JPWO2008114467A1 - 屋根 - Google Patents
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Abstract
Description
このような高温対策として、従来屋根裏の空間の通風を良くして換気し、屋根からの影響を遮断するものがある。また、屋根自体を断熱構造とし、屋根から伝導される熱を遮断して室内温度の上昇を防いでいるのが実情である。
しかしながら、屋根裏の空間の通風を良くして換気する従来の手法は、建築物の構造が複雑となり、建築コストが高くなる問題がある。また、換気にファン等を使用した場合にはランニングコストもかかってしまい、メンテナンスも必要になる問題がある。
一方、屋根を断熱構造とする手法は屋根構造自体が複雑となり、断熱のための材料を組み込むことになるため、建築施工費が高騰してしまう問題がある。また、既製の建築物の屋根に施工する場合は、屋根全体の改築になり、施工費用が高騰してしまう問題もある。
従って、いずれの手法も、例えば工場、大型店舗、倉庫や車庫等の建築物に応用することは構造上無理があり、特に瓦棒葺や折板を利用した金属製屋根の場合には、太陽の直射日光で相当な高熱となって室内に影響するので、その効果にも問題がある。
また、光等を反射し熱吸収を低減する耐熱塗料を屋根に塗装する手法もある。しかしながら、耐熱塗料は光を反射するため、反射光が近隣の建物や道路等に届き、温度上昇を招いたり、反射光により目がくらむといった問題がある。そして、耐熱塗料を屋根に塗装する場合、通常屋根の表面積はその平面積よりも大きいので、場合によっては平面積の1.5倍以上塗装しなければならず、塗装費用が嵩むといった問題がある。更に塗装直後は遮熱の効果はあるが、表面が汚れるに従って劣化して、熱吸収が大きくなってしまう問題もある。
そのため、比較的簡易な手法で性能の劣化もなく、環境への影響もなく、コストも安価に建築物の室内温度を効率的に下げる手法の開発が強く要請されている。太陽熱による建築物の温度上昇を防ぎ、室内温度を下げることは電力消費の低下につながり、ひいては地球温暖化の防止にも積極的に寄与する。
更に、金属製屋根では、屋根の構造によっては、雨が降ったときに、雨が直接屋根表面に当たるため雨音が大きく、雨音が屋内に響く等、室外の環境が室内に悪影響を与える場合もある。そのため、強い雨が頻繁に降る地域では、雨が降っても室内の雨音は小さく、室内作業を閑静に行いたいという要請も強い。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、屋根の温度上昇を抑制若しくは自然冷却すると共に、雨等を遮断する屋根用遮断シートを提供すると共に、屋根用遮断シートを既製の屋根上に敷設若しくは張設することにより、簡易な構成によって屋根自体を太陽の直射日光から保護すると共に、自然冷却することによって屋根(室内)が高温となることを経済的にかつ効率的に防止する屋根の構造を提供することにある。
また、強い雨が降ったとき、その音の室内への伝播を大幅に抑制する防音効果もある屋根を提供することも目的である。
また、本発明は屋根に関し、本発明の上記目的は、遮熱特性及び雨や光の遮断特性を有するシート材に、径が80〜150mmの透過孔が複数配列され、前記透過孔全体の開口率がシート材に対して3〜8%になっていると共に、厚さが0.2〜2.0mmになっている屋根用遮断シートを、屋根の折板に留め金具を介して50〜90mmの空間を有して敷設若しくは張設することにより達成され、前記折板がはぜ締め型折板であることにより、或いは前記折板が重ね型折板であることにより、或いは前記留め金具が前記はぜ締め型折板の頂部の突起部に嵌合されていることにより、より効果的に達成される。
第2図は、屋根用遮断シート(1枚)を屋根に敷設若しくは張設した構成例を示す図である。
第3図は、第2図(B)の詳細図である。
第4図は、第2図(C)の詳細図である。
第5図は、屋根用遮断シート(3枚)を屋根に敷設若しくは張設した構成例を示す図である。
第6図は、はぜ締め型折板への屋根用遮断シートの取り付けの一例を示す構造図である。
第7図は、はぜ締め型折板への屋根用遮断シートの取り付けの他の例を示す構造図である。
第8図は、重ね型折板への屋根用遮断シートの取り付けの一例を示す構造図である。
第9図は、重ね型折板への屋根用遮断シートの取り付けの一例を示す構造図である。
第10図は、重ね型折板への屋根用遮断シートの取り付けの一例を示す構造図である。
第11図は、本発明の屋根の作用(熱と風の流れ)を示す模式図である。
第12図は、本発明の屋根の作用(遮熱)を従来と比較して示す模式図である。
第13図は、本発明の効果を示す特性図である。
第14図は、本発明の効果(遮熱)を確認するための測定を行ったデータ例を示す図である。
第15図は、従来の屋根の温度特性例を示す図である。
第16図は、本発明の屋根の温度特性例を示す図である。
第17図は、本発明の屋根用遮断シート(枠体構造)の他の例を示す斜視図である。
第18図は、第17図の屋根用遮断シートを屋根に配設した例を示す図である。
第19図は、本発明の屋根用遮断シート(枠体構造)の更に他の例を示す平面図である。
また、雨が降っても、大半の雨は遮断シートに衝突後、屋根表面に達するので、殆どの雨音は屋根用遮断シートによって遮断される。このため、屋根の雨音を大幅に抑制することができる。
既製の金属製屋根に直接若しくは留め金具を介して屋根用遮断シートを屋根(瓦棒や折板)に簡易に敷設若しくは張設できるので、既製の屋根を大幅に改造・改築する必要はなく、非常に安価である。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
第1図は本発明に係る屋根用遮断シート10の平面図であり、屋根用遮断シート10のシート材は遮熱特性を有すると共に、雨や光の遮断特性を有するポリエチレン系樹脂(ポリエチレン92.0〜97.0重量%、アミン系又はフェノール系等の有機質系添加剤1.0〜3.0重量%、顔料、炭酸カルシウム等の無機質系添加剤0.5〜5.0重量%)で成っており、横幅約3〜8m、縦長(奥行き)約1.5〜6m、厚さ約0.2〜2.0mm(望ましくは0.4〜0.8mm)の矩形シート状となっている。そして、屋根用遮断シート10の全面には、径が約80〜150mm(望ましくは100〜120mm)の円形の透過孔11が規則的(格子状)に所定ピッチで複数配設されており、屋根用遮断シート10の周縁部には、屋根に敷設若しくは張設する際に使用する真ちゅう製の鳩目12が所定ピッチで設けられている。
透過孔11全体の屋根用遮断シート10の全面に対する開口率は約3〜8%であり、望ましくは4〜6%である。透過孔11全体のシートに対する開口率は透過孔11の径と数によって決められるが、屋根用遮断シート10による熱の反射効果と、屋根用遮断シート10及び屋根表面の間の空間を介して発生する気流による自然冷却との関係から、開口率は約3〜8%、望ましくは4〜6%となっている。開口率が3%より小さくなると気流による自然冷却が阻害され、開口率が8%より大きくなると熱の反射効果が減少してしまうと共に、光や雨に対する遮断効果が減少する。
なお、本例では屋根用遮断シート10の透過孔11を円形としているが、矩形や三角形、多角形であっても上記開口率3〜8%であれば良い。また、屋根用遮断シート10の材料は上記ポリエチレン系樹脂が望ましいが、各種織物シート、ビニールシート、ゴム素材シート等も使用可能であり、遮熱特性があり、耐光性・耐熱性・耐久性を有し、雨を遮断し、風や雨、雪等に耐える材料であれば良い。
更に、鳩目12は金属製屋根の折板に固定して取り付けるためのものであるが、はぜ締め型折板では鳩目12を利用してビス止めやボルト・ナットによる固定が可能であるが、重ね型折板では端部を折り畳んでアングル部材等の固定部材に挟持して使用するため、必ずしも必要なものではない。また、鳩目ではなくても、ビス止めやボルト・ナットによる固定が可能な孔であれば良い。
本発明は、このような屋根用遮断シート10を既製の金属製屋根、例えばはぜ締め型折板や重ね型折板で成る屋根、或いは瓦捧の配列された屋根に敷設若しくは張設する。はぜ締め型折板や重ね型折板の屋根表面からの高さは約50〜90mmであり、これが屋根用遮断シート10との間に気流用の空間を形成する。瓦棒のように高さが低い場合には、高さのある留め金具を介して敷設若しくは張設することにより、屋根表面との間に約50〜90mmの空間(隙間)を形成する。
金属製屋根の傾斜は通常0度以上30度以下である。そして、屋根用遮断シート10の敷設若しくは張設に際して、端部を補強するためにポリエチレン製ロープ等の端部補強材で端部(周縁部)を補強しても良い。端部補強材の径は約2.0〜6.0mmであり、望ましくは3.0〜5.0mmである。端部補強材のロープとしてはポリプロピレンが普通であるが、リサイクルの関係から屋根用遮断シート10と同じポリエチレンが望ましい。
第2図は、1枚の屋根用遮断シート10を金属製屋根20に敷設若しくは張設した例を示しており、第2図(A)は平面図、第2図(B)は正面図(詳細は第3図)、第2図(C)は側面図(詳細は第4図)である。屋根20ははぜ締め型又は重ね型の多数枚の折板21で構成されており、屋根20の上部及び下部には鋼製のタイトフレーム24A及び24Bが設けられており、屋根20の端面部から屋根用遮断シート10までの離間距離L1を500mm程度以上とする。離間距離L1を設けるのは、屋根全面を覆うよりも、端部を離した方が気流による熱放散が大きくなるからである。概ね屋根面積の70〜90%を屋根用遮断シート10で覆えば効果がある。
そして、折板21の頂部に留め金具22を介在させてボルト・ナット(又はビス)23で固定する。その際、はぜ締め型折板の場合は鳩目12を使用するが、重ね型折板の場合には鳩目12のない屋根用遮断シートを使用し、端部を折り畳んでアングル部材等の固定部材を用いて固定する。その詳細は後述する。
また、第5図は4枚の屋根用遮断シート10A〜10Cを金属製屋根20に敷設若しくは張設した例を示しており、第5図(A)は平面図、第5図(B)は正面図、第5図(C)は側面図である。屋根20の上部及び下部には鋼製のタイトフレーム24A及び24Bが設けられており、屋根20の端面部から屋根用遮断シート10までの離間距離L1が500mm程度以上であることは第2図の場合と同様である。屋根用遮断シート10A1と屋根用遮断シート10A2は、シート間の離間距離L3を0にした例である。屋根用遮断シート10A1,10A2と屋根用遮断シート10B,10Cとの離間距離L2を0〜500mm程度とし、屋根用遮断シート10Bと屋根用遮断シート10Cとの離間距離L3を0〜500mm程度とする。これら離間距離L1〜L3は、屋根用遮断シートの施工の便宜性と屋根用遮断シートの遮熱効果とを考慮したものである。概ね屋根面積の70〜90%を屋根用遮断シート10A1,10A2〜10Cで覆えば効果がある。
第5図のように複数枚の屋根用遮断シートを敷設若しくは張設する場合も、折板21の頂部に留め金具22を介在させてボルト・ナット(又はビス)23で固定する。その際、同様にはぜ締め型折板の場合は鳩目12を使用するが、重ね型折板の場合には鳩目12のない屋根用遮断シートを使用し、端部を折り畳んでアングル部材等の固定部材を用いて固定する。
なお、はぜ締め型折板でも鳩目を使用せず、端部を折り畳んでアングル部材等の固定部材を用いて固定しても良い。その詳細を次に説明する。
第6図は、はぜ締め型折板21Aの頂部に台形四角錘形状の留め金具221を固定し、留め金具221の頂部の孔及び屋根用遮断シート10の鳩目12に角根丸頭ボルト222を通し、ボルト222の両端部をナット223A及び223Bで締め付けて固定し、屋根用遮断シート10を屋根20に装着する例を示している。留め金具221の底部には溝224が設けられており、溝224がはぜ締め型折板21Aの頂部に存在するレール状の突起部211と嵌合しており、溝224と突起部211との嵌合によって、留め金具221ははぜ締め型折板21Aに固定される。高さのある留め金具221を用いることによって、屋根用遮断シート10とはぜ締め型折板21Aとの間に気流を生じる空間(高さ約50〜90mm)が形成される。
また、第7図は、同様に屋根用遮断シート10をはぜ締め型折板21Aの頂部に装着する構造例を示しており、台形四角錘形状の留め金具225の底部に設けられている溝226を、はぜ締め型折板21の頂部に存在するレール状の突起部211と嵌合し、留め金具225をはぜ締め型折板21Aに固定する。留め金具225の下部には締め付け用の六角ボルト227が懸架されており、六角ボルト227を両側から締め付けることにより、より強固に留め金具225をはぜ締め型折板21Aに固定することができる。そして、留め金具221の頂部の孔及び屋根用遮断シート10の鳩目12に角根丸頭ボルト222を通し、ボルト222の両端部をナット223A及び223Bで締め付けて固定し、屋根用遮断シート10をはぜ締め型折板21Aに装着する。高さのある留め金具225を用いることによって、屋根用遮断シート10とはぜ締め型折板21Aとの間に気流を生じる空間(50〜90mm)が形成される。
次に、重ね型折板21Bに屋根用遮断シート10を装着する例を第8図乃至第10図に示して説明する。重ね型折板21Bの頂部にははぜ締め型折板21Aにおける突起部211は存在しないので、その施工方法ははぜ締め型折板21Aの場合と相違している。
第8図は、第2図のX部(中途部)へ屋根用遮断シート10を装着する例であり、先ず重ね型折板21Bの頂部に断面矩形の直方体状の留め金具230をボルト・ナット231で固定する。そして、留め金具230の上面に屋根用遮断シート10を敷き、ビス232で屋根用遮断シート10を留める。これを所定ピッチで順次行うことによって、屋根用遮断シート10を重ね型折板21Bに装着する。この場合も、高さのある留め金具230を用いているので、屋根用遮断シート10と重ね型折板21Bとの間に気流を生じる空間(50〜90mm)が形成される。
第9図及び第10図は、第2図のY部(端部)へ屋根用遮断シート10を装着する例であり、先ず重ね型折板21Bの頂部に断面矩形のパイプ状の留め金具233をボルト・ナット234で固定する。留め金具233の一端部が開口して傾斜しているのは、工具で上方よりボルト・ナット234を締め易くするためであり、両端に傾斜を持たせても良く、或いは両端を平坦としても良い。
留め金具233を重ね型折板21Bの頂部に固定した後、その上に更に直方体パイプ状の留め金具235及びパイプ状の角材236を当接して配置し、留め金具235及び角材236をボルト・ナット等で留め金具233上に固定し、留め金具235及び角材236の上に屋根用遮断シート10を載置する。そして、角材236に係合する断面L字状のアングル部材237を当接し、屋根用遮断シート10を角材236及びアングル部材237に挟持してビス238で固定する。
なお、留め金具233は必ずしもパイプ状でなくても良く、遮断シートを固定できれば良い。
上述のようにして本発明に係る屋根用遮断シート10を折板に装着して屋根に敷設若しくは張設すると、第11図の模式図に示すように、太陽からの熱が屋根用遮断シート10の表面で反射されると共に、透過孔11と屋根用遮断シート10及び折板との間に形成されている空間により、気流(風)が生じて換気が図られる。そのため、屋根用遮断シート10による遮熱効果は非常に大きい。
即ち、屋根用遮断シート10の厚さが0.2〜2.0mmと薄いため、シート自体の蓄熱量を抑制でき、また、屋根用遮断シート10を屋根表面から約50〜90mm離して留め金具により装着しているため、屋根への熱伝播量が抑制される。更に、気流により屋根用遮断シートや屋根等が熱放散により冷却され、これらの温度上昇が抑制される。
第12図(A)は屋根用遮断シートが敷設若しくは張設されていない従来の屋根であり、太陽からの熱が室内に伝導されて室内温度を上昇させる。これに対し、第12図(B)に示すように屋根用遮断シート10を屋根に敷設若しくは張設すると、太陽からの熱が屋根用遮断シート10で反射され、室内に入る熱が減少するので室内温度の上昇を抑制若しくは防止することができる。
黒色屋根、シルバー色屋根、白色屋根について、熱源温度約75℃のランプを用いて、ランプから約30cm離して点灯後5分後にその温度上昇を測定した結果、次のような相違があった。黒色屋根は62.9℃、シルバー色屋根で遮断シート無しの場合は40.9℃、シルバー色屋根で遮断シート有りの場合は33.5℃、白色屋根は41.8℃であった。
また、第13図は本発明の温度抑制効果を示す実験データであり、折板屋根形状の20m2のプレハブ建築物について、外気温、屋根用遮断シート有りの折板上温度、屋根用遮断シートなしでの折板上温度、屋根用遮断シート有りでの天井裏温度、屋根用遮断シートなしでの天井裏温度を時間の経過で測定した。その結果、屋根用遮断シート施工前(屋根用遮断シートなし)では外気温がほぼ横ばいであるが、天井裏温度が57.7℃に達し、折板上温度に至っては64℃まで上昇した。これに対し、屋根用遮断シート施工後(屋根用遮断シート有り)では、天井裏で最大43℃、折板上で48.6℃とかなり減少したことが確認できた。その差は最大で天井裏で14.7℃、折板上で15.8℃であり、平均11.5℃以上温度が下がった。
この第13図の実験データからも、天井裏で5℃〜15℃温度が下がり、電気使用量に換算すると約15%以上の節電となり、本発明の効果が顕著であることが明らかである。
また、室温改善効果シミュレーションを、住宅性能表示制度での国の認定を受けた住宅用熱負荷計算プログラム“SMASH”で行うと、第14図に示す室内環境で、屋根用遮断シートを敷設若しくは張設した場合の天井裏温度及び室内温度は第15図に示す特性であり、屋根用遮断シートがない場合の天井裏温度及び室内温度は第16図に示す特性である。
本実験に使用した空間構成は、居室部分が3.6m×1.8m×2.0mであり、天井裏が3.6m×1.8m×0.2mであり、床面積は6.48m2である。そして、自然換気回数は1.0回/hとし、屋根用遮断シートが有る場合は屋根部材の日射吸収率を0としている。これからも本発明の効果は大きいことが分かる。
また、本発明の屋根用シート若しくは屋根によれば、雨が降っても雨の全てが屋根表面に当たらず、屋根用シートで緩和されるため室内での騒音が軽減される。このため、特に雨量が多い場所ではその効果が大きい。
なお、上述では屋根用遮断シートそのものを直接屋根に敷設若しくは張設するようにしているが、第17図に示すように木材や合成樹脂又は金属で成る矩形状の枠体41に上述した遮断シート42を張設した構造の比較的小型の遮断シート体40を作成し、この遮断シート体40を第18図に示すように屋根43上に配置して固定する形態の屋根も可能である。なお、第18図では6枚の遮断シート体40を屋根43上に配置しているが、枚数は任意であるが、屋根面積の70〜90%を遮断シート42及び枠体41で覆うようにする。また、透過孔43のシート42に対する開口率も約3〜8%である。
遮断シート42の枠体41に対する上下位置は任意である。つまり、遮断シート体40を枠体41の上面に張設しても、枠体41の下面に張設しても良く、第17図に示すように中途部に張設しても良い。
第19図は別の遮断シート体50を示しており、矩形状の枠体51に帯状の遮断シート52が複数枚張設され、隣接する遮断シート52の間に約5〜20mmのスリット53が透過孔として設けられている。この場合のスリット53の開口率は遮断シート52に対して約5〜15%であり、屋根面積の70〜90%を遮断シート52及び枠体51で覆うようにする。
なお、以上では屋根として金属製屋根を例に挙げ、はぜ締め型折板及び重ね型折板に屋根用遮断シートを敷設若しくは張設する場合を説明したが、これら屋根に限定されるものではなく、屋根と屋根用遮断シートとの間に適度な空間を形成して屋根用遮断シートを敷設若しくは張設すれば良い。特に金属製屋根についての効果が大きいが、金属製屋根に限定されるものではない。
以上の説明は本発明の一実施形態を示したものであり、同一の作用効果が達成される単なる設計の変更や常套手段による変形は、本発明の実施態様に含まれるものである。
本発明の屋根用遮断シートは、透過孔が規則正しく配列又は散在して形成されている遮熱性でかつ光や雨を遮断する特性を有するシートであり、金属製屋根に容易に敷設若しくは張設することができ、耐久性や耐熱性に優れ、屋根に空間を設けて敷設若しくは張設すれば、シートによる反射と自然発生する気流によって放熱作用を生じ、温度上昇を抑制することができ、直射日光による温度上昇を効率的に防止することができる。
また、屋根用遮断シートを敷設若しくは張設された屋根は、屋根上面と屋根用遮断シートとの間に空間が存在し、屋根用遮断シートに配設されている透過孔により自然に気流が形成され、直射日光による熱流が緩和若しくは抑制され、屋根の上面を直射日光が照りつけて屋根が高温となることを防止することができる。屋根上面と屋根用遮断シートとの間に形成された空間内を風(空気)が透過孔からも出入りして換気して屋根を冷やす作用が生じ、屋根用遮断シートの浮き上がりを抑制し、バタついたりして屋根用遮断シートが破損することを防止することができ、更に屋根用遮断シートに溜まる雨水等を透過孔から排水する効果もある。風が吹くと、シート上面の流速がシート下面よりも早いので、気流による揚力が生じる。しかし、シートに3〜8%の孔が開けられているので、揚力が相殺され、シートの浮き上がりやバタつきを抑制できる。
かかる本発明の作用効果は人為的又は機械的に行うものではなく、自然のままに行うものであるので、ランニングコストを必要としない経済的効果もある。
更に、本発明の屋根は屋根用遮断シートとして可燃材のポリエチレン系樹脂を用いているが、厚さが0.2〜2.0mmになっているため、0〜30度の屋根に敷設若しくは張設した場合、シートの熱伝播機能が減衰若しくは消失してシートの温度上昇が抑えられるので、不燃材として作用し、建築基準法の要件をも満たす。
従って、いずれの手法も、例えば工場、大型店舗、倉庫や車庫等の建築物に応用することは構造上無理があり、特に瓦棒葺や折板を利用した金属製屋根の場合には、太陽の直射日光で相当な高熱となって室内に影響するので、その効果にも問題がある。
また、強い雨が降ったとき、その音の室内への伝播を大幅に抑制する防音効果もある屋根を提供することも目的である。
また、本発明の上記目的は、前記屋根用遮断シートが、屋根表面から50〜90mmの空間をもって屋根面積の70〜90%の範囲に敷設若しくは張設されていることにより、或いは前記屋根用遮断シートが、屋根表面から50〜90mmの空間をもってはぜ締め型折板又は重ね型折板の頂部の突起部に留め金具を介して取り付けられ、屋根面積の70〜90%の範囲に敷設若しくは張設されていることにより、或いは前記屋根用遮断シートが、屋根表面から50〜90mmの空間をもって、瓦棒に留め金具を介して屋根面積の70〜90%の範囲に敷設若しくは張設されていることにより、より効果的に達成される。
更に、本発明の屋根は屋根用遮断シートとして可燃材のポリエチレン系樹脂を用いているが、厚さが0.2〜2.0mmになっているため、0〜30度の屋根に敷設若しくは張設した場合、シートの熱伝播機能が減衰若しくは消失してシートの温度上昇が抑えられるので、不燃材として作用し、建築基準法の要件をも満たす。
既製の金属製屋根に直接若しくは留め金具を介して屋根用遮断シートを屋根(瓦棒や折板)に簡易に敷設若しくは張設できるので、既製の屋根を大幅に改造・改築する必要はなく、非常に安価である。
第1図は本発明に係る屋根用遮断シート10の平面図であり、屋根用遮断シート10のシート材は遮熱特性を有すると共に、雨や光の遮断特性を有するポリエチレン系樹脂(ポリエチレン92.0〜97.0重量%、アミン系又はフェノール系等の有機質系添加剤1.0〜3.0重量%、顔料、炭酸カルシウム等の無機質系添加剤0.5〜5.0重量%)で成っており、横幅約3〜8m、縦長(奥行き)約1.5〜6m、厚さ約0.2〜2.0mm(望ましくは0.4〜0.8mm)の矩形シート状となっている。そして、屋根用遮断シート10の全面には、径が約80〜150mm(望ましくは100〜120mm)の円形の透過孔11が規則的(格子状)に所定ピッチで複数配設されており、屋根用遮断シート10の周縁部には、屋根に敷設若しくは張設する際に使用する真ちゅう製の鳩目12が所定ピッチで設けられている。
第6図は、はぜ締め型折板21Aの頂部に台形四角錘形状の留め金具221を固定し、留め金具221の頂部の孔及び屋根用遮断シート10の鳩目12に角根丸頭ボルト222を通し、ボルト222の両端部をナット223A及び223Bで締め付けて固定し、屋根用遮断シート10を屋根20に装着する例を示している。留め金具221の底部には溝224が設けられており、溝224がはぜ締め型折板21Aの頂部に存在するレール状の突起部211と嵌合しており、溝224と突起部211との嵌合によって、留め金具221ははぜ締め型折板21Aに固定される。高さのある留め金具221を用いることによって、屋根用遮断シート10とはぜ締め型折板21Aとの間に気流を生じる空間(高さ約50〜90mm)が形成される。
留め金具233を重ね型折板21Bの頂部に固定した後、その上に更に直方体パイプ状の留め金具235及びパイプ状の角材236を当接して配置し、留め金具235及び角材236をボルト・ナット等で留め金具233上に固定し、留め金具235及び角材236の上に屋根用遮断シート10を載置する。そして、角材236に係合する断面L字状のアングル部材237を当接し、屋根用遮断シート10を角材236及びアングル部材237に挟持してビス238で固定する。
なお、留め金具233は必ずしもパイプ状でなくても良く、遮断シートを固定できれば良い。
即ち、屋根用遮断シート10の厚さが0.2〜2.0mmと薄いため、シート自体の蓄熱量を抑制でき、また、屋根用遮断シート10を屋根表面から約50〜90mm離して留め金具により装着しているため、屋根への熱伝播量が抑制される。更に、気流により屋根用遮断シートや屋根等が熱放散により冷却され、これらの温度上昇が抑制される。
また、室温改善効果シミュレーションを、住宅性能表示制度での国の認定を受けた住宅用熱負荷計算プログラム“SMASH”で行うと、第14図に示す室内環境で、屋根用遮断シートを敷設若しくは張設した場合の天井裏温度及び室内温度は第15図に示す特性であり、屋根用遮断シートがない場合の天井裏温度及び室内温度は第16図に示す特性である。
また、本発明の屋根用シート若しくは屋根によれば、雨が降っても雨の全てが屋根表面に当たらず、屋根用シートで緩和されるため室内での騒音が軽減される。このため、特に雨量が多い場所ではその効果が大きい。
遮断シート42の枠体41に対する上下位置は任意である。つまり、遮断シート体40を枠体41の上面に張設しても、枠体41の下面に張設しても良く、第17図に示すように中途部に張設しても良い。
なお、以上では屋根として金属製屋根を例に挙げ、はぜ締め型折板及び重ね型折板に屋根用遮断シートを敷設若しくは張設する場合を説明したが、これら屋根に限定されるものではなく、屋根と屋根用遮断シートとの間に適度な空間を形成して屋根用遮断シートを敷設若しくは張設すれば良い。特に金属製屋根についての効果が大きいが、金属製屋根に限定されるものではない。
以上の説明は本発明の一実施形態を示したものであり、同一の作用効果が達成される単なる設計の変更や常套手段による変形は、本発明の実施態様に含まれるものである。
第2図は、屋根用遮断シート(1枚)を屋根に敷設若しくは張設した構成例を示す図である。
第3図は、第2図(B)の詳細図である。
第4図は、第2図(C)の詳細図である。
第5図は、屋根用遮断シート(3枚)を屋根に敷設若しくは張設した構成例を示す図である。
第6図は、はぜ締め型折板への屋根用遮断シートの取り付けの一例を示す構造図である。
第7図は、はぜ締め型折板への屋根用遮断シートの取り付けの他の例を示す構造図である。
第8図は、重ね型折板への屋根用遮断シートの取り付けの一例を示す構造図である。
第9図は、重ね型折板への屋根用遮断シートの取り付けの一例を示す構造図である。
第10図は、重ね型折板への屋根用遮断シートの取り付けの一例を示す構造図である。
第11図は、本発明の屋根の作用(熱と風の流れ)を示す模式図である。
第12図は、本発明の屋根の作用(遮熱)を従来と比較して示す模式図である。
第13図は、本発明の効果を示す特性図である。
第14図は、本発明の効果(遮熱)を確認するための測定を行ったデータ例を示す図である。
第15図は、従来の屋根の温度特性例を示す図である。
第16図は、本発明の屋根の温度特性例を示す図である。
第17図は、本発明の屋根用遮断シート(枠体構造)の他の例を示す斜視図である。
第18図は、第17図の屋根用遮断シートを屋根に配設した例を示す図である。
第19図は、本発明の屋根用遮断シート(枠体構造)の更に他の例を示す平面図である。
Claims (12)
- 遮熱特性を有すると共に、雨及び光の遮断特性を有するシート材に、径が80〜150mmの透過孔が複数配列され、前記透過孔全体の開口率が3〜8%になっていると共に、厚さが0.2〜2.0mmになっていることを特徴とする屋根用遮断シート。
- 前記シート材の端面に鳩目若しくは孔が設けられている請求の範囲第1項に記載の屋根用遮断シート。
- 前記シート材がポリエチレン系樹脂である請求の範囲第1項又は第2項に記載の屋根用遮断シート。
- 遮熱特性を有すると共に、雨及び光の遮断特性を有し、径が80〜150mmの透過孔が複数配列され、前記透過孔全体の開口率が3〜8%になっていると共に、厚さが0.2〜2.0mmになっているシート材が、木材又は合成樹脂又は金属の矩形状の枠体に張設されていることを特徴とする遮断シート体。
- 遮熱特性を有すると共に、雨及び光の遮断特性を有し、径が80〜150mmの透過孔が複数配列され、前記透過孔全体の開口率が3〜8%になっていると共に、厚さが0.2〜2.0mmになっているシート材が、木材又は合成樹脂又は金属の矩形状の枠体に張設されている遮断シート体の複数が、屋根表面から50〜90mmの空間をもって屋根折板に70〜90%の範囲に敷設若しくは張設されていることを特徴とする屋根。
- 遮熱特性を有すると共に、雨及び光の遮断特性を有し、厚さが0.2〜2.0mmの帯状シート材の複数枚がスリットを有して木材又は合成樹脂又は金属の矩形状の枠体に張設され、前記スリット全体の開口率が5〜15%になっていることを特徴とする遮断シート体。
- 遮熱特性を有すると共に、雨及び光の遮断特性を有し、厚さが0.2〜2.0mmの帯状シート材の複数枚がスリットを有して木材又は合成樹脂又は金属の矩形状の枠体に張設され、前記スリット全体の開口率が5〜15%になっている遮断シート体が、屋根表面から50〜90mmの空間をもって屋根折板に70〜90%の範囲に敷設若しくは張設されていることを特徴とする屋根。
- 遮熱特性を有すると共に、雨及び光の遮断特性を有するシート材に、径が80〜150mmの透過孔が複数配列され、前記透過孔全体の開口率が3〜8%になっていると共に、厚さが0.2〜2.0mmになっている屋根用遮断シートが、屋根表面から50〜90mmの空間をもって屋根折板に70〜90%の範囲に敷設若しくは張設されていることを特徴とする屋根。
- 前記屋根折板がはぜ締め型折板であり、前記屋根用遮断シートが留め金具を介して取り付けられている請求の範囲第8項に記載の屋根。
- 前記屋根折板が重ね型折板であり、前記屋根用遮断シートが留め金具を介して取り付けられている請求の範囲第8項に記載の屋根。
- 前記留め金具が前記はぜ締め型折板の頂部の突起部に嵌合されている請求の範囲第9項に記載の屋根。
- 遮熱特性を有すると共に、雨及び光の遮断特性を有し、弾力性のあるシート材に、径が80〜150mmの透過孔が複数配列され、前記透過孔全体の開口率が3〜8%になっていると共に、厚さが0.2〜2.0mmになっている屋根用遮断シートが、屋根表面から50〜90mmの空間をもって、瓦棒に留め金具を介して70〜90%の範囲に敷設若しくは張設されていることを特徴とする屋根。
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