JP5318181B2 - 経口投与剤 - Google Patents
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例えば、経口投与剤の一般的な剤型である固形製剤(例えば、錠剤、カプセル剤等)の場合、そのままでは飲み込み難いため、通常は多量の水とともに服用しなければならず、服薬コンプライアンスが低下する場合がある。特に高齢者や幼児においては、固形製剤を飲み込むことができない場合があり、服薬コンプライアンスの低下が多く見られる。また、固形製剤の場合、誤って気管に詰まらせてしまう危険性や、食道に貼り付いて食道腫瘍が形成してしまう危険性がある。
そこで、本発明は、薬物含有層に含有される薬物の味、臭い等を完全にマスキングすることができる経口投与剤を提供することを目的とする。
〔第一実施形態〕
図1(a)は本発明の経口投与剤の第一実施形態を示す平面図、図1(b)は同実施形態を示す断面図(図1(a)のX−X断面図)である。
図1に示すように、第一実施形態に係る経口投与剤1aは、経口投与剤1aの最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層12及び12’と、水膨潤性ゲル形成層12及び12’の間に積層された薬物含有層11とを有し、薬物含有層11が経口投与剤1aの内部に封入されるように、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とが直接結合している。
可食性高分子は、胃溶性高分子又は腸溶性高分子が好ましい。
可食性高分子のうち、好ましいものとしては、セルロース又はセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、特に好ましいものとしては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル及びビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体は、フィルム形成性に優れているため、薬物含有層11をフィルム状とする場合に有用である。
水膨潤性ゲル形成層12及び12’の厚さは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができるが、経口投与剤1がフィルム状製剤である場合、10〜1000μmであることが好ましく、20〜500μmであることがさらに好ましい。水膨潤性ゲル形成層12及び12’の厚さが10μm未満であるとゲル形成が不十分となり、水膨潤性ゲル形成層12及び12’による薬物の味、臭い等のマスキング作用が不十分なものとなる一方、水膨潤性ゲル形成層12及び12’の厚さが1000μmを超えると患者等の口腔内に投与したときに唾液だけでは十分に膨潤してゲルを形成することができず、服用し難くなる。
水膨潤性ゲル形成剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、デンプン及びその誘導体、寒天、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、セルロース及びその誘導体、カラゲーン、デキストラン、トラガカント、ゼラチン、ペクチン、ヒアルロン酸、ジェランガム、コラーゲン、カゼイン、キサンタンガム等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
架橋化は、架橋される分子の種類に応じた架橋剤によって行なうことができる。カルボキシビニルポリマーは、例えば、多価金属化合物によって架橋することができる。このような多価金属化合物の具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、塩化鉄ミョウバン、アンモニウムミョウバン、硫酸第二鉄、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられ、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
〔第一の製造方法〕
プラスチックフィルム、台紙等の保持基材の上面に、水膨潤性ゲル形成剤及びフィルム形成剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えば精製水)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて水膨潤性ゲル形成層12を形成させ、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12が積層された第一の積層体を製造する。
一方、上記と同様にして、プラスチックフィルム、台紙等の保持基材の上面に、水膨潤性ゲル形成層12’を形成させた後、水膨潤性ゲル形成層12’の上面に、薬物及び賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えばエタノール)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて薬物含有層11を形成させる。この際、薬物含有層11の下面の大きさは、水膨潤性ゲル形成層12’の上面の大きさよりも小さくなるように(すなわち、薬物含有層11が水膨潤性ゲル形成層12’の上面の中央部に形成され、水膨潤性ゲル形成層12’の上面の周縁部が露出した状態のままとなるように)調節する。薬物含有層11の形成方法は上記方法に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷法等の公知の方法を利用した印刷により、薬物含有層11を水膨潤性ゲル形成層12’の上面に形成させることもできる。こうして、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12’及び薬物含有層11が順次積層された第二の積層体を製造する。
次いで、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部表面及び水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部表面を水で濡らしてゲル化し、ゲル化した周縁部同士を圧着した後、乾燥させる。この際、接触部分が一体となってゲル化及び乾燥するので、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とが直接接着する。こうして、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とを直接接着させることにより、薬物含有層11が内部に封入された経口投与剤1aを製造することができる。
第一の製造方法と同様にして、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12が積層された第一の積層体、並びに、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12’が積層された第二の積層体を製造する。
一方、プラスチックフィルム、台紙等の保持基材の上面に、薬物及び賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えばエタノール)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて薬物含有フィルムを形成させる。こうして形成された薬物含有フィルムを保持基材から剥がし、得られた薬物含有フィルムを第一の積層体の水膨潤性ゲル形成層12又は第二の積層体の水膨潤性ゲル形成層12’の上面に設置する。
次いで、上記と同様にして、第一の積層体の水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と第二の積層体の水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とを直接接着させることにより、薬物含有フィルムが内部に封入された経口投与剤1aを製造することができる。
図2(a)は本発明の経口投与剤の第二実施形態を示す平面図、図2(b)は同実施形態を示す断面図(図2(a)のX−X断面図)である。
図2に示すように、第二実施形態に係る経口投与剤1bは、経口投与剤1bの最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層12及び12’と、水膨潤性ゲル形成層12の下面に積層された接着剤層13と、水膨潤性ゲル形成層12’の上面に積層された接着剤層13’と、水膨潤性ゲル形成層12及び12’の間に接着剤層13及び13’を介して積層された薬物含有層11とを有し、薬物含有層11が経口投与剤1の内部に封入されるように、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とが接着剤層13及び13’を介して結合している。なお、図2中、図1と同一の部材は同一の符号で示し、特に必要がある場合を除き、説明を省略する。
〔第一の製造方法〕
プラスチックフィルム、台紙等の保持基材の上面に、水膨潤性ゲル形成剤及びフィルム形成剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えば精製水)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて水膨潤性ゲル形成層12を形成させる。次いで、水膨潤性ゲル形成層12の上面に、接着剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えばエタノール)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて接着剤層13を形成させる。こうして、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12及び接着剤層13が順次積層された第一の積層体を製造する。
一方、上記と同様にして、水膨潤性ゲル形成層12’及び接着剤層13’を順次形成させる。次いで、接着剤層13’の上面に、薬物及び賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えばエタノール)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて薬物含有層11を形成させる。この際、薬物含有層11の下面の大きさは、接着剤層13’の上面の大きさよりも小さくなるように(すなわち、薬物含有層11が接着剤層13’の上面の中央部に形成され、接着剤層13’の上面の周縁部が露出した状態のままとなるように)調節する。薬物含有層11の形成方法は上記方法に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷法等の公知の方法を利用した印刷により、薬物含有層11を接着剤層13’の上面に形成させることもできる。こうして、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12’、接着剤層13’及び薬物含有層11が順次積層された第二の積層体を製造する。
次いで、第一の積層体の水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と第二の積層体の水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とを接着剤層13及び13’を介して接着させることにより、薬物含有層11が内部に封入された経口投与剤1bを製造することができる。この際、接着剤層13及び13’に含有される接着剤の種類を選択することにより、所望の接着態様を選択することができる。接着剤層13及び13’に熱融着可能な接着剤が含有される場合には、熱融着により接着させることができる。熱融着は、通常60〜150℃、好ましくは90〜120℃、通常0.1kgf/cm2以上、好ましくは0.5kgf/cm2以上、通常0.1〜5秒間、好ましくは0.5〜3秒間の条件で行うことができる。
第一の製造方法と同様にして、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12及び接着剤層13が順次積層された第一の積層体、並びに、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12’及び接着剤層13’が順次積層された第二の積層体を製造する。
一方、プラスチックフィルム、台紙等の保持基材の上面に、薬物及び賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えばエタノール)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて薬物含有層11を形成させる。こうして形成された薬物含有層11を保持基材から剥がして薬物含有フィルムを得、これを第一の積層体の接着剤層13又は第二の積層体の接着剤層13’の上面に設置する。
次いで、上記と同様にして、第一の積層体の接着剤層13の周縁部と第二の積層体の接着剤層13’の周縁部とを接着させることにより、薬物含有フィルムが内部に封入された経口投与剤1bを製造することができる。
経口投与剤1a及び1bは、薬物含有層、水膨潤性ゲル形成層及び接着剤層以外の機能性層を有していてもよい。機能性層としては、フィルム厚を調整するための層が挙げられる。経口投与剤1a及び1bがフィルム状製剤である場合、このような層を設けてフィルム厚を増加させることによって、経口投与剤1a及び1bの取り扱い易さを改善することができる。このような機能性層は、水膨潤性ゲル形成層12及び12’の間に設けられる。
(1)水膨潤性ゲル形成層形成液(塗工液A)の調製
水膨潤性ゲル形成層を形成させるために以下の組成の塗工液Aを調製した。すなわち、精製水140gを取り、その中にカリミョウバン1gを添加し、約10分間攪拌して完全に溶解させた。次いで、ポリアクリル酸(カーボポール974P(BFグッドリッチ))6gを攪拌しながらゆっくりと添加し、約1時間攪拌して完全に溶解させた。次いで、ポリビニルアルコール(ゴーセノールEG−05T(日本合成化学))17gを攪拌しながらゆっくりと添加し、70℃に加温しながら約1時間攪拌して完全に溶解させた。
なお、カリミョウバンが電離して生じるアルミニウムイオンによってポリアクリル酸は架橋され、架橋されたポリアクリル酸が水膨潤性ゲル形成剤としての役割を果たし、ポリビニルアルコールはフィルム形成剤としての役割を果たす。
接着剤層を形成させるために以下の組成の塗工液Bを調製した。すなわち、エタノール25gを取り、その中にポリビニルピロリドン(PVP K−90(ISPジャパン))6gを攪拌しながらゆっくりと添加し、さらにグリセリン1gを添加した後、約20分間攪拌して完全に溶解させた。なお、ポリビニルピロリドンは熱可塑性高分子であるので熱融着可能である。
薬物含有層を形成させるために以下組成の塗工液Cを調製した。すなわち、エタノール又は精製水中に胃潰瘍薬であるファモチジン7g及び酸化チタン0.2gを添加し、ホモジナイザーを用いて十分に分散させた後、その中に下記(a)〜(k):
(a)ポリビニルピロリドン(PVP K−30(ISPジャパン))
(b)ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(S−630(ISPジャパン))
(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学)
(d)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC SL グレード(日本曹達))
(e)アラビアゴム
(f)グアーガム
(g)キサンタンガム
(h)トラガントガム
(i)ローカストビーンガム
(j)カラギーナン
(k)アルギン酸ナトリウム
のいずれかの基剤(結合剤)20gを攪拌しながらゆっくりと添加し、約20分間攪拌して完全に溶解させた。この際の溶媒量は粘度が2000〜6000mPa・sとなるように適宜調節した。
(1)水膨潤性ゲル形成層の形成
塗工液Aを十分に脱泡し、乾燥後の厚さが30μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製,製品名:SP−PET3801)のシリコーン樹脂剥離処理面の反対面上に展延塗布し、80℃で約10分間乾燥して水膨潤性ゲル形成層を形成させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層が積層された積層体Aを製造した。また、同様にして別の積層体Aを製造した。
塗工液Cを十分に脱泡した後、そのうちの100μLを、上記積層体Aの水膨潤性ゲル形成層の上面に滴下し、80℃で約15分間乾燥して薬物含有層を形成させた。このとき、薬物含有層は、水膨潤性ゲル形成層の上面全体ではなく、上面の一部に形成させた。すなわち、薬物含有層は、水膨潤性ゲル形成層の上面(面積:約4.9cm2)の中央部(面積:約1.8cm2)に積層され、水膨潤性ゲル形成層の周縁部には積層されないように形成させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層及び薬物含有層が順次積層された積層体Bを製造した。
積層体Aの水膨潤性ゲル形成層の周縁部表面及び積層体Bの水膨潤性ゲル形成層の周縁部表面に精製水を塗布してゲル化させ、ゲル化させた周縁部同士を圧着した後、片方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、80℃で約5分間乾燥させることにより、積層体Aの水膨潤性ゲル形成層の周縁部と積層体Bの水膨潤性ゲル形成層の周縁部とを直接接着させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、薬物含有層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層され、内部に薬物含有層が封入された積層体を製造し、当該積層体を打ち抜いて経口投与剤Aを製造した。積層体を打ち抜く際、水膨潤性ゲル形成層同士を接着させた部分を打ち抜き、薬物含有層が露出しないようにした。
(1)水膨潤性ゲル形成層の形成
塗工液Aを十分に脱泡し、乾燥後の厚さが30μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製,製品名:SP−PET3801)のシリコーン樹脂剥離処理面の反対面上に展延塗布し、80℃で約10分間乾燥して水膨潤性ゲル形成層を形成させた。
塗工液Bを十分に脱泡し、乾燥後の厚さが20μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、上記水膨潤性ゲル形成層の上面全体に展延塗布し、80℃で約3分間乾燥して接着剤層を形成させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層及び接着剤層が順次積層された積層体Cを製造した。また、同様にして別の積層体Cを製造した。
塗工液Cを十分に脱泡した後、そのうちの100μLを、上記積層体Cの接着剤層の上面に滴下し、80℃で約15分間乾燥して薬物含有層を形成させた。このとき、薬物含有層は、接着剤層の上面全体ではなく、上面の一部に形成させた。すなわち、薬物含有層は、接着剤層の上面(面積:約4.9cm2)の中央部(面積:約1.8cm2)に積層され、接着剤層の周縁部には積層されないように形成させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層及び薬物含有層が順次積層された積層体Dを製造した。
積層体Cの接着剤層の周縁部と積層体Dの接着剤層の周縁部とを、100℃、1kgf/cm2、2秒間の条件にて熱融着させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層、薬物含有層、接着剤層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層され、内部に薬物含有層が封入された積層体を製造し、当該積層体を打ち抜いて経口投与剤Bを製造した。積層体を打ち抜く際、接着剤層同士を熱融着させた部分を打ち抜き、薬物含有層が露出しないようにした。
(1)経口投与剤Cの製造
エタノール中に胃潰瘍薬であるファモチジン7g及び酸化チタン0.2gを添加し、ホモジナイザーを用いて十分に分散させた後、その中にポリビニルピロリドン(PVP K−90(ISPジャパン))20gを攪拌しながらゆっくりと添加し、約20分間攪拌して完全に溶解させた。この際の溶媒量は粘度が2000〜6000mPa・sとなるように適宜調節した。
こうして調製した塗工液を十分に脱泡し、乾燥後の厚さが70μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製,製品名:SP−PET3801)のシリコーン樹脂剥離処理面の反対面上に展延塗布し、80℃で約15分間乾燥して薬物含有層を形成させた。次いで、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムから薬物含有層を剥離し、薬物含有フィルムを得た。
薬物含有フィルムを積層体Cの接着剤層上に設置した後、当該積層体Cの接着剤層の周縁部と別の積層体Cの接着剤層の周縁部とを、100℃、1kgf/cm2、2秒間の条件にて熱融着させた。なお、薬物含有フィルムは、接着剤層の上面(面積:約4.9cm2)の中央部(面積:約1.8cm2)に設置した。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層、薬物含有フィルム、接着剤層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層され、内部に薬物含有フィルムが封入された積層体を製造し、当該積層体を打ち抜いて経口投与剤Cを製造した。積層体を打ち抜く際、接着剤層同士を熱融着させた部分を打ち抜き、薬物含有フィルムが露出しないようにした。
上記(1)で調製した塗工液を、60メッシュ(線径140μm)のスクリーンに15mmφの版を形成したものを用いたスクリーン印刷法により、積層体Cの接着剤層の上面(面積:約4.9cm2)の中央部(面積:約1.8cm2)に印刷し、80℃で約15分間乾燥した。これを乾燥後の厚さが70μmとなるまで繰り返し、薬物含有層を形成させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層及び薬物含有層が順次積層された積層体Eを製造した。積層体Cの接着剤層の周縁部と積層体Eの接着剤層の周縁部とを、100℃、1kgf/cm2、2秒間の条件にて熱融着させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層、薬物含有層、接着剤層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層され、内部に薬物含有層が封入された積層体を製造し、当該積層体を打ち抜いて経口投与剤Dを製造した。積層体を打ち抜く際、接着剤層同士を熱融着させた部分を打ち抜き、薬物含有層が露出しないようにした。
ファモチジンと乳糖(賦形剤)とを1:49(重量比)で乳鉢に添加し十分に混合して得られた粉末500mgを、積層体Cの接着剤層の上面にまぶした後、当該積層体Cの接着剤層の周縁部と別の積層体Cの接着剤層の周縁部とを、100℃、1kgf/cm2、2秒間の条件にて熱融着させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層、薬物粉末、接着剤層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層され、内部に薬物粉末が封入された積層体を製造し、当該積層体を打ち抜いて経口投与剤Eを製造した。積層体を打ち抜く際、接着剤層同士を熱融着させた部分を打ち抜き、薬物粉末が露出しないようにした。
ファモチジンとポリビニルピロリドン(PVP K−90(ISPジャパン))とを1:49(重量比)で混合した粉末を、KBr錠剤法で用いられる打錠器にて打錠した。得られた錠剤を積層体Cの接着剤層の上面に設置した後、当該積層体Cの接着剤層の周縁部と別の積層体Cの接着剤層の周縁部とを、100℃、1kgf/cm2、2秒間の条件にて熱融着させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層、錠剤、接着剤層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層され、内部に錠剤が封入された積層体を製造し、当該積層体を打ち抜いて経口投与剤Fを製造した。積層体を打ち抜く際、接着剤層同士を熱融着させた部分を打ち抜き、錠剤が露出しないようにした。
製造例1で製造した経口投与剤A及び製造例2で製造した経口投与剤Bを、無作為に抽出した被験者10に水なしで服用してもらい、薬物の味のマスキング能について以下の3段階の評価基準に従って評価した。経口投与剤Aに関する結果を表1に、経口投与剤Bに関する結果を表2に示す。
[マスキング能に関する評価基準]
1・・・薬物の味を感じる。
2・・・薬物の味をやや感じる。
3・・・薬物の味を感じない。
製造例3で製造した経口投与剤C〜Fについて、試験例1と同様にして薬物の味のマスキング能を評価した。結果を表3に示す。
11・・・薬物含有層
12,12’・・・水膨潤性ゲル形成層
13,13’・・・接着剤層
Claims (11)
- 第一の水膨潤性ゲル形成層及び第二の水膨潤性ゲル形成層が最外層に設けられた経口投与剤であって、
薬物が前記経口投与剤の内部に封入されるように、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と前記第二の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とが、熱融着可能な接着剤を含有する接着剤層を介して熱融着されたことにより、結合しており、
前記熱融着可能な接着剤を含有する接着剤層は、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の下面全体と、前記第二の水膨潤性ゲル形成層の上面全体とにそれぞれ積層されており、
前記第一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と、前記第二の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とは、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の下面全体に積層された前記接着剤層と前記第二の水膨潤性ゲル形成層の上面全体に積層された前記接着剤層とを介して熱融着されたことにより、結合している前記経口投与剤。 - 前記第一の水膨潤性ゲル形成層と前記第二の水膨潤性ゲル形成層との間に設けられた薬物含有層を有し、
前記薬物含有層が前記経口投与剤の内部に封入されるように、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と前記第二の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とが、熱融着可能な接着剤を含有する接着剤層を介して熱融着されたことにより、結合している請求項1記載の経口投与剤。 - 前記熱融着可能な接着剤が、ポリビニルピロリドンのホモポリマーである請求項1又は2記載の経口投与剤。
- 前記第一の水膨潤性ゲル形成層及び前記第二の水膨潤性ゲル形成層は、水膨潤性ゲル形成剤と架橋剤とを含む水膨潤性ゲル形成層形成液から形成されたものである請求項1〜3のいずれか一項記載の経口投与剤。
- 前記水膨潤性ゲル形成剤が、カルボキシビニルポリマーである請求項4記載の経口投与剤。
- 前記架橋剤が、多価金属化合物である請求項4又は5記載の経口投与剤。
- 経口投与剤の製造方法であって、
第一の水膨潤性ゲル形成層、及び熱融着可能な接着剤を含有する接着剤層が、第一の保持基材の上面に順次積層された第一の積層体を製造する工程と、
第二の水膨潤性ゲル形成層、熱融着可能な接着剤を含有する接着剤層、及び薬物含有層が、前記第二の水膨潤性ゲル形成層の上面の大きさよりも、前記薬物含有層の下面の大きさが小さくなるように、第二の保持基材の上面に順次積層された第二の積層体を製造する工程と、
前記薬物含有層が前記経口投与剤の内部に封入されるように、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と、前記第二の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とを、前記第一の水膨潤性ゲル形成層に積層された前記接着剤層と前記第二の水膨潤性ゲル形成層に積層された前記接着剤層とを介して、熱融着により接着させる工程と
を有する経口投与剤の製造方法。 - 前記熱融着可能な接着剤が、ポリビニルピロリドンのホモポリマーである請求項7記載の経口投与剤の製造方法。
- 前記第一の水膨潤性ゲル形成層及び前記第二の水膨潤性ゲル形成層は、水膨潤性ゲル形成剤と架橋剤とを含む水膨潤性ゲル形成層形成液から形成されたものである請求項7又は8記載の経口投与剤の製造方法。
- 前記水膨潤性ゲル形成剤が、カルボキシビニルポリマーである請求項9記載の経口投与剤の製造方法。
- 前記架橋剤が、多価金属化合物である請求項9又は10記載の経口投与剤の製造方法。
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