JPWO2009011427A1 - 蛍光発光性官能基を有する化合物およびその重合体の製造方法 - Google Patents

蛍光発光性官能基を有する化合物およびその重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

重合性官能基と蛍光発光性を有する官能基を含む化合物を、DCC(脱水縮合剤)を用いずに簡便かつ効率良く製造できる方法を提供する。7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸からヒドロキシ基を除いた残基を有する酸無水物と、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルとを反応させる工程、または7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸のヒドロキシ基がハロゲン原子によって置換された酸ハロゲン化物と、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルとを反応させる工程を経て、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルを製造する。

Description

本発明は蛍光発光性官能基を有するモノマーとして好適な化合物の製造方法、および該化合物に基づく繰り返し単位を有する重合体の製造方法に関する。
視認性を有するポリマーとして、例えば下記特許文献1には発色団要素部を有するモノマーを用いた含フッ素共重合体が記載されている。また下記特許文献2には、含フッ素(メタ)アクリレートモノマーと、(メタ)アクリレート官能性染料を共重合させた染色フルオロポリマーが記載されている。
重合性官能基(以下、単に重合性基ということもある)を有するとともに発色団要素部を有するモノマー、または(メタ)アクリレート官能性染料としては各種の化合物が知られている。例えば1−アクリロイルオキシ−4−(p−トリルアミノ)アントラキノン(特許文献1の実施例1)、アクリル酸4−(フェニルアゾ)フェニル(特許文献1の実施例2)、7−(2−アクリロイルオキシ)エチルオキシ−4−メチルクマリン(特許文献1の実施例10)、アクリル酸1−ピレニルメチル(特許文献1の実施例12)等が挙げられている。
一方、下記非特許文献1および2には、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル(以下、化合物[I’]ということもある。)を、以下の工程を経て合成する方法が記載されている。まず、4−(ジエチルアミノ)サリチルアルデヒドとマロン酸ジエチルとのKnoevenagel縮合により7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸エチルを合成し、これを加水分解して7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸を得る。続いて脱水縮合剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いて、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとをエステル化反応させ、メタノールから再結晶して目的の化合物[I’]を得る方法である。
特開平2−3407号公報 特表2005−533902号公報 Czasopismo Techniczne(2004)、101(1)、p.141−146、(発行国:ポーランド) POLIMERY(2003)、48、nr2、p.111−115(発行国:ポーランド)
7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルのような重合性官能基と蛍光発光性を有する官能基を含む化合物は、視認性を有するポリマーを構成するモノマー原料としての用途が期待できる。
しかしながら、非特許文献1、2に記載されている方法において脱水縮合剤として用いられるジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)は、皮膚に触れた場合にアレルギー反応を生じるおそれがあるため取扱いが難しく、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルの製造が容易でない。
さらに、DCCを用いて7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとをエステル化反応させる際には、副生成物としてジシクロヘキシル尿素(DCU)が、理論的には目的化合物と等量生成する。したがって、反応生成物全体における目的化合物の割合(選択率)が低く、製造効率が良くない。しかも、このDCUの大部分は反応中に析出するため、ろ過により取り除くことができるが、溶媒にもある程度溶けているため、ろ液から目的物を濃縮等により回収する時に析出する。そのため、ろ過操作を繰り返したり、カラム精製が必要になったりと煩雑な精製操作が必要となる。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、重合性官能基と蛍光発光性を有する官能基を含む化合物を、DCC(脱水縮合剤)を用いずに簡便かつ効率良く製造できる方法を提供することを目的とする。
また本発明は、重合性官能基と蛍光発光性を有する官能基を含む化合物に基づく繰り返し単位を有する重合体または撥油性共重合体を、簡便かつ効率良く製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、原料であるカルボン酸(7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸)とアルコール(水酸基を有する(メタ)アクリレート)とから目的物であるエステルを得る反応において、酸無水物または酸ハロゲン化物を経由する反応経路を採用することにより、目的の化合物を、DCC(脱水縮合剤)を用いずに、効率良く製造できること見出して本発明に至った。
すなわち、本発明は、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸[2]からヒドロキシ基を除いた残基を有する酸無水物[3]と、下記式(II)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させる工程を有することを特徴とする、下記式(I)で表わされる化合物[I]の製造方法を提供する。式(I)および(II)中、R’は水素原子またはメチル基であり、Qは2価の有機基である。
Figure 2009011427
Figure 2009011427
前記酸無水物[3]としては、RCOOCOR、またはRCOOSO(式中、Rは以下に示す基であり、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基であり、Rとは異なる基)であることが好ましい。
Figure 2009011427
また、本発明は、前記7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸[2]と、RCOOCORまたはRSOOSO(R、Rは、それぞれ独立に、水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基)で表わされる酸無水物とを反応させて、前記7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸からヒドロキシ基を除いた残基を有する酸無水物[3]を得る工程を有することが好ましい。ここで、前記RCOOCORまたはRSOOSO(R、Rは、それぞれ独立に、水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基)で表わされる酸無水物は、トリフルオロ酢酸無水物、またはトリフルオロメタンスルホン酸無水物であることが好ましい。
本発明は、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸[2]のヒドロキシ基がハロゲン原子によって置換された酸ハロゲン化物[3’]と、上記式(II)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させる工程を有する、上記式(I)で表わされる化合物[I]の製造方法を提供する。酸ハロゲン化物[3’]のハロゲン原子としては、塩素原子であることが好ましい。
本発明は、本発明の製造方法で前記式(I)で表わされる化合物[I]を得る工程と、重合開始剤の存在下、溶媒中にて、前記化合物[I]を含むモノマー原料を重合させる工程を有することを特徴とする重合体の製造方法を提供する。
本発明は、本発明の製造方法で前記式(I)で表わされる化合物[I]を得る工程と、重合開始剤の存在下、溶媒中にて、ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートおよび前記化合物[I]を含むモノマー原料を重合させる工程を有することを特徴とする撥油性共重合体の製造方法を提供する。前記重合開始剤としては、ラジカル開始剤であることが好ましい。
また、本発明においては、上記の撥油性共重合体の製造方法で得られた撥油性共重合体と、含フッ素溶媒とを含有することを特徴とする撥油性処理液を提供する。含フッ素溶媒としては、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、含フッ素アルコール、ハイドロフルオロエーテル、またはペルフルオロカーボンが好適である。
本発明によれば、重合性官能基と蛍光発光性を有する官能基を含む化合物として前記式(I)で表される化合物を、DCC(脱水縮合剤)を用いずに簡便かつ効率良く製造できる。
本発明によれば、前記式(I)で表される化合物に基づく繰り返し単位を有する重合体を簡便かつ効率良く製造できる。
さらに、本発明によれば、前記式(I)で表される化合物に基づく繰り返し単位と、ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく繰り返し単位を有する撥油性共重合体を簡便かつ効率良く製造できる。
前記式(I)および式(II)において、R’は水素原子またはメチル基である。式(II)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートは、水酸基を有するアクリレートまたは水酸基を有するメタクリレートである。
前記式(I)および式(II)において、Qは2価の有機基である。Qとしての2価の有機基は、該式(II)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートが、後述する所期の反応を生じ得る範囲であればよく特に限定されない。
Qとしては、例えば、直鎖状または分岐状のアルキレン基、脂環式炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれる2価の炭化水素基(炭素原子に結合している水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい);該2価の炭化水素基とエーテル結合(−O−)を有する2価基;該2価の炭化水素基とエステル結合(−COO−)を有する2価基等が挙げられる。上記2価の炭化水素基における炭素数は2〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。Qは上記に挙げた2価の有機基のうちの1種でもよく、2種以上が連結した2価基であってもよい。
Qとしては、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
式(II)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、
ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、モノ(メタクリロイルオキシエチル)コハク酸等が挙げられる。
これらのうちでも特に、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。該メタクリル酸2−ヒドロキシエチルは下記式(III)で表される化合物であり、式(II)中のR’がメチル基であり、かつQがエチレン基であるものに該当する。
Figure 2009011427
以下、上記式(I)および式(II)におけるQがエチレン基である場合、すなわち上記式(II)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートがメタクリル酸2−ヒドロキシエチルである場合を例に挙げて本発明の実施形態を説明するが、Qを変更しても同様にして上記式(I)で表わされる化合物を製造できる。
<第1の製造方法>
まず、本発明の第1の製造方法について説明する。
本発明の第1の製造方法は、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸からヒドロキシ基を除いた残基を有する酸無水物と、上記式(II)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させる工程を経て、上記式(I)で表わされる化合物(以下、化合物[I]ということもある。)を製造する方法である。
(工程1)
まず、原料としての7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸を用意する。7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸の合成方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば以下の方法で合成できる。
(工程1−1)
まず、4−(ジエチルアミノ)サリチルアルデヒドと、マロン酸ジエチルとのKnoevenagel縮合により、下記式(1)で表される7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸エチル(以下、カルボン酸エチル[1]ということもある。
)を得る。
Figure 2009011427
工程1−1は、例えば、4−(ジエチルアミノ)サリチルアルデヒドにマロン酸ジエチルを加えるとともに、触媒および反応溶媒を加えて撹拌し、加熱条件下で反応させる方法で行う。触媒としてはピペリジン、酢酸とピペリジンの混合物、アンモニア、ピリジン、トリエチルアミン等が好ましい。反応溶媒としてはエタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル等が好ましい。反応条件は、反応温度50〜100℃、反応時間1〜24時間程度が好ましい。
(工程1−2)
次に、工程1−1で得たカルボン酸エチル[1]を加水分解して、下記式(2)で表される7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸(以下、カルボン酸[2]ということもある。)を得る。
Figure 2009011427
工程1−2は、例えば、工程1−1を終えた反応液に水酸化カリウム水溶液を加えて撹拌することにより加水分解した後、塩酸水溶液を加えて中和して、カルボン酸[2]を析出させる方法で行う。工程1−1を終えた反応液は40〜60℃程度に冷却してから、水酸化カリウム水溶液を徐々に加えることが好ましい。
析出したカルボン酸[2]は、固液分離した後、洗浄、乾燥することが好ましい。
(工程2)
工程1で得たカルボン酸[2]からヒドロキシ基を除いた残基を有する酸無水物(以下、酸無水物[3]という)を生成させ、これと上記式(II)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートとしてのメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、アルコール[4]という)とを反応させて、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル(化合物[I])を得る。
具体的には、まず、反応溶媒中で酸無水物[3]を生成させ、続いてアルコール[4]を加えて反応させる。反応溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム等が好ましく、トルエン、クロロホルムがより好ましい。反応温度は、0〜50℃であり、20〜40℃が好ましい。
該酸無水物[3]は、工程1で得たカルボン酸[2]をRCOOH(Rは、以下に示す基である。)で表すと、
Figure 2009011427
(i)RCOOCORで表される対称型無水物であってもよく、(ii)RCOOCORまたはRCOOSO(R、Rはそれぞれ独立に、水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基であって、Rとは異なる。RまたはRとしての炭化水素基は鎖状、環状のいずれであってもよい。)等で表される混合酸無水物であってもよい。
また以下、アルコール[4](メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、CH=C(CH)COOCHCHOH)をROH(Rは、CH=C(CH)COOCHCH−である。)と表わすこともある。
(i)酸無水物[3]として対称型無水物を用いる場合:
対称型無水物(RCOOCOR)は、下記反応式に示すように、塩化アルミニウムを触媒としてカルボン酸[2]とホスゲンとを反応させる方法で生成させることができる。
2RCOOH + COCl → RCOOCOR + CO + 2HCl
または下記反応式に示すように、カルボン酸[2]の酸塩化物(RCOCl)と、カルボン酸[2]のナトリウム塩(RCOONa)とを反応させる方法でも生成させることができる。
COCl + RCOONa → RCOOCOR + NaCl
そして、下記反応式に示すように、生成したRCOOCOR(対称型無水物)と、ROH(アルコール[4])とを反応させることによりRCOOR(目的の化合物[I])が得られる。この反応においては目的の化合物[I]と等量のカルボン酸(RCOOH)が副生する。
COOCOR + ROH → RCOOR + RCOOH
(ii)酸無水物[3]として混合酸無水物を用いる場合:
混合酸無水物(RCOOCORまたはRCOOSO)は、下記(ii−1)または(ii−2)の方法で生成させることができる。
(ii−1)下記反応式に示すように、カルボン酸[2]のナトリウム塩(RCOONa)と、別の酸の塩化物(RCOClまたはRSOCl)とを反応させる方法。
COONa + RCOCl → RCOOCOR + NaCl、または RCOONa + RSOCl → RCOOSO + NaCl
(ii−2)下記反応式に示すように、カルボン酸[2]と、別の酸無水物(RCOOCORまたはRSOOSO)とを反応させる方法。
COOH + RCOOCOR → RCOOCOR + RCOOH、
または
COONa + RSOOSO → RCOOSO + RSO
(ii−1)、および(ii−2)のいずれにおいても、下記反応式に示すように、生成した混合酸無水物と、アルコール[4]とを反応させることにより目的の化合物[I](RCOOR)が得られる。この反応においては別の酸(RCOOHまたはRSOH)の他に、副反応により別の酸とアルコールとのエステル化合物(RCOORまたはRSO)、および副生するRCOOH(カルボン酸[2])が生成する。
(目的の反応)
COOCOR + ROH → RCOOR + RCOOH
(副反応)
COOCOR + ROH → RCOOR + RCOOH
または
(目的の反応)
COOSO + ROH → RCOOR + RSO
(副反応)
COOSO + ROH → RSO + RCOOH
したがって、混合酸無水物と、アルコール[4]とを反応させて得られた反応粗液を、洗浄した後、溶媒を留去して、得られる固体を再結晶することが好ましい。
酸無水物[3]として(ii)混合酸無水物を用いる方法では、混合酸無水物(RCOOCORまたはRCOOSO)中のRCOO−またはRSO−が脱離基となってRCOOR(目的の化合物[I])が得られる。したがって目的とするエステル化物(RCOOR)を選択的に得るうえで、RCOO−またはRSO−は脱離能が高いものが好ましい。例えば、CHCOO−、CFCOO−、CFSO−、CHSO−等が好ましい。
上述したように、酸無水物[3]として(i)対称型無水物を用いる方法では、目的の化合物[I]と等量のカルボン酸(RCOOH)が副生するため、収率は50%を超えない。
これに対して、酸無水物[3]として(ii)混合酸無水物を用いる方法は、目的の化合物[I]を効率良く合成することができる。また、(ii)混合酸無水物を用いる方法のうちでも、上記(ii−1)の方法は、カルボン酸[2]を、一旦カルボン酸ナトリウム塩に変換する必要があるが、(ii−2)の方法はその必要がないためにより好ましい。さらに(ii−2)の方法のうちでも、カルボン酸[2]とRCOOCORで表わされる酸無水物とを反応させる方法が好ましい。
(ii−2)の方法において、カルボン酸[2]と反応させる別の酸無水物(RCOOCORまたはRSOOSO)としては、酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物等が好ましく、入手容易性と脱離能の観点からトリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物がより好ましい。
<第2の製造方法>
以下、本発明の第2の製造方法について説明する。
第2の製造方法が、第1の製造方法と大きく異なる点は、酸無水物[3]に代えて、酸ハロゲン化物を用いる点である。
すなわち、まず第1の実施形態の工程1と同様にしてカルボン酸[2]を用意する。
次いで、下記反応式に示すように、工程1で得たカルボン酸[2]のヒドロキシ基がハロゲン原子によって置換された酸ハロゲン化物(以下、酸ハロゲン化物[3’]という)を生成させる。工程1で得たカルボン酸[2]をRCOOHで表わすと、酸ハロゲン化物[3’]はRCOXで表される(Xはハロゲン原子を示す。以下、同様。)。
COOH → RCOX
酸ハロゲン化物[3’]は、酸フッ化物、酸塩化物、酸臭化物、酸ヨウ化物が挙げられ、酸塩化物がより好ましい。
カルボン酸[2]から、酸ハロゲン化物[3’]としての酸塩化物(RCOCl)を生成させる方法としては、カルボン酸[2]と、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、ホスゲン等の塩素化剤とを反応させる方法が好ましい。塩化チオニルは、副生物が塩酸と二酸化硫黄であり、塩化チオニルの沸点も高くないことから、反応後に系中からこれらを容易に除去できる点で好ましい。塩化チオニルを用いる場合には触媒量のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を入れることで反応条件が温和になる。
具体的には、反応溶媒、カルボン酸[2]、および必要に応じてDMFを混合し、これに塩素化剤を徐々に加えて反応させる。反応溶媒としてはトルエン、塩化メチレン、クロロホルム等が好ましく、トルエン、クロロホルムがより好ましい。反応温度は50〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。反応後、残存する塩素化剤と副生成物を留去する。これら副生成物を残存する塩素化剤をより完全に除去するため、溶媒も留去してもよい。
続いて、下記反応式に示すように、生成した酸ハロゲン化物[3’](RCOX)とメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(アルコール[4]、ROH)とを反応させて、目的の7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル(化合物[I]、RCOOR)を得る。この反応においては、副生成物としてハロゲン化水素(HX)が目的の化合物[I]と等量生成する。
COX + ROH → RCOOR + HX
具体的には、上記にて酸ハロゲン化物[3’]を生成し、必要に応じて残存する塩素化剤と溶媒を留去した後に、反応溶媒と副生する酸の受酸剤を加え、アルコール[4]を徐々に加えて反応させる。反応溶媒としてはピリジン、トルエン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム等が好ましく、ピリジン、トルエン、クロロホルムがより好ましい。受酸剤としては、トリエチルアミン、ピリジン等が好ましい。ピリジンは溶媒および受酸剤として好適であり、好ましい。反応温度は−20〜30℃が好ましく、−10〜20℃がより好ましい。反応時間は、0.1〜24時間であり、1〜5時間が好ましい。
反応後の反応粗液は、洗浄した後、溶媒を留去し、得られる固体を再結晶することが好ましい。
一般的に、カルボン酸(RCOOH)とアルコール(ROH)からエステル(RCOOR)を得る方法として、
(a)硫酸やp−トルエンスルホン酸などのような強酸を触媒として、エステル化反応を行う方法がよく知られている。この反応は可逆反応であり、カルボン酸とアルコールのいずれか一方を大過剰用いるか、または生成する水を系外に除去することで反応を進行させる。または
(b)上記(a)と同様の強酸を触媒とし、RCOOR(ROHは低級アルコール)とROHとのエステル交換反応で、生成するROHを系外に除去することによりRCOORを得る反応もよく知られている。
しかしながら、これら(a)、または(b)の方法を本発明におけるカルボン酸[2]とアルコール[4]から化合物[I]を得るエステル化反応に適用すると、収率が低い。これは本発明において反応剤として用いるアルコール[4]自身がエステル結合を有しており、該エステル結合も酸触媒によりエステル交換反応するためと考えられる。
これに対して、本発明にかかる上記第1および第2の製造方法によれば、目的の化合物[I]を高収率で得ることができる。これは、酸無水物[3]または酸ハロゲン化物[3’]を中間体として経由してエステル化反応させることにより、アルコール[4]中のエステル結合が切断されることなく、反応が進行するためと考えられる。
また、本発明にかかる上記第1および第2の製造方法は、非特許文献1、2のように取り扱いが困難な脱水縮合剤(DCC)を用いる必要がない。また後述の実施例および比較例に示されるように、DCCを用いた場合は選択率が低く、製造効率が良くないのに対して、本発明にかかる上記第1および第2の製造方法を用いることにより収率が良好となる。さらに、上記第1および第2の製造方法における副生成物は水溶性であり、一般的な水洗工程を施すことにより容易に除去できるという利点を有する。
<重合体の製造方法>
本発明の化合物[I]は、蛍光発光性官能基および重合性官能基を有しており、350〜450nmの波長の光を照射すると良好な蛍光発光性を示す。また化合物[I]を単独で、又は該化合物[I]と共重合可能なモノマーとともに重合させることにより、蛍光発光性を示す重合体を得ることができる。具体的には、重合開始剤の存在下、溶媒中にて、化合物[I]を含むモノマー原料を重合させることにより蛍光発光性を示す重合体が得られる。
化合物[I]と共重合可能なモノマーとしては、化合物[I]と共重合可能な重合性官能基を有する化合物であればよく、特に制限されない。該化合物[I]と共重合可能な重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
化合物[I]と共重合可能なモノマーの具体例として、後述するモノマー(A’)、(C’)、(D’)、(E’)が挙げられるほか、以下の化合物が挙げられる。
すなわち、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ドデカン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類;ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸アリル、オクタン酸アリル等のアリルエステル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン等のビニル化合物類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン類;フッ化ビニル、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類等が挙げられる。
<撥油性共重合体の製造方法>
本発明の化合物[I]は、ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート(A’)と共重合させるのに好適であり、良好な撥油性と視認性を有する含フッ素共重合体(ポリマー)を得ることができる。
すなわち、重合開始剤の存在下、溶媒中にて、ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート(A’)および化合物[I]を含むモノマー原料を重合させることにより、下記繰り返し単位(A)および(B)を有し、良好な撥油性と視認性を有する撥油性共重合体が得られる。
また、モノマー原料に、さらにアクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合および/または水酸基を有するとともに重合性基を有するモノマー(C’)を含有させて共重合させることにより、下記繰り返し単位(A)、(B)、および(C)を有し、良好な撥油性と視認性を有する撥油性共重合体が得られる。
該撥油性共重合体は、繰り返し単位(C)の一部または全部として、水酸基を有する繰り返し単位を有するとともに、さらにイソシアネート基またはブロック化されたイソシアネート基を有する繰り返し単位(D)を有することが好ましい。
また該撥油性共重合体は、炭素数10以上の直鎖アルキル基を有する繰り返し単位(E)を有することが好ましい。
[繰り返し単位(A)]
ポリフルオロアルキル基を有する繰り返し単位(A)は、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が、ポリフルオロアルキル基を有する基で置換された「ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート(A’)」から誘導される繰り返し単位である。
本発明における「ポリフルオロアルキル基」とは、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が含まれてもよいアルキル基の、水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基を意味する。
また(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの一方または両方を含む概念である。
「ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート」としては、下式〔1〕で表される化合物が好ましい。式中、Rfはポリフルオロアルキル基、Q’は2価の有機基、Rは水素原子またはメチル基を示す。
なお下式〔1〕における「Rf−Q’−」において、フッ素原子と結合している炭素原子は全てRfに含まれるものとし、残りの炭素原子のうちQ’に含まれる炭素原子の数が最大となるように「Rf」および「Q’」を決めるものとする。
例えば「Rf−Q’−」が「CF2H−CH2−CH(OH)−CH2−」である場合、「Rf」は「CF2H−」であり「−Q’−」は「−CH2−CH(OH)−CH2−」であるものとする。
Figure 2009011427
fの炭素原子数は2〜20が好ましく、4〜16がより好ましい。Rfは、直鎖構造でも分岐構造でもよく、直鎖構造がより好ましい。分岐構造の場合には、分岐部分がRfの末端部分に存在し、かつ分岐部分の炭素原子数が1〜4程度の短鎖が好ましい。Rfの末端部分の構造としては、CF3CF2−、(CF32CF−、CF2H−、CFH2−等が挙げられ、CF3CF2−が好ましい。
fにおけるフッ素原子の数は、[(Rf中のフッ素原子数)/(Rfと同一炭素原子数のアルキル基中に含まれる水素原子数)]×100(%)で表現した場合に、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、100%が最も好ましい。100%の場合のRfをペルフルオロアルキル基という。
fがペルフルオロアルキル基の場合、Rfの炭素原子数は2〜20が好ましく、4〜16がより好ましい。該炭素原子数が上記の範囲内であると、上記式〔1〕で表される化合物からなるモノマーの重合性、重合後の溶液安定性がよく、撥油性処理液の初期撥油性と撥油持久性に優れる。
fがペルフルオロアルキル基の場合、Rfの具体例としては、以下の基(構造異性の基を含む。)等が挙げられる。
49−:F(CF24−、(CF32CFCF2−、(CF33C−、CF3CF2(CF3)CF−等。
511−:F(CF25−等。
613−:F(CF26−等。
715−:F(CF27−、(CF32CF(CF24−等。
817−:F(CF28−等。
919−:F(CF29−、(CF32CF(CF26−等。
1021−:F(CF210−等。
1225−:F(CF212−等。
1327−:(CF32CF(CF28−等。
1429−:F(CF214−等。
1633−:F(CF216−等。
fが、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子を有するペルフルオロアルキル基である場合の具体例としては、以下の基が挙げられる。ただし、kは1〜5の整数を示す。
F(CF2kOCF(CF3)−、
F(CF2CF2O)kCF2CF2−、
F(CF2CF2CF2O)kCF2CF2−、
F[CF(CF3)CF2O]kCF(CF3)−、
F[CF(CF3)CF2O]kCF(CF3)CF2CF2−、
F(CF2kSCF(CF3)−、
F(CF2CF2S)kCF2CF2−、
F(CF2CF2CF2S)kCF2CF2−、
F[CF(CF3)CF2S]kCF2CF2−、
F[CF(CF3)CF2S]kCF(CF3)CF2CF2−等。
fとしては、直鎖状のペルフルオロアルキル基がより好ましく、具体的には、F(CF24−、F(CF25−、F(CF26−、F(CF27−、F(CF28−、F(CF29−、F(CF210−、F(CF211−、F(CF212−が特に好ましい。
上記式〔1〕におけるQ’の例としては、以下の基が挙げられる。ただし、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、pおよびqはそれぞれ独立して0または1以上の整数を示し、p+qは1〜22の整数である。
−(CH2p+q−、
−(CH2pCONRa(CH2q−、
−(CH2pOCONRa(CH2q−、
−(CH2pSO2NRa(CH2q−、
−(CH2pNHCONH(CH2q−、
−(CH2pCH(OH)(CH2q−、
−(CH2pCH(OCORa)(CH2q−等。
これらのうちで、Q’としては、−(CH2p+q−、−(CH2pCONRa(CH2q−、−(CH2pSO2NRa(CH2q−(pは0または1以上の整数、qは2以上の整数を示し、p+qは2〜6である。)がより好ましく、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が最も好ましい。
「ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート」としての、ペルフルオロ(メタ)アクリレートは、以下の化合物が好ましい。ただし、Rは水素原子またはメチル基を示す。
F(CF24CH2OCOCR=CH2 〔1−1〕、
F(CF25CH2OCOCR=CH2 〔1−2〕、
H(CF24CH2OCOCR=CH2 〔1−3〕、
H(CF26CH2OCOCR=CH2 〔1−4〕、
H(CF28CH2OCOCR=CH2 〔1−5〕、
H(CF210CH2OCOCR=CH2 〔1−6〕、
H(CF28CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−7〕、
F(CF24CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−8〕、
F(CF26CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−9〕、
F(CF28CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−10〕、
F(CF29CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−11〕、
F(CF210CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−12〕、
F(CF212CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−13〕、
F(CF214CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−14〕、
F(CF216CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−15〕、
F(CF28(CH23OCOCR=CH2 〔1−16〕、
F(CF28(CH24OCOCR=CH2 〔1−17〕、
(CF32CF(CF24CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−18〕、
(CF32CF(CF26CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−19〕、
(CF32CF(CF28CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−20〕、
(CF32CF(CF25(CH23OCOCR=CH2 〔1−21〕、
(CF32CF(CF25CH2CH(OH)CH2OCOCR=CH2 〔1−22〕、
(CF32CF(CF27CH2CH(OH)CH2OCOCR=CH2 〔1−23〕、
(CF32CF(CF25CH2CH(OCOCH3)OCOCR=CH2 〔1−24〕、
F(CF28SO2N(CH3)CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−25〕、 F(CF28SO2N(C25)CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−26〕、
F(CF28SO2N(C37)CH2CH2OCOCR=CH2 〔1−27〕、
F(CF28CONHCH2CH2OCOCR=CH2 〔1−28〕。
ペルフルオロ(メタ)アクリレートとしては、〔1−1〕〜〔1−28〕のうち、〔1−3〕〜〔1−15〕がより好ましく、〔1−8〕〜〔1−13〕が最も好ましい。
1分子の撥油性共重合体に含まれる繰り返し単位(A)は1種でもよく、2種以上でもよい。繰り返し単位(A)を誘導するモノマーは市販品から入手可能である。
撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、繰り返し単位(A)の占める割合は、70〜99質量%が好ましく、80〜95質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると撥油性処理液の初期撥油性と撥油持久性に優れ、上限値以下であると共重合体の溶媒への溶解性に優れる。
[繰り返し単位(B)]
蛍光発光性官能基を有する繰り返し単位(B)は、蛍光発光性官能基と重合性基を有する化合物[I]から誘導される繰り返し単位である。
撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、繰り返し単位(B)の占める割合は、0.5〜10質量%が好ましく、2〜6質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると蛍光発光性に優れ、上限値以下であると共重合体の溶媒への溶解性に優れる。
[繰り返し単位(C)]
繰り返し単位(C)は、アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合および水酸基から選ばれる極性基を有するとともに、重合性基を有するモノマー(C’)から誘導される。
「アクリル酸由来のエステル結合」とは、具体的に、アクリル酸(CH=CHCOOH)のカルボキシ基(−COOH)由来のエステル結合(−COO−)、またはメタクリル酸(CH=C(CH)COOH)のカルボキシ基(−COOH)由来のエステル結合(−COO−)である。
重合性基は特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基が共重合性の観点から好ましい。すなわち、繰り返し単位(C)は、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が、アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合および/または水酸基を有する基で置換された「アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合および/または水酸基を有する(メタ)アクリレート」から誘導されることが好ましい。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合を有する(メタ)アクリレートとしては、α−メタクリロキシ−γ−ブチロラクトン(以下、GBLMAと略記することもある。)等が挙げられる。
アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合と水酸基の両方を有する(メタ)アクリレートとしては、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、モノ(メタクリロイルオキシエチル)コハク酸、および下記式(i)で表される「2−ヒドロキシエチルメタクリレートでε−カプロラクトンを開環して1〜10モル付加したモノマー(商品名:プラクセル、ダイセル化学社製)等が挙げられる。
Figure 2009011427
1分子の撥油性共重合体に含まれる繰り返し単位(C)は1種でもよく、2種以上でもよい。繰り返し単位(C)を誘導するモノマーは市販品から入手可能である。
撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、繰り返し単位(C)の占める割合は、0.5〜20質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、得られる撥油膜が耐久性に優れ、上限値以下であると共重合体の溶媒への溶解性に優れる。
また、撥油性共重合体に極性基を有する繰り返し単位(C)を含有させると、該極性基が基材と相互作用することにより、基材と撥油膜との密着性を向上できると考えられる。例えば基材が金属である場合は極性基の酸素原子が相互作用に寄与し、基材がプラスチックの場合はエステル基が相互作用に寄与して、撥油膜と基材との密着性が向上すると考えられる。
[繰り返し単位(D)]
繰り返し単位(D)は、イソシアネート基またはブロック化されたイソシアネート基を有するとともに、重合性基を有するモノマー(D’)から誘導される。
重合性基は特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基が共重合性の観点から好ましい。すなわち繰り返し単位(D)は、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が、イソシアネート基またはブロック化されたイソシアネート基を有する基で置換された「イソシアネート基またはブロック化されたイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート」から誘導されることが好ましい。
イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1,3,3−トリメチル−4−イソシアネートシクロヘキシルメチルアミドオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記イソシアネート基のブロック化に用いられるブロック化剤としては、2−ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ε−カプロラクタム、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、フェノール、メタノール、ジエチルマロネート、重亜硫酸塩、ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、インダゾール等が挙げられる。これらブロック化剤のうち、安定性に優れ、反応性に優れることから、2−ブタノンオキシム、アセト酢酸エチル、ジエチルマロネート、ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾールがより好ましく、2−ブタノンオキシム、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾールが最も好ましい。
撥油性共重合体に繰り返し単位(D)を存在させる場合、該撥油性共重合体を構成する繰り返し単位(C)の一部または全部として、水酸基を有する繰り返し単位(C1)を用いる。該繰り返し単位(C1)は少なくとも水酸基を有していればよく、水酸基を有するとともにアクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合を有していてもよい。繰り返し単位(C1)と繰り返し単位(D)とは反応すると考えられる。
1分子の撥油性共重合体に含まれる繰り返し単位(D)は1種でもよく、2種以上でもよい。繰り返し単位(D)を誘導するモノマーは市販品から入手可能である。
撥油性共重合体に繰り返し単位(D)を存在させる場合は、該撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、繰り返し単位(D)の占める割合は、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると得られる撥油膜が耐久性に優れ、上限値以下であると共重合体溶液の保存安定性に優れる。
またこの場合、撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、水酸基を有する繰り返し単位(C1)の占める割合は0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると得られる撥油膜が耐久性に優れ、上限値以下であると共重合体溶液の保存安定性に優れる。
[繰り返し単位(E)]
繰り返し単位(E)は、炭素数10以上の直鎖アルキル基を有するとともに、重合性基を有するモノマー(E’)から誘導される。本発明において、繰り返し単位(E)は、該炭素数10以上の直鎖アルキル基のほかに、ポリフルオロアルキル基、蛍光発光性官能基、アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合、水酸基、イソシアネート基、およびブロック化されたイソシアネート基からなる群から選ばれる1種以上を有する繰り返し単位を含まないものとする。
繰り返し単位(E)の重合性基は特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基が共重合性の観点から好ましい。すなわち繰り返し単位(E)は、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が、炭素数10以上の直鎖アルキル基を有する基で置換された「炭素数10以上の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート」から誘導されることが好ましい。
繰り返し単位(E)における直鎖アルキル基の炭素数の上限値は特に制限されないが、入手性の点からは25が好ましい。該直鎖アルキル基の炭素数は、10〜20が好ましく、14〜20がより好ましい。
1分子の撥油性共重合体に含まれる繰り返し単位(E)は1種でもよく、2種以上でもよい。繰り返し単位(E)を誘導するモノマーは市販品から入手可能である。
撥油性共重合体に繰り返し単位(E)を存在させる場合は、該撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、繰り返し単位(E)の占める割合は、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると成膜性に優れ、上限値以下であると撥油性が良好に発現できる。
<重合開始剤>
本発明の化合物[I]を含むモノマー原料の重合方法は、イオン重合法、ラジカル重合法等の重合方法を用いることができ、重合開始剤も公知のものから適宜選択して用いることができる。
特に、重合開始剤としてラジカル開始剤を用いて穏和な条件で重合できる点で、ラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合は、具体的に懸濁重合、溶液重合、バルク重合、乳化重合等の重合方法を用いて行うことができる。
ラジカル開始剤としては、水溶性開始剤または油溶性開始剤を重合方法に応じて使用できる。例えば、乳化重合においては開始剤として水溶性過酸化物が好ましく用いられる。水溶性過酸化物の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ジコハク酸ペルオキシド等が挙げられる。懸濁重合、溶液重合またはバルク重合においては、開始剤として非フッ素系過酸化物、フッ素系過酸化物、アゾ化合物が好ましく用いられる。
これらの開始剤の具体例としては、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ベンゾイルペルオキシド、ペルフルオロブタン酸ペルオキシド、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が好ましく、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)がより好ましく用いられる。
<重合溶媒>
重合反応に用いる溶媒としては、(X1)ハロゲン化合物、(X2)炭化水素、(X3)ケトン、(X4)エステル、(X5)エーテル等が挙げられる。
(X1)ハロゲン化合物としては、(X11)ハロゲン化炭化水素、(X12)ハロゲン化エーテル等が挙げられる。
(X11)ハロゲン化炭化水素としては、(X111)ハイドロクロロフルオロカーボン、(X112)ハイドロフルオロカーボン、(X113)含フッ素アルコール、(X114)ハイドロブロモカーボン、(X115)ペルフルオロアルキルアミン等が挙げられる。
(X111)ハイドロクロロフルオロカーボンとしては、以下の化合物が挙げられる。
CH3CCl2F、
CHCl2CF2CF3
CHClFCF2CClF2等。
(X112)ハイドロフルオロカーボンとしては、以下の化合物が挙げられる。
CHF2CF2CF2CF2CF3
CF3CF2CF2CHFCF3
CHF2CF2CF2CF2CHF2
CF3CHFCHFCF2CF3
CF3CHFCF2CH2CF3
CF3CF(CF3)CH2CHF2
CF3CH(CF3)CH2CF3
CF3CH2CF2CH2CF3
CHF2CHFCF2CHFCHF2
CHF2CF2CF2CHFCH3
CF3CH2CH2CH2CF3
CHF2CH2CF2CH2CHF2
CF3(CF24CHF2
CF3(CF24CH2F、
CF3CF2CF2CF2CH2CF3
CHF2CF2CF2CF2CF2CHF2
CF3CH(CF3)CHFCF2CF3
CF3CF2CH2CH(CF3)CF3
CF3CH2CF2CF2CH2CF3
CF3CF2CH2CH2CF2CF3
CF3CF2CF2CF2CH2CH3
CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH3
CF3CH(CF3)CH2CH2CF3
CHF2CF2CH2CH2CF2CHF2
CF3CF2CF2CH2CH2CH3
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン等。
(X113)含フッ素アルコールとしては、トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2−(ペンタフルオロブチル)エタノール、2−(ペルフルオロエキシシル)エタノール、2−(ペルフルオロヘキシル)エタノール、2−(ペルフルオロオクチル)エタノール、2−(ペルフルオロデシル)エタノール、2−(ペルフルオロ−3−メチルブチル)エタノール、1H,1H,3H−テトラフルオロ−1−プロパノール、1H,1H,5H−オクタフルオロ−1−ヘプタノール、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロ−1−ノナノール、2H−ヘキサフルオロ−2−2−プロパノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロ−2−ブタノール等が挙げられる。
(X114)ハイドロブロモカーボンとしては、以下の化合物が挙げられる。
CH2Br2
CH2BrCH2CH3
CH3CHBrCH3
CH2BrCHBrCH3等。
(X115)ペルフルオロアルキルアミンとしては、以下の化合物が挙げられる。
(CF3CF2CF23N、((CF32CF)3N、(CF3CF2CF2CF23N等。
(X12)ハロゲン化エーテルとしては、(X121)ハイドロフルオロエーテルが挙げられる。
(X121)ハイドロフルオロエーテルとしては、(X1211)分離型ハイドロフルオロエーテル、(X1212)非分離型ハイドロフルオロエーテルが挙げられる。(X1211)分離型ハイドロフルオロエーテルとは、ペルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルキレン基が、エーテル性酸素原子を介して、アルキル基またはアルキレン基と結合している化合物である。(X1212)非分離型ハイドロフルオロエーテルとは、部分的にフッ素化されたアルキル基またはアルキレン基を含むハイドロフルオロエーテルである。
(X1211)分離型ハイドロフルオロエーテルとしては、以下の化合物が挙げられる。
CF3CF2CF2OCH3
(CF32CFOCH3
CF3CF2CF2OCH2CH3
CF3CF2CF2CF2OCH3
(CF32CFCF2OCH3
(CF33COCH3
CF3CF2CF2CF2OCH2CH3
(CF3)CFCF2OCH2CH3
(CF33COCH2CH3
CF3CF2CF(OCH3)CF(CF32
CF3CF2CF(OCH2CH3)CF(CF32
511OCH2CH3
CF3CF2CF(OCH3)CF(CF32
CF3CF2CF2CF(OCH2CH3)CF(CF32
CH3O(CF24OCH3
CH3OCF2CF2OCH2CH3
37OCF(CF3)CF2OCH3
F(CF2nOCH3(nは6〜10である。)等。
(X1212)非分離型ハイドロフルオロエーテルとしては、以下の化合物が挙げられる。
CHF2OCF2OCHF2
CH2FCF2OCHF2
CF3CF2CF2OCH2F、
CF3CF2OCH2CHF2
CHF2CF2OCH2CF3
CHF2CF2CH2OCF3
CF3CF2CH2OCHF2
CHF2CF2OCH2CHF2
CF3CH2OCF2CH2F、
CF3CH2OCF2CHF2
CHF2CF2CF2OCH3
CHF2CF2CH2OCH3
CF3CF2CF2OCH2CF3
CF3CF2CH2OCF2CF3
CF3CF2CF2OCH2CHF2
CF3CF2CH2OCF2CHF2
CHF2CF2CH2OCF2CF3
CHF2CF2CH2OCF2CHF2
CF3CHFCF2CH2OCF3
CF3CHFCF2CH2OCHF2
CF3CF2CF2CH2OCH3
(CF32CHCF2OCH3
CF3CF2CF2OCH2CF2CF3
CF3CF2CF2OCH2CF2CHF2
CF3CF2CF2CF2OCF2CHF2
CF3(CF25OCHF2
CHF2OCF2CF2OCHF2
CHF2OCF2OCF2CF2OCHF2
CHF2OCF2OCF2OCF2OCHF2等。
(X2)炭化水素としては、(X21)脂肪族炭化水素、(X22)脂環式炭化水素、(X23)芳香族炭化水素等が挙げられる。
(X21)脂肪族炭化水素としては、ペンタン、2−メチルブタン、3−メチルペンタン、ヘキサン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルヘキサン、デカン、ウンデカン、ドデカン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等が挙げられる。
(X22)脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられる。
(X23)芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
(X3)ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
(X4)エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プチル、プロピオン酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ペンチル等が挙げられる。
(X5)エーテルとしては、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等が挙げられる。
撥油性共重合体を製造する場合、溶媒としては、溶解性の点から、(X111)ハイドロクロロフルオロカーボン、(X112)ハイドロフルオロカーボン、(X121)ハイドロフルオロエーテル、(X3)ケトン、(X4)エステル、(X5)エーテルが好ましく、CH3CCl2F、CHCl2CF2CF3、CHClFCF2CClF2、CH2FCF2OCHF2、CF3CF2CF2OCH2F、CF3CF2OCH2CHF2、CHF2CF2OCH2CF3、CHF2CF2CH2OCF3、CF3CF2CH2OCHF2、CHF2CF2OCH2CHF2、CF3CH2OCF2CH2F、CF3CH2OCF2CHF2、CHF2CF2CF2OCH3、CF3CF2CF(OCH3)CF(CF32、CF3(CF24CHF2、CF3(CF24CH2F、CF3(CF25OCH3、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH3、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、アセトン、メチルエチルケトン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルがより好ましい。該溶媒であると、重合体の溶解性と溶液状での保存安定性に優れる。溶媒は、単独でも2種以上の混合溶媒でもよい。
撥油性共重合体を製造する場合、重合溶媒中でモノマーを重合反応させることにより、生成した撥油性共重合体と重合溶媒を含む反応溶液が得られる。
撥油性共重合体の質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算分子量、以下同様。)は、1万〜50万が好ましく、3万〜10万がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると得られる撥油膜が耐久性に優れ、上限値以下であると溶媒への溶解性に優れる。
[撥油性処理液]
撥油性共重合体は、該撥油性共重合体と含フッ素溶媒を含有する撥油性処理液の形態で、撥油膜を形成する用途に用いることが好ましい。
該含フッ素溶媒としては、上記重合溶媒の例として挙げた(X111)ハイドロクロロフルオロカーボン、(X112)ハイドロフルオロカーボン、(X113)含フッ素アルコール、(X121)ハイドロフルオロエーテル、ペルフルオロカーボンを好適に用いることができる。
これらの中でより好ましい含フッ素溶媒は、上記のより好ましい重合溶媒と同じである。またペルフルオロカーボンも含フッ素溶媒としてより好ましい。
撥油性処理液に含フッ素溶媒を含有させると、撥油性共重合体の溶解性に優れ、撥油性処理液の保存安定性に優れる。含フッ素溶媒は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
撥油性処理液は、重合反応後に得られた反応溶液を、含フッ素溶媒で希釈することにより得ることができる。反応溶液中の重合溶媒と、希釈に用いる含フッ素溶媒とは同じであってもよく異なっていてもよい。
または、重合反応後に得られた反応溶液から、いったん再沈等で撥油性共重合体を回収し、これを含フッ素溶媒を含む溶媒に再溶解する方法で撥油性処理液を調製してもよい。
撥油性処理液における溶媒の含有割合は、撥油性処理液の100質量%に対して、80〜99.9質量%が好ましく、90〜99.9質量%がより好ましい。該範囲内であると、撥油性処理液の保存安定性に優れ、1度の塗工で膜を形成できる点で好ましい。
撥油性処理液中の溶媒には、含フッ素溶媒以外の他の溶媒が含まれていてもよい。撥油性処理液中の溶媒のうち含フッ素溶媒の占める割合は60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%が最も好ましい。
[撥油膜]
撥油性共重合体を用いて撥油膜を形成する際、具体的には、撥油性処理液を基材に塗布し、溶媒を蒸発させて膜を形成する。塗布方法としては、スプレー、ディップ、刷毛塗り、ポッティング、スピン等が挙げられる。
また、スプレー缶のような携帯型の塗装剤またはインクに撥油性処理液を混ぜて、基板に塗布してもよい。
撥油膜を形成する際に、撥油性処理液中の溶媒を乾燥させるとともに、膜の硬化を促進させるために加熱することが好ましい。加熱の温度は70〜180℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。加熱の時間は30分間以上が好ましい。繰り返し単位(D)がブロック化されたイソシアネート基を有する場合は、該ブロック化剤が解離する温度以上に加熱する。
加熱条件を上記の範囲とすると、官能基の硬化性に優れ、膜が良好に硬化し、基材との化学結合、アンカー結合が促進され、撥油性に優れる撥油膜が得られる。
撥油性処理液を用いて形成された撥油膜は、膜形成成分である撥油性共重合体が蛍光発光性官能基を備えており視認性に優れている。
例えば、撥油性共重合体中の蛍光発光性官能基が感度を有する波長の光線を撥油膜に照射して、該蛍光発光性官能基を蛍光発光させることにより、視認性が得られる。
特に、撥油性共重合体にポリフルオロアルキル基を有する繰り返し単位(A)、蛍光発光性官能基を有する繰り返し単位(B)、および極性基を有する繰り返し単位(C)を含有させると、基板との密着性が良好な撥油膜が得られる。
また、撥油性共重合体において、繰り返し単位(C)の一部または全部を水酸基を有する繰り返し単位とし、さらにイソシアネート基またはブロック化されたイソシアネート基を有する繰り返し単位(D)を導入することにより、膜形成時に繰り返し単位(C)と繰り返し単位(D)とを架橋させて、より溶剤が染み込み難い膜とし、耐久性をさらに向上させることができる。
また、撥油性共重合体に、さらに炭素数10以上の直鎖アルキル基を有する繰り返し単位(E)を導入すると、膜の動的撥油性が向上する。動的撥油性が高いと、例えば有機溶剤に漬けて引き上げた場合に有機溶剤が滑り落ちやすく膜の上に残り難い、といった利点が得られる。
[用途]
撥油性処理液から形成される膜は、例えば以下の用途に好適である。
軸受けのオイルシール;LEDバックライト冷却用ファンモータFDBオイルシール;プリント基板のオイル拡散防止;半導体基板、ウェハー等の半導体の工程内製品の防湿、防汚、耐食;マイクロベアリングの潤滑グリース漏出防止;マイクロモーター潤滑剤オイルの拡散防止;時計部品のオイル拡散防止;各種レンズ摺動部のオイル拡散防止;磁気ヘッドの汚れ付着防止;フラックス這い上がり防止;HDDボイスコイルモータの潤滑;顕微鏡レンズの防汚、防湿;鏡の防汚;ディスプレイ画面の防汚;露光マスクやフォトマスクの防汚、防湿、離型;眼鏡レンズの防汚、防湿;カメラ用レンズの防汚、防湿;窓材等の光学部品の防汚、耐食、防湿;カメラ、携帯電話等の差圧調整用フィルターの防汚、撥油;掃除機用のエアフィルター濾材の防汚;車載用通気性フィルター等の通気性フィルターの撥油、防汚;ロールベルト、プリンターロール、回転ローラー、モーターファン等の回転部品の潤滑、防汚、撥油、防水;マイクロリアクター流路、スライド式バブル装置、モールド等のデバイスの防汚、防水、離型、表面改質;レンジフード、ガスコンロ、ガスレンジ油飛散防止シート等のキッチン周り用品の防汚、撥油、防水;排ガスフィルターの撥油、防汚;リード線の防湿、防錆;ベアリング、歯車等の撥油、防汚;塗工ヘッドのノズルの防汚、撥油、防水;筆記用具用部材の防汚、撥油;カーペットの撥水撥油、防汚;フィラメントの防錆、防水;衣料品の撥水撥油;ショーウィンドウの防汚、撥油;インクジェット用紙の撥油;化粧品の表面改質;インクジェットノズルの防汚、撥油;金属プレートの防汚、撥油;食用包装材封止材の撥水撥油;インジケーターの防汚;燃料電池用分離膜の撥油、防汚;絶縁スペーサーの撥油;フィルムグローブの防汚、防水;燃料タンクの防汚、撥油;墓石、石碑等の石材の防汚、撥水撥油;壁材、建築材料、木材、タイル等の防汚、撥水撥油。
本発明について、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
以下の実施例における融点は、以下の2通りの方法で測定した。(1)メトラー社製自動融点測定装置FP80を用いた。測定条件は40℃から1℃/分で昇温した。(2)マックサイエンス社製DSC3100を用いた。測定条件は40℃から10℃/分で昇温し、融解のピーク温度を読み取った。
[実施例1:第1の製造方法]
まず、以下の方法で7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸(カルボン酸[2])を合成した。
撹拌機、ジムロート冷却器を備えた反応器(内容積300mL、ガラス製)に、4−(ジエチルアミノ)サリチルアルデヒド(10.20g)、マロン酸ジエチル(8.92g)、ピペリジン(4.49g)、およびエタノール(50mL)を投入して撹拌した。つづいて反応器の内温を80℃に加熱して8時間、還流させた。
つぎに反応器を50℃に冷却し、ジムロート冷却器を滴下ロートに換え、1N水酸化カリウム水溶液(60mL)を滴下し、1時間攪拌した。
つづいて反応器を室温まで冷却し、3N塩酸水溶液を滴下して中和した。析出した固体をろ取し、蒸留水(20mL)で2回、メタノール(30mL)で3回洗浄し、得られた橙色固体を100℃で8時間減圧乾燥して7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸の8.19gを得た。収率は59%であった。H−NMR(プロトン核磁気共鳴分光法)およびFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)の測定結果を以下に示す。
H−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):1.27(6H、t、−CH)、3.50(4H、q、−CH−)、6.53(1H、s、8−H)、6.71(1H、d、6−H)、7.46(1H、d、5−H)、8.66(1H、s、4−H)、12.35(1H、s、−COOH)。
FT−IR(KBr)ν(cm−1):1738(C=O)、1665(C=O)。
上記で得た7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸(カルボン酸[2])を用い、混合酸無水物[3]を経由する方法で、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル(化合物[I])を合成した。
撹拌機、滴下ロートを備えた反応器(内容積100mL、ガラス製)に、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸(7.55g)、およびトルエン(50mL)を投入して撹拌した。つづいて反応器の内温を30℃に加熱してトリフルオロ酢酸無水物(6.45g)を滴下し、さらに5分間攪拌した。
つぎに反応器の内温が30−35℃になるように、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(4.39g)を滴下し、1時間攪拌した。
得られた反応粗液を分液ロートに移し、1N水酸化ナトリウム水溶液(60mL)、蒸留水(60mL)で2回洗浄し、トルエン層の溶媒を留去して12.80gの黄色固体を得た。これを10質量%蒸留水/メタノールを用いて再結晶することにより、7.31gの目的物(化合物[I])を得た。収率は63%であった。H−NMR、FT−IR、可視紫外吸収スペクトル、および融点の測定結果を以下に示す。
H−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):1.24(6H、t、−CHCH)、1.96(3H、s、CH=C−CH)、3.45(4H、q、−CHCH)、4.64−4.57(4H、m、−OCHCHO−)、5.59(1H、s、transC=CH)、6.17(1H、s、cisC=CH)、6.46(1H、s、8−H)、6.61(d、1H、6−H)、7.35(d、1H、5−H)、8.41(1H、s、4−H)。
FT−IR(KBr)ν(cm−1):1759(C=O)、1713(C=O)。
可視紫外吸収スペクトル(溶媒:ジクロロペンタフルオロプロパン)λ(nm):414。
融点(融点測定装置):104.9−105.3℃。
融点(DSC):105.5℃。
[実施例2:第2の製造方法]
まず、実施例1と同様にして7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸(カルボン酸[2])を合成し、該カルボン酸[2]を用いて、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸塩化物(酸ハロゲン化物[3’])を合成した。
すなわち、撹拌機、滴下ロートを備えた反応器(内容積300mL、ガラス製)に、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸(7.55g)、DMF(46mg)およびトルエン(100mL)を投入して撹拌した。つづいて塩化チオニル(11.00g)を滴下し、70℃に昇温して1時間攪拌した。
つづいて反応器を減圧にして残存する塩化チオニルと溶媒を留去した。H−NMRによる分析では、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸塩化物(酸ハロゲン化物[3’])が約90%、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸(カルボン酸[2])が約10%含まれていた。7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸塩化物のH−NMRの測定結果を示す。
H−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):1.28(6H,t,−CHCH)、3.50(4H,q,−CHCH)、6.56(1H,s,8−H)、6.80(d,1H,6−H)、7.47(d,1H,5−H)、8.69(1H,s,4−H)。
上記で得た7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸塩化物(酸ハロゲン化物[3’])を用い、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル(化合物[I])を合成した。
すなわち、上記で得られた7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸塩化物酸ハロゲン化物[3’])が入った反応器に、ピリジン(80mL)を投入し、氷冷下に攪拌した。これにメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(4.25g)を滴下し、2時間攪拌した。
得られた反応粗液を分液ロートに移し、酢酸エチル(50mL)を加え、蒸留水(50mL)で2回洗浄し、酢酸エチル層の溶媒を留去して11.94gの黄色固体を得た。この黄色固体をメタノールを用いて再結晶することにより、5.70gの目的物を得た。7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸からの収率は51%であった。H−NMR、可視紫外吸収スペクトル、および融点の測定結果を以下に示す。
H−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):1.24(6H,t,−CHCH)、1.96(3H,s,CH=C−CH)、3.45(4H,q,−CHCH)、4.64−4.57(4H,m,−OCHCHO−)、5.59(1H、s、transC=CH)、6.17(1H、s、cisC=CH)、6.46(1H,s,8−H)、6.61(d,1H,6−H)、7.35(d,1H,5−H)、8.41(1H,s,4−H)。
可視紫外吸収スペクトル(溶媒:ジクロロペンタフルオロプロパン)λ(nm):414。
融点(融点測定装置):105.0−105.5℃。
融点(DSC):105.6℃。
[比較例:DCC(脱水縮合剤)を用いる方法]
まず、実施例1と同様にして7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸(カルボン酸[2])を合成し、該カルボン酸[2]を用いて、DCCを用いて7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル(化合物[I])を合成した。
すなわち、撹拌機、滴下ロートを備えた反応器(内容積50mL、ガラス製)に、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸(2.00g)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(1.28g)、触媒として4−ジメチルアミノピリジン(0.19g)およびテトラヒドロフラン(25mL)を投入し、攪拌した。反応液は7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸が全て溶解しないために橙色の固体で懸濁していた。これにDCC(1.80g)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を滴下し、15時間攪拌を続けた。H−NMRによる分析では、転化率は45%で、選択率は43%であった。その後60℃に加熱し、3時間攪拌した。H−NMRによる分析では、転化率は100%で、選択率は27%であった。副生成物は7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸とDCCが反応した中間体である活性エステルが転位反応を起こしたN−アシル尿素であった。
なお、上記転化率とは、原料と生成物(目的物と副生成物)の合計量に対する生成物の量をモル百分率で表したものであり、上記選択率とは、生成物の合計量に対する目的物の量をモル百分率で表したものである。
[製造例1〜5:撥油性処理液の調製]
実施例1で得られた化合物[I]、および表1に示すモノマーA’、C’、D’およびE’を用いて撥油性共重合体を製造し、該撥油性共重合体を含む撥油性処理液を調製した。
すなわち、30mLのガラス製重合用アンプルに、表2に示す仕込み量の各モノマー、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)の0.12g、および溶媒としてHCFCFOCHCF(旭硝子社製、商品名AE−3000。)の14gを入れた。アンプル内部のガスを窒素ガスで置換した後、密閉し、60℃の湯浴中で16時間保持し、共重合体を含む反応溶液を得た。得られた反応溶液を上記AE−3000で希釈して共重合体の濃度が0.5質量%の撥油性処理液1〜5を得た。
撥油性処理液1〜5中の撥油性共重合体の質量平均分子量(MW)を表2に合わせて示す。
Figure 2009011427
表1に示したモノマーA’は、ペルフルオロヘキシルエチルメタクリレートである。
モノマーC’において、M1はα−メタクリロキシ−γ−ブチロラクトン(GBLMA)、M3は2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
モノマーD’は、イソシアネート基が3,5−ジメチルピラゾールでブロック化された2−イソシアネートエチルメタクリレートである。
モノマーE’は、ステアリルメタクリレートである。
Figure 2009011427
製造例1〜5で得られた撥油性処理液1〜5をそれぞれ用いて撥油膜を形成し、該撥油膜の視認性および撥油性の耐久性評価を、以下に示す方法に従って行った。評価結果を表3に示す。
[SUS試験板の作製]
洗浄済みのSUS板を基材として用い、その上に撥油性処理液をスピンコート法にて、500rpmの条件で20秒間塗布した。この後、120℃にて60分間加熱処理して撥油膜を形成し、SUS試験板を得た。
[樹脂試験板の作製]
洗浄済みの樹脂フィルム(液晶ポリマーフィルム、製品名:べクスター、クラレ社製)をガラス板上に貼り付けたものを基材とした。該基材の樹脂フィルム上に撥油性処理液をスピンコート法にて、500rpmの条件で20秒間塗布した後、120℃にて60分間加熱処理して撥油膜を形成し、樹脂試験板を得た。
[初期視認性の評価]
SUS試験板および樹脂試験板のそれぞれにブラックライト(波長365nm)を照射して、撥油膜の発色を目視にて観察した。結果を下記の評価基準で示す。SUS試験板と樹脂試験板とで結果に差はなかった。
◎:発色が明確に観察される。
○:発色が観察される。
△:発色がわずかに観察される。
×:発色が全く観察されない。
[初期撥油性の評価]
SUS試験板および樹脂試験板のそれぞれについて、撥油膜上に約1μLのn−ヘキサデカンを滴下し、その接触角を測定することにより初期撥油性を評価した。接触角の測定結果を下記の評価基準で示す。SUS試験板と樹脂試験板とで結果に差はなかった。
接触角の測定は、協和界面科学社製(商品名:CA−A)を用い、25℃の条件下、液滴法で行った(以下、同様。)。
◎:66°以上。
○:61°以上、66°未満。
△:51°以上、61°未満。
×:51°未満。
[耐溶剤試験]
SUS試験板および樹脂試験板のそれぞれについて、撥油膜上に有機溶剤を1滴載せ、10秒後に不織布(製品名:クリーンワイパー、クラレ社製)で拭き取った。有機溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、イソプロピルアルコール(IPA)、キシレンの3種を用い、それぞれについて評価を行った。
[耐溶剤試験後の視認性評価]
上記耐溶剤試験の前後における撥油膜の状態を目視にて観察した。また、試験前後に、それぞれブラックライト(波長365nm)を照射して撥油膜の発色を目視にて観察した。結果を下記の評価基準で示す。SUS試験板と樹脂試験板とで結果に差はなかった。
◎:試験前後で膜に変化がなく視認性が維持される。
○:液滴の痕跡が残るが拭いた痕跡は残らない。視認性は維持される。
△:液滴の痕跡および拭いた痕跡が残るが、視認性は維持される。
×:液滴の痕跡および拭いた痕跡が残り、かつ視認性が減衰する。
[耐溶剤試験後の撥油性評価]
上記耐溶剤試験後のSUS試験板および樹脂試験板のそれぞれについて、撥油膜上に約1μLのn−ヘキサデカンを滴下し、その接触角を測定した。評価基準は初期撥油性と同じである。SUS試験板と樹脂試験板とで結果に差はなかった。
Figure 2009011427
製造例1〜5のいずれにおいても初期視認性および初期撥油性は良好であった。製造例1においては耐溶剤試験後の視認性の低下が比較的大きかったが、製造例2〜4では溶剤と接触した後も良好な視認性および撥油性が得られ、撥油膜の耐久性が良好であった。
本発明は、重合性官能基と蛍光発光性を有する官能基を含む化合物、および該化合物に基づく繰り返し単位を有する重合体または撥油性共重合体を簡便かつ効率良く製造でき、さらに、該撥油性共重合体を含む処理液から形成される膜は、各種のオイルシール、各種製品の防湿用、防汚用、防錆用、防水用および撥油用の材料として有用である。

なお、2007年7月18日に出願された日本特許出願2007−187224号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (12)

  1. 7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸[2]からヒドロキシ基を除いた残基を有する酸無水物[3]と、下記式(II)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させる工程を有することを特徴とする、下記式(I)で表わされる化合物[I]の製造方法。
    Figure 2009011427
    (式中、R’は水素原子またはメチル基であり、Qは2価の有機基である。)
    Figure 2009011427
    (式中、R’は水素原子またはメチル基であり、Qは2価の有機基である。)
  2. 前記酸無水物[3]が、RCOOCOR、またはRCOOSO(式中、Rは以下に示す基であり、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基であり、かつRとは異なる基)である、請求項1に記載の化合物[I]の製造方法。
    Figure 2009011427
  3. 前記7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸[2]と、RCOOCORまたはRSOOSO(R、Rは、それぞれ独立に、水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基)で表わされる酸無水物とを反応させて、前記7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸からヒドロキシ基を除いた残基を有する酸無水物[3]を得る工程を有する、請求項1または2に記載の化合物[I]の製造方法。
  4. 前記RCOOCORまたはRSOOSO(R、Rは、それぞれ独立に、水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基)で表わされる酸無水物が、トリフルオロ酢酸無水物、またはトリフルオロメタンスルホン酸無水物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物[I]の製造方法。
  5. 7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸[2]のヒドロキシ基がハロゲン原子によって置換された酸ハロゲン化物[3’]と、下記式(II)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させる工程を有することを特徴とする、下記式(I)で表わされる化合物[I]の製造方法。
    Figure 2009011427
    (式中、R’は水素原子またはメチル基であり、Qは2価の有機基である。)
    Figure 2009011427
    (式中、R’は水素原子またはメチル基であり、Qは2価の有機基である。)
  6. 前記酸ハロゲン化物[3’]のハロゲン原子が、塩素原子である、請求項5に記載の化合物[I]の製造方法。
  7. 前記式(I)および式(II)中のR’がメチル基であり、かつQがエチレン基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物[I]の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法で前記化合物[I]を得る工程と、
    重合開始剤の存在下、溶媒中にて、前記化合物[I]を含むモノマー原料を重合させる工程を有することを特徴とする重合体の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法で前記化合物[I]を得る工程と、
    重合開始剤の存在下、溶媒中にて、ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートおよび前記化合物[I]を含むモノマー原料を重合させる工程を有することを特徴とする撥油性共重合体の製造方法。
  10. 前記重合開始剤が、ラジカル開始剤である、請求項9に記載の撥油性共重合体の製造方法。
  11. 請求項9または10に記載の撥油性共重合体の製造方法で得られた撥油性共重合体と、含フッ素溶媒とを含有することを特徴とする、撥油性処理液。
  12. 前期含フッ素溶媒が、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、含フッ素アルコール、ハイドロフルオロエーテル、またはペルフルオロカーボンである、請求項11に記載の撥油性処理液。
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