JPWO2008029562A1 - 原子間力顕微鏡 - Google Patents

原子間力顕微鏡 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2008029562A1
JPWO2008029562A1 JP2008533070A JP2008533070A JPWO2008029562A1 JP WO2008029562 A1 JPWO2008029562 A1 JP WO2008029562A1 JP 2008533070 A JP2008533070 A JP 2008533070A JP 2008533070 A JP2008533070 A JP 2008533070A JP WO2008029562 A1 JPWO2008029562 A1 JP WO2008029562A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
signal
resonance frequency
cantilever
reference signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008533070A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4496350B2 (ja
Inventor
安藤 敏夫
敏夫 安藤
貴之 内橋
貴之 内橋
哲幸 古寺
哲幸 古寺
尚久 高橋
尚久 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanazawa University NUC
Original Assignee
Kanazawa University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanazawa University NUC filed Critical Kanazawa University NUC
Publication of JPWO2008029562A1 publication Critical patent/JPWO2008029562A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4496350B2 publication Critical patent/JP4496350B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01QSCANNING-PROBE TECHNIQUES OR APPARATUS; APPLICATIONS OF SCANNING-PROBE TECHNIQUES, e.g. SCANNING PROBE MICROSCOPY [SPM]
    • G01Q10/00Scanning or positioning arrangements, i.e. arrangements for actively controlling the movement or position of the probe
    • G01Q10/04Fine scanning or positioning
    • G01Q10/06Circuits or algorithms therefor
    • G01Q10/065Feedback mechanisms, i.e. wherein the signal for driving the probe is modified by a signal coming from the probe itself
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01QSCANNING-PROBE TECHNIQUES OR APPARATUS; APPLICATIONS OF SCANNING-PROBE TECHNIQUES, e.g. SCANNING PROBE MICROSCOPY [SPM]
    • G01Q60/00Particular types of SPM [Scanning Probe Microscopy] or microscopes; Essential components thereof
    • G01Q60/24AFM [Atomic Force Microscopy] or apparatus therefor, e.g. AFM probes
    • G01Q60/32AC mode

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Radiology & Medical Imaging (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)

Abstract

原子間力顕微鏡(AFM)におけるカンチレバーの共振周波数シフトの検出を高速化し、感度を向上する。AFM(1)は、カンチレバーの変位センサの検出信号から、基準信号と位相シフト信号を抽出する。基準信号は、共振周波数シフトに応じた位相変化が制限された信号であり、位相シフト信号は、共振周波数シフトに応じて位相がシフトする信号である。AFM(1)は、基準信号に対する位相シフト信号の位相差を、共振周波数シフトとして求める。AFM(1)は、基準信号の正負反転ポイントと位相シフト信号の正負反転ポイントの位相差を検出してよい。AFM(1)は、位相検出前に位相調整を行ってよく、位相調整は、振動波形上に定められた共振周波数シフトの検出ポイントを正負反転ポイントへ移動する。検出ポイントは、振動波形上でカンチレバーと試料が最も近づく位置に設定される。

Description

本発明は、カンチレバーを共振周波数で自励発振させ、カンチレバーと試料の相互作用による共振周波数シフトに基づいて試料を観察する原子間力顕微鏡に関する。
従来、カンチレバーを用いて試料形状を測定する原子間力顕微鏡(AFM)が知られている。AFMは、例えば生体分子のナノ機能動態を観察するための技術として期待されている。AFMの中でも、FM(Frequency Modulation)−AFMは、接触モードだけでなく非接触モードで使用可能なAFMとして知られており、また、高い解像度のイメージが得られるAFMとして知られている。
FM−AFMは、概略的には、カンチレバーを共振周波数で自励発振させ、カンチレバーと試料の相互作用による共振周波数シフトを検知して、試料の情報を得る技術である。以下、従来の典型的なFM−AFMについて説明する。
図1は、従来のFM−AFMを示すブロック図である。図1において、カンチレバー101は、先端に探針(プローブ)有しており、カンチレバー101は、探針が試料ステージ103の試料に近接するように配置される。変位センサ105は、一般には光てこ式のセンサであり、カンチレバー101の変位をモニタする。
変位センサ105の検出信号は、微分器107で微分され、さらに、増幅器109で適当なゲインをかけられる。この信号が、カンチレバー101の駆動信号としてアクチュエータ111に供給され、カンチレバー101がアクチュエータ111により駆動される。アクチュエータ111は例えば圧電素子(ピエゾ素子)である。外部からは上記以外には駆動信号は存在しない。
ここで、カンチレバー101は熱的に揺らいでおり、揺らぎの振幅は、共振周波数の周辺にて、それ以外の周波数よりも大きい。この揺らぎはセンサ105の検出信号(カンチレバーの変位に比例)に現れ、検出信号が微分されて、ゲインをかけられて、駆動信号として供給される。したがって、共振周波数周辺で駆動信号が大きくなり、駆動信号を加える以前に比べて共振周波数付近でカンチレバー101が大きく振動する。その振動が更に駆動信号に反映されるため、結果的に、共振周波数付近の振動振幅が極めて大きくなる(Q値が大きくなる)。そして、カンチレバー101は自励発振する。
この自励発振しているカンチレバー101の探針が試料と相互作用すると(必ずしも接触する必要はない)、探針−試料間の力の場の勾配により、カンチレバー101の本来のばね定数が見かけ上変化する。その結果、カンチレバー101の共振周波数がシフト(変化)する。そこで、共振周波数シフトを検出することで、試料形状の情報を得ることができる。
図1では、共振周波数シフトは、変位センサ105の検出信号に基づいて共振周波数シフト検出回路121により検出される。共振周波数シフト検出回路121は、従来一般には位相ロックループ(PLL)回路で構成されている。
フィードバック回路123は、共振周波数シフト検出回路121で検出される共振周波数シフトに基づき、共振周波数シフトを一定に保つためのフィードバック信号を生成する。フィードバック信号は走査制御部125に供給される。
走査制御部125は、スキャナ127を制御して、試料ステージ103をXYZ方向に走査する。スキャナ127は例えば圧電素子(ピエゾ素子)で構成される。走査制御部125は、上位の制御部の指令でスキャナ127をXY方向に駆動する。同時に、走査制御部125は、フィードバック回路123からのフィードバック信号に基づいて、共振周波数シフトを一定に保つようにスキャナ127をZ方向に駆動する。
フィードバック信号は、共振周波数シフトに応じた信号であり、共振周波数のシフト量はカンチレバー101と試料の相互作用に応じて増減し、すなわち、カンチレバー101と試料の距離に応じて変化する。したがって、フィードバック信号から試料の凹凸形状を測定することができる。
FM−AFMは、上記のように、自励発振しているカンチレバー101と試料の相互作用による共振周波数シフトを検出するように構成されている。この共振周波数シフトは、探針と試料が非接触状態にある場合にも生じる。具体的には、探針と試料の間に相互作用として引力が働いて、共振周波数が減少する。そこで、FM−AFMは、非接触(noncontact)AFMとして利用されている。
また、探針と試料が接触する場合には、相互作用として斥力が働いて共振周波数が増大し、この共振周波数シフトが検出される。この共振周波数シフトは、振幅変化よりも探針・試料間の相互作用に敏感である。このことを利用して、FM−AFMは、振幅変化を利用する通常のACモードAFM(タッピングモードAFM)よりも高い解像度を得ることができる。
なお、従来のFM−AFMは、例えば、特開2004−226237号公報に開示されている。
従来の一般的なFM−AFMは、上述したように、PLL回路を用いて共振周波数シフトを検出している。PLL回路を用いるのは、共振周波数の小さい変化を高感度に検出するためである。
しかし、PLL回路は、複数周期にわたる長い期間のレバー振動から共振周波数シフトを検出するものであり、検出速度が遅く、このことがFM−AFMの高速イメージングを不可能にしている。例えば、生体分子の機能動態を観察する場合には短時間での観察が必要である。しかし、PLL回路を使っていると、高速化の要求に応えることは難しい。
また、PLL回路は、下記のように、感度に関しても不利である。探針と試料の相互作用はカンチレバー振動の1周期の間にも増減しており、探針と試料が離れているときには相互作用が弱まる。しかし、PLL回路は、カンチレバー振動の複数周期における平均的な共振周波数シフトを検出する。すなわち、PLL回路は、相互作用が弱い期間も含めた平均的な共振周波数シフトを検出しており、このことが共振周波数シフトの検出感度を低下させる要因になる。
本発明は、上記背景の下でなされたものである。本発明の一の目的は、共振周波数シフトを高速に検出できる原子間力顕微鏡を提供することにある。本発明の一の目的は、共振周波数シフトを高感度に検出できる原子間力顕微鏡を提供することにある。
本発明の一の態様は、カンチレバーを共振周波数で自励発振させ、カンチレバーと試料の相互作用による共振周波数シフトに基づいて試料の情報を得る原子間力顕微鏡であって、カンチレバーの変位を検出する変位センサと、変位センサの検出信号に基づいてカンチレバーと試料の相互作用による共振周波数シフトを検出する共振周波数シフト検出部(または共振周波数シフト検出手段)と、を備え、共振周波数シフト検出部は、変位センサの検出信号から、カンチレバーの振動に応じた周期を有し、カンチレバーの共振周波数シフトに応じた位相変化が制限された基準信号を抽出する基準信号抽出部(または基準信号抽出手段)と、変位センサの検出信号から、カンチレバーの振動に応じた周期を有し、カンチレバーの共振周波数シフトに応じて位相がシフトする位相シフト信号を抽出する位相シフト信号抽出部(または位相シフト信号抽出手段)と、基準信号抽出部と位相シフト信号抽出部により抽出された基準信号と位相シフト信号に基づいて、基準信号に対する位相シフト信号の位相差を求めることにより、共振周波数シフトを求める位相検出部(または位相検出手段)と、を有する。
このように、本発明によれば、センサの検出信号から抽出した上記の基準信号と位相シフト信号の位相差を求めることで、共振周波数シフトが検出される。このような構成により、従来のようにPLL回路を用いなくても、共振周波数シフトを検出でき、例えば、カンチレバー振動の1周期毎の検出が可能になる。したがって、高速に共振周波数シフトを検出できる。
本発明において、基準信号抽出部および位相シフト信号抽出部は互いに特性の異なる基準信号抽出バンドパスフィルタおよび位相シフト信号抽出バンドパスフィルタでよく、位相シフト信号抽出バンドパスフィルタは、カンチレバーの自由振動の共振周波数近傍にピーク周波数を有してよく、基準信号抽出バンドパスフィルタは、カンチレバーの自由振動の共振周波数からずれた位置にピーク周波数を有してよく、位相シフト信号抽出バンドパスフィルタと比較して基準信号抽出バンドパスフィルタのQ値が小さく設定されてよい。
位相検出部は、基準信号における振動波形の正負反転ポイントと位相シフト信号における振動波形の正負反転ポイントとの位相差を検出してよい。
位相検出部は、基準信号から正負反転ポイントに矩形端が位置する基準矩形波を生成する基準矩形波生成部(または基準矩形波生成手段)と、位相シフト信号から正負反転ポイントに矩形端が位置する位相シフト矩形波を生成する位相シフト矩形波生成部(または位相シフト矩形波生成手段)と、を有し、基準矩形波と位相シフト矩形波の位相差を検出してよい。
位相検出部は、さらに、基準矩形波と位相シフト矩形波の差分矩形波を求める差分矩形波生成部(または差分矩形波生成手段)と、差分矩形波を積分する差分矩形波積分部(または差分矩形波積分手段)と、差分矩形波の一矩形を積分した後のタイミングで積分値を取得する積分値取得部(または積分値取得手段)と、を備え、積分値を、基準矩形波と位相シフト矩形波の位相差として検出してよい。
本発明の原子間力顕微鏡は、位相シフト矩形波生成部により生成された位相シフト矩形波に基づき、位相シフト矩形波の矩形端から遅延したトリガー位置にて、積分値取得のトリガー信号を積分値取得部に供給するトリガー信号供給部(またはトリガー信号供給手段)を有してよい。
本発明の原子間力顕微鏡は、基準信号抽出部と位相シフト信号抽出部により抽出された基準信号および位相シフト信号の位相を調整する位相調整部(または位相調整手段)を備え、位相調整部は、調整前の基準信号および位相シフト信号の1周期の振動波形上に定められた共振周波数シフトの検出ポイントを、正負反転ポイントへ移動するように、基準信号および位相シフト信号の位相を調整し、位相検出部は、位相調整部による位相調整後の基準信号と位相シフト信号を用いて、基準信号の正負判定ポイントと位相シフト信号の正負反転ポイントの位相差を検出してよい。
検出ポイントは、調整前の位相シフト信号の1周期の振動波形に沿った共振周波数シフトの増減に基づき、1周期の振動波形上で共振周波数シフトが最大になるポイントに設定されてよい。
検出ポイントは、調整前の基準信号および位相シフト信号の振幅波形上でカンチレバーと試料が接近または接触するポイントに設定されてよい。
位相調整部は、カンチレバーの共振周波数が自由振動の共振周波数である場合に基準信号と位相シフト信号の位相が一致するように基準信号および位相シフト信号の少なくとも一方の位相を調整してよい。
本発明の別の態様は、カンチレバーを共振周波数で自励発振させ、カンチレバーと試料の相互作用による共振周波数シフトに基づいて試料の情報を得る原子間力顕微鏡の共振周波数シフト検出装置であって、カンチレバー変位の検出信号から、カンチレバーの振動に応じた周期を有し、カンチレバーの共振周波数シフトに応じた位相変化が制限された基準信号を抽出する基準信号抽出部と、検出信号から、カンチレバーの振動に応じた周期を有し、カンチレバーの共振周波数シフトに応じて位相がシフトする位相シフト信号を抽出する位相シフト信号抽出部と、基準信号抽出部と位相シフト信号抽出部により抽出された基準信号と位相シフト信号に基づいて、基準信号に対する位相シフト信号の位相差を求めることにより、共振周波数シフトを求める位相検出部と、を有する。
本発明の別の態様は、カンチレバーを共振周波数で自励発振させ、カンチレバーと試料の相互作用による共振周波数シフトに基づいて試料の情報を得る原子間力顕微鏡の共振周波数シフト検出方法であって、カンチレバー変位の検出信号から、カンチレバーの振動に応じた周期を有し、カンチレバーの共振周波数シフトに応じた位相変化が制限された基準信号を抽出し、検出信号から、カンチレバーの振動に応じた周期を有し、カンチレバーの共振周波数シフトに応じて位相がシフトする位相シフト信号を抽出し、基準信号と位相シフト信号に基づいて、基準信号に対する位相シフト信号の位相差を求めることにより、共振周波数シフトを求める。
本発明によれば、共振周波数シフトを高速に検出できる原子間力顕微鏡を提供できる。また、本発明によれば、共振周波数シフトを高感度に検出できる原子間力顕微鏡を提供できる。
以下に説明するように、本発明には他の態様が存在する。したがって、この発明の開示は、本発明の一部の態様の提供を意図しており、ここで記述され請求される発明の範囲を制限することは意図していない。
図1は、従来のFM−AFMの構成を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態に係るFM−AFMの構成を示す図である。 図3は、共振周波数シフト検出回路の構成を示す図である。 図4は、共振周波数シフト検出回路の第1バンドパスフィルタおよび第2バンドパスフィルタの特性を示す図である。 図5は、共振周波数シフト検出回路の位相検出部による検出処理を示す図である。 図6は、共振周波数シフト検出回路の位相調整部による位相調整機能を示す図である。
以下に本発明の詳細な説明を述べる。ただし、以下の詳細な説明と添付の図面は発明を限定するものではない。代わりに、発明の範囲は添付の請求の範囲により規定される。
図2は、本実施の形態に係る原子間力顕微鏡(AFM)の構成を示している。まず、AFM1の全体的な構成と動作を説明する。
図2に示すように、AFM1は、概略的には、まず、試料を保持する試料ステージ3と、試料に近接して配置されるカンチレバー5とを備え、カンチレバー5はホルダ7に保持されている。AFM1は、試料ステージ3をXYZ方向に走査するための構成として、スキャナ9および走査制御部11を備える。また、AFM1は、カンチレバー5の変位を検知するために、レーザユニット13および変位センサ15を有する。さらに、変位センサ15の検出信号に基づいてカンチレバー5を共振周波数で自励発振させるレバー駆動部として、レバー用ピエゾ素子17およびレバー駆動制御部19が設けられている。
また、AFM1は、共振周波数シフト検出回路21とフィードバック回路23を有する。共振周波数シフト検出回路21は、変位センサ15の検出信号に基づいてカンチレバー5と試料の相互作用による共振周波数シフトを検出する。フィードバック回路23は、共振周波数シフトを一定に保つようにスキャナ7を制御するためのフィードバック信号を生成する。さらに、AFM1は、装置全体を制御するコンピュータ25と、コンピュータ25から供給される観察画像を表示するモニタ27とを有する。
上記構成のうちで、試料ステージ3はスキャナ9に取り付けられている。スキャナ9は、アクチュエータとしてピエゾ素子(圧電素子)を有しており、試料ステージ3をX、Y、Z方向に動かして、試料をカンチレバー5に対して相対的に走査する。XY方向は、水平面上で直交する方向である。Z方向は鉛直方向であり、試料の凹凸方向(高さ方向)である。スキャナ9の駆動は、走査制御部11によって制御される。
カンチレバー5は、窒化シリコン製であり、自由端に探針(プローブ)を有している。本実施の形態では、カンチレバー5が微小である。通常のカンチレバーでは、長さが数百μmであり、幅が数十μmである。これに対して、本実施の形態では、長さが十μm以下であり、幅も数μmである。一例としては、長さが7μmであり、幅が2μmである。本実施の形態では、このような微小カンチレバーを用いることで、共振周波数シフトの検出感度が向上している。微小カンチレバーの利点については後述にて説明する。
変位センサ15は、レーザユニット13と共に、光てこ式の変位センサを構成している。レーザユニット13は、レーザ光をカンチレバー5に照射する。レーザ光はカンチレバー5で反射して変位センサ15に届く。変位センサ15は、フォトダイオードで構成された分割ダイオードセンサであり、カンチレバー5の変位を表す信号を出力する。図では、センサに関連したレンズ等の光学系の構成は省略されている。
レバー駆動制御部19は、微分回路31およびピエゾ駆動回路33で構成されており、カンチレバー5が共振周波数で自励発振するようにレバー用ピエゾ素子17を制御する。変位センサ15の検出信号は、微分回路31にて微分される。ピエゾ駆動回路33は増幅器を有し、微分信号にゲインをかける。ピエゾ駆動回路33の出力が、駆動信号としてレバー用ピエゾ素子17に供給され、レバー用ピエゾ素子17がホルダ7を駆動することにより、ホルダ7と共にカンチレバー5を振動させる。これにより、カンチレバー5は共振周波数で自励発振する。
共振周波数シフト検出回路21は、上述したように、変位センサ15の検出信号に基づいて、共振周波数のシフト量を検出する。従来の共振周波数シフト検出回路21は既に説明したようにPLL回路で構成されている。これに対して、本実施の形態では、共振周波数シフト検出回路21が、PLL回路を用いることなく、高速かつ高感度に共振周波数シフトを検出する。共振周波数シフト検出回路21の構成については後述にて詳細に説明する。
共振周波数シフト検出回路21で検出された共振周波数シフトは、フィードバック回路23に出力される。また、フィードバック回路23には、コンピュータ25から共振周波数シフトの目標値が入力される。フィードバック回路23は、共振周波数シフトの検出値と目標値の差分に応じたフィードバック信号を生成する。
フィードバック信号は走査制御部11に供給されて、フィードバック走査に利用される。フィードバック走査では、カンチレバー5の共振周波数シフトを一定に保つように、Z走査が行われる。また、フィードバック信号はコンピュータ25に供給されて、試料画像の生成処理に使用される。
コンピュータ25は、AFM1の全体を制御している。コンピュータ25はユーザインターフェース機能も提供し、ユーザの各種の指示がコンピュータ25に入力され、コンピュータ25はユーザの入力に従ってAFM1を制御する。また、コンピュータ25は試料表面の画像を生成してモニタ27に出力する。
次に、AFM1の全体的な動作を説明する。走査制御部11にコンピュータ25からXY方向の走査の制御信号が供給される。走査制御部11は制御信号に従ってスキャナ9の駆動を制御し、スキャナ9にXY方向の走査を行わせる。
XY方向の走査中、カンチレバー5の変位が変位センサ15により検出される。そして、変位センサ15の検出信号がレバー駆動制御部19で処理されて駆動信号が生成され、駆動信号がレバー用ピエゾ素子17に供給され、これによりカンチレバー5が自励発振する。このようにして、カンチレバー5が自励発振した状態で、カンチレバー5と試料が相対的にXY方向に走査される。
カンチレバー5が自励発振すると、カンチレバー5の共振周波数は、カンチレバー5と試料の相互作用によってシフトする。この共振周波数シフトが共振周波数シフト検出回路21により検出される。そして、フィードバック回路23が、コンピュータ25から供給される目標値に基づき、共振周波数シフトの検出値と目標値の差分に応じたフィードバック信号を生成する。フィードバック信号が走査制御部11に供給され、走査制御部11は、フィードバック信号に従って、共振周波数シフトの検出値と目標値が一致するようにスキャナ9の駆動を制御する。このフィードバック制御により、カンチレバー5と試料の距離が一定に保たれる。
このようにして、カンチレバー5と試料の距離を一定に保つZ走査を行いながら、XY走査が行われる。Z走査のフィードバック信号は、フィードバック回路23からコンピュータ25にも供給される。フィードバック信号は、試料のZ方向の高さに対応している。また、試料上のXY方向の位置は、コンピュータ25が発生して走査制御部11に供給するXY走査の制御信号により特定される。コンピュータ25は、XY走査の制御データと、入力されるフィードバック信号とに基づいて、試料表面の画像を生成してモニタ27に表示する。3次元画像が好適に生成され、表示される。
以上に、本実施の形態におけるAFM1の全体的な構成と動作について説明した。次に、本発明の特徴的な構成である共振周波数シフト検出回路21について説明する。
図3は、共振周波数シフト検出回路21の構成を示している。共振周波数シフト検出回路21は、大きく分けると、第1バンドパスフィルタ41(位相シフト信号抽出部として機能する)、第2バンドパスフィルタ43(基準信号抽出部として機能する)、位相調整部45および位相検出部47で構成されている。以下、各部の構成について詳細に説明する。
第1バンドパスフィルタ41および第2バンドパスフィルタ43は、カンチレバー5から入力される検出信号にフィルタ処理を施す。第1バンドパスフィルタ41および第2バンドパスフィルタ43の特性は以下のように異なって設定されている。
図4は、第1バンドパスフィルタ41および第2バンドパスフィルタ43の特性を示している。ラインL1は第1バンドパスフィルタ41の特性であり、ラインL2は第2バンドパスフィルタ43の特性であり、図示のように両フィルタの特性は異なっている。
図4の特性を得るために、第1バンドパスフィルタ41のピーク周波数は、カンチレバー5の自由振動の共振周波数F0の近傍に設定されている。また、第1バンドパスフィルタ41のQ値は大きく設定されている。一方、第2バンドパスフィルタ43のピーク周波数は、カンチレバー5の自由振動の共振周波数F0からずれた位置(離れた位置)に設定されており、本実施の形態の例では、自由振動の共振周波数F0より高い側に離されている。また、第2バンドパスフィルタ43のQ値は第1バンドパスフィルタ41のQ値と比べて小さく設定されている。
上記のようにピーク周波数とQ値が設定されているので、図4に示すように、第1バンドパスフィルタ41においては、カンチレバー5の自由振動の共振周波数F0の近傍で、ゲインが急峻に変化し、位相も急峻に変化する。一方、第2バンドパスフィルタ43においては、カンチレバー5の自由振動の共振周波数F0の近傍では、ゲインの変化が小さく、位相の変化も小さい(ただし、Q値を小さくしているので、共振周波数F0からピーク周波数がずれているにも拘わらず、共振周波数F0においても、ある程度の大きさのゲインが確保されており、これにより、ゲインが小さすぎることによるS/N悪化を回避している)。
ここで、図4において、“F1”は、カンチレバー5の探針と試料との相互作用で共振周波数シフトが生じたときの共振周波数の位置を示している。この例では、カンチレバー5と試料が接触し、相互作用として斥力が働き、共振周波数が増大している。
図4から分かるように、共振周波数がシフトすると、第1バンドパスフィルタ41を通った信号の位相は大きく遅れる。しかし、第2バンドパスフィルタ43を通った信号の位相はほとんど変化しない。
以上より、第1バンドパスフィルタ41は、変位センサ15の検出信号から、カンチレバー5の振動に応じた周期を有し、カンチレバー5の共振周波数シフトに応じて位相がシフトする信号を抽出する構成であり、本発明の位相シフト信号抽出部(または位相シフト信号抽出手段)および位相シフト信号抽出バンドパスフィルタに相当する。
一方、第2バンドパスフィルタ43は、変位センサ15の検出信号から、カンチレバー5の振動に応じた周期を有し、カンチレバー5の共振周波数シフトに応じた位相変化が制限された信号を抽出する構成であり、本発明の基準信号抽出部(または基準信号抽出手段)および基準信号抽出バンドパスフィルタに相当する。
以下、第1バンドパスフィルタ41を通過した信号を、“位相シフト信号”といい、第2バンドパスフィルタ43を通過した信号を、“基準信号”という。上記のように、位相シフト信号と基準信号では、周期が同じであるが、共振周波数シフトに対する応答が異なる。
図3に戻り、位相調整部45は、第1バンドパスフィルタ41および第2バンドパスフィルタ43により抽出された位相シフト信号および基準信号の位相を調整する構成である。位相調整部45は2つの位相調整回路51、53を有する。位相調整回路51は第1バンドパスフィルタ41と接続され、位相シフト信号の位相を調整する。位相調整回路53は第2バンドパスフィルタ43と接続され、基準信号の位相を調整する。位相調整回路51、53は位相シフタで構成されてよい。位相調整部45の機能については後述にて説明する。位相調整後の位相シフト信号と基準信号は位相検出部47に入力される。
位相検出部47は、第1バンドパスフィルタ41と第2バンドパスフィルタ43により抽出された基準信号と位相シフト信号に基づいて、基準信号に対する位相シフト信号の位相差を求める構成である。上述したように、共振周波数がシフトしたとき、位相シフト信号の位相はシフトするが、基準信号の位相は変わらない。したがって、基準信号に対する位相シフト信号の位相差は、共振周波数シフトの大きさを表している。
位相検出部47は、図3に示すように、第1コンパレータ61、第2コンパレータ63、減算回路65、積分回路67、サンプルホールド回路69およびトリガー信号供給部71で構成されている。位相検出部47の処理は、図5に示されている。以下、図5を参照しながら、図3の位相検出部47の各部構成について説明する。
第1コンパレータ61および第2コンパレータ63は、ゼロクロスコンパレータであり、図5に示すように、位相シフト信号および基準信号から位相シフト矩形波aおよび基準矩形波bを生成する。位相シフト矩形波aの正負は、位相シフト信号の振動波形の正負に合わせて切り替わる。すなわち、位相シフト信号の正の部分では位相シフト矩形波aも正であり、位相シフト信号の負の部分では位相シフト矩形波aも負である。同様に、基準矩形波bの正負は、基準信号の振動波形の正負に合わせて切り替わる。減算回路65は、位相シフト矩形波aと基準矩形波bの差分を求めて、図5の差分矩形波cを出力する。そして、積分回路67は、差分矩形波cを積分する。積分信号dは、図示のように、差分矩形波cの矩形期間(矩形信号がゼロ以外の期間)に増減し、矩形と矩形の間の期間に平らになる。
ここで、基準矩形波bの位相は、基準信号の位相と同じであり、共振周波数シフトが生じてもほとんど変わらない。一方、位相シフト矩形波aの位相は、位相シフト信号の位相と同じであり、共振周波数シフトに応じて変化する。位相シフト矩形波aの位相が変わると、差分矩形波cの矩形幅が増減し、そして、積分信号dの凹凸量が変わる。したがって、積分信号dの平坦部分の電圧が、基準矩形波bに対する位相シフト矩形波aの位相差を表し、すなわち共振周波数のシフト量を表す。そこで、積分信号dの平坦部分の電圧が適当なタイミングでサンプルホールド回路69により取得され、矩形波間の位相差として、すなわち、共振周波数シフトの検出値として出力される。
トリガー信号供給部71は、積分値取得のトリガー信号をサンプルホールド回路69に供給する回路である。トリガー信号供給部71はトリガー生成回路73とトリガー遅延回路75で構成される。トリガー生成回路73は、位相シフト矩形波aに基づき、位相シフト矩形波aがプラスからマイナスに遷移するときに同期してトリガー信号を生成する。トリガー信号はパルス信号である。トリガー遅延回路75は、トリガー信号にわずかの遅延を生じさせる。遅延量は、差分矩形波cの矩形間の間隔より狭く設定される。このトリガー信号がサンプルホールド回路69に供給される。これにより、積分信号の平坦部分で確実に積分値がホールドされる。
上記構成において、第1コンパレータ61は、位相シフト信号の振動波形の正負反転ポイントに矩形端が位置する位相シフト矩形波aを生成する構成であり、本発明の位相シフト矩形波生成部(または位相シフト矩形波生成手段)に相当する。第2コンパレータ63は、基準信号の振動波形の正負反転ポイントに矩形端が位置する基準矩形波bを生成する構成であり、本発明の基準矩形波生成部(または基準矩形波生成手段)に相当する。減算回路65は、基準矩形波bと位相シフト矩形波aの差分矩形波cを求める構成であり、本発明の差分矩形波生成部(または差分矩形波生成手段)に相当する。積分回路67は、差分矩形波cを積分する構成であり、本発明の差分矩形波積分部(または差分矩形波積分手段)に相当する。サンプルホールド回路69は、差分矩形波cの一矩形を積分した後のタイミングで積分値を取得する構成であり、本発明の積分値取得部(または積分値取得手段)に相当する。さらに、トリガー信号供給部71は、位相シフト矩形波aの矩形端から遅延したトリガー位置にてトリガー信号を供給する構成であり、本発明のトリガー信号供給部(またはトリガー信号供給手段)に相当する。
以上の構成により、位相検出部47は、カンチレバー5の共振周波数シフトを検出することができる。位相検出部47は、カンチレバー振動の1周期毎に共振周波数シフトを検出でき、したがって、従来のPLL回路を利用した場合に比べて遥かに高速に共振周波数を検出できる。
次に、位相調整部45の機能について説明する。位相調整部45は、以下の2つの位相調整を行うように構成されている。
「第1の位相調整機能」
図4を参照すると、カンチレバー5の自由振動の共振周波数F0において、第2バンドパスフィルタ43を通った基準信号の位相は、第1バンドパスフィルタ41を通った位相シフト信号の位相よりも進んでいる。したがって、カンチレバー5の共振周波数が自由振動の共振周波数F0であるときでも、図5の積分信号dの平坦部分はゼロではない。
そこで、本実施の形態では、位相調整部45が位相調整を行って、カンチレバー5の共振周波数が自由振動の共振周波数F0である場合に基準信号と位相シフト信号の位相を一致させる。この位相調整では、基準信号と位相シフト信号の少なくとも一方の位相が調整される。本実施の形態の場合には、位相調整回路53が基準信号の位相を遅らせる。
このような位相調整により、カンチレバー5の共振周波数が自由振動の共振周波数F0であるときに、図5の差分矩形波が常にゼロになり、積分信号も常にゼロになり、位相検出部47の出力値がゼロになる。これにより、共振周波数シフトを用いた後段の制御処理や画像生成処理が容易になる。
「第2の位相調整機能」
FM−AFMは、既に説明したように、探針・試料間に働く相互作用に応じた共振周波数シフトを検出する。相互作用の大きさは、細かく見ると、カンチレバー5の1周期の振動の中でも増減する。実質的には、相互作用は、探針が試料にかなり近づいたときにだけ生じると考えられる。
ところが、従来のPLL回路は、1周期以上の期間、実際には複数周期の期間における平均的な共振周波数シフトを検出している。したがって、PLL回路は、相互作用が弱い期間も含めた平均的な共振周波数シフトを検出しており、このことが共振周波数シフトの検出感度を低下させる要因になる。
特に、カンチレバーの振幅が大きいと、振動中のほとんどの時間は相互作用が無く、共振周波数がシフトしている時間がわずかである。これでは、従来のPLL回路による共振周波数シフトの検出は困難である。そこで、相互作用の力の場を敏感に検出するために、従来のFM−AFMでは、カンチレバーの振幅を小さくする必要がある。しかし、振幅を小さくすると幾つかの点で不利である。例えば、振幅を小さくすると、フィードバック帯域が下がる。また、探針・試料間の吸着により探針が試料から解離せず、振幅がゼロになってしまう可能性がある。また、振幅計測のS/Nが悪くなる。
一方、本実施の形態の共振周波数シフト検出回路21は、振動周期内の相互作用の増減と以下のように関係する。
本実施の形態では、第1コンパレータ61および第2コンパレータ63にて、ゼロクロスコンパレータにより矩形波が作られる。そして、矩形波のゼロクロス位置が、減算回路65および積分回路67を使って特定されている。
矩形波のゼロクロス位置は、第1バンドパスフィルタ41および第2バンドパスフィルタ43を通った位相シフト信号および基準信号のゼロクロス位置(正負反転ポイント)と一致している。したがって、本実施の形態の構成は、位相シフト信号と基準信号のゼロクロス位置の位相差を検出している。
しかし、このゼロクロス位置は、カンチレバー5の振幅中心に相当しており、探針と試料の接近ポイントとは離れており、したがって、共振周波数シフトが大きいポイントと離れている。このことは、共振周波数のシフト量検出の感度を低下させる要因になる。
そこで、本実施の形態では、位相調整部45が、上記の感度低下を防ぐために位相調整を行う。
図6は、本実施の形態の位相調整を示している。図6の上段は、位相調整前の位相シフト信号の振動波形を示している。本実施の形態では、調整前の位相シフト信号の1周期の振動波形上に、共振周波数シフトの検出ポイントPdが設定される。検出ポイントPdは、好ましくは、調整前の位相シフト信号の1周期の振動波形に沿った共振周波数シフトの増減に基づき、1周期の振動波形上で共振周波数シフトが最大になるポイントに設定される。
具体的には、図示のように、検出ポイントPdは、調整前の位相シフト信号の振幅波形上でカンチレバー5と試料が接近または接触するポイントに設定される。本実施の形態では、カンチレバー5と試料が接触するので、検出ポイントPdは接触位置である。カンチレバー5と試料が接触しない非接触AFMの場合、検出ポイントPdは、接近位置に設定される。いずれにせよ、検出ポイントPdは、共振周波数シフトの増減を考慮し、共振周波数シフトが最大の位置になるように、振動波形上でのカンチレバー5と試料の最接近地点またはその近傍に設定されることが好適である。
図6の下段は、位相調整後の位相シフト信号を示している。位相調整は、検出ポイントPdをゼロクロス位置P0(正負反転ポイント)へ移動するように行われる。具体的には、検出ポイントPdが振動波形の最下点(谷底)なので、位相は1/4周期(90度)遅らされる。
図6は位相シフト信号の位相調整を示しているが、基準信号に対しても同じ検出ポイントPdが設定され、同じ位相調整が行われる。
位相シフト信号および基準信号は、それぞれ、位相調整回路51および位相調整回路53により調整される。位相調整後の位相シフト信号と基準信号が位相検出部47に入力される。そして、位相検出部47は、位相調整後の基準信号と位相シフト信号を用いて、基準信号のゼロクロス位置と位相シフト信号のゼロクロス位置の位相差を検出する。
このように、本実施の形態では、検出ポイントPdがゼロクロス位置P0に移るように位相調整が行われる。したがって、探針と試料の相互作用が大きくなる瞬間の共振周波数シフトを検出でき、検出感度を大幅に向上できる。
従来のPLL回路では、前述のように、カンチレバーの振幅が大きいと共振周波数シフトの検出感度が低下した。本実施の形態では、カンチレバーの振幅が大きくても、共振周波数シフトを高感度に検出することが可能になる。
また、FM−AFMではカンチレバーのQ値が大きく、そのためにカンチレバーの振幅の応答は遅く(ただし共振周波数シフトはQ値に無関係で速い)、それにより走査速度が律せられる。そのため、画像1ピクセルに対応する時間内でカンチレバーは複数回振動していることになる。位相調整によるゼロクロス点の移動は一瞬で起こるわけではないが、複数回の振動のなかで完全に移動するため、十分に効果的である。
上述した第1の位相調整と第2の位相調整は一緒に同時に行われる。本実施の形態の例の場合、第1の位相調整では、基準信号のみの位相が遅らされる。さらに、第2の位相調整により、基準信号と位相シフト信号の位相が同じだけ遅らされる。したがって、基準信号の位相は、第1および第2の位相調整の調整量の和に相当する調整を受ける。位相シフト信号は、第2の位相調整だけを受ける。
以上に、共振周波数シフト検出回路21の各部構成について説明した。次に共振周波数シフト検出回路21の動作を説明する。変位センサ15の検出信号は、カンチレバー5の振動波形の信号である。この検出信号が、第1バンドパスフィルタ41と第2バンドパスフィルタ43に通されて、位相シフト信号と基準信号が生成される。位相シフト信号と基準信号に対して、位相調整部45にて上述の位相調整が行われ、位相調整後の両信号が位相検出部47に供給される。
位相検出部47では、位相シフト信号と基準信号から、第1コンパレータ61および第2コンパレータ63により、位相シフト矩形波と基準矩形波が生成される。両矩形波から差分矩形波が減算回路65により生成され、積分回路67により差分矩形波が積分される。そして、トリガー信号供給部71が供給するトリガー信号のタイミングで、サンプルホールド回路69により積分値がホールドされる。そして、ホールドされた積分値が、基準信号と位相シフト信号の位相差として、すなわち、共振周波数シフトの値として、共振周波数シフト検出回路21から出力される。
「微小カンチレバーについて」
次に、本実施の形態で採用されている微小カンチレバーの利点について説明する。既に述べたように、通常のカンチレバーでは、長さが数百μmであり、幅が数十μmである。これに対して、本実施の形態の微小カンチレバーでは、長さが十μm以下であり、幅も数μm以下である。好ましくは長さが十μm以下であり、幅が2μm以下であり、一例としては、長さが7μmであり、幅が2μmである。
カンチレバーの運動方程式を質点系で近似すると、下記の式で表される。
Figure 2008029562
ここで、f(t)はカンチレバーの励振信号であり、F(z(t))は探針・試料間に働く力である。F(z)は下記の式により近似される。
Figure 2008029562
そして、運動方程式は、下式のように変形される。
Figure 2008029562
その結果、共振周波数fcのシフト量Δfcは、下式で表される。
Figure 2008029562
上式に示されるように、シフト量Δfcは、fc/k(ばね定数kに対する共振周波数fcの比)に比例する。この比fc/kは、通常のカンチレバーと比べて微小カンチレバーで大幅に大きく、概ね1000倍以上といえる。したがって、微小カンチレバーを用いると、大きな共振周波数シフトが起こる。共振周波数シフトが大きいと、検出感度も増大する。また、従来のPLL回路のような遅い検出回路を使わずとも、上述のように好適に共振周波数を検出できる。
ただし、本発明の範囲内で、カンチレバーは微小でなくてもよい。以下、カンチレバーに求められるfc/kの値について検討しておく。
ここでは、周波数シフト検出感度(ノイズレベルと等価な周波数シフト量)を29Hzとする(この感度は、図6の位相調整を行わない場合の測定結果に基づいており、位相調整を行うと感度はさらに上がる)。また、探針・試料間に働く力の場の勾配係数k’を0.00088N/mとする(この値も測定結果に基づいている、k’は実際には試料と針に依存する、ここでは上記数値を検討に使うことにする)。
これらの数値を、前出のΔfc=(−1/2)×fc×k’/kに代入すると、fc/k=66,000[m/(s・N)]になる。
カンチレバーが小さいほど、fc/kは大きくなる。そこで、上記の計算を前提とすると、カンチレバーのサイズは、fc/kが66,000[m/(s・N)]以上になるように設定されればよい。共振周波数シフト検出回路のノイズを減らしたり、前述の位相調整を行うことにより、さらに感度が上昇する。この場合、fc/kがさらに小さくても、すなわち、カンチレバーがより大きくても、共振周波数シフトを検出可能である。そして、市販の通常サイズのカンチレバーでも、共振周波数シフトを検出可能と考えられる。
ただし、既に説明したように、微小カンチレバーを用いる方が、fc/kが大きく、共振周波数シフトも大きくなり、感度も向上できる。そこで、上記のfc/kの下限値(66,000[m/(s・N)])を考慮すると、微小カンチレバーのfc/kは下限値の10倍以上であることが好ましいと考えられる。すなわち、微小カンチレバーのfc/kは660,000[m/(s・N)]以上ということができる。
本実施の形態の例では、前述のように、カンチレバーの長さが7μmであり、幅が2μmである。この場合、fc/kは6,000,000である。この値は、上記の下限値の91倍である。したがって、本実施の形態の微小カンチレバーを用いると、高感度の検出が可能になる。
以上に、微小カンチレバーの利点について説明した。最後に、本実施の形態の変形例について説明する。
本実施の形態では、カンチレバー5のアクチュエータが、ピエゾ素子であった。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、アクチュエータは、磁場を利用してもよい(この場合、カンチレバーに磁気コートが施される)。また例えば、アクチュエータは、レーザを照射してもよい(この場合、光照射の熱膨張を利用してカンチレバーが駆動される)。
本実施の形態では、カンチレバー5を自励発振させるために、微分回路31が設けられた。変形例では、位相シフタが設けられる。位相シフタの位相調整によっても、カンチレバー5の自励発振を起こすことができる。
本実施の形態では、バンドパスフィルタによって、センサの検出信号から位相シフト信号および基準信号が抽出された(具体的には、図4の第1バンドパスフィルタ41および第2バンドパスフィルタ43)。バンドパスフィルタは、共振周波数シフトを位相シフトに変換する構成として適している。ただし、共振周波数シフトを位相シフトに変換できれば、位相シフト信号および基準信号はバンドパスフィルタ以外の構成により生成されてもよく、例えばローパスフィルが用いられてもよい。すなわち、位相シフト信号抽出部(または位相信号抽出手段)および基準信号抽出部(または基準信号抽出手段)が、バンドパスフィルタに限定されなくてよい。
本実施の形態では、位相シフト矩形波および基準矩形波は、矩形端で正負が逆転する信号であった。より詳細には、元の位相シフト信号および基準信号がサイン波であり、サイン波の正の期間では矩形波も正であり、負の期間では矩形波も負であった。しかし、矩形波は上記に限定されない。例えば、正だけの矩形波が用いられてもよい。この場合、図3の第1コンパレータ61および第2コンパレータ63は、元のサイン波の正の部分では正の矩形信号を出し、サイン波の負の部分ではゼロの信号を出す。また例えば、負だけの矩形波が用いられてもよい。本発明の範囲で、矩形波の矩形端が元の信号の正負反転ポイントに位置していれば、上述の共振周波数シフト検出処理を行うことができる。
本実施の形態では、トリガー信号供給部71は、位相シフト矩形波の矩形端から少し遅延したタイミングで、トリガー信号をサンプルホールド回路69に供給した。この際、まず、位相シフト矩形波の矩形端にてトリガー信号が生成され、それからトリガー信号が遅延された。しかし、変形例では、先に位相シフト矩形波に遅延処理が施され、それから矩形端でトリガー信号が生成されてもよい。
以上に本発明の実施の形態に係るAFMについて説明した。本発明によれば、変位センサの検出信号から基準信号および位相シフト信号が抽出される。基準信号は、カンチレバーの振動に応じた周期を有し、カンチレバーの共振周波数シフトに応じた位相変化が制限された信号である。位相シフト信号は、カンチレバーの振動に応じた周期を有し、カンチレバーの共振周波数シフトに応じて位相がシフトする信号である。そして、基準信号と位相シフト信号に基づいて、基準信号に対する位相シフト信号の位相差を求めることにより、共振周波数シフトが求められる。
このように、本発明によれば、センサの検出信号から抽出した上記の基準信号と位相シフト信号の位相差を求めることで、共振周波数シフトが検出される。このような構成により、従来のようにPLL回路を用いなくても、共振周波数シフトを検出できる。上記の例では、カンチレバー振動の1周期に1回の検出が可能になる。したがって、高速に共振周波数シフトを検出できる。
また、本発明によれば、位相シフト信号抽出バンドパスフィルタおよび基準信号抽出バンドパスフィルタにより基準信号および位相シフト信号が生成されてよい。位相シフト信号抽出バンドパスフィルタおよび基準信号抽出バンドパスフィルタは、上記の実施の形態では図3の第1バンドパスフィルタ41および第2バンドパスフィルタ43である。これらバンドパスフィルタは互いに異なる特性を有している。図4に示すように、位相シフト信号抽出バンドパスフィルタは、カンチレバーの自由振動の共振周波数近傍にピーク周波数を有し、基準信号抽出バンドパスフィルタは、カンチレバーの自由振動の共振周波数からずれた位置にピーク周波数を有し、位相シフト信号抽出バンドパスフィルタと比較して基準信号抽出バンドパスフィルタのQ値が小さく設定されている。このような2つのフィルタ特性を利用することにより、図4を用いて説明したように、共振周波数シフトへの応答が制限された基準信号と共振周波数シフトに敏感に応答する位相シフト信号とを適切に生成でき、共振周波数シフトの検出感度も向上できる。
また、本発明のAFMは、基準信号における振動波形の正負反転ポイントと位相シフト信号における振動波形の正負反転ポイントとの位相差を検出してよい。正負反転ポイントは上記のゼロクロス位置に相当する。基準信号と位相シフト信号の正負反転ポイントは正確に特定でき、したがって、これら正負反転ポイントの位相差である共振周波数シフトも正確に検出することができる。
また、本発明によれば、基準信号および位相シフト信号から上記のように基準矩形波と位相シフト矩形波が生成されてよい。基準矩形波は、基準信号の正負反転ポイントに矩形端が位置する矩形波である。位相シフト矩形波は、位相シフト信号の正負反転ポイントに矩形端が位置する矩形波である。そして、基準矩形波と位相シフト矩形波の位相差が検出される。このような矩形波を用いることにより、基準信号と位相シフト信号の正負反転ポイントを正確に特定でき、共振周波数シフトも正確に検出することができる。
また、本発明によれば、基準矩形波と位相シフト矩形波の差分矩形波が求められ、差分矩形波が積分され、差分矩形波の一矩形を積分した後のタイミングで積分値が取得されてよい。積分値は、基準矩形波と位相シフト矩形波の位相差に応じた値である。このような差分処理、積分処理および積分値取得処理により、基準矩形波と位相シフト矩形波の位相差を正確に検出でき、共振周波数シフトを正確に検出できる。
また、本発明によれば、位相シフト矩形波に基づき、位相シフト矩形波の矩形端から遅延したトリガー位置にて、積分値取得のトリガー信号が供給されてよい。このトリガー信号のタイミングは、図5の積分信号の平坦部分に対応しており、したがって、共振周波数シフトの大きさに応じた値に積分信号が確実に達したタイミングである。このようなトリガー信号を用いることにより、適切なタイミングで差分矩形波の積分値を取得して、共振周波数シフトを正確に検出できる。
また、本発明によれば、基準信号および位相シフト信号の位相が調整される。上記の例では、位相調整は、基準信号と位相シフト信号の抽出後に図3の位相調整部45により行われる。位相調整は、調整前の基準信号および位相シフト信号の1周期の振動波形上に定められた共振周波数シフトの検出ポイントを、正負反転ポイントへ移動するように、基準信号および位相シフト信号の位相を調整する。この位相調整は、上述の「第2の位相調整機能」に相当する。後段の位相検出は、位相調整後の基準信号と位相シフト信号を用いて、基準信号の正負判定ポイントと位相シフト信号の正負反転ポイントの位相差を検出する。
このように、本発明によれば、振動波形上に設定された検出ポイントを正負反転ポイントに移動するように位相調整が行われ、それから、正負反転ポイントを対象として位相が検出される。したがって、探針と試料の相互作用が大きくなる瞬間の共振周波数シフトを検出でき、検出感度を大幅に向上できる。
この点に関し、従来のPLL回路は、共振周波数シフトが1周期の中で増減するにも拘わらず、1周期以上の期間の平均的な共振周波数シフトを検出しており、そのために感度が制限されていた。本発明では、検出ポイントの瞬間的な共振周波数シフトを検出できるので、検出感度を向上できる。
さらに、従来のPLL回路は、平均的な共振周波数シフトを検出するので、カンチレバーの振幅が大きいと検出感度が低下した。振幅が大きいと、波形上のわずかな期間でしか共振周波数がシフトしないからである。本発明では、瞬間的な共振周波数シフトを検出できるので、カンチレバーの振幅が大きくても、共振周波数シフトを高感度に検出することが可能になる。
本発明によれば、検出ポイントは、調整前の位相シフト信号の1周期の振動波形に沿った共振周波数シフトの増減に基づき、1周期の振動波形上で共振周波数シフトが最大になるポイントに設定されてよい。このように検出ポイントを設定することにより、共振周波数シフトが大きくなるタイミングで検出を行うことができ、検出感度を向上できる。
本発明によれば、検出ポイントは、調整前の基準信号および位相シフト信号の振幅波形上でカンチレバーと試料が接近または接触するポイントに設定されてよい。接触タイプのAFMであれば接触ポイントに検出ポイントが設定され、非接触タイプのAFMであれば接近ポイントに検出ポイントが設定される。いずれにせよ振動波形上での探針・試料の最接近ポイントに検出ポイントを設定することが好ましい。このようなポイント設定により、共振周波数シフトが大きくなるタイミングで検出を行うことができ、検出感度を向上できる。
本発明によれば、もう一つの位相調整機能が提供されてよい。この位相調整機能は、上述した「第1の位相調整機能」に対応しており、カンチレバーの共振周波数が自由振動の共振周波数である場合に基準信号と位相シフト信号の位相が一致するように基準信号および位相シフト信号の少なくとも一方の位相を調整する。このような位相調整により、カンチレバーの共振周波数が自由振動の共振周波数であるときに、共振周波数シフトの検出値がゼロになる。これにより、共振周波数シフトを用いた後段の制御処理や画像生成処理が容易になる。
以上に現時点で考えられる本発明の好適な実施の形態を説明したが、本実施の形態に対して多様な変形が可能なことが理解され、そして、本発明の真実の精神と範囲内にあるそのようなすべての変形を添付の請求の範囲が含むことが意図されている。
以上のように、本発明にかかる原子間力顕微鏡は、高速かつ高感度に共振周波数シフトを検出でき、生体分子などの観察を可能にするための技術として有用である。

Claims (13)

  1. カンチレバーを共振周波数で自励発振させ、前記カンチレバーと試料の相互作用による共振周波数シフトに基づいて試料の情報を得る原子間力顕微鏡であって、
    前記カンチレバーの変位を検出する変位センサと、
    前記変位センサの検出信号に基づいて前記カンチレバーと試料の相互作用による共振周波数シフトを検出する共振周波数シフト検出部と、
    を備え、
    前記共振周波数シフト検出部は、
    前記変位センサの検出信号から、前記カンチレバーの振動に応じた周期を有し、前記カンチレバーの共振周波数シフトに応じた位相変化が制限された基準信号を抽出する基準信号抽出部と、
    前記変位センサの検出信号から、前記カンチレバーの振動に応じた周期を有し、前記カンチレバーの共振周波数シフトに応じて位相がシフトする位相シフト信号を抽出する位相シフト信号抽出部と、
    前記基準信号抽出部と前記位相シフト信号抽出部により抽出された前記基準信号と前記位相シフト信号に基づいて、前記基準信号に対する前記位相シフト信号の位相差を求めることにより、共振周波数シフトを求める位相検出部と、
    を有することを特徴とする原子間力顕微鏡。
  2. 前記基準信号抽出部および前記位相シフト信号抽出部は互いに特性の異なる基準信号抽出バンドパスフィルタおよび位相シフト信号抽出バンドパスフィルタであり、前記位相シフト信号抽出バンドパスフィルタは、前記カンチレバーの自由振動の共振周波数近傍にピーク周波数を有し、前記基準信号抽出バンドパスフィルタは、前記カンチレバーの自由振動の共振周波数からずれた位置にピーク周波数を有し、前記位相シフト信号抽出バンドパスフィルタと比較して前記基準信号抽出バンドパスフィルタのQ値が小さく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の原子間力顕微鏡。
  3. 前記位相検出部は、前記基準信号における振動波形の正負反転ポイントと前記位相シフト信号における振動波形の正負反転ポイントとの位相差を検出することを特徴とする請求項1に記載の原子間力顕微鏡。
  4. 前記位相検出部は、
    前記基準信号から前記正負反転ポイントに矩形端が位置する基準矩形波を生成する基準矩形波生成部と、
    前記位相シフト信号から前記正負反転ポイントに矩形端が位置する位相シフト矩形波を生成する位相シフト矩形波生成部と、
    を有し、前記基準矩形波と前記位相シフト矩形波の位相差を検出することを特徴とする請求項3に記載の原子間力顕微鏡。
  5. 前記位相検出部は、さらに、
    前記基準矩形波と前記位相シフト矩形波の差分矩形波を求める差分矩形波生成部と、
    前記差分矩形波を積分する差分矩形波積分部と、
    前記差分矩形波の一矩形を積分した後のタイミングで積分値を取得する積分値取得部と、
    を備え、前記積分値を、前記基準矩形波と前記位相シフト矩形波の位相差として検出することを特徴とする請求項4に記載の原子間力顕微鏡。
  6. 前記位相シフト矩形波生成部により生成された前記位相シフト矩形波に基づき、前記位相シフト矩形波の矩形端から遅延したトリガー位置にて、積分値取得のトリガー信号を前記積分値取得部に供給するトリガー信号供給部を有することを特徴とする請求項5に記載の原子間力顕微鏡。
  7. 前記基準信号抽出部と前記位相シフト信号抽出部により抽出された前記基準信号および前記位相シフト信号の位相を調整する位相調整部を備え、
    前記位相調整部は、調整前の前記基準信号および前記位相シフト信号の1周期の振動波形上に定められた共振周波数シフトの検出ポイントを、前記正負反転ポイントへ移動するように、前記基準信号および前記位相シフト信号の位相を調整し、
    前記位相検出部は、前記位相調整部による位相調整後の前記基準信号と前記位相シフト信号を用いて、前記基準信号の正負判定ポイントと前記位相シフト信号の正負反転ポイントの位相差を検出することを特徴とする請求項3に記載の原子間力顕微鏡。
  8. 前記検出ポイントは、調整前の前記位相シフト信号の1周期の振動波形に沿った共振周波数シフトの増減に基づき、1周期の振動波形上で前記共振周波数シフトが最大になるポイントに設定されていることを特徴とする請求項7に記載の原子間力顕微鏡。
  9. 前記検出ポイントは、調整前の前記基準信号および前記位相シフト信号の振幅波形上で前記カンチレバーと前記試料が接近または接触するポイントに設定されていることを特徴とする請求項7に記載の原子間力顕微鏡。
  10. 前記位相調整部は、さらに、前記カンチレバーの共振周波数が自由振動の共振周波数である場合に前記基準信号と前記位相シフト信号の位相が一致するように前記基準信号および前記位相シフト信号の少なくとも一方の位相を調整することを特徴とする請求項7に記載の原子間力顕微鏡。
  11. 前記基準信号抽出部と前記位相シフト信号抽出部により抽出された前記基準信号および前記位相シフト信号の少なくとも一方の位相を調整する位相調整部を備え、
    前記位相調整部は、前記カンチレバーの共振周波数が自由振動の共振周波数である場合に前記基準信号と前記位相シフト信号の位相が一致するように位相調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の原子間力顕微鏡。
  12. カンチレバーを共振周波数で自励発振させ、前記カンチレバーと試料の相互作用による共振周波数シフトに基づいて試料の情報を得る原子間力顕微鏡の共振周波数シフト検出装置であって、
    カンチレバー変位の検出信号から、前記カンチレバーの振動に応じた周期を有し、前記カンチレバーの共振周波数シフトに応じた位相変化が制限された基準信号を抽出する基準信号抽出部と、
    前記検出信号から、前記カンチレバーの振動に応じた周期を有し、前記カンチレバーの共振周波数シフトに応じて位相がシフトする位相シフト信号を抽出する位相シフト信号抽出部と、
    前記基準信号抽出部と前記位相シフト信号抽出部により抽出された前記基準信号と前記位相シフト信号に基づいて、前記基準信号に対する前記位相シフト信号の位相差を求めることにより、共振周波数シフトを求める位相検出部と、
    を有することを特徴とする原子間力顕微鏡の共振周波数シフト検出装置。
  13. カンチレバーを共振周波数で自励発振させ、前記カンチレバーと試料の相互作用による共振周波数シフトに基づいて試料の情報を得る原子間力顕微鏡の共振周波数シフト検出方法であって、
    カンチレバー変位の検出信号から、前記カンチレバーの振動に応じた周期を有し、前記カンチレバーの共振周波数シフトに応じた位相変化が制限された基準信号を抽出し、
    前記検出信号から、前記カンチレバーの振動に応じた周期を有し、前記カンチレバーの共振周波数シフトに応じて位相がシフトする位相シフト信号を抽出し、
    前記基準信号と前記位相シフト信号に基づいて、前記基準信号に対する前記位相シフト信号の位相差を求めることにより、共振周波数シフトを求める、
    ことを特徴とする原子間力顕微鏡の共振周波数シフト検出方法。
JP2008533070A 2006-09-04 2007-07-27 原子間力顕微鏡 Active JP4496350B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006238886 2006-09-04
JP2006238886 2006-09-04
PCT/JP2007/064732 WO2008029562A1 (en) 2006-09-04 2007-07-27 Atomic force microscope

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2008029562A1 true JPWO2008029562A1 (ja) 2010-01-21
JP4496350B2 JP4496350B2 (ja) 2010-07-07

Family

ID=39157007

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008533070A Active JP4496350B2 (ja) 2006-09-04 2007-07-27 原子間力顕微鏡

Country Status (4)

Country Link
US (1) US7975315B2 (ja)
EP (1) EP2063250B1 (ja)
JP (1) JP4496350B2 (ja)
WO (1) WO2008029562A1 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8454558B2 (en) * 2007-02-09 2013-06-04 Ultradent Products, Inc. Syringe-in-syringe hollow inner barrel/plunger with integral seal and rupturable membrane and related kits, systems and methods
WO2009139238A1 (ja) * 2008-05-12 2009-11-19 独立行政法人科学技術振興機構 ダイナミックモードafm装置
US8387159B2 (en) 2008-08-28 2013-02-26 National University Corporation Scanning type probe microscope
JP5283038B2 (ja) * 2009-07-31 2013-09-04 国立大学法人京都大学 制御装置、原子間力顕微鏡、制御方法およびプログラム
US8689358B2 (en) * 2010-06-28 2014-04-01 International Business Machines Corporation Dynamic mode nano-scale imaging and position control using deflection signal direct sampling of higher mode-actuated microcantilevers
WO2013054715A1 (ja) * 2011-10-14 2013-04-18 オリンパス株式会社 走査型プローブ顕微鏡およびその制御方法
US8752211B2 (en) * 2012-08-03 2014-06-10 Ut-Battelle, Llc Real space mapping of oxygen vacancy diffusion and electrochemical transformations by hysteretic current reversal curve measurements
JP6112944B2 (ja) * 2013-04-05 2017-04-12 オリンパス株式会社 走査型プローブ顕微鏡および走査型プローブ検鏡法
WO2017033187A1 (en) * 2015-08-26 2017-03-02 Technion Research & Development Foundation Limited Automatic calibration and tuning of feedback systems
WO2022258084A1 (en) 2021-07-13 2022-12-15 Ceske Vysoke Uceni Technicke V Praze A method of examining a sample in an atomic force microscope

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
USRE36488E (en) * 1992-08-07 2000-01-11 Veeco Instruments Inc. Tapping atomic force microscope with phase or frequency detection
WO1996032623A1 (en) * 1995-04-10 1996-10-17 International Business Machines Corporation Apparatus and method for controlling a mechanical oscillator
US6189374B1 (en) * 1999-03-29 2001-02-20 Nanodevices, Inc. Active probe for an atomic force microscope and method of use thereof
JP2003532060A (ja) * 2000-04-20 2003-10-28 ザ ユニバーシティ オブ ブリストル 共振型プローブ駆動装置及びこの装置を用いた走査型プローブ顕微鏡
JP2003194699A (ja) * 2001-12-27 2003-07-09 Canon Inc 信号検出装置、及び信号検出装置を用いた非接触型原子間力顕微鏡
JP4146251B2 (ja) 2003-01-23 2008-09-10 日本電子株式会社 試料表面観察装置
US8065908B2 (en) * 2005-12-20 2011-11-29 National University Corporation Kanazawa University Scan type probe microscope

Also Published As

Publication number Publication date
JP4496350B2 (ja) 2010-07-07
EP2063250A4 (en) 2012-04-04
EP2063250B1 (en) 2018-09-05
US7975315B2 (en) 2011-07-05
WO2008029562A1 (en) 2008-03-13
EP2063250A1 (en) 2009-05-27
US20100024082A1 (en) 2010-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4496350B2 (ja) 原子間力顕微鏡
EP0890820A1 (en) Scanning probe microscope
JPH1130619A (ja) 走査プローブ顕微鏡
JP5252389B2 (ja) 走査型プローブ顕微鏡
US9116167B2 (en) Method and apparatus of tuning a scanning probe microscope
JP4851375B2 (ja) 位相フィードバックafmの制御方法及び位相フィードバックafm
JPH11160333A (ja) 走査プローブ顕微鏡
JP4474556B2 (ja) 走査型プローブ顕微鏡
US8151368B2 (en) Dynamic mode AFM apparatus
KR102577416B1 (ko) 원자력 현미경 및 원자력 현미경을 이용하여 원자력 현미경 검사를 수행하는 방법
JP2003042931A (ja) 走査型プローブ顕微鏡
US7854015B2 (en) Method for measuring the force of interaction in a scanning probe microscope
JP3935350B2 (ja) 距離制御方法およびそれを用いた走査型プローブ顕微鏡
RU2526295C2 (ru) Сканирующий зондовый микроскоп и способ выявления близости его зондов
JP6001728B2 (ja) 変位検出機構およびそれを用いた走査型プローブ顕微鏡
JP2003185555A (ja) 周波数検出方法およびそれを用いた走査型プローブ顕微鏡
JP5939144B2 (ja) 走査型プローブ顕微鏡
JP2019533813A (ja) 走査プローブ顕微鏡及び走査プローブ顕微鏡の走査速度をステップイン走査モードで増大させる方法
JP2000146809A (ja) プロ―ブ顕微鏡における試料表面のイメ―ジ作成方法
JP2000162115A (ja) 走査探針顕微鏡および走査探針顕微鏡法および信号処理装置および信号処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100121

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100121

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20100121

TRDD Decision of grant or rejection written
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20100223

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100302

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100316

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130423

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4496350

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130423

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130423

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250