JPWO2008146674A1 - 表示素子 - Google Patents

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勝也 岸波
竹山 朋子
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    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/15Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on an electrochromic effect
    • G02F1/1506Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on an electrochromic effect caused by electrodeposition, e.g. electrolytic deposition of an inorganic material on or close to an electrode

Abstract

本発明は、黒化銀を白化した際に消え残り現象による表示ムラが生じない優れた表示素子を提供する。この表示素子は、対向電極間に、少なくとも銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質層を有し、銀の溶解析出を生じさせるように該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該対向電極間に多孔質白色散乱層を有し、該多孔質白色散乱層は表示側電極に接するように配置され、該電解質層は、含有する該銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の1/5倍以上、5倍以下の還元反応速度を有するフェノチアジン化合物、ジアジン化合物、ビオロゲン化合物及びメタロセン化合物から選ばれる少なくとも1種の酸化還元反応性化合物を含有することを特徴とする。

Description

本発明は、銀の溶解析出を利用した電気化学的な表示素子に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は人間に優しい手段とは言い難く、一般に発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間読むと消費電力が嵩む等が知られている。
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない、いわゆる「メモリー性」を有する反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由で十分な性能を有しているとは言い難い。
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低く白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は電圧高いことと、メモリー性を向上させるために複雑なTFT回路が必要である等の課題を抱えている。また、電気泳動法による表示素子は、10V以上の高い電圧が必要となり、電気泳動性粒子凝集による耐久性に懸念がある。
これら上述の各方式の欠点を解消する表示方式として、エレクトロクロミック表示素子(以下、EC方式と略す)や金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション方式(以下、ED方式と略す)などの電気化学方式が知られている。EC方式は、3V以下の低電圧でフルカラー表示が可能で、簡易なセル構成、白品質で優れる等の利点があり、ED方式もまた、3V以下の低電圧で駆動が可能で、簡便なセル構成、黒と白のコントラストや黒品質に優れる等の利点があり、様々な方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のように、電気化学方式では、白色を呈するために対向電極間に着色剤を含有させることが広く行われている。より効果的に白色を呈するためには、着色剤を層状に含有させることが効果的であるが、着色剤の層により電荷の移動が妨げられることは好ましくないため、着色剤層を多孔質状に形成することが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、より明瞭な白を得るためには、このような白色散乱層が表示側の基板に接するように設けられていることが好ましいが、このような系では、画像書き換えの際に、白色散乱層と表示側電極との界面に、析出した銀の一部が溶解せずに残ってしまう、いわゆる「消え残り現象」が発生するという問題が生じることが判明した。
特開2003−241227号公報 特開2007−025219号公報
従って、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、黒化銀を白化した際に消え残り現象による表示ムラが生じない優れた表示素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.対向電極間に、少なくとも銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質層を有し、銀の溶解析出を生じさせるように該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該対向電極間に多孔質白色散乱層を有し、該多孔質白色散乱層は表示側電極に接するように配置され、該電解質層は、含有する該銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の1/5倍以上、5倍以下の還元反応速度を有するフェノチアジン化合物、ジアジン化合物、ビオロゲン化合物及びメタロセン化合物から選ばれる少なくとも1種の酸化還元反応性化合物を含有することを特徴とする表示素子。
2.前記フェノチアジン化合物が、下記一般式〔I〕で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の表示素子。
〔式中、V25乃至V32は、各々独立に水素原子または置換基を表す。V25乃至V32は、互いに結合して環を形成してもよい。また、Rと結合して環を形成してもよい。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。〕
3.前記一般式〔I〕におけるV25乃至V32、Rがいずれも水素原子であることを特徴とする前記2に記載の表示素子。
4.前記ビオロゲン化合物が、下記一般式〔II〕、〔III〕及び〔IV〕から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする前記1に記載の表示素子。
〔式中、V乃至V24はそれぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。R乃至Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。
乃至Lは、それぞれ独立にメチン基または窒素原子を表す。n1乃至n3は、それぞれ独立に3以下の整数を表す。
乃至Mは、それぞれ独立に電荷均衡対イオンを表し、m乃至mは、それぞれ独立に分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。〕
5.前記下記一般式〔II〕、〔III〕及び〔IV〕におけるV乃至V24がいずれも水素原子であり、n1乃至n3は、それぞれ独立に0または1であることを特徴とする前記4に記載の表示素子。
6.前記メタロセン化合物が、フェロセン化合物であることを特徴とする前記1に記載の表示素子。
7.前記電解質層が、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする前記1乃至6のいずれか1項に記載の表示素子。
〔式中、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表し、Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR1は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。〕
一般式(2)
2−S−R3
〔式中、R2、R3は各々アルキル基、アリール基または複素環基を表し、それぞれ同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して環を形成してもよい。〕
8.前記電解質層が、下記一般式(3)で表される化合物を含有することを特徴とする前記1乃至7のいずれか1項に記載の表示素子。
〔式中、Lは酸素原子またはCH2を表し、R1〜R4は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。〕
9.前記電解質層が、下記一般式(4)で表される化合物を含有することを特徴とする前記1乃至8のいずれか1項に記載の表示素子。
〔式中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、カルボニル基、カルボキシル基またはアリール基を表し、R2は水素原子またはアルキル基を表す。R1とR2はさらに置換基を有していてもよい。環は窒素原子を含む5〜6員環を表す。〕
10.前記対向電極間に、下記一般式(5)で表される化合物を含有することを特徴とする前記1乃至9のいずれか1項に記載の表示素子。
〔式中、R1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R2、R3は各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−R4、酸素原子または硫黄原子を表し、R4は水素原子、または置換基を表す。〕
11.前記対向電極間に、炭素−窒素の二重結合を部分構造として有する下記一般式(6)で表される有機配位子を少なくとも1個配位した金属錯体を含有することを特徴とする前記1乃至9のいずれか1項に記載の表示素子。
〔式中、R31、R32、R33及びR34は各々独立に、水素原子、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、これらの置換基は更に置換基を有していても良い。また、R31とR32、R32とR33及びR33とR34は各々互いに連結して芳香族または非芳香族の環状構造を形成しても良く、環上の任意の位置に置換基を有しても良い。〕
12.前記表示側電極は、前記多孔質白色散乱層に面する側の表面が多孔質構造を有することを特徴とする前記10または11に記載の表示素子。
13.前記対向電極間の距離が、10μm以上、60μm以下であることを特徴とする前記1乃至12のいずれか1項に記載の表示素子。
14.前記酸化還元反応性化合物の還元反応速度が、前記銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の0.8倍以上、1.5倍以下であることを特徴とする前記1乃至13のいずれか1項に記載の表示素子。
本発明により、黒化銀を白化した際に消え残り現象による表示ムラが生じない優れた表示素子を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
なお、本発明において、有機化合物の特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。
このような置換基をWとしたとき、Wで示される置換基としては、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基ともいう)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH))、ホスファト基(−OPO(OH))、スルファト基(−OSOH)、その他の公知の置換基、が例として挙げられる。
また、2つのWが共同して環(芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。)を形成することもできる。
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、−CONHSO−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SONHSO−基(スルフォニルスルファモイル基)、が挙げられる。より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、対向電極間に、少なくとも銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質を有し、銀の溶解析出を生じさせるように該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該対向電極間に多孔質白色散乱層を有し、該多孔質白色散乱層は表示側電極に接するように配置され、該電解質層は、含有する該銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の1/5倍以上、5倍以下の還元反応速度を有するフェノチアジン化合物、ジアジン化合物、ビオロゲン化合物及びメタロセン化合物から選ばれる少なくとも1種の酸化還元反応性化合物を含有することを特徴とする表示素子により、黒化銀を白化した際に表示ムラがなく、消去性に優れた表示素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、本発明で規定する構成により、対向電極間に白色散乱層を表示側電極に接するように配置し、電解質層を含ませ、電解質層に、銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の1/5倍〜5倍の還元反応速度を持ち、フェノチアジン化合物、ジアジン化合物、ビオロゲン化合物及びメタロセン化合物群から選ばれる少なくとも1種の酸化還元反応性化合物を含有させることにより、表示速度の向上と黒化銀を白化した際に表示ムラがなく、消去性に優れた表示素子を提供することができた。
なお、本発明でいう多孔質白色散乱層とは、例えば、酸化チタン等を樹脂、溶媒で分散した塗布液を塗布、乾燥して形成される様な固形で多孔質な白色層をいう。ここで、「多孔質」とは、層に微細な孔が多数存在し、電解質液がその孔の中を充填することによりイオンの移動が可能である状態となっていることをいう。
また、本発明でいう酸化反応速度あるいは還元反応速度は、銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀等が酸化(イオン化)反応する速度や、フェノチアジン化合物、ジアジン化合物、ビオロゲン化合物、メタロセン化合物等が還元反応する速度であり、例えば、クロノアンペロメトリー測定の電流−時間応答曲線等から算出して求めることができる。
本発明では、酸化反応速度あるいは還元反応速度の比を、以下の方法で算出する。
測定する化合物の10mM(ミリモル)アセトニトリル溶液を準備し、基準電極として、Ag/AgClを使いてサイクリックボルタンメトリー測定を行い、還元反応の電流値ピークを求める。同様にして、析出銀の溶解反応時の酸化反応の電流値ピークを得る。
正確な速度の算出には、更に細かい測定が必要であるが、実験的に、酸化還元反応の電流値ピークの値の大小が、反応速度の大小と関連していることを確認したため、化合物の還元反応の電流値ピークの絶対値と、析出銀の溶解反応である酸化反応の電流値ピークの絶対値との比を、酸化還元反応速度比として求めることとした。
〔対応電極〕
本発明の表示素子には、対向電極が用いられる。対抗電極としては、導電性を有する膜であれば、どのようなものを用いることもできる。金属電極としては、例えば、白金、金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の公知の金属種を用いることができる。
本発明の表示素子においては、金属電極は、必要に応じて2層以上の複数層からなる構成を取ってもよい。金属電極の最表面は、電極の耐久性の観点から高分子膜中に含まれる金属よりもイオン化傾向が小さい金属から形成されていることが好ましい。
電極の作製方法は、電解メッキ法、無電解メッキ法、置換メッキ法、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、CVD法等の既存の方法を用いることができる。
また、本発明の表示素子は、対向電極の少なくとも1種が透明電極であることが好ましい。透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
〔多孔質白色散乱層〕
本発明の表示素子は、対向電極間に白色散乱物質を含む多孔質白色散乱層を有することを特徴の1つとする。
本発明に係る多孔質白色散乱層が含有する白色散乱物質(白色粒子ともいう)として、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラスなど、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
本発明においては、上記白色粒子の中でも、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好ましく用いられる。また、無機酸化物(Al23、AlO(OH)、SiO2等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えて、トリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンを用いることができる。
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンを用いることがより好ましい。
また、多孔質白色散乱層を形成する場合、電解質中に実質的に溶解しない水溶性高分子と、上記白色散乱物質との水混和物を塗布、乾燥して形成することができる。
本発明に係る電解質溶媒に実質的に溶解しない水溶性高分子としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル器変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ゼラチン及びゼラチン誘導体、または、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体を好ましく用いることができる。
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、重量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
本発明に係る水溶性高分子と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水溶性高分子/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
本発明に係る水溶性高分子と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示素子の対向電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、対向電極の少なくとも1方の電極面上に付与することが好ましい。媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができ、例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
本発明に係る媒体上に付与した水溶性高分子と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
本発明の表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬化剤により水溶性高分子の硬化反応を行うことが好ましい。
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水溶性高分子としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、水溶性高分子1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。
多孔質白色散乱層の膜厚(=対向電極間ギャップ)は、通常は100μm以下程度が考えられるが、本発明に係る多孔質白色散乱層においては、10μm以上、60μm以下であることが好ましい。さらには、10μm以上、30μm以下が好ましい。
〔電解質層〕
本発明に係る電解質層は、層内をイオンあるいは電荷が移動することで、電気化学反応性化合物の電気化学反応を生じさせることができる層であり、電解質層には、必要に応じ、電解質、溶媒、その他添加剤等を含ませることができる。
〔電解質〕
本発明でいう「電解質」とは、一般に、水などの溶媒に溶けて溶液がイオン伝導性を示す物質(以下、「狭義の電解質」という。)をいうが、本発明の説明においては、狭義の電解質に電解質、非電解質を問わず他の金属、化合物等を含有させた混合物を電解質(「広義の電解質」という)をいう。
本発明に係る対向電極間に含まれる電解質層は、銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の1/5〜5倍の還元反応速度を有し、フェノチアジン化合物、ジアジン化合物、ビオロゲン化合物及びメタロセン化合物群から選ばれる少なくとも1種の酸化還元反応性化合物(詳細は、後述する)を含むことを特徴の1つとする。
ここで、酸化還元反応性化合物の還元反応速度が、銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の1/5倍以上、5倍以下であれば、銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応を促進することができ、すなわち、析出銀(黒化銀)の溶解(白化)が促進されるため、黒化銀の消え残りが改善され、黒化銀を白化した際の表示ムラを抑制し、優れた消去性を得ることができる。
ここで該化合物の還元反応速度が銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の1/5倍より小さいと黒化銀の白化が不十分となり、表示ムラが起きやすくなる。該化合物の還元反応速度が銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の5倍より大きいと黒化銀の溶解には効果が高いものの、銀の析出、すなわち黒化銀の形成による画像表示を阻害するという悪影響が生じ、発色濃度が低下するなどの問題が起こることがわかった。このような化合物は、フェノチアジン、ジアジン、ビオロゲン、メタロセン化合物類に多く確認され、これらから選ばれることがより望ましい。
更に、該化合物の還元反応速度が銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の0.8倍以上1.5倍以下であることがより好ましい。
本発明に係る酸化還元反応性化合物の含有量は適宜決めることができるが、銀または銀を化学構造中に含む化合物の含有量に対して1/200〜1/10であることが好ましい。
本発明に係る酸化還元反応性化合物は、その還元反応速度が、銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の1/5倍以上、5倍以下である、フェノチアジン化合物、ジアジン化合物、ビオロゲン化合物及びメタロセン化合物群から選ばれる。
(フェノチアジン化合物)
本発明に用いられるフェノチアジン化合物は、特に、下記一般式〔I〕で表される化合物であることが好ましい。
は水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基であり、好ましくはアルキル基、アリール基、及び複素環基であり、さらに好ましくはアルキル基、及びアリール基であり、特に好ましくはアルキル基である。R〜Rとして表されるアルキル基、アリール基、及び複素環基として、具体的には、例えば、好ましくは炭素原子1から18、さらに好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル)、好ましくは炭素原子1から18、さらに好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の置換アルキル基(例えば、置換基として前述のWが置換したアルキル基)が挙げられる。
具体的には、好ましくはアラルキル基(例えばベンジル、2−フェニルエチル、2−(4−ビフェニル)エチル、2−スルホベンジル、4−スルホベンジル、4−スルホフェネチル、4−ホスホベンジル、4−カルボキシベンジル)、不飽和炭化水素基(例えば、アリル基、ビニル基、すなわち、ここでは置換アルキル基にアルケニル基、アルキニル基も含まれることとする。)、ヒドロキシアルキル基(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル)、カルボキシアルキル基(例えば、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル)、ホスファトアルキル基(例えば、ホスファトメチル、2−ホスファトエチル、3−ホスファトプロピル、4−ホスファトブチル)、ホスホノアルキル基(例えば、ホスホノメチル、2−ホスホノエチル、3−ホスホノプロピル、4−ホスホノブチル)、アルコキシアルキル基(例えば、2−メトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、アリーロキシアルキル基(例えば、2−フェノキシエチル、2−(4−ビフェニロキシ)エチル、2−(1−ナフトキシ)エチル、2−(4−スルホフェノキシ)エチル、2−(2−ホスホフェノキシ)エチル)、アルコキシカルボニルアルキル基(例えば、エトキシカルボニルメチル、2−ベンジルオキシカルボニルエチル)、アリーロキシカルボニルアルキル基(例えば、3−フェノキシカルボニルプロピル、3−スルホフェノキシカルボニルプロピル)、アシルオキシアルキル基(例えば、2−アセチルオキシエチル)、アシルアルキル基(例えば、2−アセチルエチル)、カルバモイルアルキル基(例えば、2−モルホリノカルボニルエチル)、スルファモイルアルキル基(例えば、N,N−ジメチルスルファモイルメチル)、スルホアルキル基(例えば、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、4−スルホブチル、2−[3−スルホプロポキシ]エチル、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル、3−スルホプロポキシエトキシエチル、3−フェニル−3−スルホプロピル、4−フェニル−4−スルホブチル、3−(2−ピリジル)−3−スルホプロピル)、スルホアルケニル基、スルファトアルキル基(例えば、2−スルファトエチル基、3−スルファトプロピル、4−スルファトブチル)、複素環置換アルキル基(例えば、2−(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチル、2−(2−ピリジル)エチル、テトラヒドロフルフリル、3−ピリジニオプロピル)、アルキルスルホニルカルバモイルアルキル基(例えば、メタンスルホニルカルバモイルメチル基)、アシルカルバモイルアルキル基(例えば、アセチルカルバモイルメチル基)、アシルスルファモイルアルキル基(例えば、アセチルスルファモイルメチル基)、アルキルスルフォニルスルファモイルアルキル基(例えば、メタンスルフォニルスルファモイルメチル基)、アンモニオアルキル基(例えば、3−(トリメチルアンモニオ)プロピル、3−アンモニオプロピル)、アミノアルキル基(例えば、3−アミノプロピル、3−(ジメチルアミノ)プロピル、4−(メチルアミノ)ブチル、グアニジノアルキル基(例えば、4−グアニジノブチル)}、炭素数6から20の、置換または無置換アリール基(置換アリール基としては例えば、置換基の例として挙げた前述のWが置換したアリール基が挙げられる。
特に、V25乃至V32、Rがいずれも水素原子であるフェノチアジンがより好ましい。
(ビオロゲン化合物)
本発明に用いられるビオロゲン化合物は、下記一般式〔II〕、〔III〕および〔IV〕から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
乃至V24はそれぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表すが、置換基としては、具体的には、好ましくはアラルキル基(例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、2−(4−ビフェニル)エチル、2−スルホベンジル、4−スルホベンジル、4−スルホフェネチル、4−ホスホベンジル、4−カルボキシベンジル)、不飽和炭化水素基(例えば、アリル基、ビニル基、すなわち、ここでは置換アルキル基にアルケニル基、アルキニル基も含まれることとする。)、ヒドロキシアルキル基(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル)、カルボキシアルキル基(例えば、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル)、ホスファトアルキル基(例えば、ホスファトメチル、2−ホスファトエチル、3−ホスファトプロピル、4−ホスファトブチル)、ホスホノアルキル基(例えば、ホスホノメチル、2−ホスホノエチル、3−ホスホノプロピル、4−ホスホノブチル)、アルコキシアルキル基(例えば、2−メトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、アリーロキシアルキル基(例えば、2−フェノキシエチル、2−(4−ビフェニロキシ)エチル、2−(1−ナフトキシ)エチル、2−(4−スルホフェノキシ)エチル、2−(2−ホスホフェノキシ)エチル)、アルコキシカルボニルアルキル基(例えば、エトキシカルボニルメチル、2−ベンジルオキシカルボニルエチル)、アリーロキシカルボニルアルキル基(例えば、3−フェノキシカルボニルプロピル、3−スルホフェノキシカルボニルプロピル)、アシルオキシアルキル基(例えば、2−アセチルオキシエチル)、アシルアルキル基(例えば、2−アセチルエチル)、カルバモイルアルキル基(例えば、2−モルホリノカルボニルエチル)、スルファモイルアルキル基(例えば、N,N−ジメチルスルファモイルメチル)、スルホアルキル基(例えば、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、4−スルホブチル、2−[3−スルホプロポキシ]エチル、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル、3−スルホプロポキシエトキシエチル、3−フェニル−3−スルホプロピル、4−フェニル−4−スルホブチル、3−(2−ピリジル)−3−スルホプロピル)、スルホアルケニル基、スルファトアルキル基(例えば、2−スルファトエチル基、3−スルファトプロピル、4−スルファトブチル)、複素環置換アルキル基(例えば、2−(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチル、2−(2−ピリジル)エチル、テトラヒドロフルフリル、3−ピリジニオプロピル)、アルキルスルホニルカルバモイルアルキル基(例えば、メタンスルホニルカルバモイルメチル基)、アシルカルバモイルアルキル基(例えば、アセチルカルバモイルメチル基)、アシルスルファモイルアルキル基(例えば、アセチルスルファモイルメチル基)、アルキルスルフォニルスルファモイルアルキル基(例えば、メタンスルフォニルスルファモイルメチル基)、アンモニオアルキル基(例えば、3−(トリメチルアンモニオ)プロピル、3−アンモニオプロピル)、アミノアルキル基(例えば、3−アミノプロピル、3−(ジメチルアミノ)プロピル、4−(メチルアミノ)ブチル、グアニジノアルキル基(例えば、4−グアニジノブチル)}、炭素数6から20の、置換または無置換アリール基(置換アリール基としては例えば、置換基の例として挙げた前述のWが置換したアリール基が挙げられる。
特に、V1乃至V24がいずれも水素原子であり、n1乃至n3は、それぞれ独立に0または1であるビオロゲン化合物がより好ましい。
(メタロセン化合物)
本発明に用いられるメタロセン化合物としては、フェロセン化合物、ニッケロセン化合物、コバルトセン化合物等が挙げられる。好ましくは、フェロセン、カルボキシフェロセン、ベンゾイルフェロセン、メチルフェロセン、ジメチルフェロセン、エチルフェロセン、プロピルフェロセン、n−ブチルフェロセン、t−ブチルフェロセン等のフェロセン化合物であり、中でもフェロセンが好ましい。
〔銀または銀を化学構造中に含む化合物〕
本発明に用いられる銀または銀を化学構造中に含む化合物としては、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができる。これらの中でハロゲンやカルボン酸や銀との配位性を有する窒素原子を有しない化合物を銀塩として用いるのが好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸銀が好ましい。
本発明に係る電解質に含まれる銀イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Ag]≦2.0モル/kgが好ましい。銀イオン濃度が0.2モル/kg以上であれば、銀濃度として十分な銀溶液となり、所望の駆動速度を得ることができ、2モル/kg以下であれば十分な溶解性を維持することができ、低温保存時での析出を抑制することができる。
本発明の表示素子においては、電解質に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Ag](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
式(1)
0≦[X]/[Ag]≦0.01
本発明でいうハロゲン原子とは、ヨウ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のことをいう。[X]/[Ag]が0.01よりも大きい場合は、銀の酸化還元反応時に、X−→X2が生じ、X2は黒化銀と容易にクロス酸化して黒化銀を溶解させ、メモリー性を低下させる要因の1つになるので、ハロゲン原子のモル濃度は銀のモル濃度に対してできるだけ低い方が好ましい。本発明においては、0≦[X]/[Ag]≦0.001がより好ましい。
〔メルカプト系化合物、チオエーテル系化合物〕
本発明に係る電解質では、メルカプト系化合物またはチオエーテル系化合物を含有していることが好ましく、更には、メルカプト系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であること、あるいはチオエーテル系化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(1)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表し、Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR1は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
一般式(2)
2−S−R3
上記一般式(2)において、R2、R3は各々アルキル基、アリール基または複素環基を表し、それぞれ同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して環を形成してもよい。
本発明に係る前記一般式(1)で表されるメルカプト系化合物について説明する。
前記一般式(1)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR1は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
一般式(1)のMで表される金属原子としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Ag等が挙げられ、4級アンモニウムとしては、例えば、NH4、N(CH34、N(C494、N(CH331225、N(CH331633、N(CH33CH265等が挙げられる。
一般式(1)のZで表される含窒素複素環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトオキサゾール環等が挙げられる。
一般式(1)のR1で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等の各基が挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル等の各基が挙げられ、アルキルカルボンアミド基としては、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ等の各基が挙げられ、アリールカルボンアミド基としては、例えば、ベンゾイルアミノ等が挙げられ、アルキルスルホンアミド基としては、例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基等が挙げられ、アリールスルホンアミド基としては、例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ等が挙げられ、アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等の各基が挙げられ、アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等が挙げられ、アルキルカルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル等の各基が挙げられ、アリールカルバモイル基としては、例えば、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等の各基が挙げられ、アルキルスルファモイル基としては、例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル等の各基が挙げられ、アリールスルファモイル基としては、例えば、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等の各基が挙げられ、アルキルスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等が挙げられ、アリールスルホニル基としては、例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等の各基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等の各基が挙げられ、アリールオキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル等が挙げられ、アルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等の各基が挙げられ、アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等が挙げられ、アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ等の各基が挙げられ、複素環基としては、例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
次に、一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されているわけではない。
次いで、前記一般式(2)で表されるチオエーテル系化合物について説明する。
前記一般式(2)において、R2、R3は各々アルキル基、アリール基または複素環基を表し、それぞれ同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して環を形成してもよい。
前記一般式(2)のR2、R3で表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等の各基が挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、例えば、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズイミダゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
次に、一般式(2)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されているわけではない。
メルカプト系化合物またはチオエーテル系化合物は、1種のみで用いても複数種を併用して用いてもよく、電解質層のAgイオンのモル数に対するメルカプト系化合物及びチオエーテル系化合物の合計のモル数が0.2〜2の範囲にあることが好ましい。
〔有機溶媒〕
本発明の表示素子に適用可能な有機溶媒としては、電解質を形成した後、揮発を起こさず電解質に留まることができる沸点が120〜300℃の範囲にある有機溶媒であれば特に制限はなく、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリクレジルホスフェート、2エチルヘキシルホスフェート、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート等をあげることができる。
上記有機溶媒の中でも、前記一般式(3)で表される環状カルボン酸エステル系化合物が、好ましく用いられる。このような化合物としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
また、前記一般式(4)で表される環状アミド系化合物も好ましく用いることができる。前記一般式(4)において、Rはアルキル基であることが好ましく、環はピペリジン環、ピロリジン環が好ましい。
以下に、本発明に係る一般式(4)で表される化合物の代表的な具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
本発明で用いることのできるその他の溶媒として、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electorlytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
〔エレクトロクロミック性化合物〕
本発明において、エレクトロクロミック性化合物を用いることができる。本発明の表示素子にエレクトロクロミック性化合物を含有させることにより、銀の析出及び溶解による白黒表示だけでなく、エレクトロクロミック性化合物の着色及び消色による色表示を行うことができ、一つの素子で、白、黒、黒以外の発色の3色を呈することが可能となる。具体的な化合物としては、「エレクトロクロミックディスプレイ」(平成3年6月28日刊、産業図書株式会社)pp27−124、「クロミック材料の開発」(2000年11月15日刊、株式会社シーエムシー)pp81−95等に記載の化合物を挙げることができる。特にエレクトロクロミック性化合物が酸化着色性の化合物である場合、黒化銀の溶解反応を補助する現象が確認されている。
このような、本発明においてより好ましく用いることができるエレクトロクロミック性化合物としては、前記一般式(5)で表される化合物を用いることができる。
以下に、一般式(5)で表されるエレクトロクロミック化合物の具体的化合物例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
また、前記一般式(6)で表される化合物を用いることもできる。
前記一般式(6)において、R31、R32、R33及びR34は、各々独立に水素原子、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、これらの置換基は更に置換基を有していても良い。また、R31とR32、R32とR33及びR33とR34は、各々互いに連結して芳香族、または非芳香族の環状構造を形成しても良く、環状構造上の任意の位置に置換基を有しても良い。
31とR32、R32とR33またはR33とR34は、各々互いに連結して芳香族または非芳香族の環状構造を形成した化合物が好ましい。
31とR32が互いに連結して環状構造を形成する場合、本発明に係る炭素−窒素の二重結合を部分構造として有する有機配位子は、下記一般式(6A)で表されることが好ましい。
上記一般式(6A)において、R33及びR34は、それぞれ一般式(6)におけるそれぞれと同義であり、ZはC=Nと共に、環状構造を形成するのに必要な原子群を表す。また、これら環状構造は、置換可能な任意の位置に置換基を有していても良い。これら環構構造としては、芳香族複素環構造が好ましい。
以下に置換基を省略した環状構造骨格の具体例を例示するが、これらに限定されるものでは無い。なお、以下に示す各環状構造骨格において、*は結合位置を表す。
また、上記一般式(6)において、R31とR32及びR33とR34が互いに連結して環状構造を形成する場合、本発明に係る炭素−窒素の二重結合を部分構造として有する有機配位子が、下記一般式(6B)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(6B)において、Z1、Z2はそれぞれC=Nと共に、環状構造を形成するのに必要な原子群を表す。また、一般式(6B)で表される化合物の2つの環状構造上の置換可能な任意の位置には、置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限は無く、上記一般式(6)の具体的な環状構造として示した置換基であってもよい。
また、上記一般式(6)において、R32とR33が互いに連結して環状構造を形成する場合、本発明に係る炭素−窒素の二重結合を部分構造として有する有機配位子が、下記一般式(6C)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(6C)において、R31及びR34は、それぞれ一般式(6)におけるそれらと同義であり、Z3は2個の炭素原子と共に、環状構造を形成するのに必要な原子群を表す。また、この環状造は置換可能な任意の位置に置換基を有していても良い。
上記一般式(6A)〜(6C)の中でも、特に好ましいのは、下記一般式(6D)または一般式(6E)で表される化合物である。
上記一般式(6D)において、R31、R34は、それぞれ一般式(6)におけるそれらと同義である。また、一般式(6)におけるR41、R42は、それぞれ置換基を有しても良いアルキル基を表す。
本発明に係る炭素−窒素の二重結合を部分構造として有する有機配位子は、電極表面との密着性や膜の耐久性の観点から、電極と化学的または物理的に吸着する吸着性基を少なくとも1個有していることが好ましい。
本発明に係る化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、本発明に係る物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。
本発明の吸着性基は化学吸着性の基である方が好ましく、化学吸着する吸着性基の例としては、−COOH、−P−O(OH)2、−OP=O(OH)2及び−Si(OR)3(Rは、アルキル基を表す)が挙げられる。
以下、本発明に係る炭素−窒素の二重結合を部分構造として有する有機配位子と、更に電極表面と化学吸着または物理吸着する吸着性基を有している該有機配位子の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
次いで、本発明に用いられる炭素−窒素の二重結合を部分構造として有する有機配位子が少なくとも1個配位した金属錯体の例を示すが、これらに限定されるものではない。表中、Mは中心金属、Lは有機配位子、nは配位子の数、Aは電荷を中和するための対塩を表す。
〔ナノ多孔質電極〕
エレクトロクロミック性化合物が含有される場合、表示側電極の、多孔質白色散乱層と接する側の一部が、多孔質構造を有することが好ましい。孔としては、ナノサイズのものが好ましい。以下、多孔質構造を有する電極をナノ多孔質電極と称する。
本発明に係るナノ多孔質電極を構成する材料の主成分は、Cu、Al、Pt、Ag、Pd、Au等の金属やITO、SnO2、TiO2、ZnO等の金属酸化物やカーボンナノチューブ、グラッシーカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、窒素含有カーボン等の炭素電極から選択することができ、好ましくは、ITO、SnO2、TiO2、ZnO等の金属酸化物から選択されることである。
ナノ多孔質電極を形成する基板は、ガラス、プラスチック樹脂のどちらでも用いることができ、またガラスまたはプラスチック樹脂上に金属または酸化物半導体の導電性層を形成した後に、本発明に係るナノ多孔質層が形成されていても良い。
本発明でいう多孔質とは、ナノ多孔質電極上に、電解質を与えた後にもう一方の電極で挟み込み、対向電極間に電位差を与え、ナノ多孔質電極内で金属錯体部に含まれる金属の酸化還元反応や電解質中に含まれる金属の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種がナノ多孔質電極内を移動可能な状態のことを言う。
〔イオン性液体〕
本発明に係る電解質には、イオン性液体を含有させることが好ましい。本発明でいうイオン性液体とは、室温でも液体で存在する塩を指し、イミダゾリウム、ピリジニウム等の陽イオンと、フッ化物イオンやトリフラート等の陰イオンの組合せから選択することができる。
本発明においては、電解質に用いるイオン性液体として、下記一般式(A)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(A)において、X及びYは、各々炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一であっても異なっていてもよい。k及びiは、各々0または1〜4の正整数を、n及びmは、各々3〜7の正整数を表し、Aは酸成分を表す。
上記一般式(A)において、X及びYの炭素数が5以上、k及びiが5以上、または、n及びmが8以上の場合には、スピロアンモニウム化合物塩のイオン導電性が低下するため、好ましくない。
一般式(A)において、スピロアンモニウム化合物塩のカチオンとしては、例えば、スピロ−(1,1′)−ビアザシクロブチルイオン、アザシクロペンタン−1−スピロ−1′−アザシクロブチルイオン、アザシクロヘキサン−1−スピロ−1′−アザシクロブチルイオン、アザシクロヘプタン−1−スピロ−1′−アザシクロブチルイオン、アザシクロオクタン−1−スピロ−1′−アザシクロブチルイオン、スピロ−(1,1′)−ビアザシクロペンチルイオン、アザシクロヘキサン−1−スピロ−1′−アザシクロペンチルイオン、アザシクロヘプタン−1−スピロ−1′−アザシクロペンチルイオン、アザシクロオクタン−1−スピロ−1′−アザシクロペンチルイオン、スピロ−(1,1′)−ビアザシクロヘキシルイオン、アザシクロヘプタン−1−スピロ−1′−アザシクロヘキシルイオン、アザシクロオクタン−1−スピロ−1′−アザシクロヘキシルイオン、スピロ−(1,1′)−ビアザシクロヘプチルイオン、アザシクロオクタン−1−スピロ−1′−アザシクロヘプチルイオン、スピロ−(1,1′)−ビアザシクロオクチルイオンが挙げられる。
一般式(A)において、Aは酸成分を表し、例えば、過塩素酸イオン(ClO4 -)、フッ素イオン(F-)、塩素イオン(Cl-)、臭素イオン(Br-)、ヨウ素イオン(I-)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF6 -)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 -)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)、トリフルオロ酢酸イオン(CF3CO2 -)、ビストリフルオロメタンスルフォニルイミドイオン((CF3SO22-)、ペルフルオロブタンスルホン酸イオン(C49SO3 -)、トリストリフルオロメタンスルフォニルメチドイオン((CF3SO23-)、ジシアナミドイオン((CN)2-)等が挙げられる。
本発明に係る一般式(A)で表されるスピロアンモニウム化合物塩は、以下の製造方法により得られる。
まず、イソプロピルアルコール溶媒中、炭酸カリウム存在下でアザシクロアルカンに両末端を臭素化させたジブロモアルカンを作用させてスピロアンモニウムブロマイドを得、次に該ブロマイドを水またはアルコール中で電気透析により脱塩させて水酸化スピロアンモニウム溶液を得る。次いで、得られた水酸化スピロアンモニウム溶液に、一般式〔1〕中のAに対応する酸成分を、等モル量添加して、中和反応させた後、減圧下で脱水させて、目的とするスピロアンモニウム化合物塩を得ることができる。
一般式(A)で表される化合物の電解液への好ましい添加量は、0.1質量%以上、10質量%以下である。0.1質量%以上であれば、本発明の向上効果を発揮し、また10質量%以下であれば、電解液での低温析出を生じることが無く、安定した状態で電解質中に存在させることができる。
〔電解質添加の増粘剤〕
本発明の表示素子においては、電解質に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
〔電子絶縁層〕
本発明の表示素子においては、電気絶縁層を設けることができる。本発明に適用可能な電子絶縁層は、イオン電導性、電子絶縁性を合わせて有する層であればよく、例えば、極性基を有する高分子や塩をフィルム状にした固体電解質膜、電子絶縁性の高い多孔質膜とその空隙に電解質を担持する擬固体電解質膜、空隙を有する高分子多孔質膜、含ケイ素化合物の様な比誘電率が低い無機材料の多孔質体、等が挙げられる。
多孔質膜の形成方法としては、焼結法(融着法)(高分子微粒子や無機粒子を、バインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶媒に可溶な有機物又は無機物類と溶媒に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶媒で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気するなどして発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。具体的には、特開平10−30181号、特開2003−107626号、特公平7−95403号、特許第2635715号、同第2849523号、同第2987474号、同第3066426号、同第3464513号、同第3483644号、同第3535942号、同第3062203号等に記載の電子絶縁層を挙げることができる。
〔その他の添加剤〕
本発明の表示素子の構成層には、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を設けることができ、これらの補助層中には、各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶媒、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を以下に掲載した。
添加剤 RD17643 RD18716 RD308119
頁 分類 頁 分類 頁 分類
化学増感剤 23 III 648右上 96 III
増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV
減感色素 23 IV 998 IV
染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII
現像促進剤 29 XXI 648右上
カブリ抑制剤・安定剤
24 IV 649右上 1006〜7 VI
増白剤 24 V 998 V
硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X
界面活性剤 26〜7 XI 650右 1005〜6 XI
帯電防止剤 27 XII 650右 1006〜7XIII
可塑剤 27 XII 650右 1006 XII
スベリ剤 27 XII
マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI
バインダ 26 XXII 1003〜4 IX
支持体 28 XVII 1009 XVII
〔基板〕
本発明の表示素子で用いることのできる基板としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
〔表示素子のその他の構成要素〕
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
本発明の表示素子に適用するスペーサーとは、対向電極間のギャップを制御するための微粒子であり、例えば、液晶ディスプレイ等に使用されているガラス製またはアクリル樹脂製またはシリカ製等の微小真球を使用することができる。平均粒径は、電解質中での分散安定性またはスクリーン印刷適性または表示素子特性の観点から、10μm以上、50μm以下の範囲にあることが好ましい。
このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
〔スクリーン印刷〕
本発明においては、シール剤、柱状構造物、電極パターン等をスクリーン印刷法で形成することもできる。スクリーン印刷法は、所定のパターンが形成されたスクリーンを基板の電極面上に被せ、スクリーン上に印刷材料(柱状構造物形成のための組成物、例えば、光硬化性樹脂など)を載せる。そして、スキージを所定の圧力、角度、速度で移動させる。これによって、印刷材料がスクリーンのパターンを介して該基板上に転写される。次に、転写された材料を加熱硬化、乾燥させる。スクリーン印刷法で柱状構造物を形成する場合、樹脂材料は光硬化性樹脂に限られず、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂も使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、ポリビニールケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂等が挙げられる。樹脂材料は樹脂を適当な溶媒に溶解するなどしてペースト状にして用いることが望ましい。
以上のようにして柱状構造物等を基板上に形成した後は、所望によりスペーサーを少なくとも一方の基板上に付与し、一対の基板を電極形成面を対向させて重ね合わせ、空セルを形成する。重ね合わせた一対の基板を両側から加圧しながら加熱することにより、貼り合わせて、表示セルが得られる。表示素子とするには、基板間に電解質組成物を真空注入法等によって注入すればよい。あるいは、基板を貼り合わせる際に、一方の基板に電解質組成物を滴下しておき、基板の貼り合わせと同時に液晶組成物を封入するようにしてもよい。
〔表示素子駆動方法〕
本発明の表示素子においては、析出過電圧以上の電圧印加で黒化銀を析出させ、析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続させる駆動操作を行なうことが好ましい。この駆動操作を行なうことにより、書き込みエネルギーの低下や、駆動回路負荷の低減や、画面としての書き込み速度を向上させることができる。一般に電気化学分野の電極反応において過電圧が存在することは公知である。例えば、過電圧については「電子移動の化学−電気化学入門」(1996年 朝倉書店刊)の121ページに詳しい解説がある。本発明の表示素子も電極と電解質中の銀との電極反応と見なすことができるので、銀溶解析出においても過電圧が存在することは容易に理解できる。過電圧の大きさは交換電流密度が支配するので、本発明のように黒化銀が生成した後に析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続できるということは、黒化銀表面の方が余分な電気エネルギーが少なく容易に電子注入が行なえると推定される。
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
〔商品適用〕
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《電解質液の調製》
(電解質液1の調製)
ジメチルスルホキシドの1.0gと下記化合物1の1.5gとの混合液中に、下記銀塩化合物1を100mgと下記化合物2(例示化合物1−12)を200mg加えて溶解して得られた液に、酸化還元反応性化合物としてフェノチアジンを10mg添加、混合した後、加熱溶解して、電解質液1を得た。
(電解質液2〜11の調製)
上記電解質液1の調製において、酸化還元反応性化合物を表1に記載の化合物に変更した以外は同様にして、電解質液2〜11を得た。なお、各添加剤の添加量は、上記電界質液1に準じている。
《白色粒子分散液の調製》
ポリビニルアルコール(重量平均分子量3,000)を2質量%を含む水溶液中に、酸化チタンを20質量%相当量添加した後、超音波分散機で分散させて白色分散液を得た。
《電極の作製》
(電極1の作製)
厚さ1.5mmで10cm×10cmのガラス基板上に、ピッチ145μm、電極幅130μmのITO膜を公知の方法に従って形成して、透明電極である電極1を得た。
(電極2の作製)
厚さ1.5mmで10cm×10cmのガラス基板上に、公知の方法を用いて、電極厚み0.8μm、ピッチ145μm、電極間隔130μmの銀−パラジウム電極を形成して、電極2を得た。
《表示素子の作製》
(表示素子1の作製:本発明)
電極2の周辺部を、平均粒径が20μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りし、この電極2上に、上記白色分散液をブレードコーターで塗布して、80℃で3分間乾燥、表1記載の膜厚(電極間ギャップ)の白色散乱層を得た。次に、電極2と電極1とを貼り合わせ、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子1を作製した。この表示素子1は、対向電極間の全てが、多孔質白色散乱層で形成され、その空隙部に電解質液1が充填された状態となっている。
(表示素子2〜11の作製)
上記表示素子1の作製において、電極間ギャップに注入する電解質液1を、それぞれ電解質液2〜11に変更した以外は同様にして、本発明の表示素子2〜8、比較例の表示素子9〜11を作製した。なお、表示素子7の作製においては、周辺部を平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした電極2を用いた。また、表示素子9の作製においては、周辺部を平均粒径が70μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした電極2を用いた。
《表示素子の評価》
(表示速度の評価)
上記で作製した各表示素子に1.5Vの電圧を1.5秒間印加して白色を表示させた後に、−1.5Vの電圧を0.5秒間印加させてグレーを表示させ、550nmでの反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定した。測定した反射率をRGrayとし、RGrayを表示速度の指標とした。対象表示素子のRGray値/表示素子9のRGray値を算出し、これをRGray*とした。RGray*が低いほど表示素子の相対表示速度が速いことを示す。
(表示ムラ耐性(消去性)の評価)
上記で作製した各表示素子に1.5Vの電圧を1.5秒間印加して白色を表示させた後に、−1.5Vの電圧を1.0秒間印加させてグレーを表示させ、その後再度1.5Vの電圧を1.5秒間10回印加した後、表示素子の任意の10箇所の550nmでの反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定し、反射率の最大値と最小値の差を算出した。算出した反射率の差をΔRGlayとし、ΔRGlayを表示ムラの指標とした。ここでは、ΔRGlayが小さいほど表示ムラがないことを表す。
以上により得られた結果を、表1に示す。
表1に記載の結果より明らかなように、対向電極間に白色散乱層を表示側電極に接するように配置し、電解質液を含有させ、電極間のギャップをできるだけ狭くする構成にすることで、表示速度が向上することが分かる。また、同時に、銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の1/5〜5倍の還元反応速度を有し、フェノチアジン化合物、ジアジン化合物、ビオロゲン化合物及びメタロセン化合物群から選ばれる少なくとも1種の酸化還元反応性化合物を含有した本発明の表示素子は、比較例に対し、黒化銀を白化した際に表示ムラがなく、消去性に優れていることが分かる。
実施例2
《電解質液の調製》
(電解質液12の調製)
ジメチルスルホキシド2.5g中に、ヨウ化ナトリウム90mg、ヨウ化銀75mgを加えて溶解して電解質液12とした。
(電解質液13の調製)
電解質液12中に、酸化還元反応性化合物である過マンガン酸カリウムを10mg添加し、溶解させて、電解質液13を得た。
(電解質液14の調製)
過マンガン酸カリウムをメタクロロ安息香酸に変更した以外は電解質液13と同様にして、電解質液14を得た。
(電解質液15の調製)
電解質液14に、更にエレクトロクロミック色素である例示化合物5−42を50mg添加し、溶解して、電解質液15を得た。
(電解質液16の調製)
電解質液12に、酸化還元反応性化合物として1,4−ジアジンを10mg添加、混合した後、加熱溶解して、電解質液16を得た。
(電解質液17の調製)
電解質液16に、4−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−18)を200mg加え、溶解して電解質液17を得た。
(電解質液18の調製)
電解質液17に、アザシクロヘキサン−1−スピロ−1′−アザシクロブチル−p−トルエンスルホン酸を0.1g加え、溶解して電解質液18を得た。
(電解質液19の調製)
γ−ブチロラクトン2.5gに、p−トルエンスルホン酸銀100mg、4−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールを200mg加え、加熱溶解し、酸化還元反応性化合物として1,4−ジアジンを10mg添加して電解質液19を得た。
(電解質液20の調製)
プロピレンカーボネート2.5gに、p−トルエンスルホン酸銀100mg、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−12)を200mg加え、加熱溶解し、酸化還元反応性化合物として1,4−ジアジンを10mg添加して電解質液20を得た。
(電解質液21の調製)
アセチルピロリドン2.5gに、p−トルエンスルホン酸銀100mg、4−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−18)を200mg加え、加熱溶解し、酸化還元反応性化合物として1,4−ジアジンを10mg添加して電解質液21を得た。
(電解質液22の調製)
γ−ブチロラクトン1.25gとN−メチルピロリドン1.25gを混合し、これにp−トルエンスルホン酸銀100mg、2−[2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチルチオ]エタン−1−オール(例示化合物2−1)を200mg加え、加熱溶解し、酸化還元反応性化合物として1,4−ジアジンを10mg添加して電解質液22を得た。
(電解質液23の調製)
アセチルピロリドン2.5gに、p−トルエンスルホン酸銀100mg、4−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−18)を100mg、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−12)を100mg加え、加熱溶解し、酸化還元反応性化合物として1,4−ジアジンを10mg添加して電解質液23を得た。
(電解質液24の調製)
電解質液16に、例示化合物6−52を300mg溶解させ、電解質液24を得た。
(電解質液25の調製)
電解質液16に、例示化合物5−42を300mg添加し、溶解して電解質液25を得た。
(電解質液26の調製)
γ−ブチロラクトン1.25gとアセチルピロリドン1.25gを混合し、これにp−トルエンスルホン酸銀100mg、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールを200mg加え、加熱溶解し、酸化還元反応性化合物として1,4−ジアジンを10mgと、例示化合物5−42を300mg添加し、溶解して電解質液26を得た。
(電解質液27の調製)
γ−ブチロラクトン2.5gに、p−トルエンスルホン酸銀100mgを加え、加熱溶解し、酸化還元反応性化合物としてコバルトセンを10mg添加して電解質液27を得た。
(電解質液28の調製)
γ−ブチロラクトンの代わりに、N−メチルピロリドンを同量用いた他は電解質液27と同様にして電解質液28を得た。
(電解質液29の調製)
プロピレンカーボネート2.5gに、p−トルエンスルホン酸銀100mg、2−[2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチルチオ]エタン−1−オール(例示化合物2−1)を200mg加え、加熱溶解し、酸化還元反応性化合物としてニッケロセンを10mg添加し、さらに例示化合物5−42を300mg添加し、溶解して電解質液29を得た。
(電解質液30の調製)
γ−ブチロラクトン1.25gとアセチルピロリドン1.25gを混合し、これにp−トルエンスルホン酸銀100mg、酸化還元反応性化合物としてニッケロセンを10mg添加し、さらに例示化合物5−42を300mg添加し、溶解して電解質液30を得た。
(電解質液31の調製)
電解質液16の1,4−ジアジンの代わりにフェノチアジン誘導体1(一般式〔I〕におけるV25〜V32が水素原子、Rがメチル基)を用いた以外は同様にして、電解質液31を得た。
(電解質液32の調製)
電解質液31のフェノチアジン誘導体1の代わりに、フェノチアジン(一般式〔I〕におけるV25〜V32、Rが水素原子)を用いた以外は同様にして、電解質液32を得た。
(電解質液33の調製)
電解質液31の調製において、フェノチアジン誘導体1の代わりに下記化合物X(ビオロゲン化合物)を用いた以外は同様にして、電解質液33を得た。
(電解質液34の調製)
電解質液31の調製において、フェノチアジン誘導体1の代わりに下記化合物Y(ビオロゲン化合物)を用いた以外は同様にして、電解質液34を得た。
(電解質液35の調製)
電解質液31の調製において、フェノチアジン誘導体1の代わりにベンゾイルフェロセンを用いた以外は同様にして、電解質液35を得た。
(電解質液36の調製)
電解質液35の調製において、ベンゾイルフェロセンの代わりにヒドラジノカルボニルフェロセンを用い、更に2−[2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチルチオ]エタン−1−オール(例示化合物2−1)を200mg加え、加熱溶解して電解質液36を得た。
(電解質液37の調製)
γ−ブチロラクトン2.5gに、p−トルエンスルホン酸銀100mgを加え、加熱溶解し、2−[2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチルチオ]エタン−1−オール(例示化合物2−1)を200mg加え加熱溶解し、酸化還元反応性化合物として1,1′−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンを10mg添加し、溶解して電解質液37を得た。
(電解質液38の調製)
N−メチルピロリドン2.5gに、p−トルエンスルホン酸銀100mgを加え、加熱溶解し、4−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−18)を200mg加え加熱溶解し、酸化還元反応性化合物としてカルボキシフェロセンを10mg添加し、溶解して電解質液38を得た。
(電解質液39の調製)
電解質液35の調製において、ベンゾイルフェロセンの代わりにフェロセンを用いた以外は同様にして、加熱溶解して電解質液36を得た。
(電解質液40の調製)
電解質液39に、2−[2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチルチオ]エタン−1−オール(例示化合物2−1)200mgを加えて溶解し、電解質液40を得た。
(電解質液41の調製)
電解質液39に、4−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−18)200mgを加えて溶解し、電解質液41を得た。
(電解質液42の調製)
電解質液40の調製において、ジメチルスルホキシドをγ−ブチロラクトンに代えた以外は同様にして、電解質液42を得た。
(電解質液43の調製)
N−メチルピロリドン2.5gに、p−トルエンスルホン酸銀100mgを加え、加熱溶解し、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−12)を200mg添加し、溶解して電解質液43を得た。
(電解質液44の調製)
電解質液41の調製において、ジメチルスルホキシドをγ−ブチロラクトン1.25gとアセチルピロリドン1.25gに変更した以外は同様にして、電解質液44を得た。
(電解質液45の調製)
電解質液44の調製において、4−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−18)を、2−[2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチルチオ]エタン−1−オール(例示化合物2−1)に代えた以外は同様にして、電解質液45を得た。
(電解質液46の調製)
電解質液42の調製において、2−[2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチルチオ]エタン−1−オール(例示化合物2−1)を、4−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−18)に変更し、さらに例示化合物5−42を300mg添加し、溶解して電解質液46を得た。
(電解質液47の調製)
電解質液45の調製において、4−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−18)を、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−12)に変更し、さらに例示化合物5−42を300mg添加し、溶解して電解質液47を得た。
(電解質液48の調製)
電解質液46の調製において、4−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−18)を3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(例示化合物1−12)に変更し、例示化合物5−42の代わりに、例示化合物6−52を300mg加えた以外は同様にして、電解質液48を得た。
《ナノ多孔質電極の形成》
実施例1に記載の電極1の表面に、平均粒径が約30nmのITO微粒子を20質量%、ポリビニルアルコール(重量平均分子量3,000)を2質量%含む分散液を塗布し、200℃で焼成して、ITOナノ多孔質電極層を得た。このナノ多孔質電極層は、厚みが約5μmであった。
《表示素子12〜51の形成》
電極1あるいは電極2の表面に、白色分散液を塗布し、80℃で3分間乾燥して白色散乱層を得た後、周辺部を、所定の厚みに適した粒径のガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした。これを電極2と貼り合せ、加熱押圧して空セルを作成した。該空セルに電解液を真空注入し、注入口をエポキシ系紫外線硬化性樹脂にて封止し、表示素子12〜51を形成した。
多孔質白色散乱層の乾燥厚みは、表示素子の電極間ギャップが20μmに満たない場合には、電極間ギャップと同等とし、電極間ギャップが20μm以上の場合には、20μmとした。
表示素子12〜51の作製に用いた電極と電解液は、表2、表3に示す組み合わせである。
なお、表2、表3に略記してある電極及び添加剤の詳細は、以下の通りである。
*1:多孔質電極
*2:フェノチアジン誘導体1(一般式〔I〕におけるV25〜V32が水素原子、Rがメチル基)
*3:フェノチアジン(一般式〔I〕におけるV25〜V32、Rが水素原子)
*4:ヒドラジノカルボニルフェロセン
*5:1,1′−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン
*A:銀化合物に対する酸化還元反応速度比
《表示素子12〜51の評価》
(表示ムラ耐性(消去性)の評価)
上記で作製した各表示素子に1.5Vの電圧を1.5秒間印加して白色を表示させた後に、−1.5Vの電圧を1.0秒間印加させてグレーを表示させ、その後再度1.5Vの電圧を1.5秒間で5000回印加した後、表示素子の任意の10箇所の550nmでの反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定し、反射率の最大値と最小値の差を算出した。算出した反射率の差をΔRgray5000とし、表示ムラの指標とした。
得られた結果を表2、表3に示す。
表2、表3に記載の結果より明らかなように、本発明の表示素子は、比較例に対し表示ムラ(消去性)に優れていることがわかる。

Claims (14)

  1. 対向電極間に、少なくとも銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質層を有し、銀の溶解析出を生じさせるように該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、
    該対向電極間に多孔質白色散乱層を有し、該多孔質白色散乱層は表示側電極に接するように配置され、該電解質層は、含有する該銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の1/5倍以上、5倍以下の還元反応速度を有するフェノチアジン化合物、ジアジン化合物、ビオロゲン化合物及びメタロセン化合物から選ばれる少なくとも1種の酸化還元反応性化合物を含有することを特徴とする表示素子。
  2. 前記フェノチアジン化合物が、下記一般式〔I〕で表される化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の表示素子。
    〔式中、V25乃至V32は、各々独立に水素原子または置換基を表す。V25乃至V32は、互いに結合して環を形成してもよい。また、Rと結合して環を形成してもよい。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。〕
  3. 前記一般式〔I〕におけるV25乃至V32、Rがいずれも水素原子であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の表示素子。
  4. 前記ビオロゲン化合物が、下記一般式〔II〕、〔III〕及び〔IV〕から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の表示素子。

    〔式中、V乃至V24はそれぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。R乃至Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。
    乃至Lは、それぞれ独立にメチン基または窒素原子を表す。n1乃至n3は、それぞれ独立に3以下の整数を表す。
    乃至Mは、それぞれ独立に電荷均衡対イオンを表し、m乃至mは、それぞれ独立に分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。〕
  5. 前記下記一般式〔II〕、〔III〕及び〔IV〕におけるV乃至V24がいずれも水素原子であり、n1乃至n3は、それぞれ独立に0または1であることを特徴とする請求の範囲第4項に記載の表示素子。
  6. 前記メタロセン化合物が、フェロセン化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の表示素子。
  7. 前記電解質層が、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか1項に記載の表示素子。

    〔式中、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表し、Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR1は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。〕
    一般式(2)
    2−S−R3
    〔式中、R2、R3は各々アルキル基、アリール基または複素環基を表し、それぞれ同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して環を形成してもよい。〕
  8. 前記電解質層が、下記一般式(3)で表される化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項乃至第7項のいずれか1項に記載の表示素子。

    〔式中、Lは酸素原子またはCH2を表し、R1〜R4は各々水素原子、アルキル基、アル
    ケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。〕
  9. 前記電解質層が、下記一般式(4)で表される化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項乃至第8項のいずれか1項に記載の表示素子。

    〔式中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、カルボニル基、カルボキシル基またはアリール基を表し、R2は水素原子またはアルキル基を表す。R1とR2はさらに置換基を有していてもよい。環は窒素原子を含む5〜6員環を表す。〕
  10. 前記対向電極間に、下記一般式(5)で表される化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項乃至第9項のいずれか1項に記載の表示素子。

    〔式中、R1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R2、R3は各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−R4、酸素原子または硫黄原子を表し、R4は水素原子、または置換基を表す。〕
  11. 前記対向電極間に、炭素−窒素の二重結合を部分構造として有する下記一般式(6)で表される有機配位子を少なくとも1個配位した金属錯体を含有することを特徴とする請求の範囲第1項乃至第9項のいずれか1項に記載の表示素子。

    〔式中、R31、R32、R33及びR34は各々独立に、水素原子、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、これらの置換基は更に置換基を有していても良い。また、R31とR32、R32とR33及びR33とR34は各々互いに連結して芳香族または非芳香族の環状構造を形成しても良く、環上の任意の位置に置換基を有しても良い。〕
  12. 前記表示側電極は、前記多孔質白色散乱層に面する側の表面が多孔質構造を有することを特徴とする請求の範囲第10項または第11項に記載の表示素子。
  13. 前記対向電極間の距離が、10μm以上、60μm以下であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第12項のいずれか1項に記載の表示素子。
  14. 前記酸化還元反応性化合物の還元反応速度が、前記銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化反応速度の0.8倍以上、1.5倍以下であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第13項のいずれか1項に記載の表示素子。
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