JPWO2009005125A1 - ポルフィラジン色素及びこれを含有するインク - Google Patents

ポルフィラジン色素及びこれを含有するインク Download PDF

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Abstract

本発明は、下記式(1)(式(1)中、環A〜Dは、それぞれ独立にベンゼン環またはピリジン環を、Mは金属原子等を、Xはカルボニル基等を、Yは水素原子;ニトロ基;水酸基;スルホ基;カルボキシル基;アミノ基;置換されていてもよいアルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基;置換されていてもよいアリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、ヘテロアリールスルホニル基又はアミノ基;等を表し、Lは2から8である。)で表されるフタロシアニン系色素またはその塩を含有するインク組成物二巻するもので、該インク組成物は普通紙へのインクジェット印刷ににおいて、極めて優れた耐水性を示す印刷物を与える。

Description

本発明は水溶性のポルフィラジン色素又はその塩、これを含有するインク組成物及びこれにより着色された着色体に関する。
各種カラー記録方法の中で、その代表的方法の一つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの吐出方式が各種開発されているが、いずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材料とが直接接触しない為、音の発生がなく静かであり、また小型化、高速化、カラー化が容易という特長の為、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用インクとしては、水溶性の染料を水性媒体に溶解したインクが使用されており、これらの水性インクにおいてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添加されている。これらのインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また形成される記録画像には、耐水性、耐湿性、耐光性、および耐ガス性等の堅牢度が求められている。
インクジェットのノズル詰まりは、ノズル付近でインク中の水分が他の溶剤や添加剤よりも先に蒸発し、水分が少なく溶剤や添加剤が多いという組成状態になったときに色素が結晶化し析出することに由来するものが多い。よって、インクを蒸発乾燥させた場合においても結晶が析出しにくいということが非常に重要な要求性能の一つである。またこの理由により、溶剤や添加剤に対する高い溶解性も色素に求められる性質のひとつである。
ところで、コンピューターのカラーディスプレー上の画像又は文字情報をインクジェットプリンタによりカラ−で記録するには、一般にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクによる減法混色が用いられ、これにより記録画像がカラーで表現される。CRT(ブラウン管)ディスプレー等におけるレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色画像を減法混色画像で出来るだけ忠実に再現するには、インクに使用される各色素、中でもY、M、Cのそれぞれが、標準に近い色相を有し且つ鮮明であることが望まれる。又、インクは長期の保存に対して安定であり、また前記のようにプリントした画像の濃度が高く、しかも印刷画像の堅牢度に優れている事が求められる。
近年のインクジェット技術の発達により、印刷スピードの向上がめざましく、オフィス環境での主用途である普通紙へのドキュメントの印刷に、電子トナーを用いたレーザープリンターと同じ様に、インクジェットプリンターを用いる動きが出ている。インクジェットプリンターは記録紙の種類を選ばない、機械の価格が比較的安いという利点があり、特にSOHO等の小〜中規模オフィス環境で普及が進んでいる。このように普通紙への印刷を用途としてインクジェットプリンターを使用する場合、印刷物に求められる品質の中でも色相や耐水性がより重視される傾向がある。これらの性能を満たす為には顔料インクを用いるという方法が提案されている。しかしながら、顔料インクは溶液ではなく固体の顔料を分散させた分散液であるために、顔料インクを用いるとそのインクの保存安定性が不良であるという問題や、プリンターヘッドのノズルが詰まるという問題などが比較的に起こりやすい。また、顔料インクを使用した場合、印刷画像の耐擦性が低いことも問題とされることが多い。染料インクの場合、このような顔料インクであるがゆえに生じる問題は比較的起こりにくいとされる。しかし、染料インクは特に耐水性において顔料インクと比較して著しく劣り、それに対する改良が強く望まれている。
普通紙上での耐水性向上という問題に対しては古くから多くの提案がなされている。耐水性に優れ、色相や耐光性などの改良を行ったインクジェット用の青色色素としては、例えば特許文献1に記載のC.I.Direct Blue 86やC.I.Direct Blue 199が提案されている。
特許文献2には、カーボンブラックとフタロシアニン誘導体とを含む顔料組成物が開示されている。
特許文献3には、ジメチルアミノメチル銅フタロシアニン及びその誘導体の製造方法が開示されている。
特開第2001−294786号公報 特開昭58−167654号公報 特開昭62−135568号公報
特許文献1に記載の染料は、特定の普通紙上での耐水性については優れているが、市場に出回る各種の普通紙の多くに対して耐水性が優れているとは言えず、その適用範囲は狭い。よって、より多くの種類の普通紙上で一様に優れた耐水性をもち、耐光性や色相、色濃度にも優れたシアン色素が求められていた。
本発明は水または水溶性有機溶剤に対する溶解性が高く、インクジェット記録に適する色相と鮮明性を有し、色濃度が高く、且つ記録物の耐光性、耐ガス性、耐湿性、および特に耐水性などの堅牢性に優れた水溶性のシアン色素及びそれを含有する保存安定性の良いインク組成物を提供する事を目的とする。
本発明者等は前記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、特定の式で示される水溶性ポルフィラジン色素及びそれを含有するインク組成物が前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、
(1)下記式(1)で表される色素またはその塩を含有するインク組成物、
Figure 2009005125
(式中、点線の環A〜Dは、それぞれ独立にベンゼン環またはピリジン環を表し、少なくとも1つ以上はベンゼン環であり、
Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を表し、
Yは水素原子;ニトロ基;水酸基;スルホ基;カルボキシル基;アミノ基(置換基として、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、から成る群から選択される1種又は2種以上の基を有しても良い);置換基としてアリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基及びハロゲン原子から成る群から選択される1種又は2種以上の基を有しても良い、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキルスルホニル基よりなる群から選ばれる基;置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子から成る群から選択される1種又は2種以上の置換基で置換されていてもよい、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基及びヘテロアリールスルホニル基よりなる群から選ばれる基;を表し、
Lは2から8である、
をそれぞれ表す)、
(2)式(1)で表される色素又はその塩が、下記式(111)で表される色素又はその塩である(1)に記載のインク組成物、
式(111)
Figure 2009005125
(式中、Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を示し、
Yは水素原子またはカルボキシル基を表し、
Lは2から8であり、
1からZ8はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表すが、Z1とZ2、Z3とZ4、Z5とZ6、Z7とZ8の4つの組み合わせのうち、少なくとも1つは炭素原子同士の組合わせであり、かつ上記4つの組合わせのそれぞれにおいて両者がともに窒素原子となることはない)、
(3)Mが銅原子である(1)又は(2)に記載の色素又はその塩を含有するインク組成物、
(4)さらに有機溶剤を含有する(1)から(3)のいずれか一項に記載のインク組成物、
(5)インクジェット記録用である(1)から(4)のいずれか一項に記載のインク組成物、
(6)インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インクとして(1)から(5)のいずれか一項に記載のインク組成物またはそのインク組成物を含むインクセットを使用することを特徴とするインクジェット記録方法、
(7)被記録材が情報伝達用シートである(6)に記載のインクジェット記録方法、
(8)(1)から(5)のいずれか一項に記載のインク組成物を含有するインク容器、
(9)(8)に記載のインク容器を有するインクジェットプリンター、
(10)(1)から(5)のいずれか一項に記載のインクで着色された着色体、
(11)下記式(2)で表される色素又はその塩、
Figure 2009005125
(式中、Lは2から8であり、
1からZ8はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表し、Z1とZ2、Z3とZ4、Z5とZ6、Z7とZ8の4つの組み合わせのうち、少なくとも1つは炭素原子同士の組合わせであり、かつ上記4つの組合わせのそれぞれにおいて両者がともに窒素原子となることはない)、
(12)(11)に記載の色素又はその塩を含有するインク組成物、
(13)更に有機溶剤を含有する(11)に記載のインク組成物、
(14)(11)に記載の色素又はその塩、又は、(12)又は(13)に記載のインク組成物で着色された着色体、
に関する。
本発明の上記式(1)で示される水溶性ポルフィラジン色素又はその塩は、水や水溶性有機溶剤に対する溶解性に優れる。またインク組成物を製造する過程での、例えばメンブランフィルターに対するろ過性が良好という特徴を有し、インクジェット記録紙上で非常に鮮明なシアン色の色相を与える。又、この化合物を含有する本発明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色相変化等もなく、貯蔵安定性が極めて良好である。そして本発明のインク組成物を用いてインクジェット記録した場合、被記録材(例えば紙、フィルム等)を選択することなく、種々の被記録材において、理想的なシアン色の色相を得ることができ、写真調のカラー画像を紙の上に忠実に再現させることも可能である。
更に本発明のインク組成物は、従来の染料インクと比較して普通紙上での耐水性が極めて向上している。また、写真画質用インクジェット専用紙やフィルムのような多孔性白色無機物を表面に塗工した被記録材に記録しても各種堅牢性、すなわち耐水性、耐湿性、耐ガス性、および耐光性が良好であり、写真調の記録画像の長期保存安定性にも優れている。従って、本発明のインク組成物は、記録メディアを選ばないことが特徴の一つであり、インクジェット印刷に非常に適していると言える。
以上のように、上記式(1)の水溶性ポルフィラジン色素はインク用、特にインクジェット記録用インクのシアン色素として極めて有用である。
本発明を詳細に説明する。
本発明において、以下の用語は特に断りのない限り、以下に述べる意味で使用される。
「アリール」の用語はアリールに含まれるものは何れも含まれるが、通常炭素数6〜14、好ましくは6〜12、より好ましくは6〜10のアリール基を意味する。
「ヘテロアリール」の用語はヘテロアリールに含まれるものは何れも含まれるが、通常、環構成原子として窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子をそれぞれ独立に1乃至2含む炭素数3〜9、好ましくは炭素数3〜8、より好ましくは炭素数4〜5のヘテロアリール基を意味する。該ヘテロアリール基を構成する環としては4〜6員環、より好ましくは5〜6員環が好ましい。それらが1〜3個、好ましくは1又は2個、より好ましくは1個で形成されているものが好ましく、6員環がより好ましい。
「アルキル」の用語はアルキルに含まれるものは何れも含まれるが、通常炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキルを意味し、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよいが、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがさらに好ましい。
「アルコキシ」の用語は、「アルキルオキシ」の意味で使用され、アルキルは上記と同じである。
本発明のインクジェット記録に適したインクは、前記式(1)のポルフィラジン色素を含有することを特徴とする。すなわち、本発明は、フタロシアニンもしくはアザフタロシアニン(通常、フタロシアニンと呼ばれているものの4つのベンゾ(ベンゼン)環の1個から3個を窒素原子を含むヘテロ6員環、通常はピリジン環に置き換えたもの)を色素母核として用い、そこに、o−カルボキシ置換ベンズアミドメチル基又はo−カルボキシ置換ベンゼンスルホンアミドメチル基(これらの基はベンゼン環上に、更に置換基を有しても良い)を導入した色素がインクジェット用のインクに非常に適し、且つ、該インクで記録された画像は、極めて耐水性に優れることを見出し、完成されたものである。
前記式(1)において、点線の環A〜D(以下単に環A〜Dという)は、それぞれ独立にベンゼン環またはピリジン環を表し、少なくとも1つ以上はベンゼン環であり、
Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を表し、
Yは水素原子;ニトロ基;水酸基;スルホ基;カルボキシル基;アミノ基(置換基として、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子から成る群から選択される1種又は2種以上の基を有しても良い);置換基としてアリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子から成る群から選択される1種又は2種以上の基で置換されていてもよい、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキルスルホニル基から成る群から選択される基;置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子から成る群から選択される1種又は2種以上の基で置換されていてもよい、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基及びヘテロアリールスルホニル基から成る群から選択される基;を表し、
Lは2から8である。
上記の環A〜Dのうち0から3個がピリジンであり、残りはベンゼンである。ピリジンの個数が増えるにしたがって、耐水性は向上するが、水及び有機溶剤等への溶解性は低下する傾向にある。このため、ピリジンの個数は耐水性と溶解性を考慮しながら、適宜調節し、バランスの良い比率を選択すれば良い。ピリジンの個数は、平均値で、通常0〜2の範囲が好ましく、より好ましくは0〜1.5、更に好ましくは0〜1.25の範囲であり、0の時最も好ましい。残りはベンゼン環である。例えば、ピリジン環の個数が1より大きく、2より小さい時は、ピリジンが1つの化合物と、2つの化合物の混合物であり、その混合物におけるピリジン数の平均値が上記の範囲であることを意味する。
環A〜Dの2つがピリジンである場合には、2つのピリジン環が隣に並んで(例えばA及びB)いる化合物または対向する位置に向かい合って(例えばA及びC)いる化合物の両者混合物と考えられる。製造法の説明や実施例において構造式で化合物を記載する場合、それらをわざわざ記載するのは煩雑であり、分かり難いものとする上、本発明においてそれらをわざわざ区別する必要性も無いので、特に断らない限りは、便宜上、A及びCの2個がピリジン環で、B及びDがベンゼン環である化合物の構造式を記載し、上記の両者の化合物(通常は両者の化合物の混合物)を示すものとする。
前記Mは、水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表す。
金属原子の具体例としては例えば、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。
金属酸化物としてはVO、GeO等が挙げられる。
金属水酸化物としては例えば、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2、AlOH等が挙げられる。
金属ハロゲン化物としては例えば、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl、AlCl等が挙げられる。
これらの中でもCu、Ni、Zn、Al、AlOHが好ましく、Cuが最も好ましい。
上記Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を示し、シアン色素の色相の点からはスルホニルが好ましい。
上記Yが置換基を有しないアルコキシ基の場合、該アルコキシ基は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよいが、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがさらに好ましい。炭素数は1〜16、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。
Yが環状アルコキシ基である場合、該アルコキシ基はYが置換するベンゼン環と縮環した多環式構造を形成する。この例としては2−又は3−クマラノン型、及び2−、3−又は4−クロマノン型のビシクロ[4,3,0]及びビシクロ[4,4,0]型等の環構造が好ましい。
アルコキシ基の具体例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ等が挙げられる。
上記Yが置換基を有しないアルキルチオ基の場合、該アルキルチオ基は上記の「置換基を有しないアルコキシ基」の説明において、酸素原子が硫黄原子に変わる点を除き、同じ説明をすることができる。即ち、該アルキルチオ基は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよいが、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがさらに好ましい。炭素数は1〜16、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。具体的な基においても、酸素原子を硫黄原子に置き換えた基を挙げることができる。一例を挙げると、2−クマラノンは1,2−ジヒドロチオナフテン−2−オンと、またメトキシはメチルチオと読み替えればよい。具体的にはメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、アミルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、ノニルチオ、デシルチオ、ウンデシルチオ、ドデシルチオ、トリデシルチオ、テトラデシルチオ、ペンタデシルチオ又はヘキサデシルチオが挙げられる。
上記Yが置換基を有しないアルキルスルホニル基の場合、該アルキルスルホニル基の「アルキル」は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよいが、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがさらに好ましい。炭素数は1〜16、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。
アルキルスルホニル基の具体例として、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル、オクチルスルホニル、ノニルスルホニル、デシルスルホニル、ウンデシルスルホニル、ドデシルスルホニル、トリデシルスルホニル、テトラデシルスルホニル、ペンタデシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル等が挙げられる。
上記Yが置換基を有しない、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアリールスルホニル基からなる群から選ばれる基の場合、該基における「アリール」の用語は、炭素数6〜14、好ましくは6〜12、より好ましくは6〜10のアリール基を意味する。
該アリール基の具体例としてはフェニル、ナフチル、アントラセニル、ターフェニル等が挙げられ、フェニル及びナフチルが好ましく、フェニルがより好ましい。
上記Yが置換基を有しない、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基及びヘテロアリールスルホニル基からなる群から選ばれる基の場合、該基における「へテロアリール」の用語は、環構成原子として窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子をそれぞれ独立に1乃至2含む炭素数3〜9、好ましくは3〜8、より好ましくは4〜5のヘテロアリール基を意味する。
ヘテロアリール基の具体例としては、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピリジン、ベンズイミダゾール、キノリン等の窒素原子を含有するもの;フラン、ベンゾフラン等の酸素原子を含有するもの;チオフェン、ベンゾチオフェン等の硫黄原子を含有するもの;イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンズイソオキサゾール等の炭素原子以外に2種以上の環構成へテロ原子を含有するもの;が挙げられる。該へテロアリール基としては単環系のものが好ましく、単環系で窒素原子を含有するものがより好ましく、これに加えて6員環であるものがさらに好ましい。
上記Yは、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基又はヘテロアリールスルホニル基であるよりも、アリールオキシ基、アリールチオ基又はアリールスルホニル基である方が好ましい。
上記のYが置換基を有する、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキルスルホニル基からなる群から選ばれる基である場合、これらの基における置換基(以下アルコキシ基等における置換基とも言う)としてはアリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ、カルボキシル、リン酸、スルファモイル、カルバモイル、水酸基、アミノ、アセチルアミノ、ウレイド、ニトロ、シアノ又は/及びハロゲン原子が挙げられる。
上記アルコキシ基等における置換基がアリール基又はヘテロアリール基である場合、該アリール基又はヘテロアリール基は、上記「Yが置換基を有しない、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアリールスルホニル基からなる群から選ばれる基」である場合又は「Yが置換基を有しない、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基及びヘテロアリールスルホニル基からなる群から選ばれる基」である場合について、それぞれ記載した「アリール」又は「ヘテロアリール」と同じ意味を表す。
また、上記アルコキシ基等における置換基がアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基又は/及びジヘテロアリールアミノ基である場合、該置換基における「アリール」又は「ヘテロアリール」の用語は、上記の「上記アルコキシ基等における置換基がアリール基又はヘテロアリール基である場合」の「アリール」又は「ヘテロアリール」と同じ意味を表す。
上記アルコキシ基等における置換基がアルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基である場合には、上記「Yが置換基を有しないアルコキシ基」、「Yが置換基を有しないアルキルスルホニル基」及び「Yが置換基を有しないアルキルチオ基」についてそれぞれ記載した場合の各基と同じ意味を表す。
また、上記アルコキシ基等における置換基が、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基である場合、これらの置換基における「アルキル」の用語は、上記「Yが置換基を有しないアルキルスルホニル基の場合」の「アルキル」と同じ意味を表す。
上記アルコキシ基等における置換基がハロゲン原子である場合、具体例としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
上記のYが置換基を有する、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基及びヘテロアリールスルホニル基からなる群から選ばれる基である場合、該置換基(以下アリールオキシ等における置換基とも言う)としてはアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ、カルボキシル、リン酸、スルファモイル、カルバモイル、水酸基、アミノ、アセチルアミノ、ウレイド、ニトロ、シアノ又は/及びハロゲン原子が挙げられる。
上記アリールオキシ等における置換基がアルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基及びハロゲン原子である場合、これらの基における「アルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」の用語は、上記Yの置換基を有しない各基の説明、又はYのそれぞれの基における置換基の説明において、説明したと同じ意味を有する。
上記アリールオキシ等における置換基がアルキル基の場合、該アルキル基は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよいが、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがさらに好ましい。炭素数は1〜16、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。
アルキル基の具体例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル等が挙げられる。
上記Yとしては、水素原子;ニトロ;カルボキシル;置換されていてもよい、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキルスルホニル基からなる群から選ばれる基;置換されていてもよい、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基及びアミノ基からなる群から選ばれる基;が好ましく、水素原子又はカルボキシルがより好ましい。Yとしては最も好ましいのは水素原子である。
上記Yが置換基を有する場合、該置換基は上記の群から選択される1種又は2種以上のものでよいが、置換基の数は1〜4、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
上記Yが置換基を1つ有する場合、該置換基としてはスルホ、カルボキシル、リン酸又は水酸基が好ましく、より好ましくはスルホ、カルボキシル又は水酸基であり、さらに好ましくはスルホ又はカルボキシルである。
上記Yが2種以上の置換基を有する場合、そのうちの1つはスルホ、カルボキシル、リン酸又は水酸基;より好ましくはスルホ、カルボキシル又は水酸基;さらに好ましくはスルホ又はカルボキシル;から選択される基であるのがよい。
上記のLは2から8である。Lが大きくなるにつれて、溶解性は向上する傾向にあるが、耐水性は低下する傾向にあり、溶解性と耐水性を考慮しながら、Lの数を適宜調節すれば良い。Lとしては通常2〜8、3〜7がより好ましく、4〜6であることがさらに好ましい。Lが4〜5の場合は適度の水溶性とよりよい耐水性を得ることが出来、5〜6の場合には、適度の耐水性とよりよい水溶性を得ることが出来る。最も好ましくは4〜5である。
上記のM、X、Y、Yの置換基、及びLについて、好ましく挙げたもの同士を組合わせたものはより好ましく、より好ましく挙げたもの同士を組合わせたものはさらに好ましい。その他、さらに好ましいもの同士等についても同様である。
具体的に例を挙げると、Mが銅原子、Yが水素原子又はカルボキシル基の組み合わせ、より好ましくはMが銅原子、Yが水素原子の組み合わせを挙げることができる。又、更に好ましい組み合わせとしては、これらのM及びYの組み合わせに、更に、Lが3〜7、より好ましくは4〜6の場合を加えた組み合わせを挙げることができる。
また、これらの各組合わせに、更に、Xがスルホニル基である場合を組み合わせた組み合わせは、更に好ましい組み合わせとして挙げることが出来る。
また、上記の各組み合わせに、更に、後記するピリジン環での置換度0〜2,より好ましくは0〜1.5,更に好ましくは0〜1.25、最も好ましくはピリジン環の置換度0(環A〜Dの全てがベンゼン環)を組み合わせた組み合わせは、更に好ましい組み合わせとして挙げることが出来る。
また、上記式(1)の色素として、好ましいものの一つは、前記式(111)で表される色素である。式(111)において、Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を示し、
Yは水素原子またはカルボキシル基、好ましくは水素原子を表し、
Lは2から8であり、
1からZ8はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表し、Z1とZ2、Z3とZ4、Z5とZ6、Z7とZ8の4つの組み合わせのうち、少なくとも1つは炭素原子同士の組合わせであり、かつ残りの3つの組合わせにおいても、窒素原子同士の組み合わせを含まない。即ち、上記4つの組み合わせのそれぞれにおいて、何れか一方は炭素原子であり、他方が炭素原子かまたは窒素原子を表し、他方の少なくとも一つは、炭素原子を表す。
上記式(111)において、M、X、Y及びLは、好ましいもの及び好ましいものの組み合わせ等を含めて、上記式(1)と同じである。
1とZ2、Z3とZ4、Z5とZ6、Z7とZ8の4つの組合わせのうち、窒素原子を含む組合せの数は、平均値で、通常0〜2の範囲が好ましく、より好ましくは0〜1.5、更に好ましくは0〜1.25の範囲である。窒素原子を含まない残りの組合せは、炭素原子同士の組み合わせである。上記4つの組み合わせが全て炭素原子同士の組み合わせの場合がシアン色素としての色相において最も好ましい。
上記式(1)の色素としてさらに好ましいものの一つは、前記式(2)の色素である。
式(2)中、Lは2から8、好ましくは3〜7、より好ましくは4〜6であり、
1からZ8はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表し、Z1とZ2、Z3とZ4、Z5とZ6、Z7とZ8の組み合わせのうち、少なくとも1つは炭素原子同士の組合わせであり、かつ残りの3つの組合わせにおいても、窒素原子同士の組み合わせを含まない。即ち、上記4つの組み合わせのそれぞれにおいて、何れか一方は炭素原子であり、他方が炭素原子かまたは窒素原子を表し、他方の少なくとも一つは、炭素原子を表す。
上記式(2)において、Lは上記式(1)と、又Z1からZ8は上記式(111)と、好ましいもの等を含めてそれぞれ同じでよい。
具体的な好ましい組み合わせとしては、Lが4〜6であり、上記4つの組み合わせにおける窒素原子での置換割合が0〜2、より好ましくは0〜1.5、更に好ましくは0〜1.25、最も好ましくは上記4つの組み合わせ全てが炭素原子同士の組み合わせの場合である。
上記式(1)の化合物は分子内に有するスルホ、カルボキシおよびリン酸などを利用して塩を形成することも可能である。式(1)の化合物の塩としては、式(1)の化合物と、無機金属、アンモニウム及び有機塩基からなる群から選ばれる塩基との塩を挙げることが出来る。
無機金属としてはアルカリ金属やアルカリ土類金属が挙げられる。アルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えばカルシウム、マグネシウム等があげられる。
有機塩基としては、特に有機アミンが挙げられ、例えばメチルアミン、エチルアミン等の炭素数1から3の低級アルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のモノ、ジまたはトリ(炭素数1から4の低級アルカノール)アミン類があげられる。
式(1)の化合物の好ましい塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属との塩(アルカリ金属塩)、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等との塩(モノ、ジまたはトリ(炭素数1から4の低級アルカノール)アミンのオニウム塩)、及びアンモニアとの塩(アンモニウム塩)があげられる。
なお、これらの塩に関する記載は何れも式(2)及び式(111)においても同様である。
本発明の前記式(1)で表されるポルフィラジン色素における、環A〜D、X及びYの具体例、及びLの数を表1に示す。
下記の例は、本発明の色素を具体的に説明するために代表的な化合物を示すもので、下記の例に限定されるものではない。尚、表中においてスルホン酸などの官能基は遊離酸の形で記す。
また、環A〜Dには後記するように窒素原子の位置異性体などが存在し、色素合成の際には異性体の混合物として得られる。これら異性体は単離が困難であり、また分析による異性体の特定も困難である。このため通常混合物のまま使用するが、異性体の混合物であっても本発明において特に問題は生じないためここではこれら異性体を区別することなく、構造式での表示は前記のように便宜的に一つの構造式で記載する。
Figure 2009005125
次に、アザフタロシアニン(通常、フタロシアニンと呼ばれているものの4つのベンゾ(ベンゼン)環1個から3個をピリジン環に置き換えたもの)の製造方法を説明する。
後記式(6)で表される銅ポルフィラジン色素は、例えば触媒及び銅化合物の存在下、ピリジンジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体とを反応させる事により得られる。ピリジンジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体の反応のモル比を変えることにより環A〜Dとして導入されるピリジン環の数とベンゼン環の数を調整することが可能である。
例えば本発明におけるA〜Dの4つの6員芳香環のうち、1〜3個がピリジン環であり、残りがベンゼン環の場合には、その含有割合に応じて、ピリジンジカルボン酸誘導体の使用割合を、0.0〜0.75モルの割合の範囲で、フタル酸誘導体の使用割合を0.25〜1.0モルの範囲で、両者の合計が1モルとなる割合で使用することにより、目的とする化合物を得ることができる。
例えば、ピリジン環が1個で、ベンゼン環が3個の場合、ピリジンジカルボン酸誘導体を0.25モル、フタル酸誘導体を0.75モルの割合で使用すればよい。
ピリジンジカルボン酸誘導体としては、隣接する2つの位置にそれぞれカルボキシル基、またはそれから誘導される反応性の基(酸アミド基、イミド基、酸無水物基及びカルボニトリル基等)を有するピリジンジカルボン酸誘導体(ピリジンジカルボン酸も含む)が挙げられる。具体的にはキノリン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸等のジカルボン酸化合物、無水キノリン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸無水物等の酸無水物、ピリジン−2,3−ジカルボキシアミド等のアミド化合物、ピリジン−2,3−ジカルボン酸モノアミド等のジカルボン酸モノアミド化合物、キノリン酸イミド等の酸イミド化合物、ピリジン−2,3−ジカルボニトリル等のジカルボニトリル化合物があげられる。中でもピリジン−2,3−ジカルボン酸又はこれと同様の置換位置に上記の反応性の基を有する誘導体が好ましい。 またフタル酸誘導体としては、フタル酸、無水フタル酸、フタルアミド、フタラミン酸、フタルイミド、フタロニトリル、1,3−ジイミノイソインドリン及び2−シアノベンズアミド等があげられる。
下記式(6)で表される銅ポルフィラジンの合成方法には一般的にニトリル法とワイラー法と呼ばれる2つがあり、反応条件等が異なる。
ニトリル法とはピリジン−2,3−ジカルボニトリル、フタロニトリル等のジカルボニトリル化合物を原料にして合成する方法である。
それに対し、ワイラー法はフタル酸、キノリン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸等のジカルボン酸化合物、無水フタル酸、無水キノリン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸無水物等の酸無水物化合物、フタルアミド、ピリジン−2,3−ジカルボキシアミド等のジカルボキシアミド化合物、フタラミック酸、ピリジン−2,3−ジカルボン酸モノアミド等のジカルボン酸モノアミド化合物、フタルイミド、キノリン酸イミド等の酸イミド化合物を原料に用いる。またワイラー法では尿素の添加が必須であり、尿素の使用量はピリジンジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体の総計1モルに対し5〜100倍モル量である。

式(6)
Figure 2009005125
式中、環A〜Dは式(1)における意味と同じ意味を表す。
反応は溶媒の存在下に行われ、ニトリル法においては溶媒としては沸点100℃以上、より好ましくは130℃以上の有機溶媒が用いられる。該有機溶媒として、例えば、n−アミルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、N,N−ジメチルアミノエタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、ニトロベンゼン、キノリン、スルホラン及び尿素等が挙げられる。
また、ワイラー法においては、溶媒として沸点150℃以上、より好ましくは180℃以上の非プロトン性有機溶媒が用いられる。例えば、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、ニトロベンゼン、キノリン、スルホラン及び尿素等である。
溶媒の使用量はピリジンジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体の総計の1〜100質量倍である。
触媒としては、以下のものが使用できる。
ニトリル法においてはキノリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、トリブチルアミン、アンモニア、N,N−ジメチルアミノエタノール等のアミン類、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコラート類があげられる。
またワイラー法においてはモリブデン酸アンモニウム及びホウ酸等があげられる。
触媒の添加量は、ピリジンジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体の総計1モルに対し、0.001〜1倍モルである。
銅化合物としては、金属銅、銅のハロゲン化物、カルボン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、アセチルアセトナート、錯体等が挙げられる。例えば、塩化銅、臭化銅、酢酸銅、銅アセチルアセトナート等が挙げられる。
銅以外の中心金属を有するポルフィラジンを合成したい場合には、対応する金属塩を用いるか、またはポルフィラジン環を合成した後、常法に従って中心金属の交換反応を行えばよい。
銅化合物の使用量は、含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体の総計1モルに対し、0.15〜0.35倍モルである。
ニトリル法では反応温度は通常100〜200℃であり、好ましくは130〜170℃である。
一方、ワイラー法では反応温度は150〜300℃であり、好ましくは170〜220℃である。
反応時間は反応条件により変わるが通常1〜40時間である。反応終了後、目的物を濾過分離、洗浄及び乾燥する事により、銅ポルフィラジンが得られる。
前記式(6)における環A〜Dのうち、2つがピリジン環で、残り2つがベンゼン環である化合物、すなわち銅ジベンゾビス(2,3−ピリド)ポルフィラジンを例にあげて、合成方法を更に詳細に説明する。
例えば、スルホラン溶媒中、キノリン酸(0.5モル)、無水フタル酸(0.5モル)、塩化銅(II)(0.25モル)、リンモリブデン酸アンモニウム(0.004モル)及び尿素(6モル)を200℃で、5時間反応させることにより前記式(6)における環A〜Dのうち2つがピリジン環で、残り2つがベンゼン環である銅ジベンゾビス(2,3−ピリド)ポルフィラジンが得られる。キノリン酸、無水フタル酸、金属化合物、溶媒及び触媒等の種類や使用量により反応性は異なり上記に限定されるものではない。
また、上記合成法で合成した場合、主成分は銅ジベンゾビス(2,3−ピリド)ポルフィラジンであり、これらにはピリジン環の位置とピリジン環窒素原子の位置の異なる5種類の異性体{下記式(7−A)〜(7−E)}が生成する。それと同時に、前記式(6)における環A〜Dのうち1つがピリジン環で、残り3つがベンゼン環で表される銅トリベンゾ(2,3−ピリド)ポルフィラジン(後記式(8))と、前記式(6)における環A〜Dのうち3つがピリジン環で、残り1つがベンゼン環で表される銅ベンゾトリス(2,3−ピリド)ポルフィラジンが副生し、これらの化合物にも更にピリジン環窒素原子の位置異性体{下記式(9−A)〜(9−D)}が存在し複雑な混合物となる。また、少量ではあるが銅テトラキス(2,3−ピリド)ポルフィラジン及び銅フタロシアニン(銅テトラベンゾポルフィラジン)も生成する。通常、これらの混合物から目的物のみを単離することは難しく、平均値として2つがピリジン環で、残り2つがベンゼン環である銅ジベンゾビス(2,3−ピリド)ポルフィラジンとしてそのまま使用している場合がほとんどである。
上記の銅ジベンゾビス(2,3−ピリド)ポルフィラジンの合成方法に準じて、1つがピリジン環で、残り3つがベンゼン環の化合物等を得ることができる。この場合、ピリジンジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体の使用割合を、目的化合物のピリジン環とベンゼン環の比率に応じて変えて合成すればよい。
また、環A〜Dの全てがベンゼン環である化合物は、上記合成方法において、原料化合物として、ピリジンジカルボン酸誘導体を使用することなく、フタル酸誘導体のみを使用して、反応を行えばよい。

式(7−A)〜(7−E)
Figure 2009005125

式(8)
Figure 2009005125

式(9−A)〜(9−D)
Figure 2009005125
次に、本発明の式(1)の色素の製造方法について記載する。
なお、以下の各式において、環A〜D、M、X、Y、L等の記号は何れも式(1)におけると同じ意味を表す。
式(1)で表される色素は下記式(3)で表される化合物を塩基性水溶液で加水分解することにより得る事が出来る。
式(3)
Figure 2009005125
上記式(3)の化合物は、例えば、特許第3413223号に記載の方法、又はそれに準じて、上記式(6)で表される化合物と下記式(4)で表される化合物とを脱水縮合させるか、または、式(6)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物及びパラホルムアルデヒドの3者を脱水縮合させればよい。
該縮合に用いる脱水縮合剤としては、硫酸、発煙硫酸、ポリリン酸、無水酢酸、五酸化二燐等があげられるが、これらに限定されるものでは無い。また、上記脱水縮合剤を1種または2種以上組み合わせて使用する事もできる。

式(4)
Figure 2009005125

式(5)
Figure 2009005125
上記の3者を脱水縮合反応させる場合は、通常縮合剤として、硫酸、発煙硫酸、ポリリン酸等が使用される。また、硫酸、発煙硫酸を用いる場合、上記式(3)で表される化合物中に存在する1つ以上のベンゼン環上に、スルホ基を導入することも可能である。
通常、脱水縮合剤は溶媒をかねて用いられ、使用される量は、重量比で上記式(6)で表される化合物の5〜20倍量、好ましくは8〜15倍量である。
反応温度、反応時間等の反応条件は、フタルイミドメチル基の導入数や脱水縮合剤の種類等によって異なる。
反応温度は、通常50〜160℃であり、反応時間は、通常1〜20時間である。
式(4)で表される化合物の使用量は、導入するフタルイミドメチル基の数により異なり、通常、導入したい数に応じて変えればよい。例えば上記式(6)の化合物に対して1〜8倍モル、好ましくは2〜8倍モルである。式(4)で表される化合物のかわりに式(5)で表される化合物とパラホルムアルデヒドとを使用することも可能であり、この場合、式(5)で表される化合物は、式(4)で表される化合物と同量でよい。パラホルムアルデヒドは通常(5)で表される化合物の1〜2倍モル量使用する。
また、式(4)で表される化合物は、式(5)で表される化合物とホルマリン水溶液とを反応させることにより別途、合成する事も出来る。
得られた式(3)で表される化合物の加水分解により本発明の上記式(1)で表される色素を得ることが出来る。該加水分解に使用される塩基としてはアルカリ金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。使用される塩基はこれらに限定されるものでは無い。
加水分解反応は上記塩基を添加して得られる塩基性水溶液中で行われる。該塩基性水溶液の塩基濃度は0.5〜10質量%であり、その使用量はフタルイミドメチル化フタロシアニンの3〜20倍量である。反応温度は通常10〜90℃、より好ましくは15〜70℃である。
こうして得られた本発明の色素は酸析または塩析により分離することが出来る。酸析は例えば、塩酸、硫酸等の酸により、反応液のpHを1〜3に調整し、目的化合物を析出させることにより、行われる。この時の温度は特に限定されないが、通常20〜80℃、好ましくは20〜60℃である。塩析は、例えば、反応液を、酸性〜アルカリ性、好ましくはpH1〜11の範囲に調整し、食塩等の塩を加えて、目的化合物を析出させることにより、行われる。塩析の際の温度は特に限定されないが、通常20〜80℃、好ましくは40〜70℃に加熱後、食塩等を加えて塩析するのが好ましい。
本発明の色素は、天然及び合成繊維材料又は混紡品の染色、筆記用インク及びインクジェット記録用インク組成物の製造等に適している。
本発明の上記式(1)の色素を含む反応液は、本発明のインク組成物の製造に直接使用する事も出来る。また、反応液から該色素を単離、例えば反応液のスプレー乾燥などの方法により、該色素を単離した後、得られた色素をインク組成物に加工することもできる。本発明のインク組成物は、上記式(1)で表される色素を水性媒体中に通常0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは2〜8質量%含有する。
本発明のインク組成物は、通常、前記式(1)の色素を水、/又は水と水溶性有機溶剤(水との混和可能な有機溶剤)の混合溶液などの水性媒体に溶解し、必要に応じインク調製剤を添加することにより得ることができる。このインク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合、不純物として含有する金属陽イオンの塩化物、例えば塩化ナトリウム及び硫酸塩(代表的なものとしては硫酸ナトリウム)等の無機物の含有量が少ないものを用いるのが好ましい。この場合、例えば塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの総含有量は、インク中に含有する色素の総質量中に1質量%以下が好ましい。無機不純物の少ない色素を製造するには、例えばそれ自体公知の逆浸透膜による方法又は本発明の色素又はその塩の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノールなどのアルコール及び水の混合溶媒中で撹拌して懸濁精製し、固体を濾過分離し、乾燥するなどの方法で脱塩処理すればよい。
本発明のインク組成物は、前記式(1)の色素と媒体としての水を含み、必要に応じて、水溶性有機溶剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有しても良い。水溶性有機溶剤は、染料溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等の作用を果たす。その他のインク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、乳化安定剤、表面張力調整剤、消泡剤、分散剤、及び分散安定剤等の公知の添加剤が挙げられる。水溶性有機溶剤の含有量はインク全体に対して0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%であり、その他のインク調製剤はインク全体に対して0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%用いるのが良い。上記以外の残部は水である。
本発明で使用しうる水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等の脂肪族ケトンまたは脂肪族ケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,2−または1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはチオジグリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノ、オリゴまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)モノアルキルエーテル;γーブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等があげられる。
上記の水溶性有機溶剤として好ましいものは、イソプロパノール、グリセリン、モノ、ジまたはトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンおよびブチルカルビトールであり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンおよびブチルカルビトールである。これらの水溶性有機溶剤は、単独もしくは混合して用いられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、および無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤として酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等があげられる。防腐防黴剤のその他の具体例としては、例えば、アベシア社製 商品名プロクセルGXL(S)およびプロクセルXL−2(S)等が好ましく挙げられる。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物、又はベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物(いわゆる蛍光増白剤)も用いることができる。
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物があげられ、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。
染料溶解剤としては、例えば尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等があげられる。尿素を使用するのが好ましい。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及びヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、及び亜鉛錯体などがある。
表面張力調整剤としては、界面活性剤があげられ、例えばアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、及びノニオン界面活性剤などがあげられる。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、その他イミダゾリン誘導体などがある。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール(アルコール)系(例えば、日信化学社製 商品名サーフィノール104、82、465、オルフィンSTG等)等が挙げられる。
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系またはシリコーン系の化合物が必要に応じて用いられる。
これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。なお、本発明のインクの表面張力は通常25〜70mN/m、より好ましくは25〜60mN/mである。また本発明のインクの粘度は30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
本発明のインク組成物を製造するにあたり、添加剤などの各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。用いる水はイオン交換水または蒸留水など不純物が少ない物が好ましい。さらに、必要に応じメンブランフィルターなどを用いて精密濾過を行って夾雑物を除いてもよく、インクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合は精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1ミクロン〜0.1ミクロン、好ましくは、0.8ミクロン〜0.2ミクロンである。
本発明の色素を含有するインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、又は記録(印刷)、特にインクジェット記録等への使用に適する。また本発明のインク組成物は、インクジェットプリンタのノズル付近における乾燥に対しても結晶析出は起こりにくく、ヘッドの閉塞も起こりにくい。さらに本発明のインク組成物をインクジェット記録に用いた場合、水、光、オゾンや酸化窒素ガス、及び摩擦に対する良好な耐性を有する高品質のシアン色の印捺物が得られ、特に普通紙上の耐水性が極めて良好である。
インクジェットプリンタには、高精細な画像を供給することを目的に、高濃度のインクと低濃度のインクの2種類のインクが1台のプリンタに装填されたものもある。その場合、本発明の色素を用いて高濃度のインク組成物と、低濃度のインク組成物をそれぞれ作製し、それらをインクセットとして使用してもよい。またどちらか一方だけに該色素を用いてもよい。また本発明の色素と公知のシアン色素とを併用してもよい。また他の色、例えばブラックインクの調色用、あるいはイエロー色素やマゼンタ色素と混合して、グリーンインクやブルー(又はバイオレット)インクを調製する目的で本発明の色素を用いることもできる。
本発明の着色体とは本発明の色素で着色された物質のことである。着色体の材質には特に制限はなく、例えば紙、フィルムなどの情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等、着色されるものであればなんでも良く、これらに限定されない。着色法としては、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェットプリンタによる方法等があげられるが、インクジェットプリンタによる方法が好ましい。
情報伝達用シートとしては、特に制約はなく、普通紙はもちろん、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものなどが用いられる。ここでインク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工する方法、または多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工する方法などにより設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、または光沢フィルム等と呼ばれる。
普通紙は、特にインク受容層を設けていない紙のことを指し、用途によってさまざまなものが数多く市販されている。市販されている普通紙の一例を挙げると、インクジェット用としては、両面上質普通紙(セイコーエプソン社製)、カラー普通紙、(キヤノン社製)、Multipurpose Paper、All−in−one Printing Paper(Hewlett Packard社製)などがある。この他、特に用途をインクジェット印刷に限定しないPPC用紙なども普通紙である。
本発明のインク組成物は、上記のような普通紙上での耐水性が特に優れているが、その他の、光、オゾン、湿度や摩擦などに対する耐性にも優れる。インクジェット印刷用にインク受容層を設けているインクジェット専用紙、専用フィルム、光沢紙または光沢フィルムなどでの耐水性にも優れ、またそれらの情報伝達用シート上での耐光性、耐ガス性、耐湿性及び耐擦性などにも優れる。
本発明のインクジェット記録方法で、被記録材に記録するには、例えば上記のインク組成物が充填された容器(通常はインクジェットプリンタに使用するインク容器)をインクジェットプリンタの所定位置にセットし、通常の方法で、被記録材に記録すればよい。本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物と共に、イエローインク、マゼンタインク、必要に応じて、グリーンインク、ブルー(又はバイオレット)インク、レッドインク、及びブラックインク等を使用しうる。この場合、各色のインクは、それぞれの容器に注入され、それらの容器を、インクジェットプリンタの所定位置に装填して使用する。
インクジェットプリンタには、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式や加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式等を利用したものがある。本発明のインクジェット記録方法は、いかなる方式であっても使用が可能である。
本発明のインク組成物は、鮮明なシアン色であり、普通紙やインクジェット専用紙や光沢紙に記録した画像の鮮明度が高く、インクジェット記録法に適した色相を有する。また、その記録画像の堅牢度、特に普通紙に記録した場合の耐水性が非常に高いことを特徴とする。
本発明のインク組成物は貯蔵中に沈澱、分離することがない。また、本発明のインク組成物をインクジェット記録に使用した場合、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による結晶析出は非常に起こりにくく、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。本発明のインク組成物は連続式インクジェットプリンタを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用する場合においても、又はオンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
以下に本発明を更に実施例により具体的に説明する。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
なお実施例にて合成した上記式(1)の化合物は全て上記のように異性体などを含む混合物である。従って、特に断りの無い限り、主要成分の化学構造式、またはその中の一つの化学構造式を記載した。なお、収量についても該異性体等を含む。
実施例1
下記式(10)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yが水素原子、Xがスルホニル、Lが5〜6であり、環A〜Dの全てがベンゼン環である色素)
式(10)
Figure 2009005125
ポリリン酸(116%)80.6部中に、銅フタロシアニン5.76部、o−スルホベンズイミド20.15部及びパラホルムアルデヒド3.30部を添加し、液温を140℃まで上昇させた。140〜145℃において8時間反応を行った後、反応液を60℃まで冷却し、そこに水100部を加え、結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水600部で洗浄し、ウェットケーキ60.6部を得た。得られたウェットケーキを、水280部及び水酸化ナトリウム6.0部の混合液中に添加し、20〜25℃で6時間反応させた。反応液を濾過し、得られた濾液に36%塩酸を加え、pHを1に調整し結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水600部で洗浄、乾燥し、上記式(10)で表される色素15.5部を青色粉末として得た。
λmax:678.0nm、645.0nm(DMF中)
実施例2
下記式(11)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yが水素原子、Xがスルホニル、Lが4〜5であり、環A〜Dの全てがベンゼン環である色素)
式(11)
Figure 2009005125
ポリリン酸(116%)80.6部中に、銅フタロシアニン5.76部、o−スルホベンズイミド16.12部及びパラホルムアルデヒド2.64部を添加し、次いで液温を140℃まで上昇させた。140〜145℃において8時間反応を行った後、反応液を60℃まで冷却し、そこに水100部を加え、結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水600部で洗浄し、ウェットケーキ55.6部を得た。得られたウェットケーキを、水280部及び水酸化ナトリウム4.8部の混合液中に添加し、20〜25℃で6時間反応させた。反応液を濾過し、得られた濾液に36%塩酸を加え、濾液のpHを1に調整し結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水600部で洗浄、乾燥し、上記式(11)で表される色素14.5部を青色粉末として得た。
λmax:678.0nm、642.0nm(DMF中)
実施例3
下記式(12)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yが水素原子、Xがスルホニル、Lが3〜4であり、環A〜Dの全てがベンゼン環である色素)
式(12)
Figure 2009005125
ポリリン酸(116%)80.6部中に、銅フタロシアニン5.76部、o−スルホベンズイミド12.09部及びパラホルムアルデヒド1.98部を添加し、次いで液温を140℃まで上昇させた。140〜145℃において8時間反応を行った後、反応液を60℃まで冷却し、そこに水100部を加え、結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水600部で洗浄し、ウェットケーキ47.1部を得た。得られたウェットケーキを、水280部及び水酸化ナトリウム3.6部の混合液中に添加し、20〜25℃で6時間反応させた後、反応液を濾過し、得られた濾液に36%塩酸を加え、濾液のpHを1に調整し、結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水600部で洗浄、乾燥し式(12)で表される色素12.2部を青色粉末として得た。
λmax:675.0nm、642.0nm(DMF中)
実施例4
下記式(13)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yが水素原子、Xがスルホニル、Lが4〜5であり、環A〜Dのうち1.25がピリジン環で残りがベンゼン環である色素)
式(13)
Figure 2009005125
(1)前記式(6)において、環A〜Dのうち1.25がピリジン環で残りがベンゼン環で表される化合物の合成
四つ口フラスコに、スルホラン250部、フタルイミド20.2部、キノリン酸10.4部、尿素72.0部、塩化銅(II)・2水和物(純度97.0%)8.8部及びモリブデン酸アンモニウム1.0部を加え、液温を200℃まで上昇させ、同温度で5時間保持した。反応終了後反応液を65℃まで冷却し、そこにメタノール200部を投入し、析出した結晶を濾過分離した。得られた結晶をメタノール150部、続いて温水200部で洗浄、乾燥し、ウェットケーキ72.5部を得た。得られたウェットケーキ全量を5%塩酸500部中に投入し、液温を60℃に上昇させ、同温度で1時間保持した。析出した結晶を濾過分離し、水200部で洗浄した。次いで、得られたウェットケーキ全量を10%アンモニア水500部中に投入し、液温を60℃で1時間保持した。析出した結晶を濾過分離し、水300部、メタノール100部で洗浄し、ウェットケーキ33.3部を得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥し、標記式(6)のポルフィラジン化合物19.6部を青色結晶として得た。
(2)ポリリン酸(116%)40.3部中に実施例4−(1)で得たポルフィラジン化合物5.76部、o−スルホベンズイミド16.12部及びパラホルムアルデヒド2.64部を添加し、次いで液温を140℃まで上昇させた。140〜145℃において8時間反応を行った後、反応液を60℃まで冷却し、そこに水50部を加え、結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水150部で洗浄し、ウェットケーキ13.9部を得た。得られたウェットケーキを、水70部及び水酸化ナトリウム2.4部の混合液中に添加し、20〜25℃で6時間反応させた。反応液を濾過し、得られた濾液に36%塩酸を加え、濾液のpHを1に調整し結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水600部で洗浄、乾燥し、上記式(13)で表される色素6.25部を青色粉末として得た。
λmax:668.0nm、624.0nm(DMF中)
実施例5
下記式(14)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yが水素原子、Xがカルボニル、Lが3〜4であり、環A〜Dの全てがベンゼン環である色素)
Figure 2009005125
ポリリン酸(116%)40.3部中に銅フタロシアニン2.88部、フタルイミド3.22部及びパラホルムアルデヒド1.56部を添加し、次いで液温を140℃まで上昇させた。140〜145℃において8時間反応を行った後、反応液を60℃まで冷却し、そこに水50部を加え、結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水300部で洗浄し、ウェットケーキ17.3部を得た。得られたウェットケーキを、水140部及び水酸化ナトリウム2.4部の混合液中に添加し、20〜25℃で6時間反応させた。反応液を濾過し、得られた濾液に36%塩酸を加え、濾液のpHを1に調整し結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水300部で洗浄、乾燥し上記式(14)で表される色素6.11部を青色粉末として得た。
λmax:679.0nm、626.0nm(DMF中)
実施例6
下記式(15)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yが水素原子、Xがカルボニル、Lが4〜5であり、環A〜Dのうち1.5がピリジン環で残りがベンゼン環である色素)
式(15)
Figure 2009005125
(1)前記式(6)において、環A〜Dのうち1.5がピリジン環で残りがベンゼン環で表される化合物の合成
四つ口フラスコに、スルホラン250部、フタルイミド18.4部、キノリン酸12.5部、尿素72.0部、塩化銅(II)・2水和物(純度97.0%)8.8部、モリブデン酸アンモニウム1.0部を加え、200℃まで昇温し、同温度で5時間保持した。反応終了後65℃まで冷却し、そこにメタノール200部投入し、結晶を濾過した。得られた結晶をメタノール150部、続いて温水200部で洗浄、乾燥し、ウェットケーキ72.2部を得た。得られたウェットケーキ全量を5%塩酸500部中に投入し、60℃に昇温し、同温度で1時間保持した。結晶を濾過し水200部で洗浄した。次いで、得られたウェットケーキ全量を10%アンモニア水500部中に投入し、60℃で1時間保持し、結晶を濾過、水300部、メタノール100部で洗浄し、ウェットケーキ33.6部を得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥し、標題化合物19.8部を青色結晶として得た。
λmax:663.5nm(ピリジン中)
(2)ポリリン酸(116%)40.3部中に実施例6−(1)で得たポルフィラジン化合物2.89部、N−ヒドロキシメチルフタルイミド3.90部を添加し、次いで液温を140℃まで上昇させた。140〜145℃において8時間反応を行った後、反応液を60℃まで冷却し、そこに水50部を加え、結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水150部で洗浄し、ウェットケーキ13.9部を得た。得られたウェットケーキを、水70部及び水酸化ナトリウム2.4部の混合液中に添加し、20〜25℃で6時間反応させた。反応液を濾過し、得られた濾液に36%塩酸を加え、濾液のpHを1に調整し結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水600部で洗浄、乾燥し上記式(15)で表される色素6.25部を青色粉末として得た。
λmax:656.0nm、616.0nm(DMF中)
実施例7
下記式(16)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yがカルボキシル、Xがカルボニル、Lが3〜4であり、環A〜Dの全てがベンゼン環である色素)
式(16)
Figure 2009005125
ポリリン酸(116%)40.3部中に銅フタロシアニン2.88部、トリメリット酸イミド6.30部及びパラホルムアルデヒド0.99部を添加し、次いで液温を140℃まで上昇させた。140〜145℃において8時間反応を行った後、反応液を60℃まで冷却し、そこに水50部を加え、結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水300部で洗浄し、ウェットケーキ33.4部を得た。得られたウェットケーキを、水280部及び水酸化ナトリウム水溶液3.6部の混合液中に添加し、20〜25℃で6時間反応させた。反応液を濾過し、得られた濾液に36%塩酸を加え、濾液のpHを1に調整し結晶を析出させた。析出した結晶を濾過分離し、水300部で洗浄し、次いで乾燥して式(18)で表される色素6.3部を青色粉末として得た。
λmax:673.0nm、613.0nm(DMF中)
評価例
(A)インクの調製
上記実施例1で得られた本発明のフタロシアニン色素を用いて下記表2に示した組成比で混合して本発明のインク組成物とした後、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事により夾雑物を除き、本発明のインクを調製した。尚、水はイオン交換水を使用し、インク組成物のpHがおよそ9.5となるようにアンモニア水溶液で調整後、総量が100部になるように水を加えた。
また実施例2〜7で得られた本発明の色素についても上記と同様にしてインクを調製した。
Figure 2009005125
比較例1
比較例1として、色素成分として実施例1で得られたフタロシアニン化合物の代わりに、特許文献1の色素としてNo.1の色素(C.I.Direct Blue 86)を用いた以外は、上記表2と同様の組成比で比較用のインク組成物を調製し、評価を行った。比較用に用いた上記No.1の色素はフタロシアニン骨格中に、平均で2個のスルホン酸基を有するもので、その代表的な化合物は、下記式(19)(スルホン酸基の位置は3位)で表される。
式(19)
Figure 2009005125
比較例2
比較例2として、常法に従い、比較例1で用いた色素の塩交換を行うことにより上記式(19)で表される色素のナトリウムをアンモニウムに変換した色素を調製し、これを用いて上記と同様に比較用のインク組成物を調製し、評価を行った。
(B)インクジェットプリント
インクジェットプリンタ(キヤノン社製 商品名:PIXUS ip4100)を用いて、表3に示す3種類の普通紙にインクジェット記録を行った。インクジェット記録の際、チェック柄のパターン(濃度100%と0%の1.5mm角正方形を交互に組み合わせたパターン)を作成し、コントラストの高いシアン−ホワイトの印字物を得た。また、反射濃度が数段階の階調が得られるように画像パターンも作成し、シアン色の濃度諧調のあるグラデーションの印字物を得た。
耐水性試験の目視判断を行う際には、チェック柄の印刷物を用いた。
耐水性試験の色素残存率測定は、グラデーションの印字物を用い、試験前の印字物の反射濃度D値が1に最も近い部分について反射濃度の測定を行った。また、反射濃度は測色システム(SectroEye、GretagMacbeth社製)を用いて測定した。
記録画像の各種試験方法および試験結果の評価方法を以下に記載する。
表3
普通紙1
キヤノン社製
LBP PAPER LS−500
普通紙2
Hewlett Packard社製
Multipurpose Paper
普通紙3
Hewlett Packard社製
All−in−One Printing Paper
(C)印刷物のL*、a*、b*測定
プリントしたグラデーションの印字物中で、もっとも反射濃度が高い部分について上記測色システムを用いてL*、a*、b*値を測定した。実施例1〜6で得られた色素を含有する各インク組成物の結果を表4に、同様に比較例1の結果を表5に、比較例2の結果を表6にそれぞれ記す。また、目視による各実施例及び比較例のシアン色の色相も併せて記す。
表4
実施例1
L* a* b* 目視による色相
普通紙1 51.2 −37.4 −44.0 高鮮明
普通紙2 54.3 −34.6 −45.3 高鮮明
普通紙3 54.9 −34.0 −44.5 高鮮明

実施例2
L* a* b* 目視による色相
普通紙1 52.1 −35.3 −39.6 高鮮明
普通紙2 55.2 −32.4 −40.6 高鮮明
普通紙3 56.1 −32.2 −40.3 高鮮明

実施例3
L* a* b* 目視による色相
普通紙1 51.1 −30.5 −34.8 高鮮明
普通紙2 50.3 −31.4 −40.2 高鮮明
普通紙3 49.9 −32.2 −41.2 高鮮明

実施例4
L* a* b* 目視による色相
普通紙1 47.6 −22.6 −40.1 赤味
普通紙2 48.0 −23.3 −45.6 赤味
普通紙3 47.9 −23.5 −45.8 赤味

実施例5
L* a* b* 目視による色相
普通紙1 63.7 −30.0 −20.0 緑味
普通紙2 64.9 −30.3 −25.0 緑味
普通紙3 65.2 −30.2 −25.2 緑味

実施例6
L* a* b* 目視による色相
普通紙1 59.5 −18.2 −34.3 赤味
普通紙2 61.4 −16.1 −36.5 赤味
普通紙3 62.1 −15.7 −36.0 赤味

実施例7
L* a* b* 目視による色相
普通紙1 55.0 −29.2 −29.5 緑味
普通紙2 56.0 −28.5 −32.3 緑味
普通紙3 55.9 −29.1 −32.9 緑味

表5
比較例1
L* a* b* 目視による色相
普通紙1 45.9 −35.5 −42.9 赤味
普通紙2 47.8 −31.6 −49.7 赤味
普通紙3 48.6 −31.2 −49.7 赤味

表6
比較例2
L* a* b* 目視による色相
普通紙1 44.5 −35.6 −39.7 赤味
普通紙2 46.2 −31.3 −39.7 赤味
普通紙3 47.1 −31.0 −49.5 赤味
(D)耐水性試験1(滴下試験:滲み)
印刷後24時間乾燥を行ったチェック柄の印字物に対して、イオン交換水を1滴滴下し、そのまま自然乾燥した。乾燥後、パターンのにじみの程度を目視で評価し、以下の基準で3段階に評価した。
全く滲みが無い(どこに滴下したのか判別不可能)・・・・○
ほとんど滲みが無い(滴下場所は判別できる)・・・・・・△
明らかに滲んでいる・・・・・・・・・・・・・・・・・・×
結果を表7に示す。
(E)耐水性試験2(浸漬試験1:色落ち及び着色)
印刷後24時間乾燥を行ったチェック柄の印字物に対して、イオン交換水中に1時間浸漬した。乾燥後、パターンの着色部分の色落ち具合とホワイト部分の着色具合とを目視で評価し、以下の基準で3段階に評価した。
色落ちや着色が全く無い・・・・・・・・・・・・○
色落ちや着色がやや見られる・・・・・・・・・・△
明らかに色落ちや着色が見られる・・・・・・・・×
結果を表8に示す。
(E)耐水性試験3(浸漬試験2:色素残存率)
印刷後24時間乾燥を行ったグラデーションの印字物に対して、イオン交換水中に1時間浸漬した。乾燥後、反射濃度を前記の測色システムを用いて測色した。測定後、色素残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、以下の基準で3段階で評価した。
色素残存率が90%以上・・・・・・・・○
色素残存率が50%以上90%未満・・・△
色素残存率が50%未満・・・・・・・・×
結果を表9に示す。
表7 耐水性試験1(滲み)の結果

(普通紙1)(普通紙2)(普通紙3)
実施例1 △ ○ ○
実施例2 ○ ○ ○
実施例3 ○ ○ ○
実施例4 ○ ○ ○
実施例5 ○ ○ ○
実施例6 ○ ○ ○
実施例7 ○ ○ ○
比較例1 × × ×
比較例2 × × ×
表8 耐水性試験2(色落ち及び着色)の結果

(普通紙1)(普通紙2)(普通紙3)
実施例1 △ ○ ○
実施例2 ○ ○ ○
実施例3 ○ ○ ○
実施例4 ○ ○ ○
実施例5 ○ ○ ○
実施例6 ○ ○ ○
実施例7 ○ ○ ○
比較例1 × × ×
比較例2 × × ×
表9 耐水性試験3(色素残存率)の結果

(普通紙1)(普通紙2)(普通紙3)
実施例1 △ △ △
実施例2 ○ ○ ○
実施例3 ○ ○ ○
実施例4 ○ ○ ○
実施例5 ○ ○ ○
実施例6 ○ ○ ○
実施例7 ○ ○ ○
比較例1 × × △
比較例2 × × △
表7〜9の結果より明らかなように、比較例1及び2は、耐水性試験においては、にじみ(耐水性試験1)が明らかに認められ、色落や着色(耐水性試験2)も明らかに認められ、更に色素残存率においても、普通紙3の場合にやや良好であるのを除き、普通紙1及び2においては何れも色素残存率が50%未満と、いずれの試験において、耐水性が悪いことを示している。
これに対して本発明の実施例のインクは、耐水性試験1〜3のいずれの場合も、普通紙1〜3の全てにおいて、極めて良好(実施例1のもののみ、色素残存率においてやや良好)という結果が得られ、普通紙での耐水性が極めて高いことがわかる。
また、表4から明らかなように、本発明の上記一般式(1)で表される色素は、該式中のX及び環A〜Dを適宜選択することにより、得られる色素の色相に変化を与えることができる。すなわち、環A〜D全てがベンゼン環の場合、Xがスルホニル基であると、高鮮明かつ標準色に近いシアン色素が得られ、カルボニル基であると緑味の色相のシアン色素が得られる。また環A〜Dにピリジン環が含まれる場合(実施例4及び6)、Xがスルホニル基またはカルボニル基の何れであっても、赤味の色相のシアン色素が得られる。
従って、標準色に近いシアン色素、緑味のシアン色素、赤みのシアン色素など、目的に応じて、適宜構造を変えることにより、目的のシアン色素を得ることが出来る。
以上の結果から、本発明の水溶性フタロシアニン化合物はインクジェット記録用のインク組成物を調製するのに適しており、各種の堅牢性、特に耐水性に極めて優れ、また水溶解性が高く、良好で鮮明な色相を持つ。これらの特徴から、本発明のフタロシアニン化合物は各種の記録用インク色素、特にインクジェットインク用のシアン色の色素として非常に有用な化合物であることが明らかである。

Claims (14)

  1. 下記式(1)
    Figure 2009005125

    (式中、点線の環A〜Dは、それぞれ独立にベンゼン環またはピリジン環を表し、少なくとも1つ以上はベンゼン環であり、
    Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
    Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を表し、
    Yは水素原子;ニトロ基;水酸基;スルホ基;カルボキシル基;アミノ基(置換基として、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、から成る群から選択される1種又は2種以上の基を有しても良い);置換基としてアリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基及びハロゲン原子から成る群から選択される1種又は2種以上の基を有しても良い、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキルスルホニル基よりなる群から選ばれる基;置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子から成る群から選択される1種又は2種以上の置換基で置換されていてもよい、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基及びヘテロアリールスルホニル基よりなる群から選ばれる基;を表し、
    Lは2から8である、
    をそれぞれ表す)
    で表される色素またはその塩を含有するインク組成物。
  2. 式(1)で表される色素又はその塩が、下記式(111)
    Figure 2009005125

    (式中、Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
    Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を示し、
    Yは水素原子またはカルボキシル基を表し、
    Lは2から8であり、
    1からZ8はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表し、Z1とZ2、Z3とZ4、Z5とZ6、Z7とZ8の4つの組み合わせのうち、少なくとも1つは炭素原子同士の組合わせであり、かつ上記4つの組合わせのそれぞれにおいて両者がともに窒素原子となることはない)、
    で表される色素又はその塩である請求項1に記載のインク組成物。
  3. Mが銅原子である請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. さらに有機溶剤を含有する請求項1又は2に記載のインク組成物。
  5. インクジェット記録用である請求項1又は2に記載のインク組成物。
  6. インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インクとして請求項1又は2に記載のインク組成物またはそのインク組成物を含むインクセットを使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
  7. 被記録材が情報伝達用シートである請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  8. 請求項1又は2に記載のインク組成物を含有するインク容器。
  9. 請求項8に記載のインク容器を有するインクジェットプリンター。
  10. 請求項1又は2に記載のインクで着色された着色体。
  11. 下記式(2)
    Figure 2009005125

    (式(2)中、Lは2から8であり、
    1からZ8はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表し、Z1とZ2、Z3とZ4、Z5とZ6、Z7とZ8の4つの組み合わせのうち、少なくとも1つは炭素原子同士の組合わせであり、かつ上記4つの組合わせのそれぞれにおいて両者がとも窒素原子となることはない)
    で表される色素又はその塩。
  12. 請求項11に記載の色素又はその塩を含有するインク組成物。
  13. 更に有機溶剤を含有する請求項11に記載のインク組成物。
  14. 請求項11に記載の色素又はその塩、又は請求項12又は13に記載のインク組成物で着色された着色体。
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