JPH09243590A - 微小櫛形電極およびその製造方法ならびに溶液系電気化学的測定用電極ユニット - Google Patents
微小櫛形電極およびその製造方法ならびに溶液系電気化学的測定用電極ユニットInfo
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- JPH09243590A JPH09243590A JP8080644A JP8064496A JPH09243590A JP H09243590 A JPH09243590 A JP H09243590A JP 8080644 A JP8080644 A JP 8080644A JP 8064496 A JP8064496 A JP 8064496A JP H09243590 A JPH09243590 A JP H09243590A
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Abstract
櫛型電極において、電極表面に機能性物質を多量にしか
も均一に固定化することを可能とする。 【解決手段】 絶縁基板2上に、互いにほぼ平行に延び
る一対のリード部と、各リード部から他方のリード部に
向かって延びる幅20μm 以下の複数のバンド電極5、
6とからなる電極を有し、両リード部間において、一方
のリード部から延びるバンド電極5と他方のリード部か
ら延びるバンド電極6とが50μm 以下の距離で交互に
配列されており、電極のうち少なくとも一方のリード部
から延びるバンド電極が、Pt等からなる電極本体5
1、61と、これの少なくとも一部を覆う酸化被膜5
2、62とを含み、前記酸化被膜が、前記電極本体の構
成材質とは異なる金属を陽極酸化したものであり、前記
酸化被膜に触媒等の機能性物質を固定化して修飾電極と
して使用される微小櫛形電極。
Description
いられる微小櫛形電極およびその製造方法と、この微小
櫛形電極を有する溶液系電気化学的測定用電極ユニット
とに関する。
算回路などの回路部分の小型化高機能化が著しいが、こ
れに対して、その回路部に情報を入力する部分、特に、
センサ分野は遅れている部分が多い。
応を利用するセンサ分野がある。この電気化学的な反応
を利用するセンサ分野においては、さまざまな形状、素
材の微小電極が提案され、小型化の検討がされている。
多数の微小な電極が規則性をもって配列された電極を意
味し、ディスク型、ホール型、バンド型に大別され、さ
らに、バンド型は、一般に独立型、交互型に分類され
る。
極に異なった電位を印加し、個々の電極応答を観察する
ことができるので、電流、電位、時間の3次元情報が得
られる。
接するバンド電極に異なる電位を与えた場合、隣接する
バンド電極間で酸化還元サイクル(レドックスサイク
ル)が起こり、電流応答を電気的に増幅できる。すなわ
ち、この場合、櫛形電極の隣接した電極間では、一方の
電極で酸化されたレドックス種(酸化還元物質)が隣の
電極で還元されるというレドックスサイクル反応が起こ
る。この反応により、電極サイズが小さいほど電流応答
は増幅され、電極間距離が2μm になると、普通の数十
倍の値になる。このことから、可逆性のある物質につい
ての高感度また高選択的なセンシングデバイスとして利
用することができる。その結果、以下の利点が得られ
る。
が可能となる。 (2)電極反応速度、化学反応速度論に関する解析が容
易となる。 (3)寿命の短い反応中間体が、後続の化学反応前に検
出可能となる。 (4)高抵抗溶液中でも電位シフト(IR降下)の影響
を受けずに測定可能であある。 (5)微小であることから、電極の集積化が可能であ
り、装置の小型化が可能である。
用のセンシングデバイスに利用されることが多い。櫛形
電極において微小とは、一般に、隣接するバンド電極間
の距離が50μm 以下で、各バンド電極の幅が20μm
以下のものを意味する。このような微小櫛型電極は、通
常、半導体分野で用いられているフォトプロセスを用い
て製造される。
の代表的なものとしては、電気化学的計測素子の例があ
る。
電気化学的に安定な測定を行わせるために、特開平1−
272958号では電気化学測定用微小電極セルが提案
されている。
中、有機溶媒中、および生体中に含まれるイオン、分子
を測定するためのものであり、対向する2つの電極から
交互に櫛形状に配設した櫛形電極と参照電極とこの参照
電極に対向する対向電極とを同一基板上に形成したこと
を特徴とするものである。
として、電極表面に酵素や抗原、抗体、触媒等といった
機能性物質を物理的または化学的に固定化したいわゆる
修飾電極を使用した測定方法がある。修飾電極への機能
性物質の固定化量は、電極の表面積に大きく依存してい
る。修飾電極表面に機能性物質を多量にしかも均一に固
定化することにより、高感度が得られ、再現性も良好と
なる。
提案されたような櫛型電極では、十分量の機能性物質を
固定化するために電極幅を大きくすると、電気化学測定
用微小電極の特徴であるレドックスサイクル反応を十分
に利用することができなくなってしまう。
系での電気化学的測定に用いられる微小櫛型電極におい
て、電極表面に機能性物質を多量にしかも均一に固定化
することを可能とすることである。
(1)〜(10)のいずれかの構成により達成される。 (1)絶縁基板上に、互いにほぼ平行に延びる一対のリ
ード部と、各リード部から他方のリード部に向かって延
びる幅20μm 以下の複数のバンド電極とからなる電極
を有し、両リード部間において、一方のリード部から延
びるバンド電極と他方のリード部から延びるバンド電極
とが50μm 以下の距離で交互に配列されており、電極
のうち少なくとも一方のリード部から延びるバンド電極
が、電極本体と、この電極本体表面の少なくとも一部を
覆う酸化被膜とを含み、前記酸化被膜が、前記電極本体
の構成材質とは異なる金属を陽極酸化したものであり、
前記酸化被膜に機能性物質を固定化して修飾電極として
使用される微小櫛形電極。 (2)前記酸化被膜の厚さが500〜5000A の範囲
である上記(1)の微小櫛形電極。 (3)前記酸化被膜がAl、Mg、Ti、Zr、Cr、
MnおよびCuの少なくとも1種を含む金属単体または
合金を陽極酸化したものである上記(1)または(2)
の微小櫛型電極。 (4)リード部表面の少なくとも一部が、絶縁性の保護
膜により被覆されている上記(1)〜(3)のいずれか
の微小櫛型電極。 (5)前記酸化被膜に機能性物質が固定化された修飾電
極である上記(1)〜(4)のいずれかの微小櫛型電
極。 (6)前記機能性物質が触媒、酵素、抗原および抗体の
少なくとも1種である上記(1)〜(5)のいずれかの
微小櫛型電極。 (7)上記(1)〜(6)のいずれかの微小櫛形電極を
製造する方法であって、陽極酸化に際し、電解液の濃度
を0.5〜5規定、印加電位を0.1〜5V 、処理時間
を5秒間〜60分間とする微小櫛形電極の製造方法。 (8)上記(1)〜(6)のいずれかの微小櫛形電極か
らなる作用極を有する溶液系電気化学的測定用電極ユニ
ット。 (9)対極を有する上記(8)の溶液系電気化学的測定
用電極ユニット。 (10)参照極を有する上記(9)の溶液系電気化学的
測定用電極ユニット。
電極表面の少なくとも一部が酸化被膜で被覆されてい
る。この酸化被膜は、陽極酸化により形成されたもので
あるため、多数の微細孔を有する多孔質となっている。
このため、レドックスサイクル反応を十分に利用するた
めに各バンド電極の幅を小さくしても、酸化被膜の多数
の微細孔に酵素や触媒、抗原、抗体等の機能性物質を多
量にかつ均一に固定化することができる。したがって、
高感度で再現性も良好な修飾電極が得られる。また、陽
極酸化の条件を適宜選択することにより、固定化する機
能性物質に最適な微細孔を形成することができる。
て有する溶液系電気化学的測定用電極ユニットでは、電
極表面が酸化被膜で被覆されているにもかかわらず、バ
ンド電極の幅、バンド電極間距離等を同条件としたPt
微小櫛形電極を用いた場合と同様に、十分な検出感度、
精度が得られる。酸化被膜を構成する酸化物自体は絶縁
性であるが、上述したように多孔質であるため、電極の
安定性に支障を来さない程度の電子の授受が行われ、サ
イクリックボルタメトリーにより電極反応を見ることが
可能となるものと思われる。
たは合金)の陽極酸化により形成されるが、酸化被膜を
熱酸化により形成した場合、熱酸化時に原料金属が空気
中の水分と反応することにより表層に水酸化物を形成し
て微細孔を封孔し、電極としての機能を阻害することが
あるため、熱酸化は電極表面の処理には適さない。
て詳細に説明する。
電極1は、絶縁基板2上に、互いにほぼ平行に延びる一
対のリード部3、4と、各リード部から他方のリード部
に向かって延びる複数のバンド電極5、6とからなる電
極を有する。両リード部3、4間において、一方のリー
ド部3から延びるバンド電極5と他方のリード部4から
延びるバンド電極6とが交互に配列されている。電極の
うち少なくとも各バンド電極5、6は、図2に示される
ように、電極本体51、61がそれぞれ酸化被膜52、
62により被覆された構成となっている。
め、多数の微細孔を有する多孔質となっている。酸化被
膜の微細孔中には機能性物質が固定化され、修飾電極と
して用いられる。図示例では各リード部からそれぞれ延
びるバンド電極5、6の両方に酸化被膜が設けられてい
るが、本発明では、少なくとも一方のリード部から延び
るバンド電極に酸化被膜が設けられていればよい。ま
た、図示例では、バンド電極部において電極本体の全表
面が酸化被膜で被覆されているが、本発明では電極本体
の少なくとも一部が酸化被膜で被覆されていればよい。
すなわち、電極本体の一部が露出していてもよい。
れていてもよいが、リード部表面の少なくとも一部にも
酸化被膜を形成してよい。
互に高密度に配列されたバンド電極部だけで反応が生じ
ることが好ましいので、リード部表面の少なくとも一部
(被検溶液に接触する領域)は、絶縁性の保護膜により
被覆することが好ましい。リード部が酸化被膜で被覆さ
れている場合には、保護膜は酸化被膜の表面に形成すれ
ばよい。保護膜の材質等は特に限定されないが、通常、
フォトレジストなどを用いてフォトプロセスにより形成
することが好ましい。この保護膜の厚さは、通常、10
0A 程度以上とすればよい。
列されたバンド電極間の距離Gは50μm 程度以下で、
各バンド電極の幅Wは20μm 程度以下である。バンド
電極間距離Gの下限値、および各バンド電極の幅Wの下
限値は、それぞれ1μm 程度である。なお、リード部の
幅は、通常、10μm 〜1mm程度とすればよい。また、
バンド電極は、通常、1〜100対程度設ける。
0〜5000A 、より好ましくは500〜2000A 、
さらに好ましくは700〜1800A 、最も好ましくは
1000〜1500A である。膜厚tが小さすぎると、
均質な多孔質膜を形成することが困難となるので、修飾
電極としての十分な感度および再現性が得られにくくな
る。一方、膜厚tが大きすぎると、測定感度が低くなる
傾向がある。これは、陽極酸化被膜が多孔質であると考
えられるところ、余りに厚すぎると、開孔が実質的に閉
鎖開孔となり、上記溶液が導電性の電極本体に到達する
ことが困難となるためであると考えられる。電極本体の
厚さは、300A 程度以上であることが好ましい。電極
本体が薄すぎると、電極の抵抗が高くなる傾向がある。
Tは、酸化被膜の厚さtと電極本体の厚さとの和であ
り、好ましくは800〜6000A 、より好ましくは8
00〜3000A である。Tが小さすぎると、電極本体
が薄くなりすぎて抵抗値が増大し、電極としての機能を
充分に発揮することができなくなることがある。一方、
Tが大きすぎると、パターンの幅に比べてパターンの厚
さが大きくなりすぎ、パターン形成が困難になってしま
う。
被膜の厚さ、電極本体の厚さは、上記したバンド電極部
と同様とすればよい。
は、陽極酸化により多孔質となる金属または合金を用
い、好ましくは安価なもの、より好ましくは加工性も良
好なものを用いる。具体的には、好ましくはAl、M
g、Ti、Zr、Cr、MnおよびCuの少なくとも1
種を含む金属単体または合金を用い、より好ましくはA
l、TiおよびZrの少なくとも1種を含む金属単体ま
たは合金を用い、さらに好ましくはAlまたはAl合金
を用いる。Al合金のうち、陽極酸化可能なものとして
は、例えばAl−Mg、Al−Mn−Cu、Al−Mg
−Cr、Al−Mg−Si、Al−Si、Al−Cu−
Mg−Mn−Si、Al−Cu−Mg−Mn、Al−S
i−Cu、Al−Cu−Mg−Niなどが挙げられ、こ
れらのうちAl−Mg、Al−Mn−Cu、Al−Mg
−Cr、Al−Mg−Siなどは陽極酸化適応性が特に
優れており、Al−SiやAl−Si−Cuなども良好
である。Al合金のAl含有率は特に限定されず、陽極
酸化適応性が良好となるように適宜決定すればよいが、
通常、85重量%程度以上、特に90重量%程度以上と
する。また、Mg合金としては、Mg−Al−Mn、M
g−Al−Znが安価であるため好ましく、これらの
他、Mg−Zn、Mg−Re−Zr、Mg−Th−Zr
なども使用できる。
の空孔率は特に限定されず、酸化被膜を通して電気化学
的測定が行え、また、機能性物質を多量かつ均一に固定
できるものであればよいが、微細孔の孔径は一般に5〜
500A 程度、好ましくは10〜300A 程度であり、
断面における空孔率(平面空孔率)は一般に5〜50%
程度、好ましくは15〜40%程度である。なお、陽極
酸化により形成された酸化被膜の微細孔は、一般に膜の
厚さ方向に延びている。上記平面空孔率は、厚さ方向に
垂直な断面において測定される値である。
る材質から構成される。電極本体の材質は特に限定され
ないが、電気化学的測定の際に電極本体が被検溶液と接
触する構成の場合、測定時に溶液中に溶出しない材質が
好ましい。また、後述する陽極酸化の際に電極本体が電
解液と接触する構成の場合、陽極酸化時に電解液に溶出
しない材質が好ましい。具体的には、一般に溶液系の電
気化学的測定に用いられるもの、例えばPt、Au、A
g、Pd、RhまたはCが好ましく、これらを含む合金
や化合物などから選択することもできる。
に、Si基板2a上に、絶縁層としてSiO2 層2bを
形成した基板や、アルミナ基板などのセラミックス基
板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板等を用い
ることができる。
ついて説明する。
は、まず、絶縁基板上に導電性材料からなる電極本体用
薄膜を形成し、これを櫛型電極形状にパターニングして
電極本体とする。薄膜の形成方法は、上記した範囲の厚
さの電極本体が得られる方法であるならどのようなもの
であってもよいが、通常、蒸着法やスパッタ法により行
うことが好ましい。薄膜のパターニングは、半導体分野
の回路形成に一般に使用されているフォトプロセスによ
り行えばよい。
領域を覆うように、酸化被膜原料となる金属の薄膜を形
成する。次いで、櫛型形状にパターニングして、バンド
電極表面だけを覆う構造とする。なお、酸化被膜原料金
属薄膜を櫛型形状にパターニングせず、薄膜がバンド電
極間をも覆う構造としてもよい。ただし、後述するデュ
アルポテンシャルサイクリックボルタメトリにおいてレ
ドックスサイクル反応を利用して測定する場合、一方の
リード部から延びるバンド電極だけに機能性物質を固定
化するか、各リード部からそれぞれ延びるバンド電極に
異種の機能性物質を固定化するので、パターニングを行
わずにバンド電極間にも酸化被膜が存在する構成とした
場合、機能性物質を選択的に固定化することが困難とな
り、正確な測定ができなくなる可能性が生じる。
の積層方法は特に限定されず、上記方法の他、例えば、
電極本体用薄膜と酸化被膜原料金属薄膜との積層と、両
者のパターニングとを、リフトオフ法等のフォトプロセ
スを用いて同時に行う方法を用いてもよい。リフトオフ
法では、まず、絶縁基板上にレジスト膜を形成する。次
いで、レジスト膜に櫛型電極形状の孔部を設けるパター
ニングを施し、この上に電極本体用薄膜と酸化被膜原料
金属薄膜とを形成した後、レジスト膜を剥離する。この
とき、レジスト膜上に存在する電極本体用薄膜と酸化被
膜原料金属薄膜との積層膜は、レジスト膜の剥離と同時
に除去され、櫛型電極形状の積層膜が残ることになる。
リフトオフ法を用いた場合、酸化被膜はバンド電極の上
部だけに存在することになる。
化する。この陽極酸化は、酸化被膜原料金属薄膜で被覆
した電極本体を陽極とし、Pt等を陰極として、電解液
中に浸漬し、定電位あるいは定電流を印加して行うこと
が好ましい。
ュウ酸、リン酸等の水溶液またはこれらの酸を有機溶剤
に溶解した非水溶液を用いることができる。電解液の濃
度は、好ましくは0.1〜5規定、より好ましくは0.
5〜2規定程度である。また、定電位を印加する場合に
は、印加電位は、好ましくは0.1〜5V 、より好まし
くは0.5〜2V 程度であり、印加時間(処理時間)
は、好ましくは5秒間〜60分間、より好ましくは30
秒間〜60分間、さらに好ましくは3〜30分間程度で
ある。このような条件により、薄膜が表面から酸化され
て多孔質の酸化被膜が得られる。電解液の濃度が高すぎ
ると、電極本体が溶出する傾向がある。また、印加電位
や印加時間が上記の範囲でない場合には、目的とする酸
化被膜が得られにくくなる。なお、定電流を印加する場
合、印加電流は、500μA 程度以下が好ましい。
膜全体を酸化することが好ましいが、酸化被膜原料金属
薄膜の電極本体との界面付近が金属状態や合金状態のま
ま残っていてもよい。
極とする場合、機能性物質の大きさやその固定化量に応
じた最適な微細孔寸法や空孔率が存在する。微細孔寸法
や空孔率は、酸化被膜の厚さやその面積、その形成条件
(電解液濃度、印加電位、処理時間等)等を適宜選択す
ることにより、制御することができる。
特に限定されず、通常のセラミックス基体へ酵素等を固
定する方法などに準じて各種カップリング剤などを用い
てもよく、機能性物質を溶解ないし分散した液中に電極
を浸漬する吸着法を用いてもよい。また、高分子電解重
合や配位結合により固定化を行ってもよい。
ットは、水溶液や他の各種溶液中の被検出物の検出に使
用されるものであり、少なくとも本発明の微小櫛形電極
を作用極として有するものであり、さらに、対極や参照
極を有していてもよい。
面の酸化被膜に適当な機能性物質を固定化して修飾電極
とすることにより、対応する物質の反応を測定すること
が可能となる。
定されず、活性物質の酸化反応や還元反応において電極
触媒的な作用を示すものなど、各種の物質が使用可能で
ある。このような機能性物質としては、例えば各種の触
媒、酵素、抗原および抗体の少なくとも1種が挙げられ
る。これらの機能性物質を固定化することにより、対応
する活性物質についての測定が可能となる。具体的に
は、酵素としては例えばグルコースオキシダーゼ(グル
コース検出用)、グルコースオキシダーゼ+カタラーゼ
(グルコース検出用)、グルコースオキシダーゼ+ラク
ターゼ(ラクトース検出用)、アスコルビン酸オキシダ
ーゼ(アスコルビン酸検出用)、コレステロールオキシ
ダーゼ(コレステロール検出用)、コレステロールオキ
シダーゼ+コレステロールエステラーゼ(コレステロー
ルエステル検出用)、ウレアーゼ(尿素検出用)、パラ
チオン分解酵素(パラチオン検出用)、アセチルコリン
エステラーゼ(パラチオン検出用)、カタラーゼ(H2
O2 検出用)、シュウ酸デカルボキシラーゼ(シュウ酸
検出用)、セファロスポリナーゼ(セファロスポリン検
出用)、クレアチニンイミノヒドロラーゼ(クレアチニ
ン検出用)、ペニシリナーゼ(ペニシリンG検出用)、
ヘキソキナーゼ(ATP検出用)などが挙げられ、ま
た、触媒としては、二酸化炭素検出用としてRuポリピ
リジニルカルボニル錯体、Reカルボニル錯体、Niサ
イクラム錯体などが挙げられ、一酸化炭素検出用として
Rh錯体、Rh塩などが挙げられる。
電極、水素電極等を用いることができる。また、対極に
は、白金電極、カーボン電極等を用いることができる。
上に膜状体として形成することができる。対極は、作用
極と同様に薄膜法により形成することができ、また、参
照極のうち例えば銀/塩化銀電極などは、厚膜法により
形成することができる。対極や参照極を作用極と同じ絶
縁基板表面に形成して電極ユニットとしてもよく、対極
や参照極を形成した絶縁基板と作用極を形成した絶縁基
板とを接着等により一体化して電極ユニットとしてもよ
い。なお、通常、電極ユニットには、作用極と対極とを
設ける。
ットでは、例えば、サイクリックボルタメトリの原理を
用いて、被検出物を検出する。サイクリックボルタメト
リに際しては、いわゆるデュアルポテンシャルサイクリ
ックボルタメトリを利用することができる。この方法で
は、隣接するバンド電極に異なる電位を与え、隣接する
バンド電極間で酸化還元サイクル(レドックスサイク
ル)を生じさせる。この場合、通常、一方のリード部か
ら延びるバンド電極をコレクタ電極としてその電位を固
定し、他方のリード部から延びるバンド電極をジェネレ
ータ電極としてその電位を一定の速度で変化させる。修
飾電極においてデュアルポテンシャルサイクリックボル
タメトリを利用する場合には、ジェネレータ電極に機能
性物質を固定化して測定を行うか、コレクタ電極とジェ
ネレータ電極とに異なる機能性物質を固定化して測定を
行う。
をさらに詳細に説明する。
小櫛型電極を作製した。
A の酸化膜をつけた後、この上に、ポジ型レジスト(O
FPR 800)を塗布し、プロキシミティー露光装置
で微小櫛型電極形状(バンド電極幅Wは10μm 、バン
ド電極間距離Gは10μm 、バンド電極対数は45、バ
ンド電極の長さは1.4mm)に露光し、アルカリ性現像
液(MND−3)で現像することによりパターニングを
行った。次いで、この上からPt膜を厚さ2000A で
均一に蒸着し、さらにAl膜を厚さ1000Aで均一に
蒸着した。
理することにより、レジストと、その上に存在するPt
膜およびAl膜とを剥離し、電極チップを得た。リード
はAlのワイヤーボンドによりとった。
を用い、1V で20分間の条件でAlの陽極酸化を行っ
てAl酸化被膜を形成し、Pt製電極本体の上面がAl
酸化被膜で被覆された微小櫛形電極(実施例1)を得
た。Al酸化被膜の膜厚をAuger電子分光分析で測
定したところ、1300A であった。
いてグルコースオキシダーゼを固定化し、グルコース検
出用修飾電極とした。また、比較のために、実施例1の
微小櫛型電極と同寸法で酸化被膜を設けないPt微小櫛
型電極(比較例1)を作製し、この電極表面にもグルコ
ースオキシダーゼを固定化して修飾電極とした。なお、
Pt微小櫛型電極へのグルコースオキシダーゼの固定化
は、電解酸化重合により行った。この電解酸化重合は、
10mg/ml グルコースオキシダーゼと0.1Mピロール
とを含む0.1M塩化カリウム水溶液中で、0.8V
(対銀/塩化銀電極)の電圧を60秒間印加することに
より行った。
銀電極を用い、図3に示すような装置構成でサイクリッ
クボルタメトリを行ったところ、実施例1の微小櫛型電
極を用いた修飾電極では、比較例1の微小櫛型電極を用
いた修飾電極に比べ、グルコースに起因するピーク電流
値が約2.5倍となり、感度が著しく高いことが確認さ
れた。また、実施例1の微小櫛型電極を用いた修飾電極
を20個用意し、各修飾電極についてグルコースの検出
試験を行ったところ、グルコースに起因するピーク電流
値はよく揃っており、再現性が良好であることが確認さ
れた。
ら200A の厚さだけ酸化させた表面酸化Al膜を有す
る櫛型電極を作用極(比較例2)として、上記と同一条
件でサイクリックボルタメトリを行ったところ、1回目
の測定で表面酸化Al膜が溶出して、測定不可能となっ
てしまった。
化被膜の形成を試みたが、熱酸化では電極全体にわたっ
て長時間(1時間以上)、200℃以上で均一の加熱を
行うことが困難であり、厚さの均一な酸化被膜の作製お
よび膜厚の制御が難しく、ほとんど再現性がなかった。
なお、空気中で200℃で30分間、2時間と時間を変
えて熱酸化することにより比較例2および3の微小櫛形
電極を作製し、これらを作用極として、上記と同一条件
でサイクリックボルタメトリを行ったところ、比較例2
においては、表面酸化Al膜が溶出してしまって測定不
可能となり、比較例3では、Al酸化被膜の溶出は認め
られなかったが、電極反応による波形が得られなかっ
た。
膜を形成し、陽極酸化条件を変更した以外は実施例1と
同様にして修飾電極を作製したところ、実施例1の微小
櫛型電極を用いた場合と同等のピーク電流値が得られ
た。
る。
的測定用電極ユニットを、溶液系の電気化学的測定に使
用する際の説明図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 絶縁基板上に、互いにほぼ平行に延びる
一対のリード部と、各リード部から他方のリード部に向
かって延びる幅20μm 以下の複数のバンド電極とから
なる電極を有し、両リード部間において、一方のリード
部から延びるバンド電極と他方のリード部から延びるバ
ンド電極とが50μm 以下の距離で交互に配列されてお
り、 電極のうち少なくとも一方のリード部から延びるバンド
電極が、電極本体と、この電極本体表面の少なくとも一
部を覆う酸化被膜とを含み、前記酸化被膜が、前記電極
本体の構成材質とは異なる金属を陽極酸化したものであ
り、 前記酸化被膜に機能性物質を固定化して修飾電極として
使用される微小櫛形電極。 - 【請求項2】 前記酸化被膜の厚さが500〜5000
A の範囲である請求項1の微小櫛形電極。 - 【請求項3】 前記酸化被膜がAl、Mg、Ti、Z
r、Cr、MnおよびCuの少なくとも1種を含む金属
単体または合金を陽極酸化したものである請求項1また
は2の微小櫛型電極。 - 【請求項4】 リード部表面の少なくとも一部が、絶縁
性の保護膜により被覆されている請求項1〜3のいずれ
かの微小櫛型電極。 - 【請求項5】 前記酸化被膜に機能性物質が固定化され
た修飾電極である請求項1〜4のいずれかの微小櫛型電
極。 - 【請求項6】 前記機能性物質が触媒、酵素、抗原およ
び抗体の少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか
の微小櫛型電極。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかの微小櫛形電極
を製造する方法であって、陽極酸化に際し、電解液の濃
度を0.5〜5規定、印加電位を0.1〜5V 、処理時
間を5秒間〜60分間とする微小櫛形電極の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかの微小櫛形電極
からなる作用極を有する溶液系電気化学的測定用電極ユ
ニット。 - 【請求項9】 対極を有する請求項8の溶液系電気化学
的測定用電極ユニット。 - 【請求項10】 参照極を有する請求項9の溶液系電気
化学的測定用電極ユニット。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP8080644A JPH09243590A (ja) | 1996-03-08 | 1996-03-08 | 微小櫛形電極およびその製造方法ならびに溶液系電気化学的測定用電極ユニット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP8080644A JPH09243590A (ja) | 1996-03-08 | 1996-03-08 | 微小櫛形電極およびその製造方法ならびに溶液系電気化学的測定用電極ユニット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09243590A true JPH09243590A (ja) | 1997-09-19 |
Family
ID=13724085
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8080644A Pending JPH09243590A (ja) | 1996-03-08 | 1996-03-08 | 微小櫛形電極およびその製造方法ならびに溶液系電気化学的測定用電極ユニット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09243590A (ja) |
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