JPWO2009087826A1 - シュウ酸脱炭酸酵素の生産に利用される組換え発現プラスミドベクター及び組換え菌、並びに組換えシュウ酸脱炭酸酵素の生産方法 - Google Patents

シュウ酸脱炭酸酵素の生産に利用される組換え発現プラスミドベクター及び組換え菌、並びに組換えシュウ酸脱炭酸酵素の生産方法 Download PDF

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Abstract

微生物由来シュウ酸脱炭酸酵素を高生産する手段を提供することを課題とする。バチルス(Bacillus)属のα−アミラーゼプロモーターと、その制御下に配置された微生物由来シュウ酸脱炭酸酵素遺伝子とを含む組換え発現プラスミドベクターを構築する。当該ベクターで宿主細菌を形質転換し、シュウ酸脱炭酸酵素生産菌を調製する。また、当該生産菌を培養した後、産生されたシュウ酸脱炭酸酵素を回収することによって、組換えシュウ酸脱炭酸酵素を生産する。

Description

本発明は微生物由来のシュウ酸脱炭酸酵素に関する。詳しくは、シュウ酸脱炭酸酵素の生産に利用される組換え発現プラスミドベクター及び組換え菌、シュウ酸脱炭酸酵素生産菌の調製方法、並びに組換えシュウ酸脱炭酸酵素の生産方法に関する。
シュウ酸は多くの食物(特に、ほうれん草やその他の緑色野菜、緑茶、ココア等)に含まれ、あるいは人体中(代謝の過程で生成され、生体内ではそれ以上は分解されず、尿とともに排出される)で生成される一般的な化合物である。シュウ酸は人体中で、カルシウムと結合することで結石の原因となる物質としてもよく知られている。また、シュウ酸の摂取量過多や人体の生成量過多による、尿中シュウ酸濃度の上昇(結石形成リスクの上昇)も見られる。また、植物病原菌の植物に対する攻撃手段としてもシュウ酸が利用されている。即ち、感染した植物組織内でシュウ酸を産生し、それによって植物組織内を酸性環境にして葉を枯らすという攻撃をする植物病原菌の存在が知られている。
以上のように、シュウ酸は一般的な化合物でありながら、生物にとって有害性を示す化合物である。このような作用を持つシュウ酸を分解する酵素は、食品分野や医療分野等、様々な分野において有用である。例えば、食物中のシュウ酸を直接又は体内に摂取された後に酵素やシュウ酸分解菌で分解することによって、体内で吸収されるシュウ酸濃度を低減させる試みがなされている。また、植物病原菌に対する耐性を付与する目的でシュウ酸分解酵素を植物体へと導入することも行われている。
シュウ酸を分解する酵素として、シュウ酸脱炭酸酵素(以下「OXDC」ともいう)、シュウ酸酸化酵素、およびオキサリルCoA脱炭酸酵素の存在が知られている。OXDCは、シュウ酸をギ酸と二酸化炭素に分解する酵素であり、その内部にマンガンを含む。これまでに、多くの細菌(バチルス(Bacillus)属等)、カビ(アスペルギルス(Aspergillus)属、フラムリナ・ベルティペス(Flammulina velutipes)等)がシュウ酸脱炭酸酵素遺伝子(以下、「oxdc遺伝子」ともいう)を保有していることがわかっている。また、OXDCについての酵素学的性質の解明が試みられており、特にバチルス・サチルス(Bacillus subtilis)及びフラムリナ・ベルティペスのOXDCについては解明が進んでいる。
バチルス属由来のOXDCに関しては、一般的な生産菌であるバチルス・サチルス168株のOXDC生産性が培養液あたり0.4mg/Lであるとの報告がある(非特許文献1)。また、酵素学的性質解明を目的とし、oxdc遺伝子が大腸菌を宿主としてクローニングされている(非特許文献2)。本oxdc遺伝子組換え大腸菌の生産性は、バチルス・サチルス168株野生株に比べて高く、培養菌体1g当たり2.8mgのOXDC生産性を示す。しかし、この生産性は研究レベルでは十分であっても、実用ないし商業レベルでは十分といえない。
J. Bacteriol. 182 (2000), 5271-5273 J. Biol. Chem. 276 (2001), 43627-43634
以上の背景の下、本発明は、微生物由来シュウ酸脱炭酸酵素を高生産する手段を提供することを課題とする。具体的には、微生物由来のシュウ酸脱炭酸酵素を高生産する組換え菌の調製に有用な発現プラスミドベクター、該ベクターを用いて調製される組換え菌、該組換え菌を用いたシュウ酸脱炭酸酵素生産系等を提供することを課題とする。
本発明者らは、微生物由来OXDCを高生産する方法を見出すことを目的として検討を重ねた。具体的には、微生物由来OXDCの代表としてバチルス属由来OXDCを用い、その高生産系の構築を試みた。まず、バチルス属のα−アミラーゼプロモーターに注目し、当該プロモーターの制御下にoxdc遺伝子を連結した組換え発現プラスミドベクターを作製した。次に、当該ベクターで形質転換された組換え菌(バチルス・サチルス及び大腸菌)を得た。組換え菌の生産性を調べた結果、過去の報告(非特許文献1、2)に比較して飛躍的な生産性の向上が認められた。また、プロモーターとして3箇所に変異が生じているもの(変異型プロモーター)を使用した場合には更なる生産性の向上が達成されることが判明した。さらに、oxdc遺伝子に加えてyvrL遺伝子が連結された発現プラスミドベクターで形質転換して得られた組換え菌においても高い生産性が認められた。一方、バチルス・サチルス及び大腸菌を宿主とした生産系における培養条件を検討し、生産性を高めるマンガン(Mn)濃度の範囲を決定した。
以上のように、微生物由来OXDCの高生産系を構築するためにはバチルス属由来α−アミラーゼプロモーターが有効であるとの知見を得るとともに、生産性の向上にとって特に有効な変異型プロモーターを見出すことに成功した。また、yvrL遺伝子が連結したoxdc遺伝子を用いた場合にも高い生産性が得られるとの知見も得た。さらには生産性を高める培養条件を見出すことにも成功した。
本発明はこれらの成果に基づくものであり、以下に列挙する組換え発現プラスミドベクター、シュウ酸脱炭酸酵素生産菌の調製方法、組換え菌(組換えシュウ酸脱炭酸酵素生産菌)、及び組換えシュウ酸脱炭酸酵素の生産方法を提供する。
[1]バチルス(Bacillus)属のα−アミラーゼプロモーターと、その制御下に配置された微生物由来シュウ酸脱炭酸酵素遺伝子とを含む、組換え発現プラスミドベクター。
[2]α−アミラーゼプロモーターがバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来のプロモーターである、[1]に記載の組換え発現プラスミドベクター。
[3]α−アミラーゼプロモーターが、配列番号2〜配列番号4のいずれかに示すDNA配列を有する、[1]に記載の組換え発現プラスミドベクター。
[4]微生物がバチルス属細菌である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクター。
[5]微生物がバチルス・サチルス(Bacillus subtilis)である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクター。
[6]微生物がバチルス・サチルス168株である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクター。
[7]微生物由来シュウ酸脱炭酸酵素遺伝子が、配列番号1に示すDNA配列を有する、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクター。
[8]微生物由来シュウ酸脱炭酸酵素遺伝子の下流にyvrL遺伝子を含む、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクター。
[9]yvrL遺伝子が、配列番号5に示すDNA配列からなる、[8]に記載の組換え発現プラスミドベクター。
[10]配列番号16に示す配列のDNA断片を含む、[8]に記載の組換え発現プラスミドベクター。
[11][1]〜[10]のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクターで宿主細菌を形質転換することを特徴とする、シュウ酸脱炭酸酵素生産菌の調製方法。
[12]宿主細菌が大腸菌(Escherichia coli)又はバチルス属細菌である、[11]に記載の調製方法。
[13][1]〜[10]のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクターで大腸菌又はバチルス属細菌を形質転換して得られる組換え菌。
[14]バチルス属細菌がバチルス・サチルスである、[13]に記載の組換え菌。
[15]バチルス属細菌がバチルス・サチルス168株である、[13]に記載の組換え菌。
[16][13]〜[15]のいずれか一項に記載の組換え菌を培養するステップ、及び
産生されたシュウ酸脱炭酸酵素を回収するステップ、
を含む、組換えシュウ酸脱炭酸酵素の生産方法。
[17][1]〜[10]のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクターで大腸菌を形質転換して得られる組換え菌を、マンガン濃度が1mM〜5mMの培地中で培養するステップ、及び
産生されたシュウ酸脱炭酸酵素を回収するステップ、
を含む、組換えシュウ酸脱炭酸酵素の生産方法。
[18][1]〜[10]のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクターでバチルス属細菌を形質転換して得られる組換え菌を、マンガン濃度が0.1mM〜1mMの培地中で培養するステップ、及び
産生されたシュウ酸脱炭酸酵素を回収するステップ、
を含む、組換えシュウ酸脱炭酸酵素の生産方法。
宿主とプロモーターの組合せを示す表。 シャトルベクターpUBC1の作製手順。 amyプロモーターとoxdc遺伝子を連結するための操作手順。 lacプロモーターとoxdc遺伝子を連結するための操作手順。 oxdc遺伝子発現プラスミドベクターpUBCoxdc2の構成。 oxdc遺伝子発現プラスミドベクターpUBCoxdcの構成。 oxdc遺伝子発現プラスミドベクターpLacoxdcの構築方法及び構成。 oxdc遺伝子発現プラスミドベクターpUOXDCC1の構成。 oxdc遺伝子発現プラスミドベクターpLOXDCC3の構築方法及び構成。 oxdc遺伝子発現プラスミドベクターpLOXDCCの構築方法及び構成。 OXDC濃度測定法の操作手順。 定性的OXDC活性測定法の操作手順。 組換え菌のOXDC生産性を比較した表。 組換え菌No.5を使用した場合の培地中マンガン濃度とOXDC生産性との関係を、添加マンガン濃度0mMの場合のOXDC生産性を1としたときの相対値で示したグラフ。 組換え菌No.1を使用した場合の培地中マンガン濃度とOXDC生産性との関係を、添加マンガン濃度0mMの場合のOXDC生産性を1としたときの相対値で示したグラフ。
(組換えプラスミドベクター)
本発明の第1の局面は組換え発現プラスミドベクター(以下、省略して「発現ベクター」ともいう)に関する。「組換え」とは、天然に存在するものではなく、遺伝子工学的手法による人為的な操作の結果として得られるものであることを意味する。
本発明の発現ベクターでは、バチルス(Bacillus)属のα−アミラーゼプロモーターの制御下に微生物由来シュウ酸脱炭酸酵素遺伝子(微生物由来oxdc遺伝子)が配置されている。尚、「シュウ酸脱炭酸酵素遺伝子(oxdc遺伝子)」とは、特に言及しない限り、シュウ酸脱炭酸酵素のアミノ酸配列をコードしているDNA領域(いわゆる構造遺伝子)のことであり、プロモーターなどの調節領域を含まない。
「プロモーター」とは、その制御下にある遺伝子の転写の開始を調節する機能領域のことである。本発明におけるプロモーターは、バチルス属由来のα−アミラーゼプロモーターであれば特に限定されない。ここでの「バチルス属」とは例えば、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)であり、好ましくはバチルス・アミロリケファシエンスである。バチルス・アミロリケファシエンスのα−アミラーゼプロモーターのDNA配列を配列番号2(GenBank Accesion No.J01542の1番塩基〜249番塩基の領域)に示す。本発明の一態様では当該DNA配列からなるα−アミラーゼプロモーターが用いられる。プロモーター活性を有する限り、当該プロモーターの一部を用いることもできる。一例として、配列番号3に示すDNA配列(配列番号2のDNA配列において5'側の69塩基を削除したもの)を示す。このプロモーターを使用した場合、良好なプロモーター活性が認められている(後述の実施例の欄を参照)。また、当該プロモーター(配列番号3)の変異体(配列番号4)を使用した場合においては、さらに良好なプロモーター活性が認められた(配列番号4のDNA配列は、配列番号3のDNA配列において3箇所(100番目と101番目の間に1塩基挿入、101番目及び102番目の塩基置換)が変異したもの)。この事実によっても裏付けられるように、配列番号3に示すDNA配列の一部を改変したDNA配列であってもプロモーター活性が維持する場合或いは向上する場合がある。そこで、プロモーター活性を発揮する限り、配列番号3に示すDNA配列と一部で相違するDNA配列からなるプロモーターを使用することにしてもよい。即ち、配列番号3に示すDNA配列を基準として1若しくは複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むDNA配列からなるDNA断片であっても、プロモーター活性を発揮する限り、本発明におけるプロモーターとして使用することが可能である。塩基の置換や欠失などは複数の部位に生じていてもよい。ここでの「複数」とは例えば2〜40塩基、好ましくは2〜20塩基、より好ましくは2〜10塩基である。
「制御下」とは「支配下」と同義であり、プロモーターと構造遺伝子が機能的に連結していることを意味する。プロモーターの制御下に構造遺伝子が配置されることによって、構造遺伝子の転写がプロモーターの制御(調節)を受ける。典型的にはプロモーターに構造遺伝子が直接連結されるが、構造遺伝子がプロモーターに転写制御される限りにおいて、プロモーターと構造遺伝子の間に他の配列が介在していてもよい。
バチルス属由来のα−アミラーゼプロモーターは、本明細書又は添付の配列表が開示する配列情報や、公共のデータベース(例えばDDBJ/EMBL/GenBank)に登録された配列情報を参考にし、標準的な遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法などを用いて調製することができる。例えば、バチルス属細菌の染色体DNAの調製、特異的プライマーによるプロモーター領域の増幅、そして増幅産物の回収からなる一連の操作によって所望のプロモーターを調製することができる。特異的プライマーは、市販の自動化DNA合成装置などを用いて容易に合成することができる。プロモーター領域の増幅には例えばPCRが好適である。
本発明の発現ベクターでは、上記プロモーターの制御下に微生物由来oxdc遺伝子が配置されている。様々な微生物がoxdc遺伝子を保有することが明らかとなっており、いくつかの遺伝子についてはその配列が同定されるとともにその機能的解析も行われている。以下、公共のデータベースに登録されている微生物由来oxdc遺伝子の例を示す(微生物名:データベース名:登録番号:配列表の配列番号)。
バチルス・サチルス :GenBank:Z99120:配列番号1
バチルス・リケニフォルミス :GenBank:CP000002:配列番号17
フラムリナ・ベルティペス :GenBank:AF200683:配列番号18
バチルス・セレウス :GenBank:AE016877:配列番号19
アスペルギルス・ニデュランス :GenBank:AACD01000139:配列番号20
ストレプトコッカス・ミュータンス:GenBank:AE014133:配列番号21
本発明の最大の特徴は、バチルス属由来のα−アミラーゼプロモーターと微生物由来oxdc遺伝子とを組み合わせて用いることにあり、微生物由来oxdc遺伝子の種類は特に問わない。従って、これまでに同定された微生物由来oxdc遺伝子であれば原則としていずれを採用してもよい。好ましくはバチルス属のoxdc遺伝子を用いる。特に好ましくは、配列番号1に示す、バチルス・サチルスのoxdc遺伝子を用いる。
例えば、本発明の発現ベクターに使用する微生物由来oxdc遺伝子は、それを保有する微生物の染色体DNAを調製した後、配列特異的プローブ又はプライマーを利用してoxdc遺伝子を単離することによって調製される。例えばバチルス属細菌の染色体DNAの調製法は、Molecular Biological Methods for Bacillus, John Wiley & Sons Ltd (1990)等に詳しい。また、目的のDNAを単離する方法についてはMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)等を参考にすることができる。
oxdc遺伝子の下流にターミネーター(転写終結配列)を連結してもよい。ターミネーターとしては、本来のターミネーターの他、α−アミラーゼターミネーター、T7ターミネーター、fdファージターミネーター、T4ターミネーター等を用いることができる。
コドンの縮重を考慮し、同一のタンパク質(即ちOXDC)をコードするDNA配列であれば、配列番号1に示すDNA配列と機能的に等価であり、本発明におけるoxdc遺伝子として使用可能である。また、一般に、あるタンパク質のアミノ酸配列の一部に改変を施した場合において改変後のタンパク質が改変前のタンパク質と同等の機能を有することがある。即ちアミノ酸配列の改変がタンパク質の機能に対して実質的な影響を与えず、タンパク質の機能が改変前後において維持されることがある。そこで、配列番号1に示すDNA配列がコードするタンパク質(配列番号15にそのアミノ酸配列を示す)と相同なアミノ酸配列を有し、且つシュウ酸脱炭酸酵素として機能するタンパク質(以下、「相同タンパク質」ともいう)をコードするDNA配列も本発明のoxdc遺伝子として使用可能である。ここでの「相同なアミノ酸配列」とは、配列番号15で示されるアミノ酸配列と一部で相違するが、当該相違がタンパク質の機能(この場合OXDC活性)に実質的な影響を与えていないアミノ酸配列のことをいう。
「アミノ酸配列の一部の相違」とは、典型的には、アミノ酸配列を構成する1〜数個のアミノ酸の欠失、置換、若しくは1〜数個のアミノ酸の付加、挿入、又はこれらの組合せによりアミノ酸配列に変異(変化)が生じていることをいう。ここでのアミノ酸配列の相違はOXDC活性が大幅に低下しない限り許容される。この条件を満たす限りアミノ酸配列が相違する位置は特に限定されず、また複数の位置で相違が生じていてもよい。ここでの複数とは例えば全アミノ酸の約30%未満に相当する数であり、好ましくは約20%未満に相当する数であり、さらに好ましくは約10%未満に相当する数であり、より一層好ましくは約5%未満に相当する数であり、最も好ましくは約1%未満に相当する数である。即ち相同タンパク質は、配列番号15のアミノ酸配列と例えば約70%以上、好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、より一層好ましくは約95%以上、最も好ましくは約99%以上の同一性を有する。
好ましくは、OXDC活性に必須でないアミノ酸残基において保存的アミノ酸置換を生じさせることによって相同タンパク質が得られる。ここでの「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基を、同様の性質の側鎖を有するアミノ酸残基に置換することをいう。アミノ酸残基はその側鎖によって塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)のように、いくつかのファミリーに分類されている。保存的アミノ酸置換は好ましくは、同一のファミリー内のアミノ酸残基間の置換である。
本発明者らの検討の結果、yvrL遺伝子が連結されたoxdc遺伝子を用いた場合にも高い生産性を発揮する組換え菌が得られることが判明した。そこで本発明の一態様では、微生物由来oxdc遺伝子の下流にyvrL遺伝子を含む発現ベクターを構築する。そして、当該発現ベクターで宿主を形質転換して組換え菌を調製する。また、当該組換え菌を用いたOXDC生産系を構築する。yvrL遺伝子の配列の具体例を配列番号5に示す。また、微生物由来oxdc遺伝子の下流にyvrL遺伝子を含むDNA断片の配列の具体例を配列番号16に示す。本発明の発現ベクターの一態様では当該DNA断片が挿入されている。
ところで、現在、様々な宿主−ベクター系について種々のプラスミドベクターが入手可能な状態にある。大腸菌を宿主とするプラスミドベクターの例としてpUC系プラスミド及びその誘導体、pBR322系プラスミド及びその誘導体、pACYC系プラスミド及びその誘導体、pSC101系プラスミド及びその誘導体を挙げることができる。バチルス属細菌を宿主とするプラスミドベクターの例として、pUB110(Gryczan,T.J.et al. J.Bacteriol.134,318-329(1978))、pTA1060(Bron,S.et al. Plasmid.18,8-15(1987))、pC194(Horinouchi,S.et al. J.Bacteriol.150(2),815-825(1982))、pE194(Horinouchi,S.et al. J.Bacteriol.150(2),804-814(1982))等を挙げることができる。また、大腸菌とバチルス属細菌のいずれでも複製可能なベクター(シャトルベクター)も入手可能である(Grande,G.et al. Monogr.(Dtsch.Ges.chem.Apparatewes).105,147-162(1987); Truffaut,H.& Sebald,M. Biotechnol.Lett.10,1-6(1988)、Moriyama,H.et al. Nucleic Acids Res.16,8732(1988); Bron,S.et al. Plasmid.19,231-241(1988); Karp,M. Biochim.Biophys.Acta.1007,84-90(1989)等)。
本発明の発現ベクターは以上のようなプラスミドベクターを利用して構築することができる。即ち、宿主との関係を考慮して適当なプラスミドベクター(例えば市販品)を選択した後、所望の配置態様でバチルス属のα−アミラーゼプロモーターと微生物由来oxdc遺伝子を挿入すれば、本発明の発現ベクターを得ることができる。バチルス属のα−アミラーゼプロモーターを備えるプラスミドベクターが入手できれば、α−アミラーゼプロモーターの制御下に配置されるように微生物由来oxdc遺伝子を挿入すればよい。同様に、微生物由来oxdc遺伝子を備えるプラスミドベクターが入手できれば、当該遺伝子を制御可能な位置にα−アミラーゼプロモーターを挿入すればよい。
バチルス属のα−アミラーゼプロモーターと微生物由来oxdc遺伝子(又はいずれか片方)をプラスミドベクターに挿入する際、基本となるベクターの不要な配列の削除、機能配列(例えば選択マーカーやエンハンサー)の追加など、さらなる改変を加えても良い。
尚、本発明の発現ベクターを構築する際に必要な操作法、試薬、条件などについては例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)或いはCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)を参照すればよい。
(シュウ酸脱炭酸酵素生産菌の調製方法及びシュウ酸脱炭酸酵素生産菌)
本発明の発現ベクターで適当な宿主細菌を形質転換すれば、OXDCを産生する組換え菌を得ることができる。そこで本発明は、第2の局面として、(1)本発明の発現ベクターで宿主細菌を形質転換することを特徴とする、OXDC生産菌の調製方法、及び(2)該調製方法で得られる組換え菌、を提供する。本発明の組換え菌は、バチルス属のα−アミラーゼプロモーターによる転写制御を受ける微生物由来oxdc遺伝子を含んだ発現プラスミドベクターを保有する。発現プラスミドベクターのコピー数は特に限定されず、例えば1〜700である。
ここでの宿主細菌は特に限定されないが、好ましくは大腸菌又はバチルス属細菌である。大腸菌の具体例としてJM109株、MC1061株、DH5α株、BL21株を挙げることができる。一方、バチルス属の細菌として、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)、バチルス・ポリミキサ(Bacillus polymyxa)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alcalophilus)を例示できる。中でも、バチルス・サチルスが好ましく、バチルス・サチルス168株が特に好ましい。
形質転換は宿主−ベクター系を考慮して常法で行えばよい。大腸菌を宿主とした場合、コンピテントセル法(例えば塩化カルシウム法、塩化ルビジウム法、ハナハン法、SEM法など)やエレクトロポレーション法によって形質転換すればよい。一方、バチルス属細菌を宿主とした場合の形質転換にはプロトプラスト形質転換法(Chang,S.&Cohen,S.N. Mol.Gen.Genet.168,111-115(1979)などを参照)やコンピテントセル法(Spizizen,J. Proc.Natl.Acad.Sci.USA.44,1072-1078(1958)などを参照)などが利用できる。エレクトロポレーション法によれば、プロトプラスト化していない菌体へもプラスミドベクターを導入することができる(Kusaoke,H.et al. Agric.Biol.Chem.53,2441-2446(1989))。
尚、形質転換法の具体的なプロトコールについては例えばMolecular Cloning, Third Edition, 1.84, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkに詳しい。
(シュウ酸脱炭酸酵素の生産方法)
本発明のさらなる局面は、本発明の組換え菌を用いたOXDCの生産方法に関する。本発明の生産方法ではまず、α−アミラーゼプロモーターが誘導される条件下で本発明の組換え菌を培養する(培養ステップ)。続いて、産生されたOXDCを回収するステップ(回収ステップ)を行う。
培養ステップは、「α−アミラーゼプロモーターが誘導される条件」の下、実施される。これによって、α−アミラーゼプロモーターによる転写活性が発揮され、oxdc遺伝子が発現する。培養開始から所定時間経過した後にα−アミラーゼプロモーターを誘導することにしてもよい。α−アミラーゼプロモーターの誘導のタイミングは特に限定されないが、OXDCの産生量を増大させるという観点から、対数増殖期又は定常期に誘導することが好ましい。特に、対数増殖期の後期〜定常期の中期の間に誘導することが好ましい。但し、バチルス属細菌及び大腸菌を宿主として得られた組換え菌の場合は、培養開始時に誘導することにしてもよい。尚、当業者であれば予備実験によって適当な培養条件を設定することが可能である。
経時的に培養液をサンプリングし、濁度(又は吸光度)などの計測によって菌数を算出すれば、生育ステージ(対数増殖期や定常期など)を決定することができる。勿論、予備培養によって生育曲線を作成し、それを利用して生育ステージを決定することにしてもよい。
その他の培養条件(培地、培養温度、培養時間など)は、培養に供する組換え菌に合わせて適宜設定すればよい。例えば、組換え菌が大腸菌であれば、標準的な培養条件を基準として必要に応じて修正を加えればよい。また、予備実験によって適当な培養条件を設定することが可能である。
OXDCはその分子内にマンガン(Mn)を含む。従って、組換え菌を培養してOXDCを生産する際、マンガンが添加された培地を使用する必要がある。後述の実施例に示す通り、本発明者らの検討の結果、大腸菌を形質転換して得られた組換え菌であれば、培地中のマンガン濃度が1mM〜5mMの場合に高い生産性が認められた。また、5mMの添加濃度のときに最大の生産性を示した。従って、大腸菌を形質転換して得られた組換え菌を使用する場合、生産性の向上のためには培地中のマンガン濃度は好ましくは1mM〜5mM、さらに好ましくは5mMである。一方、バチルス属細菌を形質転換して得られた組換え菌であれば、培地中のマンガン濃度が0.1mM〜1mMの場合に高い生産性が認められた。また、1mMの添加濃度のときに最大の生産性を示した。従って、バチルス属細菌を形質転換して得られた組換え菌を使用する場合、生産性の向上のためには培地中のマンガン濃度は好ましくは0.1mM〜1mM、さらに好ましくは1mMである。
培地中にマンガンを含有するという条件に加え、培養に供する組換え菌が生育可能であるという条件を満たす限り、培地の組成は特に限定されない。培地の炭素源として例えば、マルトース、シュクロース、ゲンチオビオース、可溶性デンプン、グリセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等を用いることができる。また、窒素源として例えば硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、あるいは、ペプトン、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、ふすま、肉エキス等を用いることができる。無機塩としてカリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩等を用いることができる。組換え菌の生育を促進するためにビタミン、アミノ酸などを添加した培地を使用してもよい。
培地のpHは例えば約3〜8、好ましくは約6〜8程度に調整し、培養温度は通常約10〜50℃、好ましくは約27〜37℃程度で、1〜15日間、好ましくは1〜3日間程度培養する。大腸菌を宿主とした場合は好気的条件下あるいは嫌気的条件下で培養する。バチルス属細菌を宿主とした場合は、好気的条件下で培養する。培養法としては例えば振盪培養法、回転培養法、通気撹拌培養法等を利用できる。
培養ステップに続く回収ステップでは、培養液又は菌体よりOXDCを回収する。培養液から回収する場合には、例えば培養上清をろ過、遠心処理等することによって不溶物を除去した後、限外ろ過膜による濃縮、硫安沈殿等の塩析、透析、各種クロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて分離、精製を行うことによりOXDCを得ることができる。
他方、菌体内から回収する場合には、例えば菌体を加圧処理、超音波処理などによって破砕した後、上記と同様に分離、精製を行うことによりOXDCを得ることができる。尚、ろ過、遠心処理などによって予め培養液から菌体を回収した後、上記一連の工程(菌体の破砕、分離、精製)を行ってもよい。
1.oxdc遺伝子発現系の選定
生産性向上を目指し、宿主とプロモーターの組み合わせを検討した。宿主には、OXDC生産菌として知られる(1)バチルス・サチルス168株(ATCC(American Type Culture Collection))および、遺伝子組換えに一般的に使用される宿主である(2)大腸菌(E. coli JM109株(タカラバイオ株式会社))を選定した。これらの宿主に合わせ、それぞれで導入遺伝子の高発現が期待できるプロモーターを選出した(図1)。尚、amyプロモーターは、α−アミラーゼ遺伝子のプロモーターである。α−アミラーゼ遺伝子は枯草菌(バチルス属)の多くの種が有している遺伝子であり、これまでにα−アミラーゼプロモーターを用いてクローニングされた遺伝子がいくつか報告されている。他方のlacプロモーターは、大腸菌を宿主とした際に使用される一般的なプロモーターであり、発現量が多いことが知られている。
2.oxdc遺伝子の取得
クローニングを行うoxdc遺伝子(yvrK)は、バチルス・サチルス168株染色体より取得した。詳しくは、まず、バチルス・サチルス168株より染色体DNAを常法により取得した。データベース(GenBank Accession No. Z99120)上のoxdc遺伝子配列情報(配列番号1)を元に、プライマーセットを設計した。尚、3'側プライマーには制限酵素(XbaI)サイトを付加した。
3'側プライマー(プライマー1):5'- GGCTCTAGATTATTTACTGCATTTCTTTTTCAC -3'(配列番号6)
5'側プライマー(プライマー2、amyプロモーター用):5'- AGGGAGAGGAAACATGAAAAAACAAAATGACATTCC -3'(配列番号7)
5'側プライマー(プライマー3、lacプロモーター用):5'- GTCATTTTGTTTTTTCATAGCTGTTTCCTGTGTGAA -3'(配列番号8)
バチルス・サチルス168株より取得した染色体DNAを鋳型とし、これらのプライマーを用いてPCRを行い、目的とするoxdc遺伝子を取得した。
3.amyプロモーターの取得
amyプロモーターは、バチルス・アミロリケファシエンス由来のものを使用した。まず、バチルス・アミロリケファシエンスより染色体DNAを常法により取得した。データベース上のα-アミラーゼ遺伝子(GenBank Accesion No. J01542)の配列を参考にしてプロモーター領域(配列番号2)を特異的に増幅するプライマーを設計した。尚、5'側プライマーにはEcoRIの制限酵素サイトを付加してある。また、amyプロモーター3'末端配列およびoxdc遺伝子5'末端配列を含むプライマーを3'側プライマーとした。
5'側プライマー(プライマー4):5'- CGCCGAATTCTGGATCGATTGTTTGAG -3'(配列番号9)
3'側プライマー(プライマー5):5'- GTCATTTTGTTTTTTCATGTTTCCTCTCCCTCTCATTTTC -3'(配列番号10)
用意したバチルス・アミロリケファシエンスの染色体DNAを鋳型とし、設計したプライマーを用いてPCRを行うことで、amyプロモーターのDNA断片を取得した。
4.シャトルベクターpUBC1の作製(図2)
バチルス・サチルス168株を宿主とする際には、バチルス属発現系において一般的に使用されているpUB110ベクター(ATCC(American Type Culture Collection))を利用した。pUB110ベクターをそのまま使用するのではなく、組換え菌構築の際の形質転換効率を向上させるため、まず、大腸菌中で発現プラスミドを構築することを考え、大腸菌用プラスミドベクターpUC18とpUB110とのシャトルベクターを構築した。実際は、pUC18とpUB110を制限酵素AflIIIとXbaIにて処理し、互いの複製開始領域を含む断片を取得した。次いで、得られた断片同士をリガーゼで連結し、シャトルベクターpUBC1とした。
5.amyプロモーターとoxdc遺伝子の連結(図3)
挿入するamyプロモーターとoxdc遺伝子はPCRによって連結した。まず、2.の欄に記載した方法(プライマー1、2を使用)及び3.の欄に記載した方法(プライマー4、5を使用)でそれぞれPCR(1段階目)を行った。PCR産物を混合した後、プライマー1、4を用いてPCR(2段階目)を行い、amyプロモーター直後にoxdc遺伝子が連結された断片(amyプロモーターoxdc遺伝子連結断片)を取得した。
6.lacプロモーターとoxdc遺伝子の連結(図4)
大腸菌を宿主としてlacプロモーター下流にoxdc遺伝子を導入する場合は、ハイコピーベクターであるpUC19を利用した。まず、lacプロモーター上流に存在するAflIII制限酵素サイトを含む5'側プライマーを設計した。
5'側プライマー(プライマー6):5'- CTTTTGCTCACATGTTCTTTCCTG -3'(配列番号11)
一方、lacプロモーター3'末端配列および、oxdc遺伝子5'末端配列を含む3'側プライマーを設計した。
3'側プライマー(プライマー7):5'- TTCACACAGGAAACAGCTATGAAAAAACAAAATGAC -3'(配列番号12)
まず、2.の欄に記載した方法(プライマー1、3を使用)でPCR(1段階目)を行った。また、lacプロモーター(pUC19)を鋳型とし、プライマー6、7を用いてPCR(1段階目)を行った。1段階目のPCRで得られたPCR産物を混合した後、プライマー1、6を用いてPCR(2段階目)を行い、lacプロモーター直後にoxdc遺伝子が連結したDNA断片を取得した。
7.組換え菌(OXDC生産菌)の構築
(1)組換え菌No.1
シャトルベクターpUBC1及びamyプロモーターoxdc遺伝子連結断片をEcoRI、XbaIで処理した後、リガーゼで連結することによってoxdc遺伝子発現プラスミドベクターpUBCoxdc2(図5)を得た。続いて、当該ベクターで大腸菌JM109株を形質転換した。本組換え大腸菌より当該ベクターを大量に調製した後、プロトプラスト-PEG-フュージョン法によって、当該ベクターでバチルス・サチルス168株を形質転換し、oxdc遺伝子組換え菌とした。
本oxdc遺伝子組換え菌中に保持されているoxdc遺伝子発現プラスミドベクターの挿入断片の塩基配列を調べたところ、amyプロモーター中に3塩基の変異が入っていることが明らかとなった(変異型amyプロモーター:配列番号4)。公共のデータベースに登録された野生型amyプロモーターの配列を参照し、変異の入っている領域を置換、挿入することで(Stratagene社Quick Change Site-Directed Mutagenesis Kitを使用し、置換、欠失を行った)、野生型amyプロモーターの配列と同一の配列をもつプロモーターとした(amyプロモーター:配列番号3)。このように操作した後のoxdc遺伝子発現プラスミドベクターpUBCoxdc(図6)で、再度、バチルス・サチルス 168株を形質転換し、目的とするoxdc遺伝子組換え菌No.1を得た。
(2)組換え菌No.2
pUC19及びlacプロモーターoxdc遺伝子連結断片をAflIII−XbaI処理した後、リガーゼで連結することによってoxdc遺伝子発現プラスミドベクターpLacoxdc(図7)を得た。常法により当該ベクターで大腸菌JM109株を形質転換した。このようにして、大腸菌を宿主とし、oxdc遺伝子発現プラスミドベクターpLacoxdcを保有する組換え菌No.2を得た。
(3)組換え菌No.3
(1)の欄に記載した変異型amyプロモーターを有する発現プラスミドベクターpUBCoxdc2(図5)を大腸菌JM109株で大量調製した。続いて、プロトプラスト-PEG-フュージョン法によって、当該ベクターでバチルス・サチルス 168株を形質転換し、組換え菌No.3を得た。
(4)組換え菌No.4
バチルス・サチルス 168株染色体DNA上でoxdc遺伝子下流にはyvrL遺伝子という機能未知の遺伝子が存在しており、その遺伝子も含めて形質転換することを試みた。まず、oxdc遺伝子とyvrL遺伝子を含む配列を増幅するための3'側プライマーを設計した。尚、当該プライマーでは、yvrL遺伝子3'末端外側に制限酵素XbaIサイトが付加されている。
3'側プライマー(プライマー8):5'- TTATCTAGAGCTTGCTTCCGTCTATCAAGG -3'(配列番号13)
バチルス・サチルス 168株染色体DNAを鋳型とし、上記のプライマー8と5'側プライマーとしてプライマー2を用いたPCR(1段階目)を行った。一方、2.の欄に記載した手順でPCR(1段階目)を行った。1段階目のPCRによって得られたPCR産物を混合した後、プライマー4とプライマー8を用いてPCR(2段階目)を行い、amyプロモーターの下流にoxdc遺伝子が配置され、さらに下流にはyvrL遺伝子が配置されたDNA断片を取得した。取得した断片及びpUB110をEcoRI、XbaIで処理した。制限酵素処理後のDNA断片をライゲートし、oxdc発現プラスミドベクターpUOXDCC1(図8)を得た。プロトプラスト-PEG-フュージョン法によって、当該ベクターでバチルス・サチルス 168株を形質転換し、組換え菌No.4を得た。
(5)組換え菌No.5
まず、大腸菌と枯草菌中で機能する複製開始領域を持つシャトルベクターpCUHB-1を作製した。pC194(ATCC(American Type Culture Collection))をClaIで、pUC19をBbiIIでそれぞれ処理した後、両者をライゲートした(ベクター1)。また、pHV1249(Bacillus Genetic Stock Center)をNcoI処理した後、NcoIサイトでライゲートすることで、NcoIサイト内が欠損したベクターを獲得した(ベクター2)。ベクター1およびベクター2をApaLI処理した後、両者をライゲートした(ベクター3)。ベクター3をEcoRIにより部分分解し、5.7〜5.8kbp付近のDNA断片を回収した。回収したDNA断片をライゲートした後、AvaII処理し、再びライゲートした(ベクター4)。ベクター4をSmaIで、pBEST501(非特許文献3:Nucleic Acids Research, Volume 17, Number 11, p4410, 1989)をEcoRI−PstI及び平滑化処理した後、両者をライゲートし、ベクターpCUHB-1(図9の上段)を得た。
挿入するamyプロモーター・oxdc遺伝子連結断片を次のように調製した。amyプロモーター5'末端側外側に制限酵素サイトHindIIIサイトを付加したプライマーを設計した。
5'側プライマー(プライマー9):5'- CTTAAGCTTTGGATCGATTGTTTGAGA -3'(配列番号14)
pUBCoxdcを鋳型とし、プライマー1とプライマー9を用いてPCRを行った。これにより、5`末端にHindIIIサイト、3`末端にXbaIサイトが付加されたamyプロモーターoxdc遺伝子連結断片(HindIII−amyプロモーター−oxdc遺伝子−XbaI)が得られた。この断片をHindIII−XbaIにより処理し、もう一方で、pCHUB-1を同様にHindIII−XbaIで処理し、互いをライゲートし、oxdc発現プラスミドベクターpLOXDCC3(図9)を得た。当該ベクターで大腸菌JM109株を形質転換し、組換え菌No.5を得た。
(6)組換え菌No.6
挿入する変異型amyプロモーター・oxdc遺伝子連結断片を次のように調製した。
バチルス・アミロリケファシエンス染色体DNAを鋳型とし、プライマー9とプライマー5を用いてPCR(1段階目)を行った。一方、バチルス・サチルス 168株染色体DNAを鋳型とし、プライマー1とプライマー2を用いてPCR(1段階目)を行った。1段階目のPCRによって得られたPCR産物を混合した後、プライマー1とプライマー9を用いてPCR(2段階目)を行い、変異型amyプロモーターとoxdc遺伝子の連結断片を得た。この連結断片及びベクターpCUHB-1を制限酵素HindIII−XbaIで処理後、両者をライゲートし、oxdc発現プラスミドベクターpLOXDCC(図10)を得た。当該ベクターで大腸菌JM109株を形質転換し、組換え菌No.6を得た。
8.組換え菌の培養方法
組換え菌No.1〜6のOXDC生産性を調べるため、LB培地を基本とし、液体培地を調製した。以下、具体的な培養方法を記す。
まず、以下の前培養用培地5mLを使用して前培養(37℃で1晩試験管培養)を行った。尚、組換え菌の薬剤耐性に合わせて抗生物質を添加した。具体的には、組換え菌No.1、3、4、5、6の場合はカナマイシンを添加し(終濃度25μg/mL)、組換え菌No.2の場合はアンピシリンを添加した(終濃度50μg/mL)。
<前培養用培地(全ての組換え菌に共通)>
Bacto Yeast Extract(Becton, Dickinson and Company製) 0.5%
Bacto Tryptone(Becton, Dickinson and Company製) 1%
NaCl 0.5%
次に、以下の本培養用培地50mLを300mLバッフル付三角フラスコに用意した後、1%量の前培養液を添加し、37℃で1晩(24時間まで)振とう培養した(本培養)。ここで、アミラーゼプロモーターは二糖以上の糖類により誘導されることから、amyプロモーターを発現プラスミド中に保有している組換え菌(No.1、3、4、5、6)については、接種時にマルトース(終濃度1%)とMnCl2(バチルス属宿主の場合は0.1mM、大腸菌宿主の場合は5mM)を添加した。一方、lacプロモーターを発現プラスミド中に保有している組換え菌(No.2)については、培養液濁度A660が0.3〜0.6のときにIPTG(終濃度1mM)を添加しlacプロモーターの誘導を行った。その際、MnCl2(5mM)も併せて添加した。
<本培養用培地(LB培地)>
Bacto Yeast Extract(Becton, Dickinson and Company製) 0.5%
Bacto Tryptone(Becton, Dickinson and Company製) 1%
NaCl 0.5%
ところで、OXDCはその分子内にマンガンを含むことから、oxdc遺伝子組換え菌を培養してOXDCを産生させる際、培地中にマンガンを添加する必要がある。そこで、amyプロモーターとoxdc遺伝子の連結断片が挿入された発現プラスミドベクターを保有する組換え菌において、OXDC生産性の向上の観点から最適な添加マンガン濃度も検討した。
9.組換え菌のOXDC生産性
oxdc遺伝子組換え菌No.1〜6では菌体内にOXDCが生産される。条件によって、可溶性のOXDCのみ、不溶性(封入体)のOXDCのみ、或いは可溶性のOXDCと不溶性(封入体)の両者、が生産されることになる。OXDC生産性を調べるために、培養後の菌体を集菌し、破砕することで菌体内のOXDCを回収した。実際には、培養後の菌体を遠心分離により培養液から回収した後、培地成分を除去するために適量の緩衝液で洗浄した。その後、得られた組換え菌体にガラスビーズと適量の緩衝液を添加し、マルチビーズショッカー(安井器械 株式会社)により菌体破砕を行った(60秒間運転・30秒間停止のサイクルで600秒間。回転数は2000rpm)。OXDCは、可溶性として生産された場合は菌体破砕後の上清に、不溶性として生産された場合は菌体破砕後の沈殿中に含まれる。そこで、菌体破砕上清中あるいは沈殿中のOXDCを以下の方法により測定し、各組換え菌の生産性を求めた。
Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies製)を使用することで、菌体破砕後上清あるいは菌体破砕後沈殿中のOXDC濃度を確認した(図11)。目的とするサンプル(可溶性、不溶性問わず)を付属の処理液を添加して熱処理した後、ゲルを充填した付属のチップへと供することで、ピークとしてタンパク質が検出される。ピークの大きさはタンパク濃度に比例するので、内部標準物質として適当な濃度のBSA(ウシ血清アルブミン)をサンプルに添加することで、サンプル中のタンパク質濃度が算出できる。本方法を使用し、菌体破砕後のOXDCの濃度を測定した。
また、定性的な生産性確認のため、OXDCの活性も測定した。OXDCの活性測定は次の原理による測定法で行った(図12)。シュウ酸存在下でOXDCを作用させると、シュウ酸が分解されてギ酸が生成する。生成したギ酸を、NADを補酵素としてギ酸脱水素酵素で分解し、その反応の際に生じるNADHの生成量を、NADH特異的な吸収波長A340にて測定し、活性値へと換算する。
ところで、OXDCは可溶性、又は不溶性の封入体として生産される。そのため、不溶性の封入体として生産された場合は直接測定することはできず、以下に示すように、測定前の処理として可溶化・リフォールディングの工程が必要となる。尚、可溶性として生産された場合は菌体破砕上清をそのまま活性測定系へと供すればよい。
まず、封入体OXDCの可溶化は1M塩酸グアニジンにて行った。詳しくは、回収した菌体破砕後の沈殿(封入体OXDCが含まれる)に、適量の1M塩酸グアニジン溶液を添加し、よく懸濁させた。これにより、溶液中へと封入体OXDCは可溶化される。次いで、可溶化OXDCを含む1M塩酸グアニジン溶液を緩衝液で5倍に希釈した。この希釈工程により、OXDCはリフォールディングされ、活性体としての構造をとるようになる。このように可溶化・リフォールディング処理を行ったOXDCサンプルを用いて活性測定を行った。尚、可溶化・リフォールディング効率が毎回一定ではなく、また、可溶性、不溶性の割合が必ずしも一定ではないことから、サンプル中のOXDC活性を正確に評価することは難しいと考えられた。そこで、上記Agilent 2100 Bioanalyzerを用いた定量的な方法を併用し、各組換え菌の生産性を検討することにした。
10.OXDC生産性の比較
各組換え菌の生産性を測定した結果を図13に示す。バチルス・サチルス 168株を宿主として、amyプロモーター(又は変異型amyプロモーター)下流にoxdc遺伝子を連結した発現プラスミドベクターを保有するoxdc遺伝子組換え菌(組換え菌No.1、3、4)はいずれも極めて高いOXDC生産性を示した(バチルス・サチルス 168株野生株No.7の3,250〜5,425倍、既報の組換え大腸菌No.8の19.3〜36.9倍)。
ここで、菌体内へと目的物を生産する組換え菌の場合、非常に高い生産性を得ることは一般に困難である。例えば、大腸菌を宿主とした場合、1g/Lを超える生産性を達成することは極めて難しいといわれている。このことを考慮すると、今回の組換え菌の生産性は、菌体内へと目的物を生産する組換え菌としては極めて高いと評価できる。特に、組換え菌No.1、3、4の生産性は驚異的であり(No.1、No.4では1g/L以上。No.3に至っては実に2g/L以上)特筆に値する。組換え菌No.1、3、4が極めて高い生産性を示したことはまた、amyプロモーターとoxdc遺伝子の組み合わせを菌体内で発現させることがOXDC生産に非常に有効であることも意味する。
一方、大腸菌を宿主とし、amyプロモーター(又は変異型amyプロモーター)下流にoxdc遺伝子を連結した発現プラスミドベクターを保有するoxdc遺伝子組換え菌(組換え菌No.5、6)も非常に高い生産性を示した(バチルス・サチルス 168株野生株No.7の495〜900倍、既報の大腸菌No.8の3.7〜6.3倍)。その生産性はlacプロモーターを使用した組換え菌No.2の生産性を凌駕するものであった。
以上の結果より、宿主の如何に拘わらず、OXDCを高生産するためのプロモーターとしてバチルス由来のamyプロモーターが有効であることが示された。
一方、組換え菌No.1と組換え菌No.3の間、或いは組換え菌No.5と組換え菌No.6の間で生産性を比較すれば、野生型amyプロモーターを使用した場合よりも変異型amyプロモーターを使用した場合の方がoxdc生産性の高いことがわかる。このことから、変異型プロモーターを使用することが生産性の向上に有効であるといえる。
また、組換え菌No.3の生産性と組換え菌No.4の生産性との比較より、oxdc遺伝子の下流にyvrL遺伝子が存在することによって生産性が低下するものの、依然として高い生産性が得られることがわかる。
また、培地中のマンガン濃度と生産性との関係を検討した結果、宿主が大腸菌である場合(組換え菌No.5)は培地中のマンガン濃度が1〜5mMのときにOXDCの非常に高い生産性が認められ、5mMのときにOXDC生産性が最大になった(図14)。一方、宿主がバチルス・サチルス 168株の場合(組換え菌No.1)ではマンガン濃度0.1〜1.0mMにおいてOXDCの非常に高い生産性が認められ、マンガン濃度1.0mMでOXDC生産性が最大になった(図15)。
本発明は微生物由来OXDCを高生産するために利用される。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (18)

  1. バチルス(Bacillus)属のα−アミラーゼプロモーターと、その制御下に配置された微生物由来シュウ酸脱炭酸酵素遺伝子とを含む、組換え発現プラスミドベクター。
  2. α−アミラーゼプロモーターがバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来のプロモーターである、請求項1に記載の組換え発現プラスミドベクター。
  3. α−アミラーゼプロモーターが、配列番号2〜配列番号4のいずれかに示すDNA配列を有する、請求項1に記載の組換え発現プラスミドベクター。
  4. 微生物がバチルス属細菌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクター。
  5. 微生物がバチルス・サチルス(Bacillus subtilis)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクター。
  6. 微生物がバチルス・サチルス168株である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクター。
  7. 微生物由来シュウ酸脱炭酸酵素遺伝子が、配列番号1に示すDNA配列を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクター。
  8. 微生物由来シュウ酸脱炭酸酵素遺伝子の下流にyvrL遺伝子を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクター。
  9. yvrL遺伝子が、配列番号5に示すDNA配列からなる、請求項8に記載の組換え発現プラスミドベクター。
  10. 配列番号16に示す配列のDNA断片を含む、請求項8に記載の組換え発現プラスミドベクター。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクターで宿主細菌を形質転換することを特徴とする、シュウ酸脱炭酸酵素生産菌の調製方法。
  12. 宿主細菌が大腸菌(Escherichia coli)又はバチルス属細菌である、請求項11に記載の調製方法。
  13. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクターで大腸菌又はバチルス属細菌を形質転換して得られる組換え菌。
  14. バチルス属細菌がバチルス・サチルスである、請求項13に記載の組換え菌。
  15. バチルス属細菌がバチルス・サチルス168株である、請求項13に記載の組換え菌。
  16. 請求項13〜15のいずれか一項に記載の組換え菌を培養するステップ、及び
    産生されたシュウ酸脱炭酸酵素を回収するステップ、
    を含む、組換えシュウ酸脱炭酸酵素の生産方法。
  17. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクターで大腸菌を形質転換して得られる組換え菌を、マンガン濃度が1mM〜5mMの培地中で培養するステップ、及び
    産生されたシュウ酸脱炭酸酵素を回収するステップ、
    を含む、組換えシュウ酸脱炭酸酵素の生産方法。
  18. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の組換え発現プラスミドベクターでバチルス属細菌を形質転換して得られる組換え菌を、マンガン濃度が0.1mM〜1mMの培地中で培養するステップ、及び
    産生されたシュウ酸脱炭酸酵素を回収するステップ、
    を含む、組換えシュウ酸脱炭酸酵素の生産方法。
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