JPWO2010024404A1 - 研磨用組成物および半導体集積回路装置の製造方法 - Google Patents

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    • H01L21/32115Planarisation
    • H01L21/3212Planarisation by chemical mechanical polishing [CMP]

Abstract

本発明は、絶縁層上にバリア層を介して設けられた銅層を研磨して、銅埋め込み配線と絶縁層とを交互に形成するパターン形成において、前記銅層に隣接した前記バリア層が露出するまで研磨する工程に用いられる研磨用組成物であって、ドデシルベンゼンスルホン酸成分と、アルケニルコハク酸成分、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分およびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分からなる群から選ばれる少なくとも一つの平坦性向上剤とを含む、研磨用組成物に関する。

Description

本発明は、半導体集積回路などに好適に用いられる新規な研磨用組成物に関する。
近年、半導体集積回路の高集積化へのニーズの高まりに呼応して、半導体素子の細線化、配線の多層化等、種々の微細加工技術が開発されている。このため、配線形成に関わるChemical Mechanical Polishing(以下、CMPという)では、新規な研磨用組成物に対するニーズが大きい。なお、CMP用の研磨用組成物は、単なる機械的な研磨用組成物と比較して、非常に精度の高い研磨を要求されるため、非常に緻密な調整が必要となる。
新規な研磨用組成物に対する具体的なニーズとしては、表面の凹凸防止がある。
配線の多層化とは、回路を形成した上にリソグラフィー等を用いて新たな回路を形成するものである。下層となる回路の表面に凹凸があると、その上にある、新たに回路を形成する層の表面にも凹凸が現れる可能性がある。そうなると、リソグラフィーにおける焦点深度から外れ、設計どおりの配線が形成できなくなることから、近年の半導体集積回路の設計においては、回路を形成した表面を極めて高い精度で平坦化し、その上の層の表面の平坦性に影響を与えないようにすることが要求されている。
また、品質の面でも、表面の凹凸は配線の電気特性に影響を与えるため、品質上のばらつきを抑えるためにできるだけ抑制すべきである。
たとえば、回路形成表面の平坦化の際に同時に回路の配線を形成するダマシン法では、半導体集積回路装置の対象表面に配線用の溝パターンを形成し、その溝パターンに配線を形成するためのアルミニウムや金属銅等の比抵抗の低い金属を埋め込むように形成する。金属は、まず、メッキ法やスパッタリング法により表面上に膜として形成され、多くの場合、その膜をCMP技術によって研磨し、配線部以外の金属を除去し、溝に対応した配線を形成する。この際に、あわせて研磨面の平坦化がおこなわれる。
この場合、絶縁層上にバリア層を介して設けられた銅層を研磨して、銅埋め込み配線と絶縁層とを交互に形成するパターン形成において、銅層に隣接したバリア層が露出するまでの段階(いわゆる第1研磨工程)では、バリア層上に銅が残る問題(銅残り)や銅配線上のピット(くぼみ)が表面の凹凸として問題になる。
銅残りがあると、その部分が銅残りのない部分に比して盛り上がった状態になり、その後のいわゆる第2研磨工程においてもそのままの形状が維持されやすくなる結果、表面の凹凸が生じやすい。図1には、銅残り21のある部分が銅残りのない部分22に比して盛り上がった状態を模式的に示す断面図である。このような銅残りは、配線密度の高い箇所に起こりやすく、その場合には、該当個所の銅配線の厚みが他所に比べて厚いことさえ起こり得る。その様子を図2および3に模式的に示す。図2は配線密度の高い箇所23に銅残り21がある状態を示している。このような場合、その後の第2研磨工程においてもその影響が残ると、箇所23の銅配線の厚みが、銅残りのない部分22にある銅配線の厚みに比べてより厚くなりやすい。なお、図2および3ではバリア層は記載を省略してある。
銅配線上のピットは、恐らく銅の腐食の一種であり、数万倍程度の倍率でやっと見えるほどの微細なものである。
銅の研磨に用いられるCMP用の研磨用組成物としては、ロジンを用いた研磨剤(例えば、特許文献1参照)や、複素環を有する化合物を含有させることにより、エロージョンを抑制する研磨液の発明(例えば、特許文献2参照)が記載されている。さらに、特許文献3には脂肪族カルボン酸とベンゾトリアゾールとを含む研磨液を使用して銅に対する研磨作用を調整することが記載されている。しかし、これらの研磨用組成物では、銅残りを完全には対処できていなかった。
国際公開番号 WO2007/072918(クレーム)(US2008-261400) 日本国特開2002−12854号公報(US2002-016275) 日本国特開2002−231666号公報(US6679929)
本発明は、上記表面凹凸の課題を解決できる新規な研磨用組成物を提供することを目的とする。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
本発明の第1の態様によれば、絶縁層上にバリア層を介して設けられた銅層を研磨して、銅埋め込み配線と絶縁層とを交互に形成するパターン形成において、前記銅層に隣接した前記バリア層が露出するまで研磨する工程(第1研磨工程)に用いられる研磨用組成物であって、
ドデシルベンゼンスルホン酸成分と、
アルケニルコハク酸成分、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分およびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分からなる群から選ばれた少なくとも一つの平坦性向上剤と
を含む、研磨用組成物が提供される。
本発明の第2の態様によれば、更に脂環族樹脂酸を含む、上記態様1に記載の研磨用組成物が提供される。
本発明の第3の態様によれば、前記脂環族樹脂酸がロジンである、上記態様2に記載の研磨用組成物が提供される。
本発明の第4の態様によれば、更にイミダゾール誘導体を含む、上記態様1〜3のいずれかに記載の研磨用組成物が提供される。
本発明の第5の態様によれば、更に砥粒としてコロイダルシリカを含む、上記態様1〜4のいずれかに記載の研磨用組成物が提供される。
本発明の第6の態様によれば、更に酸化剤を含む、上記態様1〜5のいずれかに記載の研磨用組成物が提供される。
本発明の第7の態様によれば、更に錯体形成剤を含む、上記態様1〜6のいずれかに記載の研磨用組成物が提供される。
本発明の第8の態様によれば、研磨用組成物中のオレイン酸の含有量が0.03質量%以下である、上記態様1〜7のいずれかに記載の研磨用組成物が提供される。
本発明の第9の態様によれば、半導体集積回路装置の製造方法であって、
当該半導体集積回路装置が、溝を有する絶縁層と、当該溝に形成された銅埋め込み配線とを備えており、
当該絶縁層上にバリア層と銅配線層とがこの順に形成された当該半導体集積回路装置用の多層構造体を、上記態様1〜8のいずれかに記載の研磨用組成物を用いて、前記銅層に隣接した前記バリア層が露出するまで研磨することを含む、半導体集積回路装置の製造方法が提供される。
本発明の第10の態様によれば、前記バリア層が、Ta、TaNおよびTiNからなる群から選ばれた少なくとも1種を含む、上記態様9に記載の半導体集積回路装置の製造方法が提供される。
本発明の第11の態様によれば、前記多層構造体が、前記絶縁層と前記バリア層との間にキャップ層を備えている、上記態様9または10に記載の半導体集積回路装置の製造方法が提供される。
本発明の第12の態様によれば、前記溝を有する絶縁層が3以下の比誘電率を有する、上記態様9〜11のいずれかに記載の半導体集積回路装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、第1研磨工程における銅配線の研磨速度を良好としつつ、ディッシングの問題を解決し、エロージョンも悪化させずかつ銅残りや銅配線上のピットの問題を解消できる、第1研磨工程用の新規な研磨用組成物が得られる。
図1は、銅残りのある部分が銅残りのない部分に比して盛り上がった状態を模式的に示す断面図である。 図2は、配線密度の高い箇所に銅残りがある状態を模式的に示す断面図である。 図3は、図2の状態の断面を第2研磨工程に供した後の状態を模式的に示す断面図である。 図4(a)〜(c)は、銅埋込み配線形成工程におけるCMP工程前後のパターン付きウェハの模式的断面図である。図4(a)は研磨前の半導体集積回路の断面図であり、図4(b)は研磨によりディッシングが生じた半導体集積回路の断面図であり、図4(c)は理想的に研磨された半導体集積回路の研磨後の断面図である。 図5は、エロージョンを説明するためのパターン付きウェハの概略断面である。
本発明にかかる研磨用組成物の作用を、半導体集積回路の配線用の溝を持つ表面の銅膜を研磨する場合について説明する。以下においては、特に好ましい用途である銅配線を有する半導体集積回路装置に適用する場合を中心に説明するが、本発明に係る研磨用組成物は、銅配線研磨用であれば、その他の場合においても使用できるものであることはいうまでもない。また、以下の説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
本発明に係る研磨用組成物は、絶縁層上にバリア層を介して設けられた銅層を研磨して、銅埋め込み配線と絶縁層とを交互に形成するパターン形成において、銅層に隣接したバリア層が露出するまでの研磨用組成物、すなわち、第1研磨工程用の研磨用組成物である。なお、第1研磨工程で銅配線以外の銅の部分を除去し、第2研磨工程でバリア層を除去すると共に、たいていの場合には絶縁層と、必要であれば銅の一部を極くわずかに研磨して、絶縁層と銅層とからなる平坦な面が形成される。
なお、表面の凹凸の問題としては、上記の他に、後述するディッシングやエロージョンも知られている。以下において、「平坦性向上」や「平坦化」とは、ディッシングおよびエロージョンの少なくともいずれかが向上することを意味している。
<使用される材料>
以下において、本発明において使用される材料について説明する。研磨前のパターン付きウェハの概略断面を図4(a)に示す。図4(a)においてSi基板1上に、絶縁層2、バリア層3および配線金属層(銅層)4が形成されている。
<絶縁層>
絶縁層としては、以下記載の、テトラエトキシシラン、シラン等を用いたプラズマCVDによるSiO膜、低誘電率材料膜(SiOF膜、有機SOG膜等)、さらにこれらとキャップ層と組み合わせた構成、の全てがあり得る。
本発明に係る研磨用組成物による研磨対象の一つである絶縁層を構成する材料としては、公知のどのようなものを使用してもよい。このような材料としては、二酸化ケイ素膜を例示できる。二酸化ケイ素膜としては、一般にはSiとOとの架橋構造よりなり、SiとOの原子数の比が1:2のものが使用されるが、これ以外のものでもよい。このような二酸化ケイ素膜としてはテトラエトキシシラン(TEOS)やシランガス(SiH)を用い、プラズマCVDにより堆積させたものが一般的に知られている。
また、近年、信号遅延の抑制を目的としてこの二酸化ケイ素膜の他、比誘電率が3以下の低誘電率材料からなる膜が絶縁層として使用されるようになってきている。このような低誘電率材料膜としては、フッ素添加酸化ケイ素(SiOF)からなる膜、有機SOG膜(Spin on glassにより得られる有機成分を含む膜)、ポーラスシリカ膜等の低誘電率材料膜や主にSi−O結合から構成され、CH結合を含む有機ケイ素材料(一般にSiOCと表記される)膜が知られている。これらの膜も本発明に係る研磨用組成物を適用する絶縁層として好適に使用できる。
有機ケイ素材料は、プロセス技術として従来技術の延長線上にあり、適切なプロセスチューニングを行うことにより適応範囲の広い量産技術が達成されている。したがって、この低誘電率材料を使用した膜を平坦化する技術が要望されており、本発明に係る研磨用組成物を好適に使用できる。
低誘電率材料である有機ケイ素材料としては、商品名:Black Diamond(比誘電率2.7、アプライドマテリアルズ社技術)、商品名Coral(比誘電率2.7、Novellus Systems社技術)、Aurora2.7(比誘電率2.7、日本ASM社技術)等を挙げることができ、とりわけSi−CH結合を有する化合物が好ましく用いられる。
<キャップ層>
本発明に係る研磨用組成物は、絶縁層上にキャップ層が形成された場合についても好適に使用できる。たとえば、低誘電率絶縁層上にキャップ層、バリア層および金属配線層を順次積層してなる多層構造において、キャップ層を完全に除去した後、絶縁層を削り込んで平坦化する場合にも適用できる。
キャップ層は、絶縁層に低誘電率材料を使用する場合に、絶縁層とバリア層との密着性を高めたり、化学的機械的に脆弱な低誘電率絶縁層に金属配線層を埋め込むための溝をエッチングにより形成する際のマスク材として用いたり、低誘電率材料の変質防止を図ることを目的として設けられる層である。
キャップ層としては、一般にケイ素と酸素とを構成要素とする膜が使用される。このような膜としては二酸化ケイ素膜を例示できる。二酸化ケイ素膜としては、一般にはSiとOとの架橋構造よりなり、SiとOの原子数の比が1:2のものが使用されるが、これ以外のものでもよい。このような二酸化ケイ素膜としてはテトラエトキシシラン(TEOS)やシランガス(SiH)を用い、プラズマCVDにより堆積させたものが一般的に知られている。
<バリア層>
バリア層とは、絶縁層上に、たとえばスパッタ法により製膜された、Ta、TaN、TiNからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む層で、銅層から絶縁層への銅の拡散を妨げる目的で配置されるが、本発明においては銅層の研磨において、その配線部が現れる時点を見出すためのストッパーとしての役目も果たしている。
<銅層>
銅層は絶縁層上にバリア層を介して製膜される。その製膜方法としては、バリア層製膜後にスパッタ法によりCuシード層を100nm厚程製膜し、更にそのCuシード層上に電解メッキ法によりCu層を形成する方法を例示できる。
本発明によれば、銅を配線用金属として用いた場合に精度の高い表面平坦化を実現できる。このため、ディッシングやエロージョンの少ない、平坦性に優れる表面状態を有する半導体集積回路を得ることができ、半導体集積回路の多層化、細線化にとって極めて有効である。このことを更に詳しく説明すると次のようである。
一般的に、大口径のウェハを研磨する場合には、面内の膜厚分布やパッドへの研磨圧力の不均一などが避けられないため、面内全面を均一に研磨することは難しい。そのため絶縁層上にバリア層を介して設けられた銅層を研磨していくと、まずウエハ面内の一部について銅層に隣接したバリア層が露出する。そして、ウエハ全面にわたってバリア層上の銅膜を除去するために引き続き研磨(オーバー研磨という)をおこなうと、従来技術の研磨剤を用いた研磨では、順次露出された銅埋込み配線のディッシングが進む問題があった。
すなわち、バリア層が露出した時点でのディッシング量が大きかったり、第1研磨工程を終え、オーバー研磨により余剰の銅層を除去した時点でディッシング量が大きくばらつきを生じたり、更に、場合によってはエロージョンも発生していた。そのため、従来は、第2研磨工程において、バリア層を削ったのち、絶縁層と銅配線の一部をさらに削り込んで、銅配線と絶縁層とを平滑に仕上げる必要があった。しかしながら、第2研磨工程の研磨量を大きくすると、研磨の面内分布により配線溝の深さが不足する箇所が生じたり、新たに銅配線のディッシングを生じたりするおそれがあった。なお、エロージョンとは、細い配線部や密集した配線部で発生しやすいもので、図5に示すように配線パターンのない絶縁層部分(Global部)に比べ、配線部の絶縁層が過剰に研磨され、絶縁層が部分的に薄くなる現象をいう。すなわち、Global部20よりもさらに研磨されたエロージョン部分18が生じる。なお、図5においては、バリア層は省略している。
これに対し、本願発明の研磨用組成物を用いると、オーバー研磨により銅配線が必要以上に研磨されないので、第1研磨工程で、ディッシングを進行させたり、エロージョンを生じたりすることなく余裕をもってオーバー研磨することができる。それにより、8インチ以上という大口径のウェハであっても、オーバー研磨によりウェハ面内全面に渡って平滑かつ均一に余剰の銅層を除去して第1研磨工程を終えた時点でのディッシング量を55nm以下とすることができるという顕著な効果が得られる。
更に、第2研磨工程で絶縁層と銅層とを余分に削りこまなくて良いので、絶縁層、銅層を薄くし、トレンチ加工量(配線の溝の削り量)を浅くし、研磨量を少なくすることができる。それにより全体の工程を短時間でおこなえるのでコストダウンが可能で、配線溝深さのばらつきや銅配線のディッシングを抑制できるという効果も得られる。
<研磨用組成物>
以下、本発明に係る研磨用組成物に使用し得る各種材料について述べる。
本研磨用組成物は、ドデシルベンゼンスルホン酸成分を必ず含有し、更に、アルケニルコハク酸成分、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分およびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分からなる群から選ばれた少なくとも一つを平坦性向上剤として含む。
「成分」としたのは、酸それ自体はもちろんのこと、酸そのものの他、塩の形態も含まれ得ることを意味するためである。塩の形態は、酸を使用した結果、別途加えられた塩基性物質と反応して生じる場合も、塩の形態で加えられた場合もあるが、酸として添加した結果別途加えられた塩基性物質と反応して生じるものが一般的である。具体的には、本研磨用組成物には塩基性物質として水酸化カリウムが使用されることが多いため、酸として添加されたものの少なくとも一部はこの水酸化カリウムと反応して塩の形態になっているものと考えられる。
本発明においては、ドデシルベンゼンスルホン酸成分を必ず含有し、更に、アルケニルコハク酸成分、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分およびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分からなる群から選ばれた少なくとも一つの平坦性向上剤として含むと、銅残りやピットを抑制できることが判明した。更に、従来の研磨剤に比べ、ディッシングと呼ばれる、配線部分を平坦面より低く削り取ってしまう現象も悪化しないことが判明した。さらに、本発明の上記平坦性向上剤を添加すると、センター部(センターチップ)のみならず、エッジ部(エッジチップ)も良好とできる点ですぐれている。また、エロージョンの悪化も見られない。
その理由は定かではないが、従来の研磨剤に多用されているオレイン酸を使用しないと、銅残りは抑制できるが、ディッシングは悪化しやすい一方、オレイン酸を必要以上に使用すると、ディッシングは抑制できるが銅残りが生じやすい。上記知見から推測するに、上記成分は、銅の保護膜形成剤の働きを有する脂環族樹脂酸(例えばロジン)のディッシング防止作用を阻害しないあるいはロジンのディッシング防止作用に寄与すると同時に、銅のスムーズな研磨を妨げないあるいは促進する作用を有しているものと思われる。
上記の議論から理解できるように、本研磨用組成物中にオレイン酸をある程度以上含まないことが好ましく、具体的には、オレイン酸の含有量は、0.03質量%以下、特に0.01質量%以下が好ましい。
<ドデシルベンゼンスルホン酸成分>
ドデシルベンゼンスルホン酸成分は、具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸(下式参照)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩などが例示される。なお、ドデシル基の炭素鎖は、直鎖であっても分岐していてもよい。
Figure 2010024404
なお、ドデシルベンゼンスルホン酸は、本発明においては、脂環族樹脂酸、特にロジンの溶解助剤としての働きを有し、研磨用組成物を高濃度に濃縮できる点で非常に優れている。なお、研磨剤組成物は、その運搬の容易性のニーズの高まりため、濃縮して運搬し、実際の研磨直前に希釈することが好ましい。よって、高濃度に濃縮できる点は大きな利点となる。
本研磨用組成物中のドデシルベンゼンスルホン酸成分の含有量は、0.002〜0.2質量%、さらには0.005〜0.15質量%、0.005〜0.1質量%であることが、効率的に本研磨用組成物を濃縮できるため好ましい。
<アルケニルコハク酸成分>
アルケニルコハク酸成分は、具体的には、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸ジカリウム塩、アルケニルコハク酸ジカリウム、アルケニルコハク酸無水物などが例示される。このアルケニルコハク酸を用いることで、ディッシングを効果的に防止することが可能であり、少量で効果がみられる点で優れている。アルケニルコハク酸成分と脂環族樹脂酸、特にロジンとを一緒に用いることで大きく平坦性が向上する。その理由は正確には分かっていないが、アルケニルコハク酸成分と脂環族樹脂酸とが、何らかの化学的相乗効果を有するためと推測している。
本研磨用組成物中のアルケニルコハク酸成分の含有量は、0.0005〜0.01質量%、さらには0.0007〜0.008質量%、0.0007〜0.006質量%であることが、効果的にディッシングを防止できるため好ましい。また、アルケニルコハク酸成分と脂環族樹脂酸との含有量比(質量比)は、1:80〜1:5、特に1:60〜1:3であることが、ディッシングを防止しつつ、銅残りやピットを改善できるため好ましい。
<ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分>
ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分としては、具体的には、ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(7)トリデシルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(6)トリデシルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(7)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(6)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸およびポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸などが例示される。ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分と脂環族樹脂酸、特にロジンとを一緒に用いることで大きく平坦性が向上する。その理由は正確には分かっていないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分と脂環族樹脂酸とが、何らかの化学的相乗効果を有するためと推測している。ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分は、濃度の温度依存性が少なく、銅に対する研磨性能が優れている点で好ましい。また、ドデシルベンゼンスルホン酸成分とポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分とを両方含むことで、さらなる濃縮ができる点で好ましい。
なお、上記において括弧内の数字は、オキシエチレン基の繰り返しの数を示す。たとえば、ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテル酢酸とは、3つのオキシエチレン結合からなるポリオキシエチレン部分と、トリデシルエーテル酢酸とからなる物質であることを意味する。一般的には、ポリオキシエチレン(n)アルキルエーテルカルボン酸はRO−(CO)−CHCOOHと表すことができる。Rは10〜15個の炭素からなるアルキル基であり、直鎖であっても分鎖であってもよい。
本研磨用組成物中のポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分の含有量は、0.005〜0.1質量%、さらには0.01〜0.07質量%、であることが、効果的にディッシングを防止できるため好ましい。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分と脂環族樹脂酸との含有量比(質量比)は、2:1〜1:5、特に1:1〜1:3であることが、ディッシングを防止しつつ、銅残りを改善できるため好ましい。
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分とドデシルベンゼンスルホン酸との比は、5:1〜1:5であることが好ましく、3:1〜1:3であることがさらに好ましい。
<ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分>
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分とは、具体的には、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(8)オレイルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(2)(C12−15)アルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(4)(C12−15)アルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(8)(C12−15)アルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(10)(C12−15)アルキルエーテルリン酸、トリポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルリン酸およびこれらの塩が例示される。ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分と脂環族樹脂酸、特にロジンとを一緒に用いることで大きく平坦性が向上する。その理由は正確には分かっていないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分と脂環族樹脂酸とが、何らかの化学的相乗効果を有するためと推測している。
なお、上記において、括弧内の数字は、オキシエチレン基の繰り返しの数を示す。たとえば、ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテルリン酸とは、8つのオキシエチレン結合からなるポリオキシエチレン部分と、オレイルエーテルリン酸部分とからなることを意味する。一般的には、ポリオキシエチレン(n)ラウリルエーテルリン酸はC1225O−(CO)−HPOと表すことができる。また、(C12−15)とは、アルキル基の構造を表しており、具体的には、炭素を12〜15個有するアルキル基であることを示す。
本研磨用組成物中のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分の含有量は、0.005〜0.1質量%、さらには0.01〜0.05質量%であることが、効果的にディッシングを防止できるため好ましい。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分と脂環族樹脂酸との含有量比(質量比)は、2:1〜1:5、特に1:1〜1:3であることが、ディッシングを防止しつつ、銅残りを改善できるため好ましい。
アルケニルコハク酸成分、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分およびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分は、すべて含有していてもよいし、一つの成分のみが含有していてもよい。アルケニルコハク酸成分は、他の成分と比較して、非常に少量で同等の効果を有するため、本研磨用組成物の粘度が必要以上に上がることを防止できる。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分は、研磨速度を良好に維持できる点、および研磨安定性の点で最もすぐれている。なお、本明細書においては、アルケニルコハク酸成分、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分およびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分は全て研磨面の平坦化に寄与し得るので、平坦性向上剤と呼称される。
本研磨用組成物は粘度が低い点で好ましい。粘度はCMPのような技術分野では予想以上に重要な要素である。というのも、一般的に、研磨するときの条件を一定とすることは、安定的な研磨を行う上で非常に重要である。しかし、あまりに研磨用組成物の粘度が高すぎると、研磨剤の搬送系で詰まりが生じたり、研磨剤が残ったりということがありうる。よって、長期間の研磨中ずっと同様の条件で研磨を行うことができるかどうかは、研磨剤の粘度によるところが大きい。なお、粘度を良好とするためには、水溶性高分子を含まないことが好ましく、具体的には、研磨用組成物中に、0.1質量%以下、特に0.05質量%以下、さらには0.03質量%以下であることが、必要以上に研磨速度を下げることを防止でき好ましい。水溶性高分子とは、分子量が5000以上の水溶性の高分子である。
<錯体形成剤>
本研磨用組成物は、錯体形成剤を含んでいてもよい。錯体形成剤とは、銅と錯体を形成する物質を意味する。錯体形成剤を含有させることにより、その機構は明らかでないが銅の研磨速度が増大する。具体的には、以下のとおりである。
含窒素複素環基を有するカルボン酸(モノカルボン酸、ポリカルボン酸):2−ピリジンカルボン酸、3−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、ピラジンカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、2−キノリンカルボン酸(キナルジン酸)、3−キノリンカルボン酸、4−キノリンカルボン酸、8−キノリンカルボン酸。
アミノ基を有するカルボン酸(アミノ酸など):アラニン、グリシン、プロリン、フェニルアラニン。
水酸基を有するカルボン酸(ヒドロキシカルボン酸など):乳酸、リンゴ酸、クエン酸、イソクエン酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、サリチル酸。
上記以外のポリカルボン酸:シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、オキサル酢酸、グルタル酸、アジピン酸、シトラコン酸、イタコン酸、ジグリコール酸、チオジグリコール酸、フタル酸。
チオール基を有するカルボン酸:チオグリコール酸、チオサリチル酸。
錯体形成剤は、特に、含窒素複素環基を有するポリカルボン酸もしくはモノカルボン酸、またはシュウ酸などの脂肪族ポリカルボン酸、が好ましく、特に2−ピリジンカルボン酸、2,3−ピリジンカルボン酸が好ましい。2−ピリジンカルボン酸などの含窒素複素環基を有するカルボン酸を用いることにより、特に銅の研磨速度が増大するとともに、研磨パッド上への銅錯体等の付着や残留が防止されるという効果が発揮される。
本発明の研磨用組成物中の錯体形成剤の含有量は、研磨用組成物に対して0.1〜5質量%、特に0.3〜3質量%、さらには0.5〜1.5質量%であることが好ましい。0.1質量%未満の場合は、銅の研磨速度が低下するおそれがあり、5質量%超では、銅表面の腐食やディッシングが発生するおそれがある。
<脂環族樹脂酸>
本研磨用組成物は、脂環族樹脂酸を含んでいることが好ましい。樹脂酸とは天然樹脂中に遊離またはエステルとして存在する有機酸(カルボン酸)であり、脂環族樹脂酸とはその樹脂酸のうち脂環構造を有する化合物をいう(共立出版(株)発行「化学大辞典4」の「樹脂酸」の項参照)。本発明における脂環族樹脂酸としては、脂環族樹脂酸を含有する天然樹脂、天然樹脂から精製(同時に異性化等が起こることもある)された脂環族樹脂酸を主成分とする精製樹脂酸、天然樹脂から抽出された単一化合物である脂環族樹脂酸やその2種以上の混合物、などがある。
上記精製樹脂酸としては、松脂などから得られるロジン、トール油、トール油ロジンなどがある。特に、ロジンと呼ばれる、アビエチン酸やその異性体、ピマル酸やその異性体、水素化アビエチン酸などの脂環族樹脂酸を主成分とする精製樹脂酸が好ましく、本発明における脂環族樹脂酸として市販のロジンを使用できる。また、ロジンは、それが由来する天然樹脂の種類により含有される化合物やその組成割合が変化するものであるが、脂環族樹脂酸を主成分とするものであればいずれの種類のロジンも使用できる。
市販のロジンには少量の脂肪族樹脂酸が含まれているものがある。この脂肪族樹脂酸は主にオレイン酸やリノール酸などの不飽和高級脂肪酸であり、その含有量はロジン全体に対して通常10質量%程度である。
単一化合物である脂環族樹脂酸としては、アビエチン酸、アビエチン酸の異性体であるネオアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマル酸など、アビエチン酸の水素化物であるジヒドロアビエチン酸やテトラヒドロアビエチン酸、アビエチン酸の脱水素化物であるデヒドロアビエチン酸、セコデヒドロアビエチン酸などがある。その他、ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、コムン酸、ジヒドロアガチン酸などがある。
研磨用組成物において、上記脂環族樹脂酸は2種以上含有されていてもよい。ロジンなどの精製樹脂酸は本来2種以上の脂環族樹脂酸(単一化合物)の混合物であるが本発明では1種の脂環族樹脂酸とみなす。したがって、研磨用組成物においては、2種以上のロジンが含有されていてもよく、ロジンと単一化合物である脂環族樹脂酸の1種以上が含有されていてもよい。
また、脂環族樹脂酸としては、上記精製樹脂酸や単一化合物である脂環族樹脂酸の誘導体であって、少なくとも1個のカルボキシ基を有する化合物やそれを含む混合物、であってもよい。誘導体としては、天然樹脂から抽出される脂環族樹脂酸以外の、異性化物、水素化物、脱水素化物、多量化物、脂環族樹脂酸の不飽和基に不飽和化合物(たとえば無水マレイン酸、フマル酸やアクリル酸などの不飽和カルボン酸(またはその無水物)などをジールスアルダー付加して得られる変性物、などがある。無水マレイン酸付加物(マレイン酸変性物)、フマル酸付加物(フマル酸変性物)、および脱水素化物からなる群から選ばれる1種類以上が好ましい。上記の脱水素化物としては、脱水素により脂環の一部が芳香環となったものも含まれる。
また、アビエチン酸(アビエチン酸の異性体であるネオアビエチン酸、アビエチン酸の水素化物であるジヒドロアビエチン酸やテトラヒドロアビエチン酸、アビエチン酸の脱水素化物などを含む)の含有量は、0.5〜2.5質量%、さらには0.15〜1.5質量%であることが、効果的に銅の表面を保護できるため好ましい。また、ドデシルベンゼンスルホン酸と脂環族樹脂酸との含有量比(質量比)は、効果的に研磨用組成物を濃縮できる点で、4:1〜1:4、特に3:1〜1:3であることが好ましい。
脂環族樹脂酸には、脂環族樹脂酸の塩も含む。脂環族樹脂酸の塩としては、ロジンとも呼ばれているロジンのアルカリ金属塩(特にカリウム塩)、ロジンのアンモニウム塩、ロジンの有機アミン塩が好ましい。また単一化合物である脂環族樹脂酸の塩としては、たとえば以下のような塩があり、これらの2種以上の混合物も使用できる。アビエチン酸カリウム塩、デヒドロアビエチン酸カリウム塩、テトラヒドロアビエチン酸カリウム塩、ジヒドロアビエチン酸カリウム塩、ピマル酸カリウム塩、アビエチン酸アンモニウム塩、デヒドロアビエチン酸アンモニウム塩、テトラヒドロアビエチン酸アンモニウム塩、ジヒドロアビエチン酸アンモニウム塩、ピマル酸アンモニウム塩、アビエチン酸有機アミン塩、デヒドロアビエチン酸有機アミン塩、テトラヒドロアビエチン酸有機アミン塩、ジヒドロアビエチン酸有機アミン塩、ピマル酸有機アミン塩。
研磨用組成物では、脂環族脂肪酸を含有させることによりディッシング量を抑制する効果が得られる。このような効果が得られる機構は明らかでないが、研磨時に、半導体集積回路銅膜の表面と何らかの化学的作用または物理的作用をおこなって銅膜表面に保護層を形成する表面保護剤として作用していると考えられる。この表面保護層は、銅膜の研磨を完全に阻害するほど強固ではなく、半導体集積回路基板上の銅膜において、研磨パッドの押付け圧が大きい凸部においては研磨が進行し、押付け圧が小さい配線部分の凹部においては研磨が進行しない。それにより高平滑な研磨表面性状が実現されると考えられる。
研磨用組成物中の脂環族樹脂酸の含有量は0.1〜5質量%、さらには0.3〜3質量%、0.3質量%〜2質量%、0.3質量%〜1質量%であることが好ましい。0.01質量%未満の場合は銅膜表面の保護作用が不十分であると考えられ、研磨中に腐食及びディッシングが発生し易くなる。また、2質量%超では銅の研磨速度が低下する恐れがある。
また、錯体形成剤と脂環族樹脂酸との含有量比(質量比)は、研磨速度を良好とできる点で50:1〜30:1、特に45:1〜35:1であることが好ましい。
<酸化剤>
酸化剤は、その機構は定かではないが、銅などの金属を酸化し金属イオン又は酸化物を生成する役割を演じる。酸化剤による反応で生成した銅イオンと錯体形成剤とが錯体を形成することで、研磨が進行すると考えられる。
酸化剤としては、熱や光等の外部エネルギーによって酸素−酸素結合が解離しラジカルを生成する酸素−酸素結合を持つ過酸化物が、強い酸化力を示すので好ましい。このような過酸化物系酸化剤の例としては、過酸化水素、過硫酸塩類、ペルオキソ炭酸塩類、ペルオキソ硫酸塩類、ペルオキソリン酸塩類等の無機過酸化物や、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、過蟻酸、過酢酸等の有機過酸化物などがあげられる。好ましい酸化剤は過酸化水素、過硫酸アンモニウム、または過硫酸カリウムである。これらの酸化剤の中では、アンモニウム塩類、特に過硫酸アンモニウムを用いると、銅膜に対して高い研磨速度が得られるのでより好ましい。次いで好ましい酸化剤は過酸化水素と過硫酸カリウムである。
研磨用組成物に対する酸化剤の含有量は0.1〜5質量%、特に0.5〜3質量%、0.5〜1.5質量%が望ましい。0.1質量%未満では銅の研磨速度が低下するおそれがある。5質量%超では、銅表面の腐食やディッシングが発生しやすくなる。ディッシングを抑制しつつ銅膜を高速で研磨するためには、過硫酸アンモニウム、過酸化水素および過硫酸カリウムから選ばれる少なくとも1種の酸化剤を用いることが好ましい。特に過硫酸アンモニウムを用いることが好ましい。
<水>
本発明の研磨用組成物における主たる液状媒体は水であり、水のみまたは水と水溶性溶媒との混合物からなることが好ましい。水としては、イオン交換し、異物が除去された純水を用いることが好ましい。水溶性溶媒としては、水溶性アルコール、水溶性ポリオール、水溶性エステル、水溶性エーテルなどを使用できる。本発明の研磨用組成物における液状媒体は水のみまたは水を80質量%以上含む水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が好ましく、実質的に水のみからなることが最も好ましい。また、本発明の研磨用組成物における液状媒体の割合は90質量%以上、特に95質量%以上からなることが好ましい。この液状媒体の実質的全量は水からなることが好ましく、その場合本発明の研磨用組成物における水の含有量は、90質量%以上、特に95質量%以上であることが好ましい。
前記の本発明の研磨用組成物の各成分の割合は研磨をおこなうときの組成割合をいう。
研磨に先立ち研磨用濃縮組成物を希釈し、その希釈物を研磨に使用する場合、上記および後述の各成分の割合はこの希釈物における割合である。研磨用濃縮組成物は通常液状媒体(特に水)で希釈され、したがって、その場合液状媒体を除く各成分の相対的割合は希釈の前後で通常は変化しない。
本発明の研磨用組成物のpH値は、7.5〜12、特に8〜11、さらには8.5〜10.5であることが好ましい。より好ましくは9〜10である。pH値が7.5より低いと、本発明の研磨用組成物中に含有させた脂環族樹脂酸が、研磨用組成物中で分離して不均一になるおそれがある。銅を高速に研磨するためには、pH値を8.0以上とすることが好ましい。pH値が12より高いと銅膜の腐蝕が顕著なため好ましくない。銅膜の研磨残りや腐蝕を充分に抑制するためには、pH値を11以下とすることが好ましい。
本発明の研磨用組成物を、上述のpH値に調整するためにはpH調整剤を用いることができる。塩基性側へ調整する場合は、水酸化カリウム、有機アミン、アンモニアを用いることが好ましい。これらのいずれを用いてもよいが、銅と錯イオンを形成する有機アミンやアンモニアを用いると、銅膜に対して大きな研磨速度が得られて好ましい。また、pH調整は、いったん所望のpH値より塩基性側とした後、硝酸、硫酸、リン酸などを添加して酸性側へ調整して所望のpH値に調整してもよい。
本発明の研磨用組成物を調製する一連の工程の中で、pH調整剤を混合する工程の順番は問わないが、あらかじめ塩とすることなく脂環族樹脂酸などを含有させるときには、液状媒体にpH調整剤を混合して塩基性とした液状媒体(他の成分の一部ないし全部が既に含有されていてもよい)にしておくと、脂環族樹脂酸などの溶解〜混合が容易になるとともに、分離しにくくなるため好ましい。
<砥粒>
本発明の研磨用組成物は、砥粒を配合しない場合にもその効果を発揮し得るが、砥粒を配合して用いてもよく、その場合、さらに銅を高速に研磨することができる。
本発明の研磨用組成物に配合することができる砥粒としては、α−アルミナ、δ−アルミナ、γ−アルミナ、シリカ、セリアなどがあげられる。が、その中でも、シリカを用いることが好ましい。シリカを用いる場合には、分散性、安定性、研磨力などの点からコロイダルシリカを用いることがより好ましい。
砥粒を配合する場合、平均2次粒子径で10〜200nmが好ましい。平均2次粒子径200nm超では、砥粒径が大きすぎて砥粒の濃度を大きくすることが困難となり、10nm未満では、研磨速度の向上が困難となる。好ましくは20〜120nmの範囲である。
本発明の研磨用組成物に対する砥粒の含有量は0.01〜10質量%、特に0.05〜5質量%、さらには0.05〜2質量%、0.05〜1質量%、0.05〜0.6質量%が好ましい。
<防錆剤>
本研磨用組成物は、防錆剤を含むことが好ましい。防錆剤としては、具体的には、イミダゾール誘導体であることが、特にピットを防止できる点で好ましい。イミダゾール誘導体とは、具体的には、イミダゾールおよび、イミダゾールについて、下式に示す1〜5位がメチル基で置換されていてもよく、4,5位は、置換基が付いていてもよいベンゼン環の一部となっていてもよい、誘導体である。
Figure 2010024404
イミダゾール誘導体としては、具体的には、ベンズイミダゾール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。イミダゾール誘導体は、研磨特性の点から研磨用組成物の全質量に対し、0.001〜0.5%含まれることが好ましく、0.003〜0.3%含まれることがより好ましい。
<その他の成分>
本発明の研磨方法に用いられる研磨用組成物には、本発明の趣旨に反しない限り、上記の成分の他に還元剤、粘度調整剤、分散剤、防腐剤等を適宜配合することもできる。ただし、これらの含有量は、通常合計で10質量%以下、特に5質量%以下、3質量%以下であることが好ましい。
このようにして構成された研磨用組成物は、銅を配線用金属として用いた場合に銅残りやピットを抑制でき、精度の高い表面平坦化を実現できる。このため、優れて平坦な表面状態を有する半導体集積回路表面を得ることができ、半導体集積回路の多層化、細線化にとって極めて有効である。
本発明にかかる研磨用組成物は、研磨剤として、配線用の溝を持つ表面に形成された銅膜を研磨するのに適する。本発明にかかる研磨用組成物にさらにその他の構成成分を加えて研磨剤として使用してもよい。より具体的には、ダマシン法により銅配線を形成する半導体集積回路装置の製造方法においてディッシングやエロージョンの進行が効果的に抑制されるので、優れて平坦な表面状態を有する半導体集積回路表面を得ることができる。
<研磨用組成物>
本発明に係る研磨用組成物は、ドデシルベンゼンスルホン酸成分を必須とし、アルケニルコハク酸成分、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分およびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分からなる群から選ばれた少なくとも一つの平坦性向上剤を含む。上記のような組成とすることで、絶縁層上にバリア層を介して設けられた銅層を研磨して、幅100μmの銅埋込み配線と幅100μmの絶縁層とを交互に形成するパターン形成において、銅層に隣接したバリア層が露出した後に、当該バリア層が露出する前の銅の研磨速度で当該銅を200nm研磨するのに要する時間だけ研磨したときのディッシング量(センターチップでもエッジチップでも)が55nm以下、特に45nm以下である特徴を有するようになすことが可能である。これにより、銅を配線用金属として用いた場合に精度の高い表面平坦化を実現できる。
研磨条件には、研磨速度、研磨パッドの押し付け圧等の可変条件があるが、これらについては特に制限はない。一般的には、好ましくは研磨速度を200〜800nm/分とし、研磨パッドの押し付け圧を4psi(換算値は27.6kPa)以下とすることが好ましい。
上記において、ディッシング量は、後述するように、図4(b)の符号7で表される深さである(または図5の符号17で表される深さである)。
<研磨方法>
本発明に係る研磨用組成物は、絶縁層上にバリア層を介して設けられた銅層を研磨して、銅埋込み配線と絶縁層とを交互に形成するパターン形成のための研磨方法であって、上記の研磨用組成物である第1の研磨用組成物で研磨する第1研磨工程と、その後、絶縁層上にバリア層を介して設けられた銅層を研磨して、銅埋込み配線と絶縁層とを交互に形成するパターン形成において、第2の研磨用組成物で研磨する第2研磨工程と、を備えた研磨方法に好ましく使用することができる。
これらの二種類の研磨用組成物を使い分ける本研磨方法により、銅を配線用金属として用いた場合に、ディッシングやエロージョンの少ない、優れて平坦な表面を、面内均一性よく実現できる。このため、半導体集積回路の多層化、細線化にとって極めて有効である。
上記第1研磨工程と第2研磨工程とは、第1研磨工程の直後に第2研磨工程を行い、それで研磨を完成するのが一般的に好ましいが、必要に応じて第1研磨工程と第2研磨工程の間、第1研磨工程の前や第2研磨工程の後に他の工程を含めてもよい。第1研磨工程の終了時期、第2研磨工程の開始時期および終了時期については特に制限はなく、研磨の実情に応じて適宜定めることができるが、通常は、絶縁層上にバリア層を介して設けられた銅層が、配線以外において除去された時点で第1研磨工程を止めて第2研磨工程に移り、所定の表面平坦性が得られた時点で第2研磨工程を止めることが好ましい。すなわち、第1研磨工程で銅配線以外の銅の部分を除去し、第2研磨工程でバリア層を除去すると共に、たいていの場合には絶縁層と、必要であれば銅の一部を極くわずかに研磨して、絶縁層と銅層とからなる平坦な面が形成される。
以下に本発明を実施例を用いて説明するが、本発明は以下の記載に限定されない。例1〜64および86〜111は実施例、例65〜85は比較例である。
例1〜111の各例の研磨用組成物の組成は、表1〜6にまとめた通りである。それぞれの成分の含有量は、混合された研磨用組成物全体に対する質量%で記した。pH値は、横河電機社製のpHメーター pH81−11で測定した。また、コロイダルシリカの平均2次粒子径は、NIKKISO社製のマイクロトラックUPA-ST150粒度分析計を使い、動的光散乱法で測定した。測定サンプルは、測定に適正な散乱、反射光強度が得られる、装置の定める適正濃度範囲に純水で希釈して測定を行った。
研磨用組成物は、例1については、錯体形成剤である2−ピリジンカルボン酸の所定量をイオン交換水に添加し、次いで、表2に記載されているようなpHとなるように、pH調整剤である水酸化カリウムを添加し、充分に撹拌した。さらに撹拌しながら、脂環族樹脂酸であるKR614(荒川化学工業社製)、溶解助剤のドデシルベンゼンスルホン酸、平坦性向上剤のアルケニルコハク酸、および酸化剤であるAPS(過硫酸アンモニウム)を添加し、次いで砥粒であるコロイダルシリカを添加して作製した。例1以外の他の例についても、表1〜6に記載されたような組成で、例1と同様に処理して研磨用組成物を得た。
使用したKR614に関し、GC/MS法により複数ロットについて、以下のとおり分析を行った。
分析はPTAH法によりガスクロマトグラフィを用いておこなった。すなわち、分析する各試料6ミリグラムをPTAH(ジーエルサイエンス社製、Phenyl Trimethyl Ammonium Hydroxide 0.2モルメタノール溶液)0.5ミリリットルに溶解し、インジェクション温度を250℃としたガスクロマトグラフィ装置に注入し、瞬間的にメチルエステル化して測定した。カラムは、DEGS(Diethylene glycol succinate)を充填した、内径0.25mm、長さ25m、膜厚0.25μmのキャピラリーカラムを用いて、オーブン温度は180度、試料の注入量は4.0μリットルとした。ディテクターにはFIDを用いて、得られた測定チャート上のピーク面積から各成分の含有量を求めた。上記のGC/MS法による複数ロットの分析の結果、KR614は、主成分としてデヒドロアビエチン酸を75〜85質量%含有していることが分かった。オレイン酸のピークは検出されなかった。
研磨用組成物の研磨特性は下記の方法により評価した。
<被研磨物>
被研磨物として、ブランケットウエハとパターン付きウェハとを使用した。
ブランケットウエハとしては、銅研磨速度評価用には、Si基板上に厚さ1500nmの銅膜を湿式メッキで成膜した8インチウェハ(Sematech社製000CUR015)を使用した。
パターン付きウェハとしてはSematech社製8インチウェハ(商品名:854CMP225)を使用した。研磨前のパターン付きウェハの概略断面を図4(a)に示す。
このパターン付きウェハは、Si基板1上に形成された埋め込み配線が埋め込まれる凹部と凸部とが形成されたSiOよりなる絶縁層2上に、スパッタリングにより成膜された厚さ25nmのタンタル膜からなるバリア層3と、さらにその上に、湿式メッキで成膜された所定の膜厚の銅膜からなる配線金属層4とが積層され、配線幅が100μmから180nmの様々な幅の配線パターンが形成されている。絶縁層2の凸部上のタンタル膜からなるバリア層3の表面上の銅膜の膜厚が初期膜厚8であって、絶縁層2の凸部上と凹部上に形成された銅膜の段差が初期段差9である。初期膜厚は900nm、初期段差は350nmであった。
<研磨特性の評価>
研磨機としては、APPLIED MATERIALS社製全自動CMP装置 MIRRAを使用した。研磨パッドとしては、2層パッドIC1400のXYK−groove(ニッタハース社製)を使用し、MEC100−PH3.5L(三菱マテリアル社製)を用いてコンディショニングをおこなった。
研磨は、例1の研磨用組成物については、研磨用組成物の供給速度を200ml/分、研磨ヘッド(Head)および研磨定盤(Platen)の回転数をそれぞれ123rpm、117rpmとし、研磨圧を2psiすなわち13.8kPaとしておこなった。
また、例2以降については、研磨用組成物の供給速度を200ml/分、研磨ヘッド(Head)および研磨定盤(Platen)の回転数をそれぞれ123rpm、117rpmとした。研磨圧は、例4〜30,33,34,47〜49,57〜63,90,94,95,98〜100,102〜109については1.5psiすなわち10.4kPaとし、その他の例については2psiすなわち13.8kPaとしておこなった。
(1)ベタ研磨速度
ブランケットウエハを用いた銅研磨速度の測定は、膜厚計RS−75(KLA−Tencor社製)を使用しておこなった。すなわち、銅のブランケットウエハについて、研磨前の膜厚と1分間研磨した後の膜厚とを測定し、その差からそれぞれ銅研磨速度(nm/分)を求めた。Cuの研磨速度は、700nm以上であることが好ましい。
研磨用組成物の研磨で使用したパターン付きウェハの研磨は、光学式研磨終点検出法により研磨終点をモニターしながらおこなった。すなわち、研磨の進行に伴ってタンタルからなるバリア層が露出し始めて生じる反射率の低下がほぼ止まって一定となる研磨終点まで研磨したのち、さらに30秒間オーバー研磨をおこなった。研磨終点ではバリア層上の銅膜の一部を除き除去されていて、オーバー研磨をおこなうことにより、この一部残った余剰の銅膜が除去された。
(2)ディッシング量
上記パターン付きウェハの研磨の後、配線幅および配線間隔が100μmのパターンについて、プロファイラーHRP−100(KLA−Tencor社製)によりタンタル膜面と銅膜面との表面段差すなわちディッシング量を測定して、研磨により銅配線パターン面がタンタル膜面よりえぐられた度合いを評価した。
なお、表1〜6中、研磨終点とは、上述における「バリア層上の銅膜一部を除き除去されて、バリア層が露出した」時点までの研磨時間であり、オーバー研磨時間はその後の研磨時間である。総研磨時間は研磨終点とオーバー研磨時間との合計である。ディッシングの測定はセンターチップとエッジチップとに分けて行った。センターチップとはウェハ上に存在する20mm角のチップのうち、中心部にあるチップのことであり、エッジチップとはウェハ上に存在する20mm角のチップのうち、最も端部に近いチップのことである。センターチップおよびエッジチップのそれぞれの値は、50nm以下、特に30nm以下であることが好ましい。センターチップとエッジチップのディッシング量の差は、20nm以下、特に10nm以下であることが好ましい。
研磨後のパターン付きウェハの概略断面図を図4(b)に示す。図4(b)では絶縁層2の凸部上では、銅膜からなる配線金属層4は完全に研磨され、タンタル膜からなるバリア層3の表面が露出している。また絶縁層2の凹部上では、絶縁層2の凸部上のバリア層3の表面に対して、符号7で示される深さだけえぐられて研磨されている。この表面段差の高さをディッシング量7とした。一方、図4(c)は理想的に研磨されたパターン付きウェハの概略断面図であって、このような表面段差を生じることなく、埋め込み配線が形成されている。
<銅残り>
SEM写真により評価した。具体的には、加速電圧を2KVとし、2000倍の倍率で、0.18μmの線幅の銅線間部分について銅が残っているかどうかで検査した。銅残りがほとんど観察されない場合を○、される場合を×とした。
<ピット>
SEM写真により評価した。具体的には、加速電圧を2KVとし、50000倍の倍率で、表面の凹凸について調査した。凹凸がまったく観察されない場合を◎、凹凸がほとんど観察されない場合を○、凹凸が観察される場合を×とした、
なお、どの例においても、パターンのエロージョンは良好であった。
評価結果を表1〜6に示す。
Figure 2010024404
Figure 2010024404
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Figure 2010024404
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実施例は全て、ディッシング量、銅残り、ピット共良好な結果を示した。これに対し、その他の比較例は、全て、ディッシング量、銅残り、ピットのいずれかが不十分な値を示した。たとえば、例(比較例)65および66を見ると、坦性向上剤が含まれておらず、ドデシルベンゼンスルホン酸だけが添加されているため、銅残りやピットは満足できる結果である一方、ディッシング量が悪化している。これに対し、例えば例2や例43は、特定の平坦性向上剤が含まれているため、銅残りやピットを悪化させることなく、ディッシングが非常に向上していることが分かる。
また、例82〜84をみると、ベンズイミダゾールが入っているにもかかわらず、オレイン酸が含まれており、銅残りやピットが悪化していることが分かる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本出願は、2008年8月28日出願の日本特許出願2008−218944および2008年10月16日出願の日本特許出願2008−267450に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明によれば、第1研磨工程における銅配線の研磨速度を良好としつつ、ディッシングの問題を解決し、エロージョンも悪化させずかつ銅残りや銅配線上のピットの問題を解消できる、第1研磨工程用の新規な研磨用組成物が得られる。
1 Si基板
2 絶縁層
3 バリア層
4 配線金属層
6 銅埋込み配線
7 ディッシング量
8 銅膜の初期膜厚
9 銅膜の初期段差
17 ディッシング部分
18 エロージョン部分
19 最大段差
20 Global部
21 銅残り
22 銅残りのない部分
23 配線密度の高い箇所

Claims (12)

  1. 絶縁層上にバリア層を介して設けられた銅層を研磨して、銅埋め込み配線と絶縁層とを交互に形成するパターン形成において、前記銅層に隣接した前記バリア層が露出するまで研磨する工程に用いられる研磨用組成物であって、
    ドデシルベンゼンスルホン酸成分と、
    アルケニルコハク酸成分、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸成分およびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸成分からなる群から選ばれる少なくとも一つの平坦性向上剤と
    を含む、研磨用組成物。
  2. 更に脂環族樹脂酸を含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記脂環族樹脂酸がロジンである、請求項2に記載の研磨用組成物。
  4. 更にイミダゾール誘導体を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の研磨用組成物。
  5. 更に砥粒としてコロイダルシリカを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の研磨用組成物。
  6. 更に酸化剤を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の研磨用組成物。
  7. 更に錯体形成剤を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の研磨用組成物。
  8. 研磨用組成物中のオレイン酸の含有量が0.03質量%以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の研磨用組成物。
  9. 半導体集積回路装置の製造方法であって、
    当該半導体集積回路装置が、溝を有する絶縁層と、当該溝に形成された銅埋め込み配線とを備えており、
    当該絶縁層上にバリア層と銅層とがこの順に形成された当該半導体集積回路装置用の多層構造体を、請求項1〜8のいずれかに記載の研磨用組成物を用いて、前記銅層に隣接した前記バリア層が露出するまで研磨することを含む、半導体集積回路装置の製造方法。
  10. 前記バリア層が、Ta、TaNおよびTiNからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項9に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
  11. 前記多層構造体が、前記絶縁層と前記バリア層との間にキャップ層を備えている、請求項9または10に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
  12. 前記溝を有する絶縁層が3以下の比誘電率を有する、請求項9〜11のいずれかに記載の半導体集積回路装置の製造方法。
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