JPWO2008059841A1 - 1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

有機化学品合成の中間体等として有用な1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の工業的に有利な製造方法に関し、ルイス酸性を有する鉄化合物の存在下で、(A)1,2−メチレンジオキシベンゼン、脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、及び3,3−ジ(アルキルカルボニルオキシ)−1−プロペン化合物(Y)を反応させる方法、(B)脂肪族飽和モノカルボン酸無水物とα,β−不飽和アルデヒド化合物とを反応させて、化合物(Y)を合成し、引き続き1,2−メチレンジオキシベンゼンと反応させる方法、(C)脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、α,β−不飽和アルデヒド化合物、及び1,2−メチレンジオキシベンゼンを反応させる方法である。

Description

本発明は、香料、医薬品、農薬品、及びその他の有機化学品合成の中間体等として有用な1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の工業的に有利な製造方法に関する。
従来、1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の合成法として、例えば、1,2−ジメトキシベンゼンとアルケニリデンジアセテートとを、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体により活性化された化学量論量の四塩化チタンの存在下にて反応させ、1−アセトキシ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−プロペンを合成する方法(非特許文献1参照)が知られている。しかし、この方法で使用される四塩化チタンは、空気中の水分と反応して塩化水素の白煙を生じる不安定な化合物であって、その取り扱いには注意を要し、更に反応後の後処理等も煩雑であることから、工業的に好適な方法とは言い難かった。
特許文献1には、t−ブチルベンゼンと、メタクロレインと、アセチルクロライドとを、化学量論量のルイス酸の存在下に反応させて1−アセトキシ−2−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)−1−プロペンを合成する方法が開示されている。この方法では、ルイス酸として塩化鉄(III)を用いているが、目的化合物の収率は11.3%であり、工業的に十分な収率とはいえないものであった。
また、特許文献2には、アルコキシ基又はアルキレンジオキシ基等の置換基により置換されたベンゼン化合物とアルケニリデンジアセテート化合物とを、周期表第11族元素のトリフラート化合物、第12族元素のハロゲン化合物、並びに錫、及び原子番号58及び66〜71の第12族元素のランタノイド元素で原子番号58及び66〜71の金属のトリフラート化合物及びハロゲン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含む触媒の存在下において反応を行ない、1−アセトキシ−2−メチル−3−(置換フェニル)−1−プロペン化合物を製造する方法が開示されている。しかし、これらの触媒は高価なものが多く、工業的に満足のいく製法とはいえないものであった。
上記文献に記載の反応では、いずれの場合も触媒としてルイス酸が使用されているが、原料である1,2−メチレンジオキシベンゼンは、このルイス酸によってメチレンジオキシ環が、開裂しやすいことが知られており(例えば、非特許文献2参照)、本発明の1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物を高純度で収率よく得ることは、これまで困難であった。
また、上記文献の反応はいずれも非水系での反応であるため、系内に水分が含まれると3,3−ジ(アルキルカルボニルオキシ)−1−プロペン化合物や、ルイス酸触媒が吸湿・分解して、目的物の収率が低下することが知られている。例えば、塩化鉄(III)のようなルイス酸性を有する鉄触媒についても、安価である反面、非水系有機溶媒への溶解性が非常に低く、吸湿性が高いため、操作性が悪いという問題があった。
特開昭55−141437号 国際公開第04/054997号 Bull, Soc, Chim, France, 1961, p.1194 Protecting groups in organic synthesis 3rd. Ed. p.287 (1999), John Wiley & Sons, Inc.
本発明の課題は、香料、医薬品、農薬品、及びその他の有機化学品合成の中間体等として有用な1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の工業的に有利な製造方法を提供することである。
本発明の課題は、1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造については、下記3つの製造方法A〜Cにより解決される。
(1)製造方法A:
ルイス酸性を有する鉄化合物の存在下で、1,2−メチレンジオキシベンゼン、炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、及び下記一般式(I)で表される化合物を反応させることを特徴とする、下記一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法。
Figure 2008059841
〔式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、又はR1とR2とは互いに結合してプロペン基の2位及び3位の炭素原子とともに環状構造を形成していてもよい。R3は、炭素数1〜5のアルキル基を表し、2つのR3は同一でも異なっていてもよい。〕
Figure 2008059841
〔式中、R1、R2及びR3は前記と同じである。〕
(2)製造方法B:
ルイス酸性を有する鉄化合物の存在下で、炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物とα,β−不飽和アルデヒド化合物とを反応させて、前記一般式(I)で表される化合物を合成し、得られた反応混合物溶液を引き続き1,2−メチレンジオキシベンゼンと反応させることを特徴とする、前記一般式(II)で表される1−アシルオキシ3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法。
(3)製造方法C:
ルイス酸性を有する鉄化合物の存在下で、炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、α,β−不飽和アルデヒド化合物、及び1,2−メチレンジオキシベンゼンを反応させることを特徴とする、前記一般式(II)で表される化合物の製造方法。
本発明の製造方法によれば、ルイス酸性を有する鉄化合物を触媒量使用することによって、目的とする1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物を高純度かつ収率よく製造することができる。
また、反応系内にて、炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物が、吸湿性の高いルイス酸性を有する鉄化合物の脱水効果を示すことで、この鉄化合物の触媒活性の低下を抑え、目的とする1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物を高純度かつ収率よく製造することができる。
本発明は、1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法として、3つの製造方法A〜Cを提供する。以下に、本発明の製造方法に使用される各成分と製造方法A〜Cについて順次説明する。
〔ルイス酸性を有する鉄化合物〕
本発明で使用されるルイス酸性を有する鉄化合物は、本発明において触媒として使用される。当該鉄化合物は特に制限されないが、触媒活性の観点から、2価又は3価の鉄化合物が好ましい。2価の鉄化合物としては、トリフルオロメタンスルホン酸鉄(II)、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、フッ化鉄(II)等が挙げられる。3価の鉄化合物としては、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、フッ化鉄(III)、ヨウ化鉄(III)、過塩素酸鉄(III)が挙げられる。これらの中では、ハロゲン化鉄化合物が好ましく、特に塩化鉄(III)、トリフルオロメタンスルホン酸鉄(II)が好ましい。
これら化合物は市販品をそのまま使用することができる。また、これらの鉄化合物は水和物であってもよく、単独で又は二種以上を混合して使用することもできる。
〔炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物〕
本発明で使用される炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物は特に制限されず、水素原子がハロゲン等で置換されていてもよい。該酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸、無水トリフルオロ酢酸等の炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物(異性体も含む)が挙げられる。これらの中では、無水酢酸、無水プロピオン酸が好ましく、無水酢酸が特に好ましい。
これらの酸無水物は、単独で又は二種以上を混合して使用することができる。
〔α,β−不飽和アルデヒド化合物〕
本発明で使用されるα,β−不飽和アルデヒド化合物としては、α−(C1−C10アルキル)−α,β−不飽和アルデヒド、β−(C1−C10アルキル)−α,β−不飽和アルデヒド、α,β−シクロアルケニルアルデヒド等が挙げられる。
その好適例としては、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、α,β−ジメチルアクロレイン、α−エチルアクロレイン、β−エチルアクロレイン、β−プロピルアクロレイン、シンナミックアルデヒド、1−シクロヘキセニルカルボアルデヒド、α−シクロヘキシルアクロレイン、α−フェニルアクロレイン等が挙げられる。これらの中では、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒドが特に好ましい。
α,β−不飽和アルデヒド化合物は、市販品をそのまま使用することができる。また、市販品が無いものについては、例えばSynthesis, (11), p.926, 1986、J. Org. Chem., Vol.39 (23), p.3318, 1974、Tetrahedron Letters, Vol.25 (42), p.4783, 1984 等に記載の方法により合成することができる。
〔一般式(I)で表される化合物〕
本発明の一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(I)で表される3,3−ジ(アルキルカルボニルオキシ)−1−プロペン化合物であり、例えば、特開昭61−151152号公報記載の方法により得ることができる。
Figure 2008059841
〔式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、又はR1とR2とは互いに結合してプロペン基の2位及び3位の炭素原子とともに環状構造を形成していてもよい。R3は、炭素数1〜5のアルキル基を表し、2つのR3は同一でも異なっていてもよい。〕
一般式(I)のR1及びR2において、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基等の分岐鎖状アルキル基、シクロプロピル、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、これらは各種異性体を包含する。
また、一般式(I)において、R1とR2とは、その末端において互いに結合してプロペン基の2位及び3位の炭素原子とともに環状構造を形成していてもよい。このような環状構造として、具体的には、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等が挙げられる。
1及びR2は、水素原子又は炭素数1〜6、特に炭素数1〜3の直鎖状アルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが特に好ましく、R1及びR2の少なくとも一方が前記アルキル基であることが好ましい。
3である炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられるが、これらの中では、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(I)で表される化合物としては、3,3−ジ〔(C1−C5アルキル)カルボニルオキシ〕−2−(C1−C10アルキル)−1−プロペン、3,3−ジ〔(C1−C5アルキル)カルボニルオキシ〕−3−(C1−C10アルキル)−1−プロペン、1−〔ジ(C1−C5アルキル)カルボニルオキシ〕メチル−1−シクロアルケン等が挙げられる。
その好適例としては、3,3−ジアセトキシ−2−(C1−C10アルキル)−1−プロペン、3,3−ジアセトキシ−3−(C1−C10アルキル)−1−プロペン、3,3−ジ(エチルカルボニルオキシ)−2−(C1−C10アルキル)−1−プロペン、3,3−ジ(エチルカルボニルオキシ)−3−(C1−C10アルキル)−1−プロペン、1−ジアセトキシメチル−1−シクロアルケン、1−ジ(エチルカルボニルオキシ)メチル−1−シクロアルケン等が挙げられる。これらの中では、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を有する化合物がより好ましく、炭素数1〜3の直鎖状アルキル基を有する化合物が特に好ましい。
より具体的には、3,3−ジアセトキシ−2−メチル−1−プロペン、3,3−ジアセトキシ−3−メチル−1−プロペン、3,3−ジ(エチルカルボニルオキシ)−2−メチル−1−プロペン、3,3−ジ(エチルカルボニルオキシ)−3−メチル−1−プロペン、1−ジアセトキシメチル−1−シクロヘキサン、1−ジ(エチルカルボニルオキシ)メチル−1−シクロヘキサン、1−ジアセトキシメチル−1−シクロペンタン、1−ジ(エチルカルボニルオキシ)メチル−1シクロペンタンが挙げられ、3,3−ジアセトキシ−2−メチル−1−プロペン、3,3−ジ(エチルカルボニルオキシ)−2−メチル−1−プロペンが特に好ましい。
〔一般式(II)で表される化合物〕
本発明の一般式(II)で表される化合物は、一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物であり、本発明の製造方法A〜Cにより得ることができる。
Figure 2008059841
〔式中、R1、R2及びR3は前記と同じである。〕
一般式(II)で表される化合物としては、1−(C1〜C5アルキル)カルボニルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−(C1〜C10アルキル)−1−プロペン、1−(C1〜C5アルキル)カルボニルオキシ)−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−3−(C1〜C10アルキル)−1−プロペン等が挙げられる。
その好適例としては、1−アセトキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−(C1〜C10アルキル)−1−プロペン、1−アセトキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−3−(C1〜C10アルキル)−1−プロペン、1−(エチルカルボニルオキシ)−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−(C1〜C10アルキル)−1−プロペン、1−(エチルカルボニルオキシ)−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−3−(C1〜C10アルキル)−1−プロペン、1−アセトキシメチレン−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−シクロアルカン、1−(エチルカルボニルオキシ)メチレン−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−シクロアルカン等が挙げられる。
上記の好適例の中では、一般式(II)におけるR1及びR2が、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、特に炭素数1〜3の直鎖状アルキル基であり、R3がメチル基又はエチル基である化合物が特に好ましい。
より具体的な好適例としては、1−アセトキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−(C1〜C4アルキル)−1−プロペン、1−アセトキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−3−(C1〜C4アルキル)−1−プロペン、1−(エチルカルボニルオキシ)−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−(C1〜C4アルキル)−1−プロペン、1−(エチルカルボニルオキシ)−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−3−(C1〜C4アルキル)−1−プロペン、1−アセトキシメチレン−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−シクロへキサン、1−(エチルカルボニルオキシ)メチレン−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−シクロへキサン、1−アセトキシメチレン−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−シクロペンタン、1−(エチルカルボニルオキシ)メチレン−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−シクロペンタン等が挙げられる。
これらの中では、特に、1−アセトキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−メチル−1−プロペン、1−アセトキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−3−メチル−1−プロペン、1−アセトキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−エチル−1−プロペン、1−アセトキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−3−エチル−1−プロペン、1−(エチルカルボニルオキシ)−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−メチル−1−プロペン、1−(エチルカルボニルオキシ)−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−3−メチル−1−プロペン、1−(エチルカルボニルオキシ)−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−エチル−1−プロペン、1−(エチルカルボニルオキシ)−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−3−エチル−1−プロペンが好ましく、1−アセトキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−メチル−1−プロペン、1−(エチルカルボニルオキシ)−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−メチル−1−プロペンが好ましい。
〔製造方法A〕
本発明の製造方法Aは、一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法であり、ルイス酸性を有する鉄化合物の存在下で、1,2−メチレンジオキシベンゼン、炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、及び一般式(I)で表される3,3−ジ(アルキルカルボニルオキシ)−1−プロペン化合物を反応させることを特徴とする。
製造方法Aにおいて、ルイス酸性を有する鉄化合物、前記脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、及び1,2−メチレンジオキシベンゼンの各使用量は、製造効率及び収率の観点から、次のとおりである。
ルイス酸性を有する鉄触媒の使用量は、一般式(I)で表される化合物1モルに対して、好ましくは0.001以上1モル未満、より好ましくは0.003〜0.85モル、更に好ましくは0.004〜0.5モル、特に好ましくは0.005〜0.25モルである。
前記脂肪族飽和モノカルボン酸無水物の使用量は、一般式(I)で表される化合物1モルに対して、好ましくは1.0〜2.0モル、より好ましくは1.05〜1.5モル、特に好ましくは1.1〜1.4モルである。
1,2−メチレンジオキシベンゼンの使用量は、一般式(I)で表される化合物1モルに対して、好ましくは0.1〜50モル、より好ましくは0.5〜40モル、更に好ましくは0.8〜30モル、特に好ましくは1〜20モルである。
製造方法Aにおいて、ルイス酸性を有する鉄化合物、及び1,2−メチレンジオキシベンゼンの使用量が、上記の上限を超えると、反応終了後のそれらの化合物(触媒等)の回収・分解、廃棄等に煩雑な操作が必要になり、本発明方法を工業的スケールで実施するためには不都合になることがある。また、ルイス酸性を有する鉄化合物、及び1,2−メチレンジオキシベンゼンの使用量が、上記の下限未満であると、反応時間が長くなり、工業的スケールで実施する場合では問題になることが多い。
製造方法Aにおける反応は、温度を好ましくは−10〜100℃、より好ましくは−5〜85℃、更に好ましくは0〜65℃、特に好ましくは5〜45℃に維持するように発熱反応を調整しながら、ルイス酸性を有する鉄化合物をそのまま、又は脂肪族飽和モノカルボン酸無水物の溶液として、添加(滴下)して行うことができる。鉄化合物の添加(滴下)速度は装置の冷却能力やスケールによって異なり特に制限されない。
また、反応時間は、ルイス酸性を有する鉄化合物、1,2−メチレンジオキシベンゼン、前記脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、及び一般式(I)で表される化合物の種類、使用量等によって異なるが、通常は攪拌しながら24時間以内、好ましくは10時間以内である。攪拌の強度は特に制限されない。
製造方法Aにおいて、反応装置内の雰囲気は、反応に関与しなければ特に制限されないが、例えば、窒素ガス、及びアルゴン等の不活性ガスの雰囲気下又は気流中にて行われることが望ましい。また、反応圧力は、通常大気圧下で行われるが、反応に影響を与えなければ特に制限されない。
〔製造方法B〕
本発明の製造方法Bは、一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の他の製造方法であり、ルイス酸性を有する鉄化合物の存在下で、炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物とα,β−不飽和アルデヒド化合物とを反応させて、前記一般式(I)で表される化合物を合成し、得られた反応混合物溶液を単離・精製することなく、引き続き1,2−メチレンジオキシベンゼンと反応させることを特徴とする。
製造方法Bにおいて、前記脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、及び1,2−メチレンジオキシベンゼンの各使用量は、製造効率及び収率の観点から、製造方法Aと同様である。
ルイス酸性を有する鉄化合物の使用量は、α,β−不飽和アルデヒド化合物1モルに対して、好ましくは0.001以上1モル未満、より好ましくは0.003〜0.85モル、更に好ましくは0.004〜0.5モル、特に好ましくは0.005〜0.25モルである。
製造方法Bにおいて、ルイス酸性を有する鉄化合物、及び1,2−メチレンジオキシベンゼンの使用量が、上限を超え又は下限未満であると、製造方法Aにおいて記載したと同様に不都合が生じるおそれがある。
製造方法Bにおける反応は、温度を好ましくは−10〜100℃、より好ましくは−5〜85℃、更に好ましくは0〜65℃、特に好ましくは5〜45℃に維持するように発熱反応を調整しながら、ルイス酸性を有する鉄化合物をそのまま、又は脂肪族飽和モノカルボン酸無水物の溶液として添加(滴下)して行うことができる。鉄化合物の添加(滴下)速度は装置の冷却能力やスケールによって異なり特に制限されない。
また、反応時間は、ルイス酸性を有する鉄化合物、前記脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、及びα,β−不飽和アルデヒド化合物の種類、使用量等によって異なるが、通常は攪拌しながら24時間以内、好ましくは10時間以内である。攪拌の強度は特に制限されない。
製造方法Bにおいて、反応装置内の雰囲気、反応圧力は、製造方法Aと同様で、反応に関与しなければ特に制限されない。
〔製造方法C〕
本発明の製造方法Cは、一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の他の製造方法であり、ルイス酸性を有する鉄化合物の存在下で、炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、α,β−不飽和アルデヒド化合物、及び1,2−メチレンジオキシベンゼンを反応させることを特徴とする。
製造方法Cにおいて、ルイス酸性を有する鉄化合物、前記脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、及び1,2−メチレンジオキシベンゼンの各使用量は、製造効率及び収率の観点から、次のとおりである。
ルイス酸性を有する鉄化合物の使用量は、α,β−不飽和アルデヒド化合物1モルに対して、好ましくは0.001以上1モル未満、より好ましくは0.003〜0.85モル、更に好ましくは0.004〜0.5モル、特に好ましくは0.005〜0.25モルである。
前記脂肪族飽和モノカルボン酸無水物の使用量は、α,β−不飽和アルデヒド化合物1モルに対して、好ましくは1.0〜2.0モル、より好ましくは1.05〜1.5モル、特に好ましくは1.1〜1.4モルである。
1,2−メチレンジオキシベンゼンの使用量は、α,β−不飽和アルデヒド化合物1モルに対して、好ましくは0.1〜50モル、より好ましくは0.5〜40モル、更に好ましくは0.8〜30モル、特に好ましくは1〜20モルである。
製造方法Cにおいて、ルイス酸性を有する鉄化合物、及び1,2−メチレンジオキシベンゼンの使用量が、上限を超え又は下限未満であると、製造方法Aにおいて記載したと同様に不都合が生じるおそれがある。
製造方法Cにおける反応は、温度を好ましくは−10〜100℃、より好ましくは−5〜85℃、更に好ましくは0〜65℃、特に好ましくは5〜45℃に維持するように発熱反応を調整しながら、ルイス酸性を有する鉄化合物をそのまま、又は脂肪族飽和モノカルボン酸無水物の溶液として添加(滴下)して行うことができる。鉄化合物の添加(滴下)速度は装置の冷却能力やスケールによって異なり特に制限されない。
また、反応時間は、ルイス酸性を有する鉄化合物、前記脂肪族飽和モノカルボン酸無水物及び1,2−メチレンジオキシベンゼンの種類、使用量等によって異なるが、通常は攪拌しながら24時間以内、好ましくは10時間以内である。攪拌の強度は特に制限されない。
製造方法Cにおいて、反応装置内の雰囲気、反応圧力は、製造方法Aと同様で、反応に関与しなければ特に制限されない。
本発明の製造方法A〜Cにより、高純度の一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物を効率的に製造することができる。
製造方法A〜Cにより得られた一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物は、反応終了後、分液・抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の一般的精製方法により精製することができる。
本発明の製造方法A〜Cにおいては、原料化合物、生成物の溶解性を調整することを目的として、有機溶媒を添加することもできる。使用される有機溶媒としては、原料化合物、生成物と反応しないものであれば特に制限されない。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の含ハロゲン脂肪族炭化水素類、イソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の非水系有機溶媒を用いることができる。その場合の使用量は特に制限されない。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例により制限されるものではない。
なお、実施例1における3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペンは、特開昭61−151152号公報記載の方法を参照して合成した。
また、実施例1〜6、及び比較例1〜2における1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペンの収率は、下記条件の高速液体クロマトグラフィーを用いて、実施例1、2、5、6、及び比較例1、2については、3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン基準で、実施例3、4についてはメタクロレイン基準で算出した。
<高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析条件>
使用機器:株式会社島津製作所製、SHIMADZU CLASS−VPシリーズ
LC−10ATvp
カラム:ODS−80TsQA φ4.6mm×250mm(東ソー株式会社製)
溶離液:アセトニトリル/H2O=1.0/1.0[vol/vol]
(トリフルオロ酢酸にて、pH=2.5に調整した)
カラム温度:40℃、 流量:1.0mL/min、 検出波長:260nm
分析方法:絶対検量線法
実施例1(製造方法A:(3価鉄化合物触媒)による1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペンの合成)
攪拌装置と温度計を備えた内容積300mlの3ッ口フラスコに、1,2−メチレンジオキシベンゼン172.2g(1410mmol)、3,3−ジアセトキシ−2−メチル−1−プロペン53.8g(300mmol)、及び無水酢酸3.1g(30mmol)を入れて混合した。この混合物に、内温5〜45℃を維持しながら塩化鉄(III)(無水物)0.97g(6.0mmol)を添加していった。添加終了後、引き続き5時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物溶液に水200mlを加え10分間攪拌を行ない、次いで、その水層を分離し、再びこれに水200mlを加え10分間攪拌を行った。再度水層を分離し、得られた有機層を高速液体クロマトグラフィー(絶対検量線法)にて分析した結果、目的物である1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペンの収量は58.4g(収率:83.1%)であった。
引き続き、得られた有機層を一般的精製方法によって精製し、1,2−メチレンジオキシベンゼン1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン(HPLC純度:96.7%)を取得した。
得られた各化合物の分析値は、以下のとおりであった。
<1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペンの分析値>
1H−NMRスペクトル(300MHz,CDCl3);δ(ppm):1.58(3H, d, J =1.4Hz), 2.15(3H, s), 3.18(2H, s), 5.92(2H, s), 6.63(1H, dd, J =7.8Hz, J =1.5Hz), 6.67(1H, d, J =1.5Hz), 6.72(1H, d, J =7.8Hz), 7.02(1H, s)。
マススペクトル(EI,m/z):234[M+]。
性状(融点):白色固体(58〜59℃)。
実施例2(製造方法A:(3価鉄化合物触媒)による1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペンの合成)
攪拌装置と温度計を備えた内容積200mlの3ッ口フラスコに、3,3−ジアセトキシ−2−メチル−1−プロペン47.1g(265mmol)、及び1,2−メチレンジオキシベンゼン152.5g(1246mmol)を入れて混合した。この混合液に内温5〜45℃を維持しながら塩化鉄(III)(無水物)0.44g(2.6mmol)の無水酢酸2.81g(27.5mmol)溶液を加えた。滴下終了後、引き続き5時間攪拌した。反応終了後、得られた反応溶液に水200mlを加え10分間攪拌を行った。次いで、水層を分離後、有機層に再び水200mlを加え10分間攪拌を行った。再度水層を分離し有機層を高速液体クロマトグラフィーにて定量分析(絶対検量線法)した結果、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は51.0g(反応収率:82.2%)であった。
実施例3(製造方法B:(3価鉄化合物触媒)による1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペンの合成)
攪拌装置と温度計を備えた内容積300mlの3ッ口フラスコに、塩化鉄(III)(無水物)0.07g(0.45mmol)、及び無水酢酸36.75g(360mmol)を入れて混合した。この混合物に、内温5〜45℃を維持しながらメタクロレイン22.1g(300mmol)を加え、2時間攪拌後、更に1,2−メチレンジオキシベンゼン172.2g(1410mmol)、塩化鉄(III)(無水物)0.97g(6.0mmol)を順次加え、5時間攪拌した。反応終了後、得られた反応溶液に水200mlを加え10分間攪拌を行った。次いで、水層を分離後、有機層に再び水200mlを加え10分間攪拌を行った。再度水層を分離し有機層を高速液体クロマトグラフィーにて定量分析(絶対検量線法)した結果、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は57.9g(収率:82.4%)であった。
実施例4(製造方法C:(3価鉄化合物触媒)による1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペンの合成)
攪拌装置と温度計を備えた300mlの3ッ口フラスコに、メタクロレイン22.1g(300mmol)、無水酢酸36.8g(360mmol)、及び1,2−メチレンジオキシベンゼン171.2g(1410mmol)を入れて混合し、内温5〜45℃を維持しながら塩化鉄(III)(無水物)0.97g(6.0mmol)をゆるやかに加え、5時間攪拌した。反応終了後、得られた反応物に水200mlを加え10分間攪拌を行った。次いで、水層を分離後、有機層に再び水200mlを加え10分間攪拌を行った。再度水層を分離し、得られた有機層を高速液体クロマトグラフィーにて定量分析(絶対検量線法)した結果、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は54.9g(収率:78.1%)であった。
実施例5(製造方法A(2価鉄化合物触媒)による1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペンの合成)
攪拌装置と温度計を備えた300mlの3ッ口フラスコに、1,2−メチレンジオキシベンゼン57.4g(470mmol)、3,3−ジアセトキシ−2−メチル−1−プロペン17.2g(100mmol)、及び無水酢酸2.04g(20mmmol)を入れて混合した。次いで、混合液に、内温5〜45℃を維持しながら、トリフルオロメタンスルホン酸鉄(II)1.06g(3.0mmol)を加え、3時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合液を高速液体クロマトグラフィーにて、定量分析(絶対検量線法)した結果、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は13.7g(収率:58.4%)であった。
実施例6(製造方法A:(2価鉄化合物触媒)による1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペンの合成)
攪拌装置と温度計を備えた50mlの3ッ口フラスコに、1,2−メチレンジオキシベンゼン28.7g(235mmol)、3,3−ジアセトキシ−2−メチル−1−プロペン8.61g(50mmol)、及び無水酢酸1.02g(10mmmol)を入れて混合した。次いで、内温5〜45℃を維持しながら、テトラフルオロホウ酸鉄(II)六水和物0.51g(3.0mmol)を加え、4時間攪拌した。反応終了後、得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにて、定量分析(絶対検量線法)した結果、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は7.34g(収率:62.7%)であった。
比較例1(1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−プロペンの合成)
アルゴンガス雰囲気中、攪拌装置と温度計を備えた内容積25mlの3ツ口フラスコに、四塩化チタン1.28g(6.7mmol)を入れ、これに三フッ化ホウ素エーテル錯体0.017g(0.12mmol)を混合した。この混合物中に、内温8〜12℃で、1,2−ジメトキシベンゼン3.27g(26.8mmol)を60分かけて滴下し、更に含量:100質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチル−1−プロペン1.05g(6.1mmol)と1,2−ジメトキシベンゼン0.75g(6.1mmol)の混合物を、15分かけて滴下混合した。得られた混合液を内温8〜10℃で30分攪拌し、これに6規定の塩酸10ml及びジクロロメタン10mlを混合し、更に30分攪拌した。得られた反応液から不溶物を濾別し、濾液にジクロロメタンを混合して抽出処理を施した。得られた有機層を分離して水洗し飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、得られた濾液を濃縮して目的化合物3.16gを得た。これを高速液体クロマトグラフィーにて定量分析(絶対検量線法)した結果、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−プロペンの収率は43.1%であった。また、この反応液には、未反応の1,2−メチレンジオキシベンゼンが1.40g含まれていた。
比較例2(1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−プロペンの合成)
アルゴンガス雰囲気中、攪拌装置と温度計を備えた内容積25mlの3ツ口フラスコに、四塩化チタン0.10g(0.5mmol)を入れた。これに内温4〜5℃で、含量:91.7質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチル−1−プロペン0.94g(5.0mmol)を滴下し、次いで1,2−ジメトキシベンゼン6.11g(50.0mmol)を滴下し、23℃で18時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合液にエタノール20gを加え、これを高速液体クロマトグラフィーにて定量分析(絶対検量線法)した結果、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−プロペンの収率は9.8%であった。
本発明は、香料、医薬品、農薬品、及びその他の有機化学品合成の中間体等として有用な1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法を提供するものである。
本発明の1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物は、特に、香料である「ヘリオフレッシュ」(宇部興産株式会社製、商品名)の中間体として有用な化合物であり、1−アシルオキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物は、香料原体として知られる2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロパナールの重要な中間体でもある(例えば、Angew.Chem.Int.Ed,2000,Vol.39(17),p.2980参照)。

Claims (12)

  1. ルイス酸性を有する鉄化合物の存在下で、1,2−メチレンジオキシベンゼン、炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、及び下記一般式(I)で表される化合物を反応させることを特徴とする、下記一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法。
    Figure 2008059841
    〔式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、又はR1とR2とは互いに結合してプロペン基の2位及び3位の炭素原子とともに環状構造を形成していてもよい。R3は、炭素数1〜5のアルキル基を表し、2つのR3は同一でも異なっていてもよい。〕
    Figure 2008059841
    〔式中、R1、R2及びR3は前記と同じである。〕
  2. ルイス酸性を有する鉄化合物の存在下で、炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物とα,β−不飽和アルデヒド化合物とを反応させて、前記一般式(I)で表される化合物を合成し、得られた反応混合物溶液を引き続き1,2−メチレンジオキシベンゼンと反応させることを特徴とする、前記一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法。
  3. ルイス酸性を有する鉄化合物の存在下で、炭素数1〜5の脂肪族飽和モノカルボン酸無水物、α,β−不飽和アルデヒド化合物、及び1,2−メチレンジオキシベンゼンを反応させることを特徴とする、前記一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法。
  4. ルイス酸性を有する鉄化合物の使用量が、一般式(I)で表される化合物1モルに対して0.001以上1モル未満である、請求項1に記載の一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法。
  5. ルイス酸性を有する鉄化合物の使用量が、α,β−不飽和アルデヒド化合物1モルに対して0.001以上1モル未満である、請求項2又は請求項3に記載の一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法。
  6. ルイス酸性を有する鉄化合物がハロゲン化鉄化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法。
  7. ハロゲン化鉄化合物が塩化鉄(III)である、請求項1〜3のいずれかに記載の一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法。
  8. 反応を−10〜100℃で行う、請求項1〜3のいずれかに記載の一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法。
  9. 一般式(II)において、R1及びR2がそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基であり、R3がメチル基又はエチル基である、請求項1〜3のいずれかに記載の1−アシルオキシ−2−アルキル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物の製造方法。
  10. 請求項1〜3のいずれかに記載の1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペンの製造方法。
  11. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造される、一般式(II)で表される1−アシルオキシ−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン化合物。
  12. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造される、一般式(II)で表される1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−プロペン。
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