JPWO2009125697A1 - モールド、その製造方法および転写微細パターンを有する基材の製造方法 - Google Patents

モールド、その製造方法および転写微細パターンを有する基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

光透過性および離型性が高く、かつ最大高さが比較的大きな微細パターンを有するモールド、その製造方法および該モールドを用いた転写微細パターンを有する基材の製造方法を提供する。ガラス転移温度が含フッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以下である透明樹脂からなり、中間層(C)が形成された表面に官能基(x)に基づく化学結合を有する透明樹脂層(A)12と、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、官能基(x)と反応性の反応性基(y)を有する含フッ素重合体(II)からなる中間層(C)14と、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、反応性基(y)を有しない含フッ素重合体(I)からなる表面層(B)16とを有し、微細パターンの最大高さが、表面層(B)の厚さと中間層(C)の厚さの合計を超えるモールド10。

Description

本発明は、モールド、その製造方法および該モールドを用いた光硬化性樹脂の硬化物からなる転写微細パターンを有する基材の製造方法に関する。
近年、表面に微細パターンを有するモールドと基材とを接触させて微細パターンの反転パターンを基材の表面に形成する方法、いわゆるナノインプリント法が注目されている(特許文献1および特許文献2参照)。なかでも、モールドの微細パターンの表面と基材との間に光硬化性樹脂を配置する工程、光硬化性樹脂に光照射し、光硬化性樹脂を硬化させて硬化物とする工程、および硬化物からモールドを分離する工程を順に行う、光ナノインプリント法が注目されている。
ナノインプリント法は、主に、半導体素子の微細配線、記録メディア等の最大高さが100nm以下の微細パターンを形成する方法として検討されているが、MEMS(Micro−Electro−Mechanical−Systems)、バイオ関連部材、光学部材等の最大高さが数μmから数十μmを超える微細パターンを形成する方法としても、生産性を大幅に向上させる点で、その応用が期待されている。
光ナノインプリント法に用いられるモールドとしては、下記のモールドが提案されている。
(1)石英製モールド。
(2)透明基体(A)と、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体からなり、表面に微細パターンを有する表面層(B)と、透明基体(A)と表面層(B)との間に存在する中間層(C)とを有するモールド(特許文献3参照)。
(1)のモールドは、離型性が低く、硬化物からモールドを分離する際に硬化物の転写微細パターンの精度が低下しやすい。離型性を向上させる方法としては、モールドの微細パターンの表面に離型剤を塗布する方法が提案されている。しかし、塗布された離型剤の厚さムラにより、モールドの微細パターンを精度よく転写できない。さらに、モールドを連続して用いる場合、離型剤を再塗布する必要があり、生産効率が低下しやすい。
(2)のモールドは、表面層(B)が含フッ素重合体からなるため、離型性が高い。しかし、機械的強度、寸法安定性の向上を目的とした(2)のモールドは、透明基体(A)として硬い材料を用いているため、最大高さが表面層(B)の厚さと中間層(C)の厚さとの合計を超える微細パターンを形成することは下記理由から困難である。
(2)のモールドは、透明基体(A)の表面に中間層(C)および表面層(B)を塗工により形成し、表面層(B)にマスターモールドを押しつけ、マスターモールドの反転パターンを表面層(B)に転写することにより製造されている。しかし、塗工で形成される表面層(B)の厚さと中間層(C)の厚さとの合計が薄い(0.1〜15μm程度である。)ため、マスターモールドの反転パターンの最大高さ(マスターモールド全体の歪(うねり)を含めた凹凸構造の最大高低差。)が前記厚さの合計を超える場合、マスターモールドの反転パターンを正確に転写するためには、前記厚さの合計を超える分については透明基体(A)にも反転パターンを転写しなければならない。しかし、透明基体(A)が硬いため、前記厚さの合計を超える分については透明基体(A)に反転パターンを転写できない。
むしろ、マスターモールドの反転パターンが透明基体(A)に到達した際に、中間層(C)および表面層(B)が破断し、透明基体(A)が表面に露出してしまう。透明基体(A)が表面に露出した(2)のモールドは、透明基体(A)と硬化物とが接着してしまうため、離型性が低い。
特表2004−504718号公報 特表2002−539604号公報 国際公開第2006/059580号パンフレット
本発明は、光透過性および離型性が高く、かつ最大高さが比較的大きな微細パターンを有するモールド、その製造方法、およびモールドの微細パターンを精度よく、かつ生産効率よく転写でき、転写微細パターンの最大高さが比較的大きい、転写微細パターンを有する基材の製造方法を提供する。
本発明のモールドは、光硬化性樹脂を成形するための微細パターンを有するモールドであって、下記透明樹脂層(A)と、下記表面層(B)と、前記透明樹脂層(A)の表面に形成され、かつ前記透明樹脂層(A)と前記表面層(B)との間に存在する下記中間層(C)とを有し、前記微細パターンの最大高さが、前記表面層(B)の厚さと前記中間層(C)の厚さの合計を超えることを特徴とする。
透明樹脂層(A):ガラス転移温度が下記含フッ素重合体(I)および下記含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以下である透明樹脂からなる層であり、中間層(C)が形成される前には、中間層(C)が形成される表面に官能基(x)を有し、中間層(C)が形成された後には、中間層(C)が形成された表面に前記官能基(x)と下記反応性基(y)とに基づく化学結合を有する層。
表面層(B):主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、かつ下記反応性基(y)を実質的に有しない含フッ素重合体(I)からなる層。
中間層(C):主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、かつ前記官能基(x)と反応性の反応性基(y)を有する含フッ素重合体(II)からなる層。
前記微細パターンの最大高さは、1〜500μmであることが好ましい。
前記透明樹脂層(A)は、透明支持体(D)によって支持されていることが好ましい。
前記官能基(x)は、水酸基、アミノ基またはオキシラニル基であることが好ましく、前記反応性基(y)は、カルボキシル基であることが好ましい。
前記透明樹脂層(A)は、表面処理によって官能基(x)が表面に導入された層であることが好ましい。
本発明のモールドの製造方法は、光硬化性樹脂を成形するための微細パターンを有するモールドの製造方法であって、下記透明樹脂からなり、表面に官能基(x)を有する透明樹脂層(A)の該表面に、含フッ素溶媒に下記含フッ素重合体(II)を溶解させた溶液を塗布、乾燥して下記含フッ素重合体(II)からなる中間層(C)を形成する工程と、
前記中間層(C)の表面に、含フッ素溶媒に下記含フッ素重合体(I)を溶解させた溶液を塗布、乾燥して下記含フッ素重合体(I)からなる表面層(B)を形成し、モールド前駆体を得る工程と、前記モールド前駆体の前記表面層(B)側から、微細パターンの反転パターンを表面に有し、かつ該反転パターンの最大高さが前記表面層(B)の厚さと前記中間層(C)の厚さの合計を超えるマスターモールドの該反転パターンを、前記モールド前駆体および前記マスターモールドの少なくとも一方が下記含フッ素重合体(I)および下記含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以上とされた状態で押しつけ、前記表面層(B)、前記中間層(C)および前記透明樹脂層(A)にわたって微細パターンを形成し、モールドを得る工程と、前記モールドからマスターモールドを分離する工程とを有することを特徴とする。
透明樹脂:ガラス転移温度が下記含フッ素重合体(I)および下記含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以下である透明樹脂。
含フッ素重合体(I):主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、かつ下記反応性基(y)を実質的に有しない含フッ素重合体。
含フッ素重合体(II):主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、かつ前記官能基(x)と反応性の反応性基(y)を有する含フッ素重合体。
本発明の転写微細パターンを有する基材の製造方法は、光硬化性樹脂を基材の表面に配置する工程と、本発明のモールドを、該モールドの微細パターンが前記光硬化性樹脂に接するように、前記光硬化性樹脂に押しつける工程と、前記モールドを前記光硬化性樹脂に押しつけた状態で、前記光硬化性樹脂に光を照射し、前記光硬化性樹脂を硬化させて硬化物とする工程と、前記硬化物からモールドを分離する工程とを有することを特徴とする。
本発明の転写微細パターンを有する基材の製造方法は、光硬化性樹脂を、本発明のモールドの微細パターンの表面に配置する工程と、基材を、前記モールドの表面の前記光硬化性樹脂に押しつける工程と、前記基材を前記光硬化性樹脂に押しつけた状態で、前記光硬化性樹脂に光を照射し、前記光硬化性樹脂を硬化させて硬化物とする工程と、前記硬化物からモールドを分離する工程とを有することを特徴とする。
本発明の転写微細パターンを有する基材の製造方法は、基材と、本発明のモールドとを、該モールドの微細パターンが前記基材側になるように接近または接触させる工程と、光硬化性樹脂を、前記基材と前記モールドとの間に充填する工程と、前記基材と前記モールドとが接近または接触した状態で、前記光硬化性樹脂に光を照射し、前記光硬化性樹脂を硬化させて硬化物とする工程と、前記硬化物からモールドを分離する工程とを有することを特徴とする。
本発明のモールドの製造方法は、光透過性および離型性が高く、かつ最大高さが比較的大きな微細パターンを有するモールドを製造できる。
また、本発明は、本発明のモールドを用いることにより、モールドの微細パターンを精度よく、かつ生産効率よく転写でき、さらに、最大高さが比較的大きい転写微細パターンを有する基材を製造することができる。
本発明のモールドの一例を示す断面図である。 転写微細パターンを有する基材の製造方法の一例を示す断面図である。 転写微細パターンを有する基材の製造方法の他の例を示す断面図である。 転写微細パターンを有する基材の製造方法の他の例を示す断面図である。 例7のモールドのレーザー顕微鏡像である。
符号の説明
10 モールド
12 透明樹脂層(A)
14 中間層(C)
16 表面層(B)
17 透明支持体(D)
18 微細パターン
20 光硬化性樹脂
30 基材
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
<モールド>
本発明のモールドは、光硬化性樹脂を成形するための微細パターンを有するモールドである。図1は、本発明のモールドの一例を示す断面図である。モールド10は、透明樹脂層(A)12と、表面層(B)16と、透明樹脂層(A)12の表面に形成され、かつ透明樹脂層(A)12と表面層(B)16との間に存在する中間層(C)14と、透明樹脂層(A)12を裏面側から支持する透明支持体(D)17とを有し、かつ表面層(B)16、中間層(C)14および透明樹脂層(A)12にわたって形成された微細パターン18を有する。なお、透明支持体(D)17は、必ずしも設ける必要はない。
(微細パターン)
微細パターンとしては、凹凸構造からなる微細パターンが好ましい。
凹凸構造における凸構造部は、モールドの表面に線状または点状に存在する。
線状の凸構造部は、直線であってもよく、曲線であってもよく、折れ曲がり形状であってもよい。また、線状の凸構造部が、多数平行に存在して縞状をなしていてもよい。線状の凸構造部の断面形状(長手方向に対して直角方向の断面の形状。)としては、長方形、台形、三角形、半円形等が挙げられる。
点状の凸構造部の形状としては、底面形状が、長方形、正方形、菱形、六角形、三角形、円形等である柱状、錐状、半球形、多面体形等が挙げられる。
凸構造部のアスペクト比(凸構造部の高さ/凸構造部の底辺の幅)は、5以下が好ましい。アスペクト比が5以下であればマスターモールドの反転パターンを転写する際にピンホール等の欠陥のない良好な微細パターンを形成できる。アスペクト比は、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。
凸構造部の高さおよび底辺の幅は、共焦点レーザー顕微鏡のプロファイル計測により求める。ただし、凸構造部の高さおよび底辺の幅は、急峻な壁面を有する微細パターン等で共焦点レーザー顕微鏡では正確な測定が困難な場合、微細パターンを切断して断面を顕微鏡(光学顕微鏡、レーザー顕微鏡または電子顕微鏡)により観察し、求めてもよい。微細パターンの切断は、公知の方法で行う。ただし、切断によりパターン形状が崩れるおそれがある場合は、樹脂包埋処理、液体窒素による冷却処理等を行う。
微細パターンの最大高さは、表面層(B)の厚さと中間層(C)の厚さの合計を超える。微細パターンの最大高さは、500μm以下が好ましい。微細パターンの最大高さが500μm以下であれば、マスターモールドの反転パターンを広い面積にわたって均一に転写できる。微細パターンの最大高さは、300μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
微細パターンの最大高さの下限は、表面層(B)の厚さと中間層(C)の厚さの合計によるが、通常は1μmである。
本発明における最大高さは、JIS B0601に規定される最大高さであり、基準長さLにおける、凹凸構造の最も高い山頂線および最も低い谷底線との最大高低差である。
最大高さは、共焦点レーザー顕微鏡のプロファイル計測により求める。ただし、最大高さは、急峻な壁面を有する微細パターン等で共焦点レーザー顕微鏡では正確な測定が困難な場合、微細パターンを切断して断面を顕微鏡(光学顕微鏡、レーザー顕微鏡または電子顕微鏡)により観察し、求めてもよい。微細パターンの切断は公知の方法で行う。ただし、切断によりパターン形状が崩れるおそれがある場合は、樹脂包埋処理、液体窒素による冷却処理等を行う。
基準長Lの長さは、ラインアンドスペース、V溝、ドットパターン等の周期パターンの場合は5〜20周期分の長さとする。非周期パターンの場合は設計上最も高い点となる部分と最も低い点となる部分を含むように基準長Lの長さを決定する。基準長Lの長さが大きい場合(数mm以上)、共焦点レーザー顕微鏡のプロファイル計測や断面観察による1回の測定で最大高さを求めるのは困難である。そのような場合はプロファイル計測や断面観察を場所ごとに複数回に分けて行い、後からデータをつなげることで最大高さを求めることができる。
また、表面層(B)および中間層(C)の厚さは、微細パターンを形成する前のモールド前駆体における表面層(B)および中間層(C)の厚さとする。
(透明樹脂層(A))
透明樹脂層(A)は、ガラス転移温度が含フッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以下である透明樹脂からなる層であり、中間層(C)が形成される前には、中間層(C)が形成される表面に官能基(x)を有し、中間層(C)が形成された後には、中間層(C)が形成された表面に前記官能基(x)と反応性基(y)とに基づく化学結合を有する層である。
透明樹脂のガラス転移温度は、含フッ素重合体(I)のガラス転移温度以下であり、かつ含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以下である。透明樹脂のガラス転移温度が含フッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以下であれば、マスターモールドの反転パターンの最大高さ(マスターモールド全体の歪(うねり)を含めた凹凸構造の最大高低差。)が表面層(B)の厚さと中間層(C)の厚さとの合計を超えていても、透明樹脂層(A)が変形し、反転パターンの凹凸構造、マスターモールド全体の歪(うねり)等に追随するため、該反転パターンを精度よく転写できる。また、透明樹脂のガラス転移温度が含フッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以下であれば、マスターモールドを押しつけた際に、マスターモールドと表面層(B)との間に異物が混入したとしても、透明樹脂層(A)が変形して異物の影響を吸収するため、高価なマスターモールドを傷つけない。
透明樹脂のガラス転移温度は、含フッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)のガラス転移温度よりも5℃以上低いことが好ましく、10℃以上低いことがより好ましい。
透明樹脂のガラス転移温度は、20℃以上が好ましい。透明樹脂のガラス転移温度が20℃以上であれば、表面層(B)からマスターモールドを分離する際に透明樹脂層(A)が変形せず、微細パターンの寸法精度が良好となる。透明樹脂のガラス転移温度が20℃未満である場合、マスターモールドの反転パターンの転写を低温で行うことで微細パターンの寸法精度が良好となるが、作業性や生産性の点で不利である。透明樹脂のガラス転移温度は、40℃以上がより好ましい。
透明樹脂のガラス転移温度は、ガラス転移温度が200℃を超える含フッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)の合成が困難な点から、200℃以下が好ましい。
本発明におけるガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いてJIS K7121:1987にしたがって求める。なお、本発明におけるガラス転移温度とは、中間点ガラス転移温度をいう。
透明樹脂としては、アクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、非晶性ポリエステル、シクロオレフィン系樹脂(COP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、フルオロオレフィン−アルキルビニルエーテル系共重合体(FEVE)、シリコーン樹脂等が挙げられる。
透明支持体(D)を設ける場合、透明樹脂としては、光線透過率、成形加工性、パターニング性の点から、アクリル樹脂、非晶性ポリエステルまたはFEVEが好ましい。アクリル樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が挙げられる。FEVEとしては、ルミフロン(旭硝子社製)が挙げられる。非晶性ポリエステルとしては、バイロン(東洋紡社製)が挙げられる。
透明支持体(D)を設けない場合、透明樹脂としては、光線透過率、成形加工性、パターニング性、耐熱性の点から、アクリル樹脂、ポリスチレンまたはCOPが好ましい。アクリル樹脂としては、PMMAが挙げられる。COPとしては、ZEONEX(日本ゼオン社製)が挙げられる。
透明樹脂層(A)(透明支持体(D)を設ける場合、透明樹脂層(A)と透明支持体(D)との積層体。)は、300〜500nmの波長領域の光のうち、少なくとも一部の波長領域で光線透過率が75%以上のものが好ましく、85%以上のものがより好ましい。該光線透過率が75%以上であれば、後述の転写微細パターンを有する基材の製造方法において、光硬化性樹脂を効率的に硬化できる。特に、436nm(高圧水銀灯のg線の波長。)または365nm(高圧水銀灯のi線の波長。)の光線透過率が75%以上のものが好ましく、85%以上のものがより好ましい。波長436nmまたは365nmの光線透過率が75%以上であれば、後述の転写微細パターンを有する基材の製造方法において、高圧水銀灯を用いて光硬化性樹脂を効率的に硬化できる。
透明支持体(D)を設ける場合、透明樹脂層(A)は、透明樹脂の前駆体または透明樹脂の溶液を透明支持体(D)の表面に塗布することにより形成してもよい。また、透明樹脂層(A)のフィルムと透明支持体(D)とをラミネート処理により接合してもよい。
透明支持体(D)を設けない場合、透明樹脂を公知の成形法にて成形し、透明樹脂層(A)の成形体とする。
透明樹脂層(A)(透明支持体(D)を設ける場合、透明樹脂層(A)と透明支持体(D)との積層体。)の形状は、平板状(四角形状、ディスク状)であってよく、フィルム状であってもよく、曲面状(レンズ状、円筒状、円柱状等。)であってもよい。
透明樹脂層(A)(透明支持体(D)を設ける場合、透明樹脂層(A)と透明支持体(D)との積層体。)の形状が平板状である場合、透明樹脂層(A)の厚さは、0.4mm以上20mm以下が好ましく、0.5mm以上15mm以下がより好ましく、0.5mm以上8mm以下がさらに好ましい。透明樹脂層(A)の厚さが0.4mm以上であれば、モールドがたわみにくく取り扱い性がよい。透明樹脂層(A)の厚さが20mm以下であれば、材料の無駄が少なく、また、重くならないため、取り扱い性がよい。
透明支持体(D)を設ける場合、透明樹脂層(A)の厚さは、微細パターンの最大高さの1倍〜10倍の範囲が好ましい。透明樹脂層(A)の厚さが微細パターンの最大高さよりも小さいと、微細パターンの転写が不十分となるおそれがある。透明樹脂層(A)の厚さが微細パターンの最大高さの10倍を超えると、透明樹脂層(A)のガラス転移温度が低い(80℃以下)場合に微細パターンの寸法安定性が悪くなるおそれがある。透明樹脂層(A)の厚さが微細パターンの最大高さの1倍〜10倍の範囲であれば、良好な転写性と良好な寸法安定性の両立が容易である。透明樹脂層(A)の厚さは、微細パターンの最大高さの1.5倍〜6倍の範囲がさらに好ましい。
官能基(x)としては、水酸基、オキシラニル基、またはアミノ基が好ましい。官能基(x)は、透明樹脂に由来する官能基であってもよく、官能基(x)を導入する表面処理により透明樹脂層(A)の表面に付与された官能基であってもよい。官能基(x)の種類および量を任意に制御できる点から、後者の官能基が好ましい。
官能基(x)を導入する表面処理の方法は、官能基(x)を有するシランカップリング剤で透明樹脂層(A)を表面処理する方法、プラズマ処理により透明樹脂層(A)を表面処理する方法、グラフト重合処理により透明樹脂層(A)を表面処理する方法、UVオゾン処理によって透明樹脂層(A)を表面処理する方法、透明樹脂層(A)上に官能基(x)を有するプライマーを塗布する方法などが好ましい。
官能基(x)を有するシランカップリング剤としては、下記の化合物が好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤:アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノエチル−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチル−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等。
オキシラニル基を有するシランカップリング剤:グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等。
透明樹脂層(A)の表面に中間層(C)が形成されることによって、官能基(x)の一部または全部が、含フッ素重合体(II)の反応性基(y)の一部または全部と化学結合を形成する。透明樹脂層(A)の官能基(x)の一部が化学結合を形成した場合には、本発明のモールドにおける透明樹脂層(A)は、官能基(x)を有している。一方、透明樹脂層(A)の官能基(x)の全部が化学結合を形成した場合には、本発明のモールドにおける透明樹脂層(A)は、官能基(x)を有さない。
いずれにしても、中間層(C)を形成した後の透明樹脂層(A)の表面には、官能基(x)と反応性基(y)とから形成された化学結合が存在する。化学結合としては、反応性基(y)がカルボキシル基であり官能基(x)が水酸基またはオキシラニル基である場合のエステル結合、反応性基(y)がカルボキシル基であり官能基(x)がアミノ基である場合のアミド結合等が挙げられる。したがって、本発明のモールドにおいては、透明樹脂層(A)と中間層(C)が化学結合を介して強固に接着されている。
(表面層(B))
表面層(B)は、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、かつ下記の反応性基(y)を実質的に有しない含フッ素重合体(I)からなる層である。
主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体(I)は、無定形または非結晶性の重合体である。
主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するとは、重合体における含フッ素脂肪族環の環を構成する炭素原子の1個以上が重合体の主鎖を構成する炭素原子であることをいう。含フッ素脂肪族環の環を構成する原子は、炭素原子以外に酸素原子、窒素原子等を含んでいてもよい。含フッ素脂肪族環としては、1〜2個の酸素原子を有する含フッ素脂肪族環が好ましい。含フッ素脂肪族環を構成する原子の数は、4〜7個が好ましい。
主鎖を構成する炭素原子は、環状単量体を重合させて得た重合体である場合には重合性二重結合の炭素原子に由来し、ジエン系単量体を環化重合させて得た重合体である場合には2個の重合性二重結合の4個の炭素原子に由来する。
環状単量体とは、含フッ素脂肪族環を有し、かつ該含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子−炭素原子間に重合性二重結合を有する単量体、または、含フッ素脂肪族環を有し、かつ該含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子と含フッ素脂肪族環外の炭素原子の間に重合性二重結合を有する単量体である。
ジエン系単量体とは、2個の重合性二重結合を有する単量体である。
環状単量体およびジエン系単量体において、炭素原子に結合した水素原子および炭素原子に結合したフッ素原子の合計数に対する炭素原子に結合したフッ素原子の数の割合は、それぞれ、80%以上が好ましく、100%が特に好ましい。
環状単量体としては、化合物(1)または化合物(2)が好ましい。
Figure 2009125697
ただし、Xは、フッ素原子または炭素原子数1〜3のペルフルオロアルコキシ基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素原子数1〜6のペルフルオロアルキル基を示し、XおよびXは、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素原子数1〜9のペルフルオロアルキル基を示す。
化合物(1)の具体例としては、化合物(1−1)〜(1−3)が挙げられる。
Figure 2009125697
化合物(2)の具体例としては、化合物(2−1)〜(2−2)が挙げられる。
Figure 2009125697
ジエン系単量体としては、化合物(3)が好ましい。
CF=CF−Q−CF=CF ・・・(3)
ただし、Qは、炭素原子数1〜3のペルフルオロアルキレン基(エーテル性酸素原子を有していてもよい。)を示す。エーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基である場合、エーテル性酸素原子は該基の一方の末端に存在していてもよく、該基の両末端に存在していてもよく、該基の炭素原子の間に存在していてもよい。環化重合性の点からは、該基の一方の末端に存在しているのが好ましい。
化合物(3)の環化重合により、下式(α)〜(γ)のうちの1種以上のモノマー単位を有する含フッ素重合体が得られる。
Figure 2009125697
化合物(3)の具体例としては、化合物(3−1)〜(3−9)が挙げられる。
CF=CFOCFCF=CF ・・・(3−1)、
CF=CFOCF(CF)CF=CF ・・・(3−2)、
CF=CFOCFCFCF=CF ・・・(3−3)、
CF=CFOCF(CF)CFCF=CF ・・・(3−4)、
CF=CFOCFCF(CF)CF=CF ・・・(3−5)、
CF=CFOCFOCF=CF ・・・(3−6)、
CF=CFOC(CFOCF=CF ・・・(3−7)、
CF=CFCFCF=CF ・・・(3−8)、
CF=CFCFCFCF=CF ・・・(3−9)。
含フッ素重合体(I)において、全モノマー単位(100モル%)に対する含フッ素脂肪族環構造を有するモノマー単位の割合は、含フッ素重合体(I)の透明性の点から、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。含フッ素脂肪族環構造を有するモノマー単位とは、環状単量体の重合により形成されたモノマー単位、またはジエン系単量体の環化重合により形成されたモノマー単位である。
含フッ素重合体(I)は、反応性基(y)を実質的に有さない。反応性基(y)を実質的に有さないとは、含フッ素重合体(I)中の反応性基(y)の含有量が検出限界以下であることをいう。また、含フッ素重合体(I)は反応性基(y)以外の反応性基も実質的に有さないことが好ましい。
含フッ素重合体(I)の固有粘度は、0.1dL/g〜1.0dL/gが好ましい。固有粘度は含フッ素重合体の分子量と相関がある。固有粘度が0.1dL/g以上であれば、機械的強度の高い含フッ素重合体(I)となるため、微細パターンが損傷しにくい。固有粘度が1.0dL/g以下であれば、加熱時の含フッ素重合体(I)の流動性が良好になるため、微細パターンの形成が容易となる。含フッ素重合体(I)の固有粘度は、0.15dL/g〜0.75dL/gがより好ましい。
本発明における固有粘度は、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で測定される固有粘度である。粘度測定は、ウベローデ粘度計(毛細管粘度計)を用いて、JIS Z8803にしたがって行う。
含フッ素重合体(I)としては、透明性が高い含フッ素重合体が好ましい。含フッ素重合体(I)の波長300〜500nmの光の光線透過率は、90%以上が好ましい。光線透過率は、厚さ100μmの含フッ素重合体(I)の光線透過率である。
含フッ素重合体(I)のガラス転移温度は20℃以上が好ましい。含フッ素重合体(I)のガラス転移温度が20℃以上であれば、表面層(B)からマスターモールドを分離する際に表面層(B)が変形せず、微細パターンの寸法精度が良好となる。また、得られたモールドの微細パターンを光硬化性樹脂に転写する工程において、含フッ素重合体(I)の形状が維持されてパターンの寸法精度が良好となる。含フッ素重合体(I)のガラス転移温度が20℃未満である場合、マスターモールドの反転パターンの転写を低温で行うことで微細パターンの寸法精度が良好となるが、作業性や生産性の点で不利である。含フッ素重合体(I)のガラス転移温度は、40℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。
含フッ素重合体(I)のガラス転移温度は、ガラス転移温度が200℃を超える含フッ素重合体(I)の合成が困難な点から、200℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。
含フッ素重合体(I)は、公知の方法にしたがって入手できる。たとえば、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体(P)、または反応性基(y)を有する含フッ素重合体(II)を後述の方法によって得た後、該含フッ素重合体(P)または含フッ素重合体(II)をフッ素ガスに接触させることにより、実質的に反応性基(y)を含まない含フッ素重合体(I)を入手できる。
表面層(B)の厚さは、0.2μm以上が好ましい。表面層(B)の厚さが0.2μm以上であれば、マスターモールドの反転パターンを転写する際に、ピンホール等の欠陥が発生せず良好な微細パターンを形成できる。表面層(B)の厚さは、0.5μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましい。
表面層(B)の厚さは、15μm以下が好ましい。表面層(B)の厚さが15μm以下であれば、塗工により厚さが均一な膜を形成できる。表面層(B)の厚さは、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。
表面層(B)の厚さは、微細パターンを形成する前のモールド前駆体における表面層(B)の厚さとする。
(中間層(C))
中間層(C)は、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、かつ前記官能基(x)と反応性の反応性基(y)を有する含フッ素重合体(II)からなる層である。
主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体(II)は、無定形または非結晶性の重合体である。
含フッ素重合体(II)は、反応性基(y)を有する以外は、前記含フッ素重合体(I)と同様の重合体である。
含フッ素重合体(I)における含フッ素脂肪族環構造を有するモノマー単位と、含フッ素重合体(II)における含フッ素脂肪族環構造を有するモノマー単位は、中間層(C)と表面層(B)とがより強固に接着され、モールドの耐久性が優れる点から、同じモノマー単位であることが好ましい。
含フッ素重合体(II)において、全モノマー単位(100モル%)に対する含フッ素脂肪族環構造を有するモノマー単位の割合は、含フッ素重合体(I)の透明性の点から、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
含フッ素重合体(II)は、反応性基(y)を有する。反応性基(y)の種類は、官能基(x)の種類に応じて適宜選択される。官能基(x)が水酸基、オキシラニル基、またはアミノ基である場合、反応性基(y)としては、カルボキシル基、水酸基、シラノール基またはそれらの誘導体が好ましい。反応性基(y)としては、オキシラニル基、またはアミノ基との反応性が高く、強固な結合を容易に形成できる点から、カルボキシル基が特に好ましい。また、官能基(x)が水酸基である場合は、強固な結合を容易に形成できる点から、シラノール基または炭素数1〜4のアルコキシシラン基が好ましい。
反応性基(y)の有無は赤外線スペクトルによって確認することが好ましい。また、必要に応じて特開昭60−240713号公報に記されている方法を用いて、10炭素原子当たりの反応性基の数として定量することが好ましい。
含フッ素重合体(II)の固有粘度は、0.1dL/g〜1.0dL/gが好ましい。固有粘度は含フッ素重合体の分子量と相関がある。固有粘度が0.1dL/g〜1.0dL/gであることにより、含フッ素重合体(I)との親和性が高く、表面層(B)と中間層(C)との間で良好な密着性が得られる。含フッ素重合体(II)の固有粘度は、0.15dL/g〜0.75dL/gがより好ましい。
含フッ素重合体(II)としては、透明性が高い含フッ素重合体が好ましい。含フッ素重合体(II)の波長300〜500nmの光の光線透過率は、90%以上が好ましい。光線透過率は、厚さ100μmの含フッ素重合体(II)の光線透過率である。
含フッ素重合体(II)は、公知の方法にしたがって入手できる。たとえば、反応性基(y)がカルボキシル基である含フッ素重合体(II)は、炭化水素系ラジカル重合開始剤の存在下に、ジエン系単量体または環状単量体を重合して主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体(P)を得て、つぎに該含フッ素重合体(P)を酸素ガス雰囲気下に加熱処理し、さらに水中に浸漬することにより得られる。
反応性基(y)がシラノール基である含フッ素重合体(II)は、特開平4−226177号公報に記載の方法のように、カルボキシル基を有する含フッ素重合体(II)の該カルボキシル基をエステル化してカルボン酸メチルエステルとし、さらにカルボン酸メチルエステルをアミノ基またはオキシラニル基を有するシランカップリング剤と反応させてアミド結合を形成させることにより得られる。
反応性基(y)が水酸基である含フッ素重合体(II)は、カルボキシル基を有する含フッ素重合体の該カルボキシル基を還元することにより得られる。
中間層(C)の厚さは、5nm〜2000nmが好ましい。中間層(C)の厚さが5nm以上であれば、均一な膜が形成でき、高い密着性が得られる。中間層(C)の厚さが2000nm以下であれば、材料の無駄が少ない。中間層(C)の厚さは、10nm〜1000nmがより好ましく、20〜500nmがさらに好ましい。
中間層(C)の厚さは、微細パターンを形成する前のモールド前駆体における中間層(C)の厚さとする。
(透明支持体(D))
透明樹脂層(A)は、透明支持体(D)によって支持されていることが好ましい。
透明樹脂層(A)が透明支持体(D)によって支持されていれば、マスターモールドの反転パターンを転写する際に透明樹脂層(A)の反りが抑えられ、透明樹脂層(A)の材料として選べる透明樹脂の選択肢が多くなる。
透明支持体(D)の熱変形温度は、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。透明支持体(D)の熱変形温度が100℃以上であれば、透明樹脂層(A)の形状を維持したまま加熱でき、作業性に優れる。また、マスターモールドの反転パターンを転写する際に、寸法安定性よく反転パターンを転写できる。
透明支持体(D)の熱変形温度の上限は特に規定されない。ガラス等の無機材料のように熱変形温度が300℃を超える透明支持体(D)を用いてもよい。
本発明における熱変形温度は、ASTM D648にしたがって、1.82MPaの荷重の条件により測定される。
透明支持体(D)の材料としては、無機材料(石英、ガラス、透光性セラミックス等。
)や透明樹脂(ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、フルオレン系ポリエステル、COP、ポリアリレート(PAR)、芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、芳香族ポリエーテルスルホン(PES)、全芳香族ポリケトン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等。)が挙げられる。光線透過率、成形加工性、耐熱性の点から、石英、ガラス、PC、COPが好ましい。
(モールドの製造方法)
本発明のモールドの製造方法としては、下記工程M1、下記工程M2、下記工程M3、および下記工程M4を順に行う方法が挙げられる。
工程M1:表面に官能基(x)を有する透明樹脂層(A)の該表面側に、含フッ素溶媒に含フッ素重合体(II)を溶解させた溶液を塗布し、つぎに、含フッ素溶媒を乾燥により除去して、含フッ素重合体(II)からなる中間層(C)を、表面に官能基(x)を有する透明樹脂層(A)の該表面側に形成する工程。
工程M2:中間層(C)の表面側に、含フッ素溶媒に含フッ素重合体(I)を溶解させた溶液を塗布し、つぎに、乾燥により含フッ素溶媒を除去して、中間層(C)の表面に含フッ素重合体(I)からなる表面層(B)を形成し、モールド前駆体を得る工程。
工程M3:モールド前駆体の表面層(B)側から、微細パターンの反転パターンを表面に有し、かつ該反転パターンの最大高さが表面層(B)の厚さと中間層(C)の厚さの合計を超えるマスターモールドの該反転パターンを、モールド前駆体およびマスターモールドの少なくとも一方が含フッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以上とされた状態で押しつけ、表面層(B)、中間層(C)および透明樹脂層(A)にわたって微細パターンを形成し、本発明のモールドを得る工程。
工程M4:モールドおよびマスターモールドを含フッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以下に冷却した後に、モールドからマスターモールドを分離する工程。
工程M1における乾燥は、透明樹脂層(A)の官能基(x)の一部または全部と、含フッ素重合体(II)の反応性基(y)の一部または全部との間に化学結合を形成しうる温度で行われる。乾燥温度は、通常100℃以上である。
工程M2における乾燥温度は、含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以上、および含フッ素重合体(I)のガラス転移温度以上が好ましい。該温度で乾燥することにより、中間層(C)と表面層(B)が高強度に接着される。
工程M3においては、モールド前駆体およびマスターモールドの少なくとも一方を、含フッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以上に加熱する。加熱温度が含フッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以上であれば、マスターモールドの反転パターンを精度よく転写できる。加熱温度は、含フッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)のガラス転移温度よりも10℃以上高いことが好ましい。加熱温度は、250℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。加熱温度が250℃を超えると、官能基(x)と反応性基(y)とに基づく化学結合が破壊され、透明樹脂層(A)と中間層(C)との間で剥離が発生するおそれがある
なお、工程M3においてモールド前駆体およびマスターモールドの加熱温度がフッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)のガラス転移温度未満であった場合でも、加熱温度が透明樹脂層(A)のガラス転移温度以上であればパターンの転写は可能であるが、パターン形状が正確に転写できなかったり、パターンが転写されない領域が生じたり、パターンの表面が荒れたりするおそれがある。
工程M3においてモールド前駆体およびマスターモールドの加熱温度が透明樹脂層(A)のガラス転移温度よりも低い場合、パターンは転写されない。
以上説明した本発明のモールドは、透明樹脂層(A)、含フッ素重合体(II)からなる中間層(C)、および含フッ素重合体(I)からなる表面層(B)の積層体であるため、高い光透過性を有する。
また、本発明のモールドは、表面層(B)が含フッ素重合体(I)からなる層であるため、高粘着性の光硬化性樹脂を成形できる程度の高い離型性を有する。また、離型剤を塗布する必要がないため、高精度な微細パターンを有し、かつ繰り返し使用しても微細パターンが離型剤で汚染されにくい。
また、本発明のモールドは、透明樹脂層(A)を構成する透明樹脂のガラス転移温度が含フッ素重合体(I)および含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以下である。したがって、微細パターンの最大高さ(モールド全体の歪(うねり)を含めた凹凸構造の最大高低差。)が表面層(B)の厚さと中間層(C)の厚さとの合計を超えていても、マスターモールドの反転パターンを転写する際に透明樹脂層(A)が変形し、反転パターンの凹凸構造、マスターモールド全体の歪(うねり)等に追随できるため、表面層(B)、中間層(C)および透明樹脂層(A)にわたって微細パターンを精度よく形成できる。さらに、マスターモールドを押しつける際に、マスターモールドと表面層(B)との間に異物粒子が混入したとしても、透明樹脂層(A)が変形するため高価なマスターモールドを傷つけない。
<転写微細パターンを有する基材の製造方法>
本発明の、転写微細パターンを有する基材の製造方法としては、下記の方法(a)〜(c)が挙げられる。
方法(a):
下記の工程(a−1)〜(a−4)を有する方法。
(a−1)光硬化性樹脂20を基材30の表面に配置する工程。
(a−2)図2に示すように、モールド10を、該モールド10の微細パターン18が光硬化性樹脂20に接するように、光硬化性樹脂20に押しつける工程。
(a−3)モールド10を光硬化性樹脂20に押しつけた状態で、光硬化性樹脂20に光を照射し、光硬化性樹脂20を硬化させて硬化物とする工程。
(a−4)硬化物からモールド10を分離する工程。
方法(b):
下記の工程(b−1)〜(b−4)を有する方法。
(b−1)光硬化性樹脂20をモールド10の微細パターン18の表面に配置する工程。
(b−2)図3に示すように、基材30をモールド10の表面の光硬化性樹脂20に押しつける工程。
(b−3)基材30を光硬化性樹脂20に押しつけた状態で、光硬化性樹脂20に光を照射し、光硬化性樹脂20を硬化させて硬化物とする工程。
(b−4)硬化物からモールド10を分離する工程。
方法(c):
下記の工程(c−1)〜(c−4)を有する方法。
(c−1)基材30とモールド10とを、モールド10の微細パターン18が基材30側になるように接近または接触させる工程。
(c−2)図4に示すように、光硬化性樹脂20を基材30とモールド10との間に充填する工程。
(c−3)基材30とモールド10とが接近または接触した状態で、光硬化性樹脂20に光を照射し、光硬化性樹脂20を硬化させて硬化物とする工程。
(c−4)硬化物からモールド10を分離する工程。
光硬化性樹脂とは、光照射により硬化して硬化物を形成する樹脂である。
光硬化性樹脂としては、重合性化合物および光重合開始剤を含む光硬化性樹脂が好ましい。
重合性化合物としては、重合性基を有する化合物、たとえば、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合性ポリマーが挙げられる。
光重合開始剤とは、光によりラジカル反応またはイオン反応を引き起こす光重合開始剤である。
光照射は、通常、モールド10側から行う。基材30の光透過性が高い場合は、基材30側から光照射を行ってもよい。
光照射における光の波長は、本発明のモールドが高い光透過性を有する波長範囲であればよい。光照射における光の波長は、一般的な光硬化性樹脂を低温で硬化できる点から、高圧水銀灯のg線(波長436nm)またはi線(波長365nm)が特に好ましい。
透明樹脂層(A)は、石英またはガラスに比べ耐光性が劣るため、光照射における光は、波長300nm未満の光を含まないことが好ましく、350nm未満の光を含まないことがさらに好ましい。波長300nm未満の光を含まない場合、透明樹脂層(A)の黄変や脆化が起きにくくなるため、モールド10をより長期間使用できる。
方法(a)〜(c)の各工程における系の温度は、含フッ素重合体(I)のガラス転移温度以下が好ましい。
本発明の製造方法で製造される転写微細パターンを有する基材は、基材の表面に、光硬化性樹脂の硬化物からなる転写微細パターンを有する。転写微細パターンは、本発明のモールドの微細パターンが反転した微細パターンである。
転写微細パターンは、光硬化性樹脂の硬化物からなる、凹凸構造を有する構造体(以下、凹凸構造体とも記す。)が好ましい。凹凸構造体は、凹凸形状を表面に有する連続体からなる層構造を有していてもよく、独立した突起体の集合からなる構造を有していてもよい。前者は、基材の表面を覆う光硬化性樹脂の硬化物の層からなり、光硬化性樹脂の硬化物の層の表面が凹凸形状をなしている構造をいう。後者は、光硬化性樹脂の硬化物からなる突起体が、基材の表面に独立して多数存在し、基材の表面からなる凹部とともに凹凸形状をなしている構造をいう。いずれの場合においても、凸構造部(突起体)は、光硬化性樹脂の硬化物からなる。さらに、凹凸構造体は、それら2つの構造を基材の表面の異なる位置で併有する構造を有していてもよい。
転写微細パターンを有する基材としては、半導体素子、記録メディア、MEMS、バイオ関連部材、光学部材等が挙げられる。
MEMS、バイオ関連部材、光学部材の具体例としては下記のものが挙げられる。
プリンターヘッド、HDDのヘッド、高周波スイッチ、発振器用振動子、光通信用光スイッチ、光スキャナ、電子ペーパー、デジタルミラーデバイス、マイクロフォン、圧力センサ、触覚センサ、慣性センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、バイオセンサ、マイクロバルブ、マイクロ流路、DNA分析チップ、蛋白質分析チップ、血液検査チップ、能動カテーテル、ドラッグデリバリーシステム、化学センサ、プリズムシート、マイクロレンズアレイ、光導波路等。
以上説明した本発明の、転写微細パターンを有する基材の製造方法によれば、モールドの微細パターンを精度よく、かつ生産効率よく転写でき、最大高さが比較的大きい転写微細パターンを形成できる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
例6〜8、12〜14は実施例であり、例4、5、9、10、15は比較例である。
(固有粘度)
含フッ素重合体の固有粘度は、ガラスウベローデ管を用い、30℃のペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)中にて測定した。
(赤外吸収スペクトル)
含フッ素重合体の赤外吸収スペクトルは、フーリエ変換赤外分光計(ニコレット社製、20DXC)を用いて測定した。
(ガラス転移温度)
透明樹脂、含フッ素重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量計(ブルカー・エイエックスエス社製、DSC3100)を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定した。なお、ガラス転移温度の測定は、JIS K7121:1987に準じて測定を行い、中間点ガラス転移温度をガラス転移温度とした。
(熱変形温度)
透明樹脂の熱変形温度は、ASTM D648により、ヒートデストーションテスター(安田精機製作所社製、HD−PC)を用い、1.82MPaの荷重の条件で測定した。
(光線透過率)
透明樹脂層(A)のフィルム、または透明樹脂層(A)と透明支持体(D)との積層体の436nm透過率および365nm透過率、および含フッ素重合体のフィルムの、波長300〜500nmの光の光線透過率は、分光光度計(日立ハイテクノロジー社製、U−4100)を用いて測定した。
(厚さ)
表面層(B)および中間層(C)の厚さは、光干渉式膜厚測定装置(浜松ホトニクス社製、C10178)を用いて測定した。含フッ素重合体(I−1)、含フッ素重合体(II−1)、含フッ素重合体(II−2)の屈折率はそれぞれ1.34とした。
(最大高さ)
モールドに形成された微細パターンの最大高さは、共焦点レーザー顕微鏡(キーエンス社製、VK−9500)を用い、プロファイル計測により求めた。V溝パターンの場合は、溝に対して垂直な方向のプロファイル、円筒状パターンの場合は円筒の中心を通る線上のプロファイルを測定した。具体的には、レンズ倍率50倍、光学ズーム1倍、測定ピッチ0.05μmの条件でカラー超深度観察を行い、面傾き補正(自動)を行った後、長さ200μmの範囲におけるプロファイルを求めて凹凸構造の最も高い山頂線および最も低い谷底線との最大高低差を求めた。
〔例1〕
含フッ素重合体(P−1)の製造:
オートクレーブ(耐圧ガラス製)に、化合物(3−3)の100g、メタノールの0.5g、および化合物(4−1)の0.7gを加え、懸濁重合法にて化合物(3−3)の重合を行って含フッ素重合体(P−1)を得た。含フッ素重合体(P−1)は下式(α−1)で表されるモノマー単位からなる重合体である。含フッ素重合体(P−1)の固有粘度は、0.34dL/gであった。含フッ素重合体(P−1)のガラス転移温度は、108℃であった。
CF=CFOCFCFCF=CF ・・・(3−3)、
((CHCHOCOO) ・・・(4−1)。
Figure 2009125697
〔例2〕
上式(α−1)で表されるモノマー単位からなる重合体で、末端が−CFである含フッ素重合体(以下、含フッ素重合体(I−1)と記す。)の製造:
含フッ素重合体(P−1)を、オートクレーブ(ニッケル製、内容積1L)に入れ、オートクレーブ内を窒素ガスで3回置換してから4.0kPa(絶対圧)まで減圧した。オートクレーブ内に窒素ガスで14体積%に希釈したフッ素ガスを101.3kPaまで導入してから、オートクレーブの内温を230℃に6時間保持した。オートクレーブの内容物を回収して含フッ素重合体(I−1)を得た。含フッ素重合体(I−1)の赤外吸収スペクトルを測定した結果、カルボキシル基に起因するピークは確認されなかった。含フッ素重合体(I−1)を厚さ100μmのフィルムに加工し、波長300〜500nmの光の光線透過率を測定した結果、95%以上であった。含フッ素重合体(I−1)のガラス転移温度は、108℃であった。含フッ素重合体(I−1)の固有粘度は、0.33dL/gであった。
含フッ素重合体(I−1)を含む溶液組成物(以下、溶液組成物1と記す。)の調製:
含フッ素重合体(I−1)の9質量%を含むペルフルオロトリブチルアミン溶液を調製し、該溶液をメンブレンフィルター(孔径:0.2μm、PTFE製)で濾過して溶液組成物1を得た。
〔例3〕
上式(α−1)で表されるモノマー単位からなる重合体で、末端が反応性基(y)(カルボキシル基)である含フッ素重合体(以下、含フッ素重合体(II−1)と記す。)の製造:
含フッ素重合体(P−1)を、大気圧雰囲気下の熱風循環式オーブン中で300℃にて1時間熱処理し、つぎに超純水中に110℃にて1週間浸漬し、さらに真空乾燥機中で100℃にて24時間乾燥して、含フッ素重合体(II−1)を得た。含フッ素重合体(II−1)の赤外吸収スペクトルを測定した結果、1810cm−1にカルボキシル基に由来するピークが確認された。含フッ素重合体(II−1)を厚さ100μmのフィルムに加工し、波長300〜500nmの光の光線透過率を測定した結果、93%以上であった。含フッ素重合体(II−1)のガラス転移温度は、108℃であった。含フッ素重合体(II−1)の固有粘度は、0.34dL/gであった。
含フッ素重合体(II−1)を含む溶液組成物(以下、溶液組成物2と記す。)の調製:
含フッ素重合体(II−1)の1質量%を含むペルフルオロトリブチルアミン溶液を調製し、該溶液をメンブレンフィルター(孔径:0.2μm、PTFE製)で濾過して溶液組成物2を得た。
〔例4〕
モールドの製造:
透明樹脂層(A)としてPCシート(縦40mm×横40mm×厚さ0.5mm)を用意した。該透明樹脂層(A)の物性を表1に示す。
オキシラニル基を有するプライマー(信越化学工業社製、FS−10)を、酢酸ブチル/2−プロパノール(5/9質量比)の混合溶媒で20倍に希釈してプライマー塗布液とした。プライマー塗布液を透明樹脂層(A)の表面にスピンコート法を用いて塗布し、窒素気流中で100℃にて30分加熱乾燥して、オキシラニル基を透明樹脂層(A)の表面に導入する表面処理を行った。
つぎに、透明樹脂層(A)の表面処理面にスピンコート法を用いて溶液組成物2を塗布し、110℃にて2時間、加熱乾燥して、溶液組成物2中のペルフルオロトリブチルアミンを揮発させた。同時に、透明樹脂層(A)の表面のオキシラニル基と、含フッ素重合体(II−1)のカルボキシル基とを化学結合させ、含フッ素重合体(II−1)からなる中間層(C)(厚さ:0.1μm)を形成した。
つぎに、スピンコート法を用いて溶液組成物1を中間層(C)の表面に塗布し、110℃にて4時間、加熱乾燥して、溶液組成物1中のペルフルオロトリブチルアミンを揮発させ、表面層(B)を形成し、モールド前駆体を得た。表面層(B)の厚さと中間層(C)の厚さとの合計は、1.3μmであった。
マスターモールドとして、深さ(最大高さ):10μm、ピッチ:20μm、斜面の角度:45度のV溝からなる微細パターンを表面に有するニッケル製のマスターモールドを用意した。
該マスターモールドを160℃に加熱し、モールド前駆体の表面層(B)側から3MPa(絶対圧)で2分間、圧着させた。マスターモールドおよびモールド前駆体の温度を50℃以下にした後、モールド前駆体からマスターモールドを分離し、透明樹脂層(A)と中間層(C)と表面層(B)とからなり、表面層(B)および中間層(C)にわたって微細パターンが形成されたモールドを得た。微細パターンの最大高さは9.8μmであった。モールドには、若干の反りが観察された。また、モールドの微細パターンの谷底にて透明樹脂層(A)が露出していた。
転写微細パターンを有する基材の製造:
光硬化性樹脂(旭硝子社製、NIF−A−1)を、モールドの微細パターンの表面に塗布し、その上から光硬化性樹脂に接するようにシリコンウェハを押しつけた。モールド側から紫外線(波長:365nm、照度:50mW/cm)を30秒間照射して光硬化性樹脂を硬化させた。つぎに、モールドを分離しようとしたが、モールドとシリコンウェハとが接着していたため、分離できなかった。
〔例5〕
モールドの製造:
透明樹脂層(A)としてPMMAシート(縦40mm×横40mm×厚さ1.8mm)を用意した。該透明樹脂層(A)の物性を表1に示す。
透明樹脂層(A)としてPCシートの代わりにPMMAシートを用い、マスターモールドの加熱温度を130℃とした以外は、例4と同様にして、透明樹脂層(A)と中間層(C)と表面層(B)とからなり、表面層(B)および中間層(C)にわたって微細パターンが形成されたモールドを得た。微細パターンの最大高さは9.8μmであった。モールドには、若干の反りが観察された。また、モールドの微細パターンの谷底にて透明樹脂層(A)が露出していた。
転写微細パターンを有する基材の製造:
光硬化性樹脂(旭硝子社製、NIF−A−1)を、モールドの微細パターンの表面に塗布し、その上から光硬化性樹脂に接するようにシリコンウェハを押しつけた。モールド側から紫外線(波長:365nm、照度:50mW/cm)を30秒間照射して光硬化性樹脂を硬化させた。つぎに、モールドを分離しようとしたが、モールドとシリコンウェハとが接着していたため、分離できなかった。
〔例6〕
モールドの製造:
透明樹脂層(A)として、例5で用いたPMMAシートよりもガラス転移温度が低いPMMAシート(縦40mm×横40mm×厚さ1.8mm)を用意した。該透明樹脂層(A)の物性を表2に示す。
透明樹脂層(A)としてPCシートの代わりにPMMAシートを用い、マスターモールドの加熱温度を120℃とした以外は、例4と同様にして、透明樹脂層(A)と中間層(C)と表面層(B)とからなり、表面層(B)、中間層(C)および透明樹脂層(A)にわたって微細パターンが形成されたモールドを得た。微細パターンの最大高さは10.0μmであった。モールドには、若干の反りが観察された。
転写微細パターンを有する基材の製造:
光硬化性樹脂(旭硝子社製、NIF−A−1)を、モールドの微細パターンの表面に塗布し、その上から光硬化性樹脂に接するようにシリコンウェハを押しつけた。モールド側から紫外線(波長:365nm、照度:50mW/cm)を30秒間照射して光硬化性樹脂を硬化させた。つぎに、モールドとシリコンウェハとを分離し、光硬化性樹脂の硬化物からなる転写微細パターンを表面に有するシリコンウェハを得た。
転写微細パターンをレーザー顕微鏡(キーエンス社製、VK−9500)にて観察したところ、マスターモールドの微細パターンを再現していた。
〔例7〕
モールドの製造:
透明樹脂であるFEVE(旭硝子社製、ルミフロンLF710F)を、30質量%となるようにトルエンに溶解して塗布液とした。アプリケーターを用い、該塗布液を透明支持体(D)(ソーダライムガラス板、厚さ:1.30mm、熱変形温度:300℃以上)に塗布して、100℃で2時間乾燥させて透明樹脂層(A)を形成した。透明樹脂層(A)の厚さをマイクロメーターで測定したところ30μmであった。透明樹脂層(A)および透明支持体(D)の物性を表2に示す。
PCシートの代わりに、FEVEからなる透明樹脂層(A)が形成されたガラス板を用い、マスターモールドの加熱温度を120℃とした以外は、例4と同様にして、透明支持体(D)と透明樹脂層(A)と中間層(C)と表面層(B)とからなり、表面層(B)、中間層(C)および透明樹脂層(A)にわたって微細パターンが形成されたモールドを得た。微細パターンの最大高さは9.9μmであった。モールドのレーザー顕微鏡像を図5に示す。モールドには、反りは観察されなかった。
転写微細パターンを有する基材の製造:
例6のモールドの代わりに例7のモールドを用いた以外は、例6と同様にして、光硬化性樹脂の硬化物からなる転写微細パターンを表面に有するシリコンウェハを得た。
転写微細パターンをレーザー顕微鏡にて観察したところ、マスターモールドの微細パターンを再現していた。
〔例8〕
モールドの製造:
透明樹脂であるFEVE(旭硝子社製、ルミフロンLF710F)を、30質量%となるようにトルエンに溶解して塗布液とした。アプリケーターを用い、該塗布液を透明支持体(D)(ソーダライムガラス板、厚さ:1.30mm、熱変形温度:300℃以上)に塗布して、100℃で2時間乾燥させて透明樹脂層(A)を形成した。透明樹脂層(A)の厚さをマイクロメーターで測定したところ30μmであった。透明樹脂層(A)および透明支持体(D)の物性を表2に示す。
透明樹脂層(A)の表面をあらかじめ親水化処理(窒素プラズマ処理)した。親水化処理は、リアクティブイオンエッチング装置(サムコ社製、RIE−10NR)を用いて、窒素流量:20sccm、圧力:4Pa、出力:80W、処理時間:1分の条件で行った。
アミノ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製、KBE−903)の0.5質量%と水の5質量%とを含むエタノール溶液を、透明樹脂層(A)の表面にスピンコート法を用いて塗布した。透明樹脂層(A)を水洗してから、窒素気流中で100℃にて30分加熱乾燥して、該シランカップリング剤由来のアミノ基を透明樹脂層(A)の表面に導入する表面処理を行った。
つぎに、透明樹脂層(A)の表面処理面にスピンコート法を用いて溶液組成物2を塗布し、110℃にて2時間、加熱乾燥して、溶液組成物2中のペルフルオロトリブチルアミンを揮発させた。同時に、透明樹脂層(A)の表面のアミノ基と、含フッ素重合体(II−1)のカルボキシル基とを化学結合させ、含フッ素重合体(II−1)からなる中間層(C)(厚さ:0.10μm)を形成した。
つぎに、スピンコート法を用いて溶液組成物1を中間層(C)の表面に塗布し、110℃にて4時間、加熱乾燥して、溶液組成物1中のペルフルオロトリブチルアミンを揮発させ、表面層(B)を形成し、モールド前駆体を得た。表面層(B)の厚さと中間層(C)の厚さとの合計は、1.25μmであった。
該モールド前駆体を用いた以外は、例4と同様にして微細パターンを形成し、透明樹脂層(A)と中間層(C)と表面層(B)とからなり、表面層(B)、中間層(C)および透明樹脂層(A)にわたって微細パターンが形成されたモールドを得た。微細パターンの最大高さは10.0μmであった。モールドには、反りは観察されなかった。
転写微細パターンを有する基材の製造:
例6のモールドの代わりに例8のモールドを用いた以外は、例6と同様にして、光硬化性樹脂の硬化物からなる転写微細パターンを表面に有するシリコンウェハを得た。
転写微細パターンをレーザー顕微鏡にて観察したところ、マスターモールドの微細パターンを再現していた。
〔例9〕
モールドの製造:
オキシラニル基を透明樹脂層(A)の表面に導入しなかった以外は、例7と同様に行ったところ、モールドからマスターモールドを分離する際に、透明樹脂層(A)と中間層(C)との間で剥離が発生した。
〔例10〕
モールドの製造:
中間層(C)を形成する際に、溶液組成物2の代わりに溶液組成物1を用いた以外は、例8と同様にして行ったところ、モールドからマスターモールドを分離する際に、透明樹脂層(A)と中間層(C)との間で剥離が発生した。
〔例11〕
上式(α−1)で表されるモノマー単位からなる重合体で、末端が反応性基(y)(シラノール基(アルコキシシラン基))である含フッ素重合体(以下、含フッ素重合体(II−2)と記す。)の製造:
例3で得られた含フッ素重合体(II−1)のカルボキシル基をエステル化して−COOCHとした。該重合体の3.5gをペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)の46.5gに溶解した溶液に、γ−アミノプロピルトリメトキシシランの0.1gを加えた。系内を窒素で置換し、室温で3時間撹拌して、含フッ素重合体(II−2)を得た。含フッ素重合体(II−2)の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、もとの重合体に存在した−COOCHの1800cm−1の吸収はなく、−CONH−の吸収が1730cm−1に認められた。含フッ素重合体(II−2)を厚さ100μmのフィルムに加工し、波長300〜500nmの光の光線透過率を測定した結果、92%以上であった。含フッ素重合体(II−2)のガラス転移温度は、108℃であった。含フッ素重合体(II−2)の固有粘度は、0.32dL/gであった。
含フッ素重合体(II−2)を含む溶液組成物(以下、溶液組成物3と記す。)の調製: 含フッ素重合体(II−2)の1質量%を含むペルフルオロトリブチルアミン溶液を調製し、該溶液をメンブレンフィルター(孔径:0.2μm、PTFE製)で濾過して溶液組成物3を得た。
〔例12〕
モールドの製造:
透明樹脂である非晶質ポリエステル(東洋紡社製、バイロン200)を、30質量%となるようにシクロヘキサノンに溶解して塗布液とした。アプリケーターを用い、該塗布液を透明支持体(D)(ソーダライムガラス板、厚さ:1.30mm、熱変形温度:300℃以上)に塗布して、150℃で2時間乾燥させて透明樹脂層(A)を形成した。透明樹脂層(A)の厚さをマイクロメーターで測定したところ30μmであった。透明樹脂層(A)および透明支持体(D)の物性を表2に示す。
透明樹脂層(A)の表面をあらかじめ親水化処理(酸素プラズマ処理)した。親水化処理は、リアクティブイオンエッチング装置(サムコ社製、RIE−10NR)を用いて、酸素流量:50sccm、圧力:10Pa、出力:100W、処理時間:10秒の条件で行った。該処理により透明樹脂層(A)の表面に水酸基が導入された。
つぎに、透明樹脂層(A)の表面処理面にスピンコート法を用いて溶液組成物3を塗布し、110℃にて2時間、加熱乾燥して、溶液組成物3中のペルフルオロトリブチルアミンを揮発させた。同時に、透明樹脂層(A)の表面の水酸基と含フッ素重合体(II−2)のシラノール基とを化学結合させ、含フッ素重合体(II−2)からなる中間層(C)(厚さ:0.1μm)を形成した。
つぎに、スピンコート法を用いて溶液組成物1を中間層(C)の表面に塗布し、110℃にて4時間、加熱乾燥して、溶液組成物1中のペルフルオロトリブチルアミンを揮発させ、表面層(B)を形成し、モールド前駆体を得た。表面層(B)の厚さと中間層(C)の厚さとの合計は、1.2μmであった。
該モールド前駆体を用いた以外は、例4と同様にして微細パターンを形成し、透明樹脂層(A)と中間層(C)と表面層(B)とからなり、表面層(B)、中間層(C)および透明樹脂層(A)にわたって微細パターンが形成されたモールドを得た。微細パターンの最大高さは9.7μmであった。モールドには、反りは観察されなかった。
転写微細パターンを有する基材の製造:
例6のモールドの代わりに例11のモールドを用いた以外は、例6と同様にして、光硬化性樹脂の硬化物からなる転写微細パターンを表面に有するシリコンウェハを得た。
転写微細パターンをレーザー顕微鏡にて観察したところ、マスターモールドの微細パターンを再現していた。
〔例13〕
モールドの製造:
透明樹脂である非晶質ポリエステル(東洋紡社製、バイロン300)を、30質量%となるようにシクロヘキサノンに溶解して塗布液とした。アプリケーターを用い、該塗布液を透明支持体(D)(ソーダライムガラス板、厚さ:1.30mm、熱変形温度:300℃以上)に塗布して、150℃で2時間乾燥させて透明樹脂層(A)を形成した。透明樹脂層(A)の厚さをマイクロメーターで測定したところ30μmであった。透明樹脂層(A)および透明支持体(D)の物性を表2に示す。
PCシートの代わりに、非晶質ポリエステルからなる透明樹脂層(A)が形成されたガラス板を用い、マスターモールドの加熱温度を120℃とした以外は、例4と同様にして、透明支持体(D)と透明樹脂層(A)と中間層(C)と表面層(B)とからなり、表面層(B)、中間層(C)および透明樹脂層(A)にわたって微細パターンが形成されたモールドを得た。微細パターンの最大高さは10.1μmであった。モールドには、反りは観察されなかった。
転写微細パターンを有する基材の製造:
例6のモールドの代わりに例13のモールドを用いた以外は、例6と同様にして、光硬化性樹脂の硬化物からなる転写微細パターンを表面に有するシリコンウェハを得た。
転写微細パターンをレーザー顕微鏡にて観察したところ、マスターモールドの微細パターンを再現していたが、一部に微細パターンの倒れや潰れが観察された。
〔例14〕
モールドの製造:
例1のマスターモールドの代わりに、直径:5μm、深さ(最大高さ):5μmの円柱状の穴が10μm間隔で格子状に配列した微細パターンを有するシリコンモールドを用いた以外は、例7と同様にして、透明支持体(D)と透明樹脂層(A)と中間層(C)と表面層(B)とからなり、表面層(B)、中間層(C)および透明樹脂層(A)にわたって微細パターンが形成されたモールドを得た。微細パターンの最大高さは5.1μmであった。モールドには、反りは観察されなかった。
転写微細パターンを有する基材の製造:
例6のモールドの代わりに例14のモールドを用いた以外は、例6と同様にして、光硬化性樹脂の硬化物からなる転写微細パターンを表面に有するシリコンウェハを得た。
転写微細パターンをレーザー顕微鏡にて観察したところ、マスターモールドの微細パターンを再現していた。
〔例15〕
モールドの製造:
マスターモールドの加熱温度を40℃とした以外は例7と同様に行ったところ、モールドの表面にマスターモールドの微細パターンは転写されなかった。
Figure 2009125697
Figure 2009125697
本発明のモールドは、光硬化性樹脂を用いる光ナノインプリント用のモールドとして有用である。本発明のモールドを用いて得られる、転写微細パターンを有する基材は、半導体素子、記録メディア、MEMS、バイオ関連部材、光学部材等として有用である。

なお、2008年4月8日に出願された日本特許出願2008−100552号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (9)

  1. 光硬化性樹脂を成形するための微細パターンを有するモールドであり、
    下記透明樹脂層(A)と、
    下記表面層(B)と、
    前記透明樹脂層(A)の表面に形成され、かつ前記透明樹脂層(A)と前記表面層(B)との間に存在する下記中間層(C)とを有し、
    前記微細パターンの最大高さが、前記表面層(B)の厚さと前記中間層(C)の厚さの合計を超える、ことを特徴とするモールド。
    透明樹脂層(A):ガラス転移温度が下記含フッ素重合体(I)および下記含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以下である透明樹脂からなる層であり、中間層(C)が形成される前には、中間層(C)が形成される表面に官能基(x)を有し、中間層(C)が形成された後には、中間層(C)が形成された表面に前記官能基(x)と下記反応性基(y)とに基づく化学結合を有する層。
    表面層(B):主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、かつ下記反応性基(y)を実質的に有しない含フッ素重合体(I)からなる層。
    中間層(C):主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、かつ前記官能基(x)と反応性の反応性基(y)を有する含フッ素重合体(II)からなる層。
  2. 前記微細パターンの最大高さが、1〜500μmである、請求項1に記載のモールド。
  3. 前記透明樹脂層(A)が、透明支持体(D)によって支持されている、請求項1または2に記載のモールド。
  4. 前記官能基(x)が、水酸基、アミノ基またはオキシラニル基であり、
    前記反応性基(y)が、カルボキシル基である、請求項1〜3のいずれかに記載のモールド。
  5. 前記透明樹脂層(A)が、表面処理によって官能基(x)が表面に導入された層である、請求項1〜4のいずれかに記載のモールド。
  6. 光硬化性樹脂を成形するための微細パターンを有するモールドの製造方法であって、
    下記透明樹脂からなり、表面に官能基(x)を有する透明樹脂層(A)の該表面に、含フッ素溶媒に下記含フッ素重合体(II)を溶解させた溶液を塗布、乾燥して下記含フッ素重合体(II)からなる中間層(C)を形成する工程と、
    前記中間層(C)の表面に、含フッ素溶媒に下記含フッ素重合体(I)を溶解させた溶液を塗布、乾燥して下記含フッ素重合体(I)からなる表面層(B)を形成し、モールド前駆体を得る工程と、
    前記モールド前駆体の前記表面層(B)側から、微細パターンの反転パターンを表面に有し、かつ該反転パターンの最大高さが前記表面層(B)の厚さと前記中間層(C)の厚さの合計を超えるマスターモールドの該反転パターンを、前記モールド前駆体および前記マスターモールドの少なくとも一方が下記含フッ素重合体(I)および下記含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以上とされた状態で押しつけ、前記表面層(B)、前記中間層(C)および前記透明樹脂層(A)にわたって微細パターンを形成し、モールドを得る工程と、
    前記モールドからマスターモールドを分離する工程と
    を有する、ことを特徴とするモールドの製造方法。
    透明樹脂:ガラス転移温度が下記含フッ素重合体(I)および下記含フッ素重合体(II)のガラス転移温度以下である透明樹脂。
    含フッ素重合体(I):主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、かつ下記反応性基(y)を実質的に有しない含フッ素重合体。
    含フッ素重合体(II):主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、かつ前記官能基(x)と反応性の反応性基(y)を有する含フッ素重合体。
  7. 光硬化性樹脂を基材の表面に配置する工程と、
    請求項1〜5のいずれかに記載のモールドを、該モールドの微細パターンが前記光硬化性樹脂に接するように、前記光硬化性樹脂に押しつける工程と、
    前記モールドを前記光硬化性樹脂に押しつけた状態で、前記光硬化性樹脂に光を照射し、前記光硬化性樹脂を硬化させて硬化物とする工程と、
    前記硬化物からモールドを分離する工程と
    を有する、ことを特徴とする転写微細パターンを有する基材の製造方法。
  8. 光硬化性樹脂を、請求項1〜5のいずれかに記載のモールドの微細パターンの表面に配置する工程と、
    基材を、前記モールドの表面の前記光硬化性樹脂に押しつける工程と、
    前記基材を前記光硬化性樹脂に押しつけた状態で、前記光硬化性樹脂に光を照射し、前記光硬化性樹脂を硬化させて硬化物とする工程と、
    前記硬化物からモールドを分離する工程と
    を有する、ことを特徴とする転写微細パターンを有する基材の製造方法。
  9. 基材と、請求項1〜5のいずれかに記載のモールドとを、該モールドの微細パターンが前記基材側になるように接近または接触させる工程と、
    光硬化性樹脂を、前記基材と前記モールドとの間に充填する工程と、
    前記基材と前記モールドとが接近または接触した状態で、前記光硬化性樹脂に光を照射し、前記光硬化性樹脂を硬化させて硬化物とする工程と、
    前記硬化物からモールドを分離する工程と
    を有する、ことを特徴とする転写微細パターンを有する基材の製造方法。
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