本発明は、パケット往復時間(以下、RTT(Round Trip Time)という。)の測定方法及びそれを用いた無線通信システムに関し、特に、例えば著作権の保護が必要なコンテンツデータのパケットデータ伝送を行う無線通信システムにおいて、それぞれ映像音声機器(以下、AV機器という。)であるソース機器とシンク機器との間におけるRTTを測定するための方法及びそれを用いた通信システムに関する。
デジタル放送や高速インターネットなどによりデジタル系のインフラストラクチャ(ネットワーク基盤)が整備され、また同時にDVDやBDなど大容量の記録メディアが普及し、誰でも簡単にネットワーク経由で劣化のないデジタルコンテンツを入手できるようになっている。このような背景にあって著作権保護の仕組みは非常に重要であり、中でもネットワーク上でコンテンツの著作権を保護する規格DTCP(Digital Transmission Content Protection)は、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)やMOST(Media Oriented Systems Transport)、ブルーツゥース(Bluetooth)、インターネットプロトコル(IP)へと適用範囲が広がり、既に対応商品などの数も増えている。
DTCP−IP(非特許文献1参照)では、ルーターを介した家庭内ネットワークと外部のネットワークとの接続を認めておらず、コンテンツデータを送信するソース機器とコンテンツデータを受信するシンク機器との接続範囲の制限を求めている。すなわち、ソース機器とシンク機器とのパケット往復時間RTTを測定することで、RTTが制限時間(例えば、7ミリ秒)以下にある場合のみ、ソース機器はシンク機器を認証して、シンク機器にデータを送信できる。非特許文献1には、認証及び鍵交換(Authentication and Key Exchange. 以下、AKEという。)に基づく、接続機器の判定及び鍵共有が規定されている。
特許文献1には、従来技術に係るパケット往復時間測定プログラムが開示されている。図12は、従来技術に係るパケット往復時間測定プログラムを用いたソース機器201の構成を示すブロック図である。図12において、RTT測定部217は、RTT測定コマンドを生成し、RTTを測定する。MAC処理部213は、送信帯域を取得し、さらに、取得した上記送信帯域において、RTT測定コマンドをパケットとして送信する。コマンド情報通知部216は、RTTを測定する際に参照されるコマンド情報を、MAC処理部213が上記パケットを送信するタイミングに基づいて生成し、RTT測定部217に通知する。このように、コマンド情報通知部216を介して、MAC処理部213とRTT測定部217とが連携することにより、RTTに加わる伝送遅延時間を低減できるので、RTTを正確に測定できる。
特開2006−270248号公報。
DTCP Volume 1, Supplement E, Mapping DTCP to IP, (Information Version), Hitachi, Ltd. et al., Revision 1.1, February 28, 2005.
上述した従来技術に係るパケット往復時間測定プログラムは、無線LAN(Local Area Network)のIEEE802.11規格に準拠した通信プロトコルを用いる通信システムにおいてRTTを測定することを想定しており、図12のソース機器201は、MPEG−2などの圧縮方式を用いて圧縮された映像データを送信する。このとき、例えば、1080/60i方式の高精細なハイビジョンデータを送信する場合、データ転送速度は約24Mbpsである。
しかしながら、非圧縮の映像コンテンツデータをパケットデータ伝送する無線通信システムにおいて、1080/60i方式の高精細なハイビジョンデータを送信する場合、データ転送速度は約1.5Gbpsに達し、1080/60p方式の映像データを送信する場合、データ転送速度は約3Gbpsにも達する。このため、当該無線通信システムにおいてRTTの測定を行う際に、図13を参照して以下に述べる課題が生じた。
図13は、従来技術に係る非圧縮の映像コンテンツデータをパケットデータ伝送する無線通信システムにおいて用いられる媒体アクセス制御(以下、MAC(Medium Access Control)という。)フレームの構成の一例を示すタイミングチャートである。図13において、MACフレームは、スーパーフレームと呼ばれるフレームフォーマットを有する。各スーパーフレーム301は、先頭から、ビーコン信号を伝送するための期間であるビーコン302、無線通信システム内の全ての機器が信号を送信できる期間である1つの競合区間303、及び映像及び音声の広帯域のデータを伝送するための複数の期間である複数の非競合区間304〜306を含む。無線通信システム内の送信局は、非圧縮の映像コンテンツデータを他の機器にパケットデータ伝送するとき、非競合区間304〜306のいずれかを予め予約する。ここで、非競合区間304〜306の帯域量はそれぞれ、伝送されるデータ量に応じて変更可能である。また、全ての非競合区間304〜306が予約されるまでは、無線通信システム内の任意の送信局が、予約されていない非競合区間304〜306を予約できる。例えば、無線通信システム内の送信局Aが非競合区間304を予約し、かつ送信局Bが非競合区間305,306を予約してもよい。
図13において、各非競合区間304〜306において伝送される非圧縮の映像データの量が増加すると、各非競合区間304〜306の帯域量が大きくなり、スーパーフレーム301の99%程度が予約済みになる場合がある。このとき、従来技術に係る図12のMAC処理部213は、RTT測定コマンドを送信するための送信帯域をスーパーフレーム301内において予約できず、RTTを測定できない可能性があった。
次に、図14及び図15を用いて、例えば、図13の競合区間303を用いてRTTを測定する従来技術に係るRTT測定方法及びその問題点を述べる。図14は、従来技術に係るRTT測定方法を用いた無線通信システムの構成を示すブロック図であり、図15は、図14のRTT測定方法を示すシーケンス図である。
図14の無線通信システムは、無線通信回線を介して接続された送信局401と受信局405とを備えて構成される。送信局401は、DTCPを用いて暗号化された著作権保護が必要な映像コンテンツのデータを受信局405に無線送信するDTCPソース機器であり、受信局405は、当該映像コンテンツのデータを受信するDTCPシンク機器である。
図14において、送信局401は、RTT測定部402と、非圧縮映像無線伝送モジュール部403と、RTT測定部402と非圧縮映像無線伝送モジュール403とを接続する内部通信用の伝送路404と、アンテナ409とを備えて構成される。また、受信局405は、非圧縮映像無線伝送モジュール部406と、RTT応答送信部407と、非圧縮映像無線伝送モジュール部406とRTT応答送信部407とを接続する内部通信用の伝送路408と、アンテナ410とを備えて構成される。ここで、伝送路404及び408はそれぞれ、I2C(Inter Integrated Circuit)などの機器内部での通信のためのバスである。
図14において、送信局401のRTT測定部402は、受信局405のRTT応答送信部407との間で、DTCPにおけるAKE動作を開始する。AKE動作のうち、Challenge-Response動作の部分が完了すると、RTT測定部402は、図15を用いて詳述するように、RTTの測定を行う。
図15において、RTT測定部402は、RTT試験コマンド(RTT_TEST.CMD)を発生して、伝送路404を介して非圧縮映像無線伝送モジュール部403に送信する。ここで、RTT試験コマンドの送信は、伝送路404及び通信インターフェースによるインターフェース処理によって遅延時間501だけ遅延される。次に、非圧縮映像無線伝送モジュール部403は、受信したRTT試験コマンドを含む信号に従って、無線搬送波信号を変調し、スーパーフレーム301における次の競合区間303(図14参照)を待ち時間502だけ待機した後、競合区間303において、変調後の無線信号をアンテナ409を介して受信局405のアンテナ410に向け無線送信する。
さらに図15において、送信局401から送信される無線信号はアンテナ410により受信された後、非圧縮映像無線伝送モジュール部406に入力され、無線信号をデジタル信号に復調した後、RTT試験コマンドが取り出される。非圧縮映像無線伝送モジュール部406は、取り出されたRTT試験コマンドを、伝送路408を介してRTT応答送信部407に送信する。ここで、RTT試験コマンドの送信は、伝送路408及び通信インターフェースによるインターフェース処理によって遅延時間503だけ遅延される。RTT応答送信部403は、RTT試験コマンドを受信すると、所定の処理時間504を要する所定の処理を行い、アクセプッテッドレスポンス(ACCEPTED.RSP)コマンドを生成して、非圧縮映像無線伝送モジュール部406に送信する。ここで、アクセプッテッドレスポンスの送信は、伝送路408及び通信インターフェースによるインターフェース処理によって遅延時間505だけ遅延される。非圧縮映像無線伝送モジュール部406は、受信されたアクセプッテッドレスポンスコマンドを含む信号に従って、無線搬送波信号を変調し、スーパーフレーム301における次の競合区間303(図14参照)を待ち時間506だけ待機した後、競合区間303において、変調後の無線信号をアンテナ410を介して送信局401のアンテナ409に向け無線送信する。
受信局405から送信される無線信号はアンテナ409により受信された後、非圧縮映像無線伝送モジュール部403に入力され、無線信号をデジタル信号に復調した後、アクセプッテッドレスポンスが取り出される。非圧縮映像無線伝送モジュール部403は、取り出されたアクセプッテッドレスポンスコマンドを、伝送路404を介してRTT測定部402に送信する。ここで、アクセプッテッドレスポンスコマンドの送信は、伝送路404及び通信インターフェースによるインターフェース処理によって遅延時間507だけ遅延される。
なお、RTT試験コマンドのパケットの中には、予めソース機器である送信局401とシンク機器である受信局405との間で共有されたKauth(認証鍵)のSHA(Secure Hash Algorithm)−1によるハッシュ値であるMKとRTT測定の試行番号Nの和のSHA−1によるハッシュ値のうち、上位80ビットが格納されている。また、アクセプッテッドレスポンスのパケットの中には、上記ハッシュ値の下位80ビットが格納されている。つまり、RTT試験コマンド及びアクセプッテッドレスポンスコマンドのデータ長はそれぞれ、10バイトに等しい。
ここで、DTCPにおいて、測定されるべきRTTは、ソース機器がRTT試験コマンドをシンク機器に対して送信したときから、シンク機器が当該コマンドを受信した後にアクセプッテッドレスポンスコマンドをソース機器に対して送信し、当該レスポンスコマンドをソース機器が受信するまでの時間として定義されている(非特許文献1の26ページの図4参照。)。
図15において、RTT測定部402によってRTTとして測定される時間RTTmは、RTT測定部402がRTT試験コマンドを送信してからアクセプテッドレスポンスコマンドを受信するまでの時間であり、上記のDTCPにおいて規定されているRTTの他に、遅延時間501,503,505,507,待ち時間502,506及び処理時間504を、伝送遅延時間として含む。従って、RTT測定部402によって測定された時間RTTmは、DTCPにおいて規定されたRTTに比較して大きく、例えば7ミリ秒を超えてしまう可能性があった。このとき、送信局401は受信局405を認証しない。従って、従来技術に係るRTT測定方法によれば、例えば、受信局405が家庭内に設置されているにも関わらず、送信局401は受信局405を、家庭外に設置された機器であると判断し、コンテンツデータを送信できない可能性があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、ソース機器とシンク機器との間におけるRTTを、従来技術に比較して確実に且つ正確に測定できる、RTT測定方法及びそれを用いた無線通信システムを提供することにある。
第1の発明に係るパケット往復時間RTTの測定方法は、
ソース機器からシンク機器にコンテンツデータをパケット無線伝送し、当該パケット無線伝送の帯域管理を行う帯域管理手段を備えた無線通信システムのためのパケット往復時間RTTの測定方法において、
上記ソース機器は、上記シンク機器との間の無線通信を制御する第1の制御手段を備え、
上記第1の制御手段は、上記シンク機器へのパケット往復時間RTTを測定するときに、往復パケット用の帯域割り当てを要求する帯域幅要求コマンド信号を、上記帯域管理手段に送信し、
上記帯域管理手段は、上記帯域幅要求コマンド信号に応答して、上記ソース機器から上記シンク機器に第1のパケットを送信するための第1の予約期間と、上記シンク機器から上記ソース機器に第2のパケットを返信するための第2の予約期間とを所定のフレーム期間内に割り当て、上記第1及び上記第2の予約期間を上記第1の制御手段に通知し、
上記第1の制御手段は、上記第1の予約期間の開始タイミングである第1のタイミングにおいて、上記第1のパケットを送信するとともにパケット往復時間RTTの測定を開始し、上記第2のパケットを受信した第2のタイミングにおいてパケット往復時間RTTの測定を終了し、上記第1及び第2のタイミングの時間差に基づいてパケット往復時間RTTを算出することを特徴とする。
上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記帯域管理手段は、上記コンテンツデータの送信のための第3及び第4の予約期間を上記フレーム期間内に割り当て、上記第1及び第2の予約期間を上記第3及び第4の予約期間の間に、上記第2の予約期間が上記第1の予約期間に連続するように割り当てることを特徴とする。
また、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記帯域管理手段は、上記第1及び第2の予約期間を割り当てるための所定の時間期間を上記フレーム期間に予め確保し、上記第1及び第2の予約期間を、上記所定の時間期間に、上記第2の予約期間が上記第1の予約期間に連続するように割り当てることを特徴とする。
さらに、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記帯域管理手段は、上記コンテンツデータの送信のための第3及び第4の予約期間を、上記所定の期間の前後にそれぞれ割り当てることを特徴とする。
またさらに、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記第1の制御手段は、上記パケット往復時間RTTの測定を終了した後、上記第1及び第2の予約期間の開放を要求する帯域開放要求コマンド信号を上記帯域管理手段に送信し、
上記帯域管理手段は、上記帯域開放要求コマンド信号に応答して、上記第1及び第2の予約期間を開放し、上記開放された第1及び第2の予約期間を、上記無線通信システム内の別の機器間のパケット往復時間RTTの測定のために確保することを特徴とする。
また、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記シンク機器は、上記ソース機器との間の無線通信を制御する第2の制御手段を備え、
上記第2の制御手段は、上記ソース機器からの第1のパケットに応答して、上記第2のパケットを上記第1の制御手段に送信することを特徴とする。
さらに、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記第2の制御手段は、上記ソース機器からの第1のパケットを受信する前に、上記第2のパケットを生成することを特徴とする。
またさらに、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記ソース機器は、上記コンテンツデータに対して所定の著作権保護処理を行う第3の制御手段をさらに備え、
上記第3の制御手段は、上記シンク機器へのパケット往復時間RTTの測定の開始を要求するRTT測定要求コマンド信号を上記第1の制御手段に送信し、
上記第1の制御手段は、上記RTT測定要求コマンド信号に応答して、上記帯域幅要求コマンド信号を上記帯域管理手段に送信することを特徴とする。
また、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記シンク機器は、上記コンテンツデータに対して所定の著作権保護処理を行う第4の制御手段をさらに備え、
上記第4の制御手段は、上記第2のパケットの生成を要求するRTTレスポンス設定要求コマンド信号を上記第2の制御手段に送信し、
上記第2の制御手段は、上記RTTレスポンス設定要求コマンド信号に応答して、上記第2のパケットを生成することを特徴とする。
第2の発明に係る無線通信システムは、
ソース機器からシンク機器にコンテンツデータをパケット無線伝送し、当該パケット無線伝送の帯域管理を行う帯域管理手段を備えた無線通信システムにおいて、
上記ソース機器は、上記シンク機器との間の無線通信を制御する第1の制御手段を備え、
上記第1の制御手段は、上記シンク機器へのパケット往復時間RTTを測定するときに、往復パケット用の帯域割り当てを要求する帯域幅要求コマンド信号を、上記帯域管理手段に送信し、
上記帯域管理手段は、上記帯域幅要求コマンド信号に応答して、上記ソース機器から上記シンク機器に第1のパケットを送信するための第1の予約期間と、上記シンク機器から上記ソース機器に第2のパケットを返信するための第2の予約期間とを所定のフレーム期間内に割り当て、上記第1及び上記第2の予約期間を上記第1の制御手段に通知し、
上記第1の制御手段は、上記第1の予約期間の開始タイミングである第1のタイミングにおいて、上記第1のパケットを送信するとともにパケット往復時間RTTの測定を開始し、上記第2のパケットを受信した第2のタイミングにおいてパケット往復時間RTTの測定を終了し、上記第1及び第2のタイミングの時間差に基づいてパケット往復時間RTTを算出することを特徴とする。
上記無線通信システムにおいて、上記帯域管理手段は、上記コンテンツデータの送信のための第3及び第4の予約期間を上記フレーム期間内に割り当て、上記第1及び第2の予約期間を上記第3及び第4の予約期間の間に、上記第2の予約期間が上記第1の予約期間に連続するように割り当てることを特徴とする。
また、上記無線通信システムにおいて、上記帯域管理手段は、上記第1及び第2の予約期間を割り当てるための所定の時間期間を上記フレーム期間に予め確保し、上記第1及び第2の予約期間を、上記所定の時間期間に、上記第2の予約期間が上記第1の予約期間に連続するように割り当てることを特徴とする。
さらに、上記無線通信システムにおいて、上記帯域管理手段は、上記コンテンツデータの送信のための第3及び第4の予約期間を、上記所定の期間の前後にそれぞれ割り当てることを特徴とする。
またさらに、上記無線通信システムにおいて、上記第1の制御手段は、上記パケット往復時間RTTの測定を終了した後、上記第1及び第2の予約期間の開放を要求する帯域開放要求コマンド信号を上記帯域管理手段に送信し、
上記帯域管理手段は、上記帯域開放要求コマンド信号に応答して、上記第1及び第2の予約期間を開放し、上記開放された第1及び第2の予約期間を、上記無線通信システム内の別の機器間のパケット往復時間RTTの測定のために確保することを特徴とする。
また、上記無線通信システムにおいて、上記シンク機器は、上記ソース機器との間の無線通信を制御する第2の制御手段を備え、
上記第2の制御手段は、上記ソース機器からの第1のパケットに応答して、上記第2のパケットを上記第1の制御手段に送信することを特徴とする。
さらに、上記無線通信システムにおいて、上記第2の制御手段は、上記ソース機器からの第1のパケットを受信する前に、上記第2のパケットを生成することを特徴とする。
またさらに、上記無線通信システムにおいて、上記ソース機器は、上記コンテンツデータに対して所定の著作権保護処理を行う第3の制御手段をさらに備え、
上記第3の制御手段は、上記シンク機器へのパケット往復時間RTTの測定の開始を要求するRTT測定要求コマンド信号を上記第1の制御手段に送信し、
上記第1の制御手段は、上記RTT測定要求コマンド信号に応答して、上記帯域幅要求コマンド信号を上記帯域管理手段に送信することを特徴とする。
また、上記無線通信システムにおいて、上記シンク機器は、上記コンテンツデータに対して所定の著作権保護処理を行う第4の制御手段をさらに備え、
上記第4の制御手段は、上記第2のパケットの生成を要求するRTTレスポンス設定要求コマンド信号を上記第2の制御手段に送信し、
上記第2の制御手段は、上記RTTレスポンス設定要求コマンド信号に応答して、上記第2のパケットを生成することを特徴とする。
本発明に係るRTT測定方法及びそれを用いた無線通信システムによれば、ソース機器は、上記シンク機器との間の無線通信を制御する第1の制御手段を備え、上記第1の制御手段は、上記シンク機器へのパケット往復時間RTTを測定するときに、往復パケット用の帯域割り当てを要求する帯域幅要求コマンド信号を、上記帯域管理手段に送信する。これに応答して、帯域管理手段は、上記ソース機器から上記シンク機器に第1のパケットを送信するための第1の予約期間と、上記シンク機器から上記ソース機器に第2のパケットを返信するための第2の予約期間とを所定のフレーム期間内に割り当て、上記第1及び上記第2の予約期間を上記第1の制御手段に通知し、上記第1の制御手段は、上記第1の予約期間の開始タイミングである第1のタイミングにおいて、上記第1のパケットを送信するとともにパケット往復時間RTTの測定を開始し、上記第2のパケットを受信した第2のタイミングにおいてパケット往復時間RTTの測定を終了し、上記第1及び第2のタイミングの時間差に基づいてパケット往復時間RTTを算出する。従って、本従来技術に比較して、正確に且つ確実にパケット往復時間RTT測定できる。
本発明の第1の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。
本発明の第1の実施形態に係るRTT測定方法のメッセージシーケンスの概略を示すシーケンス図である。
本発明の第1の実施形態に係るRTT測定のための帯域幅要求コマンドにおける典型的なパラメータを示すテーブルである。
図3のパラメータを用いたスーパーフレームのスケジューリングの一例を示すタイミングチャートである。
図4のRTT試験コマンドのパケットのための予約期間CTBtに必要とされる期間長及びRTTレスポンスコマンドのパケットのための予約期間CTBrに必要とされる期間長を示す図である。
本発明の第1の実施形態に係るRTT測定方法のメッセージシーケンスの一例を示すシーケンス図である。
本発明の第2の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。
本発明の第3の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。
本発明の第4の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。
本発明の第5の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。
本発明の第5の実施形態に係るRTT測定方法のメッセージシーケンスの一例を示すシーケンス図である。
従来技術に係るパケット往復時間測定プログラムを用いたソース機器201の構成を示すブロック図である。
従来技術に係る非圧縮の映像コンテンツデータをパケットデータ伝送する無線通信システムにおいて用いられるMACフレームの構成の一例を示すタイミングチャートである。
従来技術に係るRTT測定方法を用いた無線通信システムの構成を示すブロック図である。
図14のRTT測定方法を示すシーケンス図である。
符号の説明
10,10A,10B…ソース機器、
11,12,13,13A,13B,21,21A,21B,22,23,31…コントローラ、
13t…タイマ回路、
14…映像音声再生装置、
15,26…AV信号処理回路、
15m,26m…バッファメモリ、
16,25,32…無線通信回路、
17,24,33…アンテナ装置、
20,20A,20B…シンク機器、
27…スピーカ付きディスプレイ、
28…帯域管理部、
30…コーディネータ機器、
601…送信局、
602,612…DTCPコマンド送受信部、
603,613…非圧縮映像伝送無線モジュール部、
604…RTT測定部、
605,615…アンテナ、
611…受信局、
614…RTT応答送信部、
CTBt…RTT試験コマンドの予約期間、
CTBr…RTTレスポンスコマンドの予約期間、
TBav1,TBav2…AVデータの予約期間、
TBb…ビーコン期間、
Tpre…時間期間、
RATB…競合期間。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図であり、図2は、本発明の第1の実施形態に係るRTT測定方法のメッセージシーケンスの概略を示すシーケンス図である。また、図3は、本発明の第1の実施形態に係るRTT測定のための帯域幅要求コマンドにおける典型的なパラメータを示すテーブルであり、図4は、図3のパラメータを用いたスーパーフレームのスケジューリングの一例を示すタイミングチャートである。さらに、図5は、図4のRTT試験コマンドのパケットのための予約期間CTBtに必要とされる期間長及びRTTレスポンスコマンドのパケットのための予約期間CTBrに必要とされる期間長を示す図であり、図6は、本発明の第1の実施形態に係るRTT測定方法のメッセージシーケンスの一例を示すシーケンス図である。
本実施形態に係るパケット往復時間RTTの測定方法及びそれを用いた無線通信システムによれば、ソース機器10は、シンク機器20との間の無線通信を制御するコントローラ13を備え、コントローラ13は、シンク機器20へのパケット往復時間RTTを測定するときに、往復パケット用の帯域割り当てを要求する帯域幅要求コマンド信号を帯域管理部28に送信し、これに応答して、帯域管理部28は、ソース機器10からシンク機器20にRTT試験コマンドを含むパケットを送信するための予約期間CTBtと、シンク機器20からソース機器10にRTTレスポンスコマンドを含むパケットを返信するための予約期間CTBrとをスーパーフレーム期間内に割り当て、予約期間CTBt及びCTBrをコントローラ13に通知し、コントローラ13は、予約期間CTBtの開始タイミングである第1のタイミングにおいて、RTT試験コマンドを含むパケット送信するとともにパケット往復時間RTTの測定を開始し、RTTレスポンスコマンドを含むパケットを受信した第2のタイミングにおいてパケット往復時間RTTの測定を終了し、上記第1及び第2のタイミングの時間差に基づいてパケット往復時間RTTを算出することを特徴としている。
始めに、図1及び図6を参照して、無線ビデオエリアネットワーク(以下、WVAN(Wireless Video Area Network)という。)である無線通信ネットワークの無線通信回線を介して互いに接続されたソース機器10及びシンク機器20の構成及び動作について説明する。
図1及び図6において、ソース機器10は、映像音声再生装置14と、映像音声再生装置14の動作を制御するコントローラ11(コンテンツ保護エンティティに対応する。)と、バッファメモリ15mを含むAV信号処理回路15と、AV信号処理回路15の動作を制御するコントローラ12(RTTイニシエータのAVコントローラに対応する。)と、無線通信回路16と、アレーアンテナ装置17と、無線通信回路16及びアレーアンテナ装置17の動作を制御するコントローラ13(RTTイニシエータのMAC/MLME(MAC layer management entity:媒体アクセス制御層の管理エンティティ)に対応する。)とを備えて構成される。ここで、コントローラ13は、タイマ回路13tを備える。
図1において、映像音声再生装置14は、例えばブルーレイ(Blu−ray)ディスクプレーヤであって、Blu−rayディスクなどの記録媒体から映像及び音声データを含むコンテンツデータのコンテンツを再生してAV信号処理回路15に出力する。コントローラ11は、映像及び音声データを含むコンテンツデータに対してDTCPによる著作権保護処理を行う。AV信号処理回路15は、コントローラ12からの再生コマンド等の所定の制御コマンドに従って、入力される映像及び音声データに対して暗号化などの所定の信号処理を行った後、処理後の信号をバッファメモリ15mを介して無線通信回路16に出力する。
また、図1において、無線通信回路16は、入力される映像及び音声データ並びにコントローラ13から入力される所定の制御コマンドを所定のパケットの形式のデジタル信号に変換し、当該デジタル信号に従って無線搬送波信号をデジタル変調し、変調後の無線信号を、アレーアンテナ装置17を介してシンク機器20のアレーアンテナ装置24に向け無線送信する。また、シンク機器20のアレーアンテナ装置24から送信された無線信号はアレーアンテナ装置17により受信された後、無線通信回路16に入力される。無線通信回路16は、受信された無線信号をデジタル信号に復調した後、当該デジタル信号から所定のパケット分離処理により所定の制御コマンドを取り出し、コントローラ13に出力する。
ここで、アレーアンテナ装置17は、複数のアンテナ素子と、送受信分離用デュプレクサと、受信された無線信号及び送信される無線信号をそれぞれ所定の移相量だけ移相させる複数の移相器と、移相後の複数の無線信号を合成する信号合成器と、送信される無線信号を複数の無線信号に分配する信号分配器とを備えて構成される。アレーアンテナ装置17は、60GHz帯を用いて無線通信を行う低速物理層(以下、LRP(Low-Rate Physical Layer)という。)モードを有し、LRPモードは、送信モードの識別子が0であり、無指向性で送信するLRPモード(以下、オムニLRPモード又はLRPの無指向性モードという。)と、指向性で送信するLRPモード(以下、LRPの指向性モードという。)とを含む。コントローラ13は、LRPの無指向性モードにおいて、アレーアンテナ装置17の主ビームが所定の8方向を順次向くように各移相器を制御しながら、無線信号を送信する。一方、コントローラ13は、LRPの指向性モードにおいて、アレーアンテナ装置17の主ビームが所定の1方向を向くように各移相器を制御しながら、無線信号を送信する。
図1及び図6において、シンク機器20は、アレーアンテナ装置24と、無線通信回路25と、無線通信回路16及びアレーアンテナ装置24の動作を制御するコントローラ21(RTTアクセプタのMAC/MLMEに対応する。)と、バッファメモリ26mを備えたAV信号処理回路26と、AV信号処理回路26の動作を制御するコントローラ22(RTTアクセプタのAVコントローラに対応する。)と、スピーカ付きディスプレイ27と、スピーカ付きディスプレイ27の動作を制御するコントローラ23(コンテンツ保護エンティティに対応する。)と備えて構成される。なお、コントローラ21は、無線通信ネットワークの無線伝送の帯域管理を行うスケジューラを含む帯域管理部28を備える。
図1において、ソース機器10のアレーアンテナ装置17から送信された無線信号はアレーアンテナ装置24により受信された後、無線通信回路25に入力される。無線通信回路25は、受信された無線信号をデジタル信号に復調した後、当該デジタル信号から所定のパケット分離処理により映像及び音声データ並びに所定の制御コマンドのみを取り出し、前者のデータをAV信号処理回路26に出力する一方、後者の制御コマンドをコントローラ21に出力する。AV信号処理回路26は、入力される映像及び音声データを暗号復号化などの所定の信号処理を実行した後、バッファメモリ26mを介してスピーカ付きディスプレイ27に出力して映像の表示や音声の出力を行う。コントローラ23は、映像及び音声データに対してDTCPによる著作権保護処理を行う。コントローラ21は、所定の制御コマンドを生成して無線通信回路25に出力する。無線通信回路25は、入力される制御コマンドを所定のパケットの形式のデジタル信号に変換し、当該デジタル信号に従って、無線搬送波信号をデジタル変調し、変調後の無線信号をアレーアンテナ装置24を介してソース機器10のアレーアンテナ装置17に向け無線送信する。アレーアンテナ装置24はアレーアンテナ装置17と同様に構成され、コントローラ21は、コントローラ13と同様にアレーアンテナ装置24の動作を制御する。
なお、図1及び図6において、コントローラ11とコントローラ13との間のコントローラ12を介する通信及び、コントローラ21とコントローラ23との間のコントローラ22を介する通信は、安全に実行される。
次に、図2を用いて、本実施形態に係るRTT測定方法の概略を説明する。図2において、RTTイニシエータであるソース機器10とRTTアクセプタであるシンク機器20とは、コマンドメッセージを含む信号及びレスポンスメッセージを含む信号を送受信している。以下、コマンドメッセージを含む信号を単にコマンド又はコマンドメッセージといい、レスポンスメッセージを含む信号を単にレスポンス又はレスポンスメッセージという。RTTを検証するためのプロセスは、ソース機器10が、時刻t1においてタイマ回路13t(図1参照)を用いて時間の測定を開始し、RTTアクセプタであるシンク機器20に対してRTT試験(RTT test)コマンドメッセージを送信した時に開始する。シンク機器20はこのRTT試験コマンドメッセージを受信し、ソース機器10に対して、RTTレスポンス(RTT response)コマンドメッセージを送信して応答する。ソース機器10は、時刻t2においてRTTレスポンコマンドメッセージを受信し、タイマ回路13tによる時間の測定を停止し、時刻t2と時刻t1との時間差にもとづいて、RTT時間を測定する。ソース機器10は、測定されたRTT時間に基づいて、シンク機器20の認証を行うか否かを判断する。例えば、DTCPにおいて、測定されたRTTが7ミリ秒以下であれば、ソース機器10はシンク機器20を認証する(非特許文献1の図4参照)。なお、ソース機器10及びシンク機器20に代えて、DTCPなどのコンテンツ保護規格によって定義されているRTTイニシエータ又はRTTアクセプタであることが認可されるデバイスであってもよい。
次に、図3、図4及び図5を参照して、RTT試験コマンド及びRTTレスポンスコマンドの伝送方法を説明する。
図1の無線通信ネットワークにおけるパケット通信では、図4に示すスーパーフレームと呼ばれるフレームフォーマットが用いられる。ここで、RTTの検証を適正に実行するために、スーパーフレームにおいて、RTT試験コマンド及びRTTレスポンスコマンドの伝送のために1対の予約期間CTBt及びCTBrが、ソース機器10によって予約される。後述するように、RTTの測定は、必要であれば、スーパーフレーム内の大部分のCTBが既に1080p/60fps/24ビットのカラーの方式などのA/Vストリーミングデータに割り当てられている場合でも、実行される。
図4のフレームフォーマットにおいて、所定の期間長Tsfを有するスーパーフレームが繰り返し配置される。さらに、各スーパーフレームは、先頭から、帯域管理部28がビーコン信号を送信するビーコン期間TBb、無線通信ネットワークの全機器10,20が自由に送信できるランダムアクセスタイムブロック期間である競合期間RATB、ソース機器10からシンク機器20にAVデータを伝送するためのチャンネルタイムブロック(以下、CTB(Channel Time Block)という。)期間である予約期間TBav1、ソース機器10がシンク機器20にRTT試験コマンドを送信するためのCTB期間である予約期間CTBt、シンク機器20がソース機器10にRTTレスポンスコマンドを送信するためのCTB期間である予約期間CTBr及びソース機器10からシンク機器20にAVデータを伝送するためのCTB期間である予約期間TBav2を含む。なお、予約期間CTBt及びCTBr並びに予約期間TBav1及びTBav2は、非競合期間である。ここで、予約期間CTBt及びCTBrは、予約期間Tav1と予約期間Tav2との間の所定の時間期間Tpreに割り当てられ、さらに、予約期間CTBrは予約期間CTBtに連続するように割り当てられる。図4において、スーパーフレームの期間長Tsfは20ミリ秒であり、ビーコン期間TBbの期間長は200マイクロ秒であり、競合期間RATBの期間長は300マイクロ秒であり、予約期間CTBt及びCTBrの期間長はそれぞれ、200マイクロ秒である。
次に、予約期間CTBt及びCTBrの予約方法を説明する。はじめに、ソース機器10のコントローラ13は、競合期間RATBにおいて、予約期間CTBt及びCTBrの割り当てを要求して予約するために、帯域幅要求コマンドを生成してシンク機器20のコントローラ21内の帯域管理部(以下、帯域管理部という。)28に送信する。図3に示すように、帯域幅要求コマンドは、パラメータとして、予約期間CTBt及びCTBrの最小のスケジュール期間(Minimum Schedule Period)、予約期間CTBt及びCTBrの最大のスケジュール期間(Maximum Schedule Period)、予約期間CTBt及びCTBrのタイムブロックの継続時間(Time Block Duration)及びCTBペアの予約(paired CTBs)を含む。帯域幅要求コマンドに応答して、帯域管理部28は、帯域幅要求コマンドに含まれる上記パラメータに基づいて、予約期間TBav1と予約期間TBav2との間の所定の時間期間Tpreに、予約期間CTBrが予約期間CTBtに連続するように、予約期間CTBt及びCTBrを割り当てる。割り当てられた予約期間CTBt及びCTBrの期間指定情報は、周期Tsfで周期的にシンク機器20から送信されるビーコン信号によって無線通信ネットワークの全機器に通知される。図3に示すように、本実施形態において、最小のスケジュール期間は200マイクロ秒であり、最大のスケジュール期間は200マイクロ秒であり、タイムブロックの継続時間は200マイクロ秒であり、CTBペアの予約は「有」である。
なお、RTTの測定には、通常、LRPモードのパケットが使用される。図3において、タイムブロックの継続時間の値は、測定パケット(RTT試験コマンドを含むパケット及びRTTレスポンスコマンドを含むパケットである)が、割り当てられた予約期間CTBt及びCTBrにそれぞれ収まるように選択される。また、最小のスケジュール期間及び最大のスケジュール期間は、RTT時間の制約が満たされる限り、変更されてよい。例えば、DTCPでは、7ミリ秒より大きいRTTを有する機器は認証されないので、最大のスケジュール期間は例えば6ミリ秒以下の値を有する。
図4において、帯域管理部28は、RTT試験コマンドのための予約期間CTBt及びRTTレスポンスコマンドのための予約期間CTBrを割り当てるための所定の時間期間Tpreを、スーパーフレーム内に、空きスペースとして予め確保している。ここで、帯域管理部28は、時間期間Tpreには、予約期間CTBt及びCTBr以外の予約期間(例えば、AVデータのための予約期間)を割り当てない。また、帯域管理部28は、ソース機器10からの予約期間CTBt及びCTBrを要求する帯域幅要求コマンドに応答して、当該時間期間Tpreに、予約期間CTBt及びCTBrを、予約期間CTBrが予約期間CTBtに連続するように割り当てる。これにより、スーパーフレーム内に、AVデータの送信ための予約期間TBav1及びTBav2などの予約期間が割り当てられている場合でも、RTTの測定が適正に行われる。すなわち、従来技術に比較して、確実にRTT試験コマンド及びRTTレスポンスコマンドを伝送できるので、確実にRTTを測定できる。また、帯域管理部28は、AVデータの送信のための予約期間TBav1及びTBav2を、時間期間Tpreの前後にそれぞれ割り当てるので、従来技術に比較して、ソース機器10のバッファメモリ15m及びシンク機器20のバッファメモリ26mのバッファ容量を最小にすることができ、映像及び音声データのオーバーフロー及びアンダーフローの発生確率を小さくできる。
なお、帯域管理部28は、AVデータの送信のための予約期間TBav1及びTBav2を割り当て、予約期間CTBt及びCTBrを、予約期間TBav1及びTBav2の間に、予約期間CTBrが予約期間CTBtに連続するように割り当ててもよい。これにより、従来技術に比較して、ソース機器10のバッファメモリ15m及びシンク機器20のバッファメモリ26mのバッファ容量を最小にすることができ、映像及び音声データのオーバーフロー及びアンダーフローの発生確率を小さくできる。
次に、図5を参照して、送信モードの識別子が0であるオムニLRPモードで送信されるRTT試験コマンドのパケットのために必要とされる期間長及びRTTレスポンスコマンドのパケットのために必要とされる期間長を説明する。なお、RTT試験コマンドのパケットとRTTレスポンスコマンドのパケットとは同一の構成を有し、図4のRTT試験コマンドのパケットのための予約期間CTBtに必要とされる期間長とRTTレスポンスコマンドのパケットのための予約期間CTBrに必要とされる期間長とは同じである。図5において、RTT試験コマンドのパケット及びRTTレスポンスコマンドのパケットはそれぞれ、先頭から、期間長42.4マイクロ秒を有するオムニLRPモード用のショートプリアンブル(以下、Short omni LRP preambleという。)41と、期間長7.9マイクロ秒を有するオムニLRPモード用のヘッダ(以下、Omni LRP headerという。)42と、期間長25.2マイクロ秒を有するオムニLRPモード用のMACヘッダ(以下、Omni LRP MAC headerという。)43と、期間長12.6マイクロ秒を有する誤り訂正のためのヘッダチェックシーケンス(Header Check Sequence:以下、HCSという。)44と、期間長dマイクロ秒を有するパケット本体45と、期間長12.6マイクロ秒を有するパケットチェックシーケンス(Packet Check Sequence:以下、PCSという。)46とを含む。
図5において、RTT試験のために送信モードの識別子が0であり、2.542Mbpsのデータ転送速度を有するオムニLRPモードを使用する場合、パケット本体45の期間長dは以下の式で表される。
[数1]
d=8×N/2.542(マイクロ秒)
ここで、Nはパケット本体45のデータ量である。例えば、パケット本体45のデータ量Nが20オクテット(MACコマンドヘッダ、コンテンツ保護ヘッダ及びペイロードを含む典型的な長さである。)であるとき、パケット本体45の期間長dは62.9マイクロ秒である。従って、RTT試験コマンドのパケットのために必要とされる期間長及びRTTレスポンスコマンドのパケットのために必要とされる期間長は、163.6マイクロ秒(=42.4+7.9+25.2+12.6+62.9+12.6)になる。従って、帯域幅要求コマンドにおけるパラメータ(図3参照)において、タイムブロックの継続時間は163.6マイクロ秒より大きい値に設定される必要がある。また、最大のスケジュール期間も163.6マイクロ秒より大きい値に設定される必要がある。タイムブロックの継続時間がパケットの送信に要する時間とSIFS(Short Interframe Space)及び肯定応答(以下、ACKという。)に要する時間との合計より短ければ、RTT試験コマンドのパケット及びレスポンスコマンドのLRPパケットには、ACK無しのポリシを用いる必要がある。なお、RTT試験を行うためには、帯域幅要求コマンドにおけるパラメータにおいて、最大のスケジュール期間とRTTレスポンスコマンドのパケットの継続時間との合計は、コンテンツ保護規格が指定するRTT時間の制約に定義されている時間(例えば、DTCPでは7ミリ秒である。)より短いものでなければならない。
次に、図6を用いて、本実施形態に係るRTT測定方法を説明する。図6において、コンテンツ保護エンティティであるコントローラ11は、シンク機器20との間のRTTの測定の開始をコントローラ13に対して要求するためのRTT測定要求コマンド(MEASURE_RTT.req)を、コントローラ12に送信する。これに応答して、RTTイニシエータであるコントローラ12は、シンク機器20との間のRTTの測定の開始をコントローラ13に対して要求するためのRTT測定要求コマンド(MLME_MEASURE_RTT.req)を、コントローラ13に送信する。これに応答して、コントローラ13は、上述の帯域幅要求コマンドを生成してシンク機器20に送信する。これに応答して、シンク機器20の帯域管理部28は、上述のように、予約期間CTBtと予約期間CTBrとを割り当て、割り当てられた予約期間CTBt及びCTBrを含む期間指定情報を、ビーコン信号によって無線通信ネットワークの全機器に通知する。これに応答して、コントローラ13は、割り当てられた予約期間CTBtの開始タイミングの直前のタイミングt11においてタイマ回路13tによるRTTの測定を開始し、RTT試験コマンド(RTT test command)を生成して、予約期間CTBtにおいて、シンク機器20に向け無線送信する。
一方、図6において、RTTアクセプタであるシンク機器20において、コンテンツ保護エンティティであるコントローラ23は、コントローラ21に対してRTTレスポンスコマンドの生成を要求するRTTレスポンス設定要求コマンド(RTT_REPLY_SET.req)を、コントローラ22に送信する。これに応答して、コントローラ22は、コントローラ21に対してRTTレスポンスコマンドの生成を要求するRTTレスポンス設定要求コマンド(MLME_SET_RTT_REPLY.req)を送信する。これに応答して、コントローラ21は、ソース機器10からのRTT試験コマンドを受信する前に、予めRTTレスポンスコマンドを生成する。その後、コントローラ21は、タイミングt21においてRTT試験コマンドを受信すると、割り当てられた予約期間CTBr内のタイミングt22において、上記生成したRTTレスポンスコマンドをソース機器10に無線送信する。さらに、コントローラ21は、RTTレスポンスコマンドをソース機器10に送信したことをコントローラ23に対して通知するためのRTT応答設定確認コマンド(MLME_SET_RTT_REPLY.cfm)を、コントローラ22に送信する。これに応答して、コントローラ22は、RTTレスポンスコマンドをソース機器10に送信したことをコントローラ23に対して通知するためのRTT応答設定確認コマンド(RTT_REPLY_SET.cfm)を、コントローラ23に送信する。
図6において、コントローラ13は、シンク機器20からのRTTレスポンスコマンドをタイミングt12において受信すると、所定の復調処理及びパケット処理を行うように無線通信回路16を制御する。無線通信回路16は、受信された無線信号をデジタル信号に復調した後、当該デジタル信号からRTTレスポンスコマンドを取り出して、コントローラ13に出力する。タイミングt13において、コントローラ13はRTTレスポンスコマンドを受信すると、タイマ回路13tによるRTTの測定を停止する。さらに、コントローラ13は、タイミングt13とタイミングt11との時間差に基づいてRTTを算出し、算出されたRTTをコントローラ11に対して通知するためのRTT測定確認コマンド(MLME_MEASURE_RTT.cfm)をコントローラ12に送信する。これに応答して、コントローラ12は、算出されたRTTをコントローラ11に対して通知するためのRTT測定確認コマンド(MEASURE_RTT.cfm)をコントローラ11に送信する。これに応答してコントローラ11は、コントローラ13によって測定及び算出されたRTTに基づいて、DTCPに準拠した認証処理(非特許文献1参照)を行う。
一方、コントローラ13は、タイミングt13においてRTTの測定を終了すると、競合期間RATBにおいて、予約期間CTBt及びCTBrの開放を要求するための帯域開放要求コマンドをシンク機器20のコントローラ21に無線送信する。これに応答してコントローラ21の帯域管理部28は、予約期間CTBt及びCTBrを、WVAN内の他の機器によるRTTの測定のために開放する所定の帯域開放処理を行い、競合期間RATBにおいて、予約期間CTBt及びCTBrの開放を通知する帯域開放通知レスポンスコマンドをソース機器10に無線送信するとともに、ビーコン信号を用いて、予約期間CTBt及びCTBrの開放を通知する。帯域管理部28は、予約期間CTBt及びCTBrを開放した後も、予約期間CTBt及びCTBrを、WVAN内の他の機器間のRTTの測定及びソース機器10によるWVAN内の他シンク機器20以外の機器へのRTTの測定のために確保する。ここで、帯域管理部28は、確保された期間には、予約期間CTBt及びCTBr以外の予約期間(例えば、AVデータのための予約期間)を割り当てない。従って、従来技術に比較して確実にRTTを測定できる。
上述のように、コントローラ13は、ソース機器10に割り当てられた予約期間CTBtの開始タイミングの直前であるタイミングt11(実質的に、予約期間CTBtの開始タイミングである。)において、タイマ回路13tを起動することによってRTTの測定を開始し、RTTレスポンスコマンドを受信したタイミングt13において、タイマ回路13tを停止することによって、RTTの測定を終了する。さらに、コントローラ13は、タイミングt13及びt11の時間差に基づいて、RTTを算出する。従って、本実施形態に係るRTT測定方法によって測定されたRTTにおいて、例えば、図15の従来技術に係るRTT測定部402によって測定された時間RTTmに含まれていた伝送遅延時間501,507であるMACアクセス遅延時間は、最小にされ、実質的にゼロにされる。また、RTTイニシエータのコンテンツ保護エンティティであるコントローラ11は、RTTアクセプタであるコントローラ21へのRTTの測定を、RTTイニシエータであるコントローラ13に対して要求することにより、RTT測定の開始タイミングを予約期間CTBtの開始タイミングに実質的に同期させる。従って、本実施形態に係るRTT測定方法によって測定されたRTTは、図15の従来技術に係るRTT測定部402によって測定された時間RTTmに含まれていた待ち時間502を含まない。
また、RTT時間の測定では、DTCPなどのコンテンツ保護規格が指定するRTTアクセプタにおける処理時間の制約(例えば、数ミリ秒以下)を満たすように、RTTアクセプタにRTT試験コマンドが到達した後、RTTアクセプタはできるだけ早くRTTレスポンスコマンドをRTTイニシエータに送信する必要がある。本実施形態によれば、RTTアクセプタであるシンク機器20がRTT試験コマンドに対して従来技術に比較して迅速に応答できるように、図4に示すように、RTTアクセプタであるシンク機器20がRTTレスポンスを送信するための予約期間CTBrは、RTTイニシエータであるソース機器がRTT試験コマンドを送信するための予約期間CTBtに隣接し、かつその後に割り当てられる。これにより、本実施形態に係るRTT測定方法によって測定されたRTTは、図15の従来技術に係るRTT測定部402によって測定された時間RTTmに含まれていた待ち時間506を、実質的に含まない。
さらに、シンク機器20のコンテンツ保護エンティティであるコントローラ23は、RTT試験コマンドを受信する前にRTTレスポンスコマンドを生成するように、コントローラ22を介してコントローラ21に対して要求する。これに応答して、コントローラ21は、RTT試験コマンドを受信する前に、RTTレスポンスコマンドを生成する。従って、コントローラ21は、RTT試験コマンドを受信すると、従来技術に比較して迅速にRTTレスポンスコマンドを送信できる。また、本実施形態に係るRTT測定方法によって測定されたRTTは、図15の従来技術に係るRTT測定部402によって測定された時間RTTmに含まれていた伝送遅延時間503,505及び処理時間504を、実質的に含まない。従って、本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、従来技術に比較して正確にRTTを測定でき。これにより、例えば、DTCPによって著作権保護された動画のコンテンツのコンテンツデータを送信するための制約である、DTCPソース機器とDTCPシンク機器との間のパケット往復時間RTTが7ミリ秒以下という条件を満足する機器を、従来技術に比較して正確に検出できる。
本実施形態において、帯域管理部28は、予約期間CTBt及びCTBrを開放した後、予約期間CTBt及びCTBrを、WVAN内の他の機器によるRTTの測定及びソース機器10によるWVAN内の他シンク機器20以外の機器へのRTTの測定のために確保する。しかしながら、本発明はこれに限られず、帯域管理部28は、予約期間CTBt及びCTBrを開放した後、所定の時間期間Tpreを、WVAN内の他の機器によるRTTの測定及びソース機器10によるWVAN内の他シンク機器20以外の機器へのRTTの測定のために確保してもよい。また、所定の時間期間Tpreを音声及び映像のデータ伝送に用いてもよい。この場合、WVAN内の機器がRTT測定を行うためには、所定の時間期間Tpreとは別の時間期間をRTT測定用に予約するか、もしくは、音声及び映像のデータ伝送に使用されている所定の時間期間TpreをRTT測定のために開放すればよい。
第2の実施形態.
図7は、本発明の第2の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。図7の無線通信システムは、図1の第1の実施形態に係る無線通信システムに比較して、ソース機器10のコントローラ12及び13に代えてコントローラ13A(RTTイニシエータに対応する。)を備えたソース機器10Aと、シンク機器20のコントローラ21及び22に代えてコントローラ21A(RTTアクセプタに対応する。)を備えたシンク機器20Aとを備えたことを特徴としている。
図7において、コントローラ13Aはタイマ回路13tを備え、コントローラ12と同様にAV信号処理回路15の動作を制御し、コントローラ13と同様に無線通信回路16及びアレーアンテナ装置17の動作を制御する。また、コントローラ21Aは、帯域管理部28を備え、コントローラ26と同様にAV信号処理回路26の動作を制御し、コントローラ21と同様に無線通信回路25及びアレーアンテナ装置24の動作を制御する。
本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、第1の実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムと同様に、従来技術に比較して、確実に且つ正確にRTTを測定できる。
第3の実施形態.
図8は、本発明の第3の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。図8の無線通信システムは、図1の第1の実施形態に係る無線通信システムに比較して、ソース機器10Bに帯域管理部28を設けたことを特徴としている。
図8の無線通信システムは、図1の無線通信システムに比較して、ソース機器10のコントローラ13に代えてコントローラ13Bを備えたソース機器10Bと、シンク機器20のコントローラ21に代えてコントローラ21Bを備えたシンク機器20Bとを備える。ここで、コントローラ13BはRTTイニシエータであって、タイマ回路13t及び帯域管理部28を備える。コントローラ13Bは、コントローラ13と同様に無線通信回路16及びアレーアンテナ装置17を制御するとともに、帯域管理部28において、第1の実施形態と同様に、予約期間CTBt及びCTBrを予約する。また、コントローラ21BはRTTアクセプタであって、コントローラ21と同様に、無線通信回路25及びアレーアンテナ装置24の動作を制御する。
本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、第1の実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムと同様に、従来技術に比較して、確実に且つ正確にRTTを測定できる。
第4の実施形態.
図9は、本発明の第4の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。図9の無線通信システムは、図1の第1の実施形態に係る無線通信システムに比較して、ソース機器10と、シンク機器20B(図8)と、コーディネータ機器30とを備えたことを特徴としている。
図9において、コーディネータ機器30は、帯域管理部28を備えたコントローラ31と、無線通信回路32と、アレーアンテナ装置33とを備えて構成される。ここで、アレーアンテナ装置33はアレーアンテナ装置17及び24と同様に構成される。コントローラ31は、無線通信回路32の動作を制御するとともに、コントローラ13と同様に、アレーアンテナ装置33の動作を制御する。また、無線通信回路32は、コントローラ31から入力される所定の制御コマンドを所定のパケットの形式のデジタル信号に変換し、当該デジタル信号に従って無線搬送波信号をデジタル変調し、変調後の無線信号を、アレーアンテナ装置33を介してソース機器10のアレーアンテナ装置17及びシンク機器20Bのアレーアンテナ装置24に向け無線送信する。また、ソース機器10のアレーアンテナ装置17及びシンク機器20Bのアレーアンテナ装置24から送信された無線信号はアレーアンテナ装置33により受信された後、無線通信回路32に入力される。無線通信回路32は、受信された無線信号をデジタル信号に復調した後、当該デジタル信号から所定のパケット分離処理により所定の制御コマンドを取り出し、コントローラ31に出力する。
次に、予約期間CTBt及びCTBrの予約方法を説明する。はじめに、ソース機器10のコントローラ13は、競合期間RATBにおいて、予約期間CTBt及びCTBrを要求して予約するために、コントローラ13と同様に、帯域幅要求コマンドを生成してコーディネータ機器30のコントローラ31内の帯域管理部28に送信する。これに応答して、帯域管理部28は、帯域幅要求コマンドに含まれるパラメータに基づいて、第1の実施形態と同様に、予約期間CTBt及びCTBrを割り当てる。割り当てられた予約期間CTBt及びCTBrの期間指定情報っsは、周期Tsfで周期的にコーディネータ機器30から送信されるビーコン信号によって無線通信ネットワークの全機器に通知される。
本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、第1の実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムと同様に、従来技術に比較して、確実に且つ正確にRTTを測定できる。
なお、上記第1から第4の各実施形態において、アレーアンテナ装置17,24,33に代えて、エスパアンテナ装置などの指向性を制御できるアンテナ装置を用いてもよい。
第5の実施形態.
図10は、本発明の第5の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図であり、図11は、本発明の第5の実施形態に係るRTT測定方法のメッセージシーケンスの一例を示すシーケンス図である。
図10において、送信局601と受信局611との間には、無線リンクが確立されている。送信局601は、DTCPコマンドの送信及び受信を行うDTCPコマンド送受信部602と、RTT測定部604を備えた非圧縮映像伝送無線モジュール部603と、アンテナ605とを備えて構成されたことを特徴としている。また、DTCPコマンドの送信及び受信を行うDTCPコマンド送受信部612と、RTT応答送信部614を備えた非圧縮映像伝送無線モジュール613と、アンテナ615とを備えて構成されたことを特徴としている。
本実施形態に係る無線通信システムは、送信局601のRTT測定部604を、送信局601の非圧縮映像伝送無線モジュール部603の中に設け、受信局611のRTT応答送信部614も、RTT測定部604と同様に、非圧縮映像伝送無線モジュール部613の中に設けたことを特徴としている。従って、RTT測定部604を非圧縮映像用モジュール部603の内部に設けたので、後述するように、RTT測定部604は、スーパーフレーム301における競合区間303(図13)の開始タイミングと同じタイミングでRTT試験コマンド(RTT_TEST.CMD)を送信してRTTの測定を開始することができる。これにより、本実施形態に係るRTT測定方法によって測定されたRTTは、図15の従来技術に係るRTT測定部402によって測定された時間RTTmに含まれていた待ち時間502を含まない。
次に、図11を参照して、本実施形態に係るRTT測定方法を説明する。図11は、RTT試験コマンド(以下、RTT_TEST.CMDという。)114及びアクセプテッドレスポンスコマンド(以下、ACCEPTED.RSPという。)116の通信シーケンスを示す。また、図11において、DTCPにおけるAKE動作のうち、Challenge-Response動作の部分は完了しているとする。
図11において、まず、送信局601のDTCPコマンド送受信部602は、RTT測定開始指示111のコマンドを、RTT測定部604に送信する。一方、受信局611のDTCPコマンド送受信部612は、RTT応答準備指示112のコマンドを、RTT応答送信部614に送信しておく。RTT測定部604は、RTT測定開始指示111のコマンドを受信すると、直ちにRTTの測定を開始するのではなく、MACスーパーフレーム301が競合区間303になるまで、待ち時間113だけ待機する。MACスーパーフレーム301が競合区間303になると、RTT測定部604は、RTT_TEST.CMD114を受信局611に送信することにより、RTTの測定を開始し、RTT測定部604のタイマ回路(図示しない)を起動する。
RTT_TEST.CMD114に応答して、RTT応答送信部614は、受信したRTT_TEST.CMD114をDTCPコマンド送受信部612に転送することなく、処理時間115を要する所定の処理を行い、ACCEPTED.RSP116を送信局601に送信する。RTT測定部604は、ACCEPTED.RSP116を受信すると、タイマ回路を停止し、当該タイマ回路を用いて測定されたタイマ値を含むRTT測定完了報告117のコマンドを、DTCPコマンド送受信部602に送信する。
DTCPコマンド送受信部602は、受信したRTT測定完了報告117に含まれるタイマ値に基づいてRTTを算出し、RTTが7ミリ秒以下か否かを判断する。その結果、RTTが7ミリ秒以下であるときは、受信局611はDTCPにおけるパケット往復時間RTTに要求される条件を満たしている機器であると判断し、受信局611を認証するための認証処理の次のステップに進む。
RTTが7ミリ秒より大きいときは、再びRTTの測定を行う。もし、RTTの測定を1024回行ってもRTTの値が7ミリ秒以下にならなければ、受信局611はDTCPにおけるRTTに要求される条件を満たさない機器であると判断して認証処理を終了し、認証処理の次のステップには進まない。
ここで、図15の従来技術に係るRTT測定方法によって測定された時間RTTmは、RTT測定部402がRTT試験コマンドを送信してからアクセプテッドレスポンスコマンドを受信するまでの時間であり、DTCPにおいて規定されているRTTの他に、遅延時間501,503,505,507,待ち時間502,506及び処理時間504を、伝送遅延時間として含む。ここで、MACスーパーフレーム301の期間長が一般に20ミリ秒であるので、待ち時間502,506は、7ミリ秒を超える場合がある。また、送信局401で発生する遅延時間501,507及び受信局405で発生する遅延時間503,505は、DTCPにおいて規定されているRTTには含まれない。従って、RTT測定部402によって測定された時間RTTmは、DTCPにおいて規定されたRTTに比較して大きく、例えば7ミリ秒を超えてしまう可能性があった。このとき、送信局401は受信局405を認証しない。従って、従来技術に係るRTT測定方法によれば、例えば、受信局405が家庭内に設置されているにも関わらず、送信局401は受信局405を、家庭外に設置された機器であると判断し、コンテンツデータを送信できない可能性があった。すなわち、図15の従来技術に係るRTT測定方法によって測定された時間RTTmから、遅延時間501,503,505,507及び待ち時間502,506を削減する必要があった。
本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、RTT測定部604を非圧縮映像伝送無線モジュール部603内に設け、RTT応答送信部614を非圧縮映像伝送無線モジュール部613内に設けたので、送信局601及び受信局611内での機器内部通信時間501,503,505,507を含まないRTTを測定することができる。また、競合区間303の開始タイミングの情報を保持している非圧縮映像伝送無線モジュール部603がRTTの測定を開始するので、競合区間を待機する待ち時間502,506を含まないRTTを測定することができる。すなわち、送信局601において競合区間303を待機するための待ち時間113が、測定されたRTTに実質的に含まれないので、従来技術に比較して、RTTに加わる伝送遅延時間を大幅に削減し、RTTを正確に測定できる。さらに、RTT_TEST.CMD114のパケット及びACCEPTED.RSP116のパケットを1つの競合区間303に挿入することによって、RTTに加わる遅延時間を削減できる。従って、本実施形態のRTT測定方法によれば、従来技術に比較して正確にRTTを測定できる。これにより、例えば、従来技術に係るRTTの測定方法によってRTTが7ミリ秒より大きい機器であると誤って判定された機器について、7ミリ秒以下の値を有する正確なRTTを測定できる。
また、本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、受信局611のRTT応答送信部614は、受信したRTT_TEST.CMD114を、DTCPコマンド送受信部612に送信する必要がないので、受信局611内部の通信時間を削減できる。また、RTT_TEST.CMD114が送られてきた競合区間303において、ACCEPTED.RSP116を即座に返信することができる。なお、この競合区間303は、RTT測定時のみ確保してもよいし、常時設けていてもよい。
次に、RTT測定のために用いられる競合区間303の期間長を短縮する4つの方法を説明する。
1つめの方法は、RTT_TEST.CMD114及びACCEPTED.RSP116のパケットを受信確認不要パケットに設定することを含む。これにより、当該パケットを受信した受信局611又は送信局601は、受信確認パケットを送信することなく次のパケットを送信できるので、競合区間303において受信確認パケットの送信に費やされる時間を短縮できる。
2つめの方法は、RTT_TEST.CMD114を受信した受信局611は、当該RTT_TEST.CMD114に対する受信確認パケットに、ACCEPTED.RSP611の情報を含めて送信することを含む。一般に受信確認パケットには何もデータを含まないが、受信確認パケットにデータ部を設けることにより、この方法を実現できる。この場合は、競合区間303において、受信局611が受信確認パケット送信するまでのバックオフ期間及びSIFS期間も削減が可能である。
3つめの方法は、RTT_TEST.CMD114及びACCEPTED.RSP116をビームパケットで送信することを含む。本実施形態に係る無線通信システムでは指向性パケット(ビームフォームドパケット)と無指向性パケット(オムニパケット)を利用することができ、それぞれのプリアンブル長が異なる。ショートオムニパケットのプリアンブル長に比べてビームフォームドパケットは短いので、RTT測定のために用いられる競合区間303の期間長を短縮できる。
4つめの方法は、RTT_TEST.CMD114及びACCEPTED.RSP116を送信する際に発生するバックオフ待ち時間を削減することを含む。一般に、競合区間303においてパケットを送信する場合には、送信待ち時間(バックオフ期間)が設けられる。この送信待ち時間は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)プロトコルで衝突回避のために設けられた送信待ち時間である。この待ち時間があることで、複数の局が同時に送信され、衝突してしまうようなことを極力回避できるように設計されている。しかしながら、パケットの送信順序に優先順位をつけることにより、このバックオフ期間を削減できる。具体的には、例えばパケットに1から3の値の優先順位をつけ、優先順位1を有するパケットを最優先のパケット、優先順位3を有するパケットを最も優先度が低いパケットとし、優先順位2を有するパケットをそれらの中間の優先度のパケットであるとする。さらに、RTT_TEST.CMD114及びACCEPTED.RSP116のパケットの優先順位を最優先の1に設定する。このとき、優先度1を有するパケットを送信する際にはバックオフ期間なしで送信できるようMACを設計することにより、RTT_TEST.CMD114及びACCEPTED.RSP116はバックオフ期間なしで送信でき、RTT測定のために用いられる競合区間303の期間長を短縮できる。
上述のように、RTTの測定のために用いられる競合区間303の期間長を短縮し、つまり、競合区間303を必要以上に拡張することなく、従来技術に比較してRTTを正確に測定できる。
本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、非圧縮映像伝送無線システムを利用して、著作権の保護が必要なコンテンツのコンテンツデータを暗号化して伝送する場合に、正確にRTTを測定できる。従って、DTCPによって著作権保護された動画のコンテンツのデータを送信するための制約である、送信元と送信先との間のパケット往復時間RTTが7ミリ秒以下という条件を満足する機器を、従来技術に比較して正確に検出できる。従って、本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムは、非圧縮映像伝送無線システムにてDTCPを利用して著作権保護されたコンテンツのデータを伝送するのに有用である。
なお、本実施形態において、競合区間303においてRTT測定に関する通信パケットを送受信したが、非競合区間をRTTの通信パケット(RTT_TEST.CMD114及びACCEPTED.RSP116のパケットである。)のために予約し、用いてもよい。具体的には、DTCPにおけるAKE動作を開始する前、又はRTT測定を開始する前に、送信局601は非競合区間の一部をRTTの通信パケットのため予約し、予約した非競合期間においてRTTの通信パケットの伝送を行う。そして、RTTの測定が終了した後、又はAKE動作の終了後、送信局601は予約された非競合区間の開放を、無線通信システムの帯域管理を行うコーディネータ機器に要求する。
以上詳述したように、本発明に係るRTT測定方法及びそれを用いた無線通信システムによれば、ソース機器は、上記シンク機器との間の無線通信を制御する第1の制御手段を備え、上記第1の制御手段は、上記シンク機器へのパケット往復時間RTTを測定するときに、往復パケット用の帯域割り当てを要求する帯域幅要求コマンド信号を、上記帯域管理手段に送信する。これに応答して、帯域管理手段は、上記ソース機器から上記シンク機器に第1のパケットを送信するための第1の予約期間と、上記シンク機器から上記ソース機器に第2のパケットを返信するための第2の予約期間とを所定のフレーム期間内に割り当て、上記第1及び上記第2の予約期間を上記第1の制御手段に通知し、上記第1の制御手段は、上記第1の予約期間の開始タイミングにおいて、上記第1のパケットを送信するとともにパケット往復時間RTTの測定を開始し、上記第2のパケットを受信したときにパケット往復時間RTTの測定を終了する。従って、従来技術に比較して、正確に且つ確実にパケット往復時間RTT測定できる。本発明は特に、例えば、ワイヤレスHD(Wireless High-Definition)などの無線通信規格に準拠した無線通信システムにおいて、著作権の保護が必要なコンテンツデータ伝送のRTT測定に利用できる。
本発明は、パケット往復時間(以下、RTT(Round Trip Time)という。)の測定方法及びそれを用いた無線通信システムに関し、特に、例えば著作権の保護が必要なコンテンツデータのパケットデータ伝送を行う無線通信システムにおいて、それぞれ映像音声機器(以下、AV機器という。)であるソース機器とシンク機器との間におけるRTTを測定するための方法及びそれを用いた通信システムに関する。
デジタル放送や高速インターネットなどによりデジタル系のインフラストラクチャ(ネットワーク基盤)が整備され、また同時にDVDやBDなど大容量の記録メディアが普及し、誰でも簡単にネットワーク経由で劣化のないデジタルコンテンツを入手できるようになっている。このような背景にあって著作権保護の仕組みは非常に重要であり、中でもネットワーク上でコンテンツの著作権を保護する規格DTCP(Digital Transmission Content Protection)は、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)やMOST(Media Oriented Systems Transport)、ブルーツゥース(Bluetooth)、インターネットプロトコル(IP)へと適用範囲が広がり、既に対応商品などの数も増えている。
DTCP−IP(非特許文献1参照)では、ルーターを介した家庭内ネットワークと外部のネットワークとの接続を認めておらず、コンテンツデータを送信するソース機器とコンテンツデータを受信するシンク機器との接続範囲の制限を求めている。すなわち、ソース機器とシンク機器とのパケット往復時間RTTを測定することで、RTTが制限時間(例えば、7ミリ秒)以下にある場合のみ、ソース機器はシンク機器を認証して、シンク機器にデータを送信できる。非特許文献1には、認証及び鍵交換(Authentication and Key Exchange. 以下、AKEという。)に基づく、接続機器の判定及び鍵共有が規定されている。
特許文献1には、従来技術に係るパケット往復時間測定プログラムが開示されている。図12は、従来技術に係るパケット往復時間測定プログラムを用いたソース機器201の構成を示すブロック図である。図12において、RTT測定部217は、RTT測定コマンドを生成し、RTTを測定する。MAC処理部213は、送信帯域を取得し、さらに、取得した上記送信帯域において、RTT測定コマンドをパケットとして送信する。コマンド情報通知部216は、RTTを測定する際に参照されるコマンド情報を、MAC処理部213が上記パケットを送信するタイミングに基づいて生成し、RTT測定部217に通知する。このように、コマンド情報通知部216を介して、MAC処理部213とRTT測定部217とが連携することにより、RTTに加わる伝送遅延時間を低減できるので、RTTを正確に測定できる。
特開2006−270248号公報。
DTCP Volume 1, Supplement E, Mapping DTCP to IP, (Information Version), Hitachi, Ltd. et al., Revision 1.1, February 28, 2005.
上述した従来技術に係るパケット往復時間測定プログラムは、無線LAN(Local Area Network)のIEEE802.11規格に準拠した通信プロトコルを用いる通信システムにおいてRTTを測定することを想定しており、図12のソース機器201は、MPEG−2などの圧縮方式を用いて圧縮された映像データを送信する。このとき、例えば、1080/60i方式の高精細なハイビジョンデータを送信する場合、データ転送速度は約24Mbpsである。
しかしながら、非圧縮の映像コンテンツデータをパケットデータ伝送する無線通信システムにおいて、1080/60i方式の高精細なハイビジョンデータを送信する場合、データ転送速度は約1.5Gbpsに達し、1080/60p方式の映像データを送信する場合、データ転送速度は約3Gbpsにも達する。このため、当該無線通信システムにおいてRTTの測定を行う際に、図13を参照して以下に述べる課題が生じた。
図13は、従来技術に係る非圧縮の映像コンテンツデータをパケットデータ伝送する無線通信システムにおいて用いられる媒体アクセス制御(以下、MAC(Medium Access Control)という。)フレームの構成の一例を示すタイミングチャートである。図13において、MACフレームは、スーパーフレームと呼ばれるフレームフォーマットを有する。各スーパーフレーム301は、先頭から、ビーコン信号を伝送するための期間であるビーコン302、無線通信システム内の全ての機器が信号を送信できる期間である1つの競合区間303、及び映像及び音声の広帯域のデータを伝送するための複数の期間である複数の非競合区間304〜306を含む。無線通信システム内の送信局は、非圧縮の映像コンテンツデータを他の機器にパケットデータ伝送するとき、非競合区間304〜306のいずれかを予め予約する。ここで、非競合区間304〜306の帯域量はそれぞれ、伝送されるデータ量に応じて変更可能である。また、全ての非競合区間304〜306が予約されるまでは、無線通信システム内の任意の送信局が、予約されていない非競合区間304〜306を予約できる。例えば、無線通信システム内の送信局Aが非競合区間304を予約し、かつ送信局Bが非競合区間305,306を予約してもよい。
図13において、各非競合区間304〜306において伝送される非圧縮の映像データの量が増加すると、各非競合区間304〜306の帯域量が大きくなり、スーパーフレーム301の99%程度が予約済みになる場合がある。このとき、従来技術に係る図12のMAC処理部213は、RTT測定コマンドを送信するための送信帯域をスーパーフレーム301内において予約できず、RTTを測定できない可能性があった。
次に、図14及び図15を用いて、例えば、図13の競合区間303を用いてRTTを測定する従来技術に係るRTT測定方法及びその問題点を述べる。図14は、従来技術に係るRTT測定方法を用いた無線通信システムの構成を示すブロック図であり、図15は、図14のRTT測定方法を示すシーケンス図である。
図14の無線通信システムは、無線通信回線を介して接続された送信局401と受信局405とを備えて構成される。送信局401は、DTCPを用いて暗号化された著作権保護が必要な映像コンテンツのデータを受信局405に無線送信するDTCPソース機器であり、受信局405は、当該映像コンテンツのデータを受信するDTCPシンク機器である。
図14において、送信局401は、RTT測定部402と、非圧縮映像無線伝送モジュール部403と、RTT測定部402と非圧縮映像無線伝送モジュール403とを接続する内部通信用の伝送路404と、アンテナ409とを備えて構成される。また、受信局405は、非圧縮映像無線伝送モジュール部406と、RTT応答送信部407と、非圧縮映像無線伝送モジュール部406とRTT応答送信部407とを接続する内部通信用の伝送路408と、アンテナ410とを備えて構成される。ここで、伝送路404及び408はそれぞれ、I2C(Inter Integrated Circuit)などの機器内部での通信のためのバスである。
図14において、送信局401のRTT測定部402は、受信局405のRTT応答送信部407との間で、DTCPにおけるAKE動作を開始する。AKE動作のうち、Challenge-Response動作の部分が完了すると、RTT測定部402は、図15を用いて詳述するように、RTTの測定を行う。
図15において、RTT測定部402は、RTT試験コマンド(RTT_TEST.CMD)を発生して、伝送路404を介して非圧縮映像無線伝送モジュール部403に送信する。ここで、RTT試験コマンドの送信は、伝送路404及び通信インターフェースによるインターフェース処理によって遅延時間501だけ遅延される。次に、非圧縮映像無線伝送モジュール部403は、受信したRTT試験コマンドを含む信号に従って、無線搬送波信号を変調し、スーパーフレーム301における次の競合区間303(図14参照)を待ち時間502だけ待機した後、競合区間303において、変調後の無線信号をアンテナ409を介して受信局405のアンテナ410に向け無線送信する。
さらに図15において、送信局401から送信される無線信号はアンテナ410により受信された後、非圧縮映像無線伝送モジュール部406に入力され、無線信号をデジタル信号に復調した後、RTT試験コマンドが取り出される。非圧縮映像無線伝送モジュール部406は、取り出されたRTT試験コマンドを、伝送路408を介してRTT応答送信部407に送信する。ここで、RTT試験コマンドの送信は、伝送路408及び通信インターフェースによるインターフェース処理によって遅延時間503だけ遅延される。RTT応答送信部403は、RTT試験コマンドを受信すると、所定の処理時間504を要する所定の処理を行い、アクセプッテッドレスポンス(ACCEPTED.RSP)コマンドを生成して、非圧縮映像無線伝送モジュール部406に送信する。ここで、アクセプッテッドレスポンスの送信は、伝送路408及び通信インターフェースによるインターフェース処理によって遅延時間505だけ遅延される。非圧縮映像無線伝送モジュール部406は、受信されたアクセプッテッドレスポンスコマンドを含む信号に従って、無線搬送波信号を変調し、スーパーフレーム301における次の競合区間303(図14参照)を待ち時間506だけ待機した後、競合区間303において、変調後の無線信号をアンテナ410を介して送信局401のアンテナ409に向け無線送信する。
受信局405から送信される無線信号はアンテナ409により受信された後、非圧縮映像無線伝送モジュール部403に入力され、無線信号をデジタル信号に復調した後、アクセプッテッドレスポンスが取り出される。非圧縮映像無線伝送モジュール部403は、取り出されたアクセプッテッドレスポンスコマンドを、伝送路404を介してRTT測定部402に送信する。ここで、アクセプッテッドレスポンスコマンドの送信は、伝送路404及び通信インターフェースによるインターフェース処理によって遅延時間507だけ遅延される。
なお、RTT試験コマンドのパケットの中には、予めソース機器である送信局401とシンク機器である受信局405との間で共有されたKauth(認証鍵)のSHA(Secure Hash Algorithm)−1によるハッシュ値であるMKとRTT測定の試行番号Nの和のSHA−1によるハッシュ値のうち、上位80ビットが格納されている。また、アクセプッテッドレスポンスのパケットの中には、上記ハッシュ値の下位80ビットが格納されている。つまり、RTT試験コマンド及びアクセプッテッドレスポンスコマンドのデータ長はそれぞれ、10バイトに等しい。
ここで、DTCPにおいて、測定されるべきRTTは、ソース機器がRTT試験コマンドをシンク機器に対して送信したときから、シンク機器が当該コマンドを受信した後にアクセプッテッドレスポンスコマンドをソース機器に対して送信し、当該レスポンスコマンドをソース機器が受信するまでの時間として定義されている(非特許文献1の26ページの図4参照。)。
図15において、RTT測定部402によってRTTとして測定される時間RTTmは、RTT測定部402がRTT試験コマンドを送信してからアクセプテッドレスポンスコマンドを受信するまでの時間であり、上記のDTCPにおいて規定されているRTTの他に、遅延時間501,503,505,507,待ち時間502,506及び処理時間504を、伝送遅延時間として含む。従って、RTT測定部402によって測定された時間RTTmは、DTCPにおいて規定されたRTTに比較して大きく、例えば7ミリ秒を超えてしまう可能性があった。このとき、送信局401は受信局405を認証しない。従って、従来技術に係るRTT測定方法によれば、例えば、受信局405が家庭内に設置されているにも関わらず、送信局401は受信局405を、家庭外に設置された機器であると判断し、コンテンツデータを送信できない可能性があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、ソース機器とシンク機器との間におけるRTTを、従来技術に比較して確実に且つ正確に測定できる、RTT測定方法及びそれを用いた無線通信システムを提供することにある。
第1の発明に係るパケット往復時間RTTの測定方法は、
ソース機器からシンク機器にコンテンツデータをパケット無線伝送し、当該パケット無線伝送の帯域管理を行う帯域管理手段を備えた無線通信システムのためのパケット往復時間RTTの測定方法において、
上記ソース機器は、上記シンク機器との間の無線通信を制御する第1の制御手段を備え、
上記第1の制御手段は、上記シンク機器へのパケット往復時間RTTを測定するときに、往復パケット用の帯域割り当てを要求する帯域幅要求コマンド信号を、上記帯域管理手段に送信し、
上記帯域管理手段は、上記帯域幅要求コマンド信号に応答して、上記ソース機器から上記シンク機器に第1のパケットを送信するための第1の予約期間と、上記シンク機器から上記ソース機器に第2のパケットを返信するための第2の予約期間とを所定のフレーム期間内に割り当て、上記第1及び上記第2の予約期間を上記第1の制御手段に通知し、
上記第1の制御手段は、上記第1の予約期間の開始タイミングである第1のタイミングにおいて、上記第1のパケットを送信するとともにパケット往復時間RTTの測定を開始し、上記第2のパケットを受信した第2のタイミングにおいてパケット往復時間RTTの測定を終了し、上記第1及び第2のタイミングの時間差に基づいてパケット往復時間RTTを算出することを特徴とする。
上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記帯域管理手段は、上記コンテンツデータの送信のための第3及び第4の予約期間を上記フレーム期間内に割り当て、上記第1及び第2の予約期間を上記第3及び第4の予約期間の間に、上記第2の予約期間が上記第1の予約期間に連続するように割り当てることを特徴とする。
また、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記帯域管理手段は、上記第1及び第2の予約期間を割り当てるための所定の時間期間を上記フレーム期間に予め確保し、上記第1及び第2の予約期間を、上記所定の時間期間に、上記第2の予約期間が上記第1の予約期間に連続するように割り当てることを特徴とする。
さらに、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記帯域管理手段は、上記コンテンツデータの送信のための第3及び第4の予約期間を、上記所定の期間の前後にそれぞれ割り当てることを特徴とする。
またさらに、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記第1の制御手段は、上記パケット往復時間RTTの測定を終了した後、上記第1及び第2の予約期間の開放を要求する帯域開放要求コマンド信号を上記帯域管理手段に送信し、
上記帯域管理手段は、上記帯域開放要求コマンド信号に応答して、上記第1及び第2の予約期間を開放し、上記開放された第1及び第2の予約期間を、上記無線通信システム内の別の機器間のパケット往復時間RTTの測定のために確保することを特徴とする。
また、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記シンク機器は、上記ソース機器との間の無線通信を制御する第2の制御手段を備え、
上記第2の制御手段は、上記ソース機器からの第1のパケットに応答して、上記第2のパケットを上記第1の制御手段に送信することを特徴とする。
さらに、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記第2の制御手段は、上記ソース機器からの第1のパケットを受信する前に、上記第2のパケットを生成することを特徴とする。
またさらに、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記ソース機器は、上記コンテンツデータに対して所定の著作権保護処理を行う第3の制御手段をさらに備え、
上記第3の制御手段は、上記シンク機器へのパケット往復時間RTTの測定の開始を要求するRTT測定要求コマンド信号を上記第1の制御手段に送信し、
上記第1の制御手段は、上記RTT測定要求コマンド信号に応答して、上記帯域幅要求コマンド信号を上記帯域管理手段に送信することを特徴とする。
また、上記パケット往復時間RTTの測定方法において、上記シンク機器は、上記コンテンツデータに対して所定の著作権保護処理を行う第4の制御手段をさらに備え、
上記第4の制御手段は、上記第2のパケットの生成を要求するRTTレスポンス設定要求コマンド信号を上記第2の制御手段に送信し、
上記第2の制御手段は、上記RTTレスポンス設定要求コマンド信号に応答して、上記第2のパケットを生成することを特徴とする。
第2の発明に係る無線通信システムは、
ソース機器からシンク機器にコンテンツデータをパケット無線伝送し、当該パケット無線伝送の帯域管理を行う帯域管理手段を備えた無線通信システムにおいて、
上記ソース機器は、上記シンク機器との間の無線通信を制御する第1の制御手段を備え、
上記第1の制御手段は、上記シンク機器へのパケット往復時間RTTを測定するときに、往復パケット用の帯域割り当てを要求する帯域幅要求コマンド信号を、上記帯域管理手段に送信し、
上記帯域管理手段は、上記帯域幅要求コマンド信号に応答して、上記ソース機器から上記シンク機器に第1のパケットを送信するための第1の予約期間と、上記シンク機器から上記ソース機器に第2のパケットを返信するための第2の予約期間とを所定のフレーム期間内に割り当て、上記第1及び上記第2の予約期間を上記第1の制御手段に通知し、
上記第1の制御手段は、上記第1の予約期間の開始タイミングである第1のタイミングにおいて、上記第1のパケットを送信するとともにパケット往復時間RTTの測定を開始し、上記第2のパケットを受信した第2のタイミングにおいてパケット往復時間RTTの測定を終了し、上記第1及び第2のタイミングの時間差に基づいてパケット往復時間RTTを算出することを特徴とする。
上記無線通信システムにおいて、上記帯域管理手段は、上記コンテンツデータの送信のための第3及び第4の予約期間を上記フレーム期間内に割り当て、上記第1及び第2の予約期間を上記第3及び第4の予約期間の間に、上記第2の予約期間が上記第1の予約期間に連続するように割り当てることを特徴とする。
また、上記無線通信システムにおいて、上記帯域管理手段は、上記第1及び第2の予約期間を割り当てるための所定の時間期間を上記フレーム期間に予め確保し、上記第1及び第2の予約期間を、上記所定の時間期間に、上記第2の予約期間が上記第1の予約期間に連続するように割り当てることを特徴とする。
さらに、上記無線通信システムにおいて、上記帯域管理手段は、上記コンテンツデータの送信のための第3及び第4の予約期間を、上記所定の期間の前後にそれぞれ割り当てることを特徴とする。
またさらに、上記無線通信システムにおいて、上記第1の制御手段は、上記パケット往復時間RTTの測定を終了した後、上記第1及び第2の予約期間の開放を要求する帯域開放要求コマンド信号を上記帯域管理手段に送信し、
上記帯域管理手段は、上記帯域開放要求コマンド信号に応答して、上記第1及び第2の予約期間を開放し、上記開放された第1及び第2の予約期間を、上記無線通信システム内の別の機器間のパケット往復時間RTTの測定のために確保することを特徴とする。
また、上記無線通信システムにおいて、上記シンク機器は、上記ソース機器との間の無線通信を制御する第2の制御手段を備え、
上記第2の制御手段は、上記ソース機器からの第1のパケットに応答して、上記第2のパケットを上記第1の制御手段に送信することを特徴とする。
さらに、上記無線通信システムにおいて、上記第2の制御手段は、上記ソース機器からの第1のパケットを受信する前に、上記第2のパケットを生成することを特徴とする。
またさらに、上記無線通信システムにおいて、上記ソース機器は、上記コンテンツデータに対して所定の著作権保護処理を行う第3の制御手段をさらに備え、
上記第3の制御手段は、上記シンク機器へのパケット往復時間RTTの測定の開始を要求するRTT測定要求コマンド信号を上記第1の制御手段に送信し、
上記第1の制御手段は、上記RTT測定要求コマンド信号に応答して、上記帯域幅要求コマンド信号を上記帯域管理手段に送信することを特徴とする。
また、上記無線通信システムにおいて、上記シンク機器は、上記コンテンツデータに対して所定の著作権保護処理を行う第4の制御手段をさらに備え、
上記第4の制御手段は、上記第2のパケットの生成を要求するRTTレスポンス設定要求コマンド信号を上記第2の制御手段に送信し、
上記第2の制御手段は、上記RTTレスポンス設定要求コマンド信号に応答して、上記第2のパケットを生成することを特徴とする。
本発明に係るRTT測定方法及びそれを用いた無線通信システムによれば、ソース機器は、上記シンク機器との間の無線通信を制御する第1の制御手段を備え、上記第1の制御手段は、上記シンク機器へのパケット往復時間RTTを測定するときに、往復パケット用の帯域割り当てを要求する帯域幅要求コマンド信号を、上記帯域管理手段に送信する。これに応答して、帯域管理手段は、上記ソース機器から上記シンク機器に第1のパケットを送信するための第1の予約期間と、上記シンク機器から上記ソース機器に第2のパケットを返信するための第2の予約期間とを所定のフレーム期間内に割り当て、上記第1及び上記第2の予約期間を上記第1の制御手段に通知し、上記第1の制御手段は、上記第1の予約期間の開始タイミングである第1のタイミングにおいて、上記第1のパケットを送信するとともにパケット往復時間RTTの測定を開始し、上記第2のパケットを受信した第2のタイミングにおいてパケット往復時間RTTの測定を終了し、上記第1及び第2のタイミングの時間差に基づいてパケット往復時間RTTを算出する。従って、本従来技術に比較して、正確に且つ確実にパケット往復時間RTT測定できる。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図であり、図2は、本発明の第1の実施形態に係るRTT測定方法のメッセージシーケンスの概略を示すシーケンス図である。また、図3は、本発明の第1の実施形態に係るRTT測定のための帯域幅要求コマンドにおける典型的なパラメータを示すテーブルであり、図4は、図3のパラメータを用いたスーパーフレームのスケジューリングの一例を示すタイミングチャートである。さらに、図5は、図4のRTT試験コマンドのパケットのための予約期間CTBtに必要とされる期間長及びRTTレスポンスコマンドのパケットのための予約期間CTBrに必要とされる期間長を示す図であり、図6は、本発明の第1の実施形態に係るRTT測定方法のメッセージシーケンスの一例を示すシーケンス図である。
本実施形態に係るパケット往復時間RTTの測定方法及びそれを用いた無線通信システムによれば、ソース機器10は、シンク機器20との間の無線通信を制御するコントローラ13を備え、コントローラ13は、シンク機器20へのパケット往復時間RTTを測定するときに、往復パケット用の帯域割り当てを要求する帯域幅要求コマンド信号を帯域管理部28に送信し、これに応答して、帯域管理部28は、ソース機器10からシンク機器20にRTT試験コマンドを含むパケットを送信するための予約期間CTBtと、シンク機器20からソース機器10にRTTレスポンスコマンドを含むパケットを返信するための予約期間CTBrとをスーパーフレーム期間内に割り当て、予約期間CTBt及びCTBrをコントローラ13に通知し、コントローラ13は、予約期間CTBtの開始タイミングである第1のタイミングにおいて、RTT試験コマンドを含むパケット送信するとともにパケット往復時間RTTの測定を開始し、RTTレスポンスコマンドを含むパケットを受信した第2のタイミングにおいてパケット往復時間RTTの測定を終了し、上記第1及び第2のタイミングの時間差に基づいてパケット往復時間RTTを算出することを特徴としている。
始めに、図1及び図6を参照して、無線ビデオエリアネットワーク(以下、WVAN(Wireless Video Area Network)という。)である無線通信ネットワークの無線通信回線を介して互いに接続されたソース機器10及びシンク機器20の構成及び動作について説明する。
図1及び図6において、ソース機器10は、映像音声再生装置14と、映像音声再生装置14の動作を制御するコントローラ11(コンテンツ保護エンティティに対応する。)と、バッファメモリ15mを含むAV信号処理回路15と、AV信号処理回路15の動作を制御するコントローラ12(RTTイニシエータのAVコントローラに対応する。)と、無線通信回路16と、アレーアンテナ装置17と、無線通信回路16及びアレーアンテナ装置17の動作を制御するコントローラ13(RTTイニシエータのMAC/MLME(MAC layer management entity:媒体アクセス制御層の管理エンティティ)に対応する。)とを備えて構成される。ここで、コントローラ13は、タイマ回路13tを備える。
図1において、映像音声再生装置14は、例えばブルーレイ(Blu−ray)ディスクプレーヤであって、Blu−rayディスクなどの記録媒体から映像及び音声データを含むコンテンツデータのコンテンツを再生してAV信号処理回路15に出力する。コントローラ11は、映像及び音声データを含むコンテンツデータに対してDTCPによる著作権保護処理を行う。AV信号処理回路15は、コントローラ12からの再生コマンド等の所定の制御コマンドに従って、入力される映像及び音声データに対して暗号化などの所定の信号処理を行った後、処理後の信号をバッファメモリ15mを介して無線通信回路16に出力する。
また、図1において、無線通信回路16は、入力される映像及び音声データ並びにコントローラ13から入力される所定の制御コマンドを所定のパケットの形式のデジタル信号に変換し、当該デジタル信号に従って無線搬送波信号をデジタル変調し、変調後の無線信号を、アレーアンテナ装置17を介してシンク機器20のアレーアンテナ装置24に向け無線送信する。また、シンク機器20のアレーアンテナ装置24から送信された無線信号はアレーアンテナ装置17により受信された後、無線通信回路16に入力される。無線通信回路16は、受信された無線信号をデジタル信号に復調した後、当該デジタル信号から所定のパケット分離処理により所定の制御コマンドを取り出し、コントローラ13に出力する。
ここで、アレーアンテナ装置17は、複数のアンテナ素子と、送受信分離用デュプレクサと、受信された無線信号及び送信される無線信号をそれぞれ所定の移相量だけ移相させる複数の移相器と、移相後の複数の無線信号を合成する信号合成器と、送信される無線信号を複数の無線信号に分配する信号分配器とを備えて構成される。アレーアンテナ装置17は、60GHz帯を用いて無線通信を行う低速物理層(以下、LRP(Low-Rate Physical Layer)という。)モードを有し、LRPモードは、送信モードの識別子が0であり、無指向性で送信するLRPモード(以下、オムニLRPモード又はLRPの無指向性モードという。)と、指向性で送信するLRPモード(以下、LRPの指向性モードという。)とを含む。コントローラ13は、LRPの無指向性モードにおいて、アレーアンテナ装置17の主ビームが所定の8方向を順次向くように各移相器を制御しながら、無線信号を送信する。一方、コントローラ13は、LRPの指向性モードにおいて、アレーアンテナ装置17の主ビームが所定の1方向を向くように各移相器を制御しながら、無線信号を送信する。
図1及び図6において、シンク機器20は、アレーアンテナ装置24と、無線通信回路25と、無線通信回路16及びアレーアンテナ装置24の動作を制御するコントローラ21(RTTアクセプタのMAC/MLMEに対応する。)と、バッファメモリ26mを備えたAV信号処理回路26と、AV信号処理回路26の動作を制御するコントローラ22(RTTアクセプタのAVコントローラに対応する。)と、スピーカ付きディスプレイ27と、スピーカ付きディスプレイ27の動作を制御するコントローラ23(コンテンツ保護エンティティに対応する。)と備えて構成される。なお、コントローラ21は、無線通信ネットワークの無線伝送の帯域管理を行うスケジューラを含む帯域管理部28を備える。
図1において、ソース機器10のアレーアンテナ装置17から送信された無線信号はアレーアンテナ装置24により受信された後、無線通信回路25に入力される。無線通信回路25は、受信された無線信号をデジタル信号に復調した後、当該デジタル信号から所定のパケット分離処理により映像及び音声データ並びに所定の制御コマンドのみを取り出し、前者のデータをAV信号処理回路26に出力する一方、後者の制御コマンドをコントローラ21に出力する。AV信号処理回路26は、入力される映像及び音声データを暗号復号化などの所定の信号処理を実行した後、バッファメモリ26mを介してスピーカ付きディスプレイ27に出力して映像の表示や音声の出力を行う。コントローラ23は、映像及び音声データに対してDTCPによる著作権保護処理を行う。コントローラ21は、所定の制御コマンドを生成して無線通信回路25に出力する。無線通信回路25は、入力される制御コマンドを所定のパケットの形式のデジタル信号に変換し、当該デジタル信号に従って、無線搬送波信号をデジタル変調し、変調後の無線信号をアレーアンテナ装置24を介してソース機器10のアレーアンテナ装置17に向け無線送信する。アレーアンテナ装置24はアレーアンテナ装置17と同様に構成され、コントローラ21は、コントローラ13と同様にアレーアンテナ装置24の動作を制御する。
なお、図1及び図6において、コントローラ11とコントローラ13との間のコントローラ12を介する通信及び、コントローラ21とコントローラ23との間のコントローラ22を介する通信は、安全に実行される。
次に、図2を用いて、本実施形態に係るRTT測定方法の概略を説明する。図2において、RTTイニシエータであるソース機器10とRTTアクセプタであるシンク機器20とは、コマンドメッセージを含む信号及びレスポンスメッセージを含む信号を送受信している。以下、コマンドメッセージを含む信号を単にコマンド又はコマンドメッセージといい、レスポンスメッセージを含む信号を単にレスポンス又はレスポンスメッセージという。RTTを検証するためのプロセスは、ソース機器10が、時刻t1においてタイマ回路13t(図1参照)を用いて時間の測定を開始し、RTTアクセプタであるシンク機器20に対してRTT試験(RTT test)コマンドメッセージを送信した時に開始する。シンク機器20はこのRTT試験コマンドメッセージを受信し、ソース機器10に対して、RTTレスポンス(RTT response)コマンドメッセージを送信して応答する。ソース機器10は、時刻t2においてRTTレスポンコマンドメッセージを受信し、タイマ回路13tによる時間の測定を停止し、時刻t2と時刻t1との時間差にもとづいて、RTT時間を測定する。ソース機器10は、測定されたRTT時間に基づいて、シンク機器20の認証を行うか否かを判断する。例えば、DTCPにおいて、測定されたRTTが7ミリ秒以下であれば、ソース機器10はシンク機器20を認証する(非特許文献1の図4参照)。なお、ソース機器10及びシンク機器20に代えて、DTCPなどのコンテンツ保護規格によって定義されているRTTイニシエータ又はRTTアクセプタであることが認可されるデバイスであってもよい。
次に、図3、図4及び図5を参照して、RTT試験コマンド及びRTTレスポンスコマンドの伝送方法を説明する。
図1の無線通信ネットワークにおけるパケット通信では、図4に示すスーパーフレームと呼ばれるフレームフォーマットが用いられる。ここで、RTTの検証を適正に実行するために、スーパーフレームにおいて、RTT試験コマンド及びRTTレスポンスコマンドの伝送のために1対の予約期間CTBt及びCTBrが、ソース機器10によって予約される。後述するように、RTTの測定は、必要であれば、スーパーフレーム内の大部分のCTBが既に1080p/60fps/24ビットのカラーの方式などのA/Vストリーミングデータに割り当てられている場合でも、実行される。
図4のフレームフォーマットにおいて、所定の期間長Tsfを有するスーパーフレームが繰り返し配置される。さらに、各スーパーフレームは、先頭から、帯域管理部28がビーコン信号を送信するビーコン期間TBb、無線通信ネットワークの全機器10,20が自由に送信できるランダムアクセスタイムブロック期間である競合期間RATB、ソース機器10からシンク機器20にAVデータを伝送するためのチャンネルタイムブロック(以下、CTB(Channel Time Block)という。)期間である予約期間TBav1、ソース機器10がシンク機器20にRTT試験コマンドを送信するためのCTB期間である予約期間CTBt、シンク機器20がソース機器10にRTTレスポンスコマンドを送信するためのCTB期間である予約期間CTBr及びソース機器10からシンク機器20にAVデータを伝送するためのCTB期間である予約期間TBav2を含む。なお、予約期間CTBt及びCTBr並びに予約期間TBav1及びTBav2は、非競合期間である。ここで、予約期間CTBt及びCTBrは、予約期間Tav1と予約期間Tav2との間の所定の時間期間Tpreに割り当てられ、さらに、予約期間CTBrは予約期間CTBtに連続するように割り当てられる。図4において、スーパーフレームの期間長Tsfは20ミリ秒であり、ビーコン期間TBbの期間長は200マイクロ秒であり、競合期間RATBの期間長は300マイクロ秒であり、予約期間CTBt及びCTBrの期間長はそれぞれ、200マイクロ秒である。
次に、予約期間CTBt及びCTBrの予約方法を説明する。はじめに、ソース機器10のコントローラ13は、競合期間RATBにおいて、予約期間CTBt及びCTBrの割り当てを要求して予約するために、帯域幅要求コマンドを生成してシンク機器20のコントローラ21内の帯域管理部(以下、帯域管理部という。)28に送信する。図3に示すように、帯域幅要求コマンドは、パラメータとして、予約期間CTBt及びCTBrの最小のスケジュール期間(Minimum Schedule Period)、予約期間CTBt及びCTBrの最大のスケジュール期間(Maximum Schedule Period)、予約期間CTBt及びCTBrのタイムブロックの継続時間(Time Block Duration)及びCTBペアの予約(paired CTBs)を含む。帯域幅要求コマンドに応答して、帯域管理部28は、帯域幅要求コマンドに含まれる上記パラメータに基づいて、予約期間TBav1と予約期間TBav2との間の所定の時間期間Tpreに、予約期間CTBrが予約期間CTBtに連続するように、予約期間CTBt及びCTBrを割り当てる。割り当てられた予約期間CTBt及びCTBrの期間指定情報は、周期Tsfで周期的にシンク機器20から送信されるビーコン信号によって無線通信ネットワークの全機器に通知される。図3に示すように、本実施形態において、最小のスケジュール期間は200マイクロ秒であり、最大のスケジュール期間は200マイクロ秒であり、タイムブロックの継続時間は200マイクロ秒であり、CTBペアの予約は「有」である。
なお、RTTの測定には、通常、LRPモードのパケットが使用される。図3において、タイムブロックの継続時間の値は、測定パケット(RTT試験コマンドを含むパケット及びRTTレスポンスコマンドを含むパケットである)が、割り当てられた予約期間CTBt及びCTBrにそれぞれ収まるように選択される。また、最小のスケジュール期間及び最大のスケジュール期間は、RTT時間の制約が満たされる限り、変更されてよい。例えば、DTCPでは、7ミリ秒より大きいRTTを有する機器は認証されないので、最大のスケジュール期間は例えば6ミリ秒以下の値を有する。
図4において、帯域管理部28は、RTT試験コマンドのための予約期間CTBt及びRTTレスポンスコマンドのための予約期間CTBrを割り当てるための所定の時間期間Tpreを、スーパーフレーム内に、空きスペースとして予め確保している。ここで、帯域管理部28は、時間期間Tpreには、予約期間CTBt及びCTBr以外の予約期間(例えば、AVデータのための予約期間)を割り当てない。また、帯域管理部28は、ソース機器10からの予約期間CTBt及びCTBrを要求する帯域幅要求コマンドに応答して、当該時間期間Tpreに、予約期間CTBt及びCTBrを、予約期間CTBrが予約期間CTBtに連続するように割り当てる。これにより、スーパーフレーム内に、AVデータの送信ための予約期間TBav1及びTBav2などの予約期間が割り当てられている場合でも、RTTの測定が適正に行われる。すなわち、従来技術に比較して、確実にRTT試験コマンド及びRTTレスポンスコマンドを伝送できるので、確実にRTTを測定できる。また、帯域管理部28は、AVデータの送信のための予約期間TBav1及びTBav2を、時間期間Tpreの前後にそれぞれ割り当てるので、従来技術に比較して、ソース機器10のバッファメモリ15m及びシンク機器20のバッファメモリ26mのバッファ容量を最小にすることができ、映像及び音声データのオーバーフロー及びアンダーフローの発生確率を小さくできる。
なお、帯域管理部28は、AVデータの送信のための予約期間TBav1及びTBav2を割り当て、予約期間CTBt及びCTBrを、予約期間TBav1及びTBav2の間に、予約期間CTBrが予約期間CTBtに連続するように割り当ててもよい。これにより、従来技術に比較して、ソース機器10のバッファメモリ15m及びシンク機器20のバッファメモリ26mのバッファ容量を最小にすることができ、映像及び音声データのオーバーフロー及びアンダーフローの発生確率を小さくできる。
次に、図5を参照して、送信モードの識別子が0であるオムニLRPモードで送信されるRTT試験コマンドのパケットのために必要とされる期間長及びRTTレスポンスコマンドのパケットのために必要とされる期間長を説明する。なお、RTT試験コマンドのパケットとRTTレスポンスコマンドのパケットとは同一の構成を有し、図4のRTT試験コマンドのパケットのための予約期間CTBtに必要とされる期間長とRTTレスポンスコマンドのパケットのための予約期間CTBrに必要とされる期間長とは同じである。図5において、RTT試験コマンドのパケット及びRTTレスポンスコマンドのパケットはそれぞれ、先頭から、期間長42.4マイクロ秒を有するオムニLRPモード用のショートプリアンブル(以下、Short omni LRP preambleという。)41と、期間長7.9マイクロ秒を有するオムニLRPモード用のヘッダ(以下、Omni LRP headerという。)42と、期間長25.2マイクロ秒を有するオムニLRPモード用のMACヘッダ(以下、Omni LRP MAC headerという。)43と、期間長12.6マイクロ秒を有する誤り訂正のためのヘッダチェックシーケンス(Header Check Sequence:以下、HCSという。)44と、期間長dマイクロ秒を有するパケット本体45と、期間長12.6マイクロ秒を有するパケットチェックシーケンス(Packet Check Sequence:以下、PCSという。)46とを含む。
図5において、RTT試験のために送信モードの識別子が0であり、2.542Mbpsのデータ転送速度を有するオムニLRPモードを使用する場合、パケット本体45の期間長dは以下の式で表される。
[数1]
d=8×N/2.542(マイクロ秒)
ここで、Nはパケット本体45のデータ量である。例えば、パケット本体45のデータ量Nが20オクテット(MACコマンドヘッダ、コンテンツ保護ヘッダ及びペイロードを含む典型的な長さである。)であるとき、パケット本体45の期間長dは62.9マイクロ秒である。従って、RTT試験コマンドのパケットのために必要とされる期間長及びRTTレスポンスコマンドのパケットのために必要とされる期間長は、163.6マイクロ秒(=42.4+7.9+25.2+12.6+62.9+12.6)になる。従って、帯域幅要求コマンドにおけるパラメータ(図3参照)において、タイムブロックの継続時間は163.6マイクロ秒より大きい値に設定される必要がある。また、最大のスケジュール期間も163.6マイクロ秒より大きい値に設定される必要がある。タイムブロックの継続時間がパケットの送信に要する時間とSIFS(Short Interframe Space)及び肯定応答(以下、ACKという。)に要する時間との合計より短ければ、RTT試験コマンドのパケット及びレスポンスコマンドのLRPパケットには、ACK無しのポリシを用いる必要がある。なお、RTT試験を行うためには、帯域幅要求コマンドにおけるパラメータにおいて、最大のスケジュール期間とRTTレスポンスコマンドのパケットの継続時間との合計は、コンテンツ保護規格が指定するRTT時間の制約に定義されている時間(例えば、DTCPでは7ミリ秒である。)より短いものでなければならない。
次に、図6を用いて、本実施形態に係るRTT測定方法を説明する。図6において、コンテンツ保護エンティティであるコントローラ11は、シンク機器20との間のRTTの測定の開始をコントローラ13に対して要求するためのRTT測定要求コマンド(MEASURE_RTT.req)を、コントローラ12に送信する。これに応答して、RTTイニシエータであるコントローラ12は、シンク機器20との間のRTTの測定の開始をコントローラ13に対して要求するためのRTT測定要求コマンド(MLME_MEASURE_RTT.req)を、コントローラ13に送信する。これに応答して、コントローラ13は、上述の帯域幅要求コマンドを生成してシンク機器20に送信する。これに応答して、シンク機器20の帯域管理部28は、上述のように、予約期間CTBtと予約期間CTBrとを割り当て、割り当てられた予約期間CTBt及びCTBrを含む期間指定情報を、ビーコン信号によって無線通信ネットワークの全機器に通知する。これに応答して、コントローラ13は、割り当てられた予約期間CTBtの開始タイミングの直前のタイミングt11においてタイマ回路13tによるRTTの測定を開始し、RTT試験コマンド(RTT test command)を生成して、予約期間CTBtにおいて、シンク機器20に向け無線送信する。
一方、図6において、RTTアクセプタであるシンク機器20において、コンテンツ保護エンティティであるコントローラ23は、コントローラ21に対してRTTレスポンスコマンドの生成を要求するRTTレスポンス設定要求コマンド(RTT_REPLY_SET.req)を、コントローラ22に送信する。これに応答して、コントローラ22は、コントローラ21に対してRTTレスポンスコマンドの生成を要求するRTTレスポンス設定要求コマンド(MLME_SET_RTT_REPLY.req)を送信する。これに応答して、コントローラ21は、ソース機器10からのRTT試験コマンドを受信する前に、予めRTTレスポンスコマンドを生成する。その後、コントローラ21は、タイミングt21においてRTT試験コマンドを受信すると、割り当てられた予約期間CTBr内のタイミングt22において、上記生成したRTTレスポンスコマンドをソース機器10に無線送信する。さらに、コントローラ21は、RTTレスポンスコマンドをソース機器10に送信したことをコントローラ23に対して通知するためのRTT応答設定確認コマンド(MLME_SET_RTT_REPLY.cfm)を、コントローラ22に送信する。これに応答して、コントローラ22は、RTTレスポンスコマンドをソース機器10に送信したことをコントローラ23に対して通知するためのRTT応答設定確認コマンド(RTT_REPLY_SET.cfm)を、コントローラ23に送信する。
図6において、コントローラ13は、シンク機器20からのRTTレスポンスコマンドをタイミングt12において受信すると、所定の復調処理及びパケット処理を行うように無線通信回路16を制御する。無線通信回路16は、受信された無線信号をデジタル信号に復調した後、当該デジタル信号からRTTレスポンスコマンドを取り出して、コントローラ13に出力する。タイミングt13において、コントローラ13はRTTレスポンスコマンドを受信すると、タイマ回路13tによるRTTの測定を停止する。さらに、コントローラ13は、タイミングt13とタイミングt11との時間差に基づいてRTTを算出し、算出されたRTTをコントローラ11に対して通知するためのRTT測定確認コマンド(MLME_MEASURE_RTT.cfm)をコントローラ12に送信する。これに応答して、コントローラ12は、算出されたRTTをコントローラ11に対して通知するためのRTT測定確認コマンド(MEASURE_RTT.cfm)をコントローラ11に送信する。これに応答してコントローラ11は、コントローラ13によって測定及び算出されたRTTに基づいて、DTCPに準拠した認証処理(非特許文献1参照)を行う。
一方、コントローラ13は、タイミングt13においてRTTの測定を終了すると、競合期間RATBにおいて、予約期間CTBt及びCTBrの開放を要求するための帯域開放要求コマンドをシンク機器20のコントローラ21に無線送信する。これに応答してコントローラ21の帯域管理部28は、予約期間CTBt及びCTBrを、WVAN内の他の機器によるRTTの測定のために開放する所定の帯域開放処理を行い、競合期間RATBにおいて、予約期間CTBt及びCTBrの開放を通知する帯域開放通知レスポンスコマンドをソース機器10に無線送信するとともに、ビーコン信号を用いて、予約期間CTBt及びCTBrの開放を通知する。帯域管理部28は、予約期間CTBt及びCTBrを開放した後も、予約期間CTBt及びCTBrを、WVAN内の他の機器間のRTTの測定及びソース機器10によるWVAN内の他シンク機器20以外の機器へのRTTの測定のために確保する。ここで、帯域管理部28は、確保された期間には、予約期間CTBt及びCTBr以外の予約期間(例えば、AVデータのための予約期間)を割り当てない。従って、従来技術に比較して確実にRTTを測定できる。
上述のように、コントローラ13は、ソース機器10に割り当てられた予約期間CTBtの開始タイミングの直前であるタイミングt11(実質的に、予約期間CTBtの開始タイミングである。)において、タイマ回路13tを起動することによってRTTの測定を開始し、RTTレスポンスコマンドを受信したタイミングt13において、タイマ回路13tを停止することによって、RTTの測定を終了する。さらに、コントローラ13は、タイミングt13及びt11の時間差に基づいて、RTTを算出する。従って、本実施形態に係るRTT測定方法によって測定されたRTTにおいて、例えば、図15の従来技術に係るRTT測定部402によって測定された時間RTTmに含まれていた伝送遅延時間501,507であるMACアクセス遅延時間は、最小にされ、実質的にゼロにされる。また、RTTイニシエータのコンテンツ保護エンティティであるコントローラ11は、RTTアクセプタであるコントローラ21へのRTTの測定を、RTTイニシエータであるコントローラ13に対して要求することにより、RTT測定の開始タイミングを予約期間CTBtの開始タイミングに実質的に同期させる。従って、本実施形態に係るRTT測定方法によって測定されたRTTは、図15の従来技術に係るRTT測定部402によって測定された時間RTTmに含まれていた待ち時間502を含まない。
また、RTT時間の測定では、DTCPなどのコンテンツ保護規格が指定するRTTアクセプタにおける処理時間の制約(例えば、数ミリ秒以下)を満たすように、RTTアクセプタにRTT試験コマンドが到達した後、RTTアクセプタはできるだけ早くRTTレスポンスコマンドをRTTイニシエータに送信する必要がある。本実施形態によれば、RTTアクセプタであるシンク機器20がRTT試験コマンドに対して従来技術に比較して迅速に応答できるように、図4に示すように、RTTアクセプタであるシンク機器20がRTTレスポンスを送信するための予約期間CTBrは、RTTイニシエータであるソース機器がRTT試験コマンドを送信するための予約期間CTBtに隣接し、かつその後に割り当てられる。これにより、本実施形態に係るRTT測定方法によって測定されたRTTは、図15の従来技術に係るRTT測定部402によって測定された時間RTTmに含まれていた待ち時間506を、実質的に含まない。
さらに、シンク機器20のコンテンツ保護エンティティであるコントローラ23は、RTT試験コマンドを受信する前にRTTレスポンスコマンドを生成するように、コントローラ22を介してコントローラ21に対して要求する。これに応答して、コントローラ21は、RTT試験コマンドを受信する前に、RTTレスポンスコマンドを生成する。従って、コントローラ21は、RTT試験コマンドを受信すると、従来技術に比較して迅速にRTTレスポンスコマンドを送信できる。また、本実施形態に係るRTT測定方法によって測定されたRTTは、図15の従来技術に係るRTT測定部402によって測定された時間RTTmに含まれていた伝送遅延時間503,505及び処理時間504を、実質的に含まない。従って、本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、従来技術に比較して正確にRTTを測定でき。これにより、例えば、DTCPによって著作権保護された動画のコンテンツのコンテンツデータを送信するための制約である、DTCPソース機器とDTCPシンク機器との間のパケット往復時間RTTが7ミリ秒以下という条件を満足する機器を、従来技術に比較して正確に検出できる。
本実施形態において、帯域管理部28は、予約期間CTBt及びCTBrを開放した後、予約期間CTBt及びCTBrを、WVAN内の他の機器によるRTTの測定及びソース機器10によるWVAN内の他シンク機器20以外の機器へのRTTの測定のために確保する。しかしながら、本発明はこれに限られず、帯域管理部28は、予約期間CTBt及びCTBrを開放した後、所定の時間期間Tpreを、WVAN内の他の機器によるRTTの測定及びソース機器10によるWVAN内の他シンク機器20以外の機器へのRTTの測定のために確保してもよい。また、所定の時間期間Tpreを音声及び映像のデータ伝送に用いてもよい。この場合、WVAN内の機器がRTT測定を行うためには、所定の時間期間Tpreとは別の時間期間をRTT測定用に予約するか、もしくは、音声及び映像のデータ伝送に使用されている所定の時間期間TpreをRTT測定のために開放すればよい。
第2の実施形態.
図7は、本発明の第2の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。図7の無線通信システムは、図1の第1の実施形態に係る無線通信システムに比較して、ソース機器10のコントローラ12及び13に代えてコントローラ13A(RTTイニシエータに対応する。)を備えたソース機器10Aと、シンク機器20のコントローラ21及び22に代えてコントローラ21A(RTTアクセプタに対応する。)を備えたシンク機器20Aとを備えたことを特徴としている。
図7において、コントローラ13Aはタイマ回路13tを備え、コントローラ12と同様にAV信号処理回路15の動作を制御し、コントローラ13と同様に無線通信回路16及びアレーアンテナ装置17の動作を制御する。また、コントローラ21Aは、帯域管理部28を備え、コントローラ26と同様にAV信号処理回路26の動作を制御し、コントローラ21と同様に無線通信回路25及びアレーアンテナ装置24の動作を制御する。
本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、第1の実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムと同様に、従来技術に比較して、確実に且つ正確にRTTを測定できる。
第3の実施形態.
図8は、本発明の第3の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。図8の無線通信システムは、図1の第1の実施形態に係る無線通信システムに比較して、ソース機器10Bに帯域管理部28を設けたことを特徴としている。
図8の無線通信システムは、図1の無線通信システムに比較して、ソース機器10のコントローラ13に代えてコントローラ13Bを備えたソース機器10Bと、シンク機器20のコントローラ21に代えてコントローラ21Bを備えたシンク機器20Bとを備える。ここで、コントローラ13BはRTTイニシエータであって、タイマ回路13t及び帯域管理部28を備える。コントローラ13Bは、コントローラ13と同様に無線通信回路16及びアレーアンテナ装置17を制御するとともに、帯域管理部28において、第1の実施形態と同様に、予約期間CTBt及びCTBrを予約する。また、コントローラ21BはRTTアクセプタであって、コントローラ21と同様に、無線通信回路25及びアレーアンテナ装置24の動作を制御する。
本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、第1の実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムと同様に、従来技術に比較して、確実に且つ正確にRTTを測定できる。
第4の実施形態.
図9は、本発明の第4の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。図9の無線通信システムは、図1の第1の実施形態に係る無線通信システムに比較して、ソース機器10と、シンク機器20B(図8)と、コーディネータ機器30とを備えたことを特徴としている。
図9において、コーディネータ機器30は、帯域管理部28を備えたコントローラ31と、無線通信回路32と、アレーアンテナ装置33とを備えて構成される。ここで、アレーアンテナ装置33はアレーアンテナ装置17及び24と同様に構成される。コントローラ31は、無線通信回路32の動作を制御するとともに、コントローラ13と同様に、アレーアンテナ装置33の動作を制御する。また、無線通信回路32は、コントローラ31から入力される所定の制御コマンドを所定のパケットの形式のデジタル信号に変換し、当該デジタル信号に従って無線搬送波信号をデジタル変調し、変調後の無線信号を、アレーアンテナ装置33を介してソース機器10のアレーアンテナ装置17及びシンク機器20Bのアレーアンテナ装置24に向け無線送信する。また、ソース機器10のアレーアンテナ装置17及びシンク機器20Bのアレーアンテナ装置24から送信された無線信号はアレーアンテナ装置33により受信された後、無線通信回路32に入力される。無線通信回路32は、受信された無線信号をデジタル信号に復調した後、当該デジタル信号から所定のパケット分離処理により所定の制御コマンドを取り出し、コントローラ31に出力する。
次に、予約期間CTBt及びCTBrの予約方法を説明する。はじめに、ソース機器10のコントローラ13は、競合期間RATBにおいて、予約期間CTBt及びCTBrを要求して予約するために、コントローラ13と同様に、帯域幅要求コマンドを生成してコーディネータ機器30のコントローラ31内の帯域管理部28に送信する。これに応答して、帯域管理部28は、帯域幅要求コマンドに含まれるパラメータに基づいて、第1の実施形態と同様に、予約期間CTBt及びCTBrを割り当てる。割り当てられた予約期間CTBt及びCTBrの期間指定情報っsは、周期Tsfで周期的にコーディネータ機器30から送信されるビーコン信号によって無線通信ネットワークの全機器に通知される。
本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、第1の実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムと同様に、従来技術に比較して、確実に且つ正確にRTTを測定できる。
なお、上記第1から第4の各実施形態において、アレーアンテナ装置17,24,33に代えて、エスパアンテナ装置などの指向性を制御できるアンテナ装置を用いてもよい。
第5の実施形態.
図10は、本発明の第5の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図であり、図11は、本発明の第5の実施形態に係るRTT測定方法のメッセージシーケンスの一例を示すシーケンス図である。
図10において、送信局601と受信局611との間には、無線リンクが確立されている。送信局601は、DTCPコマンドの送信及び受信を行うDTCPコマンド送受信部602と、RTT測定部604を備えた非圧縮映像伝送無線モジュール部603と、アンテナ605とを備えて構成されたことを特徴としている。また、DTCPコマンドの送信及び受信を行うDTCPコマンド送受信部612と、RTT応答送信部614を備えた非圧縮映像伝送無線モジュール613と、アンテナ615とを備えて構成されたことを特徴としている。
本実施形態に係る無線通信システムは、送信局601のRTT測定部604を、送信局601の非圧縮映像伝送無線モジュール部603の中に設け、受信局611のRTT応答送信部614も、RTT測定部604と同様に、非圧縮映像伝送無線モジュール部613の中に設けたことを特徴としている。従って、RTT測定部604を非圧縮映像用モジュール部603の内部に設けたので、後述するように、RTT測定部604は、スーパーフレーム301における競合区間303(図13)の開始タイミングと同じタイミングでRTT試験コマンド(RTT_TEST.CMD)を送信してRTTの測定を開始することができる。これにより、本実施形態に係るRTT測定方法によって測定されたRTTは、図15の従来技術に係るRTT測定部402によって測定された時間RTTmに含まれていた待ち時間502を含まない。
次に、図11を参照して、本実施形態に係るRTT測定方法を説明する。図11は、RTT試験コマンド(以下、RTT_TEST.CMDという。)114及びアクセプテッドレスポンスコマンド(以下、ACCEPTED.RSPという。)116の通信シーケンスを示す。また、図11において、DTCPにおけるAKE動作のうち、Challenge-Response動作の部分は完了しているとする。
図11において、まず、送信局601のDTCPコマンド送受信部602は、RTT測定開始指示111のコマンドを、RTT測定部604に送信する。一方、受信局611のDTCPコマンド送受信部612は、RTT応答準備指示112のコマンドを、RTT応答送信部614に送信しておく。RTT測定部604は、RTT測定開始指示111のコマンドを受信すると、直ちにRTTの測定を開始するのではなく、MACスーパーフレーム301が競合区間303になるまで、待ち時間113だけ待機する。MACスーパーフレーム301が競合区間303になると、RTT測定部604は、RTT_TEST.CMD114を受信局611に送信することにより、RTTの測定を開始し、RTT測定部604のタイマ回路(図示しない)を起動する。
RTT_TEST.CMD114に応答して、RTT応答送信部614は、受信したRTT_TEST.CMD114をDTCPコマンド送受信部612に転送することなく、処理時間115を要する所定の処理を行い、ACCEPTED.RSP116を送信局601に送信する。RTT測定部604は、ACCEPTED.RSP116を受信すると、タイマ回路を停止し、当該タイマ回路を用いて測定されたタイマ値を含むRTT測定完了報告117のコマンドを、DTCPコマンド送受信部602に送信する。
DTCPコマンド送受信部602は、受信したRTT測定完了報告117に含まれるタイマ値に基づいてRTTを算出し、RTTが7ミリ秒以下か否かを判断する。その結果、RTTが7ミリ秒以下であるときは、受信局611はDTCPにおけるパケット往復時間RTTに要求される条件を満たしている機器であると判断し、受信局611を認証するための認証処理の次のステップに進む。
RTTが7ミリ秒より大きいときは、再びRTTの測定を行う。もし、RTTの測定を1024回行ってもRTTの値が7ミリ秒以下にならなければ、受信局611はDTCPにおけるRTTに要求される条件を満たさない機器であると判断して認証処理を終了し、認証処理の次のステップには進まない。
ここで、図15の従来技術に係るRTT測定方法によって測定された時間RTTmは、RTT測定部402がRTT試験コマンドを送信してからアクセプテッドレスポンスコマンドを受信するまでの時間であり、DTCPにおいて規定されているRTTの他に、遅延時間501,503,505,507,待ち時間502,506及び処理時間504を、伝送遅延時間として含む。ここで、MACスーパーフレーム301の期間長が一般に20ミリ秒であるので、待ち時間502,506は、7ミリ秒を超える場合がある。また、送信局401で発生する遅延時間501,507及び受信局405で発生する遅延時間503,505は、DTCPにおいて規定されているRTTには含まれない。従って、RTT測定部402によって測定された時間RTTmは、DTCPにおいて規定されたRTTに比較して大きく、例えば7ミリ秒を超えてしまう可能性があった。このとき、送信局401は受信局405を認証しない。従って、従来技術に係るRTT測定方法によれば、例えば、受信局405が家庭内に設置されているにも関わらず、送信局401は受信局405を、家庭外に設置された機器であると判断し、コンテンツデータを送信できない可能性があった。すなわち、図15の従来技術に係るRTT測定方法によって測定された時間RTTmから、遅延時間501,503,505,507及び待ち時間502,506を削減する必要があった。
本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、RTT測定部604を非圧縮映像伝送無線モジュール部603内に設け、RTT応答送信部614を非圧縮映像伝送無線モジュール部613内に設けたので、送信局601及び受信局611内での機器内部通信時間501,503,505,507を含まないRTTを測定することができる。また、競合区間303の開始タイミングの情報を保持している非圧縮映像伝送無線モジュール部603がRTTの測定を開始するので、競合区間を待機する待ち時間502,506を含まないRTTを測定することができる。すなわち、送信局601において競合区間303を待機するための待ち時間113が、測定されたRTTに実質的に含まれないので、従来技術に比較して、RTTに加わる伝送遅延時間を大幅に削減し、RTTを正確に測定できる。さらに、RTT_TEST.CMD114のパケット及びACCEPTED.RSP116のパケットを1つの競合区間303に挿入することによって、RTTに加わる遅延時間を削減できる。従って、本実施形態のRTT測定方法によれば、従来技術に比較して正確にRTTを測定できる。これにより、例えば、従来技術に係るRTTの測定方法によってRTTが7ミリ秒より大きい機器であると誤って判定された機器について、7ミリ秒以下の値を有する正確なRTTを測定できる。
また、本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、受信局611のRTT応答送信部614は、受信したRTT_TEST.CMD114を、DTCPコマンド送受信部612に送信する必要がないので、受信局611内部の通信時間を削減できる。また、RTT_TEST.CMD114が送られてきた競合区間303において、ACCEPTED.RSP116を即座に返信することができる。なお、この競合区間303は、RTT測定時のみ確保してもよいし、常時設けていてもよい。
次に、RTT測定のために用いられる競合区間303の期間長を短縮する4つの方法を説明する。
1つめの方法は、RTT_TEST.CMD114及びACCEPTED.RSP116のパケットを受信確認不要パケットに設定することを含む。これにより、当該パケットを受信した受信局611又は送信局601は、受信確認パケットを送信することなく次のパケットを送信できるので、競合区間303において受信確認パケットの送信に費やされる時間を短縮できる。
2つめの方法は、RTT_TEST.CMD114を受信した受信局611は、当該RTT_TEST.CMD114に対する受信確認パケットに、ACCEPTED.RSP611の情報を含めて送信することを含む。一般に受信確認パケットには何もデータを含まないが、受信確認パケットにデータ部を設けることにより、この方法を実現できる。この場合は、競合区間303において、受信局611が受信確認パケット送信するまでのバックオフ期間及びSIFS期間も削減が可能である。
3つめの方法は、RTT_TEST.CMD114及びACCEPTED.RSP116をビームパケットで送信することを含む。本実施形態に係る無線通信システムでは指向性パケット(ビームフォームドパケット)と無指向性パケット(オムニパケット)を利用することができ、それぞれのプリアンブル長が異なる。ショートオムニパケットのプリアンブル長に比べてビームフォームドパケットは短いので、RTT測定のために用いられる競合区間303の期間長を短縮できる。
4つめの方法は、RTT_TEST.CMD114及びACCEPTED.RSP116を送信する際に発生するバックオフ待ち時間を削減することを含む。一般に、競合区間303においてパケットを送信する場合には、送信待ち時間(バックオフ期間)が設けられる。この送信待ち時間は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)プロトコルで衝突回避のために設けられた送信待ち時間である。この待ち時間があることで、複数の局が同時に送信され、衝突してしまうようなことを極力回避できるように設計されている。しかしながら、パケットの送信順序に優先順位をつけることにより、このバックオフ期間を削減できる。具体的には、例えばパケットに1から3の値の優先順位をつけ、優先順位1を有するパケットを最優先のパケット、優先順位3を有するパケットを最も優先度が低いパケットとし、優先順位2を有するパケットをそれらの中間の優先度のパケットであるとする。さらに、RTT_TEST.CMD114及びACCEPTED.RSP116のパケットの優先順位を最優先の1に設定する。このとき、優先度1を有するパケットを送信する際にはバックオフ期間なしで送信できるようMACを設計することにより、RTT_TEST.CMD114及びACCEPTED.RSP116はバックオフ期間なしで送信でき、RTT測定のために用いられる競合区間303の期間長を短縮できる。
上述のように、RTTの測定のために用いられる競合区間303の期間長を短縮し、つまり、競合区間303を必要以上に拡張することなく、従来技術に比較してRTTを正確に測定できる。
本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムによれば、非圧縮映像伝送無線システムを利用して、著作権の保護が必要なコンテンツのコンテンツデータを暗号化して伝送する場合に、正確にRTTを測定できる。従って、DTCPによって著作権保護された動画のコンテンツのデータを送信するための制約である、送信元と送信先との間のパケット往復時間RTTが7ミリ秒以下という条件を満足する機器を、従来技術に比較して正確に検出できる。従って、本実施形態に係るRTT測定方法及び無線通信システムは、非圧縮映像伝送無線システムにてDTCPを利用して著作権保護されたコンテンツのデータを伝送するのに有用である。
なお、本実施形態において、競合区間303においてRTT測定に関する通信パケットを送受信したが、非競合区間をRTTの通信パケット(RTT_TEST.CMD114及びACCEPTED.RSP116のパケットである。)のために予約し、用いてもよい。具体的には、DTCPにおけるAKE動作を開始する前、又はRTT測定を開始する前に、送信局601は非競合区間の一部をRTTの通信パケットのため予約し、予約した非競合期間においてRTTの通信パケットの伝送を行う。そして、RTTの測定が終了した後、又はAKE動作の終了後、送信局601は予約された非競合区間の開放を、無線通信システムの帯域管理を行うコーディネータ機器に要求する。
以上詳述したように、本発明に係るRTT測定方法及びそれを用いた無線通信システムによれば、ソース機器は、上記シンク機器との間の無線通信を制御する第1の制御手段を備え、上記第1の制御手段は、上記シンク機器へのパケット往復時間RTTを測定するときに、往復パケット用の帯域割り当てを要求する帯域幅要求コマンド信号を、上記帯域管理手段に送信する。これに応答して、帯域管理手段は、上記ソース機器から上記シンク機器に第1のパケットを送信するための第1の予約期間と、上記シンク機器から上記ソース機器に第2のパケットを返信するための第2の予約期間とを所定のフレーム期間内に割り当て、上記第1及び上記第2の予約期間を上記第1の制御手段に通知し、上記第1の制御手段は、上記第1の予約期間の開始タイミングにおいて、上記第1のパケットを送信するとともにパケット往復時間RTTの測定を開始し、上記第2のパケットを受信したときにパケット往復時間RTTの測定を終了する。従って、従来技術に比較して、正確に且つ確実にパケット往復時間RTT測定できる。本発明は特に、例えば、ワイヤレスHD(Wireless High-Definition)などの無線通信規格に準拠した無線通信システムにおいて、著作権の保護が必要なコンテンツデータ伝送のRTT測定に利用できる。
本発明の第1の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。
本発明の第1の実施形態に係るRTT測定方法のメッセージシーケンスの概略を示すシーケンス図である。
本発明の第1の実施形態に係るRTT測定のための帯域幅要求コマンドにおける典型的なパラメータを示すテーブルである。
図3のパラメータを用いたスーパーフレームのスケジューリングの一例を示すタイミングチャートである。
図4のRTT試験コマンドのパケットのための予約期間CTBtに必要とされる期間長及びRTTレスポンスコマンドのパケットのための予約期間CTBrに必要とされる期間長を示す図である。
本発明の第1の実施形態に係るRTT測定方法のメッセージシーケンスの一例を示すシーケンス図である。
本発明の第2の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。
本発明の第3の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。
本発明の第4の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。
本発明の第5の実施形態に係るRTT測定方法を用いてRTTを測定する無線通信システムの構成を示すブロック図である。
本発明の第5の実施形態に係るRTT測定方法のメッセージシーケンスの一例を示すシーケンス図である。
従来技術に係るパケット往復時間測定プログラムを用いたソース機器201の構成を示すブロック図である。
従来技術に係る非圧縮の映像コンテンツデータをパケットデータ伝送する無線通信システムにおいて用いられるMACフレームの構成の一例を示すタイミングチャートである。
従来技術に係るRTT測定方法を用いた無線通信システムの構成を示すブロック図である。
図14のRTT測定方法を示すシーケンス図である。
符号の説明
10,10A,10B…ソース機器、
11,12,13,13A,13B,21,21A,21B,22,23,31…コントローラ、
13t…タイマ回路、
14…映像音声再生装置、
15,26…AV信号処理回路、
15m,26m…バッファメモリ、
16,25,32…無線通信回路、
17,24,33…アンテナ装置、
20,20A,20B…シンク機器、
27…スピーカ付きディスプレイ、
28…帯域管理部、
30…コーディネータ機器、
601…送信局、
602,612…DTCPコマンド送受信部、
603,613…非圧縮映像伝送無線モジュール部、
604…RTT測定部、
605,615…アンテナ、
611…受信局、
614…RTT応答送信部、
CTBt…RTT試験コマンドの予約期間、
CTBr…RTTレスポンスコマンドの予約期間、
TBav1,TBav2…AVデータの予約期間、
TBb…ビーコン期間、
Tpre…時間期間、
RATB…競合期間。