JPWO2010016117A1 - ハロゲン化水素、水素およびハロゲン化ケイ素を含む混合ガスから水素ガスを生産する方法、その水素ガスを用いたケイ素化合物の生産方法、およびその方法のためのプラント - Google Patents

ハロゲン化水素、水素およびハロゲン化ケイ素を含む混合ガスから水素ガスを生産する方法、その水素ガスを用いたケイ素化合物の生産方法、およびその方法のためのプラント Download PDF

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Abstract

塩化水素、水素およびクロルシランを含む混合ガスからクロルシランを除去するプラント100として、混合ガスおよび塩酸水溶液を接触させる塩酸反応塔102と、塩酸反応塔102から得られる精製ガスおよび塩酸水溶液を接触させる塩酸スクラバー108と、を備えるプラント100を提供する(選択図 図1)。

Description

本発明は、ハロゲン化水素、水素およびハロゲン化ケイ素を含む混合ガスから水素ガスを生産する方法、その水素ガスを用いたケイ素化合物の生産方法、およびその方法のためのプラントに関する。
シリコンは酸素に次いで地殻中に豊富にある元素で、推定では地殻を構成する元素中の約28%を占めると言われている。金属シリコンは、1960年代から半導体材料として利用されるようになり、エレクトロニクス産業の最重要素材となっている。
モノシラン(SiH)、モノクロルシラン(SiHCl)、ジクロルシラン(SiHCl)、トリクロルシラン(SiHCl)は、このような半導体、液晶パネル、太陽電池等の製造に用いられる、特殊材料ガスである。近年、需要は順調に拡大し、エレクトロニクス分野で広く使用されるCVD材料として、今後も伸びが期待されている。
これらのモノシラン、モノクロルシラン、ジクロルシラン、トリクロルシランを製造する際の出発原料となるのが、テトラクロルシラン(四塩化ケイ素:SiCl)である。
テトラクロルシランの従来の製造方法としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。この文献には、不活性なガスで3〜10倍(体積比)に希釈し反応器下部から供給する塩素と、金属珪素を半流動状態(スラッギング)で反応温度450℃から800℃で反応させる四塩化ケイ素の製造方法が記載されている。
トリクロルシランの従来の製造方法としては、例えば特許文献2に記載されたものがある。この文献には、温度1200℃をこえ1400℃以下に加熱した反応器にSiClとHとのモル比が1:1〜1:2の混合ガスを導入して反応させ、熱平衡状態としその平衡状態の混合物であるSiHClとHClとのモル比が1:1〜1:4であり、さらにSiClとH等を含有する混合物を1秒以内に600℃以下に急冷して反応を凍結させることによりSiHClの収率及び収量を向上させるSiHClの製造法が記載されている。
ジクロルシラン、モノクロルシラン、モノシランの従来の製造方法としては、例えば特許文献3に記載されたものがある。この文献には、原料水素化塩化珪素を反応塔に供給し、その塔内において不均斉化反応させながら蒸留効果により沸点の低いモノシラン、モノクロルシラン又はジクロルシラン等から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を反応塔の塔頂から取得し、一方、塔底から四塩化珪素およびトリクロルシランを含む触媒混合液を抜き取り、次いでその混合溶液からシラン化合物と触媒液とを分離し、さらにその触媒液を反応塔に循環させながらモノシラン、モノクロルシラン又はジクロルシラン等のシラン化合物を連続的に製造する方法が記載されている。
ここで、半導体デバイスの製造に用いられるシリコン単結晶は、多結晶シリコンから種々の育成法によりつくられているが、このとき出発原料として用いられる多結晶シリコンは、極めて高い純度が要求される。そのため、特許文献1にも同様のプロセスが記載されているが、多結晶シリコンは、通常、純度95%以上の金属シリコンが充填された層(固定層、流動層)に塩化水素(HCl)、または、四塩化珪素(SiCl)とHを送気してトリクロルシラン(SiHCl)を生成させ、これを蒸留法により精製し、得られた高純度トリクロルシラン(SiHCl)をCVD炉内で高純度水素により還元する方法により製造されている。
上述の高純度トリクロルシラン(SiHCl)を製造するプロセスでは、先ず、反応炉で、金属シリコンに作用させるガスの違いに応じて、主に下記の化学式(1)および化学式(2)に示すような反応が起こる。
Si+3HCl→SiHCl+H・・・(1)
Si+3SiCl+2H→4SiHCl・・・(2)
上述の反応後のガス中には、生成したトリクロルシランや副生物としての四塩化珪素、水素、未反応ガス等の他、金属シリコンの微粉や、金属シリコンまたは金属シリコンに含まれるシリコン以外の物質(Al、Fe等)が塩素化されて発生する固体状およびガス状の高沸点物質(以下、単に「高沸点物質」ともいう)が含まれている。
そのため、微粉や高沸点物質(不純物)を含むクロルシラン類の凝集液からクロルシラン類を回収するに際し、配管等の閉塞を引き起こす原因となる高沸点物質等を除去し、高い収率で高純度のクロルシラン類を回収する技術として、特許文献4に記載されたものがある。この文献には、蒸留塔の底に塔底液として濃縮された微粉や高沸点物質の一定量を抜き出して、別容器で加熱し、有用成分であるトリクロルシランおよび四塩化珪素をガス化分離して蒸留塔に戻し、この別容器(再濃縮装置)の底部に濃縮した(すなわち、蒸留塔の底に濃縮された塔底液が再濃縮した)微粉や高沸点物質を系外へ抜き出す方法が記載されている。この文献によれば、この際に、蒸留塔の底に溜まる塔底液の抜き出し量、再濃縮装置から系外への抜き出し量を適正な範囲に設定すれば、微粉、高沸点物質を効率的に除去し、配管等の詰まりを発生させずに、高い収率で高純度のクロルシラン類を製造できる旨記載されている。
また、半導体分野においては、従来からエッチングガスあるいはクリーニングガスとして、ハロゲン、ハロゲン化水素等のハロゲン系ガスが多く使用されている。しかし、ハロゲン系ガスは人体及び環境にとって有害であり、これらのガスを含む排ガスは、工場外へ排出するに先立って浄化することが必須となっている。ハロゲン系ガスを含む排ガスを浄化する方法としては、排ガスを固体状の浄化剤が充填された処理筒に導入し、浄化剤と接触させて排ガスからハロゲン系ガスを除去する乾式浄化方法、排ガスを処理装置の上部から噴出するハロゲン系ガス吸収液と接触させて、排ガスからハロゲン系ガスを除去する湿式浄化方法が多く実施されている。
例えば、半導体製造工程から排出されるハロゲン系ガスを含む排ガスの浄化処理において、頻繁に浄化剤を新しいものと交換することがなく、反応性が高いガスを含む乾燥排ガスを処理する場合であっても火災の危険性がなく、処理後のガス中のハロゲン系ガス濃度を容易に低くできる処理方法及び処理装置として、特許文献5に記載のものがある。この文献には、半導体製造工程から排出されるハロゲン系ガスを含む排ガスを、吸着剤と接触させて、排ガスからハロゲン系ガスを吸着除去するとともに、吸着剤にハロゲン系ガス吸収液を添加して、吸着剤に吸着されたハロゲン系ガスを、ハロゲン系ガス吸収液に吸収させて、吸着剤から脱着させる構成とする排ガスの処理装置が記載されている。この文献によれば、このような構成とすることにより、頻繁に吸着剤(浄化剤)を新しいものと交換する必要がなく、火災の危険性がなく、処理後のガス中のハロゲン系ガス濃度を容易に低くできる旨記載されている。
特開2002−173313号公報 特開昭60−81010号公報 特公昭64−3804号公報 特開2004−256338号公報 特開2006−130499号公報
しかしながら、特許文献1〜3のテトラクロルシラン、トリクロルシラン、ジクロルシラン、モノクロルシランなどの各種クロルシランあるいはモノシランを製造する際には、目的とする主要な各種クロルシランあるいはモノシランを含むガスとは別に、HClガス、Hガス、クロルシラン類ガスなどを含む混合ガスが、不要な排ガスとして反応装置の外部に排出されることが多い。
そして、このような不要な排ガスをそのまま各種クロルシランの製造プラントの外部に放出してしまうと、トリクロルシラン、ジクロルシラン、モノクロルシランなどのクロルシラン類ガス、モノシランガスおよびH2ガスが、空気中の酸素と反応して爆発し火災を発生させる危険性がある。また、HClガスおよびクロルシラン類ガスは、人体及び環境にとって有害であり、これらのガスを含む排ガスは、工場外へ排出するに先立って浄化することが必須となっている。
さらに、このような不要な排ガス中に含まれるHClガス、Hガスは、テトラクロルシラン、トリクロルシラン、ジクロルシラン、モノクロルシランなどの各種クロルシランあるいはモノシランを製造する際に、原料として再利用できる可能性がある。そのため、これらのHClガス、Hガスを、不要な排ガスとして廃棄したり、安全に処理するために化学反応によって別の物質に変化させたりすることは、せっかくの有用な原料であるHClガス、Hガスを無駄に捨てていることになる。
ここで、特許文献4の技術は、微粉や高沸点物質(不純物)を含むクロルシラン類の凝集液からクロルシラン類を回収するに際し、配管等の閉塞を引き起こす原因となる高沸点物質等を除去し、高い収率で高純度のクロルシラン類を回収することを目的としているため、上記のようなHClガス、Hガス、クロルシラン類ガスなどを含む不要な排ガスを安全に処理する上では、特に役には立たない。
また、特許文献5の技術は、ハロゲン系ガス吸収液として、水酸化ナトリウム(濃度2wt%)、水酸化カルシウム(濃度2wt%)、亜硫酸ナトリウム(濃度5wt%)、チオ硫酸ナトリウム(濃度20wt%)、炭酸ナトリウム(濃度5wt%)、炭酸水素ナトリウム(濃度5wt%)を含む水溶液を用いているため、HClガスがアルカリ性水溶液によって中和されてしまい、せっかくの有用な原料であるHClガスを無駄に捨てていることになる。また、ハロゲン系ガス吸収液として、水を用いる場合にも、特にHClガスを回収して再利用することについては触れられていない。
さらには、仮にHClガス、Hガス、クロルシラン類ガスなどを含む混合ガスを、この特許文献5の技術で処理した場合には、トリクロルシラン、ジクロルシラン、モノクロルシランなどのクロルシラン類ガスあるいはモノシランガスが、水またはアルカリ性水溶液と反応してSiOが生成してしまい、SiOがハロゲン系ガス吸収液の溜り部または排水配管に沈殿または付着して、溜り部からのハロゲン系ガス吸収液の溢出や、排水配管の閉塞等を引き起こす原因となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ハロゲン化水素、水素およびハロゲン化ケイ素を含む混合ガスから、湿式の処理方法によって、安定的にハロゲン化水素およびハロゲン化ケイ素を除去し、工業的に再利用可能な水素ガスの分離を行う技術を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、上記の湿式の処理方法によって除去されたハロゲン化水素から、工業的に再利用可能なハロゲン化水素ガスの分離を行う技術を提供することである。
本発明によれば、ハロゲン化水素、水素およびハロゲン化ケイ素を含む混合ガスからハロゲン化ケイ素を除去する方法であって、混合ガスおよび酸性水溶液を接触させることによって、ハロゲン化ケイ素および酸性水溶液を反応させ、混合ガスからハロゲン化ケイ素の少なくとも一部を除去して精製ガスを得る工程を含む、ハロゲン化ケイ素の除去方法が提供される。
この方法によれば、ハロゲン化水素、水素およびハロゲン化ケイ素を含む混合ガスおよび酸性水溶液を接触させることによって、ハロゲン化ケイ素および酸性水溶液を反応させて二酸化ケイ素を生成させるので、ハロゲン化ケイ素を除去することができる。また、この方法によれば、二酸化ケイ素は酸性水溶液に懸濁しやすいため、二酸化ケイ素の固化を抑制することができる。
そのため、この方法によれば、酸性水溶液の溜り部または排水配管に二酸化ケイ素が沈殿または付着して、溜り部からの酸性水溶液の溢出や、排水配管の閉塞等が発生することを抑制できる。したがって、この方法によれば、設計・運転・保守の容易な湿式の処理方法によって、混合ガス中から安定的にハロゲン化ケイ素の少なくとも一部を除去することができる。
また、本発明によれば、ハロゲン化水素、水素およびハロゲン化ケイ素を含む混合ガスからハロゲン化ケイ素を除去するプラントであって、混合ガスおよび酸性水溶液を接触させることによって、ハロゲン化ケイ素および酸性水溶液を反応させ、混合ガスからハロゲン化ケイ素の少なくとも一部を除去して精製ガスを得るための酸性水溶液貯槽を備える、ハロゲン化ケイ素の除去プラントが提供される。
このプラントによれば、ハロゲン化水素、水素およびハロゲン化ケイ素を含む混合ガスおよび酸性水溶液を接触させることによって、ハロゲン化ケイ素および酸性水溶液を反応させて二酸化ケイ素を生成させるので、ハロゲン化ケイ素を除去することができる。また、このプラントによれば、二酸化ケイ素は酸性水溶液に懸濁しやすいため、二酸化ケイ素の固化を抑制することができる。
そのため、このプラントによれば、酸性水溶液の溜り部または排水配管に二酸化ケイ素が沈殿または付着して、溜り部からの酸性水溶液の溢出や、排水配管の閉塞等が発生することを抑制できる。したがって、このプラントによれば、設計・運転・保守の容易な湿式の処理方法によって、混合ガス中から安定的にハロゲン化ケイ素の少なくとも一部を除去することができる。
なお、上記の水素ガスの生産方法、ケイ素化合物の生産方法および水素ガスの生産プラントは本発明の一態様であり、本発明の水素ガスの生産方法、ケイ素化合物の生産方法および水素ガスの生産プラントは、以上の構成要素の任意の組合せであってもよい。
また、本発明の排ガスの処理方法、未反応ハロゲン化ケイ素の除去方法、混合ガス中のハロゲン化ケイ素の処理方法、水素ガスの分離方法、水素ガスの精製方法、水素ガスの回収方法、水素ガスの再利用方法、水素ガスの処理方法、ハロゲン化水素ガスの生産方法、ハロゲン化水素ガスの分離方法、ハロゲン化ガスの精製方法、ハロゲン化ガスの回収方法、ハロゲン化ガスの再利用方法、ハロゲン化ガスの処理方法、ケイ素化合物の還元方法、水素ガスの分離プラント、水素ガスの精製プラント、水素ガスの回収プラント、水素ガスの再利用プラント、水素ガスの処理プラント、ハロゲン化水素ガスの生産プラント、ハロゲン化水素ガスの分離プラント、ハロゲン化ガスの精製プラント、ハロゲン化ガスの回収プラント、ハロゲン化ガスの再利用プラント、ハロゲン化ガスの処理プラント、ケイ素化合物の還元プラント、これらのプラントの閉塞防止方法なども、同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。
本発明によれば、設計・運転・保守の容易な湿式の処理方法によって、混合ガス中から安定的にハロゲン化ケイ素の少なくとも一部を除去することができる。
実施形態1に係るクロルシランの除去プラントの設備について説明するための図である。 実施形態1に係るクロルシランの除去プラントに備わる塩酸反応塔の構成について説明するための図である。 実施形態1に係るクロルシランの除去プラントに備わる気液接触ポッドの構成について説明するための図である。 実施形態2で用いるジクロルシラン、モノクロルシラン、モノシランの製造プロセスの設備について説明するための図である。 実施形態2の変形例で用いるトリクロルシランの製造プロセスの設備について説明するための図である。
符号の説明
1:反応塔
2:リボイラー
3:凝縮器
4:原料供給導管
5:調節弁
6:凝縮器
7:捕集貯槽
8:調節弁
9:蒸発槽
10:ポンプ
11:凝縮器
12:貯槽
13:補給管
21:SiCl蒸発器
22:ヒーター
23:反応器
24:電気炉
25:取り出し管
26:凝縮器
27:サンプル口
100:プラント
102:塩酸反応塔
104:スラリー貯留槽
106:フィルタープレス
108:塩酸スクラバー
110:放散塔
112:水洗塔
114;除去塔
202:内壁
204:底部
206:ゴムライニング被膜
208:塩化ビニル被膜
210:シリカ粒子
212:導入管
214:スプレー
300:ポッド内管
302:ポッド内管の下側内部
304:ポッド内管の上側内部
306:バブラー管
308:ガス入口
310:ガス出口
312:塩酸水溶液入口
314:排出液出口
<用語の説明>
本明細書および請求の範囲において、「最小値〜最大値」という表記は、最小値以上かつ最大値以下の数値範囲を意味するものとする。また、「%」という表記は、特に断りのない限り、体積%(v/v)を意味するものとする。
(1)ハロゲン化ケイ素
本明細書および請求の範囲において、ハロゲン化ケイ素とは、ハロゲン化されたケイ素を意味し、SiCl、SiHCl、SiHCl、SiHClなどのクロルシラン類の化合物を含む概念である。なお、クロルシラン類の化合物以外にも、SiF、SiHF、SiH、SiHFや、SiBr、SiHBr、SiHBr、SiHBrや、SiI、SiHI、SiH、SiHIも含む概念である。
なお、ハロゲン化ケイ素の一種である、クロルシランには、以下の6種類が含まれる。
物質名 化学式 沸点
テトラクロルシラン(四塩化ケイ素) SiCl 57℃
トリクロルシラン SiHCl 32℃
ジクロルシラン SiHCl 8℃
モノクロルシラン SiHCl 30℃
ヘキサクロルジシラン SiCl 144℃
ジシロキサン HSiOSiH −14.4℃
メチルジクロルシラン CHClSi 41℃
ジメチルシラン (CHSiH −20℃
トリメチルクロルシラン CClSi 57.3℃
なお、上記のトリクロルシランは、消防法危険物(第三類)に分類されている。
(2)モノシラン
モノシラン(SiH)は、沸点−112℃の化合物であり、特殊高圧ガス(自然発火性)に分類されている。モノシランは、半導体、液晶パネル、太陽電池等の製造に用いられる特殊材料ガスである。近年、需要は順調に拡大し、エレクトロニクス分野で広く使用されるCVD材料として、今後も伸びが期待されている。
(3)ケイ素化合物
本明細書および請求の範囲において、ケイ素化合物とは、ケイ素および他の元素を含む化合物を意味する。ケイ素化合物には、ハロゲン化ケイ素(テトラクロルシラン、トリクロルシラン、ジクロルシラン、モノクロルシラン)およびモノシランが含まれる。
(4)ハロゲン化ケイ素の還元
本明細書および請求の範囲において、ハロゲン化ケイ素を還元するとは、ハロゲン化ケイ素に水素ガスなどのような還元物質を反応させて、より還元度の高い(ハロゲン化度の低い)物質に変換することを意味する。例えば、クロルシラン類の化合物の還元の場合には、下記の順番でハロゲン化ケイ素を還元することを意味する。
SiCl→SiHCl→SiHCl→SiHCl→SiH
(5)ハロゲン化水素
本明細書および請求の範囲において、ハロゲン化水素とは、第17族元素の水素化物を意味する。水素とは1対1で結合する化合物しか知られておらず、ハロゲン化水素一般を表す略号としてHXと書き表されることがある。例えば、フッ化水素(HF、沸点19.5℃)、塩化水素(HCl、沸点−85.1℃)、臭化水素(HBr、沸点−67.1℃)、ヨウ化水素(HI、沸点−35.1℃)が含まれる。フッ化水素酸以外のハロゲン化水素は水中では完全電離するものの、そのもの自体はそれほど強い極性物質ではない。そして塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素の水溶液は完全電離して強酸性を示し、酸の強度はHCl<HBr<HIの順である。これらの中で、最も産業上よく用いられるのは、塩酸(塩化水素、HCl)である。
(6)水素
本明細書および請求の範囲において、水素とは、水素の単体である水素分子(水素ガス)Hを示すものとする。水素分子は常温では無色無臭の気体で、沸点−252.6°Cであり、軽く、非常に燃えやすい。一般に、アンモニアの製造(ハーバー・ボッシュ法)の他、最も安価でクリーンな還元剤として、トリクロルシラン、ジクロルシラン、モノクロルシランおよびモノシランの製造プロセスをはじめ、塩酸の製造、金属鉱石の還元、油脂の改質、脱硫など、多方面に利用されている。
(7)水性溶媒
本明細書および請求の範囲において、水性溶媒とは、水、水溶液、極性溶媒を含む概念であるとする。なお、本明細書および請求の範囲において、水とは、純度100%のHOのみからなるものに限定するわけではなく、多少の不純物等を含む水溶液、水懸濁液であっても、水と記載することとする。また、極性溶媒には、プロトン性極性溶媒と非プロトン性極性溶媒とが含まれる。プロトン性溶媒としては、例えば、水(HO)、エタノール(CHCHOH)、メタノール(CHOH)、酢酸(CHC(=O)OH)などが例として挙げられる。
(8)懸濁液
本明細書および請求の範囲において、懸濁液(Suspension)とは、少なくとも1マイクロメートル以上の、コロイドより大きい粒子と液体との混合物を意味する。コロイド溶液とは異なり、懸濁液は時間がたつと定常状態に落ち着く。懸濁液の一例は、シリカおよび水(または塩酸水溶液)を含むスラリーである。懸濁する粒子は顕微鏡で見ることができ、静かな場所に置くと時間の経過に連れて沈静化する。
(9)スクラバー
本明細書および請求の範囲において、スクラバー(洗浄集じん装置)とは、排ガスに含まれる有害物質除去装置の一種であり、水などの液体を洗浄液として、排ガス中の粒子等の不純物を洗浄液の液滴や液膜中に捕集して分離をする装置で、洗浄集じん装置(湿式スクラバー、ウェットスクラバー)を意味するものとする。この種の装置には、液滴によるダストの分離を有効にするため、液滴、液膜等の形成と洗浄方法に種々の工夫がされている。溜水中に排ガスをくぐらせることにより集じんする方法(溜水式)、排ガスの流れに加圧水を噴射する方法(加圧水式)、プラスチック・磁器などの充填物に噴霧した洗浄液の水膜に排ガスを接触させて集じんする方法(充填層式)、洗浄液を回転体で分散させて排ガスを接触させる方法(回転式)などがある。
(10)フィルタープレス
本明細書および請求の範囲において、フィルタープレス(filter press)とは、加圧濾過を行う代表的な方法であり、金属や樹脂製の凹凸のある中心に穴のあいた濾板に濾布を張ったものを直列に密着させたもので、スラリー(シリカ、汚泥、掘削土、セメントなどが水中にまざったもの)をポンプでろ板中心の穴から加圧圧入する装置を意味する。圧入されたスラリーは、その圧力で、水分のみが2枚の濾板の隙間で濾布の目から外へ排出され、濾板間(実際には濾布と濾布の間)に脱水ケーキが形成される。脱水完了後、濾板を開板し、ケーキを排出する。最近の製品は、ケーキの排出を自動化したものが主流である。
(11)乱流
本明細書および請求の範囲において、乱流(turbulent flow)は、流体の流れ場のうちで非定常性を持つものを意味するものとする。一般的に円管内を流れる流体の場合は大体、レイノルズ数が2,000程度以下で層流、2,000〜4,000程度を遷移領域(層流、乱流が変化する領域)、4,000程度以上を乱流とされているため、本明細書および請求の範囲においてもその定義に従う。
(12)酸性水溶液
本明細書および請求の範囲において、pH0〜7の水溶液を酸性水溶液と定義する。当然のことながら、塩酸水溶液(塩化水素水溶液)、硫酸水溶液(希硫酸水溶液)、硝酸水溶液などの強酸水溶液、炭酸水溶液(二酸化炭素水溶液)、酢酸水溶液、クエン酸水溶液
などの弱酸水溶液を含む概念である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<実施形態1>
図1は、本実施形態に係るハロゲン化ケイ素の除去プラントの設備について説明するための図である。図1に示すハロゲン化ケイ素の除去プラントでは、塩化水素、水素およびクロルシランを含む混合ガスからハロゲン化ケイ素を除去する。
図1に示したプラント100は、塩化水素、水素およびクロルシランを含む混合ガスからハロゲン化ケイ素を除去するプラント100である。なお、この混合ガスは、水素およびクロルシランを原料として、クロルシランを還元する際に排出されるガスを回収することによって供給される。すなわち、このプラント100は、クロルシランの還元反応における排ガスを環境負荷および人体への悪影響を及ぼさないように安定的に処理するとともに、貴重な原料として再利用するために水素および塩化水素を分離することを目的とするプラントである。
なお、この混合ガス中のハロゲン化ケイ素の濃度は1%以下であることが好ましい。一般的に、クロルシランの還元反応における排ガスに含まれるハロゲン化ケイ素の濃度は1%以下であることにくわえて、この排ガス中のハロゲン化ケイ素の濃度は1%以下であれば、後述するプラント100によって無理なくハロゲン化ケイ素を安定的に除去することができるからである。
このプラント100では、まず、塩酸反応塔102において、塩化水素、水素およびクロルシランを含む混合ガスおよび酸性水溶液(塩酸水溶液)を接触させることによって、混合ガス中に含まれるクロルシランおよび酸性水溶液(塩酸水溶液)に含まれる水を反応させる。そして、その結果、塩酸反応塔102において、混合ガスからクロルシランの少なくとも一部を除去してなる第一の精製ガス(塩化水素、水素およびわずかな残存クロルシランを含む混合ガス)が得られる。
このとき、塩酸反応塔102は、クロルシランガスを水と反応させて、二酸化ケイ素(SiO)を生成するための一種の反応装置(酸性水溶液貯槽)としての役割を果たしている。その結果、混合ガス中に含まれるクロルシランガスは、この塩酸反応塔102およびスラリー貯留槽104を循環する塩酸水溶液中に、シリカ粒子(SiO粒子)としてリスラリー(懸濁)されることになる。ここで、二酸化ケイ素成分(SiO成分)は、酸性水溶液(塩酸水溶液)に懸濁しやすい特性を有するため、二酸化ケイ素の固化を抑制することができる。すなわち、塩酸水溶液のような酸性水溶液は、水や塩基性水溶液と比較してシリカ(二酸化ケイ素)がリスラリーしやすく、かつ変質しにくいという優れた特性を有するため、二酸化ケイ素の固化を抑制することができる。
そのため、このプラント100では、二酸化ケイ素成分(SiO成分)が生成する塩酸反応塔102でも、塩酸水溶液の溜り部または排水配管に二酸化ケイ素が沈殿または付着して、溜り部からの塩酸水溶液の溢出や、排水配管の閉塞等が発生することを抑制できる。そして、この塩酸水溶液に溶けきれず懸濁しているシリカ粒子(SiO粒子)の一部は、スラリー貯留槽104の底部に懸濁液として滞留するが、その滞留したシリカ粒子(SiO粒子)の一部は、スラリー貯留槽104から抜き出してフィルタープレス106に送液されるため除去される。したがって、このプラント100によれば、設計・運転・保守の容易な湿式の処理方法によって、混合ガス中から安定的にハロゲン化ケイ素の少なくとも一部を除去することができる。
ここで、クロルシランおよび水の反応速度が大きいためにクロルシランの大部分は、この塩酸反応塔102で塩酸水溶液に懸濁する二酸化ケイ素成分(SiO成分)または塩酸水溶液に懸濁するシリカ粒子(SiO粒子)になってしまうので、塩酸スクラバー108には移行しない。しかし、この塩酸反応塔102では、混合ガスに含まれる塩化水素の一部が塩酸水溶液に含まれる水に吸収される。しかし、塩化水素の水による吸収速度はそれほど大きくないため、この塩酸反応塔102ではあまり多く吸収されず、塩化水素の多くは次の塩酸スクラバー108まで移行して、塩酸スクラバー108内の塩酸水溶液に吸収されることになる。
次いで、上記の第一の精製ガス(塩化水素、水素およびわずかな残存クロルシランを含む混合ガス)は、塩酸反応塔102の塔頂出口から塩酸スクラバー108にシリカ粒子(SiO粒子)を含む飛沫同伴また未反応クロルシランガスとして送られる。この塩酸スクラバー108では、上記の第一の精製ガス(塩化水素、水素およびわずかな残存クロルシランを含む混合ガス)および水性溶媒(塩酸水溶液)を接触させることによって、上記の第一の精製ガスに含まれる塩化水素を水性溶媒(塩酸水溶液)に吸収させる。その結果、上記の第一の精製ガス(塩化水素、水素およびわずかな残存クロルシランを含む混合ガス)から塩化水素の少なくとも一部を除去してなる第二の精製ガス(わずかな残存塩化水素、水素およびわずかな残存クロルシランを含む混合ガス)が得られる。
このとき、塩酸スクラバー108は、塩酸反応塔102の頭頂出口ガスである第一の精製ガスに含まれる塩化水素および残存する未反応クロルシランガスを塩酸水溶液に含まれる水で吸収する(正確には塩化水素を水で吸収し、未反応クロルシランガスを水と反応させて二酸化ケイ素(SiO)を生成する)ための吸収装置としての役割を果たしている。
なお、この塩酸スクラバー108でも、未反応クロルシランガスおよび水の反応によって、塩酸反応塔102の場合と同様に微量のシリカ粒子(SiO粒子)が生成するが、図1で示すように、塩酸スクラバー108の塩酸水溶液は、pH7.0以下の酸性水溶液であるため、微量のシリカ粒子(SiO粒子)であれば容易に懸濁してしまう。また、シリカ粒子(SiO粒子)を含む飛沫同伴も塩酸反応塔102から混入してくるが、この飛沫同伴に含まれるシリカ粒子(SiO粒子)も、塩酸スクラバー108の塩酸水溶液中に懸濁してしまう。
もちろん、一部のシリカ粒子(SiO粒子)は懸濁している場合もあるが、その場合にも、塩酸スクラバー108の塩酸水溶液は、塩酸反応塔102との間で循環しているため、塩酸スクラバー108内で生じた微量のシリカ粒子(SiO粒子)および懸濁している二酸化ケイ素成分(SiO成分)は、塩酸水溶液と一緒に塩酸反応塔102内に送られた後に、さらにスラリー貯留槽104の底部に懸濁液として滞留するか塩酸水溶液中に懸濁してしまうため、その滞留したシリカ粒子(SiO粒子)または懸濁した二酸化ケイ素成分(SiO成分)の一部は、スラリー貯留槽104から抜き出してフィルタープレス106に送液される。
また、このプラント100は、塩酸反応塔102内でクロルシランおよび水の反応によって生成するシリカ粒子(SiO粒子)を、スラリー貯留槽104の底部懸濁液中から除去するための除去装置(不図示)をさらに備えている。この除去装置(不図示)は、スラリー貯留槽104の底部懸濁液中からシリカ粒子(SiO粒子)をうまく排出することができればよく、例えばスクリューによって掻き出してもよく、ポンプによって吸い出してもよい。
また、既に一部説明したが、このプラント100は、このようにして除去されたシリカ粒子(SiO粒子)を含む懸濁液を固液分離して、懸濁液から塩化水素を含む液体(塩酸)を回収するフィルタープレス106をさらに備える。すなわち、このフィルタープレス106は、シリカ粒子(SiO粒子)を含む懸濁液を、シリカ粒子(SiO粒子)を主に含む固体成分と、塩酸水溶液を主に含む液体成分と、に分離する一種の固液分離装置としての役割を果たすことになる。このプラント100では、このようにして、フィルタープレス106でシリカ分を濾過した後、濾過後の液を放散塔110に送る。
このプラント100は、このようにしてフィルタープレス106で回収されたハロゲン化水素を含む液体(塩酸水溶液)を放散するための放散塔110をさらに備える。このように、このプラント100では、放散塔110において塩酸水溶液を放散することによって、塩化水素濃度99%以上の塩化水素ガスと、塩化水素を含む液体(塩酸水溶液)と、に気液分離することができる。すなわち、この放散塔110は、一種の気液分離装置としての役割を果たすことになる。この放散塔110では、フィルタープレス106で回収されたハロゲン化水素を含む液体(塩酸水溶液)が、放散塔110内に放散される際に圧力の減少によって、液体(塩酸水溶液)中の塩化水素の飽和濃度が下がり、さらに気体との接触面積が増大するために、液体(塩酸水溶液)中の塩化水素がガス化して塩化水素濃度99%以上の高純度の塩化水素ガスが得られる。
すなわち、この放散塔110では、フィルタープレス106の濾過後の液を放散し、放散塔の塔頂からは塩化水素ガスが得られ、塔底からは約20%の濃度の塩酸水溶液が得られる。この放散塔110の塔底液(約20%の濃度の塩酸水溶液)は、塩酸反応塔102、塩酸スクラバー108および水洗塔112に送られる。このようにして、このプラント100では、塩化水素が無駄に排出・廃棄されることなく、プラント100内で循環しているため、資源効率を向上するととともに、環境に対する悪影響を軽減している。
一方、塩酸スクラバー108で得られる第二の精製ガス(わずかな残存塩化水素、水素およびわずかな残存クロルシランを含む混合ガス)は、さらに水洗塔112に送られる。この水洗塔112では、第二の精製ガス(わずかな残存塩化水素、水素およびわずかな残存クロルシランを含む混合ガス)および水性溶媒(塩酸水溶液)を接触させる。
そのため、水洗塔112では、第二の精製ガス中に残存するクロルシランおよび塩酸水溶液中の水を反応させて二酸化ケイ素(SiO)を生成させることになるので、第二の精製ガスにわずかに残存するクロルシランの少なくとも一部が除去される。また、水洗塔112では、第二の精製ガス中に残存する塩化水素を塩酸水溶液に吸収させることになるので、第二の精製ガスにわずかに残存する塩化水素の少なくとも一部が除去される。その結果、水洗塔112の塔頂部からは、第二の精製ガスからわずかに残存するクロルシランおよびわずかに残存する塩化水素の少なくとも一部をさらに除去してなる、第三の精製ガスが得られることになる。この第三の精製ガスは、極わずかな残存塩化水素、水素および極わずかな残存クロルシランを含む混合ガスである。
すなわち、この水洗塔112は、塩酸スクラバー108の塔頂部出口から送られる第二の精製ガスに含まれる塩化水素を塩酸水溶液に含まれる水で吸収しているということになる。また、この水洗塔112は、第二の精製ガスに含まれるクロルシランを塩酸水溶液に含まれる水に吸収(正確には水と反応させて二酸化ケイ素(SiO)を生成)しているということになる。言い換えれば、この水洗塔112は、クロルシランを塩酸水溶液に含まれる水と反応させて二酸化ケイ素(SiO)を生成し、さらに塩化水素を塩酸水溶液に含まれる水で吸収する、一種の反応吸収装置としての役割を果たすことになる。
そして、水洗塔112で得られる第三の精製ガス(極わずかな残存塩化水素、水素および極わずかな残存クロルシランを含む)は、水洗塔112の頭頂部出口から除去塔114に送られる。この除去塔114では、第三の精製ガス(極わずかな残存塩化水素、水素および極わずかな残存クロルシランを含む)およびアルカリ性の水性溶媒(NaOH水溶液)を接触させることによって、第三の精製ガス中に極わずかに残存する塩化水素およびアルカリ性の水性溶媒(NaOH水溶液)を反応させる。その結果、この除去塔114の頭頂部から、第三の精製ガスから塩化水素の少なくとも一部を除去してなる第四の精製ガス(純度99%以上の高純度の水素ガス)が得られる。すなわち、この除去塔114は、水洗塔112の塔頂部出口から得られる第三の精製ガスに含まれる微量の塩化水素をNaOH水溶液で水洗・中和する酸アルカリ反応装置としての役割を果たしている。
そして、この除去塔114の塔頂部から得られる第四の精製ガス(高純度の水素ガス)は、第四の精製ガス(高純度の水素ガス)から水分を除去して、水分含有率が0.5%以下である第五の精製ガスを得るための水分除去装置(不図示)に送られる。この水分除去装置(不図示)は、第四の精製ガス(高純度の水素ガス)から水分を除去することができれば、特に限定されるものではないが、例えば、水分吸着性の材質を充填した吸着塔、真空水分除去装置、水分除去可能な吸湿材を充填した乾式スクラバーなどを好適に用いることができる。なお、この脱水を行う前に、さらに別のフローから水素ガス(例えば、新たに購入したバージンのHガス)を補給してやってもよい。すなわち、この水分除去装置(不図示)は、上記の塩酸回収工程で分離された水素および補給水素の脱水を行う一種の水素精製装置(不図示)としての役割を果たしている。
図2は、実施形態1に係るクロルシランの除去プラント100に備わる塩酸反応塔102の構成について説明するための図である。塩酸反応塔102には、クロルシランを、塩酸水溶液中にガス状態で直接供給して接触させるための1本または複数本の導入管212が設けられている。このように、塩酸反応塔102の導入管212を通して、クロルシランを、塩酸水溶液中にガス状態で直接供給して接触させることによって、クロルシランおよび塩酸水溶液の反応による二酸化ケイ素の生成を、塩酸水溶液中でダイレクトに行うことによって、クロルシランからシリカへの生成反応を効率的に行うことが可能になる。
この導入管212の本数は特に限定されず、クロルシランを塩酸水溶液中にガス状態で直接供給することができればよく、1本、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、10本のいずれの本数であってもよい。ただし、導入管212の先端開口部は、塩酸水溶液中に浸かる必要があるため、十分な長さがあることが好ましい。
図2には、塩酸反応塔102の内部が描かれており、一番奥に底部204が見える。ここで、左側の塩酸反応塔102の内壁202にはゴムライニング被膜206が設けられている。一方、右側の塩酸反応塔102の内壁202には塩化ビニル被膜208が設けられている。本実施形態で用いる塩酸反応塔102は、右左のどちらの構成でもよいが、左側のゴムライニング被膜206が設けられている方が好ましい。
さらに、塩酸反応塔102には、図示するように、塩酸反応塔102の内壁202を塩酸水溶液または水による湿潤状態に維持するための噴霧機構としてスプレー214が設けられている。このように、塩酸反応塔102にスプレー214を設けて、塩酸反応塔102の内壁202を塩酸水溶液または水による湿潤状態に維持することによって、内壁202にシリカ粒子が付着しにくくなり、仮にシリカ粒子が内壁202に付着しても、スプレー214から噴霧される塩酸水溶液または水によってシリカ粒子が懸濁されやすくなるため、内壁202に付着したシリカ粒子が容易に除去されることになる。
一般的に用いられる右側の塩酸反応塔102の内壁202の塩化ビニル被膜208には、付着したシリカ粒子210が多数観察され、塩酸反応塔102の溜り部または排水配管にシリカ粒子210が沈殿または付着して、溜り部からの塩酸水溶液の溢出や、排水配管の閉塞等が発生する可能性が未だわずかではあるが残存している。
一方、左側の塩酸反応塔102の内壁202にはゴムライニング被膜206が設けられているため、付着したシリカ粒子210がほとんど観察されず、塩酸反応塔102の溜り部または排水配管にシリカ粒子210が沈殿または付着して、溜り部からの塩酸水溶液の溢出や、排水配管の閉塞等が発生する可能性がほとんど完全に排除されている。このとき、塩酸反応塔102には、内壁202を塩酸水溶液または水による湿潤状態に維持するための噴霧機構としてスプレー214を設けた上で、さらに内壁202にゴムライニング被膜206を施すことが好ましい。このようにすれば、お互いの相乗効果によって、長時間運転をしても、ほとんど内壁202にシリカ粒子が付着しないため、溜り部からの塩酸水溶液の溢出や、排水配管の閉塞等が発生する可能性をほとんど完全に排除できる。
なお、この塩酸反応塔102および付属するスラリー貯留槽104を循環している塩酸水溶液は、塩酸の濃度が10%以上40%以下であることが好ましい。なぜなら、塩酸水溶液の濃度がこの範囲内であれば、クロルシランの吸収を効率よくすることができ、且つ生成したシリカの性状を安定させることができるからである。
図3は、実施形態1に係るクロルシランの除去プラント100に備わる気液接触ポッドを有する塩酸スクラバー108の構成について説明するための図である。図示したように、塩酸スクラバー108の気液接触ポッドには、ポッド内管300が存在し、ポッド内管の下側内部302およびポッド内管300の上側内部304は互いに連通しており、このポッド内管300の内部を塩酸水溶液および精製ガスが互いに向流方向に通過することになる。このバブラー管306周辺でいわゆる乱流が発生して、塩酸水溶液および精製ガスが互いに激しくぶつかりあって、混ざり合い効率のよい気液接触が行われる。
そして、ポッド内管300にはバブリング機構であるバブラー管306が設けられており、このバブラー管306周辺でいわゆる乱流および大量の気泡が発生して、塩酸水溶液および精製ガスが互いに激しくぶつかりあって、気泡が破裂することによって、混ざり合い効率のよい気液接触が行われる。また、この図には、バブラー管306を有するポッド内管300へのガス入口308およびガス出口310が記載されており、塩酸水溶液入口312および排出液出口314も記載されている。これらの配置を見れば、このポッド内管300の内部を塩酸水溶液および精製ガスが互いに向流方向に通過することになることがよく分かる。
このように、実施形態1に係るクロルシランの除去プラント100は、塩酸スクラバー108の気液接触ポッド内管300において、精製ガスを、別の塩酸水溶液に接触させることによって、このバブラー管306周辺でいわゆる乱流が発生して、塩酸水溶液および精製ガスが互いに激しくぶつかりあって、混ざり合い効率のよい気液接触が行われるため、精製ガス中に残存するクロルシランおよびこの塩酸水溶液が激しく反応して、精製ガスから残存する未反応のクロルシランガスのほとんどを除去してしまうので、ほとんどクロルシランガスを含まない第二の精製ガスを得ることができる。
なお、この塩酸スクラバー108を循環している塩酸水溶液は、塩酸の濃度が10%以上40%以下であることが好ましい。なぜなら、塩酸水溶液の濃度がこの範囲内であれば、クロルシランの吸収を効率よくすることができ、且つ生成したシリカの性状を安定させることができるからである。
以下、本実施形態に係るプラント100の作用効果について説明する。
本実施形態に係るクロルシランの除去プラント100は、塩化水素、水素およびクロルシランを含む混合ガスから水素を分離して、クロルシランを除去するプラント100である。そして、このプラント100は、混合ガスおよび塩酸水溶液を接触させることによって、クロルシランおよび塩酸水溶液に含まれる水を反応させ、混合ガスからクロルシランの少なくとも一部を除去してなる第一の精製ガスを得るための塩酸反応塔102を備える。
そのため、このプラント100によれば、塩化水素、水素およびクロルシランを含む混合ガスおよび酸性水溶液である塩酸水溶液を接触させることによって、まずは、クロルシランおよび塩酸水溶液に含まれる水を反応させ、設計・運転・保守の容易な湿式の処理方法によって、混合ガス中から安定的にクロルシランの少なくとも一部を除去することができる。さらに、クロルシランおよび塩酸水溶液の反応によって生じる二酸化ケイ素(SiO)は、酸性溶液に懸濁しやすいため、シリカ粒子の固着によって塩酸反応塔102が閉塞してしまう問題の発生も抑制することができる。
そのため、この方法によれば、設計・運転・保守の容易な湿式の処理方法によって、塩化水素、水素およびクロルシランを含む混合ガスから安定的にクロルシランおよび塩化水素の少なくとも一部を除去することによって、クロルシランの含有量の少ない高純度な精製ガスを分離することができ、その精製ガスから工業的に再利用可能な水素ガスおよび塩化水素ガスの分離を行うことができる。
また、本実施形態に係るクロルシランの除去プラント100では、酸性水溶液貯槽である塩酸反応塔102には、クロルシランを含む混合ガスを、塩酸水溶液中にガス状態で直接供給して接触させるための1本または複数本の導入管212が設けられている。そのため、混合ガスに含まれるクロルシランおよび塩酸水溶液の反応効率が向上するので、塩酸反応塔102の段階でほとんどのクロルシランを除去することができる。
本実施形態に係るクロルシランの除去プラント100では、酸性水溶液貯槽である塩酸反応塔102には、塩酸反応塔102の内壁を塩酸水溶液または水による湿潤状態に維持するための噴霧機構であるスプレー214が設けられている。このように、塩酸反応塔102にスプレー214を設けて、塩酸反応塔102の内壁202を塩酸水溶液または水による湿潤状態に維持することによって、内壁202にシリカ粒子が付着しにくくなり、仮にシリカ粒子が内壁202に付着しても、スプレー214から噴霧される塩酸水溶液または水によってシリカ粒子が懸濁されやすくなるため、内壁202に付着したシリカ粒子が容易に除去されることになる。
さらに、本実施形態に係るクロルシランの除去プラント100では、酸性水溶液貯槽である塩酸反応塔102には、ゴムライニング被膜206が設けられている。このように、塩酸反応塔102の内壁202にはゴムライニング被膜206が設けられているため、付着したシリカ粒子210がほとんど観察されず、塩酸反応塔102の溜り部または排水配管にシリカ粒子210が沈殿または付着して、溜り部からの塩酸水溶液の溢出や、排水配管の閉塞等が発生する可能性がほとんど完全に排除されている。
また、本実施形態のハロゲン化ケイ素の除去プラント100では、上記のようにして得た精製ガスを、別の塩酸水溶液に乱流状態で気液接触させることによって、この精製ガス中に含まれるクロルシランおよびこの塩酸水溶液を反応させ、この精製ガスからクロルシランの少なくとも一部を除去してなる第二の精製ガスを得るための気液接触装置である塩酸スクラバー108を、さらに備える。
このように、塩酸スクラバー108の気液接触ポッド内管300において、精製ガスを、別の塩酸水溶液に接触させることによって、このバブラー管306周辺でいわゆる乱流が発生して、塩酸水溶液および精製ガスが互いに激しくぶつかりあって、混ざり合い効率のよい気液接触が行われるため、精製ガス中に残存するクロルシランおよびこの塩酸水溶液が激しく反応して、精製ガスから残存する未反応のクロルシランガスのほとんどを除去してしまうので、ほとんどクロルシランガスを含まない第二の精製ガスを得ることができる。
なお、気液接触装置である塩酸スクラバー108の気液接触ポッド内管300には、上述のようにして得た精製ガス中に残存する未反応ハロゲン化ケイ素ガスまたはこの精製ガスに飛沫同伴してなる二酸化ケイ素粒子を、この塩酸水溶液中にバブリングさせるバブリング機構であるバブラー管306が設けられている。そして、このバブラー管306周辺でいわゆる乱流および大量の気泡が発生して、塩酸水溶液および精製ガスが互いに激しくぶつかりあって、気泡が破裂することによって、混ざり合い効率のよい気液接触が行われる。その結果、精製ガス中に残存するクロルシランおよびこの塩酸水溶液が激しく反応して、精製ガスから残存する未反応のクロルシランガスのほとんどを除去してしまうので、ほとんどクロルシランガスを含まない第二の精製ガスを得ることができる。
<実施形態2>
実施形態1に係るクロルシラン除去プラント100は、ジクロルシラン、モノクロルシラン、モノシランの製造プロセスから排出される排ガスをプロセスの出発点の混合ガスとして好適に用いることができる。なお、既に実施形態1で説明した内容については、本実施形態では繰り返さない。
図4は、実施形態2で用いるジクロルシラン、モノクロルシラン、モノシランの製造プロセスの設備について説明するための図である。トリクロルシランあるいはジクロルシラン等の水素化塩化珪素を原料供給導管4を通じて反応塔1の中上段部に供給する。反応塔1は塔径83mm、高さ200mmで18の段数を有するステンレス鋼製蒸留塔である。反応塔1の上部にはステンレス鋼製の凝縮器3を設けており、ジャケットにメタノールドライアイスを通して冷却できるようになっている。また、反応塔1の下部には最大出力1KWのヒーターを内蔵するリボイラー2が設けられている。
反応塔1では不均斉化反応と蒸留による分離が同時に起こり不均斉化反応で生じた低沸点成分に富んだガスは上方に移動し凝縮器3で冷却され同伴する高沸点成分を凝縮した後、液体窒素で冷却されたステンレス製凝縮器6で凝縮させ、液体で捕集貯槽7に回収される。
一方、不均斉化反応で生じた、トリクロルシラン、テトラクロルシラン等の高沸点成分は塔底に移行し、触媒と共にリボイラー2よりその液面を調節しつつ蒸発槽9に抜き取られる。蒸発槽9は内容積3Lの攪拌機付ステンレス鋼製容器からなりこれにジャケットが設けられている。それに加熱された熱媒油を循環させ、蒸発槽が加温されるようになっている。この蒸発槽9は不均斉化反応で生じたテトラクロルシランの沸点より高く触媒より低い温度で操作され、リボイラー2より抜き取られたトリクロルシランおよびテトラクロルシランは蒸発し、メタノールドライアイスで冷却された凝縮器11で捕集され、貯槽12に回収される。蒸発槽9に残った触媒はポンプ10により抜き取られ、再び反応塔1の塔頂に循環される。この場合、触媒中の第3級脂肪族炭化水素置換アミンの塩酸塩の濃度が所定濃度になっていないときは、補給管13から塩化水素を必要に応じて補給する。
この場合にも、原料としてのトリクロルシランおよびテトラクロルシランの全てが反応塔1内で消費されてしまうわけではなく、これらの原料の一部は塔底に移行し、触媒と共にリボイラー2よりその液面を調節しつつ蒸発槽9に抜き取られる。この蒸発槽9は不均斉化反応で生じたテトラクロルシランの沸点より高く触媒より低い温度で操作され、リボイラー2より抜き取られたトリクロルシランおよびテトラクロルシランは蒸発し、メタノールドライアイスで冷却された凝縮器11で捕集され、貯槽12に回収される。しかし、トリクロルシランおよびテトラクロルシランの全てを凝縮器11で凝縮して貯槽12に回収できるわけではなく、一部のトリクロルシランおよびテトラクロルシランについては、そのまま外部に排ガスとして排出されてしまう。
また、この排ガス中には微量ながら水素ガスおよび塩化水素ガスも含まれてしまう。なぜなら、補給管13から塩化水素を必要に応じて補給するため、補給された塩化水素ガスの一部が排ガスに含まれる可能性があるためである。また、本来であれば、下記の反応を起こすことが目的であるにもかかわらず、
2SiHCl⇔SiCl+SiHCl
2SiHCl⇔SiHCl+SiHCl
2SiHCl⇔SiHCl+SiH
下記のような塩酸の離脱反応が起きて水素ガスが発生する場合があるためである。
SiH+HCl→SiHCl+H
SiHCl+HCl→SiHCl+H
SiHCl+HCl→SiHCl+H
SiHCl+HCl→SiCl+H
そのため、このジクロルシラン、モノクロルシラン、モノシランの製造プロセスにおいても、トリクロルシランを還元する際に排出される排ガスを貯槽12の頂部から回収することによって、塩化水素、水素およびテトラクロルシランおよびトリクロルシランを含む混合ガスが、図1におけるクロルシランの除去プラント100の塩酸反応塔102に供給される。この混合ガス中のクロルシランの濃度が1%以下であることが好ましい。一般的に、ジクロルシラン、モノクロルシラン、モノシランの製造プロセスにおける排ガスに含まれるクロルシランの濃度が1%以下であることにくわえて、この排ガス中のクロルシランの濃度が1%以下であれば、後述するプラント100によって無理なくクロルシランを安定的に処理することができるからである。
このプラント100の塩酸反応塔102に供給された混合ガスは、上述の実施形態1で説明したように、プラント100において処理された結果、除去塔114の塔頂部から高純度水素ガスとして回収され、さらに水分除去装置を通って、水分含有率が0.5%以下に低減される。そして、上記のクロルシランの除去プラント100によって、混合ガスから水素を分離して、水素ガスを生産することができる。こうして生産された水素ガスを、この図4に示すジクロルシラン、モノクロルシラン、モノシランを製造する装置においては再利用が困難であるが、別の何らかの有用な化学プロセスの原料としてこの高純度の水素ガスを用いることが可能であることは言うまでもない。
一方、このプラント100の放散塔110の塔頂部から回収される純度99.9%以上の塩化水素ガスは、再度、図4に示すジクロルシラン、モノクロルシラン、モノシランを製造する装置の蒸発槽9に供給することができる。このように塩化水素ガスを再利用することによって、再びその高純度の塩化水素ガスを用いて、トリクロルシランを還元してジクロルシラン、モノクロルシラン、モノシランを生産することができる。
すなわち、このプラント100によれば、図4の装置における貯槽12の頂部から、テトラクロルシランを還元する際に排出される塩化水素、水素およびクロルシランを含む混合ガスを回収した上で、上記のクロルシランの除去プラント100によって、混合ガスから水素を分離して、水素ガスを生産することができる。そのため、このプラント100によれば、設計・運転・保守の容易な湿式の処理方法によって、塩化水素、水素およびクロルシランを含む混合ガスから安定的にクロルシランおよび塩化水素の少なくとも一部を除去することができる。
そのため、この方法によれば、クロルシランおよび塩化水素の含有量の少ない高純度な水素ガスを分離することができ、工業的に再利用可能な水素ガスおよび塩化水素ガスの分離を行うことができる。そして、この方法によれば、このようにして分離された工業的に再利用可能な塩化水素ガスを再度、図4の装置における蒸発槽9に供給するため、危険な排ガスの放出量を削減するとともに資源の効率的な使用を可能にし、トリクロルシランを還元する化学プロセスの生産効率を向上させ、さらに環境問題の解決にも役立てることができる。
<実施形態2の変形例>
実施形態1に係るクロルシラン除去プラント100は、トリクロルシランの製造プロセスから排出される排ガスをプロセスの出発点となる混合ガスとして好適に用いることができる。なお、既に実施形態1および2で説明した内容については、本変形例では繰り返さない。
図5は、実施形態2の変形例で用いるトリクロルシランの製造プロセスの設備について説明するための図である。図5の装置の反応器23は内径5cm、長さ80cmのもので、反応器23の灼熱部後半から後出口まで内径2mmの取り出し管25が設けられており、反応ガスが取り出し管25を介して反応器23より取り出され急冷されるようになっている。このような装置を用いて、水素流量400cc/分、四塩化珪素:水素=1:1.33、1250℃で反応させる。反応器出口の温度は400℃(急冷時間0.03秒)とする。もっとも、この図5で説明するトリクロルシランの製造プロセスの設備は、実験室サイズの設備であり、実際に商業プロセスとして稼働させる際には、生産規模に応じて、この実験室サイズの設備をプラントサイズの設備にスケールアップする必要があることは当然である。
このトリクロルシランの製造プロセスにおいても、水素およびテトラクロルシランを原料として、テトラクロルシランを還元する際に排出される排ガスを凝縮器26の頂部から回収することによって、塩化水素、水素およびテトラクロルシランを含む混合ガスが、図1におけるクロルシランの除去プラント100の塩酸反応塔102に供給される。なお、一般に、クロルシランを還元して、そのクロルシランよりもハロゲン化度の低いケイ素化合物を生産する場合には、排ガスとして、塩化水素、水素およびテトラクロルシランを含む混合ガスが得られる。この混合ガス中のクロルシラン濃度は1%以下であることが好ましい。一般的に、トリクロルシランの製造プロセスにおける排ガスに含まれるクロルシラン濃度は1%以下であることにくわえて、この排ガス中のクロルシラン濃度が1%以下であれば、後述するプラント100によって無理なくクロルシランを安定的に処理することができるからである。
このプラント100の塩酸反応塔102に供給された混合ガスは、上述の実施形態1で説明したように、プラント100において処理された結果、除去塔114の塔頂部から高純度水素ガスとして回収され、さらに水分除去装置を通って、水分含有率が0.5%以下に低減される。そして、上記のクロルシランの除去プラント100によって、混合ガスから水素を分離して、水素ガスを生産し、生産された水素ガスを、再度、図5に示すクロルシランを還元する装置の反応器23に原料として供給することができる。このように水素ガスを再利用することによって、再びその高純度の水素ガスを原料として、テトラクロルシランを還元してトリクロルシランを生産することができる。
すなわち、このプラント100によれば、図5の装置における凝縮器26の頂部から、水素およびクロルシランを原料としてクロルシランを還元する際に排出される塩化水素、水素およびクロルシランを含む混合ガスを回収した上で、上記のクロルシランの除去プラント100によって、混合ガスから水素を分離して、水素ガスを生産することができる。そのため、このプラント100によれば、設計・運転・保守の容易な湿式の処理方法によって、塩化水素、水素およびクロルシランを含む混合ガスから安定的にクロルシランおよび塩化水素の少なくとも一部を除去することができる。
そのため、この方法によれば、クロルシランおよび塩化水素の含有量の少ない高純度な水素ガスを分離することができ、工業的に再利用可能な水素ガスの分離を行うことができる。そして、この方法によれば、このようにして分離された工業的に再利用可能な水素ガスを再度、図5の装置における反応器23に、クロルシランを還元する工程に原料として供給するため、危険な排ガスの放出量を削減するとともに資源の効率的な使用を可能にし、クロルシランを還元する化学プロセスの生産効率を向上させ、さらに環境問題の解決にも役立てることができる。
この場合、このプラント100の放散塔110の塔頂部から回収される純度99.9%以上の塩化水素ガスは、この図5に示すクロルシランを還元する装置においては再利用が困難であるが、別の何らかの有用な化学プロセスの原料としてこの純度99.9%以上の塩化水素ガスを用いることが可能であることは言うまでもない。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、上記の実施形態では、ハロゲン化水素が塩化水素であり、ハロゲン化ケイ素がクロルシランであるとしたが、特に限定する趣旨ではなく、例えばハロゲン化水素が、HBrであり、ハロゲン化ケイ素が、SiBr、SiHBr、SiHBr、SiHBrであるとしてもよい。あるいは、例えばハロゲン化水素が、HIであり、ハロゲン化ケイ素が、SiI、SiHI、SiH、SiHIであるとしてもよい。このようにしても、いずれも同じハロゲン元素に関する化合物であるため、上記の実施形態と同様の作用効果が奏される。
また、上記の実施形態では、第一の水性溶媒として、塩酸水溶液を用いたが、特に限定する趣旨ではなく、例えば水性溶媒として、水、水溶液、極性溶媒またはそれらのスラリーなどを用いてもよい。この場合にも、水性溶媒であれば、同様の作用効果が奏される。
また、上記の実施形態では、第二の水性溶媒として、塩酸水溶液を用いたが、特に限定する趣旨ではなく、例えば水性溶媒として、水、水溶液、極性溶媒またはそれらのスラリーなどを用いてもよい。この場合にも、水性溶媒であれば、同様の作用効果が奏される。
また、上記の実施形態では、吸収装置として、塩酸スクラバーを用いたが、特に限定する趣旨ではなく、水などの液体を洗浄液として、排ガス中の粒子等の不純物を洗浄液の液滴や液膜中に捕集して分離をする装置であれば任意の吸収装置(溜水中に排ガスをくぐらせることにより集じんする方法(溜水式)、排ガスの流れに加圧水を噴射する方法(加圧水式)、プラスチック・磁器などの充填物に噴霧した洗浄液の水膜に排ガスを接触させて集じんする方法(充填層式)、洗浄液を回転体で分散させて排ガスを接触させる方法(回転式)など)を用いても、同様の作用効果が奏される。
また、上記の実施形態では、固液分離装置として、フィルタープレスを用いたが、特に限定する趣旨ではなく、一般的に固体と液体とを好適に分離できる装置であれば任意の装置を用いてもよく、例えば、遠心分離装置、沈降分離装置、濾過分離装置などを用いても、同様の作用効果が奏される。
また、上記の実施形態では、乱流を発生させる気液接触装置として、バブラーを備える塩酸スクラバーを用いたが、特に限定する趣旨ではなく、一般的に乱流を発生させて気体および液体を好適に激しく接触させる装置であれば任意の装置を用いてもよく、例えば、一般的なサイクロン、攪拌機、円筒形気泡塔、充填塔、螺旋状、ジグザグ状などに屈曲させた多孔性の管路を有する反応装置、超音波霧化装置などを用いても、同様の作用効果が奏される。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
塩酸反応塔102(スラリー貯留槽104も付属)および塩酸スクラバー108で酸性水溶液を用いた場合について、本実施例では検討した。
実施形態1で説明した図1に示すプラント100を用いて混合ガス(水素84.7%(v/v)、塩化水素15%(v/v)、クロルシラン0.3%(v/v)、水分0%(v/v))を塩酸反応塔102に供給した。このとき、塩酸反応塔102および塩酸スクラバー108内には、いずれも20〜35%(wt/wt)の濃度の塩酸水溶液を循環させた。また、塩酸反応塔102には、ゴムライニング被覆206を設け、スプレー214から塩酸水溶液を噴霧させ、塩酸反応塔102の内壁202は常に湿潤な状態を維持させた。流量10Nm/h、圧力100kPaという条件で運転を200時間継続した後に、塩酸反応塔102の頂部出口から採取したガスをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、水素91.0%(v/v)、塩化水素6.0%(v/v)、クロルシラン100ppm(v/v)、水分3%(v/v)であった。また、運転終了後の塩酸反応塔102および塩酸スクラバー108内の状況は、わずかに底の方にシリカの付着が見られた以外には内壁202にシリカの付着がほとんど見られない状態であった。
<実施例2>
実施例1と同様に、塩酸反応塔102(スラリー貯留槽104も付属)および塩酸スクラバー108で酸性水溶液を用いた場合について、本実施例では検討した。
実施形態1で説明した図1に示すプラント100を用いて、実施例1と同様の条件で運転を行い、塩酸スクラバー108の頂部出口から採取したガスをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、水素98.5%(v/v)、塩化水素20ppm(v/v)、クロルシラン10ppm(v/v)未満、水分1.5%(v/v)であった。また、運転終了後の塩酸反応塔102内および塩酸スクラバー108内の状況は、わずかにテラレットの周囲にシリカの付着が見られた以外には内壁202にシリカの付着がほとんど見られない状態であった。
<実施例3>
実施例1の塩酸反応塔102からゴムライニング被覆206を除いた場合について、本実施例では検討した。
実施形態1で説明した図1に示すプラント100の塩酸反応塔102からゴムライニング被覆206を除いて塩化ビニル被覆208を施して、実施例1と同様の条件で運転を行いつつ、塩酸反応塔102の頂部出口から採取したガスをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、水素91.0%(v/v)、塩化水素6.0%(v/v)、クロルシラン100ppm(v/v)、水分3%(v/v)であり、特にクロルシランの吸収効率の悪化は生じなかった。しかし、運転を長時間継続したところ、運転開始後から150時間経過後に塩酸反応塔102が閉塞し、運転が不可能になった。運転が不可能になった後に塩酸反応塔102および塩酸スクラバー108内の状況を調査すると、内壁202に5〜15cmの厚みのシリカが堆積しており、ガス及び液の流路径は約1/3以下に縮小していた。
<比較例1>
実施例1で塩酸水溶液の代わりに水を用いた場合について、本比較例では検討した。
実施形態1で説明した図1に示すプラント100を用いて、塩酸水溶液の代わりに水を用いた点を除いては、実施例1と同様の条件で運転を行いつつ、塩酸反応塔102の頂部出口から採取したガスをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、水素93.0%(v/v)、塩化水素4.0%(v/v)、クロルシラン100ppm(v/v)、水分3%(v/v)であった。しかし、運転を長時間継続したところ、運転開始後から50時間経過後に塩酸反応塔102が閉塞し、運転が不可能になった。運転が不可能になった後に塩酸反応塔102および塩酸スクラバー108内の状況を調査すると、内壁202に5〜15cmの厚みのシリカが堆積しており、ガス及び液の流路径は約1/3以下に縮小していた。また、内壁202に付着したシリカは、水ガラス状であり、容易に除去、剥離することができなかった。
<比較例2>
実施例2の塩酸反応塔102からスプレー214を取り外した場合について、本実施例では検討した。
実施形態1で説明した図1に示すプラント100を用いて、塩酸反応塔102からスプレー214を取り外した点を除いては、実施例3と同様の条件で運転を行いつつ、塩酸反応塔102の頂部出口から採取したガスをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、水素91.0%(v/v)、塩化水素5.0%(v/v)、クロルシラン1.0%(v/v)、水分3%(v/v)であった。しかし、運転を長時間継続したところ、運転開始後から35時間経過後に塩酸スクラバー108が閉塞し、運転が不可能になった。運転が不可能になった後に塩酸反応塔102および塩酸スクラバー108内の状況を調査すると、内壁202に5〜15cmの厚みのシリカが堆積しており、ガス及び液の流路径は約1/3以下に縮小していた。
<考察>
上記の実施例および比較例の実験結果から、実施例1〜3では、クロルシランを酸性溶液で吸収し、かつ塩酸反応塔102の塔内内壁202を湿潤状態とすることで、塩酸反応塔102および塩酸スクラバー108の閉塞を防ぎつつ効率よくクロルシランを吸収できていると言える。
すなわち、上記の結果を見れば、図1に示すようなプラント100を用いて、塩酸反応塔102および塩酸スクラバー108内に塩酸水溶液を循環させることによって、塩化水素、水素およびクロルシランを含む混合ガスから、クロルシランを効率よく安定的に除去できることが分かる。また、シリカ粒子の固着によるプラントの閉塞も起こりにくいことがわかる。
なお、実施例3では、運転開始後から150時間経過後に塩酸反応塔102が閉塞するという問題は生じたが、特にクロルシランの吸収効率の悪化は生じないことも明らかとなり、内壁202へのシリカ付着とクロルシラン吸収効率悪化との間には何ら関係がないものと想定される。また、比較例1では、内壁202に付着したシリカは、水ガラス状になっていたが、その理由は、クロルシランが水に溶けることによって生じたシリカが硬化したためであると想定される。さらに、比較例2では、運転開始後から35時間経過後に塩酸スクラバー108が閉塞し、運転が不可能になったが、その理由は、スプレー214がないことによって、塩酸反応塔102でのクロルシラン吸収が不完全なものになったためであると想定される。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。

Claims (18)

  1. ハロゲン化水素、水素およびハロゲン化ケイ素を含む混合ガスからハロゲン化ケイ素を除去する方法であって、
    前記混合ガスおよび酸性水溶液を接触させることによって、前記ハロゲン化ケイ素および前記酸性水溶液を反応させ、前記混合ガスから前記ハロゲン化ケイ素の少なくとも一部を除去して精製ガスを得る工程を含む、
    ハロゲン化ケイ素の除去方法。
  2. 請求項1記載のハロゲン化ケイ素の除去方法において、
    前記ハロゲン化水素は、塩化水素であり、
    前記ハロゲン化ケイ素は、テトラクロルシラン、トリクロルシラン、ジクロルシラン、モノクロルシラン、ヘキサクロルジシラン、ジシロキサン、メチルジクロルシラン、ジメチルシラン、トリメチルクロルシランからなる群から選ばれる一種以上のクロルシラン類の化合物である、
    ハロゲン化ケイ素の除去方法。
  3. 請求項1記載のハロゲン化ケイ素の除去方法において、
    前記酸性水溶液は、塩酸水溶液である、
    ハロゲン化ケイ素の除去方法。
  4. 請求項3記載のハロゲン化ケイ素の除去方法において、
    前記塩酸水溶液は、塩酸の濃度が10%以上40%以下である、
    ハロゲン化ケイ素の除去方法。
  5. 請求項1記載のハロゲン化ケイ素の除去方法において、
    前記混合ガス中の前記ハロゲン化ケイ素の濃度が1%以下である、
    ハロゲン化ケイ素の除去方法。
  6. 請求項1記載のハロゲン化ケイ素の除去方法において、
    前記精製ガスを得る工程は、前記ハロゲン化ケイ素を、前記酸性水溶液中にガス状態で直接供給して接触させる工程を含む、
    ハロゲン化ケイ素の除去方法。
  7. 請求項1記載のハロゲン化ケイ素の除去方法において、
    ハロゲン化ケイ素の不均斉化反応によって、前記ハロゲン化ケイ素を還元する際に排出されるガスを、前記混合ガスとして回収する工程を、
    さらに含む、ハロゲン化ケイ素の除去方法。
  8. 請求項1記載のハロゲン化ケイ素の除去方法において、
    水素およびハロゲン化ケイ素を原料として、前記ハロゲン化ケイ素を還元する際に排出されるガスを、前記混合ガスとして回収する工程を、
    さらに含む、ハロゲン化ケイ素の除去方法。
  9. 請求項1記載のハロゲン化ケイ素の除去方法において、
    前記精製ガスを、第二の酸性水溶液に接触させることによって、前記精製ガス中に残存するハロゲン化ケイ素および前記第二の酸性水溶液を反応させ、前記精製ガスから前記ハロゲン化ケイ素の少なくとも一部を除去してなる第二の精製ガスを得る工程を、
    さらに含む、ハロゲン化ケイ素の除去方法。
  10. 請求項9記載のハロゲン化ケイ素の除去方法において、
    前記第二の酸性水溶液は、塩酸水溶液である、
    ハロゲン化ケイ素の除去方法。
  11. 請求項10記載のハロゲン化ケイ素の除去方法において、
    前記第二の塩酸水溶液は、塩酸の濃度が40%以下である、
    ハロゲン化ケイ素の除去方法。
  12. 請求項9記載のハロゲン化ケイ素の除去方法において、
    前記第二の精製ガスを得る工程は、前記ハロゲン化ケイ素および前記第二の酸性水溶液を、乱流状態において気液接触させる工程を含む、
    ハロゲン化ケイ素の除去方法。
  13. ハロゲン化水素、水素およびハロゲン化ケイ素を含む混合ガスからハロゲン化ケイ素を除去するプラントであって、
    前記混合ガスおよび酸性水溶液を接触させることによって、前記ハロゲン化ケイ素および前記酸性水溶液を反応させ、前記混合ガスから前記ハロゲン化ケイ素の少なくとも一部を除去して精製ガスを得るための酸性水溶液貯槽を備える、
    ハロゲン化ケイ素の除去プラント。
  14. 請求項13記載のハロゲン化ケイ素の除去プラントにおいて、
    前記酸性水溶液貯槽には、前記ハロゲン化ケイ素を、前記酸性水溶液中にガス状態で直接供給して接触させるための1本または複数本の導入管が設けられている、
    ハロゲン化ケイ素の除去プラント。
  15. 請求項13記載のハロゲン化ケイ素の除去プラントにおいて、
    前記酸性水溶液貯槽には、前記酸性水溶液貯槽の内壁を塩酸水溶液または水による湿潤状態に維持するための噴霧機構が設けられている、
    ハロゲン化ケイ素の除去プラント。
  16. 請求項13記載のハロゲン化ケイ素の除去プラントにおいて、
    前記酸性水溶液貯槽には、ゴムライニングによる被膜が設けられている、
    ハロゲン化ケイ素の除去プラント。
  17. 請求項13記載のハロゲン化ケイ素の除去プラントにおいて、
    前記精製ガスを、第二の酸性水溶液に乱流状態で気液接触させることによって、前記精製ガス中に含まれるハロゲン化ケイ素および前記第二の酸性水溶液を反応させ、前記精製ガスから前記ハロゲン化ケイ素の少なくとも一部を除去してなる第二の精製ガスを得るための気液接触装置を、
    さらに含む、ハロゲン化ケイ素の除去プラント。
  18. 請求項17記載のハロゲン化ケイ素の除去プラントにおいて、
    前記気液接触装置は、前記精製ガス中に残存する未反応ハロゲン化ケイ素ガスまたは前記精製ガスに飛沫同伴してなる二酸化ケイ素粒子を、前記第二の酸性水溶液中にバブリングさせるバブリング機構を有する、
    ハロゲン化ケイ素の除去プラント。
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