JPWO2008108371A1 - 化学物質センシング素子、化学物質センシング装置、及び化学物質センシング素子の製造方法 - Google Patents

化学物質センシング素子、化学物質センシング装置、及び化学物質センシング素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2008108371A1
JPWO2008108371A1 JP2009502589A JP2009502589A JPWO2008108371A1 JP WO2008108371 A1 JPWO2008108371 A1 JP WO2008108371A1 JP 2009502589 A JP2009502589 A JP 2009502589A JP 2009502589 A JP2009502589 A JP 2009502589A JP WO2008108371 A1 JPWO2008108371 A1 JP WO2008108371A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chemical substance
sensing element
substance sensing
sensing
fluorescent molecule
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009502589A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5204758B2 (ja
Inventor
幹宏 山中
幹宏 山中
高尾 克俊
克俊 高尾
倫久 川田
倫久 川田
紀江 松井
紀江 松井
修司 西浦
修司 西浦
原 圭太
圭太 原
泰章 村司
泰章 村司
工藤 淳
淳 工藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2009502589A priority Critical patent/JP5204758B2/ja
Publication of JPWO2008108371A1 publication Critical patent/JPWO2008108371A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5204758B2 publication Critical patent/JP5204758B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/75Systems in which material is subjected to a chemical reaction, the progress or the result of the reaction being investigated
    • G01N21/77Systems in which material is subjected to a chemical reaction, the progress or the result of the reaction being investigated by observing the effect on a chemical indicator
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/75Systems in which material is subjected to a chemical reaction, the progress or the result of the reaction being investigated
    • G01N21/77Systems in which material is subjected to a chemical reaction, the progress or the result of the reaction being investigated by observing the effect on a chemical indicator
    • G01N2021/7769Measurement method of reaction-produced change in sensor
    • G01N2021/7786Fluorescence
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/02Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating impedance
    • G01N27/04Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating impedance by investigating resistance
    • G01N27/12Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating impedance by investigating resistance of a solid body in dependence upon absorption of a fluid; of a solid body in dependence upon reaction with a fluid, for detecting components in the fluid

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Fluid Adsorption Or Reactions (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)

Abstract

生体情報に含まれる特定化学物質を検出する化学物質センシング素子142は、カーボンナノ構造体からなり、その表面に修飾された金属錯体又は蛍光分子により、物質選択能と高い感度を示す。カーボンナノ構造体表面に修飾された物質のうち、CoPcは、生体情報における含有成分のうちNO及びペンタンと、DAF−2はNOと、それぞれ反応し、それぞれ反応生成物を生成する。CoPc起因の反応生成物は、接点154、156間の電気抵抗を変化させ、DAF−2起因の反応生成物は、励起光に対し特定波長の蛍光を発生する。このため、本素子の電気抵抗変化、又は蛍光の有無及び波長を測定することにより、NO又はペンタンのセンシングが可能になる。

Description

この発明は、人間の健康状態を調べるために、気体及び液体の生体試料中の化学物質をセンシングするための素子に関し、特に、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーを含むナノ構造よりなる炭素同位体(以下「カーボンナノ構造体」と呼ぶ。)を利用したセンシング素子のセンシング対象ガスに対する選択性とその感度とを改善する技術に関する。
現代の日本は高齢化社会を迎えている。これに伴い、医療費が増大し、医療保険制度の健全な運営が難しくなっている。こうした問題及びその他の関連する問題に起因して、社会における健康管理及び疾病予防への関心が高まっており、病気になってから治療するのではなく、病気になることを予防することに重点が置かれた社会(これをここでは「医療予防社会」と呼ぶ。)の実現が待ち望まれている。
こうした目的を達成する為には、個人で手軽に且つ迅速に健康状態をチェックできるシステムが必要である。個人の健康状態を把握するために容易にサンプリングできる生体情報としては、血液、尿、汗、唾液、呼気等がある。これらの構成成分のうち、ある特定の物質は、体調不良、将来疾病になる可能性が高い何かの兆候、及び既に患っている疾病に起因して、発生したり、その量が変化したりする場合があり、その変化を知ることで個人の健康状態を把握できる可能性が高い。このような物質をマーカーと呼ぶ。マーカーのモニタリングが、健康管理や疾病の早期発見、早期治療に役立つ。
非特許文献1には疾病とマーカーとの関係が示されている。テーブル1にこの一部を引用する。
Figure 2008108371
生体情報のうち、呼気は、肺の中において毛細血管中の血液と薄膜を隔てて近接して存在するため、その中には特にマーカーを多く含んでいる。加えて、サンプリングが最も簡単である為、モニタリングには最も有用な生体情報である。
これら呼気中マーカーのモニタリング法として、ガスセンシング素子を挙げることができる。従来技術では酸化錫を用いた酸化物半導体ガスセンサが知られているが、その感度は検出下限が〜10ppmレベルで、さらに、試料を約300度に加熱する必要がある。呼気マーカーモニタリングに対しては、非特許文献1によると検出下限がppbレベルの高感度が必要なことと、呼気は加熱すると変化してしまう恐れが高いため非侵襲な方法が望まれていることとにより、酸化物半導体ガスセンサは不適切である。社会的ニーズを満足させるためには、さらなる高性能化が必要である。
この問題を解決するための一方法として、後述する非特許文献2には、近年発見されたカーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube。以下「CNT」と呼ぶ。)からなるガスセンサが提案されている。
CNTは直径がナノオーダーのチューブ状炭素材料である。6つの炭素原子が正六角形の板状構造を形成して結合した結晶構造はグラファイト構造と言われる。このグラファイト構造が、二次元に連続するとグラフェンシートと呼ばれる。CNTは、このグラフェンシートを円筒状に丸めた構造によりなる。CNTは非常に安定な構造で、その内部ではΠ電子結合に基づく高速な電子移動を許容する導電性を示し、構造によっては金属線よりも優れた導体となることが知られている。
非特許文献2によれば、CNTに化学物質分子が付着すると、電子移動が起こり起電力が発生する。言い換えれば、CNTの2点間に、電位差、又は、電気抵抗の変化が生じる。この電気抵抗の変化を検出すれば、化学物質のセンシングが可能となる。さらに、CNTの形状がナノオーダーの微細構造であることから、応答性及び検出下限に大幅な改善が期待できる。すなわち、当該特定化学物質がCNT表面に吸着してからCNTの電気抵抗変化が発生するまでの時間は、CNTの導電性及びナノ構造に起因して、前述した従来のセンシング素子に比べて非常に短い。さらに、CNTは、その表面積が大きいことと、すべての原子が表面を構成する、その構造とにより、物質吸着の影響が電気抵抗変化へ反映される際の電子散乱等による損失が少ない。そのためCNTによれば、従来のセンシング素子では困難な、微量の特定化学物質の吸着と、その存在確認とが可能になると考えられる。
さらに、CNTのナノ構造により、CNTを利用した化学物質センシング素子は、超小型、低消費電力、ポータブルを実現し、個人の簡単な健康チェック手段として最適である。
一般的なCNTを利用したセンサとしては、特許文献1に記載の様なものが知られている。しかし、前述した生体情報に含まれるマーカーのモニタリングに関する記載は無く、また、その感度についても詳細は明確に記載されていない。
ウェンチン・ツァオ他、「呼気分析:臨床診断及び曝露評価の可能性」、クリニカル・ケミストリ、第52巻:5、p.800−811、2006年(Wenqing Cao et al.、"Breath Analysis:Potential for Clinical Diagnosis and Exposure Assessment"、Clinical Chemistry、vol.52:5、p.800−811、2006) 齋藤理一郎、「カーボンナノチューブの概要と課題」、機能材料、vol.21、No.5、p6−14、2001年5月号 特表2003−517604号公報
以上述べたように、CNTを利用したセンシング技術は、ガス中のマーカーとなる特定化学物質をセンスするためのものとして有望である。しかし、非特許文献2に示されたセンシング技術は、センシング対象物質に対する選択性がないと考えられる。これは、以下のように実験により確認された。
本願発明者は、非特許文献2に開示された技術により、特定化学物質に対する選択性が得られるか否かを確認するために、以下のような実験を行なった。実験では、自然界に存在するN2ガスと、トルエンガスとを、それぞれ非特許文献2に示された技術による化学物質センシング素子に吸着させ、その電気抵抗変化を測定した。その結果、いずれの場合も、吸着ガスの無い場合と比べて差異が認められ、何らかの物質の存在を確認することができた。しかし、N2ガスとトルエンガスとの間に、電気抵抗変化の明確な差異は認められなかった。
つまり、非特許文献2に開示された技術を用いたセンサには、センシング対象物質に対する選択性がないと考えられる。そのため、雰囲気中の物質の存在を確認することは可能であるが、「存在する物質が何か」を知るための定性分析ができない。したがって、マーカーの検出についてはその利用価値はほとんどないと考えられる。
また、特許文献1に示されたセンシング技術は、マーカーのモニタリングに対応しておらず、その性能の程度は不明である。
したがって本発明の目的は、生体情報に含まれるマーカーに対して、マーカー選択性と、高い性能とを有する化学物質センシング素子とその製造方法、及びそうした化学物質センシング素子を用いた化学物質センシング装置を提供することである。
本発明の他の目的は、生体情報に含まれるマーカーに対して、マーカー選択性と、高い性能とを有する、カーボンナノ構造体を含む化学物質センシング素子とその製造方法、及びそうした化学物質センシング素子を用いた化学物質センシング装置を提供することである。
本発明の第1の局面に係る化学物質センシング素子は、金属錯体又はその誘導体により表面修飾された導電性を有するセンシング用基体を含み、特定化学物質を検出することを特徴とする。
好ましくは、センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む。
この化学物質センシング素子においては、センシング対象ガスを吸着させる部分として、CNTに比べ簡易に製造可能なカーボンナノ構造体を含む。本願発明者は、非特許文献1に記載の技術を、カーボンナノ構造であればCNTに限定せず、そのいずれにも適用できると考える。なぜなら、前述した技術は、カーボンナノ構造の特徴である、導電性及びナノ構造を利用しているためである。加えて、このカーボンナノ構造体は、その表面を金属錯体又はその誘導体により修飾されており、以下の理由により、物質選択性を有すると考える。すなわち、修飾のないカーボンナノ構造体は非常に安定な結合状態で電気的に分極していないが、金属錯体又はその誘導体による修飾のあるカーボンナノ構造体は、修飾基が分極しており、その電気的特性により特定の物質のみを表面に吸着する。また、吸着した際、ガスの種類に起因する結合状態や電荷の状態の違いを、修飾ありの場合は、なしの場合より大きく反映した挙動を示し、これがカーボンナノ構造体の電気抵抗の変化に影響し、ガス選択性を持ち得る。さらに、金属錯体又はその誘導体による修飾により、カーボンナノ構造体からなる化学物質センシング素子は、その感度を向上する。なぜなら、その立体構造を考えると、修飾ありのものは前述のグラフェンシートを変形したカーボンナノ構造体のそれぞれに、側鎖的に金属錯体又はその誘導体の置換基が付与されていると考えられ、置換基周辺にはガス吸着を許容する空間があるが、修飾なしのものはその構造により制約を受けるためである。
本化学物質センシング素子は、従来技術では困難であった、生体情報に含まれる特定化学物質を、高い感度で検出可能である。すなわち、本素子により、生体情報に含まれるマーカーに対して、マーカー選択性と、高い性能とを有する、カーボンナノ構造体からなる化学物質センシング素子を提供できる。
より好ましくは、化学物質センシング素子に含まれる金属錯体は、金属フタロシアニン類からなる。
この化学物質センシング素子においては、測定対象ガスを吸着させる部分として、その表面を、金属フタロシアニンにより修飾されているカーボンナノ構造体を含む。金属フタロシアニンは、4つのフタル酸イミドが窒素原子で架橋された構造をもつ環状化合物フタロシアニン(Phthalocyanine又はTetrabenzoazaporphyrine, C32816)と、その中央部分に配置された金属(Metal)との錯体である。本願発明者は、金属フタロシアニン(以下「MePc」と呼ぶ。)修飾を施したカーボンナノ構造体は、修飾なしのものに比べ、ペンタンに対する吸着能が高いことを、密度汎関数理論(Density Functional Theory。以下「DFT」と呼ぶ。)に基づいたシミュレーションにより発見した。ペンタンは呼気中の酸化ストレス疾患に関連するマーカーである。加えて、MePcによりその表面を修飾すると、以下の理由でそのセンシング感度を向上させることができる。化学物質センシング素子によりセンシングを行なう場合、後述するように、その電気抵抗変化を測定するために電界をかける。これにより、カーボンナノ構造体の内部では電子の移動が起こる。修飾により、カーボンナノ構造体の表面に付与されたMePcへも電子が移動し注入されると、励起状態となり、金属は酸化され正電荷を、フタロシアニンは負電荷をさらに帯び、これにより物質吸着に対してより活性となる。当該特定化学物質と反応した場合その電気的特性の変化は、MePc及びカーボンナノ構造体がそれぞれの分子構造全体に共通に有するΠ電子結合により高速にカーボンナノ構造体へ伝わり、電気抵抗変化を迅速に発生させる。
すなわち、本素子によれば、生体情報に含まれるマーカーに対して、マーカー選択性と、従来のものよりも高い感度とを有する、カーボンナノ構造体からなる化学物質センシング素子を提供できる。
さらに好ましくは、化学物質センシング素子において、検出される特定化学物質は、一酸化窒素(Nitric Oxide。以下「NO」と呼ぶ。)及びペンタンからなるグループから選択される。
MePcにより表面修飾されたカーボンナノ構造体を含む、本発明に係る化学物質センシング素子において、本願発明者は、NO及びペンタンを高い感度で検出することを確認した。これは、MePcが、その電気的特性により、NO及びペンタンに対する吸着能が高いことに起因する。NO及びペンタンは、呼気中のマーカーとして知られ、NOは肺疾病、ペンタンは酸化ストレスに関連する。
すなわち、本素子によれば、生体情報に含まれるマーカー物質である一酸化窒素及びペンタンに対する選択性と、従来のものよりも高い感度とを持つ、化学物質のセンシング素子を提供できる。
本発明の第2の局面に係る化学物質センシング素子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する蛍光分子により表面修飾されたセンシング用基体を含み、特定化学物質を検出することを特徴とする。
好ましくは、センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む。
この本化学物質センシング素子は、測定対象ガスを吸着させる部分として、その表面を蛍光分子により修飾されたカーボンナノ構造体を含む。さらに、その蛍光分子は、その分子構造及び電気的特性により、マーカーである特定化学物質と選択的に結合する。この結合による生成物に特定波長の光を照射すると、この生成物は励起し、特定波長の蛍光を発生する。このため、本化学物質センシング素子の蛍光励起反応を測定することで、測定対象ガス中の特定化学物質の存在の有無を確認することができる。また、測定対象ガス中に複数の成分が含まれていても、蛍光分子の反応選択性により、個別にマーカーセンシングが可能である。
すなわち、本発明によれば、生体情報に含まれるマーカーに対する選択性の高い、感度のよい、カーボンナノ構造体からなる化学物質センシング素子を提供できる。
より好ましくは、化学物質センシング素子に含まれる蛍光分子は、ジアミノフルオレセイン−2(Diaminofluorescein−2。以下「DAF−2」と呼ぶ。)からなることを特徴とする。
さらに好ましくは、化学物質センシング素子において、検出される特定化学物質は、NOであることを特徴とする。
DAF−2は、分子構造に含まれるアミノ基が一酸化窒素と反応し、ジアミノフルオレセインー2−トリアゾーレ(Diaminofluorescein−2−triazole。以下「DAF−2T」と呼ぶ。)を形成する。DAF−2Tに波長495nmの励起光を照射すると、波長515nmの蛍光を発生する。これにより生体情報中の一酸化窒素の有無を確認することが可能である。
本願発明者は、DAF−2により表面修飾されたカーボンナノ構造体を含む化学物質センシング素子により、測定対象ガス中のNOを検出することができ、その感度は検出下限100ppb以下であることを確認した。
本発明によれば、従来のものよりも高い感度で、NOのモニタリングを行なうことができる化学物質センシング素子を提供できる。
好ましくは、化学物質センシング素子に含まれる蛍光分子は2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(2,4-Dinitrophenylhydrazine:以下「DNPH」と呼ぶ。)からなる。
より好ましくは、化学物質センシング素子において、検出される特定化学物質はアセトンであることを特徴とする。
DNPHはその末端アミノ基が、アセトンと反応してイミンを生成する。この生成物に波長440nmの励起光を照射すると、やはり特定波長の蛍光を示す。これにより生体情報中のアセトンの有無を確認することが可能である。
本願発明者は、DNPHにより表面修飾されたカーボンナノ構造体を含む化学物質センシング素子により、センシング対象ガス中のアセトンを検出することができ、その感度は検出下限100ppb以下であることを確認した。
すなわち、本発明によれば、従来のものよりも高い感度で、アセトンのモニタリングを行なうことができる化学物質センシング素子を提供できる。
本発明の第3の局面に係る化学物質センシング素子は、金属錯体又はその誘導体、及び蛍光分子により表面修飾された、導電性を有するセンシング用基体を含み、特定化学物質を検出することを特徴とする。本素子に含まれる蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する。
好ましくは、センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む。
より好ましくは、金属錯体はMePc類からなる。
さらに好ましくは、蛍光分子はDAF−2からなる。
金属錯体であるMePcと、蛍光分子であるDAF−2により表面修飾されたカーボンナノ構造体において、MePc及びDAF−2のそれぞれに対し、特定の化学物質が反応して反応生成物を生成する。このため、本素子に測定対象ガスを導入し、素子への特定化学物質の吸着による蛍光励起反応と、電気抵抗変化とを同時に測定する場合、それぞれを単独に測定する場合と比べ、一度の測定において検出可能な特定化学物質の種類を増加させ、また、一方の測定では感度等の問題で検出不可能であった特定化学物質を、他方の測定において補完し、検出することが可能である。
本発明の第4の局面に係る化学物質センシング素子は、特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子であって、第1の蛍光分子により表面修飾された第1のセンシング用基体を含む第1のセンシング素子と、第1の蛍光分子と異なる第2の蛍光分子により表面修飾された第2のセンシング用基体を含む第2のセンシング素子とを含む。
好ましくは、第1及び第2のセンシング用基体はいずれもカーボンナノ構造体を含む。
第1及び第2の蛍光分子により表面修飾されたカーボンナノ構造体をそれぞれ含む第1及び第2のセンシング素子を用いるため、異なる化学物質をこれらセンシング素子で別々に検出できる。したがって、生体情報中の複数の化学物質を同時に、かつ別々に検出することが可能な化学物質センシング素子を提供できる。
より好ましくは、第1及び第2の蛍光分子は、DAF−2及びDNPHからなるグループから選択される。
DAF−2及びDNPHによりそれぞれ表面修飾されたカーボンナノ構造体をそれぞれ含む第1及び第2のセンシング素子を用いる。このため、生体情報中に数種の化学物質が含まれていても、第1のセンシング素子は例えば一酸化窒素を、第2のセンシング素子は例えばアセトンを、同時に、かつ別々に、検出することが可能である。
本発明の第5の局面に係る化学物質センシング装置は、金属錯体又はその誘導体により表面修飾された導電性のセンシング用基体を含む化学物質センシング素子と、化学物質センシング素子に電気的に結合され、化学物質センシング素子の電気抵抗の変化を検出するための検出手段とを含む。
好ましくは、化学物質センシング装置に含まれるセンシング用基体はカーボンナノ構造体を含む。
より好ましくは、センシング用基体表面を修飾する金属錯体は、MePcからなる。
本装置によれば、生体情報に含まれる特定化学物質に対する選択性と、従来のものよりも高い感度とを持つ、化学物質のセンシングを行なうことが可能である。
さらに好ましくは、化学物質センシング装置は、さらに、化学物質センシング素子を加熱、光照射又は真空引きするための手段を含み、それにより、前記化学物質センシング素子表面に吸着された物質が実質的に除去される。
本装置によれば、化学物質センシング素子表面に吸着された物質を除去することができ、これを再利用することができる。
本発明の第6の局面に係る化学物質センシング装置は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する蛍光分子により表面修飾されたセンシング用基体を含む化学物質センシング素子と、励起光に起因して前記化学物質センシング素子に結合した蛍光分子から発生する蛍光を検出可能なように設置された蛍光検出器と、蛍光検出器に接続され、特定の波長の蛍光の有無を判定するための判定器とを含む。
好ましくは、化学物質センシング装置はさらに、化学物質センシング素子に対し、その発光する光を照射可能な位置に設置された、蛍光分子の励起光を照射するための発光器を含む。
より好ましくは、化学物質センシング装置に含まれるセンシング用基体はカーボンナノ構造体を含む。
さらに好ましくは、センシング用基体表面を修飾する蛍光分子はDAF−2及びDNPHからなるグループから選択される。
本装置によれば、生体情報に含まれる特定化学物質に対する選択性と、従来のものよりも高い感度とを持つ、化学物質のセンシングを行なうことが可能である。
好ましくは、化学物質センシング装置は、さらに、化学物質センシング素子を加熱、光照射又は真空引きするための機器を含み、それにより、化学物質センシング素子表面に吸着された物質が実質的に除去される。
本装置によれば、化学物質センシング素子表面に吸着された物質を除去することができ、化学物質センシング素子を再利用することができる。
本発明の第7の局面に係る化学物質センシング装置は、金属錯体又はその誘導体、及び蛍光分子により表面修飾された導電性センシング用基体を含む、特定化学物質検出のための化学物質センシング素子と、化学物質センシング素子に電気的に結合され、化学物質センシング素子の電気抵抗変化検出のための検出器と、励起光に起因して化学物質センシング素子に結合した蛍光分子から発生する蛍光を検出可能なように設置された蛍光検出器と、蛍光検出器に接続され、特定の波長の蛍光の有無を判定するための判定器とを含む。本装置に含まれる蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する。
好ましくは、化学物質センシング装置はさらに、化学物質センシング素子に対し、その発光する光を照射可能な位置に設置された、蛍光分子の励起光を照射するための発光器を含む。
より好ましくは、センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む。
さらに好ましくは、金属錯体はMePc類からなる。
蛍光分子はDAF−2からなってもよい。
金属錯体であるMePcと、蛍光分子であるDAF−2により表面修飾されたカーボンナノ構造体において、MePc及びDAF−2のそれぞれに対し、特定の化学物質が反応して反応生成物を生成する。このため、本装置に測定対象ガスを導入し、化学物質センシング素子への特定化学物質の吸着による蛍光励起反応と、電気抵抗変化とを同時に測定する場合、それぞれを単独に測定する場合と比べ、一度の測定において検出可能な特定化学物質の種類を増加させ、また、一方の測定では感度等の問題で検出不可能であった特定化学物質を、他方の測定において補完し、検出することが可能である。
化学物質センシング装置は、さらに、化学物質センシング素子を加熱、光照射又は真空引きするための機器を含み、それにより、化学物質センシング素子表面に吸着された物質が実質的に除去される。
本装置によれば、化学物質センシング素子表面に吸着された物質を除去することができ、化学物質センシング素子を再利用することができる。
本発明の第8の局面に係る化学物質センシング装置は、金属錯体又はその誘導体により表面修飾された導電性センシング用基体を含む、第1の化学物質センシング素子と、蛍光分子により表面修飾された導電性センシング用基体を含む、第2の化学物質センシング素子と、第1の化学物質センシング素子に電気的に結合され、第1の化学物質センシング素子の電気抵抗の変化を検出するための検出器と、励起光に起因して第2の化学物質センシング素子に結合した蛍光分子から発生する蛍光を検出可能なように設置された蛍光検出器と、蛍光検出器に接続され、特定の波長の蛍光の有無を判定するための判定器とを含み、特定化学物質を検出することを特徴とする。蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が前記励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する。
好ましくは、化学物質センシング装置はさらに、第2の化学物質センシング素子に対し、その発光する光を照射可能な位置に設置された、蛍光分子の励起光を照射するための発光器を含む。
より好ましくは、センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む。
さらに好ましくは、金属錯体はMePc類からなる。
蛍光分子はDAF−2からなってもよい。
金属錯体であるMePcにより表面修飾されたカーボンナノ構造体と、蛍光分子であるDAF−2により表面修飾されたカーボンナノ構造体において、MePc及びDAF−2のそれぞれに対し、特定の化学物質が反応して反応生成物を生成する。このため、本装置に測定対象ガスを導入し、素子への特定化学物質の吸着による蛍光励起反応と、電気抵抗変化とを同時に測定する場合、それぞれを単独に測定する場合と比べ、一度の測定において検出可能な特定化学物質の種類を増加させ、また、一方の測定では感度等の問題で検出不可能であった特定化学物質を、他方の測定において補完し、検出することが可能である。
化学物質センシング装置は、さらに、化学物質センシング素子を加熱、光照射又は真空引きするための機器を含み、それにより、化学物質センシング素子表面に吸着された物質が実質的に除去される。
本装置によれば、化学物質センシング素子表面に吸着された物質を除去することができ、化学物質センシング素子を再利用することができる。
本発明の第9の局面に係る、特定化学物質を検出するための、化学物質センシング素子の製造方法は、導電性のセンシング用基体を平面上に作製するステップと、金属錯体又はその誘導体、及び蛍光分子を含む溶液を、作製されたセンシング用基体に滴下するステップと、平面上のセンシング用基体の蛍光分子を含む溶液が滴下された領域において、センシング用基体と他の部位との間に所定の電圧をかけるステップとを含む。蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生することを特徴とする。この方法により、センシング用基体が金属錯体又はその誘導体、及び蛍光分子により実質的に均一に表面修飾される。
好ましくは、導電性のセンシング用基体は、カーボンナノ構造体を含む。
以上のように本発明によれば、従来技術では困難であった、生体情報に含まれる特定物質のセンシングにおいて、マーカー選択性と、高い感度とを有する、好ましくはカーボンナノ構造体からなるセンシング用基体を有する化学物質センシング素子を得ることができる。この素子により、NO、ペンタン、アセトンなどのマーカーについて、マーカー選択性を持つ化学物質センシングを行なうことができる。加えて、表面処理により高感度化が可能なことから、今までその検出が困難であった微量マーカーについてもそのセンシングができるようになる。
化学物質センシング装置20の構成図である。 本発明の第1の実施の形態に係る化学物質センシング素子32の構成図である。 第1の実施の形態に係る化学物質センシング部42の構成と動作とについて説明するための模式図である。 第2の実施の形態に係る化学物質センシング装置62に構成図である。 第2の実施の形態に係る化学物質センシング部の構成と動作とについて説明するための模式図である。 第3の実施の形態に係る化学物質センシング素子108の構成と動作とについて説明するための模式図である。 第4の実施の形態に係る化学物質センシング素子128の構成図である。 第5の実施の形態に係る化学物質センシング素子142の構成図である。 第5の実施の形態の変形例に係る化学物質センシング素子180の構成図である。 第1の実施の形態に基づく実施例1に係る化学物質センシング素子270の製造方法の一部を説明するための模式図である。 第1の実施の形態に基づく実施例1の測定結果である。
符号の説明
20,62 化学物質センシング装置、30,192 直流電源、32,108,128,142,180,200,210,270 化学物質センシング素子、34 負荷抵抗、36 増幅器、40a,40b 電極、42,66 化学物質センシング部、50,80 CNT、52,82,84 CNT表面に修飾付与された物質、64 容器、67 光源、68 光路容器、69 ダイクロイックミラー、70 CCDカメラ、71 表示システム、72,100 励起光、73,102,124,126 蛍光、74 表示画面、110 プレート、120,122 化学物質センシング部を保持するためのプレート上のウエル、130,150,190,280 基板、132,152,153,202,203,212,213 櫛型のパターン、138,178,179 カーボンナノ構造体、139,140,154,156,204,206,214,216,286,288 接点、134,170 固体基板、135,172 熱酸化膜、136,174 バッファ層、175 開口部、137,176 触媒層、282 化学物質センシング素子製造用Au電極、284 分散液
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。以下の図面及び説明においては、同一の部品又は構成要素には同一の参照符号を付してある。それらの機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
[第1の実施の形態]
―構成―
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る化学物質センシング素子を採用した化学物質センシング装置20の構成図を示す。図1を参照して、装置20は、直流電源30と、直流電源30のプラス端子に一端が接続された、本実施の形態に係る化学物質センシング素子32と、化学物質センシング素子32の他端と直流電源30のマイナス端子との間に接続された負荷抵抗34と、化学物質センシング素子32及び負荷抵抗34の接点に入力が接続され、この接点の電位変化を増幅するための増幅器36とを含む。測定時、この電位変化を測定するために、増幅器36の他方の端子に図示しない直流電圧計が接続される。
図2に、化学物質センシング素子32の構成図を示す。図2(A)を参照して、化学物質センシング素子32は、金属錯体であるMePcにより表面修飾された、センシング用の基体を構成するカーボンナノ構造体からなる、化学物質センシング部42と、化学物質センシング部42の両端に配置され、化学物質センシング部42とそれぞれ電気的に接続された電極40a及び40bとを含む。
化学物質センシング部42は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレンといった、カーボンナノ構造体の集合体で形成されている。したがって、化学物質センシング部42は多数のCNT等を含んでいる。図3に、化学物質センシング部42に含まれる一本のCNT50の概念図を示す。図3を参照して、本実施の形態では、CNT50の表面に、MePc分子52が付与されている。すなわち、その他のカーボンナノチューブ(したがって化学物質センシング部42)も同様に、MePcにより表面修飾されている。
MePcは、特定物質とのみ反応する選択能を有し、MePcにより修飾されたカーボンナノ構造体からなる化学物質センシング部42に電流を通したときの化学物質センシング部42の抵抗値は、化学物質センシング部42に物質が吸着したか否かにより異なる。化学物質センシング部42は雰囲気中の特定物質を吸着するので、その電気抵抗値の変化の態様は雰囲気中にある特定物質が存在しているか否かにより異なる。したがって、図1に示す装置により、雰囲気中の特定の物質を選択的に検出できる。すなわち、呼気をこの装置20に導入し、直流電圧計の出力を測定することにより、呼気中の特定物質を選択的に検出できる。
―化学物質センシング素子32の製造方法―
化学物質センシング素子32は以下のようにして製造される。センシング用基体を構成するカーボンナノ構造体は、従来の方法を用いて生成することができる。カーボンナノ構造体を生成後、不純物除去のため還流処理を行なう。その後、これを乾燥させ、MePc溶液中へ投入し超音波照射によりMePc溶液中にカーボンナノ構造体が一様に分散した分散液を作製する。その後、これを乾燥させて化学物質センシング部42とし、その両端に電極をつけて化学物質センシング素子32とする。
―動作―
図1、図2、及び図3を参照して、本実施の形態に係る装置20は以下のように動作する。図1を参照して、直流電源30により、化学物質センシング素子32と負荷抵抗34とを直列接続したものの両端に一定電圧をかけながら、測定対象ガスを化学物質センシング素子32表面に導入する。
図2を参照して、化学物質センシング素子32に含まれる化学物質センシング部42を構成するカーボンナノ構造体の表面に測定対象ガス中の化学物質が付着すると、電極40a、40b間の電気抵抗が変化する。その変化を増幅器36の出力電圧の変化として図示しない直流電圧計により検出する。
図3に、NOが表面をMePcで修飾されたCNT50の表面に吸着した様子を示す。前述したように、MePcによる吸着物質に対する選択能により、NO60が吸着する。化学物質センシング部42を構成する、一本一本のCNT50及びその他のカーボンナノ構造体のそれぞれに物質の吸着がおこり、それぞれの電気抵抗変化の総和が、図1に示す装置20における、出力電圧変化として検出される。
これは以下のような理由による。化学物質センシング部42においては、一本一本のナノ構造体が隣接するものと互いに接触しあっている。したがって、化学物質センシング部42は全体として導電性の集合体となっている。前述したように、この集合体の両端の電気抵抗は、ナノ構造体の表面に何らかの物質が付着することにより変化する。したがって、化学物質センシング部の両端の電気抵抗の変化を見ることにより、化学物質センシング部42に何らかの物質が付着したこと、すなわち、何らかの物質が雰囲気中に存在することが分かる。
加えて、化学物質センシング部42表面に修飾された、MePcは、特定物質を選択的に吸着する。このため、化学物質センシング部42の全体の電気抵抗の変化量を知ることにより、生体情報中の特定物質の存在の有無を確認することができる。
なお、MePcはペンタンに対する吸着選択能をも持つ。テーブル2は、配位金属の異なるMePc及びカーボンナノ構造体を代表するCNTのペンタンに対する吸着エネルギーを、DFTに基づいたシミュレータ(accelrys社製 DMol3)を用いて計算したものである。例示するすべてのMePcが、CNTより低い吸着エネルギーを持つことから、CNTよりペンタンに対する吸着能は高いことが予測できる。このことから、MePcの、ペンタンに関する吸着能は、カーボンナノ構造体のそれよりも高いことが推測できる。
Figure 2008108371
なお、化学物質センシング素子を再利用するためには、先に測定した測定対象ガスの除去が必要である。この場合、化学物質センシング素子32の温度を上げることで、吸着した測定対象ガスを脱離させることができる。化学物質センシング素子32の温度を上げるためには様々な手段を設けることができる。本実施の形態に係る装置20においては、ガスの離脱処理時には、直流電源30の電圧を高く調整することにより、化学物質センシング素子32の温度を200度程度に上昇させることで各種センシング対象物質を取り除く。また、化学物質センシング素子32を周期的に150度で加熱するための手段を設けても良い。さらに、半導体レーザによるレーザ光照射による加熱を行なっても良い。センシング対象物質の脱離法はこれに限らず、真空引きによっても可能である。
以上の様に本実施の形態に係る装置20が化学物質センシング部42の電気抵抗の変化を測定する。この電気抵抗の変化の態様は、化学物質センシング部42に特定の物質が付着したときには、そうでないときと区別可能である。したがって、装置20により、雰囲気中の特定の物質を検知することができる。カーボンナノ構造体を使用しているため、この電気抵抗の変化は吸着された物質の量を高い感度で反映する。そのため、雰囲気中の特定の化学物質を高感度で検知することができる。
上記実施の形態では、金属錯体としてMePcを挙げたが、これに限らず、一般的に金属錯体又はその誘導体により、上記した実施の形態と同様の効果を奏することができると考えられる。
なお、以下の実施の形態において、構成、動作及び物質の検出原理の一部は第1の実施の形態同様である。したがって、以後の実施の形態の説明において、これらの詳細な説明は繰返さない。
[第2の実施の形態]
本実施の形態における化学物質センシングでは、特定の蛍光分子により表面修飾されたカーボンナノ構造体を用いる。この蛍光分子としては、生体情報に含まれる特定物質と反応し、その反応生成物に特定波長の光を照射すると、励起されて所定の波長の蛍光を発生するような蛍光分子を採用する。すなわち、本実施の形態では、このような蛍光分子により表面修飾されたカーボンナノ構造体を採用したセンシング素子を用いる。
―構成―
図4に第2の実施の形態に係る化学物質センシング部を採用した、化学物質センシング装置62の構成を示す。図4を参照して、装置62は、大気に影響を受けないガスセンシングを行なうため、センシング素子の周辺雰囲気を閉系にするための容器64と、容器64の中に配された化学物質センシング部66と、光72を出射する光源67と、化学物質センシング部66の直上に、光源67からの光72を化学物質センシング部66に向けて反射し、化学物質センシング部66からの蛍光73を透過させるように配置されたダイクロイックミラー69と、容器64に接続され、ダイクロイックミラー69を収容し、光源67からの光72と化学物質センシング部66からの蛍光73との光路を形成する光路容器68と、光路容器68の、化学物質センシング部66からの蛍光73が到達する位置に設けられ、化学物質センシング部66から発生した蛍光73により得られる画像を撮像するためのCCDカメラ70と、CCDカメラ70の出力を受けるように接続され、励起により生じた蛍光73による画像の色彩と、複数の標準試料から得られる画像(色彩)とを表示画面74に対比して示すことにより、特定化学物質の存在の有無をユーザに確認させるための表示システム71とを含む。
図5(A)に、化学物質センシング部66中のカーボンナノ構造体に含まれる、CNT80の概念図を示す。図5(A)を参照して、CNT80の表面には、蛍光分子である、DAF−2(82)が修飾付与されている。その他のカーボンナノ構造体(したがって化学物質センシング部66)も同様に修飾付与されている。
後述するように、DAF−2は、そのアミノ基がNOと反応しトリアゾールを形成することで、特定の波長(495nm)の光を受けると特定の波長(515nm)の蛍光を発生する性質を有する。したがって、図4に示す装置により、生体情報中のNOを選択的に検出できる。
―化学物質センシング部66の製造方法―
化学物質センシング部66は、第1の実施の形態に係る化学物質センシング素子32の製造方法と同様に製造される。ただし、第1の実施の形態で使用したMePc溶液に代えてDAF−2溶液を用い、カーボンナノ構造体の分散液を作製する。その後、これを乾燥させて化学物質センシング部66とする。また本実施の形態では、蛍光を用いてNOの検出を行ない、電気抵抗の変化は使用しないので、第1の実施の形態と異なり、カーボンナノ構造体に電極を付与する必要はない。
―動作―
図4及び図5を参照して、本実施の形態に係る装置62は以下のように動作する。図4を参照して、容器64内に化学物質センシング部66を設置し、容器64内に測定対象ガスを導入する。ここでは測定対象ガスを、NOと、大気を構成するOとの混合ガスとする。その結果、化学物質センシング部66にNOが吸着する。その量は測定対象ガス中のNOの濃度と正の相関を持つ。その後、光源67から波長を495nmに調整された励起光72を発生させ、ダイクロイックミラー69を介して化学物質センシング部66に照射させる。
図5(A)を参照して、測定対象ガス中のNO分子90が化学物質センシング部66に接近すると、図5(B)に示すようにCNT80の表面に修飾付与されたDAF−2 82のアミノ基がNOと反応してトリアゾールを生成し、DAF−2T 84へ変化する。このDAF−2T 84へ波長495nmの励起光100を照射すると、波長515nmの緑色の蛍光102を発生する。
再び図4を参照して、化学物質センシング部66より発生した蛍光73は、放射線状に進行し、その一部は光路容器68へ導入される。光路容器68へ導入された蛍光73はダイクロイックミラー69を通過してCCDカメラ70の方向に進み、CCDカメラ70により撮像される。撮像された像は、表示システム71へ伝送され、表示画面74に測定試料の画像として標準試料とともに表示される。
この場合、表示システム71の表示により、測定試料からの蛍光の色を標準試料と比較することにより、測定対象ガス中のNOの存在の有無を確認することができる。
なお、図5(B)を参照して、センシング対象の化学物質であるNO分子90が、大気を構成する他の気体分子(例えばO分子92)と共存していても、DAF−2 82はそれらと反応せず、蛍光励起も起こらない。そのため、NOを大気中のO等とは区別して検出することができる。
―変形例―
DAF−2に代えて、テーブル3に示す蛍光分子を、カーボンナノ構造体表面へ同様に修飾し、化学物質センシング部66としてもよい。
Figure 2008108371
[第3の実施の形態]
本実施の形態における化学物質センシングでは、第2の実施の形態と同様、蛍光励起により特定の化学物質のセンシングを行なうが、マイクロプレートを用い、一度の測定で複数のセンシング対象の化学物質の有無を確認することを可能にする。
―構成―
第3の実施の形態に係る化学物質センシング素子を採用した化学物質センシング装置は、第2の実施の形態に係る、図4に示す化学物質センシング装置62と同様の構成である。ただし、図4に示す化学物質センシング部66に代えて、複数の化学物質のセンシングを行なうための化学物質センシング素子を含む。
図6(A)に、複数の化学物質のセンシングを行なうための化学物質センシング素子108の概略を示す。図6(A)を参照して、本実施の形態に係る化学物質センシング素子108は、基板プレート110と、プレート110上に配置された複数のウエル120,122等とを含む。それぞれのウエル120、122は、蛍光励起により、測定対象ガス中の異なる化学物質を検出する。例えば、ウエル120はNOを、ウエル122はアセトンを検出する。また、励起光は波長200nm〜800nmの紫外(Ultra Violet。以下「UV」と呼ぶ。)光を用い、複数種類の蛍光物質に対応させる。
―化学物質センシング素子108の製造方法―
図5に示すNO検出用のウエル120と、アセトン検出用のウエル122とは以下のようにして作製する。
ウエル120には、第2の実施の形態に係る、DAF−2により表面修飾されたカーボンナノ構造体からなる化学物質センシング部を設置する。
ウエル122には、DNPHにより表面修飾されたカーボンナノ構造体を化学物質センシング部として設置する。
ウエル122に要するカーボンナノ構造体の製造方法は、第1の実施の形態におけるカーボンナノ構造体の製造方法と同様である。ただし、第1の実施の形態で使用したMePc溶液中に変えて、DNPH溶液によるカーボンナノ構造体が一様に分散した分散液を作製する。その後、これを乾燥させて化学物質センシング部とする。
―動作―
図4、図6(A)、及び図6(B)により、本実施の形態に係る装置の動作を以下に説明する。図4及び図6(A)を参照して、図4に示す化学物質センシング装置62において、化学物質センシング素子108を化学物質センシング部66に代えて容器64中に設置する。容器64中に、NOとアセトンとを含む測定対象ガスを導入する。これにより、測定対象ガス中のNOとアセトンとが化学物質センシング素子108表面に導入される。これらはそれぞれ、ウエル120及び122上に設置された化学物質センシング部と結合する。この後、化学物質センシング素子108に波長200nm〜800nmのUV光を励起光72として照射する。
図6(B)を参照して、この結果、ウエル120は、励起光72が波長495nmの時、波長515nmの緑色の蛍光124を、ウエル122は、励起光72が波長440nmの時、黄色味がかったオレンジ色の蛍光126を発生する。
図4を参照して、これらの蛍光による像をCCDカメラ70により撮像し、表示システム71により検出し、それぞれ所定の波長の蛍光124及び蛍光126の有無により、測定対象ガスにおけるNO及びアセトンの有無を確認することができる。
このような化学物質センシング素子108を用いることにより、測定対象ガス中の複数種類の特定化学物質を選択的に検知することができる。
[第4の実施の形態]
本実施の形態においては、測定対象ガスを吸着させる化学物質センシング部をシート状にし、その形状をパターン化することで、化学物質センシング部の形状を使用用途にあわせて最適化する。
―構成―
本実施の形態に係る化学物質センシング装置は、第1の実施の形態に示す化学物質センシング装置20と同様の構成を有する。ただし、図1に示す化学物質センシング素子32に代えて、シート状にパターン化された化学物質センシング部を有する化学物質センシング素子を使用する点で第1の実施の形態と異なる。
図7(A)に本実施の形態で使用される化学物質センシング素子128の鳥瞰図を、図7(B)に平面図を、それぞれ示す。図7(C)は、図7(B)に示す断面C−Cにおける矢視方向断面図である。
図7(A)〜(C)を参照して、化学物質センシング素子128は、表面に形成された熱酸化膜を有する平板状の基板130と、その表面上に作製されたカーボンナノ構造体層を含む櫛型のパターン132とを含む。
図7(C)を参照して、基板130は、固体基板134と、固体基板134の表面に形成された熱酸化膜135とを含む。
櫛型のパターン132は、熱酸化膜135上に櫛型形状にパターン化して作製されたバッファ層136と、バッファ層136の上に形成された金属による触媒層137と、金属による触媒層137上の表面から垂直に立ち上がるように形成された多数のカーボンナノ構造体138とを含む。なお、バッファ層136は絶縁物からなる。
化学物質センシング素子128は、図7(A)に示されるように、櫛の両端のいずれか一方である接点139が、図2に示される直流電源30のような直流電流のプラス端子に、他方である接点140が、負荷抵抗34に接続されるよう設置する。なお、接点139及び140は、図7(C)に示すカーボンナノ構造体138の層に接続されるよう配置する。
―化学物質センシング素子128の製造方法―
図7(C)を特に参照して、化学物質センシング素子128は以下のように製造される。はじめに、固体基板134上に熱酸化膜135を形成することで、基板130を準備する。熱酸化膜135は絶縁体である。この基板130上にカーボンナノ構造体を成長させるため、熱酸化膜135の表面にパターンにしたがったマスクを作製し、バッファ層136を熱酸化膜135上に作製する。
化学物質センシング部を構成するカーボンナノ構造体は、固体基板の上にCNT成長の為の触媒をメタルマスク越しに蒸着し、そのパターン上にカーボンナノ構造体を生成する、従来の方法を用いて生成することができる。この時、CNT成長触媒粒子の径がナノメーターオーダーで正確に制御できることが必要である。なぜならCNTの直径は種触媒粒子の直径と相関を持って成長するためである。
次に、バッファ層136作成後、金属による触媒層137を、同じマスクパターンにより作製する。触媒層137作成後、カーボンナノ構造体138を、同じマスクパターンにより触媒層137表面に作製する。最後にマスクパターンを除去する。
次に、図7(A)を参照して、接点139を図示しない直流電源のプラス端子に、接点140を直流電源のマイナス端子に、それぞれ接続する。その後、MePc溶液とDAF−2溶液との混合液を、カーボンナノ構造体138表面にピペット等を用いて、図7(C)を参照して基板130の真上から滴下する。この時、カーボンナノ構造体138は、図7(C)を参照して触媒層137の表面に対し垂直方向に成長し、密集しているために、フィルタのような機能を持ち、MePc溶液とDAF−2溶液との混合液はカーボンナノ構造体138に高効率でトラップされる。
その後、直流電源による電圧を化学物質センシング素子128にかけ、カーボンナノ構造体に電圧をかけると、カーボンナノ構造体表面がMePc及びDAF−2により一様に修飾される。これは以下の理由による。前述のように、カーボンナノ構造体138は、図7(C)に示すように、金属による触媒層137の表面に対し垂直方向に成長しているが、その一つ一つはいずれも接触しあっており、また前述したとおり、カーボンナノ構造体は良導電体である。このため、上記の電気的接続の存在の下で化学物質センシング素子128に電圧をかけると、櫛形パターン上に電流が流れる。一方、MePcと蛍光分子であるDAF−2はその分子構造から極性を持っており、電界の存在によりカーボンナノ構造体へ引き寄せられ、その表面へ修飾される。
表面修飾後、図1を参照して、本実施の形態に係る化学物質センシング素子128を、図1に示す化学物質センシング素子32に代えて装置20へ導入する。
―動作―
図7(C)を参照して、本来、触媒層137は導体である金属で構成されることから、本構造ではカーボンナノ構造体138の電気抵抗変化を測定不可能であることが予想される。なぜなら、化学物質センシング素子128では、電界は、図7(A)及び(B)を参照して、接点139から接点140の間にカーボンナノ構造体138を介してかかる。この際、図7(C)を参照して、熱酸化膜135及びその下に配された固体基板134と、絶縁膜であるバッファ層136には電流は流れないが、カーボンナノ構造体138以外に、導体である、金属からなる触媒層137には電流が流れてしまうからである。しかし、本発明者は、本実施の形態において、アークプラズマガン(Arc Plasma Gun。以下「APG」と呼ぶ。)で製膜した触媒層137は絶縁性を示すことを確認した。その理由としては、触媒金属の微粒子間の抵抗が想定される。また、カーボンナノ構造体138についても、垂直方向に1010〜13本/cm程度で高密度に成長した状態で水平方向に電界をかけると、導電性を得ることを確認した。これはトンネル効果によりカーボンナノ構造体138がより高い導電性を得たことによると推定される。これらのことから、図1に示す装置20に、素子128を導入し、その電気抵抗変化を測定すると、図7(C)に示すカーボンナノ構造体138に電流が流れ、その電気抵抗変化を測定することができ、これにより特定化学物質のセンシングを行なうことが可能である。
この第4の実施の形態によれば、小さな面積に大量のカーボンナノ構造体を配置できる。その結果、測定対象の特定化学物質の量も大きくなり、したがって櫛型のパターン132の電気抵抗変化が大きくなる。その結果、化学物質のセンシングの感度を高めることができるという効果がある。
―変形例―
図1を参照して、本実施の形態に係る化学物質センシング素子を、化学物質センシング素子32に代えて装置20へ導入し、その装置20を、図4に示す容器64へ導入し、容器64内に化学物質センシング部66に代えて設置し、前述の方法で作成した化学物質センシング素子に直流電源30を介して電圧をかけると同時に、励起光72を照射することにより、蛍光励起反応の測定と、電気抵抗変化の測定とを同時に行なうこともできる。これにより、蛍光分子と反応する特定化学物質と、MePcと反応する特定化学物質とを同時に測定することが可能である。
また、カーボンナノ構造体を生成する際、固体基板として、例えばシリコン基板、石英基板、化合物半導体基板、グラファイト基板、Al基板、Cu基板、Ag基板、Au基板、Fe基板、Ni基板、Co基板、ガラス基板、セラミックス基板若しくは高分子基板などの基板、Al23、TiO2、ZrO2、Nb25、SnO2、HfO2若しくはAlPO4などの金属酸化物系材料、SiO2・Al23、SiO2・TiO2、SiO2・V25、SiO2・B23若しくはSiO2・Fe23などのシリケート系材料、Pt、Ag若しくはAuなどからなる金属系材料、Siなどからなる半導体系材料、活性炭若しくは有機高分子などからなる炭素系材料、珪藻土若しくはホタテ貝殻などの生体由来系材料又はSiO2などの多孔質基板の少なくとも1種類以上を用いることができる。
また、触媒粒子を構成する材料としては、たとえば、Fe、Ni、Co、Cr、Mo、W、Ti、Au、Ag、Cu、Pt、Ta、Al、Pd、Gd、Sm、Nd及びDyからなる群、又はそれらの合金から選択された少なくとも1種の金属などを用いることができる。
また、触媒の塗布方法として、アークプラズマ法、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、抵抗加熱法、スピンコート法等の方法を用いることができる。
[第5の実施の形態]
―構成―
本実施の形態に係る化学物質センシング素子は、第4の実施の形態に示す化学物質センシング素子128と同様の構成を有する。ただし、図8(A)〜(C)に示す、カーボンナノ構造体を含む2つの櫛型のパターンを、その櫛の歯が交互に配置されるように形成する点で第4の実施の形態と異なる。
図8(A)に本実施の形態で使用される化学物質センシング素子142の鳥瞰図を、図8(B)に平面図を、それぞれ示す。図8(C)は、図8(B)に示す断面C−Cにおける矢視方向断面図である。
図8(A)〜(C)を参照して、化学物質センシング素子142は、表面に形成された熱酸化膜を有する平板状の基板150と、その表面上に作製されたカーボンナノ構造体層を含む櫛型のパターン152及び153とを含む。櫛型のパターン152及び153はそれぞれの根元部分から伸びる櫛の歯が交互に配置されるように形成されている。
図7(C)を参照して、基板150は、固体基板170と、固体基板170の表面に形成された熱酸化膜172とを含む。
櫛型のパターン152及び153は、熱酸化膜172上に櫛型形状にパターン化して作製されたバッファ層174と、バッファ層174の上に形成された金属による触媒層176と、金属による触媒層176上の表面から垂直に立ち上がるように形成された多数のカーボンナノ構造体178とを含む。櫛型のパターン152及び153のそれぞれの櫛の歯の間には開口部175が形成される。なお、カーボンナノ構造体の作製時には、開口部175上に、櫛型のパターン152及び153にそれぞれ含まれ、隣接するカーボンナノ構造体178の橋渡しをするように水平方向に成長するカーボンナノ構造体179も形成される。なお、バッファ層174は絶縁物からなる。
化学物質センシング素子142は、図8(A)及び図8(B)に示されるように、隣接して配置された櫛型のパターン152の一方の接点154が、図1に示される直流電源30のような直流電流のプラス端子に、櫛型のパターン153の一方の接点156が、負荷抵抗34に接続されるよう設置する。なお、接点154及び156は、図8(C)に示す、カーボンナノ構造体178及び179の層に接続されるよう配置する。
―化学物質センシング素子142の製造方法―
図8(C)を特に参照して、化学物質センシング素子142は以下のように製造される。はじめに、固体基板170上に熱酸化膜172を形成することで、基板150を準備する。熱酸化膜172は絶縁体である。この基板150上にカーボンナノ構造体を成長させるため、熱酸化膜172の表面にパターンにしたがった開口部を有するマスクを作製し、バッファ層174を熱酸化膜172上に作製する。このとき、マスクパターンを図8(A)に示すような櫛型を残す形で、2つの櫛が交互に向かい合うような形状にし、櫛と櫛との間の開口部175の面積が大きくなるようにする。
次に、バッファ層174作成後、金属による触媒層176を、同じマスクパターンにより作製する。触媒層176作成後、カーボンナノ構造体178を、同じマスクパターンにより触媒層176表面に作製する。最後にマスクパターンを除去する。
次に、図8(A)を参照して、櫛型のパターン152に接続する接点154を図示しない直流電源のプラス端子に、櫛型のパターン153に接続する接点156を直流電源のマイナス端子に、それぞれ接続する。その後、MePc溶液とDAF−2溶液の混合液を、カーボンナノ構造体178表面にピペット等を用いて、図8(C)を参照して基板150の真上から滴下する。その後、直流電源による電圧を化学物質センシング素子142にかけ、カーボンナノ構造体に電圧をかけると、カーボンナノ構造体表面がMePc及びDAF−2により一様に修飾される。
これは以下の理由による。前述のように、カーボンナノ構造体には、大きく分けて、図8(C)に示すように、金属による触媒層176の表面に対し垂直方向に成長するカーボンナノ構造体178と、これらカーボンナノ構造体178の橋渡しをするように、開口部において水平方向に成長するカーボンナノ構造体179との2種類がある。これらカーボンナノ構造体の一つ一つはいずれも接触しあっており、また前述したとおり、カーボンナノ構造体は良導電体である。このため、上記の電気的接続の存在の下で化学物質センシング素子142に電圧をかけると、櫛形パターン上と、開口部とのそれぞれに電流が流れる。一方、MePcと蛍光分子であるDAF−2はその分子構造から極性を持っており、電界の存在によりカーボンナノ構造体へ引き寄せられ、その表面へ修飾される。
この第5の実施の形態によれば、小さな面積により大量のカーボンナノ構造体を配置できる。その結果、測定対象の特定化学物質の量も大きくなり、したがって櫛型のパターン152及び153の電気抵抗の変化が大きくなる。その結果、化学物質のセンシングの感度を高めることができるという効果がある。また、水平方向に成長するカーボンナノ構造体は非常に細く、これらに化学物質が付着したときには、それによって生ずる電気抵抗の変化が極めて大きい。そのため、これらを用いることにより、特定化学物質に対するセンシングの感度がより高くなるという効果がある。
―変形例―
本実施の形態に係る化学物質センシング素子は、図9を参照して、表面に形成された熱酸化膜を有する平板状の基板190と、その上に作製された、カーボンナノ構造体層を含む櫛型のパターン202及び203、櫛型のパターン202に接続する接点204、並びに櫛型のパターン203に接続する接点206を含む化学物質センシング素子200とを複数含んでもよい。基板190上には、この化学物質センシング素子200が複数個配置されてもよい。
また、別の例として、本実施の形態に係る化学物質センシング素子は、以下の態様であっても良い。基板190上を図9に示すように例えば内部及び外部の二つの領域に分離し、外部領域には複数の化学物質センシング素子200を配置する。内部領域には、化学物質センシング素子200と同様、櫛形のパターン212及び213の組合せを複数持ち、櫛型のパターン212がいずれも共通の接点214に、櫛型のパターン213がいずれも共通の接点216に、それぞれ接続された化学物質センシング素子210を配置する。
こうした配置により、外部領域で複数種類の化学物質を検知し、内部領域では特定の物質を特に感度高く検知することができる。
また、本素子は、図9に示すように、複数の化学物質センシング素子200と、化学物質センシング素子210とを含む、化学物質センシング素子180であってもよい。
また、本素子は、前述した化学物質センシング素子142の製造方法と同様に製造され、カーボンナノ構造体の表面修飾の際、MePc溶液とDAF−2溶液との混合液を滴下する代わりに、櫛型のパターンの一部にMePc溶液を、他の残りの部分にDAF−2溶液をそれぞれ滴下することにより、MePc修飾部とDAF−2修飾部を作製された素子でもよい。この場合、以下の方法により特定化学物質の検出を行なってもよい。図1に示す装置20にMePc修飾部を、化学物質センシング素子32に代えて導入する。その装置20、及び、MePc修飾部を、図4に示す容器64へ導入し、容器64内に化学物質センシング部66に代えて設置する。MePc修飾部に直流電源30を介して電圧をかけると同時に、DAF−2に励起光72を照射することにより、蛍光励起反応の測定と、電気抵抗変化の測定とを同時に行なうことができる。これにより、蛍光分子と反応する特定化学物質と、MePcと反応する特定化学物質とを同時に測定することが可能である。
[実施例1]
以下に、第1の実施の形態に基づく実施例について説明する。
―化学物質センシング素子32の製造方法―
化学物質センシング素子32を以下に述べる方法により製造した。はじめに、カーボンナノ構造体を作製するための前準備を行なった。表面に厚さ300nmの熱酸化膜172が形成された2インチのSi基板上に、所望のパターンのメタルマスクを載せ、高周波スパッタ装置(ULVAC社製SBR2304/13.56MHz、200W)によりSiOターゲットで2200秒製膜することで、熱酸化膜の上に更に200nm程度のスパッタSiO膜を製膜した。メタルマスクはそのまま維持して、APG装置(ULVAC社製/放電電圧60V、アノード―基板間90mm)にてCoを5nm、Tiを1nmの順番で蒸着し、触媒層176を製膜した。
次に、カーボンナノ構造体の製膜を行なった。マイクロ波プラズマ化学気相合成(microwave plasma−enhanced chemical vapor deposition:MW−CVD)装置により、真空チャンバー内の圧力を15Torr程度になるように圧力コントロールバルブにて調整しながら、基板温度は800℃程度に保持し、マスフローコントローラを通じて真空チャンバー内にHガスを50sccm程度導入した。次に2.45GHzのマイクロ波(350W)を導入することによってH2ガスをプラズマ化し、5分程度、基板上に設置された種触媒の表面をクリーニングした。連続して、Hで希釈したCHガス(H:CH=50sccm:50sccm)を原料ガスとして5分間プラズマ化することで、触媒層のパターンに応じたカーボンナノ構造体が作製された。カーボンナノ構造体の密度は1×1010〜1×1013本/cmとなっていた。このようにして作製されたカーボンナノ構造体178をピンセットでかき集めた。
次に、かき集めたカーボンナノ構造体5mg程度を還流処理した。還流は以下の通りの手順で行なった。先ず、5mgのカーボンナノ構造体を20mL稀硝酸中(35vol%)で超音波洗浄し、5時間100℃で還流処理を行なった。その後、穴径が0.2μmの四フッ化エチレン(Polytetrafluoroethylene。以下「PTFE」と呼ぶ。)膜を真空ポンプで引くことでフィルタリングを行ない、PTFE膜上に残ったカーボンナノ構造体をPTFE膜ごと30mLの脱イオン水でpH7まで洗浄した。このPTFE膜をさらに15mLのアセトンで洗浄し、60℃で一晩乾燥させたものからカーボンナノ構造体を剥ぎ取り、30%の過酸化水素水20mLで100℃で180分還流した。再度PTFE膜でフィルタリングし、30mLの脱イオン水で洗浄し15mLのアセトンで洗浄後、60℃で乾燥して最終的なカーボンナノ構造体を得た。
カーボンナノ構造体の表面修飾は次の要領で行なった。コバルトフタロシアニン(以下「CoPc」と呼ぶ。)粉末をテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran。以下「THF」と呼ぶ。)溶液に0.1mMの濃度で展開することで溶液を作製した。この溶液中にカーボンナノ構造体を5mg入れた後、超音波洗浄機を用いてカーボンナノ構造体を溶液中に一様に分散した。
次に、本実施例に係る化学物質センシング素子270を以下のように作製した。図10を参照して、予め基板280上に、シャドウマスクを用いた蒸着法にて、Au電極282をピッチ100μmの線幅で2つの櫛型が向かい合うパターンに作製した。その上からCoPc分子により表面修飾されたカーボンナノ構造体を含む、100μLの溶液284を滴下し、溶液中溶媒を乾燥させて化学物質センシング素子270とした。
図10に示すAu電極282上に溶液284を滴下、付着させた部位を、図2に示す化学物質センシング部42に相当する部位とし、Au電極282のうち、溶液284が付着していない領域において、2つの櫛のうち、いずれかの一端286近傍及び他方の一端288近傍を、それぞれ、図2に示す電極40a及び電極40bとして用いることで化学物質センシング素子の製造を完了した。以下、本実施例の説明においては、このようにして製造された化学物質センシング素子を化学物質センシング素子32と呼ぶことにする。
なお、以下の実施例において、化学物質センシングに係る部位の製造方法は、実施例1と同様である。したがって、以後の実施の形態の説明において、これらの詳細な説明は繰返さない。
―評価方法―
この化学物質センシング素子32の特性評価方法を次に示す。図1に示す装置20を、雰囲気が制御できる約20リットルのステンレス(Stainless Used Steel:SUS)製チャンバー内へ挿入し、一旦、化学物質センシング素子の周辺雰囲気をダイヤフラムポンプで10−3Torr程度の真空状態とした。直流電源30により電流200μAを流し、化学物質センシング素子32と負荷抵抗34との間の接点の電気抵抗変化を増幅器36において増幅し、増幅した電気抵抗変化を増幅器36の出力電圧変化として図示しない直流電圧計により測定した。なお、化学物質センシング素子32の初期抵抗はRo=20kΩであり、測定頻度は1秒毎で、60秒間行なった。この測定値を初期値とした。次に、1リットルのテドラーバッグに封入したペンタン濃度100ppbのセンシング対象ガスを、チャンバー内へ、圧力ゲージを見ながら少量ずつ導入し、大気圧になったところで導入を停止した。
なお、センシング対象ガスは以下の要領で作製した。1ppmの濃度に窒素で希釈されたペンタン標準ガスと、窒素ガスとを1/10の割合で混合することにより、ペンタン標準ガスを希釈し、ペンタン濃度100ppbのセンシング対象ガスとした。
この状態で、先の測定と同様の条件で増幅器36の出力電圧変化を基準値測定時と同様に行なった。初期値との差異をプロットしたものを図11に示す。
―評価結果―
図11を参照して、測定値300は電気抵抗変化を示している。図11から、本実施例における化学物質センシング素子32は、ペンタンの存在の確認が可能で、その検出下限は、本実験系においては100ppb以下であることがわかった。
以上のように、第1の実施の形態に係る化学物質センシング素子は、雰囲気中のペンタンの存在を確認することができ、さらに、従来技術に比べ、高感度であることがわかった。
なお、以下の実施例において、化学物質センシングに係る部位の製造方法と、化学物質センシングに係る部位周辺への測定対象ガスの導入方法は、実施例1と同様である。したがって、以後の実施の形態の説明において、これらの詳細な説明は繰返さない。
[実施例2]
以下に、第2の実施の形態に基づく実施例について説明する。
―化学物質センシング部66の製造方法―
本実施例に係る化学物質センシング部66の製造方法を以下に示す。はじめに、実施例1に示す化学物質センシング素子32の製造方法と同様に、カーボンナノ構造体を作製するための前準備と、カーボンナノ構造体の作製と、カーボンナノ構造体の還流処理とを行なった。次に、ジメチルスルホキシド(Dimethyl Sulfoxide。以下「DMSO」と呼ぶ。)550μL中にDAF−2を1mg展開したDAF−2の5mmoL溶液をリン酸緩衝液(0.1mol/L)で500倍に希釈し(約10μmol/L)、この溶液中へ、カーボンナノ構造体を5mg入れた後、超音波洗浄機を用いて分散した。この分散液を、PTFE膜上にろ過して乾燥させ、化学物質センシング部66とした。
―評価方法―
化学物質センシング装置62の特性評価方法を次に示す。図4を参照して、内部に化学物質センシング部66が設置された容器64内に、窒素で希釈されたNO濃度100ppbの測定対象ガスを導入し、直後に波長495nmの励起光72を化学物質センシング部66へ照射した。この時の蛍光73の有無と、その波長とを、表示システム71を用いて調べた。
―評価結果―
上記処理の結果、波長515nmの蛍光が観測された。これにより、本実施例における化学物質センシング素子は、NOの存在の確認が可能で、その検出下限は、本実験系において100ppb以下であることがわかった。
以上のように、第2の実施の形態に係る化学物質センシング素子は、雰囲気中のNOの存在を確認することができ、さらに、従来技術に比べ、高感度であることがわかった。
[実施例3]
以下に、第3の実施の形態に基づく実施例について説明する。
―化学物質センシング素子108の製造方法―
化学物質センシング素子108の製造方法を以下に示す。はじめに、NOセンシング用の化学物質センシング部を、実施例2と同様にして作製し、図6を参照して、ウエル120へ設置した。
次に、アセトンセンシング用化学物質センシング部を以下のように作製した。はじめに、実施例1に示す化学物質センシング素子32の製造方法と同様に、カーボンナノ構造体を作製するための前準備と、カーボンナノ構造体の作製と、カーボンナノ構造体の還流処理とを行なった。次に、DNPH−硫酸試薬を、カーボンナノ構造体表面へ塗布し、アセトンセンシング用化学物質センシング部とした。これをウエル122に設置し、化学物質センシング素子108の製造を完了した。
―評価方法―
本実施例に基づく化学物質センシング素子108の特性評価方法を次に示す。本実施例でも、図4に示す化学物質センシング装置62と同構成の装置を用いる。図4を参照して、容器64内に化学物質センシング素子108を設置する。容器64内に窒素で希釈されたNO及びアセトン濃度100ppbの測定対象ガスを導入し、直後にUV光(波長200nm〜800nm)を励起光72として化学物質センシング素子108へ照射した。この時の蛍光73の有無と、その波長とを、表示システム71を用いて調べた。
―評価結果―
図4を参照して、励起光72が波長440nmの時、ウエル122より、黄色味がかったオレンジ色の蛍光126を、波長495nmの時、ウエル120より、緑色の蛍光124を、それぞれ得た。これにより、本実施例における化学物質センシング素子は、NOとアセトンとの存在の確認が可能で、その検出下限は、本実験系において100ppb以下であることがわかった。
以上のように、第3の実施例に係る化学物質センシング素子によれば、雰囲気中のNOとアセトンとの存在を確認することができ、さらに、従来技術に比べ、高感度であることがわかった。
また、第3の実施例に係る化学物質センシング素子は、このようにセンシング対象ガスが複数混合したものであっても、一度の測定で簡単にセンシングを行なうことを可能にすることがわかった。
[実施例4]
以下に、第5の実施の形態に基づく実施例について説明する。
―化学物質センシング素子142の製造方法―
化学物質センシング素子142の製造方法を以下に示す。はじめに、実施例1に示す化学物質センシング素子32の製造方法と同様に、カーボンナノ構造体を作製するための前準備と、カーボンナノ構造体の作製とを行なった。この時、カーボンナノ構造体製膜時の基板温度を、800℃に代えて、500℃〜1000℃とした。そのとき作製されたカーボンナノ構造体は、図8(C)に示される様に、表面に対して垂直に、100μm程度にその長さを揃えて、櫛型パターン上に成長していたカーボンナノ構造体178と、開口部において水平方向へ成長したカーボンナノ構造体179とを含んでいた。
次に、このカーボンナノ構造体のパターンの上から、以下に示す混合液100μLを滴下した。すなわち、THF溶液に0.1mMの濃度で展開されたCoPc溶液と、DMSO 0.45mL中、DAF−2が1mgで展開された溶液(約5mmol/L)をリン酸緩衝液(0.1mol/L)で500倍に希釈した溶液との混合液である。その後、図8(A)に示されるように、櫛型のパターン152に接続される接点154を直流電源のプラス端子へ、櫛型のパターン153に接続される接点156を直流電源のマイナス端子へ接続し、直流電源の電圧を5Vかけ、カーボンナノ構造体に電流を流し、カーボンナノ構造体表面へCoPc及びDAF−2を一様に修飾した。これを、化学物質センシング素子142とした。
―評価方法―
窒素で希釈されたNO濃度100ppbのセンシング対象ガスを用いて実施例1と同様に評価を行ない、図11に示されると同様の電気抵抗変化を確認した。これにより、本実施例における化学物質センシング素子は、NOの存在の確認が可能で、その検出下限は、本実験系において100ppb以下であることがわかった。
以上のように、第5の実施の形態に係る化学物質センシング素子は、雰囲気中のNOの存在を確認することができ、さらに、従来技術に比べ、高感度であることがわかった。
[実施例2と実施例4の製造方法の評価と比較]
実施例2及び実施例4において作製した、化学物質センシング素子32及び化学物質センシング素子142における、DAF−2による表面修飾の様子を、エネルギーフィルター型透過型電子顕微鏡(EF−TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、ラマン分光装置、FT−IR装置、蛍光X線分析装置(FX)、X線回折装置(XD)により評価し、比較した。その結果、実施例2に基づく化学物質センシング素子32におけるDAF−2層は10〜50nm程度の範囲に膜厚が分布していることが確認された。一方、実施例4に基づく化学物質センシング素子142において、DAF−2層は平均膜厚が5nm程度で形成されていることが確認され、化学物質センシング素子32よりも膜厚が薄く、かつ均一であった。
このことから、実施例4に基づく化学物質センシングでは、実施例2に基づく方法に比べ、NOと反応できるCNTの比表面積がより大きく、雰囲気中の成分状態をさらに反映できることがわかった。
以上のように本発明によれば、従来技術では困難であった、生体情報に含まれる特定物質のセンシングにおいて、マーカー選択性と、高い感度とを有する、カーボンナノ構造体からなる化学物質センシング素子を得ることができる。この素子により、NO、ペンタン、アセトンなどのマーカーについて、マーカー選択性を持つ化学物質センシングを行なうことができる。加えて、表面処理により高感度化が可能なことから、今までその検出が困難であった微量マーカーについてもそのセンシングができるようになる。
なお、上記実施の形態では、カーボンナノ構造体を基体として、その表面を金属錯体若しくはその誘導体、又は特定物質と結合することにより蛍光を発する性質を帯びる蛍光分子で修飾をすることにより、化学物質センシング素子を作成した。カーボンナノ構造体を用いれば感度が向上するのでカーボンナノ構造体を基体として用いることが望ましいが、原理的には基体としては表面修飾する分子と親和性の高いものであればどのような物質でも使用することができる。
本発明の実施の形態によれば、生体情報に含まれる、疾患に起因する特定物質を、高感度で検出することが可能である。これにより、個人が容易に健康状態をチェックでき、疾患予防及び早期発見に貢献する。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
この発明は、人間の健康状態を調べるために、気体及び液体の生体試料中の化学物質をセンシングするために利用することが出来る。
―化学物質センシング部66の製造方法―
本実施例に係る化学物質センシング部66の製造方法を以下に示す。はじめに、実施例1に示す化学物質センシング素子32の製造方法と同様に、カーボンナノ構造体を作製するための前準備と、カーボンナノ構造体の作製と、カーボンナノ構造体の還流処理とを行なった。次に、ジメチルスルホキシド(Dimethyl Sulfoxide。以下「DMSO」と呼ぶ。)550μL中にDAF−2を1mg展開したDAF−2の5mmol/L溶液をリン酸緩衝液(0.1mol/L)で500倍に希釈し(約10μmol/L)、この溶液中へ、カーボンナノ構造体を5mg入れた後、超音波洗浄機を用いて分散した。この分散液を、PTFE膜上にろ過して乾燥させ、化学物質センシング部66とした。
―評価方法―
本実施例に基づく化学物質センシング素子108の特性評価方法を次に示す。本実施例でも、図4に示す化学物質センシング装置62と同構成の装置を用いる。図4を参照して、容器64内に化学物質センシング素子108を設置する。容器64内に窒素で希釈されたNO濃度100ppbの測定対象ガス及びアセトン濃度100ppbの測定対象ガスを切替えて導入し、直後にUV光(波長200nm〜800nm)を励起光72として化学物質センシング素子108へ照射した。この時の蛍光73の有無と、その波長とを、表示システム71を用いて調べた。

Claims (40)

  1. 金属錯体又はその誘導体により表面修飾された、導電性を有するセンシング用基体を含む、特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子。
  2. 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項1に記載の化学物質センシング素子。
  3. 前記金属錯体は金属フタロシアニン類からなる、請求項1に記載の化学物質センシング素子。
  4. 前記特定化学物質は、一酸化窒素及びペンタンからなるグループから選択される、請求項1に記載の化学物質センシング素子。
  5. 特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する蛍光分子により表面修飾されたセンシング用基体を含む、特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子。
  6. 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項5に記載の化学物質センシング素子。
  7. 前記蛍光分子はジアミノフルオレセイン−2(Diaminofluorescein−2)からなる、請求項5に記載の化学物質センシング素子。
  8. 前記特定化学物質は一酸化窒素である、請求項5に記載の化学物質センシング素子。
  9. 前記蛍光分子は2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(2,4-Dinitrophenylhydrazine)からなる、請求項5に記載の化学物質センシング素子。
  10. 前記特定化学物質はアセトンである、請求項5に記載の化学物質センシング素子。
  11. 金属錯体又はその誘導体、及び蛍光分子により表面修飾された、導電性を有するセンシング用基体を含む、特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子であって、
    前記蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する、化学物質センシング素子。
  12. 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項11に記載の化学物質センシング素子。
  13. 前記金属錯体は金属フタロシアニン類からなる、請求項11に記載の化学物質センシング素子。
  14. 前記蛍光分子はジアミノフルオレセイン−2からなる、請求項11に記載の化学物質センシング素子。
  15. 特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子であって、
    第1の蛍光分子により表面修飾された第1のセンシング用基体を含む第1のセンシング素子と、
    前記第1の蛍光分子と異なる第2の蛍光分子により表面修飾された第2のセンシング用基体を含む第2のセンシング素子とを含む、化学物質センシング素子。
  16. 前記第1及び第2のセンシング用基体は、カーボンナノ構造体を含む、請求項15に記載の化学物質センシング素子。
  17. 前記蛍光分子は、ジアミノフルオレセイン−2及び2,4-ジニトロフェニルヒドラジンからなるグループから選択される、請求項15に記載の化学物質センシング素子。
  18. 金属錯体又はその誘導体により表面修飾された導電性のセンシング用基体を含む化学物質センシング素子と、
    前記化学物質センシング素子に電気的に結合され、前記化学物質センシング素子の電気抵抗の変化を検出するための検出手段とを含む、化学物質センシング装置。
  19. 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項18に記載の化学物質センシング装置。
  20. 前記金属錯体は金属フタロシアニン類からなる、請求項18に記載の化学物質センシング装置。
  21. 前記化学物質センシング装置は、さらに、前記化学物質センシング素子を加熱、光照射又は真空引きするための手段を含み、それにより、前記化学物質センシング素子表面に吸着された物質が実質的に除去される、請求項18に記載の化学物質センシング装置。
  22. 特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する蛍光分子により表面修飾されたセンシング用基体を含む化学物質センシング素子と、
    前記励起光に起因して前記化学物質センシング素子に結合した前記蛍光分子から発生する蛍光を検出可能なように設置された蛍光検出手段と、
    前記蛍光検出手段に接続され、前記特定の波長の蛍光の有無を判定するための判定手段とを含む、化学物質センシング装置。
  23. 前記化学物質センシング素子に対し、その発光する光を照射可能な位置に設置された、前記蛍光分子の励起光を照射するための発光手段をさらに含む、請求項22に記載の化学物質センシング装置。
  24. 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項22に記載の化学物質センシング装置。
  25. 前記蛍光分子は、ジアミノフルオレセイン−2及び2,4-ジニトロフェニルヒドラジンからなるグループから選択される、請求項22に記載の化学物質センシング装置。
  26. 前記化学物質センシング装置は、さらに、前記化学物質センシング素子を加熱、光照射又は真空引きするための手段を含み、それにより、前記化学物質センシング素子表面に吸着された物質が実質的に除去される、請求項22に記載の化学物質センシング装置。
  27. 金属錯体又はその誘導体、及び蛍光分子により表面修飾された、導電性を有するセンシング用基体を含む、特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子と、
    前記化学物質センシング素子に電気的に結合され、前記化学物質センシング素子の電気抵抗の変化を検出するための検出手段と、
    励起光に起因して前記化学物質センシング素子に結合した前記蛍光分子から発生する蛍光を検出可能なように設置された蛍光検出手段と、
    前記蛍光検出手段に接続され、前記特定の波長の蛍光の有無を判定するための判定手段とを含む、化学物質センシング装置であって、
    前記蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が前記励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する、化学物質センシング装置。
  28. 前記化学物質センシング素子にその発光する光を照射可能な位置に設置された、前記蛍光分子のための前記励起光を照射するための発光手段をさらに含む、請求項27に記載の化学物質センシング装置。
  29. 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項27に記載の化学物質センシング装置。
  30. 前記金属錯体は金属フタロシアニン類からなる、請求項27に記載の化学物質センシング装置。
  31. 前記蛍光分子はジアミノフルオレセイン−2からなる、請求項27に記載の化学物質センシング装置。
  32. 前記化学物質センシング装置は、さらに、前記化学物質センシング素子を加熱、光照射又は真空引きするための手段を含み、それにより、前記化学物質センシング素子表面に吸着された物質が実質的に除去される、請求項27に記載の化学物質センシング装置。
  33. 金属錯体又はその誘導体により表面修飾された、導電性を有するセンシング用基体を含む、第1の化学物質センシング素子と、
    蛍光分子により表面修飾された、導電性を有するセンシング用基体を含む、第2の化学物質センシング素子と、
    前記第1の化学物質センシング素子に電気的に結合され、前記第1の化学物質センシング素子の電気抵抗の変化を検出するための検出手段と、
    励起光に起因して前記第2の化学物質センシング素子に結合した前記蛍光分子から発生する蛍光を検出可能なように設置された蛍光検出手段と、
    前記蛍光検出手段に接続され、特定の波長の蛍光の有無を判定するための判定手段とを含む、特定化学物質を検出するための、化学物質センシング装置であって、
    前記蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が前記励起光に対して前記特定の波長の蛍光を発生する、装置。
  34. 前記第2の化学物質センシング素子に対し、その発光する光を照射可能な位置に設置された、前記蛍光分子の前記励起光を照射するための発光手段をさらに含む、請求項33に記載の化学物質センシング装置。
  35. 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項33に記載の化学物質センシング装置。
  36. 前記金属錯体は金属フタロシアニン類からなる、請求項33に記載の化学物質センシング装置。
  37. 前記蛍光分子はジアミノフルオレセイン−2からなる、請求項33に記載の化学物質センシング装置。
  38. 前記化学物質センシング装置は、さらに、前記化学物質センシング素子を加熱、光照射又は真空引きするための手段を含み、それにより、前記化学物質センシング素子表面に吸着された物質が実質的に除去される、請求項33に記載の化学物質センシング装置。
  39. 特定化学物質を検出するための、化学物質センシング素子の製造方法であって、
    導電性のセンシング用基体を平面上に作製するステップと、
    金属錯体又はその誘導体、及び蛍光分子を含む溶液を、前記作製されたセンシング用基体に滴下するステップと、
    前記平面上の前記センシング用基体の前記蛍光分子を含む溶液が滴下された領域において、前記センシング用基体と他の部位との間に所定の電圧をかけるステップとを含み、
    前記蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する、分子であって
    前記方法により、前記センシング用基体が前記金属錯体又はその誘導体、及び蛍光分子により実質的に均一に表面修飾される、方法。
  40. 前記導電性のセンシング用基体は、カーボンナノ構造体を含む、請求項39に記載の方法。
JP2009502589A 2007-03-05 2008-03-04 化学物質センシング素子 Expired - Fee Related JP5204758B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009502589A JP5204758B2 (ja) 2007-03-05 2008-03-04 化学物質センシング素子

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007054851 2007-03-05
JP2007054851 2007-03-05
JP2009502589A JP5204758B2 (ja) 2007-03-05 2008-03-04 化学物質センシング素子
PCT/JP2008/053867 WO2008108371A1 (ja) 2007-03-05 2008-03-04 化学物質センシング素子、化学物質センシング装置、及び化学物質センシング素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2008108371A1 true JPWO2008108371A1 (ja) 2010-06-17
JP5204758B2 JP5204758B2 (ja) 2013-06-05

Family

ID=39738249

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009502589A Expired - Fee Related JP5204758B2 (ja) 2007-03-05 2008-03-04 化学物質センシング素子

Country Status (3)

Country Link
US (1) US8435449B2 (ja)
JP (1) JP5204758B2 (ja)
WO (1) WO2008108371A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012112651A (ja) * 2009-03-24 2012-06-14 Sharp Corp 化学物質検出装置
TWI404930B (zh) * 2009-08-19 2013-08-11 Univ Nat Chunghsing Biochemical sensing wafer substrate and its preparation method
US20160281280A1 (en) * 2013-03-25 2016-09-29 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Fiber structure, and biochip, substrate for cell culture and filter, each of which uses said fiber structure
JP6613736B2 (ja) * 2015-09-07 2019-12-04 セイコーエプソン株式会社 物質検出方法および物質検出装置
JP2017166947A (ja) 2016-03-16 2017-09-21 株式会社東芝 ガス検出装置
JP7026349B2 (ja) * 2018-03-02 2022-02-28 株式会社日本触媒 感ガス体、ガスセンサ、及び感ガス体の製造方法
US11353381B1 (en) * 2020-06-09 2022-06-07 Applied Materials, Inc. Portable disc to measure chemical gas contaminants within semiconductor equipment and clean room

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09243590A (ja) 1996-03-08 1997-09-19 Tdk Corp 微小櫛形電極およびその製造方法ならびに溶液系電気化学的測定用電極ユニット
US6346189B1 (en) 1998-08-14 2002-02-12 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Carbon nanotube structures made using catalyst islands
EP1247089B1 (en) 1999-12-15 2008-07-23 Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Carbon nanotube devices
JP2003322653A (ja) 2002-05-07 2003-11-14 Toshiba Corp プローブ固定支持体及びプローブ固定担体
US20060003437A1 (en) 2002-06-26 2006-01-05 Fujitsu Limited Target detecting device and target capturer, device and method for molecular adsorption or desorption, and device and method for protein detection
JP4180849B2 (ja) 2002-06-26 2008-11-12 富士通株式会社 蛋白質検出デバイスおよび蛋白質検出方法
US7563748B2 (en) 2003-06-23 2009-07-21 Cognis Ip Management Gmbh Alcohol alkoxylate carriers for pesticide active ingredients
JP2007516843A (ja) * 2003-10-20 2007-06-28 ザ・レジェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア 分子相互作用を検出するためのナノスケール変換システム
JP4539817B2 (ja) 2004-02-26 2010-09-08 国立大学法人 名古屋工業大学 炭素ナノ構造体の製造方法
EP1769092A4 (en) 2004-06-29 2008-08-06 Europ Nickel Plc IMPROVED LIXIVIATION OF BASE METALS
WO2006134942A1 (ja) * 2005-06-14 2006-12-21 Mitsumi Electric Co., Ltd. 電界効果トランジスタ、それを具備するバイオセンサ、および検出方法
JP4875517B2 (ja) 2007-03-05 2012-02-15 シャープ株式会社 化学物質センシング素子、化学物質センシング装置、及び化学物質センシング素子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2008108371A1 (ja) 2008-09-12
US20100086439A1 (en) 2010-04-08
US8435449B2 (en) 2013-05-07
JP5204758B2 (ja) 2013-06-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5204758B2 (ja) 化学物質センシング素子
Bezzon et al. Carbon nanostructure‐based sensors: a brief review on recent advances
Moon et al. Chemiresistive electronic nose toward detection of biomarkers in exhaled breath
Vaseashta et al. Nanostructured and nanoscale devices, sensors and detectors
Yang et al. Carbon nanomaterials in biosensors: should you use nanotubes or graphene?
Hölken et al. Sacrificial template synthesis and properties of 3D hollow-silicon nano-and microstructures
US8652632B2 (en) Surface enhanced raman detection on metalized nanostructured polymer films
JP5062697B2 (ja) 化学物質センシング素子、ガス分析装置ならびに化学物質センシング素子を用いたエタノールの濃度を検出する方法
WO2012129314A2 (en) Nanoscale sensors with nanoporous material
Kanchana et al. Development of electrochemical folic acid sensor based on hydroxyapatite nanoparticles
Shahrokhian et al. Construction of an electrochemical sensor based on the electrodeposition of Au–Pt nanoparticles mixtures on multi-walled carbon nanotubes film for voltammetric determination of cefotaxime
JP2010025719A (ja) 化学物質センシング素子、化学物質センシング装置、及び、化学物質センシング素子の製造方法
ReddyPrasad et al. Electrochemical preparation of a novel type of C-dots/ZrO2 nanocomposite onto glassy carbon electrode for detection of organophosphorus pesticide
JP2010038840A (ja) 化学物質センシング素子、化学物質センシング装置、表面修飾カーボンナノ構造体の製造方法、及び、化学物質センシング素子の製造方法
Taniselass et al. Current state of green reduction strategies: Solution-processed reduced graphene oxide for healthcare biodetection
JP2010019688A (ja) 化学物質センシング素子、化学物質センシング装置、及び、化学物質センシング素子の製造方法
Gautam et al. Silicon nanowires/reduced graphene oxide nanocomposite based novel sensor platform for detection of cyclohexane and formaldehyde
CN105606585B (zh) 一种呼气传感器及其制备方法
Prakash et al. Nanomaterial-based surface-enhanced Raman scattering spectroscopy for sensing and diagnostics of gas molecules in environment and healthcare
JP5062695B2 (ja) 化学物質センシング素子、ならびにこれを備えたガス分析装置および呼気分析装置、ならびに化学物質センシング素子を用いたアセトン濃度検出方法
CN111684270A (zh) 传感器用电极材、传感器用电极、传感器、及生物传感器
US11536721B2 (en) Electrochemical immunosensors
Kim et al. Miniature transparent dopamine sensor based on nanosphere lithography
Vaseashta et al. Nanostructured and nanoscale devices and sensors
US11719664B2 (en) Electrical/optical multimodal sensor using multi-functional 3D nano-architecture materials and manufacturing method thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120724

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120920

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121016

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160222

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees