JPWO2009041111A1 - 経口投与剤 - Google Patents

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Abstract

本発明の経口投与剤は、薬物を含有する薬物含有層とゲル形成層とを含む積層体で構成された経口投与剤であって、前記積層体の表面層には、前記ゲル形成層が配置されており、前記ゲル形成層は、水系液体を吸収することにより膨潤してゲルを形成するゲル形成剤を含み、1g当りの37℃の水に対する吸水速度が0.5g/(g・s)以上であり、かつ、37℃の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に含浸させた際のゲル分率が20質量%以上である。

Description

本発明は経口投与剤に関する。
薬物を含有し、口から服用する経口投与剤としては、例えば、固形状の固形製剤、ゼリー状(ゲル状)の半固形製剤等がある。固形製剤(例えば、錠剤、カプセル剤等)は、一般に、そのままでは飲み込み難いため、通常は多量の水とともに服用しなければならない。特に高齢者や幼児においては、固形製剤を飲み込むことが困難な場合が多い。また、固形製剤の場合、誤って気管に詰まらせてしまう危険性や、食道に貼り付いてしまう危険性がある。
一方で、半固形製剤は、ゼリー状であるため、嚥下しやすく、高齢者や幼児が服用することも容易である。しかしながら、半固形製剤は、水分を多量に含むため、含まれる薬物が分解・変質しやすい欠点がある。また、製造時および保存時において、雑菌の侵入を防止する必要があるため、取り扱いが煩雑になる。以上より、半固形製剤の実現は困難である。
このため、近年、水に対して溶解性を有するフィルム状のフィルム製剤が検討されている(例えば、特許文献1)。フィルム製剤は、口腔内において唾液によって溶解する、または吸水してゲル状になるため、嚥下することが比較的容易である。また、水分を含ませる必要がないため、製造、保管時における取り扱いが容易である。
しかしながら、高齢者や唾液分泌に障害を持つ患者においては、唾液の分泌量が少なくなっている場合がある。このような場合、上記のようなフィルム状製剤であっても、十分に唾液を吸収できず、容易かつ迅速に嚥下することは困難であった。また、口腔内においてフィルム製剤が溶解した場合、不快な味(例えば苦味、渋み、痺れ感)、臭い等を呈する薬剤を適用できない問題があった。
特開平11−116469号公報
本発明の目的は、少量の水によって迅速にゲル化することができ、嚥下が容易になる経口投与剤を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の経口投与剤は、
薬物を含有する薬物含有層と、ゲル形成層とを含む積層体で構成された経口投与剤であって、
前記積層体の表面層には、前記ゲル形成層が配置されており、
前記ゲル形成層は、水系液体を吸収することにより膨潤してゲルを形成するゲル形成剤を含み、1g当りの37℃の水に対する吸水速度が0.5g/(g・s)以上であり、かつ、37℃の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に含浸させた際のゲル分率が20質量%以上であることを特徴とする。
このような本発明によれば、少量の水によって迅速にゲル化することができ、嚥下が容易になる経口投与剤を提供することができる。
本発明の経口投与剤では、前記ゲル形成剤は、カルボキシル基含有高分子を含むものであるのが好ましい。
本発明の経口投与剤では、前記カルボキシル基含有高分子の0.2質量%水溶液の20℃における粘度が、1500〜50000mPa・sであるのが好ましい。
本発明の経口投与剤では、前記ゲル形成層は、前記ゲル形成層の前記水系液体の吸収を促進させる吸水促進剤を含むものであるのが好ましい。
本発明の経口投与剤では、前記ゲル形成層における前記吸水促進剤の含有量は、1〜20質量%であるのが好ましい。
本発明の経口投与剤では、前記吸水促進剤の5質量%水溶液の37℃での粘度は、0.3〜5.0mPa・sであるのが好ましい。
本発明の経口投与剤では、前記吸水促進剤は、グリセリンを含み、前記吸水促進剤におけるグリセリンの含有量は、35〜95質量%であるのが好ましい。
本発明の経口投与剤では、前記吸水促進剤は、25℃、1atmの雰囲気下において、固体状の化合物を含むものであるのが好ましい。
本発明の経口投与剤では、前記吸水促進剤は、糖類またはグリコール類の少なくとも一方を含むものであるのが好ましい。
本発明の経口投与剤では、前記グリコール類は、エチレングリコール鎖を構造に有する化合物を含むものであるのが好ましい。
本発明の経口投与剤では、前記グリコール類は、親水親油バランス(HLB)が15〜20である界面活性剤を含むものであるのが好ましい。
本発明の経口投与剤では、前記グリコールの質量平均分子量は、600〜35000であるのが好ましい。
本発明の経口投与剤では、前記ゲル形成層は、その外表面に凸部を有するものであるのが好ましい。
本発明の経口投与剤では、前記積層体は、フィルム状をなしているのが好ましい。
図1は、本発明の経口投与剤の第1実施形態を示す断面図である。 図2は、本発明の経口投与剤の第2実施形態を示す断面図である。 図3は、本発明の経口投与剤の他の実施形態の一例を示す断面図である。 図4は、本発明の経口投与剤の他の実施形態の一例を示す断面図である。
以下、本発明を好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明の経口投与剤は、いかなる形状の製剤であってもよいが、以下、フィルム状を呈したフィルム状製剤(シート状製剤)であるとして説明する。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
第1図は、第1実施形態に係る経口投与剤の断面図である。
第1図に示すように、第1実施形態に係る経口投与剤1は、薬物を含む薬物含有層11と、薬物含有層11の一方の主面側に積層されたゲル形成層12aと、薬物含有層11の他方の主面側に積層されたゲル形成層12bとを有する積層体として構成されている。ゲル形成層12aおよび12bは薬物含有層11に直接積層された状態で経口投与剤1の表面層として設けられている。また、ゲル形成層12a、12bは、それぞれ、経口投与剤1の外表面を形成している主面は平坦なものとなっている。
経口投与剤1は、その全体形状がフィルム状を呈したフィルム状製剤(シート状製剤)である。経口投与剤1がフィルム状製剤である場合、製剤中の水分含有量を低く抑えることができるので、水分を多量に含むゼリー状の製剤に比べ、薬物含有層11に含有される薬物(特に加水分解しやすい薬物)の安定性を向上させることができる。また、製剤の取り扱いが容易となるとともに、製剤の包装コストの軽減を図ることができる。
また、経口投与剤1の表面に設けられたゲル形成層12aおよび12bは、患者の口腔内において唾液等の水分により膨潤してゲル化する。これにより、経口投与剤1は飲み込みやすい大きさ、形状、弾力、粘度等を有する剤形に変化する。したがって、患者は経口投与剤1を容易に服用することができる。また、服用の際、経口投与剤が患者の気管に詰まる危険性が低下するので、患者が老人や乳幼児の場合であっても安全に服用することができる。
また、経口投与剤1の表面層に設けられたゲル形成層12aおよび12bは、薬物含有層11に含有される薬物の口腔内での溶解を防止し、薬物の味(例えば苦味、渋味、痺れ感)、臭い等をマスキングすることができる。
以下、経口投与剤1を構成する各層について詳細に説明する。
<薬物含有層>
薬物含有層11は、投与すべき薬物を含む層である。
薬物含有層11に含まれる薬物は、患者等に投与すべき薬物であり、経口投与可能な薬物であれば特に限定されない。経口投与可能な薬物として、例えば、中枢神経に作用する薬物としては、アモバルビタール、エスタゾラム、トリアゾラム、ニトラゼパム、ペントバルビタール等の催眠薬、塩酸アミトリプチン、塩酸イミプラミン、オキサゾラム、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、ジアゼパム、スルピリド、ハロペリドール等の向精神薬、トリヘキシフェニジル、レボドパ等の抗パーキンソン薬、アスピリン、イソプロピルアンチピリン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸、ストレプトキナーゼ、ストレプトドルナーゼ、セラペプターゼ、プロナーゼ等の鎮痛薬および抗炎症薬、ATP、ビンポセチン等の中枢神経代謝賦活薬、呼吸器に作用する薬物としては、カルボシステイン、塩酸プロムヘキシン等の去痰薬、塩酸アゼラスチン、オキサトミド、テオフィリン、硫酸テルブタリン、トラニラスト、塩酸プロカテロール、フマル酸ケトチフェン等の抗喘息薬、循環器系に作用する薬物としては、アミノフィリン、ジギトキシン、ジゴキシン等の強心薬、アジマリン、ジソピラミド、塩酸プロカインアミド、塩酸メキシレチン等の抗不整脈薬、亜硝酸アミル、塩酸アルプレノロール、硝酸イソソルビド、ニコランジル、オキシフェドリン、ジピリダモール、塩酸ジラゼプ、塩酸ジルチアゼム、ニトログリセリン、ニフェジピン、塩酸ベラパミル等の抗狭心症薬、カリジノゲナーゼ等の末梢血管拡張薬、アテノロール、カプトプリル、塩酸クロニジン、酒石酸メトプロロール、スピロノラクトン、トリアムテレン、トリクロルメチアジド、ニカルジピン、塩酸ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド、塩酸プラゾシン、フロセミド、塩酸プロプラノロール、マレイン酸エナラプリル、メチルドパ、塩酸ラベタロール、レセルピン等の抗高血圧薬、クロフィブラート、デキストラン硫酸、ニコモール、ニセリトロール等の抗動脈硬化薬、血液および造血作用薬として、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、トラネキサム酸等の止血薬、塩酸チクロピジン、ワルファリンカリウム等の抗血栓症薬、硫酸鉄等の貧血治療薬、消化器系に作用する薬物として、アズレン、アルジオキサ、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、テプレノン、レバミピド等の抗潰瘍薬、ドンペリドン、メトクロプラミド等の制吐剤、センノシド等のしゃ下薬、消化酵素製剤、グリチルリチン、肝臓エキス製剤等の肝疾患治療薬、代謝性疾患に作用する薬物として、グリベンクラミド、クロルプロパミド、トルブタミド等の抗糖尿病薬、アロプリノール、コルヒチン等の痛風治療薬、眼科領域の薬物として、アセタゾラミド、耳鼻科領域の薬物として、塩酸ジフェニドール、メシル酸ベタヒスチン等の抗めまい薬、化学療法薬および抗生物質として、イソニアジド、塩酸エタンブトール、オフロキサシン、ステアリン酸エリスロマイシン、セファクロル、ノルフロキサシン、ホスホマイシンカルシウム、塩酸ミノサイクリン、リファンピシン、ロキタマイシン等、抗悪性腫瘍薬として、シクロホスファミド、テガフール等;免疫抑制薬として、アザチオプリン等、ホルモン類および内分泌治療薬として、黄体ホルモン、唾液腺ホルモン、チアマゾール、プレドニゾロン、ベタメタゾン、リオチロニン、レボチロキシン等、生体内活性物質(オータコイド)として、塩酸ジフェンヒドラミン、フマル酸クレマスチン、D−マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン薬、アルファカルシドール、コバマミド、ニコチン酸トコフェロール、メコパラミン等のビタミン等が挙げられ、治療・予防目的等に応じて、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、薬物含有層11には、投与量が微量な薬物から多量な薬物まで広範な種類の薬物を含有させることができる。ここで、投与量が微量とは1回の投与量が1mg以下を意味し、投与量が大量とは1回の投与量が300mg以上を意味する。
薬物含有層11における薬物の含有量は特に限定されず、薬物の種類、薬物含有層11の体積に応じて適宜調節することができるが、0.01〜70質量%であることが好ましく、0.01〜40質量%であることがより好ましく、0.01〜35質量%であることがさらに好ましい。これにより、経口投与剤1の物理的強度を優れたものとしつつ、十分な量の薬物を経口投与剤1に含ませることができる。
また、経口投与剤1は、薬物含有層11に上述したような比較的多量の薬物を含有させた場合や、薬物含有層11の物理的強度を低下させやすい不溶性でかさ高い薬物を含有させた場合であっても、十分な物理的強度を有する。これは、経口投与剤1が、薬物含有層11の両面にゲル形成層12a、12bを有し、これらのゲル形成層12a、12bが十分な物理的強度を経口投与剤1に付与するためだと考えられる。
薬物含有層11は、基剤(薬物含有層用基剤)を含んでいてもよい。基剤(薬物含有層基剤)は、投与すべき薬物を所望の状態で薬物含有層11に保持し、薬物含有層11の形状、物理的強度を調節する機能を有するものである。薬物含有層11に用いることのできる基剤としては、特に限定されないが、例えば、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース等のセルロース及びその誘導体又はそれらの薬学的に許容される塩(例えばナトリウム塩)、α−デンプン、酸化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、デキストリン、デキストラン等のデンプン及びそれらの誘導体、白糖、麦芽糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、プルラン、キサンタンガム、シクロデキストリン、キシリトール、マンニトール、ソルビトール等の糖類、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸コポリマー、メタアクリル酸・アクリル酸エチルコポリマー、メタアクリル酸・メタアクリル酸メチルコポリマー、メタアクリル酸エチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムコポリマー、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸塩化メチルコポリマー、メタアクリル酸・アクリル酸塩化エチルコポリマー等のアクリル酸誘導体、シエラック、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体、アラビアゴム、トラガカントゴム等の天然ゴム類、キチン、キトサン等のポリグルコサミン類、ゼラチン、カゼイン、ダイズ蛋白等の蛋白質、酸化チタン、リン酸一水素カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、ステアリン酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸等が挙げられ、目的に応じて、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
薬物含有層11における基剤の含有量は、特に限定されないが、30〜99.9質量%であることが好ましく、60〜99.9質量%であることがより好ましく、65〜99.0質量%であることがさらに好ましい。これにより、薬物含有層11中に十分な量の薬物を含ませつつ、薬物含有層11の物理的強度を特に容易に十分なものとすることができる。
薬物含有層11の厚さは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができる。薬物含有層11の厚さは、特には限定されないが、例えば、0.5〜1000μmであることが好ましく、10〜500μmであることがさらに好ましい。これにより、薬物含有層11は、各部位における薬物の含有量や厚さのばらつきを特に少ないものとすることができる。また、経口投与剤1全体としての柔軟性を十分なものとすることができ、経口投与剤1を服用することが特に容易なものとなる。
<ゲル形成層>
ゲル形成層12a及び12bは、水系液体を吸収することにより、膨潤してゲルを形成することのできる層である。ゲル形成層12aは、薬物含有層11の一方の主面に設けられ、経口投与剤1において最表層を形成している。また、ゲル形成層12bは、薬物含有層11の他方の主面に設けられ、経口投与剤1において最表層を形成している。
以下、ゲル形成層12aとゲル形成層12bとは、構成がほぼ同様であるので、代表的に、ゲル形成層12aについて説明する。
本発明において、ゲル形成層12aは、下記のような特徴を有するものである。
すなわち、ゲル形成層12aは、ゲル形成層12a:1g当りの37℃の水に対する吸水速度が0.5g/(g・s)以上である。このように吸水速度が十分に大きいことにより、経口投与剤1を患者に投与した際に、口腔内においてゲル形成層12aは、素早く唾液中にある水分を吸収し、ゲルを形成することができる。また、このように吸水速度が十分に大きいことにより、口腔内に唾液が少ない場合であっても、ゲル形成層12aは、確実に唾液中の水分を吸収し、ゲルを形成することができる。この結果、経口投与剤1は、柔軟性が付与される。
また、ゲル形成層12aは、37℃の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に含浸させた際のゲル分率が20質量%以上である。このように、前記ゲル分率が十分に高いことにより、経口投与剤1を患者に投与した際に、水分を吸収したゲル形成層12aは、ゲルを形成した状態の形状を維持し、経口投与剤1の表面層に確実にゲル形成層12aを保持できる。すなわち、経口投与剤1の表面層にあるゲル形成層12aの一部が溶解してしまい、経口投与剤1に残存するゲル形成層12aが薄くなることを防止することができる。このため、薬物含有層11にある薬物が溶解して口腔内に流出することを防止することができ、薬物の苦み、臭い等を遮蔽(マスキング)することができる。
以上のように、経口投与剤1は、ゲル形成層12aの吸水速度が大きく、かつ、ゲル分率が十分に高いことで、ゲル形成層12aが口腔内にある唾液中の水分を素早く吸収してゲルを形成する。ゲルが形成されたゲル形成層12aは、口腔内で溶解せずにゲル状となって維持される。これにより、口腔内において、経口投与剤1は、迅速に柔軟性が付与され、嚥下することが容易なものとなる。
これに対し、ゲル形成層12aの吸水速度が前記下限値よりも小さいと、経口投与剤1は、ゲル形成層12aが十分に迅速にゲル化せず、十分に柔軟性が付与されない。この結果、経口投与剤1を嚥下することが困難になる。特に、高齢者や唾液分泌に障害を有する患者においては、口腔内の唾液が少ない場合があり、このため、嚥下が特に困難なものとなる。
また、ゲル形成層12aの生理食塩水に含浸させた際のゲル分率が前記下限値よりも小さいと、ゲル形成層12aが溶解しやすいものとなってしまい、口腔内で経口投与剤1が溶解しやすいものとなってしまう。また、経口投与剤1投与時において、薬物含有層11から薬剤が流出することで、投与された患者は、苦味等を感じてしまい、嚥下することが困難となる。この結果、使用する薬剤によっては、経口投与剤1を用いて目的とする薬剤を体内の目的とする部位まで輸送することが困難になる。
また、ゲル形成層12aの吸水速度は、前述した範囲内であればよいが、0.60〜1.5g/(g・s)であることが好ましく、0.70〜1.0g/(g・s)であることがより好ましい。これにより、上述したような効果をより顕著に得ることができる。
また、ゲル形成層12aの生理食塩水に含浸させた際のゲル分率は、前述した範囲内であればよいが、25〜70質量%であることが好ましく、30〜65質量%であることがより好ましい。これにより、ゲル形成層12aが、水分を吸収した際に、より確実にゲル形成層12aの溶解を防止してゲル形成層12aの形状を保持しつつ、ゲル形成層12aに十分な柔軟性を付与し、経口投与剤1に十分な柔軟性を付与することができる。
なお、本発明において、「ゲル分率」とは、試料を37℃の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に24時間含浸させた後の試料の固形分質量を、含浸前の試料の固形分質量で除した値をいう。
また、本発明において、「水系液体」とは、水および/または水との相溶性に優れる液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が30g以上の液体)で構成されたもののことを指す。このように、水系液体は、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有率が90質量%以上のものであるのが好ましく、95質量%以上のものであるのがより好ましい。口腔中では、唾液がこれに該当する。
また、ゲル形成層12aは、水系液体を吸収することにより膨潤してゲルを形成するゲル形成剤を含む。このようなゲル形成剤を含むことにより、ゲル形成層12aは、容易かつ迅速に周囲にある水系液体を吸収することができ、ゲルを形成する。
ゲル形成剤としては、特には限定されないが、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸系共重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸系共重合体、ポリイタコン酸、ポリイタコン酸系共重合体、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸、ヘパリン、ヒアルロン酸、カラギーナン、ペクチン酸、ゼラチン、コラーゲン、ジェランガム、カゼイン、キサンタンガム等のカルボキシル基含有高分子、デンプン及びその誘導体、寒天、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、デキストラン、トラガカント等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、前記カルボキシル基含有高分子には、カルボキシル基が一価の塩形成性カチオンで中和された中和塩基を含んでいてもよい。前記塩形成性カチオンとしては、例えばナトリウム、カリウム等があげられる。
この中でも、ゲル形成剤は、カルボキシル基含有高分子を含むことが好ましい。カルボキシル基含有高分子は、特に迅速に水系液体を吸収することができ、速やかにゲルを形成することができる。また、カルボキシル基含有高分子は、ゲル形成後においては、比較的溶解しにくい成分である。このため、口腔内で、ゲル形成層12aは、ゲル形成後の形状がより確実に維持される。また、カルボキシル基含有高分子の中でも、ポリアクリル酸を用いた場合、前述したような効果がより顕著なものとなる。
また、このような場合、カルボキシル基含有高分子の0.2質量%水溶液の20℃における粘度は、1500〜50000mPa・sであることが好ましく、10000〜20000mPa・sであることがより好ましい。これにより、ゲル形成層12aは、特に迅速に水系液体を吸収することができ、速やかにゲルを形成することができる。また、ゲル形成層12aは、ゲル形成後の形状がより確実に維持される。
また、ゲル形成剤としてカルボキシル基含有高分子を用いた場合、架橋剤を用いてカルボキシル基含有高分子を架橋させてもよい。これにより、ゲルが形成されたゲル形成層12aは、膨潤時に程よいゲル強度を示すことができ、溶解することがより確実に防止される。
架橋化は、架橋される分子の種類に応じた架橋剤によって行なうことができる。カルボキシル基含有高分子の架橋剤としては、例えば、多価金属化合物を使用することができる。多価金属化合物を用いて架橋化することにより、服用時の口腔粘膜への付着を低減しうる点、および膨潤時のゲルの保形性を向上しうる点で好ましい。
多価金属化合物の具体例としては、特に限定されないが、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、塩化鉄ミョウバン、アンモニウムミョウバン、硫酸第二鉄、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、三価の金属化合物を使用すると、カルボキシル基含有高分子の架橋化度が高まり、ゲル形成層12aの物理的強度を優れたものとしつつ、カルボキシル基含有高分子が溶解することを確実に防止することができる。
ゲル形成層12aにおけるゲル形成剤の含有量は、ゲル形成剤の種類等に応じて適宜調節することができるが、5〜90質量%であることが好ましく、15〜70質量%であることがより好ましい。これにより、ゲル形成層12aは、より迅速に水系液体を吸収することができると共に、ゲル形成後においては、溶解することがより確実に防止される。
また、ゲル形成層12aに架橋剤が含まれる場合、ゲル形成層12aにおける架橋剤の含有量は、0.1〜2.5質量%であることが好ましく、0.5〜1.2質量%であることがより好ましい。これにより、ゲル形成層12aは、ゲル形成層12aの溶解をより確実に防止し、より容易にゲル化した後の形状を保つことができる。また、後述する経口投与剤1の製造時において、ゲル形成層12aの原料となる塗工液の粘度を比較的低いものとすることができ、より効率よくゲル形成層12aを形成することができる。
また、ゲル形成層12aは、基剤(ゲル形成層用基剤)を含んでいてもよい。基剤(ゲル形成層用基剤)は、ゲル形成層12aの形状を安定化させることに寄与する成分である。すなわち、水系液体によって膨潤する前のゲル形成層12aにおいては適度な可撓性を付与し、経口投与剤1が外力等によって割れたり、破損することを防止することができる。また、ゲル形成層12aが水系液体を吸収した後には、形成したゲルの形状をより確実に保持する機能を有し、ゲルの流出を防止する機能を有する。
ゲル形成層12aに用いることのできる基剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルフタレート、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ゲル形成層12aに基剤が含まれる場合、ゲル形成層12aにおける基剤の含有量は、20〜85質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましい。
ゲル形成層12aに含有される基剤は水溶性であることが好ましい。基剤が水溶性であると、ゲル形成層12aに水分が浸入しやすくなり、口腔内においてゲル形成層12aの膨潤及びゲル形成を速やかに生じさせることができる。
水溶性の基剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
特に、ゲル形成層12aに含有される基剤にポリビニルアルコールを含む場合、ポリビニルアルコールは、薬物含有層に含まれる薬物の味、臭い等を遮蔽することができる。すなわち、ポリビニルアルコールは、後述するマスキング剤としても機能することができる。
また、ゲル形成層12aは、ゲル形成層12aの吸水を促進させる吸水促進剤を含んでいてもよい。ゲル形成層12aが吸水促進剤を含むことにより、口腔内におけるゲル形成層12aの吸水速度が十分に速いものとなる。
吸水促進剤としては、例えば、水への溶解性が比較的高い成分を用いることができる。水への溶解性が比較的高い成分が、水へ溶解するために、ゲル形成層12a内へ水を搬送することができる。
吸水促進剤の5質量%水溶液の37℃での粘度は、0.3〜5.0mPa・sであることが好ましく、0.5〜3.5mPa・sであることがより好ましく、0.6〜1.8mPa・sであることがさらに好ましい。吸水促進剤の水への溶解性の指標としては、例えば、吸水促進剤が溶解した水溶液の粘度を用いることができる。水溶液の粘度が低いほど、吸水促進剤の水への溶解性が低いものと考えることができる。すなわち、吸水促進剤の5質量%水溶液の粘度が上述したような範囲にあることにより、口腔内中において、吸水促進剤は、水への溶解性を十分に高いものとしてゲル形成層12aの吸水速度を十分に高いものとしつつ、吸水促進剤が急激に溶解して唾液中に拡散することを確実に防止することができる。
吸水促進剤としては、特に限定されないが、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のグリコール類、グリセリン、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、イノシトール、マルチトール、ラクチトール、グルコース、キシロース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、蔗糖、果糖、白糖等の糖類等が挙げられ、このうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
吸水促進剤は、上述した中でも、グリセリンを含むことが好ましい。グリセリンは、ゲル形成層12aの吸水を促進する機能に優れると共に、ゲル形成層12aに柔軟性を付与することのできる成分である。このため、経口投与剤1は、患者へ投与する前においては、適度な可撓性を有し、外力によって折れたり、破損したりしにくいものとなる。また、患者へ投与した後の口腔内においては、ゲル形成層12aは形状を維持しつつより柔軟なものとなり、経口投与剤1は、より嚥下しやすいものとなる。また、グリセリンは、甘味を有し、口腔内において、薬物の苦み、臭み等を遮蔽することができる成分である。
前記吸水促進剤におけるグリセリンの含有量は、35〜95質量%であることが好ましく、40〜90質量%であることがより好ましい。これにより、ゲル形成層12aの吸水速度をより高いものとしつつ、経口投与剤1は、より柔軟なものとなり、より嚥下しやすいものとなる。
また、吸水促進剤は、25℃、1atmの雰囲気下において、固体状の化合物を含むことが好ましい。吸水促進剤は、比較的水に溶解しやすい成分であるが、このような雰囲気下で固体状の化合物を含むことにより、保存時における経口投与剤1の吸湿を防止することができる。このため、保存時において経口投与剤1が変質したり、ゲル形成層12aが不本意にゲル化することを確実に防止することができる。また、特に、吸水促進剤にグリセリンが含まれている場合、このような固体状の化合物によって経口投与剤1保存時におけるグリセリンの流出(ブリード)を防止することができる。
このような化合物としては、前述したようなグリコール類、グリセリンを除く糖類等が挙げられる。
また、中でも吸水促進剤が糖類を含む場合、以下のような効果が得られる。すなわち、
糖類は、ゲル形成層12aの吸水を促進させる機能に特に優れるとともに、甘味を有するため、後述するようなマスキング剤として機能することができる。また、口腔内で患者が甘味を感じることによって、唾液の分泌が促進される。この結果、経口投与剤1は、特に嚥下性に優れたものとなる。また、糖類と、グリセリンとは、その化学構造の類似から、親和性が極めて高いものである。このため、保存時において、糖類がグリセリンを確実にゲル形成層12a内に保持することができ、グリセリンの経口投与剤1からの流出(ブリード)をより確実に防止することができる。
中でも、吸水促進剤がグリコール類を含む場合、以下のような効果が得られる。グリコール類は、水との親和性に優れるとともに、鎖状であるため他の分子と絡みやすい成分である。このため、ゲル形成層12a中においてグリコール類が他の分子と絡み合って、ゲル形成層12aの形状が保持される。このため、ゲル形成層12aは、その層の形状を保持したまま特に容易にゲル化することができ、この結果、経口投与剤1は、嚥下性に特に優れたものとなる。
また、グリコール類は、エチレングリコール鎖を構造に有する化合物を含むことが好ましい。これにより、ゲル形成層12aからグリコール類が流出することが確実に防止される。また、ゲル形成層12aの吸水速度を特に大きいものとし、経口投与剤1は、迅速に嚥下されることが可能となる。
また、グリコール類の親水親油バランス(HLB)は、15〜20であることが好ましく、17〜20であることがより好ましい。これにより、口腔内において、ゲル形成層12aの吸水速度を特に大きいものとしつつ、ゲル形成層12aが溶解することをより確実に防止することができる。
なお、親水親油バランス(HLB)は、例えば、川上法によって求めることができる。
また、グリコール類の質量平均分子量は、600〜35000であることが好ましく、1500〜20000であることがより好ましい。これにより、ゲル形成層12aからグリコール類が流出することが確実に防止される。また、ゲル形成層12aの吸水速度を特に大きいものとし、経口投与剤1は、迅速に嚥下されることが可能となる。
また、吸水促進剤は、グリコール類として、ステアリン酸ポリオキシル40またはポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコールの少なくとも一方を含むことが好ましい。これにより、以下のような効果が得られる。すなわち、これらの成分は、口腔内において、ゲル形成層12aの吸水を促進させる機能に特に優れるとともに、界面活性剤として機能することができる。このため、ゲル形成層12aの外部との界面(表面)において、明確な界面を形成することができる。このため、ゲル化したゲル形成層12aの形状をより一定の形状として維持しやすくなり、ゲル形成層12aが崩れることを防止することができる。このため、経口投与剤1は、嚥下性が特に優れたものとなる。また、特に、吸水促進剤が、このようなグリコール類とグリセリンとを含むものである場合、吸水速度が向上する為に、口腔内粘膜及び食道や胃壁等への付着を抑制するという効果も得られる。また、このように吸水促進剤がこのようなグリコール類を含むことにより、後述する経口投与剤1の製造時において、ゲル形成層12aの塗工液の粘度を比較的低いものとすることができる。この結果、ゲル形成層12aをよりむらなく、一定の厚さで形成することができる。また、塗工液の固形分濃度を高いものとすることができ、ゲル形成層12a形成時における乾燥の時間、エネルギーを節約することができる。
また、ゲル形成層12aにおけるグリセリンの含有量をA[質量%]、25℃、1atmの雰囲気下において固体状の化合物の含有量をB[質量%]としたとき、0.05≦B/A≦1.5の関係を満足することが好ましく、0.10≦B/A≦1.0の関係を満足することがより好ましい。これにより、経口投与剤1は、柔軟性を特に優れたものとしつつ、口腔内においてゲル形成層12aが溶解、流出することを確実に防止することができる。
また、ゲル形成層12aにおける前記吸水促進剤の含有量は、1〜20質量%であることが好ましく、3〜17質量%であることがより好ましい。これにより、口腔内におけるゲル形成層12aのゲルの形状を好適に維持しつつ、ゲル形成層12aの吸水速度を特に優れたものとすることができる。
また、ゲル形成層12aは、可塑剤を含んでいてもよい。ゲル形成層12aは、可塑剤を含むことにより、適度な柔軟性が付与される。可塑剤としては、例えば、グリセリントリアセテート、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ラウリル酸等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゲル形成層12aは、薬物含有層11に含まれる薬物の味、臭い等を遮蔽できるこのとのできるマスキング剤を含んでいてもよい。ゲル形成層12aがマスキング剤を含むことによって、ゲル形成層12aによる薬物の味、臭いを遮蔽する効果(いわゆる、マスキング効果)を向上させることができる。マスキング剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、フマル酸等の酸味を与えるもの、サッカリン、グリチルリチン酸等の甘味剤、メントール、ハッカ油、ペパーミント、スペアミント等の清涼化剤、天然又は合成の香料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、前述した吸水促進剤としての糖類は、甘味を有し、マスキング剤としても機能することができる。
また、ゲル形成層12aは、上述した以外の成分が含まれていてもよい。例えば、ゲル形成層12aは、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル等の防腐剤、食用レーキ着色剤等の着色剤等が含まれていてもよい。
ゲル形成層12aの厚さは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができるが、10〜1000μmであることが好ましく、15〜500μmであることがさらに好ましい。ゲル形成層12aの厚さが10μm 未満であるとゲル形成が不十分となり、ゲル形成層12aによる薬物の味、臭い等のマスキング効果が不十分なものとなる。一方、水膨潤性ゲル形成層12aの厚さが1000μmを超えると患者等の口腔内に投与したときに唾液だけでは十分に膨潤してゲルを形成することができず、服用し難くなる。
経口投与剤1は、例えば、以下の製法に従って製造することができる。
(ゲル形成層作製工程)
まず、ゲル形成層の構成材料を含んだ塗工液(ゲル形成層用塗工液)を用意する。
ゲル形成層用塗工液は、上述したようなゲル形成層を構成する成分を、精製水、エタノール等の液性媒体に分散または溶解させることで調製することができる。
次に、ゲル形成層用塗工液を保持基材上に塗布、噴霧した後、乾燥させる。これにより、ゲル形成層が形成される。
保持基材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス板、プラスチックフィルム、剥離シート等を用いることができる。
(中間体作製工程)
次に、薬物含有層の構成材料を含んだ塗工液(薬物含有層用塗工液)を用意する。
薬物含有層用塗工液は、上述したような薬物含有層を構成する成分を、精製水、エタノール等の液性媒体に分散または溶解させることで調製することができる。
次に、薬物含有層用塗工液を保持基材のゲル形成層上に塗布、噴霧した後、乾燥させる。これにより、薬物含有層の前駆体(薬物含有層前駆体)が形成され、薬物含有層前駆体とゲル形成層からなる経口投与剤中間体(単に、中間体ともいう。)が形成される。
(熱圧着工程)
次に、前述の工程で形成された中間体を2枚用意し、中間体の薬物含有層の前駆体同士が接合するように圧力をかけつつ熱融着させる。これにより、2層の薬物含有層の前駆体は、融着して1層の薬物含有層となる。以上より、2層のゲル形成層12a、12bと、薬物含有層からなる積層体が得られる。なお、この積層体をそのまま経口投与剤1として用いることもできるが、積層体を円形、楕円形、多角形等の任意の形状に打ち抜いて経口投与剤1を得るものであってもよい。
このような熱圧着工程により薬物含有層同士を熱融着する場合、薬物含有層には基剤(薬物含有層用基剤)としてポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体等の熱融着性高分子を含んでいることが好ましい。
また、経口投与剤1は、例えば、上述したようなゲル形成層用塗工液および薬物含有層用塗工液の塗布、乾燥を繰り返して形成するものであってもよい。
[第2実施形態]
第2図は、第2実施形態に係る経口投与剤の断面図である。
以下、第2図を参照して本発明の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
第2図に示すように、本実施形態の経口投与剤1aは、ゲル形成層12c、12dの経口投与剤1aの外表面を形成している主面が凸部121を有している点が第1実施形態と異なる。
このようにゲル形成層12c、12dの外表面に凸部121を有することで、口腔内において、ゲル形成層12c、12dは、唾液から水系液体を吸収する速度が特に大きいものとなる。すなわち、凸部121を設けることで、唾液とゲル形成層12c、12dとの接触面積が増大し、この結果、ゲル形成層12c、12dの吸水速度が特に大きいものとなると考えられる。また、このようにゲル形成層12c、12dの外表面に凸部121を有することで、経口投与剤1aは、口腔内の内壁との接触面積が小さいものとなる。この結果、経口投与剤1aは、口腔内の内壁に付着してしまうことが確実に防止される。以上より、このような経口投与剤1aは、嚥下性に特に優れたものとなる。
このようなゲル形成層12c、12dの凸部121のピッチPは、特に限定されないが、100〜1,000μmであることが好ましく、250〜750μmであることがより好ましい。これにより、経口投与剤1aは、口腔内の内壁に付着することを確実に防止し、吸水速度を特に大きいものとすることができる。
また、ゲル形成層12c、12dの凸部121の幅Wは、特に限定されないが、20〜300μmであることが好ましく、50〜250μmであることがより好ましい。これにより、経口投与剤1aは、口腔内の内壁に付着することが確実に防止され、吸水速度を特に大きいものとすることができる。また、ゲル形成層12c、12dが唾液中に溶解することを確実に防ぐことができる。
また、ゲル形成層12c、12dの凸部121の高さdは、特に限定されないが、10〜5000μmであることが好ましく、20〜1,000μmであることがより好ましい。これにより、経口投与剤1aは、口腔内の内壁に付着することが確実に防止され、吸水速度を特に大きいものとすることができる。また、ゲル形成層12c、12dが唾液中に溶解することを確実に防ぐことができる。
なお、ゲル形成層12c、12dの凹部122は、ゲル形成層12c、12dを貫通するものであってもよい。また、ゲル形成層12c、12dの凹部は、経口投与剤1a全体を貫通するものであってもよい。
また、上述したような凸部121を有するゲル形成層12c、12dは、例えば、製造時において、保持基材に形成しようとする凸部121と反転したパターンの凹部を設け、その上にゲル形成層12c、12dの構成材料を含んだ塗工液を塗布、乾燥することで形成することができる。また、例えば、前述した第1実施形態と同様にして経口投与剤1を製造し、その後、形成しようとする凸部と反転したパターンの凹部を有する基材等を、必要により加熱しながら、圧着して凸部を有するゲル形成層12c、12dを形成してもよい。
以上、本発明を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、本発明の経口投与剤は、2層のゲル形成層と薬物含有層とで構成されるものに限定されない。例えば、本発明の経口投与剤は、1層のゲル形成層と薬物含有層で構成されていてもよい。
また、例えば、本発明の経口投与剤は、同種又は異種の薬物をそれぞれ含む複数層の薬物含有層を有していてもよい。
また、例えば、経口投与剤は、ゲル形成層と薬物含有層との間に、任意の層を有するものであってもよい。例えば、ゲル形成層と薬物含有層との密着性を向上させる接着剤層、薬物の溶出を防止する溶出防止層等を有するものであってもよい。
また、例えば、第3図に示す経口投与剤1bのように、薬物含有層11がゲル形成層12e、12fによって封されているものであってもよい。これにより、薬物含有層11に封入された薬物が口腔内で溶解することをより確実に防止することができる。
また、例えば、第4図に示す経口投与剤1cのように、薬物含有層11aと、一層のゲル形成層12gから構成され、薬物含有層11aを谷部として各層が折り曲げられたものであってもよい。
次に、本発明の経口投与剤の具体的実施例について説明する。
1.経口投与剤の製造
(実施例1)
(a)ゲル形成層作製工程
まず、ゲル形成層の構成成分を含んだ塗工液Aを調製した。
精製水:1015質量部に塩化カルシウム(日本薬局方 塩化カルシウム、富田製薬製):1.5質量部を添加し、十分に攪拌して溶解させた。次に、ポリアクリル酸(カーボポール974P、0.2質量%水溶液粘度:12100mPa・s、CBC社製):56.5質量部を攪拌しながらゆっくりと添加し、添加後、約1時間攪拌を行った。次に、ポリビニルアルコール(ゴーセノールEG05、日本化成化学製):33.9質量部を攪拌しながらゆっくりと添加し、添加後、各材料が添加された混合液を70℃に加熱して、約1時間攪拌を行った。次に、吸水促進剤としてのグリセリン(日本薬局方 濃グリセリン、旭電化工業製):8.1質量部を添加して約10分攪拌を行い、塗工液Aを得た。
次に、塗工液Aを十分に脱泡し、乾燥後の塗布量が20g/mとなるようにギャップを調製したアプリケーターを用いて、ポリエステルテレフタレートフィルム(SP−PET3811、リンテック製)の剥離処理面の反対面上に展延塗布し、80℃で6分間乾燥することにより、ゲル形成層を得た。また、得られたゲル形成層のうち一部を後述する吸水速度およびゲル分率の測定に用いた。
(b)中間体作製工程
まず、薬物含有層の構成成分を含んだ塗工液Bを調製した
精製水:53.7質量部に胃潰瘍薬としてのファモチジン:2.5質量部および酸化チタン(タイペークCR−50、石原産業製):0.6質量部を添加し、ホモジナイザーを用いて十分に分散させた。その後、ポリビニルピロリドン(PVP K−90、アイエスピージャパン製):13.8質量部を攪拌しながらゆっくりと添加し、添加後、約30分間攪拌した。次に、グリセリン(日本薬局方 濃グリセリン、旭電化工業製):4.0質量部を添加して約5分間攪拌し、塗工液Bを得た。
次に、塗工液Bを十分に脱泡し、乾燥後の塗布量が50g/mとなるようにギャップを調製したアプリケーターを用いて、(a)で作成したゲル形成層上に展延塗布し、80℃で5分間乾燥することにより、薬物含有層前駆体/ゲル形成層からなる積層体(中間体)を得た。
(c)熱圧着工程
(b)で作成した積層体:2枚を薬物含有層前駆体同士が接合するように、温度:100℃、圧力:1kgf/cm、時間:1秒間の条件で熱融着させた。次に、ポリエステルテレフタレートフィルムをゲル形成層から剥離し、ゲル形成層/薬物含有層/ゲル形成層からなる積層体を形成した。この積層体から、直径:15mmの円形状のフィルムを打ち抜いて経口投与剤を得た。
(実施例2〜16)
塗工液Aの各材料の種類、含有量を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして経口投与剤を得た。
(実施例17)
ゲル形成層作製工程にて、塗工液の各材料の含有量を表1に示すように変更し、塗工液Aの塗布条件(ゲル形成層の作成条件)を下記のように変更した以外は、前記実施例1と同様にして経口投与剤を得た。
塗工液Aを十分に脱泡し、乾燥後の塗布量が20g/mとなるようにギャップを調製したアプリケーターを用いて、凹部(入り口サイズ:450×450μm、深さ:30μm、底部のサイズ184μm×184μm)がピッチ:550μmの間隔で碁盤目状に設けられたポリエステルテレフタレートフィルム(SP−PET3811、リンテック製)の剥離処理面の反対面上に展延塗布し、85℃で5分間乾燥することにより、ゲル形成層を得た。形成されたゲル形成層は、前記凹部の形状が転写された高さ:約30μm、幅:約450μm、ピッチ:約550μmの凸部を有していた。
(比較例)
塗工液Aの各材料の種類、含有量を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして経口投与剤を得た。
表1に各実施例および比較例でのゲル形成層(塗工液A)の構成材料およびその含有量について示した。なお、表中、「EG05」は、ポリビニルアルコール(ゴーセノールEG05、日本化成化学製)、「EG40」は、ポリビニルアルコール(ゴーセノールEG40、日本化成化学製)、「PEG」は、ポリエチレングリコール#4000(関東化学製、HLB:20、分子量:4000)、「S1」は、ステアリン酸ポリオキシル40(NIKKOL MYS−40MV、日光ケミカルズ製、HLB:17.5、分子量:2047)、「S2」は、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(PEP−101、フロイント産業製、HLB:20、分子量:4000〜5500)をそれぞれ示す。また、表中、吸水促進剤の粘度は、吸水促進剤の5質量%水溶液の37℃における粘度であり、E型粘度計(トキメック製)を用いて測定を行った。但し、実施例1〜4、17ではグリセリンの5質量%水溶液の粘度を示し、実施例5〜16と比較例はグリセリン以外の吸水促進剤の5質量%水溶液の粘度を示した。
Figure 2009041111
2.吸水速度の測定
各実施例および比較例で得られたゲル形成層から、20mm×60mmのサイズのシートを2枚切り出し、その質量W1[g]を測定した。これらのシートを直径:22.2mm、深さ27mmのステンレス製バスケットに入れて、200mLプラスチック容器に入れた約90mL、37℃の精製水に5秒間浸漬させた。その後、バスケットに付着した精製水を拭き取り、その質量W2[g]を測定した。なお、ブランク試験として、ゲル形成層を入れていないステンレス製バスケットを同様に5秒間、37℃の精製水に浸漬し、バスケットに付着した精製水をふき取ってその質量W0[g]を測定した。これらの測定値から、下記式(I)に従い、ゲル形成層の吸水速度を求めた。
吸水速度[g/(g・s)]={(W2−W1−W0)/W1}/5 ……(I)
3.ゲル分率の測定
各実施例および比較例で得られたゲル形成層から、10mm×10mmのサイズのシートを2枚切り出した。一方のシート(シートA)については、4時間、105℃の条件で乾燥させ、その乾燥前後での質量を比較することにより、シートA中の含水率を求めた。
次に、他方のシート(シートB)について、その質量を求めると共に、シートAの含水率を基に、シートBの固形分量:M[g]を求めた。
次に、シートBをナイロン袋(120メッシュ、質量:N[g])に入れて、37℃の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に24時間浸漬させた。
浸漬後に、生理食塩水から取り出したシートBを含むナイロン袋を105℃の雰囲気下で、4時間乾燥させ、シートBを含むナイロン袋の質量:O[g]を測定した。
以上の測定値から、下記式(II)に従い、ゲル形成層のゲル分率を求めた。
ゲル分率[質量%]={(O−N)/M} ……(II)
4.嚥下性評価(服用性評価)
うがいを行い、口腔内を洗浄した。2分後に、各実施例および比較例の経口投与剤を口腔内に入れ、嚥下可能となる時間を測定した。なお、測定は、3回行い、その平均値を嚥下可能時間とした。
5.マスキング性評価
うがいを行い、口腔内を洗浄した。2分後に、各実施例および比較例の経口投与剤を口腔内に入れ、30秒後に経口投与剤を吐きだした。経口投与剤が口腔内にあったときの苦みを下記の3段階に基準に従い評価した。なお、評価は10度行い、総合評価として、その平均値を求めた。
3…… 薬物の苦味を殆ど感じない。
2…… 薬物の苦味はあるが気にならない。
1…… 薬物の苦味が強く、不快である。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2009041111
表2に示すように、各実施例の経口投与剤は、嚥下性に優れており、比較的短い時間で嚥下することができた。また、各実施例の経口投与剤は、マスキング性に優れており、嚥下時において、薬物の苦味等を感じにくいものであった。これに対し、比較例では、満足のいく結果を得られなかった。すなわち、比較例の経口投与剤は、口腔内で溶解してしまい、薬物の苦味を感じずに嚥下することが不可能であった。
また、各実施例で用いた吸水促進剤は、グリセリンを除き、すべて25℃、1atmの雰囲気下で固体状の化合物であった。
なお、実施例5〜17、比較例の吸水促進剤の5質量%水溶液の37℃での粘度は、すべて0.5〜3.5mPa・sの範囲内であった。
また、厚生労働省、高齢者用食品許可基準(衛新第15号 平成6年2月23日)において、そしゃく・嚥下困難者用食品で「かまなくてもよい」規格として、食品のかたさが500N/m以下であることが記載されている。各実施例のゲル形成層は、37℃の水に浸漬させて15秒経過したのちは、すべてかたさ応力が500N/m以下であった。
本発明によれば、少量の水によって迅速にゲル化することができ、嚥下が容易になる経口投与剤を提供することができる。従って、産業上の利用可能性を有する。

Claims (14)

  1. 薬物を含有する薬物含有層と、ゲル形成層とを含む積層体で構成された経口投与剤であって、
    前記積層体の表面層には、前記ゲル形成層が配置されており、
    前記ゲル形成層は、水系液体を吸収することにより膨潤してゲルを形成するゲル形成剤を含み、1g当りの37℃の水に対する吸水速度が0.5g/(g・s)以上であり、かつ、37℃の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に含浸させた際のゲル分率が20質量%以上であることを特徴とする経口投与剤。
  2. 前記ゲル形成剤は、カルボキシル基含有高分子を含むものである請求の範囲第1項に記載の経口投与剤。
  3. 前記カルボキシル基含有高分子の0.2質量%水溶液の20℃における粘度が、1500〜50000mPa・sである請求の範囲第2項に記載の経口投与剤。
  4. 前記ゲル形成層は、前記ゲル形成層の前記水系液体の吸収を促進させる吸水促進剤を含むものである請求の範囲第1項に記載の経口投与剤。
  5. 前記ゲル形成層における前記吸水促進剤の含有量は、1〜20質量%である請求の範囲第4項に記載の経口投与剤。
  6. 前記吸水促進剤の5質量%水溶液の37℃での粘度は、0.3〜5.0mPa・sである請求の範囲第4項に記載の経口投与剤。
  7. 前記吸水促進剤は、グリセリンを含み、前記吸水促進剤におけるグリセリンの含有量は、35〜95質量%である請求の範囲第4項に記載の経口投与剤。
  8. 前記吸水促進剤は、25℃、1atmの雰囲気下において、固体状の化合物を含むものである請求の範囲第4項に記載の経口投与剤。
  9. 前記吸水促進剤は、糖類またはグリコール類の少なくとも一方を含むものである請求の範囲第4項に記載の経口投与剤。
  10. 前記グリコール類は、エチレングリコール鎖を構造に有する化合物を含むものである請求項9に記載の経口投与剤。
  11. 前記グリコール類は、親水親油バランス(HLB)が15〜20である界面活性剤を含むものである請求の範囲第9項に記載の経口投与剤。
  12. 前記グリコールの質量平均分子量は、600〜35000である請求の範囲第9項に記載の経口投与剤。
  13. 前記ゲル形成層は、その外表面に凸部を有するものである請求の範囲第1項に記載の経口投与剤。
  14. 前記積層体は、フィルム状をなしている請求の範囲第1項に記載の経口投与剤。
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