL11よりもYcだけZ軸方向正側にずらす。この場合、図22に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL12を補正しない。
このようにフォーカスレンズユニット275の移動範囲(リミット位置)を補正することで、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、ユーザーがフォーカスリング89を大きく操作しても、フォーカスレンズユニット275は電気的なリミット位置SL13で停止され、フォーカスレンズユニット275の移動範囲が光学設計により定められた範囲(ここでは、移動範囲M1)に収まる。
【0070】
また、オートフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cがリミット位置SL11を新たにリミット位置SL23に設定する。具体的には、図23の「AF1」および「AF2」に示すように、レンズマイコン240の補正部240cによりリミット位置SL11が新たにリミット位置SL23に設定される。このようにして、フォーカスレンズの無限遠位置からリミット位置SL23までの範囲が余裕範囲Hとして確保される。なお、リミット位置SL11をそのままリミット位置SL23として使用してもよい。
例えば無限遠で合焦させる場合は、「AF1」で示すように、フォーカスレンズユニット75がZ軸方向負側(図23の右側)に駆動され、合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。この結果、AF評価値の極大値を検出することができる。その後、AF評価値が極大値となる位置までフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図23の左側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。
【0071】
また、リードスクリュ64aとラック66とのバックラッシュが大きい場合に、「AF2」で示すように、フォーカスレンズユニット275の反転動作を2回繰り返す。具体的には、フォーカスレンズユニット275が合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。その後、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図23の左側)に駆動され、再度フォーカスレンズユニット275が合焦位置を通過する。その後、フォーカスレンズユニット275がZ軸方向負側に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。これにより、「AF1」で示す動作に比べて、バックラッシュの影響を低減でき、フォーカスレンズユニット275をより正確に合焦位置で停止させることができる。
なお、補正部240cが当初からレンズマイコン240に備えられてない場合は、例えばファームアップにより、このような機能をレンズマイコン240に追加することができる。また、ファームアップ可能な交換レンズユニットが装着された場合には、カメラ本体3の表示部20にファームアップを促す画像やメッセージを表示するようにしてもよい。
【0072】
このように、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1に対してレンズマイコン240により補正処理が施されるため、光学設計で定められていない範囲以外の範囲M19にフォーカスレンズユニット275が停止し撮影が行われることがない。また、コントラストAF用の余裕範囲Hを有していない場合でも、無限遠側に補正量Ycに相当する余裕範囲H1を確保することができ、交換レンズユニットをコントラストAFに対応させることができる。
(2)コントラストAFに対応している交換レンズユニットの場合
第2の規格に準拠した交換レンズユニットがコントラストAFに対応している場合も、移動範囲の補正が補正部240cにより行われる。
具体的には図24および図25に示すように、この場合の移動範囲M2は、リミット位置SL21およびSL22により決まっている。このリミット位置SL21およびSL22は、フォーカスレンズユニット275の移動が電気的に制限される位置である。この移動範囲M2の外側には、フォーカスレンズユニット275の移動が機械的に制限されるリミット位置ML1およびML2が存在する。
【0073】
さらに、コントラストAFに対応するために、移動範囲M2の両端には余裕範囲Hが設けられている。余裕範囲Hはリミット位置SL11およびSL12により決まっている。リミット位置SL11およびSL12は、移動範囲M2の内側に位置している。リミット位置SL11は無限遠に対応する位置に配置されており、リミット位置SL12は至近(0.3m)に対応する位置に配置されている。このリミット位置SL11およびSL12は、交換レンズユニットと同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で使用した場合のフォーカスレンズユニット275の合焦範囲の両端位置である。また、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、フォーカスリング89の操作によってフォーカスレンズユニット275が移動可能な範囲はリミット位置SL11およびSL12で電気的に制限される。
【0074】
このような移動範囲M2を有する交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合、距離Xcだけ各リミット位置がカメラ本体3側(図24の右側)にずれる。一方、前述の補正処理により、無限遠で焦点が合う位置(∞)は交換レンズユニット内においてZ軸方向正側(図24の左側)に補正量Ycだけずれる。この結果、無限遠側においては、リミット位置SL11が無限遠で焦点が合う位置(∞)の外側(撮像センサ11側)に配置されることになり、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、光学設計により定められた範囲以外の範囲M29をフォーカスレンズユニット275が移動可能となる。したがって、電気的なリミット位置SL11でフォーカスレンズユニット275が停止するまでフォーカスリング89を動かせば無限遠に合焦するものとユーザーが誤解し、フォーカスレンズユニット275がこの範囲M29に配置された状態で撮影が行われる可能性がある。範囲29は光学設計で想定されていない範囲であるため、この範囲M29を用いると光学特性が低下する可能性がある。
【0075】
そこで、図24および図25に示すように、マニュアルフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cが移動範囲M2を移動範囲M21に補正する。具体的には、図25の「MF」に示すように、補正部240cがリミット位置SL11を補正量YcだけZ軸方向正側にずらしたリミット位置SL13に補正する。この場合、図24に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL12を補正しない。
このようにフォーカスレンズユニット275の移動範囲(リミット位置)を補正することで、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、ユーザーがフォーカスリング89を大きく操作しても、フォーカスレンズユニット275は電気的なリミット位置SL13で停止される。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲を光学設計により定められた範囲に収めることができる。
【0076】
また、リミット位置SL21が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cがリミット位置SL21を補正する。具体的には、図25の「AF1」および「AF2」に示すように、レンズマイコン240の補正部240cによりリミット位置SL21がリミット位置SL23に補正される。この場合、図24に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL22を補正しない。このようにして、焦点を合わせることができる合焦範囲の外側に補正量Ycに相当する余裕範囲H2が確保される。
例えば無限遠で合焦させる場合は、「AF1」で示すように、フォーカスレンズユニット75がZ軸方向負側(図24の右側)に駆動され、合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。この結果、AF評価値の極大値を検出することができる。その後、AF評価値が極大値となる位置までフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図24の左側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。
【0077】
また、リードスクリュ64aとラック66とのバックラッシュが大きい場合に、「AF2」で示すように、フォーカスレンズユニット275の反転動作を2回繰り返す。具体的には、フォーカスレンズユニット75が合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。その後、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図25の左側)に駆動され、再度フォーカスレンズユニット75が合焦位置を通過する。その後、フォーカスレンズユニット275がZ軸方向負側(図25の右側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。これにより、「AF1」で示す動作に比べて、バックラッシュの影響を低減でき、フォーカスレンズユニット275をより正確に合焦位置で停止させることができる。
なお、補正部240cが当初からレンズマイコン240に備えられてない場合は、例えばファームアップにより、このような機能をレンズマイコン240に追加してもよい。
【0078】
このように、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M2に対してレンズマイコン240により補正処理が施されるため、光学設計で定められた範囲以外の範囲M29をフォーカスレンズユニット275が移動することがない。また、コントラストAF用の余裕範囲H2を適切な距離に保つことができ、コントラストAFの速度の低減を防止できる。
<デジタルカメラの動作>
デジタルカメラ301の動作について説明する。
(1)撮影モード
このデジタルカメラ301は、2つの撮影モードを有している。具体的には、デジタルカメラ301は、ユーザーがファインダ接眼窓9で被写体を観察するファインダ撮影モードと、ユーザーが表示部20で被写体を観察するモニタ撮影モードと、を有している。
【0079】
ファインダ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21が液晶ファインダ8を駆動する。この結果、液晶ファインダ8には、撮像センサ11により取得された被写体の画像(いわゆるスルー画像)が表示される。
モニタ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21により表示部20が駆動され、表示部20に被写体の実時間画像が表示される。この2つの撮影モードの切り換えは、撮影モード切り換えボタン34にて行うことができる。
(2)レンズ装着時の補正動作
カメラ本体3は、装着されるアダプタおよび交換レンズユニットに応じて、レンズ動作情報に対して補正を行う必要があるか否か判定する。そこで、交換レンズユニットが装着された際に、補正要否判定および補正処理が行われる。
【0080】
具体的には図26に示すように、交換レンズユニットが装着されているか否かがボディーマイコン10により確認される(S1)。具体的には、交換レンズユニットを検知するための接点がボディーマウント4に設けられており、この接点を利用してボディーマイコン10は交換レンズユニットの装着の有無を検知する。交換レンズユニットが装着されていない場合、交換レンズユニットの装着の監視が継続される。ここでは、交換レンズユニット202が装着されたと仮定する。
一方、交換レンズユニットの装着が検知された場合、アダプタが装着されているか否かがボディーマイコン10により確認される(S2)。アダプタ120を検出するための接点がボディーマウント4に設けられており、この接点を利用してボディーマイコン10はアダプタ120の装着の有無を検知することができる。ここでは、アダプタ120が装着されたと仮定する。アダプタが装着されていない場合、ボディーマイコン10により交換レンズユニット202のレンズマイコン240からレンズ情報が取得される(S3)。このレンズ情報は、例えば、レンズID、レンズバックXb、対応しているAF方式などの情報を含んでいる。
【0081】
ステップS3の後、図27に示すように、このレンズ情報に基づいて、ボディーマイコン10により交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応しているか否かが判定される(S13)。装着された交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応している場合、補正判定処理は終了する。一方、交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応していない場合、その旨を示す警告が表示部20に表示され(S14)、フォーカス撮影モードの操作が制限される(S15)。具体的には、フォーカス撮影モード切り換えボタン(図示せず)で選択されたモードに関わらず、ボディーマイコン10によりフォーカス撮影モードがマニュアルフォーカスモードに固定される。その後、補正判定処理が終了する。
アダプタ120がカメラ本体3に装着されており、かつ、交換レンズユニット202がアダプタ120に装着されている場合、ボディーマイコン10によりアダプタ120のアダプタマイコン123からアダプタ情報が取得される(S4)。このアダプタ情報は、例えば、アダプタID、アダプタ長さXsなどの情報を含んでいる。次に、ステップS3と同様に、ボディーマイコン10により交換レンズユニット202のレンズマイコン240からレンズ情報が取得される(S5)。このレンズ情報には、レンズバックXb、交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応していない旨を示す情報が含まれている。
【0082】
レンズ情報の取得後、ボディーマイコン10の補正判定部10bにより以下の式(5)に示す判定値Vが算出される(S6)。
【0083】
【数5】
V=Xb−Xa−Xs=Xs0−Xs ・・・(5)
判定値Vの算出後、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かが補正判定部10bにより判定される(S7)。具体的には、算出された判定値Vに基づいて、装着されたアダプタのアダプタ長さが基準長さXs0よりも短いか否かが判定される。例えば、判定値V=0である場合、アダプタ長さXsが基準長さXs0と等しいため、レンズ動作情報に対して補正処理は行われない。
一方、判定値V>0の場合は、アダプタ120のアダプタ長さXsが基準長さXs0よりも短いため、アダプタの長さが基準長さXs0と等しい場合に比べて、交換レンズユニット202がカメラ本体3の近くに配置される。この場合、前述のようにフォーカスレンズユニット275の位置情報に対して補正処理が行われる。具体的には図20に示すように、ボディーマイコン10の補正指令部10dからレンズマイコン240の補正部240cへ位置補正指令が判定値Vとともに送信される。この位置補正指令および判定値Vに基づいて、動作時におけるフォーカスレンズユニット275の目標位置が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240により位置情報に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、目標位置がZ軸方向正側(被写体側)にずれるように位置情報が補正される。判定値V<0である場合、目標位置がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるように位置情報が補正される。本実施形態では、交換レンズユニット202が装着されているため、判定値V>0となり、図20に示すような位置情報の補正が補正部240cにより行われる。
【0084】
位置情報の補正後、マニュアルフォーカス撮影モードにおけるフォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理が行われる(S10)。具体的には、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へリミット補正指令が判定値Vとともに送信される。このリミット補正指令および判定値Vにより、リミット位置SL11が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240によりリミット位置SL11に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、リミット位置SL11がZ軸方向正側(被写体側)にずれるようにリミット位置SL11が補正される。判定値V<0である場合、リミット位置SL11がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるようにリミット位置Sl11が補正される。本実施形態では、図22または図24に示すように、リミット位置SL11がリミット位置SL13に補正される。また、図22または図24に示すように、補正前のリミット位置SL11に新たにリミット位置SL23が設定される。
【0085】
移動範囲の補正後、図27に示すように、レンズ情報に基づいてボディーマイコン10により交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応しているか否かが判定される(S11)。交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応している場合、例えば図24に示すように、オートフォーカス撮影モードにおけるフォーカスレンズユニット275の移動範囲M2に対して補正処理が行われる(S12)。例えば、交換レンズユニット202がファームアップによりコントラスト検出方式に対応可能になった場合、交換レンズユニット202においても移動範囲M2が補正される。具体的には、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へリミット補正指令が判定値Vとともに送信される。このリミット補正指令および判定値Vにより、リミット位置SL21が補正される。より詳細には、リミット位置SL21が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240によりリミット位置SL21に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、リミット位置SL21がZ軸方向正側(被写体側)にずれるようにリミット位置SL21が補正される。判定値V<0である場合、リミット位置SL21がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるようにリミット位置SL21が補正される。本実施形態では、図24に示すように、補正部240cによりリミット位置SL21がリミット位置SL23に補正される。補正後、補正判定処理が終了する。
【0086】
一方、交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応していない場合、前述のように表示部20に警告が表示され(S14)、フォーカス撮影モードの操作が制限される(S15)。その後、補正判定処理が終了する。
このように、このカメラ本体3では、レンズ情報およびアダプタ情報に基づいて、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かが判定され、必要に応じて、レンズ動作情報に対して補正処理が行われる。これにより、このカメラ本体3では、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
なお、交換レンズユニット202がアダプタ120から取り外された場合には、補正されたレンズ動作情報は補正前の状態に戻る。このとき、補正後のレンズ動作情報がレンズマイコン240の揮発性メモリに一時的に格納されるか、あるいは、リアルタイムでレンズ動作情報が補正されることが考えられる。
【0087】
(3)ズーム動作
次に、ユーザーがズーム操作を行う際の交換レンズユニット2の動作を説明する。
ユーザーによりズームリング84が回転操作されると、ズームリング84とともにカム筒51が回転する。カム筒51が光軸AZ周りに回転すると、第1ホルダー52は、カム筒51の第1カム溝51dに案内され、Z軸方向に直進する。また、第2ホルダー55および第4レンズ群支持枠61も、カム筒51の第2カム溝51bおよび第3カム溝51cに案内され、Z軸方向に直進する。よって、ズームリング84を回転操作することにより、交換レンズユニット2の状態を、図5および図6に示す広角端の状態から図7および図8に示す望遠端の状態まで変化させることができる。これにより、ズームリング84の回転位置を調節することで、所望のズーム位置にて被写体を撮影することが可能となる。
【0088】
このとき、ズームリング84の回転操作により第2ホルダー55はZ軸方向に機械的に駆動されるが、フォーカスレンズユニット275のみは、被写体距離が実質的に一定に保たれるように、メモリ240aに予め記憶されたトラッキングテーブル100に基づき、フォーカス調節ユニット72により電気的に駆動制御される。例えば、トラッキングテーブル100に基づいてフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275を駆動することで、広角端から望遠端に移動した場合や望遠端から広角端に移動した場合も、無限遠にて合焦した状態を維持する。ここでは、基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、前述のように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正されている。このため、フォーカスレンズユニット275の駆動は補正後の位置情報に基づいて行われる。実質的には、図21に示すトラッキングテーブル200に基づいて、電子トラッキングが行われる。
【0089】
例えば、ズームリング84が回転操作されると、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4が光軸AZに沿ってZ軸方向に移動する。これにより、被写体像の倍率が変化する。このとき、第3レンズ群G3も第3レンズ群支持枠56を介して第2ホルダー55に支持された状態で光軸AZに沿ってZ軸方向に移動する。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4の相対的な位置関係が変化すると、撮像センサ11上に結像する被写体像のフォーカス状態も変化する。つまり、撮像センサ11上に焦点を結んでいる被写体距離が変化する。
そこで、このデジタルカメラ301では、ズームリング84の回転位置に応じてフォーカスモータ64を駆動することで、焦点距離が変化しても被写体距離を実質的に一定に保つことができる。具体的には、フォーカスモータ64のみを用いて、第3レンズ群G3を含むフォーカスレンズユニット275を第2レンズ群ユニット277に対して移動させる。レンズマイコン240は、リニアポジションセンサ87の検出信号に基づいて現在のズームリング84の回転位置を取得する。それと同時に、レンズマイコン240は、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置を、カウンタ40bでのカウント値から算出する。これら2つの情報(現在のズームリング84の回転位置、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置)から、図14に示す複数のトラッキングテーブル100を利用して、レンズマイコン240は、現在の被写体距離を求める。このとき、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置が、補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正される。被写体距離を求める際は、補正後のフォーカスレンズユニット275の位置情報が用いられる。レンズマイコン240は、求められた被写体距離に対応するトラッキングテーブル100を選択する。ここでは、無限遠に対応するトラッキングテーブル100が選択されたとする。
【0090】
次に、レンズマイコン240は、ズームリング84の回転位置を再度取得し、ズームリング84の回転位置の変化量からズームリング84の回転速度、すなわち焦点距離の変化速度を求める。
続いて、レンズマイコン240は、ズームリング84の現在の回転角度とズームリング84の回転速度とから、所定時間経過後のズームリング84の回転位置を予測し、選択されたトラッキングテーブル100に基づいて、予測したズームリング84の回転位置に対応するフォーカスレンズユニット275のZ軸方向の位置を目標位置として求める。求められた目標位置は、補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正される。所定時間経過後にフォーカスレンズユニット275がこの補正された目標位置に位置するように、レンズマイコン240はフォーカス駆動制御部41を介してフォーカスモータ64を駆動する。これにより、アダプタ120のアダプタ長さが基準長さXs0よりも短い場合であっても、フォーカスレンズユニット275が他のレンズ群の移動に追従するように駆動され、被写体距離が一定に保たれる。
【0091】
このように電子トラッキング動作においては、レンズマイコン240は、変倍動作に伴う焦点距離の変化を予測して、予測された焦点距離に対応するフォーカスレンズユニット275の目標位置をトラッキングテーブル100から取得する。このとき、基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、この目標位置が補正部240cにより補正される。光学系Lの変倍動作と並行して、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275が補正後の目標位置へ駆動される。この動作を所定の時間間隔で実行するため、ズームリング84が回転操作されて光学系Lの焦点距離が変化しても、フォーカスレンズユニット275がトラッキングテーブル100に基づいて焦点距離に応じたZ軸方向位置に移動し、焦点距離の変化にフォーカスレンズユニット275の駆動を追従させることができる。これにより、焦点距離が変化に関わらず被写体距離を実質的に一定に保つことができる。なお、これらの制御は、レンズマイコン240ではなく、ボディーマイコン10が行ってもよい。
【0092】
同様に、例えば焦点が合う被写体距離が1mなどの近距離である場合、被写体距離が1mであるトラッキングテーブル100が選択され、広角端から望遠端に移動した場合あるいは望遠端から広角端に移動した場合も、フォーカスモータ64の駆動により、近距離にて合焦した状態を維持することができ、スムーズな変倍動作を行うことが可能となる。
とりわけ、フォーカスレンズユニット275およびフォーカスモータ64が第2レンズ群ユニット277と一体でZ軸方向に移動するようになっているため、ユーザーによりズームリング84が素早く操作された場合でも、フォーカスレンズユニット275を第2レンズ群ユニット277と一体で移動させることができる。したがって、変倍動作の前後で被写体距離を実質的に一定に保ちたい場合に、フォーカスモータ64は、撮像センサ11に対して第3レンズ群G3が移動すべき距離から撮像センサ11に対して第2レンズ群G2がカム機構により移動する距離を差し引いた距離だけ、第3レンズ群G3を移動させればよい。これにより、ユーザーによるズームリング84の高速操作への対応が容易となる。
【0093】
また、本実施形態においては、広角端から望遠端まで変倍動作が行われると、被写体距離が無限遠の状態では、フォーカスレンズユニット275(より詳細には、フォーカスレンズ群である第3レンズ群G3)を撮像センサ11に対して3mm程度、Z軸方向に移動させる必要がある。フォーカスモータ64を800ppsで駆動する場合、先述したようにフォーカスモータ64の1回転あたりのフォーカスレンズユニット275の移動量が0.6mmであるため、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズユニット275をZ軸方向に3mmだけ移動させるために0.25秒かかる。広角端から望遠端までフォーカスレンズユニット275を約0.25秒で移動させることが可能であるため、ユーザーがズームリング84を広角端から望遠端まで0.5秒で回したとしても、焦点距離の変化にフォーカスレンズユニット275の駆動を追従させることができる。これにより、例えばライブビューモード時にユーザーが表示部20で被写体を確認しながら素早い変倍動作を行っても、表示部20に映し出される被写体像のピンぼけが発生しにくくなり、使い勝手がよくなる。
【0094】
(4)フォーカス動作
次に、デジタルカメラ301のフォーカス動作について説明する。デジタルカメラ301は、オートフォーカス撮影モードおよびマニュアルフォーカス撮影モードの2つのフォーカスモードを有している。デジタルカメラ301の操作を行うユーザーは、カメラ本体3に設けられたフォーカス撮影モード設定ボタン(図示せず)により、フォーカスモードを選択することができる。
オートフォーカス撮影モード時においては、コントラスト検出方式を用いたオートフォーカス動作が行われる。コントラスト検出方式のオートフォーカス動作を行う際には、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240に対して、コントラストAF用データを要求する。コントラストAF用データは、コントラスト検出方式のオートフォーカス動作の際に必要なデータであり、例えば、フォーカス駆動速度、フォーカスシフト量、像倍率、対応しているAF方式などが含まれる。これらの情報は、前述のレンズ情報として、メモリ240aに格納されている。
【0095】
ボディーマイコン10は、シャッターボタン30が半押しされるかどうかを監視する。シャッターボタン30が半押しされた場合、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240に対して、オートフォーカス開始命令を発信する。オートフォーカス開始命令は、コントラスト検出方式によるオートフォーカス動作を開始する旨を示している。この命令を受けて、レンズマイコン240は、フォーカス用のアクチュエータであるフォーカスモータ64を駆動制御する。より詳細には、レンズマイコン240はフォーカス駆動制御部41へ制御信号を送信する。この制御信号に基づいて、フォーカス駆動制御部41によりフォーカスモータ64が駆動され、フォーカスレンズユニット275が微動する。
ボディーマイコン10は、受信した画像データに基づいて、オートフォーカス動作用の評価値(以下、AF評価値という)を算出する。具体的には、ボディーマイコン10は、デジタル信号処理部15へ命令を送信する。デジタル信号処理部15は、受信した命令に基づいて所定のタイミングで画像信号をボディーマイコン10へ送信する。ボディーマイコン10は、撮像センサ11で生成された画像データから輝度信号を求め、輝度信号の画面内における高周波成分を積算して、AF評価値を求める。算出されたAF評価値は、露光同期信号と関連付けた状態でDRAM(図示せず)に保存される。ボディーマイコン10がレンズマイコン240から取得したレンズ位置情報も露光同期信号と関連付けられているため、ボディーマイコン10は、AF評価値をレンズ位置情報と関連付けて保存することができる。基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、レンズマイコン240からボディーマイコン10が取得したレンズ位置情報は、例えば補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正されている。このようなフォーカスレンズユニット275の位置情報に対する補正処理は、ボディーマイコン10により行われてもよい。
【0096】
次に、ボディーマイコン10は、DRAMに保存されたAF評価値に基づいて、AF評価値が極大値となるフォーカスレンズユニット275の位置を合焦点として抽出する。合焦点を抽出する際のフォーカスレンズユニット275の駆動方式としては、一般的には山登り方式が知られている。山登り方式では、AF評価値が増大する方向へフォーカスレンズユニット275を移動させ、フォーカスレンズユニット275の位置ごとのAF評価値を求める。この動作を、AF評価値の極大値が検出されるまで、すなわち、AF評価値が増大して一旦ピークに達してから減少し始めるまで続ける。
ボディーマイコン10は、抽出した合焦点に対応する位置までフォーカスレンズユニット275が駆動されるように、レンズマイコン240を介して制御信号をフォーカス駆動制御部41へ送信する。フォーカス駆動制御部41は、例えばボディーマイコン10(または、レンズマイコン240)からの制御信号に基づいて、フォーカスモータ64を駆動するための駆動パルスを生成する。この駆動信号に応じた駆動量だけフォーカスモータ64が駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦点に対応する位置までZ軸方向に移動する。
【0097】
以上のようにして、デジタルカメラ301のオートフォーカス撮影モードによるフォーカシングが行われる。以上の動作は、ユーザーのシャッターボタン30の半押し操作後、瞬時に実行される。
なお、コントラスト検出方式によるフォーカシングは、撮像センサ11で実時間の画像データを生成できるモニタ撮影モード(いわゆる、ライブビューモード)で動作し得る。なぜなら、ライブビューモードでは、定常的に、撮像センサ11で画像データを生成しており、その画像データを用いたコントラスト検出方式のオートフォーカス動作をするのが容易だからである。
ライブビューモードでは、被写体の実時間画像が表示部20に表示されるので、ユーザーは、表示部20を見ながら静止画あるいは動画を撮るための構図を決めることができる。また、表示部20を用いてライブビューモードの他に、ユーザーが選択できる撮影モードとしては、交換レンズユニット2からの被写体像を液晶ファインダ8(ファインダ部38)に導く第2のライブビューモード(ファインダ撮影モード)もある。
【0098】
次に、マニュアルフォーカス撮影モードについて説明する。
ユーザーによりフォーカスリング89が回転操作されると、フォーカスリング角度検出部90は、フォーカスリング89の回転角度を検出し、その回転角度に応じた信号を出力する。フォーカス駆動制御部41は、レンズマイコン240を介してフォーカスリング角度検出部90から回転角度信号を受信可能であり、この回転角度信号に基づいてフォーカスモータ64の駆動信号を生成する。このとき、例えば補正部240cによりフォーカスレンズユニット275の目標位置が補正される。具体的には、補正部240cにより補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように目標位置が補正される。補正後の目標位置に対応する駆動信号がフォーカス駆動制御部41により生成される。この駆動信号に応じてフォーカスモータ64のリードスクリュ64aが回転する。フォーカスモータ64のリードスクリュ64aが回転すると、リードスクリュ64aと噛み合うラック66を介してフォーカスレンズユニット275がZ軸方向に移動する。図5および図6に示す広角端の状態では、被写体距離は無限遠であるが、被写体距離が近くなるにしたがって、フォーカスレンズユニット275は、Z軸方向正側へ移動する。同様に、図7および図8に示す望遠端の状態では、被写体距離は無限遠であるが、被写体距離が短くなるにしたがって、フォーカスレンズユニット275は、Z軸方向正側に移動する。広角端の場合に比べ、この場合のフォーカスレンズユニット275の移動量は多くなる。
【0099】
以上のようにして、ユーザーは、表示部20において被写体を確認しながらフォーカスリング89を回転してフォーカシングを行うことができる。マニュアルフォーカス撮影モードにおいて、ユーザーがシャッターボタン30を全押しすると、その状態のまま撮影が行われる。
(5)静止画撮影
ユーザーによりシャッターボタン30が全押しされると、撮像センサ11の測光出力に基づいて計算された絞り値に光学系Lの絞り値が設定されるように、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へ命令が送信される。そして、レンズマイコン240により絞り駆動制御部42が制御され、指示された絞り値まで絞りユニット62を絞り込む。絞り値の指示と同時に、撮像センサ駆動制御部12から撮像センサ11へ駆動命令が送信され、シャッターユニット33の駆動命令が送信される。撮像センサ11の測光出力に基づいて計算されたシャッタースピードの時間だけ、シャッターユニット33により撮像センサ11が露光される。
【0100】
ボディーマイコン10は、撮影処理を実行し、撮影が終了すると、画像記録制御部19に制御信号を送信する。画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号を内部メモリおよび/またはリムーバブルメモリに記録する。画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号とともに撮影モードの情報(オートフォーカス撮影モードかマニュアルフォーカス撮影モードか)を、内部メモリおよび/またはリムーバブルメモリに記録する。
さらに、露光完了後、撮像センサ駆動制御部12は、撮像センサ11から画像データを読み出し、所定の画像処理後、ボディーマイコン10を介して画像表示制御部21へ画像データが出力される。これにより、表示部20へ撮影画像が表示される。
また、露光終了後、ボディーマイコン10により、シャッターユニット33が初期位置にリセットされる。また、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へ絞りユニット62を開放位置にリセットするよう絞り駆動制御部42に命令が下され、レンズマイコン240から各ユニットへリセット命令が下される。リセット完了後、レンズマイコン240は、ボディーマイコン10にリセット完了を伝える。ボディーマイコン10は、レンズマイコン240からリセット完了情報を受信した後であって、かつ、露光後の一連の処理が完了した後に、シャッターボタン30が押されていないことを確認し、撮影シーケンスを終了する。
【0101】
(6)動画撮影
デジタルカメラ301は、動画を撮影する機能も有している。動画撮影モードでは、一定の周期で撮像センサ11により画像データが生成され、生成される画像データを利用してコントラスト検出方式によるオートフォーカスが継続的に行われる。動画撮影モードにおいて、シャッターボタン30が押される、あるいは動画撮影操作ボタン24が押されると、画像記録部18に動画が記録され、シャッターボタン30、あるいは動画撮影操作ボタン24が再度押されると、画像記録部18での動画の記録が停止する。
<カメラ本体の特徴>
以上に説明したカメラ本体3の特徴は以下の通りである。
(1)
このカメラ本体3では、フランジバックXaが交換レンズユニット202のレンズバックXbよりも短いため、交換レンズユニット202と同じ規格に準拠しているカメラ本体に比べて、小型化を図ることができる。
【0102】
さらに、フランジバックXaがレンズバックXbからアダプタ長さXsを差し引いた長さよりも短い。言い換えると、アダプタ長さXsが、レンズバックXbからフランジバックXaを差し引いた基準長さXs0よりも短い。このため、交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合に、交換レンズユニット202の位置がカメラ本体3に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1のカメラ本体3側(本実施形態では、無限遠側)に余裕範囲Hを確保することができる。つまり、余裕範囲Hを有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
以上より、このカメラ本体3では、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
【0103】
(2)
このカメラ本体3では、ボディーマイコン10の補正判定部10bにより、フランジバックXa、レンズバックXbおよびアダプタ長さXsに基づいて、フォーカスレンズの動作に関するレンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定できる。このため、例えば、他の規格に準拠した交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合でも、互換性を確保することができる。
ここで、レンズ動作情報としては、前述のように、例えば、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275のZ軸方向(光軸AZ方向)の位置情報、撮像センサ11に対するフォーカスレンズユニット75の位置情報、および、フォーカスレンズユニット275のZ軸方向の可動範囲(より詳細には、リミット位置)が考えられる。
【0104】
(3)
このカメラ本体3では、フランジバックXa、レンズバックXbおよびアダプタ長さXsから補正判定部10bが判定値Vを算出するため、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定しやすくなる。
(4)
このカメラ本体3では、補正判定部10bの判定結果に基づいて、ボディーマイコン10の補正指令部10dがレンズマイコン240の補正部240cに位置補正指令を送信する。この位置補正指令に基づいて補正部240cがフォーカスレンズユニット275の位置情報に対して補正処理を行うため、撮像センサ11に対するフォーカスレンズユニット275の光軸方向の位置が光学設計上の位置からずれないように、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正することができる。これにより、このカメラ本体3では、規格が異なる交換レンズユニットを活用することが可能となり、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
【0105】
また、位置補正指令とともに判定値Vがボディーマイコン10からレンズマイコン240に送信されるため、レンズマイコン240が補正量を容易に認識することができる。
(5)
また、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理を行うように、補正判定部10bの判定結果に基づいて、補正指令部10dがレンズマイコン240の補正部240cにリミット補正指令を送信する。このリミット補正指令に基づいて、補正部240cはフォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理を行う。これにより、フォーカスレンズユニット275が光学設計により定められた範囲以外の範囲(M19あるいはM29)を移動することがない。また、コントラストAF用の余裕範囲H1あるいはH2を適切な距離に保つことができ、コントラストAFの速度の低減を防止できる。
【0106】
また、リミット補正指令とともに判定値Vがボディーマイコン10からレンズマイコン240に送信されるため、レンズマイコン240が補正量を容易に認識することができる。
<アダプタの特徴>
アダプタ120の特徴は以下の通りである。
(1)
このアダプタ120では、アダプタ長さXsがレンズバックXbからフランジバックXaを差し引いた基準長さXs0よりも短い。このため、交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合に、交換レンズユニット202の位置がカメラ本体3に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1のカメラ本体3側(本実施形態では、無限遠側)に余裕範囲Hを確保することができる。つまり、余裕範囲Hを有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
【0107】
以上より、このアダプタ120では、カメラ本体の小型化を図りつつ、カメラ本体と交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
(2)
このアダプタ120では、アダプタ長さXsがアダプタマイコン123に予め記憶されているため、レンズ動作情報に対する補正処理の要否を判定する際にアダプタ長さXsを利用することができ、補正処理の要否を正確に判定することができる。
また、アダプタ長さXsがアダプタマイコン123に予め記憶されているため、判定値Vを容易に算出することができ、補正量を容易に把握することができる。
[他の実施形態]
本発明の実施形態は、前述の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正および変更が可能である。また、前述の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0108】
(1)
前述の実施形態では、デジタルカメラは静止画および動画の撮影が可能であるが、静止画撮影のみ、あるいは、動画撮影のみ可能であってもよい。
(2)
前述のデジタルカメラ1はクイックリターンミラーを有していないが、従来の一眼レフカメラのようにクイックリターンミラーが搭載されていてもよい。
また、カメラ本体3はコントラスト検出方式にのみ対応しているが、コントラスト検出方式に加えて位相差検出方式に対応していてもよい。
(3)
光学系Lの構成は前述の実施形態に限定されない。例えば、第3レンズ群G3が複数のレンズから構成されていてもよいし、第2レンズ群G2が単一のレンズから構成されていてもよい。
【0109】
(4)
前述の実施形態では、シャッターユニット33を動作させることにより撮像センサ11への露光時間を制御しているが、電子シャッターにより撮像センサ11の露光時間を制御してもよい。
(5)
前述の実施形態では、レンズマイコン40により電子トラッキングが行われるが、ボディーマイコン10からレンズマイコン40に命令が送信され、その命令に基づいて電子トラッキングの制御が行われてもよい。
(6)
前述の第3〜第5実施形態は、別々の実施形態として記載されているが、各実施形態の構成を組み合わせてもよい。
【0110】
(7)
前述の実施形態では、Xs=Xs0−Xcであるが、以下の式(6)を満たしていれば、カメラ本体3と同様の効果を得ることができる。
【0111】
【数6】
Xs≦Xb−Xa−Xc=Xs0−Xc ・・・(6)
(8)
交換レンズユニット202はコントラスト検出方式に対応していないが、コントラスト検出方式に対応している交換レンズユニットであってもカメラ本体3に装着することができる。
(9)
前述の実施形態では、レンズマイコン240の補正部240cがレンズ動作情報を補正しているが、カメラ本体3のボディーマイコン10がレンズ動作情報を補正してもよい。
【0112】
例えば、前述の実施形態では、式(4)に基づいてレンズマイコン240により補正量Ycが算出されているが、ボディーマイコン10が補正量Ycを算出する機能を有していてもよい。この場合、ボディーマイコン10は、各交換レンズユニットの補正係数Kを予め格納しているか、あるいは、装着されたレンズマイコン240から補正係数Kを取得する。ボディーマイコン10は距離Xcおよび補正係数Kを用いて式(4)に基づいて補正量Ycを算出する。
さらに、ボディーマイコン10は、装着される交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合していない場合に、その交換レンズユニットの規格に応じて、補正量Ycを用いてフォーカスレンズユニット275の位置情報を補正するように構成されていてもよい。補正処理が実行される場合としては、例えば、フォーカスレンズユニット275の位置情報をレンズマイコン240と送受信する場合が考えられる。
【0113】
具体的には、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240からフォーカスレンズユニット275の位置情報を受信すると、例えば、位置情報が示すフォーカスレンズユニット275の位置がZ軸方向正側に補正量Ycだけシフトするように、受信した位置情報を補正する。この補正処理は、受信した位置情報を、ボディーマイコン10で用いられる補正位置情報に変換する処理とも言える。
また、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240にフォーカスレンズユニット275の位置情報を送信する際に、例えば、位置情報が示すフォーカスレンズユニット275の位置がZ軸方向負側に補正量Ycだけシフトするように、送信する位置情報を補正する。この補正処理は、ボディーマイコン10で用いられる補正位置情報を、レンズマイコン240で用いられる元の位置情報に変換する処理とも言える。
【0114】
ここで説明したボディーマイコン10では、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合する場合と、交換レンズユニットの規格がカメラ本体の規格と整合しない場合と、で同じ被写体距離に対応するフォーカスレンズの位置情報を異ならせていることになる。例えば、上記のような補正処理を行うことで、カメラ本体3で用いられる無限遠に対応するフォーカスレンズの位置情報が、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合する場合と、交換レンズユニットの規格がカメラ本体の規格と整合しない場合と、で異なっている。言い換えると、フォーカスレンズの位置情報を交換レンズユニットの規格に応じて異ならせる機能をカメラ本体3が有していれば、上記の補正部をカメラ本体3が備えていることになる。
なお、ボディーマイコン10が上記の補正機能を当初から有していない場合であっても、ファームアップによりボディーマイコン10に補正機能が追加されることも考えられる。
【0115】
(10)
前述の実施形態では、アダプタマイコン123には、アダプタ長さに関する情報としてアダプタ長さXsが記憶されているが、アダプタ長さXsに加えてレンズバックに関する情報が記憶されていてもよい。レンズバックに関する情報には、例えば、アダプタ120に装着可能な交換レンズユニットのレンズID(交換レンズユニットに関する情報の一例)およびレンズバックが含まれている。この場合、レンズIDおよびレンズバックは関連付けられてアダプタマイコン123に記憶されている。複数のレンズバックがレンズIDとともにアダプタマイコン123に記憶されていてもよい。
例えば、交換レンズユニット202の場合であれば、交換レンズユニット202のレンズIDおよびレンズバックXbがアダプタマイコン123に記憶されている。交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着されると、アダプタマイコン123に記憶されているレンズIDおよびレンズバックXbがカメラ本体3のボディーマイコン10に送信される。
【0116】
ボディーマイコン10は、アダプタ120から取り込んだレンズIDおよびレンズバックの中から、交換レンズユニット202のレンズIDに対応するデータを選択する。選択されたデータは、選択されたデータは前述の補正要否の判断処理や補正処理に用いられる。このように、アダプタ120にアダプタマイコン123にアダプタ長さに関する情報を予め格納しておくことで、交換レンズユニット202のレンズマイコン240がレンズバックに関する情報を記憶していなくても、前述の補正要否の判断処理や補正処理を行うことができる。
また、アダプタマイコン123に判定値Vが記憶されていてもよい。判定値Vは、前述のように、交換レンズユニット202のレンズバックXb、カメラ本体3のフランジバックXaおよびアダプタ長さXsから式(5)を用いて算出することができる。この判定値Vに対応する交換レンズユニットのレンズIDおよびカメラ本体のカメラIDが判定値Vと関連付けられてアダプタマイコン123に記憶されている。交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着されると、アダプタマイコン123に記憶されている判定値V、レンズIDおよびカメラIDがカメラ本体3のボディーマイコン10に送信される。
【0117】
ボディーマイコン10は、アダプタ120から取り込んだ判定値V、レンズIDおよびカメラIDの中から、交換レンズユニット202のレンズIDおよびカメラ本体3のカメラIDに対応するデータを選択する。選択されたデータは前述の補正要否の判断処理や補正処理に用いられる。このように、判定値Vをアダプタ120のアダプタマイコン123に予め格納しておくことで、交換レンズユニット202のレンズマイコン240がレンズバックに関する情報を記憶していなくても、前述の補正要否の判断処理や補正処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上に説明した技術によれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保できるカメラ本体および撮像装置を提供することができる。また、以上に説明した技術によれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができるアダプタを提供することができる。したがって、以上に説明した技術は、互換性の確保が望まれる交換レンズ式デジタルカメラのような撮像装置に好適である。
【符号の説明】
【0119】
1 デジタルカメラ(撮像装置の一例)
2 交換レンズユニット
3 カメラ本体
3a 筐体
4 ボディーマウント(マウント部の一例)
10 ボディーマイコン(位置情報取得部の一例、補正部の一例)
10b 補正判定部
11 撮像センサ(撮像素子の一例)
40 レンズマイコン
100 トラッキングテーブル
120 アダプタ
121 第1マウント
122 第2マウント
123 アダプタマイコン(記憶部の一例)
240 レンズマイコン
240c 補正部
L 光学系
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ(フォーカスレンズの一例)
L7 第7レンズ
Xa フランジバック
Xb レンズバック、フランジバック
H 余裕範囲
Xs アダプタ長さ
Xs0 基準長さ
V 判定値
【書類名】 明細書
【発明の名称】 撮像装置
【技術分野】
【0001】
技術分野は、交換レンズ式の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラなどの撮像装置が急速に普及している。デジタルカメラとして、デジタル一眼レフカメラが知られている。このデジタル一眼レフカメラでは、光学ファインダを用いて被写体を観察する場合、光学系に入射した光(すなわち被写体像)が光路上に配置されたクイックリターンミラーにより反射され、ファインダ光学系に導かれる。この結果、ペンタプリズム等を介して被写体像が正立像に変換され、光学ファインダに導かれる。これにより、撮影者は光学系により形成された被写体像を光学ファインダから観察することができる。
一方、光学系を撮影用として使用する場合は、クイックリターンミラーが撮影用光路から待避する。この結果、ファインダ用光路が撮影用光路に切り換えられ、撮影が終了するとクイックリターンミラーは定位置に瞬時に戻る。この方式は、一眼レフ方式であれば、従来の銀塩カメラでも、デジタルカメラでも同様である。
【0003】
しかし、光学ファインダを用いての撮影は、デジタルカメラの撮影に不慣れな初心者にとっては、非常に使いにくい。
そこで、撮影時に液晶モニタにより被写体を観察できるモニタ撮影モード(いわゆる、ライブビュー撮影モード)を有する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−125173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のデジタル一眼レフカメラは、クイックリターンミラーを有しているため、交換レンズユニットが装着されるカメラ本体のフランジバックが長くなる。フランジバックが長くなると、光学系が搭載された交換レンズユニットのサイズも大きくなるため、従来のデジタル一眼レフカメラは小型化が困難である。
そこで、クイックリターンミラーを使用しないデジタルカメラが検討されている。このデジタルカメラでは、クイックリターンミラーのためのスペースを設ける必要がないため、カメラ本体のフランジバックを短くすることができ、この結果、カメラ本体の小型化が可能となる。
しかし、カメラ本体のフランジバックが短くなると、クイックリターンミラーを有するフランジバックの長い従来のカメラ本体に対応した交換レンズユニットとの互換性が確保できなくなる。つまり、フランジバックを短くしたカメラ本体で、過去に購入した交換レンズユニットの活用を図ることができない場合がある。
【0006】
そこで、交換レンズユニットとカメラ本体との互換性を確保するために、アダプタを用いることが考えられる。
しかし、例えば、カメラ本体で採用されているオートフォーカス方式がコントラスト検出方式である場合、AF評価値の極大値を検出するためにフォーカスレンズを光軸方向に余分に移動させる必要がある。過去の交換レンズユニットは、コントラスト検出方式への対応を想定しておらず、フォーカスレンズの可動範囲に余裕範囲が設けられていないことが多い。したがって、フォーカスレンズの動作をコントラスト検出方式にて制御したとしても、装着される交換レンズユニットによっては、フォーカスレンズが機械的に移動できない領域ができてしまい、この結果、オートフォーカスを行えないおそれがある。
このように、カメラ本体の小型化を図ると、過去に購入した交換レンズユニットを活用できなくなるおそれがある。
【0007】
ここに開示された技術であれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができるカメラ本体および撮像装置を提供することができる。
さらに、ここに開示された技術であれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットおよびカメラ本体の互換性を確保できるアダプタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示された撮像装置は、コントラスト検出方式のオートフォーカスに対応していない交換レンズユニットと、交換レンズユニットに装着可能なアダプタと、カメラ本体と、を備えている。カメラ本体は、筐体と、筐体に収容され被写体の画像信号を取得するための撮像素子と、筐体に固定されアダプタが装着可能な部分であって撮像素子の受光面からフランジバックだけ離れた位置に配置されたボディーマウントと、を有している。ボディーマウントと撮像素子との間には、クイックリターンミラーが配置されていない。フランジバックは、交換レンズユニットのレンズバックよりも短く、かつ、レンズバックからアダプタの光軸方向の長さであるアダプタ長さを差し引いた長さよりも短い。
この撮像装置では、フランジバックが交換レンズユニットのレンズバックよりも短いため、この交換レンズユニットと同じ規格に準拠しているカメラ本体に比べて、小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上に説明した技術によれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保できる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】デジタルカメラの概略構成図
【図2】カメラ本体の構成を示すブロック図
【図3】デジタルカメラの概略斜視図
【図4】(A)カメラ本体の上面図、(B)カメラ本体の背面図
【図5】交換レンズユニットの断面図(広角端)
【図6】交換レンズユニットの断面図(広角端)
【図7】交換レンズユニットの断面図(望遠端)
【図8】交換レンズユニットの断面図(望遠端)
【図9】第2レンズ群ユニットおよびフォーカスレンズユニットの分解斜視図
【図10】第2レンズ群ユニットおよびフォーカスレンズユニットの分解斜視図
【図11】フォーカスレンズユニットの部分斜視図
【図12】(A)光学系の構成図(広角端)、(B)光学系の構成図(望遠端)
【図13】ズームリングの回転角度と各部材の撮像センサからの距離との関係を示すグラフ
【図14】ズームレンズ系を実現するためのトラッキングテーブル
【図15】(A)、(B)デジタルカメラの概略図
【図16】デジタルカメラの概略図
【図17】(A)〜(D)コントラストAFでのフォーカスレンズユニットの動作
【図18】デジタルカメラの概略図
【図19】デジタルカメラの概略構成図
【図20】位置情報の補正処理の説明図
【図21】トラッキングテーブルの補正処理の説明図
【図22】可動範囲の補正処理の説明図
【図23】可動範囲の補正処理の説明図
【図24】可動範囲の補正処理の説明図
【図25】可動範囲の補正処理の説明図
【図26】補正判定処理のフローチャート
【図27】補正判定処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
<デジタルカメラの概要>
図1〜図13を用いて、デジタルカメラ1について説明する。図1はデジタルカメラ1の概略構成図である。図1に示すように、デジタルカメラ1(撮像装置の一例)は、交換レンズ式のデジタルカメラであり、主に、カメラ本体3と、カメラ本体3に取り外し可能に装着された交換レンズユニット2と、を備えている。交換レンズユニット2は、レンズマウント95を介して、カメラ本体3の前面に設けられたボディーマウント4に装着されている。カメラ本体3および交換レンズユニット2は、同じ規格に準拠している。
ここで、規格とは、カメラ本体において交換レンズユニットを装着して使用可能とするための取り決めである。規格においては、まず、ボディーマウントがレンズマウントに装着可能なように、これらの形状が取り決められている。さらに、規格では、ボディーマウントの基準面から撮像面(受光面とも言う)までの距離、すなわち、フランジバックが取り決められている。
【0012】
交換レンズユニットは、レンズマウントをボディーマウントに装着した状態で撮像面上に後側焦点が位置するように設計される。レンズマウントをボディーマウントに装着したときの基準面から後側焦点までの光軸方向の距離をレンズバックとも言う。互換性のあるカメラ本体および交換レンズユニットでは、レンズバックはフランジバックと同じ長さである。したがって、レンズバックは、交換レンズユニット特有の値であって、交換レンズユニットが有するレンズマウントが装着可能なボディーマウントを有するカメラ本体のフランジバック、と言い換えることもできる。なお、規格において、さらに、カメラ本体と交換レンズユニットとで交換される信号等について取り決めていることもある。
図2はカメラ本体3の構成を示すブロック図である。図3はデジタルカメラ1の概略斜視図である。図4(A)はカメラ本体3の上面図であり、図4(B)はカメラ本体3の背面図である。図5〜図8は交換レンズユニット2の概略断面図である。図5および図6が広角端の状態を示しており、図7および図8が望遠端の状態を示している。図6は図5とは異なる平面における断面図である。図8は図7とは異なる平面における断面図である。図9および図10は第2レンズ群ユニット77およびフォーカスレンズユニット75の分解斜視図である。図12(A)および図12(B)は光学系Lの構成図である。図12(A)が広角端の状態を示しており、図12(B)が望遠端の状態を示している。図13は、ズームリング84の回転位置と、各部材の撮像センサ11からの距離と、の関係を示している。
【0013】
なお、本実施形態では、デジタルカメラ1に対して3次元直交座標系を設定する。光学系L(後述)の光軸AZはZ軸方向(光軸方向の一例)と一致している。X軸方向はデジタルカメラ1での縦撮り姿勢における水平方向と一致している。Y軸方向はデジタルカメラ1での横撮り姿勢における鉛直方向と一致している。また、以下の説明において、「前」とは、デジタルカメラ1の被写体側(Z軸方向正側)を、「後」とは、デジタルカメラ1の被写体側と反対側(ユーザー側、Z軸方向負側)を意味する。
<交換レンズユニット>
図1〜図12(B)を用いて交換レンズユニット2の概略構成を説明する。図1に示すように、交換レンズユニット2は、光学系Lと、光学系Lを支持するレンズ支持機構71と、フォーカス調節ユニット72と、絞り調節ユニット73と、振れ補正ユニット74と、レンズマイコン40と、を有している。
【0014】
(1)光学系
光学系Lは、被写体の光学像を形成するためのズームレンズ系であり、主に4つのレンズ群から構成されている。具体的には図12(A)および図12(B)に示すように、光学系Lは、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、を有している。
第1レンズ群G1は、第1レンズL1と、第1レンズL1の撮像センサ11側に配置あされた第2レンズL2と、を有している。第1レンズL1は被写体側を向く凸面を有する負メニスカスレンズである。第2レンズL2は、被写体側を向く凸面を有する正メニスカスレンズであり、接着層を介して第1レンズL1に接合されている。
【0015】
第2レンズ群G2は、第3レンズL3と、第3レンズL3の撮像センサ11側に配置された第4レンズL4と、第4レンズL4の撮像センサ11側に配置された第5レンズL5と、を有している。第3レンズL3は被写体側に向く凸面を有する負メニスカスレンズである。第4レンズL4は両凹レンズである。第5レンズL5は両凸レンズである。
第3レンズ群G3は第6レンズL6(フォーカスレンズの一例)から構成されている。第6レンズL6は、撮像センサ11側を向く凸面を有する負メニスカスレンズであり、第5レンズL5と第7レンズL7とのZ軸方向間(第2レンズ群G2と第4レンズ群G4とのZ軸方向間)に配置されている。
第4レンズ群G4は、第7レンズL7と、第8レンズL8と、第9レンズL9と、第10レンズL10と、第11レンズL11と、第12レンズL12と、を有している。第7レンズL7は、振れ補正のための正メニスカスレンズであり、撮像センサ11側を向く凸面を有している。第8レンズL8は両凸レンズである。第9レンズL9は、両凹レンズであり、接着層を介して第8レンズL8に接合されている。第10レンズL10は両凸レンズである。第10レンズL10の被写体側の面は、非球面である。第11レンズL11は、被写体側を向く凸面を有する負メニスカスレンズであり、接着層を介して第10レンズL10に接合されている。第12レンズL12は両凸レンズである。
【0016】
図12(A)、図12(B)および図13に示すように、広角端から望遠端へのズーミング時には、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4は、それぞれ被写体側へと光軸AZに沿ってZ軸方向へ移動する。より詳細には、広角端から望遠端へのズーミング時には、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が増加し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が減少する。絞りユニット62(後述)は第4レンズ群G4と共に被写体側に移動する。
また、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシング時には、第3レンズ群G3が光軸AZに沿って被写体側へと移動する。
さらに、デジタルカメラ1の動きに起因する光学像の振れを抑制するために、第7レンズL7が光軸AZと直交する2方向に移動する。
【0017】
(2)レンズ支持機構
レンズ支持機構71は、光学系Lを移動可能に支持するための機構であり、レンズマウント95と、固定枠50と、カム筒51と、第1ホルダー52と、第1レンズ群支持枠53と、第2レンズ群支持枠54と、第2ホルダー55と、第3レンズ群支持枠56と、第4レンズ群支持枠61と、ズームリングユニット83と、フォーカスリングユニット88と、を有している。
レンズマウント95は、カメラ本体3のボディーに装着される部分であり、レンズ側接点91を有している。固定枠50は、カム筒51を回転可能に支持する部材であり、レンズマウント95に固定されている。固定枠50は、Z軸方向正側の端部に突起50aと、外周に設けられた3つの凹部50bと、光軸AZ回りに等ピッチで配置された3本の貫通直進溝50cと、を有している。カム筒51は、内周に設けられた3つの凸部51aと、3本の第1カム溝51dと、3本の第2カム溝51bと、3本の第3カム溝51cと、を有している。カム筒51の凸部51aが固定枠50の凹部50bに挿入されているため、Z軸方向の相対移動が規制された状態で、固定枠50に対して回転可能なようにカム筒51が固定枠50により支持されている。
【0018】
第1レンズ群支持枠53は、第1ホルダー52に固定されており、第1レンズ群G1を支持している。第1ホルダー52は、内周側に形成されZ軸方向に延びる縦溝52aと、光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つのカムピン81と、を有している。縦溝52aには固定枠50の突起50aが挿入されている。カムピン81はカム筒51の第1カム溝51dに挿入されている。これらの構成により、第1ホルダー52は固定枠50に対して回転することなくZ軸方向に移動可能である。固定枠50に対する第1ホルダー52の移動量は第1カム溝51dの形状により決まる。第1ホルダー52の先端には、偏光フィルタや保護フィルタのような光学フィルタおよびコンバージョンレンズを取り付けるための雌ねじ部52cが形成されている。
第2レンズ群支持枠54は、第2ホルダー55に固定されており、第2レンズ群G2を支持している。第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55により、第2レンズ群ユニット77が構成されている。第2ホルダー55は、光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つの凸部55bと、凸部55bに固定された3つのカムピン82と、を有している。カムピン82はカム筒51の第2カム溝51bに挿入されている。凸部55bは固定枠50の貫通直進溝50cに挿入されている。これらの構成により、第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55は、固定枠50に対して回転することなくZ軸方向に移動可能である。固定枠50に対する第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55の移動量は、第2カム溝51bの形状により決まる。
【0019】
第3レンズ群支持枠56は、第3レンズ群G3(より詳細にはフォーカスレンズとして機能する第6レンズL6)を支持する部材であり、軸受け部56aと、廻り止め部56bと、ラック支持部56cと、突起56dと、を有している。第6レンズL6および第3レンズ群支持枠56によりフォーカスレンズユニット75が構成されている。第2ホルダー55は、Z軸方向に延びる2本のガイドポール63a、63bの前側端部を支持している。ガイドポール支持板65は、ガイドポール63aの後側端部を支持するための部材であり、第2ホルダー55の撮像センサ11側に固定されている。軸受け部56aにはガイドポール63aが挿入されており、廻り止め部56bにはガイドポール63bが挿入されている。ガイドポール63aおよび63bにより、光軸AZ周りの回転が規制された状態で、第3レンズ群支持枠56はZ軸方向に移動可能に支持されている。
ラック支持部56cは、軸受け部56aからZ軸方向負側に延びる部分であり、ラック66を軸方向に一体で移動可能にかつ回転可能に支持している。ラック66は、複数の歯66cを有するラック本体66aと、Z軸方向に延びる軸部66bと、を有している。複数の歯66cはフォーカスモータ64のリードスクリュ64aと噛み合っている。軸部66bはラック支持部56cに支持されているため、ラック66はラック支持部56cに対して中心軸R回りに回転可能となっている。
【0020】
さらに、図9および図11に示すように、ラック支持部56cにはねじりコイルバネ68が取り付けられている。ねじりコイルバネ68は、弾性力を発生する巻き回り部68aと、第1端部68bと、第2端部68cと、を有している。巻き回り部68aはラック66の軸部66bに挿入されている。巻き回り部68aが捩られた状態で、第1端部68bがラック支持部56cに引っかけられており、第2端部68cがラック66に引っかけられている。つまり、ねじりコイルバネ68は、ラック66に対してA方向へ回転力を付与しており、リードスクリュ64aに対してラック66を常に押し付けている。これにより、ラック66とリードスクリュ64aとの間のバックラッシュを低減することができ、フォーカスレンズユニット75の位置精度を高めることができる。また、ラック66がリードスクリュ64aに常に押し付けられているため、リードスクリュ64aからラック66に駆動力を効率よく伝達することが可能となる。
【0021】
さらに、ねじりコイルバネ68の巻き回り部68aは、ラック支持部56cとラック66との間でZ軸方向(中心軸Rに平行な方向)に圧縮されている。ねじりコイルバネ68はラック66に対して押付力Fを付与しており、ねじりコイルバネ68によりラック66はラック支持部56cに押し付けられている。これにより、ラック66がラック支持部56cに対してZ軸方向に移動するのを抑制でき、フォーカスレンズユニット75の位置精度をさらに高めることができる。
第2ホルダー55にはフォーカスモータ64が固定されている。フォーカスモータ64は例えばステッピングモータである。フォーカスモータ64は、Z軸方向に延びた回転軸としてのリードスクリュ64aを有している。このリードスクリュ64aにラック66が噛み合っている。
【0022】
突起56dは、フォーカスレンズユニット75の原点を検出するための部分であり、フォトセンサ67(後述)の検出領域を通過可能な位置に設けられている。本実施形態では、フォーカスレンズ群である第3レンズ群G3が1枚の第6レンズL6により形成されているため、第3レンズ群G3の重量を例えば1g以下とすることができ、フォーカスモータ64での駆動速度を高めることができる。
第4レンズ群支持枠61は、第1支持枠57と、第2支持枠58と、第3支持枠59と、第4支持枠60と、を有している。第4レンズ群G4および第4レンズ群支持枠61により、第4レンズ群ユニット78が構成されている。
第1支持枠57は第7レンズL7を支持している。第2支持枠58は、第8レンズL8および第9レンズL9を支持しており、さらに第1支持枠57を光軸AZに直交する2方向に移動可能に支持している。第2支持枠58は光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つのカムピン80を有している。
【0023】
第3支持枠59は、第10レンズL10および第11レンズL11を支持しており、例えばネジにより第2支持枠58に固定されている。第4支持枠60は、第12レンズL12を支持しており、例えばネジにより第3支持枠59に固定されている。これらの構成により、第1支持枠57、第2支持枠58、第3支持枠59および第4支持枠60は、光軸AZに沿って一体で移動する。
また、第1支持枠57は、例えば第2支持枠58により光軸AZに直交する2方向に移動可能なように支持されている。この構成により、第1支持枠57は、第2支持枠58、第3支持枠59および第4支持枠60に対してZ軸方向には一体で移動しつつ光軸AZに直交する方向に移動可能である。
ズームリングユニット83は、リングベース86と、ズームリング84と、ズームリング84の回転位置を検出するリニアポジションセンサ87と、を有している。ズームリング84の回転位置とは、ズームリング84の回転方向の位置を意味しており、ある基準位置からのズームリング84の回転角度ということもできる。
【0024】
ズームリング84は、円筒形状を有しており、固定枠50に固定されたリングベース86により、Z軸方向への移動が規制された状態で光軸AZ周りに回転可能に支持されている。ズームリング84はZ軸方向負側の端部に貫通穴84aを有している。貫通穴84aには、カム筒51に固定されたズーム駆動ピン85が挿入されている。これにより、カム筒51はズームリング84と光軸AZ周りに一体回転する。
リニアポジションセンサ87は、ユーザーによるズームリング84の回転位置および回転方向を検出し、検出結果をレンズマイコン40に送信する。具体的には、リニアポジションセンサ87は、リングベース86に固定されており、半径方向外側に突出する摺動子87aを有している。この摺動子87aは、ズームリング84に形成されたカム溝84bに挿入されている。固定枠50に対してズームリング84が回転すると、カム溝84bに沿って摺動子87aはZ軸方向に移動する。リニアポジションセンサ87は、可変抵抗器を有しており、摺動子87aがこの可変抵抗器内にある磁気抵抗体上をスライドすることにより、両端に所定の電圧を付与した端子間において、摺動子87aのZ軸方向の位置に比例した出力(出力電圧)をリニアに得ることができる。リニアポジションセンサ87の出力を回転位置情報に変換することで、ズームリング84の回転位置を検出することが可能となる。ズームリング84の外周面には、光学系Lの焦点距離が表示されている。
【0025】
なお、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4がレンズ支持機構71を介して機械的に連結されているため、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の絶対位置(例えば、撮像センサ11の受光面11aを基準とした位置)はズームリング84の回転位置と一定の関係を有している。したがって、ズームリング84の回転位置を検出することにより、例えばレンズマウント95に対する第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の絶対位置を把握することができる。なお、ズームリング84は、例えば可動式のレバーのような他の構造を有していてもよい。
フォーカスリングユニット88は、フォーカスリング89と、フォーカスリング89の回転角度を検出するフォーカスリング角度検出部90と、を有している。フォーカスリング89は、円筒形状を有しており、リングベース86により、Z軸方向の移動が規制された状態で光軸AZ周りに回転可能に支持されている。フォーカスリング89の回転角度および回転方向は、フォーカスリング角度検出部90により検出可能である。例えば、このフォーカスリング角度検出部90は、2つのフォトセンサ(図示せず)を有している。フォーカスリング89は、回転方向に等間隔で配置され半径方向内側に突出する複数の突起89aを有している。各フォトセンサは、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を有しており、発光部および受光部の間を複数の突起89aが通過することで、フォーカスリング89の回転角度および回転方向を検出することができる。なお、フォーカスリング89は、例えば可動式のレバーのような他の構造を有していてもよい。
【0026】
(3)フォーカス調節ユニット
フォーカス調節ユニット72は、フォーカスモータ64と、フォーカス駆動制御部41と、フォトセンサ67と、を有している。フォーカスモータ64は、第2ホルダー55に固定されており、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75をZ軸方向に駆動する。第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の駆動は、フォーカスモータ64のみにより行われる。言い換えると、フォーカスモータ64がフォーカスレンズユニット75を駆動していない状態(例えば、フォーカスモータ64に電力が供給されていない状態)では、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75を移動させることはできない。この場合、フォーカスレンズユニット75は第2ホルダー55と一体でZ軸方向に移動する。
【0027】
フォーカスモータ64のリードスクリュ64aは、フォーカス駆動制御部41から入力された駆動信号に基づいて回転する。フォーカスモータ64で発生した回転運動は、リードスクリュ64aおよびラック66によりフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の直進運動に変換される。これにより、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75がZ軸方向に移動可能となる。
このデジタルカメラ1では、被写体距離を実質的に一定に保ちつつ焦点距離を変更できるズームレンズ系を実現するために、レンズマイコン40に予め記憶されているトラッキングテーブルに基づいてフォーカス調節ユニット72によりフォーカスレンズユニット75が駆動される。ここでは、このようなトラッキング方式を電子トラッキングと呼ぶ。
トラッキングテーブルとは、焦点距離が変化しても焦点が合う被写体距離が実質的に一定に保たれるフォーカスレンズユニット75の位置(より詳細には、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の位置)を示す情報である。被写体距離が実質的に一定とは、被写体距離の変化量が所定の被写界深度内に収まることを意味している。電子トラッキングについては後述する。
【0028】
また、第2ホルダー55には、フォーカスレンズユニット75の原点位置を検出するフォトセンサ67が搭載されている。このフォトセンサ67は発光部(図示せず)と受光部(図示せず)とを有している。発光部と受光部との間を第3レンズ群支持枠56の突起56dが通過すると、フォトセンサ67は突起56dの有無を検出できる。つまり、フォトセンサ67により、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の原点位置を検出することが可能となる。言い換えれば、フォトセンサ67は、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3の原点位置を検出する原点検出器である。レンズマイコン40は、第3レンズ群G3を原点位置に駆動し、フォトセンサ67からの信号によりフォーカスレンズユニット75(第3レンズ群G3)が原点位置にあることを認識する。
フォトセンサ67により検出できる原点位置は第2レンズ群ユニット77に対して移動することがない絶対位置である。このため、フォーカスレンズユニット75の位置を第2レンズ群ユニット77に対して原点位置にリセットする際には、フォトセンサ67により原点検出用の突起56dが検出される位置までフォーカスレンズユニット75を駆動する。例えば、デジタルカメラ1の電源スイッチ25をオフにすると、フォーカスレンズユニット75の現在位置に関わらず、第3レンズ群支持枠56の突起56dがフォトセンサ67に検出される位置までフォーカスレンズユニット75がフォーカスモータ64により駆動される。フォーカスレンズユニット75の駆動完了後、デジタルカメラ1の電源がオフになる。逆に、デジタルカメラ1の電源スイッチ25をオンにすると、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット75がトラッキングテーブルに基づいて求められた所定の位置まで駆動される。なお、原点検出器は、フォトセンサに限られず、例えば、マグネットおよび磁気センサを組み合わせることで実現されてもよい。
【0029】
(4)絞り調節ユニット
絞り調節ユニット73は、第2支持枠58に固定された絞りユニット62と、絞りユニット62を駆動する絞り駆動モータ(図示せず)と、絞り駆動モータを制御する絞り駆動制御部42と、を有している。絞り駆動モータは、例えばステッピングモータである。絞り駆動モータは、絞り駆動制御部42から入力される駆動信号に基づいて駆動される。絞り駆動モータで発生した駆動力により、絞り羽根62aが開方向および閉方向に駆動される。絞り羽根62aを駆動することで光学系Lの絞り値を変更することができる。
(5)振れ補正ユニット
振れ補正ユニット74は、交換レンズユニット2およびカメラ本体3の動きに起因する光学像の振れを抑制するためのユニットであり、電磁アクチュエータ46と、位置検出センサ47と、振れ補正用マイコン48と、を有している。
【0030】
電磁アクチュエータ46は第1支持枠57を光軸AZに直交する方向に駆動する。具体的には、電磁アクチュエータ46は、例えばマグネット(図示せず)とコイル(図示せず)とを有している。例えば、コイルは第1支持枠57に設けられており、マグネットは第2支持枠58に固定されている。
位置検出センサ47は、第2支持枠58に対する第1支持枠57の位置を検出するためのセンサであり、例えばホール素子である。交換レンズユニット2には、ジャイロセンサなどの動き検出センサ(図示せず)が搭載されている。振れ補正用マイコン48は、位置検出センサ47の検出結果および動き検出センサの検出結果に基づいて、電磁アクチュエータ46を制御する。これにより、デジタルカメラ1の動きに起因する被写体像の振れを抑制することができる。
【0031】
なお、被写体像の振れを抑制する方法として、撮像センサ11から出力される画像データに基づいて画像に表れる振れを補正する電子式振れ補正を適用してもよい。また、光学像の振れを抑制する方法として、撮像センサ11を光軸AZと直交する2方向に駆動するセンサシフト方式を適用してもよい。
(6)レンズマイコン
レンズマイコン40は、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)およびメモリ40aを有しており、ROMに格納されているプログラムがCPUに読み込まれることで、様々な機能を実現し得る。例えば、レンズマイコン40は、フォトセンサ67の検出信号によりフォーカスレンズユニット75が原点位置にあることを認識することができる。
メモリ40aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。メモリ40aには、例えば交換レンズユニット2に関する情報(レンズ情報)やズームレンズ系を実現するためのトラッキングテーブル(後述)が格納されている。レンズマイコン40は、このトラッキングテーブルに基づいてフォーカスモータ64を制御し、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット75がZ軸方向に駆動される。以下、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズユニット75の位置を焦点距離の変化に追従させる動作を、電子トラッキングという。
【0032】
レンズマイコン40は、フォーカスモータ64のパルス数をカウントするためのカウンタ40bを有している。カウンタ40bは、フォーカスレンズユニット75をZ軸方向正側に駆動した場合、カウントを「+1」とし、フォーカスレンズユニット75をZ軸方向負側に駆動した場合、カウントを「−1」とする。このように、カウンタ40bでフォーカスモータ64の駆動パルス数をカウントすることで、レンズマイコン40は、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3の相対位置(第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の位置)を把握することができる。
例えば、フォーカスモータ64のリードスクリュ64aの1回転当たり、ラック66が0.6mmだけZ軸方向に駆動される。マグネット(図示せず)が10極であるフォーカスモータ64を1−2相励磁にて駆動する場合、1パルス当たり、0.6/20/2=0.015mm(15μm)だけラック66がZ軸方向に駆動される。マイクロステップ駆動時には、さらに細かい単位でラック66を駆動できる。ステッピングモータを用いることで、細かい単位でフォーカスレンズユニット75を駆動することができ、例えば反転駆動時のバックラッシュを小さくすることができる。つまり、フォーカスモータ64としてステッピングモータを選定することで、高精度なフォーカス調節を実現できる。また、駆動パルス数をカウントすることで、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の現在位置を把握でき、さらにフォーカスレンズユニット75の駆動量を算出することができる。
【0033】
<カメラ本体>
図1〜図4(B)を用いてカメラ本体3の概略構成について説明する。図1〜図4(B)に示すように、カメラ本体3は、筐体3aと、ボディーマウント4(マウント部の一例)と、操作ユニット39と、画像取得部35と、画像表示部36と、ファインダ部38と、ボディーマイコン10(位置情報取得部の一例、補正部の一例)と、バッテリー22と、を有している。
(1)筐体
筐体3aは、カメラ本体3の外装部を構成している。図4(A)および図4(B)に示すように、筐体3aの前面には、ボディーマウント4が設けられており、筐体3aの背面および上面には、操作ユニット39が設けられている。具体的には、筐体3aの背面には、表示部20と、電源スイッチ25と、モード切り換えダイヤル26と、十字操作キー27と、メニュー設定ボタン28と、設定ボタン29と、撮影モード切り換えボタン34と、動画撮影操作ボタン24が設けられている。筐体3aの上面には、シャッターボタン30が設けられている。
【0034】
(2)ボディーマウント
ボディーマウント4は、交換レンズユニット2のレンズマウント95が装着される部分であり、レンズ側接点91と電気的に接続可能なボディー側接点(図示せず)を有している。ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して、カメラ本体3は交換レンズユニット2とデータの送受信が可能である。例えば、ボディーマイコン10(後述)は、ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して露光同期信号などの制御信号をレンズマイコン40に送信する。
(3)操作ユニット
図4(A)および図4(B)に示すように、操作ユニット39は、ユーザーが操作情報を入力するための各種操作部材を有している。例えば、電源スイッチ25は、デジタルカメラ1あるいはカメラ本体3の電源の入切を行うためのスイッチである。電源スイッチ25により電源がオン状態になると、カメラ本体3および交換レンズユニット2の各部に電源が供給される。
【0035】
モード切り換えダイヤル26は、静止画撮影モード、動画撮影モードおよび再生モード等の動作モードを切り換えるためのダイヤルであり、ユーザーはモード切り換えダイヤル26を回転させて動作モードを切り換えることができる。モード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されると、動作モードを静止画撮影モードへ切り換えることができ、モード切り換えダイヤル26により動画撮影モードが選択されると、動作モードを動画撮影モードへ切り換えることができる。動画撮影モードでは、基本的に動画撮影が可能となる。さらに、モード切り換えダイヤル26により再生モードが選択されると、動作モードを再生モードへ切り換えることができ、表示部20に撮影画像を表示させることができる。
十字操作キー27は、ユーザーが上下左右の方向を選択できるボタンである。十字操作キー27を用いて、例えば表示部20に表示された各種メニュー画面から所望のメニューを選択することができる。
【0036】
メニュー設定ボタン28はデジタルカメラ1の各種動作を設定するためのボタンである。設定ボタン29は各種メニューの実行を確定するためのボタンである。
動画撮影操作ボタン24は、動画撮影の開始および停止を指示するためのボタンである。モード切り換えダイヤル26において選択された動作モードが静止画撮影モードまたは再生モードであっても、この動画撮影操作ボタン24を押すことにより、モード切り換えダイヤル26での設定内容に関係なく、強制的に動作モードが動画撮影モードに移行し、動画撮影が開始される。さらに、動画撮影中に、この動画撮影操作ボタン24が押されると、動画撮影が終了し、モード切り換えダイヤル26において選択された動作モード、すなわち動画撮影開始前の動作モードへと移行する。例えば、動画撮影操作ボタン24が押される際にモード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されている場合は、動画撮影操作ボタン24が再度押された後に動作モードが自動的に静止画撮影モードへと移行する。
【0037】
シャッターボタン30は、撮影の際にユーザーによって操作される。シャッターボタン30が操作されると、タイミング信号がボディーマイコン10に出力される。シャッターボタン30は、半押し操作と全押し操作が可能な2段式のスイッチである。ユーザーが半押し操作すると測光処理および測距処理を開始する。シャッターボタン30を半押しの状態でユーザーがシャッターボタン30を全押し操作すると、タイミング信号が出力され、画像取得部35で画像データが取得される。
さらに、図2に示すように、カメラ本体3の前面には、交換レンズユニット2をカメラ本体3から取り外すためのレンズ取り外しボタン99が設けられている。レンズ取り外しボタン99は、例えばユーザーに押されるとオン状態になる接点(図示せず)を有しており、ボディーマイコン10と電気的に接続されている。レンズ取り外しボタン99が押されると、内蔵されている接点がオンになり、ボディーマイコン10はレンズ取り外しボタン99が押されたことを認識することができる。
【0038】
(4)画像取得部
画像取得部35は主に、光電変換を行うCCD(Charge Coupled Device)などの撮像センサ11(撮像素子の一例)と、撮像センサ11の露光状態を調節するシャッターユニット33と、ボディーマイコン10からの制御信号に基づいてシャッターユニット33の駆動を制御するシャッター制御部31と、撮像センサ11の動作を制御する撮像センサ駆動制御部12と、を有している。
撮像センサ11は、光学系Lにより形成される光学的な像を電気的な信号に変換する、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサである。撮像センサ11は、撮像センサ駆動制御部12により発生されるタイミング信号により駆動制御される。なお、撮像センサ11はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサでもよい。
【0039】
シャッター制御部31は、タイミング信号を受信したボディーマイコン10から出力される制御信号にしたがって、シャッター駆動アクチュエータ32を駆動し、シャッターユニット33を動作させる。
なお、本実施形態では、オートフォーカス方式として、撮像センサ11で生成された画像データを利用するコントラスト検出方式が採用されている。コントラスト検出方式を用いることにより、高精度なフォーカス調節を実現することができる。
(5)ボディーマイコン
ボディーマイコン10は、カメラ本体3の中枢を司る制御装置であり、操作ユニット39に入力された操作情報に応じて、デジタルカメラ1の各部を制御する。具体的には、ボディーマイコン10にはCPU、ROM、RAMが搭載されており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、ボディーマイコン10は様々な機能を実現することができる。例えば、ボディーマイコン10は、交換レンズユニット2がカメラ本体3に装着されたことを検知する機能、あるいは交換レンズユニット2から焦点距離情報などのデジタルカメラ1を制御する上で必要な情報を取得する機能を有している。また、ボディーマイコン10は、交換レンズユニット2からフォーカスレンズユニット75の位置情報を取得する機能(位置情報取得部の機能)、あるいは、交換レンズユニット2の規格がカメラ本体3の規格と整合しているか否かを判定する機能(補正判定部の機能)、さらには交換レンズユニット2から補正係数K(後述)を取得する機能を有している。
【0040】
ボディーマイコン10は、電源スイッチ25、シャッターボタン30、モード切り換えダイヤル26、十字操作キー27、メニュー設定ボタン28および設定ボタン29の信号を、それぞれ受信可能である。また、ボディーマイコン10内のメモリ10aには、カメラ本体3に関する各種情報が格納されている。メモリ10aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。
また、ボディーマイコン10は、垂直同期信号を定期的に生成し、垂直同期信号の生成と並行して、垂直同期信号に基づいて露光同期信号を生成する。ボディーマイコン10が垂直同期信号を基準とした露光開始タイミングおよび露光終了タイミングを予め把握しているために、ボディーマイコン10は露光同期信号を生成できる。ボディーマイコン10は、垂直同期信号をタイミング発生器(図示省略)に出力し、露光同期信号をボディーマウント4およびレンズマウント95を介してレンズマイコン40に一定の周期で出力する。レンズマイコン40は、露光同期信号に同期して、フォーカスレンズユニット75の位置情報を取得する。
【0041】
撮像センサ駆動制御部12は、垂直同期信号に基づいて、撮像センサ11の読み出し信号と電子シャッター駆動信号とを一定の周期で生成する。撮像センサ駆動制御部12は、読み出し信号および電子シャッター駆動信号に基づいて、撮像センサ11を駆動する。すなわち、撮像センサ11は、読み出し信号に応じて、撮像センサ11内に多数存在する光電変換素子(図示せず)で生成された画素データを垂直転送部(図示せず)に読み出す。
また、ボディーマイコン10は、レンズマイコン40を介してフォーカス調節ユニット72(後述)を制御する。
撮像センサ11から出力された画像信号は、アナログ信号処理部13から、A/D変換部14、デジタル信号処理部15、バッファメモリ16および画像圧縮部17へと、順次送られて処理される。アナログ信号処理部13は、撮像センサ11から出力される画像信号にガンマ処理等のアナログ信号処理を施す。A/D変換部14は、アナログ信号処理部13から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部15は、A/D変換部14によりデジタル信号に変換された画像信号に対してノイズ除去や輪郭強調等のデジタル信号処理を施す。バッファメモリ16は、RAM(Random Access Memory)であり、画像信号を一旦記憶する。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像圧縮部17から画像記録部18へと、順次送られて処理される。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像記録制御部19の命令により読み出されて、画像圧縮部17に送信される。画像圧縮部17に送信された画像信号のデータは、画像記録制御部19の命令に従って画像信号に圧縮処理される。画像信号は、この圧縮処理により、元のデータより小さなデータサイズになる。画像信号の圧縮方法として、例えば1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式が用いられる。その後、圧縮された画像信号は、画像記録制御部19により画像記録部18に記録される。ここで、動画を記録する場合、複数の画像信号をそれぞれ1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG方式を用いることもでき、また、複数のフレームの画像信号をまとめて圧縮するH.264/AVC方式を用いることもできる。
【0042】
画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号と記録すべき所定の情報とを関連付けて静止画ファイルまたは動画ファイルを作成する。そして、画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、静止画ファイルまたは動画ファイルを記録する。画像記録部18は、例えば内部メモリおよび/または着脱可能なリムーバブルメモリである。なお、画像信号とともに記録すべき所定の情報には、画像を撮影した際の日時と、焦点距離情報と、シャッタースピード情報と、絞り値情報と、撮影モード情報とが含まれる。静止画ファイルは、例えばExif(登録商標)形式やExif(登録商標)形式に類する形式である。また、動画ファイルは、例えばH.264/AVC形式やH.264/AVC形式に類する形式である。
(6)画像表示部
画像表示部36は、表示部20と、画像表示制御部21と、を有している。表示部20は例えば液晶モニタである。表示部20は、画像表示制御部21からの命令に基づいて、画像記録部18あるいはバッファメモリ16に記録された画像信号を可視画像として表示する。表示部20での表示形態としては、画像信号のみを可視画像として表示する表示形態や、画像信号と撮影時の情報とを可視画像として表示する表示形態が考えられる。
【0043】
(7)ファインダ部
ファインダ部38は、撮像センサ11により取得された画像を表示する液晶ファインダ8と、筐体3aの背面に設けられたファインダ接眼窓9と、を有している。ユーザーは、ファインダ接眼窓9を覗くことで液晶ファインダ8に表示された画像を視認することができる。
(8)バッテリー
バッテリー22は、カメラ本体3の各部に電力を供給し、さらにレンズマウント95を介して交換レンズユニット2に電力を供給する。本実施形態ではバッテリー22は充電池である。なお、バッテリー22は、乾電池でもよいし、電源コードにより外部から電力供給が行われる外部電源であってもよい。
【0044】
<トラッキングテーブル>
デジタルカメラ1では、被写体距離を実質的に一定に保ちつつ焦点距離が変更できるようにするために、フォーカス調節ユニット72により電子トラッキングが行われる。具体的には図14に示すように、電子トラッキングを行うために、トラッキングテーブル100がメモリ40aに格納されている。このトラッキングテーブル100は、ズームリング84の回転位置とフォーカスレンズユニット75の第2レンズ群ユニット77に対するZ軸方向の位置との関係を示している。例えば、被写体距離が0.3m、1.0mおよび無限遠(∞)に対応する3つのトラッキングテーブル100がメモリ40aに格納されている。
トラッキングテーブル100は、ズームリング84の回転位置およびフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置がいくつかに分割された離散的な情報である。一般的には、分割数は、ズームリング84を回転させても被写体距離が所定の被写界深度内に納まるように決定されている。
【0045】
ズームリング84の回転位置(回転方向の位置)はリニアポジションセンサ87により検出することができる。この検出結果およびトラッキングテーブル100に基づいて、レンズマイコン40は、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置を決定することができる。
第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の原点位置Dはフォトセンサ67により検出され、図14では一点鎖線で示されている。本実施形態では、原点位置Dは、無限遠のトラッキングテーブル100におけるフォーカスレンズユニット75の移動範囲(位置E1および位置E2の間)の中央付近に位置している。このように、原点位置Dを中央付近に配置することにより、デジタルカメラ1の電源オン時に、いずれの位置にも比較的素早くフォーカスレンズユニット75を移動させることができる。
【0046】
なお、無限遠のトラッキングテーブル100を基準に原点位置Dを決定しているのは、ユーザーがデジタルカメラ1の電源を入れて被写体を撮影する際に、無限遠の位置にある被写体を撮影する確率が高いためである。
また、トラッキングテーブル100は、いくつかに分割された離散的な情報ではなく多項式で表されてもよい。ズームリング84の回転位置の代わりに、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2または第4レンズ群G4のZ軸方向の位置情報を用いてもよい。第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置とは、第2レンズ群ユニット77に対する第3レンズ群G3のZ軸方向の位置、あるいは、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3のZ軸方向の位置と言い換えることもできる。
<異なる規格のデジタルカメラ>
ここで、前述のデジタルカメラ1とは異なる規格のフランジバックを有するデジタルカメラ201について説明する。図15(A)はデジタルカメラ1の概略図であり、図15(B)はデジタルカメラ201の概略図である。
【0047】
図15(A)に示すように、デジタルカメラ1は、交換レンズユニット2と、フランジバックXaを有するカメラ本体3と、を有している。デジタルカメラ1は、クイックリターンミラーを用いない第1の規格に準拠している。具体的には、ボディーマウント4およびレンズマウント95の形状は、第1の規格に準拠している。また、カメラ本体3のフランジバックXaは、第1の規格に準拠しており、光学系LはフランジバックXaに合わせて設計されている。
一方、図15(B)に示すように、デジタルカメラ201は、交換レンズユニット202と、フランジバックXbを有するカメラ本体203と、を有している。交換レンズユニット202は、クイックリターンミラーを用いた第2の規格に準拠している。
ここで、フランジバックXaは、ボディーマウント4のマウント面4a(基準面)から撮像センサ11の受光面11aまでのZ軸方向の距離であり、設計上、交換レンズユニット2のレンズバックと一致する。交換レンズユニット2のレンズバックXaは、レンズマウント95のマウント面95aから後側焦点までの距離である。ボディーマウント4とレンズマウント95とは第1の規格により互いに装着可能な形状となっている。ボディーマウント4がレンズマウント95に装着された状態で、ボディーマウント4のマウント面4aとレンズマウント95のマウント面95aとは互いに当接する。
【0048】
フランジバックXbは、ボディーマウント204のマウント面204aから撮像センサ211の受光面211aまでのZ軸方向の距離であり、設計上、交換レンズユニット202のレンズバックと一致する。交換レンズユニット202のレンズバックXbは、レンズマウント295のマウント面295aから後側焦点までの距離である。ボディーマウント204とレンズマウント295とは第2の規格により互いに装着可能な形状となっている。ボディーマウント204がレンズマウント295に装着された状態で、ボディーマウント204のマウント面204aとレンズマウント295のマウント面295aとは互いに当接する。
交換レンズ式のデジタルカメラの特徴は、カメラ本体に別の交換レンズユニットを装着して使用できることにある。例えば、交換レンズユニット202をカメラ本体3に装着して使用することが考えられる。
【0049】
しかし、デジタルカメラ201はクイックリターンミラーを用いた第2の規格に準拠しているため、カメラ本体203のフランジバックXb(交換レンズユニット202のレンズバックXb)はカメラ本体3のフランジバックXaよりも長い。交換レンズユニット202のレンズバックXbがカメラ本体3のフランジバックXaよりも長いため、交換レンズユニット202のレンズバックXbがカメラ本体3のフランジバックXaと整合しない。このため、交換レンズユニット202をカメラ本体3の交換レンズユニットとしてそのまま使用することができない。
そこで、交換レンズユニット202をカメラ本体3に装着する際には、バック長さ調節用のアダプタ110を用いることが考えられる。具体的には図16に示すように、アダプタ110を介して交換レンズユニット202がカメラ本体3に装着される。この場合、アダプタ長さXs0は、カメラ本体3のフランジバックXaと交換レンズユニット202のレンズバックXb(つまり、カメラ本体203のフランジバックXb)との差に設定されている。より具体的には、アダプタ長さXs0(基準長さ)は以下の式(1)により表すことができる。
【0050】
【数1】
Xs0=Xb−Xa ・・・(1)
このアダプタ110を用いることで、交換レンズユニット202をカメラ本体3の交換レンズユニットとして使用するためのフランジバックの調整ができる。
しかし、カメラ本体3では、オートフォーカス方式としてコントラスト検出方式(以下、コントラストAFともいう)が採用されているが、アダプタ110を用いてフランジバックの調整を行ったとしても、それだけでは交換レンズユニット202はコントラストAFの動作に対応できない。ここで、コントラスト検出方式によるオートフォーカス(AF)について説明する。
【0051】
コントラスト検出方式によりオートフォーカスを行う際、撮像センサ11により取得された画像データに基づいて、オートフォーカス動作用の評価値(以下、AF評価値という)がボディーマイコン10により算出される。算出されたAF評価値は、露光同期信号と同期して取得されたフォーカスレンズユニット75の位置と関連付けた状態でDRAM(図示せず)に保存される。ボディーマイコン10は、DRAMに保存されたAF評価値に基づいて、AF評価値が極大値となるフォーカスレンズユニット75の位置を合焦点として抽出する。合焦点を抽出する際のフォーカスレンズユニット75の駆動方式としては、一般的には山登り方式が知られている。
例えば図17(A)〜図17(D)に示すように、山登り方式では、AF評価値が増大する方向へフォーカスレンズユニット75を移動させ、フォーカスレンズユニット75の位置ごとのAF評価値を求める。この動作を、AF評価値の極大値が検出されるまで、すなわち、AF評価値が増大して一旦ピークに達してから減少し始めるまで続ける。具体的には、図17(B)に示すフォーカスレンズユニット75の位置でAF評価値が極大値となる場合、フォーカスレンズユニット75が図17(C)に示す位置まで一旦駆動され、図17(D)に示すようにAF評価値が極大値となる位置までフォーカスレンズユニット75を移動させる。このように、コントラスト検出方式にてAFを行う場合、フォーカスレンズユニット75を余分に移動させる必要があるため、フォーカスレンズユニット75が合焦状態で停止する範囲(以下、合焦範囲とも言う)の両端には、余裕範囲Hを設ける必要がある。例えば、合焦範囲の一端は、物点距離を無限遠として合焦する状態でのフォーカスレンズユニット75の停止位置であり、この位置で極大値を検出するためには、この位置を超え、余裕範囲Hにフォーカスレンズユニット75を移動させる必要がある。
【0052】
しかし、従来の交換レンズユニットはコントラストAFへの対応を想定していない場合が多く、前述の交換レンズユニット202のように、この余裕範囲Hが設けられていない交換レンズユニットが多く存在する。例えば、図16に示すように、無限遠に焦点が合う状態で、すでにフォーカスレンズユニット275が機械的に決まる可動範囲の端に到達している場合が考えられる。この場合、図17(C)および図17(D)のようなフォーカスレンズユニット275の動作を行うことができないため、コントラストAFを行うことができない。コントラストAFに対応していない交換レンズユニットをコントラストAFに対応させることができれば、過去に購入した交換レンズユニットをカメラ本体3でも活用することができる。
そこで、図18に示すように、コントラストAFに対応していない交換レンズユニット202をコントラストAFに対応させるために、アダプタ110の代わりに、アダプタ長さが基準長さXs0よりも短く設定されたアダプタ120を用いることが考えられる。具体的には、アダプタ長さを以下の式(2)により表されるアダプタ長さXsに設定する。式(2)は、例えばボディーマイコン10に予め格納されている。
【0053】
【数2】
Xs=Xb−Xa−Xc=Xs0−Xc ・・・(2)
この場合、図18に示すように、アダプタ長さが基準長さXs0である場合に比べて、交換レンズユニット202がカメラ本体3に距離Xcだけ近づくため、機械的に決まるフォーカスレンズユニット75の可動範囲に対して、焦点調節時にフォーカスレンズユニット75が移動する合焦範囲が、Z軸方向正側(被写体側)にシフトする。この結果、例えば最も撮像センサ11に近い合焦位置(無限遠端)で考えた場合、フォーカスレンズユニット275とガイドポール支持板265との間に距離Xcに相当する隙間(より詳細には、後述の補正量Yc)が確保される。このため、余裕範囲Hが確保できるように距離Xcを設定することで、前述のコントラストAFの際に、フォーカスレンズユニット75の合焦範囲の無限遠端に余裕範囲Hを確保することができる。これにより、図18に示すように、カメラ本体3および交換レンズユニット202を組み合わせたとしても、コントラストAFにより無限遠に合焦させることが可能となる。
【0054】
このように、アダプタ120の長さを式(2)のように短くすることで、余裕範囲Hが確保されていない交換レンズユニット202を活用することができる場合がある。被写体距離を無限遠にして撮影される頻度は高いため、コントラストAFによって無限遠に合焦できることは非常に有用である。
なお、距離Xcは、上記の式(2)に基づいて、例えばボディーマイコン10により算出される。距離Xcの算出に際して、ボディーマイコン10は、レンズバックXbをレンズマイコン240(後述)から取得し、アダプタ長さXsをアダプタマイコン123(後述)から取得する。
<アダプタを有するデジタルカメラの構成>
ここで、図19を用いて、アダプタ120を用いたデジタルカメラ301について説明する。図19は、デジタルカメラ301の概略構成図である。なお、前述の構成と実質的に同じ機能を有する構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0055】
図19に示すように、デジタルカメラ301は、カメラ本体3と、交換レンズユニット202と、アダプタ120と、を備えている。
(1)カメラ本体
カメラ本体3のボディーマイコン10は、補正判定部10bをさらに有している。補正判定部10bは、カメラ本体3のフランジバックXa、装着された交換レンズユニットのレンズバックおよびアダプタ長さに基づいて、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定する。具体的には、補正判定部10bは、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合しているか否かを判定することができる。ここで、レンズ動作情報とは、交換レンズユニットの動作に関する情報であり、より詳細には、フォーカスレンズの動作に関する情報である。レンズ動作情報としては、例えば、フォーカスレンズの位置に関する情報、フォーカスレンズの可動範囲に関する情報が考えられる。
【0056】
補正判定部10bは、さらに、カメラ本体3のフランジバックXa、装着される交換レンズユニットのレンズバックおよびアダプタ長さから、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定するための判定値Vを算出する。判定値Vについては後述する。
また、ボディーマイコン10のメモリ10aには、カメラ本体3に関する情報(本体情報)が格納されている。例えば、本体情報には、カメラID、フランジバックXaが格納されている。メモリ10aに格納されたフランジバックXaを用いて、補正判定部10bは補正要否の判定や判定値Vの算出を行う。
(2)アダプタ
アダプタ120は、第1マウント121(第1マウント部の一例)と、第2マウント122(第2マウント部の一例)と、アダプタマイコン123(記憶部の一例)と、を有している。第1マウント121はカメラ本体3のボディーマウント4に装着される部分である。第1マウント121とカメラ本体3のボディーマウント4とはともに第1の規格に準拠している。第2マウント122は交換レンズユニット202のレンズマウント295に装着される部分である。第2マウント122と交換レンズユニット202のレンズマウント295とは第2の規格に準拠している。アダプタマイコン123は第1マウント121およびボディーマウント4を介してボディーマイコン10と電気的に接続されている。
【0057】
アダプタマイコン123は、アダプタ120に関する情報(アダプタ情報)を記憶している。アダプタ情報には、例えば、アダプタIDやアダプタ長さXs(アダプタ長さに関する情報の一例)が含まれている。アダプタ長さXsは、アダプタ120のZ軸方向の長さであり、より詳細には図18に示すように、第1マウント121の第1マウント面121a(第1の規格の基準面)から第2マウント122の第2マウント面122a(第2の規格の基準面)までの光軸AZに沿った方向の長さである。
(3)交換レンズユニット
交換レンズユニット202は、前述の交換レンズユニット2の規格とは異なる第2の規格に準拠しており、交換レンズユニット2とは異なる長さのレンズバックXbを有している。ここでは、交換レンズユニット202の基本構成は、前述の交換レンズユニット2の基本構成とほぼ同じとするが、フォーカスレンズユニット275の可動範囲に余裕範囲Hが確保されていない点が異なる。つまり、交換レンズユニット202は、コントラストAFに対応していない。
【0058】
図19に示すように、交換レンズユニット202は、第2レンズ群ユニット277(第2レンズ群ユニット77に対応)と、フォーカスレンズユニット275(フォーカスレンズユニット75に対応)と、レンズマウント295(レンズマウント95に対応)と、レンズマイコン240(レンズマイコン40に対応)と、を有している。フォーカスレンズユニット275は、フォーカスレンズ群として機能する第3レンズ群G3と、第3レンズ群G3を支持する第3レンズ群支持枠256と、を有している。フォーカスレンズユニット275は、フォーカスモータ64により第2レンズ群ユニット277に対してZ軸方向に駆動される。フォーカスレンズユニット275を案内するガイドポール63aは、第2レンズ群ユニット277のガイドポール支持板265に支持されている。ガイドポール支持板265はフォーカスレンズユニット275のZ軸方向負側(撮像センサ11側)に配置されている。フォーカスレンズユニット275のZ軸方向負側の可動範囲は、ガイドポール支持板265により決まっている。
【0059】
レンズマウント295は第2マウント122に装着される部分である。交換レンズユニット202がカメラ本体3とは異なる規格に準拠しているため、レンズマウント295はボディーマウント4に装着できないおそれがあるが、アダプタ120を用いることで交換レンズユニット202とカメラ本体3とを接続することができる。レンズマウント295、第2マウント122、第1マウント121およびボディーマウント4を介して、レンズマイコン240はボディーマイコン10と電気的に接続されている。
レンズマイコン240のメモリ240aには、交換レンズユニット202に関するレンズ情報が格納されている。レンズ情報には、レンズID、レンズバックXb、対応しているAF方式などの情報が含まれている。また、レンズ情報には、フォーカスレンズユニット275の移動量に対する後側焦点位置の移動量の比である補正係数Kが含まれている。補正係数Kを式で表すと、以下の式(3)のようになる。
【0060】
【数3】
K=X/Y ・・・(3)
K:補正係数
X:後側焦点位置の移動量(撮像センサ11基準)
Y:フォーカスレンズユニット275の移動量(第2レンズ群ユニット277基準)
例えば、補正係数Kを用いることで、後側焦点位置の移動量Xからフォーカスレンズユニット275の移動量Yを算出することができる。つまり、撮像センサ11に対して交換レンズユニットの後側焦点位置を移動させたい場合に、フォーカスレンズユニット275を撮像センサ11に対してどれくらい移動させればよいかを補正係数Kから求めることができる。なお、本実施形態ではK=1とする。
【0061】
<フォーカスレンズユニットの位置情報の補正>
前述のように、アダプタ120の長さを式(2)のように短くすることで、余裕範囲Hが確保されていない交換レンズユニットを活用することができる。
しかし、アダプタ120の長さを基準長さXs0よりも短くすることで、交換レンズユニット202の後側焦点位置がZ軸方向負側にずれてしまう。後側焦点位置のずれを補正するためには、フォーカスレンズユニット275をZ軸方向正側に移動させる必要がある。そのため、交換レンズユニット202内でのフォーカスレンズユニット275の位置と被写体距離との関係を、前述の補正係数Kを用いて補正する必要がある。
そこで、図20に示すように、交換レンズユニット202では、被写体距離が0.3m、1m、2mおよび無限遠(∞)における第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置を、それぞれ補正量Ycだけ被写体側にずらすように、フォーカスレンズユニット275の位置情報に対して電気的に補正が行われる。この補正処理は、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正位置情報に変換する処理と言うこともできる。補正量Ycは、後側焦点位置をZ軸方向正側に距離Xcだけ移動させるために必要なフォーカスレンズユニット275の移動量であり、レンズマイコン240によって以下の式(4)で算出される。補正量Ycの算出に際して、例えば、レンズマイコン240は距離Xcをボディーマイコン10から取得する。算出された補正量Ycは、例えばメモリ240aに記憶される。なお、補正量Ycの算出はボディーマイコン10により行われてもよい。
【0062】
【数4】
Yc=Xc/K ・・・(4)
例えば、マニュアルフォーカス撮影モードの場合、フォーカスリング89の操作角度に応じてフォーカスレンズユニット275が駆動される。具体的には、レンズマイコン240は、フォーカスリング角度検出部90により検出されたフォーカスリング89の回転角度から、フォーカスレンズユニット275の目標位置を算出する。この目標位置は、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の目標位置を意味している。レンズマイコン240は、フォーカスレンズユニット275の目標位置に応じた制御信号をフォーカス駆動制御部41に送信し、フォーカス駆動制御部41は、この制御信号に応じた駆動信号をフォーカスモータ64に送信する。このとき、フォーカスレンズユニット275の目標位置が補正量YcだけZ軸方向正側(被写体側)にずれるように、フォーカスレンズユニット75の目標位置に対してレンズマイコン240の補正部240cが補正処理を行う。補正処理の詳細については後述する。これにより、アダプタ長さXsが基準長さXs0よりも短い場合であっても、フォーカスレンズユニット75が光学的に正しい位置に配置されるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正することができる。
【0063】
また、電子トラッキングの場合には、トラッキングテーブル100に基づいてレンズマイコン240がズームリング84の回転位置および第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置から被写体距離を求める際に、フォーカスレンズユニット275の現在位置が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正される。
また、トラッキングテーブル100に基づいてレンズマイコン240がズームリング84の回転位置からフォーカスレンズユニット275の目標位置を算出する際に、図14に示すトラッキングテーブル100から求めたフォーカスレンズユニット275の目標位置が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正される。この補正処理をトラッキングテーブルで表すと、図21に示すように、トラッキングテーブル100が被写体側(図21の上側)にシフトしてトラッキングテーブル200のようになる。
【0064】
このように、交換レンズユニット202が電子トラッキング機能を有している場合、電子トラッキングの精度が低下するのを防止できる。また、マニュアルフォーカス撮影モードにおいて、フォーカスリング89の指示値と実際のフォーカス状態とがずれるのを防止できる。
また、フォーカスレンズユニット275の位置情報から被写体距離を算出する際、焦点距離に対応するフォーカスレンズユニット275の位置が補正量YcだけZ軸方向正側(被写体側)にずれるように、補正部240cによりフォーカスレンズユニット275の位置情報が補正される。この場合、例えば、フォーカスレンズユニット275の位置情報と補正したトラッキングテーブル200とに基づいて被写体距離を算出する。
<フォーカスレンズユニットの可動範囲の補正>
(1)コントラストAFに対応していない交換レンズユニットの場合
さらに、アダプタ120を用いると、フォーカスレンズユニット275の移動範囲を制限する必要がある場合がある。ここでは、交換レンズユニットがコントラストAFに対応していない場合について説明する。
【0065】
マニュアルフォーカス撮影モードの場合、ユーザーがフォーカスリング89を操作すると、フォーカスリング89の回転角度に応じた距離だけフォーカスレンズユニット275がフォーカスモータ64により駆動される。このとき、移動範囲を制限していなければ、フォーカスレンズユニット275が光学設計により定められた範囲以外の範囲を移動するおそれがある。
例えば、コントラストAFに対応していない交換レンズユニットの場合、図22に示すように、移動範囲M1はリミット位置SL11およびSL12により決定される。このリミット位置SL11およびSL12は、フォーカスレンズユニット275の移動が電気的に制限される位置である。具体的には、交換レンズユニット202と同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で交換レンズユニット202を使用した場合、リミット位置SL12は、無限遠に合焦するときのフォーカスレンズユニット275の位置であり、リミット位置SL12は、最至近に合焦するときのフォーカスレンズユニット275の位置である。すなわち、このリミット位置SL11およびSL12は、交換レンズユニット202と同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で使用した場合のフォーカスレンズユニット275の合焦範囲の両端位置である。このように、従来の交換レンズユニットでは、電気的なリミット位置が焦点調節時に使用される合焦範囲の両端位置である場合が多い。
【0066】
さらに、移動範囲M1の外側には、フォーカスレンズユニット275の移動が機械的に制限されるリミット位置ML1およびML2が存在する。例えば、交換レンズユニット202では、フォーカスレンズユニット275がガイドポール支持板265と当接する位置がリミット位置ML1に相当する。フォーカスレンズユニット275がリミット位置ML1およびML2を決定している部材に接触して不具合を起こさないように、電気的なリミット位置SL11およびSL12はリミット位置ML1およびML2の内側に配置されている。
このような移動範囲M1を有する交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合、距離Xcだけ各リミット位置が撮像センサ11に対してカメラ本体3側(図22の右側)にずれる。この結果、無限遠側においては、リミット位置SL11が無限遠で焦点が合う位置(∞)の外側(撮像センサ11側)に配置されることになり、光学設計により定められた範囲以外の範囲M19をフォーカスレンズユニット275が移動可能となる。したがって、電気的なリミット位置SL11でフォーカスレンズユニット275が停止するまでフォーカスリング89を動かせば無限遠に合焦するものとユーザーが誤解し、フォーカスレンズユニット275がこの範囲M19に配置された状態で撮影が行われる可能性がある。範囲19は光学設計で想定されていない範囲であるため、この範囲M19を用いると光学特性が低下する可能性がある。
【0067】
そこで、図22および図23に示すように、マニュアルフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cが移動範囲M1を移動範囲M11に補正する。具体的には、図23の「MF」に示すように、補正部240cがリミット位置SL11をリミット位置SL13に補正する。交換レンズユニット202内におけるリミット位置SL13をリミット位置SL11よりもYcだけZ軸方向正側にずらす。この場合、図22に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL12を補正しない。
このようにフォーカスレンズユニット275の移動範囲(リミット位置)を補正することで、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、ユーザーがフォーカスリング89を大きく操作しても、フォーカスレンズユニット275は電気的なリミット位置SL13で停止され、フォーカスレンズユニット275の移動範囲が光学設計により定められた範囲(ここでは、移動範囲M1)に収まる。
【0068】
また、オートフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cがリミット位置SL11を新たにリミット位置SL23に設定する。具体的には、図23の「AF1」および「AF2」に示すように、レンズマイコン240の補正部240cによりリミット位置SL11が新たにリミット位置SL23に設定される。このようにして、フォーカスレンズの無限遠位置からリミット位置SL23までの範囲が余裕範囲Hとして確保される。なお、リミット位置SL11をそのままリミット位置SL23として使用してもよい。
例えば無限遠で合焦させる場合は、「AF1」で示すように、フォーカスレンズユニット75がZ軸方向負側(図23の右側)に駆動され、合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。この結果、AF評価値の極大値を検出することができる。その後、AF評価値が極大値となる位置までフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図23の左側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。
【0069】
また、リードスクリュ64aとラック66とのバックラッシュが大きい場合に、「AF2」で示すように、フォーカスレンズユニット275の反転動作を2回繰り返す。具体的には、フォーカスレンズユニット275が合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。その後、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図23の左側)に駆動され、再度フォーカスレンズユニット275が合焦位置を通過する。その後、フォーカスレンズユニット275がZ軸方向負側に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。これにより、「AF1」で示す動作に比べて、バックラッシュの影響を低減でき、フォーカスレンズユニット275をより正確に合焦位置で停止させることができる。
なお、補正部240cが当初からレンズマイコン240に備えられてない場合は、例えばファームアップにより、このような機能をレンズマイコン240に追加することができる。また、ファームアップ可能な交換レンズユニットが装着された場合には、カメラ本体3の表示部20にファームアップを促す画像やメッセージを表示するようにしてもよい。
【0070】
このように、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1に対してレンズマイコン240により補正処理が施されるため、光学設計で定められていない範囲以外の範囲M19にフォーカスレンズユニット275が停止し撮影が行われることがない。また、コントラストAF用の余裕範囲Hを有していない場合でも、無限遠側に補正量Ycに相当する余裕範囲H1を確保することができ、交換レンズユニットをコントラストAFに対応させることができる。
(2)コントラストAFに対応している交換レンズユニットの場合
第2の規格に準拠した交換レンズユニットがコントラストAFに対応している場合も、移動範囲の補正が補正部240cにより行われる。
具体的には図24および図25に示すように、この場合の移動範囲M2は、リミット位置SL21およびSL22により決まっている。このリミット位置SL21およびSL22は、フォーカスレンズユニット275の移動が電気的に制限される位置である。この移動範囲M2の外側には、フォーカスレンズユニット275の移動が機械的に制限されるリミット位置ML1およびML2が存在する。
【0071】
さらに、コントラストAFに対応するために、移動範囲M2の両端には余裕範囲Hが設けられている。余裕範囲Hはリミット位置SL11およびSL12により決まっている。リミット位置SL11およびSL12は、移動範囲M2の内側に位置している。リミット位置SL11は無限遠に対応する位置に配置されており、リミット位置SL12は至近(0.3m)に対応する位置に配置されている。このリミット位置SL11およびSL12は、交換レンズユニットと同じ第2の規格に準拠したカメラ本体203で使用した場合のフォーカスレンズユニット275の合焦範囲の両端位置である。また、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、フォーカスリング89の操作によってフォーカスレンズユニット275が移動可能な範囲はリミット位置SL11およびSL12で電気的に制限される。
【0072】
このような移動範囲M2を有する交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合、距離Xcだけ各リミット位置がカメラ本体3側(図24の右側)にずれる。一方、前述の補正処理により、無限遠で焦点が合う位置(∞)は交換レンズユニット内においてZ軸方向正側(図24の左側)に補正量Ycだけずれる。この結果、無限遠側においては、リミット位置SL11が無限遠で焦点が合う位置(∞)の外側(撮像センサ11側)に配置されることになり、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、光学設計により定められた範囲以外の範囲M29をフォーカスレンズユニット275が移動可能となる。したがって、電気的なリミット位置SL11でフォーカスレンズユニット275が停止するまでフォーカスリング89を動かせば無限遠に合焦するものとユーザーが誤解し、フォーカスレンズユニット275がこの範囲M29に配置された状態で撮影が行われる可能性がある。範囲29は光学設計で想定されていない範囲であるため、この範囲M29を用いると光学特性が低下する可能性がある。
【0073】
そこで、図24および図25に示すように、マニュアルフォーカス撮影モードの場合には、補正部240cが移動範囲M2を移動範囲M21に補正する。具体的には、図25の「MF」に示すように、補正部240cがリミット位置SL11を補正量YcだけZ軸方向正側にずらしたリミット位置SL13に補正する。この場合、図24に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL12を補正しない。
このようにフォーカスレンズユニット275の移動範囲(リミット位置)を補正することで、マニュアルフォーカス撮影モードの場合に、ユーザーがフォーカスリング89を大きく操作しても、フォーカスレンズユニット275は電気的なリミット位置SL13で停止される。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲を光学設計により定められた範囲に収めることができる。
【0074】
また、リミット位置SL21が補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cがリミット位置SL21を補正する。具体的には、図25の「AF1」および「AF2」に示すように、レンズマイコン240の補正部240cによりリミット位置SL21がリミット位置SL23に補正される。この場合、図24に示すように、補正部240cは至近側のリミット位置SL22を補正しない。このようにして、焦点を合わせることができる合焦範囲の外側に補正量Ycに相当する余裕範囲H2が確保される。
例えば無限遠で合焦させる場合は、「AF1」で示すように、フォーカスレンズユニット75がZ軸方向負側(図24の右側)に駆動され、合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。この結果、AF評価値の極大値を検出することができる。その後、AF評価値が極大値となる位置までフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図24の左側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。
【0075】
また、リードスクリュ64aとラック66とのバックラッシュが大きい場合に、「AF2」で示すように、フォーカスレンズユニット275の反転動作を2回繰り返す。具体的には、フォーカスレンズユニット75が合焦位置(ここでは無限遠位置)を通過してから、リミット位置S23で停止する。その後、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275がZ軸方向正側(図25の左側)に駆動され、再度フォーカスレンズユニット75が合焦位置を通過する。その後、フォーカスレンズユニット275がZ軸方向負側(図25の右側)に駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦位置で停止する。これにより、「AF1」で示す動作に比べて、バックラッシュの影響を低減でき、フォーカスレンズユニット275をより正確に合焦位置で停止させることができる。
なお、補正部240cが当初からレンズマイコン240に備えられてない場合は、例えばファームアップにより、このような機能をレンズマイコン240に追加してもよい。
【0076】
このように、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M2に対してレンズマイコン240により補正処理が施されるため、光学設計で定められた範囲以外の範囲M29をフォーカスレンズユニット275が移動することがない。また、コントラストAF用の余裕範囲H2を適切な距離に保つことができ、コントラストAFの速度の低減を防止できる。
<デジタルカメラの動作>
デジタルカメラ301の動作について説明する。
(1)撮影モード
このデジタルカメラ301は、2つの撮影モードを有している。具体的には、デジタルカメラ301は、ユーザーがファインダ接眼窓9で被写体を観察するファインダ撮影モードと、ユーザーが表示部20で被写体を観察するモニタ撮影モードと、を有している。
【0077】
ファインダ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21が液晶ファインダ8を駆動する。この結果、液晶ファインダ8には、撮像センサ11により取得された被写体の画像(いわゆるスルー画像)が表示される。
モニタ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21により表示部20が駆動され、表示部20に被写体の実時間画像が表示される。この2つの撮影モードの切り換えは、撮影モード切り換えボタン34にて行うことができる。
(2)レンズ装着時の補正動作
カメラ本体3は、装着されるアダプタおよび交換レンズユニットに応じて、レンズ動作情報に対して補正を行う必要があるか否か判定する。そこで、交換レンズユニットが装着された際に、補正要否判定および補正処理が行われる。
【0078】
具体的には図26に示すように、交換レンズユニットが装着されているか否かがボディーマイコン10により確認される(S1)。具体的には、交換レンズユニットを検知するための接点がボディーマウント4に設けられており、この接点を利用してボディーマイコン10は交換レンズユニットの装着の有無を検知する。交換レンズユニットが装着されていない場合、交換レンズユニットの装着の監視が継続される。ここでは、交換レンズユニット202が装着されたと仮定する。
一方、交換レンズユニットの装着が検知された場合、アダプタが装着されているか否かがボディーマイコン10により確認される(S2)。アダプタ120を検出するための接点がボディーマウント4に設けられており、この接点を利用してボディーマイコン10はアダプタ120の装着の有無を検知することができる。ここでは、アダプタ120が装着されたと仮定する。アダプタが装着されていない場合、ボディーマイコン10により交換レンズユニット202のレンズマイコン240からレンズ情報が取得される(S3)。このレンズ情報は、例えば、レンズID、レンズバックXb、対応しているAF方式などの情報を含んでいる。
【0079】
ステップS3の後、図27に示すように、このレンズ情報に基づいて、ボディーマイコン10により交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応しているか否かが判定される(S13)。装着された交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応している場合、補正判定処理は終了する。一方、交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応していない場合、その旨を示す警告が表示部20に表示され(S14)、フォーカス撮影モードの操作が制限される(S15)。具体的には、フォーカス撮影モード切り換えボタン(図示せず)で選択されたモードに関わらず、ボディーマイコン10によりフォーカス撮影モードがマニュアルフォーカスモードに固定される。その後、補正判定処理が終了する。
アダプタ120がカメラ本体3に装着されており、かつ、交換レンズユニット202がアダプタ120に装着されている場合、ボディーマイコン10によりアダプタ120のアダプタマイコン123からアダプタ情報が取得される(S4)。このアダプタ情報は、例えば、アダプタID、アダプタ長さXsなどの情報を含んでいる。次に、ステップS3と同様に、ボディーマイコン10により交換レンズユニット202のレンズマイコン240からレンズ情報が取得される(S5)。このレンズ情報には、レンズバックXb、交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応していない旨を示す情報が含まれている。
【0080】
レンズ情報の取得後、ボディーマイコン10の補正判定部10bにより以下の式(5)に示す判定値Vが算出される(S6)。
【0081】
【数5】
V=Xb−Xa−Xs=Xs0−Xs ・・・(5)
判定値Vの算出後、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かが補正判定部10bにより判定される(S7)。具体的には、算出された判定値Vに基づいて、装着されたアダプタのアダプタ長さが基準長さXs0よりも短いか否かが判定される。例えば、判定値V=0である場合、アダプタ長さXsが基準長さXs0と等しいため、レンズ動作情報に対して補正処理は行われない。
一方、判定値V>0の場合は、アダプタ120のアダプタ長さXsが基準長さXs0よりも短いため、アダプタの長さが基準長さXs0と等しい場合に比べて、交換レンズユニット202がカメラ本体3の近くに配置される。この場合、前述のようにフォーカスレンズユニット275の位置情報に対して補正処理が行われる。具体的には図20に示すように、ボディーマイコン10の補正指令部10dからレンズマイコン240の補正部240cへ位置補正指令が判定値Vとともに送信される。この位置補正指令および判定値Vに基づいて、動作時におけるフォーカスレンズユニット275の目標位置が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240により位置情報に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、目標位置がZ軸方向正側(被写体側)にずれるように位置情報が補正される。判定値V<0である場合、目標位置がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるように位置情報が補正される。本実施形態では、交換レンズユニット202が装着されているため、判定値V>0となり、図20に示すような位置情報の補正が補正部240cにより行われる。
【0082】
位置情報の補正後、マニュアルフォーカス撮影モードにおけるフォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理が行われる(S10)。具体的には、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へリミット補正指令が判定値Vとともに送信される。このリミット補正指令および判定値Vにより、リミット位置SL11が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240によりリミット位置SL11に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、リミット位置SL11がZ軸方向正側(被写体側)にずれるようにリミット位置SL11が補正される。判定値V<0である場合、リミット位置SL11がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるようにリミット位置Sl11が補正される。本実施形態では、図22または図24に示すように、リミット位置SL11がリミット位置SL13に補正される。また、図22または図24に示すように、補正前のリミット位置SL11に新たにリミット位置SL23が設定される。
【0083】
移動範囲の補正後、図27に示すように、レンズ情報に基づいてボディーマイコン10により交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応しているか否かが判定される(S11)。交換レンズユニット202がコントラスト検出方式に対応している場合、例えば図24に示すように、オートフォーカス撮影モードにおけるフォーカスレンズユニット275の移動範囲M2に対して補正処理が行われる(S12)。例えば、交換レンズユニット202がファームアップによりコントラスト検出方式に対応可能になった場合、交換レンズユニット202においても移動範囲M2が補正される。具体的には、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へリミット補正指令が判定値Vとともに送信される。このリミット補正指令および判定値Vにより、リミット位置SL21が補正される。より詳細には、リミット位置SL21が判定値VだけZ軸方向にずれるように、レンズマイコン240によりリミット位置SL21に対して補正処理が行われる。判定値V>0である場合、リミット位置SL21がZ軸方向正側(被写体側)にずれるようにリミット位置SL21が補正される。判定値V<0である場合、リミット位置SL21がZ軸方向負側(撮像センサ11側)にずれるようにリミット位置SL21が補正される。本実施形態では、図24に示すように、補正部240cによりリミット位置SL21がリミット位置SL23に補正される。補正後、補正判定処理が終了する。
【0084】
一方、交換レンズユニットがコントラスト検出方式に対応していない場合、前述のように表示部20に警告が表示され(S14)、フォーカス撮影モードの操作が制限される(S15)。その後、補正判定処理が終了する。
このように、このカメラ本体3では、レンズ情報およびアダプタ情報に基づいて、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かが判定され、必要に応じて、レンズ動作情報に対して補正処理が行われる。これにより、このカメラ本体3では、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
なお、交換レンズユニット202がアダプタ120から取り外された場合には、補正されたレンズ動作情報は補正前の状態に戻る。このとき、補正後のレンズ動作情報がレンズマイコン240の揮発性メモリに一時的に格納されるか、あるいは、リアルタイムでレンズ動作情報が補正されることが考えられる。
【0085】
(3)ズーム動作
次に、ユーザーがズーム操作を行う際の交換レンズユニット2の動作を説明する。
ユーザーによりズームリング84が回転操作されると、ズームリング84とともにカム筒51が回転する。カム筒51が光軸AZ周りに回転すると、第1ホルダー52は、カム筒51の第1カム溝51dに案内され、Z軸方向に直進する。また、第2ホルダー55および第4レンズ群支持枠61も、カム筒51の第2カム溝51bおよび第3カム溝51cに案内され、Z軸方向に直進する。よって、ズームリング84を回転操作することにより、交換レンズユニット2の状態を、図5および図6に示す広角端の状態から図7および図8に示す望遠端の状態まで変化させることができる。これにより、ズームリング84の回転位置を調節することで、所望のズーム位置にて被写体を撮影することが可能となる。
【0086】
このとき、ズームリング84の回転操作により第2ホルダー55はZ軸方向に機械的に駆動されるが、フォーカスレンズユニット275のみは、被写体距離が実質的に一定に保たれるように、メモリ240aに予め記憶されたトラッキングテーブル100に基づき、フォーカス調節ユニット72により電気的に駆動制御される。例えば、トラッキングテーブル100に基づいてフォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275を駆動することで、広角端から望遠端に移動した場合や望遠端から広角端に移動した場合も、無限遠にて合焦した状態を維持する。ここでは、基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、前述のように、フォーカスレンズユニット275の位置情報が補正部240cにより補正されている。このため、フォーカスレンズユニット275の駆動は補正後の位置情報に基づいて行われる。実質的には、図21に示すトラッキングテーブル200に基づいて、電子トラッキングが行われる。
【0087】
例えば、ズームリング84が回転操作されると、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4が光軸AZに沿ってZ軸方向に移動する。これにより、被写体像の倍率が変化する。このとき、第3レンズ群G3も第3レンズ群支持枠56を介して第2ホルダー55に支持された状態で光軸AZに沿ってZ軸方向に移動する。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4の相対的な位置関係が変化すると、撮像センサ11上に結像する被写体像のフォーカス状態も変化する。つまり、撮像センサ11上に焦点を結んでいる被写体距離が変化する。
そこで、このデジタルカメラ301では、ズームリング84の回転位置に応じてフォーカスモータ64を駆動することで、焦点距離が変化しても被写体距離を実質的に一定に保つことができる。具体的には、フォーカスモータ64のみを用いて、第3レンズ群G3を含むフォーカスレンズユニット275を第2レンズ群ユニット277に対して移動させる。レンズマイコン240は、リニアポジションセンサ87の検出信号に基づいて現在のズームリング84の回転位置を取得する。それと同時に、レンズマイコン240は、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置を、カウンタ40bでのカウント値から算出する。これら2つの情報(現在のズームリング84の回転位置、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置)から、図14に示す複数のトラッキングテーブル100を利用して、レンズマイコン240は、現在の被写体距離を求める。このとき、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275の位置が、補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正される。被写体距離を求める際は、補正後のフォーカスレンズユニット275の位置情報が用いられる。レンズマイコン240は、求められた被写体距離に対応するトラッキングテーブル100を選択する。ここでは、無限遠に対応するトラッキングテーブル100が選択されたとする。
【0088】
次に、レンズマイコン240は、ズームリング84の回転位置を再度取得し、ズームリング84の回転位置の変化量からズームリング84の回転速度、すなわち焦点距離の変化速度を求める。
続いて、レンズマイコン240は、ズームリング84の現在の回転角度とズームリング84の回転速度とから、所定時間経過後のズームリング84の回転位置を予測し、選択されたトラッキングテーブル100に基づいて、予測したズームリング84の回転位置に対応するフォーカスレンズユニット275のZ軸方向の位置を目標位置として求める。求められた目標位置は、補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正される。所定時間経過後にフォーカスレンズユニット275がこの補正された目標位置に位置するように、レンズマイコン240はフォーカス駆動制御部41を介してフォーカスモータ64を駆動する。これにより、アダプタ120のアダプタ長さが基準長さXs0よりも短い場合であっても、フォーカスレンズユニット275が他のレンズ群の移動に追従するように駆動され、被写体距離が一定に保たれる。
【0089】
このように電子トラッキング動作においては、レンズマイコン240は、変倍動作に伴う焦点距離の変化を予測して、予測された焦点距離に対応するフォーカスレンズユニット275の目標位置をトラッキングテーブル100から取得する。このとき、基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、この目標位置が補正部240cにより補正される。光学系Lの変倍動作と並行して、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット275が補正後の目標位置へ駆動される。この動作を所定の時間間隔で実行するため、ズームリング84が回転操作されて光学系Lの焦点距離が変化しても、フォーカスレンズユニット275がトラッキングテーブル100に基づいて焦点距離に応じたZ軸方向位置に移動し、焦点距離の変化にフォーカスレンズユニット275の駆動を追従させることができる。これにより、焦点距離が変化に関わらず被写体距離を実質的に一定に保つことができる。なお、これらの制御は、レンズマイコン240ではなく、ボディーマイコン10が行ってもよい。
【0090】
同様に、例えば焦点が合う被写体距離が1mなどの近距離である場合、被写体距離が1mであるトラッキングテーブル100が選択され、広角端から望遠端に移動した場合あるいは望遠端から広角端に移動した場合も、フォーカスモータ64の駆動により、近距離にて合焦した状態を維持することができ、スムーズな変倍動作を行うことが可能となる。
とりわけ、フォーカスレンズユニット275およびフォーカスモータ64が第2レンズ群ユニット277と一体でZ軸方向に移動するようになっているため、ユーザーによりズームリング84が素早く操作された場合でも、フォーカスレンズユニット275を第2レンズ群ユニット277と一体で移動させることができる。したがって、変倍動作の前後で被写体距離を実質的に一定に保ちたい場合に、フォーカスモータ64は、撮像センサ11に対して第3レンズ群G3が移動すべき距離から撮像センサ11に対して第2レンズ群G2がカム機構により移動する距離を差し引いた距離だけ、第3レンズ群G3を移動させればよい。これにより、ユーザーによるズームリング84の高速操作への対応が容易となる。
【0091】
また、本実施形態においては、広角端から望遠端まで変倍動作が行われると、被写体距離が無限遠の状態では、フォーカスレンズユニット275(より詳細には、フォーカスレンズ群である第3レンズ群G3)を撮像センサ11に対して3mm程度、Z軸方向に移動させる必要がある。フォーカスモータ64を800ppsで駆動する場合、先述したようにフォーカスモータ64の1回転あたりのフォーカスレンズユニット275の移動量が0.6mmであるため、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズユニット275をZ軸方向に3mmだけ移動させるために0.25秒かかる。広角端から望遠端までフォーカスレンズユニット275を約0.25秒で移動させることが可能であるため、ユーザーがズームリング84を広角端から望遠端まで0.5秒で回したとしても、焦点距離の変化にフォーカスレンズユニット275の駆動を追従させることができる。これにより、例えばライブビューモード時にユーザーが表示部20で被写体を確認しながら素早い変倍動作を行っても、表示部20に映し出される被写体像のピンぼけが発生しにくくなり、使い勝手がよくなる。
【0092】
(4)フォーカス動作
次に、デジタルカメラ301のフォーカス動作について説明する。デジタルカメラ301は、オートフォーカス撮影モードおよびマニュアルフォーカス撮影モードの2つのフォーカスモードを有している。デジタルカメラ301の操作を行うユーザーは、カメラ本体3に設けられたフォーカス撮影モード設定ボタン(図示せず)により、フォーカスモードを選択することができる。
オートフォーカス撮影モード時においては、コントラスト検出方式を用いたオートフォーカス動作が行われる。コントラスト検出方式のオートフォーカス動作を行う際には、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240に対して、コントラストAF用データを要求する。コントラストAF用データは、コントラスト検出方式のオートフォーカス動作の際に必要なデータであり、例えば、フォーカス駆動速度、フォーカスシフト量、像倍率、対応しているAF方式などが含まれる。これらの情報は、前述のレンズ情報として、メモリ240aに格納されている。
【0093】
ボディーマイコン10は、シャッターボタン30が半押しされるかどうかを監視する。シャッターボタン30が半押しされた場合、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240に対して、オートフォーカス開始命令を発信する。オートフォーカス開始命令は、コントラスト検出方式によるオートフォーカス動作を開始する旨を示している。この命令を受けて、レンズマイコン240は、フォーカス用のアクチュエータであるフォーカスモータ64を駆動制御する。より詳細には、レンズマイコン240はフォーカス駆動制御部41へ制御信号を送信する。この制御信号に基づいて、フォーカス駆動制御部41によりフォーカスモータ64が駆動され、フォーカスレンズユニット275が微動する。
ボディーマイコン10は、受信した画像データに基づいて、オートフォーカス動作用の評価値(以下、AF評価値という)を算出する。具体的には、ボディーマイコン10は、デジタル信号処理部15へ命令を送信する。デジタル信号処理部15は、受信した命令に基づいて所定のタイミングで画像信号をボディーマイコン10へ送信する。ボディーマイコン10は、撮像センサ11で生成された画像データから輝度信号を求め、輝度信号の画面内における高周波成分を積算して、AF評価値を求める。算出されたAF評価値は、露光同期信号と関連付けた状態でDRAM(図示せず)に保存される。ボディーマイコン10がレンズマイコン240から取得したレンズ位置情報も露光同期信号と関連付けられているため、ボディーマイコン10は、AF評価値をレンズ位置情報と関連付けて保存することができる。基準長さXs0よりも短いアダプタ長さXsを有するアダプタ120が使用されているため、レンズマイコン240からボディーマイコン10が取得したレンズ位置情報は、例えば補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように補正部240cにより補正されている。このようなフォーカスレンズユニット275の位置情報に対する補正処理は、ボディーマイコン10により行われてもよい。
【0094】
次に、ボディーマイコン10は、DRAMに保存されたAF評価値に基づいて、AF評価値が極大値となるフォーカスレンズユニット275の位置を合焦点として抽出する。合焦点を抽出する際のフォーカスレンズユニット275の駆動方式としては、一般的には山登り方式が知られている。山登り方式では、AF評価値が増大する方向へフォーカスレンズユニット275を移動させ、フォーカスレンズユニット275の位置ごとのAF評価値を求める。この動作を、AF評価値の極大値が検出されるまで、すなわち、AF評価値が増大して一旦ピークに達してから減少し始めるまで続ける。
ボディーマイコン10は、抽出した合焦点に対応する位置までフォーカスレンズユニット275が駆動されるように、レンズマイコン240を介して制御信号をフォーカス駆動制御部41へ送信する。フォーカス駆動制御部41は、例えばボディーマイコン10(または、レンズマイコン240)からの制御信号に基づいて、フォーカスモータ64を駆動するための駆動パルスを生成する。この駆動信号に応じた駆動量だけフォーカスモータ64が駆動され、フォーカスレンズユニット275が合焦点に対応する位置までZ軸方向に移動する。
【0095】
以上のようにして、デジタルカメラ301のオートフォーカス撮影モードによるフォーカシングが行われる。以上の動作は、ユーザーのシャッターボタン30の半押し操作後、瞬時に実行される。
なお、コントラスト検出方式によるフォーカシングは、撮像センサ11で実時間の画像データを生成できるモニタ撮影モード(いわゆる、ライブビューモード)で動作し得る。なぜなら、ライブビューモードでは、定常的に、撮像センサ11で画像データを生成しており、その画像データを用いたコントラスト検出方式のオートフォーカス動作をするのが容易だからである。
ライブビューモードでは、被写体の実時間画像が表示部20に表示されるので、ユーザーは、表示部20を見ながら静止画あるいは動画を撮るための構図を決めることができる。また、表示部20を用いてライブビューモードの他に、ユーザーが選択できる撮影モードとしては、交換レンズユニット2からの被写体像を液晶ファインダ8(ファインダ部38)に導く第2のライブビューモード(ファインダ撮影モード)もある。
【0096】
次に、マニュアルフォーカス撮影モードについて説明する。
ユーザーによりフォーカスリング89が回転操作されると、フォーカスリング角度検出部90は、フォーカスリング89の回転角度を検出し、その回転角度に応じた信号を出力する。フォーカス駆動制御部41は、レンズマイコン240を介してフォーカスリング角度検出部90から回転角度信号を受信可能であり、この回転角度信号に基づいてフォーカスモータ64の駆動信号を生成する。このとき、例えば補正部240cによりフォーカスレンズユニット275の目標位置が補正される。具体的には、補正部240cにより補正量YcだけZ軸方向正側にずれるように目標位置が補正される。補正後の目標位置に対応する駆動信号がフォーカス駆動制御部41により生成される。この駆動信号に応じてフォーカスモータ64のリードスクリュ64aが回転する。フォーカスモータ64のリードスクリュ64aが回転すると、リードスクリュ64aと噛み合うラック66を介してフォーカスレンズユニット275がZ軸方向に移動する。図5および図6に示す広角端の状態では、被写体距離は無限遠であるが、被写体距離が近くなるにしたがって、フォーカスレンズユニット275は、Z軸方向正側へ移動する。同様に、図7および図8に示す望遠端の状態では、被写体距離は無限遠であるが、被写体距離が短くなるにしたがって、フォーカスレンズユニット275は、Z軸方向正側に移動する。広角端の場合に比べ、この場合のフォーカスレンズユニット275の移動量は多くなる。
【0097】
以上のようにして、ユーザーは、表示部20において被写体を確認しながらフォーカスリング89を回転してフォーカシングを行うことができる。マニュアルフォーカス撮影モードにおいて、ユーザーがシャッターボタン30を全押しすると、その状態のまま撮影が行われる。
(5)静止画撮影
ユーザーによりシャッターボタン30が全押しされると、撮像センサ11の測光出力に基づいて計算された絞り値に光学系Lの絞り値が設定されるように、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へ命令が送信される。そして、レンズマイコン240により絞り駆動制御部42が制御され、指示された絞り値まで絞りユニット62を絞り込む。絞り値の指示と同時に、撮像センサ駆動制御部12から撮像センサ11へ駆動命令が送信され、シャッターユニット33の駆動命令が送信される。撮像センサ11の測光出力に基づいて計算されたシャッタースピードの時間だけ、シャッターユニット33により撮像センサ11が露光される。
【0098】
ボディーマイコン10は、撮影処理を実行し、撮影が終了すると、画像記録制御部19に制御信号を送信する。画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号を内部メモリおよび/またはリムーバブルメモリに記録する。画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号とともに撮影モードの情報(オートフォーカス撮影モードかマニュアルフォーカス撮影モードか)を、内部メモリおよび/またはリムーバブルメモリに記録する。
さらに、露光完了後、撮像センサ駆動制御部12は、撮像センサ11から画像データを読み出し、所定の画像処理後、ボディーマイコン10を介して画像表示制御部21へ画像データが出力される。これにより、表示部20へ撮影画像が表示される。
また、露光終了後、ボディーマイコン10により、シャッターユニット33が初期位置にリセットされる。また、ボディーマイコン10からレンズマイコン240へ絞りユニット62を開放位置にリセットするよう絞り駆動制御部42に命令が下され、レンズマイコン240から各ユニットへリセット命令が下される。リセット完了後、レンズマイコン240は、ボディーマイコン10にリセット完了を伝える。ボディーマイコン10は、レンズマイコン240からリセット完了情報を受信した後であって、かつ、露光後の一連の処理が完了した後に、シャッターボタン30が押されていないことを確認し、撮影シーケンスを終了する。
【0099】
(6)動画撮影
デジタルカメラ301は、動画を撮影する機能も有している。動画撮影モードでは、一定の周期で撮像センサ11により画像データが生成され、生成される画像データを利用してコントラスト検出方式によるオートフォーカスが継続的に行われる。動画撮影モードにおいて、シャッターボタン30が押される、あるいは動画撮影操作ボタン24が押されると、画像記録部18に動画が記録され、シャッターボタン30、あるいは動画撮影操作ボタン24が再度押されると、画像記録部18での動画の記録が停止する。
<カメラ本体の特徴>
以上に説明したカメラ本体3の特徴は以下の通りである。
(1)
このカメラ本体3では、フランジバックXaが交換レンズユニット202のレンズバックXbよりも短いため、交換レンズユニット202と同じ規格に準拠しているカメラ本体に比べて、小型化を図ることができる。
【0100】
さらに、フランジバックXaがレンズバックXbからアダプタ長さXsを差し引いた長さよりも短い。言い換えると、アダプタ長さXsが、レンズバックXbからフランジバックXaを差し引いた基準長さXs0よりも短い。このため、交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合に、交換レンズユニット202の位置がカメラ本体3に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1のカメラ本体3側(本実施形態では、無限遠側)に余裕範囲Hを確保することができる。つまり、余裕範囲Hを有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
以上より、このカメラ本体3では、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
【0101】
(2)
このカメラ本体3では、ボディーマイコン10の補正判定部10bにより、フランジバックXa、レンズバックXbおよびアダプタ長さXsに基づいて、フォーカスレンズの動作に関するレンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定できる。このため、例えば、他の規格に準拠した交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合でも、互換性を確保することができる。
ここで、レンズ動作情報としては、前述のように、例えば、第2レンズ群ユニット277に対するフォーカスレンズユニット275のZ軸方向(光軸AZ方向)の位置情報、撮像センサ11に対するフォーカスレンズユニット75の位置情報、および、フォーカスレンズユニット275のZ軸方向の可動範囲(より詳細には、リミット位置)が考えられる。
【0102】
(3)
このカメラ本体3では、フランジバックXa、レンズバックXbおよびアダプタ長さXsから補正判定部10bが判定値Vを算出するため、レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定しやすくなる。
(4)
このカメラ本体3では、補正判定部10bの判定結果に基づいて、ボディーマイコン10の補正指令部10dがレンズマイコン240の補正部240cに位置補正指令を送信する。この位置補正指令に基づいて補正部240cがフォーカスレンズユニット275の位置情報に対して補正処理を行うため、撮像センサ11に対するフォーカスレンズユニット275の光軸方向の位置が光学設計上の位置からずれないように、フォーカスレンズユニット275の位置情報を補正することができる。これにより、このカメラ本体3では、規格が異なる交換レンズユニットを活用することが可能となり、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
【0103】
また、位置補正指令とともに判定値Vがボディーマイコン10からレンズマイコン240に送信されるため、レンズマイコン240が補正量を容易に認識することができる。
(5)
また、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理を行うように、補正判定部10bの判定結果に基づいて、補正指令部10dがレンズマイコン240の補正部240cにリミット補正指令を送信する。このリミット補正指令に基づいて、補正部240cはフォーカスレンズユニット275の移動範囲M1あるいは移動範囲M2に対して補正処理を行う。これにより、フォーカスレンズユニット275が光学設計により定められた範囲以外の範囲(M19あるいはM29)を移動することがない。また、コントラストAF用の余裕範囲H1あるいはH2を適切な距離に保つことができ、コントラストAFの速度の低減を防止できる。
【0104】
また、リミット補正指令とともに判定値Vがボディーマイコン10からレンズマイコン240に送信されるため、レンズマイコン240が補正量を容易に認識することができる。
<アダプタの特徴>
アダプタ120の特徴は以下の通りである。
(1)
このアダプタ120では、アダプタ長さXsがレンズバックXbからフランジバックXaを差し引いた基準長さXs0よりも短い。このため、交換レンズユニット202がアダプタ120を介してカメラ本体3に装着された場合に、交換レンズユニット202の位置がカメラ本体3に対して光軸方向に近づくようにずれる。これにより、フォーカスレンズユニット275の移動範囲M1のカメラ本体3側(本実施形態では、無限遠側)に余裕範囲Hを確保することができる。つまり、余裕範囲Hを有していない交換レンズユニットであっても、コントラスト検出方式に対応させることができる。
【0105】
以上より、このアダプタ120では、カメラ本体の小型化を図りつつ、カメラ本体と交換レンズユニットとの互換性を確保することができる。
(2)
このアダプタ120では、アダプタ長さXsがアダプタマイコン123に予め記憶されているため、レンズ動作情報に対する補正処理の要否を判定する際にアダプタ長さXsを利用することができ、補正処理の要否を正確に判定することができる。
また、アダプタ長さXsがアダプタマイコン123に予め記憶されているため、判定値Vを容易に算出することができ、補正量を容易に把握することができる。
[他の実施形態]
本発明の実施形態は、前述の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正および変更が可能である。また、前述の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0106】
(1)
前述の実施形態では、デジタルカメラは静止画および動画の撮影が可能であるが、静止画撮影のみ、あるいは、動画撮影のみ可能であってもよい。
(2)
前述のデジタルカメラ1はクイックリターンミラーを有していないが、従来の一眼レフカメラのようにクイックリターンミラーが搭載されていてもよい。
また、カメラ本体3はコントラスト検出方式にのみ対応しているが、コントラスト検出方式に加えて位相差検出方式に対応していてもよい。
(3)
光学系Lの構成は前述の実施形態に限定されない。例えば、第3レンズ群G3が複数のレンズから構成されていてもよいし、第2レンズ群G2が単一のレンズから構成されていてもよい。
【0107】
(4)
前述の実施形態では、シャッターユニット33を動作させることにより撮像センサ11への露光時間を制御しているが、電子シャッターにより撮像センサ11の露光時間を制御してもよい。
(5)
前述の実施形態では、レンズマイコン40により電子トラッキングが行われるが、ボディーマイコン10からレンズマイコン40に命令が送信され、その命令に基づいて電子トラッキングの制御が行われてもよい。
(6)
前述の第3〜第5実施形態は、別々の実施形態として記載されているが、各実施形態の構成を組み合わせてもよい。
【0108】
(7)
前述の実施形態では、Xs=Xs0−Xcであるが、以下の式(6)を満たしていれば、カメラ本体3と同様の効果を得ることができる。
【0109】
【数6】
Xs≦Xb−Xa−Xc=Xs0−Xc ・・・(6)
(8)
交換レンズユニット202はコントラスト検出方式に対応していないが、コントラスト検出方式に対応している交換レンズユニットであってもカメラ本体3に装着することができる。
(9)
前述の実施形態では、レンズマイコン240の補正部240cがレンズ動作情報を補正しているが、カメラ本体3のボディーマイコン10がレンズ動作情報を補正してもよい。
【0110】
例えば、前述の実施形態では、式(4)に基づいてレンズマイコン240により補正量Ycが算出されているが、ボディーマイコン10が補正量Ycを算出する機能を有していてもよい。この場合、ボディーマイコン10は、各交換レンズユニットの補正係数Kを予め格納しているか、あるいは、装着されたレンズマイコン240から補正係数Kを取得する。ボディーマイコン10は距離Xcおよび補正係数Kを用いて式(4)に基づいて補正量Ycを算出する。
さらに、ボディーマイコン10は、装着される交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合していない場合に、その交換レンズユニットの規格に応じて、補正量Ycを用いてフォーカスレンズユニット275の位置情報を補正するように構成されていてもよい。補正処理が実行される場合としては、例えば、フォーカスレンズユニット275の位置情報をレンズマイコン240と送受信する場合が考えられる。
【0111】
具体的には、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240からフォーカスレンズユニット275の位置情報を受信すると、例えば、位置情報が示すフォーカスレンズユニット275の位置がZ軸方向正側に補正量Ycだけシフトするように、受信した位置情報を補正する。この補正処理は、受信した位置情報を、ボディーマイコン10で用いられる補正位置情報に変換する処理とも言える。
また、ボディーマイコン10は、レンズマイコン240にフォーカスレンズユニット275の位置情報を送信する際に、例えば、位置情報が示すフォーカスレンズユニット275の位置がZ軸方向負側に補正量Ycだけシフトするように、送信する位置情報を補正する。この補正処理は、ボディーマイコン10で用いられる補正位置情報を、レンズマイコン240で用いられる元の位置情報に変換する処理とも言える。
【0112】
ここで説明したボディーマイコン10では、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合する場合と、交換レンズユニットの規格がカメラ本体の規格と整合しない場合と、で同じ被写体距離に対応するフォーカスレンズの位置情報を異ならせていることになる。例えば、上記のような補正処理を行うことで、カメラ本体3で用いられる無限遠に対応するフォーカスレンズの位置情報が、交換レンズユニットの規格がカメラ本体3の規格と整合する場合と、交換レンズユニットの規格がカメラ本体の規格と整合しない場合と、で異なっている。言い換えると、フォーカスレンズの位置情報を交換レンズユニットの規格に応じて異ならせる機能をカメラ本体3が有していれば、上記の補正部をカメラ本体3が備えていることになる。
なお、ボディーマイコン10が上記の補正機能を当初から有していない場合であっても、ファームアップによりボディーマイコン10に補正機能が追加されることも考えられる。
【0113】
(10)
前述の実施形態では、アダプタマイコン123には、アダプタ長さに関する情報としてアダプタ長さXsが記憶されているが、アダプタ長さXsに加えてレンズバックに関する情報が記憶されていてもよい。レンズバックに関する情報には、例えば、アダプタ120に装着可能な交換レンズユニットのレンズID(交換レンズユニットに関する情報の一例)およびレンズバックが含まれている。この場合、レンズIDおよびレンズバックは関連付けられてアダプタマイコン123に記憶されている。複数のレンズバックがレンズIDとともにアダプタマイコン123に記憶されていてもよい。
例えば、交換レンズユニット202の場合であれば、交換レンズユニット202のレンズIDおよびレンズバックXbがアダプタマイコン123に記憶されている。交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着されると、アダプタマイコン123に記憶されているレンズIDおよびレンズバックXbがカメラ本体3のボディーマイコン10に送信される。
【0114】
ボディーマイコン10は、アダプタ120から取り込んだレンズIDおよびレンズバックの中から、交換レンズユニット202のレンズIDに対応するデータを選択する。選択されたデータは、選択されたデータは前述の補正要否の判断処理や補正処理に用いられる。このように、アダプタ120にアダプタマイコン123にアダプタ長さに関する情報を予め格納しておくことで、交換レンズユニット202のレンズマイコン240がレンズバックに関する情報を記憶していなくても、前述の補正要否の判断処理や補正処理を行うことができる。
また、アダプタマイコン123に判定値Vが記憶されていてもよい。判定値Vは、前述のように、交換レンズユニット202のレンズバックXb、カメラ本体3のフランジバックXaおよびアダプタ長さXsから式(5)を用いて算出することができる。この判定値Vに対応する交換レンズユニットのレンズIDおよびカメラ本体のカメラIDが判定値Vと関連付けられてアダプタマイコン123に記憶されている。交換レンズユニットがアダプタ120を介してカメラ本体3に装着されると、アダプタマイコン123に記憶されている判定値V、レンズIDおよびカメラIDがカメラ本体3のボディーマイコン10に送信される。
【0115】
ボディーマイコン10は、アダプタ120から取り込んだ判定値V、レンズIDおよびカメラIDの中から、交換レンズユニット202のレンズIDおよびカメラ本体3のカメラIDに対応するデータを選択する。選択されたデータは前述の補正要否の判断処理や補正処理に用いられる。このように、判定値Vをアダプタ120のアダプタマイコン123に予め格納しておくことで、交換レンズユニット202のレンズマイコン240がレンズバックに関する情報を記憶していなくても、前述の補正要否の判断処理や補正処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
以上に説明した技術によれば、小型化を図りつつ、より多くの交換レンズユニットとの互換性を確保できるカメラ本体および撮像装置を提供することができる。また、以上に説明した技術によれば、カメラ本体の小型化を図りつつ、より多くのカメラ本体および交換レンズユニットの互換性を確保することができるアダプタを提供することができる。したがって、以上に説明した技術は、互換性の確保が望まれる交換レンズ式デジタルカメラのような撮像装置に好適である。
【符号の説明】
【0117】
1 デジタルカメラ(撮像装置の一例)
2 交換レンズユニット
3 カメラ本体
3a 筐体
4 ボディーマウント(マウント部の一例)
10 ボディーマイコン(位置情報取得部の一例、補正部の一例)
10b 補正判定部
11 撮像センサ(撮像素子の一例)
40 レンズマイコン
100 トラッキングテーブル
120 アダプタ
121 第1マウント
122 第2マウント
123 アダプタマイコン(記憶部の一例)
240 レンズマイコン
240c 補正部
L 光学系
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ(フォーカスレンズの一例)
L7 第7レンズ
Xa フランジバック
Xb レンズバック、フランジバック
H 余裕範囲
Xs アダプタ長さ
Xs0 基準長さ
V 判定値

Claims (22)

  1. アダプタを介して交換レンズユニットを装着可能なカメラ本体であって、
    筐体と、
    前記筐体に収容され被写体の画像信号を取得するための撮像素子と、
    前記筐体に固定され前記アダプタが装着可能な部分であって、前記撮像素子の受光面からフランジバックだけ離れた位置に配置されたボディーマウントと、を備え、
    前記交換レンズユニットのレンズバックが前記フランジバックよりも長く、
    前記フランジバックが、前記レンズバックから前記アダプタの光軸方向の長さであるアダプタ長さを差し引いた長さよりも短い、
    カメラ本体。
  2. 前記レンズバックを有する前記交換レンズユニットが装着された場合に、前記フランジバック、前記レンズバックおよび前記アダプタ長さに基づいて、前記交換レンズユニットの動作に関するレンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定する補正判定部をさらに備えた、
    請求項1に記載のカメラ本体。
  3. 前記補正判定部は、前記フランジバック、前記レンズバックおよび前記アダプタ長さから、前記レンズ動作情報に対して補正処理を行うか否かを判定するための判定値を算出する、
    請求項2に記載のカメラ本体。
  4. 前記レンズ動作情報に対して補正処理を行うと前記補正判定部により判定された場合に前記レンズ動作情報に対して補正処理を行う補正部をさらに備えた、
    請求項2または3に記載のカメラ本体。
  5. 前記レンズ動作情報は、前記交換レンズユニットのフォーカスレンズの位置情報を含んでおり、
    前記補正部は、前記フォーカスレンズの移動量に対する前記交換レンズユニットの後側焦点位置の移動量の比である補正係数を用いて、前記位置情報を補正位置情報に変換する、
    請求項4に記載のカメラ本体。
  6. 前記補正部は、前記交換レンズユニットから前記位置情報を取得する際に、前記補正係数を用いて前記位置情報を前記補正位置情報に変換する、
    請求項5に記載のカメラ本体。
  7. 前記補正部は、前記補正係数を用いて前記補正位置情報を前記位置情報に変換する、
    請求項5または6に記載のカメラ本体。
  8. 前記補正部は、前記交換レンズユニットに前記位置情報を送信する際に、前記補正係数を用いて前記補正位置情報を前記位置情報に変換する、
    請求項7に記載のカメラ本体。
  9. 前記補正部は、前記補正係数を前記交換レンズユニットから取得可能である、
    請求項5に記載のカメラ本体。
  10. 前記補正部は、前記補正係数、前記フランジバック、前記レンズバックおよび前記アダプタ長さに基づいて、前記位置情報を前記補正位置情報に変換するための補正量を算出する、
    請求項5から9のいずれかに記載のカメラ本体。
  11. 前記補正判定部の判定結果に基づいて、前記レンズ動作情報に対して補正処理を行うように前記交換レンズユニットに指示する補正部をさらに備えた、
    請求項2または3に記載のカメラ本体。
  12. 前記レンズ動作情報は、前記交換レンズユニットのフォーカスレンズの動作に関する情報である、
    請求項2から11のいずれかに記載のカメラ本体。
  13. 前記レンズ動作情報は、前記交換レンズユニットのフォーカスレンズの位置情報を含んでいる、
    請求項2から12のいずれかに記載のカメラ本体。
  14. 前記レンズ動作情報は、前記交換レンズユニットのフォーカスレンズの可動範囲に関する情報を含んでいる、
    請求項2から13のいずれかに記載のカメラ本体。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載のカメラ本体と、
    前記アダプタ長さを有する前記アダプタと、
    を備えた撮像装置。
  16. 交換レンズユニットとボディーマウントを有するカメラ本体とを接続可能なアダプタであって、
    前記カメラ本体に装着可能な第1マウント部と、
    前記交換レンズユニットに装着可能であり前記第1マウント部からアダプタ長さだけ離れた位置に配置された第2マウント部と、を備え、
    前記カメラ本体のフランジバックが前記交換レンズユニットのレンズバックよりも短い場合に、前記アダプタ長さが、前記レンズバックから前記フランジバックを差し引いた基準長さよりも短い、
    アダプタ。
  17. 前記アダプタ長さに関する情報を記憶するための記憶部をさらに備えた、
    請求項16に記載のアダプタ。
  18. 前記アダプタ長さに関する情報と前記第1マウント部に装着可能な前記交換レンズユニットのレンズバックに関する情報とを記憶するための記憶部をさらに備えた、
    請求項16に記載のアダプタ。
  19. 前記第1マウント部に装着可能な前記交換レンズユニットのレンズバックから前記第2マウント部に装着可能な前記カメラ本体のフランジバックと前記アダプタ長さとを差し引いた長さに関する情報を記憶するための記憶部をさらに備えた、
    請求項16に記載のアダプタ。
  20. アダプタを介してフォーカスレンズを有する交換レンズユニットを装着可能なカメラ本体であって、
    前記アダプタを装着するためのボディーマウントと、
    前記交換レンズユニットあるいは前記アダプタから前記フォーカスレンズの位置情報を取得する位置情報取得部と、
    前記交換レンズユニットの規格が前記カメラ本体の規格と整合しているか否かを判定する補正判定部と、
    前記交換レンズユニットの規格に応じて前記フォーカスレンズの位置情報を補正する補正部と、
    を備えたカメラ本体。
  21. 前記補正部は、前記交換レンズユニットの規格が前記カメラ本体の規格と整合しない場合に、前記フォーカスレンズの位置情報を補正する、
    請求項20に記載のカメラ本体。
  22. 前記補正部は、前記交換レンズユニットの規格が前記カメラ本体の規格と整合する場合と、前記交換レンズユニットの規格が前記カメラ本体の規格と整合しない場合と、で同じ被写体距離に対応する前記フォーカスレンズの位置情報を異ならせる、
    請求項20または21に記載のカメラ本体。
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