JP4180849B2 - 蛋白質検出デバイスおよび蛋白質検出方法 - Google Patents

蛋白質検出デバイスおよび蛋白質検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛋白質を検出および定量するためのデバイスに関し、より詳しく言えば、標識付加処理する必要なく、蛋白質を検出および定量可能なデバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
1990年代に入って進められてきたヒトゲノム計画は、各国が分担してヒトの遺伝暗号をすべて解読しようとする試みであり、2000年夏にドラフト版が完成したことが公表された。今後、機能ゲノム科学や構造ゲノム科学の進展によって、解読されたヒトゲノム配列情報の各々の箇所がどのような機能に係わっているかが明らかにされていくものと予想される。
【0003】
このヒトゲノム計画は、ライフサイエンスに係わりを持つ科学技術並びに産業に対して、大きなパラダイムの変化をもたらした。たとえば糖尿病は、血糖値が高くなるという病状に基づいて分類が行われ、発症の原因としては患者の体内でインシュリン産成能がどの程度あるかに基づいてI型、II型のような分類が行われてきた。
【0004】
一方、ヒトゲノム計画によれば、血糖とインシュリンとの検出、合成、分解などの調節に係わっている酵素やレセプターなどの蛋白質のアミノ酸配列構造、ならびにそのような蛋白質の存在量の制御に係わっている遺伝子のDNA配列の情報がすべて我々に提示される。
【0005】
このような情報を使うと、血糖値の調節が正常に行われないという現象としての糖尿病は、検出、合成、分解などの一連の処理に係わるそれぞれの蛋白質のどれが不調なのかによって、サブタイプに分類でき、それによって適切な診断と治療とを行うことが可能になるはずである。
【0006】
特に、ヒトゲノム配列に基づいて特定の蛋白質に対するゲノム創薬薬剤の開発が製薬業界では今後のビジネスチャンスとして精力的に進められており、一連の機能的に関わり合いのある蛋白質の状態を把握してゲノム創薬薬剤を投与し、症状の緩和や治癒を行う時代がくるものと予想される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような一連の機能的に関わり合いのある蛋白質の存在量を簡便に測定できる技術は、プロテオーム解析技術としてなお発展途上にある。
【0008】
現在確立された方法として、二次元電気泳動と質量分析機との組み合わせで測定が行われているが、これには比較的大がかりな装置が必要となり、臨床の現場、たとえば病院の検査室やベッドサイドで患者の症状を把握するためには、より簡便なあらたな技術の開発が必要とされている。
【0009】
いわゆるDNAチップは、測定対象である試料中のDNAをあらかじめPCR反応(po1ymerase chain reaction)によって増幅(増量)する際に蛍光色素団を導入し、チップにアレイ状に配した相補DNA鎖と結合した試料中のDNA量を蛍光強度によって定量しようとするものである。
【0010】
これに対し、蛋白質はDNAの場合のPCR反応に相当する増幅を行うことができない。また、試料中に多種類の蛋白質が混合された状態で存在する場合に、蛍光標識を一様に導入することは個々の蛋白質と色素との反応性が異なるために用いることができないという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、簡便な蛋白質の検出および定量のためのデバイスを提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、蛋白質に対して特異的に結合する性質を持たせた結合部と、
ヌクレオチド体鎖と蛍光色素団とを含んで構成される、蛋白質が結合部に結合したことを検出するための感応部と、
当該感応部を固定する第1の電極と、
第2の電極と、
当該第1の電極と当該第2の電極とを含んで構成された、感応部のコンフォメーションを変化させるための調節部と、
当該感応部による発光または消光を検出するための検出部と
を含む蛋白質検出デバイスが提供される。
【0014】
第1の電極と第2の電極との間に、電位差が一定または時間的に変動する電場を与えることができることが好ましい。
【0015】
本発明の他の一態様によれば、蛋白質に対して特異的に結合する性質を持たせた結合部およびヌクレオチド体鎖と蛍光色素団とを含んで構成される、蛋白質が結合部に結合したことを検出するための感応部を有する蛋白質検出体を第1の電極上に配置し、
当該電極を蛋白質を含有する試料液中に浸漬し、
第1の電極と当該試料液に挿入された第2の電極との間に電位差が一定または時間的に変動する電場を与え、
当該感応部による発光または消光を検出する
蛋白質の検出方法が提供される。
【0016】
上記のデバイスや検出方法において、調節部が、さらに基準電極を含むこと、ヌクレオチド体として天然のヌクレオチド体および/または人工のヌクレオチド体を使用すること、なかんずく天然および/または人工の1本鎖ヌクレオチド体を使用することが好ましい。
【0017】
さらに、初期状態におかれたヌクレオチド体鎖が、電場の付与あるいは消失によって蛍光を発光しまたは消光する際の発光状態の変化または消光状態の変化によって、結合部に対する蛋白質の結合の有無および/または結合した蛋白質の種類および/または結合した蛋白質量を検出することが好ましい。
【0018】
結合部は、測定対象である蛋白質に対し特異的に結合する抗体、当該抗体を蛋白質分解酵素で限定分解して得られる産物、測定対象である蛋白質に対して親和性を有する有機化合物および測定対象である蛋白質に対して親和性を有する生体高分子からなる群の少なくともいずれか一つから構成されていることがこのましい。
【0019】
なお、本発明において「ヌクレオチド体」とはモノヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドよりなる群のいずれか一つまたはその混合物を意味する。
【0020】
以下に説明する発明の実施の形態や図面の中で、本発明の更なる特徴が明らかにされる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図,実施例等を使用して説明する。なお、これらの図,実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。なお、以下の図において、同一の要素については同一の符号を付す場合がある。これらの図において、本発明に係る要素は、必ずしも同一の縮尺によるものではなく、本発明の理解を助けるため、大幅にデフォルメしてある場合がある。
【0022】
本発明によって実現される蛋白質検出デバイスは、いわゆるプロテインチップに該当する。たとえば糖尿病において肝細胞がインシュリンの受容状態に応じて細胞内グリコーゲン代謝を切り換える場合などに、インシュリン受容体からグリコーゲン分解酵素に至る一連の蛋白質相互作用ネットワークの一部が低下または昂進していることを捉えようとするものである。
【0023】
本発明を利用することによって、リン酸化や糖鎖付加などのいわゆる翻訳後修飾も含めて、蛋白質のポピュレーションを捉えることが可能になる。また、本発明により、従来のように症状として現れた現象を大括りにして糖尿病と捉えるのではなく、たとえば、相互作用ネットワークに係わるある特定の蛋白質の機能低下が糖代謝の不全を起こしていることを把握できるようになり、機能不全の原因に対応した、適切な診断と治療ならびに治療結果の検証が可能になる。
【0024】
もちろん同様の手法は、糖尿病に限らず、高血圧症、高脂血症、癌(細胞増殖制御不全)その他の多因子性疾患全般に対しても適用が可能である。
【0025】
本発明は、測定対象とする蛋白質に親和性を有する抗体、その誘導体等をたとえばアレイ状に配置し、対象蛋白質が結合することによって生じるシグナルとアレイの位置との対応関係等に基づいて、試料中における複数の蛋白質の有無、存在した場合におけるその種類および/または量(ポピュレーション)を捉えるものである。
【0026】
1本鎖ヌクレオチド体の一端を電極上に固定して水溶液に浸漬し、水溶液中に配した電極との間にたとえば直流電場を与えると、1本鎖ヌクレオチド体鎖が伸長し、電場を切ると自発的に凝集収縮する現象が実験的に観測された。本発明は、1本鎖ヌクレオチド体に代表されるヌクレオチド体のこのような性質を利用する。
【0027】
すなわち、本発明に係る上記蛋白質検出デバイスの各部分の機能は下記の通りである。
【0028】
第1の電極は、通常適当な形状の電極支持部上に設置され、感応部を固定する役割と、感応部の空間形状であるコンフォメーションを変化させるための調節部の一部としての役割とを有する。感応部は、通常、そのヌクレオチド体の一端で第1の電極に固定される。
【0029】
固定は、チオエーテル基やチオール基を導入したヌクレオチド体を合成し、ポリッシュした電極表面と接触させる方法等、公知の方法を採用することができる。チオエーテル基やチオール基とヌクレオチド体との間にたとえば−(CH23−や−(CH26−といったリンカーと呼ばれる結合を挿入してもよい。電極上に固定できる感応部の数はこのリンカーの種類や結合の長さによって影響を受けることが多い。一般的にはCH2単位の数が減ると電極上に固定できる感応部の数は減少する傾向にある。
【0030】
また固定は、カーボンナノチューブあるいはカーボンナノファイバーと呼ばれる材料を使って行うこともできる。カーボンナノチューブあるいはカーボンナノファイバーは、第1の電極上に触媒(たとえばNiなど)を配置し、熱化学的気相法(CVD)あるいはプラズマCVDで電極表面から垂直方向に成長させて形成することができる。形成したカーボンナノチューブあるいはカーボンナノファイバーの先端の五員環部分は、容易に化学修飾することができ、この特性を利用してカーボンナノチューブあるいはカーボンナノファイバーの先端に所定のヌクレオチド体を接合することができる。カーボンナノチューブあるいはカーボンナノファイバーは固い材料なので、このような材料を介して電極に結合したヌクレオチド体はより強固に固定されることになり、たとえば粘性の高い試料液を使用する場合などに有利である。
【0031】
この電極の形状、サイズ、数および配置はどのようなものでもよく、目的に応じて自由に決めることができる。複数の蛋白質に対し同時検出を行いたいときは、たとえば電極上をスペーサーで複数に区分したり、円形の電極を電極支持部上に区分して配置することができる。ただし、このような場合には、各区分から蛍光の発光や消光の信号を区別して検出する機能を付与することが必要となる。
【0032】
図7は、複数の円形の電極6を電極支持部2上に区分して配置したモデル図である。この場合には、端子8が電極支持部2の周辺部に配置され、対応する電極6と端子8とがリード線17により、電気的に接続されている。電極6はフォトリソグラフィの手法を用いて作製することができる。電極6の直径としては1nm〜1cm程度にすることができる。ただし、それより大きい場合や小さい場合もあり得る。図7では、下半分の電極は描画を省略してある。なお、電極6は電気的に必ずしも独立している必要がない場合もあり得る。
【0033】
電極支持部は、その上に設置される各電極を互いに絶縁状態にできるものであればどのようなものでもよい。ガラス、セラミックス、プラスチック、金属等が考えられる。導電性物質の場合は、その上に絶縁膜を配置し、その上に電極を配置する方法が考えられる。たとえば、Siの場合にはSiO2の絶縁膜を配置する等である。
【0034】
第1の電極の材質としては、導電性の物質である限り、単金属、合金、それらの積層体等どのようなものでもよい。Auに代表される貴金属は化学的に安定であり、好ましく使用できる。
【0035】
結合部は、測定対象である蛋白質に対し特異的に結合する抗体、当該抗体を蛋白質分解酵素で限定分解して得られる産物、測定対象である蛋白質に対して親和性を有する有機化合物および測定対象である蛋白質に対して親和性を有する生体高分子等からなる群の少なくともいずれか一つから構成することができ、蛋白質に対して特異的に結合する性質を持つ。電極毎に異なる物質を使用してもよい。蛋白質との結合の種類および結合箇所については特に制限はないが、結合力が特に弱い結合は避けた方がよいであろう。ここで、上記「産物」とは、抗体を蛋白質分解酵素で限定分解して得られるものであり、本発明の趣旨に合致する限り、抗体のFabフラグメントや抗体のFabフラグメントに由来する断片、さらにはその誘導体等どのようなものを含めることもできる。
【0036】
抗体としては、たとえば、モノクローナルな免疫グロブリンIgG抗体を使用することができる。また、IgG抗体に由来する断片として、たとえばIgG抗体のFabフラグメントを使用することもできる。更に、そのようなFabフラグメントに由来する断片などを使用することもできる。測定対象蛋白質に対して親和性を有する有機化合物として使用可能な例を挙げると、アデノシン−5’−O−(3−チオトリフォスフェート)(別名ATP−γ−S)等の酵素基質アナログや酵素活性阻害剤、神経伝達阻害剤(アンタゴニスト)などがある。測定対象蛋白質に対して親和性を有する生体高分子の例としては、当該蛋白質の基質または触媒となる蛋白質、分子複合体を構成する要素蛋白質同士等を挙げることができる。
【0037】
結合部として、モノクローナル抗体や蛋白質分解酵素で限定分解して得られる産物を使用すると、抗原抗体反応に類する反応によって生じる結合を利用できるので有用である。
【0038】
結合部として、モノクローナル抗体、モノクローナル抗体のFabフラグメント、もしくはモノクローナル抗体のFabフラグメントに由来する断片を使用することが好ましい。なお、モノクローナル抗体のFabフラグメントに由来する断片とは、モノクローナル抗体のFabフラグメントを細分化した断片やその誘導体を意味する。
【0039】
さらに、結合部として、IgG抗体、抗体のFabフラグメント、IgG抗体もしくはIgG抗体Fabフラグメントに由来する断片を使用することがより好ましい。なお、IgG抗体Fabフラグメントに由来する断片とは、IgG抗体Fabフラグメントを細分化した断片やその誘導体を意味する。結合部がヌクレオチドアプタマーであることも好ましい。
【0040】
一般的に分子量の小さいものの方が検出感度がよいのがこれらが好まれる理由である。
【0041】
結合部は、感応部を構成するヌクレオチド体鎖と結合している。ヌクレオチド体鎖との結合の種類および結合箇所については特に制限はないが、結合力が特に弱い結合は避けた方がよいであろう。また、結合箇所については、一般的にはポリヌクレチドの伸張が大きい方が好ましいので、電極に固定された末端とは異なる末端側やその近傍が好ましいことが多い。結合部を構成する上記の如き物質が感応部を構成するヌクレオチド体鎖に直接連結して固定することができない場合には、そのために有効な連結部分を介在させることで固定するようにしてもよい。
【0042】
感応部は、ヌクレオチド体鎖と蛍光色素団とを含み、調節部の働きにより、そのコンフォメーションを変化させ、これに付随して蛍光色素団を発光させまたは消光させ、蛋白質が結合部に結合したことを検出できるようにする。具体的には、たとえば直流電場を与えて、ヌクレオチド体鎖を伸長させ、電場を切って、凝集収縮させる。この変化がコンフォメーションの変化である。なお、感応部の本質は、蛋白質が結合部に結合したことを検出することにある。従って、蛋白質が結合部に結合したことを検出できれば、上記のようにヌクレオチド体鎖や蛍光色素団を含まない場合も、感応部足り得る。
【0043】
この目的のためのヌクレオチド体としては、天然のヌクレオチド体や人工のヌクレオチド体を使用することができる。人工のヌクレオチド体には、完全に人工のものも、天然のヌクレオチド体から誘導されるものも含まれる。人工のヌクレオチド体を使用すれば、検出の感度を上げたり、安定性を向上させたりすることができるため有利な場合がある。
【0044】
また、1本鎖ヌクレオチド体でも、互いに相補的な関係にある1本鎖ヌクレオチド体の対である2本鎖ヌクレオチド体でもよい。なお、伸長や収縮のし易さからすると、1本鎖ヌクレオチド体が好ましい場合が多い。電極毎に異なるヌクレオチド体を使用することもできる。ヌクレオチド体鎖の長さは1残基以上あればよい。すなわち、モノヌクレオチド鎖でもよい。
【0045】
蛍光色素団は、ヌクレオチド体鎖に共有結合により付加されていてもよく、あるいは、隣接する相補的結合の間に挿入(インタカレーション)されている例のようにヌクレオチド体鎖中に含有されていてもよく、あるいはヌクレオチド体鎖の一部に置換により組み込まれていてもよい。蛍光色素団は、ヌクレオチド体鎖の結合部側の先端の近傍に存在するようにされるのが好ましい。
【0046】
蛍光色素団は、光の作用で励起されて蛍光を発生する物質から選ばれる。本発明で蛍光色素団として好適に使用できるものの例を挙げると、フルオレセインマレイミドCy3(商標)などである。
【0047】
調節部は、感応部のコンフォメーションを変化させる役割を有し、上記第1の電極と試料液に挿入される第2の電極とを含んで構成される。
【0048】
本発明に使用する試料液としては、蛋白質を含んだ水溶液が適当であり、pHを調整した緩衝液として使用されることが多い。
【0049】
第1の電極と第2の電極との間に、一定電位差を有する電場または時間的に値が変化する電位差を有する電場を与えることができることが好ましい。また、第1の電極,第2の電極の他に、電位差の変動を補償するための基準電極を設けると検出される信号が安定して好ましい。
【0050】
一定電位差を有する電場は直流を使用することによって得ることができる。時間的に値が変化する電位差は、たとえば直流成分と、交流成分と、電位差が存在する時と存在しないときとの組み合わせである場合や電位差が段階的に変化する場合であるパルス電流成分とを任意に組み合わせ、また変調することにより、得ることができる。この場合の交流成分は、周期が1秒以上のかなり低周波数のものとなる場合もある。なお、第2の電極および基準電極の材質としては、安定した検出結果が得られる限りどのようなものを使用してもよい。
【0051】
検出部は蛋白質が結合部に結合したことを検出する。これは、感応部による発光または消光を検出することによる。検出部としては、蛍光を検出でき、本発明の趣旨に反しない限り、公知のどのような検出装置を使用することもできる。
【0052】
本発明に係る蛋白質検出デバイスと発光と消光の機構とを図1,2を使用して説明する。図1は、本発明に係る蛋白質検出デバイスの一例の横断面図を表す。
【0053】
図1において、台1の上に置かれた電極支持部2と壁部3とからなり、その間をOリング4でシールした容器中に試料7が入れられ、蓋5で覆われている。電極支持部2上には電極6が設けられており、容器外にある端子8を介して電極9と接続されている。電極6が上記第1の電極に、電極9が上記第2の電極に相当する。電極6は複数設置することができる。調節部は電極6と電極9とを含んで構成される。その構成は、本発明の趣旨に合致する限り、公知のどのようなものでもよい。
【0054】
このような構成の蛋白質検出デバイスを使用して、感応部による発光または消光を検出する。なお、結合部と感応部とは図示されていない。
【0055】
たとえばレーザ発振器11を使用した励起光源10が用意される。蛋白質検出デバイスの検出端12の測定ユニット13は、好ましくは測定データを処理するためのデータ処理装置14につながれ、この処理装置14には、測定結果表示装置15や、電極のアレイ配置や検出ユニットの校正値などを記憶した記憶装置16が付属する。
【0056】
図2は、図1における、電極6上で、ヌクレオチド体鎖が、電場の付与によって蛍光が発光し、あるいは電場の消失によって蛍光が消光する様子を示すモデル図である。
【0057】
図2の左側には、蛋白質24に対して特異的に結合する性質を持たせた結合部23およびヌクレオチド体鎖21と蛍光色素団22とより構成された、蛋白質が結合部に結合したことを検出するための感応部26よりなる蛋白質検出体27が電極6上に立った状態で示されている。このように立った状態になるのは、系に電場を与えることにより、ヌクレオチド体鎖21と電極6との間に電気的斥力(クーロン力)が作用し、ヌクレオチド体鎖21が伸張したためである。
【0058】
このように伸張すると、蛍光色素団22が電極6の電気的影響を受けなくなり、または受けることが少なくなり、発光28を与えるようにすることができる。
【0059】
一方、図2の右側には、結合部23およびヌクレオチド体鎖21と蛍光色素団22とより構成される感応部26よりなる蛋白質検出体27が電極6上近傍にある状態を示している。このような状態になるのは、系から電場を取り去る際に、ヌクレオチド体鎖21がエネルギー的に安定な構造を取ることにより凝集収縮したためである。なお、積極的にこれまでとは逆の電場を与え、ヌクレオチド体鎖21と電極6との間に電気的引力(クーロン力)を作用させ、ヌクレオチド体鎖21を凝集収縮させることもできる。1本鎖ヌクレオチド体の場合は分子の屈曲性が大きく、積極的に逆の電場を与えなくても十分である場合が多いが、2本鎖ヌクレオチド体の場合は分子の剛直性が増し、電場がない場合には立った状態に近くなるので、積極的に逆の電場を与えた方がよい場合が多い。
【0060】
このように凝集収縮すると、蛍光色素団22が電極6の電気的影響を受け、消光するようにすることができる。なお、この目的のためには、必ずしも蛋白質検出体27が電極6上に接触する必要はなく、電極6上の近傍に近づけば十分である場合もある。
【0061】
さらに、図2に示すように電極6の表面に消光剤25を結合させておけば、消光の速度や効率を変更することもできる。消光剤は、使用する蛍光色素団に対して効果的な消光を起こすものから選ばれる。たとえば蛍光色素団としてフルオレセインマレイミド、Cy3(商標)を使用する場合には、消光剤としてD−ダミンBスルホニルクロリド等の消光色素団を使用することができる。より好ましくは、蛍光エネルギー移動(FRET=F1uorescence resonance energy transfer)効果の生じる蛍光色団と消光色素団との組み合わせがよい。
【0062】
なお、発光原子団を励起する照射光29を発する励起光源10としては、たとえば、可視光線、紫外線ランプ等の一般に利用可能なものを使用することができる。
【0063】
この発光や消光は、発光28を検出する検出端12によって検出される。なお本明細書では、上記のように伸張および凝集収縮挙動を示す場合について主に説明してあるが、これとは逆に、ヌクレオチド体鎖21が伸張したときに消光し、凝集収縮したときに発光するようにすることもでき、本発明の範疇に属する。この場合、消光剤は使用しない。発光を促進する発光助剤を使用することができる。
【0064】
一方、電場の付与あるいは消失とヌクレオチド体鎖の伸張/凝集収縮挙動との関係を見ると、電場を付与したときには、電場の方向によって、ヌクレオチド体鎖の伸張または凝集収縮が起こり得る。これに対し、電場を消失させたときには、ヌクレオチド体鎖の凝集収縮が起こり得る。
【0065】
従って、以上のことから、電場の付与または消失と、蛍光の発光または消光との関係は、電場を付与した場合に発光する場合と、電場を付与した場合に消光する場合と、電場を消失させた場合に発光する場合と、電場を消失させた場合に消光する場合との各種の組み合わせが可能である。本発明において、「初期状態におかれたヌクレオチド体鎖が、電場の付与あるいは消失によって蛍光を発光しまたは消光する」とは、上記の全ての状態を含むものである。
【0066】
このようなデバイスを使用すると、初期状態におかれたヌクレオチド体鎖が、電場の付与あるいは消失によって蛍光を発光しまたは消光する際の発光状態の変化または消光状態の変化によって、結合部に対する蛋白質の結合の有無および/または結合した蛋白質の種類および/または結合した蛋白質量を検出することができる。
【0067】
図2は、右側、左側とも、蛋白質24が結合部23と結合した様子を示している。このように蛋白質24が結合部23と結合すると、結合していない場合に比べ、ヌクレオチド体鎖21の伸張および凝集収縮に、より長い時間を要するようになる。従って、発光と消光との変化に、より長い時間を要するようになる。ここで、本発明において、電場の付与前の初期状態とは、電場が付与されていない状態または電位差が逆方向の電場が付与された状態を意味し、電場の消失前の初期状態とは、電場が付与されている状態を意味する。
【0068】
従ってまず、電場の付与あるいは消失によって、蛍光を発光しまたは消光する際の発光状態の変化または消光状態の変化があることによって、結合部に対する蛋白質の結合の存在を検出できる。そして、使用した結合部がどのような蛋白質と結合するかということが判明しておれば、その蛋白質の種類を知ることが可能となる。本発明に係る結合部は蛋白質に対して特異的に結合する性質を有するため、このような検出は容易に行うことができる。
【0069】
ついで、その発光状態の変化または消光状態の変化によって、結合部に結合した蛋白質量を検出することができる。
【0070】
具体的には、たとえば蛍光を発光しまたは消光する際の発光強度および/または発光強度の変化率によって検出することができる。
【0071】
また、時間的に値が変化する電位差を有する電場を与えた場合の蛍光発光のピーク強度およびその変化あるいは変化率によって検出することができる。
【0072】
図3は蛋白質が結合していない場合の発光強度の時間的変化を示す図であり、図4は蛋白質が結合している場合の発光強度の時間的変化を示す図である。横軸は電場を与え始めてからの時間を表す。縦軸は発光強度を表す、その単位は任意に定めることができるが、図3,4で共通の単位とした。
【0073】
図3,4では、発光状態の変化の具体例として蛍光発光のピーク値を示す点Xの発光強度の半分の値を示す点Yまでに要する時間を挙げてある。図4を図3と比較すると、図4の方が時間が長くなっていることが理解される。なお、図4では点Yから点Xに至るまでの時間は図3に較べ短くなっているが、これはピーク値が大幅に小さくなったためであり、同程度の発光強度に達するまでの時間でみれば図4の方が長い。
【0074】
時間が長くなる理由は、第一に蛋白質の種類、サイズ、荷電状態等に関係するものと思われる。たとえば大きなサイズの蛋白質の場合は、その質量効果や形状効果により、ヌクレオチド体の伸張に時間が掛かるようになるものと思われる。
【0075】
さらに、この時間は結合部に結合した蛋白質量にも依存する。これは、蛋白質が結合部と結合することにより、電極上にある蛋白質検出体が込み合い、ヌクレオチド体の伸張が阻害されるため等の理由によるものと考えられる。
【0076】
蛍光発光を起こす際の発光強度としては、点Xにおける発光強度(ピーク値)、発光強度の変化率としては、発光開始から点Yに至るまでの発光変化速度の平均値や点Yから点Xに至るまでの発光変化速度の平均値等を挙げることができる。
【0077】
図4を図3と比較すると、ピーク値や発光開始から点Yに至るまでの発光変化速度の平均値や点Yから点Xに至るまでの発光変化速度の平均値は明らかに図4の方が小さくなっている。これは、蛋白質が結合部と結合することにより、移動の際に溶媒に対する抵抗が大きくなり、ヌクレオチド体が伸張し難くいためと考えられる。
【0078】
図3,4のような結果は、第1の電極と第2の電極との間に一定電位差を有する電場または時間的に値が変化する電位差を有する電場を与えることによって得ることができる。
【0079】
交流等の時間的に値が変化する電位差を有する電場を与える場合には、時間とともに電位差が変動し、あるいは電場の方向が変化するため、発光は、増減を繰り返すことになる。
【0080】
図5は、パルス波形の電圧を印加したときに蛋白質が結合していない場合の発光強度の時間的変化を示す図であり、図6は、パルス波形の電圧を印加したときに蛋白質が結合している場合の発光強度の時間的変化を示す図である。
【0081】
図5,6において、横軸はある電場を与えた時の経時を表す。右側の縦軸は第1の電極と第2の電極との間の電位差を表す。与えられた電位差51は矩形波状である。左側の縦軸は発光強度を表す。発光強度の単位は任意に定めたものであるが、図5,6で共通の単位とした。発光強度の変化52は鋸歯状である。
【0082】
図5,6より、同一の電位差の波形を与えても、蛋白質が結合している場合にはピーク値が小さくなり、また、同一の電位差の波形を維持していても、たとえばZで示す領域のように、時間とともにピーク値の減少差が生じることが理解される。
【0083】
一般論として言えば、電位差が時間的に変動する電場を与えた場合には、ピーク強度および/またはその変化率が、蛋白質の結合の有無によって変化する。また、結合した蛋白質の種類や量によっても変化する。なお、電位差が時間的に変動する電場は、交流成分やパルス電流成分を任意に組み合わせ、また変調することにより、得ることができる。
【0084】
したがって、このような変化を利用して、結合部に対する蛋白質の結合の有無および/または結合した蛋白質の種類および/または結合した蛋白質量を検出することが可能である。
【0085】
なお、図5,6の発光の増大部分を拡大したものは、図3,4の図に相当する曲線を与える。
【0086】
このようにして、本発明によれば、蛋白質の有無およびその種類と量とを簡便に検出し、決定することができる。しかも、本発明では、蛋白質に標識付加処理する必要もない。
【0087】
【実施例】
次に本発明の実施例および比較例を詳述する。
【0088】
[実施例1]
図1,2に示すデバイスを使用した。
【0089】
天然の1本鎖オリゴヌクレオチドと人工の1本鎖オリゴヌクレオチドとを使用して、3’末端にスペーサーを介してチオール基を導入した一本鎖オリゴヌクレオチドを合成し、ポリッシュした金電極と室温で24時間反応させて、図1に示すように、サファイア上に設けた金電極に、天然の1本鎖オリゴヌクレオチドと人工の1本鎖オリゴヌクレオチドとを結合した。なお、蛍光色素団は予め一本鎖オリゴヌクレオチドに導入しておいた。チオール基と蛍光色素団とは、一本鎖の末端に導入してもよく、また鎖の5’末端に導入してもよい。
【0090】
オリゴヌクレオチド鎖は1mmの円形状のAu電極上に固定した。本実施例においては消光剤は使用しなかった。
【0091】
さらに、オリゴヌクレオチド鎖の末端にモノクローナルな免疫グロブリンIgGのFabフラグメントを固定した。このとき、スペーサで隔てられたオリゴヌクレオチドの集団区画毎に、異なる特異性を有するFabフラグメントを固定した。
【0092】
検出対象の蛋白質を含む試料溶液をこのデバイスに触れさせ、検出部と蛋白質とが結合を形成するに充分な時間である10分間、室温においた。
【0093】
以上の処理を終えたオリゴヌクレオチド鎖を形成した電極を水溶液に浸し、第1の電極と第2の電極とからなる二電極法や第1の電極と第2の電極と基準電極とからなる三電極法によりオリゴヌクレオチド鎖に直流または交流を流して電場を与え、紫外線ランプによりオリゴヌクレオチド鎖上の蛍光色素団が励起されて蛍光を発し、蛍光強度が時間的に変動する様子を測定した。三電極法の方が安定した結果を与えた。
【0094】
図3,4,5,6は、この実験の結果得られたものである。
【0095】
第1の電極が負の電位になるように電場を与えた場合、負イオンであるオリゴヌクレオチドはクーロン反発によって伸張するためにオリゴヌクレオチドに結合させてある蛍光色素団が電極から離れる。その結果第1の電極の近傍にあるため消光していた蛍光色素団が発光し始めた。
【0096】
このとき試料溶液中に評価対象である蛋白質が存在すると、Fabフラグメントが蛋白質と結合することによって、1本鎖オリゴヌクレオチドの先端部の質量が増加するため、あるいは形状が大きくなるため、蛍光強度の増加にかかる時間が増加するのが観察された。
【0097】
また、電場が消失した際あるいは第1の電極が負の電位になるように電場を与えた場合には、オリゴヌクレオチド鎖が自発的にあるいはクーロン力により強制的に凝集収縮し、その結果蛍光色素団と電極表面との距離が近接することによって蛍光強度が減少することが観察された。
【0098】
この際、第1の電極が負の電位になるように電場を与えた場合と同様に試料溶液中に評価対象である蛋白質が存在すると、蛍光強度の減少にかかる時間が増加することが観察された。試料中に存在する蛋白質の量に依存して時間増加の程度が変化するので、これを捉えて、試料中の蛋白質の量を定量し、また、どのオリゴヌクレオチド鎖に係るシグナルかによって蛋白質の種類を特定することが可能であった。
【0099】
また、第1の電極が負の電位になるように電場を与えた場合、蛍光強度が上昇するが、オリゴヌクレオチドに蛋白質が結合していないときは、一本鎖オリゴヌクレオチドが十分に伸びるために、電極と蛍光色素団の距離が大きくなって発光強度も強くなる一方、オリゴヌクレオチドに蛋白質が結合している場合は、蛋白質が抵抗となって一本鎖オリゴヌクレオチドは十分伸びきらず、蛍光強度も小さくなることが示された。
【0100】
さらに、図5,6に示すように、同一の電位差の波形を維持していても、たとえばZで示す領域のように、時間とともにピーク値が減少していくことが示された。既述の如く、このような挙動も、試料中の蛋白質の量を定量し、蛋白質の種類を特定するのに役立てることができる。
【0101】
図5,6はパルス波形の電圧の例であるが、正弦波のような交流成分を有している場合にも、発光強度に関するデータから、試料中の蛋白質の量を定量し、蛋白質の種類を特定するのに役立てることができる。
【0102】
試料中に存在する蛋白質の量に依存して蛍光強度の程度が変化するので、これを捉えて、試料中の蛋白質の量を定量し、またどのオリゴヌクレオチド鎖のシグナルかによって蛋白質の種類を特定することが可能であった。
【0103】
なお、蛋白質の検出感度は、結合する蛋白質の分子量(サイズ)に依存して変化するとともに、蛋白質と、たとえばモノクローナルIgG抗体との結合定数によっても変化する。すなわち、たとえば結合定数の異なる複数のモノクローナル抗体をアレイ上に配置することで、広い測定範囲をカバーすることが可能になる。
【0104】
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
【0105】
(付記1) 蛋白質に対して特異的に結合する性質を持たせた結合部と、
蛋白質が結合部に結合したことを検出するための感応部と、
当該感応部を固定する第1の電極と、
第2の電極と、
当該第1の電極と当該第2の電極とを含んで構成された、感応部のコンフォメーションを変化させるための調節部と、
当該感応部による発光または消光を検出するための検出部と
を含む蛋白質検出デバイス。
【0106】
(付記2) 蛋白質に対して特異的に結合する性質を持たせた結合部と、
ヌクレオチド体鎖と蛍光色素団とを含んで構成される、蛋白質が結合部に結合したことを検出するための感応部と、
当該感応部を固定する第1の電極と、
第2の電極と、
当該第1の電極と当該第2の電極とを含んで構成された、感応部のコンフォメーションを変化させるための調節部と、
当該感応部による発光または消光を検出するための検出部と
を含む蛋白質検出デバイス。
【0107】
(付記3) 前記調節部が、さらに基準電極を含む付記1または2に記載の蛋白質検出デバイス。
【0108】
(付記4) 第1の電極と第2の電極との間に、電位差が一定または時間的に変動する電場を与えることができる付記1〜3のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
【0109】
(付記5) 前記ヌクレオチド体として天然のヌクレオチド体および/または人工のヌクレオチド体を使用した付記2〜4のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
【0110】
(付記6) 前記ヌクレオチド体として天然および/または人工の1本鎖ヌクレオチド体を使用した付記2〜4のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
【0111】
(付記7) 初期状態におかれたヌクレオチド体鎖が、電場の付与あるいは消失によって蛍光を発光しまたは消光する際の発光状態の変化または消光状態の変化によって、結合部に対する蛋白質の結合の有無および/または結合した蛋白質の種類および/または結合した蛋白質量を検出する付記4〜6のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
【0112】
(付記8) 初期状態におかれたヌクレオチド体鎖が、電場の付与あるいは消失によって蛍光を発光しまたは消光する際の発光強度および/または発光強度の変化率によって、結合部に対する蛋白質の結合の有無および/または結合した蛋白質の種類および/または結合した蛋白質量を検出することを特徴とする付記4〜7のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
【0113】
(付記9) 電位差が時間的に変動する電場を与えた場合の蛍光発光のピーク強度および/またはその変化率によって、結合部に対する蛋白質の結合の有無および/または結合した蛋白質の種類および/または結合した蛋白質量を検出する付記4〜8のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
【0114】
(付記10) 結合部が、測定対象である蛋白質に対し特異的に結合する抗体、当該抗体を蛋白質分解酵素で限定分解して得られる産物、測定対象である蛋白質に対して親和性を有する有機化合物および測定対象である蛋白質に対して親和性を有する生体高分子からなる群の少なくともいずれか一つから構成されている付記1〜9のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
【0115】
(付記11) 結合部が、モノクローナル抗体、モノクローナル抗体のFabフラグメントおよびモノクローナル抗体のFabフラグメントに由来する断片からなる群の少なくともいずれか一つから構成されている付記1〜9のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
【0116】
(付記12) 結合部が、IgG抗体、IgG抗体Fabフラグメント、IgG抗体Fabフラグメントに由来する断片からなる群の少なくともいずれか一つから構成されている付記1〜9のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
【0117】
(付記13) 結合部がヌクレオチドアプタマーである付記1〜9のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
【0118】
(付記14) 蛋白質に対して特異的に結合する性質を持たせた結合部および蛋白質が結合部に結合したことを検出するための感応部を有する蛋白質検出体を第1の電極上に配置し、
当該電極を蛋白質を含有する試料液中に浸漬し、
第1の電極と当該試料液に挿入された第2の電極との間に電位差が一定または時間的に変動する電場を与え、
当該感応部による発光または消光を検出する
蛋白質の検出方法。
【0119】
(付記15) 蛋白質に対して特異的に結合する性質を持たせた結合部およびヌクレオチド体鎖と蛍光色素団とを含んで構成される、蛋白質が結合部に結合したことを検出するための感応部を有する蛋白質検出体を第1の電極上に配置し、
当該電極を蛋白質を含有する試料液中に浸漬し、
第1の電極と当該試料液に挿入された第2の電極との間に電位差が一定または時間的に変動する電場を与え、
当該感応部による発光または消光を検出する
蛋白質の検出方法。
【0120】
(付記16) さらに基準電極を使用する付記14また15に記載の蛋白質の検出方法。
【0121】
(付記17) 前記ヌクレオチド体として天然のヌクレオチド体および/または人工のヌクレオチド体を使用した付記15または16に記載の蛋白質の検出方法。
【0122】
(付記18) 前記ヌクレオチド体として天然および/または人工の1本鎖ヌクレオチド体を使用した付記15または16に記載の蛋白質の検出方法。
【0123】
(付記19) 初期状態におかれたヌクレオチド体鎖が、電場の付与あるいは消失によって蛍光を発光しまたは消光する際の発光状態の変化または消光状態の変化によって、結合部に対する蛋白質の結合の有無および/または結合した蛋白質の種類および/または結合した蛋白質量を検出する付記15〜18のいずれかに記載の蛋白質の検出方法。
【0124】
(付記20) 初期状態におかれたヌクレオチド体鎖が、電場の付与あるいは消失によって蛍光を発光しまたは消光する際の発光強度および/または発光強度の変化率によって、結合部に対する蛋白質の結合の有無および/または結合した蛋白質の種類および/または結合した蛋白質量を検出することを特徴とする付記15〜18のいずれかに記載の蛋白質の検出方法。
【0125】
(付記21) 電位差が時間的に変動する電場を与えた場合の蛍光発光のピーク強度および/またはその変化率によって、結合部に対する蛋白質の結合の有無および/または結合した蛋白質の種類および/または結合した蛋白質量を検出する付記15〜18のいずれかに記載の蛋白質の検出方法。
【0126】
(付記22) 結合部が測定対象である蛋白質に対し特異的に結合する抗体、当該抗体を蛋白質分解酵素で限定分解して得られる産物、測定対象である蛋白質に対して親和性を有する有機化合物および測定対象である蛋白質に対して親和性を有する生体高分子からなる群の少なくともいずれか一つから構成されている付記14〜21のいずれかに記載の蛋白質の検出方法。
【0127】
(付記23) 結合部が、モノクローナル抗体、モノクローナル抗体のFabフラグメントおよびモノクローナル抗体のFabフラグメントに由来する断片からなる群の少なくともいずれか一つから構成されている付記14〜21のいずれかに記載の蛋白質の検出方法。
【0128】
(付記24) 結合部が、IgG抗体、IgG抗体FabフラグメントおよびIgG抗体Fabフラグメントに由来する断片からなる群の少なくともいずれか一つから構成されている付記14〜21のいずれかに記載の蛋白質の検出方法。
【0129】
(付記25) 結合部がヌクレオチドアプタマーである付記14〜21のいずれかに記載の蛋白質の検出方法。
【0130】
【発明の効果】
蛋白質の有無およびその種類と量とを簡便に検出し、決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蛋白質検出デバイスの一例の横断面図を表す。
【図2】電極上で、蛋白質検出体が、電場の付与あるいは消失によって蛍光を発光し、または消光する様子を示す。
【図3】蛋白質が結合していない場合の発光強度の時間的変化を示す図である。
【図4】蛋白質が結合している場合の発光強度の時間的変化を示す図である。
【図5】パルス波形の電圧を印加したときに蛋白質が結合していない場合の発光強度の時間的変化を示す図である。
【図6】パルス波形の電圧を印加したときに蛋白質が結合している場合の発光強度の時間的変化を示す図である。
【図7】複数の円形の電極を電極支持部上に区分して配置したモデル図である。
【符号の説明】
1 台
2 電極支持部
3 壁部
4 Oリング
5 蓋
6 電極
7 試料
8 端子
9 電極
10 励起光源
11 レーザ発振器
12 検出端
13 測定ユニット
14 データ処理装置
15 測定結果表示装置
16 記憶装置
17 リード線
21 ヌクレオチド体鎖
22 蛍光色素団
23 結合部
24 蛋白質
25 消光剤
26 感応部
27 蛋白質検出体
28 発光
29 照射光
51 矩形波
52 発光強度の変化

Claims (10)

  1. 蛋白質に対して特異的に結合する性質を持たせた結合部と、
    ヌクレオチド体鎖と蛍光色素団とを含んで構成される、蛋白質が結合部に結合したことを検出するための感応部と、
    当該感応部を固定する第1の電極と、
    第2の電極と、
    当該第1の電極と当該第2の電極とを含んで構成された、感応部のコンフォメーションを変化させるための電場を与えるための部分である調節部と、
    当該電場の作用による当該感応部のコンフォメーションの変化により生じる、当該蛍光色素団への当該第1の電極の電気的影響の変化による発光または消光を検出するための検出部と
    を含む蛋白質検出デバイス。
  2. 前記調節部が、さらに基準電極を含む請求項1に記載の蛋白質検出デバイス。
  3. 第1の電極と第2の電極との間に、電位差が一定または時間的に変動する電場を与えることができる請求項1または2に記載の蛋白質検出デバイス。
  4. 前記ヌクレオチド体として天然および/または人工の1本鎖ヌクレオチド体を使用した請求項1〜3のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
  5. 初期状態におかれたヌクレオチド体鎖が、電場の付与あるいは消失によって蛍光を発光しまたは消光する際の発光状態の変化または消光状態の変化によって、結合部に対する蛋白質の結合の有無および/または結合した蛋白質の種類および/または結合した蛋白質量を検出する請求項3または4に記載の蛋白質検出デバイス。
  6. 初期状態におかれたヌクレオチド体鎖が、電場の付与あるいは消失によって蛍光を発光しまたは消光する際の発光強度および/または発光強度の変化率によって、結合部に対する蛋白質の結合の有無および/または結合した蛋白質の種類および/または結合した蛋白質量を検出することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
  7. 電位差が時間的に変動する電場を与えた場合の蛍光発光のピーク強度および/またはその変化率によって、結合部に対する蛋白質の結合の有無および/または結合した蛋白質の種類および/または結合した蛋白質量を検出する請求項3〜6のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
  8. 結合部が、測定対象である蛋白質に対し特異的に結合する抗体、当該抗体を蛋白質分解酵素で限定分解して得られる産物、測定対象である蛋白質に対して親和性を有する有機化合物および測定対象である蛋白質に対して親和性を有する生体高分子からなる群の少なくともいずれか一つから構成されている請求項1〜7のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
  9. 結合部が、IgG抗体、IgG抗体Fabフラグメント、IgG抗体Fabフラグメントに由来する断片からなる群の少なくともいずれか一つから構成されている請求項1〜8のいずれかに記載の蛋白質検出デバイス。
  10. 蛋白質に対して特異的に結合する性質を持たせた結合部およびヌクレオチド体鎖と蛍光色素団とを含んで構成される、蛋白質が結合部に結合したことを検出するための感応部を有する蛋白質検出体を第1の電極上に配置し、
    当該電極を蛋白質を含有する試料液中に浸漬し、
    第1の電極と当該試料液に挿入された第2の電極との間に電位差が一定または時間的に変動する電場を与え、
    当該電場の作用による当該感応部のコンフォメーションの変化により生じる、当該蛍光色素団への当該第1の電極の電気的影響の変化による発光または消光を検出する
    蛋白質の検出方法。
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