JPWO2010016236A1 - 多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シート及びその製造方法 - Google Patents

多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シート及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

結晶化度が25〜45%のポリオレフィン樹脂からなる発泡樹脂シートであって、該発泡樹脂シートの平均セル径が0.5〜30μmであることを特徴とする多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを提供する。本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、均一で微細なセルを形成し、高い拡散反射率を有するとともに、優れた耐光劣化性を有する。

Description

本発明は多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シート及びその製造方法に関し、更に詳しくは、セル径が微細で且つ均一であるため、各種ディスプレイ用の光反射シートや、照明器具の背面等に設置する光反射板、表面張力による毛管現象を利用したアルコールランプ等の溶媒供給部材等に有用な多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シート及びその製造方法に関する。
各種ディスプレイの中で、例えば、液晶表示装置(LCD) 等の後面に設置される光反射シートにおいては、従来より色々な材料が使われている。例えば、炭酸カルシウムや非相溶性溶媒を含有させたポリエステル樹脂シートを2軸延伸により微細な空孔ボイドを形成させた白色ポリエステルシートが提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このような白色ポリエステルシートは、シート膜厚が200μm未満と薄いため、例えば大型液晶表示装置用に使用する際、フィルムの歪みや、撓みなどからくる加工性に問題を生じたり、空孔ボイドの形状が一定ではないことにより光反射率(以下、単に反射率と記載する場合がある)が低いという問題がある。
また、シート膜厚が200μm以上と厚く、均一な微細セルを有するポリエステル発泡シートが提案されている(例えば、特許文献2)。このようなポリエステル発泡シートは、シートの加工性も良く、反射率も白色ポリエステルシートより高い利点を有するものの、ポリエステル発泡シートは耐光劣化性が十分でないため、近年のディスプレイの大型化により、照明光源の高出力化や光源ランプの増加によって光量の増加と高温化が惹き起こされ、その結果、色調の黄変劣化による反射率の低下や輝度ムラが発生するという問題がある。
更に、炭酸カルシウムを含有させた耐光性のある白色ポリオレフィンシートが提案されている(例えば、特許文献3)。しかしながら、この白色ポリオレフィンシートは、上記特許文献1と同様に、2軸延伸により空孔ボイドを形成させているため、シートの加工性等において問題が残されている。
一方、照明器具などの光反射板においても、光反射率が高いもののが要求される場合が多い。該用途の光反射板としては、鋼板、アルミニウム板などの金属材料板や、プラスチック板表面に光反射性のある顔料や塗料を塗布したものが一般的に使われている。しかしながら、金属材料板は、反射率の中でも全反射率は高いが、拡散反射率が低めであるため、反射光が眩しく感じられるという問題がある。また、プラスチック板の表面に、光反射性の顔料や塗料を塗布した光反射板は、塗膜を厚くするのに限界があったり、また顔料や塗料自体が光を吸収するため、光反射率が低いという問題である。
特開平4−239540号公報 WO97/01117号公報 特開2003−176367号公報(
本発明は、上記従来技術の問題を解決し、セル径が微細且つ均一で、高い拡散反射率を有するとともに、耐光劣化性に優れた多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シート及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究の結果、特定のポリオレフィン樹脂シートに不活性ガスを注入させ、加熱発泡させて得られた多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートが、均一で微細なセルを形成し、高い拡散反射率を有するとともに、優れた耐光劣化性を有し、さらに高い生産性を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の請求項1は、結晶化度が25〜45%のポリオレフィン樹脂からなる発泡樹脂シートであって、該発泡樹脂シートの平均セル径が0.5〜30μmであることを特徴とする多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを内容とするものである。
本発明の請求項2は、ポリオレフィン樹脂の数平均分子量(Mn)が5万〜30万であることを特徴とする請求項1記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを内容とするものである。
本発明の請求項3は、ポリオレフィン樹脂の、Z平均分子量(Mz)/重量平均分子量(Mw)が、4〜8であることを特徴とする請求項1又は2記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを内容とするものである。
本発明の請求項4は、比重が0.4〜0.7g/cm3 であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを内容とするものである。
本発明の請求項5は、結晶化度が25〜45%のポリオレフィン樹脂シートに密閉容器内で不活性ガスを40〜71kgf/cm2 の圧力下で注入し、次いで、常圧下で130〜200℃の温度で加熱発泡させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の請求項6は、ポリオレフィン樹脂シートの厚さが200〜1500μmであることを特徴とする請求項5記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の請求項7は、ポリオレフィン樹脂シートをロール状とし、該シート間にセパレーターを介在させて不活性ガスを注入することを特徴とする請求項5又は6記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の請求項8は、セパレーターの厚さが100〜1000μmであることを特徴とする請求項7記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の請求項9は、不活性ガスが二酸化炭素であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の請求項10は、不活性ガスの注入時間が10〜24時間であることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の請求項11は、セパレーターを取り除いてポリオレフィン樹脂シートだけを加熱発泡させることを特徴とする請求項7記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、均一で微細なセルを形成し、高い 拡散反射率を有するとともに、優れた耐光劣化性を有し、また、本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法によれば、高い生産性で上記多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを製造することができる。
PP主成分のポリオレフィン樹脂シートにセパレータを重ねてローリングしてロールを形成した概略図である。
本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、結晶化度が25〜45%のポリオレフィン樹脂からなる発泡樹脂シートであって、該発泡樹脂シートの平均セル径が0.5〜30μmであることを特徴とする。
本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの平均セル径は、0.5〜30μmであることが必要である。平均セル径が30μmを超えると、セル界面での乱反射が減少することにより反射率が低下したり、光漏洩よる光損失が起こる。一方、平均セル径が0.5μm未満では、可視光線の波長より小さくなるため拡散反射をすることなく透過するため反射率が低下する。従って、好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μmである。
平均セル径は、走査型電子顕微鏡(SEM)径で算出した平均直径である。具体的には、発泡セル径をSEM観察撮影した後、座標読み取り装置(デジタイザー)を用い、セルの長径部分と短径部分の読み取り作業を各セル(サンプル数100個)について行い平均値を算出する。
本発明で使用されるポリオレフィン樹脂の結晶化度は、25〜45%であることが必要である。結晶化度とは、発泡セル径や、発泡セル数を示す指標となる。不活性ガスの注入性は結晶化度により増減し、結晶化度が高いほど注入性が小さくなり、結晶化度が低いほど注入性は大きくなる。結晶化度が25%未満では、不活性ガスが多く注入されることにより、必要以上の発泡セル数が生成してセル同士の合一が起こり、均一なセル径が得られない。一方、結晶化度が45%を超えると、不活性ガスの注入性が小さ過ぎるため必要な発泡セル数が得られず、光反射シートとして使用する場合、光反射率が低下する。従って、好ましくは30〜40%、さらに好ましくは33〜37%である。
また、発泡セル数の指標としては、比重値を指標とすることもでき、比重値が低いほど発泡セル数が多くなる傾向がある。但し、セル数が多くなるとセルの合一も起こり易くなる。従って、好ましい比重値、使用したポリオレフィン樹脂の性質にもよるが、通常0.4〜0.7g/cm3 が好ましい。
結晶化度は、示差走査熱量測定(DSC)を用い、ポリオレフィン樹脂固有の転移エンタルピー(ΔHP)を、ポリオレフィン樹脂の理論転移エンタルピー(ΔHT)で除した数値である。
なお、本発明で使用したDSCは、Pyris Diamond (Perkin Elmer社製)である。また、理論値は、ATHAS (The Advanced Thermal Analysis System)データバンクから引用した。
結晶化度が25〜45%のポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子ポリエチレン(UHMW−PE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)等が挙げられる。これらは、必要に応じ、単独又は2種以上組み合わせて用いられる。また、これらはブロックやランダム等で共重合されていても何ら差し支えない。
上記オレフィン樹脂の中で、特にPP樹脂は、耐熱性や成形加工性が高く安価であるため、PP樹脂を主成分とする樹脂を好適に使うことができる。
本発明に使用されるポリオレフィン樹脂は、数平均分子量(Mn)が5〜30万であることが好ましく、更に、Z平均分子量(Mz)/重量平均分子量(Mw)が4〜8であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂の分子量が高いほど、樹脂の強度や硬度が高くなるため、微細なセル径を得る指標になりやすい。数平均分子量(Mn)が30万を超えると、樹脂が硬くなるためセル径が0.5μmより小さくなり易く、またロール状のシートをカッティングしてシート状にする場合の平坦性にも問題が生じやすい。一方、数平均分子量(Mn)が5万未満の場合、樹脂が柔らかくなるためセル径が大きくなり過ぎる傾向があり、また耐光劣化性の問題が生じ易い。従って、より好ましくは8〜25万、さらに好ましくは12〜20万である。
また、衝撃強度の指標として、Z平均分子量(Mz)/重量平均分子量(Mw)が4〜8の範囲にあることが、セルの形状の均一性を保持する観点から好ましい。Mz/Mwが8を超えても特に問題はないが、特別なオレフィン樹脂になるためコスト高になりやすく、4未満であるとセルの形状が歪み易くなり、光学材料としての安定性に問題が生じる場合がある。従って、好ましくは4.5〜8、さらに好ましくは5〜8である。
本発明において、数平均分子量(Mn)、Z平均分子量(Mz)、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて算出する。なお、使用したGPCは、Alliance(日本ウォ−ターズ社製)である。
本発明において、ポリオレフィン樹脂に、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、成形助剤、可塑剤、滑剤等を必要に応じて添加することは何ら差し支えない。
例えば、発泡セル径を小さくする目的で結晶核剤を添加することは、例えば液晶テレビ用光反射シートの場合、発泡樹脂の膜厚を比較的薄くすることがきるため好ましい。
結晶核剤の種類は特に限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、酸化亜鉛、シリカ、酸化チタン、カーボンブラック等の無機系結晶核剤が、耐熱性や安定性の面で好ましく、特に液晶用光反射シート用の場合、光安定性の面から炭酸カルシウムやリン酸カルシウムが好適である。これらは単独で又は必要に応じ、2種以上組み合わせて用いられる。
本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、結晶化度が25〜45%のポリオレフィン樹脂シートに密閉容器内で不活性ガスを40〜71kgf/cm2 の圧力下で注入し、次いで、常圧下で135〜200℃の温度で加熱発泡させることにより好適に製造することができる。
具体的には、結晶化度25〜45%のポリオレフィン樹脂シートをローリングさせてロールを形成させる工程と、該ロールを密閉容器内に入れて不活性ガスを供給してポリオレフィン樹脂シートに注入させる工程と、該ポリオレフィン樹脂シートに微細セルを形成させるように加熱発泡させる工程とからなる。
好ましい製造方法について説明すると、結晶化度25〜40%のポリオレフィン樹脂を押出成形等により好ましくは厚さ200μm以上、より好ましくは厚さ200〜1500μmのシート状に成形し、これをローリングさせることによりロールを形成する。
この場合、ポリオレフィン樹脂シートをローリングする際、ロールの中心まで不活性ガスを注入し易いように、シート間にセパレータを介在させ重ねることが好ましい。このようなセパレータとしては、樹脂製の不織布、樹脂製の網や金属製の網等が例示されるが、金属製のセパレーターは発泡シートにセパレーターの跡が残り易いので、発泡シートと類似のポリオレフィン樹脂系の不織布が好適に用いられる。セパレーターの厚さは、小さ過ぎると不活性ガスを注入し易くする効果が不十分となり、一方、大き過ぎても効果は一定で、かえって嵩張るため、100〜1000μm程度が好ましい。
次いで、上記ロールを密閉容器内に入れ不活性ガスを供給してポリオレフィン樹脂シートに注入させる。本発明で使用できる不活性ガスは、窒素やアルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が例示できるが、ポリオレフィン樹脂に対して室温付近で高い注入性がある二酸化炭素が好適である。不活性ガスの注入圧は、40〜71kgf/cm2 の範囲が好ましい。注入圧が40kgf/cm2 未満では、ポリオレフィン樹脂シートに注入する時間が長くなり生産性が低下する傾向があり、一方、71kgf/cm2 を超えると、耐圧性の高い密閉容器が必要になるため、工業的に生産する場合、装置が大がかりになりコストアップとなる傾向があるので好ましくない。またガスの注入時間は、注入圧力や樹脂シートの膜厚等により一概に規定できないが、通常、10〜24時間程度である。
次いで、密閉容器内からロールを取り出し、常圧下で加熱発泡させる。通常、ロールを取り出してから、1時間以内に加熱発泡させるのが好ましい。ロールを取り出してから1時間を超えて加熱発泡させると、常温の場合、発泡セル数が少なくなる傾向がある。
また、加熱発泡させる加熱温度は、樹脂の融点に近い温度であることが好ましく、ポリオレフィン樹脂の場合、通常130〜200℃である。また加熱方法は、均一な温度がポリオレフィン樹脂シートの内部まで均一に行き渡る加熱方法が好ましく、プレートヒーター、赤外線ヒーター、熱風炉、オイルバス等が例示できる。
尚、ポリオレフィン樹脂シートとセパレーターを重ねてローリングしてロールを形成した場合は、セパレーターを取り除いてポリオレフィン樹脂シートだけを加熱発泡させる。即ち、密閉容器内からロールを取り出し、セパレーターを取り除きながらポリオレフィン樹脂シートだけを加熱して発泡させる。加熱発泡させたポリオレフィン樹脂シートは、冷却して所定のサイズにカッティングされ、多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートとされる。
以下、実施例及び応用例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
実施例1
結晶化度26%のPPを主成分としたポリオレフィン樹脂を押出機により押し出して厚さ800μmのシート状にし、図1に示すように、得られたポリオレフィン樹脂シート1と厚さ200μmのPPを主成分としたセパレータ2と重ね、ローリングさせてロール3を得た。
次いで、ロール3を高圧密閉容器に入れ、不活性ガスとして二酸化炭素を50kgf/cm2 −20時間の条件で、ポリオレフィン樹脂シート1に注入させた。
次いで、高圧密閉容器内からロール3を取り出し、セパレータ2を取り除きながらポリオレフィン樹脂シート1のみをプレートヒータで135℃で10秒の条件で加熱発泡させ、さらに冷却装置で常温にまで冷却し、多孔質のポリオレフィン樹脂発泡シートを得た。
得られた多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの諸物性を表1に示す。
実施例2〜12、比較例1〜4
表1、表2に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを得た。得られたポリオレフィン樹脂発泡シートの諸物性を表1、表2に示す。
実施例13
実施例3のポリオレフィン樹脂100重量部に対し、結晶核剤として炭酸カルシウム(商品名:YM15;丸尾カルシウム社製)を2重量部配合した以外は実施例3と同様の操作を行い、多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを得た。得られた多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの諸物性を表2に示す。
実施例14
実施例3のポリオレフィン樹脂100重量部に対し、結晶核剤として炭酸カルシウム(商品名:HAP−05NP;丸尾カルシウム社製)を2重量部配合した以外は実施例3と同様の操作を行い、多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを得た。得られた多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの諸物性を表2に示す。
Figure 2010016236
Figure 2010016236
「耐光性試験前後の全反射率と拡散反射率」
実施例2〜4、6〜14と、比較例1、2、4で得られたポリオレフィン樹脂発泡シートの下記の方法で耐光性試験を行い、耐光性試験前後の全反射率と拡散反射率を下記の測定方法により測定した。測定結果を表3、4に示す。
なお、参考例1として、市販のポリエステル発泡シートについても同様に測定した。測定結果を表4に示す。
「測定方法」
1)全反射率・拡散反射率
紫外可視分光光度計(UV3101PC,島津製作所社製) を用い、400〜1000nmの波長領域を測定し、550nmの全反射率及び拡散反射率をそれぞれ代表値とした。尚、標準板としては、硫酸バリウムを用いた。拡散反射率が高い程、光反射シートの色相が良好と言える。
2)耐光性試験
JIS K7350-2 に準拠し、キセノンウェザーメーター(SX75,スガ試験機社製)を用い、波長=300〜400nm、放射照度=180W/m2 、ブラックパネル温度=83℃、湿度=50%RHの条件で、144時間照射した。
Figure 2010016236
Figure 2010016236
表3、4の結果より、実施例に代表される本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの反射率は、比較例や参考例のものに比べて全反射率及び拡散反射率、特に拡散反射率が高く、且つ、耐光性試験前の値が良く維持されており、耐候劣化性に優れていることが分かる。
「毛管現象を利用したメタノール水溶液吸い上げ試験」
毛管現象を利用する溶媒供給用として、実施例1、3、5、6、及び比較例2、3で得られたポリオレフィン樹脂発泡シートを、長さ150mm×幅20mmの短冊状に切断し、25℃のメタノール15%水溶液中に、各試料を先端の深さ20mmになるように縦に差し込み、1分毎に3分間、試料が毛管現象で吸い上げたメタノール水溶液の高さ(μm)を測定した。その結果を表5に示す。
毛管現象は、発泡体のセル径が均一で、ムラがないことが条件であり、通常、分単位の吸い上げ量は高い方が好ましい。
表5の結果より、実施例に代表される本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、セル径が均一で、発泡箇所のムラが少なく、セル径により吸い上げ速度に違いはあるが、毛管現象が得られていることが分かる。
一方、比較例の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、分単位で吸い上げ量が上昇していないことから、毛管現象が得られていない。従って、セル径が不均一もしくは発泡箇所にムラがあると考えられる。
Figure 2010016236
叙上のとおり、本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、均一で微細なセルを形成し、高い拡散反射率を有するとともに、優れた耐光劣化性を有し、また、本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法によれば、高い生産性で多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを製造することができる。
1 ポリオレフィン樹脂シート
2 セパレータ
3 ロール
本発明は多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シート及びその製造方法に関し、更に詳しくは、セル径が微細で且つ均一であるため、各種ディスプレイ用の光反射シートや、照明器具の背面等に設置する光反射板、表面張力による毛管現象を利用したアルコールランプ等の溶媒供給部材等に有用な多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シート及びその製造方法に関する。
各種ディスプレイの中で、例えば、液晶表示装置(LCD) 等の後面に設置される光反射シートにおいては、従来より色々な材料が使われている。例えば、炭酸カルシウムや非相溶性溶媒を含有させたポリエステル樹脂シートを2軸延伸により微細な空孔ボイドを形成させた白色ポリエステルシートが提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このような白色ポリエステルシートは、シート膜厚が200μm未満と薄いため、例えば大型液晶表示装置用に使用する際、フィルムの歪みや、撓みなどからくる加工性に問題を生じたり、空孔ボイドの形状が一定ではないことにより光反射率(以下、単に反射率と記載する場合がある)が低いという問題がある。
また、シート膜厚が200μm以上と厚く、均一な微細セルを有するポリエステル発泡シートが提案されている(例えば、特許文献2)。このようなポリエステル発泡シートは、シートの加工性も良く、反射率も白色ポリエステルシートより高い利点を有するものの、ポリエステル発泡シートは耐光劣化性が十分でないため、近年のディスプレイの大型化により、照明光源の高出力化や光源ランプの増加によって光量の増加と高温化が惹き起こされ、その結果、色調の黄変劣化による反射率の低下や輝度ムラが発生するという問題がある。
更に、炭酸カルシウムを含有させた耐光性のある白色ポリオレフィンシートが提案されている(例えば、特許文献3)。しかしながら、この白色ポリオレフィンシートは、上記特許文献1と同様に、2軸延伸により空孔ボイドを形成させているため、シートの加工性等において問題が残されている。
一方、照明器具などの光反射板においても、光反射率が高いもののが要求される場合が多い。該用途の光反射板としては、鋼板、アルミニウム板などの金属材料板や、プラスチック板表面に光反射性のある顔料や塗料を塗布したものが一般的に使われている。しかしながら、金属材料板は、反射率の中でも全反射率は高いが、拡散反射率が低めであるため、反射光が眩しく感じられるという問題がある。また、プラスチック板の表面に、光反射性の顔料や塗料を塗布した光反射板は、塗膜を厚くするのに限界があったり、また顔料や塗料自体が光を吸収するため、光反射率が低いという問題である。
特開平4−239540号公報 WO97/01117号公報 特開2003−176367号公報(
本発明は、上記従来技術の問題を解決し、セル径が微細且つ均一で、高い拡散反射率を有するとともに、耐光劣化性に優れた多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シート及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究の結果、特定のポリオレフィン樹脂からなるシートに不活性ガスを注入させ、加熱発泡させて得られた多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートが、均一で微細なセルを形成し、高い拡散反射率を有するとともに、優れた耐光劣化性を有し、さらに高い生産性を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の請求項1は、結晶化度が25〜45%、数平均分子量(Mn)が4.5万〜30万、Z平均分子量(Mz)/重量平均分子量(Mw)が4〜8であるポリオレフィン樹脂からなる発泡樹脂シートであって、該発泡樹脂シートの平均セル径が0.5〜30μmであることを特徴とする多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを内容とするものである。
本発明の請求項は、比重が0.4〜0.7g/cm3 であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを内容とするものである。
本発明の請求項は、結晶化度が25〜45%、数平均分子量(Mn)が4.5万〜30万、Z平均分子量(Mz)/重量平均分子量(Mw)が4〜8であるポリオレフィン樹脂からなるポリオレフィン樹脂シートに密閉容器内で不活性ガスを40〜71kgf/cm2 の圧力下で注入し、次いで、常圧下で130〜200℃の温度で加熱発泡させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の請求項は、ポリオレフィン樹脂シートの厚さが200〜1500μmであることを特徴とする請求項記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の請求項は、ポリオレフィン樹脂シートをロール状とし、該シート間にセパレーターを介在させて不活性ガスを注入することを特徴とする請求項又は記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の請求項は、セパレーターの厚さが100〜1000μmであることを特徴とする請求項記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の請求項は、不活性ガスが二酸化炭素であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の請求項は、不活性ガスの注入時間が10〜24時間であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の請求項は、セパレーターを取り除いてポリオレフィン樹脂シートだけを加熱発泡させることを特徴とする請求項記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法を内容とするものである。
本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、均一で微細なセルを形成し、高い拡散反射率を有するとともに、優れた耐光劣化性を有し、また、本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法によれば、高い生産性で上記多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを製造することができる。
PP主成分のポリオレフィン樹脂シートにセパレータを重ねてローリングしてロールを形成した概略図である。
本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、結晶化度が25〜45%、数平均分子量(Mn)が4.5万〜30万、Z平均分子量(Mz)/重量平均分子量(Mw)が4〜8であるポリオレフィン樹脂からなる発泡樹脂シートであって、該発泡樹脂シートの平均セル径が0.5〜30μmであることを特徴とする。
本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの平均セル径は、0.5〜30μmであることが必要である。平均セル径が30μmを超えると、セル界面での乱反射が減少することにより反射率が低下したり、光漏洩よる光損失が起こる。一方、平均セル径が0.5μm未満では、可視光線の波長より小さくなるため拡散反射をすることなく透過するため反射率が低下する。従って、好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μmである。
平均セル径は、走査型電子顕微鏡(SEM)径で算出した平均直径である。具体的には、発泡セル径をSEM観察撮影した後、座標読み取り装置(デジタイザー)を用い、セルの長径部分と短径部分の読み取り作業を各セル(サンプル数100個)について行い平均値を算出する。
また、発泡セル数の指標としては、比重値を指標とすることもでき、比重値が低いほど発泡セル数が多くなる傾向がある。但し、セル数が多くなるとセルの合一も起こり易くなる。従って、好ましい比重値、使用したポリオレフィン樹脂の性質にもよるが、通常0.4〜0.7g/cm 3 が好ましい。
本発明で使用されるポリオレフィン樹脂の結晶化度は、25〜45%であることが必要である。結晶化度とは、発泡セル径や、発泡セル数を示す指標となる。不活性ガスの注入性は結晶化度により増減し、結晶化度が高いほど注入性が小さくなり、結晶化度が低いほど注入性は大きくなる。結晶化度が25%未満では、不活性ガスが多く注入されることにより、必要以上の発泡セル数が生成してセル同士の合一が起こり、均一なセル径が得られない。一方、結晶化度が45%を超えると、不活性ガスの注入性が小さ過ぎるため必要な発泡セル数が得られず、光反射シートとして使用する場合、光反射率が低下する。従って、好ましくは30〜40%、さらに好ましくは33〜37%である
結晶化度は、示差走査熱量測定(DSC)を用い、ポリオレフィン樹脂固有の転移エンタルピー(ΔHP)を、ポリオレフィン樹脂の理論転移エンタルピー(ΔHT)で除した数値である。
なお、本発明で使用したDSCは、Pyris Diamond (Perkin Elmer社製)である。また、理論値は、ATHAS (The Advanced Thermal Analysis System)データバンクから引用した。
結晶化度が25〜45%のポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子ポリエチレン(UHMW−PE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)等が挙げられる。これらは、必要に応じ、単独又は2種以上組み合わせて用いられる。また、これらはブロックやランダム等で共重合されていても何ら差し支えない。
上記オレフィン樹脂の中で、特にPP樹脂は、耐熱性や成形加工性が高く安価であるため、PP樹脂を主成分とする樹脂を好適に使うことができる。
本発明に使用されるポリオレフィン樹脂は、数平均分子量(Mn)が4.5〜30万であることが好ましく、更に、Z平均分子量(Mz)/重量平均分子量(Mw)が4〜8であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂の分子量が高いほど、樹脂の強度や硬度が高くなるため、微細なセル径を得る指標になりやすい。数平均分子量(Mn)が30万を超えると、樹脂が硬くなるためセル径が0.5μmより小さくなり易く、またロール状のシートをカッティングしてシート状にする場合の平坦性にも問題が生じやすい。一方、数平均分子量(Mn)が4.5万未満の場合、樹脂が柔らかくなるためセル径が大きくなり過ぎる傾向があり、また耐光劣化性の問題が生じ易い。従って、より好ましくは8〜25万、さらに好ましくは12〜20万である。
また、衝撃強度の指標として、Z平均分子量(Mz)/重量平均分子量(Mw)が4〜8の範囲にあることが、セルの形状の均一性を保持する観点から好ましい。Mz/Mwが8を超えても特に問題はないが、特別なオレフィン樹脂になるためコスト高になりやすく、4未満であるとセルの形状が歪み易くなり、光学材料としての安定性に問題が生じる場合がある。従って、好ましくは4.5〜8、さらに好ましくは5〜8である。
本発明において、数平均分子量(Mn)、Z平均分子量(Mz)、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて算出する。なお、使用したGPCは、Alliance(日本ウォ−ターズ社製)である。
本発明において、ポリオレフィン樹脂に、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、成形助剤、可塑剤、滑剤等を必要に応じて添加することは何ら差し支えない。
例えば、発泡セル径を小さくする目的で結晶核剤を添加することは、例えば液晶テレビ用光反射シートの場合、発泡樹脂の膜厚を比較的薄くすることがきるため好ましい。
結晶核剤の種類は特に限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、酸化亜鉛、シリカ、酸化チタン、カーボンブラック等の無機系結晶核剤が、耐熱性や安定性の面で好ましく、特に液晶用光反射シート用の場合、光安定性の面から炭酸カルシウムやリン酸カルシウムが好適である。これらは単独で又は必要に応じ、2種以上組み合わせて用いられる。
本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、結晶化度が25〜45%、数平均分子量(Mn)が4.5万〜30万、Z平均分子量(Mz)/重量平均分子量(Mw)が4〜8であるポリオレフィン樹脂からなるシートに密閉容器内で不活性ガスを40〜71kgf/cm2 の圧力下で注入し、次いで、常圧下で135〜200℃の温度で加熱発泡させることにより好適に製造することができる。
具体的には、上記ポリオレフィン樹脂からなるシートをローリングさせてロールを形成させる工程と、該ロールを密閉容器内に入れて不活性ガスを供給してポリオレフィン樹脂シートに注入させる工程と、該ポリオレフィン樹脂シートに微細セルを形成させるように加熱発泡させる工程とからなる。
好ましい製造方法について説明すると、上記ポリオレフィン樹脂を押出成形等により好ましくは厚さ200μm以上、より好ましくは厚さ200〜1500μmのシート状に成形し、これをローリングさせることによりロールを形成する。
この場合、ポリオレフィン樹脂シートをローリングする際、ロールの中心まで不活性ガスを注入し易いように、シート間にセパレータを介在させ重ねることが好ましい。このようなセパレータとしては、樹脂製の不織布、樹脂製の網や金属製の網等が例示されるが、金属製のセパレーターは発泡シートにセパレーターの跡が残り易いので、発泡シートと類似のポリオレフィン樹脂系の不織布が好適に用いられる。セパレーターの厚さは、小さ過ぎると不活性ガスを注入し易くする効果が不十分となり、一方、大き過ぎても効果は一定で、かえって嵩張るため、100〜1000μm程度が好ましい。
次いで、上記ロールを密閉容器内に入れ不活性ガスを供給してポリオレフィン樹脂シートに注入させる。本発明で使用できる不活性ガスは、窒素やアルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が例示できるが、ポリオレフィン樹脂に対して室温付近で高い注入性がある二酸化炭素が好適である。不活性ガスの注入圧は、40〜71kgf/cm2 の範囲が好ましい。注入圧が40kgf/cm2 未満では、ポリオレフィン樹脂シートに注入する時間が長くなり生産性が低下する傾向があり、一方、71kgf/cm2 を超えると、耐圧性の高い密閉容器が必要になるため、工業的に生産する場合、装置が大がかりになりコストアップとなる傾向があるので好ましくない。またガスの注入時間は、注入圧力や樹脂シートの膜厚等により一概に規定できないが、通常、10〜24時間程度である。
次いで、密閉容器内からロールを取り出し、常圧下で加熱発泡させる。通常、ロールを取り出してから、1時間以内に加熱発泡させるのが好ましい。ロールを取り出してから1時間を超えて加熱発泡させると、常温の場合、発泡セル数が少なくなる傾向がある。
また、加熱発泡させる加熱温度は、樹脂の融点に近い温度であることが好ましく、ポリオレフィン樹脂の場合、通常130〜200℃である。また加熱方法は、均一な温度がポリオレフィン樹脂シートの内部まで均一に行き渡る加熱方法が好ましく、プレートヒーター、赤外線ヒーター、熱風炉、オイルバス等が例示できる。
尚、ポリオレフィン樹脂シートとセパレーターを重ねてローリングしてロールを形成した場合は、セパレーターを取り除いてポリオレフィン樹脂シートだけを加熱発泡させる。即ち、密閉容器内からロールを取り出し、セパレーターを取り除きながらポリオレフィン樹脂シートだけを加熱して発泡させる。加熱発泡させたポリオレフィン樹脂シートは、冷却して所定のサイズにカッティングされ、多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートとされる。
以下、実施例及び応用例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
実施例1
結晶化度26%、数平均分子量(Mn)11.2万、Z平均分子量(Mz)/重量平均分子量(Mw)が4.0のPPを主成分としたポリオレフィン樹脂を押出機により押し出して厚さ800μmのシート状にし、図1に示すように、得られたポリオレフィン樹脂シート1と厚さ200μmのPPを主成分としたセパレータ2と重ね、ローリングさせてロール3を得た。
次いで、ロール3を高圧密閉容器に入れ、不活性ガスとして二酸化炭素を50kgf/cm2 −20時間の条件で、ポリオレフィン樹脂シート1に注入させた。
次いで、高圧密閉容器内からロール3を取り出し、セパレータ2を取り除きながらポリオレフィン樹脂シート1のみをプレートヒータで135℃で10秒の条件で加熱発泡させ、さらに冷却装置で常温にまで冷却し、多孔質のポリオレフィン樹脂発泡シートを得た。
得られた多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの諸物性を表1に示す。
実施例2〜10、比較例1〜
表1、表2に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを得た。得られたポリオレフィン樹脂発泡シートの諸物性を表1、表2に示す。
実施例11
実施例3のポリオレフィン樹脂100重量部に対し、結晶核剤として炭酸カルシウム(商品名:YM15;丸尾カルシウム社製)を2重量部配合した以外は実施例3と同様の操作を行い、多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを得た。得られた多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの諸物性を表2に示す。
実施例12
実施例3のポリオレフィン樹脂100重量部に対し、結晶核剤として炭酸カルシウム(商品名:HAP−05NP;丸尾カルシウム社製)を2重量部配合した以外は実施例3と同様の操作を行い、多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを得た。得られた多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの諸物性を表2に示す。
Figure 2010016236
Figure 2010016236
「耐光性試験前後の全反射率と拡散反射率」
実施例2〜4、6〜12と、比較例1〜6で得られたポリオレフィン樹脂発泡シートの下記の方法で耐光性試験を行い、耐光性試験前後の全反射率と拡散反射率を下記の測定方法により測定した。測定結果を表3、4に示す。
なお、参考例1として、市販のポリエステル発泡シートについても同様に測定した。測定結果を表4に示す。
「測定方法」
1)全反射率・拡散反射率
紫外可視分光光度計(UV3101PC,島津製作所社製) を用い、400〜1000nmの波長領域を測定し、550nmの全反射率及び拡散反射率をそれぞれ代表値とした。尚、標準板としては、硫酸バリウムを用いた。拡散反射率が高い程、光反射シートの色相が良好と言える。
2)耐光性試験
JIS K7350-2 に準拠し、キセノンウェザーメーター(SX75,スガ試験機社製)を用い、波長=300〜400nm、放射照度=180W/m2 、ブラックパネル温度=83℃、湿度=50%RHの条件で、144時間照射した。
Figure 2010016236
Figure 2010016236
表3、4の結果より、実施例に代表される本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの反射率は、比較例や参考例のものに比べて全反射率及び拡散反射率、特に拡散反射率が高く、且つ、耐光性試験前の値が良く維持されており、耐候劣化性に優れていることが分かる。
「毛管現象を利用したメタノール水溶液吸い上げ試験」
毛管現象を利用する溶媒供給用として、実施例1、3、5、6、及び比較例2、3で得られたポリオレフィン樹脂発泡シートを、長さ150mm×幅20mmの短冊状に切断し、25℃のメタノール15%水溶液中に、各試料を先端の深さ20mmになるように縦に差し込み、1分毎に3分間、試料が毛管現象で吸い上げたメタノール水溶液の高さ(μm)を測定した。その結果を表5に示す。
毛管現象は、発泡体のセル径が均一で、ムラがないことが条件であり、通常、分単位の吸い上げ量は高い方が好ましい。
表5の結果より、実施例に代表される本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、セル径が均一で、発泡箇所のムラが少なく、セル径により吸い上げ速度に違いはあるが、毛管現象が得られていることが分かる。
一方、比較例の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、分単位で吸い上げ量が上昇していないことから、毛管現象が得られていない。従って、セル径が不均一もしくは発泡箇所にムラがあると考えられる。
Figure 2010016236
叙上のとおり、本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートは、均一で微細なセルを形成し、高い拡散反射率を有するとともに、優れた耐光劣化性を有し、また、本発明の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法によれば、高い生産性で多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートを製造することができる。
1 ポリオレフィン樹脂シート
2 セパレータ
3 ロール

Claims (11)

  1. 結晶化度が25〜45%のポリオレフィン樹脂からなる発泡樹脂シートであって、該発泡樹脂シートの平均セル径が0.5〜30μmであることを特徴とする多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シート。
  2. ポリオレフィン樹脂の数平均分子量(Mn)が5万〜30万であることを特徴とする請求項1記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シート。
  3. ポリオレフィン樹脂の、Z平均分子量(Mz)/重量平均分子量(Mw)が、4〜8であることを特徴とする請求項1又は2記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シート。
  4. 比重が0.4〜0.7g/cm3 であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シート。
  5. 結晶化度が25〜45%のポリオレフィン樹脂シートに密閉容器内で不活性ガスを40〜71kgf/cm2 の圧力下で注入し、次いで、常圧下で130〜200℃の温度で加熱発泡させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法。
  6. ポリオレフィン樹脂シートの厚さが200〜1500μmであることを特徴とする請求項5記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法。
  7. ポリオレフィン樹脂シートをロール状とし、該シート間にセパレーターを介在させて不活性ガスを注入することを特徴とする請求項5又は6記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法。
  8. セパレーターの厚さが100〜1000μmであることを特徴とする請求項7記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法。
  9. 不活性ガスが二酸化炭素であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法。
  10. 不活性ガスの注入時間が10〜24時間であることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法。
  11. セパレーターを取り除いてポリオレフィン樹脂シートだけを加熱発泡させることを特徴とする請求項7記載の多孔質ポリオレフィン樹脂発泡シートの製造方法。
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