本発明は、圧電素子を用いて構成され、振動を発生させるアクチュエータ本体を備え、可動体を駆動する振動型アクチュエータに関するものである。
従来より、圧電素子を用いて構成されたアクチュエータ本体に電界を加えて、該アクチュエータ本体を振動させることで、該アクチュエータ本体に設けられた駆動子を動作させて駆動力を出力させる振動型アクチュエータが知られている。このような振動型アクチュエータは、超音波モータや微小ステップでの移動が求められる装置などで利用されている。
例えば、特許文献1に係る振動型アクチュエータは、圧電素子を用いて構成されたアクチュエータ本体と、アクチュエータ本体に設けられ可動体に駆動力を出力する駆動子と、該駆動子と反対側からアクチュエータ本体を押圧するための与圧手段とを備えている。この振動型アクチュエータでは、アクチュエータ本体が与圧手段によって固定体及び可動体のうち駆動子が当接する方(以下、被当接体ともいう)へ押圧されており、駆動子と被当接体との摩擦力が或る程度確保された状態となっている。この状態で、アクチュエータ本体の圧電素子に交流電圧を印加することによって、アクチュエータ本体に振動を誘起させ、その振動により駆動子に楕円運動を行わせる。こうして、駆動子に楕円運動させることによって、駆動子と被当接体との間の摩擦力が増大と緩和とを繰り返し、増大したときの摩擦力により駆動子から可動体へ駆動力が出力され、可動体が所定の方向へ駆動される。
尚、与圧手段は、アクチュエータ本体を被当接体に押圧する機能だけでなく、アクチュエータ本体を支持する支持部としても機能している。
特開2006−333571号公報
ところで、アクチュエータ本体から駆動子を介して可動体へ駆動力を出力する際には、被当接体から該駆動子を介してアクチュエータ本体に反力が作用する。この反力は、駆動力に比例して増大する。
ところが、特許文献1に係る振動型アクチュエータのようにアクチュエータ本体を弾性的に支持している構成においては、特にその反力も大きいときには、反力によりアクチュエータ本体自体が変位してしまう。
詳しくは、駆動子に作用する反力は、アクチュエータ本体を弾性的に支持する与圧手段を中心としたモーメントして作用し、これにより、アクチュエータ本外が該与圧手段回りに回転変位する。その結果、駆動子と被当接体との間の摩擦力が減少したり、駆動子が被当接体から離れたりして、駆動子と被当接体との接触状態が不安定となり、ひいては、振動型アクチュエータの動作が不安定となる。
その一方で、被当接体からの反力によるアクチュエータ本体の変位を防止すべく、アクチュエータ本体を非弾性的に支持してしまうと、アクチュエータ本体の振動を阻害してしまうことになる。その結果、アクチュエータ本体の振動変位を減少させることになり、ひいては駆動力を減少させてしまうことになる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アクチュエータ本体の振動を阻害することなく且つ、駆動子が被当接体から反力を受けても該駆動子と被当接体との間の当接状態を安定的に維持するアクチュエータ本体の支持構造を実現することにある。
本発明は、アクチュエータ本体を駆動子の近傍で弾性的に支持するようにしたものである。
具体的には、本発明は、固定体に対して相対移動可能に設けられた可動体を駆動する振動型アクチュエータが対象である。そして、圧電素子を用いて構成され、振動を発生させるアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体の一側面に設けられて該アクチュエータ本体の振動に従って動作することで駆動力を出力する駆動子と、前記アクチュエータ本体において前記駆動子と反対側に設けられ該アクチュエータ本体を前記固定体及び可動体のうち前記駆動子が当接する方へ押圧するための与圧手段と、前記アクチュエータ本体が実装される基礎部と、前記アクチュエータ本体を前記基礎部に対して弾性的に支持する支持部とを備え、前記支持部は、前記アクチュエータ本体における、前記駆動子が設けられている側の端部を支持しているものとする。
前記の構成の場合、アクチュエータ本体における駆動子が設けられている側の端部が支持部により支持されることになる。つまり、アクチュエータ本体は、駆動子の近傍が支持されることになり、該駆動子と支持部との距離が短くなるため、駆動子が固定体及び可動体のうち該駆動子が当接する方(被当接体)から反力を受けたとしても、アクチュエータ本体に作用する支持部回りのモーメントが小さくなり、アクチュエータ本体の支持部を中心とする回転変位を抑制することができる。
本発明によれば、アクチュエータ本体を駆動子が設けられている側の端部で支持部により弾性的に支持することによって、アクチュエータ本体をその振動を阻害することなく支持することができることに加えて、駆動子と支持部との距離が短くなるため、駆動子が被当接体から反力を受けたとしても、アクチュエータ本体の回転変位が抑制され、駆動子と被当接体との当接状態を安定的に維持することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図2は、駆動装置の斜視図である。
図3は、圧電素子ユニットの分解斜視図である。
図4は、アクチュエータ本体の概略構成を示す概略正面図である。
図5は、アクチュエータ本体の長手方向への縦振動の1次モードによる変位を示す概念図である。
図6は、アクチュエータ本体の屈曲振動の2次モードによる変位を示す概念図である。
図7は、アクチュエータ本体の動作を示す概念図である。
図8は、押圧ゴムの概略構成を示す斜視図である。
図9は、超音波アクチュエータの断面図である。
図10は、超音波アクチュエータによるステージの駆動を説明するための概念図であって、(a)は駆動前の状態、(b)はアクチュエータ本体が長手方向に伸張することで一方の駆動子によってステージを駆動する状態、(c)はアクチュエータ本体が長手方向に収縮することで他方の駆動子によってステージを駆動する状態を示す。
図11は、実施形態2に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図12は、実施形態3に係る駆動装置の正面図である。
図13は、その他の実施形態に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図14は、別のその他の実施形態に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図15は、その他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
図16は、別のその他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
図17は、さらに別のその他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
符号の説明
1,301,501,601,701 駆動装置
11,15 ステージ(可動体)
13 固定枠(基礎部、固定体)
17a 被当接部材(固定体)
19,20 円板体(可動体)
2,202,302,402 超音波アクチュエータ(振動型アクチュエータ)
4 アクチュエータ本体
5,205 ケース(基礎部)
61,261,361 板ばね(支持部)
461 支持部
62 押圧ゴム(与圧手段)
362 押圧用板ばね(与圧手段)
8 駆動子
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係る駆動装置1は、図2に示すように、ステージ11と、超音波アクチュエータ2と、該超音波アクチュエータ2を駆動制御する制御装置(図示省略)とを備えている。この駆動装置1は、非常に薄型で動作の安定した精密駆動機構を構成している。そのため、この駆動装置1は、カメラなどの自動焦点、ズーム拡大、手ぶれ補正等に用いられる。
ステージ11は、互いに平行な状態で固定体としての基台(図示省略)上に固定されたガイド12,12に摺動可能に取り付けられている。つまり、ステージ11は、ガイド12,12が延びる方向に沿って移動可能に構成されている。このステージ11が可動体を構成する。これらガイド12,12の延びる方向がステージ11の可動方向となる。このステージ11は、平面視略方形の板状部材であって、アルミナで形成されている。尚、ステージ11の材質は、アルミナに限られるものではなく、任意の材質を用いることができる。そして、前記超音波アクチュエータ2は、このステージ11の裏面(ガイド12,12が設けられている側の面)に後述する駆動子8,8が接触するように配設されている。
前記超音波アクチュエータ2は、図1に示すように、振動を発生させるアクチュエータ本体4と、該アクチュエータ本体4の駆動力をステージ11に伝達させる駆動子8,8と、該アクチュエータ本体4を収容するケース5と、アクチュエータ本体4をケース5に対して弾性的に支持する板ばね61と、アクチュエータ本体4を前記ステージ11に押圧するための押圧ゴム62とを備えている。この超音波アクチュエータ2が振動型アクチュエータを構成する。
前記アクチュエータ本体4は、圧電素子ユニット40で構成されている。
前記圧電素子ユニット40は、略長方形状の互いに対向する一対の主面と、この主面と直交して該主面の長手方向に延びる、互いに対向する一対の長辺側面と、これら主面及び長辺側面の両方と直交して該主面の短手方向に延びる、互いに対向する一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。
この圧電素子ユニット40は、図3に示すように、5つの圧電体層(圧電素子)41,41,…と4つの内部電極層42,44,43,44とを交互に積層して構成される。内部電極層42,44,43,44は、積層方向に圧電体層41を介して交互に配された、第1給電電極層42と共通電極層44と第2給電電極層43と共通電極層44とで構成される。これら第1給電電極層42、第2給電電極層43及び共通電極層44,44のそれぞれは、各圧電体層41の主面上に印刷されている。
前記各圧電体層41は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層であって、前記圧電素子ユニット40と同様に、一対の主面と、一対の長辺側面と、一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。また、各圧電体層41には、その長辺側面のうち一方の長辺側面の長手方向中央部に外部電極47a,45a,46aが互いに絶縁状態で並んで形成されている。
前記各共通電極層44は、圧電体層41の主面の略全面に亘って設けられた略長方形状をしている。また、各共通電極層44の一方の長辺部には、その長手方向中央部から圧電体層41の前記外部電極45aまで延びる引出電極44aが形成されている。
前記第1給電電極層42は、図4に示すように、圧電体層41の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域のうち該主面の対角線方向に位置する2対の領域のうち一方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第1電極42a,42bと、これら第1電極42a,42bを連結して導通させる導通電極42cとを有する。各第1電極42a(42b)は略矩形状の電極であり、積層方向に見て共通電極層44と重なっている。つまり、各第1電極42a(42b)は、圧電体層41を挟んで共通電極層44と対向している。また、第1電極42a,42bのうちの、圧電体層41の外部電極46aが形成された長辺側面寄りの第1電極42bには、圧電体層41の前記外部電極46aまで延びる引出電極42dが設けられている。
前記第2給電電極層43は、圧電体層41の主面の対角線方向に位置する前記2対の領域のうち他方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第2電極43a,43bと、これら第2電極43a,43bを連結して導通させる導通電極43cとを有する。前記他方の対の領域のうち積層方向に見て前記第1電極42aの前記短手方向且つ前記第1電極42bの前記長手方向に隣接する領域に設けられる電極が第2電極43aであり、第1電極42aの該長手方向且つ第1電極42bの該短手方向に隣接する領域に設けられる電極が第2電極43bである。各第2電極43a(43b)は略矩形状の電極であり、積層方向に見て共通電極層44と重なっている。つまり、各第2電極43a(43b)は、圧電体層41を挟んで共通電極層44と対向している。また、第2電極43a,43bのうちの、圧電体層41の外部電極47aが形成された長辺側面寄りの第2電極43aには、圧電体層41の前記外部電極47aまで延びる引出電極43dが設けられている。
これら圧電体層41,41,…と内部電極層42,44,43,44とを交互に積層することで構成された圧電素子ユニット40においては、その一方の長辺側面の前記長手方向中央部に、各圧電体層41の外部電極47a,45a,46aがそれぞれ積層方向に並んで一まとまりの外部電極47,45,46が形成されている。この外部電極47には、前記第2給電電極層43の引出電極43dが電気的に接続されている。外部電極45には、前記共通電極層44,44に形成された引出電極44a,44aが電気的に接続されている。外部電極46には、前記第1給電電極層42の引出電極42dが電気的に接続されている。
そして、圧電素子ユニット40の長辺側面のうち他方の長辺側面、即ち、前記外部電極45aが設けられていない側の長辺側面(すなわち、後述する屈曲振動の振動方向を向く一対の面のうちの一方の面。以下、設置面ともいう)40aには、2個の駆動子8,8が設けられている。
各駆動子8は、円柱状に形成されている。この駆動子8は、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タングステンカーバイド等で形成されている。
また、駆動子8は、円柱の軸が設置面40aの短手方向(圧電素子ユニット40の厚み方向)と平行になる状態で接着剤を介して設置面40aに取り付けられている。つまり、駆動子8は、設置面40aに対して線接触状に取り付けられている。
接着剤としては、圧電素子ユニット40の材料及び駆動子8の材料よりも柔らかいことが望ましい。具体的には、合成樹脂、特にエポキシ樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。このような材料を用いることにより圧電素子ユニット40の後述する振動をできるだけ阻害せずに駆動子8と設置面40aとの間の固定を実現することができる。
また、駆動子8,8が設けられた位置は、設置面40aにおいて、圧電素子ユニット40の長手方向両端部から該設置面40aの全長の30〜35%距離だけ内側に入った位置であり、即ち、圧電素子ユニット40の後述する屈曲振動の2次モードの腹の位置であって、振動が最も大きくなる位置である。
このように構成されたアクチュエータ本体4は、前記外部電極45をグランドに接続し、前記外部電極46に所定周波数の交流電圧を、前記外部電極47に該交流電圧と位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、圧電体層41の主面の対角線方向に位置する一方の対の第1電極42a,42bと、他方の対の第2電極43a,43bとに互いに位相が90°ずれた交流電圧が印加され、その長手方向への縦振動(いわゆる、伸縮振動)とその短手方向への屈曲振動(いわゆる、横振動)とが誘起される。
縦振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数はそれぞれ、アクチュエータ本体4、即ち、圧電素子ユニット40の材料、形状等により決定される。さらに、両共振周波数は、アクチュエータ本体4を支持する力及び支持する部分によっても影響を受ける。これらを考慮して、両共振周波数を略一致させ、その近傍の周波数の交流電圧を位相を90°ずらした状態で外部電極46,47のそれぞれに印加する。例えば、縦振動の1次モード(図5参照)の共振周波数と屈曲振動の2次モード(図6参照)の共振周波数とが一致するように圧電素子ユニット40の形状等を設計して、該共振周波数近傍の交流電圧を前述の如く、位相を90°ずらして印加することによって、アクチュエータ本体4には、縦振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとが調和的に誘起され、図7(a)、(b)、(c)、(d)に示す形状の変化を順番に起こす。
その結果、アクチュエータ本体4に設けられた各駆動子8が該アクチュエータ本体4の主面と平行な平面、即ち、長手方向と短手方向とを含む平面(図7における紙面と平行な面)内で略楕円運動、即ち、周回運動を行う。
このように振動するアクチュエータ本体4は、複数の振動の腹を有する。ここで、振動の腹とは振動の変位が極大となる箇所である。本実施形態においては、振動の腹の部分は、アクチュエータ本体4の両短辺側面に位置する計2箇所の縦振動の腹と、アクチュエータ本体4の両長辺側面の両端部の4箇所、さらに両長辺側面における両端部から長手方向内側へ全長の30〜40%程度入った部分の4箇所の計8箇所の屈曲振動の腹とがある。すなわち、アクチュエータ本体4は、縦振動の腹と屈曲振動の腹とを合わせて10箇所の振動の腹がある。
前記駆動子8,8が設けられている部分は、アクチュエータ本体4の長辺側面における両端部から長手方向内側へ全長の30〜35%程度入った位置の屈曲振動の腹に相当する。
また、アクチュエータ本体4は、複数の振動の節も有する。ここで、振動の節とは振動の変位が常に零になる箇所である。本実施形態においては、振動の節は、アクチュエータ本体4の両長辺側面における長手方向中央部の計2箇所の縦振動の節と、アクチュエータ本体4の両長辺側面における長手方向中央部および、素子の形状により変位するが、中央部から長手方向外側に全長の35〜40%程度離れた部分の計6箇所の屈曲振動の節とがある。そのうち、2箇所は縦振動の節と重複している。すなわち、縦振動と屈曲振動が調和的に発生した場合の共通の節は、アクチュエータ本体4の両長辺側面の長手方向中央部のみとなる。
前記ケース5は、樹脂製であって、前記アクチュエータ本体4に対応した略直方体状の概略箱形状をしている。このケース5が基礎部を構成する。
このケース5は、前記アクチュエータ本体4の主面と平行で且つ略長方形状の主壁部51と、該主壁部51の前記長手方向の一側(図1における左側)に位置する短辺部に設けられた第1短辺壁部52と、該主壁部51の該長手方向の他側(図1における右側)に位置する短辺部に設けられた第2短辺壁部53と、該主壁部51の前記短手方向の一側(図1における下側)に位置する長辺部に設けられた長辺壁部54とを有している。つまり、ケース5は、主壁部51に対向する側及び該主壁部51の該短手方向の他側(図1における上側)に位置する長辺部(アクチュエータ本体4の駆動子8,8が設けられた長辺側面に対応する部分)には壁部が設けられておらず、圧電素子ユニット40の積層方向(主壁部51の法線方向)の一側及び該短手方向の他側に開口した形状となっている。
このように構成されたケース5内に前記アクチュエータ本体4が収容されている。アクチュエータ本体4は、一方の主面が主壁部51と対向し且つ一方の長辺側面(前記外部電極47,45,46が設けられている側の長辺側面)が長辺壁部54と対向するようにしてケース5内に収容されている。このとき、駆動子8,8はケース5から前記短手方向の他側に突出している。
また、アクチュエータ本体4の一方の長辺側面とケース5の長辺壁部54との間には押圧ゴム62が介設されている。この押圧ゴム62は、アクチュエータ本体4及び長辺壁部54だけでなく、主壁部51の内側表面とも当接している。
そして、主壁部51の内側表面における、前記押圧ゴム62が当接する部分には互いに絶縁された3つの電極(図示省略)が設けられているこれらの電極は、主壁部51の外側表面に設けられた端子電極(図示省略)にそれぞれ導通している。
前記各押圧ゴム62は、図8に示すように、略直方体状をしていて、絶縁層62aと導電層62bとを交互に積層して形成されている。絶縁層62aは、シリコーンゴムで構成されていて、4層設けられている。一方、導電層62bは、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムで構成されていて、3層設けられている。このように構成された押圧ゴム62は、積層方向がアクチュエータ本体4の長手方向を向くように配置されている。このとき、3つの導電層62b,62b,62bはそれぞれ、アクチュエータ本体4と対向する部分がアクチュエータ本体4の外部電極47a,45a,46aと接触する一方、ケース5の主壁部51と対向する部分がケース5の内面に形成された前記3つの電極と接触している。こうして、押圧ゴム62は、前記端子電極に導通する3つの電極とアクチュエータ本体4の外部電極47,45,46とをそれぞれ導通させている。つまり、ケース5の外側表面に設けられた前記端子電極に給電することによって、押圧ゴム62を介してアクチュエータ本体4に給電することができる。
また、この押圧ゴム62は、詳しくは後述するが、アクチュエータ本体4をその短手方向(即ち、短手方向が押圧方向に相当する)に押圧する。この押圧ゴム62が与圧手段を構成する。
尚、押圧ゴム62の代わりに、板バネ等の弾性部材を採用してもよい。
また、ケース5内に収容されたアクチュエータ本体4は、板ばね61によってケース5に対して弾性的に支持されている。この板ばね61が支持部を構成する。
板ばね61は、方形状に形成された板状部材であって、アクチュエータ本体4の設置面40aと対向し且つ該設置面40aと略平行な姿勢で配設されている。板ばね61は、駆動子8,8に対応する位置に開口部61a,61aが形成されている。板ばね61のこれら開口部61a,61aに挟まれた部分には、板ばね61をアクチュエータ本体4に接合するための本体側接合部61bが形成されている。また、板ばね61において開口部61a,61aよりも長手方向外側の部分には、板ばね61をケース5に接合するための基礎側接合部61c,61cが形成されている。
本体側接合部61bは、アクチュエータ本体4の設置面40aにおける、駆動子8,8の間の部分にエポキシ系接着剤61dを介して接合される。また、基礎側接合部61c,61cは、ケース5の第1及び第2短辺壁部52,53の(アクチュエータ本体4の)短手方向端面にエポキシ系接着剤61e,61eを介して接合される。
ここで、各開口部61aは、駆動子8を板ばね61に対して(アクチュエータ本体4の)短手方向へ投影したときの投影面積よりも大きく開口している。こうすることで、板ばね61をアクチュエータ本体4及びケース5に接合したときに、駆動子8,8は、開口部61a,61aを介して板ばね61を貫通し、該板ばね61と干渉することがない。
さらに、各開口部61aは、アクチュエータ本体4の、駆動子8よりも長手方向外側の部分の板ばね61への投影面積よりも大きく開口している。つまり、アクチュエータ本体4が前述の如く縦振動及び屈曲振動を行う際に、駆動子8だけでなく、アクチュエータ本体4の、駆動子8よりも長手方向外側の部分が板ばね61と干渉することが防止される。
このように構成された超音波アクチュエータ2は、図2,9に示すように、各駆動子8がステージ11の裏面と当接するように配設されると共に、ケース5が基台(図示省略)に固定される。詳しくは、超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4の短手方向がステージ11の裏面に直交すると共に、アクチュエータ本体4の長手方向がガイド12,12と平行になるように配置される。さらに換言すれば、超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4の屈曲振動の方向がステージ11の裏面と直交すると共に、アクチュエータ本体4の縦振動の方向がガイド12,12と平行な方向を向くように配置される。
このとき、前記押圧ゴム62を圧縮変形させた状態で超音波アクチュエータ2を配設しており、この押圧ゴム62の弾性力によってアクチュエータ本体4がステージ11に押圧されている。つまり、駆動子8,8がステージ11に押し付けられた状態になっている。そのため、アクチュエータ本体4を振動していない状態においても、駆動子8,8とステージ11との間に摩擦力が作用する状態となっており、ステージ11の位置が保持される。超音波アクチュエータ2のステージ11への押圧力は、押圧ゴム62の弾性力によって決まる。
前記制御装置は、外部からの動作指令を受けて、その動作指令に応じた周波数の交流電圧を動作指令に応じた位相差で外部電極46,47に印加する。
制御装置は、前述の如く、アクチュエータ本体4、即ち、圧電素子ユニット40に縦振動と屈曲振動とを調和的に発生させて、駆動子8,8を図7に示すような周回運動させることで、ステージ11を移動させる。具体的には、アクチュエータ本体4の異常発熱を防止すべく、アクチュエータ本体4の縦振動と屈曲振動との共通の共振周波数よりも少し高い周波数の交流電圧が外部電極46,47に印加される。このとき、交流電圧は、互いに位相が90°ずれた状態で外部電極46,47に印加される。
アクチュエータ本体4が、縦振動と屈曲振動との合成振動を行うと、駆動子8,8はアクチュエータ本体4の長手方向と短手方向とを含む平面内において略楕円運動を行う。こうすることで、駆動子8,8は、ステージ11との当接及び離間を周期的に繰り返しながら、ステージ11に対して摩擦力を介してアクチュエータ本体4の長手方向へ駆動力を付与しており、ステージ11はガイド12,12に沿って移動する。このアクチュエータ本体4の長手方向(ガイド12,12が延びる方向と一致する)が、駆動子8,8が駆動力を出力する方向である駆動方向に相当する。
以下に、超音波アクチュエータ2によるステージ11の駆動を、図10を参照してさらに詳しく説明する。アクチュエータ本体4が長手方向(縦振動の振動方向)に伸張するとき、一方(例えば、図10の左側)の駆動子8は、図10(b)に示すように、短手方向(屈曲振動の振動方向)においてステージ11側の領域を変位するため、ステージ11との間の摩擦力が増大し、この摩擦力によってステージ11を該長手方向における該一方の駆動子8が変位する側(図10の左側)へ移動させる。このとき、他方(図10の右側)の駆動子8は、該長手方向において一方の駆動子8とは逆向きに変位するが、該短手方向において反ステージ11側(ステージ11から離れる側)の領域を変位するため、ステージ11から離れて摩擦力が作用せず、ステージ11の移動にはほとんど影響を与えない。
一方、アクチュエータ本体4が長手方向に収縮するときは、他方(図10の右側)の駆動子8は、図10(c)に示すように、短手方向においてステージ11側の領域を変位するため、ステージ11との間の摩擦力が増大し、この摩擦力によってステージ11を該長手方向における該他方の駆動子8が変位する側(図10の左側)へ移動させる。この移動方向は、前述した、アクチュエータ本体4の伸張時における一方の駆動子8によるステージ11の移動方向と同じである。このとき、一方(図10の左側)の駆動子8は、該長手方向において他方の駆動子8とは逆向きに変位するが、該短手方向において反ステージ11側の領域を変位するため、ステージ11から離れて摩擦力が作用せず、ステージ11の移動にはほとんど影響を与えない。
尚、図10においては、ステージ11の移動に影響を与えない方の駆動子8はステージ11から離れているが、必ずしも離れている必要はない。すなわち、駆動子8は、ステージ11を移動させない程度の摩擦力で該ステージ11に接触している状態であってもよい。
こうして、一方の駆動子8と他方の駆動子8とは、位相が180°ずれた状態で交互にステージ11を所定の一方向へ移動させる。尚、前記交流電圧を位相を−90°ずらした状態で外部電極46,47に印加することによって、駆動子8,8が出力する駆動力を逆向きにすることができ、ステージ11を他方向へ移動させることができる。
尚、ステージ11の移動量、移動速度及び移動加速度は、外部電極46,47に給電する交流電圧の電圧値、周波数及び給電時間の少なくとも1つを調整する、又は外部電極46,47に給電する各交流電圧の位相のずれを変更する等によって調整することができる。
このように、超音波アクチュエータ2は、駆動子8,8に縦振動の振動方向(長手方向)と屈曲振動の振動方向(短手方向)とを含む平面内で周回運動させて駆動子8,8とステージ11との間の摩擦力の増大と緩和とを繰り返しながら、該ステージ11を駆動している。
こうして、駆動子8,8とステージ11との間の摩擦力を介してステージ11を駆動するアクチュエータ本体4には、ステージ11へ駆動力を付与する際に、ステージ11から駆動子8,8を介して反力が作用する。この反力は、アクチュエータ本体4に対して、ステージ11を駆動させる方向とは反対方向に作用する。
ここで、アクチュエータ本体4を弾性的に支持する構成においては、この反力によってアクチュエータ本体4がステージ11を駆動させる方向とは反対方向に変位してしまい、アクチュエータ本体4からステージ11へ駆動力を効率良く伝えることができない虞がある。例えば、アクチュエータ本体4を押圧ゴム62のみでケース5に対して支持する構成の場合、駆動子8,8に作用する反力が、アクチュエータ本体4に対して押圧ゴム62を中心とするモーメントとして作用し、アクチュエータ本体4を押圧ゴム62を中心に回転変位、即ち、傾かせてしまう。その結果、駆動子8,8とステージ11との接触状態が不安定になり、超音波アクチュエータ2が安定した動作を行えないという虞もある。
そこで、本実施形態では、アクチュエータ本体4の、駆動子8,8が設けられている側の端部を板ばね61によってケース5に対して支持している。
こうすることで、アクチュエータ本体4を駆動子8,8の近傍で支持することができるため、アクチュエータ本体4をケース5に対して支持する板ばね61との距離が短くなり、反力によるアクチュエータ本体4を回転させるモーメントが、アクチュエータ本体4を押圧ゴム62だけでケース5に支持する構成と比較して、小さくなる。
また、板ばね61は、その法線方向へのばね定数に比べて、板ばね61が拡がる方向(面内方向)へのばね定数の方がはるかに大きい。つまり、板ばね61を、その法線方向がアクチュエータ本体4をステージ11に押圧する押圧方向と平行に且つ、その板ばね61が拡がる方向がステージ11の駆動方向、即ち、反力の方向と平行となる状態で、アクチュエータ本体4とケース5とに接合することによって、アクチュエータ本体4の押圧方向への変位は阻害することなく、アクチュエータ本体4の反力の方向への変位を規制することができる。ただし、アクチュエータ本体4における板ばね61が接合される部分は、縦振動及び屈曲振動の節の部分であるため、板ばね61がアクチュエータ本体4の反力の方向への変位を規制したとしても、アクチュエータ本体4の縦振動及び屈曲振動を阻害することはない。
したがって、本実施形態1によれば、アクチュエータ本体4を駆動子8,8が設けられた側の端面、即ち、設置面40aにおいて板ばね61によってケース5に弾性的に支持することによって、ステージ11からの反力が作用する駆動子8,8とアクチュエータ本体4の支持部である板ばね61との距離を短くして、反力によるアクチュエータ本体4を回転させるモーメントを小さくすることができる。その結果、アクチュエータ本体4の傾きを抑制して、駆動子8,8とステージ11との当接状態を安定的に維持することができる。ひいては、超音波アクチュエータ2を安定的に動作させることができる。
尚、駆動子8,8が予想される摩耗分だけ板ばね61からステージ11側へ突出するように、駆動子8,8を板ばね61の厚さまで小さく、又は板ばね61を駆動子8,8の大きさまで厚くすることが好ましい。こうすることで、駆動子8,8と板ばね61との距離を短くして、反力によるモーメントを可及的に低減することができる。それに加えて、板ばね61を厚くする構成では、反力によるモーメントに対する板ばね61の剛性を向上させることができる。
また、板ばね61を、その法線方向が押圧ゴム62の押圧方向と平行に且つ、その面が拡がる方向が駆動力を出力する駆動方向と平行となった状態で、アクチュエータ本体4とケース5とに接合することによって、アクチュエータ本体4の押圧方向への変位を阻害することなく、アクチュエータ本体4の駆動方向、即ち、反力の方向への変位を規制することができる。このとき、アクチュエータ本体4における板ばね61との接合部を縦振動及び屈曲振動の節の部分とすることによって、板ばね61をアクチュエータ本体4の一側面に接合し且つ該板ばね61でアクチュエータ本体4の反力の方向への変位を規制する構成であっても、アクチュエータ本体4の縦振動及び屈曲振動を阻害することを防止することができる。
換言すれば、アクチュエータ本体4を、押圧方向へのばね定数よりも駆動方向へのばね定数の方が大きい支持部で支持することが好ましい。こうすることで、アクチュエータ本体4の押圧方向への変位を阻害することなく、また、アクチュエータ本体4に作用する押圧力に与える影響を抑制し、さらには、アクチュエータ本体4の反力の方向への変位を規制することができる。尚、前述の如く、アクチュエータ本体4を駆動子8,8の近傍で支持しなくとも、アクチュエータ本体4を押圧方向へのばね定数よりも駆動方向へのばね定数の方が大きい支持部で支持することによって、かかる効果を奏することができる。アクチュエータ本体4に作用するモーメントを小さくする観点から、アクチュエータ本体4を駆動子8,8の近傍で支持する方が好ましいことは、言うまでもない。
さらに、板ばね61をその法線方向が押圧ゴム62の押圧方向を向くように配設することによって、押圧方向へのばね定数が小さくなるように板ばね61を配設することになるため、板ばね61が押圧ゴム62からアクチュエータ本体4へ付与される押圧力へ与える影響を小さくすることができる。その結果、アクチュエータ本体4をステージ11へ押圧する押圧力は押圧ゴム62によって支配的に決定することができ、アクチュエータ本体4に安定した押圧力を作用させることができる。
さらにまた、板ばね61の本体側接合部61bよりもアクチュエータ本体4の長手方向外側の部分に、アクチュエータ本体4のその短手方向への板ばね61への投影面積よりも大きな開口部61a,61aを形成することによって、アクチュエータ本体4が振動変位する、特に、屈曲振動する際にアクチュエータ本体4が板ばね61と干渉することを防止することができる。それと共に、超音波アクチュエータ2をステージ11に対して設置する際に、2つの駆動子8,8間での大きさのばらつきや接着剤の厚さのばらつきによってアクチュエータ本体4がステージ11に対して多少傾いて設置されたとしても、アクチュエータ本体4が板ばね61と干渉することを防止することができる。
《発明の実施形態2》
次に、本発明の実施形態2に係る超音波アクチュエータ202について説明する。実施形態2に係る超音波アクチュエータ202は、支持部の構成が実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付して、説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
実施形態2に係る超音波アクチュエータ202は、図11に示すように、板ばね261によってケース205に支持されている。
実施形態2に係るケース205は、アクチュエータ本体4の厚み方向の一側が開口しておらず、厚み方向の一側にも壁部が設けられている点で実施形態1に係るケース5とは異なる。詳しくは、ケース205は、アクチュエータ本体4の主面と平行な第1主壁部251と第2主壁部255とが対向して設けられている。
また、実施形態2に係る板ばね261は、実施形態1に係る板ばね61と異なり、細長い板状に形成されている。この板ばね261は、アクチュエータ本体4がケース205内に収容された状態において、ケース205の第1主壁部251から第2主壁部255まで、駆動子8,8の間を通って、アクチュエータ本体4の厚み方向に延びて設けられている。このとき、板ばね261は、アクチュエータ本体4の設置面40aと略平行になっている。
そして、板ばね261の両端部には、基礎側接合部261c,261cが形成されており、これら基礎側接合部261c、261cそれぞれがエポキシ系接着剤261e,261eを介してケース205の第1及び第2主壁部251,255の(アクチュエータ本体4の)短手方向端面に接合されている。また、板ばね261の中間部には、本体側接合部261aが形成されており、この本体側接合部261aがエポキシ系接着剤261dを介してアクチュエータ本体4の設置面40aにおける駆動子8,8の間の部分に接合されている。
したがって、本実施形態2によれば、アクチュエータ本体4を駆動子8,8が設けられた側の端面、即ち、設置面40aにおいて板ばね261によってケース5に弾性的に支持することによって、ステージ11からの反力が作用する駆動子8,8とアクチュエータ本体4の支持部である板ばね261との距離を短くして、反力によるアクチュエータ本体4を回転させるモーメントを小さくすることができる。その結果、アクチュエータ本体4が傾くことを抑制して、駆動子8,8とステージ11との当接状態を安定的に維持することができる。尚、実施形態1と比べても、駆動子8,8と板ばね261(特に、板ばね261の基礎側接合部261c,261c)との距離を短くすることができるため、モーメントを抑制する効果がより大きくなる。
また、板ばね261を、その法線方向が押圧ゴム62の押圧方向と平行に且つ、その面が拡がる方向が駆動力を出力する駆動方向と平行となる状態で、アクチュエータ本体4とケース205とに接合することによって、アクチュエータ本体4の押圧方向への変位を阻害することなく、アクチュエータ本体4の駆動方向、即ち、反力の方向への変位を規制することができる。このとき、アクチュエータ本体4における板ばね261との接合部を縦振動及び屈曲振動の節の部分とすることによって、板ばね261をアクチュエータ本体4の一側面に接合し且つ該板ばね261でアクチュエータ本体4の反力の方向への変位を規制する構成であっても、アクチュエータ本体4の縦振動及び屈曲振動を阻害することを防止することができる。
さらに、実施形態1に比べて、板ゴム261の構成を簡易にすることができる。
その他、実施形態1と同様の作用・効果を奏することができる。
《発明の実施形態3》
次に、本発明の実施形態3に係る超音波アクチュエータ302について説明する。実施形態3に係る超音波アクチュエータ302は、可動体及び固定体への取付構造が実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付して、説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
詳しくは、実施形態3に係る駆動装置301は、図12に示すように、固定体としてのコ字状に形成された固定枠13と、固定枠13内において互いに平行に設けられた一対のガイドレール14,14と、該ガイドレール14,14に対して摺動自在に設けられたステージ15と、超音波アクチュエータ302とを備えている。
超音波アクチュエータ302においては、アクチュエータ本体4が支持用板ばね361が接合されると共に、該支持用板ばね361の両端部が、コ字状に形成された固定枠(固定体を構成する)13の端部にボルトを介して固定されている。すなわち、固定枠13が固定体及び基礎部を構成する。
このとき、支持用板ばね361の一端部においては、スペーサ16を介して押圧用板ばね362がボルトにより共締めされる。この押圧用板ばね362は、一端部がボルトにより固定枠13に固定される一方、他端部が自由端となっている。そして、押圧用板ばね362の他端部には、屈曲して形成された押圧部362aが設けられている。押圧用板ばね362は、固定枠13に固定されることによって、押圧部362aでアクチュエータ本体4をステージ15に対して押圧するように構成されている。この押圧用板ばね362が与圧手段を構成する。
つまり、アクチュエータ本体4は、板ばね361によって固定枠13に弾性的に支持されると共に、押圧用板ばね362によってステージ15に対して押圧されている。このとき、支持用板ばね361は、その法線方向が押圧用板ばね362による押圧方向と平行になると共に、その面が拡がる方向が駆動方向と平行になるように配設されているため、支持用板ばね361は、アクチュエータ本体4の押圧方向への変位を阻害することなく、駆動方向、即ち、ステージ15からの反力の方向への変位を規制することができる。尚、支持用板ばね361は、前記実施形態と同様に、アクチュエータ本体4の振動の節に接合されることが好ましい。
尚、アクチュエータ本体4への給電は、外部電極47,45,46に接続されたワイヤ(図示省略)を介して行われる。
したがって、本実施形態3によれば、実施形態1と同様に、アクチュエータ本体4を駆動子8,8の近傍で支持することができるため、ステージ15からの反力による、アクチュエータ本体4を回転させるモーメントを抑制することができる。
また、支持用板ばね361をアクチュエータ本体4の駆動方向と平行に配設することによって、アクチュエータ本体4の駆動方向、即ち、反力の方向への変位を規制することができる。それに加えて、支持用板ばね361をその法線方向が押圧用板ばね362による押圧方向と平行になるように配設することによって、アクチュエータ本体4の押圧方向への振動及び変位を阻害することを防止できる。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態1〜3について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、前記実施形態1〜3では、板ばね61,261,361を、アクチュエータ本体4の駆動子8,8が設けられた設置面に接合しているが、これに限られるものではない。例えば、板ばね61,261,361を、アクチュエータ本体4の主面や短辺側面における、設置面40a側の端部、即ち、アクチュエータ本体4の短手方向の駆動子8,8寄りの部分に接合する構成であってもよい。つまり、板ばね61,261,361を設置面40aではなく、アクチュエータ本体4の主面や短辺側面における駆動子8,8側の端部に接合することによって、駆動子8,8と板ばね61,261,361との距離を短くすることができ、反力によるアクチュエータ本体4を回転させるモーメントを抑制することができる。
また、前記実施形態1〜3では、アクチュエータ本体4において、外部電極47,45,46を1つの長辺側面に形成して、1つの押圧ゴム62によって該外部電極47,45,46に給電しているが、これに限られるものではない。例えば、図13に示すように、外部電極47,45,46をそれぞれアクチュエータ本体4における異なる側端面に設けると共に、押圧ゴム62以外に2つの給電ゴム63,63を設けて、該押圧ゴム62及び給電ゴム63,63を介して外部電極47,45,46にそれぞれ給電するように構成してもよい。
また、前記実施形態では、支持部を板ばねで構成しているが、これに限られるものではない。例えば、図14に示すように、柱状部材で構成された支持部461を採用してもよい。かかる場合であっても、アクチュエータ本体4を駆動子408,408の近傍で支持部461によって支持することができ、反力が作用する駆動子408,408とアクチュエータ本体4を支持する支持部461との距離を短くして、アクチュエータ本体4に作用する反力によるモーメントを小さくすることができる。尚、駆動子408は、円柱状ではなく、球状に形成されている。
また、柱状部材は、その曲げ方向のばね定数に比べて、軸方向のばね定数の方が非常に大きい。そこで、支持部461を構成する柱状部材のうち少なくとも一部の柱状部材をその軸が駆動方向、即ち、反力の方向と平行になるように配設することによって、アクチュエータ本体4を反力の方向について強固に支持することができる。具体的には、図14に示すように、支持部461は、アクチュエータ本体4の厚み方向に延びる本体側接合部461bと、本体側接合部461bの両端部にそれぞれ接合され且つアクチュエータ本体4の長手方向に延びる一対の基礎側接合部461c,461cとを有している。すなわち、基礎側接合部461c,461cはその軸が駆動方向、即ち、反力の方向と平行となるように配設されている。そして、本体側接合部461bは、エポキシ系接着剤461dを介してアクチュエータ本体4の設置面40aにおける駆動子408,408の間の部分に接合されている。また、各基礎側接合部461cは、両端部がケース5の第1及び第2短辺壁部52,53の(アクチュエータ本体4の)短手方向端面にエポキシ系接着剤461e,461eを介して接合されている。こうすることによって、アクチュエータ本体4がステージ11から駆動子408,408を介して反力を受けても、基礎側接合部461c,461cで該反力を受け止めることができ、アクチュエータ本体4の反力の方向への変位を抑制することができる。その一方で、本体側接合部461bをアクチュエータ本体4の節の部分に接合すると共に、本体側接合部461b及び基礎側接合部461c,461cの曲げの方向がアクチュエータ本体4の押圧方向と一致するため、アクチュエータ本体4の押圧方向への変位が阻害されることはない。
さらに、駆動子8の形状、個数、材質等は前記実施形態に制限されるものではなく、任意の形状、個数、材質等の駆動子を採用することができる。
また、超音波アクチュエータ2を、アクチュエータ本体4に長手方向への縦振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとを調和的に発生させるように構成したが、これに限られるものではない。これ以外の振動又はモードを発生させるものであってもよく、アクチュエータ本体4を振動させて駆動子8,8とステージ11との間の摩擦力を介して駆動力を出力する振動型アクチュエータであれば任意の構成を採用することができる。
また、超音波アクチュエータ2は、前記の構成に限られるものではない。例えば、前記押圧ゴム62を介してアクチュエータ本体4に給電する構成ではなく、リード線をアクチュエータ本体4に接続して給電する構成でもよい。また、アクチュエータ本体4の振動のノード部(節の部分)を非弾性部材で支持する構成であってもよい。
さらにまた、アクチュエータ本体4は圧電素子ユニット40で構成されているが、金属などの基板に圧電素子を貼り付けた構成や、金属などで共振器を形成し、圧電素子を挟み込んだ構成であってもよい。この場合、圧電素子を含んで構成された共振器がアクチュエータ本体を構成する。
さらに、前記実施形態では、超音波アクチュエータ2を基台に固定すると共に、駆動子8,8を移動可能なステージ11に当接させて、該超音波アクチュエータ2を作動させることで該ステージ11を駆動させているが、図15に示すように、超音波アクチュエータ2をステージに固定する構成としてもよい。詳しくは、駆動装置501は、互いに平行な状態で基台に固定されたガイド17,17と、該ガイド17,17に摺動自在に取り付けられたステージ18と、超音波アクチュエータ2とを備えている。該ガイド17,17のうちの一方のガイド17には、該ガイド17に固定された被当接部材17aが設けられている。一方、ステージ18には、アクチュエータ取付部18aが設けられている。そして、超音波アクチュエータ2は、駆動子8,8が該ガイド17の被当接部材17aに当接する状態で、該ステージ18のアクチュエータ取付部18aにケース5が取り付けられている。この状態で、超音波アクチュエータ2を作動させると、駆動子8,8は被当接部材17aに対して駆動力を出力するが、該被当接部材17aは固定されているため、超音波アクチュエータ2自体が被当接部材17aに対して相対的にガイド17,17の長手方向に振動する。その結果、アクチュエータ取付部18aを介してケース5と連結されたステージ18がガイド17,17の長手方向に駆動される。被当接部材17aが固定体を構成する。
また、前記実施形態では、超音波アクチュエータの駆動力が付与されて駆動されるステージ11は平板状であるが、これに限られるものではなく、可動体の構成としては任意の構成を採用することができる。例えば、図16に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体19であり、超音波アクチュエータの駆動子8,8が該円板体19の側周面19aに当接するように構成された駆動装置601を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子8,8の概略楕円運動によって、該円板体19が所定の軸X回りに回動させられる。この円板体19が可動体を構成する。
また、図17に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体20であり、超音波アクチュエータの駆動子8,8が該円板体20の平面部20aに当接するように構成された駆動装置701を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子8,8の概略楕円運動によって、該円板体20が駆動子8,8と当接部における接線方向に駆動され、結果として該円板体20が所定の軸X回りに回動させられる。この円板体20が可動体を構成する。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、圧電素子を用いて構成され、振動方向が互いに異なる複数の振動を発生させるアクチュエータ本体を備え、可動体を駆動する振動型アクチュエータについて、特に、小型で精密に駆動する振動型アクチュエータについて有用である。
本発明は、圧電素子を用いて構成され、振動を発生させるアクチュエータ本体を備え、可動体を駆動する振動型アクチュエータに関するものである。
従来より、圧電素子を用いて構成されたアクチュエータ本体に電界を加えて、該アクチュエータ本体を振動させることで、該アクチュエータ本体に設けられた駆動子を動作させて駆動力を出力させる振動型アクチュエータが知られている。このような振動型アクチュエータは、超音波モータや微小ステップでの移動が求められる装置などで利用されている。
例えば、特許文献1に係る振動型アクチュエータは、圧電素子を用いて構成されたアクチュエータ本体と、アクチュエータ本体に設けられ可動体に駆動力を出力する駆動子と、該駆動子と反対側からアクチュエータ本体を押圧するための与圧手段とを備えている。この振動型アクチュエータでは、アクチュエータ本体が与圧手段によって固定体及び可動体のうち駆動子が当接する方(以下、被当接体ともいう)へ押圧されており、駆動子と被当接体との摩擦力が或る程度確保された状態となっている。この状態で、アクチュエータ本体の圧電素子に交流電圧を印加することによって、アクチュエータ本体に振動を誘起させ、その振動により駆動子に楕円運動を行わせる。こうして、駆動子に楕円運動させることによって、駆動子と被当接体との間の摩擦力が増大と緩和とを繰り返し、増大したときの摩擦力により駆動子から可動体へ駆動力が出力され、可動体が所定の方向へ駆動される。
尚、与圧手段は、アクチュエータ本体を被当接体に押圧する機能だけでなく、アクチュエータ本体を支持する支持部としても機能している。
ところで、アクチュエータ本体から駆動子を介して可動体へ駆動力を出力する際には、被当接体から該駆動子を介してアクチュエータ本体に反力が作用する。この反力は、駆動力に比例して増大する。
ところが、特許文献1に係る振動型アクチュエータのようにアクチュエータ本体を弾性的に支持している構成においては、特にその反力も大きいときには、反力によりアクチュエータ本体自体が変位してしまう。
詳しくは、駆動子に作用する反力は、アクチュエータ本体を弾性的に支持する与圧手段を中心としたモーメントして作用し、これにより、アクチュエータ本外が該与圧手段回りに回転変位する。その結果、駆動子と被当接体との間の摩擦力が減少したり、駆動子が被当接体から離れたりして、駆動子と被当接体との接触状態が不安定となり、ひいては、振動型アクチュエータの動作が不安定となる。
その一方で、被当接体からの反力によるアクチュエータ本体の変位を防止すべく、アクチュエータ本体を非弾性的に支持してしまうと、アクチュエータ本体の振動を阻害してしまうことになる。その結果、アクチュエータ本体の振動変位を減少させることになり、ひいては駆動力を減少させてしまうことになる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アクチュエータ本体の振動を阻害することなく且つ、駆動子が被当接体から反力を受けても該駆動子と被当接体との間の当接状態を安定的に維持するアクチュエータ本体の支持構造を実現することにある。
本発明は、アクチュエータ本体を駆動子の近傍で弾性的に支持するようにしたものである。
具体的には、本発明は、固定体に対して相対移動可能に設けられた可動体を駆動する振動型アクチュエータが対象である。そして、圧電素子を用いて構成され、振動を発生させるアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体の一側面に設けられて該アクチュエータ本体の振動に従って動作することで駆動力を出力する駆動子と、前記アクチュエータ本体において前記駆動子と反対側に設けられ該アクチュエータ本体を前記固定体及び可動体のうち前記駆動子が当接する方へ押圧するための与圧手段と、前記アクチュエータ本体が実装される基礎部と、前記アクチュエータ本体を前記基礎部に対して弾性的に支持する支持部とを備え、前記支持部は、前記アクチュエータ本体における、前記駆動子が設けられている側の端部を支持しているものとする。
前記の構成の場合、アクチュエータ本体における駆動子が設けられている側の端部が支持部により支持されることになる。つまり、アクチュエータ本体は、駆動子の近傍が支持されることになり、該駆動子と支持部との距離が短くなるため、駆動子が固定体及び可動体のうち該駆動子が当接する方(被当接体)から反力を受けたとしても、アクチュエータ本体に作用する支持部回りのモーメントが小さくなり、アクチュエータ本体の支持部を中心とする回転変位を抑制することができる。
本発明によれば、アクチュエータ本体を駆動子が設けられている側の端部で支持部により弾性的に支持することによって、アクチュエータ本体をその振動を阻害することなく支持することができることに加えて、駆動子と支持部との距離が短くなるため、駆動子が被当接体から反力を受けたとしても、アクチュエータ本体の回転変位が抑制され、駆動子と被当接体との当接状態を安定的に維持することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図2は、駆動装置の斜視図である。
図3は、圧電素子ユニットの分解斜視図である。
図4は、アクチュエータ本体の概略構成を示す概略正面図である。
図5は、アクチュエータ本体の長手方向への縦振動の1次モードによる変位を示す概念図である。
図6は、アクチュエータ本体の屈曲振動の2次モードによる変位を示す概念図である。
図7は、アクチュエータ本体の動作を示す概念図である。
図8は、押圧ゴムの概略構成を示す斜視図である。
図9は、超音波アクチュエータの断面図である。
図10は、超音波アクチュエータによるステージの駆動を説明するための概念図であって、(a)は駆動前の状態、(b)はアクチュエータ本体が長手方向に伸張することで一方の駆動子によってステージを駆動する状態、(c)はアクチュエータ本体が長手方向に収縮することで他方の駆動子によってステージを駆動する状態を示す。
図11は、実施形態2に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図12は、実施形態3に係る駆動装置の正面図である。
図13は、その他の実施形態に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図14は、別のその他の実施形態に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図15は、その他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
図16は、別のその他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
図17は、さらに別のその他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係る駆動装置1は、図2に示すように、ステージ11と、超音波アクチュエータ2と、該超音波アクチュエータ2を駆動制御する制御装置(図示省略)とを備えている。この駆動装置1は、非常に薄型で動作の安定した精密駆動機構を構成している。そのため、この駆動装置1は、カメラなどの自動焦点、ズーム拡大、手ぶれ補正等に用いられる。
ステージ11は、互いに平行な状態で固定体としての基台(図示省略)上に固定されたガイド12,12に摺動可能に取り付けられている。つまり、ステージ11は、ガイド12,12が延びる方向に沿って移動可能に構成されている。このステージ11が可動体を構成する。これらガイド12,12の延びる方向がステージ11の可動方向となる。このステージ11は、平面視略方形の板状部材であって、アルミナで形成されている。尚、ステージ11の材質は、アルミナに限られるものではなく、任意の材質を用いることができる。そして、前記超音波アクチュエータ2は、このステージ11の裏面(ガイド12,12が設けられている側の面)に後述する駆動子8,8が接触するように配設されている。
前記超音波アクチュエータ2は、図1に示すように、振動を発生させるアクチュエータ本体4と、該アクチュエータ本体4の駆動力をステージ11に伝達させる駆動子8,8と、該アクチュエータ本体4を収容するケース5と、アクチュエータ本体4をケース5に対して弾性的に支持する板ばね61と、アクチュエータ本体4を前記ステージ11に押圧するための押圧ゴム62とを備えている。この超音波アクチュエータ2が振動型アクチュエータを構成する。
前記アクチュエータ本体4は、圧電素子ユニット40で構成されている。
前記圧電素子ユニット40は、略長方形状の互いに対向する一対の主面と、この主面と直交して該主面の長手方向に延びる、互いに対向する一対の長辺側面と、これら主面及び長辺側面の両方と直交して該主面の短手方向に延びる、互いに対向する一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。
この圧電素子ユニット40は、図3に示すように、5つの圧電体層(圧電素子)41,41,…と4つの内部電極層42,44,43,44とを交互に積層して構成される。内部電極層42,44,43,44は、積層方向に圧電体層41を介して交互に配された、第1給電電極層42と共通電極層44と第2給電電極層43と共通電極層44とで構成される。これら第1給電電極層42、第2給電電極層43及び共通電極層44,44のそれぞれは、各圧電体層41の主面上に印刷されている。
前記各圧電体層41は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層であって、前記圧電素子ユニット40と同様に、一対の主面と、一対の長辺側面と、一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。また、各圧電体層41には、その長辺側面のうち一方の長辺側面の長手方向中央部に外部電極47a,45a,46aが互いに絶縁状態で並んで形成されている。
前記各共通電極層44は、圧電体層41の主面の略全面に亘って設けられた略長方形状をしている。また、各共通電極層44の一方の長辺部には、その長手方向中央部から圧電体層41の前記外部電極45aまで延びる引出電極44aが形成されている。
前記第1給電電極層42は、図4に示すように、圧電体層41の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域のうち該主面の対角線方向に位置する2対の領域のうち一方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第1電極42a,42bと、これら第1電極42a,42bを連結して導通させる導通電極42cとを有する。各第1電極42a(42b)は略矩形状の電極であり、積層方向に見て共通電極層44と重なっている。つまり、各第1電極42a(42b)は、圧電体層41を挟んで共通電極層44と対向している。また、第1電極42a,42bのうちの、圧電体層41の外部電極46aが形成された長辺側面寄りの第1電極42bには、圧電体層41の前記外部電極46aまで延びる引出電極42dが設けられている。
前記第2給電電極層43は、圧電体層41の主面の対角線方向に位置する前記2対の領域のうち他方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第2電極43a,43bと、これら第2電極43a,43bを連結して導通させる導通電極43cとを有する。前記他方の対の領域のうち積層方向に見て前記第1電極42aの前記短手方向且つ前記第1電極42bの前記長手方向に隣接する領域に設けられる電極が第2電極43aであり、第1電極42aの該長手方向且つ第1電極42bの該短手方向に隣接する領域に設けられる電極が第2電極43bである。各第2電極43a(43b)は略矩形状の電極であり、積層方向に見て共通電極層44と重なっている。つまり、各第2電極43a(43b)は、圧電体層41を挟んで共通電極層44と対向している。また、第2電極43a,43bのうちの、圧電体層41の外部電極47aが形成された長辺側面寄りの第2電極43aには、圧電体層41の前記外部電極47aまで延びる引出電極43dが設けられている。
これら圧電体層41,41,…と内部電極層42,44,43,44とを交互に積層することで構成された圧電素子ユニット40においては、その一方の長辺側面の前記長手方向中央部に、各圧電体層41の外部電極47a,45a,46aがそれぞれ積層方向に並んで一まとまりの外部電極47,45,46が形成されている。この外部電極47には、前記第2給電電極層43の引出電極43dが電気的に接続されている。外部電極45には、前記共通電極層44,44に形成された引出電極44a,44aが電気的に接続されている。外部電極46には、前記第1給電電極層42の引出電極42dが電気的に接続されている。
そして、圧電素子ユニット40の長辺側面のうち他方の長辺側面、即ち、前記外部電極45aが設けられていない側の長辺側面(すなわち、後述する屈曲振動の振動方向を向く一対の面のうちの一方の面。以下、設置面ともいう)40aには、2個の駆動子8,8が設けられている。
各駆動子8は、円柱状に形成されている。この駆動子8は、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タングステンカーバイド等で形成されている。
また、駆動子8は、円柱の軸が設置面40aの短手方向(圧電素子ユニット40の厚み方向)と平行になる状態で接着剤を介して設置面40aに取り付けられている。つまり、駆動子8は、設置面40aに対して線接触状に取り付けられている。
接着剤としては、圧電素子ユニット40の材料及び駆動子8の材料よりも柔らかいことが望ましい。具体的には、合成樹脂、特にエポキシ樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。このような材料を用いることにより圧電素子ユニット40の後述する振動をできるだけ阻害せずに駆動子8と設置面40aとの間の固定を実現することができる。
また、駆動子8,8が設けられた位置は、設置面40aにおいて、圧電素子ユニット40の長手方向両端部から該設置面40aの全長の30〜35%距離だけ内側に入った位置であり、即ち、圧電素子ユニット40の後述する屈曲振動の2次モードの腹の位置であって、振動が最も大きくなる位置である。
このように構成されたアクチュエータ本体4は、前記外部電極45をグランドに接続し、前記外部電極46に所定周波数の交流電圧を、前記外部電極47に該交流電圧と位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、圧電体層41の主面の対角線方向に位置する一方の対の第1電極42a,42bと、他方の対の第2電極43a,43bとに互いに位相が90°ずれた交流電圧が印加され、その長手方向への縦振動(いわゆる、伸縮振動)とその短手方向への屈曲振動(いわゆる、横振動)とが誘起される。
縦振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数はそれぞれ、アクチュエータ本体4、即ち、圧電素子ユニット40の材料、形状等により決定される。さらに、両共振周波数は、アクチュエータ本体4を支持する力及び支持する部分によっても影響を受ける。これらを考慮して、両共振周波数を略一致させ、その近傍の周波数の交流電圧を位相を90°ずらした状態で外部電極46,47のそれぞれに印加する。例えば、縦振動の1次モード(図5参照)の共振周波数と屈曲振動の2次モード(図6参照)の共振周波数とが一致するように圧電素子ユニット40の形状等を設計して、該共振周波数近傍の交流電圧を前述の如く、位相を90°ずらして印加することによって、アクチュエータ本体4には、縦振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとが調和的に誘起され、図7(a)、(b)、(c)、(d)に示す形状の変化を順番に起こす。
その結果、アクチュエータ本体4に設けられた各駆動子8が該アクチュエータ本体4の主面と平行な平面、即ち、長手方向と短手方向とを含む平面(図7における紙面と平行な面)内で略楕円運動、即ち、周回運動を行う。
このように振動するアクチュエータ本体4は、複数の振動の腹を有する。ここで、振動の腹とは振動の変位が極大となる箇所である。本実施形態においては、振動の腹の部分は、アクチュエータ本体4の両短辺側面に位置する計2箇所の縦振動の腹と、アクチュエータ本体4の両長辺側面の両端部の4箇所、さらに両長辺側面における両端部から長手方向内側へ全長の30〜40%程度入った部分の4箇所の計8箇所の屈曲振動の腹とがある。すなわち、アクチュエータ本体4は、縦振動の腹と屈曲振動の腹とを合わせて10箇所の振動の腹がある。
前記駆動子8,8が設けられている部分は、アクチュエータ本体4の長辺側面における両端部から長手方向内側へ全長の30〜35%程度入った位置の屈曲振動の腹に相当する。
また、アクチュエータ本体4は、複数の振動の節も有する。ここで、振動の節とは振動の変位が常に零になる箇所である。本実施形態においては、振動の節は、アクチュエータ本体4の両長辺側面における長手方向中央部の計2箇所の縦振動の節と、アクチュエータ本体4の両長辺側面における長手方向中央部および、素子の形状により変位するが、中央部から長手方向外側に全長の35〜40%程度離れた部分の計6箇所の屈曲振動の節とがある。そのうち、2箇所は縦振動の節と重複している。すなわち、縦振動と屈曲振動が調和的に発生した場合の共通の節は、アクチュエータ本体4の両長辺側面の長手方向中央部のみとなる。
前記ケース5は、樹脂製であって、前記アクチュエータ本体4に対応した略直方体状の概略箱形状をしている。このケース5が基礎部を構成する。
このケース5は、前記アクチュエータ本体4の主面と平行で且つ略長方形状の主壁部51と、該主壁部51の前記長手方向の一側(図1における左側)に位置する短辺部に設けられた第1短辺壁部52と、該主壁部51の該長手方向の他側(図1における右側)に位置する短辺部に設けられた第2短辺壁部53と、該主壁部51の前記短手方向の一側(図1における下側)に位置する長辺部に設けられた長辺壁部54とを有している。つまり、ケース5は、主壁部51に対向する側及び該主壁部51の該短手方向の他側(図1における上側)に位置する長辺部(アクチュエータ本体4の駆動子8,8が設けられた長辺側面に対応する部分)には壁部が設けられておらず、圧電素子ユニット40の積層方向(主壁部51の法線方向)の一側及び該短手方向の他側に開口した形状となっている。
このように構成されたケース5内に前記アクチュエータ本体4が収容されている。アクチュエータ本体4は、一方の主面が主壁部51と対向し且つ一方の長辺側面(前記外部電極47,45,46が設けられている側の長辺側面)が長辺壁部54と対向するようにしてケース5内に収容されている。このとき、駆動子8,8はケース5から前記短手方向の他側に突出している。
また、アクチュエータ本体4の一方の長辺側面とケース5の長辺壁部54との間には押圧ゴム62が介設されている。この押圧ゴム62は、アクチュエータ本体4及び長辺壁部54だけでなく、主壁部51の内側表面とも当接している。
そして、主壁部51の内側表面における、前記押圧ゴム62が当接する部分には互いに絶縁された3つの電極(図示省略)が設けられているこれらの電極は、主壁部51の外側表面に設けられた端子電極(図示省略)にそれぞれ導通している。
前記各押圧ゴム62は、図8に示すように、略直方体状をしていて、絶縁層62aと導電層62bとを交互に積層して形成されている。絶縁層62aは、シリコーンゴムで構成されていて、4層設けられている。一方、導電層62bは、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムで構成されていて、3層設けられている。このように構成された押圧ゴム62は、積層方向がアクチュエータ本体4の長手方向を向くように配置されている。このとき、3つの導電層62b,62b,62bはそれぞれ、アクチュエータ本体4と対向する部分がアクチュエータ本体4の外部電極47a,45a,46aと接触する一方、ケース5の主壁部51と対向する部分がケース5の内面に形成された前記3つの電極と接触している。こうして、押圧ゴム62は、前記端子電極に導通する3つの電極とアクチュエータ本体4の外部電極47,45,46とをそれぞれ導通させている。つまり、ケース5の外側表面に設けられた前記端子電極に給電することによって、押圧ゴム62を介してアクチュエータ本体4に給電することができる。
また、この押圧ゴム62は、詳しくは後述するが、アクチュエータ本体4をその短手方向(即ち、短手方向が押圧方向に相当する)に押圧する。この押圧ゴム62が与圧手段を構成する。
尚、押圧ゴム62の代わりに、板バネ等の弾性部材を採用してもよい。
また、ケース5内に収容されたアクチュエータ本体4は、板ばね61によってケース5に対して弾性的に支持されている。この板ばね61が支持部を構成する。
板ばね61は、方形状に形成された板状部材であって、アクチュエータ本体4の設置面40aと対向し且つ該設置面40aと略平行な姿勢で配設されている。板ばね61は、駆動子8,8に対応する位置に開口部61a,61aが形成されている。板ばね61のこれら開口部61a,61aに挟まれた部分には、板ばね61をアクチュエータ本体4に接合するための本体側接合部61bが形成されている。また、板ばね61において開口部61a,61aよりも長手方向外側の部分には、板ばね61をケース5に接合するための基礎側接合部61c,61cが形成されている。
本体側接合部61bは、アクチュエータ本体4の設置面40aにおける、駆動子8,8の間の部分にエポキシ系接着剤61dを介して接合される。また、基礎側接合部61c,61cは、ケース5の第1及び第2短辺壁部52,53の(アクチュエータ本体4の)短手方向端面にエポキシ系接着剤61e,61eを介して接合される。
ここで、各開口部61aは、駆動子8を板ばね61に対して(アクチュエータ本体4の)短手方向へ投影したときの投影面積よりも大きく開口している。こうすることで、板ばね61をアクチュエータ本体4及びケース5に接合したときに、駆動子8,8は、開口部61a,61aを介して板ばね61を貫通し、該板ばね61と干渉することがない。
さらに、各開口部61aは、アクチュエータ本体4の、駆動子8よりも長手方向外側の部分の板ばね61への投影面積よりも大きく開口している。つまり、アクチュエータ本体4が前述の如く縦振動及び屈曲振動を行う際に、駆動子8だけでなく、アクチュエータ本体4の、駆動子8よりも長手方向外側の部分が板ばね61と干渉することが防止される。
このように構成された超音波アクチュエータ2は、図2,9に示すように、各駆動子8がステージ11の裏面と当接するように配設されると共に、ケース5が基台(図示省略)に固定される。詳しくは、超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4の短手方向がステージ11の裏面に直交すると共に、アクチュエータ本体4の長手方向がガイド12,12と平行になるように配置される。さらに換言すれば、超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4の屈曲振動の方向がステージ11の裏面と直交すると共に、アクチュエータ本体4の縦振動の方向がガイド12,12と平行な方向を向くように配置される。
このとき、前記押圧ゴム62を圧縮変形させた状態で超音波アクチュエータ2を配設しており、この押圧ゴム62の弾性力によってアクチュエータ本体4がステージ11に押圧されている。つまり、駆動子8,8がステージ11に押し付けられた状態になっている。そのため、アクチュエータ本体4を振動していない状態においても、駆動子8,8とステージ11との間に摩擦力が作用する状態となっており、ステージ11の位置が保持される。超音波アクチュエータ2のステージ11への押圧力は、押圧ゴム62の弾性力によって決まる。
前記制御装置は、外部からの動作指令を受けて、その動作指令に応じた周波数の交流電圧を動作指令に応じた位相差で外部電極46,47に印加する。
制御装置は、前述の如く、アクチュエータ本体4、即ち、圧電素子ユニット40に縦振動と屈曲振動とを調和的に発生させて、駆動子8,8を図7に示すような周回運動させることで、ステージ11を移動させる。具体的には、アクチュエータ本体4の異常発熱を防止すべく、アクチュエータ本体4の縦振動と屈曲振動との共通の共振周波数よりも少し高い周波数の交流電圧が外部電極46,47に印加される。このとき、交流電圧は、互いに位相が90°ずれた状態で外部電極46,47に印加される。
アクチュエータ本体4が、縦振動と屈曲振動との合成振動を行うと、駆動子8,8はアクチュエータ本体4の長手方向と短手方向とを含む平面内において略楕円運動を行う。こうすることで、駆動子8,8は、ステージ11との当接及び離間を周期的に繰り返しながら、ステージ11に対して摩擦力を介してアクチュエータ本体4の長手方向へ駆動力を付与しており、ステージ11はガイド12,12に沿って移動する。このアクチュエータ本体4の長手方向(ガイド12,12が延びる方向と一致する)が、駆動子8,8が駆動力を出力する方向である駆動方向に相当する。
以下に、超音波アクチュエータ2によるステージ11の駆動を、図10を参照してさらに詳しく説明する。アクチュエータ本体4が長手方向(縦振動の振動方向)に伸張するとき、一方(例えば、図10の左側)の駆動子8は、図10(b)に示すように、短手方向(屈曲振動の振動方向)においてステージ11側の領域を変位するため、ステージ11との間の摩擦力が増大し、この摩擦力によってステージ11を該長手方向における該一方の駆動子8が変位する側(図10の左側)へ移動させる。このとき、他方(図10の右側)の駆動子8は、該長手方向において一方の駆動子8とは逆向きに変位するが、該短手方向において反ステージ11側(ステージ11から離れる側)の領域を変位するため、ステージ11から離れて摩擦力が作用せず、ステージ11の移動にはほとんど影響を与えない。
一方、アクチュエータ本体4が長手方向に収縮するときは、他方(図10の右側)の駆動子8は、図10(c)に示すように、短手方向においてステージ11側の領域を変位するため、ステージ11との間の摩擦力が増大し、この摩擦力によってステージ11を該長手方向における該他方の駆動子8が変位する側(図10の左側)へ移動させる。この移動方向は、前述した、アクチュエータ本体4の伸張時における一方の駆動子8によるステージ11の移動方向と同じである。このとき、一方(図10の左側)の駆動子8は、該長手方向において他方の駆動子8とは逆向きに変位するが、該短手方向において反ステージ11側の領域を変位するため、ステージ11から離れて摩擦力が作用せず、ステージ11の移動にはほとんど影響を与えない。
尚、図10においては、ステージ11の移動に影響を与えない方の駆動子8はステージ11から離れているが、必ずしも離れている必要はない。すなわち、駆動子8は、ステージ11を移動させない程度の摩擦力で該ステージ11に接触している状態であってもよい。
こうして、一方の駆動子8と他方の駆動子8とは、位相が180°ずれた状態で交互にステージ11を所定の一方向へ移動させる。尚、前記交流電圧を位相を−90°ずらした状態で外部電極46,47に印加することによって、駆動子8,8が出力する駆動力を逆向きにすることができ、ステージ11を他方向へ移動させることができる。
尚、ステージ11の移動量、移動速度及び移動加速度は、外部電極46,47に給電する交流電圧の電圧値、周波数及び給電時間の少なくとも1つを調整する、又は外部電極46,47に給電する各交流電圧の位相のずれを変更する等によって調整することができる。
このように、超音波アクチュエータ2は、駆動子8,8に縦振動の振動方向(長手方向)と屈曲振動の振動方向(短手方向)とを含む平面内で周回運動させて駆動子8,8とステージ11との間の摩擦力の増大と緩和とを繰り返しながら、該ステージ11を駆動している。
こうして、駆動子8,8とステージ11との間の摩擦力を介してステージ11を駆動するアクチュエータ本体4には、ステージ11へ駆動力を付与する際に、ステージ11から駆動子8,8を介して反力が作用する。この反力は、アクチュエータ本体4に対して、ステージ11を駆動させる方向とは反対方向に作用する。
ここで、アクチュエータ本体4を弾性的に支持する構成においては、この反力によってアクチュエータ本体4がステージ11を駆動させる方向とは反対方向に変位してしまい、アクチュエータ本体4からステージ11へ駆動力を効率良く伝えることができない虞がある。例えば、アクチュエータ本体4を押圧ゴム62のみでケース5に対して支持する構成の場合、駆動子8,8に作用する反力が、アクチュエータ本体4に対して押圧ゴム62を中心とするモーメントとして作用し、アクチュエータ本体4を押圧ゴム62を中心に回転変位、即ち、傾かせてしまう。その結果、駆動子8,8とステージ11との接触状態が不安定になり、超音波アクチュエータ2が安定した動作を行えないという虞もある。
そこで、本実施形態では、アクチュエータ本体4の、駆動子8,8が設けられている側の端部を板ばね61によってケース5に対して支持している。
こうすることで、アクチュエータ本体4を駆動子8,8の近傍で支持することができるため、アクチュエータ本体4をケース5に対して支持する板ばね61との距離が短くなり、反力によるアクチュエータ本体4を回転させるモーメントが、アクチュエータ本体4を押圧ゴム62だけでケース5に支持する構成と比較して、小さくなる。
また、板ばね61は、その法線方向へのばね定数に比べて、板ばね61が拡がる方向(面内方向)へのばね定数の方がはるかに大きい。つまり、板ばね61を、その法線方向がアクチュエータ本体4をステージ11に押圧する押圧方向と平行に且つ、その板ばね61が拡がる方向がステージ11の駆動方向、即ち、反力の方向と平行となる状態で、アクチュエータ本体4とケース5とに接合することによって、アクチュエータ本体4の押圧方向への変位は阻害することなく、アクチュエータ本体4の反力の方向への変位を規制することができる。ただし、アクチュエータ本体4における板ばね61が接合される部分は、縦振動及び屈曲振動の節の部分であるため、板ばね61がアクチュエータ本体4の反力の方向への変位を規制したとしても、アクチュエータ本体4の縦振動及び屈曲振動を阻害することはない。
したがって、本実施形態1によれば、アクチュエータ本体4を駆動子8,8が設けられた側の端面、即ち、設置面40aにおいて板ばね61によってケース5に弾性的に支持することによって、ステージ11からの反力が作用する駆動子8,8とアクチュエータ本体4の支持部である板ばね61との距離を短くして、反力によるアクチュエータ本体4を回転させるモーメントを小さくすることができる。その結果、アクチュエータ本体4の傾きを抑制して、駆動子8,8とステージ11との当接状態を安定的に維持することができる。ひいては、超音波アクチュエータ2を安定的に動作させることができる。
尚、駆動子8,8が予想される摩耗分だけ板ばね61からステージ11側へ突出するように、駆動子8,8を板ばね61の厚さまで小さく、又は板ばね61を駆動子8,8の大きさまで厚くすることが好ましい。こうすることで、駆動子8,8と板ばね61との距離を短くして、反力によるモーメントを可及的に低減することができる。それに加えて、板ばね61を厚くする構成では、反力によるモーメントに対する板ばね61の剛性を向上させることができる。
また、板ばね61を、その法線方向が押圧ゴム62の押圧方向と平行に且つ、その面が拡がる方向が駆動力を出力する駆動方向と平行となった状態で、アクチュエータ本体4とケース5とに接合することによって、アクチュエータ本体4の押圧方向への変位を阻害することなく、アクチュエータ本体4の駆動方向、即ち、反力の方向への変位を規制することができる。このとき、アクチュエータ本体4における板ばね61との接合部を縦振動及び屈曲振動の節の部分とすることによって、板ばね61をアクチュエータ本体4の一側面に接合し且つ該板ばね61でアクチュエータ本体4の反力の方向への変位を規制する構成であっても、アクチュエータ本体4の縦振動及び屈曲振動を阻害することを防止することができる。
換言すれば、アクチュエータ本体4を、押圧方向へのばね定数よりも駆動方向へのばね定数の方が大きい支持部で支持することが好ましい。こうすることで、アクチュエータ本体4の押圧方向への変位を阻害することなく、また、アクチュエータ本体4に作用する押圧力に与える影響を抑制し、さらには、アクチュエータ本体4の反力の方向への変位を規制することができる。尚、前述の如く、アクチュエータ本体4を駆動子8,8の近傍で支持しなくとも、アクチュエータ本体4を押圧方向へのばね定数よりも駆動方向へのばね定数の方が大きい支持部で支持することによって、かかる効果を奏することができる。アクチュエータ本体4に作用するモーメントを小さくする観点から、アクチュエータ本体4を駆動子8,8の近傍で支持する方が好ましいことは、言うまでもない。
さらに、板ばね61をその法線方向が押圧ゴム62の押圧方向を向くように配設することによって、押圧方向へのばね定数が小さくなるように板ばね61を配設することになるため、板ばね61が押圧ゴム62からアクチュエータ本体4へ付与される押圧力へ与える影響を小さくすることができる。その結果、アクチュエータ本体4をステージ11へ押圧する押圧力は押圧ゴム62によって支配的に決定することができ、アクチュエータ本体4に安定した押圧力を作用させることができる。
さらにまた、板ばね61の本体側接合部61bよりもアクチュエータ本体4の長手方向外側の部分に、アクチュエータ本体4のその短手方向への板ばね61への投影面積よりも大きな開口部61a,61aを形成することによって、アクチュエータ本体4が振動変位する、特に、屈曲振動する際にアクチュエータ本体4が板ばね61と干渉することを防止することができる。それと共に、超音波アクチュエータ2をステージ11に対して設置する際に、2つの駆動子8,8間での大きさのばらつきや接着剤の厚さのばらつきによってアクチュエータ本体4がステージ11に対して多少傾いて設置されたとしても、アクチュエータ本体4が板ばね61と干渉することを防止することができる。
《発明の実施形態2》
次に、本発明の実施形態2に係る超音波アクチュエータ202について説明する。実施形態2に係る超音波アクチュエータ202は、支持部の構成が実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付して、説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
実施形態2に係る超音波アクチュエータ202は、図11に示すように、板ばね261によってケース205に支持されている。
実施形態2に係るケース205は、アクチュエータ本体4の厚み方向の一側が開口しておらず、厚み方向の一側にも壁部が設けられている点で実施形態1に係るケース5とは異なる。詳しくは、ケース205は、アクチュエータ本体4の主面と平行な第1主壁部251と第2主壁部255とが対向して設けられている。
また、実施形態2に係る板ばね261は、実施形態1に係る板ばね61と異なり、細長い板状に形成されている。この板ばね261は、アクチュエータ本体4がケース205内に収容された状態において、ケース205の第1主壁部251から第2主壁部255まで、駆動子8,8の間を通って、アクチュエータ本体4の厚み方向に延びて設けられている。このとき、板ばね261は、アクチュエータ本体4の設置面40aと略平行になっている。
そして、板ばね261の両端部には、基礎側接合部261c,261cが形成されており、これら基礎側接合部261c、261cそれぞれがエポキシ系接着剤261e,261eを介してケース205の第1及び第2主壁部251,255の(アクチュエータ本体4の)短手方向端面に接合されている。また、板ばね261の中間部には、本体側接合部261aが形成されており、この本体側接合部261aがエポキシ系接着剤261dを介してアクチュエータ本体4の設置面40aにおける駆動子8,8の間の部分に接合されている。
したがって、本実施形態2によれば、アクチュエータ本体4を駆動子8,8が設けられた側の端面、即ち、設置面40aにおいて板ばね261によってケース5に弾性的に支持することによって、ステージ11からの反力が作用する駆動子8,8とアクチュエータ本体4の支持部である板ばね261との距離を短くして、反力によるアクチュエータ本体4を回転させるモーメントを小さくすることができる。その結果、アクチュエータ本体4が傾くことを抑制して、駆動子8,8とステージ11との当接状態を安定的に維持することができる。尚、実施形態1と比べても、駆動子8,8と板ばね261(特に、板ばね261の基礎側接合部261c,261c)との距離を短くすることができるため、モーメントを抑制する効果がより大きくなる。
また、板ばね261を、その法線方向が押圧ゴム62の押圧方向と平行に且つ、その面が拡がる方向が駆動力を出力する駆動方向と平行となる状態で、アクチュエータ本体4とケース205とに接合することによって、アクチュエータ本体4の押圧方向への変位を阻害することなく、アクチュエータ本体4の駆動方向、即ち、反力の方向への変位を規制することができる。このとき、アクチュエータ本体4における板ばね261との接合部を縦振動及び屈曲振動の節の部分とすることによって、板ばね261をアクチュエータ本体4の一側面に接合し且つ該板ばね261でアクチュエータ本体4の反力の方向への変位を規制する構成であっても、アクチュエータ本体4の縦振動及び屈曲振動を阻害することを防止することができる。
さらに、実施形態1に比べて、板ゴム261の構成を簡易にすることができる。
その他、実施形態1と同様の作用・効果を奏することができる。
《発明の実施形態3》
次に、本発明の実施形態3に係る超音波アクチュエータ302について説明する。実施形態3に係る超音波アクチュエータ302は、可動体及び固定体への取付構造が実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付して、説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
詳しくは、実施形態3に係る駆動装置301は、図12に示すように、固定体としてのコ字状に形成された固定枠13と、固定枠13内において互いに平行に設けられた一対のガイドレール14,14と、該ガイドレール14,14に対して摺動自在に設けられたステージ15と、超音波アクチュエータ302とを備えている。
超音波アクチュエータ302においては、アクチュエータ本体4が支持用板ばね361が接合されると共に、該支持用板ばね361の両端部が、コ字状に形成された固定枠(固定体を構成する)13の端部にボルトを介して固定されている。すなわち、固定枠13が固定体及び基礎部を構成する。
このとき、支持用板ばね361の一端部においては、スペーサ16を介して押圧用板ばね362がボルトにより共締めされる。この押圧用板ばね362は、一端部がボルトにより固定枠13に固定される一方、他端部が自由端となっている。そして、押圧用板ばね362の他端部には、屈曲して形成された押圧部362aが設けられている。押圧用板ばね362は、固定枠13に固定されることによって、押圧部362aでアクチュエータ本体4をステージ15に対して押圧するように構成されている。この押圧用板ばね362が与圧手段を構成する。
つまり、アクチュエータ本体4は、板ばね361によって固定枠13に弾性的に支持されると共に、押圧用板ばね362によってステージ15に対して押圧されている。このとき、支持用板ばね361は、その法線方向が押圧用板ばね362による押圧方向と平行になると共に、その面が拡がる方向が駆動方向と平行になるように配設されているため、支持用板ばね361は、アクチュエータ本体4の押圧方向への変位を阻害することなく、駆動方向、即ち、ステージ15からの反力の方向への変位を規制することができる。尚、支持用板ばね361は、前記実施形態と同様に、アクチュエータ本体4の振動の節に接合されることが好ましい。
尚、アクチュエータ本体4への給電は、外部電極47,45,46に接続されたワイヤ(図示省略)を介して行われる。
したがって、本実施形態3によれば、実施形態1と同様に、アクチュエータ本体4を駆動子8,8の近傍で支持することができるため、ステージ15からの反力による、アクチュエータ本体4を回転させるモーメントを抑制することができる。
また、支持用板ばね361をアクチュエータ本体4の駆動方向と平行に配設することによって、アクチュエータ本体4の駆動方向、即ち、反力の方向への変位を規制することができる。それに加えて、支持用板ばね361をその法線方向が押圧用板ばね362による押圧方向と平行になるように配設することによって、アクチュエータ本体4の押圧方向への振動及び変位を阻害することを防止できる。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態1〜3について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、前記実施形態1〜3では、板ばね61,261,361を、アクチュエータ本体4の駆動子8,8が設けられた設置面に接合しているが、これに限られるものではない。例えば、板ばね61,261,361を、アクチュエータ本体4の主面や短辺側面における、設置面40a側の端部、即ち、アクチュエータ本体4の短手方向の駆動子8,8寄りの部分に接合する構成であってもよい。つまり、板ばね61,261,361を設置面40aではなく、アクチュエータ本体4の主面や短辺側面における駆動子8,8側の端部に接合することによって、駆動子8,8と板ばね61,261,361との距離を短くすることができ、反力によるアクチュエータ本体4を回転させるモーメントを抑制することができる。
また、前記実施形態1〜3では、アクチュエータ本体4において、外部電極47,45,46を1つの長辺側面に形成して、1つの押圧ゴム62によって該外部電極47,45,46に給電しているが、これに限られるものではない。例えば、図13に示すように、外部電極47,45,46をそれぞれアクチュエータ本体4における異なる側端面に設けると共に、押圧ゴム62以外に2つの給電ゴム63,63を設けて、該押圧ゴム62及び給電ゴム63,63を介して外部電極47,45,46にそれぞれ給電するように構成してもよい。
また、前記実施形態では、支持部を板ばねで構成しているが、これに限られるものではない。例えば、図14に示すように、柱状部材で構成された支持部461を採用してもよい。かかる場合であっても、アクチュエータ本体4を駆動子408,408の近傍で支持部461によって支持することができ、反力が作用する駆動子408,408とアクチュエータ本体4を支持する支持部461との距離を短くして、アクチュエータ本体4に作用する反力によるモーメントを小さくすることができる。尚、駆動子408は、円柱状ではなく、球状に形成されている。
また、柱状部材は、その曲げ方向のばね定数に比べて、軸方向のばね定数の方が非常に大きい。そこで、支持部461を構成する柱状部材のうち少なくとも一部の柱状部材をその軸が駆動方向、即ち、反力の方向と平行になるように配設することによって、アクチュエータ本体4を反力の方向について強固に支持することができる。具体的には、図14に示すように、支持部461は、アクチュエータ本体4の厚み方向に延びる本体側接合部461bと、本体側接合部461bの両端部にそれぞれ接合され且つアクチュエータ本体4の長手方向に延びる一対の基礎側接合部461c,461cとを有している。すなわち、基礎側接合部461c,461cはその軸が駆動方向、即ち、反力の方向と平行となるように配設されている。そして、本体側接合部461bは、エポキシ系接着剤461dを介してアクチュエータ本体4の設置面40aにおける駆動子408,408の間の部分に接合されている。また、各基礎側接合部461cは、両端部がケース5の第1及び第2短辺壁部52,53の(アクチュエータ本体4の)短手方向端面にエポキシ系接着剤461e,461eを介して接合されている。こうすることによって、アクチュエータ本体4がステージ11から駆動子408,408を介して反力を受けても、基礎側接合部461c,461cで該反力を受け止めることができ、アクチュエータ本体4の反力の方向への変位を抑制することができる。その一方で、本体側接合部461bをアクチュエータ本体4の節の部分に接合すると共に、本体側接合部461b及び基礎側接合部461c,461cの曲げの方向がアクチュエータ本体4の押圧方向と一致するため、アクチュエータ本体4の押圧方向への変位が阻害されることはない。
さらに、駆動子8の形状、個数、材質等は前記実施形態に制限されるものではなく、任意の形状、個数、材質等の駆動子を採用することができる。
また、超音波アクチュエータ2を、アクチュエータ本体4に長手方向への縦振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとを調和的に発生させるように構成したが、これに限られるものではない。これ以外の振動又はモードを発生させるものであってもよく、アクチュエータ本体4を振動させて駆動子8,8とステージ11との間の摩擦力を介して駆動力を出力する振動型アクチュエータであれば任意の構成を採用することができる。
また、超音波アクチュエータ2は、前記の構成に限られるものではない。例えば、前記押圧ゴム62を介してアクチュエータ本体4に給電する構成ではなく、リード線をアクチュエータ本体4に接続して給電する構成でもよい。また、アクチュエータ本体4の振動のノード部(節の部分)を非弾性部材で支持する構成であってもよい。
さらにまた、アクチュエータ本体4は圧電素子ユニット40で構成されているが、金属などの基板に圧電素子を貼り付けた構成や、金属などで共振器を形成し、圧電素子を挟み込んだ構成であってもよい。この場合、圧電素子を含んで構成された共振器がアクチュエータ本体を構成する。
さらに、前記実施形態では、超音波アクチュエータ2を基台に固定すると共に、駆動子8,8を移動可能なステージ11に当接させて、該超音波アクチュエータ2を作動させることで該ステージ11を駆動させているが、図15に示すように、超音波アクチュエータ2をステージに固定する構成としてもよい。詳しくは、駆動装置501は、互いに平行な状態で基台に固定されたガイド17,17と、該ガイド17,17に摺動自在に取り付けられたステージ18と、超音波アクチュエータ2とを備えている。該ガイド17,17のうちの一方のガイド17には、該ガイド17に固定された被当接部材17aが設けられている。一方、ステージ18には、アクチュエータ取付部18aが設けられている。そして、超音波アクチュエータ2は、駆動子8,8が該ガイド17の被当接部材17aに当接する状態で、該ステージ18のアクチュエータ取付部18aにケース5が取り付けられている。この状態で、超音波アクチュエータ2を作動させると、駆動子8,8は被当接部材17aに対して駆動力を出力するが、該被当接部材17aは固定されているため、超音波アクチュエータ2自体が被当接部材17aに対して相対的にガイド17,17の長手方向に振動する。その結果、アクチュエータ取付部18aを介してケース5と連結されたステージ18がガイド17,17の長手方向に駆動される。被当接部材17aが固定体を構成する。
また、前記実施形態では、超音波アクチュエータの駆動力が付与されて駆動されるステージ11は平板状であるが、これに限られるものではなく、可動体の構成としては任意の構成を採用することができる。例えば、図16に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体19であり、超音波アクチュエータの駆動子8,8が該円板体19の側周面19aに当接するように構成された駆動装置601を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子8,8の概略楕円運動によって、該円板体19が所定の軸X回りに回動させられる。この円板体19が可動体を構成する。
また、図17に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体20であり、超音波アクチュエータの駆動子8,8が該円板体20の平面部20aに当接するように構成された駆動装置701を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子8,8の概略楕円運動によって、該円板体20が駆動子8,8と当接部における接線方向に駆動され、結果として該円板体20が所定の軸X回りに回動させられる。この円板体20が可動体を構成する。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、圧電素子を用いて構成され、振動方向が互いに異なる複数の振動を発生させるアクチュエータ本体を備え、可動体を駆動する振動型アクチュエータについて、特に、小型で精密に駆動する振動型アクチュエータについて有用である。
1,301,501,601,701 駆動装置
11,15 ステージ(可動体)
13 固定枠(基礎部、固定体)
17a 被当接部材(固定体)
19,20 円板体(可動体)
2,202,302,402 超音波アクチュエータ(振動型アクチュエータ)
4 アクチュエータ本体
5,205 ケース(基礎部)
61,261,361 板ばね(支持部)
461 支持部
62 押圧ゴム(与圧手段)
362 押圧用板ばね(与圧手段)
8 駆動子