JPWO2008108155A1 - 抗シワ物質の評価法及び皮膚の鑑別法 - Google Patents
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Abstract
皮膚の弾力の消失、シワ形成可能性、真皮コラーゲン繊維束の結束不全等の皮膚の状態を、正確かつ簡易に鑑別する方法を提供することを課題とする。また、本発明は、被験物質のシワ改善作用正確かつ簡易に評価する方法を提供する。皮膚の細胞における接着因子の発現量を指標として、皮膚の状態を鑑別する。また、被験物質の存在下での、皮膚の細胞における接着因子の発現量を指標として、該被験物質のシワ改善作用を評価する。
Description
本発明は、抗シワ物質の評価法に関する。又、本発明は、皮膚の鑑別法に関する。
皮膚は紫外線などの光の刺激、季節や気候の変化などの環境変化による物理的刺激、洗浄剤など化学物質による化学的刺激などにより、様々なダメージを受けそのダメージは加齢とともに蓄積される。
皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞、細胞外にある皮膚構造を支持するエラスチン、コラーゲンなどの細胞外マトリックスによって構成されている。加齢に伴い線維芽細胞の増殖が低下し、コラーゲンの産生量が減少する。その結果、皮膚の弾力性や保湿機能は低下し、肌のハリや弾力が減少する。また、加齢に伴いコラーゲン線維は変性、変調し、皮膚の弾力の消失、シワ形成を引き起こすことが報告されている。また、シワや肌荒れ等の皮膚の状態と、真皮コラーゲン線維束の秩序度合いが関係していることも知られている(例えば、特許文献1を参照)。
肌の弾力性を評価する方法としては、例えば、皮膚表面の、外力による圧縮に対する応力変化の特性を指標として、真皮コラーゲン線維束の乱れを鑑別する方法(特許文献2)や角層中の酸化タンパク質を指標として、肌の柔軟性・弾力性を評価する方法(特許文献3)が知られている。
細胞接着因子(以下、「接着因子」ともいう。)とは、細胞接着を担う膜タンパク質(cell adhesion molecule:CAM)である。アドヘレンス・ジャンクションの形成と維持に関与するカドヘリン、細胞−基質間接着に関わるインテグリンが、代表的な接着因子である。また、タイトジャンクションに存在するクローディン、上皮、血管内皮、免疫系、神経などの様々な細胞間認識に関わる免疫グロブリンスーパーファミリー分子、白血球の組織分配に関わるセレクチン、神経シナプスの誘導に関わるニューロリギンなども接着因子として知られている。
これらの接着因子は、細胞の老化に伴い減少し、接着因子の低下は、細胞間、細胞−基質間の結合力の低下をもたらすことが報告されている(非特許文献1)。
これらの接着因子は、細胞の老化に伴い減少し、接着因子の低下は、細胞間、細胞−基質間の結合力の低下をもたらすことが報告されている(非特許文献1)。
一方、インテグリン発現の促進剤としては、ヒバマタ、マコンブ、ヒジキ等が知られている(特許文献4)。また、これらの成分とアクチン−ミオシン系活性化剤を組み合わせた皮膚化粧料が肌のシワ・タルミを改善することが知られている(特許文献5)。
しかしながら、インテグリン等の接着因子の発現量と、皮膚の弾力の消失、シワ形成可能性、真皮コラーゲン繊維束の結束不全との関係については、何ら知られていない。
しかしながら、インテグリン等の接着因子の発現量と、皮膚の弾力の消失、シワ形成可能性、真皮コラーゲン繊維束の結束不全との関係については、何ら知られていない。
本発明は、被験物質のシワ改善作用を正確かつ簡易に評価する方法を提供することを課題とする。また、本発明は、皮膚の弾力の消失、シワ形成可能性、真皮コラーゲン繊維束の結束不全等の皮膚の状態を、正確かつ簡易に鑑別する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、真皮コラーゲン線維束の結束は、皮膚の細胞における接着因子の発現量に影響を受けることを見出した。そして、細胞における接着因子の発現量を指標として、種々の物質についてシワ改善作用を評価できることを見い出し、本発明を完成させた。また、該細胞における接着因子の発現量を指標として、皮膚の状態を鑑別できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)被験物質の存在下での、動物細胞における接着因子の発現量を指標として、該被験物質のシワ改善作用を評価することを含む、抗シワ物質の評価法。
(2)被験物質の存在下及び非存在下での、動物細胞における接着因子の発現量の差の大小を指標として、該被験物質のシワ改善作用を評価することを含む、(1)に記載の抗シワ物質の評価法。
(3)前記接着因子の発現量の差が大きい程、シワ改善作用が大きいと評価することを含む、(1)に記載の抗シワ物質の評価法。
(4)被験物質の存在下での前記接着因子の発現量が、該被験物質の非存在下での前記接着因子の発現量の1.5倍以上である場合に、該被験物質のシワ改善作用が大きいと評価することを含む、(1)に記載の抗シワ物質の評価法。
(5)前記接着因子は、インテグリンである、(1)〜(4)の何れかに記載の抗シワ物質の評価法。
(6)皮膚の細胞における接着因子の発現量を指標として、皮膚の状態を鑑別することを含む、皮膚の鑑別法。
(7)接着因子の発現量が少ないほど、皮膚の状態が悪いと鑑別することを含む、(6)に記載の皮膚の鑑別法。
(8)接着因子の発現量が少ないほど、皮膚の弾力の消失が大きいと鑑別することを含む、(7)に記載の皮膚の状態の鑑別法。
(9)接着因子の発現量が少ないほど、シワ形成可能性が高いと鑑別することを含む、(7)又は(8)に記載の皮膚の状態の鑑別法。
(10)接着因子の発現量が少ないほど、真皮コラーゲン線維束の結束不全が大きいと鑑別することを含む(7)〜(9)の何れかに記載の皮膚の状態の鑑別法。
(11)前記接着因子は、インテグリンである、(6)〜(10)の何れかに記載の皮膚の状態の鑑別法。
(12)(4)に記載の抗シワ物質の評価法によりシワ改善作用が大きいと評価された抗シワ物質を含有する、皮膚外用剤。
(13)(4)に記載の抗シワ物質の評価法によりシワ改善作用を評価し、シワ改善作用が大きいと評価された抗シワ物質を皮膚外用剤に配合することを含む、皮膚外用剤の製造方法。
(2)被験物質の存在下及び非存在下での、動物細胞における接着因子の発現量の差の大小を指標として、該被験物質のシワ改善作用を評価することを含む、(1)に記載の抗シワ物質の評価法。
(3)前記接着因子の発現量の差が大きい程、シワ改善作用が大きいと評価することを含む、(1)に記載の抗シワ物質の評価法。
(4)被験物質の存在下での前記接着因子の発現量が、該被験物質の非存在下での前記接着因子の発現量の1.5倍以上である場合に、該被験物質のシワ改善作用が大きいと評価することを含む、(1)に記載の抗シワ物質の評価法。
(5)前記接着因子は、インテグリンである、(1)〜(4)の何れかに記載の抗シワ物質の評価法。
(6)皮膚の細胞における接着因子の発現量を指標として、皮膚の状態を鑑別することを含む、皮膚の鑑別法。
(7)接着因子の発現量が少ないほど、皮膚の状態が悪いと鑑別することを含む、(6)に記載の皮膚の鑑別法。
(8)接着因子の発現量が少ないほど、皮膚の弾力の消失が大きいと鑑別することを含む、(7)に記載の皮膚の状態の鑑別法。
(9)接着因子の発現量が少ないほど、シワ形成可能性が高いと鑑別することを含む、(7)又は(8)に記載の皮膚の状態の鑑別法。
(10)接着因子の発現量が少ないほど、真皮コラーゲン線維束の結束不全が大きいと鑑別することを含む(7)〜(9)の何れかに記載の皮膚の状態の鑑別法。
(11)前記接着因子は、インテグリンである、(6)〜(10)の何れかに記載の皮膚の状態の鑑別法。
(12)(4)に記載の抗シワ物質の評価法によりシワ改善作用が大きいと評価された抗シワ物質を含有する、皮膚外用剤。
(13)(4)に記載の抗シワ物質の評価法によりシワ改善作用を評価し、シワ改善作用が大きいと評価された抗シワ物質を皮膚外用剤に配合することを含む、皮膚外用剤の製造方法。
本発明の抗シワ物質の評価法は、被験物質の存在下での、皮膚の細胞における接着因子の発現量を指標として、該被験物質のシワ改善作用を評価することを含む。
細胞は、動物由来の細胞であれば特に制限されず、例えば、角層細胞、上皮細胞又は線維芽細胞等の皮膚の細胞を用いることができる。中でも線維芽細胞が好ましい。細胞は、動物の皮膚から採取されたものを培養して用いてもよいが、確立した培養細胞系で市販されているものも存し、かかる市販品を用いることもできる。このような市販品としては、例えば三光純薬株式会社製の「正常ヒト皮膚線維芽細胞(初代培養)」、クラボウ株式会社製の「正常ヒト線維芽細胞」等が好ましく例示できる。培養細胞を用いる場合には、当該細胞における接着因子の発現量を予め調べておき、中から接着因子の発現量が小さい細胞を選択し、これを単離、培養して使用することが、優れた抗シワ物質を選択するという観点から好ましい。細胞の由来は、例えば、マウス、ラット、ラビット、ヒトなどが好ましく挙げられ、動物種差が少ないことから、ヒトが特に好ましい。
細胞は、動物由来の細胞であれば特に制限されず、例えば、角層細胞、上皮細胞又は線維芽細胞等の皮膚の細胞を用いることができる。中でも線維芽細胞が好ましい。細胞は、動物の皮膚から採取されたものを培養して用いてもよいが、確立した培養細胞系で市販されているものも存し、かかる市販品を用いることもできる。このような市販品としては、例えば三光純薬株式会社製の「正常ヒト皮膚線維芽細胞(初代培養)」、クラボウ株式会社製の「正常ヒト線維芽細胞」等が好ましく例示できる。培養細胞を用いる場合には、当該細胞における接着因子の発現量を予め調べておき、中から接着因子の発現量が小さい細胞を選択し、これを単離、培養して使用することが、優れた抗シワ物質を選択するという観点から好ましい。細胞の由来は、例えば、マウス、ラット、ラビット、ヒトなどが好ましく挙げられ、動物種差が少ないことから、ヒトが特に好ましい。
接着因子は、角層細胞、表皮細胞又は線維芽細胞で発現しているものであればよい。接着因子は、細胞間結合を担う接着因子、及び細胞−基質(マトリクス)間結合を担う接着因子の何れであってもよい。また、接着因子が構築する結合はホモ型であってもヘテロ型であってもよく、結合の強度も特に制限されない。
接着因子としては、例えば、クラシックカドヘリン、デスモコリン、デスモグレイン等のカドヘリンスーパーファミリーに属する接着因子(本明細書において、まとめて「カドヘリン」という。)、インテグリンファミリーに属する接着因子(本明細書において、まとめて「インテグリン」という。)、クローディン等が挙げられる。本発明の抗シワ物質の評価法においては、インテグリンが好ましく使用される。インテグリンとは、αサブユニットとβサブユニットのヘテロ二量体糖タンパク質からなる細胞膜貫通型の細胞接着因子の総称であり、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン等の細胞外基質タンパク質が持つ、RGD(Arg−Gly−Asp)配列等の特異的配列を認識して結合し、細胞内ではアクチン等の細胞骨格と結合する。指標としてインテグリンの発現量を用いる場合には、αサブユニット及びβサブユニットの少なくとも一方の発現量を測定すればよい。例えば、真皮コラーゲン繊維束の結束不全、又はシワ形成可能性の鑑別においては、α2タンパク質、α5タンパク質、β1タンパク質が好ましく挙げられる。中でも、コラーゲンレセプターVLA-2を形成するα2タンパク質及びβ1タンパク質が好ましく挙げられる。
接着因子としては、例えば、クラシックカドヘリン、デスモコリン、デスモグレイン等のカドヘリンスーパーファミリーに属する接着因子(本明細書において、まとめて「カドヘリン」という。)、インテグリンファミリーに属する接着因子(本明細書において、まとめて「インテグリン」という。)、クローディン等が挙げられる。本発明の抗シワ物質の評価法においては、インテグリンが好ましく使用される。インテグリンとは、αサブユニットとβサブユニットのヘテロ二量体糖タンパク質からなる細胞膜貫通型の細胞接着因子の総称であり、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン等の細胞外基質タンパク質が持つ、RGD(Arg−Gly−Asp)配列等の特異的配列を認識して結合し、細胞内ではアクチン等の細胞骨格と結合する。指標としてインテグリンの発現量を用いる場合には、αサブユニット及びβサブユニットの少なくとも一方の発現量を測定すればよい。例えば、真皮コラーゲン繊維束の結束不全、又はシワ形成可能性の鑑別においては、α2タンパク質、α5タンパク質、β1タンパク質が好ましく挙げられる。中でも、コラーゲンレセプターVLA-2を形成するα2タンパク質及びβ1タンパク質が好ましく挙げられる。
接着因子の発現量は、一定の条件で細胞を培養した後測定する。培地及び培養条件は、その細胞に通常用いられる条件であればよい。例えば、線維芽細胞の場合には、10%FBS添加DMEM(GIBCO社製)等を培地に用いて、103/cm2〜105/cm2程度で細胞を播種し、被験物質を添加して培養する。被験物質の添加濃度は、段階的に変化させることで被験物質の濃度とシワ改善作用の関係を評価することができる。培養は、細胞数を適当な数に増やすことができ、かつ細胞の接着因子の発現量が安定するまで行うことが好ましい。例えば、3〜5日程度を目安とすればよい。この間、必要に応じて、培地を新鮮なものに交換する。
接着因子の発現量の測定は、例えば、採取された細胞内のRNAを抽出し、RT−PCR法により接着因子をコードする遺伝子の転写量を定量することにより行うことができる。また、接着因子に特異的に結合する抗体を用いて、細胞内外の接着因子の存在量を定量することにより測定することもできる。抗体を使用する場合は、標識化抗体により、直接定量することも出来るし、二次抗体を標識し、該二次抗体により定量することも出来る(サンドウィッチ法)。
このようにして測定した接着因子の発現量を指標として、被験物質のシワ改善作用を評価する。例えば、細胞の培養中、接着因子の発現量の経時変化を測定し、被験物質のシワ改善作用を評価することができる。
また、複数の被験物質間で、被験物質の非存在下および存在下における接着因子の発現量の差について比較することで、被験物質のシワ改善作用を評価することもできる。具体的には、該差が大きい程、シワ改善作用が大きいと評価する。
また、被験物質の存在下での前記接着因子の発現量が、該被験物質の非存在下での前記接着因子の発現量の1.5倍以上である場合に、該被験物質のシワ改善作用が大きいと評価する。特に、被験物質の存在下でのα2タンパク質の発現量が該被験物質の非存在下でのα2タンパク質の発現量の2.0倍以上、好ましくは2.5倍以上であること、被験物質の存在下でのβ1タンパク質の発現量が該被験物質の非存在下でのβ1タンパク質の発現量の1.5倍以上、好ましくは1.8倍以上であることの少なくとも一方を満たす場合に、該被験物質のシワ改善作用が大きいと評価する。このような評価によりシワ改善作用が大きいと評価された被験物質は、抗シワ物質として、皮膚外用剤に好適に含有することができる。このような抗シワ物質としては、例えばファレロールが挙げられる。
また、複数の被験物質間で、被験物質の非存在下および存在下における接着因子の発現量の差について比較することで、被験物質のシワ改善作用を評価することもできる。具体的には、該差が大きい程、シワ改善作用が大きいと評価する。
また、被験物質の存在下での前記接着因子の発現量が、該被験物質の非存在下での前記接着因子の発現量の1.5倍以上である場合に、該被験物質のシワ改善作用が大きいと評価する。特に、被験物質の存在下でのα2タンパク質の発現量が該被験物質の非存在下でのα2タンパク質の発現量の2.0倍以上、好ましくは2.5倍以上であること、被験物質の存在下でのβ1タンパク質の発現量が該被験物質の非存在下でのβ1タンパク質の発現量の1.5倍以上、好ましくは1.8倍以上であることの少なくとも一方を満たす場合に、該被験物質のシワ改善作用が大きいと評価する。このような評価によりシワ改善作用が大きいと評価された被験物質は、抗シワ物質として、皮膚外用剤に好適に含有することができる。このような抗シワ物質としては、例えばファレロールが挙げられる。
本発明の皮膚の鑑別法は、皮膚の細胞における接着因子の発現量を指標として、皮膚の状態を鑑別することを含む。
本発明の皮膚の鑑別法において、皮膚の細胞とは、皮膚から採取された細胞を指す。評価に用いる細胞種は、角層細胞・上皮細胞も使用可能であるが、線維芽細胞を用いる事がもっとも好ましい。
本発明の皮膚の鑑別法において、皮膚の細胞とは、皮膚から採取された細胞を指す。評価に用いる細胞種は、角層細胞・上皮細胞も使用可能であるが、線維芽細胞を用いる事がもっとも好ましい。
角層細胞は、例えば、生体皮膚を粘着テープなどで、多層、例えば6層程度剥離して採取したものを、培養して用いることができる。角層細胞は、ヒトの生体からの採取が容易である。
上皮細胞や線維芽細胞は、バイオプシ等で皮膚組織を採取した後、コラゲナーゼ処理で皮膚組織から細胞を分散させ、分散した細胞を遠心分離で回収し、適切な培養液で培養することにより得ることができる。
接着因子は、上述したとおりである。また、接着因子の発現量の測定は、上述した方法により行うことができる。
上皮細胞や線維芽細胞は、バイオプシ等で皮膚組織を採取した後、コラゲナーゼ処理で皮膚組織から細胞を分散させ、分散した細胞を遠心分離で回収し、適切な培養液で培養することにより得ることができる。
接着因子は、上述したとおりである。また、接着因子の発現量の測定は、上述した方法により行うことができる。
続いて、接着因子の発現量を指標として、皮膚の状態を鑑別する。鑑別法としては、例えば複数の個体間で、接着因子の発現量を比較する方法が挙げられる。具体的には、接着因子の発現量が少ない程、皮膚の状態が悪いと鑑別する。また、接着因子の発現量が少ないほど、皮膚の弾力の消失が大きいと鑑別する。また、接着因子の発現量が少ないほど、シワ形成可能性が高いと鑑別する。また、接着因子の発現量が少ないほど、真皮コラーゲン線維束の結束不全が大きいと鑑別する。
この際、同年齢、同年代の平均的な個体の接着因子の発現量や、若年の個体の接着因子の発現量を陽性対照にしたり、老年の個体の接着因子の発現量を陰性対照として用いること、同個体における紫外線暴露部位及び非暴露部位の接着因子の発現量を比較することにより、鑑別が容易になる。また、鑑別結果を蓄積し、統計処理することにより、ランク付けなどの分類ができ、本発明の皮膚の鑑別法の商業的価値がより向上する。
また、同一個体における接着因子の発現量の経時変化を記録することにより、先の皮膚状態の遷移を予測することも可能である。これは接着因子の変化の方が皮膚状態の変化に先んずるためである。
この際、同年齢、同年代の平均的な個体の接着因子の発現量や、若年の個体の接着因子の発現量を陽性対照にしたり、老年の個体の接着因子の発現量を陰性対照として用いること、同個体における紫外線暴露部位及び非暴露部位の接着因子の発現量を比較することにより、鑑別が容易になる。また、鑑別結果を蓄積し、統計処理することにより、ランク付けなどの分類ができ、本発明の皮膚の鑑別法の商業的価値がより向上する。
また、同一個体における接着因子の発現量の経時変化を記録することにより、先の皮膚状態の遷移を予測することも可能である。これは接着因子の変化の方が皮膚状態の変化に先んずるためである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<siRNAによるノックダウン>
以下に示す手順に従って、正常ヒト線維芽細胞のインテグリン遺伝子(インテグリンα2(ITGA2), インテグリンα5(ITGA5), インテグリンβ1(ITGB1))を、siRNAを用いてノックダウンし、これらのノックダウン株のインテグリンの発現量をRT−PCR法により測定した。
<siRNAによるノックダウン>
以下に示す手順に従って、正常ヒト線維芽細胞のインテグリン遺伝子(インテグリンα2(ITGA2), インテグリンα5(ITGA5), インテグリンβ1(ITGB1))を、siRNAを用いてノックダウンし、これらのノックダウン株のインテグリンの発現量をRT−PCR法により測定した。
<使用細胞および試薬類>
1)細胞及び培地
・正常ヒト線維芽細胞(今回の検討にはPassage=3を用いた)(クラボウ)
・10%FBS+DMEM (GIBCO)
2)siRNA
・20μMsiRNA ITGA2(DHARMACON)
D-004566-02 以下、ITGA2(2)
D-004566-03 以下、ITGA2(3)
D-004566-04 以下、ITGA2(4)
D-004566-05 以下、ITGA2(5)
・20μM siRNA ITGA5(DHARMACON)
D-008003-4 以下、ITGA5(4)
D-008003-5 以下、ITGA5(5)
D-008003-6 以下、ITGA5(6)
D-008003-7 以下、ITGA5(7)
・20μM siRNA ITGB1(DHARMACON)
D-004506-01 以下、ITGB1(1)
D-004506-02 以下、ITGB1(2)
D-004506-03 以下、ITGB1(3)
D-004506-04 以下、ITGB1(4)
3)トランスフェクション試薬
・Lipofectamine2000(Invitrogen、リポフェクション試薬)
・OPTIMEM (Gibco)
4)RNA抽出
・RNeasy Mini Kit (50) (QIAGEN:Cat.No.74104)
・QIA shuredderTM (50) (QIAGEN:Cat.No.79654)
・RNase-Free DNase set (50) (QIAGEN:Cat.No.79254)
5)逆転写反応
・SuperScriptTM III platinum Two-Step qRT-PCR Kit with SYBR Green (Invitrogen:Cat.No.11735-032)
6)リアルタイムPCR
・QuantiTect SYBR Green PCR Kit (QIAGEN:Cat.No.204143)
7)PCRプライマー
・QuantiTect(登録商標) Primer Assays
ACTB (QIAGEN:Cat.No.QT)
ITGA2(QIAGEN:Cat.No.QT00086695)
ITGA5(QIAGEN:Cat.No.QT00080871)
ITGB1(QIAGEN:Cat.No.QT00068124)
1)細胞及び培地
・正常ヒト線維芽細胞(今回の検討にはPassage=3を用いた)(クラボウ)
・10%FBS+DMEM (GIBCO)
2)siRNA
・20μMsiRNA ITGA2(DHARMACON)
D-004566-02 以下、ITGA2(2)
D-004566-03 以下、ITGA2(3)
D-004566-04 以下、ITGA2(4)
D-004566-05 以下、ITGA2(5)
・20μM siRNA ITGA5(DHARMACON)
D-008003-4 以下、ITGA5(4)
D-008003-5 以下、ITGA5(5)
D-008003-6 以下、ITGA5(6)
D-008003-7 以下、ITGA5(7)
・20μM siRNA ITGB1(DHARMACON)
D-004506-01 以下、ITGB1(1)
D-004506-02 以下、ITGB1(2)
D-004506-03 以下、ITGB1(3)
D-004506-04 以下、ITGB1(4)
3)トランスフェクション試薬
・Lipofectamine2000(Invitrogen、リポフェクション試薬)
・OPTIMEM (Gibco)
4)RNA抽出
・RNeasy Mini Kit (50) (QIAGEN:Cat.No.74104)
・QIA shuredderTM (50) (QIAGEN:Cat.No.79654)
・RNase-Free DNase set (50) (QIAGEN:Cat.No.79254)
5)逆転写反応
・SuperScriptTM III platinum Two-Step qRT-PCR Kit with SYBR Green (Invitrogen:Cat.No.11735-032)
6)リアルタイムPCR
・QuantiTect SYBR Green PCR Kit (QIAGEN:Cat.No.204143)
7)PCRプライマー
・QuantiTect(登録商標) Primer Assays
ACTB (QIAGEN:Cat.No.QT)
ITGA2(QIAGEN:Cat.No.QT00086695)
ITGA5(QIAGEN:Cat.No.QT00080871)
ITGB1(QIAGEN:Cat.No.QT00068124)
<プロトコール>
1−1)siRNAの導入
(1) 60〜80 %confluentのNHDFを0.25 % Trypsin / EDTAで剥離して、2.5×104 cells / mlの細胞懸濁液を調製した。
(2) 2 ml / well で12 well plateに(1)の細胞懸濁液を播種する。37℃、5 %CO2で24時間インキュベートした。
(3) 20μMに調製したsiRNA 2μlに対し、Opti-MEM 100μlを添加した(1 well量)。
(4) Lipofectamine 2000 4μlに対し、Opti-MEM 98μlを添加(1 well量)して、5分間室温静置した。
(5) (3)と(4)を混合してsiRNA-Lipofectamin溶液とし、20分間室温静置した。
(6) siRNA-Lipofectamin溶液を静置している間に12 well plateの培地を除去して10 %FBS+DMEMを1ml / wellで添加した。
(7) 各wellにsiRNA-Lipofectamin溶液を204μl / wellで添加して、37℃、5 %CO2で24時間インキュベート。
(siRNA終濃度 40 pM / 1.204ml / well となる。)
(8) トリプシンで細胞を剥離し、細胞溶解液とした。
1−2)TotalRNAの抽出
(1)細胞溶解液をQIA shuredderTM (50)を用いて15000 rpm×2 minでホモジェナイズした。
(2)ホモジェナイズ後70 %エタノール水溶液350 μlを添加し、ピペッティングした後にRNeasy Mini Kit (50)のカラムに添加し、10000 rpm×15 secで遠心分離した。
(3)さらにカラムをBufferRW1 350 μlで洗浄した後、RNase-Free DNase set (50)でDNase処理を行った。
(4)カラムをBufferRW1 350μlで洗浄した後の処理は、RNeasy Mini Kit (50)のプロトコールに従った。
(5)RNase Free H2O 50μlでTotal RNAを回収後、Gene Quant Pro (Amersham Biosciences)で定量した。
1−3)逆転写反応
(1)100 ng/μlに調製したTotal RNAを使用し、以下のように逆転写反応液を作製した。
2xRT Reaction Mix 10 μl
RT Enzyme Mix 2 μl
RNA(100 ng/ μl) 1 μl
DEPC-treated Water to 20 μl
(2)この反応液を以下の条件でThermal Cycler(PERKIN ELMER)を用いて逆転写反応を実施し、cDNAを作製した。
25℃ 10 min
42℃ 50 min
85℃ 5 min
Chilled on ice
37℃ to 20 min
1−4)リアルタイムPCR
前ステップで作製したcDNAを鋳型に用い、PCR反応液を調製した。ポジティブコントロールとしてActin-βプライマーを用いた。7500 Real Time PCR system(Applied Biosystems)によりn=2でリアルタイムPCRを実施した。PCR条件は以下のとおりとする。
Stage1 :95.0℃、15 min
Reps 1
Stage2 :94.0℃ / 0.15 min、55℃ / 0.30 min、72.0℃ / 0.34 min
Reps45
Sample Volume(μl) :20
Run mode :9600 Emulation
Data Collection : Stage2、Stage3
1−1)siRNAの導入
(1) 60〜80 %confluentのNHDFを0.25 % Trypsin / EDTAで剥離して、2.5×104 cells / mlの細胞懸濁液を調製した。
(2) 2 ml / well で12 well plateに(1)の細胞懸濁液を播種する。37℃、5 %CO2で24時間インキュベートした。
(3) 20μMに調製したsiRNA 2μlに対し、Opti-MEM 100μlを添加した(1 well量)。
(4) Lipofectamine 2000 4μlに対し、Opti-MEM 98μlを添加(1 well量)して、5分間室温静置した。
(5) (3)と(4)を混合してsiRNA-Lipofectamin溶液とし、20分間室温静置した。
(6) siRNA-Lipofectamin溶液を静置している間に12 well plateの培地を除去して10 %FBS+DMEMを1ml / wellで添加した。
(7) 各wellにsiRNA-Lipofectamin溶液を204μl / wellで添加して、37℃、5 %CO2で24時間インキュベート。
(siRNA終濃度 40 pM / 1.204ml / well となる。)
(8) トリプシンで細胞を剥離し、細胞溶解液とした。
1−2)TotalRNAの抽出
(1)細胞溶解液をQIA shuredderTM (50)を用いて15000 rpm×2 minでホモジェナイズした。
(2)ホモジェナイズ後70 %エタノール水溶液350 μlを添加し、ピペッティングした後にRNeasy Mini Kit (50)のカラムに添加し、10000 rpm×15 secで遠心分離した。
(3)さらにカラムをBufferRW1 350 μlで洗浄した後、RNase-Free DNase set (50)でDNase処理を行った。
(4)カラムをBufferRW1 350μlで洗浄した後の処理は、RNeasy Mini Kit (50)のプロトコールに従った。
(5)RNase Free H2O 50μlでTotal RNAを回収後、Gene Quant Pro (Amersham Biosciences)で定量した。
1−3)逆転写反応
(1)100 ng/μlに調製したTotal RNAを使用し、以下のように逆転写反応液を作製した。
2xRT Reaction Mix 10 μl
RT Enzyme Mix 2 μl
RNA(100 ng/ μl) 1 μl
DEPC-treated Water to 20 μl
(2)この反応液を以下の条件でThermal Cycler(PERKIN ELMER)を用いて逆転写反応を実施し、cDNAを作製した。
25℃ 10 min
42℃ 50 min
85℃ 5 min
Chilled on ice
37℃ to 20 min
1−4)リアルタイムPCR
前ステップで作製したcDNAを鋳型に用い、PCR反応液を調製した。ポジティブコントロールとしてActin-βプライマーを用いた。7500 Real Time PCR system(Applied Biosystems)によりn=2でリアルタイムPCRを実施した。PCR条件は以下のとおりとする。
Stage1 :95.0℃、15 min
Reps 1
Stage2 :94.0℃ / 0.15 min、55℃ / 0.30 min、72.0℃ / 0.34 min
Reps45
Sample Volume(μl) :20
Run mode :9600 Emulation
Data Collection : Stage2、Stage3
<結果>
全てのノックダウン株において、インテグリンの発現量は抑制されていた。同一のインテグリン遺伝子をターゲットにする各siRNA間では、ノックダウン効率に大差はなかったが、ITGA2においては(2)、ITGA5においては(5)、ITGB1においては(1)を用いたノックダウン株がインテグリンの発現量が最も抑制されていた。リアルタイムPCRによるITGA2(2)(以下、ITGA2)、ITGA5(5)(以下、ITGA5)、ITGB1(1)(以下、ITGB1)の発現量のポジティブコントロールの発現量に対する割合を図1〜3に示す。図から判るように、各ノックダウン株でsiRNAによるインテグリン遺伝子のノックダウンが確認された。これらのノックダウン株を以降の検討に用いた。
全てのノックダウン株において、インテグリンの発現量は抑制されていた。同一のインテグリン遺伝子をターゲットにする各siRNA間では、ノックダウン効率に大差はなかったが、ITGA2においては(2)、ITGA5においては(5)、ITGB1においては(1)を用いたノックダウン株がインテグリンの発現量が最も抑制されていた。リアルタイムPCRによるITGA2(2)(以下、ITGA2)、ITGA5(5)(以下、ITGA5)、ITGB1(1)(以下、ITGB1)の発現量のポジティブコントロールの発現量に対する割合を図1〜3に示す。図から判るように、各ノックダウン株でsiRNAによるインテグリン遺伝子のノックダウンが確認された。これらのノックダウン株を以降の検討に用いた。
<ノックダウン株の細胞形態への影響>
MOCK、ITGA2、ITGA5、ITGB1の各ノックダウン株をコラーゲンゲル上に播種した。細胞播種1時間後、3時間後の細胞形態をSEM観察した。結果を図4〜11に示す。これらより、MOCKは細胞播種1時間後にはコラーゲン線維を引き寄せており、細胞の形態もゲル表面に扁平に接着している(図4)。3時間後にその形態はより顕著に扁平化し、星状に細胞突起を伸長して、この細胞突起を介してより広範囲のコラーゲン線維を引き寄せていることが確認できる(図5)。
一方、ITGA2、ITGA5、ITGB1の各ノックダウン細胞株においては、MOCKに比べて細胞形態は球状であり、コラーゲン線維の引き寄せの度合いもMOCKに比して小さかった。
以上より、インテグリンの発現量が小さくなると、コラーゲン線維束の結束が阻害されることが証明された。
コラーゲン線維束の減少は、シワ形成や皮膚弾力の消失に影響することが知られていることから、インテグリンの発現量を指標として、皮膚の弾力の消失、シワ形成可能性、コラーゲン線維束の結束不全等の皮膚の状態を鑑別できると考えられる。
MOCK、ITGA2、ITGA5、ITGB1の各ノックダウン株をコラーゲンゲル上に播種した。細胞播種1時間後、3時間後の細胞形態をSEM観察した。結果を図4〜11に示す。これらより、MOCKは細胞播種1時間後にはコラーゲン線維を引き寄せており、細胞の形態もゲル表面に扁平に接着している(図4)。3時間後にその形態はより顕著に扁平化し、星状に細胞突起を伸長して、この細胞突起を介してより広範囲のコラーゲン線維を引き寄せていることが確認できる(図5)。
一方、ITGA2、ITGA5、ITGB1の各ノックダウン細胞株においては、MOCKに比べて細胞形態は球状であり、コラーゲン線維の引き寄せの度合いもMOCKに比して小さかった。
以上より、インテグリンの発現量が小さくなると、コラーゲン線維束の結束が阻害されることが証明された。
コラーゲン線維束の減少は、シワ形成や皮膚弾力の消失に影響することが知られていることから、インテグリンの発現量を指標として、皮膚の弾力の消失、シワ形成可能性、コラーゲン線維束の結束不全等の皮膚の状態を鑑別できると考えられる。
<ファレロールのコラーゲン線維束への影響>
ヘパリンには、コラーゲン線維束の結束を阻害する作用が存する。これを利用し、このコラーゲン線維束の結束の阻害を抑制する作用を有する化合物をスクリーニングしたところ、ファレロールにその様な作用が存することを発明者らは見いだしている。下記に示す手順に従って、ファレロールについて、ヘパリンの添加によるコラーゲン線維束の結束の阻害を抑制する作用を確認した。結果を図12、13に示す。これより、ファレロールはヘパリンによるコラーゲン線維束の結束の阻害を抑制することが確認された。
ヘパリンには、コラーゲン線維束の結束を阻害する作用が存する。これを利用し、このコラーゲン線維束の結束の阻害を抑制する作用を有する化合物をスクリーニングしたところ、ファレロールにその様な作用が存することを発明者らは見いだしている。下記に示す手順に従って、ファレロールについて、ヘパリンの添加によるコラーゲン線維束の結束の阻害を抑制する作用を確認した。結果を図12、13に示す。これより、ファレロールはヘパリンによるコラーゲン線維束の結束の阻害を抑制することが確認された。
<プロトコール>
0.5% typeIcollagen:5×DMEM:200mM HEPES:2.2%NaHCO3:0.1N NaOH:FBS:水を4:4:2:2:1:2:3の割合で混合し、コラーゲン溶液を作製する(冷やしながら行う)。
↓
コラーゲン溶液:水=9:1の割合で混合し、下層コラーゲン溶液を作製する。
↓
48穴プレートに下層コラーゲン溶液を100μl/wellづつ分注する。
↓
CO2 インキュベーター内で固める(15min位)。
↓
実施例1と同様にしてNHDF(細胞)を培養し定法に従い回収する。
↓
(細胞をセルストレイナーにてバラバラにする。)
↓
細胞をカウントし(トリパンブルー)、1×105cells/mlに調整する。
↓
コラーゲン溶液:細胞浮遊液=9:1の割合で混合し、300μl/wellづつ分注する。
(細胞が不均一にならないよう、時々混ぜながら作業する。final 1×104cells/ml)
↓
CO2 インキュベーター内で4時間静置。
↓
注射針の針でゲルをwellの内壁から離し、ゲルの収縮を妨げないようにする。
↓
1.8% Heparin/10% FBS-DMEMを500μl/well添加(final 0.1% Heparin/well 又は1% Heparin/well)。コントロールとして、10% FBS-DMEMを500μl/well添加。
↓
ファレロール(DMSOに溶解)を0.9μl/well添加(1000倍希釈, final 10-6% 又は10-7%)。
↓
CO2インキュベーター内にて培養(5日間)。
↓
SEM観察の試料とする。
0.5% typeIcollagen:5×DMEM:200mM HEPES:2.2%NaHCO3:0.1N NaOH:FBS:水を4:4:2:2:1:2:3の割合で混合し、コラーゲン溶液を作製する(冷やしながら行う)。
↓
コラーゲン溶液:水=9:1の割合で混合し、下層コラーゲン溶液を作製する。
↓
48穴プレートに下層コラーゲン溶液を100μl/wellづつ分注する。
↓
CO2 インキュベーター内で固める(15min位)。
↓
実施例1と同様にしてNHDF(細胞)を培養し定法に従い回収する。
↓
(細胞をセルストレイナーにてバラバラにする。)
↓
細胞をカウントし(トリパンブルー)、1×105cells/mlに調整する。
↓
コラーゲン溶液:細胞浮遊液=9:1の割合で混合し、300μl/wellづつ分注する。
(細胞が不均一にならないよう、時々混ぜながら作業する。final 1×104cells/ml)
↓
CO2 インキュベーター内で4時間静置。
↓
注射針の針でゲルをwellの内壁から離し、ゲルの収縮を妨げないようにする。
↓
1.8% Heparin/10% FBS-DMEMを500μl/well添加(final 0.1% Heparin/well 又は1% Heparin/well)。コントロールとして、10% FBS-DMEMを500μl/well添加。
↓
ファレロール(DMSOに溶解)を0.9μl/well添加(1000倍希釈, final 10-6% 又は10-7%)。
↓
CO2インキュベーター内にて培養(5日間)。
↓
SEM観察の試料とする。
<ファレロールのインテグリンの発現量に与える影響>
ファレロール添加および無添加の培養液で5日間培養した正常ヒト線維芽細胞のインテグリン遺伝子および真皮コラーゲンの主要構成成分であるI型コラーゲン遺伝子の発現量をリアルタイムPCRにより評価した。手技は用いたプライマー以外は実施例1の手技に従った。尚、プライマーは、以下のQuantiTect(登録商標) Primer Assaysを用いた。結果を図14〜18に示す。ファレロールの添加により、インテグリン遺伝子の発現量が、1.5倍以上増加していた。詳細には、β1タンパク質遺伝子の発現量が、約1.9倍、α2タンパク質遺伝子の発現量が約2.6倍、α5タンパク質遺伝子の発現量が、約1.7倍増加していた。一方、I型コラーゲン遺伝子の発現量はあまり増加していなかった。
GAPDH (QIAGEN:Cat.No.QT00079247)
COL1A1(QIAGEN:Cat.No.QT00037793)
COL1A2(QIAGEN:Cat.No.QT00072058)
ITGA2(QIAGEN:Cat.No.QT00086695)
ITGA5(QIAGEN:Cat.No.QT00080871)
ITGB1(QIAGEN:Cat.No.QT00068124)
ファレロール添加および無添加の培養液で5日間培養した正常ヒト線維芽細胞のインテグリン遺伝子および真皮コラーゲンの主要構成成分であるI型コラーゲン遺伝子の発現量をリアルタイムPCRにより評価した。手技は用いたプライマー以外は実施例1の手技に従った。尚、プライマーは、以下のQuantiTect(登録商標) Primer Assaysを用いた。結果を図14〜18に示す。ファレロールの添加により、インテグリン遺伝子の発現量が、1.5倍以上増加していた。詳細には、β1タンパク質遺伝子の発現量が、約1.9倍、α2タンパク質遺伝子の発現量が約2.6倍、α5タンパク質遺伝子の発現量が、約1.7倍増加していた。一方、I型コラーゲン遺伝子の発現量はあまり増加していなかった。
GAPDH (QIAGEN:Cat.No.QT00079247)
COL1A1(QIAGEN:Cat.No.QT00037793)
COL1A2(QIAGEN:Cat.No.QT00072058)
ITGA2(QIAGEN:Cat.No.QT00086695)
ITGA5(QIAGEN:Cat.No.QT00080871)
ITGB1(QIAGEN:Cat.No.QT00068124)
<総括>
上記の検討により、ファレロールには、線維芽細胞におけるインテグリンの発現量を増大する作用があることが明らかになった。既に、本発明者らが得ているファレロールの作用と併せて考察した結果、インテグリンの発現量の増大が、コラーゲン線維束の結束促進作用とリンクしていることが判った。コラーゲン線維束の減少は、しわの形成や皮膚弾力の喪失とリンクしていることが知られていることから、インテグリンの発現量を測定することにより、皮膚の弾力の消失、シワ形成可能性、コラーゲン線維束の結束不全等の皮膚の状態を鑑別できることが分かる。また、被験物質の存在下および非存在下でのインテグリンの発現量の差から、該被験物質のシワ改善作用を評価することができることが分かる。
上記の検討により、ファレロールには、線維芽細胞におけるインテグリンの発現量を増大する作用があることが明らかになった。既に、本発明者らが得ているファレロールの作用と併せて考察した結果、インテグリンの発現量の増大が、コラーゲン線維束の結束促進作用とリンクしていることが判った。コラーゲン線維束の減少は、しわの形成や皮膚弾力の喪失とリンクしていることが知られていることから、インテグリンの発現量を測定することにより、皮膚の弾力の消失、シワ形成可能性、コラーゲン線維束の結束不全等の皮膚の状態を鑑別できることが分かる。また、被験物質の存在下および非存在下でのインテグリンの発現量の差から、該被験物質のシワ改善作用を評価することができることが分かる。
<蛍光抗体染色法によるインテグリンノックダウン株のインテグリン局在化評価>
本検討では、ITGA5のノックダウン株におけるインテグリンα5タンパク質の存在量および局在性を可視的に捉え、MOCK(コントロール)と比較した。即ち、siRNA導入によりインテグリン遺伝子(ITGA5)をノックダウンした株について、インテグリンα5タンパク質の発現を実際に確認し、ITGA5のノックダウン株におけるインテグリンα5タンパク質の局在性を蛍光抗体染色法によって評価した。
本検討では、ITGA5のノックダウン株におけるインテグリンα5タンパク質の存在量および局在性を可視的に捉え、MOCK(コントロール)と比較した。即ち、siRNA導入によりインテグリン遺伝子(ITGA5)をノックダウンした株について、インテグリンα5タンパク質の発現を実際に確認し、ITGA5のノックダウン株におけるインテグリンα5タンパク質の局在性を蛍光抗体染色法によって評価した。
<使用細胞および試薬類>
1)細胞培養
・正常ヒト線維芽細胞 (クラボウ)・10%FBS+DMEM、2%FBS+DMEM (GIBCO)
2)siRNA
・DHARMACON:20μM siRNA ITGA5 / D-008003-05
3)培養プレート
・LAB-Tek Chamber Slide w/Cover Glass Slide Sterile (ヌンク:177399)
4)抗体染色
・一次抗体
Rabbit Anti-Integrin alpha5 Polyclonal Antibody (CHEMICON:AB1928)
・二次抗体
Donky Anti-Rabbit IgG Rhodamine Conjugate (CHEMICON:AP182R)
・Phalloidin Alexa Flour488 (FITC) (Molecular Probes)
・DAPI (Molecular Probes:D-21490)
5)封入剤
・CRYSTAL / MAUNT (biomeda)
1)細胞培養
・正常ヒト線維芽細胞 (クラボウ)・10%FBS+DMEM、2%FBS+DMEM (GIBCO)
2)siRNA
・DHARMACON:20μM siRNA ITGA5 / D-008003-05
3)培養プレート
・LAB-Tek Chamber Slide w/Cover Glass Slide Sterile (ヌンク:177399)
4)抗体染色
・一次抗体
Rabbit Anti-Integrin alpha5 Polyclonal Antibody (CHEMICON:AB1928)
・二次抗体
Donky Anti-Rabbit IgG Rhodamine Conjugate (CHEMICON:AP182R)
・Phalloidin Alexa Flour488 (FITC) (Molecular Probes)
・DAPI (Molecular Probes:D-21490)
5)封入剤
・CRYSTAL / MAUNT (biomeda)
<プロトコール>
1)正常ヒト線維芽細胞にsiRNAをリポフェクションによって導入した。同時にコントロールとしてMOCKを作製した。実施例1に準じて行った。
2)siRNA導入後48時間に0.25%Trypsin / EDTAで細胞を剥離し、5x103 cells / wellで8ウェルスライドグラスチャンバーに播種し、播種後3時間、6時間、15時間、24時間のタイミングでサンプル採取した。
3)サンプルの培養液を除去し、PBSで2回洗浄した。3%パラホルムアルデヒド/ PBSを5分間常温で処理し細胞固定した。
4)PBS洗浄。0.2%Triton-100 / PBSを添加して15分間常温で処理した。
5)PBS洗浄。0.1%BSA / PBSで1000倍希釈した一次抗体を300μl / well添加して60分間常温で処理した。
また、ネガティブコントロールとして0.1%BSA / PBSのみを添加して60分間常温で処理した。
6)PBSで2回洗浄。PBSで500〜1000倍希釈した二次抗体を300μl / well添加して45分間常温で処理した。
7)PBS洗浄。Phalloidinを添加して20分間常温で処理した。
8)PBS洗浄。DAPIを添加して5分間常温で処理した。
9)PBS洗浄。カバーガラスと封入剤でシールして顕微鏡で蛍光観察した。
*siRNA導入後24時間、48時間のタイミングでTotalRNAおよびタンパク質抽出を行い、各々をリアルタイムPCRおよびWestern Blottingを用いてsiRNAによるインテグリン遺伝子ノックダウン効率(実施例1、2を参照)とタンパク質発現量の減少率を確認した。タンパク質発現量は、Scion Imageを用いて定量した。
1)正常ヒト線維芽細胞にsiRNAをリポフェクションによって導入した。同時にコントロールとしてMOCKを作製した。実施例1に準じて行った。
2)siRNA導入後48時間に0.25%Trypsin / EDTAで細胞を剥離し、5x103 cells / wellで8ウェルスライドグラスチャンバーに播種し、播種後3時間、6時間、15時間、24時間のタイミングでサンプル採取した。
3)サンプルの培養液を除去し、PBSで2回洗浄した。3%パラホルムアルデヒド/ PBSを5分間常温で処理し細胞固定した。
4)PBS洗浄。0.2%Triton-100 / PBSを添加して15分間常温で処理した。
5)PBS洗浄。0.1%BSA / PBSで1000倍希釈した一次抗体を300μl / well添加して60分間常温で処理した。
また、ネガティブコントロールとして0.1%BSA / PBSのみを添加して60分間常温で処理した。
6)PBSで2回洗浄。PBSで500〜1000倍希釈した二次抗体を300μl / well添加して45分間常温で処理した。
7)PBS洗浄。Phalloidinを添加して20分間常温で処理した。
8)PBS洗浄。DAPIを添加して5分間常温で処理した。
9)PBS洗浄。カバーガラスと封入剤でシールして顕微鏡で蛍光観察した。
*siRNA導入後24時間、48時間のタイミングでTotalRNAおよびタンパク質抽出を行い、各々をリアルタイムPCRおよびWestern Blottingを用いてsiRNAによるインテグリン遺伝子ノックダウン効率(実施例1、2を参照)とタンパク質発現量の減少率を確認した。タンパク質発現量は、Scion Imageを用いて定量した。
<結果>
今回検討に用いたITGA5のノックダウン株のインテグリンの発現量を、実施例1の手法でリアルタイムPCRにより測定したところ、24時間のタイミングにおいてMOCKと比較して40%以下に抑制されていた。また、該ノックダウン株のタンパク質の発現量を測定したところ48時間のタイミングにおいてMOCKと比較して40%程度に抑制されていた。これは、インテグリン遺伝子のノックダウン効率(転写量の低下率)と、インテグリンタンパク質の発現量の減少率が、比例することを示す。
細胞中のインテグリンの挙動を図19、図20に示す。接着後3時間、6時間のタイミングではMOCKとITGA5のノックダウン株のインテグリンα5タンパク質の挙動に大きな差異はない。しかし、15時間以降ではMOCKにおいては顆粒状のインテグリンα5タンパク質が観察されるのに対して、ITGA5のノックダウン株においてはMOCKにおけるような顆粒状のインテグリンα5タンパク質の発現は観察されなかった。
今回検討に用いたITGA5のノックダウン株のインテグリンの発現量を、実施例1の手法でリアルタイムPCRにより測定したところ、24時間のタイミングにおいてMOCKと比較して40%以下に抑制されていた。また、該ノックダウン株のタンパク質の発現量を測定したところ48時間のタイミングにおいてMOCKと比較して40%程度に抑制されていた。これは、インテグリン遺伝子のノックダウン効率(転写量の低下率)と、インテグリンタンパク質の発現量の減少率が、比例することを示す。
細胞中のインテグリンの挙動を図19、図20に示す。接着後3時間、6時間のタイミングではMOCKとITGA5のノックダウン株のインテグリンα5タンパク質の挙動に大きな差異はない。しかし、15時間以降ではMOCKにおいては顆粒状のインテグリンα5タンパク質が観察されるのに対して、ITGA5のノックダウン株においてはMOCKにおけるような顆粒状のインテグリンα5タンパク質の発現は観察されなかった。
本発明の抗シワ物質の評価法によれば、種々の物質についてシワ改善作用を正確かつ簡易に評価することができ、これによりシワの改善に有用な皮膚外用剤の開発が促進される。また、本発明の皮膚の鑑別法によれば、皮膚の状態を正確かつ簡易に鑑別することができ、特に、皮膚の弾力の消失、シワ形成可能性、真皮コラーゲン線維束の結束不全などについての評価を正確かつ簡易に行うことができる。
Claims (13)
- 被験物質の存在下での、動物細胞における接着因子の発現量を指標として、該被験物質のシワ改善作用を評価することを含む、抗シワ物質の評価法。
- 被験物質の存在下及び非存在下での、動物細胞における接着因子の発現量の差の大小を指標として、該被験物質のシワ改善作用を評価することを含む、請求項1に記載の抗シワ物質の評価法。
- 前記接着因子の発現量の差が大きい程、シワ改善作用が大きいと評価することを含む、請求項2に記載の抗シワ物質の評価法。
- 被験物質の存在下での前記接着因子の発現量が、該被験物質の非存在下での前記接着因子の発現量の1.5倍以上である場合に、該被験物質のシワ改善作用が大きいと評価することを含む、請求項1に記載の抗シワ物質の評価法。
- 前記接着因子は、インテグリンである、請求項1〜4の何れか一項に記載の抗シワ物質の評価法。
- 皮膚の細胞における接着因子の発現量を指標として、皮膚の状態を鑑別することを含む、皮膚の鑑別法。
- 接着因子の発現量が少ないほど、皮膚の状態が悪いと鑑別することを含む、請求項6に記載の皮膚の鑑別法。
- 接着因子の発現量が少ないほど、皮膚の弾力の消失が大きいと鑑別することを含む、請求項7に記載の皮膚の状態の鑑別法。
- 接着因子の発現量が少ないほど、シワ形成可能性が高いと鑑別することを含む、請求項7又は8に記載の皮膚の状態の鑑別法。
- 接着因子の発現量が少ないほど、真皮コラーゲン線維束の結束不全が大きいと鑑別することを含む請求項7〜9の何れか一項に記載の皮膚の状態の鑑別法。
- 前記接着因子は、インテグリンである、請求項6〜10の何れか一項に記載の皮膚の状態の鑑別法。
- 請求項4に記載の抗シワ物質の評価法によりシワ改善作用が大きいと評価された抗シワ物質を含有する、皮膚外用剤。
- 請求項4に記載の抗シワ物質の評価法によりシワ改善作用を評価し、シワ改善作用が大きいと評価された抗シワ物質を皮膚外用剤に配合することを含む、皮膚外用剤の製造方法。
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