JP5040499B2 - 撥油性共重合体およびその製造方法ならびに撥油性処理液 - Google Patents
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Description
特許文献1において、クマリン系の官能基を有する染料単量体を用いた実施例10、11における非染料単量体と染料単量体の使用量は、実施例10では非染料単量体10g(98.77質量%)に対して染料単量体が0.125g(1.23質量%)であり、実施例11では非染料単量体10g(97.5質量%)に対して染料単量体が、0.257g(2.5質量%)である。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、良好な撥油性および視認性を有するとともに、基材との密着性に優れた撥油膜を形成できる撥油性共重合体およびその製造方法、ならびに該共重合体を含有する撥油性処理液を提供することを目的とする。
また、本発明の撥油性共重合体は、ポリフルオロアルキル基を有する繰り返し単位(A)の40〜93質量%と、クマリン系蛍光発光性官能基を有する繰り返し単位(B)の7〜60質量%と、前記繰り返し単位(A)および繰り返し単位(B)のいずれにも含まれない繰り返し単位であって、炭化水素基(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい)を有し、該炭化水素基の炭素数が8以下である繰り返し単位(C)の1〜50質量%とからなり、かつ、前記繰り返し単位(A)および前記繰り返し単位(C)の合計の含有量の前記繰り返し単位(B)の含有量に対する質量比[(A+C)/B]が50/50〜93/7であることを特徴とする。
また本発明は、重合開始剤の存在下、溶媒中にて、ポリフルオロアルキル基と重合性官能基を有するモノマー(A’)の40〜93質量%と、クマリン系蛍光発光性官能基と重合性官能基を有するモノマー(B’)の7〜60質量%と、前記モノマー(A’)およびモノマー(B’)のいずれにも含まれないモノマーであって、炭化水素基(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい)と重合性官能基を有し、該炭化水素基の炭素数が8以下であるモノマー(C’)の1〜50質量%とからなり、かつ、前記モノマー(A’)および前記モノマー(C’)の合計の含有量の前記モノマー(B’)の含有量に対する質量比[(A’+C’)/B’]が50/50〜93/7であるモノマー原料を重合させる工程を有することを特徴とする撥油性重合体の製造方法を提供する。
また本発明は、本発明の撥油性共重合体と溶媒を含有することを特徴とする撥油性処理液を提供する。
本発明の撥油性共重合体の製造方法によれば、良好な撥油性および視認性を有するとともに、基材との密着性に優れた撥油膜を形成できる撥油性共重合体が得られる。
[繰り返し単位(A)]
ポリフルオロアルキル基を有する繰り返し単位(A)は、ポリフルオロアルキル基と重合性官能基を有するモノマー(A’)から誘導される。該モノマー(A’)としては、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が、ポリフルオロアルキル基を有する基で置換された「ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート」が好ましい。
本発明における「ポリフルオロアルキル基」とは、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が含まれてもよいアルキル基の、水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基を意味する。
また(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの一方または両方を含む概念である。
なお下式〔1〕における「Rf−Q−」において、フッ素原子と結合している炭素原子は全てRfに含まれるものとし、残りの炭素原子のうちQに含まれる炭素原子の数が最大となるように「Rf」および「Q」を決めるものとする。
例えば「Rf−Q−」が「CF2 H−CH2 −CH(OH)−CH2−」である場合、「Rf」は「CF2 H−」であり「−Q−」は「−CH2 −CH(OH)−CH2−」であるものとする。
C4 F9 −:F(CF2 )4 −、(CF3 )2 CFCF2 −、(CF3 )3 C−、CF3 CF2 (CF3 )CF−等。
C5 F11−:F(CF2 )5 −等。
C6 F13−:F(CF2 )6 −等。
C7 F15−:F(CF2 )7 −、(CF3 )2 CF(CF2 )4 −等。
C8 F17−:F(CF2 )8 −等。
C9 F19−:F(CF2 )9 −、(CF3 )2 CF(CF2 )6 −等。
C10F21−:F(CF2 )10−等。
C12F25−:F(CF2 )12−等。
C13F27−:(CF3 )2 CF(CF2 )10 −等。
C14F29−:F(CF2 )14−等。
C16F33−:F(CF2 )16−等。
F(CF2 )k OCF(CF3 )−、
F(CF2 CF2 O)k CF2 CF2 −、
F(CF2 CF2 CF2 O)k CF2 CF2 −、
F[CF(CF3 )CF2 O]k CF(CF3 )−、
F[CF(CF3 )CF2 O]k CF(CF3 )CF2 CF2 −、
F(CF2 )k SCF(CF3 )−、
F(CF2 CF2 S)k CF2 CF2 −、
F(CF2 CF2 CF2 S)k CF2 CF2 −、
F[CF(CF3 )CF2 S]k CF2 CF2 −、
F[CF(CF3 )CF2 S]k CF(CF3 )CF2 CF2 −等。
−(CH2 )p+q −、
−(CH2 )p CONR’(CH2 )q −、
−(CH2 )p OCONR’(CH2 )q −、
−(CH2 )p SO2 NR’(CH2 )q −、
−(CH2 )p NHCONH(CH2 )q −、
−(CH2 )p CH(OH)(CH2 )q −、
−(CH2 )p CH(OCOR’)(CH2 )q −等。
これらのうちで、−(CH2 )p+q −、−(CH2 )p CONR’(CH2 )q −または−(CH2 )p SO2 NR’(CH2 )q −(pは0または1以上の整数、qは2以上の整数を示し、p+qは2〜6である。)がより好ましく、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基またはヘキサメチレン基が最も好ましい。
F(CF2 )4 CH2 OCOCR=CH2 〔1−1〕、
F(CF2 )5 CH2 OCOCR=CH2 〔1−2〕、
H(CF2 )4 CH2 OCOCR=CH2 〔1−3〕、
H(CF2 )6 CH2 OCOCR=CH2 〔1−4〕、
H(CF2 )8 CH2 OCOCR=CH2 〔1−5〕、
H(CF2 )10CH2 OCOCR=CH2 〔1−6〕、
F(CF2 )4 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−7〕、
F(CF2 )6 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−8〕、
F(CF2 )8 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−9〕、
F(CF2 )10CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−10〕、
F(CF2 )12CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−11〕、
F(CF2 )14CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−12〕、
F(CF2 )16CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−13〕、
F(CF2 )8 (CH2 )3 OCOCR=CH2 〔1−14〕、
F(CF2 )8 (CH2 )4 OCOCR=CH2 〔1−15〕、
(CF3 )2 CF(CF2 )4 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−16〕、
(CF3 )2 CF(CF2 )6 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−17〕、
(CF3 )2 CF(CF2 )8 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−18〕、
(CF3 )2 CF(CF2 )5 (CH2 )3 OCOCR=CH2 〔1−19〕、
(CF3 )2 CF(CF2 )5 CH2 CH(OH)CH2 OCOCR=CH2 〔1−20〕、
(CF3 )2 CF(CF2 )7 CH2 CH(OH)CH2 OCOCR=CH2 〔1−21〕、
(CF3 )2 CF(CF2 )5 CH2 CH(OCOCH3 )OCOCR=CH2 〔1−22〕、
F(CF2 )8 SO2 N(CH3 )CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−23〕、
F(CF2 )8 SO2 N(C2 H5 )CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−24〕、
F(CF2 )8 SO2 N(C3 H7 )CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−25〕、
F(CF2 )8 CONHCH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−26〕。
ペルフルオロ(メタ)アクリレートとしては、〔1−1〕〜〔1−26〕のうち、〔1−3〕〜〔1−13〕がより好ましく、〔1−7〕〜〔1−11〕が最も好ましい。
本発明の撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、繰り返し単位(A)の占める割合は、40〜93質量%の範囲であり、70〜90質量%が好ましい。上記範囲の下限値以上であると撥油性処理液の初期撥油性と撥油持久性に優れ、上限値以下であると繰り返し単位(B)を充分に含有させることができる。
クマリン系蛍光発光性官能基を有する繰り返し単位(B)は、クマリン系蛍光発光性官能基と重合性官能基を有するモノマー(B’)から誘導される。重合性官能基は特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基が共重合性の観点から好ましい。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基(CH2=CHCO−)およびメタクリロイル基(CH2=C(CH3)CO−)の一方または両方を含む概念である。
モノマー(B’)としては、クマリン系蛍光発光性官能基を有する(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドが好ましく、(メタ)アクリレートがより好ましい。
クマリン系蛍光発光性官能基は、下記式〔2〕で表される置換基である。
該2価の有機基は重合性官能基と結合している。重合性官能基と結合する部位は特に限定されず、R1〜R6のいずれであってもよい。
前記1価の有機基は特に限定されない。該1価の有機基の種類、位置によってクマリン系蛍光発光性官能基の吸収特性および発光特性が変わることから、目的とする吸収波長や発光波長等から、該1価の有機基の種類と位置を選ぶことができる。また、該1価の有機基の選択は合成の容易さや原料の入手性も加味できる。
R1〜R6のうちの5個が水素原子であってもよい。3個以上が水素原子であることが好ましい。
−O−、
−O−(CH2 )a+b−、
−O−(CH2 )a+bO−、
−O−(CH2 )aOCO(CH2 )b−、
−NR4−、
−O−(CH2 )a+b−NR4−、
−O−(CH2 )aOCONR4 (CH2 )b −、
下記式〔3〕で表される2価基等。
R5−、
R5−O−、
R5−CO−、
R5−CO−(CH2 )c+d−、
R5−(CH2 )cOCO(CH2 )d−、
CeF2e+1−、
(CH2)2N−、
下記式〔4〕で表される1価基等。
アミノ基とクマリン系蛍光発光性官能基を持つ原料の場合、(メタ)アクリル酸との脱水縮合反応、メチル(メタ)アクリレートとのエステル−アミド交換反応、(メタ)アクリル酸無水物を用いたアミド化反応、または(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を用いたアミド化反応により、クマリン系蛍光発光性官能基を有する(メタ)アクリルアミドが合成され得る。
カルボキシル基とクマリン系蛍光発光性官能基を持つ原料の場合、2-ヒドロキシエチルメタクリレートのような水酸基を持つ化合物とのエステル化反応により、重合性官能基を導入できる。
本発明の撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、繰り返し単位(B)の占める割合は、7〜60質量%の範囲であり、7〜30質量%が好ましい。上記範囲の下限値以上であると良好な蛍光発光性が得られるとともに、密着性向上効果が充分に得られる。上限値以下であると繰り返し単位(A)を充分に含有させることができる。
撥油性共重合体が、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)とからなる場合、A/Bの質量比は40/60〜93/7が好ましく、60/40〜93/7がより好ましく、70/30〜90/10がさらに好ましい。
繰り返し単位(C)は、繰り返し単位(A)および繰り返し単位(B)のいずれにも含まれない繰り返し単位であって、炭化水素基(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい)を有し、該炭化水素基の炭素数が8以下である繰り返し単位である。
繰り返し単位(C)は、上記モノマー(A’)およびモノマー(B’)のいずれにも含まれないモノマーであって、炭化水素基(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい)と重合性官能基を有し、該炭化水素基の炭素数が8以下であるモノマー(C’)から誘導される。すなわち、重合性官能基とは別に炭素数が8以下の炭化水素基(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい)を有することが必要である。
後述の繰り返し単位(D)に含まれるもの、すなわち基材と反応また作用する基を有する繰り返し単位は、繰り返し単位(C)には含まれないものとする。
該モノマー(C’)としては、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が、上記炭素数8以下の炭化水素基で置換された(メタ)アクリレート」が好ましい。すなわち、重合性官能基としては(メタ)アクリロイル基が好ましい。
かかる炭化水素基の好ましい例としては、飽和アルキル基、フェニル基、ベンジル基、フルフリル基およびテトラヒドロフルフリル基が挙げられる。
本発明の撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、繰り返し単位(C)の占める割合は、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると共重合体の溶解性向上効果が充分に得られる。上限値以下であると繰り返し単位(A)および(B)を充分に含有させることができる。
また撥油性共重合体が、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)と繰り返し単位(C)からなる場合、全繰り返し単位のうち各繰り返し単位の占める割合が上記の範囲内であり、かつ(A+C)/Bの含有量の質量比が50/50〜93/7であることが好ましく、70/30〜93/7がより好ましく、70/30〜90/10がさらに好ましい。
本発明の撥油性共重合体に、上記繰り返し単位(A)〜(C)以外に、基材と反応または相互作用する基を有する繰り返し単位(D)を含有させてもよい。これにより、撥油膜と基材との密着性をさらに向上させることができる。繰り返し単位(D)は、基材と反応する基と重合性官能基を有するモノマー(D1’)、または基材と相互作用する基と重合性官能基を有するモノマー(D2’)から誘導される。重合性官能基としては(メタ)アクリロイル基が好ましい。
イソシアネート基またはブロック化されたイソシアネート基と重合性官能基を有する化合物としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1,3,3−トリメチル−4−イソシアネートシクロヘキシルメチルアミドオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記イソシアネート基のブロック化に用いられるブロック化剤としては、2−ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ε−カプロラクタム、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、フェノール、メタノール、ジエチルマロネート、重亜硫酸塩、ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、インダゾール等が挙げられる。これらブロック化剤のうち、安定性に優れ、反応性に優れることから、2−ブタノンオキシム、アセト酢酸エチル、ジエチルマロネート、ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾールがより好ましく、2−ブタノンオキシム、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾールが最も好ましい。
スルホ基およびその塩を有するモノマーとしては、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートカリウム塩、等が挙げられる。
アミノ基およびアンモニウム塩を有すモノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルコリンクロリド等が挙げられる。
アミド基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
水酸基を有するモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、N−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
シアノ基を有するモノマーとしては、2−シアノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合を有するモノマーとしては、α−メタクリロキシ−γ−ブチロラクトン、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、モノ(メタクリロイルオキシエチル)コハク酸等が挙げられる。
本発明の撥油性共重合体において繰り返し単位(D)は必須ではないが、これを含有させる場合、全繰り返し単位のうち繰り返し単位(D)の占める割合は、0.1〜50質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると撥油膜と基材との密着性向上効果が充分に得られる。上限値以下であると他の成分とのバランスが良い。
本発明の撥油性共重合体は、上記繰り返し単位(A)〜(D)のいずれの範疇にも含まれないその他の繰り返し単位を、本発明の効果を損なわない範囲で有していてもよい。該その他の繰り返し単位を誘導するモノマーは、上記モノマー(A’)〜(D2’)のいずれの範疇にも含まれないモノマーであって、撥油性共重合体を構成する他のモノマーと共重合可能なモノマーであればよく、特に限定されない。
該その他の繰り返し単位は、全繰り返し単位のうち5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
本発明の撥油性共重合体は、各繰り返し単位を誘導するモノマーを重合反応させることによって製造できる。
具体的には、重合開始剤の存在下、繰り返し単位(A)を誘導するモノマー(A’)、繰り返し単位(B)を誘導するモノマー(B’)を含むモノマー原料を、溶媒(重合溶媒)中で重合させる工程を有する方法が好ましい。前記モノマー原料には、さらに必要に応じて繰り返し単位(C)を誘導するモノマー(C’)および/または繰り返し単位(D)を誘導するモノマー(D1’)と(D2’)の一方または両方を含有させることができる。
繰り返し単位(A)を誘導するモノマー(A’)としてポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートを用い、繰り返し単位(B)を誘導するモノマー(B’)としてクマリン系蛍光発光性官能基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。またモノマー(C’)としては、上記特定の一価基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
ラジカル開始剤としては、水溶性開始剤または油溶性開始剤を重合方法に応じて使用できる。例えば、乳化重合においては開始剤として水溶性過酸化物が好ましく用いられる。水溶性過酸化物の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ジコハク酸ペルオキシド等が挙げられる。懸濁重合、溶液重合またはバルク重合においては、開始剤として非フッ素系過酸化物、フッ素系過酸化物、アゾ化合物が好ましく用いられる。
これらの開始剤の具体例としては、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ベンゾイルペルオキシド、ペルフルオロブタン酸ペルオキシド、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が好ましく用いられる。
重合反応に用いる重合溶媒としては、(X1)ハロゲン化合物、(X2)炭化水素、(X3)ケトン、(X4)エステル、(X5)エーテル等が挙げられる。
(X1)ハロゲン化合物としては、(X11)ハロゲン化炭化水素、(X12)ハロゲン化エーテル等が挙げられる。
(X11)ハロゲン化炭化水素としては、(X111)ハイドロクロロフルオロカーボン、(X112)ハイドロフルオロカーボン、(X113)含フッ素アルコール、(X114)ハイドロブロモカーボン、(X115)ペルフルオロアルキルアミン等が挙げられる。
(X111)ハイドロクロロフルオロカーボンとしては、以下の化合物が挙げられる。
CH3 CCl2 F、
CHCl2 CF2 CF3 、
CHClFCF2 CClF2 等。
CHF2 CF2 CF2 CF2 CF3 、
CF3 CF2 CF2 CHFCF3 、
CHF2 CF2 CF2 CF2 CHF2 、
CF3 CHFCHFCF2 CF3 、
CF3 CHFCF2 CH2 CF3 、
CF3 CF(CF3 )CH2 CHF2 、
CF3 CH(CF3 )CH2 CF3 、
CF3 CH2 CF2 CH2 CF3 、
CHF2 CHFCF2 CHFCHF2 、
CHF2 CF2 CF2 CHFCH3 、
CF3 CH2 CH2 CH2 CF3 、
CHF2 CH2 CF2 CH2 CHF2 、
CF3 (CF2 )4 CHF2 、
CF3 (CF2 )4 CH2 F、
CF3 CF2 CF2 CF2 CH2 CF3 、
CHF2 CF2 CF2 CF2 CF2 CHF2 、
CF3 CH(CF3 )CHFCF2 CF3 、
CF3 CF2 CH2 CH(CF3 )CF3 、
CF3 CH2 CF2 CF2 CH2 CF3 、
CF3 CF2 CH2 CH2 CF2 CF3 、
CF3 CF2 CF2 CF2 CH2 CH3 、
CF3 CF2 CF2 CF2 CF2 CF2 CH2 CH3 、
CF3 CH(CF3 )CH2 CH2 CF3 、
CHF2 CF2 CH2 CH2 CF2 CHF2 、
CF3 CF2 CF2 CH2 CH2 CH3 、
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン等。
CH2 Br2 、
CH2 BrCH2 CH3 、
CH3 CHBrCH3 、
CH2 BrCHBrCH3 等。
(CF3 CF2 F2 )3 N、((CF3 )2 CF)3 N、(CF3 CF2 CF2 CF2 )3 N等。
(X121)ハイドロフルオロエーテルとしては、(X1211)分離型ハイドロフルオロエーテル、(X1212)非分離型ハイドロフルオロエーテルが挙げられる。
(X1211)分離型ハイドロフルオロエーテルとは、エーテル性酸素原子を介してペルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルキレン基、および、アルキル基またはアルキレン基が結合している化合物である。
(X1212)非分離型ハイドロフルオロエーテルとは、部分的にフッ素化されたアルキル基またはアルキレン基を含むハイドロフルオロエーテルである。
CF3 CF2 CF2 OCH3 、
(CF3 )2 CFOCH3 、
CF3 CF2 CF2 OCH2 CH3 、
CF3 CF2 CF2 CF2 OCH3 、
(CF3 )2 CFCF2 OCH3 、
(CF3 )3 COCH3 、
CF3 CF2 CF2 CF2 OCH2 CH3 、
(CF3 )CFCF2 OCH2 CH3 、
(CF3 )3 COCH2 CH3 、
CF3 CF2 CF(OCH3 )CF(CF3 )2 、
CF3 CF2 CF(OCH2 CH3 )CF(CF3 )2 、
C5 F11OCH2 CH3 、
CF3 CF2 CF2 CF(OCH2 CH3 )CF(CF3 )2 、
CH3 O(CF2 )4 OCH3 、
CH3 OCF2 CF2 OCH2 CH3 、
C3 H7 OCF(CF3 )CF2 OCH3
F(CF2 )n OCH3 (nは6〜10である。)等。
CHF2 OCF2 OCHF2 、
CH2 FCF2 OCHF2 、
CF3 CF2 CF2 OCH2 F、
CF3 CF2 OCH2 CHF2 、
CHF2 CF2 OCH2 CF3 、
CHF2 CF2 CH2 OCF3 、
CF3 CF2 CH2 OCHF2 、
CHF2 CF2 OCH2 CHF2 、
CF3 CH2 OCF2 CH2 F、
CF3 CH2 OCF2 CHF2 、
CHF2 CF2 CF2 OCH3 、
CHF2 CF2 CH2 OCH3 、
CF3 CF2 CF2 OCH2 CF3 、
CF3 CF2 CH2 OCF2 CF3 、
CF3 CF2 CF2 OCH2 CHF2 、
CF3 CF2 CH2 OCF2 CHF2 、
CHF2 CF2 CH2 OCF2 CF3 、
CHF2 CF2 CH2 OCF2 CHF2 、
CF3 CHFCF2 CH2 OCF3 、
CF3 CHFCF2 CH2 OCHF2 、
CF3 CF2 CF2 CH2 OCH3 、
(CF3 )2 CHCF2 OCH3 、
CF3 CF2 CF2 OCH2 CF2 CF3 、
CF3 CF2 CF2 OCH2 CF2 CHF2 、
CF3 CF2 CF2 CF2 OCF2 CHF2 、
CF3 (CF2 )5 OCHF2 、
CHF2 OCF2 CF2 OCHF2 、
CHF2 OCF2 OCF2 CF2 OCHF2 、
CHF2 OCF2 OCF2 OCF2 OCHF2 等。
(X21)脂肪族炭化水素としては、ペンタン、2−メチルブタン、3−メチルペンタン、ヘキサン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルヘキサン、デカン、ウンデカン、ドデカン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等が挙げられる。
(X22)脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられる。
(X23)芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
(X4)エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ペンチル等が挙げられる。
(X5)エーテルとしては、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等が挙げられる。
単独で用いる場合、(X111)ハイドロクロロフルオロカーボン、(X121)ハイドロフルオロエーテル、または(X3)ケトンが好ましい。
二種以上の混合溶媒として用いる場合、モノマー(A’)およびその重合体の溶解性が高い溶媒(a)と、モノマー(B’)の溶解性が高い溶媒(b)との組合せが好ましい。該溶媒(a)としては(X111)ハイドロクロロフルオロカーボン、(X112)ハイドロフルオロカーボン、(X121)ハイドロフルオロエーテルが好ましい。該溶媒(b)としては(X3)ケトン、(X4)エステル、(X5)エーテルが好ましい。
本発明の撥油性共重合体の質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算分子量、以下同様。)は、1万〜50万が好ましく、3万〜10万がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると得られる撥油膜が耐久性に優れ、上限値以下であると溶媒への溶解性に優れる。
本発明の撥油性処理液は、本発明の撥油性共重合体と溶媒を含有する。該溶媒は、撥油性共重合体を溶解するものであればよく、上記重合溶媒の例として挙げた溶媒のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合溶媒であってもよい。
撥油性処理液は、重合反応後に得られた反応溶液を、適宜の溶媒で希釈して調製することができる。反応溶液中の重合溶媒と、希釈に用いる溶媒とは同じであってもよく異なっていてもよい。
または、重合反応後に得られた反応溶液から、いったん再沈等で撥油性共重合体を回収し、これを溶媒に再溶解する方法で撥油性処理液を調製してもよい。
撥油性処理液における溶媒の含有割合は、撥油性処理液の100質量%に対して、80〜99.9質量%が好ましく、90〜99.9質量%がより好ましい。該範囲内であると、撥油性処理液の保存安定性に優れ、1度の塗工で膜を形成できる点で好ましい。
本発明の撥油性処理液を用いて撥油膜を形成できる。
具体的には、撥油性処理液を基材に塗布し、溶媒を蒸発させて膜を形成する。塗布方法としては、スプレー、ディップ、刷毛塗り、ポッティング、スピン等が挙げられる。
また、スプレー缶のような携帯型の塗装剤またはインクに撥油性処理液を混ぜて、基板に塗布してもよい。
例えば、撥油性共重合体中の蛍光発光性官能基が感度を有する波長の光線を撥油膜に照射して、該蛍光発光性官能基を蛍光発光させることにより、視認性が得られる。
基材の材質は特に限定されない。例えば、ステンレス鋼等の金属でもよく、芳香族ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)等のプラスチックでもよい。
本発明の撥油性処理液からなる膜は、優れた視認性を有するため、特に製品製造時、製品使用中または製品の不具合発生時に撥油膜の検査が要求される用途に好ましい。すなわち、膜が正しい位置に形成されているか、所望の形状に形成されているか、膜が使用環境によって剥離、変質等しているか等の検査において、膜の異常を検知しやすいという利点が得られる。
かかる用途としては、軸受けのオイルシール;LEDバックライト冷却用ファンモータFDBオイルシール;プリント基板のオイル拡散防止;半導体基板またはウェハー等の半導体の工程内製品の防湿、防汚、耐食;マイクロベアリングの潤滑グリース漏出防止;マイクロモーター潤滑剤オイルの拡散防止;時計部品のオイル拡散防止;各種レンズ摺動部のオイル拡散防止;磁気ヘッドの汚れ付着防止;フラックス這い上がり防止;HDDボイスコイルモータの潤滑;顕微鏡レンズの防汚、防湿;窓材等の光学部品の防汚、耐食、防湿;ロールベルト、プリンターロール、回転ローラー、モーターファン等回転部品の潤滑、防汚、撥油、防水;マイクロリアクター流路、スライド式バブル装置、モールド等のデバイスの防汚、防水、離型、表面改質;ベアリング、歯車の撥油、防汚;塗工ヘッドのノズルの防汚、撥油、防水の用途が挙げられる。
鏡の防汚;ディスプレイ画面の防汚;露光マスクやフォトマスクの防汚、防湿、離型;眼鏡レンズの防汚、防湿;カメラ用レンズの防汚、防湿;カメラまたは携帯電話等の差圧調整用フィルターの防汚、撥油;掃除機用のエアフィルター濾材の防汚;車載用通気性フィルター等の通気性フィルターの撥油、防汚;レンジフード、ガスコンロ、ガスレンジ油飛散防止シート等のキッチン周り用品の防汚、撥油、防水;排ガスフィルターの撥油、防汚;リード線の防湿、防錆;筆記用具用部材の防汚、撥油;カーペットの撥水撥油、防汚;フィラメントの防錆、防水;衣料品の撥水撥油;ショーウィンドウの防汚、撥油;インクジェット用紙の撥油;化粧品の表面改質;インクジェットノズルの防汚、撥油;金属プレートの防汚、撥油;食用包装材封止材の撥水撥油;インジケーターの防汚;燃料電池用分離膜の撥油、防汚;絶縁スペーサーの撥油;フィルムグローブの防汚、防水;燃料タンクの防汚、撥油;墓石または石碑等の石材の防汚、撥水撥油;壁材、建築材料、木材、タイル等の防汚、撥水撥油。
下記の製造例で用いたモノマーおよび溶媒は以下の通りである。
モノマーA’:ペルフルオロヘキシルエチルメタクリレート(F(CF2)6CH2CH2OCOC(CH3)=CH2)。
モノマーB’:下記の合成例1に示す方法で合成した、上記式(VI‐17)で表される7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル。
MMA:メチルメタクリレート。
BMA:ブチルメタクリレート。
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート。
2EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート。
(モノマーD1’)
MOI−BP:メタクリル酸2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチル。これはイソシアネート基が3,5−ジメチルピラゾールでブロック化された2−イソシアネートエチルメタクリレートである。
(モノマーD2’)
GBLMA:α−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン。
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート。
(その他のモノマー)
StMA:ステアリルメタクリレート。
(溶媒)
AE:HCF2CF2OCH2CF3 (AE−3000:製品名、旭硝子株式会社製)。
AC:CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH3。
MEK:メチルエチルケトン。
まず、以下の方法で7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸を合成した。
撹拌機、ジムロート冷却器を備えた反応器(内容積300mL、ガラス製)に、4−(ジエチルアミノ)サリチルアルデヒド(10.20g)、マロン酸ジエチル(8.92g)、ピペリジン(4.49g)、およびエタノール(50mL)を投入して撹拌した。つづいて反応器の内温を80℃に加熱して8時間、還流させた。
つぎに反応器を50℃に冷却し、ジムロート冷却器を滴下ロートに換え、1N水酸化カリウム水溶液(60mL)を滴下し、1時間攪拌した。
つづいて反応器を室温まで冷却し、3N塩酸水溶液を滴下して中和した。析出した固体をろ取し、蒸留水(20mL)で2回、メタノール(30mL)で3回洗浄し、得られた橙色固体を100℃で8時間減圧乾燥して7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸の8.19gを得た。収率は59%であった。1H−NMRおよびFT−IRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):1.27(6H、t、−CH3)、3.50(4H、q、−CH2−)、6.53(1H、s、8−H)、6.71(1H、d、6−H)、7.46(1H、d、5−H)、8.66(1H、s、4−H)、12.35(1H、s、−COOH)。
FT−IR(KBr)ν(cm−1):1738(C=O)、1665(C=O)。
撹拌機、滴下ロートを備えた反応器(内容積100mL、ガラス製)に、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸(7.55g)、およびトルエン(50mL)を投入して撹拌した。つづいて反応器の内温を30℃に加熱して無水トリフルオロ酢酸(6.45g)を滴下し、さらに5分間攪拌した。
つぎに反応器の内温が30−35℃になるように、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(4.39g)を滴下し、1時間攪拌した。
得られた反応粗液を分液ロートに移し、1N水酸化ナトリウム水溶液(60mL)、蒸留水(60mL)で2回洗浄し、トルエン層の溶媒を留去して12.80gの黄色固体を得た。これを10質量%蒸留水/メタノールを用いて再結晶することにより、7.31gの目的物を得た。収率は63%であった。1H−NMR、FT−IR、可視紫外吸収スペクトル、および融点の測定結果を以下に示す。
1H−NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):1.24(6H、t、−CH2CH3)、1.96(3H、s、CH2=C−CH3)、3.45(4H、q、−CH2CH3)、4.64−4.57(4H、m、−OCH2CH2O−)、5.59(1H、s、transC=CH2)、6.17(1H、s、cisC=CH2)、6.46(1H、s、8−H)、6.61(d、1H、6−H)、7.35(d、1H、5−H)、8.41(1H、s、4−H)。
FT−IR(KBr)ν(cm−1):1759(C=O)、1713(C=O)。
可視紫外吸収スペクトル(溶媒:ジクロロペンタフルオロプロパン)λ(nm):414。
融点:104.9−105.3℃。
表1に示すモノマーおよび溶剤を用いて撥油性共重合体を製造し、該撥油性共重合体を含む撥油性処理液を調製した。
まず30mLのガラス製重合用アンプルに、表1に示す仕込み量の各モノマーと溶媒、および開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)の0.12gを入れた。アンプル内部のガスを窒素ガスで置換した後、密閉し、60℃の湯浴中で16時間保持し、共重合体を含む反応溶液を得た。
得られた反応溶液を40gのACで希釈し、氷浴で冷却した600gのメタノール中に滴下し、沈降した固体をろ取、減圧乾燥することによりポリマー(共重合体)を得た。
得られたポリマーの質量平均分子量(MW)および収率(単位:質量%)を表1に示す。
さらに、得られたポリマーを表2に示す処理液濃度となるようにACに溶解し、撥油性処理液を得た。
製造例1〜13で得られた撥油性処理液をそれぞれ用いて撥油膜を形成し、該撥油膜の視認性および撥油性の耐久性評価を、以下に示す方法に従って行った。評価結果を表2に示す。
例12と例13、および例14と例15は、それぞれ同じ撥油性処理液を用い、キュア温度を違えて撥油膜を形成した。
洗浄済みのSUS板を基材として用い、その上に撥油性処理液をスピンコート法にて、500rpmの条件で20秒間塗布した。この後、表2に示すキュア温度で60分間加熱処理して撥油膜を形成し、SUS試験板を得た。
[LCP試験板の作成]
洗浄済みの樹脂フィルム(液晶ポリマー(LCP)フィルム、製品名:べクスター、クラレ社製)をガラス板上に貼り付けたものを基材とした。該基材の樹脂フィルム上に撥油性処理液をスピンコート法にて、500rpmの条件で20秒間塗布した後、表2に示すキュア温度で60分間加熱処理して撥油膜を形成し、LCP試験板を得た。
SUS試験板およびLCP試験板のそれぞれにブラックライト(波長365nm)を照射して、撥油膜の発色を目視にて観察した。結果を下記の評価基準で示す。
◎:発色が明確に観察される。
○:発色が観察される。
△:発色がわずかに観察される。
×:発色が全く観察されない。
SUS試験板およびLCP試験板のそれぞれについて、撥油膜上に約1μLのn−ヘキサデカンを滴下し、その接触角を測定することにより初期撥油性を評価した。接触角の測定結果を下記の評価基準で示す。
接触角の測定は、協和界面科学社製(商品名:CA−A)を用い、25℃の条件下、液滴法で行った(以下、同様。)。
◎:65°以上。
○:55°以上、65°未満。
△:45°以上、55°未満。
×:45°未満。
SUS試験板およびLCP試験板のそれぞれについて、撥油膜上に有機溶剤を3滴載せ、1分後に不織布(製品名:クリーンワイパー、クラレ社製)で拭き取った。有機溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)およびイソプロピルアルコール(IPA)の2種を用い、それぞれについて評価を行った。
[耐溶剤試験後の視認性評価]
上記耐溶剤試験の前後における撥油膜の状態を目視にて観察した。また、試験前後に、それぞれブラックライト(波長365nm)を照射して撥油膜の発色を目視にて観察した。結果を下記の評価基準で示す。
◎:試験前後で膜に変化がなく視認性が維持される。
○:液滴の痕跡が残るが拭いた痕跡は残らない。視認性は維持される。
△:液滴の痕跡および拭いた痕跡が残るが、視認性は維持される。
×:液滴の痕跡および拭いた痕跡が残り、かつ視認性が減衰する。
上記耐溶剤試験後のSUS試験板およびLCP試験板のそれぞれについて、撥油膜上に約1μLのn−ヘキサデカンを滴下し、その接触角を測定した。評価基準は初期撥油性と同じである。
例12および例14は、モノマー原料としてモノマー(A’)、モノマー(B’)の他に、モノマー(D1’)および(D2’)を加えた例である。初期特性は良好であるが、耐溶剤試験後においては、ほとんどの条件の場合において視認性および撥油性が低下した。特に撥油性の低下が顕著であった。
例13は例12においてキュア温度を120℃とした例、例15は例14においてキュア温度を120℃とした例である。このようにモノマー(D1’)および(D2’)を含有させて高温で熱処理すると、モノマー(B’)の含有率が6質量%以下であっても耐溶剤試験後における特性の低下が小さくなった。
例5〜8は例1〜4に比べてモノマー(B’)の含有率を高くした例である。モノマー(B’)の含有率が高いとフッ素系溶媒(AC)への溶解性が低くなるため、これらの例ではモノマー(C’)を加え、溶媒としてMEKを用いた。例1〜4と比べると例5〜8はモノマー(A’)の含有率が低いため初期撥油性がやや劣るものの良好な範囲であり、初期視認性は優れている。また耐溶剤試験後において、これらの特性が良好に維持され、または低下が小さかった。すなわち、例1〜8では溶剤と接触した後も良好な視認性および撥油性が得られ、撥油膜の耐溶剤性が良好であることが認められる。
このように例1〜8は例9〜12および14に比べて撥油膜の耐溶剤性が向上しており、撥油膜と基材との密着性が向上したことが認められる。
また例1〜8は高温での熱処理を行わなくても、例13および例15とほぼ同等の良好な特性が得られた。
Claims (7)
- ポリフルオロアルキル基を有する繰り返し単位(A)の40〜89.8質量%と、クマリン系蛍光発光性官能基を有する繰り返し単位(B)の10.2〜60質量%を有することを特徴とする撥油性共重合体。
- ポリフルオロアルキル基を有する繰り返し単位(A)の40〜93質量%と、クマリン系蛍光発光性官能基を有する繰り返し単位(B)の7〜60質量%と、前記繰り返し単位(A)および繰り返し単位(B)のいずれにも含まれない繰り返し単位であって、炭化水素基(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい)を有し、該炭化水素基の炭素数が8以下である繰り返し単位(C)の1〜50質量%とからなり、かつ、前記繰り返し単位(A)および前記繰り返し単位(C)の合計の含有量の前記繰り返し単位(B)の含有量に対する質量比[(A+C)/B]が50/50〜93/7であることを特徴とする撥油性共重合体。
- 上記繰り返し単位(A)が、ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートから誘導される繰り返し単位である請求項1または2に記載の撥油性共重合体。
- 重合開始剤の存在下、溶媒中にて、ポリフルオロアルキル基と重合性官能基を有するモノマー(A’)の40〜89.8質量%と、クマリン系蛍光発光性官能基と重合性官能基を有するモノマー(B’)の10.2〜60質量%を含むモノマー原料を重合させる工程を有することを特徴とする撥油性共重合体の製造方法。
- 重合開始剤の存在下、溶媒中にて、ポリフルオロアルキル基と重合性官能基を有するモノマー(A’)の40〜93質量%と、クマリン系蛍光発光性官能基と重合性官能基を有するモノマー(B’)の7〜60質量%と、前記モノマー(A’)およびモノマー(B’)のいずれにも含まれないモノマーであって、炭化水素基(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい)と重合性官能基を有し、該炭化水素基の炭素数が8以下であるモノマー(C’)の1〜50質量%とからなり、かつ、前記モノマー(A’)および前記モノマー(C’)の合計の含有量の前記モノマー(B’)の含有量に対する質量比[(A’+C’)/B’]が50/50〜93/7であるモノマー原料を重合させる工程を有することを特徴とする撥油性重合体の製造方法。
- 上記モノマー(A’)がポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートである請求項4または5に記載の撥油性共重合体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の撥油性共重合体と溶媒を含有することを特徴とする撥油性処理液。
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