JPWO2008062748A1 - 信号処理装置及び信号処理方法 - Google Patents

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Abstract

信号処理装置は、接続される負荷に応じて周波数特性が変化するトランスの伝達特性をシミュレートし、入力信号を伝達特性で処理して出力するトランスシミュレート手段(101)と、所定の負荷のインピーダンス特性をシミュレートし、インピーダンス特性を出力する負荷インピーダンスシミュレート手段(102)とを備える。トランスシミュレート手段(101)は、負荷インピーダンスシュミレート手段(102)によってシミュレートされた負荷インピーダンスを持つ負荷が接続された状態でトランスの伝達特性をシミュレートする。

Description

本発明は、アナログオーディオ機器、特に真空管増幅器の持つ音質特徴をデジタルオーディオ機器にて再現するための信号処理装置及び信号処理方法に関する。
楽器用エフェクターに於いて、真空管式ギターアンプの音色、特に過大入力を与えた場合の音色変化の特徴を出すことを目的とした信号処理装置が、特許文献1において開示されている。図18にその信号処理装置の構成を示す。図18に示す信号処理装置は、Igブロック301、302と、Ip/Egブロック305、306と、レベル検出部308と、乗算器309と、加算器303、304、307、310とを備える。
Igブロック301、302は、入力信号に応じて、真空管式電力増幅器のグリッドに接続されたフィルタ特性をシミュレートする。Igブロック301、302の出力信号はIp/Egブロック305、306に供給される。Ip/Egブロック305、306は、真空管式電力増幅におけるグリッド電圧の変化に応じたプレート電流をシミュレートする。
Igブロック301、302は、入力電圧が大きくなるにしたがって、その遮断特性が高くなる。レベル検出器308は、加算器307から得られるIp/Egブロック305とIp/Egブロック306の加算出力のレベルを検出する。このレベルが大きくなるに連れて、乗算器309、加算器310、303、304を用いて、Ip/Egブロック305、306のバイアスを深くすることで、真空管増幅器の動作をシミュレートする。
以上説明したように、特許文献1では、入力信号に応じて真空管式電力増幅器のグリッドに接続されたフィルタ特性、プレート電流の静特性をシミュレートし、且つ、出力信号レベルに応じて、フィルタ特性及び入力信号に付加するバイアスを変化させる。これにより、真空管増幅器の特性を模擬し、真空管式ギターアンプの音色、特に過大入力を与えた場合の音色変化の特徴を再現できる。
特開平7−86840号公報
上述の従来の信号処理装置においては、真空管式ギターアンプの音色、特に過大入力を与えた場合の音色変化の特徴を再現することを目的としている。このため、通常振幅信号(実用上無歪状態で動作可能な信号振幅)に対しては効果が得られず、通常振幅信号を扱うオーディオ用途としては不適である。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、アナログオーディオ機器、特に真空管増幅器の持つ音質特徴をデジタルオーディオ機器にて再現し、アナログオーディオ機器の再生音から感じ取れる、中低域に厚みのある、滑らかな音、安定感安心感のある等の音質を再生可能とする信号処理装置及び方法を提供することにある。
本発明に係る信号処理装置は、接続される負荷に応じて周波数特性が変化するトランスの伝達特性をシミュレートし、入力信号を伝達特性で処理して出力するトランスシミュレート手段と、所定の負荷のインピーダンス特性をシミュレートし、インピーダンス特性を出力する負荷インピーダンスシミュレート手段とを備える。トランスシミュレート手段は、負荷インピーダンスシュミレート手段によってシミュレートされた負荷インピーダンスを持つ負荷が接続された状態でトランスの伝達特性をシミュレートする。
本発明に係る信号処理方法は、所定の負荷のインピーダンス特性をシミュレートし、インピーダンス特性を出力するステップと、接続される負荷に応じて周波数特性が変化するトランスに前記シミュレートされたインピーダンス特性の負荷が接続された状態で、トランスの伝達特性をシミュレートするステップと、入力信号を、シミュレートされた伝達特性を用いて処理し、出力信号を生成するステップとを含む。
本発明によれば、所定の特性を有するトランスに所定の特性を有した負荷を接続した状態での伝達特性で、入力されたオーディオ信号を処理することで、出力オーディオ信号を生成している。特に、出力トランスの伝達特性とそれに接続されるスピーカのインピーダンス特性とを含めた全体の伝達特性で、入力されたオーディオ信号を処理することにより、出力オーディオ信号を生成している。これにより、例えば、トランスをオーディオ真空管増幅器用出力トランスとし、負荷をオーディオ用スピーカとすることで、真空管増幅器でスピーカを駆動したときに得られる音質を再現できる。
本発明の実施の形態における信号処理装置の構成図 3極管真空管を用いたシングル構成のオーディオ電力増幅器(真空管増幅器)の構成図 (a)出力トランスの回路図及び(b)出力トランスの等価回路図 負荷として純抵抗を接続したときの出力トランスの出力信号の周波数特性の一例を示す図 スピーカシステムのインピーダンス特性の一例を示す図 図5に示すインピーダンス特性を有するスピーカシステムを接続した場合の出力トランスの出力信号の周波数特性を示す図 スピーカインピーダンスシミュレーション部において、スピーカインピーダンスをシミュレートする際に使用する回路の構成例を示した図 スピーカインピーダンスをシミュレートする際に使用する等価回路の回路図 シミュレーション対象の真空管増幅器の出力部の等価回路図 負荷として純抵抗が接続された出力トランスの位相特性と振幅特性を示す図 負荷として密閉型の2ウェイ型スピーカシステムが接続された出力トランスの出力信号の位相特性と振幅特性を示す図 負荷として密閉型のフルレンジ型スピーカシステムが接続された出力トランスの出力信号の位相特性と振幅特性を示す図 制御パラメータを変更することによるインピーダンス特性の変化を示す図 図13に示すインピーダンス特性の変化に伴う出力トランスの出力信号特性を示す図 制御パラメータを変更することにより得られる、バスレフ型の3ウェイスピーカシステムのインピーダンス特性を示す図 図15に示すインピーダンス特性の負荷が接続された出力トランスの出力信号特性を示す図 一次インダクタンスを変化させた場合の出力トランスの出力信号特性の変化を示す図 従来のオーディオ信号再生装置の構成を示すブロック図
符号の説明
101 出力トランスシミュレーション部
102 スピーカインピーダンスシミュレーション部
201 真空管デバイス
202 抵抗器
203 出力トランス
204 直流電源
205 スピーカ
T1 入力端子
T2 出力端子
T3 入力端子
T11,T12 制御端子
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
1. 信号処理装置の構成
図1は、本発明の実施の形態1における信号処理装置の構成図である。図1において、信号処理装置100は、出力トランスシミュレーション部101と、スピーカインピーダンスシミュレーション部102と、デジタルオーディオ信号を入力する入力端子T1と、所定の信号処理がなされたデジタルオーディオ信号を出力する出力端子T2とを含む。さらに信号処理装置100は、出力トランスシミュレーション部101におけるシミュレーションに関する設定を変更するための制御端子T11と、スピーカインピーダンスシミュレーション部102におけるシミュレーションに関する設定を変更するための制御端子T12とを備える。
本実施形態の信号処理装置100は真空管を用いたオーディオ電力増幅器(以下「真空管増幅器」という。)の出力特性(伝達特性)をシミュレートし、入力した信号に対してそのシミュレートした出力特性を付加して出力するフィルタ機能を有する。特に、本願発明の発明者は、真空管増幅器の持つ音質に多大な影響を与える要素として、真空管増幅器内に用いられる出力トランスに着目し、出力トランスの出力特性をシミュレートすることにより真空管増幅器により得られる音質特徴を再現できることを発見した。
ここで、出力トランスの出力特性は、それに接続される負荷(例えば、スピーカ)のインピーダンスに左右される。このため、出力トランスシミュレーション部101は、真空管増幅に使用される出力トランスの出力特性をシミュレートし、スピーカインピーダンスシミュレーション部102は、出力トランスに接続されるスピーカの負荷インピーダンスをシミュレートする。この構成によって、オーディオデジタル信号は、本実施形態の信号処理装置100を通過することで、シミュレーション対象の真空管増幅器とスピーカから得られる音質の特性が付加され、これにより、真空管増幅器で再現したような滑らで安定感、安心感のある音質が得られる。
なお、信号処理装置100は半導体集積回路で構成され、出力トランスの伝達特性及びスピーカのインピーダンス特性をシミュレートする機能を有する。具体的には、信号処理装置100は以下の機能を実現する信号処理プログラムを実行するDSP(Digital Signal Processor:デジタル・シグナル・プロセッサ)で構成される。
ここで、出力トランスシミュレーション部101がシミュレートする出力トランスを含むオーディオ電力増幅器(真空管増幅器)について説明する。
図2に、1つの3極管真空管を用いたオーディオ電力増幅器(真空管増幅器)の構成を示す。真空管増幅器は、オーディオ信号を増幅する真空管デバイス201と、真空管デバイス201の動作点を決定するバイアスを与える抵抗器202と、出力トランス203と、直流電源204とを備える。真空管増幅器は、入力端子T3からアナログオーディオ信号を入力し、出力トランス203を介して負荷であるスピーカ205に増幅したオーディオ信号を出力する。
オーディオ電力増幅器において、入力端子T3から入力されたオーディオ信号は真空管デバイス201に供給される。真空管デバイス201の動作点は、抵抗器202、出力トランス203及び直流電源204により決定される。真空管デバイス201は入力されたオーディオ信号を増幅し、出力トランス203を介して、負荷であるスピーカ205に電力を供給する。真空管デバイス201の出力抵抗は一般に数kΩと大きく、スピーカ205のインピーダンスは4〜8Ω程度と小さいため、出力トランス203を用いてインピーダンス整合を行っている。
一般的に出力トランスは、バンドパス特性を有し、その伝達特性は、出力トランスに接続する負荷に影響されることが知られている。本願の発明者は、そのような出力トランスの特性が真空管増幅器の伝達特性に影響を与え、真空管増幅器の音質を左右していることに着目した。すなわち、負荷としてスピーカが接続された場合の出力トランスの伝達特性をシミュレートし、その伝達特性によって、入力されるオーディオ信号を処理することにより、真空管増幅器の音質特徴を含むオーディオ信号を生成する。
なお、本実施形態では、出力トランスシミュレーション部101はオーディオ用出力トランスの特性をシミュレーションしている。ここで、オーディオ用出力トランスは、一般に低い(4〜16Ω)負荷インピーダンスを持つスピーカと真空管増幅器との間のインピーダンス整合をとるために挿入されるものである。オーディオ用出力トランスの特性は例えば以下の表に示すようなものとなる。
Figure 2008062748
2.信号処理装置の動作
本実施形態の信号処理装置100の動作を説明する。出力トランスシミュレーション部101は、図2に示した真空管増幅器に含まれる出力トランス203の伝達特性をシミュレートする。スピーカインピーダンスシミュレーション部102は、図2に示す、出力トランス203の負荷であるスピーカ205のインピーダンス特性をシミュレートする。
出力トランスシミュレーション部101はオーディオ信号を入力端子T1から入力し、出力トランス203の伝達特性に基づいて、入力したオーディオ信号を処理し、処理したオーディオ信号を出力端子T2から出力する。このとき、出力トランスシミュレーション部101は、スピーカインピーダンスシミュレーション部102によりシミュレートされたスピーカインピーダンスを持つスピーカを負荷として接続した場合の出力トランス203の伝達特性を用いる。
ここで、一般的なトランスの等価回路について説明する。一般的にトランスの等価回路は図3に示す回路であることが知られている。すなわち、図3(a)の出力トランスの等価回路は図3(b)に示すとおりとなる。図4に、オーディオ用出力トランスを図3(b)の等価回路に適合させて、6Ωの純抵抗を負荷にした場合のオーディオ帯域(20Hz〜20kHz)の周波数特性を示す。図4は低域、中域においてフラットな特性を示し、高域において単調減少する特性を示している。
図5に、スピーカシステムのインピーダンス特性例を示す。同図は、密閉型キャビネットで構成される2ウェイ型のスピーカシステムの特性を示している。図5を参照すると、本スピーカシステムの最低共振周波数が50Hzで、高域再生スピーカユニット(ツィータ)の最低共振周波数が、5kHzであることがわかる。
図6は、図5の特性を持つスピーカユニットを図4の特性を持つ出力トランスに接続した場合の出力トランスの出力信号の周波数特性は示した図である。図4と図6の特性を比較すると、図4は、高域が単調に減衰する特性を示すが、図6は、スピーカシステムのインピーダンスの影響を受けて、低域と高域の一部で盛り上がった周波数特性を示している。このような、出力トランスに接続する負荷の違いによる周波数特性の変化が、音質に影響し、真空管増幅器特有の音質を形成していると考えられる。
以上のように、本実施形態の信号処理回路100は、スピーカインピーダンスシミュレーション部102でシミュレートされるスピーカインピーダンスを負荷にした場合の出力トランスシミュレーション部101の伝達特性をもとに、入力されたオーディオ信号を処理することで、図6のような周波数特性を持つ出力信号を生成する。
スピーカインピーダンスシミュレーション部102の特性は以下のようにして決定できる。例えば、実際のスピーカシステム(ユニット単体を含む)のインピーダンス特性を測定して、その測定値に基づきインピーダンス特性を決定する。スピーカインピーダンスシミュレーション部102は、インピーダンス特性の測定値の情報をテーブルとして保持する。
または、L,C,Rの共振回路を用いてスピーカのインピーダンス特性をシミュレートし、それからインピーダンス特性を求めても良い。図7は、スピーカインピーダンスシミュレーション部102がインピーダンス特性をシミュレートするために用いる回路の構成例を示した図である。図7(a)に示す回路は、一段のLCR並列共振回路を含み、例えば1つの共振点を有するスピーカシステムをシミュレートする場合に使用できる。図7(b)に示す回路は二段のLCR並列共振回路を含み、例えば2つの共振点を有するスピーカシステムをシミュレートする場合に使用できる。スピーカインピーダンスシミュレーション部102は、例えば図7(a)、(b)に示す回路が与えるインピーダンス特性を用いて、シミュレーション対象とするスピーカシステムのインピーダンス特性を得ることができる。L、C、Rの値、共振回路の段数及び共振回路の構成は、シミュレートしたいスピーカシステムのインピーダンス特性に応じて決定される。図7(b)における各L、C、Rの値は、シミュレートするインピーダンス特性に応じて互いに独立な値を取り得る。
図7(a)または(b)に示すL,C,Rの並列共振回路を用いてスピーカのインピーダンス特性を模擬し、それからインピーダンス特性を求めても良い。例えば、シミュレートするスピーカのインピーダンスが図8(a)に示す回路で与えられる場合を考える。同図の回路の場合、スピーカのインピーダンスZ0は次式で与えられる。
0=R4+sL55/(s2555+sL5+R5) (1)
さらに共振周波数f0は次式で与えられる。
0=1/{2π(L551/2} (1.1)
また、共振峰の高さ(図8(b)参照)はR5で与えられ、先鋭度Q(Quality factor)は次式で与えられる。
Q=1/[2{1+L5/(4C55 2)}1/2] (1.2)
よって、図8(a)に示す回路の各素子の値R4、L5、C5、R5を適宜設定することにより、共振周波数、共振峰の高さ、先鋭度を任意の値に設定できることから、スピーカのインピーダンス(Z0)特性を任意に設定できる。
一方、出力トランスシミュレーション部101についても同様に、実際の出力トランスの伝達特性を測定し、その測定値に基づき、出力トランスシミュレーション部101の周波数特性を決定してもよい。例えば、図3(b)に示した等価回路を用いて伝達特性を決定し、その伝達特性と測定値に基づき、出力トランスシミュレーション部101の特性を決定することができる。以下、出力トランスの伝達特性について説明する。
以下では、図9に示すように真空管増幅器の出力抵抗RAをも考慮したときの出力トランスの伝達特性を検討する。なお、出力抵抗RAは真空管デバイス201の抵抗である。入力電圧と出力電圧をそれぞれVi、Voとすると、伝達特性は次式で与えられる。
i/Vo={(sC1A+1)(R1+sL1)+RA}[(sL3+R3
{(n22+sn22)(sC2o+1)+n2o}+
sL33(sC2o+1)]/sn233o+sL33(sC1A+1)
{(R2+sn22)(sC2o+1)+n2o}/sL332o (2)
ここで、Zoは負荷インピーダンス、C1は一次巻線浮遊容量、R1は一次巻線抵抗、L1は一次巻線漏れインダクタンス、R3は鉄損、L3は一次インダクタンス、L2は二次巻線漏れインダクタンス、R2は二次巻線抵抗、C2は二次巻線浮遊容量、nは出力トランスの巻数比である。
なお、式(2)におけるL、C、Rの各値は、出力トランスの伝達特性の測定値に基づいて決定するが、所望の特性が得られるよう適宜決定されてもよい。
負荷インピーダンスZoは、一般に次式(2.1)で与えられるが、例えば、図8(a)に示す等価回路を用いてインピーダンス特性をシミュレートする場合、負荷インピーダンスZoは式(1)で与えられる。
o=(a0+a1s+…+ann)/(b0+b1s+…+bnn) (2.1)
以上のように求めた伝達特性を入力信号に畳み込むことで、出力信号を生成することができる。更に、スピーカインピーダンスシミュレーション部102でシミュレートされるスピーカインピーダンスを負荷にした場合の出力トランスの出力特性は、個別に伝達特性を求めるのではなく、出力トランスにスピーカシステムを接続した状態で伝達特性を算出しても良い。
図10〜図12は、本実施形態の信号処理装置の周波数特性(位相及び振幅についての特性)を示した図である。図10は、負荷として純抵抗を接続した場合の出力トランスの出力信号の周波数特性を示す。図11は、50Hzの共振周波数を持つ密閉2ウェイ型スピーカを負荷として接続した場合の出力トランスの出力信号の周波数特性を示す。図12は、50Hzの共振周波数を持つ密閉フルレンジ型スピーカを負荷として接続した場合の出力トランスの出力信号の周波数特性を示す。これらの図に示すように、本実施形態の信号処理装置によれば、位相についても周波数特性を持つ。このように位相特性を有する点が、本実施形態の信号処理装置と、帯域ごとにレベルを増減させることで音質調整が可能なグラフィックイコライザ(graphic equalizer)と異なる点である。
以上のような構成で、アナログオーディオ機器、特に真空管増幅器の持つ音質特徴をデジタルオーディオ機器にて再現でき、アナログオーディオ機器の再生音から感じ取れる、滑らかな音質及び安定感、安心感等を与える音質を提供できる。
本実施形態の信号処理装置100は、制御端子T11、T12を介して出力トランスシミュレーション部101及びスピーカインピーダンスシミュレーション部102それぞれに対する制御パラメータを外部から変更できる。
スピーカインピーダンスシミュレーション部102は、制御端子T12を介して外部から制御パラメータを入力することで、スピーカインピーダンス特性を変更できる。例えば、スピーカインピーダンスシミュレーション部102が図8(a)に示す回路を用いてインピーダンス特性をシミュレーションする場合、共振周波数を設定する制御パラメータは式(1.1)からL5とC5となる。また先鋭度Qを設定する制御パラメータは式(1.2)からL5、C5、R5となる。
図13は、スピーカインピーダンスシミュレーション部102が、図7(b)に示す回路を用いてスピーカのインピーダンス特性をシミュレーションする場合において、制御パラメータを変更することでインピーダンス特性を変化させた例を示した図である。図13において、実線は変更前の特性を示し、破線は変更後の特性を示す。また、図13は、キャビネットが密閉型で2ウェイ型のスピーカシステムのインピーダンス特性を示す。
図13では、インピ-ダンス特性を制御するために3つの要素を変更している。第1の要素は共振周波数であり、低域の共振周波数をより高域側に(50Hzから100Hzへ)シフトしている。第2の要素は、低域の共振周波数におけるインピーダンスの大きさであり、小さくしている。第3の要素は、尖鋭度Q(Quality factor)であり、ツィータの低域共振周波数(5kHz)におけるインピーダンスの尖鋭度Qを大きくしている。このようなスピーカインピーダンスを変化させると、それを負荷とする出力トランスの出力信号の周波数特性は、図14に示すように変化する。図14において、実線は変更前の特性を示し、破線は変更後の特性を示す。
以上のようにスピーカのインピーダンス特性を制御することで、それを負荷とする出力トランスの周波数特性の制御が可能となる。
上記の制御では、スピーカインピーダンスの特徴となる特性を制御しているが、実際に複数のスピーカインピーダンスの伝達特性をテーブルとしてスピーカインピーダンスシミュレーション部102内に保持しておき、いずれか1つの伝達特性を制御パラメータにより選択して用いるようにしても良い。例えば、図13に示したような密閉型の2ウェイ型スピーカシステムのインピーダンス特性と、図15に示すようなバスレフ型の3ウェイ型スピーカシステムのインピーダンス特性とをそれぞれ保持しておき、いずれかの特性を制御パラメータにより選択できるようにしてもよい。図15に示すインピーダンス特性を持つスピーカシステムに接続された出力トランスに対する、トランスシミュレーション部101による出力信号の周波数特性は図16に示すような特性となる。
以上のように、制御端子T11、T12を介して外部から制御パラメータをスピーカのインピーダンス特性を制御できるように信号処理装置を構成することで、外部から再生音の音質制御が可能となる。このように制御パラメータを変更するだけで容易にスピーカのインピーダンス特性を変更できることから、複数のスピーカシステムの特性を容易に得ることができ、種々のスピーカを使用したときの音質を容易に再現することができる。また、制御パラメータにより、スピーカインピーダンスの低域共振周波数を低く設定し、かつ、その低域共振周波数でのインピーダンス値を大きく設定することで、低域再生能力の低い(低域方向の周波数特性が狭い)スピーカで再生した場合の聴感上の音質(低域再生能力)を向上させることができる。
トランスシミュレーション部101は、制御端子T11を介して外部から制御パラメータを入力することで、シミュレーションすべき出力トランスの特性を変更することができる。具体的には、例えば、複数の出力トランスから算出した伝達特性をテーブルとして保持しておき、制御パラメータにより、いずれか1つの伝達特性を選択するようにする。または、図9に示した等価回路の伝達特性において、音質に影響を与えるパラメータ(L、C、Rの値)を、制御パラメータにより段階的にまたは連続的に切り替えられるようにして、再生音の音質制御を行ってもよい。特に、1次インダクタンスL3を変化させる(例えば、小さくする)と、図17に示すように出力トランスの出力信号の低域の特性が変化する。
以上のような構成で、アナログオーディオ機器、特に真空管増幅器の持つ音質特徴を、デジタルオーディオ機器にて再現し、アナログオーディオ機器の再生音から感じ取れる滑らかな音、安定感安心感のある等の音質を提供できる効果を有している。また、外部からシミュレーション特性を制御することで、得られる音質の制御が可能となる。
3.変形例
以上の実施の形態においては、信号処理装置100を、ハードウエアのディジタル信号処理回路で構成しているが、本発明の思想の適用はこれに限られない。例えば、図1の構成を信号処理プログラム(ソフトウェア)で実現して、その信号処理プログラムをDSP(Digital Signal Processor:デジタル・シグナル・プロセッサ)により実行してもよい。
また、以上の説明では、真空管増幅器に含まれる出力トランスの出力特性をシミュレーションしたが、真空管増幅器に限られない。他のアナログオーディオ機器に含まれる出力トランスの出力特性をシミュレーションしてもよい。アナログオーディオ機器に含まれる出力トランスがそのアナログオーディオ機器の特性に大いに影響を与える場合は、出力トランスの出力特性をシミュレーションすることで、そのアナログオーディオ機器による音質を再現することができる。
4.まとめ
以上のように本実施形態の信号処理装置によれば、所定の特性を有するトランスに所定の特性を有した負荷を接続した状態での伝達特性で、入力されたオーディオ信号を処理することで、出力オーディオ信号を生成している。特に、出力トランスの伝達特性とそれに接続されるスピーカのインピーダンス特性とを含めた全体の伝達特性で、入力されたオーディオ信号を処理することにより、出力オーディオ信号を生成している。この構成により、トランスをオーディオ真空管増幅器用出力トランスとし、負荷をオーディオ用スピーカとすることで、真空管増幅器でスピーカを駆動している状態の音質を再現できる効果を奏する。
さらに、スピーカのインピーダンスの周波数特性を外部から制御することで、インピーダンス特性の共振特性を変化させること、また、トランスの1次インダクタンスを含む特性を外部から制御することにより、様々な出力トランス及びスピーカを組み合わせたとき(著名なオーディオ機器での組合せ例も含む)のオーディオ信号を生成できるという効果を奏する。
さらに、本実施形態では、負荷となるスピーカのインピーダンスの低域共振周波数とその大きさを適宜調整する。具体的には、スピーカのインピーダンスの低域共振周波数を再生装置の低域再生限界の前後に、または、音質制御したい周波数に設定したり、インピーダンスの大きさを変化させるたりすることで、設定した周波数付近における周波数特性を調整する。これにより、再生装置の低域特性の制御、特に小型スピーカを使用した再生装置の低域特性の改善ができる。
本発明にかかる信号処理装置は、アナログオーディオ機器、特に真空管増幅器の持つ音質特徴を、デジタルオーディオ機器にて再現し、アナログオーディオ機器の再生音から感じ取れる滑らかな音、安定感、安心感のある等の音質を再生する等のオーディオ機器の音質改善として有用である。
本発明は、特定の実施形態について説明されてきたが、当業者にとっては他の多くの変形例、修正、他の利用が明らかである。それゆえ、本発明は、ここでの特定の開示に限定されず、添付の請求の範囲によってのみ限定され得る。なお、本出願は日本国特許出願、特願2006−312595号(2006年11月20日提出)に関連し、それらの内容は参照することにより本文中に組み入れられる。
本発明は、アナログオーディオ機器、特に真空管増幅器の持つ音質特徴をデジタルオーディオ機器にて再現するための信号処理装置及び信号処理方法に関する。
楽器用エフェクターに於いて、真空管式ギターアンプの音色、特に過大入力を与えた場合の音色変化の特徴を出すことを目的とした信号処理装置が、特許文献1において開示されている。図18にその信号処理装置の構成を示す。図18に示す信号処理装置は、Igブロック301、302と、Ip/Egブロック305、306と、レベル検出部308と、乗算器309と、加算器303、304、307、310とを備える。
Igブロック301、302は、入力信号に応じて、真空管式電力増幅器のグリッドに接続されたフィルタ特性をシミュレートする。Igブロック301、302の出力信号はIp/Egブロック305、306に供給される。Ip/Egブロック305、306は、真空管式電力増幅におけるグリッド電圧の変化に応じたプレート電流をシミュレートする。
Igブロック301、302は、入力電圧が大きくなるにしたがって、その遮断特性が高くなる。レベル検出器308は、加算器307から得られるIp/Egブロック305とIp/Egブロック306の加算出力のレベルを検出する。このレベルが大きくなるに連れて、乗算器309、加算器310、303、304を用いて、Ip/Egブロック305、306のバイアスを深くすることで、真空管増幅器の動作をシミュレートする。
以上説明したように、特許文献1では、入力信号に応じて真空管式電力増幅器のグリッドに接続されたフィルタ特性、プレート電流の静特性をシミュレートし、且つ、出力信号レベルに応じて、フィルタ特性及び入力信号に付加するバイアスを変化させる。これにより、真空管増幅器の特性を模擬し、真空管式ギターアンプの音色、特に過大入力を与えた場合の音色変化の特徴を再現できる。
特開平7−86840号公報
上述の従来の信号処理装置においては、真空管式ギターアンプの音色、特に過大入力を与えた場合の音色変化の特徴を再現することを目的としている。このため、通常振幅信号(実用上無歪状態で動作可能な信号振幅)に対しては効果が得られず、通常振幅信号を扱うオーディオ用途としては不適である。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、アナログオーディオ機器、特に真空管増幅器の持つ音質特徴をデジタルオーディオ機器にて再現し、アナログオーディオ機器の再生音から感じ取れる、中低域に厚みのある、滑らかな音、安定感安心感のある等の音質を再生可能とする信号処理装置及び方法を提供することにある。
本発明に係る信号処理装置は、接続される負荷に応じて周波数特性が変化するトランスの伝達特性をシミュレートし、入力信号を伝達特性で処理して出力するトランスシミュレート手段と、所定の負荷のインピーダンス特性をシミュレートし、インピーダンス特性を出力する負荷インピーダンスシミュレート手段とを備える。トランスシミュレート手段は、負荷インピーダンスシュミレート手段によってシミュレートされた負荷インピーダンスを持つ負荷が接続された状態でトランスの伝達特性をシミュレートする。
本発明に係る信号処理方法は、所定の負荷のインピーダンス特性をシミュレートし、インピーダンス特性を出力するステップと、接続される負荷に応じて周波数特性が変化するトランスに前記シミュレートされたインピーダンス特性の負荷が接続された状態で、トランスの伝達特性をシミュレートするステップと、入力信号を、シミュレートされた伝達特性を用いて処理し、出力信号を生成するステップとを含む。
本発明によれば、所定の特性を有するトランスに所定の特性を有した負荷を接続した状態での伝達特性で、入力されたオーディオ信号を処理することで、出力オーディオ信号を生成している。特に、出力トランスの伝達特性とそれに接続されるスピーカのインピーダンス特性とを含めた全体の伝達特性で、入力されたオーディオ信号を処理することにより、出力オーディオ信号を生成している。これにより、例えば、トランスをオーディオ真空管増幅器用出力トランスとし、負荷をオーディオ用スピーカとすることで、真空管増幅器でスピーカを駆動したときに得られる音質を再現できる。
本発明の実施の形態における信号処理装置の構成図 3極管真空管を用いたシングル構成のオーディオ電力増幅器(真空管増幅器)の構成図 (a)出力トランスの回路図及び(b)出力トランスの等価回路図 負荷として純抵抗を接続したときの出力トランスの出力信号の周波数特性の一例を示す図 スピーカシステムのインピーダンス特性の一例を示す図 図5に示すインピーダンス特性を有するスピーカシステムを接続した場合の出力トランスの出力信号の周波数特性を示す図 スピーカインピーダンスシミュレーション部において、スピーカインピーダンスをシミュレートする際に使用する回路の構成例を示した図 スピーカインピーダンスをシミュレートする際に使用する等価回路の回路図 シミュレーション対象の真空管増幅器の出力部の等価回路図 負荷として純抵抗が接続された出力トランスの位相特性と振幅特性を示す図 負荷として密閉型の2ウェイ型スピーカシステムが接続された出力トランスの出力信号の位相特性と振幅特性を示す図 負荷として密閉型のフルレンジ型スピーカシステムが接続された出力トランスの出力信号の位相特性と振幅特性を示す図 制御パラメータを変更することによるインピーダンス特性の変化を示す図 図13に示すインピーダンス特性の変化に伴う出力トランスの出力信号特性を示す図 制御パラメータを変更することにより得られる、バスレフ型の3ウェイスピーカシステムのインピーダンス特性を示す図 図15に示すインピーダンス特性の負荷が接続された出力トランスの出力信号特性を示す図 一次インダクタンスを変化させた場合の出力トランスの出力信号特性の変化を示す図 従来のオーディオ信号再生装置の構成を示すブロック図
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
1. 信号処理装置の構成
図1は、本発明の実施の形態1における信号処理装置の構成図である。図1において、信号処理装置100は、出力トランスシミュレーション部101と、スピーカインピーダンスシミュレーション部102と、デジタルオーディオ信号を入力する入力端子T1と、所定の信号処理がなされたデジタルオーディオ信号を出力する出力端子T2とを含む。さらに信号処理装置100は、出力トランスシミュレーション部101におけるシミュレーションに関する設定を変更するための制御端子T11と、スピーカインピーダンスシミュレーション部102におけるシミュレーションに関する設定を変更するための制御端子T12とを備える。
本実施形態の信号処理装置100は真空管を用いたオーディオ電力増幅器(以下「真空管増幅器」という。)の出力特性(伝達特性)をシミュレートし、入力した信号に対してそのシミュレートした出力特性を付加して出力するフィルタ機能を有する。特に、本願発明の発明者は、真空管増幅器の持つ音質に多大な影響を与える要素として、真空管増幅器内に用いられる出力トランスに着目し、出力トランスの出力特性をシミュレートすることにより真空管増幅器により得られる音質特徴を再現できることを発見した。
ここで、出力トランスの出力特性は、それに接続される負荷(例えば、スピーカ)のインピーダンスに左右される。このため、出力トランスシミュレーション部101は、真空管増幅に使用される出力トランスの出力特性をシミュレートし、スピーカインピーダンスシミュレーション部102は、出力トランスに接続されるスピーカの負荷インピーダンスをシミュレートする。この構成によって、オーディオデジタル信号は、本実施形態の信号処理装置100を通過することで、シミュレーション対象の真空管増幅器とスピーカから得られる音質の特性が付加され、これにより、真空管増幅器で再現したような滑らで安定感、安心感のある音質が得られる。
なお、信号処理装置100は半導体集積回路で構成され、出力トランスの伝達特性及びスピーカのインピーダンス特性をシミュレートする機能を有する。具体的には、信号処理装置100は以下の機能を実現する信号処理プログラムを実行するDSP(Digital Signal Processor:デジタル・シグナル・プロセッサ)で構成される。
ここで、出力トランスシミュレーション部101がシミュレートする出力トランスを含むオーディオ電力増幅器(真空管増幅器)について説明する。
図2に、1つの3極管真空管を用いたオーディオ電力増幅器(真空管増幅器)の構成を示す。真空管増幅器は、オーディオ信号を増幅する真空管デバイス201と、真空管デバイス201の動作点を決定するバイアスを与える抵抗器202と、出力トランス203と、直流電源204とを備える。真空管増幅器は、入力端子T3からアナログオーディオ信号を入力し、出力トランス203を介して負荷であるスピーカ205に増幅したオーディオ信号を出力する。
オーディオ電力増幅器において、入力端子T3から入力されたオーディオ信号は真空管デバイス201に供給される。真空管デバイス201の動作点は、抵抗器202、出力トランス203及び直流電源204により決定される。真空管デバイス201は入力されたオーディオ信号を増幅し、出力トランス203を介して、負荷であるスピーカ205に電力を供給する。真空管デバイス201の出力抵抗は一般に数kΩと大きく、スピーカ205のインピーダンスは4〜8Ω程度と小さいため、出力トランス203を用いてインピーダンス整合を行っている。
一般的に出力トランスは、バンドパス特性を有し、その伝達特性は、出力トランスに接続する負荷に影響されることが知られている。本願の発明者は、そのような出力トランスの特性が真空管増幅器の伝達特性に影響を与え、真空管増幅器の音質を左右していることに着目した。すなわち、負荷としてスピーカが接続された場合の出力トランスの伝達特性をシミュレートし、その伝達特性によって、入力されるオーディオ信号を処理することにより、真空管増幅器の音質特徴を含むオーディオ信号を生成する。
なお、本実施形態では、出力トランスシミュレーション部101はオーディオ用出力トランスの特性をシミュレーションしている。ここで、オーディオ用出力トランスは、一般に低い(4〜16Ω)負荷インピーダンスを持つスピーカと真空管増幅器との間のインピーダンス整合をとるために挿入されるものである。オーディオ用出力トランスの特性は例えば以下の表に示すようなものとなる。
Figure 2008062748
2.信号処理装置の動作
本実施形態の信号処理装置100の動作を説明する。出力トランスシミュレーション部101は、図2に示した真空管増幅器に含まれる出力トランス203の伝達特性をシミュレートする。スピーカインピーダンスシミュレーション部102は、図2に示す、出力トランス203の負荷であるスピーカ205のインピーダンス特性をシミュレートする。
出力トランスシミュレーション部101はオーディオ信号を入力端子T1から入力し、出力トランス203の伝達特性に基づいて、入力したオーディオ信号を処理し、処理したオーディオ信号を出力端子T2から出力する。このとき、出力トランスシミュレーション部101は、スピーカインピーダンスシミュレーション部102によりシミュレートされたスピーカインピーダンスを持つスピーカを負荷として接続した場合の出力トランス203の伝達特性を用いる。
ここで、一般的なトランスの等価回路について説明する。一般的にトランスの等価回路は図3に示す回路であることが知られている。すなわち、図3(a)の出力トランスの等価回路は図3(b)に示すとおりとなる。図4に、オーディオ用出力トランスを図3(b)の等価回路に適合させて、6Ωの純抵抗を負荷にした場合のオーディオ帯域(20Hz〜20kHz)の周波数特性を示す。図4は低域、中域においてフラットな特性を示し、高域において単調減少する特性を示している。
図5に、スピーカシステムのインピーダンス特性例を示す。同図は、密閉型キャビネットで構成される2ウェイ型のスピーカシステムの特性を示している。図5を参照すると、本スピーカシステムの最低共振周波数が50Hzで、高域再生スピーカユニット(ツィータ)の最低共振周波数が、5kHzであることがわかる。
図6は、図5の特性を持つスピーカユニットを図4の特性を持つ出力トランスに接続した場合の出力トランスの出力信号の周波数特性は示した図である。図4と図6の特性を比較すると、図4は、高域が単調に減衰する特性を示すが、図6は、スピーカシステムのインピーダンスの影響を受けて、低域と高域の一部で盛り上がった周波数特性を示している。このような、出力トランスに接続する負荷の違いによる周波数特性の変化が、音質に影響し、真空管増幅器特有の音質を形成していると考えられる。
以上のように、本実施形態の信号処理回路100は、スピーカインピーダンスシミュレーション部102でシミュレートされるスピーカインピーダンスを負荷にした場合の出力トランスシミュレーション部101の伝達特性をもとに、入力されたオーディオ信号を処理することで、図6のような周波数特性を持つ出力信号を生成する。
スピーカインピーダンスシミュレーション部102の特性は以下のようにして決定できる。例えば、実際のスピーカシステム(ユニット単体を含む)のインピーダンス特性を測定して、その測定値に基づきインピーダンス特性を決定する。スピーカインピーダンスシミュレーション部102は、インピーダンス特性の測定値の情報をテーブルとして保持する。
または、L,C,Rの共振回路を用いてスピーカのインピーダンス特性をシミュレートし、それからインピーダンス特性を求めても良い。図7は、スピーカインピーダンスシミュレーション部102がインピーダンス特性をシミュレートするために用いる回路の構成例を示した図である。図7(a)に示す回路は、一段のLCR並列共振回路を含み、例えば1つの共振点を有するスピーカシステムをシミュレートする場合に使用できる。図7(b)に示す回路は二段のLCR並列共振回路を含み、例えば2つの共振点を有するスピーカシステムをシミュレートする場合に使用できる。スピーカインピーダンスシミュレーション部102は、例えば図7(a)、(b)に示す回路が与えるインピーダンス特性を用いて、シミュレーション対象とするスピーカシステムのインピーダンス特性を得ることができる。L、C、Rの値、共振回路の段数及び共振回路の構成は、シミュレートしたいスピーカシステムのインピーダンス特性に応じて決定される。図7(b)における各L、C、Rの値は、シミュレートするインピーダンス特性に応じて互いに独立な値を取り得る。
図7(a)または(b)に示すL,C,Rの並列共振回路を用いてスピーカのインピーダンス特性を模擬し、それからインピーダンス特性を求めても良い。例えば、シミュレートするスピーカのインピーダンスが図8(a)に示す回路で与えられる場合を考える。同図の回路の場合、スピーカのインピーダンスZ0は次式で与えられる。
0=R4+sL55/(s2555+sL5+R5) (1)
さらに共振周波数f0は次式で与えられる。
0=1/{2π(L551/2} (1.1)
また、共振峰の高さ(図8(b)参照)はR5で与えられ、先鋭度Q(Quality factor)は次式で与えられる。
Q=1/[2{1+L5/(4C55 2)}1/2] (1.2)
よって、図8(a)に示す回路の各素子の値R4、L5、C5、R5を適宜設定することにより、共振周波数、共振峰の高さ、先鋭度を任意の値に設定できることから、スピーカのインピーダンス(Z0)特性を任意に設定できる。
一方、出力トランスシミュレーション部101についても同様に、実際の出力トランスの伝達特性を測定し、その測定値に基づき、出力トランスシミュレーション部101の周波数特性を決定してもよい。例えば、図3(b)に示した等価回路を用いて伝達特性を決定し、その伝達特性と測定値に基づき、出力トランスシミュレーション部101の特性を決定することができる。以下、出力トランスの伝達特性について説明する。
以下では、図9に示すように真空管増幅器の出力抵抗RAをも考慮したときの出力トランスの伝達特性を検討する。なお、出力抵抗RAは真空管デバイス201の抵抗である。入力電圧と出力電圧をそれぞれVi、Voとすると、伝達特性は次式で与えられる。
i/Vo={(sC1A+1)(R1+sL1)+RA}[(sL3+R3
{(n22+sn22)(sC2o+1)+n2o}+
sL33(sC2o+1)]/sn233o+sL33(sC1A+1)
{(R2+sn22)(sC2o+1)+n2o}/sL332o (2)
ここで、Zoは負荷インピーダンス、C1は一次巻線浮遊容量、R1は一次巻線抵抗、L1は一次巻線漏れインダクタンス、R3は鉄損、L3は一次インダクタンス、L2は二次巻線漏れインダクタンス、R2は二次巻線抵抗、C2は二次巻線浮遊容量、nは出力トランスの巻数比である。
なお、式(2)におけるL、C、Rの各値は、出力トランスの伝達特性の測定値に基づいて決定するが、所望の特性が得られるよう適宜決定されてもよい。
負荷インピーダンスZoは、一般に次式(2.1)で与えられるが、例えば、図8(a)に示す等価回路を用いてインピーダンス特性をシミュレートする場合、負荷インピーダンスZoは式(1)で与えられる。
o=(a0+a1s+…+ann)/(b0+b1s+…+bnn) (2.1)
以上のように求めた伝達特性を入力信号に畳み込むことで、出力信号を生成することができる。更に、スピーカインピーダンスシミュレーション部102でシミュレートされるスピーカインピーダンスを負荷にした場合の出力トランスの出力特性は、個別に伝達特性を求めるのではなく、出力トランスにスピーカシステムを接続した状態で伝達特性を算出しても良い。
図10〜図12は、本実施形態の信号処理装置の周波数特性(位相及び振幅についての特性)を示した図である。図10は、負荷として純抵抗を接続した場合の出力トランスの出力信号の周波数特性を示す。図11は、50Hzの共振周波数を持つ密閉2ウェイ型スピーカを負荷として接続した場合の出力トランスの出力信号の周波数特性を示す。図12は、50Hzの共振周波数を持つ密閉フルレンジ型スピーカを負荷として接続した場合の出力トランスの出力信号の周波数特性を示す。これらの図に示すように、本実施形態の信号処理装置によれば、位相についても周波数特性を持つ。このように位相特性を有する点が、本実施形態の信号処理装置と、帯域ごとにレベルを増減させることで音質調整が可能なグラフィックイコライザ(graphic equalizer)と異なる点である。
以上のような構成で、アナログオーディオ機器、特に真空管増幅器の持つ音質特徴をデジタルオーディオ機器にて再現でき、アナログオーディオ機器の再生音から感じ取れる、滑らかな音質及び安定感、安心感等を与える音質を提供できる。
本実施形態の信号処理装置100は、制御端子T11、T12を介して出力トランスシミュレーション部101及びスピーカインピーダンスシミュレーション部102それぞれに対する制御パラメータを外部から変更できる。
スピーカインピーダンスシミュレーション部102は、制御端子T12を介して外部から制御パラメータを入力することで、スピーカインピーダンス特性を変更できる。例えば、スピーカインピーダンスシミュレーション部102が図8(a)に示す回路を用いてインピーダンス特性をシミュレーションする場合、共振周波数を設定する制御パラメータは式(1.1)からL5とC5となる。また先鋭度Qを設定する制御パラメータは式(1.2)からL5、C5、R5となる。
図13は、スピーカインピーダンスシミュレーション部102が、図7(b)に示す回路を用いてスピーカのインピーダンス特性をシミュレーションする場合において、制御パラメータを変更することでインピーダンス特性を変化させた例を示した図である。図13において、実線は変更前の特性を示し、破線は変更後の特性を示す。また、図13は、キャビネットが密閉型で2ウェイ型のスピーカシステムのインピーダンス特性を示す。
図13では、インピ-ダンス特性を制御するために3つの要素を変更している。第1の要素は共振周波数であり、低域の共振周波数をより高域側に(50Hzから100Hzへ)シフトしている。第2の要素は、低域の共振周波数におけるインピーダンスの大きさであり、小さくしている。第3の要素は、尖鋭度Q(Quality factor)であり、ツィータの低域共振周波数(5kHz)におけるインピーダンスの尖鋭度Qを大きくしている。このようなスピーカインピーダンスを変化させると、それを負荷とする出力トランスの出力信号の周波数特性は、図14に示すように変化する。図14において、実線は変更前の特性を示し、破線は変更後の特性を示す。
以上のようにスピーカのインピーダンス特性を制御することで、それを負荷とする出力トランスの周波数特性の制御が可能となる。
上記の制御では、スピーカインピーダンスの特徴となる特性を制御しているが、実際に複数のスピーカインピーダンスの伝達特性をテーブルとしてスピーカインピーダンスシミュレーション部102内に保持しておき、いずれか1つの伝達特性を制御パラメータにより選択して用いるようにしても良い。例えば、図13に示したような密閉型の2ウェイ型スピーカシステムのインピーダンス特性と、図15に示すようなバスレフ型の3ウェイ型スピーカシステムのインピーダンス特性とをそれぞれ保持しておき、いずれかの特性を制御パラメータにより選択できるようにしてもよい。図15に示すインピーダンス特性を持つスピーカシステムに接続された出力トランスに対する、トランスシミュレーション部101による出力信号の周波数特性は図16に示すような特性となる。
以上のように、制御端子T11、T12を介して外部から制御パラメータをスピーカのインピーダンス特性を制御できるように信号処理装置を構成することで、外部から再生音の音質制御が可能となる。このように制御パラメータを変更するだけで容易にスピーカのインピーダンス特性を変更できることから、複数のスピーカシステムの特性を容易に得ることができ、種々のスピーカを使用したときの音質を容易に再現することができる。また、制御パラメータにより、スピーカインピーダンスの低域共振周波数を低く設定し、かつ、その低域共振周波数でのインピーダンス値を大きく設定することで、低域再生能力の低い(低域方向の周波数特性が狭い)スピーカで再生した場合の聴感上の音質(低域再生能力)を向上させることができる。
トランスシミュレーション部101は、制御端子T11を介して外部から制御パラメータを入力することで、シミュレーションすべき出力トランスの特性を変更することができる。具体的には、例えば、複数の出力トランスから算出した伝達特性をテーブルとして保持しておき、制御パラメータにより、いずれか1つの伝達特性を選択するようにする。または、図9に示した等価回路の伝達特性において、音質に影響を与えるパラメータ(L、C、Rの値)を、制御パラメータにより段階的にまたは連続的に切り替えられるようにして、再生音の音質制御を行ってもよい。特に、1次インダクタンスL3を変化させる(例えば、小さくする)と、図17に示すように出力トランスの出力信号の低域の特性が変化する。
以上のような構成で、アナログオーディオ機器、特に真空管増幅器の持つ音質特徴を、デジタルオーディオ機器にて再現し、アナログオーディオ機器の再生音から感じ取れる滑らかな音、安定感安心感のある等の音質を提供できる効果を有している。また、外部からシミュレーション特性を制御することで、得られる音質の制御が可能となる。
3.変形例
以上の実施の形態においては、信号処理装置100を、ハードウエアのディジタル信号処理回路で構成しているが、本発明の思想の適用はこれに限られない。例えば、図1の構成を信号処理プログラム(ソフトウェア)で実現して、その信号処理プログラムをDSP(Digital Signal Processor:デジタル・シグナル・プロセッサ)により実行してもよい。
また、以上の説明では、真空管増幅器に含まれる出力トランスの出力特性をシミュレーションしたが、真空管増幅器に限られない。他のアナログオーディオ機器に含まれる出力トランスの出力特性をシミュレーションしてもよい。アナログオーディオ機器に含まれる出力トランスがそのアナログオーディオ機器の特性に大いに影響を与える場合は、出力トランスの出力特性をシミュレーションすることで、そのアナログオーディオ機器による音質を再現することができる。
4.まとめ
以上のように本実施形態の信号処理装置によれば、所定の特性を有するトランスに所定の特性を有した負荷を接続した状態での伝達特性で、入力されたオーディオ信号を処理することで、出力オーディオ信号を生成している。特に、出力トランスの伝達特性とそれに接続されるスピーカのインピーダンス特性とを含めた全体の伝達特性で、入力されたオーディオ信号を処理することにより、出力オーディオ信号を生成している。この構成により、トランスをオーディオ真空管増幅器用出力トランスとし、負荷をオーディオ用スピーカとすることで、真空管増幅器でスピーカを駆動している状態の音質を再現できる効果を奏する。
さらに、スピーカのインピーダンスの周波数特性を外部から制御することで、インピーダンス特性の共振特性を変化させること、また、トランスの1次インダクタンスを含む特性を外部から制御することにより、様々な出力トランス及びスピーカを組み合わせたとき(著名なオーディオ機器での組合せ例も含む)のオーディオ信号を生成できるという効果を奏する。
さらに、本実施形態では、負荷となるスピーカのインピーダンスの低域共振周波数とその大きさを適宜調整する。具体的には、スピーカのインピーダンスの低域共振周波数を再生装置の低域再生限界の前後に、または、音質制御したい周波数に設定したり、インピーダンスの大きさを変化させるたりすることで、設定した周波数付近における周波数特性を調整する。これにより、再生装置の低域特性の制御、特に小型スピーカを使用した再生装置の低域特性の改善ができる。
本発明にかかる信号処理装置は、アナログオーディオ機器、特に真空管増幅器の持つ音質特徴を、デジタルオーディオ機器にて再現し、アナログオーディオ機器の再生音から感じ取れる滑らかな音、安定感、安心感のある等の音質を再生する等のオーディオ機器の音質改善として有用である。
本発明は、特定の実施形態について説明されてきたが、当業者にとっては他の多くの変形例、修正、他の利用が明らかである。それゆえ、本発明は、ここでの特定の開示に限定されず、添付の請求の範囲によってのみ限定され得る。なお、本出願は日本国特許出願、特願2006−312595号(2006年11月20日提出)に関連し、それらの内容は参照することにより本文中に組み入れられる。
101 出力トランスシミュレーション部
102 スピーカインピーダンスシミュレーション部
201 真空管デバイス
202 抵抗器
203 出力トランス
204 直流電源
205 スピーカ
T1 入力端子
T2 出力端子
T3 入力端子
T11,T12 制御端子

Claims (12)

  1. 接続される負荷に応じて周波数特性が変化するトランスの伝達特性をシミュレートし、入力信号を前記伝達特性で処理して出力するトランスシミュレート手段と、
    所定の負荷のインピーダンス特性をシミュレートし、前記インピーダンス特性を出力する負荷インピーダンスシミュレート手段とを備え、
    前記トランスシミュレート手段は、前記負荷インピーダンスシュミレート手段によってシミュレートされた負荷インピーダンスを持つ負荷が接続された状態で前記トランスの伝達特性をシミュレートする、ことを特徴とする信号処理装置。
  2. 前記トランスシミュレート手段がシミュレートするトランスは、オーディオ真空管増幅器に用いられる出力トランスである、ことを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
  3. 前記負荷インピーダンスシミュレート手段がシミュレートする負荷は、オーディオ用スピーカであることを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
  4. 前記トランスシミュレート手段は、シミュレートするトランスの巻線比を有する理想トランスと、前記シミュレートするトランスの持つ固有パラメータである鉄損と、1次インダクタンスと、1次巻線漏洩インダクタンスと、1次巻線抵抗と、1次巻線浮遊容量と、2次巻線漏洩インダクタンスと、2次巻線抵抗と、2次巻線浮遊容量とから構成される等価回路の伝達特性をシミュレートし、
    前記等価回路は、前記理想トランスの1次側に前記鉄損と前記1次インダクタンスが並列接続され、1次巻線漏洩インダクタンスと1次巻線抵抗と1次巻線浮遊容量とからなる直列回路が前記鉄損に並列接続され、前記1次巻線浮遊容量の両端に前記入力信号が入力され、前記理想トランスの2次側に2次巻線漏洩インダクタンスと2次巻線抵抗と2次巻線浮遊容量とが直列に接続され、前記2次巻線浮遊容量の両端に前記負荷が接続される、ことを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
  5. 前記負荷インピーダンスシミュレート手段は、オーディオスピーカのインピーダンスの直流抵抗値を形成する抵抗器と、抵抗器、キャパシタ及びインダクタンスで構成される少なくとも1つの共振回路とを直列接続してなる回路のインピーダンス特性を用いて、前記オーディオスピーカのインピーダンス特性をシミュレートすることを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
  6. 前記負荷インピーダンスシミュレート手段でシミュレートする負荷のインピーダンス特性を外部から制御するための制御端子を備えたことを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
  7. 前記トランスシミュレート手段でシミュレートするトランスの1次インダクタンス特性を外部から制御するための制御端子を備えたことを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
  8. 所定の負荷のインピーダンス特性をシミュレートし、前記インピーダンス特性を出力するステップと、
    接続される負荷に応じて周波数特性が変化するトランスに前記シミュレートされたインピーダンスインピーダンス特性の負荷が接続された状態で、前記トランスの伝達特性をシミュレートするステップと、
    入力信号を、前記シミュレートされた伝達特性を用いて処理し、出力信号を生成するステップと
    を含む信号処理方法。
  9. 前記トランスは、オーディオ真空管増幅器に用いられる出力トランスであることを特徴とする請求項8記載の信号処理方法。
  10. 前記負荷はオーディオ用スピーカであることを特徴とする請求項8記載の信号処理方法。
  11. 前記負荷のインピーダンス特性を制御するための制御情報を受け付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項8記載の信号処理方法。
  12. 前記トランスの1次インダクタンス特性を制御するための制御情報を受け付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項8記載の信号処理方法。
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