JPWO2009084132A1 - 回転電動機の軸受装置 - Google Patents

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Abstract

電流が供給されるコイル22が設けられたステータ20と、ステータ20の内部を回転しロータマグネット32を有するロータ30と、ロータ30の内部に設けられたネジ孔31aと螺合するネジ部を有するモータシャフト33と、モータシャフト33の軸受41を有し熱可塑性樹脂により成型された軸受支持部材40と、軸受支持部材40を収納し熱可塑性樹脂により成型された軸受側ケース50とを備えた回転電動機1の軸受装置において、軸受側ケース50及び軸受支持部材40に架設させてインサートナット46をアウトサート成形により一体化した。

Description

この発明は、回転電動機の軸受装置に関し、特に軸受装置の固定構造に関するものである。
従来、回転電動機により軸を駆動するものとして、例えば特許文献1または特許文献2に記載されたものがある。この種の回転電動機の軸受装置の一例を図4及び図5に示す。図4は従来の回転電動機の軸受装置の構成を示す図であり、図5は軸受支持部材の固定構造を示す拡大図である。まず、軸受側ケース50にタッピングネジ90の外径よりも小さい下穴91、軸受支持部材40及び基板47にはタッピングネジ90を挿入可能なネジ通し穴92,93を形成しておく。次に、このネジ通し穴92,93にタッピングネジ90を通すと共に、下穴91にタッピングネジ90をねじ込むことにより、軸受側ケース50に軸受支持部材40及び基板47を固定している。
特開2005−253138号公報 特開昭49−39704号公報
従来の回転電動機の軸受装置は以上のように構成されているため、軸受支持部材が軸受側ケースに対してタッピングネジの軸力により固定されており、高温環境下で軸受支持部材及び軸受側ケースを形成する樹脂にクリープ現象が発生した場合に、タッピングネジ周囲の樹脂やネジ通し穴周囲の樹脂がへたり、軸受支持部材の固定強度が大幅に低下するという課題があった。さらに、軸受支持部材の固定強度が低下した状態で、モータの回転や外部振動による荷重が軸受支持部材の軸受に入力されると、軸受支持部材ががたついて摩耗が生じ、この摩耗が促進されるとロータの振動が加速され、各部の破損やモータ動作不能に至るという課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、高温環境下においても軸受支持部材の固定強度を確保することができる回転電動機の軸受装置を得ることを目的とする。
この発明に係る回転電動機の軸受装置は、電流が供給されるコイルが設けられた固定子と、前記固定子の内部を回転し磁石を有する回転子と、前記回転子の内部に設けられたネジ穴と螺合するネジ部を有する出力軸と、前記出力軸の軸受を有し熱可塑性樹脂により成型された軸受支持部材と、前記軸受支持部材を収納し熱可塑性樹脂により成型されたケースとを備えた回転電動機の軸受装置において、前記ケース及び前記軸受支持部材に架設させてインサートナットをアウトサート成形により一体化したものである。
この発明によれば、ケース及び前記軸受支持部材に架設させてインサートナットをアウトサート成形により一体化したので、軸受支持部材とケースとの結合強度が増し、高温環境下においても軸受支持部材の固定強度が低下することがない。さらに、ロータの回転や振動により軸受部に径方向の荷重がかかった場合にも、軸受支持部材ががたつくことがなく、回転電動機の耐震性を向上させることができる。
この発明の実施の形態1に係る回転電動機の軸受装置の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電動機の軸受装置の固定構造を示す拡大図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電動機の軸受装置のインサートナットの構造及び組み付け状態を示す図である。 従来の回転電動機の軸受装置の構成を示す図である。 従来の軸受支持部材の固定構造を示す拡大図である。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための最良の形態について添付した図に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る回転電動機の軸受装置の構成を示す断面図であり、図2はこの発明の実施の形態1に係る回転電動機の軸受装置の固定構造を示す拡大図である。
この実施の形態1では、例えば排気ガスの再循環系を構成するためのEGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブ装置に用いる回転電動機の軸受装置を例に説明する。回転電動機であるモータ1は、EGRバルブ装置において排気ガス通路を開閉するバルブの駆動手段(トルク発生源)である。このモータ(回転電動機)1は、モータ側ケース10、ステータ(固定子)20、ロータ(回転子)30、軸受支持部材40、軸受側ケース(ケース)50とを備えている。
モータ側ケース10は、ステータ20及びロータ30を内蔵するケースであり、一端部は軸受側ケース50と嵌合する開口部11、他端部には後述するバルブシャフトの回り止め手段12が設けられている。ステータ20は、ロータ30の外周部に取り付けられるステータコア21と、ステータコア21の軸方向両側に配設されるコイル22を備えている。ロータ30は、ステータ20の内側に配置され、モータシャフト(出力軸)33の外周面に同軸状に固定された円筒状のロータ本体31と、ロータ本体31の外周に同軸状に固定された円筒状のロータマグネット(磁石)32を備えている。モータシャフト33は、外周面にネジ部を有し、このネジ部はロータ本体31の軸心部に設けたネジ孔31aに螺合する。また、モータシャフト33のバルブ側端部には、円周上略等間隔に、かつ軸線と平行して溝34が設けられている。
軸受支持部材40は、ロータ30の軸部30aを支持する軸受41、軸受41の近傍に設けられた樹脂プレート42、モータシャフト33の上部に設けられてモータシャフト33の軸方向の直動に伴って軸方向に移動するセンサシャフト43及びセンサシャフト43の位置を検出することによりバルブの開度を検出する位置検出センサ44が一体化部品として構成されている。軸受41は、軸受支持部材40にインサート成形された円筒状のメタルブッシュなどのすべり軸受である。樹脂プレート42は、軸受41に対してロータ30の軸部30aの挿入方向上側に嵌挿されている。樹脂プレート42でロータ30の軸部30aを係止することにより、ロータ30の軸部30aを軸受41に貫通させることができる。また、センサシャフト43と軸受側ケース50の間には、センサシャフト43をモータシャフト33側に付勢するスプリング45が設けられている。
軸受支持部材40と軸受側ケース50はそれぞれ熱可塑性樹脂で形成されており、金属材料で形成されたインサートナット46に熱を加えながら、該インサートナット46を各部材に架設するようにアウトサート成形する。さらに、固定された軸受支持部材40上に、位置検出センサ44などのリード線を接続する基板47を配置して、ネジ48でインサートナット46にネジ止めする。
上述の構成を有するモータ1は、軸受側ケース50内の給電回路(図示せず)を介して外部からの信号に基づいてコイル22に通電すると、この通電により発生する磁界がロータマグネット32に作用してロータ本体31が回転する。このロータ本体31の回転によって、ネジ孔31aに螺合するモータシャフト33に回転力が加えられるが、モータシャフト33のバルブ側端部に設けられた溝34に回り止め手段12が係合しているため、モータシャフト33は回転することなく軸方向に直線移動する。モータシャフト33の軸方向の直動に伴って、バルブ(図示せず)の開閉動作が行われる。
次に、インサートナットの詳細及びインサートナットの組み付け方法の詳細について説明する。図3は、この発明の実施の形態1に係る回転電動機の軸受装置のインサートナットの構造及び組み付け状態を示す図である。インサートナット46は略筒形状に形成され、外周一端部に所定幅を有する環状の先端部46aを有すると共に、この先端部46aと外周他端部との間に所定幅を有する環状の第1のローレット部46b及び第2のローレット部46cが所定間隔離間して形成されている。さらに、先端部46aと第1のローレット部46bの間、及び、第1のローレット部46bと第2のローレット部46cの間には、それぞれ所定幅の環状の溝部46d,46eが形成されている。
第1のローレット部46b及び第2のローレット部46cには、インサートナット46の軸方向に対して傾斜する方向に延びる複数のローレットが全周に渡り形成されている。第1のローレット部46bのローレットと第2のローレット部46cのローレットは互いに異なる方向、すなわち溝部46eを中心として放射状に延びるように構成されている。インサートナット46に第1のローレット部46b及び第2のローレット部46cを設けることにより、インサートナット46を軸受側ケース50及び軸受支持部材40に強固に固着させることができる。さらに、第1のローレット部46bのローレットと第2のローレット部46cのローレットを互いに異なる方向に延びるように設けることにより、インサートナット46に左右いずれの方向の回転力が加えられても回転することがなく、軸受支持部材40及び軸受側ケース50から抜け落ちることを防止することができる。
軸受支持部材40は孔部40a、軸受側ケース50は凹部50aを有している。孔部40a及び凹部50aの内径は、インサートナット46の外径よりも小さく構成されている。この孔部40a及び凹部50aに対して、インサートナット46をはんだごてなどを用いて加熱しながら挿入する。はんだごてからインサートナット46に伝達された熱は熱可塑性樹脂からなる軸受側ケース50及び軸受支持部材40を溶融させる。インサートナット46の周囲で溶融した樹脂は、インサートナット46の第1のローレット部46b及び第2のローレット部46cに形成されたローレットの隙間や溝部46d,46eに流入する。
インサートナット46の加熱をやめ、軸受側ケース50及び軸受支持部材40を熱変形温度以下まで冷却すると、インサートナット46の第1のローレット部46b及び第2のローレット部46cのローレットの隙間や溝部46d,46eに流入した樹脂が固着し、インサートナット46が孔部40a及び凹部50aに架設した状態で、一体に固定される。インサートナット46の内周面にはネジが切られているため、インサートナット46をアウトサート成形した軸受支持部材40上に基板47を配置してネジ48によりネジ止めすることができる。このように、インサートナット46を軸受側ケース50及び軸受支持部材40に対してアウトサート成形することにより、軸受側ケース50と軸受支持部材40を一体化して固定すると共に、そのインサートナット46を利用して基板47をネジ止め固定することができる。
さらに、基板47と接する軸受支持部材40の外表面の孔部40a縁部に円周状のざぐり溝40bが設けられているので、組み付け時に溶融した余分な樹脂をこのざぐり溝40bに逃がすことができ、樹脂の流動が抑制され、溶融後に固化した樹脂が軸受支持部材40の外表面及びインサートナット46の第2のローレット部46c端面よりも突出するのを抑制することができる。
なお、インサートナット46を加熱するはんだごてのこて先温度は320℃程度が望ましく、350℃を超えると軸受側ケース50及び軸受支持部材40を形成する樹脂が破損する恐れがある。加熱する際の温度は、軸受側ケース50及び軸受支持部材40を形成する熱可塑性樹脂の種類により適宜調整可能である。また、アウトサート成形方法として、インサートナット46に超音波を加えて微振動させながら挿入する方法も挙げられるが、この発明では内蔵する位置検出センサ44が振動により損傷する恐れがあるため、熱的なアウトサート成形方法を用いている。内蔵するセンサなどが損傷する恐れのないアウトサート成形方法であれば、適宜変更可能である。
以上のように、この実施の形態1によれば、軸受支持部材と軸受側ケースに対してインサートナットが架設するようにアウトサート成形し、軸受支持部材、軸受側ケース及びインサートナットを一体化するように構成したので、軸受支持部材と軸受側ケースとの結合強度を向上させることができる。これにより、軸受支持部材と軸受側ケースとの結合が高温環境下でも緩まず、さらにロータの回転や振動により軸受に径方向の荷重がかかった場合にも軸受支持部材ががたつくことがないので、モータの耐震性を向上させることができる。さらに、軸受支持部材のがたつきが抑制されるので、軸受支持部材に位置検出センサを取り付けて一体化部品とすることが可能となり、モータシャフトの軸方向の寸法を縮小すると共に、組み付け工程を削減することができる。
また、この実施の形態1によれば、インサートナットの内周面にネジが切ってあるので、インサートナットを利用して基板をネジ止め固定することができる。
また、この実施の形態1によれば、軸受支持部材の外表面であり、インサートナットを挿入する孔部の縁部に円周状のざぐり溝を設けるように構成したので、インサートナットを熱的にアウトサート成形する際に溶融した樹脂がインサートナット端面から突出して固着するのを防止し、軸受支持部材上に配設する基板の座面を安定させることができる。
また、この実施の形態1によれば、インサートナットのローレット部に設けるローレットをインサートナットの軸方向に対して傾斜する方向に設けるように構成したので、インサートナットが軸受支持部材及び軸受側ケースに対して強固に固定される。
また、この実施の形態1によれば、第1のローレット部と第2のローレット部に設けるローレットがそれぞれ異なる方向に延びるように構成したので、インサートナットに左右いずれの方向の回転力が加えられても回転することがなく、軸受支持部材及び軸受側ケースから抜けるのを防止することができる。
また、この実施の形態1によれば、軸受支持部材に位置検出センサを取り付けて一体化部品としたので、部品点数を削減すると共に、組み付け工程を簡略化することができる。
また、この実施の形態1によれば、インサートナットを加熱してアウトサート成形するように構成したので、位置検出センサ周辺に振動を加えることなくアウトサート成形することができ、位置検出センサを損傷させることがない。
以上のように、この発明に係る回転電動機の軸受装置は、ケース及び前記軸受支持部材に架設させてインサートナットをアウトサート成形により一体化するように構成したので、軸受支持部材とケースとの結合強度が増し、高温環境下においても軸受支持部材の固定強度が低下することがない。さらに、ロータの回転や振動により軸受部に径方向の荷重がかかった場合にも、軸受支持部材ががたつくことがなく、回転電動機の耐震性を向上させることができるので、EGRバルブ装置に用いる回転電動機の軸受装置などに用いるのに適している。

Claims (7)

  1. 電流が供給されるコイルが設けられた固定子と、前記固定子の内部を回転し磁石を有する回転子と、前記回転子の内部に設けられたネジ穴と螺合するネジ部を有する出力軸と、前記出力軸の軸受を有し熱可塑性樹脂により成型された軸受支持部材と、前記軸受支持部材を収納し熱可塑性樹脂により成型されたケースとを備えた回転電動機の軸受装置において、
    前記ケース及び前記軸受支持部材に架設させてインサートナットをアウトサート成形により一体化したことを特徴とする回転電動機の軸受装置。
  2. インサートナットは、内周面に雌ネジまたは雄ネジを有していることを特徴とする請求項1記載の回転電動機の軸受装置。
  3. 軸受支持部材は、インサートナットを挿入する孔部の縁部にざぐり溝を有していることを特徴とする請求項1記載の回転電動機の軸受装置。
  4. インサートナットは、挿入方向に対して傾斜する方向に延びるローレットを有していることを特徴とする請求項1記載の回転電動機の軸受装置。
  5. インサートナットは、アウトサート成形をした際に軸受支持部材側に位置する第1のローレット部とケース側に位置する第2のローレット部を有し、前記第1のローレット部に形成されたローレットと前記第2のローレット部に形成されたローレットは異なる方向に傾斜していることを特徴とする請求項4記載の回転電動機の軸受装置。
  6. 出力軸の軸方向の位置を検出する位置検出センサを備え、
    前記位置検出センサは、軸受支持部材に一体に固定されたことを特徴とする請求項1記載の回転電動機の軸受装置。
  7. アウトサート成形は、インサートナットを加熱してケース及び軸受支持部材を形成する熱可塑性樹脂を溶融させて圧入することを特徴とする請求項6記載の回転電動機の軸受装置。
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