JPWO2008026698A1 - L‐グルタミンの製造法 - Google Patents

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Abstract

本発明によれば、(1)配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、または(2)配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、かつ配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質、の活性が低下または喪失しており、かつ(3)配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、または(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、かつ配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質、の活性が低下または喪失しているコリネバクテリウム属に属する微生物、および該微生物などを用いたL−グルタミンの製造法を提供することができる。

Description

本発明は、L‐グルタミンを生成蓄積する能力を有するコリネバクテリウム属に属する微生物、および該微生物を用いたL‐グルタミンの製造法に関する。
コリネバクテリウム・グルタミクムのgluABCDオペロンは、L‐グルタミン酸取り込みシステムの蛋白質群をコードすることが知られている(非特許文献1)。また、ブレビバクテリウム属に属する微生物の染色体上のgluABCDを破壊することによりL‐グルタミン酸の生産量が増大することは知られているが(特許文献1)、L‐グルタミンの生産量が増大することは知られていない。
コリネバクテリウム・グルタミクムの染色体上で近接する3つのORF、すなわちNcgl2653、Ncgl2654、Ncgl2655それぞれを単独で欠失させた株は、L‐グルタミンを単一炭素源とした寒天培地上で生育できないが、それぞれの株のL‐グルタミン取り込み能は野生株の80%保持されていること、およびNcgl2655を欠失した株は野生型株に比べ菌体内のL−グルタミン酸量が2倍に上昇するが、L−グルタミン量はわずかしか上昇しないことが知られている(非特許文献2)。
特開2000-270872号 J.Bacteriol., 177, 1152-1158(1995) J. Biol. Chem., 281, 12300-12307 (2006)
本発明の目的は、L‐グルタミンを生成、蓄積する能力を有する微生物、および該微生物を用いたL‐グルタミンの製造法を提供することにある。
本発明は、以下の[1]〜[4]に関する。
[1](1)配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、または(2)配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、かつ配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質、の活性が低下または喪失しており、かつ(3)配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、または(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、かつ配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質、の活性が低下または喪失しているコリネバクテリウム属に属する微生物。
[2]コリネバクテリウム属に属する微生物が、コリネバクテリウム・グルタミクムである、[1]に記載の微生物。
[3][1]に記載の微生物、または以下の(1)〜(5)より選ばれる1つ以上の蛋白質の活性が低下、または喪失しているコリネバクテリウム属に属する微生物を培地に培養し、該培養物中にL−グルタミンを生成、蓄積させ、該培養物中からL−グルタミンを採取することを特徴とする、L−グルタミンの製造法。
(1)配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(3)配列番号3で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(5)配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、かつ(1)〜(4)のいずれかの蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質
[4]コリネバクテリウム属に属する微生物が、コリネバクテリウム・グルタミクムである、[3]に記載のL‐グルタミンの製造法。
本発明により、L‐グルタミンを効率的に生成、蓄積する能力を有するコリネバクテリウム属に属する微生物を得ることができ、また該微生物を用いてL‐グルタミンを効率的に製造することができる。
1.本発明の微生物および本発明の方法で用いられる微生物の調製
本発明の微生物および本発明の方法で用いられる微生物は、以下の(1)または(2)記載の蛋白質
(1)配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%、より好ましくは95%、さらに好ましくは98%、最も好ましくは99%の相同性を有し、かつ配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質
の活性が低下または低下または喪失しており、かつ以下の(3)または(4)記載の蛋白質
(3)配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%、より好ましくは95%、さらに好ましくは98%、最も好ましくは99%の相同性を有し、かつ配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質
の活性が低下または喪失した微生物、および以下の(5)〜(9)より選ばれる1つ以上の蛋白質
(5)配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(6)配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(7)配列番号3で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(8)配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(9)配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%、より好ましくは95%、さらに好ましくは98%、最も好ましくは99%の相同性を有し、かつ配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質
の活性が低下または喪失した微生物をあげることができる。
アミノ酸配列や塩基配列の相同性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)。
上記した配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、かつ配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質、配列番号4で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、かつ配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質、または配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、かつ配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質を発現するコリネバクテリウム属に属する微生物は、以下の方法により特定することができる。
すなわち、公知のDNAデータベースの検索またはコリネバクテリウム属に属する微生物の染色体DNAをサザンハイブリダイゼーションもしくはPCR法などで分析することにより配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有する蛋白質を発現する微生物を特定した後、J. Bacteriol., 177, 1152-1158(1995)またはJ. Biol. Chem., 281, 12300-12307(2006) 記載の方法に準じて、該蛋白質の活性を喪失したコリネバクテリウム属に属する微生物を取得し、該文献記載の配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質の活性が喪失した微生物と同一の性質を有していることを確認することにより、上記微生物であることを特定することができる。
また本発明の微生物および本発明の方法で用いられる微生物は、配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質の活性が低下または喪失している既存の微生物が有している、該蛋白質をコードする変異型遺伝子を、ファージを用いた形質導入によって1つの微生物に集積する方法[J.H.Miller, Experiments in Molecular Genetics, Cold Spring Harbor Lab.(1972)]、UV照射、変異剤などで微生物を変異処理した後、上記した蛋白質の活性が低下または喪失した菌株を選択する方法、アンチセンス法等の蛋白質の発現を抑制する方法、または微生物の染色体DNA上の上記した蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列に、塩基の欠失、置換または付加を導入する方法などにより取得することができる。
塩基の欠失、置換または付加を導入する領域としては、上記した蛋白質の活性を低下または喪失させることのできる領域であれば限定されず、上記した蛋白質をコードする遺伝子のORFおよび該遺伝子のプロモーターなどの転写調節領域やシャイン・ダルガノ配列などの翻訳調節領域をあげることができ、好ましくは上記した蛋白質をコードする遺伝子のORFをあげることができる。
転写調節領域としては、染色体DNA上における転写領域の5’末端より上流側50塩基からなるDNAをあげることができ、好ましくは−10および−35領域に相当する領域をあげることができる。
翻訳調節領域としては、染色体DNA上における翻訳領域の5’末端より上流側30塩基からなるDNAをあげることができ、好ましくは上流側10塩基からなるDNAをあげることができる。
ORFへの塩基の欠失、置換または付加の導入は、蛋白質の活性を低下または喪失させる塩基の欠失、置換または付加であれば、塩基の種類および数に制限はないが、塩基の欠失としては、好ましくは10塩基以上、より好ましくは20塩基以上、さらに好ましくは100塩基以上、特に好ましくは200塩基以上の転写領域の一部、最も好ましくは転写領域全部の欠失をあげることができる。塩基の置換としては、転写領域の5’末端から150番目以内の塩基、好ましくは100番目以内の塩基、より好ましくは50番目の塩基、特に好ましくは30番目の塩基、最も好ましくは20番目以内の塩基を置換してナンセンスコドンを導入する置換をあげることができる。塩基の付加としては、転写領域の5’末端から150番目以内の塩基、好ましくは100番目以内の塩基、より好ましくは50番目の塩基、特に好ましくは30番目の塩基、最も好ましくは20番目以内の塩基の直後に、50塩基以上、好ましくは100塩基以上、より好ましくは200塩基以上、さらに好ましくは500塩基以上、特に好ましくは1kb以上のDNA断片を付加することをあげることができ、特に好ましくはクロラムフェニコール耐性遺伝子およびカナマイシン耐性遺伝子などの薬剤耐性遺伝子の挿入をあげることができる。
蛋白質の活性が低下しているとは、(1)該蛋白質をコードするDNAの転写物(mRNA)量をノーザン解析もしくはRT-PCRで定量し、変異が導入されていない遺伝子のmRNA量と比較する、または(2)微生物の該蛋白質の生産量をSDS-PAGEもしくは抗体を用いたアッセイにより定量し、変異が導入されていない遺伝子にコードされている蛋白質の生産量と比較したとき、その量が80%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下に低下していることをいう。
また、配列番号1〜3で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質のいずれかの活性が低下しているとは、微生物をJ. Biol. Chem. 281, 12300-12307(2006)に記載の方法でL−グルタミンを単一の炭素源として寒天培地上で培養したときに、一定時間後のコロニーの直径が野生型株と比較して80%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下に低下していることを、配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質の活性が低下しているとは、微生物のL−グルタミン酸取り込み活性をJ. Bacteriol. 177, 1152-1158(1995)に記載の方法で野生型株と比較したときに、その活性が80%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下に低下していることをいう。
微生物の染色体DNAの遺伝子に塩基の欠失、置換または付加を導入する方法としては、相同組換えを利用した方法をあげることができる。一般的な相同組換えを利用した方法としては、塩基の欠失、置換または付加が導入された変異遺伝子を、塩基の欠失等を導入したい宿主細胞内では自立複製できない薬剤耐性遺伝子を有するプラスミドDNAと連結して作製できる相同組換え用プラスミドを用いる方法をあげることができる。
塩基の欠失、置換または付加が導入された変異遺伝子の取得方法としては、変異を導入したい微生物の染色体DNAを鋳型とし、予め塩基の欠失、置換または付加などの変異を導入した合成DNAをプライマーとして目的遺伝子をPCRにより増幅して、塩基の欠失、置換または付加が導入された遺伝子を取得する方法や、変異を導入したい微生物の染色体DNAを鋳型とし、欠失させたい領域を挟む2つの領域をPCRにより増幅し、得られた増幅断片を連結することにより、塩基の欠失した遺伝子断片を取得する方法などをあげることができる。
相同組換えを利用した方法としては、i)該相同組換え用プラスミドを常法により微生物細胞に導入した後、薬剤耐性を指標にして相同組換えによって染色体DNA上に該相同組換え用プラスミドが組込まれた形質転換株を選択し、ii)得られた形質転換株を該薬剤を含有しない培地で数時間〜1日培養した後、該薬剤含有寒天培地、および該薬剤非含有寒天培地に塗布し、iii)前者の培地で生育せず、後者の培地で生育できる株を選択する、ことで染色体DNA上において2回目の相同組換えが生じた株を取得する方法をあげることができる。染色体DNA上の欠失等を導入した遺伝子が存在する領域の塩基配列を決定することで、染色体DNA上の目的遺伝子に塩基の欠失、置換または付加が導入されたことを確認することができる。
微生物の細胞内で自立複製できない薬剤耐性遺伝子を有するプラスミドとして、薬剤耐性遺伝子および枯草菌のレバンシュークラーゼ遺伝子sacB[Mol. Microbiol., 6, 1195(1992)] を有するプラスミドを用いて、レバンシュークラーゼが宿主細胞に有害な物質を生産することを利用した選択法 [J.Bacteriol., 174, 5462(1992)]を利用して上記2回目の相同組換えが生じた株を取得することもできる。
相同組換え用プラスミドを微生物の細胞に導入する方法としては、微生物の細胞へDNAを導入できる方法であればいずれも用いることができ、例えば、電気穿孔法[Appl. Microbiol. Biotech., 52,541(1999)] やプロトプラスト法[J. Bacteriol., 159,306(1984)]等をあげることができる。
微生物細胞としては、好ましくコリネバクテリウム属に属する微生物をあげることができ、野生株であってもよいし、該野生株からL‐グルタミンを効率よく生成するように育種された育種株でもよい。
コリネバクテリウム属に属する微生物としては、Corynebacterium acetoacidophilumCorynebacterium acetoglutamicumCorynebacteirum callunaeCorynebacterium glutamicumCorynebacterium lactofermentumCorynebacterium herculisCorynebacterium liliumCorynebacterium melassecolaCorynebacterium thermoaminogenesCorynebacterium efficiens等をあげることができる。具体的には、Corynebacterium acetoacidophilum ATCC 13870、Corynebacterium acetoglutamicumATCC 15806、Corynebacterium callunae ATCC 15991、Corynebacteriumglutamicum ATCC 13032、Corynebacterium glutamicum ATCC 13060、Corynebacterium glutamicum ATCC 13826、Corynebacteriumglutamicum ATCC 14020、Corynebacterium glutamicum ATCC 13869、Corynebacterium herculis ATCC 13868、Corynebacterium liliumATCC 15990、Corynebacterium melassecola ATCC 17965、Corynebacterium thermoaminogenes ATCC 9244、ATCC 9245、ATCC 9246およびATCC9277等をあげることができ、好ましくはCorynebacteriumglutamicum ATCC 13032、Corynebacterium glutamicum ATCC 13060、Corynebacterium glutamicum ATCC 13826、Corynebacterium glutamicum ATCC 14020、Corynebacterium glutamicum ATCC 13869等をあげることができる。
育種株としては、L−グルタミンの生合成を制御する機構の少なくとも1つを緩和または解除した微生物や、野生型株に比べL−グルタミンアナログに対する耐性度が高い細胞株を選択して得られる微生物などをあげることができる。
L−グルタミンの生合成を制御する機構の少なくとも1つを緩和または解除した微生物としては、例えばアデニリル化によりグルタミンシンテターゼの制御を行なうグルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼの活性が低下したコリネ型細菌[FEMS Microbiology Letters, 201, 91 (2001)、特開2002-300887号]、アデニリル化を受けるグルタミンシンテターゼの405番目のアミノ酸が置換したコリネ型細菌[FEMS Microbiology Letters, 201, 91 (2001)、特開2003-164297号]、およびPIIタンパク質の活性が低下したコリネ型細菌[FEMS Microbiology Letters, 173, 303 (1999)、特開2002-300887号]をあげることができる。野生型株に比べL−グルタミンアナログに対する耐性度が高い細胞株を選択して得られる微生物としては、例えばアザセリン耐性を付与したコリネ型細菌[特開昭55-148094号]、6−ジアゾ−5−オキソ−ノルロイシン耐性を付与したコリネ型細菌[特開平3-232497号]などが知られている。
以上の方法により、上記した蛋白質の活性が低下、または喪失したコリネバクテリウム属に属する微生物を調製することができる。
2.本発明のL‐グルタミンの製造法
上記1の方法で調製することができる微生物を培地に培養し、培養物中にL−グルタミンを生成、蓄積させ、該培養物からL−グルタミンを採取することにより、L‐グルタミンを製造することができる。
本発明の製造法で用いられる培地は、炭素源、窒素源、無機塩など本発明の微生物の増殖、およびL−グルタミンの生合成に必要な栄養素を含む限り、合成培地、天然培地のいずれでもよい。
炭素源としては、使用する微生物の資化できる炭素源であればいずれでもよく、例えばグルコース、糖蜜、フラクトース、シュークロース、マルトース、でんぷん加水分解物等の糖類、エタノール、グリセロールのようなアルコール類、酢酸、乳酸、コハク酸等の有機酸類などをあげることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどの各種無機および有機アンモニウム塩類、尿素、アミン等の窒素化合物、ならびに肉エキス、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、ペプトン、大豆加水分解物等の窒素含有有機物を用いることができる。
無機塩としては、リン酸第一水素カリウム、リン酸第二水素カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、炭酸カルシウム等を用いることができる。
その他、必要に応じて、ビオチン、チアミン、ニコチンアミド、ニコチン酸等の微量栄養源を加えることができる。これら微量栄養源は、肉エキス、コーン・スティープ・リカー、カザミノ酸等の培地添加物で代用することもできる。 さらに必要に応じて本発明の微生物が生育に要求する物質(例えばアミノ酸要求性の微生物であれば要求アミノ酸)を添加することができる。
培養は、振とう培養や深部通気攪拌培養のような好気的条件で行う。培養温度は20〜50℃、好ましくは20〜42℃、より好ましくは28〜38℃である。培地のpHは5〜11の範囲で、好ましくは6〜9の中性付近の範囲に維持して培養を行う。培地のpHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア、pH緩衝液などを用いて行う。
培養時間は、5時間〜6日間、好ましくは16時間〜3日間である。
培養物中に蓄積したL−グルタミンは、通常の精製方法によって採取することができる。例えばL−グルタミンは、培養後、遠心分離などで菌体や固形物を除いたあと、活性炭処理、イオン交換樹脂処理、濃縮、結晶分別等の公知の方法を併用することによって採取することができる。
以下に本願発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の微生物の造成
(1)染色体DNA相同組換え用ベクターpdXの作製
まず、TAクローニング法[Molecular cloning, a laboratory manual, Third Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)、以下、モレキュラー・クローニング第3版と略す]により、染色体組換え用断片をプラスミドpESB30にクローニングした。
プラスミドpESB30は、カナマイシン耐性遺伝子を有するベクターpHSG299 (タカラバイオ社製)[Gene, 61, 63 (1987)]のPstI切断部位に、Bacillus subtilis由来のレバンシュークラーゼ遺伝子sacBを含む2.6kbのPstI DNA断片[Mol. Microbiol., 6, 1195 (1992)]を連結したプラスミドである。
使用したコリネバクテリウム・グルタミクムの野生株ATCC13032株の染色体DNAは、斉藤らの方法[Biochim.Biophys.Acta,72,619(1963)]により調製した。
pESB30をBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動し、アガロースゲルより、GENECLEAN Kit(BIO 101社製)を用いて約5.3kbのDNA断片を回収した。
該5.3kbのDNA断片の両末端をDNA Blunting Kit(タカラバイオ社製)を用い、添付のプロトコールに従って、平滑化した。該平滑化断片をフェノール・クロロホルム抽出及びエタノール沈殿により濃縮した後、Takara Ex Taq(タカラバイオ社製)および添付のバッファーを用いてdTTP存在下で70℃、2時間反応させ、3´末端にチミン1塩基が付加したDNA断片pESB30-Tを調製した。
コリネバクテリウム・グルタミクムATCC13032株の染色体DNAを鋳型として用い、配列番号6および7で表される塩基配列を有する合成DNAまたは配列番号8および9で表される塩基配列を有する合成DNAをそれぞれプライマーセットとして、Pyrobest DNA polymerase(タカラバイオ社製)と添付のバッファーを用いて2種類のPCRを各々行った。
各々のPCRにより得られた約0.7kbおよび約1.0kbの増幅産物を、各々Qiaquick PCR Purification Kit(Qiagen社製)を用いて精製した。
さらに、両精製物を鋳型として、配列番号6および9で表される塩基配列を有する合成DNAをプライマーとし、Pyrobest DNA Polymeraseおよび添付のバッファーを用いてPCR反応を行い、配列番号5の塩基番号261から3389で表される塩基配列のうち、塩基番号1001から2389を欠失した約1.7kbのDNA断片を取得した。
得られた約1.7kbのDNA断片をアガロースゲル電気泳動した後、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
上記で得られた精製DNA断片を、ライゲーションキットver.1(タカラバイオ社製)を用い、pESB30―T断片と結合させた。
得られた結合産物を用い、常法に従って大腸菌DH5αを形質転換した。該形質転換体を、20μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育した形質転換体を20μg/mlのカナマイシンを含むLB液体培地に植菌して30℃で一晩培養し、得られた培養液からアルカリSDS法によりプラスミドを抽出した。
該プラスミドを制限酵素切断法で解析し、該プラスミドがpESB30に、配列番号5の塩基番号261から3389で表される塩基配列のうち、塩基番号1001から2389を欠失した約1.7kbのDNA断片がpESB30に挿入されている構造であることを確認した。該プラスミドをpdXと命名した。
(2)染色体DNA相同組換え用ベクターpdHの作製
コリネバクテリウム・グルタミクムATCC13032株の染色体DNA上の配列番号5の塩基番号1390から4424で表される塩基配列のうち、塩基番号2391から3424で表される領域を欠失させるためのプラスミドを(1)と同様の方法で作製した。
(1)で調製したATCC 13032株の染色体DNAを鋳型として、配列番号10および11で表される塩基配列を有する合成DNAまたは配列番号12および13で表される塩基配列を有する合成DNAをそれぞれプライマーセットとして、Pyrobest DNA polymeraseと添付のバッファーを用いて2種類のPCRを各々行った。得られた約1.0kbpの増幅産物を、各々Qiaquick PCR Purification Kitを用いて精製した。
さらに、両精製物を鋳型として、配列番号10および13で表される塩基配列を有する合成DNAをプライマーとしてPyrobest DNA polymeraseおよび添付のバッファーを用いてPCR反応を行い、配列番号5の塩基番号1390から4424で表される塩基配列のうち、塩基番号2391から3424で表される領域を欠失した約2.0kbpのDNA断片を取得した。
得られた約2.0kbのDNA断片をアガロースゲル電気泳動した後、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
上記で得られた精製DNA断片を、ライゲーションキットver.1を用い、(1)で作製したpESB30―T断片と結合させた。
得られた結合産物を用い、常法に従って大腸菌DH5αを形質転換した。該形質転換体を、20μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育した形質転換体を20μg/mlのカナマイシンを含むLB液体培地に植菌して30℃で一晩培養し、得られた培養液からアルカリSDS法によりプラスミドを抽出した。
該プラスミドを制限酵素切断法で解析し、該プラスミドがpESB30に、配列番号5の塩基番号1390から4424で表される塩基配列のうち、塩基番号2391から3424で表される領域を欠失した約2.0kbpのDNA断片がpESB30に挿入されている構造であることを確認した。該プラスミドをpdHと命名した。
(3)染色体DNA相同組換え用ベクターpdpGの作製
コリネバクテリウム・グルタミクムATCC13032株の染色体DNA上の配列番号5の塩基番号2977から6882で表される塩基配列のうち、塩基番号3627から5882で表される領域を欠失させるためのプラスミドを(1)と同様の方法で作製した。
(1)で調製したATCC 13032株の染色体DNAを鋳型として、配列番号14および15で表される塩基配列を有する合成DNAまたは配列番号16および17で表される塩基配列を有する合成DNAをそれぞれプライマーセットとして、Pyrobest DNA Polymeraseと添付のバッファーを用いて2種類のPCRを各々行った。得られた約0.7kbおよび約1.0kbpの増幅産物を、各々Qiaquick PCR Purification Kitを用いて精製した。
さらに、両精製物を鋳型として、配列番号14および17で表される塩基配列を有する合成DNAをプライマーとしてPyrobest DNA Polymeraseおよび添付のバッファーを用いてPCR反応を行い、配列番号5の塩基番号2977から6882で表される塩基配列のうち、塩基番号3627から5882で表される領域を欠失した約1.7kbpのDNA断片を取得した。
得られた約1.7kbのDNA断片をアガロースゲル電気泳動した後、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
上記で得られた精製DNA断片を、ライゲーションキットver.1を用い、(1)で作製したpESB30―T断片と結合させた。
得られた結合産物を用い、常法に従って大腸菌DH5αを形質転換した。該形質転換体を、20μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育した形質転換体を20μg/mlのカナマイシンを含むLB液体培地に植菌して30℃で一晩培養し、得られた培養液からアルカリSDS法によりプラスミドを抽出した。
該プラスミドを制限酵素切断法で解析し、該プラスミドがpESB30に、配列番号5の塩基番号2977から6882で表される塩基配列のうち、塩基番号3627から5882で表される領域を欠失した約1.7kbのDNA断片がpESB30に挿入されている構造であることを確認した。該プラスミドをpdpGと命名した。
(4)染色体DNA相同組換え用ベクターpDGADの作製
コリネバクテリウム・グルタミクムATCC13032株の染色体DNA上の配列番号18で表される塩基配列のうち、塩基番号1001から4489で表される領域を欠失させるためのプラスミドを(1)と同様の方法で作製した。
(1)で調製したATCC 13032株の染色体DNAを鋳型として、配列番号19および20で表される塩基配列を有する合成DNAまたは配列番号21および22で表される塩基配列を有する合成DNAをそれぞれプライマーセットとして、Pyrobest DNA Polymeraseと添付のバッファーを用いて2種類のPCRを各々行った。得られた各々約1.0kbpの増幅産物をQiaquick PCR Purification Kitを用いて精製した。
さらに、両精製物を鋳型として、配列番号19および22で表される塩基配列を有する合成DNAをプライマーとしてPyrobest DNA Polymeraseおよび添付のバッファーを用いてPCR反応を行い、配列番号18で表される塩基配列のうち、塩基番号1001〜4489を欠失した約2.0kbpのDNA断片を取得した。
得られた約2.0kbのDNA断片をアガロースゲル電気泳動した後、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
上記で得られた精製DNA断片を、ライゲーションキットver.1を用い、(1)で作製したpESB30―T断片と結合させた。
得られた結合産物を用い、常法に従って大腸菌DH5αを形質転換した。該形質転換体を、20μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育した形質転換体を20μg/mlのカナマイシンを含むLB液体培地に植菌して30℃で一晩培養し、得られた培養液からアルカリSDS法によりプラスミドを抽出した。
該プラスミドを制限酵素切断法で解析し、該プラスミドがpESB30に、配列番号18で表される塩基配列のうち塩基番号1001〜4489が欠失した約2.0kbのDNA断片がpESB30に挿入されている構造であることを確認した。該プラスミドをpDGADと命名した。
(5)染色体DNA相同組換え用ベクターpDGBの作製
コリネバクテリウム・グルタミクムGLA2株の染色体DNA上の配列番号18の塩基番号1847から2734で表される塩基配列を欠失させるためのプラスミドを(1)と同様の方法で作製した。
(1)で調製したATCC 13032株の染色体DNAを鋳型として、配列番号23および24で表される塩基配列を有する合成DNAまたは配列番号25および26で表される塩基配列を有する合成DNAをそれぞれプライマーセットとして、Pyrobest DNA Polymeraseと添付のバッファーを用いて2種類のPCRを各々行った。得られた各々約1.0kbの増幅産物をQiaquick PCR Purification Kitを用いて精製した。
さらに、両精製物を鋳型として、配列番号23および26で表される塩基配列を有する合成DNAをプライマーとしてPyrobest DNA Polymeraseおよび添付のバッファーを用いてPCR反応を行い、配列番号18で表される塩基配列のうち、塩基番号1847〜2734を欠失した約2.0kbのDNA断片を取得した。
得られた約2.0kbのDNA断片をアガロースゲル電気泳動した後、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
上記で得られた精製DNA断片を、ライゲーションキットver.1を用い、(1)で作製したpESB30―T断片と結合させた。
得られた結合産物を用い、常法に従って大腸菌DH5αを形質転換した。該形質転換体を、20μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育した形質転換体を20μg/mlのカナマイシンを含むLB液体培地に植菌して30℃で一晩培養し、得られた培養液からアルカリSDS法によりプラスミドを抽出した。
該プラスミドを制限酵素切断法で解析し、該プラスミドがpESB30に、配列番号18の塩基番号847から3735で表される塩基配列のうち塩基番号1847から2734が欠失した約2.0kbのDNA断片がpESB30に挿入されている構造であることを確認した。該プラスミドをpDGBと命名した。
(6)L−グルタミン生産菌GLA2への染色体欠失変異導入
プラスミドpdXが、コリネ型細菌内では自立複製できないことを利用し、以下の方法で、pdX中の組換え用DNA断片が、実験例で作製したL−グルタミン生産株であるコリネバクテリウム・グルタミクムGLA2株(GLA2の作製方法については後述する)の染色体DNA中に相同組換えにより組み込まれた株を選択した。
pdXを用い、レストらの方法[Appl.Microbiol.Biotech.,52,541(1999)]に従って電気穿孔法にてGLA2株を形質転換し、該形質転換体をカナマイシン25μg/mlを含むBY寒天培地[ブイヨン20g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、バクトアガー(ディフコ社製)18gを水1Lに含みpH7.0に調整した培地]に塗布後、30℃、一晩培養した。
生育した該形質転換体のうちの1株から斉藤らの方法[Biochim.Biophys.Acta,72、619(1993)]により染色体DNAを調製し、得られた染色体DNAの構造をサザンハイブリダイゼーション[モレキュラー・クローニング第3版]により調べた結果、pdXがCampbellタイプの相同組み換えにより染色体に組み込まれていることが確かめられた。
該形質転換体(1回組み換え体)をSUC寒天培地[ショ糖100g、肉エキス7g、ペプトン10g、塩化ナトリウム3g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、バクトアガー(ディフコ社製)18gを水1Lに含みpH7.2に調整した培地]上に塗布後、30℃で1日間培養を行い、ショ糖耐性株を得た。
SUC寒天培地で生育した1回組換え体から、斉藤らの方法により染色体DNAを調製した。得られた染色体DNAを鋳型として、配列番号6および9で表される塩基配列を有する合成DNAをプライマーとして、Pyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ社製)と添付のバッファーを用いてPCRを行った。得られたPCR増幅断片の塩基配列を常法により決定し、GLA2株の染色体DNA上の配列番号5の塩基番号261から3389で表される塩基配列のうち、塩基番号1001から2389を欠失したDNA断片に置換されているGLA2X株を取得した。同様の方法でpdHを用いて配列番号5の塩基番号1390から4424で表される塩基配列のうち、塩基番号2391から3424で表される領域を欠失したDNA断片に置換されているGLA2H株を取得した。さらに同様の方法でpdpGを用いて配列番号5の塩基番号2977から6882で表される塩基配列のうち、塩基番号3627から5882で表される領域を欠失したDNA断片に置換されているGLA2PG株を取得した。
プラスミドpDGAD、pDGBを用いて上記と同様の方法でコリネバクテリウム・グルタミクムGLA2へ染色体欠失変異を導入した。pDGADを用いて取得した染色体上の配列番号18で表される塩基配列のうち塩基番号1001から4489を欠失した株をGLA2GAD株、pDGBを用いて取得した塩基番号1847から2734を欠失した株をGLA2GB株と命名した。また同様に、pDGBを用いて、上記で得られたGLA2H株に染色体欠失変異を導入した。取得したGLA2H株の染色体上の配列番号18で表される塩基配列のうち塩基番号1001から4489を欠失した株を、GLA2HGB株と命名した。
本発明の微生物を用いたL−グルタミンの製造
実施例1で得たGLA2X株、GLA2H株、GLA2PG株、GLA2GAD株、GLA2GB株、GLA2HGB株、およびこれらの親株であるGLA2株をそれぞれ種培地〔グルコース50g、肉エキス7g、ペプトン10g、塩化ナトリウム3g、硫酸アンモニウム5g、尿素5g、硫酸マグネシウム7水和物500mg、硫酸鉄7水和物50mg、チアミン塩酸塩500μg、ビオチン20μgを水1Lに含み、pH7.2に調整後、炭酸カルシウムを30g加えた培地〕8mlの入った試験管に接種し、30℃、220rpmの条件で16時間培養し、種培養液を得た。
該種培養液3mlを、それぞれ、本培養培地〔グルコース50g、硫酸アンモニウム20g、リン酸二水素カリウム0.5g、リン酸水素二カリウム0.5g、尿素2g、硫酸マグネシウム7水和物0.5g、硫酸鉄7水和物2mg、硫酸マンガン5水和物2.5mg、チアミン塩酸塩1mg、ビオチン100μg、炭酸カルシウム30gを水1Lに含む。滅菌後に硫酸でpH7.0に調整した培地〕30mlの入ったバッフル付き250ml三角フラスコに接種し、30℃、220rpmの条件で16時間培養した。
遠心分離により培養液から菌体を除去し、上清中のL−グルタミンの蓄積量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。
結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の微生物および本発明の方法で用いられる微生物であるGLA2X株、GLA2H株、GLA2PG株、GLA2GAD株、GLA2GB、GLA2HGB株では、L‐グルタミンの生産効率が親株GLA2株に比べ向上した。
[実験例]L‐グルタミン生産菌GLA2株の造成
(1)遺伝子置換用プラスミドpCglnA2の作製
配列番号27で表されるアミノ酸配列のN末端から第64番目のグルタミン酸がリジンに置換(Glu64Lys)されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAを、PCRを用いる部位特異的変異法[モレキュラー・クローニング第3版]を用いて次のようにして取得した。
まず、実施例1(1)と同様の方法で調製したコリネバクテリウム・グルタミクムATCC13031株の染色体DNAを鋳型として、Pyrobest DNAポリメラーゼ、添付のバッファーおよび後述のプライマーを用いてPCRを行った。PCRに用いたプライマーは、EP 1108790に記載されているコリネバクテリウム・グルタミクム由来のグルタミンシンテターゼ2をコードするDNAの塩基配列情報に基づき、配列番号28で表されるグルタミンシンテターゼ2をコードする領域中で、配列番号27で表されるグルタミンシンテターゼ2の有するアミノ酸配列のN末端から第64番目のグルタミン酸をコードする領域(配列番号28で表される塩基配列の5’末端から190〜192番目の領域、gaa)を含む21塩基からなる領域(配列番号28で表される塩基配列の5’末端から180〜200番目の塩基配列、および配列番号29で表される塩基配列の5’末端から680〜700番目の塩基配列)において、配列番号31で表される該グルタミン酸をコードする領域を、リジンをコードするコドン(aaa)に置換した塩基配列からなるDNA断片、およびその相補配列である配列番号32で表される21塩基の塩基配列を有するDNA断片を常法に従い合成した。
また、配列番号29で表される塩基配列の5’末端から167〜186番目の塩基配列にBamHI認識配列を含むタグ配列を付加したDNA断片を合成し、その塩基配列を配列番号30に示した。
配列番号29で表される塩基配列の5’末端から1185〜1204番目の塩基配列の相補配列にBamHI認識配列を含むタグ配列を付加したDNA断片を合成し、その塩基配列を配列番号33に示した。
配列番号30で表される塩基配列を有するDNA断片と配列番号32で表される塩基配列を有するDNA断片、または配列番号31で表される塩基配列を有するDNA断片と配列番号33で表される塩基配列を有するDNA断片をそれぞれプライマーセットとして、得られた染色体DNAを鋳型として、Pyrobest DNAポリメラーゼと添付のバッファーを用いて2種類のPCRを各々行った。
各々のPCRにより得られた、約0.5kbの増幅産物(配列番号29で表される塩基配列の5’末端から第167〜700番目の塩基配列に対応するDNA断片、および第680番目から1204番目に対応するDNA断片)をアガロースゲル電気泳動し、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
さらに、両精製物を鋳型とし、配列番号30で表される塩基配列を有するDNA断片と配列番号33で表される塩基配列を有するDNA断片をプライマーとして用いてPCRを行った。このPCRにより、配列番号27で表されるアミノ酸配列のN末端から第64番目のグルタミン酸をコードするコドン(gaa)がリジンをコードするコドン(aaa)に置換された約1.0kbのDNA断片を取得した。得られた約1.0kbのDNA断片をBamHI処理し、アガロースゲル電気泳動した後、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
該DNA断片をプラスミドpESB30に挿入した。
具体的にはpESB30をBamHIで切断後、アルカリフォスファターゼ処理を行ない、アガロースゲル電気泳動し、GENECLEAN Kitを用いてpESB30のBamHI処理断片を抽出、精製した。このpESB30断片と、上記で得られたBamHI処理した約1.0kbのDNA断片を混合し、ライゲーションキットver.1を用い、リガーゼ反応を行った。
得られた反応産物を用い、常法[モレキュラー・クローニング第3版]に従ってEscherichia coli DH5α(東洋紡社製)を形質転換した。
該菌株を、20μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地[バクトトリプトン(ディフコ社製)10g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、塩化ナトリウム 10g、バクトアガー(ディフコ社製)16gを水1Lに含み、pH7.0に調整された培地]上で培養し、形質転換株を選択した。該形質転換株を20μg/mlのカナマイシンを含むLB培地で終夜培養し、得られた培養液からアルカリSDS法によりプラスミドを調製した。
制限酵素切断解析を行い、該プラスミドは、pESB30に上記で得られた約1.0kbのDNA断片が挿入された構造を有するプラスミドであることを確認した。このプラスミドをpCglnA2と命名した。
(2)遺伝子発現用プラスミドpGlnA2の造成
配列番号27で表されるアミノ酸配列のN末端から第64番目のグルタミン酸がリジンに置換(Glu64Lys)されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAを、(1)と同様の方法で取得した。
コリネバクテリウム・グルタミクムの野生型株ATCC13032の染色体DNAにおいて、グルタミンシンテターゼ2をコードする塩基配列の5’末端側の上流に位置する塩基配列(配列番号29で表される塩基配列の5’末端から1〜20番目の塩基配列)にBamHI認識配列を含むタグ配列を付加したDNA断片、および3’末端側に位置する塩基配列(配列番号29で表される塩基配列の5’末端から第1825〜1844番目の塩基配列)の相補配列にBamHI認識配列を含むタグ配列を付加したDNA断片を合成し、その塩基配列をそれぞれ配列番号34、配列番号35に示した。
配列番号34で表される塩基配列を有するDNA断片と配列番号32で表される塩基配列を有するDNA断片、または配列番号31で表される塩基配列を有するDNA断片と配列番号35で表される塩基配列を有するDNA断片をそれぞれプライマーセットとして、ATCC13032株の染色体DNAを鋳型として、Pyrobest DNAポリメラーゼと添付のバッファーを用いて2種類のPCRを各々行った。
各々のPCRにより得られた、約0.7kbの増幅産物(配列番号29で表される塩基配列の5’末端から第1〜700番目の塩基配列に対応するDNA断片)、および約1.1kbの増幅産物(配列番号29で表される塩基配列の5’末端から第680〜1844番目の塩基配列に対応するDNA断片)を、各々アガロースゲル電気泳動し、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
さらに、両精製物を鋳型とし、配列番号34で表される塩基配列を有するDNA断片と配列番号35で表される塩基配列を有するDNA断片をプライマーとして用いてPCRを行った。このPCRにより、グルタミンシンテターゼ2の5’末端側の上流に存在するプロモーター配列と、配列番号28において、配列番号27で表されるアミノ酸配列のN末端から第64番目のグルタミン酸をコードするコドン(gaa)がリジンをコードするコドン(aaa)に置換された塩基配列を含む約1.9kbのDNA断片を取得した。この約1.9kbのDNA断片をBamHIで処理し、アガロースゲル電気泳動した後、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
pCS299P(国際公開第00/63388号パンフレット)をBamHIで切断後、アルカリフォスファターゼ処理を行ない、アガロースゲル電気泳動し、GENECLEAN Kitを用いてpCS299P断片を抽出、精製した。
このpCS299P断片に上記で得られたBamHI処理した約1.9kbのDNA断片を(1)と同様の方法でクローン化した。
制限酵素切断解析を行い、該プラスミドは、pCS299Pに上記で得られた約1.9kbのDNA断片が挿入された構造を有するプラスミドであることを確認した。このプラスミドをpGlnA2と命名した。
(3)遺伝子置換用プラスミドpCltsAの作製
配列番号36で表されるリゾチーム感受性に関わるポリペプチドのアミノ酸配列のN末端から第80番目のグリシンがアスパラギン酸に置換(Gly80Asp)されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAを、(1)と同様の方法で取得した。同変異の導入によりリゾチーム感受性が付与されることが報告されている[BMC Biotechnol., 9, 1 (2001)]。
コリネバクテリウム・グルタミクムATCC13032の染色体DNAにおけるLtsAをコードするDNAの周辺領域を示す、配列番号38で表される塩基配列の5’末端から1〜20番目の塩基配列にBamHI認識配列を含むタグ配列を付加したDNA断片、および配列番号38で表される塩基配列の5’末端から981〜1000番目の塩基配列の相補配列にBamHI認識配列を含むタグ配列を付加したDNA断片を合成し、その塩基配列をそれぞれ配列番号39、配列番号42に示した。配列番号37で表されるLtsAをコードする領域中で、配列番号36で現されるLtsAの有するアミノ酸配列のN末端から第80番目のグリシンをコードするコドン(配列番号38で表される塩基配列の5’末端から238〜240番目の塩基配列、ggt)を含む21塩基からなる領域(配列番号37で表される塩基配列の5’末端から229〜249番目の塩基配列、および配列番号38で表される塩基配列の5’末端から491〜511番目の塩基配列)において、該グリシンをコードするコドンをアスパラギン酸をコードするコドン(gat)に置換した、配列番号41で表される塩基配列からなるDNA断片、および該塩基配列の相補配列である配列番号40で表される21塩基の塩基配列を有するDNA断片を常法に従い合成した。
配列番号39で表される塩基配列を有するDNA断片と配列番号40で表される塩基配列を有するDNA断片、または配列番号41で表される塩基配列を有するDNA断片と配列番号42で表される塩基配列を有するDNA断片をそれぞれプライマーセットとして用い、ATCC13032株の染色体DNAを鋳型として、Pyrobest DNAポリメラーゼと添付のバッファーを用いて2種類のPCRを各々行った。
各々のPCRにより得られた、約0.5kbの増幅産物(配列番号38で表される塩基配列の5’末端から1〜511番目の塩基配列に対応するDNA断片、および配列番号38で表される塩基配列の5’末端から491〜1000番目の塩基配列に対応するDNA断片)を、各々アガロースゲル電気泳動し、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
さらに、両精製物を鋳型とし、配列番号39で表される塩基配列を有するDNA断片と配列番号42で表される塩基配列を有するDNA断片をプライマーとして用いてPCRを行った。このPCRにより、配列番号36で表されるLtsAが有するアミノ酸配列のN末端から第80番目のグリシンをコードする領域(ggt)がアスパラギン酸をコードするコドン(gat)に置換された約1.0kbのDNA断片を取得した。この約1.0kbのDNA断片をBamHIで処理し(1)と同様の方法でpESB30にクローン化し、このプラスミドをpCltsAと命名した。
(4)L−グルタミン生産菌GLA2の造成
上記(1)で作製したプラスミドpCglnA2を用い、遺伝子置換法によってコリネバクテリウム・グルタミクム ATCC13032の染色体DNAにおいてグルタミンシンテターゼ2をコードする遺伝子に配列番号27で表されるアミノ酸配列のN末端から64番目のグルタミン酸をリジンに置換する変異(Glu64Lys)を導入した。
遺伝子置換法によるATCC13032の染色体DNAにおいてグルタミンシンテターゼ2をコードする遺伝子への変異の導入は、次に示すような2回の組換え操作によって行った。まず、上記で作製したプラスミドpCglnA2がコリネ型細菌内では自律複製できないことを利用して、以下の方法で、このプラスミドがコリネバクテリウム・グルタミクムATCC13032の染色体DNA中に相同組換えで組み込まれた株を選択した。
具体的には、該プラスミドを用い、レストらの方法[Appl. Microbiol. Biotech., 52,541 (1999)]に従って電気穿孔法にてATCC13032株を形質転換し、カナマイシン耐性株を選択した。選択したカナマイシン耐性株のうちの1株から得た染色体の構造をサザンハイブリダイゼーション(モレキュラー・クローニング第3版)により調べた結果、プラスミドがCampbellタイプの相同組換えにより染色体に組み込まれていることが確かめられた。このような株では、野生型および変異型のグルタミンシンテターゼ2遺伝子が染色体上に近接して存在しており、その間で2回目の相同組換えが起こりやすくなっている。
該形質転換株(1回組換え体)をSUC寒天培地〔ショ糖100g、肉エキス7g、ペプトン10g、塩化ナトリウム3g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、バクトアガー(ディフコ社製)18gを水1Lに含みpH7.2に調整した培地〕上に塗布し、30℃で1日間培養して、生育するコロニーを選択した。sacB遺伝子が存在する株は、ショ糖を自殺基質に転換するので、この培地では生育できない[J. Bacteriol., 174, 5462 (1991)]。これに対し、染色体上に近接して存在する野生型と変異型のグルタミンシンテターゼ2遺伝子間での2回目の相同組み換えによりsacB遺伝子が欠失した株では、自殺基質はできずこの培地で生育することができる。この2回目の相同組み換えの際には、野生型遺伝子もしくは変異型遺伝子のいずれかが、sacBとともに欠失する。このとき野生型がsacBとともに欠失した株では、変異型への遺伝子置換が起こったことになる。
このようにして得られた2回組換え体の染色体DNAを、斉藤らの方法により調製し、該染色体DNAを鋳型とし、配列番号30で表される塩基配列を有するDNA断片と配列番号33で表される塩基配列を有するDNA断片をプライマーとして、Pyrobest DNAポリメラーゼと添付のバッファーを用いてPCRを行った。これらのPCR産物の塩基配列を常法により決定し、2回組み換え体の染色体DNA上のグルタミンシンテターゼ2遺伝子が野生型であるか変異型であるかを判定した。その結果、染色体DNAにおいてグルタミンシンテターゼ2をコードする遺伝子に、配列番号27で表されるアミノ酸配列のN末端から64番目のグルタミン酸をリジンに置換する変異(Glu64Lys)を有する2回組換え体であるGS2株を取得した。
GS2株にさらに、上記と同様の方法でpCltsAを用いて染色体DNA上のLtsA遺伝子に、配列番号36で表されるアミノ酸配列のN末端から80番目のグリシンをアスパラギン酸に置換する変異(Gly80Asp)を導入し、GLA2株を取得した。宿主にGS2株を用い、置換用のプラスミドにpCltsAを用いる以外は上記と同じ操作を行い、得られた2回組換え体の染色体DNAを、斉藤らの方法により調製し、該染色体DNAを鋳型とし、配列番号39で表される塩基配列を有するDNA断片と配列番号42で表される塩基配列を有するDNA断片をプライマーとして、Pyrobest DNAポリメラーゼと添付のバッファーを用いてPCRを行った。これらのPCR産物の塩基配列を常法により決定し、2回組み換え体の染色体DNA上のLtsA遺伝子が野生型であるか変異型であるかを判定した。その結果、染色体DNAにおいてLtsAをコードする遺伝子に、配列番号36で表されるアミノ酸配列のN末端から80番目のグリシンをアスパラギン酸に置換する変異(Gly80Asp)を有する2回組換え体であるGLA2株を取得した。
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本発明により、L‐グルタミンを効率的に生成、蓄積する能力を有するコリネバクテリウム属に属する微生物を得ることができ、また該微生物を用いてL‐グルタミンを効率的に製造することができる。

Claims (4)

  1. (1)配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、または(2)配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、かつ配列番号1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質、の活性が低下または喪失しており、かつ(3)配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、または(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、かつ配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質、の活性が低下または喪失しているコリネバクテリウム属に属する微生物。
  2. コリネバクテリウム属に属する微生物が、コリネバクテリウム・グルタミクムである、請求項1に記載の微生物。
  3. 請求項1に記載の微生物、または以下の(1)〜(5)より選ばれる1つ以上の蛋白質の活性が低下、または喪失しているコリネバクテリウム属に属する微生物を培地に培養し、該培養物中にL−グルタミンを生成、蓄積させ、該培養物中からL−グルタミンを採取することを特徴とする、L−グルタミンの製造法。
    (1)配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
    (2)配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
    (3)配列番号3で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
    (4)配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
    (5)配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、かつ(1)〜(4)のいずれかの蛋白質と実質的に同一の活性を有する蛋白質
  4. コリネバクテリウム属に属する微生物が、コリネバクテリウム・グルタミクムである、請求項3に記載のL−グルタミンの製造法。
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