JPWO2009047899A1 - 発光素子、及び、表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
前記第1電極と前記第2電極との間に挟持された発光層であって、正孔輸送材料からなる媒体中に、表面に導電性ナノ粒子が担持された発光体粒子が分散して構成された発光層と、
を備えたことを特徴とする。
前記第1電極と前記第2電極との間に挟持された発光層であって、発光体粒子の表面に導電性ナノ粒子が担持され、前記導電性ナノ粒子が担持された表面の少なくとも一部が正孔輸送材料で被覆された発光体粒子を含む発光体粒子粉末で構成された発光層と、
を備えたことを特徴とする。
前記発光素子アレイの発光面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数のx電極と、
前記発光素子アレイの発光面に平行であって、前記第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のy電極と、
を備えることを特徴とする。
前記発光素子アレイの発光面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数のx電極と、
前記発光素子アレイの発光面に平行であって、前記第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のy電極と
を備え、
前記発光素子アレイの前記薄膜トランジスタに接続されている一方の電極が、前記信号配線と前記走査配線との各交点に対応した画素電極であって、他方の電極が複数の発光素子において共通に設けられていることを特徴とする。
<EL素子の概略構成>
図1は、本実施の形態1に係る発光素子10の構成を示す概略断面図である。この発光素子10は、第1の電極である背面電極12と、第2の電極である透明電極16と、上記一対の電極12、16の間に挟持された発光層13とを備える。発光層13は発光体粒子14の表面に導電性ナノ粒子18が担持された発光体粒子粉末が正孔輸送材料15中に分散して構成されている。また、第1の電極である背面電極12と、第2の電極である透明電極16との間には直流電源17が接続され、電圧が印加される。電極12、16間に電力が供給されると、背面電極12および透明電極16の間に電位差が生じ、電圧が印加される。そして、背面電極12および透明電極16から導電性ナノ粒子18と正孔輸送材料15を介して、キャリアである正孔と電子とが発光体粒子14に注入され、それらが再結合して発光する。発光は透明電極16の側から外部に取り出される。
<基板>
図1において、基板11は、その上に形成する各層を支持できるものを用いる。具体的には、シリコン、Al2O3,AlNなどのセラミック等を用いることができる。さらに、ポリエステル、ポリイミド等のプラスチック基板を用いてもよい。また、基板11側から光を取り出す場合、発光体から発せられる光の波長に対し光透過性を有する材料であることが求められる。このような材料としては、例えば、コーニング1737等のガラス、石英等を用いることができる。通常のガラスに含まれるアルカリイオン等が発光素子へ影響しないように、無アルカリガラスや、ガラス表面にイオンバリア層としてアルミナ等をコートしたソーダライムガラスであってもよい。これらは例示であって、基板11の材料は特にこれらに限定されるものではない。
また、基板側から光を取り出さない構成の場合は、上述の光透過性は不要であり、透光性を有していない材料も用いることができる。
電極には、背面電極12と透明電極16とがある。これらは2つの電極のうち、光を取り出す側の電極を透明電極16とし、他方を背面電極12としているものである。
光を取り出す側の透明電極16の材料は、発光層13内で生じた発光を取り出せるように光透過性を有するものであればよく、特に可視光領域において高い透過率を有することが好ましい。また、低抵抗であることが好ましく、さらには発光層13との密着性に優れていることが好ましい。またさらに、発光層13上に成膜する際に、発光層13が熱劣化等を生じないよう、低温成膜できるものがより好ましい。透明電極16の材料として、特に好適なものは、ITO(In2O3にSnO2をドープしたものであり、インジウム錫酸化物ともいう。)やInZnO、ZnO、SnO2等を主体とする金属酸化物、Pt、Au、Pd、Ag、Ni、Cu、Al、Ru、Rh、Ir等の金属薄膜、あるいはポリアニリン、ポリピロール、PEDOT/PSS、ポリチオフェンなどの導電性高分子等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、透明電極16の体積抵抗率は1×10−3Ω・cm以下であって、透過率は380〜780nmの波長において75%以上、さらには屈折率が、1.85〜1.95であることが望ましい。例えばITOは、その透明性を向上させ、あるいは抵抗率を低下させる目的で、スパッタリング法、エレクトロンビーム蒸着法、イオンプレーティング法等の成膜方法で成膜できる。また成膜後に、抵抗率制御の目的でプラズマ処理などの表面処理を施してもよい。透明電極16の膜厚は、必要とされるシート抵抗値と可視光透過率から決定される。
発光層13に直接形成しても良いが、ガラス基板上に透明導電膜を形成し、透明導電膜と発光層13とが直接接するように貼り合わせても良い。
発光層13は、正孔輸送材料15を媒体として、表面に導電性ナノ粒子18が担持された発光体粒子14が分散して構成されている(図1、図2、図3)。なお、この例に限られず、実施の形態2に係る発光素子における発光層のように、発光層13は、発光体粒子14の粒子表面に導電性ナノ粒子18が担持され、さらにその上を正孔輸送材料15で覆われた発光体複合粒子(図5)を含む発光体粒子粉末で構成された場合(図4)であってもよい。また、実施の形態3に係る発光素子のように、発光体粒子14の粒子表面に導電性ナノ粒子18が担持され、その上を正孔輸送材料15で覆われると共に、導電性ナノ粒子18の一部が正孔輸送性材料より外側に露出している発光体複合粒子(図6)を含む発光体粒子粉末で構成された場合(図7)であってもよい。
発光体粒子14としては、光学バンドギャップが可視光の大きさを有する材料であれば、いずれも使用できる。具体的には第13族−第15族化合物半導体であるAlN、GaN、InN、AlP、GaP、InP、AlAs、GaAs、AlSb等を用いることができる。特に、GaNに代表される第13族窒化物半導体が好ましい。また、これらの混晶(例えばGaInN等)であってもよい。さらに、伝導性を制御するために、Si、Ge、Sn、C、Be、Zn、Mg、Ge、Mnからなる群より選択される1又は複数種の元素をドーパントとして含んでいてもよい。
本発明の発光素子に使用される導電性ナノ粒子18は、Ag,Au,Pt,Ni,Cuなどの金属材料粒子や、酸化インジウムスズ、ZnO,InZnOなどの酸化物粒子、カーボンナノチューブなどの炭素材料粒子などを用いることができる。導電性ナノ粒子18の形状は、粒状、球状、柱状、針状、あるいは不定形等のいずれの形状であってもよい。導電性ナノ粒子18の平均粒子径または平均長は、1nm〜200nmの範囲内にあることが好ましい。1nmより小さいと、導電性が悪くなり、発光輝度が低下する。一方、200nmより大きいと、電極間の電気的導通が大きくなるが、導電経路に含まれない発光体粒子14が多くなり、発光輝度、効率が大きく低下する。
次に、発光体粒子14の表面に担持した導電性ナノ粒子18のさらに表面を被覆、若しくは、発光体粒子14間に存在する媒体材料としての正孔輸送材料15について説明する。正孔輸送材料15は、正孔を生成、輸送する機能を備えた有機物材料であれば、いずれも使用できる。また、正孔輸送材料15としては、有機正孔輸送材料と、無機正孔輸送材料とがある。正孔輸送材料15にはホール移動度の高い材料が好ましい。
またさらに、前述した正孔輸送材料を複数種混合して用いてもよい。また、光又は熱で架橋又は重合する架橋性又は重合性材料を含んでいてもよい。
無機正孔輸送性材料について説明する。無機正孔輸送性材料としては、透明または半透明であって、p型伝導性を示す材料であればよい。好適なものとしては、Si、Ge、SiC、Se、SeTe、As2Se3等の半金属系半導体、ZnS、ZnSe、CdS、ZnO、CuI等の2元化合物半導体、CuGaS2、CuGaSe2、CuInSe2等のカルコパイライト型半導体、さらにこれらの混晶、CuAlO2、CuGaO2等の酸化物半導体さらにこれらの混晶等が挙げられる。またさらに、伝導性を制御するために、これらの材料にドーパントを添加してもよい。
本発明の実施例として、発光層13を塗布法によって得る方法を説明する。実施例として図2に示すような発光素子20を作製した。
(a)透明電極16を設けた透明基板11は、ガラス上に透明電極16であるITOをスパッタ法で成膜したものを使用した。ITO16の膜厚は約300nmであった。
(b)発光体粒子14として平均粒径が500〜1000nmのGaN粒子を用いた。
(c)導電性ナノ粒子18として平均粒子径が20〜30nmのITOナノ粒子を用いて、このITOナノ粒子18をGaN粒子14の表面に固定した。
(d)正孔輸送材料15として、樹脂溶液に溶かしたテトラフェニルブタジエン系T770を用いて、表面に導電性ナノ粒子18を担持したGaN粒子14を、正孔輸送性材料からなる樹脂ペーストに十分に混合させ、発光体ペーストとした。
(e)次に、ITO膜16を成膜したガラス基板11上に発光体ペーストを塗布して発光層13となる塗布膜を形成した。塗布膜の厚さは約30μmであった。
(f)次に、シリコン基板にPt電極を形成して構成した背面電極12を、シリコン基板のPt電極面を塗布膜に接するように貼り付けた。その後、塗布膜を乾燥させて発光層13とした。
以上の工程によって発光素子を作成した。
尚、本実施例では、背面電極12に正電圧を、透明電極16に負電圧を印加したが、極性を変えても同様に発光させることができた。
本実施の形態に係る発光素子は、従来の発光素子よりも耐食性、耐酸化性に優れ、高い輝度、長寿命を得ることができた。
<発光素子の概略構成>
本発明の実施の形態2に係る発光素子について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、本実施の形態2の発光素子40の概略構成を示す発光層に垂直な断面図である。この発光素子40は、図1に示す発光素子10に比べて、発光層13が、図5に示す発光体複合粒子を含む発光体粒子粉末で構成されている点で相違する。図5は、発光体粒子14の粒子表面に導電性ナノ粒子18が担持され、さらにその上に正孔輸送材料15で被覆された複合発光体粒子の断面構造を示す断面図である。この正孔輸送材料の被覆層の厚さは1μm〜10μmの範囲、好ましくは2μm〜3μmの範囲である。また、この発光素子40は、実施の形態1に係る発光素子と比較すると、上記の発光体複合粒子が、有機バインダ41を結着剤として背面電極12と透明電極16との間に配置されている点で相違する。本実施の形態2に係る発光素子40の特徴は、発光体粒子14の表面に導電性ナノ粒子が担持され、その上を有機正孔輸送材料15で被覆することで、正孔注入性を改善するとともに電子注入性も改善している点にある。
なお、上記構成に限られず、背面電極12を黒色電極とする、発光素子40の全部又は一部を樹脂やセラミックスで封止する構造をさらに備える等、適宜変更が可能である。
本実施の形態に係る発光素子では、比較的容易に面状を形成することが可能であって、且つ高輝度、高効率、高信頼性の発光素子を実現することができる。
<発光素子の概略構成>
本発明の実施の形態3に係る発光素子50について、図6及び図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態3の発光素子50の概略構成を示す発光層に垂直な断面図である。この発光素子50は、図1に示す発光素子10に比べて、発光層13が、図6に示す発光体複合粒子を含む発光体粒子粉末で構成されている点で相違する。図6は、発光体粒子14の粒子表面に導電性ナノ粒子18が担持され、その上に正孔輸送材料15が被覆されていると共に、導電性ナノ粒子18の一部が正孔輸送材料より外側に露出した複合発光体粒子の断面構造を示す断面図である。この正孔輸送材料の被覆層の厚さは1μm〜10μmの範囲、好ましくは2μm〜3μmの範囲である。また、この発光素子50は、実施の形態1に係る発光素子と比較すると、上記の発光体複合粒子が、有機バインダ41を結着剤として背面電極12と透明電極16との間に配置されている点で相違する。本実施の形態2に係る発光素子40の特徴は、発光体粒子14の表面に導電性ナノ粒子が担持され、その上を有機正孔輸送材料15で被覆すると共に、導電性ナノ粒子18の一部を露出させていることで、正孔注入性を改善するとともに電子注入性も改善している点にある。
<発光素子の概略構成>
本発明の実施の形態4に係る発光素子について、図8を用いて説明する。図8は、この発光素子80の電極構成を示す斜視図である。この発光素子80は、画素電極84に接続された薄膜トランジスタ(以下、TFTと略記。図8ではスイッチング用TFTと駆動用TFTの2個構成。)85をさらに備える。TFT85には、走査ライン81と、データライン82と、電流供給ライン83とが接続されている。この発光素子80では、発光は透明な共通電極86の側から取り出すので、基板11上のTFT85の配置によらず開口率を大きくとることができる。また、TFT85を用いることによって、発光素子80にメモリ機能を持たせることができる。このTFT85としては、低温ポリシリコンやアモルファスシリコンTFT、ペンタセン等の有機材料より構成される有機TFTを用いることができる。また、TFT85は、ZnOやInGaZnO4等より構成される無機TFTであってもよい。
<表示装置の概略構成>
図9は、本発明の実施の形態5に係るアクティブマトリクス型表示装置90の構成を示す概略平面図である。この表示装置90は、画素電極84と、共通電極86と、走査ライン81とデータライン82と電流供給ライン83と、TFT(図では省略。)によって構成される。このアクティブマトリクス型表示装置90は、図8に示した複数個の発光素子が2次元配列されている発光素子アレイと、該発光素子アレイの面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数の走査ライン81と、該発光素子アレイの面に平行であって、第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のデータライン82と、第2方向に平行に延在している複数の電流供給ライン83とをさらに備える。この発光素子アレイ上のTFTは、走査ライン81と、データライン82と電流供給ライン83とに電気的に接続されている。一対の走査ライン81とデータライン82によって特定される発光素子が1つの画素となる。さらに、このアクティブマトリクス型表示装置90では、走査ラインとデータラインにより選択された1つの画素に対し、TFTを介して電流供給ライン83から電流が供給され、選択した発光素子を駆動し、得られた発光を透明な共通電極86側から取り出す。
このアクティブマトリクス型表示装置90によれば、前述のように、各画素の発光素子を構成する発光層13は、有機正孔輸送材料15を媒体として、表面に導電性ナノ粒子18が担持された発光体粒子14が分散して構成されているか、あるいは、発光体粒子14の表面に導電性ナノ粒子18が担持され、さらにその上を有機正孔輸送材料15で被覆された発光体粒子14を含む発光体粒子粉末で構成されている。これにより、高発光輝度、高発光効率、高信頼性の表示装置を実現できる。
<表示装置の概略構成>
本発明の実施の形態6に係る表示装置について、図10を用いて説明する。図10は、互いに直交する背面電極12と透明電極16とによって構成されるパッシブマトリクス型表示装置100を示す概略平面図である。このパッシブマトリクス型表示装置100は、複数個の発光素子が2次元配列されている発光素子アレイを備える。また、該発光素子アレイの面に平行な第1方向に平行に延在している複数の背面電極12と、該発光素子アレイの面に平行であって、第1方向と直交する第2方向に平行に延在している複数の透明電極16とを備える。さらに、このパッシブマトリクス型表示装置100では、一対の背面電極12と透明電極16との間に外部電圧を印加して1つの発光素子を駆動し、得られた発光を透明電極16側から取り出す。また、前述の実施の形態4の表示装置と同様にカラーの表示装置とすることも可能である。
このパッシブマトリクス型表示装置100によれば、前述の実施の形態4の表示装置と同様に、高発光輝度、高発光効率、高信頼性の表示装置を実現できる。
本発明の発光素子は、高い発光輝度を有するので、LCDのバックライト、照明、ディスプレイ等に利用可能である。
前記第1電極と前記第2電極との間に挟持された発光層であって、正孔輸送材料からなる媒体中に、表面に導電性ナノ粒子が担持された発光体粒子が分散して構成された発光層と、
を備えたことを特徴とする。
前記第1電極と前記第2電極との間に挟持された発光層であって、発光体粒子の表面に導電性ナノ粒子が担持され、前記導電性ナノ粒子が担持された表面の少なくとも一部が正孔輸送材料で被覆された発光体粒子を含む発光体粒子粉末で構成された発光層と、
を備えたことを特徴とする。
前記発光素子アレイの発光面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数のx電極と、
前記発光素子アレイの発光面に平行であって、前記第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のy電極と、
を備えることを特徴とする。
前記発光素子アレイの発光面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数のx電極と、
前記発光素子アレイの発光面に平行であって、前記第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のy電極と
を備え、
前記発光素子アレイの前記薄膜トランジスタに接続されている一方の電極が、前記信号配線と前記走査配線との各交点に対応した画素電極であって、他方の電極が複数の発光素子において共通に設けられていることを特徴とする。
<EL素子の概略構成>
図1は、本実施の形態1に係る発光素子10の構成を示す概略断面図である。この発光素子10は、第1の電極である背面電極12と、第2の電極である透明電極16と、上記一対の電極12、16の間に挟持された発光層13とを備える。発光層13は発光体粒子14の表面に導電性ナノ粒子18が担持された発光体粒子粉末が正孔輸送材料15中に分散して構成されている。また、第1の電極である背面電極12と、第2の電極である透明電極16との間には直流電源17が接続され、電圧が印加される。電極12、16間に電力が供給されると、背面電極12および透明電極16の間に電位差が生じ、電圧が印加される。そして、背面電極12および透明電極16から導電性ナノ粒子18と正孔輸送材料15を介して、キャリアである正孔と電子とが発光体粒子14に注入され、それらが再結合して発光する。発光は透明電極16の側から外部に取り出される。
<基板>
図1において、基板11は、その上に形成する各層を支持できるものを用いる。具体的には、シリコン、Al2O3,AlNなどのセラミック等を用いることができる。さらに、ポリエステル、ポリイミド等のプラスチック基板を用いてもよい。また、基板11側から光を取り出す場合、発光体から発せられる光の波長に対し光透過性を有する材料であることが求められる。このような材料としては、例えば、コーニング1737等のガラス、石英等を用いることができる。通常のガラスに含まれるアルカリイオン等が発光素子へ影響しないように、無アルカリガラスや、ガラス表面にイオンバリア層としてアルミナ等をコートしたソーダライムガラスであってもよい。これらは例示であって、基板11の材料は特にこれらに限定されるものではない。
また、基板側から光を取り出さない構成の場合は、上述の光透過性は不要であり、透光性を有していない材料も用いることができる。
電極には、背面電極12と透明電極16とがある。これらは2つの電極のうち、光を取り出す側の電極を透明電極16とし、他方を背面電極12としているものである。
光を取り出す側の透明電極16の材料は、発光層13内で生じた発光を取り出せるように光透過性を有するものであればよく、特に可視光領域において高い透過率を有することが好ましい。また、低抵抗であることが好ましく、さらには発光層13との密着性に優れていることが好ましい。またさらに、発光層13上に成膜する際に、発光層13が熱劣化等を生じないよう、低温成膜できるものがより好ましい。透明電極16の材料として、特に好適なものは、ITO(In2O3にSnO2をドープしたものであり、インジウム錫酸化物ともいう。)やInZnO、ZnO、SnO2等を主体とする金属酸化物、Pt、Au、Pd、Ag、Ni、Cu、Al、Ru、Rh、Ir等の金属薄膜、あるいはポリアニリン、ポリピロール、PEDOT/PSS、ポリチオフェンなどの導電性高分子等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、透明電極16の体積抵抗率は1×10−3Ω・cm以下であって、透過率は380〜780nmの波長において75%以上、さらには屈折率が、1.85〜1.95であることが望ましい。例えばITOは、その透明性を向上させ、あるいは抵抗率を低下させる目的で、スパッタリング法、エレクトロンビーム蒸着法、イオンプレーティング法等の成膜方法で成膜できる。また成膜後に、抵抗率制御の目的でプラズマ処理などの表面処理を施してもよい。透明電極16の膜厚は、必要とされるシート抵抗値と可視光透過率から決定される。
発光層13に直接形成しても良いが、ガラス基板上に透明導電膜を形成し、透明導電膜と発光層13とが直接接するように貼り合わせても良い。
発光層13は、正孔輸送材料15を媒体として、表面に導電性ナノ粒子18が担持された発光体粒子14が分散して構成されている(図1、図2、図3)。なお、この例に限られず、実施の形態2に係る発光素子における発光層のように、発光層13は、発光体粒子14の粒子表面に導電性ナノ粒子18が担持され、さらにその上を正孔輸送材料15で覆われた発光体複合粒子(図5)を含む発光体粒子粉末で構成された場合(図4)であってもよい。また、実施の形態3に係る発光素子のように、発光体粒子14の粒子表面に導電性ナノ粒子18が担持され、その上を正孔輸送材料15で覆われると共に、導電性ナノ粒子18の一部が正孔輸送性材料より外側に露出している発光体複合粒子(図6)を含む発光体粒子粉末で構成された場合(図7)であってもよい。
発光体粒子14としては、光学バンドギャップが可視光の大きさを有する材料であれば、いずれも使用できる。具体的には第13族−第15族化合物半導体であるAlN、GaN、InN、AlP、GaP、InP、AlAs、GaAs、AlSb等を用いることができる。特に、GaNに代表される第13族窒化物半導体が好ましい。また、これらの混晶(例えばGaInN等)であってもよい。さらに、伝導性を制御するために、Si、Ge、Sn、C、Be、Zn、Mg、Ge、Mnからなる群より選択される1又は複数種の元素をドーパントとして含んでいてもよい。
本発明の発光素子に使用される導電性ナノ粒子18は、Ag,Au,Pt,Ni,Cuなどの金属材料粒子や、酸化インジウムスズ、ZnO,InZnOなどの酸化物粒子、カーボンナノチューブなどの炭素材料粒子などを用いることができる。導電性ナノ粒子18の形状は、粒状、球状、柱状、針状、あるいは不定形等のいずれの形状であってもよい。導電性ナノ粒子18の平均粒子径または平均長は、1nm〜200nmの範囲内にあることが好ましい。1nmより小さいと、導電性が悪くなり、発光輝度が低下する。一方、200nmより大きいと、電極間の電気的導通が大きくなるが、導電経路に含まれない発光体粒子14が多くなり、発光輝度、効率が大きく低下する。
次に、発光体粒子14の表面に担持した導電性ナノ粒子18のさらに表面を被覆、若しくは、発光体粒子14間に存在する媒体材料としての正孔輸送材料15について説明する。正孔輸送材料15は、正孔を生成、輸送する機能を備えた有機物材料であれば、いずれも使用できる。また、正孔輸送材料15としては、有機正孔輸送材料と、無機正孔輸送材料とがある。正孔輸送材料15にはホール移動度の高い材料が好ましい。
またさらに、前述した正孔輸送材料を複数種混合して用いてもよい。また、光又は熱で架橋又は重合する架橋性又は重合性材料を含んでいてもよい。
無機正孔輸送性材料について説明する。無機正孔輸送性材料としては、透明または半透明であって、p型伝導性を示す材料であればよい。好適なものとしては、Si、Ge、SiC、Se、SeTe、As2Se3等の半金属系半導体、ZnS、ZnSe、CdS、ZnO、CuI等の2元化合物半導体、CuGaS2、CuGaSe2、CuInSe2等のカルコパイライト型半導体、さらにこれらの混晶、CuAlO2、CuGaO2等の酸化物半導体さらにこれらの混晶等が挙げられる。またさらに、伝導性を制御するために、これらの材料にドーパントを添加してもよい。
本発明の実施例として、発光層13を塗布法によって得る方法を説明する。実施例として図2に示すような発光素子20を作製した。
(a)透明電極16を設けた透明基板11は、ガラス上に透明電極16であるITOをスパッタ法で成膜したものを使用した。ITO16の膜厚は約300nmであった。
(b)発光体粒子14として平均粒径が500〜1000nmのGaN粒子を用いた。
(c)導電性ナノ粒子18として平均粒子径が20〜30nmのITOナノ粒子を用いて、このITOナノ粒子18をGaN粒子14の表面に固定した。
(d)正孔輸送材料15として、樹脂溶液に溶かしたテトラフェニルブタジエン系T770を用いて、表面に導電性ナノ粒子18を担持したGaN粒子14を、正孔輸送性材料からなる樹脂ペーストに十分に混合させ、発光体ペーストとした。
(e)次に、ITO膜16を成膜したガラス基板11上に発光体ペーストを塗布して発光層13となる塗布膜を形成した。塗布膜の厚さは約30μmであった。
(f)次に、シリコン基板にPt電極を形成して構成した背面電極12を、シリコン基板のPt電極面を塗布膜に接するように貼り付けた。その後、塗布膜を乾燥させて発光層13とした。
以上の工程によって発光素子を作成した。
尚、本実施例では、背面電極12に正電圧を、透明電極16に負電圧を印加したが、極性を変えても同様に発光させることができた。
本実施の形態に係る発光素子は、従来の発光素子よりも耐食性、耐酸化性に優れ、高い輝度、長寿命を得ることができた。
<発光素子の概略構成>
本発明の実施の形態2に係る発光素子について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、本実施の形態2の発光素子40の概略構成を示す発光層に垂直な断面図である。この発光素子40は、図1に示す発光素子10に比べて、発光層13が、図5に示す発光体複合粒子を含む発光体粒子粉末で構成されている点で相違する。図5は、発光体粒子14の粒子表面に導電性ナノ粒子18が担持され、さらにその上に正孔輸送材料15で被覆された複合発光体粒子の断面構造を示す断面図である。この正孔輸送材料の被覆層の厚さは1μm〜10μmの範囲、好ましくは2μm〜3μmの範囲である。また、この発光素子40は、実施の形態1に係る発光素子と比較すると、上記の発光体複合粒子が、有機バインダ41を結着剤として背面電極12と透明電極16との間に配置されている点で相違する。本実施の形態2に係る発光素子40の特徴は、発光体粒子14の表面に導電性ナノ粒子が担持され、その上を有機正孔輸送材料15で被覆することで、正孔注入性を改善するとともに電子注入性も改善している点にある。
なお、上記構成に限られず、背面電極12を黒色電極とする、発光素子40の全部又は一部を樹脂やセラミックスで封止する構造をさらに備える等、適宜変更が可能である。
本実施の形態に係る発光素子では、比較的容易に面状を形成することが可能であって、且つ高輝度、高効率、高信頼性の発光素子を実現することができる。
<発光素子の概略構成>
本発明の実施の形態3に係る発光素子50について、図6及び図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態3の発光素子50の概略構成を示す発光層に垂直な断面図である。この発光素子50は、図1に示す発光素子10に比べて、発光層13が、図6に示す発光体複合粒子を含む発光体粒子粉末で構成されている点で相違する。図6は、発光体粒子14の粒子表面に導電性ナノ粒子18が担持され、その上に正孔輸送材料15が被覆されていると共に、導電性ナノ粒子18の一部が正孔輸送材料より外側に露出した複合発光体粒子の断面構造を示す断面図である。この正孔輸送材料の被覆層の厚さは1μm〜10μmの範囲、好ましくは2μm〜3μmの範囲である。また、この発光素子50は、実施の形態1に係る発光素子と比較すると、上記の発光体複合粒子が、有機バインダ41を結着剤として背面電極12と透明電極16との間に配置されている点で相違する。本実施の形態2に係る発光素子40の特徴は、発光体粒子14の表面に導電性ナノ粒子が担持され、その上を有機正孔輸送材料15で被覆すると共に、導電性ナノ粒子18の一部を露出させていることで、正孔注入性を改善するとともに電子注入性も改善している点にある。
<発光素子の概略構成>
本発明の実施の形態4に係る発光素子について、図8を用いて説明する。図8は、この発光素子80の電極構成を示す斜視図である。この発光素子80は、画素電極84に接続された薄膜トランジスタ(以下、TFTと略記。図8ではスイッチング用TFTと駆動用TFTの2個構成。)85をさらに備える。TFT85には、走査ライン81と、データライン82と、電流供給ライン83とが接続されている。この発光素子80では、発光は透明な共通電極86の側から取り出すので、基板11上のTFT85の配置によらず開口率を大きくとることができる。また、TFT85を用いることによって、発光素子80にメモリ機能を持たせることができる。このTFT85としては、低温ポリシリコンやアモルファスシリコンTFT、ペンタセン等の有機材料より構成される有機TFTを用いることができる。また、TFT85は、ZnOやInGaZnO4等より構成される無機TFTであってもよい。
<表示装置の概略構成>
図9は、本発明の実施の形態5に係るアクティブマトリクス型表示装置90の構成を示す概略平面図である。この表示装置90は、画素電極84と、共通電極86と、走査ライン81とデータライン82と電流供給ライン83と、TFT(図では省略。)によって構成される。このアクティブマトリクス型表示装置90は、図8に示した複数個の発光素子が2次元配列されている発光素子アレイと、該発光素子アレイの面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数の走査ライン81と、該発光素子アレイの面に平行であって、第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のデータライン82と、第2方向に平行に延在している複数の電流供給ライン83とをさらに備える。この発光素子アレイ上のTFTは、走査ライン81と、データライン82と電流供給ライン83とに電気的に接続されている。一対の走査ライン81とデータライン82によって特定される発光素子が1つの画素となる。さらに、このアクティブマトリクス型表示装置90では、走査ラインとデータラインにより選択された1つの画素に対し、TFTを介して電流供給ライン83から電流が供給され、選択した発光素子を駆動し、得られた発光を透明な共通電極86側から取り出す。
このアクティブマトリクス型表示装置90によれば、前述のように、各画素の発光素子を構成する発光層13は、有機正孔輸送材料15を媒体として、表面に導電性ナノ粒子18が担持された発光体粒子14が分散して構成されているか、あるいは、発光体粒子14の表面に導電性ナノ粒子18が担持され、さらにその上を有機正孔輸送材料15で被覆された発光体粒子14を含む発光体粒子粉末で構成されている。これにより、高発光輝度、高発光効率、高信頼性の表示装置を実現できる。
<表示装置の概略構成>
本発明の実施の形態6に係る表示装置について、図10を用いて説明する。図10は、互いに直交する背面電極12と透明電極16とによって構成されるパッシブマトリクス型表示装置100を示す概略平面図である。このパッシブマトリクス型表示装置100は、複数個の発光素子が2次元配列されている発光素子アレイを備える。また、該発光素子アレイの面に平行な第1方向に平行に延在している複数の背面電極12と、該発光素子アレイの面に平行であって、第1方向と直交する第2方向に平行に延在している複数の透明電極16とを備える。さらに、このパッシブマトリクス型表示装置100では、一対の背面電極12と透明電極16との間に外部電圧を印加して1つの発光素子を駆動し、得られた発光を透明電極16側から取り出す。また、前述の実施の形態4の表示装置と同様にカラーの表示装置とすることも可能である。
このパッシブマトリクス型表示装置100によれば、前述の実施の形態4の表示装置と同様に、高発光輝度、高発光効率、高信頼性の表示装置を実現できる。
本発明の発光素子は、高い発光輝度を有するので、LCDのバックライト、照明、ディスプレイ等に利用可能である。
Claims (24)
- 互いに対向して設けられ、少なくとも一方が透明又は半透明である、第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に挟持された発光層であって、表面に導電性ナノ粒子が担持された発光体粒子が、正孔輸送材料からなる媒体中に分散して構成された、発光層と、
を備えたことを特徴とする発光素子。 - 互いに対向して設けられ、少なくとも一方が透明又は半透明である、第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に挟持された発光層であって、発光体粒子の表面に導電性ナノ粒子が担持され、前記導電性ナノ粒子が担持された表面の少なくとも一部が正孔輸送材料で被覆された発光体粒子を含む発光体粒子粉末で構成された、発光層と、
を備えたことを特徴とする発光素子。 - 前記発光体粒子の表面に担持された前記導電性ナノ粒子は、前記正孔輸送材料の外側に露出していることを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
- 前記発光層は、前記発光体粒子の間にバインダを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の発光素子。
- 前記正孔輸送材料は、有機物からなる有機正孔輸送材料を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
- 前記正孔輸送材料は、無機物からなる無機正孔輸送材料を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
- 前記導電性ナノ粒子は、Ag、Au、Pt、Ni、Cuからなる群から選ばれる少なくとも一の金属微粒子を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
- 前記導電性ナノ粒子は、酸化インジウムスズ、ZnO、InZnOからなる群から選ばれる少なくとも一の酸化物微粒子を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
- 前記導電性ナノ粒子は、フラーレン、カーボンナノチューブの群から選ばれる少なくとも一の炭素微粒子を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
- 前記導電性ナノ粒子の平均粒子径は、1〜200nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
- 前記発光体粒子は、第13族−第15族化合物半導体からなる粒子を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
- 前記発光体粒子は、窒化物、硫化物、セレン化物、酸化物の群から選ばれる少なくとも一種の発光材料を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
- 前記発光体粒子は、Ga、Al、Inのうち少なくとも一種類の元素を含む窒化物半導体粒子であることを特徴とする請求項13に記載の発光素子。
- 前記発光体粒子は、GaNからなる発光体粒子であることを特徴とする請求項15に記載の発光素子。
- 前記発光体粒子は、粒子の平均粒径が0.1μm〜1000μmの範囲にあることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
- 前記第1電極と前記発光層との間に挟まれている正孔注入層をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
- 前記第1電極又は前記第2電極に面して支持する支持体基板をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
- 前記支持体基板は、ガラス基板又は樹脂基板であることを特徴とする請求項19に記載の発光素子。
- 前記第1電極又は前記第2電極に接続された1以上の薄膜トランジスタをさらに備えることを特徴とする請求項20に記載の発光素子。
- 請求項1から20のいずれか一項に記載の複数の前記発光素子が2次元配列されている発光素子アレイと、
前記発光素子アレイの発光面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数のx電極と、
前記発光素子アレイの発光面に平行であって、前記第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のy電極と、
を備えることを特徴とする表示装置。 - 請求項21に記載の複数の前記発光素子が2次元配列されている発光素子アレイと、
前記発光素子アレイの発光面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数の信号配線と、
前記発光素子アレイの発光面に平行であって、前記第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数の走査配線と
を備え、
前記発光素子アレイの前記薄膜トランジスタに接続されている一方の電極が、前記信号配線と前記走査配線との各交点に対応した画素電極であって、他方の電極が複数の発光素子において共通に設けられていることを特徴とする表示装置。 - 発光取出し方向の前方に色変換層をさらに備えることを特徴とする請求項22又は23に記載の表示装置。
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