JPWO2008123461A1 - 波長分波光学素子 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで採用されているWDM方式とは、波長の異なる複数の光を用いて、例えば、音声、画像、映像などの独立情報を、それぞれの波長の光に割り当て独立情報の数に対応した波長の数の光を多重化して光信号として光束伝送させる光通信システムである。
上述のように、反射させようとする光の波長との関係から、表面に格子構造を有する構造体(表面構造;SWS;Sub Wavelength Structured surface)によって選択的に分離することができることは知られており、例えば、波長分離(又は分波)素子、偏光分離素子、波長光変換素子、回折格子光フィルター、波長選択フィルター、光導波層型波長フィルター等として使用が試みられている。
図1は、透明樹脂からなる三層構造の構造体からなる波長分波光学素子10が示されており、この積層体の透明樹脂トップ層(最表面層)L12の上面には、幅Aの凸条10bがピッチ幅Pで三条形成された波長分波光学素子10の例を模式的に示す斜視図が示されている。
また図2には、同様に透明樹脂からなる三層構造の構造体からなり、この積層体の最表面層L22の上面にX方向の幅A1、Z方向の幅A2の角柱20bが、X方向のピッチ幅P1、Z方向のピッチ幅P2で15個形成された波長分波光学素子20の例を模式的に示す斜視図である。
上記の透明樹脂トップ層L12の表面に、透明樹脂トップ層L12と一体不可分に形成されている凸条(突起)10bは、この透明樹脂トップ層L12と同一の樹脂で形成されているのが一般的であり、従って、この凸条(突起)10bを形成する樹脂の屈折率は、通常は1.5〜1.8の範囲内、好ましくは1.56〜1.63の範囲内にある。
上記のような透明樹脂中間層L11,L21の下層には、透明基板層L10,L20が積層されている。
本発明の波長分波光学素子は、通常は、透明樹脂中間層L11,21と、この上に形成された透明樹脂トップ層L12,22とを有しているが、この透明樹脂中間層の下に透明基板層L10,20を有する三層構造を有していることが好ましく、本発明の波長分波光学素子は、さらに三層以上の層構成を有していてもよい。
<本発明による波長分波光学素子の実施の形態>
図5(a)には、1.556μmの波長光を用いて測定した厚さが120μmであって、屈折率(n0)=1.65の透明基板(L0)13上に、透明樹脂中間層として屈折率(n1)=1.485で、膜厚(m1)=3μmのPMMA(ポリメチルメタクリレート)透明樹脂中間層(L1)12と、透明樹脂トップ層として屈折率(n2)=1.565で、膜厚(m2)=0.92μmのPSt(ポリスチレン)を用いて形成した透明樹脂トップ層(L2)に凸上の格子状11が形成された屈折率多層構造体の切断面図が表示されている。
すなわち、その膜厚(m2)が0.92μm(=0.67+0.25)の透明樹脂トップ層には、深さ(D2)=0.25μmの凸状格子10を設けて、しかも、透明樹脂トップ層と透明樹脂中間層の屈折率差(=n2−n1)が0.08である本発明の実施形態−1の波長分波光学素子[以後、単に分波素子と記す](D−1)である。
すなわち、この波長分波光学素子において、式(I)における反射対象の光Wvmaxは1536nmであり、ピッチ幅Pは、1.03μmであり、nは1であり、Kは0.671であった。
その結果、図5(b)には、反射分波された波長1.536μmの近赤外線波長光が、半値幅が微少で波形がシャープな反射スペクトル波形が表示されている。
以上から、本発明の分波素子(D−1)は、突起の設置方向と略平行(0°)に入射する多重波長光の近赤外線領域波長光を、高反射率で効果的に反射分波させることが良く分かる。
その結果、図6(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1.535μmの近赤外線波長が、ほぼ100%の反射率で分波されている。そして、入射した光の中で波長1.535μm以外の全ての近赤外線波長光が透過分離されていることが分かる。
その結果、図7(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1.550μmの近赤外線波長が、ほぼ100%の反射率で分波されている。よって、入射させた波長1.550μm以外の全ての近赤外線波長光が、ほぼ透過分離されていることが分かる。
その結果、図8(b)に図示される反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1.553μmの近赤外線波長が、サイドバンドが全く見られず、しかも、ほぼ95%の反射率で分波されている。よって、入射させた波長1.553μm以外の全ての近赤外線波長光が、ほぼ透過分離されていることが分かる。
その結果、図9(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1.545μmの近赤外線波長が、サイドバンドが全くみられず、しかも、ほぼ100%の反射率で分波されている。よって、入射させた波長1.545μm以外の全ての近赤外線波長光が、ほぼ透過分離されていることが分かる。
その結果、図10(b)に図示される反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1.35μmの近赤外線波長が、ほぼ83%の高反射率で分波され、しかも、波長分波光学素子(D−1)の1.536μm(1536nm)に対して、その分波波長帯を効果的にシフトさせることができる。
その結果、図7(b)に図示される反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1025nmの近赤外線波長が、ほぼ100%の高反射率で分波され、しかも、上記分波素子(D−1)の波長1.536μmに対して、その分波波長帯を大きく効果的にシフトさせることができる。
その結果、図12(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかなように、反射分波された波長1.224μmの近赤外線波長光が、反射強度は約27%で、しかも、低サイドバンド化はされてはいないが、ほぼ特定波長光を反射分波させることができる。
その結果、図13(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線の全領域に亘って、反射は微弱で、極めて乱脈状の反射スペクトル波形図が表示されている。この波形図から明らかなように、入射させた近赤外線波長光は、全く反射分波されずに、ほぼ入射全波長光が透過されている。このような光学素子(H−1)では、本発明の波長分波光学素子のように近赤外線波長光を反射分波させる機能を発揮させることは不可能である。
所謂図5(a)に表示する本願発明の分波素子(D−1)から、中間層(L1)12を除いた比較実施形態−2の分波素子(H−2)である。
その結果、図14(b)に表示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線領域に亘って、微弱な反射で、ブロードな一様な山形の反射スペクトル波形として表示されている。この波形図から明らかなように、入射させた近赤外線波長光は、全く反射分波されずに、ほぼ入射全波長光が透過されている。このような光学素子(H−2)では、本発明の波長分波光学素子のように近赤外線波長光を反射分波させる機能を発揮させることはできない。
n0−n1=−0.1〜0.3 ・・・・(2)
図15(a)に図示する分波素子(H−3)は、図5(a)に図示する本発明の分波素子(D−1)において、屈折率(n1)=1.485のPMMA系樹脂中間層(L1)12の膜厚(m1)=3μmを、極薄膜の膜厚(m1)=0.5μmのPMMA系樹脂中間層12dに替えた。同時に屈折率(n0)=1.65の透明基板13を、屈折率(n0)=1.65の膜厚(m0)=100μmなる透明基板13cとした比較実施形態−3の分波素子(H−3)である。
その結果、図15(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線の全領域に亘って、反射は微弱で、乱脈な山形の反射スペクトル波形図として表示されている。この波形図から明らかなように、入射させた近赤外線波長光は、全く反射分波されずに、ほぼ入射全波長光が透過されている。このような光学素子(H−3)では、本発明の波長分波光学素子のような近赤外線波長光を反射分波させる機能を発揮させることはできない。
その結果、図16(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線領域に亘って、反射は微弱で、ブロードな山形の反射スペクトル波形を表示し、この波形図から明らかなように、入射させた近赤外線波長光は、全く反射分波されずに、ほぼ入射全波長光が透過されて、本願発明の波長分波光学素子のように、近赤外線波長光を反射分波させることができない。
その結果、図17(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線領域に亘って、微弱な反射で、ブロードな山形の反射スペクトル波形を表示し、入射させた近赤外線波長光は、全く反射分波されない。従って、ほぼ入射全波長光は透過されて、本発明のように近赤外線波長光を反射分波させることができない。
その結果、図18(b)に図示する反射スペクトル波形図から明らかように、近赤外線領域に亘って、かなりの反射強度を有する反射光を得られるが、同時にサイドバンドの反射も大きく、入射させた近赤外線波長光に対して、殆んど反射分波されていない。従って、ほぼ入射全波長光を透過させて、本願発明のように近赤外線波長光を反射分波させる機能を発揮させることができない。
可視領域(波長:0.534μm)では、凸条の幅が0.3μm、凸条の形成周期(P:ピッチ幅)を0.572μmまたは0.621μmであり、式(I)におけるKは0.659であり、
近赤外領域(波長:0.868μm)では、凸条の幅が0.3μm、凸条の形成周期(P:ピッチ幅)を0.572μmまたは0.621μmであり、式(I)におけるKは0.659であり、
光通信領域(波長:1.302μm)では、凸条の幅が0.3μm、凸条の形成周期(P:ピッチ幅)を1.302μmであり、式(I)におけるKは0.668であり、光通信領域超(波長:1.844μm)では、凸条の幅が0.972μm、凸条の形成周期(P)を1.272μmであり、式(I)におけるKは0.689である。
上記に詳細に説明した近赤外線領域波長光に対して、所望する特定波長光を効果的に反射分波させる屈折率の異なる3層透明構造体からなる本願発明による波長分波光学素子について、添付図22〜図23を参照しながら、その製造法を以下に説明する。
(イ)図22(a)に表示するSEM写真像は、「第1の工程」及び「第2の工程」によって、透明基板上に、中間層用のPMMA系樹脂液をスピンコートし、次いで塗膜硬化させた後、トップ層用のスチレン系樹脂液をスピンコートし、塗膜硬化させて積層成膜してなる積層体の切断面を表すSEM写真像である。
(ロ)次いで、図22(b)に表示するSEM写真像は、「第3の工程」によって、このポリスチレントップ層に、熱ナノインプリント法で、突起の深さ(D2)=0.26μmの凸条および凹部からなる格子を一次元周期で転写させた後の、本願発明の波長分波光学素子(D−1)の切断面を表すSEM写真像である。
(ハ)また、図23(a)、(b)及び(c)において、図23(a)に図示する概念平面図には、熱ナノインプリント法で転写させる格子状微細構造[凸条の形成周期(P))、溝幅]のモールドを表示し、図23(b)に図示する概念平面図には、透明樹脂トップ層にモールドの格子状微細構造を転写させた反転像[突起の形成周期(P)、格子幅(A)]の本発明の凸状格子の一次元周期に配列している概念図が表示されている。
<透明樹脂中間層及び透明樹脂トップ層の透明樹脂層(L1,L2)用の各種透明樹脂>
本発明においては、格子状樹脂層(L2)及び透明樹脂層(L1)に用いる熱可塑性及び熱硬化性樹脂部材として、例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(チオ)フェノール誘導体系樹脂、無機ナノ粒子添加系樹脂、有機ナノ粒子添加系樹脂及び有機−無機ハイブリット系樹脂の群から選ばれる何れか単独又は何れか2種類以上を適宜好適に組合せて、格子状樹脂層(L2)及び透明樹脂層(L1)に用いることができる。
<透明基板層(L0)用の各種透明部材>
本発明においては、透明基板層(L0)に用いる透明部材として、例えば、熱可塑性及び熱硬化性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、ポリ乳酸(PLA)系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、液晶ポリマー(LCP)系樹脂、ポリアリレート(PAR)系樹脂、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)系樹脂、ポリサルホン(PSF)系樹脂及びポリエーテルサルホン(PES)系樹脂等の群から選ばれる何れかの樹脂を透明基板層(L0)に適宜好適に用いられ、更に本発明においては、透明ガラスも、透明基板層(L0)に適宜好適に用いることができる。
このような表面微細構造部材の有用な用途としては、従来から周知公用である回折格子光フィルター、波長光変換素子、導波モード波長フィルター、透過型ブレーズド回折格子、光ピックアップ部の回折格子、波長分離多重通信方式用偏光変換素子等の光学部品(又は光学素子)等が挙げられる。また、カラーコピーの色判別、バーコートスキャナー、光センサーの光ノイズ除去フィルター等に用いられる。
(実施例)
本実施例においては、
(1)屈折率(n0)で膜厚(m0)=100μmのPETフィルム、PSFフィルム及びPESフィルムを透明基板(L0)に用いた。
(2)その基板上に、屈折率(n1)で膜厚(m1)=3〜4.6μm範囲にあるPMMA系透明樹脂層(L1)又はPMMA/PSt系共重合樹脂層(L1)を透明樹脂中間層(L1)として成膜させた。
(3)次いで、その透明樹脂中間層上に、屈折率(n2)で膜厚(m2)=0.85〜1.44μm範囲にあるポリスチレン系透明樹脂中間層(L2)、酸化ジルコニアナノ粒子分散PSt系樹脂層(L2)又は有機−無機ハイブリット系樹脂層(L2)を透明樹脂トップ層(L2)として成膜させた。
(4)次いで、この透明樹脂トップ層(L2)に、熱ナノインプリント法で、例えば、図22(b)に示すSEM写真像のような格子構造[格子の深さ(D2)=0.26μm、所定の格子の周期(P)及び所定のフィルファクター]を転写させて、本発明による波長分波光学素子を調製した。
<透明樹脂中間層、透明樹脂トップ層の屈折率測定法>
本発明において、透明樹脂中間層、透明樹脂トップ層用樹脂の屈折率を、プリズムカプリング法(Metri-con社製モデル2010プリズムカプラ、25℃、波長;1556nm)で測定した。測定するに際して基板にはガラスを用いた。
<屈折率(n1)、膜厚(m1)の透明樹脂中間層(L1)用樹脂の調製>
(参考例1)
透明樹脂中間層(L1)用のPMMA系透明樹脂(L1−1)を調製した。
(参考例2)
同じく、透明樹脂層(L1)用のPMMA系透明樹脂(L1−2)を調製した。 参考例1と同様に容量1リットルの四つ口フラスコに、MMA97.4質量部と、メタクリル酸グリシジル(GMA)1.6質量部と、メタクリル酸(MAA)1質量部と、メチルセロソルブ200質量部とを添加し、充分に窒素パージさせた後、65℃まで昇温させた後、アゾ系開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル)0.5質量部を添加後、65℃×6時間保持させて重合反応を終了させた。また、参考例1と同様にして測定した、中間層用PMMA系樹脂(L1−2)の屈折率(n1)=1.482であった。
(参考例3)
<透明樹脂中間層(L1)用PMMA/PSt系共重合樹脂の調製>
同じく、透明樹脂中間層(L1)を成膜させるのに用いるPMMA/PSt系共重合透明樹脂(L1−3)を調製した。
(参考例4)
<屈折率(n2)、膜厚(m2)のトップ層(L2)用の透明樹脂層樹脂の調製>
<PSt系樹脂>
ポリスチレン系透明樹脂の透明樹脂トップ層(L2)を成膜させるに用いるPSt系透明樹脂(L2−4)を調製した。
(参考例5)
<PSt系樹脂>
同じく、ポリスチレン系透明樹脂のトップ層透明樹脂層(L2)用のPSt系透明樹脂(L2−5)を調製した。
(参考例6)
<酸化ジルコニアナノ粒子分散PSt系樹脂>
同じく、トップ層透明樹脂層(L2)用の酸化ジルコニアナノ粒子分散PSt系透明樹脂(L2−6)を調製した。参考例5で調製した(Mw)=10万のポリスチレン樹脂に、回転数5000 rpm攪拌下に、MEKに分散させた粒径10nmの酸化ジルコニアナノ粒子を、重量基準で表して95:5の割合で、十分に混合調製した。また、参考例1と同様にして測定した、トップ層用酸化ジルコニアナノ粒子分散PSt系透明(L2−6)の屈折率(n2)=1.607であった。
(参考例7)
<有機−無機ハイブリット系樹脂>
同じく、トップ層透明樹脂層(L2)用の有機−無機ハイブリット系樹脂(L2−4)を調製した。
<本発明による波長分波光学素子の作製>
上記する(参考例1)〜(参考例7)で調製した中間層及びトップ層用樹脂を用いて、実施例1〜6に記載の方法に従って本発明による波長分波光学素子を作製した。
(実施例1、2)
<透明樹脂中間層(PMMA層)の成膜化>
実施例1;参考例−1で調製したPMMA系樹脂(L1−1)の粘度1.6Pの液状樹脂を、膜厚(m0)=100μmの透明基板(L0)であるPETフィルム上に塗工(塗工条件:回転数1000rpmで5秒、回転数2000rpmで10秒スピンコート)し、次いで、40℃×10分で、更に90℃×30分で乾燥し、膜厚約4.5〜4.6μmの硬化PMMA層を成膜させた。
<透明樹脂中間層の成膜性の評価>
実施例1及び実施例2で得られた10cm×10cm角サイズ試験片内の任意の10箇所点の膜厚(m1)を測定し、その結果を表1に示した。表1に記載するその膜厚の標準偏差(σ)値から明らかなように、平滑で対平面性に優れる中間層(m1)が成膜されていることが分かる。なお、本発明における膜厚計測は、FILMETRICS製の薄膜測定装置F20を用いて行った。
<透明樹脂トップ層(PSt層)成膜化>
実施例3;実施例1で成膜した中間層のPMMA層上に、参考例4で調製したポリスチレン系透明樹脂(L2−2)[(Mw)=20万]の粘度0.4P樹脂液を回転数5000rpm×20秒でスピンコートさせた後、40℃×10分で乾燥させ、次いで、90℃×10分で乾燥させてトップ層透明樹脂層(L2)を成膜させた。
<透明樹脂トップ層の成膜性の評価>
実施例3及び実施例4で得られた10cm×10cm角サイズ試験片の任意の10箇所点の膜厚(m2)を測定し、その結果を[表2]に示した。表2に記載するその膜厚の標準偏差(σ)=±10nm前後であることから明らかなように、成膜面は高度に平滑でしかも、極めて対平面性に優れたトップ層(m2)が成膜されていることが分かる。
モールドの作成では、市販のシリコン基材に、レジスト塗布、EB照射、現像、エッチング、残存レジストの除去等の通常の手順を介して、所定の凸状長尺格子を透明樹脂トップ層(L2)に一次元周期で転写させることが出来るモールドを作製した。作製したモールドは、住友3M製ノベック表面処理剤EGC1720を用いて表面処理を行った。作製したモールドの側長をSEM及びAFMにより測定した。
モールド基材:シリコン
EB: ELIONIX ELS3700使用(1×10-6A, 30kV)
エッチング:SF6ガス(20 SCCM,0.28Pas, 2kV,20mA, 12min)
エッチング(残レジストの除去):O2ガス(5Pas, 100W)
モールド剥離処理:住友3M製ノベック表面処理剤EGC1720
<格子構造の転写法>
使用機器:東芝機械(株)製ST50を使用した。転写方法:熱ナノインプリントで行った。使用した成型機の性能(温度精度、面精度、ショット精度等)によって適宜対処させた。その中で本発明においては、温度:130 ℃、プレス力:1.53 MPa、プレス速度:0.01 mm/sec、プレス時間:300秒、離型温度:60 ℃等を設定して転写させた。
(実施例5、6)
実施例5;ポリオレフィン系透明樹脂のCOP基板(m0)上に、参考例1で調製した透明樹脂中間層(L1)用のPMMA系樹脂(L1−1)を、実施例1と同様にして膜厚(m1)=14.5μmの透明樹脂中間層(L1)を成膜させた上に、参考例6で調製した透明樹脂トップ層(L2)用の酸化ジルコニアナノ粒子分散PSt系樹脂(L2−3)の粘度0.6Pの液状樹脂液を回転数5000rpmで、更に7000rpm×20秒でスピンコートさせた後、40℃×10分乾燥し、更に90℃×30分乾燥させて膜厚(m2)=1.16μmの透明樹脂トップ層(L2)を成膜させた。
<透明基板層、透明樹脂中間層、透明樹脂トップ層の光透過性評価>
(株)村上色彩技術研究所製のヘーズメータHM−150型及び日本分光(株)製の紫外可視近赤外分光光度計V−670を用いて、全光線透過率及び近赤外領域での分光透過率を測定した。本発明で作製した3層構造フィルム試験片について測定した結果、波長360nm〜1.6μm領域内に対して全光線透過率=80%以上であった。
<光学素子評価結果>
次いで、上記波長分波光学素子(D−a)及び(D−b)の透明樹脂トップ層面に1.0〜1.6μmの近赤外線領域波長光を垂直光として走査入射させた。
その結果、波長分波光学素子(D−a)においては、1.554μm波長光が反射率=95%で分波され、波長分波光学素子(D−b)においては、1.563μm波長光が反射率=90%で分波されていた。
Claims (16)
- 上記屈折率の異なる透明樹脂層が、少なくとも、透明基板層(L0)と、透明樹脂中間層(L1)と、透明樹脂トップ層(L2)の三層構造を有することを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
- 上記三層構造からなる波長分波光学素子の透明樹脂トップ層の屈折率(n2)と、これに積層された透明樹脂中間層の屈折率(n1)との差(n2-n1)が0.06〜0.25の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の波長分波光学素子。
- 上記三層構造の波長分波光学素子の透明基板層の屈折率(n0)と透明樹脂中間層の屈折率(n1)との差(n0-n1)が、−0.1〜0.3の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の波長分波光学素子。
- 上記反射させようとする波長(Wvmax)の光の反射率が70%以上であることを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
- 上記透明樹脂トップ層(L2)の表面において、突起と間隙との合計体積に対する突起の占有体積(フィルファクター;FF)が、0.07〜0.95の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の波長分波光学素子。
- 上記透明樹脂トップ層の表面に形成された多数の突起の立設方向が、反射しようとする波長の入射光を含む多重波長光または単独波長光に対して略平行(0°)〜60°の範囲内の方位角度で形成されていることを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
- 上記所定の間隔になるように形成された突起が、縦断面形状が略長方形の凸条の形状を有することを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
- 上記所定の間隔になるように形成された突起が、縦断面形状が略長方形の多角柱の形状を有することを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
- 上記所定の間隔になるように形成された突起が、縦断面形状が略長方形の円柱の形状を有することを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
- 上記所定の間隔になるように形成された突起が、縦断面形状が略長方形の楕円柱の形状を有することを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
- 上記所定の間隔になるように形成された突起が、隣接する突起との間で接合点を有し、接合された突起群により凸部を形成し、突起部の存在しない部分に凹部を形成していることを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
- 上記透明樹脂トップ層の上面からの突起の高さが、0.05〜1.0μmの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
- 前記透明樹脂トップ層(L2)の層厚(m2)が0.30〜3.00μm範囲にあることを特徴とする請求項1記載の波長分波光学素子。
- 上記透明樹脂中間層(L1)の層厚(m1)が2.0μm以上であることを特徴とする請求項第2項記載の波長分波光学素子。
- 上記波長分波光学素子を形成する樹脂が、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(チオ)フェノール誘導体系樹脂、フッ素変性アクリル系樹脂、無機ナノ粒子添加系樹脂および有機−無機ハイブリット系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の樹脂を含むことを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
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