JPWO2009113217A1 - 新規な光カチオン重合開始剤 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、光を効率的に吸収してプロトンを発生させる新規な光カチオン重合開始剤を提供することである。その解決手段としての本発明において、好適な光カチオン重合開始剤としては、下記の一般式(II)で表されるビスムトニウム塩からなるものが挙げられる。【化1】〔式中、R11とR12とR13は同一または異なって置換基を有していてもよい単環のアリール基または置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基である。R14は置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基または置換基を有していてもよい縮合多環複素環基である。X-はカチオンに対するアニオンである〕

Description

本発明は、光を効率的に吸収してプロトンを発生させる新規な光カチオン重合開始剤に関する。
近年、印刷インキ、塗料、コーティング材などに使用される光硬化性樹脂組成物として、光ラジカル重合反応を利用するものとともに、光カチオン重合反応を利用するものが注目されていることは周知の通りである。光カチオン重合反応を利用する光硬化性樹脂組成物は、主たる構成成分として、例えばエポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基などを有する光カチオン重合性化合物と、当該化合物を重合させるための光カチオン重合開始剤を含む。光カチオン重合開始剤は、光カチオン重合反応を開始させるためのプロトンを発生させる役割を担っており、よく知られているものとして、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤やヨードニウム塩系光カチオン重合開始剤などがある。
光カチオン重合開始剤には、光を効率的に吸収すること、カチオン原子とその置換基の炭素原子との結合(例えばS+-Ph結合やI+-Ph結合)が開裂しやすいこと、カチオン原子が還元されやすいことなどの特性が要求される。既に市販されている光カチオン重合開始剤の中にもこれらの特性に優れるものが存在するが、さらに優れた特性を備える光カチオン重合開始剤が求められている。
そこで本発明は、光を効率的に吸収してプロトンを発生させる新規な光カチオン重合開始剤を提供することを目的とする。
本発明者は上記の点に鑑みて研究を進める過程において、第15族第6周期に属するビスマスに着目した。ビスマスは同族の軽元素と比べて炭素との結合エネルギーが小さく、また5価ビスマスは容易に3価ビスマスに還元される。さらに、ビスマスは周辺の重元素と比べて毒性がはるかに低い。そこで、ビスマスの光カチオン重合開始剤としての利用を鋭意検討した結果、ビスマスのオニウム塩(ビスムトニウム塩)が光カチオン重合開始剤として有効に機能することを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明の光カチオン重合開始剤は、請求項1記載の通り、下記の一般式(I)で表されるビスムトニウム塩からなることを特徴とする。
Figure 2009113217

〔式中、R1とR2は同一または異なって置換基を有していてもよい単環のアリール基または置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基である。R3とR4は同一または異なって置換基を有していてもよい単環のアリール基、置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基、置換基を有していてもよい縮合多環複素環基、-CH=CR5R6(式中、R5とR6は同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい単環のアリール基、置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基、置換基を有していてもよい縮合多環複素環基のいずれかである)、-(CH2)n-COR7(式中、R7は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい単環のアリール基、置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基、置換基を有していてもよい縮合多環複素環基のいずれかである。nは1または2である)のいずれかである。X-はカチオンに対するアニオンである〕
また、請求項2記載の光カチオン重合開始剤は、請求項1記載の光カチオン重合開始剤において、R1、R2、R3が置換基を有していてもよい単環のアリール基であることを特徴とする。
また、請求項3記載の光カチオン重合開始剤は、請求項1記載の光カチオン重合開始剤において、R3とR4の少なくとも1つが置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基であることを特徴とする。
また、請求項4記載の光カチオン重合開始剤は、請求項1記載の光カチオン重合開始剤において、X-がPF6 -、SbF6 -、AsF6 -、BF4 -、ORf-、NRf2 -、B(Ar)4 -(Rfはペルフルオロアルキルスルホニル基であり、Arは置換基を有していてもよいアリール基である)のいずれかであることを特徴とする。
また、本発明の光カチオン重合性化合物の重合方法は、請求項5記載の通り、請求項1記載の光カチオン重合開始剤を用いて行うことを特徴とする。
また、請求項6記載の重合方法は、請求項5記載の重合方法において、光カチオン重合性化合物がエポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基から選ばれる少なくとも1つを有する化合物であることを特徴とする。
また、本発明の光硬化性樹脂組成物は、請求項7記載の通り、光カチオン重合性化合物と請求項1記載の光カチオン重合開始剤を少なくとも含有することを特徴とする。
また、本発明の硬化物は、請求項8記載の通り、請求項7記載の光硬化性樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする。
また、本発明のビスムトニウム塩は、請求項9記載の通り、下記の一般式(II)で表されることを特徴とする。
Figure 2009113217

〔式中、R11とR12とR13は同一または異なって置換基を有していてもよい単環のアリール基または置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基である。R14は置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基または置換基を有していてもよい縮合多環複素環基である。X-はカチオンに対するアニオンである〕
本発明によれば、光を効率的に吸収してプロトンを発生させる新規な光カチオン重合開始剤を提供することができる。
本発明の光カチオン重合開始剤は、下記の一般式(I)で表されるビスムトニウム塩からなることを特徴とするものである。
Figure 2009113217

〔式中、R1とR2は同一または異なって置換基を有していてもよい単環のアリール基または置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基である。R3とR4は同一または異なって置換基を有していてもよい単環のアリール基、置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基、置換基を有していてもよい縮合多環複素環基、-CH=CR5R6(式中、R5とR6は同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい単環のアリール基、置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基、置換基を有していてもよい縮合多環複素環基のいずれかである)、-(CH2)n-COR7(式中、R7は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい単環のアリール基、置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基、置換基を有していてもよい縮合多環複素環基のいずれかである。nは1または2である)のいずれかである。X-はカチオンに対するアニオンである〕
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7における置換基を有していてもよい単環のアリール基における単環のアリール基としては、フェニル基が挙げられる。
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7における置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基における単環のヘテロアリール基としては、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、フリル基などが挙げられる。
R3、R4、R5、R6、R7における置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基における縮合多環芳香族基としては、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基などが挙げられる。
R3、R4、R5、R6、R7における置換基を有していてもよい縮合多環複素環基における縮合多環複素環基としては、カルバゾリル基、フェナントロリル基、アクリジニル基などが挙げられる。
R5、R6、R7における置換基を有していてもよいアルキル基におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数が1〜18個のアルキル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい単環のアリール基、置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基、置換基を有していてもよい縮合多環複素環基における置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数が1〜18個のアルキル基(置換基を有していてもよい)、ビニル基、アリル基、ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-メチル-1-プロペニル基などの炭素数が2〜10個のアルケニル基(置換基を有していてもよい)、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などの炭素数が1〜10個のアルコキシ基(置換基を有していてもよい)、フェニル基、ナフチル基などのアリール基(置換基を有していてもよい)、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、フリル基などのヘテロアリール基(置換基を有していてもよい)、フェニルチオ基などのアリールチオ基(置換基を有していてもよい)、ベンジル基、フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、2-(1-ナフチル)エチル基、2-(2-ナフチル)エチル基、3-(1-ナフチル)プロピル基、3-(2-ナフチル)プロピル基などのアリールアルキル基(置換基を有していてもよい)、2-ピロリルメチル基、2-ピリジルメチル基、3-ピリジルメチル基、4-ピリジルメチル基、2-チエニルメチル基、2-(2-ピリジル)エチル基、2-(3-ピリジル)エチル基、2-(4-ピリジル)エチル基、3-(2-ピロリル)プロピル基などのヘテロアリールアルキル基(置換基を有していてもよい)、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基における置換基としては、上記のアルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
X-としては、PF6 -、SbF6 -、AsF6 -、BF4 -、ORf-、NRf2 -、B(Ar)4 -(Rfはペルフルオロアルキルスルホニル基であり、Arは置換基を有していてもよいアリール基である)などが挙げられるが(ペルフルオロアルキルスルホニル基としてはトリフルオロメタンスルホニル基に代表されるペルフルオロアルキル部分の炭素数が1〜8のものが例示され、置換基を有していてもよいアリール基の定義は前記の通りである)、SbF6 -がプロトンを効果的に発生させることができる点において望ましい。
上記の一般式(I)で表されるビスムトニウム塩は、本発明者のこれまでの研究成果から公知の化合物であるか(例えばOrganometallics 1998, 17, 4332-4334を参照のこと)、公知でない化合物であっても、前記の文献に従って下記の反応によって合成することができる。
Figure 2009113217

〔式中、R1、R2、R3、R4、X-は前記の通りである。NaXはX-に対応するナトリウム塩である〕
本発明の光カチオン重合開始剤は、例えばエポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基などを有する光カチオン重合性化合物の重合に適したものである。本発明の光カチオン重合開始剤を光カチオン重合性化合物と混合して光硬化性樹脂組成物とし、当該組成物を例えば基材(例えば金属や合成樹脂からなるものが挙げられるが基材の材質はこれらに限定されるものではない)に塗布した後、例えば波長範囲が300〜500 nmの光照射を10秒間〜3時間行うと、プロトンが効果的に発生して光カチオン重合性化合物の光カチオン重合反応が起こり、その結果物としての硬化物を得ることができる。光硬化性樹脂組成物中における本発明の光カチオン重合開始剤の存在量は、例えば光カチオン重合性化合物に対して0.01〜5 mol%である。なお、光硬化性樹脂組成物には、ペリレン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー、ベンゾフラビン、セトフラビンT、ピレン、9,10-ジブトキシアントラセン、1,2-ベンズアセトラセン、フェノチアジン、コロネン、チオキサントン、フルオレノン、ベンゾフェノン、アントラキノンなどを、光カチオン重合反応を促進させるための増感剤として含ませてもよい。この場合、増感剤(モル吸光係数が例えば3000 M-1cm-1以上のものが望ましく、5000 M-1cm-1以上のものがより望ましい)は本発明の光カチオン重合開始剤に対して1/100〜1/5程度の量(モル比)で添加すればよく、照射する光は増感剤の光吸収特性に応じて例えば300〜700 nmの波長範囲で適宜選択すればよい。光源としては、高圧水銀灯の他、各種レーザー、キセノンランプ、ハロゲンランプなどを利用することができる。
本発明において、好適な光カチオン重合開始剤としては、下記の一般式(II)で表されるビスムトニウム塩からなるものが挙げられる。
Figure 2009113217

〔式中、R11とR12とR13は同一または異なって置換基を有していてもよい単環のアリール基または置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基である。R14は置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基または置換基を有していてもよい縮合多環複素環基である。X-はカチオンに対するアニオンである〕
上記の一般式(II)で表されるビスムトニウム塩は、Biカチオン原子に縮合多環芳香族基または縮合多環複素環基が結合していることから、より長波長(hν>350 nm)の光を効率的に吸収してプロトンを発生させることができるので、工業的規模での利用に適していることに加え、その合成も前出の文献記載の方法によって容易に行うことができる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
実施例1:
(A)ビスムトニウム塩の合成
(1)SbF6 -をアニオンとするトリス(4-メチルフェニル)(1-ピレニル)ビスムトニウム塩(2a・SbF6)の合成
トリス(4-メチルフェニル)ビスマスジフルオリド(0.52 g, 1 mmol)と1-ピレニルホウ酸(0.27 g, 1.1 mmol)を含む塩化メチレン溶液(10 mL)に0℃でBF3・OEt2(0.23 mL, 2.0 mmol)を滴下し、混合物を室温で2時間攪拌した。NaSbF6(5.2 g, 20 mmol)の水溶液を加え、得られた二層の液を20分間激しく攪拌した後、水層を分離し、塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン溶液を集めて硫酸マグネシウムで乾燥した後、短いシリカゲルカラムを通した。溶出液を減圧下で濃縮した後、得られた固体を塩化メチレン-ジエチルエーテルで再結晶することにより、目的化合物を薄黄色の結晶として得た(収率:95 %, 0.87 g)。
Mp 180-182 ℃; 1H NMR (CDCl3) δ 2.47 (s, 9H), 7.54 (d, 6H, J = 7.6 Hz), 7.68 (d, 6H, J = 7.6 Hz), 7.84 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.17 (t, 1H, J = 7.8 Hz), 8.19 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.22 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.29 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 8.32 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 8.35-8.43 (m, 2H); 13C{1H} NMR (CDCl3) δ 21.6, 123.9, 125.5, 126.9, 127.1, 127.2, 127.4, 127.6, 128.1, 128.9, 130.2, 130.4, 130.9, 131.4, 131.6, 133.2, 133.5, 134.5, 135.3, 143.9; IR (KBr) νmax 1584, 1488, 1456, 1392, 1312, 1239, 1207, 1189, 1053, 1004, 849, 795, 709, 656 (SbF6 -), 474 cm-1; UV-Vis (CH2Cl2) λmax (ε) 342 (27000), 352 (31000), 358 (30000), 377 nm (9600 M-1cm-1); MS (MALDI-TOF) m/z 683 ([M-SbF6]+). Anal. Calcdfor C37H30BiF6Sb: C, 48.34; H, 3.29. Found: C, 48.19; H, 3.26.
(2)PF6 -をアニオンとするトリス(4-メチルフェニル)(1-ピレニル)ビスムトニウム塩(2a・PF6)の合成
上記と同様の方法で合成した。
Mp 179-182 ℃ (decomp); 1H NMR (CDCl3) δ 2.46 (s, 9H), 7.54 (d, 6H, J = 7.6 Hz), 7.68 (d, 6H, J = 7.6 Hz), 7.83 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.15 (t, 1H, J = 7.6 Hz), 8.17 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 8.22 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.27 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 8.31 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 8.37 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 8.40 (d, 1H, J = 8.4 Hz); IR (KBr) νmax 1584, 1487, 1454, 1392, 1311, 1239, 1208, 1189, 1053, 1005, 900-700 (PF6 -), 707 cm-1; UV-Vis (CH2Cl2) λmax (ε) 342 (25000), 352 (29000), 358 (28000), 377 nm (8900 M-1cm-1); MS (MALDI-TOF) m/z 683 (M+-PF6). Anal. Calcd for C37H30BiF6P: C, 53.63; H, 3.65. Found: C, 53.63; H, 3.52.
(3)BF4 -をアニオンとするトリス(4-メチルフェニル)(1-ピレニル)ビスムトニウム塩(2a・BF4)の合成
上記と同様の方法で合成した。
Mp 231-233 ℃; 1H NMR (CDCl3) δ 2.45 (s, 9H), 7.50 (d, 6H, J = 8.1 Hz), 7.74 (d, 6H, J = 8.1 Hz), 7.82 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.14 (t, 1H, J = 7.6 Hz), 8.16 (d, 1H, J = 9.2 Hz), 8.17 (d, 1H, J = 9.2 Hz), 8.26 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.29 (d, 1H, J = 7.3 Hz), 8.32 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 8.36 (d, 1H, J = 7.3 Hz), 8.38 (d, 1H, J = 8.1 Hz); IR (KBr) νmax 1584, 1486, 1463, 1391, 1312, 1241, 1206, 1150-900 (BF4 -), 848, 796, 705 cm-1; UV-Vis (CH2Cl2) λmax (ε) 341 (26000), 352 (29000), 358 (27000), 377 nm (8800 M-1cm-1); MS (FAB) m/z 683 (M+-BF4). Anal. Calcd for C37H30BBiF4: C, 57.68; H, 3.92. Found: C, 57.62; H, 3.88.
(4)SbF6 -をアニオンとするトリフェニル(1-ピレニル)ビスムトニウム塩(2b・SbF6)の合成
上記と同様の方法で合成した。
Mp 176-177 ℃; 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 7.68-7.77 (m, 9H), 7.83 (br-s, 6H), 7.85 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.16-8.24 (m, 3H), 8.29-8.34 (m, 3H), 8.39-8.43 (m, 2H); IR (KBr) νmax 1584, 1566, 1475, 1437, 991, 850, 816, 730, 709, 685, 659 (SbF6 -) cm-1; UV-Vis (CHCl3) λmax (ε) 351 (29900), 377 nm (6900 M-1cm-1); MS (MALDI-TOF) m/z 642 ([M-SbF6]+). Anal. Calcd for C34H24BiF6Sb: C, 46.55; H, 2.76. Found: C, 46.33; H, 2.74.
(B)ビスムトニウム塩の光分解
各種のビスムトニウム塩2・X(2a・SbF6, 2a・PF6, 2a・BF4, 2b・SbF6)(0.010 M, 1.5 mL)のアセトニトリル溶液をパイレックス(登録商標)チューブに入れ、場合によって過剰量のヘキサメチルリン酸トリアミドまたは2,6-di-tert-ブチル-4-メチルピリジンを加えてから、セプタムを通して、アルゴンを溶液中に5分間流した。その後、光源として250W超高圧水銀灯(USHIO SX-UI250HP)を利用し、硫酸銅水溶液フィルター(5.0 wt%, 5 cm)を通して、調製した溶液に光照射を行った。ビスムトニウム塩2・Xは2分後に完全に消費されたので、得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を1,1,2,2-テトラクロロエタン(3.2 μL;内部標準)を含む重クロロホルム0.5 mLに溶かして1H NMRにより生成物の同定と収率の決定を行った。光分解反応の量子収率は、シュウ酸鉄カリウムを用いた化学光量計との比較により求めた(生成物の副反応を避けるため、量子収率はビスムトニウム塩2・Xが約10 %消費された時点で求めた)。結果を表1に示す。
Figure 2009113217
表1から明らかなように、ビスムトニウム塩2・Xの光分解によって、主生成物としてトリス(4-メチルフェニル)ビスムチンまたはトリフェニルビスムチンとピレンが得られた。この結果は、光照射によりピレニル基のipso-炭素原子とBiカチオン原子との間の結合が優先的にホモリシスを受けたことによると考えられた。過剰量のヘキサメチルリン酸トリアミドまたは2,6-di-tert-ブチル-4-メチルピリジンの共存下では、それぞれの塩の生成が認められたことから、この反応によって系中にプロトンが放出されることがわかった。以上の結果から、ビスムトニウム塩2・Xは光カチオン重合開始剤としての機能を有することが確認できた。
(C)ビスムトニウム塩を光カチオン重合開始剤として用いた光カチオン重合反応
(B)で用いた容器と光照射装置と同じものを用いて次のようにして行った。サンプルチューブに各種のモノマー(0.8 mL)とビスムトニウム塩2・Xを入れ、アルゴンを5分間流して置換した。この光硬化性樹脂組成物に対して光照射を所定時間行った後、反応混合物をメタノールに入れ、沈殿物を濾別し、メタノールで洗浄した後、真空下で乾燥した。得られたポリマーの分子量を、ポリエチレンオキシド標準試料を用いて検量したGPCカラムにより決定した。結果を表2に示す。
Figure 2009113217
表2から明らかなように、ビスムトニウム塩2・Xを光カチオン重合開始剤として用いることで、モノマーの光カチオン重合反応によるポリマーの生成が確認できた。
実施例2:増感剤を用いた光カチオン重合反応に対するビスムトニウム塩からなる光カチオン重合開始剤と既存の光カチオン重合開始剤の効果の比較(その1)
実施例1の(C)と同様にして、モノマーとしてシクロヘキセンオキシド、ビスムトニウム塩としてSbF6 -をアニオンとするテトラキス(4-メチルフェニル)ビスムトニウム塩(実施例1の(A)と同様の方法でトリス(4-メチルフェニル)ビスマスジフルオリドと4-メチルフェニルホウ酸から合成したもの。物理化学的性質は下記の通り)(モノマーに対して0.1 mol%)を用いて行った。なお、この実験においては、ビスムトニウム塩に対して1/10の量(モル比)のペリレンを増感剤として添加した。結果を表3に示す。また、表3には、既存の光カチオン重合開始剤として、SbF6 -をアニオンとするトリス(4-メチルフェニル)スルホニウム塩を用いて同様の実験を行った結果をあわせて示す。
Figure 2009113217
表3から明らかなように、増感剤を用いた光カチオン重合反応に対し、ビスムトニウム塩からなる光カチオン重合開始剤は、既存の光カチオン重合開始剤よりも、収率と重合度の点で優れていることがわかった。
(参考)SbF6 -をアニオンとするテトラキス(4-メチルフェニル)ビスムトニウム塩の物理化学的性質
Mp 175-178 ℃; 1H NMR δ 2.46 (s, 12H), 7.52 (d, 8H, J = 8.0 Hz), 7.58 (d, 8H, J = 8.0 Hz); 13C NMR δ 21.6, 131.4, 133.4, 135.4, 143.9; IR (KBr) νmax 1581, 1488, 1447, 1392, 1312, 1208, 1188, 1120, 1054, 1004, 835, 794, 656 (SbF6 -), 473 cm-1; MS (MALDI TOF) m/z 573 (M+-SbF6). Anal. Calcd for C28H28BiF6Sb: C, 41.56; H, 3.49. Found: C, 41.43; H, 3.32.
実施例3:増感剤を用いた光カチオン重合反応に対するビスムトニウム塩からなる光カチオン重合開始剤と既存の光カチオン重合開始剤の効果の比較(その2)
サンプルチューブにモノマーとしてシクロヘキセンオキシドを入れ、さらにビスムトニウム塩としてSbF6 -をアニオンとするテトラキス(4-メチルフェニル)ビスムトニウム塩を10 mMと増感剤としてペリレンを1 mM入れ、アルゴンを5分間流して置換した。この光硬化性樹脂組成物に対し、光源として250W超高圧水銀灯(USHIO SX-UI250HP)を利用し、硫酸銅水溶液フィルター(5.0 wt%, 5 cm)とカットフィルター(HOYA社の製品:L42)を通して、調製した溶液に光照射(hν>436 nm)を所定時間行った後、反応混合物をメタノールに入れ、沈殿物を濾別し、メタノールで洗浄した後、真空下で乾燥した。得られたポリマーの分子量を、ポリエチレンオキシド標準試料を用いて検量したGPCカラムにより決定した。結果を表4に示す。また、表4には、既存の光カチオン重合開始剤として、SbF6 -をアニオンとするトリス(4-メチルフェニル)スルホニウム塩を用いて同様の実験を行った結果をあわせて示す。
Figure 2009113217
表4から明らかなように、ビスムトニウム塩からなる光カチオン重合開始剤は、増感剤を用いた光カチオン重合反応における光量子収率が既存の光カチオン重合開始剤よりも高く、反応が短時間で進行することがわかった。
実施例4:増感剤を用いた光カチオン重合反応に対するビスムトニウム塩からなる光カチオン重合開始剤と既存の光カチオン重合開始剤の効果の比較(その3)
サンプルチューブにモノマーとして2-(フェノキシメチル)オキシランを入れ、さらにビスムトニウム塩としてSbF6 -をアニオンとするテトラキス(4-メチルフェニル)ビスムトニウム塩を10 mMと増感剤としてペリレンを1 mM入れ、アルゴンを5分間流して置換した。この光硬化性樹脂組成物に対し、光源として250W超高圧水銀灯(USHIO SX-UI250HP)を利用し、硫酸銅水溶液フィルター(5.0 wt%, 5 cm)を通して、調製した溶液に光照射(hν>360 nm)を1分間行った後、暗室に30分間放置した。その後、反応混合物をメタノールに入れ、沈殿物を濾別し、メタノールで洗浄した後、真空下で乾燥した。得られたポリマーの分子量を、ポリエチレンオキシド標準試料を用いて検量したGPCカラムにより決定した。結果を表5に示す。また、表5には、既存の光カチオン重合開始剤として、SbF6 -をアニオンとするトリス(4-メチルフェニル)スルホニウム塩を用いて同様の実験を行った結果をあわせて示す。
Figure 2009113217
表5から明らかなように、この実験系では、ビスムトニウム塩からなる光カチオン重合開始剤は、既存の光カチオン重合開始剤と同等の効果を有することがわかった。
実施例5:増感剤を用いた光カチオン重合反応に対するビスムトニウム塩からなる光カチオン重合開始剤と既存の光カチオン重合開始剤の効果の比較(その4)
サンプルチューブにモノマーとして(2-クロロエトキシ)エチレンを入れ、さらにビスムトニウム塩としてSbF6 -をアニオンとするテトラキス(4-メチルフェニル)ビスムトニウム塩を10 mMと増感剤としてペリレンを1 mM入れ、アルゴンを5分間流して置換した。この光硬化性樹脂組成物に対し、光源として250W超高圧水銀灯(USHIO SX-UI250HP)を利用し、硫酸銅水溶液フィルター(5.0 wt%, 5 cm)を通して、調製した溶液に光照射(hν>360 nm)を所定時間行った後、反応混合物をメタノールに入れ、沈殿物を濾別し、メタノールで洗浄した後、真空下で乾燥した。得られたポリマーの分子量を、ポリエチレンオキシド標準試料を用いて検量したGPCカラムにより決定した。結果を表6に示す。また、表6には、既存の光カチオン重合開始剤として、SbF6 -をアニオンとするトリス(4-メチルフェニル)スルホニウム塩を用いて同様の実験を行った結果をあわせて示す。
Figure 2009113217
表6から明らかなように、増感剤を用いた光カチオン重合反応に対し、ビスムトニウム塩からなる光カチオン重合開始剤は、既存の光カチオン重合開始剤よりも、収率と重合度の点で優れていることがわかった。
本発明は、光を効率的に吸収してプロトンを発生させる新規な光カチオン重合開始剤を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。


R5、R6、R7における置換基を有していてもよいアルキル基におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数が1〜18個のアルキル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい単環のアリール基、置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基、置換基を有していてもよい縮合多環複素環基における置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数が1〜18個のアルキル基(置換基を有していてもよい)、ビニル基、アリル基、ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-メチル-1-プロペニル基などの炭素数が2〜10個のアルケニル基(置換基を有していてもよい)、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などの炭素数が1〜10個のアルコキシ基(置換基を有していてもよい)、フェニル基、ナフチル基などのアリール基(置換基を有していてもよい)、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、フリル基などのヘテロアリール基(置換基を有していてもよい)、フェニルチオ基などのアリールチオ基(置換基を有していてもよい)、ベンジル基、フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、2-(1-ナフチル)エチル基、2-(2-ナフチル)エチル基、3-(1-ナフチル)プロピル基、3-(2-ナフチル)プロピル基などのアリールアルキル基(置換基を有していてもよい)、2-ピロリルメチル基、2-ピリジルメチル基、3-ピリジルメチル基、4-ピリジルメチル基、2-チエニルメチル基、2-(2-ピリジル)エチル基、2-(3-ピリジル)エチル基、2-(4-ピリジル)エチル基、3-(2-ピロリル)プロピル基などのヘテロアリールアルキル基(置換基を有していてもよい)、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基における置換基としては、上記のアルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
本発明の光カチオン重合開始剤は、例えばエポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基などを有する光カチオン重合性化合物の重合に適したものである。本発明の光カチオン重合開始剤を光カチオン重合性化合物と混合して光硬化性樹脂組成物とし、当該組成物を例えば基材(例えば金属や合成樹脂からなるものが挙げられるが基材の材質はこれらに限定されるものではない)に塗布した後、例えば波長範囲が300〜500 nmの光照射を10秒間〜3時間行うと、プロトンが効果的に発生して光カチオン重合性化合物の光カチオン重合反応が起こり、その結果物としての硬化物を得ることができる。光硬化性樹脂組成物中における本発明の光カチオン重合開始剤の存在量は、例えば光カチオン重合性化合物に対して0.01〜5 mol%である。なお、光硬化性樹脂組成物には、ペリレン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー、ベンゾフラビン、セトフラビンT、ピレン、9,10-ジブトキシアントラセン、1,2-ベンズアトラセン、フェノチアジン、コロネン、チオキサントン、フルオレノン、ベンゾフェノン、アントラキノンなどを、光カチオン重合反応を促進させるための増感剤として含ませてもよい。この場合、増感剤(モル吸光係数が例えば3000 M-1cm-1以上のものが望ましく、5000 M-1cm-1以上のものがより望ましい)は本発明の光カチオン重合開始剤に対して1/100〜1/5程度の量(モル比)で添加すればよく、照射する光は増感剤の光吸収特性に応じて例えば300〜700 nmの波長範囲で適宜選択すればよい。光源としては、高圧水銀灯の他、各種レーザー、キセノンランプ、ハロゲンランプなどを利用することができる。


Claims (9)

  1. 下記の一般式(I)で表されるビスムトニウム塩からなることを特徴とする光カチオン重合開始剤。
    Figure 2009113217

    〔式中、R1とR2は同一または異なって置換基を有していてもよい単環のアリール基または置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基である。R3とR4は同一または異なって置換基を有していてもよい単環のアリール基、置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基、置換基を有していてもよい縮合多環複素環基、-CH=CR5R6(式中、R5とR6は同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい単環のアリール基、置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基、置換基を有していてもよい縮合多環複素環基のいずれかである)、-(CH2)n-COR7(式中、R7は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい単環のアリール基、置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基、置換基を有していてもよい縮合多環複素環基のいずれかである。nは1または2である)のいずれかである。X-はカチオンに対するアニオンである〕
  2. R1、R2、R3が置換基を有していてもよい単環のアリール基であることを特徴とする請求項1記載の光カチオン重合開始剤。
  3. R3とR4の少なくとも1つが置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基であることを特徴とする請求項1記載の光カチオン重合開始剤。
  4. X-がPF6 -、SbF6 -、AsF6 -、BF4 -、ORf-、NRf2 -、B(Ar)4 -(Rfはペルフルオロアルキルスルホニル基であり、Arは置換基を有していてもよいアリール基である)のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の光カチオン重合開始剤。
  5. 請求項1記載の光カチオン重合開始剤を用いて行うことを特徴とする光カチオン重合性化合物の重合方法。
  6. 光カチオン重合性化合物がエポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基から選ばれる少なくとも1つを有する化合物であることを特徴とする請求項5記載の重合方法。
  7. 光カチオン重合性化合物と請求項1記載の光カチオン重合開始剤を少なくとも含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項7記載の光硬化性樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
  9. 下記の一般式(II)で表されることを特徴とするビスムトニウム塩。
    Figure 2009113217

    〔式中、R11とR12とR13は同一または異なって置換基を有していてもよい単環のアリール基または置換基を有していてもよい単環のヘテロアリール基である。R14は置換基を有していてもよい縮合多環芳香族基または置換基を有していてもよい縮合多環複素環基である。X-はカチオンに対するアニオンである〕


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