JPWO2009066700A1 - 製紙用シュープレスベルト - Google Patents
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Abstract
Description
図2(特許文献2に記載)のものは、走行方向糸12と幅方向糸13からなる基布11に、ポリウレタン樹脂層14を設けたシュープレスベルトであって、そのフェルト側表面に排水溝16の溝底17が断面U字形を形成しているものである。断面をU字形とすることによって、シュープレスの脱水性(搾水性)と強度持続性のよいベルトを提供するもので、排水溝のランド部の端部は面取りされ、溝幅が0.5〜4mm、深さが0.5〜5mm、隣接する排水溝との間隔が1〜4mmで構成されている。特許文献3には、溝底部を湾曲させたものの他、溝の側壁が外側に向けて湾曲したものも示されている。
このような不連続溝では、溝がロングニッププレスシューに完全に入ったときに、溝内の水に最大圧力が形成されるから、溝がその後プレスシューを脱したときに溝から水が噴出して圧力が急激に降下するように作用する。したがって、このような溝形状を有するシュープレスベルトでは、300〜800m/minの比較的低速度で操業される製紙機械において、搾水性が良くなるとされている。
前記不連続溝の走行方向(MD方向)の端部の少なくとも一方が半円弧形状である、製紙用シュープレスベルト。
31,41:切削刃(ドリル)の溝部
32:ドリルヘッド
32A:メインチップ刃
33:サブチップ刃
42:メインチップ
50,60,70,75,80,85:ベルト
51,61,71,76,81:不連続溝
52,62,63:端部
53:CMD方向ランド部
54:MD方向ランド部
82,87:溝底
S:試験片
CH:クランプハンド
PR:プレスロール
PS:プレスシュー
B:ベルト本体
N:ノズル
W:水流
Ft:トップ側フェルト
Fb:ボトム側フェルト
WS:湿紙シート
図4と図5は、本発明の製紙用シュープレスベルトの排水溝を形成(切削)するための切削刃(ドリル)の概略図である。
引続き、ベルトMD方向にランド(溝が形成されていない部分)長さまでベルトを移動した後、再び上記の溝切削を繰返す。そして同じ工程を繰り返してベルト周長すべてを切削する。切削刃(ドリル)は必要本数をベルトのCMD方向に沿って多列に設置することで、一回の切削動作によってベルト幅方向(CMD方向)に複数の不連続溝を形成できる。
なお、不連続溝とは、MD方向に溝形成のないランド部と、溝形成のある溝底部と、ランド部から溝底部へ、および溝底部からランド部へ至る境界部を有するものをいう。
なお、これとは逆にMD方向先端部を直角に形成し、後端部を半円弧形状にしてもよい。またはこれらをランダムに形成してもよい。
両端を半円弧状にするか、一方のみを半円弧状にするかはシュープレスベルトの湿紙搾水性と、クラックや磨耗の発生やその程度によって適宜選択するとよい。
図9のような不連続溝形状71では溝の蓄水容積が大きく、しかもプレスシュー内では閉鎖された溝に蓄積された水量に最大圧力が発生するから、プレス出口で蓄水が噴出し易くなってくるが、MD方向端部の角部でのクラックや欠損が発生する場合がある。一方、図10のベルト75のような不連続溝形状76では、溝の蓄水容積が小さくなる反面、MD方向端部でのクラックや欠損を抑制することができる。したがって何れの形状を採用するかはベルトの湿紙搾水性と、クラックや磨耗の発生やその程度によって適宜選択するとよい。
本発明の不連続溝のMD方向溝長さは、前述のようにプレスシューの幅(シューのMD方向長さ)よりも短い方が、溝がロングニッププレスシュー内に完全に入り、閉鎖された溝に蓄積された水に、より強い最大圧力が発生するので好ましい。製紙機械のプレスパート用のシュープレスでは、プレスシューの幅は多種多様であるが、おおよそ50mm〜400mmの範囲にあるので、本発明の不連続溝のMD方向溝長さは、プレスシューの幅(シューのMD方向長さ)より短い40mm〜390mmの範囲内で設定することができる。
プレスシューの幅の同等以上、2倍以下の溝長さとして、50mm〜800mmの範囲内で設定することができる。
製紙機械の操業速度が800〜1000m/minの比較的中速度で操業される場合、ロングニッププレスシューをベルトの不連続溝が通過する時間が、低速度で通過する時間より短くなってくる。そこで、不連続溝のMD方向長さがプレスシューの幅の同等以上、2倍以下のものは、溝がロングニッププレスシュー内で完全に閉鎖された溝空間を作らないが、水の粘性効果によるダイラタンシー(レイノルズ現象)によって、蓄積された水にある程度強い圧力が作用するから、湿紙の搾水性はある程度保つことができる。
工程2:基体の上から液状ポリウレタンを配置し、硬化させることにより基体のシュー側に樹脂層(ポリウレタン層)を形成する。
工程3:上記基体を反転してから、引続き基体の上から液状ポリウレタンを配置し、硬化させることにより基体のフェルト側に樹脂層(ポリウレタン層)を形成して、基体の表裏に樹脂層を有するシュープレスベルトを得る。
工程4:溝形成装置にドリルを複数本配置し、静止している上記シュープレスベルトのフェルト側表面にドリル先端を当接させ、フェルト表面に所定の不連続溝を形成する。
従来の連続溝が形成されたシュープレスベルトについて、具体的に以下に示す工程により、比較例3を作成した。
工程1〜工程3:前記工程と同じ。
工程4:溝形成装置にチップソーを複数本配置し、MD方向に移動している上記シュープレスベルトのフェルト側表面にチップソー刃の先端を当接させ、フェルト表面に所定の連続溝を形成する。
(1) 溝幅・・・1.2mm一定。
(2) 溝深さ・・溝深さが深い部分で1.5mmになること。
(3) CMD方向に隣接する排水溝とのランド部の間隔・・2.0mm一定。
(4) MD方向に隣接する排水溝とのランド部の間隔・・5.0mm一定
(5) 不連続溝のMD方向長さ・・図14の本テスト装置におけるプレスシューPSのシューの幅(シューのMD方向長さ)50mmに対して、短い40mmのものと、同等の50mmのもの、および長い90mmのものを作製した。
形成された不連続溝の形態を表1に記載した。
製造されたシュープレスベルトについては、以下の試験により性能を評価し、機能順を付けて総合評価する。
図13に示す装置を用いる。この装置は、実験片Sの両端が、クランプハンドCH、CHにより挟持され、クランプハンドCH、CHが、連動して左右方向に往復移動可能に構成されている。なお、この際、実験片Sに掛けられる張力は3kg/cm、往復速度は20cm/秒である。そして、実験片Sは、プレスロールRRと、プレスシューPSとにより加圧される。この際、プレスシューPSがプレスロールRR方向に移動することにより、実験片Sは加圧される。なお、この圧力は50kg/cm2である。この装置により、不連続溝のMD方向端部またはその近辺にクラックが生じるまでの往復回数を測定する。なお、実験片Sの寸法はMD方向400mm(クランプハンドCH、CH間の長さに等しい)、CMD方向50mmである。実験片における評価面(フェルト側面)は、プレスロールRR側に向けられているものである。
評価点A:クラック発生までの回数(単位;万回)が30万回以上であったもの。
評価点B:20万回〜30万回の範囲のもの。
評価点C:10万回〜20万回の範囲のもの。
評価点D:10万回以下であったもの。
図14に示す装置を使用して湿紙搾水テストを行う。本テスト装置は、プレスロールPRと対向する位置にベルト本体Bを配置するとともに、該ベルト本体Bをその内周側から前記プレスロールPRに圧迫するようにプレスシューPS(シューの幅;50mm)を配置する。また、前記プレスロールPRとベルト本体Bとの間には、ナイロン6による11dtexの短繊維を、坪量が1500g/m2となるようニードルパンチ法にて基布に植毛してなるトップ側フェルトとボトム側フェルトFを配置してなる。いま、ベルト本体Bを、プレスロールPRとプレスシューPSとのニップ圧が1000kN/mの下で800m/分の走行速度で走行させる。そして、前記プレスロールPR上にその上方に設置したノズルNから3kg/cm2の圧力で15リットル/分で水流Wを噴射する。このときトップロールは水流Wの膜に覆われるとともに、該水流Wはトップ側フェルトFt及びボトム側フェルトFbに含浸された後、ベルト本体Bにも供給される。このような状態において、前記ボトム側フェルトFb上に、水分が70%含有されている湿紙シートWSを載置し、ニップを通過させ、通過後の湿紙シートWSの水分を測定する。
評価点A:湿紙水分が45%以下であったもの。
評価点B:45%〜49%の範囲のもの。
評価点C:49%〜53%の範囲のもの。
評価点D:53%以上であったもの。
試験結果については、上記各試験のそれぞれの評価点を基に総合評価し、以下の機能順位を付与する。
評価点がすべてAのもの → 順位1位
評価点が1つAで他がBのもの → 順位2位
評価点がすべてBのもの → 順位3位
評価点に1つでもCがあるもの → 順位4位
評価点に1つでもDがあるもの → 順位5位
また、不連続溝のMD方向長さがプレスシューの幅と同等の実施例8では、それと対比できる実施例1に比べて搾水試験の評価が劣るものの、機能順位としては遜色のないものであった。さらに、不連続溝のMD方向長さがプレスシューの幅よりも長い実施例9では、実施例8に比べて搾水試験の評価は更に下がるが、連続溝形状を有する比較例3よりも機能順位としては良好であった。
Claims (5)
- プレスロールとシューとの間に配置され、湿紙からの搾水を受容するフェルトを載置し、前記プレスロールに向かって高圧で押しつけられる製紙用シュープレスベルトであって、フェルト側表面に延設される排水溝が不連続溝であって、
前記不連続溝の走行方向の端部の少なくとも一方が半円弧形状である、製紙用シュープレスベルト。 - 不連続溝が一本の溝内において、溝深さがほぼ同一である、請求項1記載の製紙用シュープレスベルト。
- 不連続溝の溝底が半円弧形状であることを特徴とする、請求項1または2に記載の製紙用シュープレスベルト。
- 不連続溝の走行方向溝長さが、プレスシューの幅より短い、請求項1から3のいずれかに記載の製紙用シュープレスベルト。
- 不連続溝の走行方向溝長さが、プレスシューの幅の同等以上、2倍以下である、請求項1から3のいずれかに記載の製紙用シュープレスベルト。
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