JP2006281175A - 電気化学用マイクロリアクターおよびそれを用いた製造方法 - Google Patents

電気化学用マイクロリアクターおよびそれを用いた製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電気化学反応の収率を向上させることを課題とする。
【解決手段】作用極と対極の一対以上の電極を壁面に具えた流路があり、作用極と対極が送液方向に対し順次配置されていることを特徴とするマイクロリアクター、および、それを用いて電気化学反応を実施することによる化学物質の製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、部材中に電極を具備するマイクロリアクターを用いた化学物質の製造方法に関する。さらに詳しくは、化学、生化学、農業、林業、医療、食品工業、製薬工業、環境保全、などの分野、とりわけ、化学合成、化学分析および生化学用反応装置として有用な流通式反応器を用いた製造方法に関する。
電気化学反応器は、バッチ式と流通式に大きく分類される。バッチ式電気化学反応器は電解液を満たした容器に少なくとも一対の電極を差し込み、電極に電圧を印加することにより、電極表面で電気化学的酸化還元反応を行なうものである。流通式電気化学反応器は、少なくとも一対の電極を設けた流路に電解液を流通させ、電極に電圧を印加し連続的に電気化学的酸化還元反応を行なうものである。従来の電気化学反応器は、バッチ式と流通式のいずれも工業的に実用化されているが、電極間の距離が数十cmから数cm離れているため、必要電流量を流すためには、電圧を上げたり、支持電解質濃度を高めたりする必要があった。消費電力量は電流値と電圧値の積であるため、電圧を上げると消費電力量が増加したり、発熱量が増加し副生成物量が増加したりするなど問題がある。一方、電解液の電気抵抗を下げるため、支持電解質濃度を高める方法が取られる場合がある。しかし、支持電解質には高価なものが多かったり、支持電解質由来の副生成物量が増加したりするなど問題がある。また、従来の電気化学反応器は、生産量を多くするため、内容積が1mから数十mのものが一般的に使用されている。このように内容積が大きいと、電解反応の際に生じる熱の除去が難しくなり、不用な副反応が生じやすいなどの問題がある。
マイクロリアクターは、微小な流路を有する装置であり、化学反応、微小分析、薬品の開発、ゲノム・DNA解析ツールなどに利用されている。マイクロリアクターは、従来の反応器に比べ装置全体が小さいため熱交換効率が極めて高く、温度制御が精密に行なえるという特徴がある。従って、発熱が大きく暴走や爆発の危険性のある反応や、精密な温度制御を必要とする反応や、急激な加熱や冷却を必要とする反応でも、マイクロリアクターを利用すれば容易に精密制御が可能という利点がある。また、微小な流路に分岐を設け複数の相溶する液体あるいは気体を混合した場合、拡散距離が短いため瞬時に混合させることが可能である。そのため、より理想に近い混合比率での混合が可能で、好ましくない副反応を抑制することができる。また、微小空間の中で反応を行なうため、流体の単位体積あたりの界面、例えば、非水溶性溶剤と水との液・液界面や、液体と器壁との固・液界面の面積が、非常に大きくなる。それ故、界面を介した物質移動や、不均一触媒との接触面積が大きくなるため、反応を効率よく行なうことが出来る。さらに、リアクターの容積が微小であるので、反応に用いる試料(反応試薬、サンプルなど)の量およびコストを抑えることができ、生成物の分析能力の限界まで反応スケールを小さくすることができるため、廃棄物を抑制し、環境への負荷を低減させることができる。
マイクロリアクターを用いた物質生産では、従来までのように反応器の大きさを大きくするスケールアップではなく、マイクロリアクターを多数並列させて生産する、いわゆるナンバリングアップを行なうことが検討されている。従来のスケールアップでは、実験室のフラスコで開発された物質を大量生産するためには、数リットルの小試験、数百リットルの中試験を行なった後、数立米規模の実機プラントの設計が行なわれる手順を踏んでおり、多大のコスト・労力・時間を労しており、また、スケールアップにより収率が悪化することも珍しくない。一方、マイクロリアクターにおけるナンバリングアップでは、同一のマイクロリアクターを多数並列して生産するため、増産が容易であり、同様の品質の製品を作ることができると考えられている。
電気化学反応用マイクロリアクターは、分析用途には数多くの報告がある(例えば、特許文献1〜3参照)。特に、特開平5−223772号公報は、平面内で間隙を隔てて相対する微小バンド電極あるいはお互いに噛み合った櫛形微小電極を用いた、高感度電器化学検出用微小電極セルが報告されている。ところが、マイクロリアクターを化学物質生産用途に用いた例は非常に少ない(例えば、特許文献4〜6参照)。しかも、特開2003−172736号公報は、実質的にはDNAのPCR反応や電気泳動を目的にしており、化学物質生産を目的にしたものではない。また、米国特許6607655号公報では、マイクロリアクターを使って化学物質生産の例が示されているが、電極間にスリットの開いた絶縁性フィルムを挟み込んで、二つの電極とスリットで形成された空間に反応液を注入し、電気化学反応を実施する仕組みとなっている。当該特許の実施例には、絶縁性フィルムとして、ポリイミドなどの耐薬品性の高い材料を使用しているが、電気化学反応に対する耐久性は充分でなく、また、本目的に充分に耐久性のある材料は知られていない。また、特開2004−66169号公報では、熱硬化樹脂成型品を炭化焼成した炭素材料からなる微小空間内で電気化学反応を実施するマイクロ化学デバイスが報告されているが、熱硬化樹脂成型品を炭化焼成した炭素材料は、寸法安定性が乏しく異常収縮や反りの発生が生じやすいため、量産には適さない。また、陽極と陰極の間にイオン伝導膜を挟みこむことで、両極間の反応液を混合させずにイオンの伝導を可能とするとされているが、イオン伝導膜は溶媒を吸収し膨潤することが知られており、膜の膨潤により微小空間を圧迫し、場合によっては閉塞させ反応液を流すことが出来ない事態に陥るなど、問題点が多い。また、上記2件の特許文献は、電極を流路に対し平行に配置しているため、電極間の物質移動は拡散に依存するため充分と言えない。
その他、カーボンファイバーを電極材料として利用し、二つの電極間にスペーサーとして多孔質PTFE膜を挟み込み、反応液を陽極,スペーサー,陰極の順に通過させるようにした電気化学マイクロリアクターを用いてp−メトキシトルエンの酸化反応について報告されている(非特許文献1参照)。しかしながら、この方法では膜を利用するため圧力が高くなり過ぎたり、これを避けるため膜を薄くしたり空隙率を高くすると膜が破れたりする問題がある。また、反応中に膜が電気化学的に侵され、硬化・変形しついには破裂に至り、化学物質を生産するには耐久性に問題がある。また、この方法で多層にすることも可能であると類推されるが、多層にすれば膜通過に対する抵抗が高まり、より高圧で反応液を注入させなければならず、膜が破裂する危険性が高まる。
特開平5−223772号公報 特開2004−239781号公報 特開2003−4752号公報 特開2003−172736号公報 米国特許第6607655号公報 特開2004−66169号公報 The 3rd International Workshop on Micro Chemical Plants 予稿集p.36
本発明は、電気化学反応の収率を向上させることを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、以下の発明を完成した。即ち、本発明は、作用極と対極の一対以上の電極を壁面に具えた流路があり、作用極と対極が送液方向に対し順次配置されていることを特徴とするマイクロリアクター、およびそれを用いて電気化学反応を実施することによる化学物質の製造方法である。
本発明のマイクロリアクターを用いることで、電気化学反応の収率を向上させることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においてマイクロリアクターとは、マイクロ加工技術などを用いて作製された幅数μmから数百μmを中心とするマイクロ空間内の現象を利用した化学反応・物質生産のための装置である。装置全体の大きさについては、必ずしも微小である必要はない。
本発明において用いられるマイクロリアクターの電極は、流路の壁面に具えられている。電極を流路の壁面に設けることで、送液を妨げることなく電気化学反応を実施することが可能となる。一方、電極を流路の断面に配置した場合、送液を可能とするためには多孔質や繊維質の物質を電極材料に用いることとなると推測されるが、その場合は、圧力が上昇しやすく送液に問題が生じたり、電極材料の一部が押し流されることで電極間に短絡が生じたり、また短絡現象を抑制するため絶縁性フィルムを電極間に挟みこむとさらに圧力が上昇しやすくなり好ましくない。
本発明において用いられるマイクロリアクターの作用極と対極は、送液方向に対し順次配置されている。作用極と対極は少なくとも一対以上が必要で、作用極と対極がマイクロリアクター内での液の流れる方向に対して交互に配置されておれば複数対設けても構わない。発明の効用が発現する理由については明確にされていないが、両極間の物質移動を促進することができる点が理由の一つと考えられる。以下に、詳しく説明する。マイクロリアクター内での流れは、代表径が小さいので層流であることが多く、層流であれば物質の移動は拡散に支配される。電気化学反応自体は非常に速く拡散律速の反応と言われており、物質移動を速めることで反応を効率良く進めることができると考えられている。ところが、物質移動を拡散のみに依存すると非常に遅いことが知られている。例えば、水の場合では拡散係数は約1.0×10−9−1であり、1秒あたりの平均移動距離は約60μmと計算される。作用極と対極を送液方向に対し順次配置すれば、両極間の物質移動は実質的に送液速度に支配される。送液速度は、ポンプなどを使って外部から圧力を加えることで自在に制御することができ、流路径や圧力にもよるが、1秒あたり数mmから数mを移動させることが可能であり、拡散に依存するより格段に速く物質移動させることが可能となる。
本発明において用いられるマイクロリアクターは、作用極と対極間の電極間の少なくとも一部が1000μm以下であるのが好ましく、500μm以下であることがさらに好ましく、300μm以下がとりわけ好ましい。電極間距離が大きくなりすぎると、反応液の電気抵抗が高まり、消費電力が大きくなる問題が生じる場合がある。
本発明で用いる電極の形状は、特に限定されない。また、本発明で用いる電極は、作用極と対極が送液方向に対し交互に配置されておれば、平面内で間隙を隔ててお互いに噛み合った櫛形電極であっても良い。ここで、櫛型電極とは、2以上に櫛型状に分岐した電極のことを言う。電極の数は、反応液の送液速度や、反応液の濃度、電流密度などに応じて、自由に設計することが可能である。電極間の間隔は、均等であることが好ましい。電極間の間隔にばらつきが大きすぎると、電極間の距離が短い場所に電界が集中し、目的外の反応が生じる可能性が高まるので好ましくない。大部分の電極間の距離が均等である中で、一部の電極間が他に比べ大きく離れている場合は、大きく離れた電極間では電気化学反応はほとんど生じないため、なんら問題無く使用することが出来る。また、本発明で用いる櫛形電極の幅は、特に限定されないが、1000μm以下が好ましい。
本発明で用いる電極の作成方法は特に限定されない。好ましい方法として、電極形状にくり貫いた薄板のマスクを被せたり、フォトレジストを使ったりしてから、金属を蒸着やスパッタリング技術を用いて電極とする方法が挙げられる。薄膜電極を用いる場合は、流路壁の一部に設けてもよく、流路の周囲に取り巻くように設けてもよく、またそれが二重らせん状につながっていても良い。また、電極となる導電性材料からなるフィルムと、絶縁性材料からなるフィルムを交互に重ね合わせたものに、重ね合わせ方向に貫通孔を開け流路とし、流路の進行方向に対し電極フィルムと絶縁フィルムが交互に来るようにしたものを利用しても良い。
本発明で用いるマイクロリアクターの電極素材は、通電すれば特に限定されない。例えば、パラジウム、プラチナ、ロジウム、イリジウム、ニッケル、金、タングステン、ニオブ、カドニウム、マンガン、タリウム、鉛、水銀などの金属や、グラッシーカーボン、分光分析級黒鉛、熱分解黒鉛、炭素クロスなどの炭素素材やそれらの粉末をキシレンワックス、エポキシ樹脂、シリコーンゴム、ヌジョールなどに分散させたものなどを使用することができる。また、上記金属を蒸着やスパッタを用いて付着させる際には、基板との付着性を向上させるために、下地としてクロムやチタンなどの薄膜を付着させても良い。また、炭素は、金属電極の表面に炭素粉末を接着性のある素材に分散させたペーストを塗布しても良く、同様に金属電極の表面に炭化水素化合物を塗布し、減圧下で熱分解させて熱分解黒鉛としても良い。
本発明で用いるマイクロリアクターの電極表面には、金属めっきなどの手法を施し、電極表面を広げる工夫をしても良く、特に触媒活性の高い白金黒やパラジウム黒などを付着させても良い。
本発明で用いるマイクロリアクターを作製するのに用いる材料は特に限定されない。ガラス、石英、ポリイミド、テフロン、アクリルなどの絶縁性材料が好ましい。また、シリコンや金属など導電性材料であっても表面を絶縁化処理したものであれば使用することが出来る。
本発明で用いるマイクロリアクターの作成方法としては、例えば絶縁性基板上に電極を設け、その上に絶縁性の基板にエッチングや機械加工などによって溝を形成した板を被せ接着させる方法が挙げられる。ここで、流路の形状は特に限定されず、直線状でも曲線状でも構わない。接着方法は特に限定されないが、熱圧着、熱融着など加熱による方法や、反応に影響しない範囲で接着剤を使用しても良い。
上述の方法の例として、ガラスなどの絶縁性基板上に蒸着やスパッタ技術を使って一対以上の電極を設けた後、エッチングや機械加工を用いて溝を形成した絶縁性基板で蓋をして、熱融着して接着させたものを使用しても良い。
また、ガラスなどの絶縁性基板上に厚膜レジスト(例えば、SU-8 MicroChem社製)を使って溝を形成し、その溝の中に蒸着やスパッタ技術を使って一対以上の電極を設けた後、ガラスなどの絶縁性基板で蓋をして、レジストを使って接着したものを使用しても良い。
また、表面を酸化させて絶縁性を高めたシリコン基板にエッチング技術を用いて溝を形成し、その溝の中に蒸着やスパッタ技術を使って一対以上の電極を設けた後、ガラスなどの絶縁性基板で蓋をして、陽極接合により接合させたものを使用しても良い。
本発明で用いるマイクロリアクターの流路は、フォトリソグラフィー技術を用いて形成するのが好ましい。フォトリソグラフィー技術は、容易に微細な加工が可能である上に、二次元的には自由に設計が可能であり、また、量産化技術も確立されているので、安価にマイクロリアクターを供給することが可能であるなどメリットが多い。
本発明で用いるマイクロリアクターの流路の長さは特に限定されず、反応液濃度、反応液流量、電流密度、電流効率などを考慮し適宜設計して良い。
本発明で行なう電気化学反応は、特に限定されない。電気化学反応は、酸化反応と還元反応に大別される。特に有機化合物の電気化学反応においては、官能基変換型、付加型、挿入型、置換型、交換型、脱離型、二量化型、交差二量化型、環化型、多量化型、開裂型、金属化型、不斉合成型、などの反応型が挙げられるが、いずれも特に限定されない。より具体的な反応例としては、炭素−炭素多重結合の還元、芳香環の還元、炭素−ハロゲン結合の還元、アルデヒドおよびケトンの還元、カルボン酸とその誘導体の還元、ケトンまたはカルボン酸と共益しているオレフィンの還元二量化反応、ニトロ基の還元、窒素−窒素一重結合の還元、窒素−窒素二重結合の還元、炭素−窒素一重結合の還元、炭素−窒素二重結合の還元、炭素−窒素三重結合の還元、脱炭酸を伴うカルボン酸の酸化、アルデヒドからカルボン酸への酸化、芳香族化合物の酸化、オレフィン類の酸化、アミンおよびヒドラジンの酸化、スルフィド類の酸化、チオ尿素誘導体の酸化、チオカルボニル誘導体の酸化、有機金属化合物またはカルバニオンの酸化などが挙げられるが、いずれも特に限定されない。また、有機電気化学反応は、多種多様のイオン種やラジカル種と呼ばれる活性中間種が発生するが、これら活性中間種を経由する反応、例えばカチオン種に対するメトキシ化、アセトキシ化、シアノ化などの求核置換反応に使用しても良い。
また、電気化学反応は、反応基質と電極との間の電子授受により基質の酸化・還元を行なう直接法と、メディエーターと呼ばれる電子移動担体を用いる間接法とに大別されるが、いずれにも特に限定されない。同様に、本発明で用いられる反応基質も、有機化合物、無機化合物に限らず、特に限定されない。
本発明で行なう電気化学的還元二量化反応の反応基質は、特に限定されない。例えば、マレイン酸、コハク酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルコハク酸、アクリロニトリル等の炭素−炭素二重結合を有する化合物や、ケトン類やアルデヒド類など炭素−酸素二重結合を有する化合物などが挙げられる。これらの反応基質は、同一種類同士で反応させても良く、また、異種間で反応させても良い。
本発明で用いることのできる溶剤は、プロトンを供給できる溶剤であれば、特に限定されない。例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1,2−エタンジオール、酢酸、塩酸などが使用できる。これらは単一溶剤で用いても良く、混合溶剤として用いても良い。混合する溶剤としては、上述した溶剤でも良く、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチルウレア、エチレンジアミン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルムなどを用いることができる。
本発明では支持電解質を用いても良い。その種類や使用量は、反応溶液に溶解し導電性を持たせることができれば特に限定されない。支持電解質は溶媒中でイオンとして働くので、イオン化しやすいアニオンとカチオンで組み合わされた塩である。カチオンとしては、Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリ金属イオンや、アンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ(n−プロピル)アンモニウムイオン、テトラ(i−プロピル)アンモニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラ(n−ヘキシル)アンモニウムイオンなどの第4級アルキルアンモニウムなどが挙げられる。アニオンとしては、Cl、Br、Iなどのハロゲンイオンや、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、BF 、PF 、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−1−プロパンスルホニル)イミド、ビス(1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロ−1−ブタンスルホニル)イミド、各種スルホン酸イオンなどが挙げられる。
本発明で用いるマイクロリアクターの流路の入口は、外部より流路内に流体を導入するための供給装置と接続されていても良く、流路内に小型のポンプを内蔵させても良い。外部よりマイクロリアクターに流体を導入するための供給手段は、特に限定されるものではないが、例えば、種々のポンプや、圧送する方法、重力差を利用する方法、高圧に圧縮された容器から供給する方法、などを用いることができる。ポンプとして具体例を示すとすれば、1)シリンダー内の流体をピストンで押し込めるシリンジポンプ、2)ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプといったピストンやプランジャーなどの往復運動を利用して圧力を高める往復式ポンプ、3)ギアポンプやペリスタポンプといった歯車やローラーを回転し、流体を空隙に閉じ込めて押し動かして輸送する回転式ポンプ、4)ボリュートポンプや、デフューザポンプといった、流体を回転羽根で回転しその遠心力によって圧力を高める遠心式ポンプや、その他一般的に知られているポンプなどが挙げられる。
本発明で使用するマイクロリアクターの流路の水力相当直径は、1μm以上2000μm以下が好ましく、10μm以上1000μm以下がさらに好ましく、20μm以上500μm以下がとりわけ好ましい。マイクロリアクターの流路の水力相当直径が1μm以下では、圧力損失が甚だ大きくなると共に、処理量も著しく少なくなるため好ましくなく、2000μm以上では温度制御が困難になるため副生成物が増加するので好ましくない。ここで言う水力相当直径とは、(流路断面積×4÷濡れ辺長)で表すことができる。
本発明に用いる反応液の前処理方法や後処理方法は、特に限定されないが、本発明で使用するマイクロリアクターと同様の水力相当直径の流路を使って、行なっても良い。
本発明で使用するマイクロリアクターには、温度制御機器が備わっていても良い。ここで言う、温度制御機器とは、加熱や冷却機能を持ち所定の温度に制御することのできる装置であれば特に限定されないが、熱媒や冷媒を流す管や、電熱ヒーターや、ペルチェ素子などを挙げることができる。熱制御機器は、反応流路に近い場所に設置した方が、温度応答が素早いので好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
マイクロリアクターは、2枚のアクリル板に電極と溝をそれぞれ設けたものを、接着して作った。具体的には、以下の手順で作成した。
1)一方のアクリル板を機械加工し、図1に示した形状の溝を形成した。溝の寸法は、幅500μm、深さ200μm、電極にかかる長さは100mmであった。溝の両端に外部から送液するための穴を空けた。
2)もう一方のアクリル板に、図2に示した電極形状をくり貫いたマスクを被せて、クロムを1000Å蒸着してから、金を2000Å蒸着し電極を設けた。電極の寸法は幅300μm、長さ10mmであり、作用極と対極用にそれぞれ25本を交互に配置し、各電極の間隙を300μmであった。
3)上記の2枚のアクリル板を圧着させ、115℃に設定したイナートオーブンに1時間入れ、熱圧着させマイクロリアクターを完成させた。マイクロリアクターの概略平面図を図3に、電極部分の部分断面概略図と部分平面概略図をそれぞれ図4と図5に示した。
マイクロリアクターの注入口から反応液(マレイン酸ジメチル:5 wt%,酢酸ナトリウム:2wt%/メタノール)を、シリンジポンプを用いて10μL/minの流量で送液した。マイクロリアクターは、ペルチェ素子の上に載せ、ペルチェ素子温度を15℃に制御した。この時の、電極上の滞留時間は、約60秒であった。直流電源(菊水社製 PMC250)を使い、1mAの定電流条件で、電気化学反応を実施した。この時の電圧は、6.5Vであった。吐出したサンプルは、ガスクロマトグラフィーで定量分析した。マレイン酸ジメチルの二量体であるテトラブチルブタンカルボン酸の収率は4.9mol%、選択率は9.1mol%であった。原料と支持電解質が反応した副生成物は、生成しなかった。
(比較例1)
マイクロリアクターは、作用極と対極を流路に対し平行に設けた以外は、実施例1と同様にして作製した。溝の寸法は、幅900μm、深さ200μm、電極にかかる長さは100mmとし、また両電極の幅は300μm、電極間距離は300μmとし、電極部分の部分断面概略図と部分平面概略図をそれぞれ図6と図7に示した。
実施例1と同様の条件で、電気化学反応を実施した。この時の電圧は、6.5Vであった。マレイン酸ジメチルの二量体であるテトラブチルブタンカルボン酸の収率は、0.5mol%、選択率は2.5mol%であった。原料と支持電解質が反応した副生成物の収率は、50%であった。
本発明の一実施形態に係るマイクロリアクターの概略平面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクターの概略平面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクターの概略平面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクターの部分断面概略図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクターの部分平面概略図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクターの部分断面概略図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクターの部分平面概略図である。

Claims (6)

  1. 作用極と対極の一対以上の電極を壁面に具えた流路があり、作用極と対極が送液方向に対し順次配置されていることを特徴とするマイクロリアクター。
  2. 作用極と対極の間隔の少なくとも一部が、1000μm以下であることを特徴とする請求項1記載のマイクロリアクター。
  3. 上記の作用極と対極が、平面内で間隙を隔ててお互いに噛み合った櫛形電極であることを特徴とする請求項1または2記載のマイクロリアクター。
  4. 温度制御機器を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロリアクター。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロリアクターを用いて、電気化学反応を実施することによる化学物質の製造方法。
  6. 電気化学反応が、還元二量化反応であることを特徴とする、請求項5記載の化学物質の製造方法。
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