JPWO2009057695A1 - 遺伝子解析による腺腫又はがんの検出方法 - Google Patents

遺伝子解析による腺腫又はがんの検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2009057695A1
JPWO2009057695A1 JP2009539105A JP2009539105A JPWO2009057695A1 JP WO2009057695 A1 JPWO2009057695 A1 JP WO2009057695A1 JP 2009539105 A JP2009539105 A JP 2009539105A JP 2009539105 A JP2009539105 A JP 2009539105A JP WO2009057695 A1 JPWO2009057695 A1 JP WO2009057695A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rna
adenoma
gene
cancer
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009539105A
Other languages
English (en)
Inventor
珠生 明坂
珠生 明坂
長岡 智紀
智紀 長岡
繁 金岡
繁 金岡
吉田 賢一
賢一 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hamamatsu University School of Medicine NUC
Olympus Corp
Original Assignee
Hamamatsu University School of Medicine NUC
Olympus Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hamamatsu University School of Medicine NUC, Olympus Corp filed Critical Hamamatsu University School of Medicine NUC
Publication of JPWO2009057695A1 publication Critical patent/JPWO2009057695A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6883Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
    • C12Q1/6886Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material for cancer
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/112Disease subtyping, staging or classification
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/158Expression markers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/16Primer sets for multiplex assays

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

本発明においては、容易に採取可能な試料について生物学的マーカーの遺伝子発現解析を行うことにより、腺腫・がんの早期検出を可能にする方法を提供することを課題としている。本発明は、被験者から採取した体液試料又は排泄物試料中に含まれる、少なくとも一のハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を構成する配列の量を測定して、試料中の当該配列の濃度を算出する工程を含む、腺腫・がん検出方法を提供する。

Description

本発明は、遺伝子解析による腺腫又はがんの検出方法に関する。より具体的には、容易に採取可能な試料について生物学的マーカーの遺伝子解析を行うことで、腺腫又はがんの早期検出を可能にする方法に関する。
結腸直腸がんは、日本では死亡原因の第1位、米国ではがんによる死亡原因の第2位である。米国では結腸直腸がんが毎年約130万人で発見され、約5万人が死亡し、死亡原因の第3位となっていて、がん対策が急務である。
大部分の直腸結腸がんは、はじめは小さな良性腺腫から、悪性腫瘍へと数十年かけてゆっくりと進行するため、早期に発見されれば外科的処置が有効であり、完治可能となる。
良性腺腫であれば、低侵襲な内視鏡的切除も可能であり、悪性腫瘍であっても早期であれば内視鏡的切除が可能、さらには進行がんでも外科的処置が多くの場合有効である。この緩やかな進行のために、予防および介入の機会が多くある。したがって、結腸直腸腺腫・腫瘍は早期の検出、除去によって罹患率と死亡率を下げることができる。
しかしながら現在行われる腺腫・がんの検出方法、例えば、結腸・直腸腺腫・腫瘍のスクリーニング検査法(便潜血検査、注腸X線造影検査、S状結腸内視鏡検査、全大腸内視鏡検査等)には様々な問題が存在している。
便潜血検査は、便中に含まれる血液を検査し、流血している腺腫・腫瘍を間接的に検出するものである。しかし、早期腺腫・腫瘍の場合には偽陰性となりやすいため、感度は十分とはいえない。また、腺腫・腫瘍でない腸管出血(痔など)があった場合に偽陽性となってしまうため、特異度が高いとはいえない。
注腸造影検査は、下剤で前処置を十分行った後、肛門からバリウムと空気を注入し、X線写真をとるものである。この検査方法では、がんの正確な位置や大きさ、腸の狭さの程度などがわかるため、形の大きな進行がんは検出できるものの、形の小さな早期がんや平らな扁平がんは検出しにくいという欠点がある。
S状結腸内視鏡検査、全大腸内視鏡検査は、下剤で前処置を十分行った後、ビデオスコープで腸内観察する方法である、この検査方法での下剤による前処置には、2〜3リットルの下剤を服用することが必要であるため、被検者に辛い負担となる。さらに、検査中、穿孔が発生する場合があり、そのため本方法はスクリーニング検査として不適とされている。
このように、上記のような現在の検査法は腺腫・がんの検診として必要十分な性能を満たしているとは言えない。そこで、侵襲度が低く、感度・特異度の高い検査方法が望まれている。
特許文献1及び非特許文献1は、非アポトーシス性DNAを検出するため、Alu反復領域・アルフォイド反復領域や、p53などのがん関連遺伝子の断片長の差異に基づいて大腸がんを検査する方法を開示する。これらの方法においては、DNAを抽出する必要があるが、断片化されているDNAは回収されにくく、更には断片化されているDNAは増幅されにくいため、結果として検出感度が劣るという問題がある。また、検出できた場合であっても、その断片が、がん由来のものか、または操作中のダメージによる断片化かの区別がつかないという本質的な問題がある。そこで、DNAの断片化を指標としない、大腸がんの新たなマーカーが必要とされた。
特許文献2は内部標準遺伝子の存在下でPCRを行い、検出対象遺伝子および内部標準遺伝子をPCR反応に付すことにより得られる増幅遺伝子を別々に酵素免疫測定法で測定し、両者の信号比を用いることを特徴とする遺伝子の定量方法に関するものである。内部標準遺伝子を用いて補正を行うため、検出対象遺伝子をより定量的かつ正確に検査することが可能であるが、検査に供される全ての試料に別個に添加されるものであり、PCR反応に由来する実験間差の補正は可能であるものの、調製された試料自体の差を補正することは困難である。このため、糞便等のそもそも試料間の差が大きい体液試料又は排泄物試料を用いる場合には、必ずしも信頼性の高い結果が得られにくいという問題がある。
一方、検体として、糞便を用いることにより、侵襲度を抑え、被験者の検査負担を飛躍的に改善することができる。このため、糞便中の核酸を解析することにより腺腫やがんを検出する方法であれば、便潜血検査に換わるスクリーニング方法として普及することが期待できる。
しかしながら、糞便の性質上、検体として用いる場合には、幾つかの問題がある。まず、一般に、糞便中には多種多様な物質が混在しており、がん細胞や病原菌等由来物質の割合は非常に小さい。つまり、ヒト由来細胞の核酸量が糞便量に対して相対的に少なく、核酸抽出も難しいため、場合により検出の感度や精度が不十分である、という問題がある。また、糞便中の夾雑物の中には、核酸分解酵素等の酵素も多く含まれており、糞便中のヒト由来細胞の核酸量や核酸の品質は、採取時からの経過時間・温度などの周辺環境によって上下しやすい、という問題もある。
このような問題を解決するために、種々の方法が開示されている。例えば、(1)患者における結腸癌の存在を診断するための方法であって:(a)患者から得た細胞、組織または体液の試料における複数のCSG(結腸特異的遺伝子)のレベルを測定し;そして(b)CSGの該測定レベルを、コントロール試料におけるCSGのレベルと比較し;コントロール試料におけるCSGレベルよりも、患者におけるCSGレベルが増加している場合には、該患者は結腸癌と関連すると判断する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。該方法は、測定するCSG数、すなわちマーカー数を多くすることにより、結腸癌の検出感度を上げている。また、(2)検査フローチャートとして、試料核酸を定量し、その結果が閾値より大きいかどうかを判断し、閾値より大きい場合にはさらに検査を続行し、閾値より小さい場合には、該試料が採取された被験者は健康であると判断し、以降の検査を行わないとする方法も開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
特表2005−514073号公報 特開平7−303499号公報 特表2002−515591号公報 米国特許出願公開第2004/0259101号明細書 ボイントンら(Boynton et al.) "DNA Integrity as a Potential Marker for Stool-based Detection of Colorectal Cancer", Clinical Chemistry Vol. 49, No. 7, p.1058-1065, 2003
従来の腺腫・がんの検出方法では上述の問題点等があった。斯かる問題点を解決するため、本発明は、容易に採取可能な試料について生物学的マーカーの遺伝子解析を行うことで、腺腫・がんの早期検出を可能にする方法を提供することを目的とする。
特に、上記(1)の方法では、複数のマーカーの定量値の総合判断として定量結果のみを比較しており、試料の測定過程が妥当であったかどうかについては考慮されていない。つまり、測定過程それぞれに関するコントロールを特に置いておらず、測定過程が成功しているかどうかを知る手段については考慮されていなかった。そのため、測定過程に何らかの失敗が生じた場合には、偽陰性・偽陽性が生じることになるという課題が残っていた。また、そもそも血液等の体液を対象とした方法であり、糞便等の夾雑物の多い試料を用いた場合の検査の信頼性については全く考慮されていはいない。
一方、上記(2)の方法では、核酸試料の量的な判断基準しかなく、質的判断は考慮されていない。そのため、核酸の品質が悪い(分解、断片化が生じている)、試薬の品質が悪い等の何らかの質的問題が生じた場合、偽陰性・偽陽性が生じることになるという課題が残っていた。
本発明は、特に糞便試料について生物学的マーカーの遺伝子解析を行い、腺腫・がんの早期検出を可能にする方法において、より信頼性の高い結果を得る方法を提供することを目的とする。
斯かる課題を解決し、上述の目的を達成するため、本発明は下記の構成をとる。
(1)被験者から採取した体液試料又は排泄物試料中に含まれる、少なくとも一のハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を構成する配列の量を測定して、試料中の当該配列の濃度を算出する工程を含む、腺腫又はがんの検出方法。
(2)(i)被験者から採取した体液試料又は排泄物試料を、核酸又は蛋白質の抽出処理にかける工程;及び、(ii)抽出された核酸又は蛋白質の中の、少なくとも一のハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を構成する配列の量を測定して、当該試料中の当該配列の濃度を算出する工程;を含む、腺腫又はがんの検出方法。
(3)前記工程(i)の前に、(a)前記試料を均一化処理にかけ、適宜、0℃以下の温度にて凍結、凍結乾燥、又はアルコール若しくはアルコール溶液で処理する工程;を更に含む、上記(2)に記載の腺腫又はがんの検出方法。
(4)前記工程(i)と(ii)との間に、(b)前記工程(i)で抽出されるRNA中の、少なくとも一のハウスキーピング遺伝子由来のものをcDNA化する工程;を更に含み、前記工程(ii)において当該cDNAを定量する、上記(2)に記載の腺腫又はがんの検出方法。
(5)前記体液試料が、唾液、喀痰、鼻水、涙液、胃液、胆汁、膵液、汗、脳脊髄液、膿、胸水、心嚢水、乳、膣分泌液、精液、腹水、羊水、リンパ液、又は血液のいずれかであり、前記排泄物試料が、糞便又は尿である、上記(1)又は(2)に記載の腺腫又はがんの検出方法。
(6)前記ハウスキーピング遺伝子が2種類以上であり、それら又はそれらの発現産物を構成する配列の量を複数同時に測定する、上記(1)又は(2)に記載の腺腫又はがんの検出方法。
(7)前記ハウスキーピング遺伝子が、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH:glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)、18S リボソームRNA、28S リボソームRNA、βアクチン、β2ミクログロブリン、ヒポキサンチンホスホリボシル・トランスフェラーゼ1、リボソーム蛋白質ラージP0、ペプチジルプロピル・イソメラーゼA(シクロスポリンA)、チトクロームC、ホスホグリセレート・キナーゼ1、βグルクロニダーゼ、TATAボックス結合因子、トランスフェリン受容体、HLA-A0201重鎖、リボソームタンパク質L19、αチューブリン、βチューブリン、γチューブリン、ATPシンセターゼ、翻訳伸長因子1ガンマ(EEF1G:eukaryotic translation elongation factor 1 gamma)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体(SDHA:succinate dehydrogenase complex)、アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS:aminolevulinic acid synthase 1)、ADP-リボシル化因子6(ADP-ribosylation factor 6)、エンドヌクレアーゼG(ENDOG:endonuclease G)、及びペルオキシソーム形成因子(PEX:peroxisomal biogenesis factor)からなる群より選択される遺伝子である、上記(6)に記載の腺腫又はがんの検出方法。
(8)前記排泄物試料が糞便であり、前記ハウスキーピング遺伝子がβ2ミクログロブリンである上記(1)又は(2)に記載の腺腫又はがんの検出方法。
(9)前記工程(ii)の後に、さらに、(iii)抽出された核酸又は蛋白質の中の、少なくとも一の腫瘍遺伝子又はその発現産物を構成する配列の量を測定して、試料中の当該配列の濃度を算出する工程;及び、(iV)工程(ii)において算出されたハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を構成する配列の濃度に基づき、工程(iii)において算出された腫瘍遺伝子又はその発現産物を構成する配列の濃度を補正する工程;を含む、上記(2)に記載の腺腫又はがんの検出方法。
(10)腺腫又はがんのマーカー遺伝子(以下、標的遺伝子という)を用いて腺腫又はがんを検査する方法であって、下記工程を有する(但し、工程(B)(C)(D)(E)は、工程(D)(E)(B)(C)、工程(B)(D)(C)(E)、工程(B)(D)(E)(C)、工程(D)(B)(E)(C)、又は工程(D)(B)(C)(E)の順に行ってもよい。)ことを特徴とする腺腫又はがんの検査方法:
(A)被験者から採取した糞便中に含まれるRNAを抽出し、RNA溶液として精製する工程;
(B)前記工程(A)において得られたRNA溶液中の標的遺伝子由来RNAの量を測定する工程;
(C)前記工程(B)において得られた標的遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較し、前記被験者が腺腫又はがんに罹患しているか否かを判定する工程;
(D)前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの、精製度、分解度、濃度、及び標準遺伝子由来RNAの量からなる群より選択される1以上を測定する工程;
(E)前記工程(D)において得られた値に基づき、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの信頼性を判断する工程;
(F)前記工程(E)において、前記RNAの信頼性があると判断した場合には、前記工程(C)における判定が信頼できると判断し、前記RNAの信頼性がないと判断した場合には、前記工程(C)における判定が信頼できないと判断する工程。
(11)前記工程(B)、(C)、(D)及び(E)が、工程(D)(E)(B)(C)の順に行うものであり、前記工程(B)が下記工程(B1)であり、前記工程(C)が下記工程(C1)であることを特徴とする前記(10)記載の腺腫又はがんの検査方法:
(B1)前記工程(E)において、前記RNAの信頼性がないと判断した場合には検査を終了し、前記RNAの信頼性があると判断した場合には、前記工程(A)において得られたRNA溶液中の標的遺伝子由来RNAの量を測定する工程;
(C1)前記工程(B1)において得られた標的遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較し、前記被験者が腺腫又はがんに罹患しているか否かを判定する工程。
(12)前記工程(B)、(C)、(D)及び(E)が、工程(B)(D)(E)(C)の順に行うものであり、前記工程(D)が下記工程(D2)であり、前記工程(E)が下記工程(E2)であり、前記工程(C)が下記工程(C2)であることを特徴とする前記(10)記載の腺腫又はがんの検査方法:
(D2)前記工程(B)の後、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの、精製度、分解度、濃度、及び標準遺伝子由来RNAの量からなる群より選択される1以上を測定する工程;
(E2)前記工程(D2)において得られた値に基づき、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの信頼性を判断する工程;
(C2)前記工程(E2)において、前記RNAの信頼性がないと判断した場合には検査を終了し、前記RNAの信頼性があると判断した場合には、前記工程(B)において得られた標的遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較し、前記被験者が腺腫又はがんに罹患しているか否かを判定する工程。
(13)腺腫又はがんのマーカー遺伝子(以下、標的遺伝子という)を用いて腺腫又はがんを検査する方法であって、下記工程を有することを特徴とする腺腫又はがんの検査方法:
(A)被験者から採取した糞便中に含まれるRNAを抽出し、RNA溶液として精製する工程;
(B’)前記工程(A)において得られたRNA溶液中の標的遺伝子由来RNAの量及び標準遺伝子由来RNAの量を測定する工程;
(C’)前記工程(B’)において得られた標的遺伝子由来RNAの量を標準遺伝子由来RNAの量で除した値が、予め設定された閾値よりも大きい場合には前記被験者が腺腫又はがんに罹患していると判定し、予め設定された閾値よりも小さい場合には前記被験者は腺腫又はがんに罹患していないと判定する工程;
(D)前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの、精製度、分解度、濃度、及び標準遺伝子由来RNAの量からなる群より選択される1以上を測定する工程;
(E)前記工程(D)において得られた値に基づき、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの信頼性を判断する工程;
(G’)前記工程(E)において、前記RNAの信頼性があると判断した場合には、前記工程(C’)における判定が信頼できると判断し、前記RNAの信頼性がないと判断した場合には、前記工程(C’)における判定が信頼できないと判断する工程。
(14)RNAの精製度の測定が、前記工程(A)において得られたRNA溶液の、260nmにおける吸光度を230nmにおける吸光度で除した値(260/230nm吸光度比)及び/又は260nmにおける吸光度を280nmにおける吸光度で除した値(260/280nm吸光度比)を測定するものであることを特徴とする前記(10)〜(13)のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
(15)前記260/230nm吸光度比又は前記260/280nm吸光度比が1.0未満又は2.5超である場合に、前記工程(A)において得られたRNAの信頼性がないと判断することを特徴とする前記(14)記載の腺腫又はがんの検査方法。
(16)RNAの分解度の測定が、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの、23SリボソーマルRNAのフラグメント量を16SリボソーマルRNAのフラグメント量で除した値(23S rRNA/16S rRNA比)を測定するものであることを特徴とする前記(10)〜(15)のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
(17)前記23S rRNA/16S rRNA比が1.6未満又は2.5超である場合に、前記工程(A)において得られたRNAの信頼性がないと判断することを特徴とする前記(16)記載の腺腫又はがんの検査方法。
(18)前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの濃度が10ng/μL未満である場合に、前記工程(A)において得られたRNAの信頼性がないと判断することを特徴とする前記(10)〜(17)のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
(19)前記標準遺伝子由来RNAの量が予め設定された閾値よりも少ない場合に、前記工程(A)において得られたRNAの信頼性がないと判断することを特徴とする前記(10)〜(18)のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
(20)前記標的遺伝子由来RNAの量の測定を、前記工程(A)において得られたRNA溶液をノーマライズした後に行うことを特徴とする前記(10)〜(19)のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
(21)前記標的遺伝子由来RNAの量の測定を、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAから逆転写反応により得られたcDNAを鋳型として核酸増幅をすることによって行うことを特徴とする前記(10)〜(19)のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
(22)前記標的遺伝子由来RNAの量の測定を、前記工程(A)において得られたRNA溶液をノーマライズした後に逆転写反応を行い、得られたcDNAを鋳型として核酸増幅をすることによって行うことを特徴とする前記(10)〜(19)のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
(23)前記工程(B’)における標的遺伝子由来RNAの量及び標準遺伝子由来RNAの量の測定を、マルチプレックスPCRを用いて行うことを特徴とする前記(13)記載の腺腫又はがんの検査方法。
(24)前記標準遺伝子が、ハウスキーピング遺伝子又は上皮細胞特異的遺伝子であることを特徴とする前記(10)〜(23)のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
(25)前記上皮細胞特異的遺伝子が、癌胎児抗原遺伝子、細胞接着因子遺伝子、ムチン遺伝子、及びサイトケラチン遺伝子からなる群より選択される遺伝子であることを特徴とする前記(24)記載の腺腫又はがんの検査方法。
(26)前記標的遺伝子が、COX2(Cyclooxygenase 2)、MMP7(matrix metallopeptidase7)、及びSNAILからなる群より選択される遺伝子であることを特徴とする前記(10)〜(25)のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
(27)前記前記標準遺伝子が、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH:glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)、18S リボソームRNA、28S リボソームRNA、βアクチン、β2ミクログロブリン、ヒポキサンチンホスホリボシル・トランスフェラーゼ1、リボソーム蛋白質ラージP0、ペプチジルプロピル・イソメラーゼA(シクロスポリンA)、チトクロームC、ホスホグリセレート・キナーゼ1、β-グルクロニダーゼ、TATAボックス結合因子、トランスフェリン受容体、HLA-A0201重鎖、リボソームタンパク質L19、αチューブリン、βチューブリン、γチューブリン、ATPシンセターゼ、翻訳伸長因子1ガンマ(EEF1G:eukaryotic translation elongation factor 1 gamma)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体(SDHA:succinate dehydrogenase complex)、アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS:aminolevulinic acid synthase 1)、ADP-リボシル化因子6(ADP-ribosylation factor 6)、エンドヌクレアーゼG(ENDOG:endonuclease G)、ペルオキシソーム形成因子(PEX:peroxisomal biogenesis factor)、CEA(Carcinoembryonic antigen)、epithelial cell adhesion molecule(EpCAM)、mutin2(MUC2)、mutin3(MUC3)、mutin4(MUC4)、keratin 7(CK7)、keratin 19(CK19)、及びkeratin 20(CK20)からなる群より選択される遺伝子であることを特徴とする前記(24)記載の腺腫又はがんの検査方法。
本発明の腺腫・がんの検出方法においては、検出において種々の問題が存在する断片化遺伝子を検出対象とするのではなく、腺腫又はがん由来の細胞、並びに正常細胞においてともに(がん特異的遺伝子よりも多く)存在するハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を、腺腫又はがん由来の細胞が特異的に生存していると考えられる試料より抽出し、これを定量するため、従来のがん特異的遺伝子等の検出に比較して、より高感度且つより簡便にがんの検出を行うことが可能になる。
また、本発明の腺腫又はがんの検査方法により、生体試料から抽出・精製した核酸検体(RNA、cDNA、増幅した産物)の品質及び量の確認、並びに使用した試薬、手技、及び工程の確認が、検査途中の段階で行うことが可能となる。このように、検査途中で、核酸検体の状態の良し悪しや検査状態の成否を確認することにより、偽陰性、偽陽性の排除が可能となり、より信頼性の高い検査結果を出すことが可能となった。また、核酸検体の状態を判定しながら検査を行うことにより、検査フローのどの部分が不適当であったかをチェックすることが可能となり、この結果、検査フローの不適切であったところまで容易に戻ることができ、チェックのための無駄な時間とコストを削減できる。
実施例1における正常サンプル(がん細胞株を含むサンプル)と、がんサンプル(がん細胞株を含まないサンプル)についてのリアルタイムPCRの計測結果を示す図である。 実施例2における健常人サンプルと、大腸がんサンプルについてのリアルタイムPCRの計測結果を示す図である。 実施例3における健常人サンプルと、腺腫サンプルと、大腸がんサンプルとについてのリアルタイムPCRの計測結果を示す図である。 実施例5における正常サンプル(がん細胞株を含むサンプル)と、大腸がんサンプル(がん細胞株を含まないサンプル)についてのマルチプレックスリアルタイムPCRの計測結果を示す図である。 実施例6における正常サンプル(健常人サンプル)と、がんサンプルについてのリアルタイムPCRの計測結果を示す図である。 実施例9におけるコントロール群と大腸がん患者群のそれぞれのB2Mコピー数を示す図である。 実施例9におけるコントロール群と各ステージの大腸がん患者群のそれぞれのB2Mコピー数を示す図である。 本発明の腺腫又はがんの検査方法の一態様のフローチャート図である。 本発明の腺腫又はがんの検査方法の一態様のフローチャート図である。 本発明の腺腫又はがんの検査方法の一態様のフローチャート図である。 実施例11におけるCOX2遺伝子由来核酸の検出において、各試料において得られた核酸増幅のシグナルを示した図である。 実施例11におけるGAPDH遺伝子由来核酸の検出において、各試料において得られた核酸増幅のシグナルを示した図である。 実施例11におけるCOX2遺伝子由来核酸及びGAPDH遺伝子由来核酸の検出を、マルチプレックスPCRにより行った場合の、各試料において得られたCOX2遺伝子由来核酸の核酸増幅のシグナルを示した図である。 実施例12におけるIGF−1遺伝子由来核酸の検出において、各試料において得られた核酸増幅のシグナルを示した図である。 実施例12におけるB2M遺伝子由来核酸の検出において、各試料において得られた核酸増幅のシグナルを示した図である。 実施例12におけるIGF−1遺伝子由来核酸及びB2M遺伝子由来核酸の検出を、マルチプレックスPCRにより行った場合の、各試料のIGF−1発現量/B2M発現量比(IGF−1遺伝子由来核酸量をB2M遺伝子由来核酸量で除した値)を示した図である。
本発明の腺腫・がんの検出方法は、被験者から採取した体液試料又は排泄物試料中に含まれる、少なくとも一のハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を構成する配列の量を測定して、試料中の当該配列の濃度を算出する工程を含むものである。ここで、ハウスキーピング遺伝子とは、種や生物を越えてほとんど全ての細胞において、常時ほぼ一定量で発現していて、細胞が生きて行くために必要な基本的機能(例えば細胞の維持、増殖に必要な蛋白質合成等)を担っている遺伝子のことである。
ハウスキーピング遺伝子の例としては、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH:glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)、18S リボソームRNA、28S リボソームRNA、βアクチン、β2ミクログロブリン、ヒポキサンチンホスホリボシル・トランスフェラーゼ1、リボソーム蛋白質ラージP0、ペプチジルプロピル・イソメラーゼA(シクロスポリンA)、チトクロームC、ホスホグリセレート・キナーゼ1、βグルクロニダーゼ、TATAボックス結合因子、トランスフェリン受容体、HLA-A0201重鎖、リボソームタンパク質L19、αチューブリン、βチューブリン、γチューブリン、ATPシンセターゼ、翻訳伸長因子1ガンマ(EEF1G:eukaryotic translation elongation factor 1 gamma)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体(SDHA:succinate dehydrogenase complex)、アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS:aminolevulinic acid synthase 1)、ADP-リボシル化因子6(ADP-ribosylation factor 6)、エンドヌクレアーゼG(ENDOG:endonuclease G)、及びペルオキシソーム形成因子(PEX:peroxisomal biogenesis factor)を挙げることができるが、本発明において使用できるものは、これらには限定されない。
本発明の腺腫・がんの検出方法においては、ハウスキーピング遺伝子を構成する配列の量、即ちDNAを構成するヌクレオチド配列の量を測定することができる。あるいは、ヌクレオチド配列の代わりに、ハウスキーピング遺伝子の発現産物であるmRNAのヌクレオチド配列、又はタンパク質のアミノ酸配列の量を測定することもできる。
次に、このように測定された当該遺伝子又はその発現産物の量を、測定にかけた試料の容量で除し、試料中の当該遺伝子又はその発現産物の濃度を求める。この操作により、複数の試料同士における検出結果の定量的比較を可能にする。
本発明の腺腫・がんの検出方法においては、より具体的には下記の工程:
(i)被験者から採取した体液試料又は排泄物試料を、核酸又は蛋白質の抽出処理にかける工程;及び
(ii)抽出された核酸又は蛋白質の中の、少なくとも一のハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を構成する配列の量を測定して、当該試料中の当該配列の濃度を算出する工程;を含むことができる。
本発明においては核酸又はタンパク質の検出を行うが、そのために上記工程(i)においてはまず、核酸又はタンパク質の抽出処理を行う。本発明において使用する試料は体液試料又は排泄物試料であるため、目的とするハウスキーピング遺伝子又はその発現産物以外の夾雑物が多く存在している。従ってハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を効率的に検出するために、試料を予備的な精製工程にかけることが望ましい。被験者より採取した試料をPBS等の溶液に懸濁し、ホモジナイザー等を使って細胞を溶液中に分散させる。その後これを遠心にかけ、比重の大きな夾雑物を沈殿に、細胞を含む画分を上清として分離する。
この上清を核酸精製又はタンパク質精製にかける。核酸精製及びタンパク質精製の方法としては、当該技術分野において知られる方法を利用し、市販される精製キット等を利用することができる。
本発明においては、上記工程(i)の前に、適宜、
(a)前記試料を均一化処理にかけ、適宜、0℃以下の温度にて凍結、凍結乾燥、又はアルコール若しくはアルコール溶液で処理する工程;を更に含めることが可能である。これらの処理を含めることにより、同一被験者又は異なる被験者より、異なる時期に採取された試料を入手し、その後に同時に腺腫・がんの検出にかけることが可能になる。
工程(a)において使用するアルコール、アルコール溶液としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、及び2−プロパノール、並びにこれらの少なくとも1種を含む溶液を例としてあげることができる。好ましいアルコールとしては、メタノール及びエタノールを挙げることができる。アルコール溶液を使用する場合、アルコール濃度としては、30%以上、100未満の濃度のものが好ましい。より具体的には70%エタノールを挙げることができる。また、水溶性の有機溶媒も、アルコール、アルコール溶液と同等の効果を有する限り、本発明において利用することが可能である。
本発明においては、ゲノムDNA、mRNA、タンパク質以外にも、ハウスキーピング遺伝子のcDNAを検出してもよい。その場合には、前記工程(i)と(ii)との間に、
(b)前記工程(i)で抽出されるRNA中の、少なくとも一のハウスキーピング遺伝子由来のものをcDNA化する工程;を更に含み、
前記工程(ii)において当該cDNAを定量することにより、cDNAの検出による腺腫・がんの検出を行うことが可能になる。
工程(b)においては、当該技術分野に知られる方法及び市販されるキット(RT-PCR用キット等)を利用することができる。
以上のようにして抽出された核酸又はタンパク質は、次にその構成配列の定量工程にかける。定量対象物質がヌクレオチド配列の場合、例えば当該配列に相補的な配列を当該ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、当該相補的な配列に予め標識しておいたラベルを高感度に検出する方法や、蛍光物質混入によるインターカレーター法により高感度に検出する方法、ヌクレオチド配列に相補的な配列を有するプライマーを使ってPCR法により当該ヌクレオチド配列を増幅させ、その増幅産物を適宜、ゲルやキャピラリー電気泳動等で特異的に分離した後、それを検出することにより実施することができる。また、RNAからcDNAへの変換とPCRを同時に行う1stepRT-PCRや、RNAからダイレクトにRNAを増幅させるNASBA法がある。これらは、蛍光・酵素標識されたプローブを用いたり、制限酵素の段階希釈物を用いたり、電気泳動を行うことで、定量・検出が可能となる。一方、定量対象物質がタンパク質配列の場合には、例えばそのタンパク質を特異的に認識する抗体を使った酵素免疫測定法や免疫沈降法、サンドイッチELISA法あるいは、2次元電気泳動、westernblotting法を行うことで実施することができる。
本発明の腺腫・がん検出方法においては、検出を行おうとしている腺腫・がんの種類に応じて、体液試料又は排泄物試料を適切に選択する必要がある。たとえば、結腸直腸がんを検出する場合には糞便を、腎臓がん・膀胱がん・尿道がんを検出する場合には尿を、唾液腺がんを検出する場合には唾液を、咽喉・気管・肺がんを検出する場合には喀痰や胸水を、鼻腔がんを検出する場合には鼻水を、涙腺がんを検出する場合には涙液を、胃がんを検出する場合には胃液を、肝臓がん・胆嚢がん・胆管がんを検出する場合には胆汁を、膵臓がんを検出する場合には膵液を、汗腺を含む皮膚がんを検出する場合には汗や膿を、脳腫瘍を検出する場合には脳脊髄液を、心臓腫瘍を検出する場合には心嚢水を、乳がんを検出する場合には乳を、子宮がんを検出する場合には膣分泌液を、精巣がんを検出する場合には精液を、腹腔がんを検出する場合には腹水を、胎盤及び胎児のがんを検出する場合には羊水を、リンパ節及びリンパ液中のがんを検出する場合にはリンパ液を、血液中のがんを検出する場合には血液を、それぞれ選択することができる。これらの体液試料又は排泄物試料は、体内に蓄積されているため、仮に正常細胞が混在したとしても、蓄積中に生じると考えられるアポトーシスにより、早期に死滅すると考えられる。一方、これらの体液試料又は排泄物試料に蓄積された腺腫中の遺伝子異常細胞や、がん細胞は、アポトーシス抵抗性であり、正常細胞のようには死滅しにくい。そのため、体細胞を含む貯留体液試料又は排泄物試料等を使ってハウスキーピング遺伝子の検出を行うことで、腺腫またはがん細胞を特異的に検出することが可能である。そしてハウスキーピング遺伝子は、その存在量及び/又は発現量においてがん特異的遺伝子(がん胎児性抗原等)の存在量及び/又は発現量よりも3倍〜10倍多く発現していると考えられるため、高感度な検出を可能にする。
本発明の腺腫・がん検出方法においては、前記ハウスキーピング遺伝子を2種類以上とし、又は当該ハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を構成する配列の量を複数同時に測定することが好ましい。複数のハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を測定対象とすることで、がん化による影響をうけていない遺伝子をより高い確率で検出することが可能になり、がん細胞由来のハウスキーピング遺伝子検出によるがんや腺腫の検出をより正確に行うことが可能になる。腺腫は、がんの前段階であることが多く、浸潤、転移能を持たないものである。腺腫は隆起することが多いため、正常上皮粘膜より剥離が多く、また、上述したようにアポトーシス抵抗性であることから、ハウスキーピング遺伝子を検出することにより腺腫も検出可能である。
また、本発明の腺腫又はがんの検出方法では、前記工程(ii)の後に、さらに、
(iii)抽出された核酸又は蛋白質の中の、少なくとも一の腫瘍遺伝子又はその発現産物を構成する配列の量を測定して、試料中の当該配列の濃度を算出する工程;及び
(iv)工程(ii)において算出されたハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を構成する配列の濃度に基づき、工程(iii)において算出された腫瘍遺伝子又はその発現産物を構成する配列の濃度を補正する工程;を含んでいてもよい。
一般的に、腫瘍遺伝子よりもハウスキーピング遺伝子のほうが、一の細胞に含まれる遺伝子の発現産物量が多い。これを利用して、ハウスキーピング遺伝子の発現産物量を、検体の内部標準として用いることにより、腫瘍遺伝子の発現産物量をより定量的かつ正確に検査することができ、ひいては、該腫瘍遺伝子を用いた腺腫やがんの検出における精度や感度を向上させることができる。例えば、ある試料において腫瘍遺伝子の発現産物が検出されなかった場合には、実際に該試料には腫瘍遺伝子の発現産物が含まれていない場合と、もともと腫瘍遺伝子の発現産物が含まれていたにもかかわらず、試料の調製・保存等の処理や、検査の操作等に問題があり、結果として腫瘍遺伝子の発現産物が検出できなかった場合とが考えられる。本発明の方法においては、腫瘍遺伝子の発現産物のみならず、ハウスキーピング遺伝子の発現産物も同様に検出するため、例えば、ハウスキーピング遺伝子の発現産物も検出できなかった場合には、試料の調製等に問題があり、偽陰性の可能性が高いことが分かる。
ハウスキーピング遺伝子の発現産物量を内部標準として用いた場合には、上述のように単にハウスキーピング遺伝子の発現産物量単独の値を用いる以外にも、例えば、ハウスキーピング遺伝子の発現産物量を用いて、腫瘍遺伝子の発現産物量を補正することにより、腺腫又はがんの検出の感度や精度を向上させることもできる。具体的には、腫瘍遺伝子の発現産物量をハウスキーピング遺伝子の発現産物量で除することにより、腫瘍遺伝子の発現産物量を補正することができる。
また、本発明においては、特に、被験者から採取した糞便を検体試料とし、糞便中に含まれる腺腫又はがんのマーカー遺伝子を標的遺伝子(検出対象の遺伝子)として検出し、腺腫又はがんを検査する方法において、生体試料から抽出・精製した核酸検体の品質や量等を考慮することにより、より信頼性の高い検査結果を得ることができる。
具体的には、本発明の腺腫又はがんの検査方法は、被験者から採取された糞便から抽出・精製したRNA中の標的遺伝子由来RNAを検出し、その量を測定することにより、該被験者が腺腫又はがんに罹患しているか否かを検査する方法であって、用いられるRNAの品質や量(濃度)をチェックして、該RNAの信頼性を判断し、該RNAの信頼性がある場合には、検査結果が信頼できると判断し、該RNAの信頼性がない場合には、検査結果が信頼できないと判断する方法である。
本発明及び本願明細書において、「RNAの信頼性がある」とは、RNAの品質や量が、信頼性の高い検査結果を得るために十分であることを意味する。信頼性があるRNAとは、例えば、RNAを回収した糞便の質や量、該糞便からのRNAの抽出・精製方法、精製されたRNAの分解度、又は精製度(塩やタンパク質等の不純物の混入の割合)に、問題のないRNAであることを意味する。逆に、「RNAの信頼性がない」とは、RNAの品質や量が不十分であり、このRNAを用いて得られた検査結果は信頼性が低いことを意味する。信頼性がないRNAとは、例えば、当該RNAを回収した糞便の質や量が不十分であった可能性、該糞便からのRNAの抽出・精製方法に何らかの誤操作があった可能性、精製されたRNAの分解が進行している可能性、又は塩やタンパク質等の不純物の混入が多い可能性が高いRNAであることを意味する。
なお、本発明において、「遺伝子由来RNA」とは、遺伝子のゲノムDNAの全長又は一部分から転写されたRNAを意味し、該遺伝子のmRNAであってもよく、該mRNAの一部分(フラグメント)であってもよい。
また、本発明において標的遺伝子とは、腺腫又はがんのマーカー遺伝子である。ここで、「腺腫又はがんのマーカー遺伝子」とは、糞便中の該遺伝子の発現の有無やその発現量の多寡を解析することにより、被験者が腺腫又はがんに罹患しているか否かを判定することが可能な遺伝子であれば、特に限定されるものではなく、腺腫やがんの種類等を考慮して、適宜決定することができる。本発明における標的遺伝子としては、腺腫マーカー又はがんマーカーとして公知の遺伝子を用いることができる。このようなマーカー遺伝子は、腺腫やがん細胞において特異的に発現する遺伝子や、細胞の腺腫化やがん化に伴い、塩基の挿入、欠失、置換、重複、逆位、又はスプライシングバリアント(アイソフォーム)等の変異が生ずる遺伝子等が挙げられる。本発明における標的遺伝子としてはCOX2(Cyclooxygenase 2)、MMP7(matrix metallopeptidase7)、及びSNAILからなる群より選択される遺伝子であることが好ましい。
糞便は、他の生体試料と異なり、夾雑物が非常に多く、核酸抽出前の糞便の保存状態によっては、核酸の分解等が生じ易い。また、腸内細菌等が大量に存在しており、ヒト由来細胞の核酸量が非常に微量であるため、他の生体試料に比べて、核酸の抽出・精製が困難である。また、糞便はヘテロジニアスである、つまり、多種多様な成分が不均一に存在しており、腺腫・がん細胞も不均一に存在している。このため、同一の糞便から採取した検体を用いて検査した場合であっても、採取部位の相違により、検査結果が変動する場合もある。
このように、糞便を検体として用いる場合には、血液等の他の生体試料を用いる場合よりも、検査に用いる抽出・精製した核酸検体の質が検査結果に及ぼす影響が大きい。このため、正確な検査のためには、抽出・精製した核酸検体の質や量が基準を満たした上で、標準遺伝子を検出又は定量する必要がある。本発明においては、糞便から抽出・精製した核酸検体の品質や量を測定し、これらの結果に基づき、得られた標的遺伝子の検出結果が信頼できるか否かを判断するため、偽陰性・偽陽性等を顕著に低減することができ、信頼性の高い検査結果を得ることができる。
例えば、糞便から採取部位が不適当であった場合や、RNA抽出前に糞便中の核酸が分解されてしまった場合、RNAの抽出・精製操作において何らかの不手際があった場合には、糞便から抽出・精製したRNAの総量が少なくなる。また、このようなRNAを用いて標的遺伝子由来RNAを検出した場合や、定量した場合には、信頼できる結果が得られにくい。例えば、このようなRNAを用いた場合に、標的遺伝子由来RNAが検出されたとしても偽陽性である可能性が高く、逆に標的遺伝子由来RNAが検出されなかった場合には偽陰性である可能性がある。
そこで、糞便から抽出し、溶液として精製されたRNA(以下、「糞便から抽出・精製されたRNA」と記載することがある。)の総量を測定し、この総量が予め定められた所定の閾値に満たない場合には、得られたRNAは信頼性がない(試料適格性がない)ものであって、このRNAを用いて得られた標的遺伝子の検出結果(すなわち、検査結果)も信頼性がない、と判断することができる。逆に、糞便から抽出・精製したRNAの総量が閾値以上である場合には、得られたRNAは信頼できる(試料適格性がある)ものであって、このRNAを用いて得られた標的遺伝子の検出結果も信頼できる、と判断することができる。なお、糞便から抽出・精製したRNAの大部分が、腸内細菌(バクテリア)由来RNAであるため、バクテリア由来RNAを含む抽出・精製したRNAの総量を指標とすることにより、ヒト腺腫・がん細胞由来RNAのみの量を指標とする場合よりも、より精確かつ簡便に得られたRNAの信頼性(試料適格性)を調べることが可能である。
糞便から抽出・精製したRNAの総量をRNAの信頼性の指標とする場合の判断基準となる閾値は、RNAを抽出・精製する糞便の量や、RNAの定量方法等を考慮して、適宜決定することができる。例えば、糞便0.5gからRNAを抽出・精製した場合には、5μg以上であることが好ましく、100μg程度であることがより好ましい。
また、糞便から抽出・精製されたRNAの総量に換えて、RNA溶液のRNAの濃度をRNAの信頼性の指標とすることもできる。この場合の判断基準となる閾値は、RNAを抽出・精製する糞便の量や、RNAの定量方法等を考慮して、適宜決定することができる。例えば、糞便0.5gからRNAを抽出・精製した場合には、10ng/μL以上であることが好ましく、100ng/μL程度であることがより好ましい。すなわち、RNAの総量を指標とした場合と同様に、糞便から抽出したRNA溶液のRNAの濃度が10ng/μL未満である場合には、得られたRNAは信頼性がないものであって、このRNAを用いて得られた標的遺伝子の検出結果(すなわち、検査結果)も信頼性がない、と判断することができる。逆に、糞便から抽出・精製したRNAの総量が閾値以上である場合には、得られたRNAは信頼できるものであって、このRNAを用いて得られた標的遺伝子の検出結果も信頼できる、と判断することができる。
糞便から抽出・精製したRNAの品質は、一般的に核酸試料の品質の指標として用いられるものであれば、特に限定されるものではないが、本発明においては、精製度や分解度を指標とすることが好ましい。なお、本発明において、RNAの精製度とは、抽出・精製されたRNA中の不純物(RNA以外の物質)の割合を意味する。また、RNAの分解度とは、抽出・精製されたRNAが核酸分解酵素等により分解された割合を意味する。RNAの精製度が高いほど、また、RNAの分解度が低いほど、該RNAの質は高い。
例えば、糞便からのRNAの抽出・精製操作において何らかの不手際があった場合には、糞便内の不純物が抽出物・生成物であるRNA中に大量に残ってしまうことがある。このような不純物は、標的遺伝子由来RNAの検出やその量の定量において阻害的に働く場合が多く、このため、精製度の低いRNAを用いて標的遺伝子由来RNAを検出・定量した場合には、信頼できる結果が得られにくい。実際に、RNA中の不純物により、標的遺伝子由来RNA検出のためのPCR増幅の阻害が起こることが知られている。そこで、糞便から抽出・精製したRNAの精製度を測定し、この精製度が予め定められた所定の範囲内にない場合には、得られたRNAは信頼性がないものであって、このRNAを用いて得られた標的遺伝子の検出結果も信頼性がない、と判断することができる。逆に、糞便から抽出・精製したRNAの精製度が該範囲内である場合には、得られたRNAは信頼できるものであって、このRNAを用いて得られた標的遺伝子の検出結果も信頼できる、と判断することができる。
RNAの精製度の測定は、一般的に核酸試料の精製度(純度)を測定する場合に用いられる公知の手法の中から、適宜選択して行うことができる。本発明においては、UVを用いてRNAの吸光度を測定し、260nmにおける吸光度を230nmにおける吸光度で除した値(260/230nm吸光度比)や260nmにおける吸光度を280nmにおける吸光度で除した値(260/280nm吸光度比)を、精製度の指標とすることが好ましい。260/230nm吸光度比からRNAと塩類との濃度比がわかる。一方、260/280nm吸光度比からRNAとタンパク質等との濃度比がわかるため、これらによりRNAの精製度を知ることができる。これらの吸光度比のいずれかを用いてもよく、両方を用いてもよい。
具体的には、260/230nm吸光度比が1.0未満又は2.5超である場合には、塩類の含有割合が高く、精製度が不十分であり、得られたRNAは信頼性がないと判断することができる。逆に、260/230nm吸光度比が1.0〜2.5である場合、好ましくは1.7〜2.1である場合には、精製度が十分であり、得られたRNAは信頼できると判断することができる。一方、260/280nm吸光度比が1.0未満又は2.5超である場合には、タンパク質の混入等があり、精製度が不十分であると考えられ、得られたRNAは信頼性がないと判断することができる。逆に、260/280nm吸光度比が1.0〜2.5である場合、好ましくは1.7〜2.1である場合には、精製度が十分であり、得られたRNAは信頼できると判断することができる。
また、RNAの分解度が高い、すなわち、分解や断片化が多く生じているRNAにおいては、標的遺伝子由来RNAも分解・断片化等されている可能性が高く、このようなRNAを用いて標的遺伝子由来RNAを検出・定量した場合には、信頼できる結果が得られにくい。そこで、糞便から抽出・精製したRNAの分解度を測定し、この分解度が予め定められた所定の範囲内にない場合には、得られたRNAは信頼性がないものであって、このRNAを用いて得られた標的遺伝子の検出結果も信頼性できない、と判断することができる。逆に、糞便から抽出・精製したRNAの分解度が該範囲内である場合には、得られたRNAは信頼できるものであって、このRNAを用いて得られた標的遺伝子の検出結果も信頼できる、と判断することができる。
RNAの分解度の測定は、一般的に核酸の分解・断片化を測定する場合に用いられる公知の手法の中から、適宜選択して行うことができる。例えば、RNAの電気泳動によるサイズ分離測定を行うと、それぞれのサイズごとの核酸量がわかるため、RNAの分解度を測定することができる。
本発明においては、抽出・精製したRNA中に占める割合が比較的大きいバクテリア由来RNA、特にバクテリアのリボソーマルRNAである23S rRNA・16S rRNAサブユニットを指標とし、RNAの分解度を測定することが有効である。例えば、分解の起こっていないtotalRNAでは、2本のリボソーマルRNA(糞便中の多くの比率をしめるバクテリア由来の23S rRNAと16S rRNA)のはっきりとしたバンドが、およそ2:1の割合でみられる。これに対して、分解・断片化が起こっているtotalRNAでは、リボソーマルRNAの各サブユニットのバンドが拡散し、バンドが明瞭でなくなり、低分子サイズでスメア状に検出される。このような分解の起こった検体は、後に増幅・検出を行っても正常に増幅されず、偽陰性をまねく結果となることが多い。このため、検査に使用する検体は、バンドが明瞭で分解・断片化の少ないものが望ましい。
具体的には、23SリボソーマルRNAのフラグメント量を16SリボソーマルRNAのフラグメント量で除した値(23S rRNA/16S rRNA比)が1.6〜2.5である場合、好ましくは1.8〜2.0である場合には、分解度が十分に低く、得られたRNAは信頼できると判断することができる。逆に、23S rRNA/16S rRNA比が1.6未満又は2.5超である場合には、分解度が高く、得られたRNAは信頼性がないと判断することができる。
RNAの電気泳動に用いることのできるアジレントテクノロジー社の電気泳動装置「バイオアナライザ」は、分子生物学分野では広く用いられている自動キャピラリーゲル電気泳動装置の1つである(例えば、“A microfluidic system for highspeed reproducible DNA sizing and quantitation”、Electrophoresis、200年、第21巻第1号、第128〜134ページ参照。)。これは、核酸のサイズごとの定量結果が測定終了後に自動表示されるため、リボソーマルRNA比である28S rRNA/18S rRNA比(28SリボソーマルRNAのフラグメント量を18SリボソーマルRNAのフラグメント量で除した値)、23S rRNA/16S rRNA比や、その他のバンドの値がわかり、リボソーマルRNAの分解・断片化の割合から目的RNAの分解度・精製度を推測することができる。この装置のアルゴリズムの1つであるRIN(RNA Integrity Number)値は、核酸の分解度の指標の1つとして一般的に用いられている。このRIN値(範囲:1〜10)を用いた場合、RIN値が高い(=10)と分解度が少なく、RIN値が低い(=1)と分解度が高いといえる。糞便検体由来のRNAは共雑物が多く、また分解しやすく、共雑物の割合や、分解度によってはその後の核酸増幅反応に大きく影響を及ぼすことがある。そのため、このRIN値を指標にRNAの品質を確認するのは有効な手段の1つである。
糞便検体由来のRNAの品質が良好となるRIN値を求めると、RIN値の範囲は10〜4であった。RIN値が1〜2であるRNAでは、その後の核酸増幅反応等の核酸検出反応がうまくいかず、このため、品質が悪く、得られたRNAは信頼性がないものであった。このため、糞便検体由来RNAの品質確認については、RIN値の閾値は3と設定するのが良い。
その他、糞便から抽出・精製したRNAの品質チェックにおいて、標準遺伝子由来RNAの含有量を指標とすることもできる。RNA中の標準遺伝子由来RNAの量が、予め定められた所定の閾値以上である場合には、糞便の採取・保存や、糞便からのRNAの抽出・精製操作が適切に行われており、得られたRNAは信頼できるものであって、このRNAを用いて得られた標的遺伝子の検出結果も信頼できる、と判断することができる。逆に、RNA中の標準遺伝子由来RNAの量が、予め定められた所定の閾値に満たない場合には、得られたRNAは信頼性がないものであって、このRNAを用いて得られた標的遺伝子の検出結果も信頼性がない、と判断することができる。
標準遺伝子としては、該遺伝子由来RNAが糞便から抽出・精製されるRNAに含まれていることが期待できる遺伝子であれば特に限定されるものではないが、ヒト遺伝子であることが好ましい。標準遺伝子としてヒト遺伝子を用いることにより、検査に用いた糞便中にヒト由来細胞が存在していたことを確認することができる。また、RNA中に微量にしか存在していないヒト遺伝子由来RNAが検出可能であるということは、該RNAの品質が非常に良好であることを示しているため、標的遺伝子の検出結果の信頼性をより高めることができる。
本発明においては、標準遺伝子として、ハウスキーピング遺伝子又は上皮細胞特異的遺伝子であることが好ましい。該ハウスキーピング遺伝子としては、前記で挙げられた遺伝子を用いることができる。一方、本発明において、上皮細胞特異的遺伝子とは、上皮細胞に特異的に発現している遺伝子を意味する。なお、「上皮細胞に特異的に発現している」とは、上皮細胞以外の細胞で全く発現していないことまでも要求するものではなく、上皮細胞において他の細胞よりも顕著に発現量が高いものであってもよい。このような上皮細胞特異的遺伝子として、癌胎児抗原遺伝子、細胞接着因子遺伝子、ムチン遺伝子、及びサイトケラチン遺伝子等が挙げられる。癌胎児抗原遺伝子としてはcarcinoembryonic antigen(CEA)、細胞接着因子遺伝子としてはepithelial cell adhesion molecule(EpCAM)、ムチン遺伝子としてはmutin2(MUC2)、mutin3(MUC3)、mutin4(MUC4)サイトケラチン遺伝子としてはkeratin 7(CK7)、keratin 19(CK19)、keratin 20(CK20)等が挙げられる。本発明においては、標準遺伝子として、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH:glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)、18S リボソームRNA、28S リボソームRNA、βアクチン、β2ミクログロブリン、ヒポキサンチンホスホリボシル・トランスフェラーゼ1、リボソーム蛋白質ラージP0、ペプチジルプロピル・イソメラーゼA(シクロスポリンA)、チトクロームC、ホスホグリセレート・キナーゼ1、β-グルクロニダーゼ、TATAボックス結合因子、トランスフェリン受容体、HLA-A0201重鎖、リボソームタンパク質L19、αチューブリン、βチューブリン、γチューブリン、ATPシンセターゼ、翻訳伸長因子1ガンマ(EEF1G:eukaryotic translation elongation factor 1 gamma)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体(SDHA:succinate dehydrogenase complex)、アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS:aminolevulinic acid synthase 1)、ADP-リボシル化因子6(ADP-ribosylation factor 6)、エンドヌクレアーゼG(ENDOG:endonuclease G)、ペルオキシソーム形成因子(PEX:peroxisomal biogenesis factor)、CEA(Carcinoembryonic antigen)、epithelial cell adhesion molecule(EpCAM)、mutin2(MUC2)、mutin3(MUC3)、mutin4(MUC4)、keratin 7(CK7)、keratin 19(CK19)、及びkeratin 20(CK20)からなる群より選択される遺伝子を用いることが好ましく、β2ミクログロブリン、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、又はCEAを用いることがより好ましい。糞便から良好かつ安定的に検出し得る遺伝子であるためである。
例えば、ヒト由来の標準遺伝子由来RNAは、標的遺伝子由来RNAとともに増幅することによって、高感度に検出することが可能となる。また、ハウスキーピング遺伝子や上皮細胞特異的遺伝子は、一般的にいつでも発現が一定にみられる遺伝子であるため、標準遺伝子としてこれらの遺伝子を用いた場合には、標準遺伝子由来RNAの検出の有無を、検査工程の指標とすることができる。特に、標的遺伝子由来RNAと標準遺伝子由来RNAの両方を、PCRを利用して検出する場合には、マルチプレックスPCRを行うことも好ましい。
具体的には、本発明の腺腫又はがんの検査方法は、腺腫又はがんのマーカー遺伝子(標的遺伝子)を用いて腺腫又はがんを検査する方法であって、下記工程を有することを特徴とする。但し、工程(B)(C)(D)(E)は、工程(D)(E)(B)(C)、工程(B)(D)(C)(E)、工程(B)(D)(E)(C)、工程(D)(B)(E)(C)、又は工程(D)(B)(C)(E)の順に行ってもよい。
(A)被験者から採取した糞便中に含まれるRNAを抽出し、RNA溶液として精製する工程。
(B)前記工程(A)において得られたRNA溶液中の標的遺伝子由来RNAの量を測定する工程。
(C)前記工程(B)において得られた標的遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較し、前記被験者が腺腫又はがんに罹患しているか否かを判定する工程。
(D)前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの、精製度、分解度、濃度、及び標準遺伝子由来RNAの量からなる群より選択される1以上を測定する工程。
(E)前記工程(D)において得られた値に基づき、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの信頼性を判断する工程。
(F)前記工程(E)において、前記RNAの信頼性があると判断した場合には、前記工程(C)における判定が信頼できると判断し、前記RNAの信頼性がないと判断した場合には、前記工程(C)における判定が信頼できないと判断する工程。
以下、工程ごとに説明する。
まず、工程(A)として、被験者から採取した糞便中に含まれるRNAを抽出し、RNA溶液として精製する。糞便からのRNAの抽出・精製方法は、特に限定されるものではなく、当該技術分野において公知のいずれの方法を用いてもよく、市販されている精製キット等を利用することもできる。なお、次の工程に移る前に、予め、工程(A)において得られたRNA溶液中のRNA(以下、単に「工程(A)において得られたRNA」ということがある。)の濃度を測定してもよい。RNAの濃度の測定方法は、特に限定されるものではなく、吸光度測定法等の当該技術分野において公知のいずれの方法を用いてもよい。
工程(B)として、工程(A)において得られたRNA溶液中の標的遺伝子由来RNAの量を測定する。工程(B)において得られた標的遺伝子由来RNAの量の測定方法は、特に限定されるものではなく、一般的に特定の核酸量を測定する場合に用いられる公知の手法の中から、適宜選択して行うことができる。なお、本発明において、RNAの量を測定するとは、厳密な定量を意味するものではなく、半定量的なものであってもよく、所定の閾値等との定量的な比較が可能な程度に測定できるものであってもよい。例えば、当該技術分野において公知の手法により標的遺伝子由来RNAを検出し、得られた検出結果から、濃度既知の対照試料の検出結果から作成された検量線に基づき算出することができる。標的遺伝子由来RNAの検出方法は、特に限定されるものではなく、当該技術分野において公知のいずれの方法を用いてもよい。例えば、標的遺伝子由来RNAとハイブリダイズし得るプローブを用いたハイブリダイゼーション法により検出してもよく、標的遺伝子由来RNAとハイブリダイズし得るプライマーとポリメラーゼとを用いた核酸増幅反応を利用した方法により検出してもよい。その他、市販されている検出用キット等を利用することもできる。
標的遺伝子由来RNAの量は微量であるため、核酸増幅反応を利用した方法により測定することが好ましい。例えば、工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの全量又は一部に対して、逆転写反応(RT−PCR:Reverse transcriptase−polymerase chain reaction)を行うことによりcDNAを合成した後、得られたcDNAを鋳型として核酸増幅をすることにより、標的遺伝子由来RNAを検出し、その量を測定することができる。また、該核酸増幅として、リアルタイムPCR等の半定量的PCRを行うことにより、標的遺伝子由来RNAの検出と同時にその定量を簡便に行うことができる。
また、前記工程(A)において得られたRNA溶液をノーマライズ(予め定められた所定の濃度に調整する)した後に、標的遺伝子由来RNAの量の測定を行ってもよい。例えば、工程(A)において得られたRNA溶液をノーマライズした後に逆転写反応を行い、得られたcDNAを鋳型として、PCRやリアルタイムPCR等の核酸増幅をすることができる。ノーマライズする濃度は、標的遺伝子由来RNAの検出操作等を考慮して、適宜決定することができる。
工程(B)の後、工程(C)として、工程(B)において得られた標的遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較し、前記被験者が腺腫又はがんに罹患しているか否かを判定する。例えば、標的遺伝子が腺腫化・がん化に伴い発現量が増大する遺伝子である場合には、工程(B)において得られた標的遺伝子由来RNAの量が、予め設定された閾値よりも多い場合には前記被験者が腺腫又はがんに罹患していると判定し、当該閾値よりも少ない場合には前記被験者は腺腫又はがんに罹患していないと判定することができる。逆に、標的遺伝子が腺腫化・がん化に伴い発現量が減少する遺伝子である場合には、工程(B)において得られた標的遺伝子由来RNAの量が、当該閾値よりも少ない場合には前記被験者が腺腫又はがんに罹患していると判定し、当該閾値よりも多い場合には前記被験者は腺腫又はがんに罹患していないと判定することができる。なお、該閾値は、当業者であれば、標的遺伝子の種類、検出方法の種類等を考慮して、また必要な予備検査等を行うことにより、適宜設定することができる。例えば、腺腫やがんに罹患していない健常者から採取された糞便中の標的遺伝子量と、腺腫やがんに罹患していることが判明している被験者から採取された糞便中の標的遺伝子量とを比較することにより、適当な閾値を予め設定することができる。
また、工程(D)において、工程(A)において得られたRNAの信頼性を判断する指標となる値を測定し、工程(E)において、当該RNAの試料適格性を判断する。具体的には、工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの、精製度、分解度、濃度、及び標準遺伝子由来RNAの量からなる群より選択される1以上を測定し、これらの値に基づき、当該RNAが信頼できるか否かを判断する。これらの値のうちの複数を測定して、複数の指標を用いることにより、工程(A)において得られたRNAの信頼性の判断をより厳密に行うことができる。なお、RNAの精製度、分解度、濃度、及び標準遺伝子由来RNAの量の測定及び信頼性の判断は、前述の通りに行うことができる。
最終的に、工程(F)として、工程(E)において、標的遺伝子由来RNAの量の測定に用いたRNAは、信頼性があると判断した場合には、工程(C)における判定が信頼できると判断し、逆に、当該RNAの信頼性がないと判断した場合には、工程(C)における判定が信頼できないと判断することにより、信頼性の高い検査結果を得ることができる。
なお、工程(B)及び(C)における標的遺伝子由来RNAの検出と、工程(D)及び(E)におけるRNAの信頼性を判断する指標となる値の測定とは、どちらを先に行ってもよい。すなわち、工程(B)、(C)、(D)、及び(E)は、工程(C)の前に工程(B)が行われており、かつ工程(E)の前に工程(D)が行われている限り、どのような順番で行ってもよい。具体的には、工程(B)(C)(D)(E)は、工程(D)(E)(B)(C)、工程(B)(D)(C)(E)、工程(B)(D)(E)(C)、工程(D)(B)(E)(C)、又は工程(D)(B)(C)(E)の順に行ってもよい。
また、工程(B)又は(C)の前に工程(E)を行った場合であって、工程(A)において得られたRNAの信頼性がないと判断した場合には、その後に工程(B)又は(C)を行うことなく検査を終了することができる。また、このように、該RNAの信頼性がないと判断した場合には、必要に応じて再検査等を行ってもよい。
図8〜10は、それぞれ、標的遺伝子が腺腫化・がん化に伴い発現量が増大する遺伝子である場合の、本発明の腺腫又はがんの検査方法の一態様を示したフローチャートである。なお、本発明が、これらの態様に限定されるものではないことは、言うまでもない。
図8は、標的遺伝子由来RNAの量を測定し、腺腫又はがんの罹患の有無を判定した後に、RNAの信頼性を判定する方法である。まず、被験者から採取された糞便(糞便検体)からRNAを抽出し、溶液として精製する(工程(A))。得られたRNA中の標的遺伝子由来RNAの量を測定し(工程(B))、得られた標的遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較し、標的遺伝子由来RNAの量が、予め設定された閾値よりも多い場合(フローチャート中、「標的遺伝子が閾値以上」)には前記被験者が腺腫又はがんに罹患している(フローチャート中、「検査陽性」)と判定し、当該閾値よりも少ない場合(フローチャート中、「標的遺伝子が閾値未満」)には前記被験者は腺腫又はがんに罹患していない(フローチャート中、「検査陰性」)と判定する(工程(C))。その後、当該RNAの濃度(量)、品質(精製度や分解度)等を測定し(工程(D)、フローチャート中、「核酸量・核酸品質測定」)、工程(A)において得られたRNAの信頼性を判断する(工程(E))。測定されたRNAの濃度が、予め定められた閾値未満である場合(フローチャート中、「核酸量一定量未満」)や、測定されたRNAの精製度や分解度が、予め定められた範囲から外れる場合(フローチャート中、「核酸品質基準値未満」)には、該RNAの信頼性がないと判断し、前記の検査陽性・陰性の結果は信頼できない、と判断する(工程(F))。一方、測定されたRNAの濃度が、予め定められた閾値以上である場合(フローチャート中、「核酸量一定量以上」)や、測定されたRNAの精製度や分解度が、予め定められた範囲内である場合(フローチャート中、「核酸品質基準値以上」)には、該RNAは信頼性があると判断し、前記の検査陽性・陰性の結果は信頼できる、と判断する(工程(F))。RNAの品質チェックにおいて、当該RNA中の標準遺伝子量を測定し(工程(D)、フローチャート中、「標準遺伝子測定結果」)、予め設定された閾値と比較して、標準遺伝子由来RNAの量が、当該閾値よりも多い場合(フローチャート中、「標準遺伝子量が閾値(基準値)以上」)には、前記の検査陽性・陰性の結果は信頼できる、と判断し、当該閾値よりも少ない場合(フローチャート中、「標準遺伝子量が閾値(基準値)未満」)には、前記の検査陽性・陰性の結果は信頼できない、と判断することもできる(工程(F))。
図9は、標的遺伝子由来RNAの量を測定する前に、RNAの信頼性を判定する方法である。フローチャート中の記載は、図8と同様である。まず、被験者から採取された糞便(糞便検体)からRNAを抽出し、溶液として精製する(工程(A))。その後、当該RNAの濃度(量)、品質(精製度や分解度)等を測定し(工程(D))、工程(A)において得られたRNAの信頼性を判断する(工程(E))。つまり、測定されたRNAの濃度が、予め定められた閾値未満である場合や、測定されたRNAの精製度や分解度が、予め定められた範囲から外れる場合には、該RNAの信頼性がないと判断し、以降の工程は行わず、再検査を行うか、又は検査を終了する。一方、測定されたRNAの濃度が、予め定められた閾値以上である場合や、測定されたRNAの精製度や分解度が、予め定められた範囲内である場合には、該RNAは信頼性があると判断し、検査を続行する。そして、該RNA中の標的遺伝子由来RNAの量を測定し(工程(B))、得られた標的遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較し、標的遺伝子由来RNAの量が、予め設定された閾値よりも多い場合には前記被験者が腺腫又はがんに罹患していると判定し、当該閾値よりも少ない場合には前記被験者は腺腫又はがんに罹患していないと判定し(工程(C))、かつ、これらの判定結果は信頼性が高いと判断する(工程(F))。
図10は、標的遺伝子由来RNAの量の測定及びRNAの量・品質の指標となる測定を行った後に、判定を行う方法である。フローチャート中の記載は、図8と同様である。まず、被験者から採取された糞便(糞便検体)からRNAを抽出し、溶液として精製する(工程(A))。得られたRNA中の標的遺伝子由来RNAの量を測定した後(工程(B))、さらに、このRNAの濃度(量)、品質(精製度や分解度)等を測定し(工程(D))、当該RNAの信頼性を判断する(工程(E))。測定されたRNAの濃度が、予め定められた閾値未満である場合や、測定されたRNAの精製度や分解度が、予め定められた範囲から外れる場合には、該RNAの信頼性がないと判断し、標的遺伝子由来RNAの検査結果の判定等の以後の工程は行わず、再検査を行うか、又は検査を終了する。一方、測定されたRNAの濃度が、予め定められた閾値以上である場合や、測定されたRNAの精製度や分解度が、予め定められた範囲内である場合には、該RNAは信頼性があると判断し、検査を続行する。そして、測定された標的遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較し、標的遺伝子由来RNAの量が、当該閾値よりも多い場合には検査陽性と判定し、当該閾値よりも少ない場合には検査陰性と判定し(工程(C))、かつ、これらの判定結果は信頼性が高いと判断する(工程(F))。
本発明においては、被験者の腺腫又はがんの罹患の有無の判定(検査陽性か検査陰性かの判定)を、標的遺伝子由来RNA量と標準遺伝子由来RNA量の比率を基準として判定することもできる。すなわち、工程(A)において抽出・精製されたRNA中の標的遺伝子由来RNAの量を、当該RNA中の標準遺伝子由来RNAの量で除した値を基準値とし、この基準値が予め設定された閾値よりも大きい場合には前記被験者が腺腫又はがんに罹患していると判定し、予め設定された閾値よりも小さい場合には前記被験者は腺腫又はがんに罹患していないと判定する。このように、標的遺伝子由来RNA量と標準遺伝子由来RNA量の比率を基準とすることにより、標的遺伝子由来RNA量のみを基準とする場合よりも、腺腫又はがんを、より高精度に検出することができる。
このように、本発明の腺腫又はがんの検査方法は、検査工程の指標、特に糞便から回収されたRNAの信頼性に関する指標を組み合わせているため、腺腫又はがんの検査を高精度に行うことができる。また、従来は、核酸試料の質や量の低下による偽陽性・偽陰性が生じた場合、検査過程のどの部分が不適当であったかを知ることは容易ではなく、再検査になったときには、しばしば初めからやり直すことになり、時間・労力・コストがかかり、また手順が煩雑であった。これに対して、本発明の腺腫又はがんの検査方法は、検査工程の妥当性の確認が、検査途中の段階で不足なく可能であり、再検査の要否の判断等を簡便かつ低コストで行うことが可能である。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(方法)
健常人から糞便を15mlチューブ(FALCON社製)に6g採取し、均一に混合した後、1gずつの6つの試料に分けた。そのうちの1つは後の解析用に−20℃で凍結し、そのまま−20℃で保存した。残りの5つの試料は、サンプリング直後に、1つはそのまま、残り4つには大腸がんの細胞株CCK-81を1ml加え、更にそれぞれにPBSを5ml加えた。これをホモジナイザーで混合して、均一化させた。均一化された試料を4000×gで10分間遠心し、その上清をとり、QIAGEN社製のRNeasyキットを用いてRNAを抽出した。このRNAの一部を用いて、Rnaseフリー水21.5μl、2×Taqman Universal PCR Master Mix 25μl;CEA、GAPDH、18SrRNAについての各プライマー・プローブセットをそれぞれ2.5μl(以上、アプライドバイオシステムズ社製)を0.2mlのPCR用チューブにいれて混合した。ここで使用したプローブは、その末端の一方に蛍光物質がついており、もう一方側には消光物質がついているレポータープローブである。この混合物を、95℃/20”―(95℃/3”―60℃/30”)×40の温度条件で、7500Fastシステム(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、リアルタイムに蛍光強度を測定しながら核酸増幅した。コピー数を計算する標準物質として、GAPDH、CEA、18SrRNAのcDNAが入ったプラスミドを使用し、同時に増幅した。
(結果)
核酸増幅のシグナルが得られた。患者サンプル(がん細胞株を含むサンプル)と健常人サンプル(がん細胞株を含まないサンプル)の蛍光強度の結果をまとめたものを図1に示す。この図で、サンプルNo.1は健常人の便で、No.2から5までは健常人の便に大腸がんの細胞株CCK-81を加えたものである。18SrRNAのデータを中抜きの丸、GAPDHのデータを黒丸、CEAのデータを中抜きの四角で示している。
健常人の便のみ1gの場合には、18SrRNA、GAPDH、CEAのハウスキーピング遺伝子の何れとも検出値が相対値5以下と小さく、一方、がん細胞株を含むサンプルでは検出値が10以上となったため、閾値を相対値10付近で設定することができた。18SrRNA、GAPDHは、CEAよりも良好に検出できた(例えばサンプルNo.5ではCEAより18SrRNA、GAPDHの検出値が高いことがわかる)。このことから、これらのハウスキーピング遺伝子を用いると、閾値10pg/μl・total RNA以上を陽性、当該閾値以下は陰性と判定することができた。これにより、健常人ではハウスキーピング遺伝子を発生させる少量の正常細胞の存在があることがわかり、一方がん細胞株ではハウスキーピング遺伝子を発生させる多量のがん細胞が存在することが実証された。
判定の結果、サンプルNo.1は、18SrRNA、GAPDH、CEAが閾値の10以下であったため、正常と判定され、サンプルNo.2−5は少なくとも1つが閾値の10以上であり、正常サンプルNo.1の2倍以上だったため、がんである可能性があると判定された。
健常人1名および大腸がん患者4名(ステージI−IV)から、糞便を15mlチューブ(FALCON社製)に各1gずつ採取した。検体試料は、サンプリング直後に、−80℃で凍結した後、酸性フェーノール・グアニジン・クロロホルム溶液を加え、これをホモジナイザーで混合して、均一化させた。均一化された試料を4000×gで10分間遠心し、その上清をとり、QIAGEN社製のRNeasyキットを用いてRNAを抽出した。このRNAの一部を用いて、RNaseフリー水21.5μl、2×Taqman Universal PCR Master Mix 25μl、CEA、GAPDH、18SrRNAの各プライマー・プローブセット(以上、アプライドバイオシステムズ社製)2.5μlを0.2mlのPCR用チューブにいれて混合した。ここで使用したプローブは、その末端の一方に蛍光物質がついており、もう一方側には消光物質がついているレポータープローブである。この混合物を、95℃/20”―(95℃/3”―60℃/30”)×40の温度条件で、7500Fastシステム(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、リアルタイムに蛍光強度を測定しながら核酸増幅した。コピー数を計算する標準物質として、GAPDH、CEA、18SrRNAのcDNAが入ったプラスミドコントロールを使用し、同時に増幅した。
(結果)
核酸増幅のシグナルが得られた。健常人サンプルと大腸がん患者サンプルの蛍光強度の相対値の結果をまとめたものを図2に示す。この図で、一番左が健常人サンプル(図中「正常」)、残りが各ステージの大腸がん患者サンプルである。18SrRNAのデータを中抜きの丸、GAPDHのデータを黒丸、CEAのデータを中抜きの四角で示している。CEAは大腸がんマーカーとして、18SrRNA、GAPDHはハウスキーピング遺伝子として一般に使用されるものである。
健常人サンプルの場合には、18SrRNA、GAPDHのハウスキーピング遺伝子の何れとも検出値が相対値3以下と小さく、一方、大腸がん患者サンプルでは、いずれのステージにおいても検出値が3以上となったため、閾値を相対値3付近で設定することができた。このことから、今回の試験では、ハウスキーピング遺伝子を用いると、蛍光強度の相対値が閾値3以上の場合を陽性、当該閾値以下の場合は陰性と判定することができるといえた。この閾値は使用するコントロールプラスミドの濃度により変わるので、予め予備実験により閾値を設定しておくことができる。また、18SrRNA、GAPDHは、CEAよりも良好に検出できた(例えば、一番右のステージ IVのサンプルでは、18SrRNA、GAPDHよりCEAの検出値が低いことがわかった)。この結果により、通常状態で排出された糞便中では、健常人ではハウスキーピング遺伝子を発生させる少量の正常細胞の存在があることがわかり、一方がん患者ではハウスキーピング遺伝子を発生させる多量のがん細胞が存在することが確認された。
判定の結果、健常人サンプルは、18SrRNA、GAPDH、CEAが閾値の3以下であったため、検査陰性と判定され、4つの大腸がんサンプル(ステージ I−IV)は、18SrRNA、GAPDH、CEAの少なくとも1つが閾値の3以上であったため、検査陽性と判定された。
健常人4名、腺腫保有者1名、および大腸がん患者7名(ステージ I−IV)から、糞便を15mlチューブ(FALCON社製)に各1gずつ採取した。検体試料は、サンプリング直後に、−80℃で凍結した後、酸性フェーノール・グアニジン・クロロホルム溶液を加え、これをホモジナイザーで混合して、均一化させた。実施例2と同様にして、均一化された試料からRNAを抽出した。このRNAの一部を用いて、Rnaseフリー水21.5μl、2×Taqman Universal PCR Master Mix 25μl;CEA、GAPDHについての各プライマー・プローブセットをそれぞれ2.5μl(以上、アプライドバイオシステムズ社製)を0.2mlのPCR用チューブにいれて混合した。ここで使用したプローブは、その末端の一方に蛍光物質がついており、もう一方側には消光物質がついているレポータープローブである。この混合物を、95℃/20”―(95℃/3”―60℃/30”)×40の温度条件で、7500Fastシステム(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、リアルタイムに蛍光強度を測定しながら核酸増幅した。コピー数を計算する標準物質として、GAPDH、CEA、18SrRNAのcDNAが入ったプラスミドコントロールを使用し、同時に増幅した。
(結果)
核酸増幅のシグナルが得られた。健常人サンプルと腺腫患者サンプルと大腸がん患者サンプルとの蛍光強度の相対値の結果をまとめたものを図3に示す。この図で、左から4つ(図中「正常」)が健常人サンプル、残り7つが腺腫又は大腸がん患者サンプルである。GAPDHのデータを黒丸、CEAのデータを中抜きの四角で示している。
今回の実験では、健常人サンプルの場合には、GAPDHのハウスキーピング遺伝子の何れとも検出値が相対値20以下と小さく、一方、腺腫又は大腸がん患者の糞便サンプルでは検出値が相対値20以上となったため、閾値を相対値20付近で設定することができた。閾値はプラスミドコントロールの濃度によって変わるため、プラスミドコントロールの濃度を一定にした予備実験により閾値を予め設定することができる。GAPDHは、CEAよりも良好に検出できた(例えば、左から5番目の腺腫の検体、左から6,7番目のステージ Iの検体、左から9番目のステージ IIの検体、一番右のステージ IVの検体では、GAPDHよりCEAの検出値が明らかに低いことがわかる。)。このことから、これらのハウスキーピング遺伝子を用いると、CEAより精度よく正常と腺腫及び大腸がんとの区別をすることができるといえた。また、閾値20以上を陽性、当該閾値以下は陰性と判定することができるといえた。
判定の結果、正常(健常人)の4検体は、GAPDHが閾値の20以下であったため、検査陰性と判定され、腺腫サンプル及び大腸がんサンプル(ステージ I−IV)は、GAPDHが閾値の20以上であったため、検査陽性と判定された。
また、実施例3の試験結果から、腺腫及び大腸がんステージ Iよりも、ステージ IIの方が、蛍光強度の相対値が高く、一方、ステージ IIとステージ IVはほぼ同じ範囲の分布であるため、腺腫及びステージ Iと、ステージ II以上との2段階において値が変わる、すなわち、大腸がんの進行度に従って蛍光強度の相対値が上がることが示唆された。
健常人から糞便を15mlチューブ(FALCON社製)に6g採取し、均一に混合した後、1gずつの6つの試料に分けた。それらを70%アルコール2mlに浸漬して処理を行い、常温で保存した。そのうち5つの試料はアルコールを捨てたのち、1つはそのまま、残り4つには大腸がんの細胞株CCK-81を1ml加え、更にそれぞれにPBSを5ml加えた。これをホモジナイザーで混合して、均一化させた。均一化された試料を4000×gで10分間遠心し、その上清をとり、QIAGEN社製のRNeasyキットを用いてRNAを抽出した。実施例1と同一サンプルを用いて、18SrRNA及びGAPDHを同時にマルチプレックスとして増幅した。18SrRNA用のプローブにはFAMラベルを行い、GAPDH用のプローブにはVICラベルをおこなった。その結果、各サンプルとも、図1と同様の結果が得られ、マルチプレックスで測定しても結果が変わらないことがわかった(図示せず)。従って複数のマーカーを同時に検出することで、がん検出の精度が向上し、コスト削減、サンプル量削減につながるので有用である。
健常人から糞便を15mlチューブ(FALCON社製)に5g採取し、均一に混合した後、1gずつの5つの試料に分けた。それらを70%アルコール2mlに浸漬して処理を行い、常温で保存した。そのうち1つの試料(No.1)はアルコールを捨てる処理を行い、残りの4つの試料(No.2−5)はアルコールを捨てたのち、大腸がんの細胞株CCK-81を1mlずつ加えた。更にそれぞれにPBSを5ml加えた。これをホモジナイザーで混合して、均一化させた。実施例4と同様にして、均一化された試料を、遠心し、得られた上清から、RNAを抽出した。抽出されたRNAをサンプル(鋳型)として、実施例1と同じプローブ等を用いて18SrRNA及びGAPDHを同時にマルチプレックスとして増幅した。18SrRNA用のプローブにはFAMラベルを行い、GAPDH用のプローブにはVICラベルをおこなった。測定により得られたシグナル強度の相対値を、図4に示す。図中、18SrRNAのデータを中抜きの丸で、GAPDHのデータを黒丸で、それぞれ示している。各サンプルとも、図1と同様の結果が得られ、マルチプレックスで測定しても結果が変わらないことがわかった。従って複数のマーカーを同時に検出することで、がん検出の精度が向上し、コスト削減、サンプル量削減につながるので有用である。
(方法)
健常人から尿100mlをとり、50mlチューブ(ファルコン社製)に10mlずつ10本にわけた。そのうちの5本は凍結乾燥させた後、4℃で保存した。残り5本のうち、1本には何も加えずそのままとし、その他の4本には膀胱がん細胞株EJ-1を1ml加え、ホモジナイザーで混合して均一化させた。これを4000×gで10分間遠心し、その上清を採取して、これをRneasy キット(QIAGEN社製)を用いてRNAを抽出した。このRNAの一部を用いて、Rnaseフリー水21.5μl、2×Taqman Universal PCR Master Mix 25μl;CEA、GAPDH、18SrRNAについての各プライマー・プローブセットをそれぞれ2.5μl(以上、アプライドバイオシステムズ社製)を0.2mlのPCR用チューブにいれて混合した。ここで使用したプローブは、その末端の一方に蛍光物質がついており、もう一方側には消光物質がついているレポータープローブである。この混合物を、95℃/20”―(95℃/3”―60℃/30”)×40の温度条件で、7500Fastシステム(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、リアルタイムに蛍光強度を測定しながら核酸増幅した。コピー数を計算する標準物質として、GAPDH、CEA、18SrRNAのcDNAが入ったプラスミドを使用し、同時に増幅した。
(結果)
核酸増幅のシグナルが得られた。患者サンプルと健常人サンプルの蛍光強度の結果をまとめたものを図5に示す。この図で、サンプルNo.1は健常人の尿で、No.2から5までは健常人の尿に膀胱がんの細胞株DJ-1を加えたものである。18SrRNAのデータを中抜きの丸、GAPDHのデータを黒丸、CEAのデータを中抜きの四角示している。
およそ20mlの尿から、健常人では、18SrRNA、GAPDH、CEAともに検出値が相対値5以下と少なく、他のがん細胞株由来のサンプルでは10以上となり、閾値が10pg/μl・total RNA付近で設定できた。このことから、これらのハウスキーピング遺伝子を用いると、閾値10pg/μl・total RNA以上は陽性、閾値以下は陰性と判定することができた。これにより、健常人ではハウスキーピング遺伝子を発生させる少量の正常細胞の存在があることがわかり、一方がん細胞株ではハウスキーピング遺伝子を発生させる多量のがん細胞が存在することが実証された。また、CEAの値より18SrRNA、GAPDHの値が高値であり、CEAより性能がよいことがわかった。
判定の結果、サンプルNo.1は、18SrRNA、GAPDH、CEAが閾値の10以下であったため、正常と判定され、サンプルNo.2〜5は少なくとも1つが閾値の10以上であり、正常検体No.1より2倍以上であったため、がんである可能性があると判定された。
実施例6と同一サンプルを用いて、18SrRNA及びGAPDHを同時にマルチプレックスとして増幅した。このとき、18SrRNA用のプローブにはFAMラベルを行い、GAPDH用のプローブにはVICラベルをおこなった。その結果、各サンプルとも、図2と同様の結果が得られ(図示せず)、マルチプレックスで測定しても結果が変らないことがわかった。従って複数のマーカーを同時に検出することで、がん検出の精度が向上し、コスト削減、サンプル量削減につながるので有用である。
(方法)
健常人6人及び膀胱がん患者6人の尿を100mlずつ採取し、3000×g、で1分間遠心し、その残渣を得た。この残渣にPBSを10ml加えて沈殿物をほぐした。そこから、全タンパクをタンパク質精製用分取システムPLC-561iマニュアルインジェクター(GLサイエンス社製、7810-15000)にて回収し、SDS−ポリアクリルアミドゲル(Bio rad社製)を使って電気泳動を行い、ニトロセルロース膜をゲルにかぶせて転写したあと、抗GAPDH抗体(シグマ社製、G9545)を使い、さらにHRP標識2次抗体をつかって、染色した。そのデータをもとに、+/−判定をした。
(結果)
結果を表1に示す。健常人からは、GAPDHタンパク質が検出されなかったが(0/6=0%)、膀胱がん患者からはGAPDHタンパク質が検出された(6/6=100%)。このことから、膀胱がん検査としてハウスキーピング遺伝子が使用可能といえた。
Figure 2009057695
大腸がん患者75人(ステージ 0:5人、ステージ I:13人、ステージ II:28人、ステージ III:16人、ステージ IV:13人)、コントロール群41人の便0.5〜1.0gからRNAを抽出し、cDNAを作製後、コピー数が既知の標準サンプルと共にリアルタイムPCR(ABI 7500 Fast system)にてβ2ミクログロブリン(B2M)の発現を定量化し比較を行なった。なお、B2M検出用プライマーとして、市販のTaqMan(登録商標)プローブ(アプライドバイオシステムズ社製)を用いた。
その結果、B2Mコピー数の中央値は、コントロール群で6967、大腸がんで7639であり、統計学的な有意差を認めなかった(p=0.38、Mann−Whitney検定)。コントロール群とステージ III/IVとの比較では、中央値はそれぞれ6967と29272であり、p=0.015と有意差を認めた。ステージ 0 /I/IIとステージ III/IVの大腸がんの比較では、ステージ III/IVで有意にB2Mコピー数が多い結果となった(p=0.004)。また、占拠部位(右半結腸と左半結腸)での比較では、p=0.80と有意差を認めなかった。
ステージ 0/I/IIの初期がんではがん細胞が存在していても剥離細胞の数が少ないため、コントロール群との差が見られなかったと考えられるが、ステージ III/IVの進行がんでは剥離細胞の数が増加し、有意差を認めたものと思われる。
なお、図6はコントロール群と大腸がん患者群のそれぞれのB2Mコピー数を示した図であり、図7は、コントロール群と各ステージの大腸がん患者群のそれぞれのB2Mコピー数を示した図である。各ステージの結果を比較しても、ステージ 0/I/IIの初期がんではコントロール群とほぼ同程度のB2Mコピー数であったが、ステージ III及びIVでは顕著にB2Mコピー数が多くなっていることが確認された。特に大腸がん患者群では、ステージ IIIの群の平均B2Mコピー数が最も多かった。
これらの結果から、糞便中のB2Mの発現量(B2M由来mRNA量)を測定することにより、ステージ III/IVの大腸がん等の進行がんを検出し得ること、すなわち、B2Mが進行がんの腫瘍マーカーそのものとして使用し得ることが明らかである。また、B2Mは、他の腫瘍マーカーと併用することにより、がんの進行度についてより信頼性の高い結果を得ることが期待できることから、腫瘍マーカーの補正にも使用可能である。
大腸がん患者91人、コントロール群45人の糞便0.5〜1.0gからRNAを抽出し、cDNAを合成した後、コピー数が既知の標準サンプルと共にリアルタイムPCR(ABI 7500 Fast system)にてCOX2及びβ2ミクログロブリン(B2M)の発現を定量化し比較を行なった。なお、COX2及びB2M検出用プライマーとして、市販のTaqMan(登録商標)プローブ(アプライドバイオシステムズ社製)を用いた。
COX2コピー数単独による感度は85.7%(78/91)であり、特異度は93.3%(42/45)であった。COX2コピー数をB2Mコピー数で除した値(COX2コピー数/B2Mコピー数)で検出値を補正したところ、補正値による感度は94.5%(86/91)、特異度は95.6%(43/45)となった。補正を行なった場合と行なわなかった場合で、感度・特異度についての有意差検定を行なったところ、感度については有意差が認められ(P=0.047)、補正を行なうことで感度が上昇することがわかった。
健常人1名より採取された糞便を、15mlのポリプロピレンチューブ(FALCON社製)に9g採取して均一になるようによく混合した後、5gと4gにわけた。このうち、5gの糞便の方には、1mlの大腸がん患者由来細胞株CCK−81細胞培養液と4mlのPBSを加えてさらによく混合し、それぞれ1mlずつ5本の15mlのポリプロピレンチューブに均等に分けた(試料A0〜A4)。一方、4gの糞便の方には、4mlのPBSを加えてさらによく混合した後、それぞれ1mlずつ4本の15mlのポリプロピレンチューブに均等に分けた(試料A5〜A8)。
CCK−81細胞培養液をいれた試料5本のうちの1本(試料A0)を、採便直後の糞便コントロールとし、速やかに核酸回収操作を行った。残りの試料のうちの2本(試料A1〜2)に、それぞれ10mlのエタノール(糞便試料調製用溶液)を加えて混合し、室温で浸漬させた後、核酸回収操作を行った。残りの2本(試料A3〜4)は、4℃で24時間保存した後、核酸回収操作を行った。また、CCK−81細胞培養液をいれていない試料4本のうちの2本(試料A5〜6)は、それぞれ10mlのエタノールを加えて混合し、室温で浸漬させた後、核酸回収操作を行った。残りの2本(A7〜8)は、4℃で24時間保存した後、核酸回収操作を行った。
各試料の核酸回収操作は以下のように行った。まず、各試料をそれぞれ混合し、均一化させた後、遠心で夾雑物を取り除き、酸性フェノール・グアニジン・クロロホルム溶液を10ml加え、良く混合した後、4000×gで10分間遠心し、上清を分取した。試料A0〜A8から調製されたこれらの上清を一部とり、UV分光光度計を用いて上清中の総RNA量を測定した。その結果、RNA濃度は、190ng〜510ng/μlであり、RNAの総回収量は、9.5μg〜25.5μgとなった。260/230nm吸光度比は、それぞれ1.8以上であり、塩等の混入は無視できるほど少ないといえた。また、260/280nm吸光度比は、それぞれ1.8〜2.3であり、タンパク質等の混入は無視できるほど少ないといえた。これらのRNAの濃度及び総量、2つの吸光度比(精製度)の結果から、試料A0〜A8から抽出・精製されたRNAの品質は良好であり、信頼性があると考えられたため、次の検査工程に移った。
このRNAの品質チェックを別の観点からするため、アジレントテクノロジー社の電気泳動装置「バイオアナライザ」を用いて測定した。その結果、腸内細菌由来の23S及び16SリボソーマルRNAのバンドが確認された。RIN値を求めると、8.0〜8.9であり、検査続行基準である3よりも大きいため、断片化度合いが少なく(分解度が十分に低く)、品質が良好であると判断された。この電気泳動結果からも、料A0〜A8から抽出・精製されたRNAの品質は良好であり、信頼性があるものであり、次の検査工程に移ることができると考えられた。
これらの糞便試料から抽出・精製されたRNAを、それぞれ適量をとり、TEを用いて適宜希釈し、150ng/μlにノーマライズした。
これらのRNAを用いて、常法によりRT−PCRを行い、cDNAを得た。このcDNAを1μlと、21.5μlのRNase Free水、25μlの2×Taqman Universal PCR Master Mix、2.5μlの標的遺伝子{COX2(cycloーoxygenaseー2)及びGAPDH(glyceraldehyde 3−phosphate dehydrogenase)}を検出するためのプライマー・プローブセット(以上、アプライドバイオシステムズ社製)を、0.2mlのPCR用チューブにいれて混合した。ここで、これらのプローブは、片側に蛍光物質がラベルされており、反対側には消光物質がラベルされているレポータープローブである。
これらの混合物を、95℃で2分間処理した後、95℃で30秒間、60℃で1分間を40サイクルの反応条件で、7900HTシステム(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、リアルタイムに蛍光強度を測定しながら核酸増幅(PCR)した。コピー数を計算する対照試料(標準物質)として、COX2、GAPDHのcDNAが入ったプラスミドを使用し、同時に増幅した。
図11〜12は、各試料において得られた核酸増幅のシグナルを、標的遺伝子ごとに示した図である。各図の縦軸は対数表示であり、単位は相対値である。図11はCOX2遺伝子由来核酸(COX2遺伝子由来RNAから得られたcDNAを鋳型として得られた核酸増幅産物)の検出結果を示した図である。一方、図12はGAPDH遺伝子由来核酸(COX2遺伝子由来RNAから得られたcDNAを鋳型として得られた核酸増幅産物)の検出結果を示した図である。採便直後に核酸抽出操作を行った試料A0と、糞便試料調製用溶液であるエタノールを添加して浸漬させた試料A1〜2では、図11に示すように、COX2の量が基準量(10)より多くみられたことから、がん細胞由来のCOX2を検出でき、検査陽性と判定できた。
一方、CCK−81細胞培養液をいれていない糞便2本(試料A5〜6)については、COX2遺伝子由来核酸量が基準量(10)より少なく、このため検査陰性と判定した。また、図12に示すように、標準遺伝子として用いた発現量が一定であるGAPDH遺伝子由来核酸の量が基準値(1)より多く検出できたことから、当該検査工程は成功しており、信頼性のあるデータがでているといえる。また、別の検査結果の解析方法として、COX2遺伝子由来核酸量をGAPDH遺伝子由来核酸量で除した値(COX2/GAPDH値)をそれぞれ求めた。この値により糞便中の大腸細胞の単位細胞当たりのCOX2遺伝子の発現量を求めることができ、基準値より多かったことから(0.1)、検査陽性と判定できた。
一方、糞便試料調製用溶液であるエタノールを添加して浸漬させなかった試料A3〜4、及びA7〜8は、COX2、GAPDHともに検出基準値より低かった。標準遺伝子であるGAPDH量が基準値よりも少量であったことから、これらの試料から抽出・精製されたRNAは、信頼できず、よって、標的遺伝子であるCOX2のデータ(検出結果)に信頼性がないと考えられた。実際に、CCK−81細胞培養液を混入させた試料である試料A3〜4においても、COX2量が基準値未満であり、検査陰性と判定されたことからも、これらの判定結果が信頼性に乏しいことが明らかである。このように、試料1〜2及び5〜6由来のRNAの品質は十分である一方で、試料A3〜4及びA7〜8由来のRNAの品質が悪かったのは、エタノール浸漬していなかったことによる違いと考えられる。
さらに、試料A0〜2、A5〜6を用いて、COX2とGAPDHを同時にマルチプレックスPCRにより増幅した。このとき、COX2用のプローブにはFAMラベルを行い、GAPDH用のプローブにはVICラベルを行った。図13は、各試料において得られた核酸増幅のシグナルを示した図である。縦軸は対数表示であり、単位は相対値である。各試料とも図11及び12と同様の結果が得られ、マルチプレックスPCRによっても測定可能であることが明らかとなった。
また、一般的に、採取された糞便中に含まれている細胞量は、糞便の状態に依存する。そこで、標的遺伝子であるCOX2遺伝子由来核酸量(COX2遺伝子のmRNA発現量)を糞便の総核酸量で除する(COX2遺伝子のmRNA発現量/糞便の総核酸量)ことにより、糞便の状態(=細胞量と相関する)による総核酸量の増減を補正することができる。この計算による補正方法は、糞便検体が異なる場合(被検者が異なる場合)に特に有効である。ただし、本実施例では、よく混ぜ合わせた均一で単一の糞便を使用しているため、総核酸量で補正したのと同じことをしており、補正不要であった。
健常人1名より採取された糞便を、2本の15mlのポリプロピレンチューブ(FALCON社製)に5gずつ採取して3gと2gに分けた。このうち、3gには、1mlの大腸がんの細胞株CCK−81細胞培養液と2mlのPBSを加えて混合した後、3本の15mlのポリプロピレンチューブに均等に分けた(試料B0、1、2)。一方、2gには、CCK−81細胞培養液は添加せず、2mlのPBSを加えて混合した後、2本の15mlのポリプロピレンチューブに均等に分けた(試料B3〜4)。
CCK−81細胞を加えた3本(試料B0〜2)のうち、B0はすぐに抽出操作を行った。残りのB1〜B2とCCK−81細胞を加えなかった2本(試料B3〜4)は、一度、−80℃で冷凍凍結した後、遠心分離処理により夾雑物を取り除き、酸性フェノール・グアニジン・クロロホルム溶液を10mL加え、良く混合した後、4000×gで10分間遠心し、上清を分取し、核酸回収操作を行った。なお、これらの試料の核酸回収操作は実施例11と同様にして行った。
RNAを含む上精の一部をとり、UV分光光度計を用いて上清中のRNA濃度と、総RNA量とUVの260/230nm吸光度比、260/280nm吸光度比を、それぞれ測定した。その結果、濃度はいずれも、560ng/μl以上あり、閾値(10)を超えていた。また、総RNA量は、B0が29μg、B1が35μg、B2が28μg、B3が32μg、B4が39μgであった。一方、UVの260/230nm吸光度比はいずれも2.0以上、UVの260/280nm吸光度比はいずれも1.8〜2.3であった。
これらのRNAの濃度及び総量、2つの吸光度比(精製度)の結果から、試料B0〜B4から抽出・精製されたRNAの品質は良好であり、信頼性があると考えられたため、次の検査工程に移った。
回収された各試料のRNA量を一定濃度にあわせてノーマライズするため、それぞれ適量をとり、TEを用いて適宜希釈し、150ng/μlにノーマライズした。また、RNAコントロール検体として、10個のCCK−81細胞を15mlのポリプロピレンチューブに分取し(試料C1)、RNeasy mini kit(Qiagen社製)を用いてRNAを回収した後、TEを用いて適宜希釈し、10ng/μlにノーマライズした。
これらのRNAを用いて常法にてRT−PCRを行い、cDNAを得た。このcDNAを1μlと、21.5μlのRNase Free水、25μlの2×Taqman Universal PCR Master Mix、2.5μlの標的遺伝子{IGF−1及びβ2ミクログロブリン(B2M)}を検出するためのプライマー・プローブセット(以上、アプライドバイオシステムズ社製)を、0.2mlのPCR用チューブにいれて混合した。ここで、これらのプローブは、片側に蛍光物質がラベルされており、反対側には消光物質がラベルされているレポータープローブである。
これらの混合物を、95℃で2分間処理した後、95℃で30秒間、60℃で1分間を40サイクルの反応条件で、7900HTシステム(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、リアルタイムに蛍光強度を測定しながら核酸増幅(PCR)した。コピー数を計算する対照試料(標準物質)として、大腸がん(CCK−81)細胞株から分離・抽出したIGF−1遺伝子のcDNAをpCR2.1プラスミド(Invitrogen社製)に結合させたプラスミドを構築し、該プラスミド含有試料(試料C2;濃度1ng/μl)を用いた。試料C2が含有するプラスミドは、試料B0〜4をリアルタイムPCRで核酸増幅する際に、検量線を作成するためのコントロールとして用いた。検量線は、試料C2を1〜10000倍まで1/10ずつ5段階希釈したものを鋳型として同条件でリアルタイムPCRを行って得られた結果を用いて作成した。
図14はIGF−1遺伝子由来核酸(IGF−1遺伝子由来RNAから得られたcDNAを鋳型として得られた核酸増幅産物、以下、IGF−1発現量)の検出結果であり、図15はB2M遺伝子由来核酸(B2M遺伝子由来RNAから得られたcDNAを鋳型として得られた核酸増幅産物、以下、B2M発現量)の検出結果である。各図は、それぞれの各試料において得られた核酸増幅のシグナルを、試料C2の結果を用いて試料間補正を行った結果を示している。その結果、CCK−81細胞を混入させた試料B1〜2は、CCK−81細胞を混入させなかった試料B3〜4よりも、いずれの遺伝子の発現量も高かった。特に、試料B1〜2のIGF−1発現量は基準値10以上であり、検査陽性と判定できた。これに対して、試料B3〜4のIGF−1発現量は基準値10未満であり、検査陰性と判定できた。
表2又は表3の基準に従って、RNAの量や濃度、品質及び/又はB2M発現量の結果と、IGF−1発現量の結果から、一連の検査工程に信頼性があるかどうかを判断した。票及び表2中、「+」はPCRにより増幅産物が確認されたもの(発現あり)であり、「−」はPCRにより増幅産物が確認されなかったもの(発現なし)である。
Figure 2009057695
Figure 2009057695
その結果、RNAの品質は、いずれの試料においても、UV260/230nm吸光度比、260/280nm吸光度比ともに基準範囲内であり、良好であると判定された。B0〜4のRNAの回収量は、全て1μgを超えており、検査工程が良好であると判定された。さらに、IGF−1及びB2Mの発現が全ての試料について検出されたため(>0)、検査工程は良好に行われたと判定された。これらの結果から、工程の信頼性が確認できた。
また、オプションとして、標的遺伝子であるIGF−1発現量を、標準遺伝子として用いた発現量が一定であるB2M発現量で除することにより補正し(IGF−1発現量/B2M発現量)、細胞当たりの発現量を求めてそれぞれ比較した。補正により得られた結果を図16に示す。この結果、試料B1〜2では、試料B3〜4と比較して発現量による明確な差がみられた。すなわち、標的遺伝子由来RNA量を、標準遺伝子由来RNA量で除することにより、より腺腫又はがんの検査の感度や特異度が向上することが明らかとなった。
本発明は、容易に採取可能な試料について生物学的マーカーの遺伝子解析を行うことで、がんの早期検出が可能になる。また、本発明の腺腫又はがんの検査方法を用いることにより、糞便核酸の検査工程を高い信頼性をもって実施することが可能となる。糞便中の微量に存在する標的核酸を高精度に測定し解析することができるため、糞便試料を用いた臨床検査等の分野、特に信頼性の高い診断結果を要求される腺腫診断又はがん診断等の分野において利用が可能である。

Claims (27)

  1. 被験者から採取した体液試料又は排泄物試料中に含まれる、少なくとも一のハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を構成する配列の量を測定して、試料中の当該配列の濃度を算出する工程を含む、腺腫又はがんの検出方法。
  2. (i)被験者から採取した体液試料又は排泄物試料を、核酸又は蛋白質の抽出処理にかける工程;及び
    (ii)抽出された核酸又は蛋白質の中の、少なくとも一のハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を構成する配列の量を測定して、当該試料中の当該配列の濃度を算出する工程;を含む、腺腫又はがんの検出方法。
  3. 前記工程(i)の前に、
    (a)前記試料を均一化処理にかけ、適宜、0℃以下の温度にて凍結、凍結乾燥、又はアルコール若しくはアルコール溶液で処理する工程;を更に含む、請求項2に記載の腺腫又はがんの検出方法。
  4. 前記工程(i)と(ii)との間に、
    (b)前記工程(i)で抽出されるRNA中の、少なくとも一のハウスキーピング遺伝子由来のものをcDNA化する工程;を更に含み、
    前記工程(ii)において当該cDNAを定量する、請求項2に記載の腺腫又はがんの検出方法。
  5. 前記体液試料が、唾液、喀痰、鼻水、涙液、胃液、胆汁、膵液、汗、脳脊髄液、膿、胸水、心嚢水、乳、膣分泌液、精液、腹水、羊水、リンパ液、又は血液のいずれかであり、前記排泄物試料が、糞便又は尿である、請求項1又は2に記載の腺腫又はがんの検出方法。
  6. 前記ハウスキーピング遺伝子が2種類以上であり、それら又はそれらの発現産物を構成する配列の量を複数同時に測定する、請求項1又は2に記載の腺腫又はがんの検出方法。
  7. 前記ハウスキーピング遺伝子が、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH:glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)、18S リボソームRNA、28S リボソームRNA、βアクチン、β2ミクログロブリン、ヒポキサンチンホスホリボシル・トランスフェラーゼ1、リボソーム蛋白質ラージP0、ペプチジルプロピル・イソメラーゼA(シクロスポリンA)、チトクロームC、ホスホグリセレート・キナーゼ1、β-グルクロニダーゼ、TATAボックス結合因子、トランスフェリン受容体、HLA-A0201重鎖、リボソームタンパク質L19、αチューブリン、βチューブリン、γチューブリン、ATPシンセターゼ、翻訳伸長因子1ガンマ(EEF1G:eukaryotic translation elongation factor 1 gamma)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体(SDHA:succinate dehydrogenase complex)、アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS:aminolevulinic acid synthase 1)、ADP-リボシル化因子6(ADP-ribosylation factor 6)、エンドヌクレアーゼG(ENDOG:endonuclease G)、及びペルオキシソーム形成因子(PEX:peroxisomal biogenesis factor)からなる群より選択される遺伝子である、請求項6に記載の腺腫又はがんの検出方法。
  8. 前記排泄物試料が糞便であり、前記ハウスキーピング遺伝子がβ2ミクログロブリンである請求項1又は2に記載の腺腫又はがんの検出方法。
  9. 前記工程(ii)の後に、さらに、
    (iii)抽出された核酸又は蛋白質の中の、少なくとも一の腫瘍遺伝子又はその発現産物を構成する配列の量を測定して、試料中の当該配列の濃度を算出する工程;及び
    (iV)工程(ii)において算出されたハウスキーピング遺伝子又はその発現産物を構成する配列の濃度に基づき、工程(iii)において算出された腫瘍遺伝子又はその発現産物を構成する配列の濃度を補正する工程;を含む、請求項2に記載の腺腫又はがんの検出方法。
  10. 腺腫又はがんのマーカー遺伝子(以下、標的遺伝子という)を用いて腺腫又はがんを検査する方法であって、下記工程を有する(但し、工程(B)(C)(D)(E)は、工程(D)(E)(B)(C)、工程(B)(D)(C)(E)、工程(B)(D)(E)(C)、工程(D)(B)(E)(C)、又は工程(D)(B)(C)(E)の順に行ってもよい。)ことを特徴とする腺腫又はがんの検査方法:
    (A)被験者から採取した糞便中に含まれるRNAを抽出し、RNA溶液として精製する工程;
    (B)前記工程(A)において得られたRNA溶液中の標的遺伝子由来RNAの量を測定する工程;
    (C)前記工程(B)において得られた標的遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較し、前記被験者が腺腫又はがんに罹患しているか否かを判定する工程;
    (D)前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの、精製度、分解度、濃度、及び標準遺伝子由来RNAの量からなる群より選択される1以上を測定する工程;
    (E)前記工程(D)において得られた値に基づき、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの信頼性を判断する工程;
    (F)前記工程(E)において、前記RNAの信頼性があると判断した場合には、前記工程(C)における判定が信頼できると判断し、前記RNAの信頼性がないと判断した場合には、前記工程(C)における判定が信頼できないと判断する工程。
  11. 前記工程(B)、(C)、(D)及び(E)が、工程(D)(E)(B)(C)の順に行うものであり、前記工程(B)が下記工程(B1)であり、前記工程(C)が下記工程(C1)であることを特徴とする請求項10記載の腺腫又はがんの検査方法:
    (B1)前記工程(E)において、前記RNAの信頼性がないと判断した場合には検査を終了し、前記RNAの信頼性があると判断した場合には、前記工程(A)において得られたRNA溶液中の標的遺伝子由来RNAの量を測定する工程;
    (C1)前記工程(B1)において得られた標的遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較し、前記被験者が腺腫又はがんに罹患しているか否かを判定する工程。
  12. 前記工程(B)、(C)、(D)及び(E)が、工程(B)(D)(E)(C)の順に行うものであり、前記工程(D)が下記工程(D2)であり、前記工程(E)が下記工程(E2)であり、前記工程(C)が下記工程(C2)であることを特徴とする請求項10記載の腺腫又はがんの検査方法:
    (D2)前記工程(B)の後、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの、精製度、分解度、濃度、及び標準遺伝子由来RNAの量からなる群より選択される1以上を測定する工程;
    (E2)前記工程(D2)において得られた値に基づき、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの信頼性を判断する工程;
    (C2)前記工程(E2)において、前記RNAの信頼性がないと判断した場合には検査を終了し、前記RNAの信頼性があると判断した場合には、前記工程(B)において得られた標的遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較し、前記被験者が腺腫又はがんに罹患しているか否かを判定する工程。
  13. 腺腫又はがんのマーカー遺伝子(以下、標的遺伝子という)を用いて腺腫又はがんを検査する方法であって、下記工程を有することを特徴とする腺腫又はがんの検査方法:
    (A)被験者から採取した糞便中に含まれるRNAを抽出し、RNA溶液として精製する工程;
    (B’)前記工程(A)において得られたRNA溶液中の標的遺伝子由来RNAの量及び標準遺伝子由来RNAの量を測定する工程;
    (C’)前記工程(B’)において得られた標的遺伝子由来RNAの量を標準遺伝子由来RNAの量で除した値が、予め設定された閾値よりも大きい場合には前記被験者が腺腫又はがんに罹患していると判定し、予め設定された閾値よりも小さい場合には前記被験者は腺腫又はがんに罹患していないと判定する工程;
    (D)前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの、精製度、分解度、濃度、及び標準遺伝子由来RNAの量からなる群より選択される1以上を測定する工程;
    (E)前記工程(D)において得られた値に基づき、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの信頼性を判断する工程;
    (G’)前記工程(E)において、前記RNAの信頼性があると判断した場合には、前記工程(C’)における判定が信頼できると判断し、前記RNAの信頼性がないと判断した場合には、前記工程(C’)における判定が信頼できないと判断する工程。
  14. RNAの精製度の測定が、前記工程(A)において得られたRNA溶液の、260nmにおける吸光度を230nmにおける吸光度で除した値(260/230nm吸光度比)、及び/又は260nmにおける吸光度を280nmにおける吸光度で除した値(260/280nm吸光度比)を測定するものであることを特徴とする請求項10〜13のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
  15. 前記260/230nm吸光度比又は前記260/280nm吸光度比が1.0未満又は2.5超である場合に、前記工程(A)において得られたRNAの信頼性がないと判断することを特徴とする請求項14記載の腺腫又はがんの検査方法。
  16. RNAの分解度の測定が、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの、23SリボソーマルRNAのフラグメント量を16SリボソーマルRNAのフラグメント量で除した値(23S rRNA/16S rRNA比)を測定するものであることを特徴とする請求項10〜15のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
  17. 前記23S rRNA/16S rRNA比が1.6未満又は2.5超である場合に、前記工程(A)において得られたRNAの信頼性がないと判断することを特徴とする請求項16記載の腺腫又はがんの検査方法。
  18. 前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAの濃度が10ng/μL未満である場合に、前記工程(A)において得られたRNAの信頼性がないと判断することを特徴とする請求項10〜17のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
  19. 前記標準遺伝子由来RNAの量が予め設定された閾値よりも少ない場合に、前記工程(A)において得られたRNAの信頼性がないと判断することを特徴とする請求項10〜18のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
  20. 前記標的遺伝子由来RNAの量の測定を、前記工程(A)において得られたRNA溶液をノーマライズした後に行うことを特徴とする請求項10〜19のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
  21. 前記標的遺伝子由来RNAの量の測定を、前記工程(A)において得られたRNA溶液中のRNAから逆転写反応により得られたcDNAを鋳型として核酸増幅をすることによって行うことを特徴とする請求項10〜19のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
  22. 前記標的遺伝子由来RNAの量の測定を、前記工程(A)において得られたRNA溶液をノーマライズした後に逆転写反応を行い、得られたcDNAを鋳型として核酸増幅をすることによって行うことを特徴とする請求項10〜19のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
  23. 前記工程(B’)における標的遺伝子由来RNAの量及び標準遺伝子由来RNAの量の測定を、マルチプレックスPCRを用いて行うことを特徴とする請求項13記載の腺腫又はがんの検査方法。
  24. 前記標準遺伝子が、ハウスキーピング遺伝子又は上皮細胞特異的遺伝子であることを特徴とする請求項10〜23のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
  25. 前記上皮細胞特異的遺伝子が、癌胎児抗原遺伝子、細胞接着因子遺伝子、ムチン遺伝子、及びサイトケラチン遺伝子からなる群より選択される遺伝子であることを特徴とする請求項24記載の腺腫又はがんの検査方法。
  26. 前記標的遺伝子が、COX2(Cyclooxygenase 2)、MMP7(matrix metallopeptidase7)、及びSNAILからなる群より選択される遺伝子であることを特徴とする請求項10〜25のいずれか記載の腺腫又はがんの検査方法。
  27. 前記標準遺伝子が、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH:glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)、18S リボソームRNA、28S リボソームRNA、βアクチン、β2ミクログロブリン、ヒポキサンチンホスホリボシル・トランスフェラーゼ1、リボソーム蛋白質ラージP0、ペプチジルプロピル・イソメラーゼA(シクロスポリンA)、チトクロームC、ホスホグリセレート・キナーゼ1、β-グルクロニダーゼ、TATAボックス結合因子、トランスフェリン受容体、HLA-A0201重鎖、リボソームタンパク質L19、αチューブリン、βチューブリン、γチューブリン、ATPシンセターゼ、翻訳伸長因子1ガンマ(EEF1G:eukaryotic translation elongation factor 1 gamma)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体(SDHA:succinate dehydrogenase complex)、アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS:aminolevulinic acid synthase 1)、ADP-リボシル化因子6(ADP-ribosylation factor 6)、エンドヌクレアーゼG(ENDOG:endonuclease G)、ペルオキシソーム形成因子(PEX:peroxisomal biogenesis factor)、CEA(Carcinoembryonic antigen)、epithelial cell adhesion molecule(EpCAM)、mutin2(MUC2)、mutin3(MUC3)、mutin4(MUC4)、keratin 7(CK7)、keratin 19(CK19)、及びkeratin 20(CK20)からなる群より選択される遺伝子であることを特徴とする請求項24記載の腺腫又はがんの検査方法。
JP2009539105A 2007-10-30 2008-10-30 遺伝子解析による腺腫又はがんの検出方法 Pending JPWO2009057695A1 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007282044 2007-10-30
JP2007282044 2007-10-30
JP2008222748 2008-08-29
JP2008222748 2008-08-29
JP2008252649 2008-09-30
JP2008252649 2008-09-30
PCT/JP2008/069757 WO2009057695A1 (ja) 2007-10-30 2008-10-30 遺伝子解析による腺腫又はがんの検出方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2009057695A1 true JPWO2009057695A1 (ja) 2011-03-10

Family

ID=40591079

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009539105A Pending JPWO2009057695A1 (ja) 2007-10-30 2008-10-30 遺伝子解析による腺腫又はがんの検出方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20100255481A1 (ja)
JP (1) JPWO2009057695A1 (ja)
WO (1) WO2009057695A1 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1772522A1 (en) * 2005-10-04 2007-04-11 Nederlandse Organisatie Voor Toegepast-Natuurwetenschappelijk Onderzoek Tno Control of preservation by biomarkers
GB0922006D0 (en) * 2009-12-17 2010-02-03 Genome Res Ltd Diagnostic
JP5755326B2 (ja) * 2010-06-11 2015-07-29 日立化成株式会社 腎機能の特徴を決定する方法
WO2011156734A2 (en) 2010-06-11 2011-12-15 Hitachi Chemical Co., Ltd. Method of characterizing vascular diseases
EP2717989B1 (en) 2011-06-10 2018-05-30 Hitachi Chemical Co., Ltd. Vesicle capturing devices and methods for using same
BR112013032629A2 (pt) 2011-06-19 2017-08-01 Abogen Inc dispositivos, soluções e métodos para coletamento de amostra
JP6074677B2 (ja) * 2012-08-07 2017-02-08 学校法人北里研究所 膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー及び膀胱癌診断用キット並びにこれらを使用する方法
US9662649B2 (en) 2013-05-06 2017-05-30 Hitachi Chemical Company America, Ltd. Devices and methods for capturing target molecules
EP2915884B1 (en) 2014-03-03 2017-12-06 Fundacio Institut d'Investigació Biomèdica de Girona Dr. Josep Trueta Method for diagnosing colorectal cancer from a human feces sample by quantitive PCR
AU2015226811B2 (en) 2014-03-07 2021-07-15 Dna Genotek Inc. Composition and method for stabilizing nucleic acids in biological samples
US10266895B2 (en) 2014-11-05 2019-04-23 Hitachi Chemical Company Ltd. Exosomes and microvesicles in intestinal luminal fluids and stool and use of same for the assessment of inflammatory bowel disease
EP3218521B1 (en) 2014-11-12 2019-12-25 Hitachi Chemical Co., Ltd. Method for diagnosing organ injury
JP6624704B2 (ja) 2015-08-31 2019-12-25 日立化成株式会社 尿路上皮疾患の評価のための分子法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004173524A (ja) * 2002-11-25 2004-06-24 Gifu Univ Rna抽出方法
JP2005536985A (ja) * 2001-12-03 2005-12-08 ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビア 先天性免疫のエフェクター
WO2006044594A2 (en) * 2004-10-15 2006-04-27 Monell Chemical Senses Center Methods for culturing mammalian taste cells
WO2006069638A1 (de) * 2004-12-22 2006-07-06 Henkel Kommanditgesellschaft Auf Aktien Nukleinsäure-bidende chips zur detektion von phosphatmangelzuständen im rahmen der bioprozesskontrolle
WO2007018257A1 (ja) * 2005-08-10 2007-02-15 Hamamatsu Foundation For Science And Technology Promotion 大腸癌マーカー検出方法
JP2007159491A (ja) * 2005-12-14 2007-06-28 Hitachi Ltd 大腸がんの検査に使用する遺伝子セット

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU745185B2 (en) * 1997-06-25 2002-03-14 Promega Corporation Method of isolating RNA
ES2335344T3 (es) * 2003-03-19 2010-03-25 Hamamatsu Foundation For Science And Technology Promotion Procedimiento para detectar un marcador de cancer de colon.
US20040259101A1 (en) * 2003-06-20 2004-12-23 Shuber Anthony P. Methods for disease screening

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005536985A (ja) * 2001-12-03 2005-12-08 ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビア 先天性免疫のエフェクター
JP2004173524A (ja) * 2002-11-25 2004-06-24 Gifu Univ Rna抽出方法
WO2006044594A2 (en) * 2004-10-15 2006-04-27 Monell Chemical Senses Center Methods for culturing mammalian taste cells
WO2006069638A1 (de) * 2004-12-22 2006-07-06 Henkel Kommanditgesellschaft Auf Aktien Nukleinsäure-bidende chips zur detektion von phosphatmangelzuständen im rahmen der bioprozesskontrolle
WO2007018257A1 (ja) * 2005-08-10 2007-02-15 Hamamatsu Foundation For Science And Technology Promotion 大腸癌マーカー検出方法
JP2007159491A (ja) * 2005-12-14 2007-06-28 Hitachi Ltd 大腸がんの検査に使用する遺伝子セット

Non-Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6011068397; 日本消化器病学会雑誌第104巻,第A507頁,消W18-8(2007年9月) *
JPN6011068398; Gastroenterology, vol. 128, pages 192-206 (2005) *
JPN6011068399; Int. J. Cancer, vol. 108, pages 219-227 (2004) *
JPN6011068401; Folia Biol., vol. 49, pages 211-216 (2003) *
JPN6012053020; Gastroenterology, vol. 127, pages 422-427 (2004) *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2009057695A1 (ja) 2009-05-07
US20100255481A1 (en) 2010-10-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2009057695A1 (ja) 遺伝子解析による腺腫又はがんの検出方法
JP6897970B2 (ja) 大腸腫瘍の有無を検査する方法
US9493839B2 (en) Non-invasive cancer diagnosis
CN109112216B (zh) 三重qPCR检测DNA甲基化的试剂盒和方法
CN102947468B (zh) 大肠肿瘤的检测方法
KR20070048701A (ko) 흑색종을 검출하기 위한 방법 및 시약
CN111560435A (zh) 一种用于结直肠癌检测的dna甲基化试剂盒及使用方法、应用
CN109055555B (zh) 一种肺癌早期转移诊断标志物及其试剂盒和应用
CN110964823A (zh) 用于结直肠癌检测的dna甲基化试剂盒和检测方法
JP7531916B2 (ja) 食道癌バイオマーカー及びその用途
EP3372696A1 (en) Methods and kits for assessing the risk of developing or diagnosing endometrial cancer
CN110229899B (zh) 用于结直肠癌早期诊断或预后预测的血浆标记物组合
EP4144859A1 (en) Tumor detection reagent and kit
JP4538525B2 (ja) 癌関連遺伝子マーカーの検出方法
CN111455053B (zh) 用于结直肠腺瘤诊断的外泌体rna分子标记物组合及其应用
JP6608424B2 (ja) 前癌性結腸直腸ポリープおよび結腸直腸癌を特定するための方法およびキット
WO2013144202A1 (en) Biomarkers for discriminating healthy and/or non-malignant neoplastic colorectal cells from colorectal cancer cells
CN107326092B (zh) 大肠癌相关的miRNA作为生物标志物的应用及大肠癌检测试剂盒
EP2203570B1 (en) 3.4 kb mitochondrial dna deletion for use in the detection of cancer
CN111154880B (zh) 一种膀胱癌体液活检生物标志物及其应用
WO2011004517A1 (ja) 標的核酸の検出方法、及び大腸癌の検査方法
CN113564257A (zh) 肿瘤标记物及其在制备结直肠癌诊断试剂盒中的应用
CN112322743A (zh) 检测人sept9基因甲基化的试剂盒及其使用方法、应用
CN116891899B (zh) 一种基因标志物组合、试剂盒及检测方法
JP7299765B2 (ja) マイクロrna測定方法およびキット

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111006

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120223

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121016

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121120

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20121120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130730

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131126