JPWO2008123461A1 - 波長分波光学素子 - Google Patents

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Abstract

製作コストが低廉で、著しくシンプルな屈折率多層透明構造体の波長分波光学素子であって、WDM方式の近赤外線通信等に用いて多重波長光及び単独波長光を反射分波させる波長分波光学素子を提供することである。本発明の波長分波光学素子は、屈折率の異なる透明樹脂層が複数積層され、最表面層にある透明樹脂層の表面に、所定の間隔になるように形成された多数の突起が透明樹脂層を形成する樹脂で透明樹脂トップ層と一体不可分に形成されてなり、該隣接する突起の形成周期幅(P)が、反射させようとする光の波長(Wvmax)に対して次式で表わされる関係を有することを特徴としている。P=nK×Wvmax・・・・・・・(I)ただし、上記式(I)において、反射しようとする光の波長であり、Wvmaxが200〜2000nmの範囲内にあり、nは1または2であり、Kは0.5〜0.75である。

Description

本発明は、多数の波長の光を含む光線の中あるいは単独波長光から、特定の波長の光を反射分波させる波長分波光学素子に関する。より詳細には、基板上に屈折率の異なる透明樹脂層を積層成膜させてなる著しくシンプルな構造体で、しかも、製造コストが著しく低廉な波長分波光学素子であって、その光学素子に入射する光線の中から特定の波長の光を効果的に反射分波させることができる波長分波光学素子に関する。
通信技術の発達に伴って、情報の伝達媒体が電気から光に変わりつつある。例えばインターネットなどにおいては、ISDNのように電話回線を用いた電気信号の代わりに、光ファイバーを用いたネットワークが構築されており、この光ファイバーを通して波長の異なる複数の光からなる光の束として情報を送信することができる。たとえば、このような光の束を構成する特定波長の光を画像情報の伝達媒体として使用し、他の特定波長の光を音響情報の伝達媒体とするなど、光通信技術では複数の情報を一本の光ファイバーを用いて同時に送信することができる。
具体的な例を示すと、インターネットの通信に用いられている光ファイバー通信網では、近赤外から中赤外線領域の波長光(波長:760nm〜2.5μm、2.5〜4μm)を使用して情報の伝達が行われている。この近赤外から中赤外線領域の波長光は、肉眼では見えないが、光としての性質は勿論、可視光に近い性質を有しており、通信伝達媒体の光として可視光より極めて便利な波長光であることから、近年、急速に普及した携帯電話の光通信網、インターネットの光ファイバ通信網で使用されている。そして、今後そのその情報伝送量はますます増大すると予測されている。
このように光通信では、例えば、波長分割多重化WDM(Wavelength Division Multiplexing)方式が採用されている。
ここで採用されているWDM方式とは、波長の異なる複数の光を用いて、例えば、音声、画像、映像などの独立情報を、それぞれの波長の光に割り当て独立情報の数に対応した波長の数の光を多重化して光信号として光束伝送させる光通信システムである。
従って、WDM方式で送られた情報を受ける側では、光の束に含まれる特定波長の光を光の束から個別独立に分離する必要がある。このようなWDM方式の通信システムで多重化伝送された光信号を分離(又は分波)させるために、波長分波性(又は波長選択性)を有する波長に対して選択のあるフィルターが必要であり、このようなフィルターを、通常は、波長分波光学素子とよぶ。
このような波長分波光学素子に関して、例えば特許文献1(特開2006−350126号公報)には、「基板と、上記基板上に形成された格子部材を空間を隔てて周期的に配置してなる格子層とを備えており、上記格子層の平均屈折率は上記基板の屈折率よりも大きいことを特徴とする波長選択素子。」の発明が開示されている。この波長選択素子の格子層は、格子と、これらの格子間に形成される空隙からなり、この格子層中における格子の占める体積であるフィルファクタ-値が0.5以上0.7以下であることが示されており、また、この格子層における格子の配置される周期は、この波長選択素子に入射する光の真空中の波長よりも小さく形成することが示されている。
この引用文献1に記載の波長選択素子においては、格子層に設けられた格子を形成する素材と、この格子層が形成される基板を形成する素材とが異なっており、基板上にこうした異種材料で微細な格子を一定の周期で形成することは非常に難しい。また、光の束の中から目的とする波長の光を反射させるための格子の形成周期が必ずしも明確にはされていない。
また、特許文献2(特開2002−022918号公報)には、「樹脂成型により、入射面と、この入射面を透過した光を出射させる出射面を持つ光透過性の基体が作成され、入射面の上に、基体の樹脂材よりも高い屈折率の格子パターン層が形成されることにより、共振モード格子フィルタである反射格子が形成され、入射面に斜交して入射した光の共振波長に対応する成分が反射により取り出され、他の成分が透過して出射面から射出されるようにしたことを特徴とする波長分離フィルタ。」の発明が開示されている。そして、この特許文献2の段落〔0026〕、〔0027〕、〔0029〕および〔0034〕には、光分離器8に入光する前に、入射光が透過する共振モード格子フィルタ(色分解フィルタ)を配置することが示されており、この共振モード格子フィルタを用いることにより、共振モード格子フィルタの回折格子で共振する波長の光が反射されることが記載されている。
そして、この回折格子は、「樹脂成型金型に形成した微細形状を転写して作られる。樹脂成形に用いる樹脂は例えばポリカーボネート樹脂を使用し、・・・(後略)。この格子構造は、凹部又は凸部を格子状に複数配列したもので、この凹部又は凸部は、格子面内に2つの等価な共振波数ベクトルを生じさせるために、鏡面対称且つ回転対称な形状を有し、凹部又は凸部の二等分線上に前記入射光の入射面を位置させることがこのましい。」と記載され、さらに「入射面9に共振モード格子フィルタを構成するための高屈折率層を形成する方法としては図5(a)に示すように樹脂成形された入射面に蒸着によりTiO2膜やSiO2膜などを形成し、これに電子ビーム露光技術とエッチングにより格子パターンを形成する方法と、図5(b)に示すように金型に微細加工により形成した格子パターンを、樹脂成型時に成形対象物に直接転写した後、その転写面の凹部と凸部にTiO2膜等を蒸着により一様に形成する方法がある。」と記載されている。
そして、この共振モード格子フィルターは、入射面に格子を二等分線が一致するように配置されることから、傾斜して形成されている入射面と同じ傾斜でこの共振モード格子フィルターは配置される。そして、引用文献2において入射光は、反射面10に平行な光線であるので、入射面(即ち、共振モード格子フィルター)に対しては所定の角度を形成して光が入射することになる。このように共振モード格子フィルターに対して傾斜して光が入射することにより、特定波長の光が共振して反射するのである。そして、この格子内で光を共振させるためには、高屈折率のTiO2膜やSiO2膜を用いる必要があり、上述のようなポリマーカーボネート樹脂を単独で使用したのでは、共振により特定波長の光を反射させることはできない。
また、特許文献3(特開2005−331582号公報)には、「光導波路型WDM合分器において、前記光導波路のコアの途中に設けるコア内を伝搬する光を分波若しくは分波する分岐部にグレーティング部を形成したことを特徴とする光導波路型WDM合分波器。」の発明が開示されている。また、特許文献3には、光導波路型WDM合分波器を有機高分子材料で形成すること、有機高分子材料がフッ素化ポリイミド、ポリシラン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等で形成すること、さらにグレーディング部の形成をホットエンボス法で行うことが開示されている。そして、引用文献3の実施例には、「第一の実施の形態におけるY分岐型の合分波器を作成するために、Si基板に目的とする導波路形状に有機高分子材料であるポリシランを塗布し、スピンコートで膜厚をコントロールしながら下部クラッドを形成して加熱キュアを行った。次いで、加熱キュアした下部クラッドの上にさらにポリシランをスピンコートで膜厚をコントロールしながら塗布した。そしてマスクを使用して紫外光を照射して屈折率差を付与しコア層を形成した。この後分岐部に紫外レーザ光を照射してグレーティング部を形成した。最後にポリシランを塗布し、スピンコートで膜厚をコントロールして加熱キュアを行い上部クラッドを形成した。」と記載されており、主鎖が−Si―Si−で形成された主鎖が−C−C−で形成されていることが一般的である有機高分子化合物とは異なる構造の重合体を用いて、マスクを用いて紫外線を照射して多層に積層したポリシラン層に屈折率差をつけたコア部を形成し、その後に分岐部に紫外レーザ光を照射して、さらにその上にポリシランを再度塗布して加熱キュアにより上部クラッドをグリーディング部を形成することが示されている。
このように引用文献には、具体的には紫外線の照射によってポリシランに屈折率差を付与しているのであり、構造的な構成を変えることによって屈折率を変えて多重化された光の束から特定の波長の光を取り出すことに関しては記載されていない。
また、ここで具体的に使用されている樹脂は、主鎖が−Si―Si−であるポリシランであり、主鎖が−C−C−構造である、通常の樹脂と比較すると、その取り扱いが難しい。
上述のように、反射させようとする光の波長との関係から、表面に格子構造を有する構造体(表面構造;SWS;Sub Wavelength Structured surface)によって選択的に分離することができることは知られており、例えば、波長分離(又は分波)素子、偏光分離素子、波長光変換素子、回折格子光フィルター、波長選択フィルター、光導波層型波長フィルター等として使用が試みられている。
しかしながら、従来から知られているこうした光学素子には高い屈折率を有する物質の存在が不可欠であり、主鎖に−C−C−結合を有する典型的な有機高分子化合物では、波長分波光学素子に必要とされる高屈折率であって、しかも透明性の高い物質は存在しない。
このために金属酸化物を真空蒸着させたり、あるいは、主鎖が−Si―Si−であるポリシランのような極めて特殊な樹脂を使用することを余儀なくされており、波長分波光学素子が高価になっていた。さらに、今後の光通信技術においては、光ファイバーを用いた通信情報が激増することが予測され、こうした高速大量通信に対応可能な高性能で安価な波長分波光学素子の開発が急務である。
特開2006−350126号公報 特開2002−022918号公報 特開2005−331582号公報
本発明の目的は、著しくシンプルな樹脂構造体であって、その表面に賦形させた微細構造を介して、その表面に入射する近赤外線領域波長光を分波させる透明構造体からなる光学素子を提供することである。
さらに本発明は、著しく安価に簡便な方法で透明樹脂を多層成膜させてなる波長分波光学素子であって、例えば、WDM(波長合分波回路)方式の光通信システム等に用いて入射する近赤外線領域波長光を、所望する特定波長光として高効率に反射分波させることを特徴とする波長分波光学素子を提供することである。
本発明の波長分波光学素子は、屈折率の異なる透明樹脂層が複数積層され、最表面層にある透明樹脂トップ層の表面に、所定の間隔になるように形成された多数の突起が透明樹脂層を形成する樹脂で透明樹脂トップ層と一体不可分に形成されてなり、該隣接する突起の形成周期幅(P)が、反射させようとする光の波長(Wvmax)に対して次式で表わされる関係を有することを特徴としている。
Figure 2008123461
ただし、上記式(I)において、Wvmaxは反射しようとする光の波長であり、200〜2000nmの範囲内にあり、nは、1または2であり、Kは0.5〜0.75、好ましくは0.65〜0.69である。
本発明の波長分波光学素子は、上記屈折率の異なる透明樹脂層が、少なくとも、透明基板層(L0)と、透明樹脂中間層(L1)と、透明樹脂トップ層(L2)の三層構造を有することが好ましい。
さらに、本発明の波長分波光学素子は、上記三層構造からなる波長分波光学素子の透明樹脂トップ層の屈折率(n2)と、透明樹脂中間層の屈折率(n1)との差(n2-n1)が0.06〜0.25、好ましくは0.1〜0.2の範囲内にあることが好ましい。
またさらに、本発明の波長分波光学素子は、上記三層構造の波長分光学素子の透明基板層の屈折率(n0)と透明樹脂中間層の屈折率(n1)との差(n0-n1)が通常は、−0.1〜0.3の範囲内、好ましくは0〜0.15の範囲内にあることが好ましい。
波長分波光学素子においては、格子状構造の周期が光の波長より短いと、光に対してある屈折率をもつ媒質と等価になる。また、その微細構造の形状によって屈折率を制御できることから、入射した波長光は、格子層によって、上部の放射波は入射光の反射波と重なって強め合い、基板側に放射される光は、透過光と弱め合うことから、入射した格子面には強い共鳴反射が生ずる。
本発明者は、従来からこのような光学技術分野に着目して、樹脂部材上に、そのサイズが数百nm〜数μmである光の波長サイズほどの凹凸状の微細構造を、従来のリソグラフィ転写法に代替させて、熱ナノインプリント法で転写させてなる新規な機能部材を、既に特願2006−190928号および特願2006−251975号として特許出願している。すなわち、金型に装着されている各種の超微細構造が施されているスタンパー材(又はモールド)を、熱溶融下に被スタンパー部材である熱可塑性樹脂に押圧又は押印させて、被スタンパー部材の樹脂面に転写された超微細構造によって、新規な機能を発揮させるナノテクノロジーマテリアルを提案している。
このようなナノテクノロジーマテリアルの基本骨格は、主鎖が−C−C−構造を有する樹脂であり、従来から採用されてきた有機高分子化学の技術を用いて製造することができ、さらに取り扱うことができる。
本発明では、こうした樹脂を用いて光の波長に対して特定の関係を有する周期で、光の波長より短い周期を持つ表面構造(SWS;Sub Wavelength Structured surface)を、波長分波光学素子の最上部の層と一体不可分に形成することにより、所望の波長の光を選択的に反射させ、それ以外の波長の光を透過させることができる。
本発明では、多層積層された透明樹脂の最表面層にある透明樹脂トップ層の表面に、所定の間隔になるように形成された多数の突起を、この最表面にある透明樹脂からなる透明樹脂トップ層と一体不可分に形成することにより、透明樹脂の屈折率と、透明樹脂トップ層と一体不可分に一定の周期で形成された突起と、樹脂層の屈折率差とが協同して、特定波長の入射光を選択的に反射する。すなわち、近赤外線領域光を例にして示すと、本発明者は、(A)部材面に照射させた近赤外線領域光などの光線の反射/屈折/透過性に着目して、(B)近赤外線領域などにおける光学的屈折率の異なる2種以上の樹脂層を、透明基板上にスピンコートさせて屈折率の異なる複層の樹脂層を形成し、(C)こうした多層構成の積層体の透明樹脂トップ層(最表面層)にある透明樹脂に、熱ナノインプリント法で、凸条、角柱などの突起を所定の周期で形成した微細パターンを形成し、これに(D)得られた突起面から赤外線領域波長光などの光線を照射した入射させたところ、(E)その突起の形成周期および屈折率差によって、入射光の反射強度を選択的に変えることができ、特定波長に対して、極めて高い選択性で反射させることができるとの知見を得た。さらに透明樹脂トップ層の上面に格子状微細構造を設けるとともに、積層される層の屈折率を所定の範囲で変動させることにより、入射する近赤外線領域波長の多重波長光あるいは単独波長光を所望する波長光として効果的に分波させることができる。
本発明の波長分波光学素子は、屈折率の異なる透明樹脂からなる多層構成の積層体の透明樹脂トップ層の表面に入射光の波長に対して特定の関係式で示される周期で突起が形成されており、この突起は透明樹脂トップ層と一体不可分に形成されている。そして、本発明の波長分波光学素子では、各層を形成する透明樹脂の屈折率差を一定の範囲内にすることにより、上記表面の突起構造とこの屈折率差が協同して、突起形成周期によって特定される波長の入射光を選択的に反射することができる。特に本発明の波長分波光学素子は、入射する光が近赤外線領域にある多重波長光である場合に、非常に波長域の幅の選択性が高く、サイドバンドを生ずることなく、単一波長の光を選別して反射させることができる。
しかも、本発明の波長分波光学素子は、屈折率差が所定の範囲内にある透明樹脂を積層し、たとえば、この最表面層にナノプリント技術を用いて、所定の周期で突起を形成することにより製造することができ、構造が著しくシンプルで、しかも、コスト低廉に製造できる。さらに本発明の波長分波光学素子は、通信データーに対して高いセキュリティー性を有する赤外線通信方式に効果的に用いることができる。
図1は、透明樹脂トップ層の表面に、この透明樹脂トップ層と一体不可分に凸条の突起が特定の形成周期で設けられた波長分波光学素子の例を示す斜視図である。 図2は、透明樹脂トップ層の表面に、この透明樹脂トップ層と一体不可分に角柱状の突起が特定の形成周期で設けられた波長分波光学素子の例を示す斜視図である。 図3は、本発明の波長分波光学素子の断面の例を示す断面図である。 図4は、突起の他の形状の例を示す図である。 図5は、本発明による実施形態−1の波長分波光学素子(D−1)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の反射/透過の分波特性を図5(a)に図示した。また、図5(b)には、その分波された波長光の反射特性を反射スペクトル波形として表示した。 図6は、本発明による実施形態−2の波長分波光学素子(D−2)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の反射/透過の分波特性を図6(a)に図示した。また、図6(b)には、その分波された波長光の反射特性を反射スペクトル波形として表示した。 図7は、本発明による実施形態−3の波長分波光学素子(D−3)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の反射/透過の分波特性を図7(a)に図示した。また、図7(b)には、その分波された波長光の反射特性を反射スペクトル波形として表示した。 図8は、本発明による実施形態−4の波長分波光学素子(D−4)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の反射/透過の分波特性を図8(a)に図示した。また、図8(b)には、その分波された波長光の反射特性を反射スペクトル波形として表示した。 図9は、本発明による実施形態−5の波長分波光学素子(D−5)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の反射/透過の分波特性を図9(a)に図示した。また、図9(b)には、その分波された波長光の反射特性を反射スペクトル波形として表示した。 図10は、本発明による実施形態−6の波長分波光学素子(D−6)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の反射/透過の分波特性を図10(a)に図示した。また、図10(b)には、その分波された波長光の反射特性を反射スペクトル波形として表示した。 図11は、本発明による実施形態−7の波長分波光学素子(D−7)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の反射/透過の分波特性を図11(a)に図示した。また、図11(b)には、その分波された波長光の反射特性を反射スペクトル波形として表示した。 図12は、実施形態−1の分波素子(D−1)に60°入射する近赤外線領域の多重波長光の反射/透過の分波特性を図12(a)に図示した。また、図12(b)にはその分波された波長光の反射特性を反射スペクトル波形として表示した。 図13は、実施形態−1の光学素子(H−1)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の透過特性を図13(a)に図示した。また、図13(b)には、その分波された極少波長光の反射スペクトル波形として表示した。 図14は、透明樹脂中間層(L1)を設けない又は透明樹脂中間層(L1)の屈折率が格子層(L2)の屈折率に近い、その屈折率差|n2−n1|=0.005の比較実施形態−2の光学素子(H−2)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の透過特性を図14(a)に図示した。また、図14(b)には、その分波された極少波長光の反射スペクトル波形として表示した。 比較実施形態−3の光学素子(H−3)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の透過特性を図15(a)に図示した。また、図15(b)には、その分波された極少波長光の反射スペクトル波形として表示した。 図16は、比較実施形態−4の光学素子(H−4)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の透過特性を図16(a)に図示した。また、図16(b)には、その分波された極少波長光の反射スペクトル波形として表示した。 図17は、図5に示す実施形態−1において、格子の周期(P)が特許請求の範囲内の1.03μmで、フィルファクター(FF)が0.8である比較実験形態−5の光学素子(H−5)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の透過特性を図17(a)に図示した。また、図17(b)には、その分波された極少波長光の反射スペクトル波形として表示した。 図18は、図1に示す実施形態−1において、格子の周期(P)も特許請求の範囲内の1.03μmであって、透明樹脂トップ層と透明樹脂中間層との屈折率差が本発明の好適構成要件の範囲外である0.35に設定された比較実施形態−6の光学素子(H−6)に垂直入射する近赤外線領域の多重波長光の透過特性を図18(a)に図示した。また、図18(b)には、その分波された極少波長光の反射スペクトル波形として表示した。 図19は、上述の式(I)において、Kが0.3であり本発明の要件を満たしていない波長分波光学素子およびこの素子の反射スペクトル波形を示す。 図20は、上述の式(I)において、Kが2であり本発明の要件を満たしていない波長分波光学素子およびこの素子の反射スペクトル波形を示す。 図21(a)は波長235nmの紫外領域の光の反射ピークであり、図21(b)は波長534nmの可視領域の光の反射ピークであり、図23(c)は波長0.868の近赤外領域の光の反射ピークである。 図22は、実施例3又は4における本発明による分波素子(D−b)の「トップ層(格子層)」/「中間層」との積層形成された両層及びその「トップ層」に格子状微細構造を熱ナノインプリント転写後の両層切断面(積層界面)のSEM写真像をそれぞれ図22(a)及び(b)に表示した。 図23は、本発明による波長分波光学素子を製造させる第3工程におけるモールドの格子微細構造[周期(P)、格子幅(A)]の格子トップ層への転写性を説明するための概念図を図23(a)、(b)及び(c)に表示した。
次に本発明の波長分波光学素子について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、透明樹脂からなる三層構造の構造体からなる波長分波光学素子10が示されており、この積層体の透明樹脂トップ層(最表面層)L12の上面には、幅Aの凸条10bがピッチ幅Pで三条形成された波長分波光学素子10の例を模式的に示す斜視図が示されている。
また図2には、同様に透明樹脂からなる三層構造の構造体からなり、この積層体の最表面層L22の上面にX方向の幅A1、Z方向の幅A2の角柱20bが、X方向のピッチ幅P1、Z方向のピッチ幅P2で15個形成された波長分波光学素子20の例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように本発明の波長分波光学素子10は、透明基板L10と、この透明基板L10の上に積層された透明樹脂中間層L11と、この透明樹脂中間層L11の上に積層された透明樹脂トップ層(最表面層)L12の三層構造を有しており、この透明樹脂トップ層(最表面層)L12の上面には、この透明樹脂トップ層L12を形成する樹脂と同一の樹脂で、透明樹脂トップ層L12と一体不可分に三条の凸部が突起10bが形成されている。
それぞれの突起10bは、幅Aの縦断面略長方形の板状の凸条の形態に形成されている。図1にはこうした凸条10bが、隣接する凸条10bとのピッチ幅がPになるように形成されている。この凸条の高さ(厚さ)D1は、通常は50nm〜1.0μm、好ましくは200〜500nmである。
この凸条10bおよび透明樹脂トップ層を形成する樹脂は、透明性の高い樹脂であり、この樹脂の全光線透過率は、通常は80%以上、好ましくは90%以上である。この透明樹脂トップ層を形成する樹脂の屈折率は、通常は1.5〜1.8の範囲内、好ましくは1.56〜1.63の範囲内にある。このように透明樹脂トップ層を形成する樹脂として、比較的屈折率の高い樹脂を使用する。これは、本発明の波長分波光学素子において、特定波長の光を選択的に反射させるためには、この透明樹脂トップ層L12とこの透明樹脂トップ層L12と積層される透明樹脂中間層L11との屈折率差を考慮したものである。即ち、透明樹脂トップ層L12の屈折率をn2とし、透明樹脂中間層L11の屈折率をn1としたときに、本発明の波長分波光学素子では、透明樹脂トップ層L12の屈折率n2と透明樹脂中間層L11の屈折率n1との差(n2−n1)が0.06〜0.25の範囲内、好ましくは0.1〜0.2の範囲内になるように各層を形成する樹脂を選定することが望ましい。このように透明樹脂トップ層L12の屈折率n2と透明樹脂中間層L11の屈折率n1との差(n2−n1)を設定するためには、透明樹脂トップ層L12を形成する樹脂として屈折率n2の高い樹脂を選定することにより、透明樹脂中間層L11を形成する樹脂の選定の幅が広くなり、種々の樹脂を使用することが可能になるからである。
この透明樹脂トップ層L12の厚さD2は、通常は、0.30〜3.00μm、好ましくは0.6〜1.5μmの範囲内にある。
上記の透明樹脂トップ層L12の表面に、透明樹脂トップ層L12と一体不可分に形成されている凸条(突起)10bは、この透明樹脂トップ層L12と同一の樹脂で形成されているのが一般的であり、従って、この凸条(突起)10bを形成する樹脂の屈折率は、通常は1.5〜1.8の範囲内、好ましくは1.56〜1.63の範囲内にある。
本発明の波長分波光学素子10,20において、透明樹脂トップ層L12, L22を形成する樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(チオ)フェノール誘導体系樹脂、フッ素変性アクリル系樹脂、無機ナノ粒子添加系樹脂および有機−無機ハイブリット系樹脂を使用することができる。ここで無機ナノ粒子添加系樹脂に配合される無機ナノ粒子としては、酸化ジルコン、酸化チタンを挙げることができ、このときのベースとなる樹脂としてはアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂を挙げることができる。また、有機−無機ハイブリット系樹脂としては、金属元素を含むアクリル系樹脂またはポリスチレン系樹脂などを挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。そして、こうした樹脂の組み合わせによって屈折率を調整することができるし、また、たとえばアクリル系樹脂のように複数の単量体を反応させて形成される樹脂においては、用いる単量体の組み合わせによって屈折率を変えることができる。さらに、置換基あるいは炭素原子に結合している水素原子の代わりにフッ素原子のようなハロゲン原子を結合させた単量体を用いることによっても屈折率を変えることができる。また、樹脂中に例えば用いる光の波長よりも小さいナノ粒子を均一に配合することによっても透明度を低下させずに屈折率を変えることができる。この場合のナノ粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。
これらの透明樹脂トップ層L12,L22を形成する樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(チオ)フェノール誘導体系樹脂、フッ素変性アクリル系樹脂、無機ナ粒子添加系樹脂および有機−無機ハイブリット系樹脂のいずれかを単独で、あるいは組み合わせて用いることが好ましい。
本発明の波長分波光学素子10、20において、表面に突起10b,20bが形成された透明樹脂トップ層L12,L22に積層される透明樹脂中間層L11,L21は、透明樹脂トップ層L12,L22の屈折率n2に対して、屈折率n1が0.06〜0.25低い樹脂、好ましくは0.1〜0.2低い樹脂で形成されている。従って、この透明樹脂中間層L11,L21を形成する樹脂の屈折率n2は、通常は1.35〜1.6の範囲内、好ましくは1.4〜1.5の範囲内にある樹脂であり、通常のアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、(チオ)フェノール誘導体系樹脂、フッ素変性アクリル系樹脂、無機ナノ粒子添加系樹脂および有機−無機ハイブリット系樹脂などの透明性の樹脂を使用することができる。ここで透明樹脂中間層L11,L21に要求される透明性は、樹脂の全光線透過率が、通常は80%以上、好ましくは90%以上である透明性である。
この透明樹脂中間層L11,L21の厚さD3は、通常は2.0μm以上、好ましくは2〜30μmの範囲内にある。
上記のような透明樹脂中間層L11,L21の下層には、透明基板層L10,L20が積層されている。
この透明基板L10,L20を形成する樹脂の屈折率n0は、この上層である透明樹脂中間層L11,L21を形成する樹脂の屈折率n1より高いことが好ましく、透明基板の屈折率n0と透明樹脂中間層の屈折率n1との差(n0−n1)の値が通常は(n0-n1)は、−0.1〜0.3の範囲内、好ましくは0〜0.15の範囲内にある。従って、この透明基板層L10,L20を形成する樹脂の屈折率n0は、通常は1.4〜1.8の範囲内、好ましくは1.45〜1.68の範囲内にある。このような透明基板を形成する樹脂は、全光線透過率が、通常は80%以上、好ましくは90%以上の透明樹脂であり、このような透明樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアルキル(メタ)アクリレート、環状オレフィン系樹脂、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)系樹脂、ポリサルホン(PS)系樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)系樹脂を挙げることができる。
このような透明基板層のL10,L20の厚さは、適宜設定することができるが、通常は、20〜1000μm、好ましくは50〜200μmの範囲内にある。
本発明の波長分波光学素子は、通常は、透明樹脂中間層L11,21と、この上に形成された透明樹脂トップ層L12,22とを有しているが、この透明樹脂中間層の下に透明基板層L10,20を有する三層構造を有していることが好ましく、本発明の波長分波光学素子は、さらに三層以上の層構成を有していてもよい。
さらに、本発明の波長分波光学素子は、上述のような透明樹脂トップ層L12,22の表面に、この透明樹脂トップ層を形成する樹脂と同一の樹脂で、一定の間隙を形成して多数の突起が一体不可分に形成されている。
このような突起の形成ピッチ幅によって反射する光の波長が異なり、本発明では、ピッチ幅をPとし、反射しようとする光の波長をWVMAXとし、Kを定数としたときに、次の関係式(I)を満たすように突起を形成する。
Figure 2008123461
ただし、上記式(I)において、Wvmaxは反射させようとする光の波長であり、本発明では、200〜2000nmである。また、nは、1または2であり、Kは0.5〜0.75、好ましくは0.6〜0.7である。特に、反射しようとする光が可視光であって、その波長Wvmaxが300〜500nmの範囲内にある場合には、nの値が1または2であっても効率よく入射する可視光を効率よく反射することができる。しかしながら、反射しようとする光が200nm以上300nm未満である場合、および、500nmを超え2000nm以下の場合には、nが2である場合よりも1である場合の方がより効率的に入射光を反射することができる。従って、本発明の波長分波光学素子に入射する光の波長に対応させて、nの値を変えて、形成する突起のピッチ幅を変えることが好ましい。
このようにして形成される突起の図1に示すように、縦断面が略長方形の凸条10aと隣接する凸条10aとによって形成される凹部から形成されていてもよいし、図2に示すように、縦断面が略長方形状の多数の角柱25であってもよい。
図2に示すように突起が角柱である場合、上記の式(I)で表わされるピッチは、Y方向と、X方向の二方向に生ずる。即ち、角柱28についてみると、X方向に隣接する角柱27との間にP1というピッチ幅が生ずるとともに、Y方向に対しては、角柱27には角柱25が隣接するので、この角柱27と角柱25との間でP2というピッチ幅が生ずる。
本発明の波長分波光学素子において、上記のように、二方向にピッチ幅が生ずる場合には、少なくともいずれか一方のピッチ幅、好ましくは両者のピッチ幅が上記式(I)で表わされる関係を満たしていることが好ましい。
本発明の波長分波光学素子において、透明樹脂トップ層L12の表面に形成される突起の形状は、図1に示すような凸条であってもよいし、図2に示すような角柱であってもよく、さらに図4(a)に示すように高さの異なる角柱を組み合わせた形状であってもよく、図4(b)に示すように円弧状の突起を組み合わせた形状であってもよく、さらに、図示していないが、三角柱状などの多角柱状であっても、円柱状、楕円柱状などの種々の形状にすることができる。また、こうした突起の頂部は、平坦であることを特に必要とするものではなく、たとえば図4(c)に示すように縦断面が略三角形状に頂部を形成するなど種々の形状に形成することができる。
また、図3に示すように本発明の波長分波光学素子の透明樹脂トップ層L2の表面は突起6.7.8.9と、これらの突起6.7.8.9との間に形成される間隙6a,7a,8a,9aによって所定周期Pの突起が形成されているが、このピッチに占める突起6.7.8.9の容積が大きくなると、必然的に間隙6a,7a,8a,9aの占める容器の割合が小さくなる。この透明樹脂トップ層(L2)の表面に形成された、突起と間隙との合計体積に対する突起の占有体積をフィルファクター;FFという。本発明においては、このフィルファクタ(FF)が、通常は0.07〜0.95の範囲内、好ましくは0.25〜0.75の範囲内にある。このフィルファクタ(FF)の値が1に近づくにつれて、間隙の占める体積の割合は次第に小さくなり、次第に所定の間隔を形成して形成された突起が、近接するようになる。そして、形成された突起の部が隣接する突起との間で接合点を有するようなり、本発明の波長分波光学素子の表面に形成されている突起が相互に接合して、接合された突起群により凸部を形成が形成されることがある。この場合において、表面の突起の構造は、突起部の存在しない部分に凹部を形成されるが、本発明では隣接する突起との間に接合部を有する突起群が形成されたものであってもよい。
上記のような本発明の波長分波光学素子においては、本発明の波長分波光学素子の透明樹脂トップ層L2の表面に形成された突起の立設方向に対して、略平行(0°)〜60°の角度を形成して入射する特定波長の光(単独波長光を含む)、特に近赤外線領域の特定波長の光を高い反射率で独立的に反射分波することができる。
次に本発明の波長分波光学素子について、添付する図5〜図18を参照しながら、更に以下に詳細に説明する。
<本発明による波長分波光学素子の実施の形態>
図5(a)には、1.556μmの波長光を用いて測定した厚さが120μmであって、屈折率(n0)=1.65の透明基板(L0)13上に、透明樹脂中間層として屈折率(n1)=1.485で、膜厚(m1)=3μmのPMMA(ポリメチルメタクリレート)透明樹脂中間層(L1)12と、透明樹脂トップ層として屈折率(n2)=1.565で、膜厚(m2)=0.92μmのPSt(ポリスチレン)を用いて形成した透明樹脂トップ層(L2)に凸上の格子状11が形成された屈折率多層構造体の切断面図が表示されている。
なお、以後、本発明に記載する屈折率は、特に断りのない限り、上記1.556μmの近赤外線波長光を用いて測定した屈折率であります。
すなわち、その膜厚(m2)が0.92μm(=0.67+0.25)の透明樹脂トップ層には、深さ(D2)=0.25μmの凸状格子10を設けて、しかも、透明樹脂トップ層と透明樹脂中間層の屈折率差(=n2−n1)が0.08である本発明の実施形態−1の波長分波光学素子[以後、単に分波素子と記す](D−1)である。
また、この分波素子(D−1)の格子の形成周期(P;ピッチ幅)=1.03μmで、格子幅(A)=0.675μmで、そのフィルファクター(FF)=0.655である。
すなわち、この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは1536nmであり、ピッチ幅Pは、1.03μmであり、nは1であり、Kは0.671であった。
そこで、本発明において、この分波素子(D−1)に、近赤外線領域の波長1.0〜1.7μm範囲にある多重波長光を垂直光として入射させて反射分波特性を評価した。
その結果、図5(b)には、反射分波された波長1.536μmの近赤外線波長光が、半値幅が微少で波形がシャープな反射スペクトル波形が表示されている。
また、同時に図5(b)に図示される反射スペクトル波形図から、その他の近赤外線波長光の殆んどが、ほぼ透過分離されていることが分かる。
以上から、本発明の分波素子(D−1)は、突起の設置方向と略平行(0°)に入射する多重波長光の近赤外線領域波長光を、高反射率で効果的に反射分波させることが良く分かる。
図6(a)には、本発明による実施形態−2の分波素子(D−2)に、突起の設置方向と略平行に入射する近赤外線領域波長の多重波長光の反射/透過の分波特性を、また、図6(b)には、その反射分波された波長光の反射スペクトル波形図が表示されている。この波長分波光学素子(D−2)は、図5(a)に表示する分波素子(D−1)において、屈折率(n0)=1.65の透明基板13に替えて、その透明樹脂中間層(L1)の屈折率(n1)=1.485と同等の屈折率(n0)=1.485の透明基板13aを設けている。しかも、透明樹脂中間層12と基板の屈折率を同等にした以外は、分波素子(D−1)の上記する全ての素子構成要件を同じくする本発明の実施形態−2の分波素子(D−2)である。
この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは1535nmであり、ピッチ幅Pは、1.03μmであり、nは1であり、Kは0.671である。
その結果、図6(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1.535μmの近赤外線波長が、ほぼ100%の反射率で分波されている。そして、入射した光の中で波長1.535μm以外の全ての近赤外線波長光が透過分離されていることが分かる。
図7(a)に図示する本発明の実施形態−3の分波素子(D−3)は、図5(a)に表示する分波素子(D−1)において、屈折率(n2)=1.565の透明樹脂トップ層11と屈折率(n1)=1.485の透明樹脂中間層12とのそれぞれを、屈折率(n2)=1.60の透明樹脂トップ層11aと屈折率(n1)=1.465の透明樹脂中間層12aとに替えて、透明樹脂トップ層と透明樹脂層の屈折率差(=n2−n1)を0.135に広げた分波素子(D−3)である。
この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは1550nmであり、ピッチ幅Pは、1.03μmであり、nは1であり、Kは0.665である。
その結果、図7(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1.550μmの近赤外線波長が、ほぼ100%の反射率で分波されている。よって、入射させた波長1.550μm以外の全ての近赤外線波長光が、ほぼ透過分離されていることが分かる。
図8(a)に図示する本発明の実施形態−4の分波素子(D−4)は、図5(a)に表示する分波素子(D−1)において、屈折率(n2)=1.565の透明樹脂トップ層11と突起の幅(A)=0.675μmの凸条10とのそれぞれを、屈折率(n2)=1.60の透明樹脂トップ層11aと突起の幅(A)=0.3μmの格子10aとに替えて、分波素子(D−1)のフィルファクター(FF)値を本願発明の分波素子が有する(FF)=0.25〜0.95の下限値内近いフィルファクター(FF)=0.291にした分波素子(D−4)である。
この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは1553nmであり、ピッチ幅Pは、1.03μmであり、nは1であり、Kは0.664である。
その結果、図8(b)に図示される反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1.553μmの近赤外線波長が、サイドバンドが全く見られず、しかも、ほぼ95%の反射率で分波されている。よって、入射させた波長1.553μm以外の全ての近赤外線波長光が、ほぼ透過分離されていることが分かる。
図9(a)に図示する本発明の実施形態−5の分波素子(D−5)は、図5(a)に表示する分波素子(D−1)において、屈折率(n1)=1.485で、その膜厚(m1)=3μmの透明樹脂中間層12bに替えて、透明樹脂中間層(L1)の膜厚(m1)を20μmにした分波素子(D−5)である。
この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは1545nmであり、ピッチ幅Pは、1.03μmであり、nは1であり、Kは0.667である。
その結果、図9(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1.545μmの近赤外線波長が、サイドバンドが全くみられず、しかも、ほぼ100%の反射率で分波されている。よって、入射させた波長1.545μm以外の全ての近赤外線波長光が、ほぼ透過分離されていることが分かる。
このような実施形態からすると、本発明の屈折率多層構造体である波長分波光学素子においては、中間層の膜厚(m1)を、トップ層の膜厚(m2)及び基板層の膜厚(m0)に比べて、厚目に構成させることができる。また、本発明においては、この透明中間層(L1)の膜厚(m1)は、スピンコート法で良好な平滑性で成膜させる観点から、膜厚(m1)=30μm以下にすることが好ましい。
図10(a)に図示する本発明の実施形態−6の分波素子(D−6)は、図5(a)に表示する分波素子(D−1)において、突起幅(A)=0.675μm、突起の形成周期(P)=1.03μmの凸条10に替えて、突起幅(A)=0.55μm、突起の形成周期(P)=0.9μmの凸条10dを設けた分波素子((D−6)である。このように凸条の形成周期(P)を変化させることで、その結果として、波長分波光学素子(D−1)の突起幅(A)のフィルファクター(FF)=0.655に対して、この分波素子(D−6)のフィルファクター(FF)=0.611に変化させることができる。
この分波素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは1350nmであり、ピッチ幅Pは、0.90μmであり、nは1であり、Kは0.667である。
その結果、図10(b)に図示される反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1.35μmの近赤外線波長が、ほぼ83%の高反射率で分波され、しかも、波長分波光学素子(D−1)の1.536μm(1536nm)に対して、その分波波長帯を効果的にシフトさせることができる。
また、図11(a)に図示する本発明の実施形態−7の分波素子(D−7)は、上記分波素子(D−6)と同様に、突起幅(A)=0.25μm、突起の形成周期(P)=0.68μmである凸条10eを設けた分波素子(D−7)である。
同様にして、凸条の形成周期(P)を変化させて、波長分波光学素子(D−1)の突起の幅(A)のフィルファクター(FF)=0.655に対して、この波長分波光学素子(D−7)のフィルファクター(FF)=0.368に変化されている。
この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは1025nmであり、ピッチ幅Pは、0.68μmであり、nは1であり、Kは0.667である。
その結果、図7(b)に図示される反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1025nmの近赤外線波長が、ほぼ100%の高反射率で分波され、しかも、上記分波素子(D−1)の波長1.536μmに対して、その分波波長帯を大きく効果的にシフトさせることができる。
このように本発明においては、分波素子(D−6)及び分波素子(D−7)の上記する反射分波特性から、その格子のフィルファクター(FF)値を変化させる構造因子として突起の形成周期(P)を変化させることで、近赤外線領域において、反射分波させる所望する特定波長光の波長帯を、適宜自在にシフトさせることができる。
図12(a)には、本願発明の実施形態−1の分波素子(D−1)の格子面に、近赤外線波長光を、入射角60°の斜め入射させた時の、入射近赤外線光の入射/反射/屈折/透過の動作が表示されている。
この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは1224nmであり、ピッチ幅Pは、0.68μmであり、nは1であり、Kは0.557である。
その結果、図12(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1.224μmの近赤外線波長光が、反射強度は約27%で、しかも、低サイドバンド化はされてはいないが、ほぼ特定波長光を反射分波させることができる。
図13(a)に図示する光学素子(H−1)は図1(a)に図示する本発明の分波素子(D−1)において、屈折率(n1)=1.485の透明樹脂中間層(L1)12に替えて、その透明樹脂トップ層11の屈折率(n2)=1.565に近い、図13(a)に表示されている屈折率(n1)=1.535なる透明樹脂中間層12cに替え、しかも、透明基板を屈折率(n0)=1.65なる透明基板13とした以外は、本願発明の分波素子(D−1)に係る上記する全ての素子構成要件を同じくした比較実施形態−1の分波素子(H−1)である。
この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは存在せず、従って式(I)は成立しない。
その結果、図13(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線の全領域に亘って、反射は微弱で、極めて乱脈状の反射スペクトル波形図が表示されている。この波形図から明らかなように、入射させた近赤外線波長光は、全く反射分波されずに、ほぼ入射全波長光が透過されている。このような光学素子(H−1)では、本発明の波長分波光学素子のように近赤外線波長光を反射分波させる機能を発揮させることは不可能である。
図14(a)に図示する分波素子(H−2)は、本願発明の分波素子(D−1)に相違して中間層(L1)を設けない場合である。
所謂図5(a)に表示する本願発明の分波素子(D−1)から、中間層(L1)12を除いた比較実施形態−2の分波素子(H−2)である。
この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは存在せず、従って式(I)は成立しない。
その結果、図14(b)に表示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線領域に亘って、微弱な反射で、ブロードな一様な山形の反射スペクトル波形として表示されている。この波形図から明らかなように、入射させた近赤外線波長光は、全く反射分波されずに、ほぼ入射全波長光が透過されている。このような光学素子(H−2)では、本発明の波長分波光学素子のように近赤外線波長光を反射分波させる機能を発揮させることはできない。
従って、本願発明の分波素子(D−1)における屈折率(n1)で膜厚(m1)の透明樹脂中間層(L1)12は、屈折率(n2)で膜厚(m2)の透明樹脂トップ層11を屈折透過する入射波長光に対して、導波層として機能していると言える。
n2−n1=0.06〜0.25 ・・・・(1)
n0−n1=−0.1〜0.3 ・・・・(2)
図15(a)に図示する分波素子(H−3)は、図5(a)に図示する本発明の分波素子(D−1)において、屈折率(n1)=1.485のPMMA系樹脂中間層(L1)12の膜厚(m1)=3μmを、極薄膜の膜厚(m1)=0.5μmのPMMA系樹脂中間層12dに替えた。同時に屈折率(n0)=1.65の透明基板13を、屈折率(n0)=1.65の膜厚(m0)=100μmなる透明基板13cとした比較実施形態−3の分波素子(H−3)である。
この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは存在せず、従って式(I)は成立しない。
その結果、図15(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線の全領域に亘って、反射は微弱で、乱脈な山形の反射スペクトル波形図として表示されている。この波形図から明らかなように、入射させた近赤外線波長光は、全く反射分波されずに、ほぼ入射全波長光が透過されている。このような光学素子(H−3)では、本発明の波長分波光学素子のような近赤外線波長光を反射分波させる機能を発揮させることはできない。
その主な要因は、分波素子(H−3)においては、透明樹脂中間層(L1)12dの膜厚(m1)=0.5μmであることから、本願発明の波長分波光学素子(D−1)の透明樹脂中間層12の膜厚(m1)=3μm厚と比べると、極めて極薄膜であって、明らかに上記のように本発明の波長分波光学素子における好適要件である膜厚(m1)≧2μmからは大きく外れる極薄膜である。
図16(a)に図示する分波素子(H−4)は、同じく図5(a)に図示する本願発明の分波素子(D−1)に対して、特に両者のフィルファクター(FF)=0.25〜0.95範囲にあるが、透明樹脂トップ層(L2)に設ける突起の形成周期(P)=1.23μmである。
この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは存在せず、従って式(I)は成立しない。
その結果、図16(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線領域に亘って、反射は微弱で、ブロードな山形の反射スペクトル波形を表示し、この波形図から明らかなように、入射させた近赤外線波長光は、全く反射分波されずに、ほぼ入射全波長光が透過されて、本願発明の波長分波光学素子のように、近赤外線波長光を反射分波させることができない。
図17(a)に図示する分波素子(H−5)は、図5(a)に図示する本願発明の分波素子(D−1)に対して、その突起10は、突起の形成周期(P)=1.03μmで、突起幅(A)=1.00μmである。また、その突起の幅(A)=1.00μmであることから、その格子のフィルファクター(FF)=0.97とである。
この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは存在せず、従って式(I)は成立しない。
その結果、図17(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線領域に亘って、微弱な反射で、ブロードな山形の反射スペクトル波形を表示し、入射させた近赤外線波長光は、全く反射分波されない。従って、ほぼ入射全波長光は透過されて、本発明のように近赤外線波長光を反射分波させることができない。
図18(a)に図示する分波素子(H−6)は、透明樹脂トップ層(L2)11bを形成する樹脂の屈折率(n2)=1.835にすることで、透明樹脂中間層12の屈折率(n1)=1.485との屈折率差n2−n1=0.35である比較実施形態−6の光学素子(H−6)である。すなわち、本発明の波長分波光学素子における好適構成要件であるn2−n1=0.06〜0.25の要件を大きく外れている光学素子(H−6)である。
この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは1525nmであり、ピッチ幅Pは1.03μmであり、nは1であり、Kは0.675である。
その結果、図18(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線領域に亘って、かなりの反射強度を有する反射光を得られるが、同時にサイドバンドの反射も大きく、入射させた近赤外線波長光に対して、殆んど反射分波されていない。従って、ほぼ入射全波長光を透過させて、本願発明のように近赤外線波長光を反射分波させる機能を発揮させることができない。
図19(a)に図示する分波素子は、透明樹脂トップ層(L2)11bを形成する樹脂の屈折率(n2)=1.565にし、透明樹脂中間層12の屈折率(n1)=1.452との屈折率差n2−n1=0.113である光学素子である。
そして、この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは1525nmであり、ピッチ幅Pは0.47μmであり、nは1であり、Kは0.3であり、式(I)を満足しない。
その結果、図19(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線領域に亘って、かなりの反射強度を有する反射光を得られるが、同時にサイドバンドの反射も大きく、入射させた近赤外線波長光に対して、殆んど反射分波されていない。従って、ほぼ入射全波長光を透過させて、本願発明のように近赤外線波長光を反射分波させる機能を発揮させることができない。
図20(a)に図示する分波素子は、透明樹脂トップ層(L2)11bを形成する樹脂の屈折率(n2)=1.565にし、透明樹脂中間層12の屈折率(n1)=1.452との屈折率差n2−n1=0.113である光学素子である。
そして、この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは1525nmであり、ピッチ幅Pは3.1μmであり、nは1であり、Kは2であり、式(I)を満足しない。
その結果、図20(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線領域に亘って、かなりの反射強度を有する反射光を得られるが、同時にサイドバンドの反射も大きく、入射させた近赤外線波長光に対して、殆んど反射分波されていない。従って、ほぼ入射全波長光を透過させて、本願発明のように近赤外線波長光を反射分波させる機能を発揮させることができない。
本発明の波動分波光学素子は、紫外線領域、可視領域、近赤外領域、光通信領域、光通信領域超の200nm〜2000nmの波長領域で利用することができる。たとえば、透明樹脂トップ層として屈折率1.565の樹脂を用い、透明樹脂中間層には屈折率1.432を用い、透明基板層には屈折率1.67の樹脂を用いることができる。
紫外線領域(波長;0.235μm)では、凸条の幅が0.1μm、凸条の形成周期(P:ピッチ幅)は0.155μmまたは0.46μmであり、式(I)におけるKは0.650であり、
可視領域(波長:0.534μm)では、凸条の幅が0.3μm、凸条の形成周期(P:ピッチ幅)を0.572μmまたは0.621μmであり、式(I)におけるKは0.659であり、
近赤外領域(波長:0.868μm)では、凸条の幅が0.3μm、凸条の形成周期(P:ピッチ幅)を0.572μmまたは0.621μmであり、式(I)におけるKは0.659であり、
光通信領域(波長:1.302μm)では、凸条の幅が0.3μm、凸条の形成周期(P:ピッチ幅)を1.302μmであり、式(I)におけるKは0.668であり、光通信領域超(波長:1.844μm)では、凸条の幅が0.972μm、凸条の形成周期(P)を1.272μmであり、式(I)におけるKは0.689である。
図21(a)に上記の波長分波光学素子で反射して分波した紫外線領域の波長0.235μmの紫外光の反射ピークを示し、、図21(b)に可視領域0.534μmを可視光線の反射ピークを示し、図21(c)に近赤外領域(波長:0.868μmの反射ピークを示す。図21(b)、図21(c)には、わすかにサイドバンドが認められるが、目的とする波長の光が本発明の波長分波光学素子で他の光から分離して反射させて取り出すことができることがわかる。
<本発明による波長分波光学素子の製造法>
上記に詳細に説明した近赤外線領域波長光に対して、所望する特定波長光を効果的に反射分波させる屈折率の異なる3層透明構造体からなる本願発明による波長分波光学素子について、添付図22〜図23を参照しながら、その製造法を以下に説明する。
本発明においては、「第1の工程」として屈折率(n0)で樹脂膜厚(m0)の透明基板又は透明ガラス基板(L0)上に、屈折率(n1)で樹脂膜厚(m1)の樹脂を用いて透明樹脂中間層(L1)を積層成膜させた後、「第2の工程」として、透明樹脂トップ層として、凸状又は凹状の格子微細構造を形成させる屈折率(n2)で樹脂膜厚(m2)の透明樹脂トップ層(L2)を積層成膜させる。
次いで、「第3の工程」として、この透明樹脂トップ層(L2)に、熱ナノインプリント法で、一次元方向に凸状又は凹状長尺格子微細構造を一次元周期に転写配列(=長尺格子が縦縞状に転写されている。)させて、本願発明の波長分波光学素子が調製される。
本発明の「第1の工程」〜「第3の工程」からなる製造法において、特に重要な工程評価は、以下に記載する(イ)〜(ハ)なる観点である。
(イ)図22(a)に表示するSEM写真像は、「第1の工程」及び「第2の工程」によって、透明基板上に、中間層用のPMMA系樹脂液をスピンコートし、次いで塗膜硬化させた後、トップ層用のスチレン系樹脂液をスピンコートし、塗膜硬化させて積層成膜してなる積層体の切断面を表すSEM写真像である。
例えば、本願発明の一実施形態の写真像から、膜厚(m1)=3.21μmのPMMAの中間層(L1)上に、膜厚(m2)=1.34μmのポリスチレンのトップ層(L2)が、両層が極めて平滑且つ良好な対平面性で、積層境界面が積層成膜されていることがよく分かる。
(ロ)次いで、図22(b)に表示するSEM写真像は、「第3の工程」によって、このポリスチレントップ層に、熱ナノインプリント法で、突起の深さ(D2)=0.26μmの凸条および凹部からなる格子を一次元周期で転写させた後の、本願発明の波長分波光学素子(D−1)の切断面を表すSEM写真像である。
同様に、この本願発明の一実施形態の写真像から、本願発明の製造法によって、格子状微細構造を転写させた後においても、両層の膜厚は所定の膜厚(m1)=3.21μm及び膜厚(m2)=1.34μmは、良好な平滑性且つ良好な対平面性を維持していることがよく分かる。
(ハ)また、図23(a)、(b)及び(c)において、図23(a)に図示する概念平面図には、熱ナノインプリント法で転写させる格子状微細構造[凸条の形成周期(P))、溝幅]のモールドを表示し、図23(b)に図示する概念平面図には、透明樹脂トップ層にモールドの格子状微細構造を転写させた反転像[突起の形成周期(P)、格子幅(A)]の本発明の凸状格子の一次元周期に配列している概念図が表示されている。
そこで、図23(c)の表を参照すると、既に上記に詳細に説明した、本願発明による波長分波光学素子(D−1)において、製造の「第3の工程」で、その透明樹脂トップ層の表面に形成されている所定の形成周期(P)、格子幅(A)の凸条格子が、良好な一次元周期及び格子幅(A)それぞれの寸法(サイズ)通りに転写されていることが良く理解される。
<透明樹脂中間層及び透明樹脂トップ層の透明樹脂層(L1,L2)用の各種透明樹脂>
本発明においては、格子状樹脂層(L2)及び透明樹脂層(L1)に用いる熱可塑性及び熱硬化性樹脂部材として、例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(チオ)フェノール誘導体系樹脂、無機ナノ粒子添加系樹脂、有機ナノ粒子添加系樹脂及び有機−無機ハイブリット系樹脂の群から選ばれる何れか単独又は何れか2種類以上を適宜好適に組合せて、格子状樹脂層(L2)及び透明樹脂層(L1)に用いることができる。
また、本発明において、特に2種類以上を組合せて用いる樹脂として、好ましくは、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(チオ)フェノール誘導体系樹脂及び有機−無機ハイブリット系樹脂の群から選ばれる何れかの樹脂に、無機ナノ粒子添加系樹脂を適宜好適に組合せて用いることができる。
<透明基板層(L0)用の各種透明部材>
本発明においては、透明基板層(L0)に用いる透明部材として、例えば、熱可塑性及び熱硬化性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、ポリ乳酸(PLA)系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、液晶ポリマー(LCP)系樹脂、ポリアリレート(PAR)系樹脂、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)系樹脂、ポリサルホン(PSF)系樹脂及びポリエーテルサルホン(PES)系樹脂等の群から選ばれる何れかの樹脂を透明基板層(L0)に適宜好適に用いられ、更に本発明においては、透明ガラスも、透明基板層(L0)に適宜好適に用いることができる。
<本発明による波長分波光学素子の用途>
このような表面微細構造部材の有用な用途としては、従来から周知公用である回折格子光フィルター、波長光変換素子、導波モード波長フィルター、透過型ブレーズド回折格子、光ピックアップ部の回折格子、波長分離多重通信方式用偏光変換素子等の光学部品(又は光学素子)等が挙げられる。また、カラーコピーの色判別、バーコートスキャナー、光センサーの光ノイズ除去フィルター等に用いられる。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例)
本実施例においては、
(1)屈折率(n0)で膜厚(m0)=100μmのPETフィルム、PSFフィルム及びPESフィルムを透明基板(L0)に用いた。
(2)その基板上に、屈折率(n1)で膜厚(m1)=3〜4.6μm範囲にあるPMMA系透明樹脂層(L1)又はPMMA/PSt系共重合樹脂層(L1)を透明樹脂中間層(L1)として成膜させた。
(3)次いで、その透明樹脂中間層上に、屈折率(n2)で膜厚(m2)=0.85〜1.44μm範囲にあるポリスチレン系透明樹脂中間層(L2)、酸化ジルコニアナノ粒子分散PSt系樹脂層(L2)又は有機−無機ハイブリット系樹脂層(L2)を透明樹脂トップ層(L2)として成膜させた。
(4)次いで、この透明樹脂トップ層(L2)に、熱ナノインプリント法で、例えば、図22(b)に示すSEM写真像のような格子構造[格子の深さ(D2)=0.26μm、所定の格子の周期(P)及び所定のフィルファクター]を転写させて、本発明による波長分波光学素子を調製した。
<透明樹脂中間層、透明樹脂トップ層の屈折率測定法>
本発明において、透明樹脂中間層、透明樹脂トップ層用樹脂の屈折率を、プリズムカプリング法(Metri-con社製モデル2010プリズムカプラ、25℃、波長;1556nm)で測定した。測定するに際して基板にはガラスを用いた。
<屈折率(n1)、膜厚(m1)の透明樹脂中間層(L1)用樹脂の調製>
(参考例1)
透明樹脂中間層(L1)用のPMMA系透明樹脂(L1−1)を調製した。
温度計と窒素導入管とを装着した容量1リットルの四つ口フラスコに、MMA100質量部と、ブチルパーオキサイド0.5質量部と、ポリビニルアルコール(PVA)1質量部と、水道水200質量部とを添加し、3300rpm攪拌下に乳化させた後、充分に窒素パージさせて、72℃まで昇温−保持後、90℃×1時間保持させた。
このように調製した略重合率100%のエマルションを、IPA洗浄/乾燥/粉化させた。この樹脂についてGPC法で用いて測定した重量平均分子量(Mw)は160万で、分子量分布係数は2.7であった。また、このように調製された中間層用PMMA樹脂(L1−1)の屈折率(n1)は1.485であった。
(参考例2)
同じく、透明樹脂層(L1)用のPMMA系透明樹脂(L1−2)を調製した。 参考例1と同様に容量1リットルの四つ口フラスコに、MMA97.4質量部と、メタクリル酸グリシジル(GMA)1.6質量部と、メタクリル酸(MAA)1質量部と、メチルセロソルブ200質量部とを添加し、充分に窒素パージさせた後、65℃まで昇温させた後、アゾ系開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル)0.5質量部を添加後、65℃×6時間保持させて重合反応を終了させた。また、参考例1と同様にして測定した、中間層用PMMA系樹脂(L1−2)の屈折率(n1)=1.482であった。
(参考例3)
<透明樹脂中間層(L1)用PMMA/PSt系共重合樹脂の調製>
同じく、透明樹脂中間層(L1)を成膜させるのに用いるPMMA/PSt系共重合透明樹脂(L1−3)を調製した。
同じく温度計と窒素導入管とを装着した容量1リットルの四つ口フラスコに、メチルメタクリレート90質量部、スチレン10質量部、ラウリルパーオキサイド 0.5質量部、ポリビニルアルコール1質量部、水道水200質量部を添加して乳化させて窒素パージ後、72℃まで昇温−保持後、90℃×2時間保持させた。
このように調製した略重合率100%のエマルションを、IPA洗浄/乾燥/粉化させた。そのGPC法で測定した重量平均分子量(Mw)=60万で、分子量分布係数=3.0であった。また、参考例1と同様にして測定した、中間層用PMMA/PSt系共重合樹脂(L1−3)の屈折率(n1)=1.493であった。
(参考例4)
<屈折率(n2)、膜厚(m2)のトップ層(L2)用の透明樹脂層樹脂の調製>
<PSt系樹脂>
ポリスチレン系透明樹脂の透明樹脂トップ層(L2)を成膜させるに用いるPSt系透明樹脂(L2−4)を調製した。
温度計と窒素導入管とを装着した、容量1リットルの四つ口フラスコに、スチレン(St)100質量部と、ブチルパーオキサイド0.45質量部と、水道水130質量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム0.004質量部と、第三燐酸カルシウム(TCP)10質量部とを添加した。次いで、回転数10000rpm攪拌下に乳化させた後、充分に窒素パージさせて87−90℃で重合させて約3.5時間保持させた後、更に89−91℃×1.5時間保持し、次いで、96−97℃×1時間保持した。
重合したエマルションを35%塩酸および水で洗浄し乾燥させ、粉体化した。このように調製されたエマルションの重合率は約100%であり、GPC測定の結果、重量平均分子量は20万、分散指数は2.3であった。また、参考例1と同様にして測定した、トップ層用PSt系透明樹脂(L2−4)の屈折率(n2)=1.565であった。
(参考例5)
<PSt系樹脂>
同じく、ポリスチレン系透明樹脂のトップ層透明樹脂層(L2)用のPSt系透明樹脂(L2−5)を調製した。
温度計と窒素導入管とを装着した、容量1リットルの四つ口フラスコに、スチレン(St)100質量部と、ブチルパーオキサイド 0.366質量部を添加し、常温で窒素パージを行った。次いで、80℃まで昇温させて重合させた後、90℃まで昇温×2時間保持したのち、ブチルパーオキサイド0.433質量部を追添加させ、100℃×3時間保持した。重合したワニスは略重合率100%で、同様に、GPC測定の結果、重量平均分子量は10万、分子量分布は2.14であった。また、参考例1と同様にして測定した、トップ層用PSt系透明樹脂(L2−5)の屈折率(n2)=1.566であった。
(参考例6)
<酸化ジルコニアナノ粒子分散PSt系樹脂>
同じく、トップ層透明樹脂層(L2)用の酸化ジルコニアナノ粒子分散PSt系透明樹脂(L2−6)を調製した。参考例5で調製した(Mw)=10万のポリスチレン樹脂に、回転数5000 rpm攪拌下に、MEKに分散させた粒径10nmの酸化ジルコニアナノ粒子を、重量基準で表して95:5の割合で、十分に混合調製した。また、参考例1と同様にして測定した、トップ層用酸化ジルコニアナノ粒子分散PSt系透明(L2−6)の屈折率(n2)=1.607であった。
(参考例7)
<有機−無機ハイブリット系樹脂>
同じく、トップ層透明樹脂層(L2)用の有機−無機ハイブリット系樹脂(L2−4)を調製した。
温度計、撹拌装置を備えた容量300mlのフラスコに、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン[B1] 46質量部に、メチルメタクリレート(MMA)15質量部と、テトラ−n−プロポキシチタンニウム0.3質量部[A1]とを添加して攪拌混合した([B1]:[A1]=1:3.52×10-3)。
次いで、塩酸水溶液でpH=2に調整した後、MMA30質量部、テトラ−n−プロポキシチタンニウム60質量部[A2]を添加した後、pH=2の塩酸水溶液[C2]を添加して、脱アルコール型の反応性ラジカルを有するチタン・シラン縮合体を含有する含水MMA混合溶液を調製した(([B1]+[A1]+[A2]):[C2]=1:0.58)。
次いで、得られた混合溶液を静置/上層をデカンテーション法で分離し、下層を無水硫酸マグネシウムで脱水処理を行った。得られた樹脂溶解液の固形分は74%で、樹脂分のGPC法による(Mw)=5万、分散指数は3.4であった。また、このように調製した樹脂の屈折率(n2)=1.610であった。
<本発明による波長分波光学素子の作製>
上記する(参考例1)〜(参考例7)で調製した中間層及びトップ層用樹脂を用いて、実施例1〜6に記載の方法に従って本発明による波長分波光学素子を作製した。
(実施例1、2)
<透明樹脂中間層(PMMA層)の成膜化>
実施例1;参考例−1で調製したPMMA系樹脂(L1−1)の粘度1.6Pの液状樹脂を、膜厚(m0)=100μmの透明基板(L0)であるPETフィルム上に塗工(塗工条件:回転数1000rpmで5秒、回転数2000rpmで10秒スピンコート)し、次いで、40℃×10分で、更に90℃×30分で乾燥し、膜厚約4.5〜4.6μmの硬化PMMA層を成膜させた。
実施例2;同様に、参考例−2で調製したPMMA系樹脂(L1−2)の粘度0.59Pに4−ジメチルアミノピリジンを0.5%(対樹脂)添加・混合した液状樹脂を、膜厚(m0)=100μmの透明基板(L0)であるPSFフィルム上に塗工(塗工条件:回転数1000rpm×5秒でスピンコートさせた後、更に回転数1500rpmと、2000rpmと、3000rpmとで、それぞれ10秒スピンコートさせたものを、それぞれ40℃×10分で、更に90℃×30分で、更に105℃×60分で乾燥させて膜厚約3〜4.6μmの硬化PMMA層を成膜させた。
なお、本発明においては、ミカサ工業製スピンコーター1H−DX2を用いてスピンコートさせた。
<透明樹脂中間層の成膜性の評価>
実施例1及び実施例2で得られた10cm×10cm角サイズ試験片内の任意の10箇所点の膜厚(m1)を測定し、その結果を表1に示した。表1に記載するその膜厚の標準偏差(σ)値から明らかなように、平滑で対平面性に優れる中間層(m1)が成膜されていることが分かる。なお、本発明における膜厚計測は、FILMETRICS製の薄膜測定装置F20を用いて行った。
Figure 2008123461
(実施例3、4)
<透明樹脂トップ層(PSt層)成膜化>
実施例3;実施例1で成膜した中間層のPMMA層上に、参考例4で調製したポリスチレン系透明樹脂(L2−2)[(Mw)=20万]の粘度0.4P樹脂液を回転数5000rpm×20秒でスピンコートさせた後、40℃×10分で乾燥させ、次いで、90℃×10分で乾燥させてトップ層透明樹脂層(L2)を成膜させた。
実施例4;実施例2で成膜した中間層のPMMA層上に、参考例5で調製したポリスチレン系透明樹脂(L2−2)[(Mw)=10万]の粘度0.4P樹脂液を回転数7000rpm×20秒でスピンコートさせた後、40℃×10分乾燥させ、次いで、90℃×30分乾燥させてトップ層透明樹脂層(L2)を成膜させた。
<透明樹脂トップ層の成膜性の評価>
実施例3及び実施例4で得られた10cm×10cm角サイズ試験片の任意の10箇所点の膜厚(m2)を測定し、その結果を[表2]に示した。表2に記載するその膜厚の標準偏差(σ)=±10nm前後であることから明らかなように、成膜面は高度に平滑でしかも、極めて対平面性に優れたトップ層(m2)が成膜されていることが分かる。
Figure 2008123461
<モールドの作製>
モールドの作成では、市販のシリコン基材に、レジスト塗布、EB照射、現像、エッチング、残存レジストの除去等の通常の手順を介して、所定の凸状長尺格子を透明樹脂トップ層(L2)に一次元周期で転写させることが出来るモールドを作製した。作製したモールドは、住友3M製ノベック表面処理剤EGC1720を用いて表面処理を行った。作製したモールドの側長をSEM及びAFMにより測定した。
条件; レジスト:住友化学製 ZEP-520
モールド基材:シリコン
EB: ELIONIX ELS3700使用(1×10-6A, 30kV)
エッチング:SF6ガス(20 SCCM,0.28Pas, 2kV,20mA, 12min)
エッチング(残レジストの除去):O2ガス(5Pas, 100W)
モールド剥離処理:住友3M製ノベック表面処理剤EGC1720
<格子構造の転写法>
使用機器:東芝機械(株)製ST50を使用した。転写方法:熱ナノインプリントで行った。使用した成型機の性能(温度精度、面精度、ショット精度等)によって適宜対処させた。その中で本発明においては、温度:130 ℃、プレス力:1.53 MPa、プレス速度:0.01 mm/sec、プレス時間:300秒、離型温度:60 ℃等を設定して転写させた。
(実施例5、6)
実施例5;ポリオレフィン系透明樹脂のCOP基板(m0)上に、参考例1で調製した透明樹脂中間層(L1)用のPMMA系樹脂(L1−1)を、実施例1と同様にして膜厚(m1)=14.5μmの透明樹脂中間層(L1)を成膜させた上に、参考例6で調製した透明樹脂トップ層(L2)用の酸化ジルコニアナノ粒子分散PSt系樹脂(L2−3)の粘度0.6Pの液状樹脂液を回転数5000rpmで、更に7000rpm×20秒でスピンコートさせた後、40℃×10分乾燥し、更に90℃×30分乾燥させて膜厚(m2)=1.16μmの透明樹脂トップ層(L2)を成膜させた。
実施例6;PES基板(m0)上に、参考例3で調製した透明樹脂中間層(L1)用のPMMA/PSt系共重合樹脂(L1−3)を、実施例2と同様にして膜厚(m1)=4.5μmの中間層(L1)を成膜させた上に、参考例7で調製した透明樹脂トップ層(L2)用の有機−無機ハイブリット樹脂(L2−4)の粘度0.6Pの液状樹脂液を回転数5000rpmmで、更に7000rpm×20秒でスピンコートさせ、次いで40℃×10分乾燥させ、更に90℃×30分乾燥させて膜厚(m2)=1.15μmのトップ層(L2)を成膜させた。
次いで、実施例4及び5で作製したそれぞれ分波素子(D−a)及び(D−b)のトップ層に、それぞれ、格子幅(A)=0.68μm、格子深さ(D2)=0.26μm、フィルファクター(FF)=0.66の凸状長尺格子が設けられている。
また、下記図22(a)及び(b)には、実施例4で作製した透明樹脂トップ層(L2)/透明樹脂中間層(L1)/透明基板(L0)」の3層構造体及びその「トップ層(L2)」に凸状長尺格子を設けた3層構造体の切断面のSEM写真像が、図22(a)及び図22(b)に表示されている。この写真像から本発明による屈折率3層構造体としての波長分波光学素子内部には、異物、気泡等は観測されず、また、各積層界面も平滑で、更に各積層面間の対平面性(又は平行性)も良好であることが良く分かる。
<透明基板層、透明樹脂中間層、透明樹脂トップ層の光透過性評価>
(株)村上色彩技術研究所製のヘーズメータHM−150型及び日本分光(株)製の紫外可視近赤外分光光度計V−670を用いて、全光線透過率及び近赤外領域での分光透過率を測定した。本発明で作製した3層構造フィルム試験片について測定した結果、波長360nm〜1.6μm領域内に対して全光線透過率=80%以上であった。
<光学素子評価結果>
次いで、上記波長分波光学素子(D−a)及び(D−b)の透明樹脂トップ層面に1.0〜1.6μmの近赤外線領域波長光を垂直光として走査入射させた。
ブランクとして、反射率96%の金ミラーシグマ光機社製。光源として波長可変レーザーアンリツ社製8146Aを、検出器としてアンリツ社製パワーメータ81632Aを使用した。
その結果、波長分波光学素子(D−a)においては、1.554μm波長光が反射率=95%で分波され、波長分波光学素子(D−b)においては、1.563μm波長光が反射率=90%で分波されていた。
以上から、本発明の波長分波光学素子によれば、近赤外線領域波長光の入射光に対して、サイドバンド反射率を低下させて、特定波長のみを高反射率で反射分波させる透明積層構造体からなる波長分波光学素子を、しかも、安価な作製コストで提供することができた。
また、このようにして提供する特定近赤外線波長光の反射分波性に優れる波長分波光学素子は、例えば、波長分離(分波)素子、偏光分離素子、波長光変換素子、回折格子光フィルター、波長選択フィルター、導波モード共鳴格子フィルター、光ピックアップ部の回折格子等の波長分離光学素子分野に、特に波長多重光通信用の狭帯域波長フィルタとして有用使される。また、カラーコピーの色判別、バーコードスキャナー、光センサーの光ノイズ除去フィルター等に用いられる。

Claims (16)

  1. 屈折率の異なる透明樹脂層が複数積層され、最表面層にある透明樹脂層の表面に、所定の間隔を形成して多数の突起が透明樹脂層を形成する樹脂で透明樹脂トップ層と一体不可分に形成されてなり、
    該隣接する突起の形成周期幅(P)が、反射させようとする光の波長(Wvmax)に対して次式で表わされる関係を有することを特徴とする波長分波光学素子;
    Figure 2008123461
    (ただし、上記式(I)において、Wvmaxは反射させようとする光の波長であり、Wvmaxが200〜2000nmの範囲内にあり、nは1または2であり、Kは0.5〜0.75である。)。
  2. 上記屈折率の異なる透明樹脂層が、少なくとも、透明基板層(L0)と、透明樹脂中間層(L1)と、透明樹脂トップ層(L2)の三層構造を有することを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
  3. 上記三層構造からなる波長分波光学素子の透明樹脂トップ層の屈折率(n2)と、これに積層された透明樹脂中間層の屈折率(n1)との差(n2-n1)が0.06〜0.25の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の波長分波光学素子。
  4. 上記三層構造の波長分波光学素子の透明基板層の屈折率(n0)と透明樹脂中間層の屈折率(n1)との差(n0-n1)が、−0.1〜0.3の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の波長分波光学素子。
  5. 上記反射させようとする波長(Wvmax)の光の反射率が70%以上であることを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
  6. 上記透明樹脂トップ層(L2)の表面において、突起と間隙との合計体積に対する突起の占有体積(フィルファクター;FF)が、0.07〜0.95の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の波長分波光学素子。
  7. 上記透明樹脂トップ層の表面に形成された多数の突起の立設方向が、反射しようとする波長の入射光を含む多重波長光または単独波長光に対して略平行(0°)〜60°の範囲内の方位角度で形成されていることを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
  8. 上記所定の間隔になるように形成された突起が、縦断面形状が略長方形の凸条の形状を有することを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
  9. 上記所定の間隔になるように形成された突起が、縦断面形状が略長方形の多角柱の形状を有することを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
  10. 上記所定の間隔になるように形成された突起が、縦断面形状が略長方形の円柱の形状を有することを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
  11. 上記所定の間隔になるように形成された突起が、縦断面形状が略長方形の楕円柱の形状を有することを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
  12. 上記所定の間隔になるように形成された突起が、隣接する突起との間で接合点を有し、接合された突起群により凸部を形成し、突起部の存在しない部分に凹部を形成していることを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
  13. 上記透明樹脂トップ層の上面からの突起の高さが、0.05〜1.0μmの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
  14. 前記透明樹脂トップ層(L2)の層厚(m2)が0.30〜3.00μm範囲にあることを特徴とする請求項1記載の波長分波光学素子。
  15. 上記透明樹脂中間層(L1)の層厚(m1)が2.0μm以上であることを特徴とする請求項第2項記載の波長分波光学素子。
  16. 上記波長分波光学素子を形成する樹脂が、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(チオ)フェノール誘導体系樹脂、フッ素変性アクリル系樹脂、無機ナノ粒子添加系樹脂および有機−無機ハイブリット系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の樹脂を含むことを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
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